説明

文書作成支援装置及び文書作成支援プログラム

【課題】参照元文書から文書作成者が容易に文書部品を利用することを可能にすることで文書作成の支援を行う文書作成支援装置を提供する。
【解決手段】文書作成支援装置1は、参照元文書中の一語以上からなる参照元表現に関連する文書部品を検索生成する検索・文書部品生成手段13と、表示装置2の参照元文書表示領域内で参照元表現に対応付けて文書部品を表示する文書部品表示制御手段15と、参照元文書表示領域で選択された文書部品を表示装置2の新規文書編集領域内において新規文書に挿入する新規文書表示制御手段16と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成者が参照元の文書から文書部品を利用して、新規文書を作成するための支援を行う文書作成支援装置及び文書作成支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、文書作成者は、ある事柄に関する文書を作成する際に、事前にその事柄に関して多くの調査を行い、その調査結果である文書の一部分を利用して新規文書を作成している。例えば、日本語文書を外国語文書に翻訳する作業を例に挙げると、文書作成者(翻訳者)は、翻訳元文書(日本語文書)の内容に関して、辞書、過去の翻訳結果、ウェブ(Web)ページ等、多くの情報資源を参照し、その情報資源中にある表現を、翻訳先文書(外国語文書)の表現として利用している(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
従来、このような情報資源の参照は、コンピュータ上において、新規文書の文書作成ツール(エディタ等)とは独立したツールを用いて行われている。例えば、辞書を参照する場合、文書作成者は、電子辞書検索ツールを用いて用語の検索を実行させて、その検索結果の一部分を新規文書の表現として利用している。また、翻訳結果を参照する場合、文書作成者は、翻訳ツールで翻訳を実行させて、その翻訳文の一部分を新規文書の表現として利用している。
【0004】
この検索結果、翻訳結果等の利用方法は、一般に以下のように行われる。例えば、翻訳結果を利用する場合、文書作成者は、翻訳ツールが表示する翻訳結果に利用したい表現が含まれていると判断すると、マウス等によって、その表現(文書部品)を選択、コピーし、文書作成ツールにおいて行われている編集中の翻訳文書中にペーストする。あるいは、文書作成者は、翻訳結果を、文書作成ツールの別ウィンドウ画面にペーストすることで、一時的なメモとして記憶しておき、そのメモの中からいくつかを選択して、編集中の翻訳文書中に文書部品として挿入する。なお、このメモは、コンピュータ外のノート、紙等である場合もある。
このように、従来、文書作成者は、異なるツールによって参考元文書に関連して検索等された結果から、利用可能な文書部品を選択して、新規文書を作成している。
【非特許文献1】熊野正、他、「翻訳用例提示システムの設計・開発・運用」、電子情報通信学会論文誌、Vol.J84 4−D−II、No.6、pp.1175−1184(2001年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の手法では、参照元文書に関連する関連情報を検索する検索ツール等と、新規文書の作成ツール(エディタ等)とは、機能的な関連性を有さない個々に独立したものである。そのため、文書作成者は、検索ツール等の検索結果から、文書部品を利用するために、コピー、ペーストを繰り返す必要があり、操作に手間がかかるという問題がある。
【0006】
また、従来の手法では、検索ツールと、新規文書の作成ツールとが独立しているため、文書作成者は、文書部品が検索結果のどの部分から利用されたものであるのかを対応して認識する手段がなく、文書作成者自らの記憶に頼らなければならない。これは、新規文書が長文になると、文書作成者が、文書部品を利用したか否かを確認することが困難であることを意味する。
そのため、従来の手法では、文書作成者が、文書部品を利用したことを忘れ、再度同一の文書部品を利用して同様の文章を生成したり、あるいは、すでにある文書部品を利用したと誤って判断し、新規文書に当該文書部品を利用した文章の追加を忘れたり、等の作業ミスを発生させる問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、参照元文書から文書作成者が容易に文書部品を利用することを可能にし、さらに、文書部品の利用状態を文書作成者に提示することを可能にすることで文書作成の支援を行う文書作成支援装置及び文書作成支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の文書作成支援装置は、参照元文書から新規文書を作成するための作業を支援する文書作成支援装置であって、参照元文書表示手段と、検索手順記憶手段と、検索手段と、文書部品生成手段と、文書部品記憶手段と、文書部品表示制御手段と、新規文書編集制御手段とを備え、前記文書部品表示制御手段は、部品表示手段と、挿入部品特定手段とを備え、前記新規文書編集制御手段は、新規文書編集手段と、新規文書表示手段と、部品挿入手段とを備える構成とした。
【0009】
かかる構成において、文書作成支援装置は、参照元文書表示手段によって、参照元文書を表示画面上の参照元文書表示領域内に表示する。ここで、参照元文書は、文書作成者が新規文書を作成する際に参照するための文書である。また、文書作成支援装置は、検索手順記憶手段に、参照元文書中の一語以上からなる参照元表現に関連した関連情報を検索する検索手順を予め記憶しておく。
そして、文書作成支援装置は、検索手段によって、検索手順記憶手段に記憶されている検索手順に基づいて関連情報を検索する。この検索手順は、参照元表現に関連した関連情報を検索するものであればその手法は問わないが、例えば、参照元表現をウェブ検索することで、参照元表現に関連する情報を取得してもよいし、対訳辞書を検索することで、参照元表現に関連する訳例を取得することとしてもよい。
【0010】
さらに、文書作成支援装置は、文書部品生成手段によって、検索手段で検索された関連情報中の一語以上からなる表現を、参照元表現に対応する文書部品として抽出して生成し、文書部品記憶手段に記憶する。なお、関連情報から、文書部品を抽出する手法は、関連情報から、参照元表現に対応する表現を自動的に抽出することとしてもよいし、文書作成者によって指定されることとしてもよい。
【0011】
そして、文書作成支援装置は、文書部品表示制御手段によって、文書部品の表示装置への表示制御を行い、新規文書編集制御手段によって、新規文書の編集制御を行う。
また、文書作成支援装置は、文書部品表示制御手段の部品表示手段によって、文書部品を文書部品記憶手段から読み出して、参照元文書表示領域内において、参照元表現に対応付けて表示する。これによって、参照元表現に対応する文書部品が、同一画面上で提示されることになる。
【0012】
そして、文書作成支援編集領域である装置は、文書部品表示制御手段の挿入部品特定手段によって、参照元文書表示領域内に表示された文書部品が入力装置により選択されることで、新規文書に挿入する文書部品を特定する。
また、文書作成支援装置は、新規文書編集制御手段の新規文書表示手段によって、新規文書を、表示画面上の新規文書編集領域内に表示する。
