説明

断熱パネル及び断熱パネルの接続構造

【課題】建造物の内装用、例えばクリーンルームや食品製造工場などの内装用として好適な、断熱用の壁や天井あるいは断熱用間仕切りの施工に使用され、接続部材の形状が簡便で、接続部分の強度を向上させた断熱パネルを提供すること。
【解決手段】所定間隔を隔てて互いに平行に配設される一対の表面材11と、一対の表面材11で形成される空間部12に充填される断熱芯材13と、断熱芯材13の周縁部13a又は周縁部13aに近接する端部13bに複数形成した接続凹部14と、接続凹部14に装着する接続部材とを備え、接続部材20は、断面視略長方形の板状接続部材21や、断面視略H形の棒状接続部材22などで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の内装用、例えばクリーンルームや食品製造工場などの内装用として好適な、断熱用の壁や天井あるいは断熱用間仕切りの施工に使用される断熱パネル及び断熱パネルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建造物の天井を断熱化するために、断熱材を取り付ける際には、建方現場での省力化によるコスト低減や作業性の工期の短縮化を図るために、断熱材を天井構成材料と組み合せ一体化した天井断熱パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
天井断熱パネルは、特に木造家屋の天井の断熱化を行うためにプラスターボードの面上に、互いに平行な2本の野縁を固定し、その野縁のプラスターボートとの固定面の裏側面に全形がコの字型である吊り具を取り付けるとともに、少なくともその2本の野縁間に断熱材を設けたことを特徴としたものである。
【0004】
この種の天井断熱パネルは、野縁と、プラスターボード及び断熱材により構成された天井面に相当する部分と、吊木の代替部分の吊り具から構成されており、吊り具の上面を桁や梁の上端に係止固定して、桁と梁、もしくは梁と梁に垂下させる事により天井の断熱化工事を行えば良いように構成されている。従って、作業性が改善され、建方現場での省力化や工期短縮によりコストが低減することができるのである。
【0005】
しかし、この種の天井断熱パネルは、桁と梁、もしくは梁と梁に垂下させる事により天井の断熱化工事を行えば良いように構成されているものの、木造家屋の天井の断熱化を行うためのものであり、特にクリーンルームや食品製造工場などの内装用として好適な断熱パネルではない。
【0006】
そこで、断熱用の壁や天井などの施工に用いられる一般的な断熱パネルは、所定間隔を隔てて互いに平行に配設される一対の表面材と、この一対の表面材間の周縁部または周縁部に近接する一方の表面材の端部に装着される接続部材と、この接続部材と一対の表面材とで形成される空間部に充填される発泡断熱芯材とから構成されている。
【0007】
更に、前述のように構成された一般的な断熱パネルにおいて、その接続構造が、工夫され、断熱パネルと断熱パネルとの接続部に不要な空隙ができ、断熱パネルの表面材が凹凸状に不揃いになることを防ぎ、外観的にも接続部の強度的にも良好な仕上がりを得ることができる断熱パネルが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−93117号公報
【特許文献2】特開2008−25108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2に開示された発明は、接続対象となる各断熱パネルにおける接続部材(特許文献2においては、「接続部材」を、「枠部材」と称する。)が同一形状の雌雄兼用型で、その1種類の接続部材を全ての各断熱パネルの接続に共用することが可能であるから、接続部材の製作コストはもとより、その接続部材を使用して構成される断熱パネルの接続構造自体のコストも低減することなどができるものの、接続部材の端部の形状が複雑になるおそれや、接続部分において破損するおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、建造物の内装用、例えばクリーンルームや食品製造工場などの内装用として好適な、断熱用の壁や天井あるいは断熱用間仕切りの施工に使用され、接続部材の形状が簡便で、接続部分の強度を向上させた断熱パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に係る本発明では、断熱パネルであって、所定間隔を隔てて互いに平行に配設される一対の表面材と、一対の表面材で形成される空間部に充填される断熱芯材と、断熱芯材の周縁部又は周縁部に近接する端部に複数形成した接続凹部と、接続凹部に装着する接続部材とを備え、接続部材は、断面視略長方形の板状接続部材により構成していることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る本発明では、断熱パネルであって、所定間隔を隔てて互いに平行に配設される一対の表面材と、一対の表面材で形成される空間部に充填される断熱芯材と、断熱芯材の周縁部又は周縁部に近接する端部に複数形成した接続凹部と、接続凹部に装着する接続部材とを備え、接続部材は、断面視略長方形の板状接続部材と、断面視略H形の棒状接続部材とにより構成していることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る本発明では、請求項1に記載の断熱パネルにおいて、一対の表面材の一側と断熱芯材との間に、フラットバーを設け