説明

新規な置換ピリジン−2−オン及びピリダジン−3−オン

本発明は、Btkを阻害する、一般式I〜IV[式中、可変部R、X、Y、Y、Y2’、Y、Y、n及びmは、本明細書に記載されたものと同義である]で示される5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン及び6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン誘導体を開示する。本明細書に開示された化合物は、Btk活性を調節して過剰のBtk活性に関連する疾患を処置するために有用である。この化合物は、さらに、関節リウマチなどの異常なB細胞増殖に関連する炎症性疾患及び自己免疫疾患の処置に有用である。式I〜IVで示される化合物及び少なくとも一つの担体、希釈剤又は賦形剤を含む組成物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)を阻害し、異常なB細胞活性化により引き起こされる自己免疫疾患及び炎症性疾患の処置に有用な新規な誘導体の使用に関するものである。本明細書に記載される新規な5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン及び6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン誘導体は、関節炎の処置に有用である。
【0002】
Btkは、Tecファミリーチロシンキナーゼの一員であり、初期のB細胞発生並びに成熟B細胞の活性化及び生存の重要なレギュレーターであることが示されている(Khan et al. Immunity 1995 3:283;Ellmeier et al. J. Exp. Med. 2000 192:1611)。ヒトにおけるBtkの突然変異はX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)の状態を導く(Rosen et al. New Eng. J. Med. 1995 333:431及びLindvall et al. Immunol. Rev. 2005 203:200に総説されている)。これらの患者は免疫不全状態にあり、B細胞成熟の障害、免疫グロブリン及び末梢B細胞レベルの低下、T細胞非依存性免疫反応の低下並びにBCR刺激後のカルシウム動員の減弱を示す。
【0003】
Btkが自己免疫疾患及び炎症性疾患に果たす役割の証拠は、Btk欠損マウスモデルによっても提供されている。全身性エリテマトーデス(SLE)の前臨床マウスモデルにおいて、Btk欠損マウスは疾患の進行の著明な改善を示す。加えて、Btk欠損マウスはコラーゲン誘発性関節炎に抵抗性である(Jansson and Holmdahl Clin. Exp. Immunol. 1993 94:459)。選択的Btk阻害剤は、マウス関節炎モデルにおいて用量依存的な有効性が実証されている(Pan et al., Chem. Med Chem. 2007 2:58-61)。
【0004】
Btkはまた、疾患プロセスに関与しうるB細胞以外の細胞によっても発現される。例えば、Btkは肥満細胞によって発現され、Btk欠損骨髄由来の肥満細胞は、抗原誘導性脱顆粒の障害を示す(Iwaki et al. J. Biol. Chem. 2005 280:40261)。このことは、Btkがアレルギー及び喘息などの病的肥満細胞反応の処置に有用でありうることを示している。さらに、Btk活性を欠損するXLA患者由来の単球は、刺激後にTNFαの産生減少を示す(Horwood et al. J Exp Med 197:1603, 2003)。したがって、TNFαが仲介する炎症は、Btkの小分子阻害剤によって調節することができよう。また、Btkはアポトーシスに役割を果たすと報告されていることから(Islam and Smith Immunol Rev. 2000 178:49)、Btk阻害剤はある種のB細胞リンパ腫及び白血病の処置に有用であろう(Feldhahn et al. J. Exp. Med. 2005 201:1837)。
【0005】
本発明は、新規な5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン誘導体及び6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン誘導体、特に一般式I、II、III又はIV:
【0006】
【化1】


[式中、
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;ここで、
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり、場合によりR1’で置換されており;ここで、R1’は、低級アルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、又は低級ハロアルキルであり;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)N(R2’)、−(CH、又は−S(=O)であり;ここで、R2’は、H又は低級アルキルであり;qは、1、2、又は3であり;
は、H又はRであり;ここで、Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、場合により一つ又は複数の低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、低級アルキルスルホニル、又は低級ハロアルキルで置換されており;
Xは、CH又はNであり;
Qは、Nであり;
は、H又は低級アルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;ここで、Y2aは、H又はハロゲンであり;Y2bは、場合により一つ又は複数のY2b’で置換された低級アルキルであり;Y2b’は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立してY2’a又はY2’bであり;ここで、Y2’aはハロゲンであり;Y2’bは、場合により一つ又は複数のY2’b’で置換された低級アルキルであり;ここで、Y2’b’は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又はハロゲンであり;
nは、0、1、2、又は3であり;
は、H、ハロゲン、又は低級アルキルであり、ここで、低級アルキルは、場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換されており;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;ここで、
4aは、H又はハロゲンであり;
4bは、場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、及び低級アルコキシから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換された低級アルキルであり;
4cは、場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、及び低級アルコキシから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換された低級シクロアルキルであり;そして
4dは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたアミノである]
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
さらに具体的には、本発明は、式I、II、III又はIV:
【0008】
【化2】


[式中、
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;ここで、
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり、場合により、R1’で置換されており;ここで、R1’は、低級アルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、又は低級ハロアルキルであり;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)N(R2’)、−(CH、又は−S(=O)であり;ここで、R2’は、H又は低級アルキルであり;qは、1、2、又は3であり;
は、H又はRであり;ここで、Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、場合により一つ又は複数の低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、低級アルキルスルホニル、又は低級ハロアルキルで置換されており;
Xは、CH又はNであり;
は、H又は低級アルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;ここで、Y2aは、H又はハロゲンであり;Y2bは、場合により一つ又は複数のY2b’で置換された低級アルキルであり;Y2b’は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立してY2’a又はY2’bであり;ここで、Y2’aはハロゲンであり;Y2’bは、場合により一つ又は複数のY2’b’で置換された低級アルキルであり;ここで、Y2’b’は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又はハロゲンであり;
nは、0、1、2、又は3であり;
は、H、ハロゲン、又は低級アルキルであり、ここで、低級アルキルは、場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換されており;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;ここで、
4aは、H又はハロゲンであり;
4bは、場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ及び低級アルコキシから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換された低級アルキルであり;
4cは、場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、及び低級アルコキシから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換された低級シクロアルキルであり;
4dは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたアミノである]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
第一の態様では、本発明は、Yがメチルである、式I、II、III又はIVで示される化合物を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、XがCHである、式I、II、III又はIVで示される化合物を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、mが0である、式I、II、III又はIVで示される化合物を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、nが0である、式I、II、III又はIVで示される化合物を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、Yが、メチル又はヒドロキシメチルである、式I、II、III又はIVで示される化合物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、式I、II、III又はIV[式中、Yは、低級アルキル;又は式(a)
【化3】


(ここで、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである)で示される基;又は式(b)
【化4】


(ここで、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである)
で示される基;又は式(c)
【化5】


(ここで、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである)で示される基;又は式(d)
【化6】


(ここで、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである)で示される基である]で示される化合物を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、式I、II、III又はIV[式中、Rは、−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである]で示される化合物を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、式I、II、III又はIV[式中、Rは−R−Rであり、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは低級アルキルである]で示される化合物を提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、式Iで示される化合物を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、式I[式中、Yはメチルである]で示される化合物を提供する。
【0019】
別の態様では、本発明は、式I[式中、XはCHである]で示される化合物を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、式I[式中、mは0であり、nは0である]で示される化合物を提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、式I[式中、Yはヒドロキシメチルである]で示される化合物を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、式I[式中、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、mは0であり、nは0である]で示される化合物を提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、式I[式中、XはCHであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、mは0であり、nは0である]で示される化合物を提供する。
【0024】
本発明は、式I[式中、Yは、式(a)
【化7】


(ここで、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである)で示される基である]で示される化合物を提供する。
【0025】
本発明は、式I[式中、Yは、式(b)
【化8】


(ここで、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである)で示される基である]で示される化合物を提供する。
【0026】
本発明は、式I[式中、Yは、式(c)
【化9】


(ここで、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである)で示される基である]で示される化合物を提供する。
【0027】
本発明は、式I[式中、Yは、式(d)
【化10】


