説明

新規な生物活性脂質誘導体、それに対して反応性がある免疫により誘導される物質(immune−derivedmoiety)およびその生産および使用方法

生物活性脂質標的に対して反応性があるモノクローナル抗体およびそれらの誘導体を生産するための組成物および方法が記載される。これらの組成物は、各々が極性頭部基と少なくとも1つの炭化水素鎖(例えば、リゾホスファチジン酸またはスフィンゴシン−1−リン酸などのリゾ脂質)(ここでは、炭素原子がペンダント反応性基で誘導体化されている)を含む誘導体化脂質;誘導体化脂質と担体部分(例えば、担体タンパク質、ポリエチレングリコール、金コロイド、アルギン酸塩またはシリコーンビーズ)と連結させることにより作製された免疫原;動物をこのような免疫原で免疫化することにより作製されたモノクローナル抗体および誘導体;ならびにこのような抗体および抗体誘導体を含む治療および診断用組成物を含む。このような誘導体化脂質、免疫原およびモノクローナル抗体および誘導体を作製する方法、このような抗体がひと度形成されるとそれを検出する方法、ならびにこのような抗体および誘導体を用いる治療および診断方法も記載される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性頭部基と少なくとも1つの炭化水素鎖を有する生物活性脂質を含み、
(a)生物活性脂質の炭化水素鎖内の炭素原子が所望により保護されたペンダントスルフヒドリル基で誘導体化され、該所望により保護されたペンダントスルフヒドリル基が、生物活性脂質のグリセロール主鎖のSN−1位およびSN−2位からなる群から選択される位置に所望により付加されている誘導体化脂質、および
(b) 生物活性脂質がリゾ脂質であり、炭化水素鎖内の炭素原子が所望により保護されたペンダント反応性基で誘導体化されている誘導体化脂質
からなる群から選択される、誘導体化脂質。
【請求項2】
前記生物活性脂質が、スフィンゴ脂質およびスフィンゴ脂質代謝産物からなる群から選択されるリゾ脂質であり、セラミド、セラミド−1−リン酸、N−アセチル−セラミド−1−リン酸、リゾホスファチジン酸、スフィンゴシン−1−リン酸、スフィンゴシン、スフィンゴシルホスホリルコリン、ジヒドロスフィンゴシンおよびジヒドロスフィンゴシン−1−リン酸からなる群から所望により選択される、請求項1に記載の誘導体化脂質。
【請求項3】
前記ペンダント反応性基がスルフヒドリル基、カルボン酸基、シアノ基、エステル、ヒドロキシ基、アルケン、アルキン、酸塩化物基またはハロゲン原子からなる群から選択される、請求項1に記載の誘導体化脂質。
【請求項4】
リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸前駆体およびリゾホスファチジン酸代謝産物からなる群から選択される生物活性脂質のスルフヒドリル誘導体であり、該所望により保護されたペンダントスルフヒドリル基が、該生物活性脂質のグリセロール主鎖のSN−1位およびSN−2位からなる群から選択される位置に所望により付加されている、請求項1に記載の誘導体化脂質。
【請求項5】
担体部分とコンジュゲートされた請求項1に記載の誘導体化脂質を含む、誘導体化生物活性脂質。
【請求項6】
前記担体部分が担体タンパク質(キーホールリンペットヘモシアニンおよびアルブミンからなる群から所望により選択される)、ポリエチレングリコール、金コロイド、アジュバントおよびシリコーンビーズからなる群から選択される、請求項5に記載の誘導体化生物活性脂質コンジュゲート。
【請求項7】
(a)キーホールリンペットヘモシアニンに共有結合されているリゾホスファチジン酸のスルフヒドリル誘導体;および
(b)キーホールリンペットヘモシアニンに共有結合されているスフィンゴシン−1−リン酸のスルフヒドリル誘導体
からなる群から選択される、請求項6に記載の誘導体化生物活性脂質コンジュゲート。
【請求項8】
抗体産生を惹起するのに十分な量の請求項5に記載の誘導体化生物活性脂質コンジュゲートを免疫適格動物に投与し、それによる該動物において抗体産生を惹起することを含む、抗体産生を惹起する方法。
【請求項9】
生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を単離する方法であって、請求項1に記載の誘導体化脂質で修飾された支持体、所望により固体支持体を用いて、誘導体化脂質の生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を溶液から単離し、それにより抗体を単離することを含む、方法。
【請求項10】
前記溶液が体液、組織サンプルおよび組織ホモジネートからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を精製する方法であって、請求項1に記載の誘導体化脂質で修飾された支持体、所望により固体支持体を用いて、誘導体化脂質の生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を溶液から精製し、それにより抗体を精製することを含む、方法。
【請求項12】
前記溶液が体液、組織サンプルおよび組織ホモジネートからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を検出する方法であって、請求項1に記載の誘導体化脂質で修飾された支持体、所望により固体支持体を用いて、誘導体化脂質の生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を溶液から検出し、それにより抗体を検出することを含む、方法。
【請求項14】
前記抗体が自己抗体、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項5に記載の誘導体化生物活性脂質コンジュゲートを作製する方法であって、生物活性脂質と担体部分を、該担体部分と該生物活性脂質の間の共有結合を可能とする条件下で反応させることを含み、ペンダント反応性基がスルフヒドリル基、カルボン酸基、シアノ基、エステル、ヒドロキシ基、アルケン、アルキン、酸塩化物基およびハロゲン原子からなる群から所望により選択される、方法。