、取付部材を係止するためのボルト挿通孔を穿設していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る本発明では、請求項2に記載の断熱パネル同士を、対向する端面に形成した接続凹部を突き合わせて、対向する接続凹部中に両端部を嵌入する接続部材により接続する断熱パネルの接続構造であって、接続部材である断面視略H形の棒状接続部材には、断面視略H形の上下方に棒状接続部材の長手方向に形成された溝部に接着剤を凸状に塗布されることにより、断熱パネル同士を接着し、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る本発明では、請求項4に記載の断熱パネルの接続構造において、断面視略H形の上方に棒状接続部材の長手方向に形成された溝部に中心に向かってネジを打設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明によれば、断熱パネルにおいて、接続部材は、断面視略長方形の板状接続部材により構成したので、接続部材の形状は簡便となり、断熱パネル同士を接続凹部を突き合わせた状態で、板状接続部材を介して接続していることから、接続部分の強度を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の本発明によれば、断熱パネルにおいて、接続部材は、断面視略長方形の板状接続部材と、断面視略H形の棒状接続部材とにより構成したので、ともに接続部材の形状は簡便となり、断熱パネル同士を接続凹部を突き合わせた状態で、板状接続部材又は断面視略H形の棒状接続部材を介して接続していることから、接続部分の強度を向上させることができる。
【0017】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1に記載の断熱パネルにおいて、一対の表面材の一側と断熱芯材との間に、フラットバーを設け、取付部材を係止するためのボルト挿通孔を穿設していることから、特に、断熱パネルを用いて建造物の梁や桁から吊下げ状に天井を構築した際に、天井裏に配線などを行う電気工事の作業員が、工具類を持参して天井部分を通行しても、断熱パネルの接続部分において破損するおそれがなく、最短距離で移動することができ、その結果、作業性が向上し、工期を短縮することもできる。
【0018】
請求項4記載の本発明によれば、請求項2に記載の断熱パネル同士を、対向する端面に形成した接続凹部を突き合わせて、対向する接続凹部中に両端部を嵌入する接続部材により接続する断熱パネルの接続構造であって、接続部材である断面視略H形の棒状接続部材には、断面視略H形の上下方に棒状接続部材の長手方向に形成された溝部に接着剤を凸状に塗布されることにより、断熱パネル同士を、接着剤を介して接着することから、接続部材の位置や姿勢を高精度に維持し、確実に全面密着させて凹凸嵌合させることができる。その結果、接続部分に不要な空隙の形成を防ぎ、外観的にも接続強度的にも良好な仕上がりを得ることができる。特に、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成する際、施工要求を十分に満たす接続強度を有する断熱パネルの接続構造を得ることができる。
【0019】
請求項5記載の本発明によれば、請求項4に記載の断熱パネルの接続構造において、断面視略H形の上方に棒状接続部材の長手方向に形成された溝部に中心に向かってネジを打設することから、より確実に接続でき、その結果、施工要求をより十分に満たす接続強度を有する断熱パネルの接続構造を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態の構成について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態にかかる断熱パネルの平面視による説明図であり、図2は、図1のA−A線における断面図であり、図3は、図1のB−B線における断面図であり、図4は、本発明の一実施形態にかかる断熱パネルによる断熱構造体を示す斜視図であり、図5は、本発明の一実施形態にかかる断熱パネルにより形成した天井の吊下げ状態を示す説明図であり、図6は、板状接続部材による断熱壁の接続構造を示す断面視による説明図である。
【0022】
断熱パネル1は、図1から図3に示すように、所定間隔を隔てて互いに平行に配設される一対の表面材11と、一対の表面材11で形成される空間部12に充填される断熱芯材13と、断熱芯材13の周縁部13a又は周縁部13aに近接する端部13bに複数形成した接続凹部14と、接続凹部14に装着する接続部材20とを備える。
【0023】
更に、断熱パネル1は、図2に示すように、一対の表面材11の一側と断熱芯材13との間に、フラットバー31を設け、後述する取付部材としての天井吊下部材50を係止するためのボルト挿通孔15が穿設されている。
【0024】
一対の表面材11は、図2や図3に示すように、両方とも薄い板状のカラー鋼板で形成されており、断熱パネル1の外形や後述する空間部12を形成するものである。
【0025】
表面材11は、前述のようにカラー鋼板で形成されるが、例えば、クリーンルームや食品加工工場などの断熱パネル1の用途に応じて、塩ビ鋼板や帯電防止鋼板やステンレス鋼板や防カビ抗菌鋼板などでも形成することができる。
【0026】
空間部12は、一対の表面材11によって形成される略長方形で板状の空間であり、後述する断熱芯材13を収納する空間である。
【0027】