(ここで、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである)で示される基である]で示される化合物を提供する。
【0028】
本発明は、式I[式中、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである]で示される化合物を提供する。
【0029】
式Iの一態様では、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0030】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0031】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0032】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルである。
【0033】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはNであり、nは0でありmは0である。
【0034】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0035】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0036】
式Iの一態様では、Yはメチルである。
【0037】
式Iの一態様では、Yはヒドロキシエチルである。
【0038】
式Iの一態様では、Yはハロゲンである。
【0039】
式Iの一態様では、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0040】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0041】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0042】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0043】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシエチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0044】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはハロゲンであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0045】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0046】
式Iの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0047】
式Iの一態様では、Yは低級アルキルである。
【0048】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは低級アルキルである。
【0049】
式Iの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0050】
式Iの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0051】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0052】
式Iの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0053】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0054】
式Iの上記態様の一変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0055】
式Iの上記態様の別の変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0056】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0057】
式Iの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0058】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0059】
式Iの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0060】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0061】
式Iの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0062】
式Iの一態様では、Yはメチルであり、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0063】
別の態様では、本発明は、式IIで示される化合物を提供する。
【0064】
本発明は、式II[式中、Yはメチルである]で示される化合物を提供する。
【0065】
本発明は、式II[式中、XはCHである]で示される化合物を提供する。
【0066】
本発明は、式II[式中、mは0であり、nは0である]で示される化合物を提供する。
【0067】
本発明は、式II[式中、Yはヒドロキシメチルである]で示される化合物を提供する。
【0068】
本発明は、式II[式中、Yは、式(a)(ここで、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである)で示される基である]で示される化合物を提供する。
【0069】
式IIの一態様では、XはNである。
【0070】
式IIの一態様では、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0071】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0072】
式IIの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0073】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0074】
式IIの一態様では、Yはメチルである。
【0075】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシエチルである。
【0076】
式IIの一態様では、Yはハロゲンである。
【0077】
式IIの一態様では、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0078】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0079】
式IIの一態様では、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0080】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0081】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0082】
式IIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0083】
式IIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0084】
式IIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合により、R1’で置換されたピラゾリルである。
【0085】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0086】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0087】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0088】
式IIの一態様では、Yは低級アルキルである。
【0089】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは低級アルキルである。
【0090】
式IIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0091】
式IIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0092】
式IIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0093】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは低級アルキルである。
【0094】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは低級アルキルである。
【0095】
式IIの一態様では、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0096】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0097】
式IIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rはフェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0098】
式IIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0099】
式IIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0100】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0101】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0102】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0103】
式IIの一態様では、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0104】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0105】
式IIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0106】
式IIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0107】
式IIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0108】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0109】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0110】
式IIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0111】
式IIの一態様では、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0112】
式IIの一態様では、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0113】
式IIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0114】
式IIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0115】
式IIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0116】
式IIの一態様では、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0117】
式IIの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0118】
式IIの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0119】
別の態様では、本発明は、式IIIで示される化合物を提供する。
【0120】
本発明は、式III[式中、Yはメチルであり、XはCHである]で示される化合物を提供する。
【0121】
本発明は、式III[式中、mは0であり、nは0である]で示される化合物を提供する。
【0122】
本発明は、式III[式中、Yはヒドロキシメチルである]で示される化合物を提供する。
【0123】
式IIIの一態様では、Yはメチルである。
【0124】
式IIIの一態様では、Yはメチルであり、nは0であり、mは0である。
【0125】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0である。
【0126】
式IIIの一態様では、XはNである。
【0127】
式IIIの一態様では、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはNである。
【0128】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはNである。
【0129】
式IIIの一態様では、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはCHである。
【0130】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはCHである。
【0131】
式IIIの一態様では、XはCHである。
【0132】
式IIIの一態様では、Yはメチルである。
【0133】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシエチルである。
【0134】
式IIIの一態様では、Yはハロゲンである。
【0135】
式IIIの一態様では、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0136】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはCHであり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0137】
式IIIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0138】
式IIIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0139】
式IIIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0140】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはNであり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0141】
式IIIの一態様では、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0142】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはCHであり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0143】
式IIIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rはフェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0144】
式IIIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0145】
式IIIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0146】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはNであり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0147】
式IIIの一態様では、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0148】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはCHであり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキル]で示される基である。
【0149】
式IIIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0150】
式IIIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0151】
式IIIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0152】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはNであり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0153】
式IIIの一態様では、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0154】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはCHであり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0155】
式IIIの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0156】
式IIIの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0157】
式IIIの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0158】
式IIIの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、nは0であり、mは0であり、XはNであり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0159】
別の態様では、本発明は、式IVで示される化合物を提供する。
【0160】
本発明は、式IV[式中、Yはメチルであり、XはCHである]で示される化合物を提供する。
【0161】
本発明は、式IV[式中、mは0であり、nは0である]で示される化合物を提供する。
【0162】
本発明は、式IV[式中、Yはヒドロキシメチルである]で示される化合物を提供する。
【0163】
式IVの一態様では、Yはメチルである。
【0164】
式IVの一態様では、XはNである。
【0165】
式IVの一態様では、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0166】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0167】
式IVの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0168】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0である。
【0169】
式IVの一態様では、Yはメチルである。
【0170】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシエチルである。
【0171】
式IVの一態様では、Yはハロゲンである。
【0172】
式IVの一態様では、XはCHである。
【0173】
式IVの一態様では、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0174】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0175】
式IVの一態様では、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0176】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0である。
【0177】
式IVの一態様では、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0178】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0179】
式IVの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0180】
式IVの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0181】
式IVの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0182】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(a)[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0183】
式IVの一態様では、Yは低級アルキルである。
【0184】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは低級アルキルである。
【0185】
式IVの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0186】
式IVの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0187】
式IVの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合により、R1’で置換されたピラゾリルである。
【0188】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは低級アルキルである。
【0189】
式IVの一態様では、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0190】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0191】
式IVの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0192】
式IVの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0193】
式IVの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0194】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(b)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0195】
式IVの一態様では、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0196】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0197】
式IVの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0198】
式IVの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0199】
式IVの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合により、R1’で置換されたピラゾリルである。
【0200】
式IVの一態様では、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(c)[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基である。
【0201】
式IVの一態様では、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0202】
式IVの一態様では、Yはメチルであり、XはCHであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0203】
式IVの上記態様の一変形では、Rは−R−R−Rであり;ここで、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである。
【0204】
式IVの上記態様の別の変形では、Rは−R−Rであり;ここで、RはC(=O)NHであり;Rは、H又はRであり;Rは低級アルキルである。
【0205】
式IVの上記態様のなお別の変形では、RはRであり;Rは、場合によりR1’で置換されたピラゾリルである。
【0206】
式IVの一態様では、Yはメチルであり、XはNであり、nは0であり、mは0であり、Yは、式(d)[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である。
【0207】
別の態様では、本発明は、下記の表Iに挙げられる化合物から成る群より選択される化合物を提供する。
【0208】
本発明は、炎症状態及び/又は自己免疫状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、式I〜IVのいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0209】
本発明は、関節炎を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、式I〜IVのいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0210】
本発明は、関節リウマチを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0211】
本発明は、喘息を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0212】
本発明は、狼瘡を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0213】
本発明は、炎症状態及び/又は自己免疫状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0214】
本発明は、関節炎を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0215】
本発明は、B細胞の増殖を阻害する方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0216】
本発明は、Btk活性を阻害するための方法であって、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供し、ここで、そのBtk阻害剤化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて50マイクロモル濃度以下のIC50を示す。
【0217】
上記方法の一変形では、Btk阻害剤化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて100ナノモル濃度以下のIC50を示す。
【0218】
上記方法の一変形では、その化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて10ナノモル濃度以下のIC50を示す。
【0219】
本発明は、炎症状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物と組み合わせて抗炎症性化合物の治療有効量を同時投与することを含む方法を提供する。
【0220】
本発明は、関節炎を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物と組み合わせて抗炎症性化合物の治療有効量を同時投与することを含む方法を提供する。
【0221】
本発明は、リンパ腫又はBCR−ABL1白血病細胞を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することによる方法を提供する。
【0222】
本発明は、少なくとも一つの薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と混合された、上式又はその変形のいずれか一つで示されるBtk阻害剤化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0223】
本発明は、式I−1〜I−3、II−1〜II−4、III−1〜III−14、及びIV−1〜IV−4[式中、可変部Q、R、X、Y、Y、Y、Y、n、及びmは、本明細書において上記と同義である]で示されるBtk阻害剤化合物を含む、一般式I〜IVで示される化合物を提供する。
【0224】
本発明の一態様では、式I−1〜I−3で示される、例示されたBtk阻害剤化合物を含む、一般式Iで示される化合物が提供される。本発明の別の態様では、式II−1〜II−4で示される、例示されたBtk阻害剤化合物を含む、一般式IIで示される化合物が提供される。本発明のなお別の態様では、式III−1〜III−14で示される、例示されたBtk阻害剤化合物を含む、一般式IIIで示される化合物が提供される。本発明のなお別の態様では、式IV−1〜IV−4で示される、例示されたBtk阻害剤化合物を含む、一般式IVで示される化合物が提供される。
【0225】
「本明細書において上記と同義の」という語句は、本明細書又は最も広い請求項に提供されたような、各基についての最も広い定義を表す。提供される全ての他の局面、変形及び態様では、各態様に存在しうる置換基であって、明白に定義されていない置換基は、本明細書に提供される最も広い定義を有する。
【0226】
一般式I〜IVの化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)を阻害する。上流のキナーゼによるBtkの活性化は、ホスホリパーゼCの活性化を招き、ホスホリパーゼCは、今度は炎症性メディエーターの放出を刺激する。5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン及び6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン環系に3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン、2H−イソキノリン−1−オン、3H−キナゾリン−4−オン、1H−キノリン−4−オン、2H−フタラジン−1−オン、又は3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]チアジン1,1−ジオキシドの置換側鎖を組み入れている、一般式I〜IVで示される化合物は、該二環式側鎖を有さないアナログに比べて予想外に高い阻害活性を示す。さらに、Yが場合によりヒドロキシで置換された低級アルキルのとき、阻害活性は高まる。Yがヒドロキシメチルのとき、阻害活性は高まる。式I〜IVで示される化合物は、関節炎及び他の炎症性疾患及び自己免疫疾患の処置に有用である。したがって、式I〜IVで示される化合物は、関節炎の処置に有用である。式I〜IVで示される化合物は、細胞におけるBtkを阻害するために、及びB細胞の発生を調節するために有用である。本発明は、さらに、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と混合された、式I〜IVで示される化合物を含有する薬学的組成物を含む。
【0227】
本明細書に使用するときの「a」又は「an」実体という語句は、一つ又は複数のその実体を表し;例えば、「a」化合物は、一つ若しくは複数の化合物又は少なくとも一つの化合物を表す。そのような場合、「a」(又は「an」)、「一つ又は複数」、及び「少なくとも一つ」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。
【0228】
「本明細書において上記と同義の」という語句は、本明細書又は最も広いクレームに提供されるものと同じ、各基についての最も広い定義を表す。下に提供された全ての他の態様において、各態様に存在しうる置換基であって、かつ明確に定義されない置換基は、本明細書に提供される最も広い定義を有する。
【0229】
クレームの移行句であろうと特徴部分であろうと、本明細書に使用するときの「含む」及び「含んでいる」という用語は、制限のない(open-ended)意味を有するとして解釈すべきである。すなわち、これらの用語は、「少なくとも有する」又は「少なくとも含んでいる」という語句と同義に解釈すべきである。工程の文脈で使用するとき、「含んでいる」という用語は、その工程が、少なくとも列挙された段階を含むが、追加の段階を含みうることを意味する。化合物又は組成物の文脈で使用するとき、「含んでいる」という用語は、その化合物又は組成物が、少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素もまた含みうることを意味する。
【0230】
特に具体的に示さない限り、本明細書に使用するときの「又は」という語は、「及び/又は」の「包括的な」意味で使用され、「どちらか一方」の「排他的な」意味で使用されない。
【0231】
「独立して」という用語は、本明細書において同じ化合物内に同じ又は異なる定義を有する可変部の存在又は不在を考慮せずに、可変部が任意の一つの場合に適用されることを示すために使用される。したがって、R”が2回出現し、「独立して炭素又は窒素」と定義される化合物では、両方のR”は炭素でありうるか、両方のR”は窒素でありうるか、又は一方のR”は炭素で、他方は窒素でありうる。
【0232】
本発明において採用又は請求された化合物を表現及び説明している任意の部分又は式に任意の可変部が1回を超えて出現する場合、出現毎のそれの定義は、その他全ての出現でのそれの定義に依存しない。また、当該化合物の結果として安定な化合物が生じる場合にだけ、置換基及び/又は可変部の組み合わせが許される。
【0233】
結合の末端の記号「*」又は結合を経由して描かれた「------」は、それぞれ、官能基又は他の化学的部分から、それが一部分をなす分子の残りへの結合点を表す。したがって、例えば:
【0234】
【化11】


