説明

新規の血漿タンパク質親和性タグ

【課題】新規の血漿タンパク質親和性タグ
【解決手段】血漿中における治療的薬剤の半減期を増大する方法及び新規のポリペプチド誘導体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血漿タンパク質に高い親和性を有する新規の化合物(=親和性タグ)に基づく、新しい薬物送達系に関する。これらの親和性タグは、治療的に活性な化合物に結合することができ、それによって血漿タンパク質に可逆的に結合することにより、血漿中のそれらの半減期を増すことができる。
【背景技術】
【0002】
与えられた化合物の血流中でのよく定義された濃度を長時間維持することは、多くの場合に望まれる。これは例えば、免疫原が投与されて強い免疫応答が望まれる場合や、末梢の治療的標的が、治療的薬剤に長時間、連続的に曝露されねばならない場合である。現在のところ、いずれの型の化合物の血管内半減期をも増すための普遍的に適用可能なストラテジーは存在しない。
【0003】
興味対象の生物学的活性を有する周知の内在性ペプチド及びタンパク質の数は、進行中のヒトゲノム探索の結果として急速に増大している。それらの生物学的活性のために、それらペプチド及びタンパク質の多くは、原理的には治療的薬剤として使用することができる。しかしながら、内在性ペプチドは、それらのペプチドが、ペプチダーゼによる急速な分解のために、及び/又は、腎性濾過及び尿中排出のために、半減期が数分しかないことが多く、薬物の候補としていつも適しているわけではない。与えられたペプチドの血漿半減期が、アルブミン、又はガンマ-グロブリンのような血漿タンパク質へのペプチドの可逆的な結合によって著しく増強され得ることが、他によって示されている(Zobel et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2003、13、1513-1515)。ヒト血清アルブミン(HSA)は、例えば、1週間より長い半減期を有する。この可逆的な結合には、治療的薬剤に結合可能であり、また、前記治療的薬剤に結合しながらもアルブミンに対して高い結合親和性を有する化合物(=親和性タグ)が必要である。従って、普遍的に適用できる親和性タグは、特に潜在的な薬物送達系として、一般に多大な興味がもたれている。
【0004】
周知の最も強力なアルブミン−リガンドの多くは、脂肪酸、アリール酢酸(例えばケトプロフェン)、又はヨーフェノキセートのようなカルボン酸、或いは、3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオン酸(CMPF)(Kratochwil et al.biochemical Pharmacology 2002、64、1355-1374)のようなジカルボン酸である:
【化8】

【0005】
しかしながら、それらの化合物に存在する全ての構造的な特徴が結合の原因であって、HSAへの親和性は、それらの構造的特徴が化学的に改変された場合に低下する。よって、上記の酸のエステル又はアミドは、著しく低いHSAへの親和性を有する。この理由は、カルボン酸官能基が、血漿タンパク質に存在する塩基性アミノ酸と強力なイオン結合を形成し、それ故、該タンパク質への結合の大部分の原因となるためである。従って、要求されるHSAへの親和性を失わずに、周知の強力なHSA−結合カルボン酸の一つが、治療的薬剤に如何にして結合するかは、すぐには明らかでない。しかしながら、血漿タンパク質に結合する多くの構造的に多様なカルボン酸が周知であり、また、新しい化合物のための時間のかかるスクリーニングが必要でないことから、これを達成する方法が強く望まれている。さらにその上、周知のHSA−結合カルボン酸の多くが、現在のところ薬物として注目されており、それらの代謝産物が薬剤的に及び毒物学的に許容可能であることが示されている。
【0006】
本発明は、タンパク質、ペプチド、又は小分子薬物のような治療的薬剤を、一つ又は幾つかの血漿タンパク質への可逆的な結合が可能な血漿タンパク質リガンドへ共有結合させることによって、それらの治療的薬物の多用途の送達系を提供するよう意図している。我々は、治療的ペプチド又はタンパク質の広範な変種、或いは、よく定義された濃度での延長された末梢性の曝露が望まれる任意の他の型の化合物への、周知の血漿タンパク質結合カルボン酸の共有結合を可能にする新規の結合ストラテジーを設計した。このストラテジーは、血漿中において有意な範囲にイオン化されるために、前記血漿タンパク質結合カルボン酸を-5〜+7のpKaを有するカルボン酸擬態へ転換させることに存する。そのようなカルボン酸擬態は、例えば、N-アシルスルホンアミドであってよく、これは、前記酸擬態の治療的薬剤への共有結合を可能にするさらなる官能基を含む。この結合ストラテジーは、適切な酸擬態が選択された場合、血漿タンパク質結合酸の構造を著しくは妨げない。例えば、N-アシルスルホンアミドは、カルボン酸と同様の類似した酸であり、生理学的なpHで脱プロトン化されて負の電荷をもつ(B.J.Bakes、J.A.Ellman. J.Am.Chem.Soc.1994、116、11171-11172)。
【化9】

【0007】
しかしながら、他のカルボン酸擬態も、上記で提示された目的のために適している。それらは、例えば、イミド、N-アシルウレア、及びN-アシルカルバミン酸を含む。
【化10】

【0008】
或いは、アシル化された電子結合性の誘導体、アミノ-置換された複素環又はアレーンも、血漿中で脱プロトン化されるのに十分な酸性であり、それ故、本発明の範囲内に含まれる。
【化11】

【0009】
さらなる選択肢として、血漿タンパク質に高親和性を有するカルボン酸が、シアノ酢酸誘導体、3-ケトカルボン酸誘導体、又は位置2に結合した電子-吸引(withdrawing)基Mを有する他の酢酸誘導体のC-アシル化のために用いられ得る。この基Mは、例えば、水素、フッ素、-CN、-CO-アルキル、-CO-アリール、-CO2-アルキル、-NO2、-SO2-アリール、-SO2-アルキル等であってよい。得られた産物は強C-H-酸性であり、高エノール化され、それ故にカルボン酸擬態として役立つことができる。
【化12】