断熱芯材13は、一対の表面材11によって形成される空間部12に収納され、表面材11とは、接着剤を介して、一体的に形成され断熱パネル1を構成するものである。なお、接着剤は、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤を使用している。
【0028】
断熱芯材13は、前述のように、空間部12を満たすように収納される。従って、断熱芯材13の形状は、略長方形で板状である。
【0029】
断熱芯材13の材質は、例えばポリスチレンなどで構成される。特に、断熱芯材13の材質は、カネライトフォーム(登録商標)スーパーEIIIを用いることにより、断熱パネル1の性能を向上させていると共に、一定の弾性を有し後述する接続凹部14への板状接続部材21や棒状接続部材22の嵌入を緊密に行えるようにしている。
【0030】
すなわち、断熱芯材13の材質は、熱可塑性樹脂のポリスチレンで構成することにより、ポリウレタンやフェノールフォームなどの熱硬化性樹脂とは異なり、加熱することにより、元の樹脂に戻すことができる。その結果、断熱パネル1の断熱芯材13を分別回収し、再使用することにより、循環型の断熱パネル1とすることができる。
【0031】
更に、断熱芯材13の材質を形成する際に、発泡剤は、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)やハイドロフルオロカーボン(HFC)などのフロン類を使用せずに、温暖化係数の小さい炭化水素を使用することにより、オゾン層の保護や地球温暖化防止に貢献する断熱パネル1とすることができる。
【0032】
接続凹部14は、断熱芯材13の周縁部13a又は周縁部13aに近接する端部13bに形成される空間である。
【0033】
接続凹部14は、接続部材20の形状に合わせて形成されており、本発明の一実施形態にかかる断熱パネル1において、後述する板状接続部材21が、図2(a)と図2(b)とに示すように、嵌合するための幅の狭い溝状の板接続凹部14aと、後述する棒状接続部材22が、図3(a)と図3(b)とに示すように、接続するための幅の広い溝状の棒接続凹部14bとを有する。
【0034】
ボルト挿通孔15は、特に、断熱パネル1を用いて断熱構造体である天井や壁、天井と壁との接続構造を形成する際に使用する断熱パネル1に穿設される円柱状の孔部である。
【0035】
ボルト挿通孔15は、天井と壁との接続構造を形成する際には、貫通孔としており、天井や壁を形成する際には、貫通していない穴部としている。
【0036】
ボルト挿通孔15は、後述する取付部材としての天井吊下部材50をボルト16で断熱パネル1に締着するために、また取付部材としてのL字状金具71を固定ボルト73で断熱パネル1に締着するために、ボルト16やL字状金具71を断熱パネル1に螺嵌するように形成されている。すなわち、ボルト挿通孔15の内周面には、雌ネジが螺刻されている。
【0037】
断熱パネル1を構成する接続部材20は、板状接続部材21と棒状接続部材22とより構成されている。
【0038】
板状接続部材21は、断面視略長方形の薄い板状の部材であり、図2(a)と図2(b)とに示すように、断熱パネル1と断熱パネル1とを接続するための部材である。
【0039】
板状接続部材21の材質は、ポリスチレンなどで構成される。例えば、熱可塑性樹脂のポリスチレンを発泡させる際に、2倍乃至4倍発泡させることにより得られるポリスチレンで構成する。板状接続部材21は、2倍乃至4倍発泡のポリスチレンで形成されることにより、接続部材として使用しても十分な強度や剛性を有する。
【0040】
また、棒状接続部材22は、断面視略H形の棒状の部材であり、断熱パネル1と断熱パネル1とを接続するための部材である。
【0041】
棒状接続部材22の材質は、ポリスチレンなどで構成される。例えば、熱可塑性樹脂のポリスチレンを発泡させる際に、2倍乃至4倍発泡させることにより得られるポリスチレンで構成する。棒状接続部材22は、2倍乃至4倍発泡のポリスチレンで形成されることにより、接続部材として使用しても十分な強度や剛性を有する。
【0042】
特に、棒状接続部材22は、棒状接続部材22の長手方向に形成された断面視略H形の上下面の溝部23に接着剤を凸状に塗布し、棒状接続部材22は、接続凹部14の弾性を利用して接続凹部14内に押し込むことにより緊密に一体化ができる。断熱パネル1同士を接着し、図3(a)と図3(b)とに示すように、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成する断熱パネル1の接続構造とすることができる。
【0043】
特に、前述の断熱パネル1の接続構造において、図3(a)と図3(b)とに示すように、断熱パネル1の表面材11上方から棒状接続部材22の長手方向に形成された断面視略H形の上面の溝部23の中心に向かってネジ24を螺設し、棒状接続部材22の中心を貫通させ、壁を構成する断熱パネル1の断熱芯材13までネジ24を到達させることにより、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体をより確実に一体的に形成する断熱パネル1の接続構造とすることができる。
【0044】
本実施形態でのネジ24を螺設する際の深さは、図3(b)に示すように、断熱パネル1の表面材11から棒状接続部材22を貫通し、壁を構成する断熱パネル1の断熱芯材13に当接する長さであるが、壁を構成する断熱パネル1の断熱芯材13内に螺挿する場合もある。
【0045】