そして、文書作成支援装置は、新規文書編集制御手段の部品挿入手段によって、新規文書編集領域内の任意の位置が入力装置により選択されることで、当該位置に挿入部品特定手段で特定された文書部品を挿入する。これによって、文書部品を新規文書内の部品として利用することが可能になる。
【0013】
また、請求項2に記載の文書作成支援装置は、請求項1に記載の文書作成支援装置において、前記文書部品記憶手段には、前記文書部品毎に、当該文書部品が前記新規文書に挿入されて使用中であるか否かを示す使用状況属性をさらに記憶し、前記部品挿入手段は、前記文書部品を前記新規文書に挿入した段階で、前記使用状況属性を、使用中を示す状態に設定し、前記部品表示手段は、前記使用状況属性で使用中の状態が設定されている文書部品について、使用中を表す文字色等の予め定めた属性で前記文書部品を表示する構成とした。
【0014】
かかる構成において、文書作成支援装置は、文書部品記憶手段に使用状況属性を記憶しておくことで、文書部品が新規文書に挿入(使用)されたことを記憶しておくことができる。これによって、部品表示手段が、文書部品を表示する際に、使用中の文書部品を特定の属性(例えば、固有の色等)で表示することで、使用中の文書部品を視覚化することができる。
【0015】
さらに、請求項3に記載の文書作成支援装置は、請求項2に記載の文書作成支援装置において、前記新規文書編集領域内の文書部品が前記入力装置により選択されることで、当該文書部品を前記新規文書から削除する部品削除手段をさらに備え、前記部品削除手段は、前記文書部品を前記新規文書から削除した段階で、前記使用状況属性を、不使用を示す状態に設定し、前記部品表示手段は、前記使用状況属性で不使用の状態が設定されている文書部品について、不使用を表す文字色等の予め定めた属性で前記文書部品を表示する構成とした。
【0016】
かかる構成において、文書作成支援装置は、新規文書編集領域内の文書部品が選択されると、部品削除手段によって、文書部品を新規文書から削除し、当該文書部品の使用状況属性を、不使用を示す状態に設定する。これによって、部品表示手段が、当該文書部品が使用されていないことを認識することができ、文書部品が使用されていない状態を視覚化することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の文書作成支援装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の文書作成支援装置において、前記文書部品表示制御手段が、前記参照元文書表示領域内の任意の文書部品が前記入力装置により選択されることで、強調表示する文書部品を特定する使用元強調部品特定手段をさらに備え、前記新規文書編集制御手段の新規文書表示手段が、前記使用元強調部品特定手段で特定された文書部品と同一の前記新規文書編集領域内の文書部品を強調表示する構成とした。
【0018】
かかる構成において、文書作成支援装置は、使用元強調部品特定手段によって、参照元文書表示領域内の任意の文書部品が選択されることで、強調表示を行う文書部品を特定する。そして、新規文書編集領域内にその特定された文書部品が存在する場合、新規文書表示手段によって、その文書部品が強調表示されることになる。これによって、参照元文書表示領域内の文書部品が、現在新規文書のどこに利用されているのかを視覚化することができる。
【0019】
さらに、請求項5に記載の文書作成支援装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の文書作成支援装置において、前記新規文書編集制御手段が、前記新規文書編集領域内の任意の文書部品が前記入力装置により選択されることで、強調表示する文書部品を特定する使用先強調部品特定手段をさらに備え、前記文書部品表示制御手段の部品表示手段が、前記使用先強調部品特定手段で特定された文書部品と同一の前記参照元文書表示領域内の文書部品を強調表示する構成とした。
【0020】
かかる構成において、文書作成支援装置は、使用先強調部品特定手段によって、新規文書編集領域内の任意の文書部品が選択されることで、強調表示を行う文書部品を特定する。そして、参照元文書表示領域内にその特定された文書部品が存在する場合、部品表示手段によって、その文書部品が強調表示されることになる。これによって、新規文書編集領域内の文書部品が、参照元文書のどの文書部品を利用したのかを視覚化することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の文書作成支援プログラムは、参照元文書から新規文書を作成するための作業を支援するために、文書作成支援装置のコンピュータを、参照元文書表示手段、検索手段、文書部品生成手段、部品表示手段、挿入部品特定手段、新規文書表示手段、部品挿入手段として機能させる構成とした。
【0022】
かかる構成において、文書作成支援プログラムは、参照元文書表示手段によって、参照元文書を表示画面上の参照元文書表示領域内に表示する。また、文書作成支援プログラムは、検索手段によって、検索手段記憶手段に記憶されている検索手順に基づいて関連情報を検索する。
さらに、文書作成支援プログラムは、文書部品生成手段によって、検索手段で検索された関連情報中の一語以上からなる表現を、参照元文書中の一語以上からなる参照元表現に対応する文書部品として抽出して生成する。
そして、文書作成支援プログラムは、部品表示手段によって、文書部品を、参照元文書表示領域内において、参照元表現に対応付けて表示する。これによって、参照元表現に対応する文書部品が、同一画面上で提示されることになる。
そして、文書作成支援プログラムは、挿入部品特定手段によって、参照元文書表示領域内に表示された文書部品が入力装置により選択されることで、新規文書に挿入する文書部品を特定する。
【0023】
また、文書作成支援プログラムは、新規文書表示手段によって、新規文書を、表示画面上の新規文書編集領域内に表示する。
そして、文書作成支援プログラムは、部品挿入手段によって、新規文書編集領域内の任意の位置が入力装置により選択されることで、当該位置に挿入部品特定手段で特定された文書部品を挿入する。これによって、文書部品を新規文書内の部品として利用することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1又は請求項6に記載の発明によれば、元となる文書(参照元文書)から、新規文書を作成する際に、文書作成者に対して、参照元文書の表現に関連する文書部品を参照元文書に対応付けて提示することができる。これによって、文書作成者は、新規文書を作成する際に、参照元文書に関連する文書部品を有効活用することができる。
また、請求項1又は請求項6に記載の発明によれば、参照元文書の表現に関連する文書部品を、マウス操作等の入力装置の簡単な操作で、新規文書に挿入することができ、新規文書を作成する際の効率を高めることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、新規文書に使用されている文書部品を視覚化することができるため、文書作成者は、文書部品の利用状態を一目で認識することができ、同様の文章を再度作成したり、新規文書に文書部品を利用した文章の追加を忘れたり、等の作業ミスの発生を防止することができる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、新規文書内で、文書部品を削除することで、当該文書部品を使用していない状態に設定することができるため、新規文書内において、文書部品の挿入、削除を自由に行うことができ、新規文書編集の作業効率を高めることができる。