【0010】
上記概要によって説明されたように、任意のスペーサーX、及び、該治療的薬剤への親和性タグの共有結合のための、酸擬態と治療的薬剤の間のリンカーYがある。それら二つの基は、血漿タンパク質結合断片及び該治療的薬剤の間の距離を確立する。リンカーYは、インビボで著しい速度で切断されることのない、治療的薬剤に共有結合的、代謝的に安定な結合を形成することができる、何れの反応性官能基Y1 に起因し得る。反応性基 Y1 は、これらに限定されないが、カルボン酸、アミン、チオール、イソチオシアナート、イソシアナート、クロロホルメート、O-スクシンイミジルカルボナート、エポキシド、スルホニル塩化物、アルキルハライド、電子欠損アルケン、又は他の関連する官能基を含む。或いは、リンカーYはまた、代謝的に不安定な結合を含んでもよく、これは、インビボで標識されていない治療的薬剤の緩徐な放出をもたらす。そのような代謝的に不安定な結合は、例えば、ある種のカルボン酸アミド、ジスルフィド、カルボン酸エステル、又はカルバミン酸に存在する。
【0011】
標識された治療的薬剤が血漿タンパク質に結合しながらもその活性を発揮し、或いは、標識された治療的薬剤が血漿タンパク質に結合しながらも減少した生物学的活性を示し、また、標識された治療的薬剤の未結合断片のみが完全な生物学的活性を示すことが、詳細な治療的標的に基づいて及びスペーサーXの長さに基づいて、起こり得る。これらの全ての異なる特徴が、本発明の範囲内に含まれる。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0012】
本発明は、薬剤の血管内半減期を増加する方法であって、前記薬剤を一般式(I)の化合物に転換することによって特徴づけられる方法に関する:
【化13】

【0013】
式中、
R1は、カルボン酸 R1-CO2Hのラジカルであり、該R1-CO2Hは血漿タンパク質に可逆的に結合可能であり、
Gは、NH、又はCHWであり、式中Wは、水素、フッ素、シアノ、ニトロ、C(=O)-E1、S(=O)2-E2、S(=O)-E3、アリール、又はC1-6-アルキルであり、
式中 E1、E2、及びE3 は、独立的に、C1-6-アルキル、アリール、
ヘテロアリール、C1-6-アルコキシ、アミノ、C1-6-アルキル-アミノ、
又はジ-C1-6-アルキル-アミノを表し、
Zは、S=O、S(=O)2、C(=O)、C(=O)O、C(=O)NR2、又はC1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、又はヘテロアリーレンで任意に置換されたアリーレンであり、前記ヘテロアリーレンは、C1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、又はシアノで任意に置換され、
式中 R2 は、水素、シアノ、又はC1-6-アルキルを表し、
X は、結合又はスペーサーを表し、C1-C20-アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C20-ペルフルオロアルキレン、又はそれらの組合せ、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-[(CQ2nE]m(CQ2p-から任意に選択され、
式中
n及びmは独立的に1-20であり、及びp は独立的に0-10であり、
A及びEのそれぞれは独立的に、-O-、-S-、-NR3-、-N(COR4)-、-PR5(O)-、
又はP(OR6)(O)-であり、式中
R3、R4、R5、及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
各Qは、独立的に水素、又はフッ素であり、
Y は、前記薬剤へのリンカーとして役立つことができる官能基を表し、-C(=O)-、-C(=S)-、-NR7(C=O)-、-OC(=O)-、-NR8(C=S)-、-CH2-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-NR9-S(=O)2-、-S-、-S-S-から任意に選択され、式中
R7、R8,及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
及び前記用語「薬剤」は、血漿中の半減期が延長されることが望まれる化合物を示す。
【0014】
また、本発明は、治療的薬剤の血管内半減期を増加する方法であって、前記治療的薬剤を一般式(II)の化合物に転換することによって特徴づけられる方法に関する:
【化14】

【0015】
式中 R1、G、Z、X、及びYは、上記で定義されたものである。
【0016】
また、本発明は、一般式(I)の化合物に関する:
【化15】

【0017】
式中
R1は、カルボン酸R1-CO2Hのラジカルであり、該R1-CO2H は、血漿タンパク質に可逆的に結合可能であり、
Gは、NH、又はCHWであり、式中Wは、水素、フッ素、シアノ、ニトロ、C(=O)-E1、S(=O)2-E2、S(=O)-E3、アリール、又はC1-6-アルキルであり、
式中 E1、E2、及びE3 は、独立的に、C1-6-アルキル、アリール、
ヘテロアリール、C1-6-アルコキシ、アミノ、C1-6-アルキル-アミノ、
又はジ-C1-6-アルキル-アミノを表し、
Zは、S=O、S(=O)2、C(=O)、C(=O)O、C(=O)NR2、又はC1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、又はヘテロアリーレンで任意に置換されたアリーレンであり、前記ヘテロアリーレンは、C1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、又はシアノで任意に置換され、
式中 R2 は、水素、シアノ、又はC1-6-アルキルを表し、
Xは、結合又はスペーサーであり、C1-C20-アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C20-ペルフルオロアルキレン、又はそれらの組合せ、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-[(CQ2nE]m(CQ2p-から任意に選択され、式中
n及びmは、独立的に1-20であり、及びpは独立的に0-10であり、
A及びEのそれぞれは独立的に、-O-、-S-、-NR3-、-N(COR4)-、-PR5(O)-、
又はP(OR6)(O)-であり、式中
R3、R4、R5、及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
各Qは、独立的に水素、又はフッ素であり、
Yは、前記薬剤へのリンカーとして役立つことができる官能基を表し、-C(=O)-、-C(=S)-、-NR7(C=O)-、-OC(=O)-、-NR8(C=S)-、-CH2-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-NR9-S(=O)2-、-S-、-S-S-から任意に選択され、式中
R7、R8、及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
及び前記用語「薬剤」は、血漿中の半減期が延長されることが望まれる化合物を示す。
【0018】
また、本発明は、一般式(II)の化合物に関する:
【化16】