である。
【0235】
(別個の頂点での連結とは対照的に)環系の中に描かれた結合は、その結合が任意の適切な環原子に結合しうることを示す。
【0236】
本明細書に使用するときの「場合による」又は「場合により」という用語は、続いて記載される事象又は状況が起こりうるが、起こらなくてもよいこと、並びにその記載がその事象又は状況が起こる場合及びそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「場合により置換された」は、場合により置換された部分が水素又は置換基を組み入れうることを意味する。
【0237】
「場合による結合」という語句は、その結合が存在してもよいし、存在しなくてもよいこと、及びその記載に単結合、二重結合又は三重結合が含まれることを意味する。置換基が「結合」又は「不在」と呼ばれるならば、それらの置換基に連結する原子は、直接結合している。
【0238】
「約」という用語は、本明細書において、ほぼ、近辺、大体、又はおよそを意味するために使用される。「約」という用語が、数値範囲と共に使用される場合に、この用語は、示された数値の上下に境界を広げることによりその範囲を改変する。一般に「約」という用語は、本明細書において、20%の変動だけ既述の値の上下に数値を改変するために使用される。
【0239】
式I〜IVで示されるある化合物は、互変異性を示しうる。互変異性化合物は、二つ以上の相互変換可能な種として存在しうる。プロトン移動性の互変異性体は、共有結合した水素原子が2個の原子の間で移動することに起因する。互変異性体は、一般に、平衡状態で存在し、個別の互変異性体を単離する試みは、普通、化学的及び物理的性質が化合物の混合物と一致する混合物を生じさせる。平衡の位置は、分子内の化学的特徴に依存する。例えば、アセトアルデヒドなどの多数の脂肪族アルデヒド及びケトンでは、ケト形が優勢であるが、一方でフェノールではエノール形が優勢である。一般的なプロトン移動性の互変異性体には、ケト/エノール(−C(=O)−CH−/−C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(−C(=O)−NH−/−C(−OH)=N−)及びアミジン(−C(=NR)−NH−/−C(−NHR)=N−)互変異性体が挙げられる。後者の二つは、特にヘテロアリール環及び複素環に一般的であり、本発明は、化合物の全ての互変異性形態を包含する。
【0240】
本明細書に使用される技術用語及び科学用語は、特に定義しない限り、本発明が属する技術分野の技術者に一般に理解される意味を有する。本明細書において当業者に公知の様々な方法及び材料が参照される。薬理学の一般原理を説明している標準的な参考文献には、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics、10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001)が挙げられる。当業者に公知の任意の適切な材料及び/又は方法を、本発明の実施に利用することができる。しかし、好ましい材料及び方法を説明する。下記の説明及び実施例に参照される材料、試薬などは、特に注記しない限り市販の販売元から入手することができる。
【0241】
本明細書に記載される定義は、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」などのように、化学的に関連する組み合わせを形成するために付け加えることができる。「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」の中のように、「アルキル」という用語が別の用語の後の接尾語として使用される場合に、これは、他の具体的に挙げられた基より選択される1〜2個の置換基で置換されている、上記と同義のアルキル基を表すことが意図される。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を表すことから、それには、ベンジル、フェニルエチル、及びビフェニルが含まれる。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピルなどが含まれる。したがって、本明細書に使用するときの「ヒドロキシアルキル」という用語は、下記に定義されるヘテロアルキル基のサブセットを定義するために使用される。−(アル)アルキルという用語は、非置換アルキル基又はアラルキル基のいずれかを表す。(ヘテロ)アリール又は(ヘト)アリールという用語は、アリール基又はヘテロアリール基のいずれかを表す。
【0242】
本明細書に使用するときの「アシル」という用語は、式−C(=O)R[式中、Rは、水素又は本明細書において同義の低級アルキルである]で示される基を意味する。この用語又は本明細書に使用するときの「アルキルカルボニル」は、式C(=O)R[式中、Rは、本明細書において同義のアルキルである]で示される基を意味する。C1−6アシルという用語は、6個の炭素原子を有する基−C(=O)Rを表す。本明細書に使用するときの「アリールカルボニル」という用語は、式C(=O)R[式中、Rはアリール基である]で示される基を意味し、「本明細書に使用するときの「ベンゾイル」という用語は、Rがフェニルである「アリールカルボニル」基を意味する。
【0243】
本明細書に使用するときの「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する非分岐又は分岐鎖、飽和、一価炭化水素残基を意味する。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素残基を意味する。本明細書に使用するときの「C1−10アルキル」は、1〜10個の炭素から構成されるアルキルを表す。アルキル基の例には、非限定的に、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル又はペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルなどの低級アルキル基が含まれる。
【0244】
「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように、「アルキル」という用語を別の用語に続く接尾語として使用される場合に、これは、他の具体的に挙げられた基より選択される1〜2個の置換基で置換されている、上記と同義のアルキル基を表すことが意図される。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、R’R”−基を示し、ここで、R’はフェニル基であり、R”は、本明細書において同義のアルキレン基であり、フェニルアルキル部分の結合点がアルキレン基にあることが了解されている。アリールアルキル基の例には、非限定的に、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルが挙げられる。「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は、R’がアリール基である以外は、同様に解釈される。「(ヘト)アリールアルキル」又は「(ヘト)アラルキル」という用語は、R’が、場合によりアリール又はヘテロアリール基である以外は、同様に解釈される。
【0245】
本明細書に使用するときの「アルキレン」又は「アルキレニル」という用語は、特に示さない限り、1〜10個の炭素原子の二価飽和直鎖炭化水素基(例えば(CH)又は2〜10個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素基(例えば−CHMe−又は−CHCH(i−Pr)CH−)を意味する。メチレンの場合を除き、アルキレン基の空の結合の手は、同じ原子に結合しない。アルキレン基の例には、非限定的に、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンが挙げられる。
【0246】
本明細書に使用するときの「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味し、ここで、アルキルは、上記と同義であり、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなど(それらの異性体を含む)である。本明細書に使用するときの「低級アルコキシ」は、前記と同義の「低級アルキル」基を有するアルコキシ基を意味する。本明細書に使用するときの「C1−10アルコキシ」は、アルキルがC1−10の−O−アルキルを表す。
【0247】
本明細書に使用するときの「アルコキシアルキル」という用語は、R’R”−基を表し、ここで、R’は、本明細書において同義のアルコキシ基であり、R”は、本明細書において同義のアルキレン基であり、アルコキシアルキル部分の結合点は、アルキレン基にあることが了解されている。C1−6アルコキシアルキルは、アルキル部分が、その基のアルコキシ部分の炭素原子を除いて1〜6個の炭素原子から構成される基を示す。C1−3アルコキシ−C1−6アルキルは、アルキル部分が1〜6個の炭素原子から構成され、アルコキシ基が1〜3個の炭素である基を意味する。例は、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロピルオキシプロピル、メトキシブチル、エトキシブチル、プロピルオキシブチル、ブチルオキシブチル、t−ブチルオキシブチル、メトキシペンチル、エトキシペンチル、プロピルオキシペンチル、及びそれらの異性体である。
【0248】
本明細書に使用するときの「ヒドロキシアルキル」という用語は、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子がヒドロキシル基により置き換えられている、本明細書において同義のアルキル基を意味する。
【0249】
本明細書に使用するときの「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」という用語は、式−S(=O)R[式中、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、アルキル及びアリールは、本明細書において同義である]で示される基を表す。本明細書に使用するときの「ヘテロアルキルスルホニル」という用語は、式−S(=O)R[式中、Rは、本明細書において同義の「ヘテロアルキル」である]で示される基を意味する。
【0250】
本明細書に使用するときの「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を有する飽和炭素環、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを表す。本明細書に使用するときの「C3−7シクロアルキル」は、炭素環における3〜7個の炭素から構成されるシクロアルキルを表す。
【0251】
「アリール」は、単環式、二環式又は三環式芳香環から成る一価環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、場合により、本明細書に定義されるように置換されていてもよい。アリール部分の例には、非限定的に、場合により置換されたフェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾキサジニル、ベンゾキサジノニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニルなどが挙げられる。アリール基は、場合により、本明細書において同義のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合してもよい。ヘテロシクロアルキル基に縮合したアリール基の例には、3,4−ジヒドロ−1H−キノリン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン、及び1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンが挙げられる。好ましいアリールには、場合により置換されたフェニル及び場合により置換されたナフチルが挙げられる。
【0252】
本明細書に使用するときの「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」という用語は、1環あたり4〜8個の原子を含む少なくとも1個の芳香環(一つ又は複数のN、O、又はSヘテロ原子を組み入れ、残りの環原子は炭素である)を有する、環原子が5〜12個の単環又は二環基を意味し、ヘテロアリール基の結合点は芳香環にあることが了解されている。当業者に周知のように、ヘテロアリール環は、全部炭素の対応物よりも芳香族特性が低い。したがって、本発明のためには、ヘテロアリール基は、芳香族特性をある程度だけ有すればよい。ヘテロアリール部分の例には、5〜6個の環原子及び1〜3個のヘテロ原子を有する単環式芳香族複素環が含まれ、それには、非限定的に、場合によりヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、低級ハロアルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル及びカルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アルキルカルボニルアミノ及びアリールカルボニルアミノより選択される一つ又は複数の、好ましくは一つ又は二つの置換基で置換されていてもよいピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾリン、チアジアゾール及びオキサジアキソリンが含まれる。二環式部分の例には、非限定的に、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール及びベンズイソチアゾールが含まれる。二環式部分は、場合によりどちらの環で置換されていてもよいが、結合点は、ヘテロ原子を有する環にある。
【0253】
本明細書に使用するときの「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環」という用語は、一つ又は複数の環ヘテロ原子(N、O又はS(O)0−2より選択される)を組み入れている1環あたり3〜8個の原子の、一つ又は複数の縮合環又はスピロ環、好ましくは1〜2個の環から成る1価飽和環式基であって、特に示さない限り、場合によりヒドロキシ、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、低級ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノより選択される一つ又は複数の、好ましくは一つ又は二つの置換基で独立して置換されていてもよい1価飽和環式基を意味する。複素環式基の例には、非限定的に、アゼチジニル、ピロリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、キヌクリジニル及びイミダゾリニルが挙げられる。
【0254】
通例使用される略語には:アセチル(Ac)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、気圧(Atm)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN又はBBN)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ジ−tert−ブチルピロカーボネート又はboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカルアブストラクト(Chemical Abstracts)登録番号(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)、ジベンジリデンアセトン(dba)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジ−イソ−プロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL又はDIBAL−H)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N、N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソ−プロパノール(IPA)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−カルボン酸無水物(NCA)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、ピリジニウムジクロメート(PDC)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソ−プロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rt又はRT)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMeSi(TBDMS)、トリエチルアミン(TEA又はEtN)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、トリフレート又はCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリル又はMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−CSO−又はトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)が挙げられる。接頭辞ノルマル(n)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)及びネオを含めた従来の命名法は、アルキル部分と共に使用された場合に、それらの慣例的な意味を有する。(Rigaudy and Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
【0255】
本明細書に使用するときの「関節炎」という用語は、急性リウマチ性関節炎、慢性関節リウマチ、クラミジア関節炎、慢性吸収性関節炎、乳び関節炎、腸疾患に基づく関節炎、フィラリア性関節炎、淋菌性関節炎、痛風性関節炎、血友病関節炎、肥厚性関節炎、若年性慢性関節炎、ライム関節炎、新生ウマ関節炎、結節性関節炎、アルカプトン尿性関節炎、乾癬性関節炎若しくは化膿性関節炎、又は哺乳動物にBTKを阻害するために十分な用量で式I〜Vで示される化合物の治療有効用量を投与することを必要とする関連疾患を意味する。
【0256】
本発明の化合物は、自己免疫状態又は自己免疫障害を有する対象を処置するために使用することができる。本明細書に使用するときの「自己免疫状態」という用語及び類似の用語は、動物の免疫系により引き起こされる疾患、障害又は状態を意味する。自己免疫障害は、動物自身の免疫系が誤って自己を攻撃することによって、その動物自身の身体の細胞、組織、及び/又は器官をターゲティングする障害である。例えば、自己免疫反応は、多発性硬化症では神経系に、そしてクローン病では腸管に向けられる。全身性エリテマトーデス(狼瘡)などの他の自己免疫障害では、発症する組織及び器官は、同じ疾患を有する個体の間で変動することがある。狼瘡患者には皮膚及び関節に発症する者もいれば、皮膚、腎臓、及び肺に発症する者もいる。最終的に、1型糖尿病における膵臓のインスリン産生細胞の破壊と同様に、免疫系によるある組織への損傷は永続的でありうる。本発明の化合物及び方法を用いて改善することのできる特定の自己免疫障害には、非限定的に、神経系の自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレーなどの自己免疫性神経障害、及び自己免疫性ぶどう膜炎)、血液の自己免疫障害(例えば、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、及び自己免疫性血小板減少症)、血管の自己免疫障害(例えば、側頭動脈炎、抗リン脂質症候群、ウェゲナー肉芽腫症などの血管炎、及びベーチェット病)、皮膚の自己免疫障害(例えば、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、及び白斑)、消化器系の自己免疫障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、及び自己免疫性肝炎)、内分泌腺の自己免疫障害(例えば、1型糖尿病又は免疫介在糖尿病、ブレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、及び副腎の自己免疫障害);並びに多器官の自己免疫障害(結合組織及び筋骨格系の疾患を含む)(例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎などの脊椎関節症、及びシェーグレン症候群)又はBTKを阻害するために十分な用量で式I〜Vで示される化合物の治療有効用量を哺乳動物に投与することが必要な関連疾患が挙げられる。加えて、移植片対宿主病及びアレルギー障害などの、他の免疫系介在性疾患もまた、本明細書における免疫障害の定義に含まれる。いくつかの免疫障害が炎症によって起こることから、免疫障害と見なされる障害と炎症障害と見なされる障害の間に幾分重複がある。本発明においてそのような重複する障害の場合に、それを免疫障害又は炎症障害のいずれかとみなすことができる。本明細書における「免疫障害の処置」は、免疫障害、そのような疾患の症状、又はそのような疾患の素質を有する対象に、その自己免疫障害、その症状、又はその素質を治療、軽減、変更する、それに作用する、又はそれを予防するために、本発明の化合物又は組成物を投与することを表す。
【0257】
本明細書に使用するときの「喘息」という用語は、可逆的な気道閉塞、気道炎症、及び様々な刺激に対する気道応答性の増加を特徴とする肺疾患、障害又は状態を意味する。
【0258】
「処置する」、「処置」、又は「処置すること」という用語は、治療的処置及び予防又は防止対策の両方を表し、ここで、その目的は、ガンの発生又は拡大などの、望まれない生理学的変化又は障害を予防又は減速させる(軽減する)ことである。有益は又は望まれる臨床的結果には、非限定的に、検出可能であろうと検出不能であろうと症状の緩和、疾患の程度の縮小、安定した(すなわち悪化していない)病状、疾患進行の遅延又は減速、病状の改善又は緩和、及び寛解(一部寛解であろうと全寛解であろうと)が挙げられる。「処置」は、また、処置を受けていない場合に予想される生存期間よりも生存期間を延長することを意味することができる。処置の必要な対象には、その状態若しくは障害をすでに有する対象及びその状態若しくは障害を起こしやすい対象又はその状態若しくは障害を予防されるべき対象が含まれる。例えば、炎症状態を処置することは、炎症の程度又は重症度を低減することを意味する。低減は、非限定的に炎症の完全な除去を意味することがある。例えば、その低減は、本明細書に開示されたか、又は当技術分野において公知である任意の適切な測定技法又はアッセイにより決定されたときの未処置対象又は対照の対象に比べて、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、若しくは100%、又はその間の任意の点の低減を含みうる。
【0259】
本発明により包含され、本発明の範囲内に属する代表的な化合物の例を、以下の表に提供する。これらの例及びそれに続く調製は、当業者が本発明をより明確に理解し実施できるように提供される。それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、それを単に例示及び代表するものとして見なすべきである。
【0260】
一般に、本明細書に使用する命名法は、IUPACの系統的な用語を作製するためのBeilstein Instituteコンピューター化システムであるAUTONOM(商標)v.4.0に基づく。描かれた構造と、その構造に与えられた名の間に矛盾があるならば、描かれた構造をより重視されたい。加えて、構造又は構造の部分の立体化学性が、例えば太線又は点線で表示されていないならば、その構造又は構造の部分は、その全ての立体異性体を包含すると解釈されたい。
【0261】
表Iは、一般式I〜IVで示されるピリジノン及びピリダジノン化合物の例を示す:
【0262】
【表1】