【0027】
請求項4又は請求項5に記載の発明によれば、文書部品が選択されることで、当該文書部品と同一の文字列の文書部品をすべて強調表示することができる。これによって、文書部品毎に、文書部品の利用状況を視覚化することができ、文書作成者は、どの文書部品が、どのように利用されているのかを把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[発明の概要]
まず、図9を参照して、本発明の概要について説明する。図9は、本発明に係る文書作成支援装置の概要を説明するための説明図である。図9では、文書作成支援装置が表示する表示画面の一例を示し、日本語文書(参照元文書)を英語文書(新規文書)に翻訳する際の画面例を示している。
【0029】
図9に示すように、文書作成支援装置は、表示画面20上の主画面21に、参照元文書表示領域22と、新規文書編集領域23とを設けている。参照元文書表示領域22は、文書作成者が新規文書を作成する際に参照する参照元文書を表示するための領域であって、ここでは、日本語文書を表示している。また、新規文書編集領域23は、新規文書を編集するための領域であって、ここでは、翻訳作業中の英語文書を表示している。
【0030】
ここで、文書作成支援装置は、文書作成者によって、参照元文書中の一語以上からなる参照元表現が選択されることで、当該参照元表現に対し、予め定めた検索を実行し、検索結果を表示画面20上にサブ画面24として表示する。ここでは、参照元表現に関し、対訳辞書を検索した検索結果を表示する対訳辞書検索結果画面241、翻訳用例を検索した検索結果を表示する翻訳用例検索結果画面242、ウェブ検索を行った検索結果を表示するウェブ検索結果画面243をサブ画面24として表示している。
【0031】
そして、文書作成支援装置は、これらの検索結果の中から、予め定めた手順により選択された表現又は文書作成者によって選択された表現を、参照元文書表示領域22の参照元表現に対応付けて、新規文書に利用可能な表現となる文書部品として表示する。
例えば、図9では、文書作成支援装置は、参照元表現「建設的な役割を果たす」を翻訳用例検索することで、文書部品「play a constructive role」が、参照元表現「建設的な役割を果たす」に対応付けられたことを表している。このように、文書作成支援装置は、参照元文書221の参照元表現に対して、文書部品222を対応付けて表示する。
【0032】
さらに、文書作成支援装置は、文書作成者が新規文書編集領域23において新規文書を編集中に、参照元文書表示領域22から文書部品を、文書作成者のマウスによるドラッグ&ドロップ操作等を受けて、新規文書に挿入する。例えば、図9では、文書部品「Bush」が、新規文書に挿入された例を示している。
このように、文書作成支援装置は、参照元文書の参照元表現から、新規文書に利用可能な文書部品を検索、表示することで、文書作成者の文書作成を支援する。
以下、本発明に係る文書作成支援装置の構成及び動作について順次説明を行う。
【0033】
[文書作成支援装置の構成]
最初に、図1を参照して、本発明に係る文書作成支援装置の構成について説明する。図1は、本発明に係る文書作成支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0034】
文書作成支援装置1は、文書作成者が、参照元文書を参照して、新規文書を作成するための作業を支援するものである。ここでは、文書作成支援装置1は、参照元文書記憶手段10と、参照元文書表示制御手段11と、検索手順記憶手段12と、検索・文書部品生成手段13と、文書部品記憶手段14と、文書部品表示制御手段15と、新規文書編集制御手段16と、新規文書記憶手段17とを備えている。なお、文書作成支援装置1は、液晶モニタ等の表示装置2、マウス、キーボード等の入力装置3を外部に接続している。
【0035】
参照元文書記憶手段10は、文書作成者が新規文書を作成する際に参照する参照元の文書(参照元文書)を記憶するものであって、ハードディスク等の一般的な記憶手段である。この参照元文書記憶手段10には、複数の参照元文書を予め記憶しておくこととしてもよいし、ネットワーク4を介して参照元文書を取得し記憶することとしてもよいし、光学式文字読み取り装置(OCR:Optical Character Reader)5が出力する参照元文書を入力し記憶することとしてもよいし、光ディスク等の他の記録媒体6から参照元文書を読み出して記憶することとしてもよい。
【0036】
参照元文書表示制御手段11は、参照元文書の表示装置2への表示を制御するものである。なお、参照元文書表示制御手段11は、文書作成者が、参照元文書中で検索を希望する一語以上からなる表現(参照元表現)を指定する機能を有している。
【0037】
ここで、図2を参照して、参照元文書表示制御手段11の構成について具体的に説明する。図2は、参照元文書表示制御手段の詳細な機能ブロック図である。図2に示すように、参照元文書表示制御手段11は、参照元文書表示手段11aと、検索表現特定手段11bとを備えている。
【0038】
参照元文書表示手段11aは、参照元文書記憶手段10から参照元文書を読み出して、表示装置2に表示するものである。なお、参照元文書が複数存在する場合は、文書作成者が、マウス等の入力装置3を用いて、参照元文書を指定することとする。
【0039】
検索表現特定手段11bは、表示装置2に表示された参照元文書に対し、文書作成者が検索を希望する参照元表現を特定するものである。ここでは、検索表現特定手段11bは、入力装置3を介して、表示装置2に表示された参照元文書中の一語以上からなる参照元表現が選択されると、参照元文書の参照元表現の位置に、検索表現の属性(検索表現属性)を付加した属性付き参照元文書を生成する。なお、この検索表現属性とは、当該参照元表現が検索表現であることを示す固有の識別子、参照元文書における位置、文字数等を示す情報である。この検索表現特定手段11bで生成された属性付き参照元文書は、検索・文書部品生成手段13に出力される。
図1に戻って、文書作成支援装置1の全体構成について説明を続ける。
【0040】
検索手順記憶手段12は、参照元文書中の一語以上からなる参照元表現に関連した関連情報を検索する検索手順を予め記憶しておくものであって、ハードディスク等の一般的な記憶手段である。ここでは、検索手順として、検索手順を実行する検索インスタンスを生成するための雛形を記憶しておくこととする。なお、検索インスタンスとは、検索を実行するための一連の動作実体を示すものであって、例えば、オブジェクト指向言語におけるオブジェクトの実体である。
ここで、検索手順記憶手段12には、以下の(手順1)〜(手順5)に示す検索インスタンスの雛形を記憶しておく。
【0041】
(手順1)参照元文書記憶手段10又は参照元文書表示制御手段11から文書(参照元文書又は属性付き参照元文書)を取得する。
(手順2)手順1で取得した文書から、情報資源への検索要求を生成する。ここで、情報資源とは、検索を行うための情報の提供元であって、対訳辞書、翻訳用例集、ウェブサイト等である。