【0019】
式中 R1、G、Z、X、及びYは、上記で定義されたものである。
【0020】
また、本発明は、本発明の化合物を含む薬学的組成物、及び、疾病を治療するための薬物の調製のための、本発明の化合物の使用に関する。
【定義】
【0021】
本明細書において、以下の用語は、次に示した意味を有する:
用語「治療的薬剤」は、ペプチド、タンパク質、小分子薬物、又は生物学的応答を誘発することが可能な任意の他のタイプの化合物を意味する。
【0022】
用語「治療的なポリペプチド」は、本明細書で使用されるように、治療的な使用のために開発されているポリペプチド、又は、治療的な使用のために開発されたポリペプチドを意味する。
【0023】
用語「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、本明細書で使用されるように、ペプチド結合で連結された少なくとも5つの成分のアミノ酸で構成される化合物を意味する。該成分アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸のグループのものであり、それらは、遺伝暗号でコードされない天然のアミノ酸、並びに合成アミノ酸であってよい。遺伝暗号でコードされない天然のアミノ酸は、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、オルニチン、ホスホセリン、D-アラニン及びD-グルタミンである。合成アミノ酸は、化学合成によって製造されたアミノ酸、即ち、D-アラニン及びD-ロイシン、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Abu(α-アミノ酪酸)、Tle(tert-ブチルグリシン)、β-アラニン、3-アミノメチル安息香酸、アントラニル酸のような、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸のD-異性体を含む。
【0024】
用語「類似体」は、本明細書でポリペプチドに対して適用して使用されるように、該ペプチドの一以上のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基で置換され、及び/又は該ペプチドから、一以上のアミノ酸残基が欠失され、及び/又は該ペプチドから一以上のアミノ酸残基が欠失され、及び/又は該ペプチドに一以上のアミノ酸残基が加えられた、改変されたペプチドを意味する。そのような、アミノ酸残基の追加又は欠失は、該ペプチドのN-末端で及び/又は該ペプチドのC-末端で生じることができる。二つの異なる単純なシステムが、類似体を記載するのにしばしば用いられる:例えば、Arg34-GLP-1(7-37)又はK34R-GLP-1(7-37)は、位置1〜6のアミノ酸残基が欠失し、また、位置34の天然のリジンがアルギニンで置換されたGLP-1 類似体を示す(IUPAC-IUB命名法に従って、アミノ酸のための標準的な一文字略語を用いた)。
【0025】
用語「誘導体」は、本明細書でペプチドに関連して使用されるように、化学的に修飾されたペプチド、又はそれらの類似体を意味し、ここで、少なくとも1つの置換基は、改変されていないペプチド又はそれらの類似体に存在しない、即ち、該ペプチドは共有結合的に改変されたペプチドである。典型的な改変は、アミド、糖、アルキル基、アシル基、エステルなどである。GLP-1(7-37)の誘導体の例は、Arg34、Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)である。
【0026】
用語「GLP-1ペプチド」は、本明細書で使用されるように、GLP-1(7-37)、GLP-1類似体、GLP-1誘導体、又はGLP-1類似体の誘導体を意味する。一つの態様において、該GLP-1ペプチドは、インスリン分泌性の薬剤である。
【0027】
用語「インスリン分泌性の薬剤」は、本明細書で使用されるように、ヒトGLP-1受容体のアゴニストである化合物、即ち、ヒトGLP-1受容体を含む適切な培地中で、cAMPの形成を刺激する化合物を意味する。インスリン分泌性の薬剤の力価は、下記のような投与量-応答曲線からEC50 値を算出して決定する。
【0028】
クローン化されたヒトGLP-1 受容体(BHK-467-12A)を発現しているベビーハムスター腎臓(BHK)細胞を、100 IU/mL ペニシリン、100 μL/mL ストレプトマイシン、10% ウシ胎仔血清及び1 mg/mL ジェネテシンG-418(Life Technologies)を添加したDMEM培地で増殖させた。血漿膜を、さらに5 mg/L ロイペプチン(Sigma、St. Louis、MO、USA)、5 mg/Lペプスタチン(Sigma)、100 mg/Lバシトラシン(Sigma)及び16 mg/L アプロチニン(Calbiochem-Novabiochem、La Jolla、CA)を含む、バッファー(10 mMトリス-HCl、30 mM NaCl及び1 mM ジチオスレイトール、pH 7.4)中でホモジナイズして調製した。該ホモジネートを41 w/v%スクロースの上層で遠心分離した。二つの層の間の白いバンドを、バッファーで希釈して遠心分離した。血漿膜は使用するまで-80℃で保存した。
【0029】
機能的な受容体アッセイは、インスリン分泌性の薬剤による刺激に応答する時のcAMPを測定することによって行った。インキュベーションは、96-ウェルマイクロタイタープレートで、総量140 μLで、以下の最終濃度で行った:50 mMトリス-HCl、1 mM EGTA、1.5 mM MgSO4、1.7 mM ATP、20 mM GTP、2 mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)、0.01 % Tween-20、pH 7.4。アゴニスト活性が試験される化合物を、バッファー中に溶解して希釈した。GTPをそれぞれの実験のために新たに調製した: 2.5 μgの膜を各ウェルに加え、該混合物を90分、室温で、暗闇で振盪しながらインキュベートした。該反応を25 μLの0.5 M HClを添加して停止した。形成したcAMPを、シンチレーション近接アッセイ(RPA 542、Amersham、UK)で測定した。投与量-応答曲線を、個々の化合物に対してプロットし、GraphPad Prism ソフトウェアを用いてEC50 値を算出した。
【0030】
用語「GLP-2ペプチド」は、本明細書で使用されるように、GLP-2(1-33)、GLP-2類似体、GLP-2誘導体、又はGLP-2類似体の誘導体を意味する。
【0031】
用語「エクセンディン(exendin)-4ペプチド」は、本明細書で使用されるように、エクセンディン-4(1-39)、エクセンディン-4類似体、エクセンディン-4誘導体、又はエクセンディン-4類似体の誘導体を意味する。一つの態様において、エクセンディン-4ペプチドは、インスリン分泌性の薬剤である。
【0032】
用語「DPP-IV保護された」は、本明細書でポリペプチドに言及して使用されるように、前記化合物に血漿ペプチダーゼジペプチジルアミノペプチダーゼ-4(DPP-IV)に対する耐性を与えるために、化学的に改変されたポリペプチドを意味する。血漿中のDPP-IV酵素は、
幾つかのペプチドホルモン、例えばGLP-1、GLP-2、Exendin-4等の分解に関与すると知られている。よって、DPP-IVによる分解速度を減じるために、DPP-IV仲介加水分解に感受性の高いポリペプチドの類似体及び誘導体を開発するためにかなりの努力が行われた。
【0033】
ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによる分解に対するペプチドの耐性は、以下の分解アッセイによって測定される:
ペプチド(5 nmol)の一定分量を、100 μLの0.1 M トリエチルアミン-HCl バッファー、pH 7.4中で、5 mUの酵素活性に相当する1 μLの精製ジペプチジルアミノペプチダーゼIVと共に37 ℃で10-180 分インキュベートした。酵素反応は、5 μLの10% トリフルオロ酢酸を添加して終結させ、ペプチド分解産物をHPLC 分析を用いて分離し定量化した。この分析の一つの実行方法:混合物を、Vydac C18 widepore(30 nm pores、5 μm particles)250 x 4.6 mm カラムにアプライし、「Siegel et al.、Regul.Pept.1999;79:93-102及びMentlein et al.Eur.J.biochem.1993;214:829-35」に従って、0.1% トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルの段階的な直線勾配で(0% アセトニトリルを3分、0-24% アセトニトリル を17分、24-48% アセトニトリルを1分)、流速1 ml/分で溶出した。ペプチド及びそれらの分解産物は、220 nm(ペプチド結合)又は280 nm(芳香族アミノ酸)の吸光度によってモニターすることができ、それらのピーク領域の積分を標準のものと比較して定量化される。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによるペプチドの加水分解速度は、10%未満のペプチドが加水分解されるようなインキュベーション時間で推定する。
【0034】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIを意味する。
【0035】
用語「C1-6-アルキル」は、本明細書で使用されるように、1〜6の炭素原子を有する、飽和した、分枝の、直鎖状又は環状の炭化水素基を意味する。代表的な例には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシルなどが含まれる。
【0036】
用語「C1-6-アルコキシ」は、本明細書に使用されるように、基 -O-C1-6-アルキル(式中、C1-6-アルキルは、上記定義のとおりである)を意味するように意図される。代表的な例には、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、tert-ペントキシ、n-ヘキソキシ、イソヘキソキシ、シクロヘキソキシ等が含まれる。
【0037】
用語「C1-30-アルキル」は、本明細書で使用されるように、1〜30の炭素原子を有する、飽和した、分枝の、直鎖状又は環状の炭化水素基を意味する。非-制限的な例は、エチル、オクチル、ヘキサデシル、7-エチルヘキサデシル、シクロペンタノフェナントレニル等を含む。
【0038】
用語「C1-30-ペルフルオロアルキル」は、本明細書で使用されるように、1〜30の炭素原子を有する、飽和した、分枝の、直鎖状又は環状の、全ての水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基を意味する。非-限定的な例は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ペルフルオロイソアミル、又はペルフルオロシクロヘキシルを含む。
【0039】
用語「アリール」は、本明細書に使用されるように、フェニル、ビフェニルイル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル等のような炭素環式の芳香環系を含むように意図される。アリールは、上記で列挙された炭素環式の系の部分的に水素化された誘導体をも含むように意図される。そのような部分的に水素化された誘導体の非-限定的な例は、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、1,4-ジヒドロナフチル等である。
【0040】
用語「アリーレン」は、本明細書に使用されるように、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-ナフチレン、1,4-ナフチレン等のようなアレーン-由来ジラジカルを含むように意図される。
【0041】
用語「ヘテロアリーレン」は、本明細書に使用されるように、1,2,4-ピラゾール-2,5-ジイル、イミダゾール-1,2-ジイル、チアゾール-2,4-ジイル等のようなヘテロアレーン-由来ジラジカルを含むように意図される。
【0042】
用語「アリールオキシ」は、本明細書で使用されるように、ラジカル -O-アリール (ここでアリールは上記定義のとおりである)を示す。非-限定的な例は、フェノキシ、ナフトキシ、アントラセニルオキシ、フェナントレニルオキシ、フルオレニルオキシ、インデニルオキシ等である。
【0043】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書に使用されるように、窒素、酸素及び硫黄から選択される一以上のヘテロ原子を含む複素環式芳香環系、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾニル、1,2,4-トリアゾニル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピリジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5- トリアジニル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、テトラゾリル、チアジアジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル,ジアゼピニル、アクリジニル等を含むように意図される。ヘテロアリールは、上記で列挙された複素環式系の部分的に水素化された誘導体をも含むように意図される。そのように部分的に水素化された誘導体の非-限定的な例は、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ピロリニル、ピラゾリニル、インダニル、インドリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゼピニルなどである。
【0044】
上記で定義された用語は、構造式において一回以上出現することができ、そのような出現の際には各用語は他と独立して定義される。
【0045】
用語「任意に置換された」は、本明細書で使用されるように、問題の基が、置換されていないか又は一以上の特定の置換基で置換されていることの何れかを意味する。その問題の基が、一以上の置換基で置換されている場合は、該置換基は同じであっても異なってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
一つの側面において、本発明は、薬剤の血管内半減期を増加する方法であって、前記薬剤を一般式(I)の化合物に転換することによって特徴づけられる方法に関する:
【化17】