【請求項16】
生物活性脂質に対する抗体を作製する方法であって、免疫適格哺乳類宿主を、生物活性脂質に対する免疫適格哺乳類宿主において抗体産生を惹起するのに十分な量の請求項5に記載の誘導体化生物活性脂質コンジュゲートで免疫化することを含み、(i)該免疫適格哺乳類宿主が所望により非ヒト免疫適格哺乳類宿主であり、かつ(ii)該方法が所望により、モノクローナル抗体としての抗体を産生する細胞系統を作出することをさらに含む、方法。
【請求項17】
生物活性脂質に対するモノクローナル抗体を産生する細胞を同定する方法であって、
(a) 免疫適格非ヒト哺乳類宿主を、該免疫適格非ヒト哺乳類宿主において抗体産生を惹起するのに十分な量の請求項5に記載の誘導体化生物活性脂質コンジュゲートで免疫化すること、および
(b)該誘導体化生物活性脂質コンジュゲートの生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を産生する免疫適格非ヒト哺乳類宿主から単離された抗体産生細胞を同定すること(ここで、該同定は、誘導体化生物活性脂質コンジュゲートの誘導体化脂質で修飾した支持体、所望により固体支持体を用いて、生物活性脂質と特異的に反応性がある抗体を産生する細胞を検出することを含む)
を含む、方法。
【請求項18】
(a)請求項17の工程(b)の性能から同定された抗体産生細胞から抗体産生細胞系統を作出すること、および
(b)請求項15に従って産生されたモノクローナル抗体の誘導体を作出すること(該誘導体はヒト化抗体およびキメラ抗体からなる群から選択される)
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
パート(a)の抗体産生細胞系統から産生された抗体を単離することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
生物活性脂質に対して反応性がある単離された免疫により誘導される物質であって、該部分が免疫適格哺乳類宿主を担体に共有結合されている誘導体化生物活性脂質を含む免疫原で免疫化することによって産生された抗体に由来し、該誘導体化生物活性脂質が極性頭部基と少なくとも1つの炭化水素鎖を含み、該誘導体化生物活性脂質が、
(a)生物活性脂質の炭化水素鎖内の炭素原子が所望により保護されたペンダントスルフヒドリル基で誘導体化され、該所望により保護されたペンダントスルフヒドリル基が該生物活性脂質のグリセロール主鎖のSN−1位およびSN−2位からなる群から選択される位置に所望により付加されている、誘導体化脂質および
(b) 生物活性脂質がリゾ脂質であり、炭化水素鎖内の炭素原子が所望により保護されたペンダント反応性基で誘導体化されている、誘導体化脂質
からなる群から選択される、部分。
【請求項21】
抗体、抗体フラグメント、抗体変異体および抗体誘導体からなる群から選択される、請求項20に記載の単離された免疫により誘導される物質。
【請求項22】
前記生物活性脂質がリゾホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸前駆体およびリゾホスファチジン酸代謝産物からなる群から選択される、請求項20に記載の単離された免疫により誘導される物質。
【請求項23】
キメラモノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体からなる群から選択される抗体である、請求項1に記載の単離された免疫により誘導される物質。
【請求項24】
担体、所望により医薬上許容される担体中に請求項20に記載の単離された免疫により誘導される物質を含む、組成物。
【請求項25】
前記免疫により誘導される物質が二重特異性である、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記免疫により誘導される物質がリゾホスファチジン酸およびスフィンゴ脂質の双方に対して反応性である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
対象において有効濃度の生物活性脂質を低下させる方法であって、該対象に、生物活性脂質に対して反応性がある請求項20に記載の免疫により誘導される物質を、有効濃度の前記生物活性脂質を低下させるのに有効な量で投与することを含み、該生物活性脂質が非スフィンゴイド生物活性脂質である、方法。
【請求項28】
対象が哺乳類、所望によりヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
治療処置または予防処置を必要とする対象に、そのような処置を達成するのに有効な量の請求項20に記載の免疫により誘導される物質を投与することを含む、処置方法。
【請求項30】
前記免疫により誘導される物質がリゾ脂質に対して反応性があり、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸前駆体およびリゾホスファチジン酸代謝産物からなる群から所望により選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象が哺乳類、所望によりヒトである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
(a)癌細胞の 増殖を阻害する方法であって、リゾホスファチジン酸シグナル伝達に応答性がある癌を有する対象に、癌細胞の増殖を阻害するのに有効な量の、リゾホスファチジン酸と反応性がある請求項22に記載の免疫により誘導される物質を投与することを含む方法(該癌細胞は腎臓癌細胞、膵臓癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、神経芽腫細胞、肝細胞癌細胞、多形性膠芽腫細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞および白血病細胞からなる群から所望により選択される);