例えば、ウェブサイトによって検索(ウェブ検索)を実行する場合であれば、参照元文書から固有表現を抽出したり、属性付き参照元文書から検索表現属性が付与されている参照元表現を抽出したりすることで、検索用のキーワードを生成し、当該キーワードをウェブ検索エンジンに検索を実行させるURL(Uniform Resource Locator)を検索要求として生成する。
【0042】
(手順3)手順2で生成された検索要求を実行(例えば、ウェブ検索の場合は、手順2で生成したURLにアクセス)し、検索結果を取得し記憶する。
(手順4)手順3の検索結果を表示装置2に表示する。
(手順5)文書部品を生成する。なお、手順3で検索された検索結果がすでに文書部品となる場合(例えば、翻訳結果等)は、この手順5を実行しない場合がある。
この手順1〜5に示すような検索インスタンスの雛形は、検索・文書部品生成手段13によって読み出され利用される。
【0043】
なお、検索手順記憶手段12には、複数種類(n種類:n≧1)の検索手順Ti(1≦Ti≦n)を記憶してもよい。ここでは、検索手順の一例として、対訳辞書で検索を行う対訳辞書検索、過去に翻訳された翻訳用例集で検索を行う翻訳用例検索、ウェブサイトで検索を行うウェブ検索の手順を検索手順記憶手段12に記憶しておくこととする。
【0044】
検索・文書部品生成手段13は、参照元文書又は属性付き参照元文書から、参照元文書中の一語以上からなる参照元表現に関連した関連情報を検索し、文書部品を生成するものである。この検索・文書部品生成手段13で生成された文書部品は、文書部品記憶手段14に記憶され、記憶された旨が文書部品表示制御手段15に通知される。
【0045】
ここで、図3を参照して、検索・文書部品生成手段13の構成について具体的に説明する。図3は、検索・文書部品生成手段の詳細な機能ブロック図である。図3に示すように、検索・文書部品生成手段13は、検索インスタンス生成手段13aと、検索インスタンス実行・管理手段13bと、検索結果記憶手段13cと、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dと、文書部品生成手段13eとを備えている。
【0046】
検索インスタンス生成手段13aは、検索手順記憶手段12に記憶されている検索手順の雛形に基づいて、参照元文書記憶手段10に記憶されている参照元文書又は参照元文書表示制御手段11の検索表現特定手段11b(図2)で生成された属性付き参照元文書から、検索インスタンスを生成するものである。
ここで、検索手順記憶手段12に、n種類(n≧1)の検索手順Ti(1≦Ti≦n)が雛形として記憶されているとすると、検索インスタンス生成手段13aは、文書(参照元文書又は属性付き参照元文書)Dと、検索手順Tiとの組[D,Ti]のn個の検索インスタンスを生成する。
【0047】
例えば、検索手順記憶手段12に、対訳辞書検索、翻訳用例検索、ウェブ検索の3種類の検索手順に対する雛形が記憶されているとすると、検索インスタンス生成手段13aは、「“文書D”を処理して対訳辞書検索を実行する検索インスタンス」、「“文書D”を処理して翻訳用例検索を実行する検索インスタンス」及び「“文書D”を処理してウェブ検索を実行する検索インスタンス」の3個の検索インスタンスを生成する。
【0048】
また、検索手順記憶手段12に、他の文書D´を処理対象とする場合、前記した3個のインスタンスとは別に、新たに「“文書D´”を処理して対訳辞書検索を実行する検索インスタンス」、「“文書D´”を処理して翻訳用例検索を実行する検索インスタンス」及び「“文書D´”を処理してウェブ検索を実行する検索インスタンス」の3個の検索インスタンスを生成する。
このように生成された検索インスタンスは、検索インスタンス実行・管理手段13bに出力される。
【0049】
検索インスタンス実行・管理手段(検索手段)13bは、検索インスタンス生成手段13aで生成された検索インスタンスを管理し、実行させるものである。ここでは、検索インスタンス実行・管理手段13bは、検索インスタンスを実行させることで、表示装置2に検索結果を表示させ、当該検索結果を検索結果記憶手段13cに記憶させる。
また、検索インスタンス実行・管理手段13bは、検索インスタンスの実行後、検索結果表示制御・文書部品生成手段13d又は文書部品生成手段13eを動作させ、文書部品を取得する。検索結果表示制御・文書部品生成手段13d又は文書部品生成手段13eから取得した文書部品は、文書部品記憶手段14に記憶される。なお、検索インスタンス実行・管理手段13bは、文書部品を文書部品記憶手段14に記憶した段階で、文書部品表示制御手段15にその旨を通知する。
【0050】
検索結果記憶手段13cは、検索インスタンス実行・管理手段13bで検索インスタンスが実行されることで取得された関連情報を検索結果として記憶するものであって、ハードディスク等の一般的な記憶手段である。
【0051】
検索結果表示制御・文書部品生成手段13dは、検索結果の表示装置2への表示を制御し、当該検索結果から文書部品を生成するものである。ここでは、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dは、検索結果記憶手段13cに記憶されている検索結果を、表示装置2の画面上に検索結果表示画面(図9の対訳辞書検索結果画面241等)として表示する。また、ここでは、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dは、検索結果表示画面において、文書作成者によってマウス等の入力装置3を介して、検索結果中の任意の一語以上からなる表現が選択されることで、当該「表現」を文書部品として生成する機能を有する。ここで生成された文書部品は、検索インスタンス実行・管理手段13bを介して、文書部品記憶手段14に記憶される。
【0052】
文書部品生成手段13eは、検索結果記憶手段13cに記憶されている検索結果から、文書部品を生成するものである。この文書部品生成手段13eは、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dとは異なり、文書作成者の操作を伴わずに文書部品を生成する。
この検索結果から文書部品を生成する手法は、特に限定するものではないが、例えば、対訳辞書検索の検索結果の中から、めずらしい訳語(予め定めた出現頻度よりも、出現頻度が低い訳語)を文書部品とする。また、例えば、参照元文書が、検索表現属性を付加した属性付き参照元文書である場合、翻訳用例検索の検索結果の中から、検索表現属性が付与されている「表現」に対応する対訳にあたる部分を文書部品とする。
【0053】
なお、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dや文書部品生成手段13eが生成する文書部品は、1つの参照元表現に対して1つとする。ここでは、1つの検索インスタンスが複数の文書部品(例えば、複数の翻訳候補)を生成する場合、あるいは、1つの参照元表現に複数の検索インスタンスが別々に文書部品を生成する場合、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dや文書部品生成手段13eは、予め定めた手順に従って、1つの文書部品を選択することとする。例えば、複数の文書部品が生成される場合は、最初に生成された文書部品を採用する。また、複数の検索インスタンスが文書部品を生成する場合は、予め検索インスタンスに優先順位を設定しておき、最も優先順位の高い検索インスタンスが生成する文書部品を採用する。