【0047】
式中、
R1は、カルボン酸 R1-CO2Hのラジカルであり、該R1-CO2Hは血漿タンパク質に可逆的に結合可能であり、
Gは、NH、又はCHWであり、式中Wは、水素、フッ素、シアノ、ニトロ、C(=O)-E1、S(=O)2-E2、S(=O)-E3、アリール、又はC1-6-アルキルであり、
式中 E1、E2、及びE3 は、独立的に、C1-6-アルキル、アリール、
ヘテロアリール、C1-6-アルコキシ、アミノ、C1-6-アルキル-アミノ、
又はジ-C1-6-アルキル-アミノを表し、
Zは、S=O、S(=O)2、C(=O)、C(=O)O、C(=O)NR2、又はC1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、又はヘテロアリーレンで任意に置換されたアリーレンであり、前記ヘテロアリーレンは、C1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、又はシアノで任意に置換され、
式中 R2 は、水素、シアノ、又はC1-6-アルキルを表し、
X は、結合又はスペーサーを表し、C1-C20-アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C20-ペルフルオロアルキレン、又はそれらの組合せ、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-[(CQ2nE]m(CQ2p-から任意に選択され、
式中
n及びmは独立的に1-20であり、及びp は独立的に0-10であり、
A及びEのそれぞれは独立的に、-O-、-S-、-NR3-、-N(COR4)-、-PR5(O)-、
又はP(OR6)(O)-であり、式中
R3、R4、R5、及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
各Qは、独立的に水素、又はフッ素であり、
Y は、前記薬剤へのリンカーとして役立つことができる官能基を表し、-C(=O)-、-C(=S)-、-NR7(C=O)-、-OC(=O)-、-NR8(C=S)-、-CH2-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-NR9-S(=O)2-、-S-、-S-S-から任意に選択され、式中
R7、R8,及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
及び前記用語「薬剤」は、血漿中の半減期が延長されることが望まれる化合物を示す。
【0048】
他の側面において、本発明は、治療的薬剤の血管内半減期を増加する方法であって、前記治療的薬剤を一般式(II)の化合物に転換することによって特徴づけられる方法に関する:
【化18】