特に、棒状接続部材22は、前述のように、溝部23に向かってネジ24を螺設する際に、中心位置より若干ずれが生じたとしても、溝部23より斜め上方に立設した内側面に沿って、ネジ24が中心位置に向かうよう修正される断面視略H形の形状となっている。
【0046】
更に、棒状接続部材22は、図3(a)等に示すように、突起部25が形成されている。突起部25は、スペーサー、すなわち、断熱パネル1の接続凹部14を除く部分と断熱パネル1の接続凹部14を除く部分との間隔をあけて接続するときに、間に挟持する薄片としての機能を有し、一定の空隙を形成する。
【0047】
突起部25は、一定の空隙を形成することから、棒状接続部材22の周壁部に塗布されたシーリング剤を兼ねる接着剤により、断熱パネル1同士の間の空隙(突起部25により形成された空隙を含む)をシールする際に、空隙にシーリング剤が充填されることを促進し、更に棒状接続部材22の位置や姿勢を調整可能とする。
【0048】
フラットバー31は、断熱パネル1において、一対の表面材11の一側と断熱芯材13との間に、設けられた板状の鋼板であり、後述する取付部材としての天井吊下部材50やL字状金具71を係止するためのボルト挿通孔15が穿設されている。
【0049】
フラットバー31は、例えば、厚さ2.3〜3.2mmの鋼板で形成し、ボルト挿通孔15を形成するのに十分な幅、例えば30〜60mmとすることができる。
【0050】
また、断熱パネル1を用いて天井を構成する際に使用する天井吊下部材50は、図5に示すように、各断熱パネル1で形成された天井を吊下げるための部材である。すなわち、断熱パネル1を用いて形成された天井は、天井吊下部材50を介して、建造物の梁や桁に吊下げられることによって設置される。
【0051】
天井吊下部材50は、建造物の梁又は桁に固定される側面視略コ字状の吊金具51と、吊金具51のネジ孔に螺嵌される全ネジボルト52と、上下両方の全ネジボルト52を連結するための長ナット53と、下方の全ネジボルト52とアイボルト55とを連結する側面視略零字状のターンバックル54と、アイボルト55を介してターンバックル54と連結する側面視略ア字状のア状バックル吊金具56及び側面視略S字状のS状バックル吊金具57と、側面視略C字状で、上部をア状バックル吊金具56とS状バックル吊金具57とで挟持され、下部を、側面視略柄杓状の柄杓状パネル取付金具61と側面視略Z字状のZ状パネル取付金具62とで挟持される天井補強金具58とで構成される。
【0052】
吊金具51は、側面視略コ字状で、建造物の梁又は桁のH形鋼40のフランジ部分に、吊金具51の孔部に螺嵌した取付ボルトが螺挿され当接することによりに固定される。このように、吊金具51は、建造物の梁又は桁に断熱パネル1により形成された天井を垂下させ、天井の重量を受け持ち、その重量を梁又は桁に伝える部材である。
【0053】
全ネジボルト52は、長ナット53を中心に上下に1本ずつ設けられており、長ナット53に螺挿ことにより天井の床からの高さを調整する。
【0054】
長ナット53は、前述のように、全ネジボルト52が螺挿されることにより、各螺挿量が調整され、天井の床からの高さを調整すると共に、全ネジボルト52を連結し、天井の重量を建造物の梁又は桁に伝える部材である。
【0055】
ターンバックル54は、上方より全ネジボルト52が螺挿され、下方より後述するアイボルト55螺挿されることにより、全ネジボルト52とアイボルト55とを連結する部材である。
【0056】
ターンバックル54の形状は、側面視略零字状で、前述のように、全ネジボルト52とアイボルト55とが螺挿されることにより、各螺挿量が調整され、天井の床からの高さを調整すると共に、全ネジボルト52とアイボルト55とを連結し、天井の重量を建造物の梁又は桁に伝える部材である。
【0057】
アイボルト55は、上部がターンバックル54に螺挿され、下部が六角ボルトによって、左端からア状バックル吊金具56の固定部、アイボルト55の孔部、S状バックル吊金具57の固定部、の順に六角ボルトの頭部と六角ナットとにより挟持されて、六角ナットにより螺着されている。
【0058】
アイボルト55は、略I字形で棒状の部材であり、下部には、前述のように、ア状バックル吊金具,S状バックル吊金具57を固定するための孔部を有する。
【0059】
ア状バックル吊金具56は、側面視略ア字状の金具であり、後述するS状バックル吊金具57と共に、後述する側面視略C字状の天井補強金具58の上方フランジ部を挟持することにより、天井の重量を受け持つ部材である。
【0060】
S状バックル吊金具57は、側面視略S字状の金具であり、前述のア状バックル吊金具56と共に、後述する側面視略C字状の天井補強金具58の上方フランジ部を挟持することにより、天井の重量を受け持つ部材である。
【0061】
天井補強金具58は、側面視略C字状金具であり、上部をア状バックル吊金具56とS状バックル吊金具57とで挟持され、下部を、後述する側面視略柄杓形状の柄杓状パネル取付金具61と後述する側面視略Z字状のZ状パネル取付金具62とで挟持される。
【0062】
天井補強金具58は、側面視略C字状の下方のフランジ部の中心が、断熱パネル1と断熱パネル1との接続部分の略中心に均一に当接することにより、その接続部分を補強することにより、天井の強度を向上させている。
【0063】
柄杓状パネル取付金具61は、側面視略柄杓形状の金具であり、柄杓状パネル取付金具61の固定部が、断熱パネル1の表面材11とフラットバー31と断熱芯材13に連通して穿設されたボルト挿通孔15に螺挿されるボルト16を介して断熱パネル1に固定される。
【0064】