【0263】
本明細書に記載されるピリダジン及びピリジン誘導体は、キナーゼ阻害剤、特にBtk阻害剤である。これらの阻害剤は、哺乳動物におけるBtkの阻害及び/又はB細胞増殖の阻害に応答性の疾患を含めた、キナーゼ阻害に応答性の一つ又は複数の疾患を処置するために有用でありうる。任意の特定の理論に結びつけたいわけではないが、本発明の化合物とBtkの相互作用が、Btk活性の阻害、及びしたがってこれらの化合物の薬学的有用性を招くと考えられる。したがって、本発明は、Btk活性の阻害に応答性の疾患を有する哺乳動物、例えばヒトを処置する、及び/又はB細胞増殖を阻害する方法であって、そのような疾患を有する哺乳動物に、本明細書に提供される少なくとも一つの化学的実体の有効量を投与することを含む方法を含む。有効濃度は、例えば、化合物の血中濃度をアッセイすることにより、又は理論的にバイオアベイラビリティーを計算することにより、実験的に確認することができる。Btkに加えて影響されうる他のキナーゼには、非限定的に、他のチロシンキナーゼ及びセリン/トレオニンキナーゼが含まれる。
【0264】
キナーゼは、増殖、分化、及び死滅(アポトーシス)などの基本的細胞過程をコントロールするシグナル伝達経路に顕著な役割を果たす。異常なキナーゼ活性は、複数のガン、自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患、及び急性炎症反応を含めた広範囲の疾患に関連づけられている。キナーゼが主要な細胞シグナル伝達経路に果たす多面的な役割は、キナーゼ及びシグナル伝達経路をターゲティングする新規な薬物を同定する重大な機会を提供する。
【0265】
一態様には、Btk活性及び/又はB細胞増殖の阻害に応答性の自己免疫疾患及び/若しくは炎症性疾患、又は急性炎症反応を有する患者を処置する方法が含まれる。
【0266】
本発明に記載の化合物及び組成物を使用して影響されうる自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患には、非限定的に、乾癬、アレルギー、クローン病、過敏性腸症候群、シェーグレン病、組織移植片拒絶、及び超急性移植器官拒絶反応、喘息、全身性エリテマトーデス(及び関連する糸球体腎炎)、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎(ANCA関連性及びその他の血管炎)、自己免疫性溶血状態及び血小板減少状態、グッドパスター症候群(並びに関連する糸球体腎炎及び肺出血)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血症性ショック、及び重症筋無力症が挙げられる。
【0267】
本明細書に含まれるのは、本明細書に提供される少なくとも一つの化学的実体が抗炎症剤と組み合わせて投与される処置方法である、抗炎症剤には、非限定的に、NSAID、非特異性及びCOX−2特異性シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキサート、腫瘍壊死因子(TNF)レセプターアンタゴニスト、免疫抑制剤並びにメトトレキサートが挙げられる。
【0268】
NSAIDの例には、非限定的に、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン及びナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの組み合わせ、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ケトプロフェン、ナトリウムナブメトン、スルファサラジン、トルメチンナトリウム、及びヒドロキシクロロキンが挙げられる。NSAIDの例には、また、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ及び/又はエトリコキシブなどのCOX−2特異的阻害剤が挙げられる。
【0269】
いくつかの態様では、抗炎症剤はサリチル酸塩である。サリチル酸塩には、非限定的に、アセチルサリチル酸又はアスピリン、サリチル酸ナトリウム、並びにコリン及びサリチル酸マグネシウムが挙げられる。
【0270】
抗炎症剤は、また、コルチコステロイドでありうる。例えば、コルチコステロイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、又はプレドニゾンでありうる。
【0271】
追加的な態様では、抗炎症剤は、金チオリンゴ酸ナトリウム又はオーラノフィンなどの金化合物である。
【0272】
本発明には、また、抗炎症剤が、メトトレキサートなどのデヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤又はレフルノミドなどのジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ阻害剤である態様が含まれる。
【0273】
本発明の他の態様は、少なくとも一つの抗炎症化合物が抗C5モノクローナル抗体(エクリズマブ又はペキセリズマブ)、エンタネルセプト(entanercept)などのTNFアンタゴニスト、又は抗TNFαモノクローナル抗体インフリキシマブである組み合わせに関する。
【0274】
本発明のなお他の態様は、少なくとも一つの活性薬剤が、メトトレキサート、レフルノミド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン、及びミコフェノール酸モフェチルより選択される免疫抑制化合物などの免疫抑制化合物である。
【0275】
BTKを発現しているB細胞及びB細胞前駆細胞は、非限定的に、B細胞リンパ腫、(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含めた)リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、慢性及び急性骨髄性白血病並びに慢性及び急性リンパ性白血病が含まれるB細胞悪性腫瘍の病状に関連づけられている。
【0276】
BTKは、B系列リンパ系細胞におけるFas/APO−1(CD−95)細胞死誘導シグナル複合体(DISC)の阻害因子であることが示された。白血病/リンパ腫細胞の運命は、DISCによって活性化されるカスパーゼの相反するアポトーシス促進効果とBTK及び/又はその基質が関与する上流の抗アポトーシス調節メカニズムの間のバランスに帰することができる(Vassilev et al., J. Biol. Chem. 1998, 274, 1646-1656)。
【0277】
BTK阻害剤は化学感作剤として有用であることから、他の化学療法剤、特にアポトーシスを誘導する薬物と組み合わせて有用であることもまた発見された。化学感作性BTK阻害剤と組み合わせて使用することのできる他の化学療法薬の例には、トポイソメラーゼI阻害剤(カンプトテシン又はトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えばダウノマイシン及びエトポシド)、アルキル化剤(例えばシクロホスファミド、メルファラン及びBCNU)、チューブリンに対する薬剤(例えばタキソール及びビンブラスチン)、及び生物学的薬剤(例えば抗CD20抗体、IDEC8、免疫毒素、及びサイトカインなどの抗体)が挙げられる。
【0278】
Btk活性は、また、9番及び22番染色体の部分の転座に起因するbcr−abl融合遺伝子を発現しているいくつかの白血病に関連している。この異常は、慢性骨髄性白血病で通常観察される。Btkは、bcr−abl細胞において下流の生存シグナルを開始するbcr−ablキナーゼにより構成的にリン酸化され、アポトーシスを回避する(Feldhahn et al. J. Exp. Med. 2005 201(11):1837-1852)。
【0279】
本発明の化合物は、広範な種類の経口投与剤形及び担体に入れて製剤化することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、ゼラチン硬カプセル及び軟カプセル、液剤、乳剤、シロップ剤、又は懸濁剤の形態でありうる。本発明の化合物は、他の投与経路により投与した場合に有効であり、数ある投与経路の中で連続(静脈内点滴)、局所非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(透過促進剤を含みうる)、頬側、鼻腔内、吸入及び坐剤投与を含めた、他の投与経路により投与した場合に有効である。好ましい投与方式は、一般に、苦痛の程度及び活性成分に対する患者の応答に応じて調整できる好都合な1日投薬方式を使用した経口である。
【0280】
本発明の一つ又は複数の化合物と同様にそれらの薬学的に使用可能な塩は、一つ又は複数の従来の賦形剤、担体又は希釈剤と一緒に、薬学的組成物の形態及び1回投薬の形態にすることができる。薬学的組成物及び1回投薬剤形は、追加的な活性化合物又は主薬の存在下又は不在下で、従来の成分を通常の比率で含むことがあり、1回投薬剤形は、採用しようとする1日投薬範囲と釣り合った適切な有効量の任意の活性成分を含有しうる。薬学的組成物は、経口使用のための錠剤若しくは充填済みカプセル剤などの固形剤、半固形剤、散剤、徐放製剤、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、若しくは充填済みカプセル剤などの液体;又は直腸若しくは膣投与用の坐剤の形態;又は非経口使用のための滅菌注射液の形態で採用することができる。典型的な調製物は、約5〜約95重量%(w/w)の一つ又は複数の活性化合物を含有するであろう。「調製物」又は「剤形」という用語には、活性化合物の固形製剤と液体製剤の両方が含まれることが意図され、当業者は、ターゲットの器官又は組織、並びに所望の用量及び薬物動態パラメーターに応じて、活性成分を異なる調製物にしうることを認識しているであろう。
【0281】
本明細書に使用するときの「賦形剤」という用語は、一般に安全で、無毒で、生物学的にもその他の点でも望ましくないわけではない薬学的組成物を調製する上で有用な化合物を表し、それには、獣医学的使用及びヒトの薬学的使用に許容される賦形剤が含まれる。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、一般に、意図される投与経路及び標準的な薬学的診療に関して選択された一つ又は複数の適切な薬学的賦形剤、希釈剤又は担体と混合して投与されるであろう。
【0282】
「薬学的に許容される」は、一般に安全で、無毒で、生物学的にも他の点でも望ましくないわけではない薬学的組成物を調製する上で有用なことを意味し、獣医学的使用及び薬学的使用に許容されることを含む。
【0283】
活性成分の「薬学的に許容される塩」の形態は、また、非塩形態に不在であった所望の薬物動態性質を活性成分に最初に付与することができ、身体におけるその治療活性に関する活性成分の薬力学にプラスの影響さえ与えることがある。化合物の「薬学的に許容される塩」という語句は、薬学的に許容される塩であって、親化合物の所望の薬理活性を保有する塩を意味する。そのような塩には:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成した酸付加塩、又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンフルスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸と形成した酸付加塩;或いは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオンで置き換えられているか、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基に配位するかのいずれかの場合に形成する塩が挙げられる。
【0284】
固形調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒が挙げられる。固形担体は、希釈剤、着香剤、溶解補助剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤、又は封入物質としてもまた作用しうる一つ又は複数の物質でありうる。散剤中の担体は、一般に、微粉化活性構成要素と混合された微粉化固体である。錠剤中の活性構成要素は、一般に、適切な比率で必要な結合能を有する担体と混合され、所望の形状及び大きさに圧縮される。適切な担体には、非限定的に炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、カカオ脂などが挙げられる。固形調製物は、活性構成要素に加えて、着色料、着香料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、粘稠化剤、溶解補助剤などを含有しうる。
【0285】
経口投与に適した液体製剤には、また、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤などの液体製剤が挙げられる。これらには、使用直前に液体剤形調製物に変換することが意図された固形調製物が含まれる。乳剤は、溶液、例えばプロピレングリコール水溶液中で調製することができるか、又はレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、若しくはアラビアゴムなどの乳化剤を含有しうる。水性液剤は、水に活性構成要素を溶解させること、並びに適切な着色料、着香料、安定化剤及び粘稠化剤を添加することによって調製することができる。水性懸濁剤は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁化剤などの粘性物質と共に、微粉化活性構成要素を水に分散させることによって調製することができる。
【0286】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えばボーラス注射又は連続注入)用に製剤化することができ、アンプル、充填済みシリンジ、少量輸液中の1回投与形態で、又は保存料が添加された多回用容器に入れて提示することができる。これらの組成物は、油性又は水性ビヒクルに入れた懸濁剤、液剤、又は乳剤の形態、例えば水性ポリエチレングリコールに入れた液剤の形態を採りうる。油性又は非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられ、それらは、保存料、湿潤剤、乳化剤若しくは懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化用助剤を含有しうる。又は、使用前に適切なビヒクルで、例えば無菌で無発熱物質の水で構成するために、活性成分は、無菌固体の無菌的単離又は溶液からの凍結乾燥により得られた粉末形態であってもよい。
【0287】
本発明の化合物は、軟膏、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮パッチとして表皮に局所投与するために製剤化することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば適切な粘稠化剤及び/又はゲル化剤を添加した水性又は油性基剤と共に製剤化することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤と共に製剤化することができ、一般に一つ又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤又は着色料もまた含有するであろう。口内局所投与に適した製剤には、香味基剤、通常はスクロース及びアラビアゴム若しくはトラガカントに活性薬剤を含む口中錠;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;並びに適切な液体担体に活性成分を含む洗口剤が挙げられる。
【0288】
本発明の化合物は、坐剤としての投与のために製剤化することができる。脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオ脂の混合物などの低融点ろうを最初に融解させ、例えば撹拌により活性構成要素を均一に分散させる。次に、融解した均一混合物を好適な大きさの型に流し込み、冷却及び固化させる。
【0289】
本発明の化合物は、膣投与用に製剤化することができる。ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、泡剤又はスプレー剤は、活性成分に加えて、当技術分野において適切であることが公知の担体を含有する。
【0290】
本発明の化合物は、鼻腔内投与のために製剤化することができる。液剤又は懸濁剤を従来手段により、例えばスポイト、ピペット又はスプレーを用いて鼻腔に直接適用する。これらの製剤は、1回形態又は多回形態で提供することができる。スポイト又はピペットの後者の場合、これは、患者が適切な所定容量の液剤又は懸濁剤を投与することにより達成することができる。スプレー剤の場合、これは、例えば定量噴霧式スプレーポンプにより達成することができる。
【0291】
本発明の化合物は、特に呼吸器への、鼻腔内投与を含めたエアロゾル投与のために製剤化することができる。それらの化合物は、一般に、例えば5ミクロン以下程度の小さな粒子サイズを有するであろう。そのような粒子サイズは、当技術分野で公知の手段により、例えば微粒子化により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、若しくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素若しくは他の適切な気体などの適切な噴射剤と共に加圧パックの中に用意される。エアロゾルは、好都合にはまた、レシチンなどの界面活性剤を含有しうる。薬物の用量は、定量バルブによりコントロールすることができる。または、活性成分は、乾燥粉末の形態、例えば化合物の粉末混合物の形態で、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末基剤に入れて提供することができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えばゼラチンの、又はインヘラーにより粉末を投与できるブリスターパックの、例えばカプセル又はカートリッジに入れた1回形態で提示することができる。
【0292】
所望であれば、製剤は、活性成分の持続性投与又は徐放投与に適合した腸溶性コーティングを行って調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物デリバリー装置に入れて製剤化することができる。これらのデリバリーシステムは、化合物の持続性放出が必要な場合、及び患者の処置方式遵守が重大な場合に有利である。経皮デリバリーシステム中の化合物を、多くの場合に皮膚接着性固体支持体に付着させる。目的の化合物を、透過促進剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。持続性放出デリバリーシステムを外科手術又は注射により皮下の真皮下層に挿入する。真皮下植込剤は、液体可溶性のメンブラン、例えばシリコーンゴムに、又は生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸に化合物を封入している。
【0293】
適切な製剤は、薬学的担体、希釈剤及び賦形剤と一緒に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。熟練の製剤科学者は、本発明の組成物を不安定にすることなしに、又は、それらの治療活性を損なうことなしに、特定の投与経路のために数多くの製剤を提供するために、本明細書の教えの範囲内で製剤を改変することができる。
【0294】
本発明の化合物を水又は他のビヒクルに更に可溶性にするための改変は、例えば十分に当技術分野の通常の技術の範囲内である小さな改変(塩形成、エステル化など)により容易に達成することができる。患者における有益効果を最大にするために本発明の化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路及び投薬方式を改変することもまた、十分に当技術分野の通常の技術の範囲内である。
【0295】
本明細書に使用するときの「治療有効量」という用語は、個体における疾患の症状を低減するために必要な量を意味する。その用量は、各特定の場合での個別の要件に適合されよう。その投薬量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢及び全身の健康状態、患者が処置されている他の医薬、投与の経路及び形態、並びに担当医師の好み及び経験などの多数の要因に応じて広い範囲を変動するおそれがある。経口投与のために、約0.01〜約1000mg/kg体重/日の1日投薬量が単剤療法及び/又は併用療法に適切なはずである。好ましい1日投薬量は、1日あたり約0.1〜約500mg/kg体重、さらに好ましくは0.1〜約100mg/kg体重、最も好ましくは1.0〜約10mg/kg体重である。したがって、70kgのヒトへの投与について、投薬範囲は1日あたり約7mg〜0.7gであろう。1日投薬量は、1回投薬又は分割投薬として、典型的には1日1〜5回投与することができる。一般に、化合物の最適用量未満の低い投薬量で処置を開始する。その後、個別の患者について最適効果に達するまで投薬量を少しずつ増加させる。本明細書に記載された疾患の処置において、当業者は、過度の実験なしに個人の知識、経験及び本出願の開示をよりどころに、所与の疾患及び患者について本発明の化合物の治療有効量を確かめることができるであろう。
【0296】
薬学的組成物は、好ましくは1回投薬形態である。そのような形態では、調製物は適切な量の活性構成要素を含有する1回用量に細分される。1回投薬形態は、パケット入り錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤のようなパッケージされた調製物(そのパッケージは、別個の量の調製物を含む)でありうる。また、1回投薬形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、若しくはトローチ剤自体のことがあり、又はこれらのうち任意のものが適切な数でパッケージされた形態のこともある。
【0297】
【化12】