【0049】
式中 R1、G、Z、X、及びYは、上記で定義されたものである。
【0050】
一つの態様において、本発明は、前記治療的薬剤がバイオポリマーである方法に関する。
他の態様において、本発明は前記治療的薬剤がポリペプチドである方法に関する。
他の態様において、本発明は、前記治療的薬剤が1500 Da未満の分子量を有する薬物のような小分子薬物である方法に関する。
【0051】
一つの態様において、本発明は、式(I)又は(II)の化合物の調製のための方法に関し、前記薬剤又は治療的薬剤を一般式(III)の化合物と反応させることを含む:
【化19】

【0052】
本発明の一つの態様において、Y1は、化合物と結合形成反応をして一般式(I)の化合物を産することが可能な官能基であり、Y1 は、-C(=O)-L、-C(=S)-L、-NR2(C=O)-L、-OC(=O)-L、-NR2(C=S)-L、-C(H2)-L、-C(C1-6アルキル)(=O)、-CH(=O)、-S(=O)2-L、NR2-S(=O)2-L、-SH、-S-L、-NCO、-NCS、-NCNR2、-NC、-O-NH2から任意に選択され、式中
Lは、求核性置換のための脱離基であり、ヒドロキシ、ハライド、2,6-ジクロロベンゾイル、ピバロイル(pivaloyl)、2-又は4-ニトロフェニルオキシ、2,4-ジニトロフェニルオキシ、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ、4-ベンゾトリアゾール-3-イルオキシ、C1-6アルコキシカルボニルオキシ、4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イルオキシ、ペルフルオロフェニルオキシ、イミダゾリル、2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ、1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1-H-イソンドール(isondol)-2-イルオキシ、2,4,6-トリクロロフェニルオキシ、又はアジドから任意に選択され、
及び式中 R2 は水素、シアノ、又はC1-6-アルキルを表す。
【0053】
他の側面において、本発明は、一般式(III)の化合物に関する:
【化20】