Z状パネル取付金具62は、側面視略Z字状の金具であり、Z状パネル取付金具62の固定部が、断熱パネル1の表面材11とフラットバー31と断熱芯材13に連通して穿設されたボルト挿通孔15に螺挿されるボルト16を介して断熱パネル1に固定される。
【0065】
また、断熱パネル1を用いた断熱壁は、断熱壁形成用部材41に、L字状金具71を介して、金具取付ボルト72と固定ボルト73とを用いて、板状接続部材21により接続された各断熱パネル1,1を立設することにより構成される。
【0066】
断熱壁形成用部材41は、クリーンルームや食品製造工場など柱又は間柱の間に水平に掛架された部材であり、断熱パネル1を用いた断熱壁を構成する際に、断熱パネル1を固設するために用いられる。
【0067】
取付部材としてのL字状金具71は、断熱壁形成用部材41に板状接続部材21により接続された各断熱パネル1,1を取り付けるための金具であり、その形状は、略L字状形である。
【0068】
金具取付ボルト72は、断熱壁形成用部材41とL字状金具71とを固定するためのボルトであり、断熱壁形成用部材41に穿設された穴部にL字状金具71を介して螺挿されることにより、断熱壁形成用部材41とL字状金具71とを固定する。
【0069】
固定ボルト73は、L字状金具71と板状接続部材21により接続された各断熱パネル1,1とを固定するためのボルトであり、断熱パネル1に穿設されたボルト挿通孔15にL字状金具71を介して螺挿されることにより、L字状金具71と板状接続部材21により接続された各断熱パネル1,1とを固定する。
【0070】
次に、断熱パネル1の製造手順について説明する。
【0071】
断熱パネル1は、例えば、押出発泡ポリスチレンフォームであるカネライトフォーム(登録商標)スーパーEIIIなどの熱可塑性樹脂であるポリスチレンで構成された断熱芯材13に、例えば、厚さ0.4mmのカラー鋼板で構成された一対の表面材11を、接着剤を介して貼り付けることにより作製する。
【0072】
断熱パネル1の寸法や形状は、用途や使用者の要求に応じて、様々な寸法や形状とすることができる。例えば、長さ1800〜8500mm、幅400〜900mm、厚さ50〜300mmとすることができるが、ここでは、長さ2700mm、幅900mm、厚さ50mmのボード状としている。
【0073】
従って、一対の表面材11を、所定間隔を隔てて互いに平行に配設する際の、所定間隔とは、ここでは、一対の表面材11の厚さを含めて、50mmとしている。
【0074】
なお、表面材11は、図2や図3に示すように、断熱芯材13の縁部において、略L字状に折曲し、断熱芯材13の縁部を覆うことにより、断熱芯材13を保護する構造となっている。
【0075】
次に、一対の表面材11の空間部12に挟持された断熱芯材13の周縁部13a又は周縁部13aに近接する端部13bに接続凹部14を形成する。
【0076】
接続凹部14は、接続部材20の形状に合わせて形成され、板状接続部材21が、図2(a)と図2(b)とに示すように、接続するための幅の狭い溝状の板接続凹部14aと、棒状接続部材22が、図3(a)と図3(b)とに示すように、接続するための幅の広い溝状の棒接続凹部14bとが、断熱パネル1の用途に応じて適宜形成される。
【0077】
板接続凹部14aは、断熱パネル1の寸法に応じて様々な寸法とすることができるが、ここでは、前述の断熱パネル1の寸法(長さ2700mm、幅900mm、厚さ50mm)に応じて、深さ17.5mm、長さ900mm、幅4mmの溝状に形成する。
【0078】
棒接続凹部14bは、断熱パネル1の寸法に応じて様々な寸法とすることができるが、ここでは、前述の断熱パネル1の寸法に応じて、深さ15mm、長さ900mm、外幅24mm・内幅20mmの断面視略台形溝状に形成する。
【0079】
また、天井や壁を構成する断熱パネル1は、前述のように、断熱芯材13に表面材11を貼り付ける際に、一対の表面材11の一側と断熱芯材13との間にフラットバー31を埋設する。
【0080】
つまり、フラットバー31は、図2や図6に示すように、一対の表面材11の一側の直下に、断熱芯材13に形成されたフラットバー31を埋設するための凹部に配設され、接着剤を介して嵌着固定され、その上に表面材11が覆設される。
【0081】
なお、フラットバー31は、断熱パネル1の寸法に応じて様々な寸法とすることができるが、ここでは、前述の断熱パネル1の寸法に応じて、長さ900mm、幅50mm厚さ2.3mmの鋼板で形成する。
【0082】
フラットバー31が埋設された断熱パネル1は、天井吊下部材50やL字状金具71を取り付けるためのボルト挿通孔15を、積層した表面材11とフラットバー31と断熱芯材13に、タップなどの工具を用いて連穿し、雌ネジを螺刻する。
【0083】
以上のように構成された製造された本発明の一実施形態に係る断熱パネル1の使用形態について図面を用いて具体的に説明する。
【0084】
まず、作業員は、断熱パネル1を建造物内部の間取りに合わせた位置において立設し、壁を形成する。
【0085】
作業員が断熱構造体である壁を形成する場合にも、図6に示すように、板状接続部材21を用いて、各断熱パネル1,1接続する。
【0086】
まず、作業員は、L字状金具71の横辺部分71aと断熱壁形成用部材41とを金具取付ボルト72を用いて固定する。
【0087】
次に、L字状金具71の縦辺部分71bと板状接続部材21により接続された各断熱パネル1,1とをボルト挿通孔15に固定ボルト73を螺挿することにより固定する。なお、作業員が壁を形成する場合、後述する天井を形成する場合も同様に、施工現場の状況や環境に応じて、壁を形成する各手順や天井を形成する各手順において、その手順を適宜入れ替えても問題ない。