このように、検索・文書部品生成手段13を構成することで、参照元文書から、文書作成者が利用可能は文書部品を生成することができる。
図1に戻って、文書作成支援装置1の全体構成について説明を続ける。
【0054】
文書部品記憶手段14は、検索・文書部品生成手段13で検索(生成)された文書部品を、参照元表現に対応付けて記憶するものであって、ハードディスク等の一般的な記憶手段である。
ここで、文書部品記憶手段14には、参照元文書の「表現(Es)」(参照元表現)に対応付けて、当該文書部品を生成した検索インスタンスの識別子(S)、検索インスタンスSによる検索結果(I)、文書部品となる検索結果中の「表現(Et)」及び文書部品の使用状況属性U等を記憶しておく。なお、使用状況属性Uは、当該文書部品が新規文書に使用(挿入)されているか否かを示すフラグである。この使用状況属性Uの詳細については後で説明する。
【0055】
文書部品表示制御手段15は、検索・文書部品生成手段13で検索・生成された文書部品の表示装置2への表示を制御するものである。ここでは、文書部品表示制御手段15は、文書部品を参照元表現と対応付けて、表示装置2の表示画面上の予め定めた領域(参照元文書表示領域22〔図9参照〕)に表示させることで、文書作成者が新規文書を作成する際に利用する部品として文書部品を提供する。
【0056】
ここで、図4を参照して、文書部品表示制御手段15の構成について具体的に説明する。図4は、文書部品表示制御手段の詳細な機能ブロック図である。図4に示すように、文書部品表示制御手段15は、部品表示手段15aと、挿入部品特定手段15bと、強調部品特定手段15cとを備えている。
【0057】
部品表示手段(部品強調手段)15aは、文書部品を文書部品記憶手段14から読み出して、表示装置2の表示画面上の領域(参照元文書表示領域)に、参照元表現に対応付けて表示するものである。これによって、文書作成者は、参照元文書のどの表現(参照元表現)にどの文書部品が対応するのかを視認することができる。なお、部品表示手段15aは、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品に対応して記憶されている使用状況属性が、新規文書において使用されていることを示す「使用中」である場合、文書部品の文字を、未使用の文書部品と区別可能な表示方法(予め定めた文字色等の属性)で表示する。例えば、部品表示手段15aは、文書部品が「使用中」である場合、未使用の文書部品と異なる色等の属性で文書部品の文字列を表示する。
【0058】
なお、部品表示手段15aは、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品に対応して記憶されている使用状況属性に変化があった段階で、表示の更新を行うものとする。
また、部品表示手段15aは、強調部品特定手段15c又は新規文書編集制御手段16から、文書部品を指定されて強調表示の指示が通知された場合、表示画面上の参照元文書表示領域内における当該文書部品と同一のすべての文書部品について、強調表示を行う。この強調表示は、例えば、「使用中」又は「未使用」の際に表示される文書部品とは異なる色等とする。
【0059】
挿入部品特定手段15bは、マウス等の入力装置3を介して、部品表示手段15aが表示した文書部品が選択されることで、新規文書に挿入する文書部品を特定するものである。また、挿入部品特定手段15bは、特定された文書部品を、新規文書編集制御手段16に通知する。なお、挿入部品特定手段15bは、文書部品の文字列のデータを新規文書編集制御手段16に通知こととしてもよいし、文書部品記憶手段14に予め文書部品に固有の識別子を付与しておき、当該識別子を新規文書編集制御手段16に通知することとしてもよい。
これによって、文書作成者が選択した文書部品が、新規文書編集制御手段16において、新規文書に挿入されることになる。
【0060】
強調部品特定手段(使用元強調部品特定手段)15cは、マウス等の入力装置3を介して、部品表示手段15aが表示した文書部品が選択されることで、強調表示させる文書部品を特定するものである。また、強調部品特定手段15cは、特定された文書部品を、部品表示手段15aに通知する。
また、ここでは、新規文書に挿入された文書部品についても同一の強調表示を行わせるため、強調部品特定手段15cは、特定された文書部品を、新規文書編集制御手段16にも通知する。これによって、参照元文書と新規文書との間で、文書部品がどのように利用されているのかを文書作成者に提示することができる。
なお、挿入部品特定手段15bにおける文書部品の選択方法と、強調部品特定手段15cにおける文書部品の選択方法は、予め定めた異なる方法で行うこととする。例えば、一方をマウスのシングルクリック、他方をマウスのダブルクリックにより選択する。
図1に戻って、文書作成支援装置1の全体構成について説明を続ける。
【0061】
新規文書編集制御手段16は、新規文書の編集制御を行うものである。ここでは、新規文書編集制御手段16は、表示装置2の表示画面上の予め定めた領域(新規文書編集領域23〔図9参照〕)において、新規文書を編集するための制御を行う。これによって、文書作成者は、文書部品表示制御手段15が表示画面の参照元文書表示領域において提供する文書部品を利用して、新規文書を生成することができる。
【0062】
ここで、図5を参照して、新規文書編集制御手段16の構成について具体的に説明する。図5は、新規文書編集制御手段の詳細な機能ブロック図である。図5に示すように、新規文書編集制御手段16は、新規文書表示手段16aと、新規文書編集手段16bと、部品挿入手段16cと、強調部品特定手段16dと、部品削除手段16eとを備えている。
【0063】
新規文書表示手段(部品強調手段)16aは、表示装置2の表示画面上の領域(新規文書編集領域)に、新規文書を表示するものである。なお、新規文書表示手段16aは、すでに編集中の文書に対して編集を行う場合、新規文書記憶手段17から、新規文書(以前に編集した文書)を読み出して表示装置2に表示する。
【0064】
また、新規文書表示手段16aは、新規文書に文書部品が挿入されている場合、その文書部品を新規文書内の他の文字列と区別可能な表示方法(予め定めた文字色等の属性)で表示する。例えば、新規文書表示手段16aは、文書部品を、新規文書内の文書部品以外である他の文字列と異なる色等の属性で表示する。
【0065】
また、新規文書表示手段16aは、強調部品特定手段16d又は文書部品表示制御手段15から、文書部品を指定されて強調表示の指示が通知された場合、表示画面上の新規文書編集領域内における当該文書部品と同一のすべての文書部品について強調表示を行う。この強調表示は、文書部品であることを示す表示とは異なる色等とする。
【0066】
新規文書編集手段16bは、新規文書を編集するものであって、キーボード等の入力装置3によって、文字の挿入、削除等を行うエディタとして機能する。この新規文書編集手段16bは、編集結果を逐次新規文書記憶手段17に記憶する。
【0067】