【0054】
式中 R1、G、Z、X及びY1は、上記定義のとおりである。
【0055】
他の側面において、本発明は、式I、II又はIIIの何れか一つの化合物であって、前記対応する酸 R1-CO2H が、ヒト血清アルブミンに対して、約10 μM未満、又は約1 μM未満の一定の結合親和性を有する化合物に関する。
【0056】
本発明の一つの態様において、R1は、
一以上の-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、ハロゲン、又はアリールで任意に置換されたC1-30-アルキル、該アリールは-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、又はハロゲンで任意に置換される、或いは、
一以上の-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、ハロゲン、又はアリールで任意に置換されたC1-30-ペルフルオロアルキル、該アリールは-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、又はハロゲンで任意に置換される、
から選択される。
【0057】
本発明の他の態様において、R1は、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、ω-カルボン酸基を有する基、部分的に又は完全に水素化されたシクロペンタノフェナントレン骨格から選択される。
【0058】
本発明の他の態様において、R1-CO2Hは、アリール酢酸、ヨーフェノキセート(iophenxate)、又はジカルボン酸から選択される。
【0059】
本発明のさらに他の態様において、R1-CO2Hは、ケトプロフェン又は3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオン酸(CMPF)である。
【0060】
さらに他の態様において、R1 は、6〜40の炭素原子、8〜26の炭素原子、又は8〜20の炭素原子を有する。
【0061】
さらに他の態様において、R1は、40未満のアミノ酸残基を含むペプチドのようなペプチドである。ヒト血清アルブミンに可逆的に結合している小ペプチドの数は、当該分野で周知であり、例えば、「Dennis M.S.et al.J.biol.Chem.277(38)、2002、35035-35043」を参照されたい。
【0062】
本発明の他の態様において、GはNHである。
【0063】
本発明の他の態様において、ZはS(=O)2である。
【0064】
さらに他の態様において、QはHである。
【0065】
本発明のさらに他の態様において、A及びEは、何れも-O-である。
【0066】
本発明のさらに他の態様において、nは2である。
【0067】
さらに他の態様において、本発明は、式 I、II又はIIIの何れか一つに記載の化合物(ここで、Xは、約80 Da〜約1000 Daの範囲の分子量、又は約80 Da〜約300 Daの範囲の分子量を有するスペーサーである)に関する。
【0068】
本発明のさらに他の態様において、前記治療的薬剤は、バイオポリマーである。
【0069】
本発明のさらに他の態様において、前記治療的薬剤は、ポリペプチドである。
【0070】
本発明のさらに他の態様において、前記治療的薬剤は、前記ポリペプチドのリジン残基のε-アミノ基を介してYに結合したポリペプチドである。
【0071】
本発明のさらに他の態様において、前記治療的薬剤は、システイン、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選択されるアミノ酸残基を介してYに結合したポリペプチドである。
【0072】
本発明の一つの態様において、前記治療的薬剤は、GLP-1ペプチドである。
【0073】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、GLP-1(7-35)、GLP-1(7-36)、GLP-1(7-36)-アミド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-38)、GLP-1(7-39)、GLP-1(7-40)、GLP-1(7-41)、又はそれらの類似体から選択されるGLP-1ペプチドである。
【0074】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、交換され、追加され、又は欠失されたアミノ酸残基を15より多く含まないか、又はGLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、交換され、追加され、又は欠失されたアミノ酸残基を10より多く含まないGLP-1ペプチドである。
【0075】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、交換され、追加され、又は欠失されたアミノ酸残基を6より多く含まないGLP-1ペプチドである。
【0076】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸残基を4より多く含まないGLP-1ペプチドである。
【0077】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、DPPIV保護されたGLP-1ペプチドであるGLP-1ペプチドである。
【0078】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、位置8においてAib残基を含むGLP-1ペプチドである。
【0079】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、前記GLP-1 化合物の位置7における前記アミノ酸残基が、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、及びα-メチル-ヒスチジンからなる群より選択されるGLP-1ペプチドである。
【0080】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、式IVのアミノ酸配列を含むGLP-1ペプチドである:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Ala-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46
式(IV)(配列番号: 2)
式中
Xaa7は、L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、又は4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、又は(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり;
Xaa16は、Val、又はLeuであり;
Xaa18は、Ser、Lys、又はArgであり;
Xaa19は、Tyr、又はGlnであり;
Xaa20は、Leu、又はMetであり;
Xaa22は、Gly、Glu、又はAibであり;
Xaa23は、Gln、Glu、Lys、又はArgであり;
Xaa25は、Ala、又はValであり;
Xaa26は、Lys、Glu、又はArgであり;
Xaa27は、Glu、又はLeuであり;
Xaa30は、Ala、Glu、又はArgであり;
Xaa33は、Val、又はLysであり;
Xaa34は、Lys、Glu、Asn、又はArgであり;
Xaa35は、Gly、又はAibであり;
Xaa36は、Arg、Gly、又はLysであり;
Xaa37は、Gly、Ala、Glu、Pro、Lys、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa38は、Lys、Ser、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa39は、Ser、Lys、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa40は、Gly、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa41は、Ala、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa42は、Pro、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa43は、Pro、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa44は、Pro、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa45は、Ser、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa46は、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45、又はXaa46が非存在である場合、各アミノ酸残基の下流もまた非存在であると規定される。
【0081】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、式 Vのアミノ酸配列を含むGLP-1ペプチドである:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Xaa18-Tyr-Leu-Glu-Xaa22-Xaa23-Ala-Ala-Xaa26-Glu-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Val-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38
式(V)(配列番号: 3)
式中
Xaa7は、L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、又は4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、又は(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり;
Xaa18は、Ser、Lys、又はArgであり;
Xaa22は、Gly、Glu、又はAibであり;
Xaa23は、Gln、Glu、Lys、又はArgであり;
Xaa26は、Lys、Glu、又はArgであり;
Xaa30は、Ala、Glu、又はArgであり;
Xaa34は、Lys、Glu、又はArgであり;
Xaa35は、Gly、又はAibであり;
Xaa36は、Arg、又はLysであり;
Xaa37は、Gly、Ala、Glu、又はLysであり;
Xaa38は、Lys、アミドであるか、又は非存在である。
【0082】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、
Arg34GLP-1(7-37)、Lys38Arg26,34GLP-1(7-38)、
Lys38Arg26,34GLP-1(7-38)-OH、Lys36Arg26,34GLP-1(7-36)、
Aib8,22,35 GLP-1(7-37)、Aib8,35 GLP-1(7-37)、Aib8,22 GLP-1(7-37)、
Aib8,22,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22,35 Arg26Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,35 Arg26Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22 Arg26Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22,35 Arg34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,35Arg34Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22Arg34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22,35Ala37Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,35Ala37Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22Ala37Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22,35 Lys37GLP-1(7-37)、Aib8,35Lys37GLP-1(7-37)、及び
Aib8,22Lys37GLP-1(7-38)からなる群より選択されるGLP-1ペプチドである。
【0083】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、配列番号:1のアミノ酸配列と相対した位置23、26、34、36、又は38のアミノ酸残基を介してYに結合したGLP-1ペプチドである。
【0084】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、エクセンディン(exendin)-4(配列番号:4)であるGLP-1ペプチドである。
【0085】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、ZP-10、即ち、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK-アミド(配列番号:5)であるGLP-1ペプチドである。