【0088】
次に、作業員は、建造物内部の壁として立設した断熱パネル1の上部において、天井を形成する断熱パネル1と壁を形成する断熱パネル1とを接続する。
【0089】
その際、接続構造は、前述の両断熱パネル1,1における、各棒接続凹部14b,14bを突き合わせた状態で、棒状接続部材22を介して接続する断熱パネル1の接続構造である。作業員は、断面視略H形の上下方に棒状接続部材22の長手方向に形成された溝部23に接着剤を凸状に塗布し、更に、棒状接続部材22の周壁部にも接着剤を塗布することにより、断熱パネル1同士を、接着剤を介して接着する。
【0090】
このことから、棒状接続部材22の位置や姿勢を高精度に維持し、確実に全面密着させて凹凸嵌合させることができる。その結果、接続部分に不要な空隙の形成を防ぎ、外観的にも接続強度的にも良好な仕上がりを得ることができる。特に、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成する際、施工要求を十分に満たす接続強度を有する断熱パネル1,1の接続構造を得ることができる。
【0091】
棒状接続部材22の周壁部に塗布された接着剤は、断熱パネル1同士の間の空隙をシールするシーリング剤の役目も果たす。
【0092】
更に、棒状接続部材22の突起部25は、スペーサー、すなわち、断熱パネル1の接続凹部14を除く部分と断熱パネル1の接続凹部14を除く部分との間隔をあけて接続するときに、間に挟持する薄片として機能し、一定の空隙を形成することから、上述のように、断熱パネル1同士の間の空隙(突起部25により形成された空隙を含む)をシールする際に、空隙にシーリング剤を兼ねる接着剤が充填されることを促進し、棒状接続部材22の位置や姿勢を調整することができるので、施工精度をより高精度に維持し、確実に全面密着させることができる。
【0093】
その結果、断熱パネル1の接続凹部14を除く部分と断熱パネル1の接続凹部14を除く部分との接続部分も確実にシールされることとなり、接続部分に不要な空隙の形成を防ぎ、外観的にも接続強度的にも良好な仕上がりを得ることができる。特に、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成する際、施工要求を十分に満たす接続強度を有する断熱パネル1の接続構造を得ることができる。
【0094】
また、上述のように構成された断熱パネル1,1の接続構造を有する壁上部と天井端部とより一体的になる断熱構造体において、作業員は、断面視略H形の上方に棒状接続部材22の長手方向に形成された溝部23に中心に向かってネジ24を打設する。
【0095】
このことから、棒状接続部材22の位置や姿勢をより高精度に維持し、より確実に全面密着させて凹凸嵌合させることができる。その結果、接続部分に不要な空隙の形成を防ぎ、外観的にも接続強度的にも良好な仕上がりを得ることができる。特に、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成する際、施工要求をより十分に満たす接続強度を有する断熱パネル1,1の接続構造を得ることができる。
【0096】
次に、作業員は、断熱パネル1を用いて天井を形成する。
【0097】
断熱パネル1を用いて天井を構築する作業員は、まず、屋内用高所作業車などを準備し、図5に示すように、天井を形成する建造物の梁又は桁に、断熱パネル1を吊設するための天井吊下部材50を懸垂させて設ける。
【0098】
作業員は、天井吊下部材50を構成する各金具類を、順番に取り付けることによって、天井吊下部材50を懸装する。
【0099】
まず、作業員は、建造物の梁又は桁に吊金具51を取り付け固定する。次に吊金具51のネジ孔に全ネジボルト52を螺挿し、連結する。次に、長ナット53の上方のネジ孔に吊金具51と連結した全ネジボルト52の下方を螺挿し連結する。次に、長ナット53の下方のネジ孔に、全ネジボルト52の上方を螺挿し連結する。上方を長ナット53と連結した全ネジボルト52の下方を、六角ナットを介して、ターンバックル54の上方のネジ孔に螺挿し連結する。
【0100】
次に、作業員は、ターンバックル54の下方のネジ孔にアイボルト55の上方のネジ部を螺挿し連結する。次に、アイボルト55の下方の固定用穴部とア状バックル吊金具56の固定用孔部とS状バックル吊金具57の固定用孔部とを中心を合わせて六角ボルトを挿通し、六角ナットを六角ボルトのネジ部に螺挿し、アイボルト55とア状バックル吊金具56とS状バックル吊金具57とを六角ボルトの頭部と六角ナットにより挟持し締結する。
【0101】
更に、作業員は、ア状バックル吊金具56の下方のフランジ部に天井補強金具58の上方のフランジ部を掛合させて、S状バックル吊金具57の下方フランジ部と側面視略Z字状のZ状パネル取付金具62の垂直板部と共にビス止めして固定する。
【0102】
また、作業員は、天井補強金具58の下方のフランジ部を各断熱パネル1,1の接合部に当接させた状態で、一方の断熱パネル1にボルト16で固定される側面視略柄杓状の柄杓状パネル取付金具61の柄杓状のフランジ部と、天井補強金具58の下方のフランジ部の立設部とを掛合させて、テーパー金具で固定する。
【0103】
作業員は、他方の断熱パネル1にボルト16で固定される側面視略Z字状のZ状パネル取付金具62の垂直板部と、天井補強金具58の垂直板部とを当接させ、ビス止めして固定する。