【0298】
【化13】

【0299】
【化14】

【0300】
実施例
実施例1:1−メチル−4−(6−ニトロ−ピリジン−3−イル)−ピペラジン
ジメチルスルホキシド10ml中の5−ブロモ−2−ニトロ−ピリジン(2.00g、9.85mmol)に、炭酸カリウム(2.72g、19.7mmol)、1−メチルピペラジン(1.64ml、14.8mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(36mg、0.097mmol)を加え、120℃で18時間加熱した。混合物を1M HCl水溶液で酸性化し、DCMと水に分配した。水層を、2M 炭酸ナトリウム水溶液で塩基性化し、DCMで抽出した。有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、水でトリチュレートして、1−メチル−4−(6−ニトロ−ピリジン−3−イル)−ピペラジン(1.82g、8.19mmol)を得た。MS(ESI)223.1(M+H)
【0301】
実施例2:5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミン
1−メチル−4−(6−ニトロ−ピリジン−3−イル)−ピペラジン(1.748g、7.865mmol)(実施例1)を、メタノール30ml中で、10%パラジウム担持炭175mgで、水素ガス雰囲気下で5時間撹拌した。減圧下で濾過して濃縮し、5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミン(1.485g、7.724mmol)を得た。MS(ESI)193.1(M+H)
【0302】
実施例3:5−ブロモ−1−メチル−3−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン
【0303】
【化15】

【0304】
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミン(1.06g、5.53mmol)(実施例2)、3,5−ジブロモ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン(1.23g、4.61mmol)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(400mg、0.691mmol)、および炭酸セシウム(4.50g、13.8mmol)に、1,4−ジオキサン45mlおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(422mg、0.461mmol)を加えた。これをアルゴン下で、120℃の油浴で6時間加熱した。これを、酢酸エチルと希釈重炭酸ナトリウム水溶液に分配した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離2〜5%メタノール/DCM)により精製して、5−ブロモ−1−メチル−3−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン(484mg、1.28mmol)を得た。MS(ESI)380.0(M+H)
【0305】
実施例4:5−ブロモ−1−メチル−3−(5−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン
【0306】
【化16】

【0307】
本化合物を、5−ブロモ−1−メチル−3−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オンと同様にして調製した。MS(ESI)365.0(M+H)
【0308】
実施例5:5−ブロモ−1−メチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン
【0309】
【化17】

【0310】
3,5−ジブロモ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン(469mg、1.76mmol)、1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミン(205mg、2.11mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(80mg、0.087mmol)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフタレン(82mg、0.13mmol)および炭酸セシウム(801mg、2.46mmol)を、密閉したバイアル内に、トルエン10mlで堆積させた。これを、130℃で18時間加熱した。得られた混合物を、水50mlに注いだ。これを、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン類で溶離)により精製して、5−ブロモ−1−メチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン(271mg、0.957mmol)を得た。MS(ESI)284.9(M+H)
【0311】
実施例6:5−ブロモ−1−メチル−3−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン
【0312】
【化18】

【0313】
5−ブロモ−1−メチル−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン(2.3g、5.9mmol)を、THF30ml中に溶解した。ボランTHF錯体(2.5g、29mmol)を加えた。18時間撹拌した後、これを減圧下で濃縮した。エタノールを加えた。これを、1時間還流した。これを減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5−ブロモ−1−メチル−3−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン(500mg、1.32mmol)を得た。MS(ESI)381.0(M+H)
【0314】
実施例7:(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
DMF30ml中の6−クロロ−ニコチン酸(3.00g、19.0mmol)の溶液に、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムへキサフルオロホスファート(10.9g、20.9mmol)、1−メチルピペラジン(2.30g、22.1mmol)およびトリエチルアミン(2.18g、21.5mmol)を加えた。18時間撹拌した後、これを、酢酸エチルと水に分配した。酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(3%メタノール/DCMで溶離)により精製して、(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン(2.50g、9.33mmol)を得た。
【0315】
実施例8:5−ブロモ−1−メチル−3−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン
【0316】
【化19】

【0317】
DMF10ml中の(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン(2.00g、7.46mmol)(実施例7)の溶液に、3−アミノ−5−ブロモ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン(1.80g、8.95mmol)および水素化ナトリウム(537mg、22.4mmol)を加えた。18時間撹拌した後、これを水でクエンチ(反応停止)した。これを、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離0〜5%メタノール/DCM)により精製して、5−ブロモ−1−メチル−3−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン(900mg、1.94mmol)を得た。MS(ESI)406.0(M+H)
【0318】
実施例9:2−(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−3−(3−ジメチルアミノ−フェニルアミノ)−アクリル酸エチルエステル
【0319】
【化20】