【0086】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、R1-C(=O)-G-Z-X-Y-が、前記GLP-1ペプチドのC-末端アミノ酸残基で前記GLP-1ペプチドに結合されたGLP-1ペプチドである。
【0087】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、第二のR1-C(=O)-G-Z-X-Y- 部分が、前記C-末端アミノ酸残基ではないアミノ酸残基に結合されたGLP-1ペプチドである。
【0088】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤はGLP-2ペプチドである。
【0089】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、DPPIV-保護されたGLP-2ペプチドである。
【0090】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、Gly2-GLP-2(1-33)であるGLP-2ペプチドである。
【0091】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤は、Lys17Arg30-GLP-2(1-33)であるGLP-2ペプチドである。
【0092】
本発明の他の態様において、式I又はIIIに記載の化合物は、Nε17-(6-((2-(3-(ベンゾイル)フェニル)プロピオニルアミノ)スルホニル)ヘキサノイル)[Lys17,Arg30]GLP-2(1-33)、又はNδ17-(lauroylスルファモイル)ベンジル-[Glu3,Gln17]GLP-2(1-33)である。
【0093】
本発明の他の態様において、前記治療的なポリペプチドは、ヒトインスリン、又はそれらの類似体である。
【0094】
本発明の他の態様において、前記治療的なポリペプチドは、AspB28-ヒトインスリン、LysB28,ProB29-ヒトインスリン、LysB3,GluB29-ヒトインスリン、GlyA21,ArgB31,ArgB32-ヒトインスリン及びdes(B30)ヒトインスリンからなる群より選択される。
【0095】
本発明の他の態様において、前記治療的なポリペプチドは、ヒト成長ホルモン、又はそれらの類似体である。
本発明の他の態様において、前記治療的なポリペプチドは、副甲状腺ホルモン、又はそれらの類似体である。
本発明の他の態様において、前記治療的なポリペプチドは、ヒト卵胞刺激ホルモン、又はそれらの類似体である。
本発明の他の態様において、前記治療的なポリペプチドは、100 kDa未満の分子量、50 kDa未満の分子量、又は10 kDa未満の分子量を有する。
本発明の他の態様において、前記治療的なポリペプチドは、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子α(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)、上皮細胞成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)のような成長因子、インスリン成長因子I(IGF-I)、インスリン成長因子II(IFG-II)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、又はアンジオポエチンのようなソマトメジン、インターフェロン、プロ-ウロキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤 1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤 2、フォンウィルブランド因子、サイトカイン、例えば、インターロイキン(IL)1、IL-1Ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20、又はIL-21のようなインターロイキン、GM-CSFのようなコロニー刺激因子(CFS)、幹細胞因子、TNF-α、リンホトキシン-α、リンホトキシン-β、CD40L、又はCD30Lのような腫瘍壊死因子、例えばアプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤、スーパーオキシドジスムターゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、リボヌクレアーゼ、カタラーゼ、ウリカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、トリプシン、パパイン、アルカリホスファターゼ、β-グルコロニダーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、又はバトロキソビンのような酵素、オピオイド、例えばエンドルフィン、エンケファリン又は非-天然オピオイド、ホルモン又はニューロペプチド、例えば、カルシトニン、グルカゴン、ガストリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コレシストキニン、ルテナイジング(lutenizing)ホルモン、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン、コルチコトロピン放出因子、バソプレッシン、オキシトシン、抗利尿ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、リラキシン、プロラクチン、ペプチドYY、ニューロペプチドY、パンクレアスタティックポリペプチド、レプチン、CART(コカイン及びアンフェタミン調整転写物)、CART関連ペプチド、ペリリピン(perilipin)、MC-4のようなメラノコルチン(メラニン細胞刺激ホルモン)、メラニン凝集ホルモン、ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリン、エンドセリン、セクレチン、アミリン、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、ピチュアリー(pituary)アデニル化シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、ボンベシン、ボンベシン-様ペプチド、チモシン、ヘパリン-結合タンパク質、可溶性CD4、視床下部放出因子、メラノトニン(melanotonins)及びそれらの類似体からなる群より選択される。
【0096】
前記治療的なポリペプチドは、古典的なペプチド合成、例えば、t-Boc又はF-Moc化学を用いる固相ペプチド合成、又は他のよく確立された技術(例えば、Green及びWutsの「有機合成における保護基」、Jogn Wiley & Sons、1999を参照)によって生成することができる。
【0097】
また、治療的なポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするDNA配列を含み、また、該ペプチドの発現を可能にする条件下で、適切な栄養培地中で該ポリペプチドを発現させることが可能である宿主細胞を培養することを含む方法によっても生成することができ、その後に得られたペプチドは該培地から回収される。
【0098】
細胞の培養に用いる培地は、宿主細胞の増殖に適切な任意の従来の培地、例えば最小培地又は適切なサプリメントを含有する複合培地であってよい。適切な培地は、商業的な供給者から入手可能であり、或いは、公開されている処方(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログで)に従って調製してもよい。細胞によって生成されたペプチドは、次いで、遠心分離又は濾過によって培地から宿主細胞を分離することを含む、従来の方法によって、培養培地から回収される。細胞外産物のために、上清のタンパク質の成分は、問題のポリペプチドのタイプに依存して、濾過、カラムクロマトグラフィー又は沈殿、例えばマイクロ濾過、限外濾過、等電沈殿、種々のクロマトグラフィーの手法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー等による精製によって、単離される。培養培地から単離された細胞の細胞内産物又は周辺質産物のためには、産物ポリペプチド又はそれらの前駆物質を回収するために、分解又は透過して抽出する。
【0099】
治療的ポリペプチドをコードするDNA配列は、ゲノムのものであるか又はcDNA起源のものが適しており、例えば、ゲノム又はcDNAライブラリーを調製し、標準的な技術(例えば、Sambrook, J, Fritsch, EF及びManiatis, T, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989を参照されたい)に従った、合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、ペプチドの全部又は一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることによって得られる。ポリペプチドをコードするDNA配列は、確立された標準的な方法(例えば、Beaucage及びCaruthers、Tetrahedron Letters 22(1981)、1859 - 1869によって開示されたホスホアミジト方法、又は、Matthes et al.、EMBO Journal 3(1984)、801 - 805によって開示された方法)によって、合成的に調製することもできる。また、DNA配列は、例えばUS 4,683,202又はSaiki et al., Science 239(1988), 487 - 491に開示されているような、特異的プライマーを用いたポリメラーゼチェーン反応によって調製することもできる。
【0100】
DNA配列は、組換えDNA方法に都合よく供される任意のベクターに挿入されて良く、そのベクターの選択は、多くの場合、それが導入される宿主細胞に依存する。従って、ベクターは、自己複製ベクター、即ち、その複製が染色体の複製から独立している染色体外実体として存在するベクター、例えばプラスミドであってよい。或いは、ベクターは、宿主細胞に導入されるとき、宿主細胞ゲノムに組み込まれて、それが組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよい。
【0101】
ベクターは、ポリペプチドをコードするDNA配列が、プロモーターのようなDNAの転写に必要なさらなるセグメントに操作可能に結合された発現ベクターであることが好ましい。プロモーターは、選択された宿主細胞で転写活性を示す任意のDNA配列であってよく、宿主細胞に相同又は異種の何れかのタンパク質をコードする遺伝子に由来してよい。種々の宿主細胞において、本発明のペプチドをコードするDNAの転写を指示するための適切なプロモーターの例は、当該分野で周知であり、例えばSambrook et al.、supra.を参照されたい。
【0102】
ポリペプチドをコードするDNA配列は、必要であれば、適切なターミネーター、ポリアデニル化シグナル、転写増強配列、及び翻訳増強配列に操作可能に連結されてもよい。本発明の組換えベクターはさらに、問題の宿主細胞内でのベクターの複製を可能にするDNA配列を含んでも良い。
【0103】
ベクターは、選択可能マーカー、例えば、その産物が宿主細胞内での欠陥を補完する遺伝子、或いは、例えば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、又はメトトレキセート等の薬物に対する耐性を与える遺伝子を含んでも良い。
【0104】
大スケールでの製造には、選択可能マーカーは、抗生物質耐性ではないことが好ましく、例えば、ベクター中の抗生物質耐性遺伝子は、該ベクターが大スケールでの製造に用いられるときに切除されることが好ましい。ベクターから抗生物質耐性遺伝子を除去する方法は、当該分野では周知であり、例えばUS 6,358,705(本明細書において断行として援用される)を参照されたい。
【0105】
本発明の親ペプチドを宿主細胞の分泌経路に方向付けるため、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列とも知られている)を組換えベクター中に与えてよい。分泌シグナル配列は、正確なリーディングフフレーム中のペプチドをコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、通常5’を、ペプチドをコードするDNA配列に配置する。分泌シグナル配列は、普通はペプチドに関連するものであってよく、或いは他の分泌されるタンパク質をコードする遺伝子からのものであってもよい。
【0106】
本発明のペプチドをコードするDNA配列、プロモーター及び任意にターミネーター及び/又は分泌シグナル配列のそれぞれのライゲートに用いる方法、及び、複製のために必要な情報を含有する適切なベクターにそれらを挿入するための方法は、当業者には周知である(例えばSambrook et al.., supraを参照)。
【0107】
DNA配列又は組換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明のペプチドを生成しうる何れの細胞であってもよく、細菌、酵母、真菌、及び高等真核細胞を含む。当該分野で用いられる周知の適切な宿主細胞の例は、これらに限定されないが、大腸菌、酵母(Saccharomyces cerevisiae)、又は哺乳類のBHK又はCHO細胞株である。
【0108】
他の側面において、本発明は、以下から成る群から選択される化合物に関する:
【化21】