【0104】
このようにして断熱パネル1を吊設するために、懸垂させて設けられた天井吊下部材50に、各断熱パネル1を、図4や図5に示すように連設することによって、天井を形成する。
【0105】
その際、天井を形成する各断熱パネル1の接続部材20は、断面視略長方形の板状接続部材21より構成したので、接続部材20の形状は簡便となり、断熱パネル1同士を板接続凹部14aを突き合わせた状態で、板状接続部材21を介して接続していることから、接続部分の強度を向上させることができる。
【0106】
また、各断熱パネル1を用いて、壁上部と天井端部と天井とを一体的に形成する際、接続部材20は、断面視略長方形の板状接続部材21と、断面視略H形の棒状接続部材22とより構成したので、ともに接続部材20の形状は簡便となり、断熱パネル1同士を、板接続凹部14aを突き合わせた状態又は棒接続凹部14bを突き合わせた状態で板状接続部材21又は断面視略H形の棒状接続部材22を介して接続していることから、接続部分の強度を向上させることができる。
【0107】
上述の各接続部分は、接続部材20を介して、接着剤を兼ねたシーリング剤でシールされていることから、確実に閉塞され、各断熱パネル1により形成された断熱構造体の断熱性能を向上させることができる。
【0108】
更に、断熱パネル1は、一対の表面材11の一側と断熱芯材13との間に、フラットバー31を設け、天井吊下部材50を係止するためのボルト挿通孔15を穿設し、断熱パネル1同士を板接続凹部14aを突き合わせた状態で、板状接続部材21を介して接続していることから、特に、各断熱パネル1を用いて建造物の梁や桁から吊下げ状に天井を構築した際に、天井裏に配線などを行う電気工事の作業員が、工具類を持参して天井部分を通行しても、各断熱パネル1の接続部分において破損するおそれがなく、最短距離で移動することができ、その結果、作業性が向上し、工期を短縮することもできる。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0110】
例えば、棒状接続部材22は、前述の実施形態においては、図3に示すように、断面視略H形の部材であるが、図7に示すように、断面視略六角形状の部材とすることもできる。図7は、断面視略六角形状の棒状接続部材220を用いた場合の図1のB−B線における断面図である。
【0111】
棒状接続部材220、断面視略六角形状の棒状の部材であり、断熱パネル1と断熱パネル1とを接続するための部材である。
【0112】
断面視略六角形状の棒状接続部材220の材質は、断面視略H形の棒状接続部材22の材質と同様に、ポリスチレンなどで構成される。例えば、熱可塑性樹脂のポリスチレンを発泡させる際に、2倍乃至4倍発泡させることにより得られるポリスチレンで構成する。棒状接続部材220は、2倍乃至4倍発泡のポリスチレンで形成されることにより、接続部材として使用しても十分な強度や剛性を有する。
【0113】
棒状接続部材220は、図7に示すように、棒状接続部材220の上下面を構成する接続面221,221に接着剤を平面状に塗布し、棒状接続部材220を、接続凹部14の弾性を利用して接続凹部14内に押し込むことにより緊密に一体化ができる。このことから、断熱パネル1同士を接着し、図7(a)と図7(b)とに示すように、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成する断熱パネル1の接続構造とすることができる。
【0114】
特に、前述の断熱パネル1の接続構造において、図7(a)と図7(b)とに示すように、断熱パネル1の表面材11上方から棒状接続部材220の上側を構成する接続面221の中心に向かってネジ24を螺設し、棒状接続部材220の中心を貫通させ、壁を構成する断熱パネル1の断熱芯材13までネジ24を到達させることにより、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体をより確実に一体的に形成する断熱パネル1の接続構造とすることができる。
【0115】
他の実施形態でのネジ24を螺設する際の深さは、図7(b)に示すように、断熱パネル1の表面材11から棒状接続部材220を貫通し、壁を構成する断熱パネル1の断熱芯材13に当接する長さであるが、壁を構成する断熱パネル1の断熱芯材13内に螺挿する場合もある。
【0116】
また、棒状接続部材220は、特に、上下面を構成する接続面221,221と、各接続凹部14とが、広範囲にわたって密着することから、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体をより確実に一体的に形成する断熱パネル1の接続構造とすることができる。
【0117】
更に、棒状接続部材220は、図7(a)等に示すように、突状部222が形成されている。突状部222は、前述の接続面221と共に、断熱芯材13に形成された接続凹部14の弾性によって接続凹部14内に押し込まれることにより、各断熱芯材13,13緊密に一体化される。
【0118】
すなわち、棒状接続部材220は、上下面を構成する接続面221,221及び左右の突状部222,222と、各接続凹部14とが、広範囲にわたって密着することから、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体をより確実に一体的に形成する断熱パネル1の接続構造とすることができる。
【0119】