【0320】
(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−酢酸ベンジルエステル(421mg、1.32mmol)を、ギ酸エチル(2.5ml、31mmol)中に溶解した。水素化ナトリウム(95%、67mg、2.6mmol)を加えた。30分間撹拌後、これを1M HCl水溶液でクエンチした。これを、酢酸エチルと水に分配した。酢酸エチル層を、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
この物質の一部およびN,N−ジメチル−ベンゼン−1,3−ジアミン(96mg、0.70mmol)を、エタノール1mlで18時間撹拌した。これを減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離5〜20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、2−(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−3−(3−ジメチルアミノ−フェニルアミノ)−アクリル酸エチルエステル(164mg、0.407mmol)を得た。MS(ESI)405.0(M+H)
【0321】
実施例10:6−クロロ−ピリダジン−3−イルアミン
3,6−ジクロロ−ピリダジン(7.5g、50.35mmol)を、エタノール性アンモニア(100ml)中に溶解し、圧力容器内で130℃で一晩加熱した。次に、エタノールを減圧下で蒸発させ、EtOAc/ヘキサン(6:4)を使用したシリカゲル(230〜400メッシュ)のフラッシュクロマトグラフィーにより粗精製して、標記化合物(4g、61%)を、固体として得た。
【0322】
実施例11:4−ブロモ−6−クロロ−ピリダジン−3−イルアミン
メタノール(60ml)中の6−クロロ−ピリダジン−3−イルアミン(4g、31mmol)(実施例10)の溶液に、NaHCO(5.2g、62mmol)を加えた。反応混合物を、室温で30分間撹拌し、次にBr(4.9g、31mmol)を滴下した。次に、得られた反応混合物を、室温でさらに16時間撹拌した。反応の完了後、反応物を減圧下で濃縮し、EtOAc/ヘキサン(8:2)を使用したシリカゲル(100〜200メッシュ)のクロマトグラフィーにより粗精製して、4−ブロモ−6−クロロ−ピリダジン−3−イルアミン(2.3g、36%)を、固体として得た。
【0323】
実施例12:4−ブロモ−6−クロロ−2H−ピリダジン−3−オン
濃HSO(15ml)中のNaNO(1g、13.20mmol)の冷却した溶液(0−5℃)に、酢酸50ml中の4−ブロモ−6−クロロ−ピリダジン−3−イルアミン(2.3g、11mmol)(実施例11)を加えた。次に、反応混合物を、20℃で1時間撹拌し、続いて水(75ml)を加え、室温で5時間撹拌を続けた。反応混合物をEtOAcで抽出し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、EtOAc/ヘキサン(8:2)を使用したシリカゲル(100〜200メッシュ)のクロマトグラフィーによって粗精製し、標記化合物(2.2g、95%)を、黄色を帯びた固体として得た。
【0324】
実施例13:4−ブロモ−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オン
4−ブロモ−6−クロロ−2H−ピリダジン−3−オン(5.02g、23.97mmol)(実施例12)を、DMF40ml中に溶解した。炭酸セシウム(9.37g、28.76mmol)を加えた。5分後、ヨードメタン(5.103g、35.95mmol)を、20分間かけて滴下した。反応混合物を、室温で3時間撹拌した。沈殿物を濾別して濃縮し、得られた残留物を、DCM20mlで処理した。不溶性物質を再度濾別し、DCMで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、4−ブロモ−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オン(5.223g、23.37mmol)を得た。MS(ESI)224.9(M+H)
【0325】
実施例14:6−クロロ−2−メチル−4−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2H−ピリダジン−3−オン
【0326】
【化21】

【0327】
1−メチル−1H−ピラゾール−3−アミン(806mg、8.3mmol)を、ジオキサン40ml中に溶解した。カリウムtert−ブトキシド(1.793g、15.98mmol)を加えた。最後に、4−ブロモ−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オン(1.7g、7.61mmol)を加え、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。反応混合物を、150mlのエルレンマイヤーフラスコに移し、1M 塩酸水溶液15mlで酸性化し、次に、飽和重炭酸ナトリウム溶液で、pHが約8に達するまで処理した。これを、それぞれ100mlのDCMで2回抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、減圧下で濃縮して、明橙色の固体1.5gを得た。この粗物質を、DCMおよびヘキサンの混合物でトリチュレートした。懸濁液を濾別し、得られたフィルターケーキを高真空下で乾燥させて、6−クロロ−2−メチル−4−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2H−ピリダジン−3−オン(967mg、4.03mmol)を得た。MS(ESI)240.0(M+H)
【0328】
実施例15:4−ブロモ−2−(2−ブロモ−エチル)−ベンゼンスルホニルクロリド
1−ブロモ−3−(2−ブロモ−エチル)−ベンゼン(5g、19mmol)に、クロロスルホン酸(17ml)を、0℃で滴下した。混合物を0℃で1時間、次に室温で3時間さらに撹拌した。混合物を氷水にゆっくりと注ぎ、塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層を減圧下で蒸発させて、粗4−ブロモ−2−(2−ブロモ−エチル)−ベンゼンスルホニルクロリド4.3gを得て、これを次の反応に直接使用した。MS(ESI)342.9(M−Cl+OH)
【0329】
実施例16:5−[3−(6−ブロモ−1,1−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−1λ6−ベンゾ[e][1,2]チアジン−2−イル)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニル]−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン
ジクロロエタン(10ml)中の、5−[3−アミノ−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニル]−1−メチル−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン(0.2g、0.36mmol)、4−ブロモ−2−(2−ブロモ−エチル)−ベンゼンスルホニルクロリド(0.4g、1.08mmol)(実施例15)およびDIPEA(1ml)の混合物を、120℃で30分間マイクロ波処理し、次に4−ブロモ−2−(2−ブロモ−エチル)−ベンゼンスルホニルクロリド(0.4g、1.08mmol)およびDIPEA(1ml)を加え、120℃で30分間マイクロ波処理した。この方法を3回繰り返した後、混合物を濃縮して、暗色の残留物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/アセトン)により精製し、5−[3−(6−ブロモ−1,1−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−1λ6−ベンゾ[e][1,2]チアジン−2−イル)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニル]−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン0.15gを、淡色の固体MS(ESI)796.2(M+H)として得た。
【0330】
実施例17:5−[3−(6−ブロモ−1,1−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−1λ6−ベンゾ[e][1,2]チアジン−2−イル)−2−ヒドロキシメチル−フェニル]−1−メチル−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン(IV−1)
メタノール(10ml)中の5−[3−(6−ブロモ−1,1−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−1λ6−ベンゾ[e][1,2]チアジン−2−イル)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニル]−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン(0.05g、0.06mmol)、濃HCl(1ml)の混合物を、室温で30分間撹拌した。混合物を、固体のNaCOで中和して濃縮し、暗色の残留物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/アセトン)により精製して、5−[3−(6−ブロモ−1,1−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−1λ6−ベンゾ[e][1,2]チアジン−2−イル)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニル]−1−メチル−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン0.01gを、淡色の固体MS(ESI)682.0(M+H)として得た。
【0331】
実施例18:(4−tert−ブチル−2−ニトロ−フェニルエチニル)−トリメチル−シラン
トリフルオロ−メタンスルホン酸4−tert−ブチル−2−ニトロ−フェニルエステル(3.715g、11.35mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(336mg、0.478mmol)、ヨウ化第一銅(168mg、0.882mmol)に、DMF(45ml)、トリエチルアミン(1.72g、17.0mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(2.229g、22.70mmol)を加えた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で90℃で15分間加熱した。これを、酢酸エチルと水に分配した。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、CHClで溶離したフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(4−tert−ブチル−2−ニトロ−フェニルエチニル)−トリメチル−シラン(3.193g、11.61mmol)を得た。
【0332】
実施例19:4−tert−ブチル−1−エチニル−2−ニトロ−ベンゼン
(4−tert−ブチル−2−ニトロ−フェニルエチニル)−トリメチル−シラン(3.167g、11.51mmol)(実施例18)および炭酸カリウム(3.18g、23.0mmol)を、メタノール75ml中で20分間撹拌した。得られた混合物を、酢酸エチルおよび水に分配した。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、勾配溶離0〜5%酢酸エチル/ヘキサン類のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4−tert−ブチル−1−エチニル−2−ニトロ−ベンゼン(1.910g、9.398mmol)を得た。
【0333】
実施例20:4−tert−ブチル−2−ニトロ−安息香酸
4−tert−ブチル−1−エチニル−2−ニトロ−ベンゼン(1.662g、8.176mmol)(実施例19)を、四塩化炭素20ml、アセトニトリル20mlおよび水40ml中に溶解した。過ヨウ素酸(9.322g、40.89mmol)、続いて塩化ルテニウム(III)水和物(85mg、0.41mmol)を加えた。90分間撹拌した後、得られた混合物を水で希釈し、3分割したDCMで抽出した。合わせたDCM層を、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、4−tert−ブチル−2−ニトロ−安息香酸(1.924g、86.19mmol)を得た。
【0334】
実施例21:2−アミノ−4−tert−ブチル−安息香酸
4−tert−ブチル−2−ニトロ−安息香酸(199mg、8.91mmol)(実施例20)および10%パラジウム担持炭(40mg)を、エタノール6ml中で、水素雰囲気下で3時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、減圧下で濃縮して、2−アミノ−4−tert−ブチル−安息香酸(177mg、0.916mmol)を得た。
【0335】
実施例22:7−tert−ブチル−3−[2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3H−キナゾリン−4−オン
トリメチルオルトギ酸2ml中の2−アミノ−4−tert−ブチル−安息香酸(78mg、0.41mmol)(実施例21)の溶液を、105℃まで30分間加熱した。得られた溶液を、減圧下で濃縮した。トルエン2ml中の2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルアミン(100mg、0.41mmol)を加えた。得られた混合物を、1時間加熱還流し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して、7−tert−ブチル−3−[2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3H−キナゾリン−4−オン(68mg、0.16mmol)を得た。MS(ESI)419.2(M+H)
【0336】
実施例23:7−tert−ブチル−3−(2−メチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル}−フェニル)−3H−キナゾリン−4−オン(I−3)
1,2−ジメトキシエタン2mlおよび水1ml中の、6−クロロ−2−メチル−4−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−2H−ピリダジン−3−オン(56mg、0.16mmol)、7−tert−ブチル−3−[2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3H−キナゾリン−4−オン(68mg、0.16mmol)(実施例22)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(19mg、0.016mmol)および炭酸ナトリウム(52mg、0.49mmol)の溶液を、マイクロ波シンセサイザで、170℃で12.5分間加熱した。得られた混合物を、酢酸エチルおよび水に分配した。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、分取TLC(10%MeOH/CHCl)により精製して、7−tert−ブチル−3−(2−メチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル}−フェニル)−3H−キナゾリン−4−オン(26.4mg、0.044mmol)を得た。MS(ESI)606(M+H)
【0337】
実施例24:7−tert−ブチル−3−(2−メチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル}−フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン(II−4)
メタノール1ml中の7−tert−ブチル−3−(2−メチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル}−フェニル)−3H−キナゾリン−4−オン(11mg、0.018mmol)(I−3)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.3mg、0.019mmol)の混合物に、メタノール中の2M 塩酸1滴を加え、pHを3にした。45分間撹拌した後、得られた混合物を、酢酸エチルおよび希釈NaHCO水溶液に分配した。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、分取TLC(5%MeOH/CHCl)により精製して、7−tert−ブチル−3−(2−メチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル}−フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン(6.5mg、0.011mmol)を得た。MS(ESI)608(M+H)
【0338】
実施例25:(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−モルホリン−4−イル−メタノン
エタノール400ml中のモルホリン(9.00g、103mmol)の溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(10.0g、52.2mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(7.00g、51.8mmol)および6−アミノニコチン酸(6.00g、43.4mmol)を加えた。18時間撹拌した後、得られた固体を濾過した。これを、メタノール100mlおよびDCM100mlの混合物でトリチュレートして、(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−モルホリン−4−イル−メタノン(3.08g、14.9mmol)を得た。MS(ESI)208.1(M+H)
【0339】
実施例26:6−クロロ−2−メチル−4−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−2H−ピリダジン−3−オン
【0340】
【化22】