部品挿入手段16cは、マウス、キーボード等の入力装置3によって指定された新規文書編集領域における新規文書内の位置に、文書部品表示制御手段15の挿入部品特定手段15b(図4)で特定された文書部品を挿入するものである。なお、部品挿入手段16cは、挿入した文書部品を、文書部品であることを特定する固有の識別子等を付与して新規文書記憶手段17に記憶する。また、部品挿入手段16cは、文書部品が挿入された旨を、新規文書表示手段16aに通知することで、当該文書部品を、新規文書内の文書部品以外である他の文字列と異なる色等で表示させる。
【0068】
また、部品挿入手段16cは、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品の使用状況属性を「使用中」に設定する。その後、部品表示手段15a(図4)によって、参照元文書表示領域に表示されている文書部品が、「使用中」を示す表示となるため、文書作成者は、どの文書部品が使用され、新規文書のどの位置に挿入されているのかを視認することができる。
【0069】
強調部品特定手段(使用先強調部品特定手段)16dは、マウス等の入力装置3を介して、新規文書表示手段16aが表示した文書部品が選択されることで、強調表示させる文書部品を特定するものである。また、強調部品特定手段16dは、特定された文書部品を、新規文書表示手段16aに通知する。
また、ここでは、参照元文書表示領域における文書部品についても同一の強調表示を行わせるため、強調部品特定手段16dは、特定された文書部品を、文書部品表示制御手段15にも通知する。これによって、参照元文書と新規文書との間で、文書部品がどのように利用されているのかを文書作成者に提示することができる。
【0070】
部品削除手段16eは、新規文書内に挿入された文書部品を、マウス、キーボード等の入力装置3によって指定されることで、新規文書から文書部品を削除するものである。このとき、部品削除手段16eは、新規文書記憶手段17に記憶されている新規文書から文書部品を削除し、併せて、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品の使用状況属性を「未使用」に設定する。その後、部品表示手段15a(図4)によって、参照元文書表示領域に表示されている文書部品が、「未使用」を示す表示(元の表示)となるため、文書作成者は、文書部品が使用されていないことを視認することができる。
【0071】
なお、ここでは、新規文書内で文書部品を削除した段階で、当該文書部品を「未使用」とすることとしたが、本動作はこれに限定されるものではない。例えば、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品の使用状況属性に、「使用中」に設定された回数を保持することとし、新規文書内で文書部品を削除した段階でその回数を減じ、回数が“0”になった段階で、「未使用」に設定することとしてもよい。
図1に戻って、文書作成支援装置1の全体構成について説明を続ける。
【0072】
新規文書記憶手段17は、文書作成者が作成する新規文書を記憶するものであって、ハードディスク等の一般的な記憶手段である。
ここでは、新規文書記憶手段17には、新規文書編集手段16b(図5)によって編集された新規文書が記憶される。なお、新規文書記憶手段17に記憶される新規文書は、部品挿入手段16c(図5)によって、新規文書内に固有の識別子等が付与された文書部品が挿入される。また、新規文書記憶手段17に記憶される新規文書は、部品削除手段16e(図5)によって、新規文書から文書部品が削除される。
【0073】
以上説明したように文書作成支援装置1を構成することで、文書作成支援装置1は、文書作成者に対して、参照元文書から新規文書に利用することが可能な「表現」を文書部品として提示し、新規文書を作成する作業効率を高めることができる。
【0074】
また、文書作成支援装置1は、文書作成者に対して、どの文書部品を新規文書に利用したのかを視認させることができる。これによって、文書作成支援装置1は、参照元文書の文書部品を何度も利用して、同一文書内で、冗長な文章を作成することを防止することができる。また、新規文書に文書部品を利用した文章の追加を忘れることを防止することができる。
なお、文書作成支援装置1は、一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させるプログラム(文書作成支援プログラム)により動作させることで実現することができる。
【0075】
[文書作成支援装置の動作]
次に、本発明に係る文書作成支援装置の動作について説明する。なお、ここでは、主に、参照元文書から文書部品を生成、表示するまでの動作(文書部品表示動作)と、新規文書に対して文書部品を挿入又は削除する動作(文書部品挿入・削除動作)と、使用している文書部品を強調表示させる動作(文書部品強調表示動作)とを説明することとする。
【0076】
(文書部品表示動作)
最初に、図6を参照(構成については、適宜図1〜図5参照)して、文書作成支援装置1において、参照元文書から文書部品を生成、表示するまでの動作について説明する。図6は、文書作成支援装置の文書部品表示動作を示すフローチャートである。
【0077】
まず、文書作成支援装置1は、参照元文書表示制御手段11の参照元文書表示手段11aによって、参照元文書記憶手段10から参照元文書を読み出して、表示装置2に表示する(ステップS10)。そして、文書作成支援装置1は、検索表現特定手段11bによって、入力装置3を介して、文書作成者から表示装置2に表示された参照元文書中の一語以上からなる参照元表現が選択されることで、参照元表現の位置に、検索表現の属性(検索表現属性)を付加した属性付き参照元文書を生成する(ステップS11)。
【0078】
その後、文書作成支援装置1は、検索・文書部品生成手段13の検索インスタンス生成手段13aによって、検索手順記憶手段12に記憶されている検索手順の雛形を参照して、ステップS11で生成された属性付き参照元文書から、検索インスタンスを生成する(ステップS12)。そして、文書作成支援装置1は、検索インスタンス実行・管理手段13bによって、検索インスタンスを実行させることで、参照元表現に関して、情報資源(対訳辞書等)への検索を実行し、検索結果を検索結果記憶手段13cに記憶する(ステップ13)。
【0079】
なお、ここでは、ステップS11からステップS13において、文書作成者によって指定された参照元表現の位置に属性を付加した属性付き参照元文書に基づいて、その参照元表現に関連する情報を検索したが、文書作成支援装置1は、文書作成者の指定によらず、参照元文書から固有表現等の「表現」を予め定められた手順によって抽出し、その「表現」に関連する情報を検索することとしてもよい。
【0080】
そして、文書作成支援装置1は、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dによって、ステップS13で検索された検索結果を表示装置2の画面上に検索結果表示画面として表示する(ステップS14)。
そして、文書作成支援装置1は、検索結果表示制御・文書部品生成手段13dによって、入力装置3を介して、文書作成者から検索結果中の任意の「表現」が選択されることで、当該「表現」を文書部品として生成し、文書部品記憶手段14に記憶する(ステップS15)。
【0081】