また、突状部222の先端部においては、その形状を凸状としていることから、突状部222の先端部は、スペーサー、すなわち、断熱パネル1の接続凹部14を除く部分と断熱パネル1の接続凹部14を除く部分との間隔をあけて接続するときに、間に挟持する薄片としての機能を有し、一定の空隙を形成する。
【0120】
突状部222の先端部は、一定の空隙を形成することから、棒状接続部材220の接続面221や突状部222に塗布されたシーリング剤を兼ねる接着剤により、断熱パネル1同士の間の空隙(突状部222の先端部により形成された空隙を含む)をシールする際に、空隙にシーリング剤が充填されることを促進し、更に棒状接続部材220の位置や姿勢を調整可能とする。よって、棒状接続部材220の位置や姿勢を調整することができるので、施工精度をより高精度に維持し、確実に全面密着させることができる。
【0121】
その結果、断面視略六角形状の棒状接続部材220を接続部材として用いても、断熱パネル1の接続凹部14を除く部分と断熱パネル1の接続凹部14を除く部分との接続部分も確実にシールされることとなり、接続部分に不要な空隙の形成を防ぎ、外観的にも接続強度的にも良好な仕上がりを得ることができる。特に、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成する際、施工要求を十分に満たす接続強度を有する断熱パネル1の接続構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の一実施形態にかかる断熱パネルの平面視による説明図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】図1のB−B線における断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる断熱パネルによる断熱構造体を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる断熱パネルにより形成した天井の吊下げ状態を示す説明図である。
【図6】板状接続部材による断熱壁の接続構造を示す断面視による説明図。
【図7】断面視略六角形状の棒状接続部材を用いた場合の図1のB−B線における断面図である。
【符号の説明】
【0123】
1 断熱パネル
11 表面材
12 空間部
13 断熱芯材
13a 周縁部
13b 端部
14 接続凹部
14a 板接続凹部
14b 棒接続凹部
14c 棒接続凹部
15 ボルト挿通孔
16 ボルト
20 接続部材
21 板状接続部材
22 棒状接続部材
23 溝部
24 ネジ
25 突起部
31 フラットバー
40 H形鋼
41 断熱壁形成用部材
50 天井吊下部材
51 吊金具
52 全ネジボルト
53 長ナット
54 ターンバックル
55 アイボルト
56 ア状バックル吊金具
57 S状バックル吊金具
58 天井補強金具
61 柄杓状パネル取付金具
62 Z状パネル取付金具
71 L字状金具
71a 横辺部分
71b 縦辺部分
72 金具取付ボルト
73 固定ボルト
220 棒状接続部材
221 接続面
222 突状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てて互いに平行に配設される一対の表面材と、
該一対の表面材で形成される空間部に充填される断熱芯材と、
該断熱芯材の周縁部又は周縁部に近接する端部に複数形成した接続凹部と、
該接続凹部に装着する接続部材と
を備え、
該接続部材は、断面視略長方形の板状接続部材により構成していることを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
所定間隔を隔てて互いに平行に配設される一対の表面材と、
該一対の表面材で形成される空間部に充填される断熱芯材と、
該断熱芯材の周縁部又は周縁部に近接する端部に複数形成した接続凹部と、
該接続凹部に装着する接続部材と
を備え、
該接続部材は、断面視略長方形の板状接続部材と、断面視略H形の棒状接続部材とにより構成していることを特徴とする断熱パネル。
【請求項3】
請求項1に記載の断熱パネルにおいて、
前記一対の表面材の一側と前記断熱芯材との間に、フラットバーを設け、取付部材を係止するためのボルト挿通孔を穿設していることを特徴とする断熱パネル。
【請求項4】
請求項2に記載の断熱パネル同士を、対向する端面に形成した接続凹部を突き合わせて、対向する接続凹部中に両端部を嵌入する接続部材により接続する断熱パネルの接続構造であって、
該接続部材である断面視略H形の棒状接続部材には、断面視略H形の上下方に棒状接続部材の長手方向に形成された溝部に接着剤を凸状に塗布されることにより、断熱パネル同士を接着し、壁上部と天井端部とよりなる断熱構造体を一体的に形成することを特徴とする断熱パネルの接続構造。
【請求項5】
請求項4に記載の断熱パネルの接続構造において、
断面視略H形の上方に棒状接続部材の長手方向に形成された溝部に中心に向かってネジを打設することを特徴とする断熱パネルの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−95926(P2010−95926A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268264(P2008−268264)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(394008499)林保冷工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】