【0341】
(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−モルホリン−4−イル−メタノン(2.921g、14.11mmol)(実施例25)を、DMF50ml中に懸濁し、0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム60%懸濁液(847mg、21.2mmol)を加えた。これを、室温で30分間撹拌し、0℃に冷却した。4,6−ジクロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オン(1.256g、7.056mmol)を加えた。2時間後、これを、飽和塩化アンモニウム水溶液および酢酸エチルに分配した。酢酸エチル層を、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(2%MeOH/CHCl)により精製して、6−クロロ−2−メチル−4−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−2H−ピリダジン−3−オン(732mg、2.09mmol)を得た。MS(ESI)350.1(M+H)
【0342】
実施例27:4,6−ジクロロ−2H−ピリダジン−3−オン
【0343】
【化23】

【0344】
酢酸100ml中の3,4,6−トリクロロ−ピリダジン(34.39g、187.5mmol)を、3時間加熱還流した。得られた混合物を、室温に冷却して濾過した。濾液を、酢酸エチルで希釈した。これを、水で3回洗浄し、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して、4,6−ジクロロ−2H−ピリダジン−3−オン(6.143g、37.23mmol)を得た。MS(ESI)165.0(M+H)
【0345】
実施例28:4−tert−ブチル−N−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−ベンズアミド
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール30.95g(347mmol)を、攪拌バーおよびセプタムを取り付けた500mlエルレンマイヤーフラスコで計量した。CHCl200mlを加えた。窒素雰囲気を確立して維持した。溶液を、氷/水浴中で撹拌した。4−tert−ブチルベンゾイルクロリド34ml(174mmol)を、30分間かけて滴下した。白色の沈殿物を形成した。室温で一晩撹拌した。濾過により固体を除去し、CHClで洗浄した。溶媒を、ロータバップ上で濾液から除去し、60℃/4torrで乾燥させて、標記化合物45.79gを、明黄色の樹脂として得た。MS(ESI)248(M−H)
【0346】
実施例29:2−(4−tert−ブチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール
上記で調製した全ての4−tert−ブチル−N−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−ベンズアミド(174mmol)(実施例28)を、攪拌バーおよびセプタムを取り付けた500ml丸底フラスコに装填した。窒素雰囲気を確立して維持した。塩化チオニル50ml(685mmol)を、20分間かけて滴下した。フラスコをヒートガンで温め、いくらかの樹脂を溶解して反応を開始させた。反応混合物を凝固させた。フラスコをヒートガンで温め、全ての固体を溶解させた。室温に冷却した。反応溶液を糸状にして、撹拌したEtO500mlに注いだ。白色の沈殿物が形成された。沈殿物を濾過により回収し、EtOで十分に洗浄した。回収した固体を、水300ml中に溶解し、25%NaOHで中和した。黄色の水溶液を、EtO(2×200ml)で抽出した。黄色の抽出物をブライン200で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ロータバップ上で溶媒を除去して、標記化合物28.50gを、ロウ状の白色の固体として得た。MS(ESI)232(M+H)
【0347】
実施例30:5−tert−ブチル−2−(4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−ベンズアルデヒド
オーブンで乾燥させた250mlの3口丸底フラスコに、温度計、攪拌バー、セプタム、および窒素入口を取り付けた。2−(4−tert−ブチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール(実施例29)8.02g(34.7mmol)を加えた。N雰囲気を確立して維持した。無水THF100mlを加えた。清澄な溶液を、−78℃まで冷却した。急速に撹拌し、ヘキサン中の2.5M n−ブチルリチウム溶液17ml(43mmol)を、10分間かけて滴下した。清澄な琥珀色の溶液を、−20℃で4時間撹拌した。反応混合物が赤い琥珀色になり濁った。混合物を−78℃まで冷却した。急速に撹拌し、DMF12mlを、温度を−60℃より低く保持する速度で滴下した。−78℃で15分間撹拌した。20℃で1時間撹拌した。室温で1時間撹拌した。0.5M KHSO水溶液100mlでクエンチした。水相は、依然として強塩基性であった。1.0M KHSOを、pHが〜2になるまでさらに加えた。2相の溶液を、EtO300mlで希釈した。相を分離し、水相をEtO100mlで抽出した。合わせた有機相を、ブライン200mlで洗浄し、KCOで乾燥させた。シリカゲル120gを通して濾過し、EtO300mlを通して洗浄して、ベースライン不純物を除去した。ロータバップ上で溶媒を除去して、標記化合物8.18gを、清澄な黄色の液体として得た。MS(ESI)260(M+H)
【0348】
実施例31:5−tert−ブチル−3−エトキシ−3H−イソベンゾフラン−1−オン
5−tert−ブチル−2−(4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−ベンズアルデヒド(実施例30)3.66g(14.1mmol)を、攪拌バーおよび還流冷却器を取り付けた200mlの丸底フラスコで計量した。エタノール75mlを加えて撹拌し、清澄な溶液を得た。50%硫酸水溶液50mlを加えた。還流下で22時間撹拌した。反応混合物を、水400mlに注いだ。水性混合物を、CHCl(2×200ml)で抽出した。有機抽出物を合わせ、ブライン200mlで洗浄した。NaSOで乾燥させ、ロータバップ上で溶媒を除去した。高真空下で乾燥させて、標記化合物2.9gを、オフホワイトの固体として得た。MS(ESI)235(M+H)
【0349】
実施例32:6−tert−ブチル−2H−フタラジン−1−オン
5−tert−ブチル−3−エトキシ−3H−イソベンゾフラン−1−オン(実施例31)2.9g(12mmol)を、攪拌バーおよびキャップを取り付けた50mlの丸底フラスコで計量した。ヒドラジン一水和物10ml(130mmol)を加えた。氷酢酸15mlを加えた。100℃で一晩撹拌した。反応混合物を、撹拌した水200mlに注いだ。固体を濾過により回収し、水で洗浄した。高真空下で乾燥させて、標記化合物2.24gを、オフホワイトの固体として得た。MS(ESI)203(M+H)
【0350】
実施例33:2−ブロモ−6−(6−tert−ブチル−1−オキソ−1H−フタラジン−2−イル)−ベンズアルデヒド
2,6−ジブロモベンズアルデヒド5.90g(22.4mmol)、6−tert−ブチル−2H−フタラジン−1−オン(実施例32)1.80g(8.90mmol)、炭酸セシウム6.02g(18.5mmol)、ヨウ化銅(I)179mg(0.940mmol)、および4,7−ジメトキシ−1,10−フェナントロリン428mg(1.87mmol)を、攪拌バーおよびセプタムキャップを取り付けた100mlの反応フラスコで計量した。無水ジオキサン50mlを加えた。反応混合物を窒素で15分間パージした。100℃で18時間撹拌した。反応混合物を、10%MeOH/CHCl200mlおよび水200mlに分配した。相を分離し、水相を10%MeOH/CHCl(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を、ブライン200mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ロータバップ上で溶媒を除去した。粗生成物を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物2.37gを、オフホワイトの固体として得た。MS(ESI)ダブレット385,387(M+H)
【0351】
実施例34:2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−1H−フタラジン−2−イル)−6−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−ベンズアルデヒド
1−メチル−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピリジン−2−オン149mg(0.338mmol)および2−ブロモ−6−(6−tert−ブチル−1−オキソ−1H−フタラジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(実施例33)116mg(0.301mmol)を、攪拌バーおよびセプタムキャップを取り付けた4mlの反応バイアルで計量した。ジオキサン2.5mlを加えた。水中の0.91g/ml炭酸セシウム溶液0.33ml(0.92mmol)を加えた。混合物を、窒素で10分間スパージした。[1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド1:1錯体13mg(0.016mmol)を、DCMとともに加えた。混合物を、窒素で5分間スパージした。バイアルをキャップで密閉し、95℃で90分間撹拌した。反応を室温に冷却し、CHCl15mlで希釈し、NaSOで乾燥させた。0.45μMシリンジフィルタを通して濾過し、ロータバップ上で溶媒を除去した。粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物129mgを、明黄色の固体として得た。MS(ESI)619(M+H)
【0352】
実施例35:6−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−2H−フタラジン−1−オン(III−4)
2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−1H−フタラジン−2−イル)−6−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−ベンズアルデヒド(実施例34)121mg(0.20mmol)を、攪拌バーおよびセプタムを取り付けた20mlの反応バイアルで計量した。CHCl4mlおよびMeOH2mlを撹拌して、清澄な琥珀色の溶液を得た。新たに調製した、MeOH中の10mg/ml水素化ホウ素ナトリウム溶液1.1ml(0.29mmol)を加えた。室温で3時間撹拌した。反応を、飽和NHCl水溶液5mlでクエンチした。反応混合物にCHCl5mlを加え、相を分離した。有機相をブライン5mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ロータバップ上で溶媒を除去した。アセトニトリル2mlを残留物に加え、バイアルを超音波浴に浸漬した。残留物を直ちに溶解し、次に白色の沈殿物を、溶液に急速に結晶化させた。混合物にEtO5mlを加え、沈殿物を濾過により回収した。高真空下で乾燥させて、標記化合物95mgを、オフホワイトの固体として得た。MS(ESI)621(M+H)
【0353】
実施例36:ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)阻害アッセイ
アッセイは、濾過による放射性33Pリン酸化産物の捕獲である。Btk、ビオチン化SHペプチド基質(Src相同)、及びATPの相互作用は、ペプチド基質のリン酸化を導く。ビオチン化産物をストレプトアビジンセファロースビーズに結合させる。結合した全ての放射性ラベル化産物をシンチレーションカウンターにより検出する。
【0354】
アッセイするプレートは、96ウェルポリプロピレン(Greiner)及び96ウェル1.2μm親水性PVDFフィルタープレート(Millipore)である。本実施例に報告する濃度は、最終アッセイ濃度である:10〜100μMの化合物のDMSO溶液(Burdick and Jackson)、5〜10nM Btk酵素(His−タグ付き、完全長)、30μMペプチド基質(ビオチン−Aca−AAAEEIYGEI−NH)、100μM ATP(Sigma)、8mMイミダゾール(Sigma、pH7.2)、8mMグリセロール-2-リン酸(Sigma)、200μM EGTA(Roche Diagnostics)、1mM MnCl(Sigma)、20mM MgCl(Sigma)、0.1mg/ml BSA(Sigma)、2mM DTT(Sigma)、1μCi 33P ATP(Amersham)、20% ストレプトアビジンセファロースビーズ(Amersham)、50mM EDTA(Gibco)、2M NaCl(Gibco)、2M NaCl w/1%リン酸(Gibco)、microscint-20(Perkin Elmer)。
【0355】
IC50の決定は、標準的な96ウェルプレートアッセイのテンプレートから生成したデータを利用して、一化合物あたり10個のデータ点から計算される。対照化合物1個及び未知阻害剤7個を各プレートで検査し、各プレートを2回試験した。典型的には、100μMから3nMまで化合物を3.16倍ずつ希釈した。対照化合物はスタウロスポリンであった。ペプチド基質の不在下でバックグラウンドを計数した。ペプチド基質の存在下で総活性を決定した。以下のプロトコールを使用してBtkの阻害を決定した。
1)試料調製:アッセイ緩衝液(イミダゾール、グリセロール−2−リン酸、EGTA、MnCl、MgCl、BSA)で被験化合物を3.16倍ずつ希釈した。
2)ビーズの調製
a.)500gで遠心分離することによりビーズをすすぐ
b.)PBS及びEDTAでビーズを再構成して、20%のビーズスラリーを生成させる。
3)基質なしで反応混合物(アッセイ緩衝液、DTT、ATP、33P ATP)を予備インキュベーションし、30℃で15分間基質と混合する(アッセイ緩衝液、DTT、ATP、33P ATP、ペプチド基質)。
4)アッセイを開始するために、酵素緩衝液(イミダゾール、グリセロール−2−リン酸、BSA)中のBtk 10μL及び被験化合物10μLをRTで10分間予備インキュベーションする。
5)基質を有さない又は有する反応混合物30mLをBtk及び化合物に添加する。
6)総アッセイ混合物50μLを30℃で30分間インキュベーションする。
7)反応を停止させるためにフィルタープレート中のビーズスラリー150μLにアッセイ物40μLを入れる。
8)30分後に、以下の段階でフィルタープレートを洗浄する。
a.3×250μL NaCl
b.1%リン酸を含有する3×250μL NaCl
c.1×250μL H
9)65℃で1時間又はRTで一晩プレートを乾燥させる。
10)50μLのmicroscint-20を添加し、シンチレーションカウンターで33Pのcpmを計数する。
生データ(cpm)から活性パーセントを計算する。
活性パーセント=(試料−バックグラウンド)/(総活性−バックグラウンド)×100
単一部位用量反応シグモイドモデルを使用して、活性パーセントからIC50を計算する。
y=A+((B−A)/(1+((x/C)))))
x=化合物濃度、y=活性%、A=最小値、B=最大値、C=IC50、D=1(ヒルの傾き)
【0356】
代表的な結果を下記表IIに示す:
【0357】
【表2】