なお、ここでは、文書作成者によって指定された検索結果中の「表現」を文書部品としたが、文書作成支援装置1は、文書部品生成手段13eによって、文書作成者の操作によらず、文書部品を生成することとしてもよい。例えば、検索結果の中から、めずらしい訳語(予め定めた出現頻度よりも、出現頻度が低い訳語)を、文書部品とする。
その後、文書作成支援装置1は、文書部品表示制御手段15の部品表示手段15aによって、ステップS15で生成された文書部品を、参照元文書の参照元表現に対応付けて表示する(ステップS16)。
【0082】
以上の動作によって、文書作成支援装置1は、文書作成者が参照するための参照元文書を表示装置2に表示するとともに、関連する文書部品を参照元文書に対応付けて表示装置2に表示することができる。これによって、文書作成支援装置1は、文書作成者が新規文書を作成する際に利用可能な「表現」(文書部品)を表示装置2に表示し、文書作成のための支援を行うことができる。
【0083】
(文書部品挿入・削除動作)
次に、図7を参照(構成については、適宜図1〜図5参照)して、文書作成支援装置1において、新規文書に対して文書部品を挿入又は削除する動作について説明する。図7は、文書作成支援装置の文書部品挿入・削除動作を示すフローチャートである。
【0084】
まず、文書作成支援装置1は、文書部品表示制御手段15及び新規文書編集制御手段16のそれぞれにおいて、文書作成者が入力装置3によって選択された領域を判定する(ステップS20)。
そして、選択された領域が、参照元文書表示領域である場合(ステップS20で「参照元文書」)、文書作成支援装置1は、文書部品表示制御手段15の挿入部品特定手段15bによって、マウス等によって指示された位置に基づいて、新規文書に挿入する文書部品を特定する(ステップS21)。
【0085】
その後、文書作成支援装置1は、新規文書編集制御手段16の部品挿入手段16cによって、文書作成者が新規文書編集領域内で指定した位置を、文書部品の挿入先として特定する(ステップS22)。そして、文書作成支援装置1は、部品挿入手段16cによって、新規文書内に文書部品を挿入し(ステップS23)、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品の使用状況属性を「使用中」に設定する(ステップS24)。
そして、文書作成支援装置1は、新規文書表示手段16aによって、当該文書部品を特定の色(予め定めた文書部品固有の色)等で表示する(ステップS25)。
【0086】
さらに、文書作成支援装置1は、文書部品表示制御手段15の部品表示手段15aによって、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品の使用状況属性を参照して、参照元文書表示領域内の文書部品を、使用中の有無を示す表示方法で表示する(ステップS26)。なお、ここでは、部品表示手段15aは、「使用中」に設定された文書部品を、使用中を示す特定の色(予め定めた固有の色)等で表示する。
【0087】
一方、ステップS20において選択された領域が、新規文書編集領域である場合(ステップS20で「新規文書」)、文書作成支援装置1は、新規文書編集制御手段16の部品削除手段16eによって、マウス等によって指示された位置に基づいて、新規文書から削除する文書部品を特定する(ステップS27)。
【0088】
そして、文書作成支援装置1は、部品削除手段16eによって、新規文書からステップS27で特定された文書部品を削除し(ステップS28)、文書部品記憶手段14に記憶されている文書部品の使用状況属性を「未使用」に設定する(ステップS29)。
そして、文書作成支援装置1は、ステップS26に動作を進める。なお、このステップS26においては、部品表示手段15aは、「未使用」に設定された文書部品を、未使用中を示す色等で表示する。
以上の動作によって、文書作成支援装置1は、参照元文書に関連する文書部品の使用状況を、文書作成者に提示することができる。
【0089】
(文書部品強調表示動作)
次に、図8を参照(構成については、適宜図1〜図5参照)して、文書作成支援装置1において、使用している文書部品を強調表示させる動作について説明する。図8は、文書作成支援装置の文書部品強調表示動作を示すフローチャートである。
【0090】
まず、文書作成支援装置1は、文書部品表示制御手段15及び新規文書編集制御手段16のそれぞれにおいて、文書作成者が入力装置3によって選択された領域を判定する(ステップS30)。
そして、選択された領域が、参照元文書表示領域である場合(ステップS30で「参照元文書」)、文書作成支援装置1は、文書部品表示制御手段15の強調部品特定手段15cによって、マウス等によって指示された位置に基づいて、強調表示させる文書部品を特定する(ステップS31)。
【0091】
そして、文書作成支援装置1は、文書部品表示制御手段15の部品表示手段15aによって、参照元文書表示領域内において、ステップS31で特定された文書部品と同一の文字列となるすべての文書部品について強調表示を行う(ステップS32)。
さらに、文書作成支援装置1は、強調部品特定手段15cから、新規文書編集制御手段16の新規文書表示手段16aに対して、文書部品を指定されて強調表示の指示が通知されることで、新規文書表示手段16aが、新規文書編集領域内において、通知された文書部品と同一の文字列となるすべての文書部品について強調表示を行う(ステップS33)。
【0092】
一方、ステップS30において選択された領域が、新規文書編集領域である場合(ステップS30で「新規文書」)、文書作成支援装置1は、新規文書編集制御手段16の強調部品特定手段16dによって、マウス等によって指示された位置に基づいて、強調表示させる文書部品を特定する(ステップS34)。
そして、文書作成支援装置1は、新規文書編集制御手段16の新規文書表示手段16aによって、新規文書編集領域内において、ステップS34で特定された文書部品と同一の文字列となるすべての文書部品について強調表示を行う(ステップS35)。
【0093】
さらに、文書作成支援装置1は、強調部品特定手段16dから、文書部品表示制御手段15の部品表示手段15aに対して、文書部品を指定されて強調表示の指示が通知されることで、部品表示手段15aが、参照元文書表示領域内において、通知された文書部品と同一の文字列となるすべての文書部品について強調表示を行う(ステップS36)。
【0094】
以上の動作によって、文書作成支援装置1は、文書部品を指定されることで、同一の文書部品が、新規文書編集領域においてどのように利用され、参照元文書表示領域内においてどれだけ利用されたかを、文書作成者に視覚的に提示することができる。
【0095】
以上説明したように、文書作成支援装置1は、文書作成者に対して、参照元文書を参照して新規文書を作成する際に、種々の支援を行うことができる。これによって、文書作成支援装置1は、例えば、文書作成者が、参照元文書の文書部品を利用したことを忘れ、再度同様の文章を、参照元文書の文書部品を利用して生成したり、あるいは、すでにある文書部品を利用したと誤って判断し、新規文書に当該文書部品を利用した文章の追加を忘れたり、等の作業ミスを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る文書作成支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明に係る文書作成支援装置の参照元文書表示制御手段の詳細な機能ブロック図である。