(b)癌細胞の 移動を阻害する方法であって、リゾホスファチジン酸シグナル伝達に応答性がある癌を有する対象に、癌細胞の移動を阻害するのに有効な量の、リゾホスファチジン酸と反応性がある請求項22に記載の免疫により誘導される物質を投与することを含む方法(該癌細胞は腎臓癌細胞、膵臓癌細胞、黒色腫細胞、肺癌腫細胞、神経芽腫細胞、肝細胞癌細胞、多形性膠芽腫細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞および白血病細胞からなる群から所望により選択される);
(c)腫瘍転移を阻害する方法であって、転移癌を有する可能性ある対象に、腫瘍の転移を阻害するのに有効な量の、リゾホスファチジン酸と反応性がある請求項22に記載の免疫により誘導される物質を投与することを含む方法(該腫瘍は腎臓癌、膵臓癌、黒色腫、肺癌、神経芽腫、肝細胞癌、多形性膠芽腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌および白血病からなる群から所望により選択される);
(d)腫瘍における脈管形成を阻害する方法であって、腫瘍を有する対象に、腫瘍において脈管形成を阻害するのに有効な量の、リゾホスファチジン酸と反応性がある請求項3に記載の免疫により誘導される物質を投与することを含む方法(該腫瘍は腎臓癌、膵臓癌、黒色腫、肺癌、神経芽腫、肝細胞癌、多形性膠芽腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌および白血病からなる群から所望により選択される);
(e)癌細胞の アポトーシスを増やす方法であって、癌細胞を、癌細胞のアポトーシスを増やすのに有効な量の、リゾホスファチジン酸と反応性がある請求項22に記載の免疫により誘導される物質と接触させることを含む方法(該癌細胞は腎臓癌細胞、膵臓癌細胞、黒色腫細胞、肺癌腫細胞、神経芽腫細胞、肝細胞癌細胞、多形性膠芽腫細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞および白血病細胞からなる群から所望により選択される);および
(f)癌細胞に対する細胞傷害性薬剤のアポトーシス作用を増強する方法であって、癌細胞を、癌細胞に対する細胞傷害性薬剤のアポトーシス作用を増強するのに有効な量の、リゾホスファチジン酸と反応性がある請求項22に記載の免疫により誘導される物質と接触させることを含む方法(該癌細胞は腎臓癌細胞、膵臓癌細胞、黒色腫細胞、肺癌腫細胞、神経芽腫細胞、肝細胞癌細胞、多形性膠芽腫細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞および白血病細胞からなる群から所望により選択される)
からなる群から選択される方法。
【請求項33】
癌を有する、または癌を有することが疑われる動物に、該動物において有効濃度のリゾホスファチジン酸を低下させるために、治療上有効な量の、リゾホスファチジン酸に対して反応性がある単離された免疫により誘導される物質を投与し、それにより処置を果たすことを含む、癌の処置方法(該癌は腎臓癌、膵臓癌、黒色腫、肺癌、神経芽腫、肝細胞癌、多形性膠芽腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌および白血病からなる群から所望により選択される)。
【請求項34】
細胞傷害性薬剤を投与することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
免疫により誘導される物質による処置を必要とする対象に、請求項20に記載の免疫により誘導される物質を投与することを含む、投与方法。
【請求項36】
前記免疫により誘導される物質がリゾ脂質、所望によりリゾホスファチジン酸に対して反応性があるモノクローナル抗体であり、該モノクローナル抗体がキメラモノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体からなる群から所望により選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記免疫により誘導される物質が抗体、抗体フラグメント、抗体変異体および抗体誘導体からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
対象が哺乳類、所望によりヒトであり、投与が局所投与(所望により、経皮経路、眼上皮経路、子宮内経路、膣経路、直腸経路、肺経路、気管内経路および鼻腔内経路からなる群から選択される経路による)、経口投与および非経口投与(所望により、静脈投与、動脈投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与および頭蓋内投与からなる群から選択される経路による)からなる群から選択される経路による、請求項35に記載の方法。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図7−7】
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【図7−8】
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【図7−9】
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【図7−10】
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【図7−11】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−541215(P2009−541215A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513443(P2009−513443)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/070013
【国際公開番号】WO2007/140431
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508129218)エルパス・インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】Lpath, Inc.
【Fターム(参考)】