【0358】
実施例37:B細胞活性化の阻害 − Ramos細胞におけるB細胞FLIPRアッセイ
抗IgMで刺激されたB細胞応答に被験化合物が及ぼす効果を決定することにより、本発明の化合物によるB細胞活性化の阻害を実証する。
【0359】
B細胞FLIPRアッセイは、抗IgM抗体による刺激からの細胞内カルシウム増加の潜在的阻害剤の効果を決定する、細胞に基づく機能的方法である。Ramos細胞(ヒトバーキットリンパ腫細胞系、ATCC番号CRL−1596)を成長培地(下記)中で培養した。アッセイの1日前に、Ramos細胞を新鮮成長培地(上記と同じ)に再懸濁し、組織培養フラスコ中で0.5×10/mLの濃度に調整した。アッセイの日に細胞を計数し、組織培養フラスコ中の、1μM FLUO−3AM(TefLabsカタログ番号0116、無水DMSO及び10%プルロニック酸(Pluronic acid)中に調製)を補充した成長培地に入れて1×10個/mLの濃度に調整し、37℃(4% CO)で1時間インキュベーションする。細胞外色素を除去するために、細胞を遠心分離により収集し(5分間、1000rpm)、細胞1×10個/mLでFLIPR緩衝液(下記)に再懸濁し、次にポリ−D−リシンでコーティングした96−ウェル黒/透明プレート(BDカタログ番号356692)にウェル1個あたり細胞1×10個で分注した。被験化合物を100μM〜0.03μMの範囲の様々な濃度で(7濃度、詳細は下記)添加し、細胞と共に室温で30分間インキュベーションさせた。10μg/mL抗IgM(Southern Biotech、カタログ番号2020−01)の添加によりRamos細胞のCa2+シグナル伝達を刺激し、FLIPR(Molecular Devices、CCDカメラを使用した、励起波長480nmのアルゴンレーザによる96ウェルプレートの捕獲画像)で測定した。
【0360】
培地/緩衝液:
成長培地:L−グルタミンを有するRPMI1640培地(Invitrogen、カタログ番号61870−010)、10%ウシ胎児血清(FBS、Summit Biotechnologyカタログ番号FP−100−05);1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogenカタログ番号11360−070)。
FLIPR緩衝液:HBSS(Invitrogen、カタログ番号141175−079)、2mM CaCl(Sigmaカタログ番号C−4901)、HEPES(Invitrogen、カタログ番号15630−080)、2.5mMプロベネシド(Sigma、カタログ番号P−8761)、0.1% BSA(Sigma、カタログ番号A−7906)、11mMグルコース(Sigma、カタログ番号G−7528)
【0361】
化合物の希釈の詳細:
100μMの最高最終アッセイ濃度を達成するために、24μLの10mM化合物原液(DMSO中に調製)を576μLのFLIPR緩衝液に直接添加する。被験化合物をFLIPR緩衝液(Biomek2000ロボットピペッターを使用)に希釈して、以下の希釈スキームを生じさせる:ビヒクル、1.00×10−4M、1.00×10−5、3.16×10−6、1.00×10−6、3.16×10−7、1.00×10−7、3.16×10−8
【0362】
細胞内カルシウムの増加は、最大−最小統計量(Molecular DevicesのFLIPRコントロール及び統計エクスポートソフトウェアを使用して、刺激抗体の添加により起こるピークから休止ベースラインを減算すること)を使用して報告した。非線形曲線適合(GraphPad Prismソフトウェア)を使用してIC50を決定した。
【0363】
実施例38:マウスのインビボコラーゲン誘導性関節炎(mCIA)
0日目にフロイント完全アジュバント(CFA)中のII型コラーゲンの乳剤をマウスの尾の基部又は背中のいくつかの箇所に注射する(i.d.)。コラーゲンの免疫処置の後に、動物は約21〜35日目に関節炎を発生するであろう。関節炎の発症を、フロイント非完全アジュバント(IFA;i.d.)中のコラーゲンの全身投与により同調化(増強)する。20日目の後で、増強のシグナルである軽度の関節炎(スコア1又は2;下記のスコアの説明参照)のあらゆる発症について動物を毎日調べる。増強の後に、マウスのスコアを付け、処方された期間(典型的には2〜3週間)及び投薬頻度(毎日(QD)又は1日2回(BID))で候補治療剤を投薬する。
【0364】
実施例39:ラットのインビボコラーゲン誘導性関節炎(rCIA)
0日目にフロイント不完全アジュバント(IFA)中のウシII型コラーゲンの乳剤をラットの背中のいくつかの箇所に皮内(i.d.)注射する。コラーゲン乳剤の増強注射を約7日目に尾の基部又は背中の代替部位に与える。関節炎は、一般に初回コラーゲン注射の12〜14日後に観察される。14日目以降、下記(関節炎の評価)の関節炎の発生について動物を評価することができる。二次抗原誘発の時点から開始して、処方された期間(典型的には2〜3週間)及び投薬頻度(毎日(QD)又は1日2回(BID))で動物に予防的に候補治療剤を投薬する。
【0365】
実施例40:関節炎の評価:
両方のモデル(実施例38及び39)において、下記基準に従って4本の足の評価を伴うスコア付けシステムを使用して、足及び肢関節に発生中の炎症を定量する:
スコア付け: 1=足又は指1本の腫脹及び/又は発赤
2=2箇所以上の関節の腫脹
3=2箇所を超える関節に波及する足全体の腫脹
4=足及び指全体の重症の関節炎
【0366】
ベースラインの測定のために0日目に、そして最初の徴候又は腫脹で再度開始して、実験終了まで1週間に最大3回評価を行う。動物毎に最大スコアが16になるように個々の足の4個のスコアを加算することにより、各マウスについての関節炎指数を得る。
【0367】
実施例41:ラットのインビボ喘息モデル
0.2mlミョウバン中の100μgのOA(卵アルブミン)で雄性Brown-Norwayラットを1週間に1回、3週間にわたりi.p.感作する(0、7、14日目)。21日目(最終感作の1週間後)に、ラットにビヒクル又は化合物製剤のいずれかをq.d.皮下投薬し、その0.5時間後にOAのエアロゾル攻撃(1%OA、45分間)を行い、攻撃の4又は24時間後に屠殺する。屠殺時に、それぞれ血清検査及びPKのために全ての動物から血清及び血漿を採取する。気管カニューレを挿入し、肺をPBSで3回洗浄する。総白血球数及び類別白血球数(白血球分画)についてBAL液を分析する。一定分量の細胞(20〜100μl)中の総白血球数をコールターカウンターで決定する。類別白血球数について、50〜200μlの試料をCytospinで遠心分離し、スライドをDiff-Quikで染色する。標準的な形態基準を使用して単球、好酸球、好中球及びリンパ球の比率を光学顕微鏡で計数し、パーセントで表現する。Btkの代表的阻害剤は、対照レベルに比べてOAで感作及び攻撃されたラットのBAL中の総白血球数の減少を示す。
【0368】
実施例42:薬学的組成物
【0369】
【表3】

【0370】
成分を混合し、カプセルにそれぞれ約100mg入れるように分配する、カプセル1個は合計1日投薬量に近い。
【0371】
【表4】

【0372】
成分を混合し、メタノールなどの溶媒を使用して造粒する。次に、その製剤を乾燥させ、適切な打錠機を用いて錠剤(活性化合物約20mgを含有する)を形成させる。
【0373】
【表5】

【0374】
成分を混合し、経口投与用の懸濁液を形成させる。
【0375】
【表6】

【0376】
活性成分を部分量の注射用水に溶解する。次に、撹拌しながら十分量の塩化ナトリウムを添加して、その溶液を等張にする。その溶液を注射用水の残りを用いて重量を調整し、0.2ミクロンのメンブランフィルターを通過させて濾過し、滅菌状態でパッケージする。
【0377】
【表7】

【0378】
成分を一緒に融解させ、蒸気浴上で混合し、合計重量2.5gを入れるように型に流し込む。
【0379】
【表8】

【0380】
明示及び理解のために、上記の発明を例示及び実施例により幾分詳細に説明した。変更及び改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内で実施できることは当業者に明らかであろう。したがって、上記説明は限定ではなく、例示を意図することを了解されたい。したがって、本発明の範囲は、上記説明を参照してではなく、以下の添付の特許請求の範囲、及びそれが権利化されるところの等価物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【0381】
本明細書に引用される全ての特許、特許出願及び刊行物は、各個別の特許、特許出願又は刊行物がそのように個別に意味される場合と同程度に、全ての目的についてそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、II、III又はIV:
【化24】


[式中:
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;ここで、
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであって、場合により、R1’で置換されており;ここで、R1’は、低級アルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、又は低級ハロアルキルであり;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)N(R2’)、−(CH、又は−S(=O)であり;ここで、R2’は、H又は低級アルキルであり;qは、1、2、又は3であり;
は、H又はRであり;ここで、Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、場合により一つ又は複数の低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、低級アルキルスルホニル、又は低級ハロアルキルで置換されており;
Xは、CH又はNであり;
は、H又は低級アルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;ここで、Y2aは、H又はハロゲンであり;Y2bは、場合により一つ又は複数のY2b’で置換された低級アルキルであり;Y2b’は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立してY2’a又はY2’bであり;ここで、Y2’aはハロゲンであり;Y2’bは、場合により一つ又は複数のY2’b’で置換された低級アルキルであり;ここで、Y2’b’は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又はハロゲンであり;
nは、0、1、2、又は3であり;
は、H、ハロゲン、又は低級アルキルであり、ここで、低級アルキルは、場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換されており;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;ここで、
4aは、H又はハロゲンであり;
4bは、場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換された低級アルキルであり;
4cは、場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、及び低級アルコキシから成る群より選択される一つ又は複数の置換基で置換された低級シクロアルキルであり;そして
4dは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたアミノである]で示される化合物;又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
がメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
XがCHである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
mが0である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが0である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
がメチル又はヒドロキシメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
が、ハロゲン、低級アルキル;又は式(a)
【化25】


[式中、Yは、H、ハロゲン、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基;又は式(b)
【化26】


[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基;又は式(c)
【化27】


[式中、Y及びYは、独立してH又は低級アルキルである]で示される基;又は式(d)
【化28】


[式中、Y及びYは、独立してH、低級アルキル、又は低級ハロアルキルである]で示される基である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Rが、−R−R−Rである[式中、Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、場合により一つ又は複数の低級アルキルで置換されたモルホリン又はピペラジンである]、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
炎症及び/若しくは自己免疫状態、例えば関節炎を処置するための方法又はB細胞増殖を阻害する方法であって、それを必要とする患者に請求項1〜8のいずれか一項記載のBtk阻害剤化合物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項10】
少なくとも一つの薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と混合された、請求項1〜8のいずれか一項記載のBtk阻害剤化合物を含む薬学的組成物。
【請求項11】
炎症及び/又は自己免疫状態を処置するための医薬を調製するための、請求項1〜8のいずれか一項記載の式Iで示される化合物の使用。
【請求項12】
本明細書に前述の発明。

【公表番号】特表2011−524404(P2011−524404A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514004(P2011−514004)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057320
【国際公開番号】WO2009/156284
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】