【図3】本発明に係る文書作成支援装置の検索・文書部品生成手段の詳細な機能ブロック図である。
【図4】本発明に係る文書作成支援装置の文書部品表示制御手段の詳細な機能ブロック図である。
【図5】本発明に係る文書作成支援装置の新規文書編集制御手段の詳細な機能ブロック図である。
【図6】本発明に係る文書作成支援装置の文書部品表示動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る文書作成支援装置の新規文書編集動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る文書作成支援装置の文書部品強調表示動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る文書作成支援装置の概要を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1 文書作成支援装置
10 参照元文書記憶装置
11 参照元文書表示制御手段
11a 参照元文書表示手段
11b 検索表現特定手段
12 検索手順記憶手段
13 検索・文書部品生成手段
13a 検索インスタンス生成手段
13b 検索インスタンス実行・管理手段(検索手段)
13c 検索結果記憶手段
13d 検索結果表示制御・文書部品生成手段(文書部品生成手段)
13e 文書部品生成手段
14 文書部品記憶手段
15 文書部品表示制御手段
15a 部品表示手段(部品強調手段)
15b 挿入部品特定手段
15c 強調部品特定手段(使用元強調部品特定手段)
16 新規文書編集制御手段
16a 新規文書表示手段(部品強調手段)
16b 新規文書編集手段
16c 部品挿入手段
16d 強調部品特定手段(使用先強調部品特定手段)
16e 部品削除手段
17 新規文書記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照元文書から新規文書を作成するための作業を支援する文書作成支援装置であって、
前記参照元文書を表示画面上の参照元文書表示領域内に表示する参照元文書表示手段と、
前記参照元文書中の一語以上からなる参照元表現に関連した関連情報を検索する検索手順を予め記憶した検索手順記憶手段と、
この検索手順記憶手段に記憶されている検索手順に基づいて、前記関連情報を検索する検索手段と、
この検索手段で検索された関連情報中の一語以上からなる表現を、前記参照元表現に対応する文書部品として抽出して生成する文書部品生成手段と、
この文書部品生成手段で生成された文書部品を記憶する文書部品記憶手段と、
前記文書部品の表示制御を行う文書部品表示制御手段と、
前記新規文書の編集制御を行う新規文書編集制御手段と、を備え、
前記文書部品表示制御手段は、
前記文書部品を前記文書部品記憶手段から読み出して、前記参照元文書表示領域内において、前記参照元表現に対応付けて表示する部品表示手段と、
前記参照元文書表示領域内に表示された文書部品が入力装置により選択されることで、前記新規文書に挿入する文書部品を特定する挿入部品特定手段と、を備え、
前記新規文書編集制御手段は、
前記新規文書を、前記表示画面上の編集領域である新規文書編集領域内に表示する新規文書表示手段と、
前記新規文書編集領域内の任意の位置が前記入力装置により選択されることで、当該位置に前記挿入部品特定手段で特定された文書部品を挿入する部品挿入手段と、
を備えることを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項2】
前記文書部品記憶手段には、前記文書部品毎に、当該文書部品が前記新規文書に挿入されて使用中であるか否かを示す使用状況属性をさらに記憶し、
前記部品挿入手段は、前記文書部品を前記新規文書に挿入した段階で、前記使用状況属性を、使用中を示す状態に設定し、
前記部品表示手段は、前記使用状況属性で使用中の状態が設定されている文書部品について、使用中を表す文字色等の予め定めた属性で前記文書部品を表示することを特徴とする請求項1に記載の文書作成支援装置。
【請求項3】
前記新規文書編集領域内の文書部品が前記入力装置により選択されることで、当該文書部品を前記新規文書から削除する部品削除手段をさらに備え、
前記部品削除手段は、前記文書部品を前記新規文書から削除した段階で、前記使用状況属性を、不使用を示す状態に設定し、
前記部品表示手段は、前記使用状況属性で不使用の状態が設定されている文書部品について、不使用を表す文字色等の予め定めた属性で前記文書部品を表示することを特徴とする請求項2に記載の文書作成支援装置。
【請求項4】
前記文書部品表示制御手段は、
前記参照元文書表示領域内の任意の文書部品が前記入力装置により選択されることで、強調表示する文書部品を特定する使用元強調部品特定手段をさらに備え、
前記新規文書編集制御手段の新規文書表示手段が、
前記使用元強調部品特定手段で特定された文書部品と同一の前記新規文書編集領域内の文書部品を強調表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の文書作成支援装置。
【請求項5】
前記新規文書編集制御手段は、
前記新規文書編集領域内の任意の文書部品が前記入力装置により選択されることで、強調表示する文書部品を特定する使用先強調部品特定手段をさらに備え、
前記文書部品表示制御手段の部品表示手段が、
前記使用先強調部品特定手段で特定された文書部品と同一の前記参照元文書表示領域内の文書部品を強調表示することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の文書作成支援装置。
【請求項6】
参照元文書から新規文書を作成するための作業を支援するために、文書作成支援装置のコンピュータを、
前記参照元文書を表示画面上の参照元文書表示領域内に表示する参照元文書表示手段、
前記参照元文書中の一語以上からなる参照元表現に関連した関連情報を検索する検索手順を予め記憶した検索手順記憶手段に記憶されている前記検索手順に基づいて、前記関連情報を検索する検索手段、
この検索手段で検索された関連情報中の一語以上からなる表現を、前記参照元表現に対応する文書部品として抽出して生成する文書部品生成手段、
この文書部品生成手段で生成された文書部品を、前記参照元文書表示領域内において、前記参照元表現に対応付けて表示する部品表示手段、
前記参照元文書表示領域内に表示された文書部品が入力装置により選択されることで、前記新規文書に挿入する文書部品を特定する挿入部品特定手段、
前記新規文書を、前記表示画面上の編集領域である新規文書編集領域内に表示する新規文書表示手段、
前記新規文書編集領域内の任意の位置が前記入力装置により選択されることで、当該位置に前記挿入部品特定手段で特定された文書部品を挿入する部品挿入手段、
として機能させることを特徴とする文書作成支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−233952(P2008−233952A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68026(P2007−68026)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】