【0109】
他の側面において、本発明は、以下からなる群から選択される化合物の、治療的なポリペプチドの薬物動態学的性質を、該治療的なポリペプチドを前記化合物で誘導体化することによって改変するための使用に関する:
【化22】

【0110】
本発明に記載の化合物を含む薬学的組成物は、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences、1985」又は「Remington: the Science andPractice of Pharmacy、19th edition、1995.」に記載されているような従来技術によって調製されることができる。
【0111】
本発明の一つの目的は、
約0.1 mg/ml〜約25 mg/mlの濃度で存在している本発明の化合物を含む薬学的製剤を提供することであり、ここで前記製剤は、2.0〜10.0のpHを有する。該製剤は、さらに、バッファー系、保存剤、等張剤、キレート剤、安定化剤及び界面活性剤を含んでよい。本発明の一つの態様において、該薬学的製剤は、水溶性製剤、即ち、水を含む製剤である。そのような製剤は、典型的には溶液又は懸濁液である。本発明のさらなる態様において、該薬学的製剤は水溶液である。用語「水溶性製剤」は、少なくとも50 %w/wの水を含む製剤として定義される。同様に、用語「水溶液」は、少なくとも50 %w/wの水を含む溶液として定義され、用語「水溶性懸濁液」は、少なくとも50 %w/wの水を含む懸濁液として定義される。
【0112】
他の態様において、前記薬学的製剤は、医師又は患者が溶媒及び/又は希釈剤を使用の前に添加する凍結乾燥製剤である。
他の態様において、前記薬学的製剤は、如何なる事前の溶解もなく使用できる乾燥製剤(例えば、凍結乾燥又はスプレードライ)である。
さらなる側面において、本発明は、本発明の化合物の水溶液、及びバッファーを含む薬学的製剤に関し、ここで前記化合物は、0.1 mg/ml又はそれ以上の濃度で存在し、また、前記製剤は、約2.0〜約10.0のpHを有する。
さらなる側面において、本発明は、本発明の化合物の水溶液、及びバッファーを含む薬学的製剤に関し、ここで前記化合物は0.1 mg/ml又はそれ以上の濃度で存在し、また、前記製剤は約7.0〜約8.5のpHを有する。
【0113】
本発明の他の態様において、前記製剤のpHは以下から成るリストから選択される:2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9,及び10.0。
【0114】
本発明のさらなる態様において、前記バッファーは、以下から成る群から選択される:酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シトラート、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン(bicine)、トリシン、リンゴ酸、スクシネート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、又はそれらの混合物。それらの具体的なバッファーのそれぞれが、本発明の代替の態様を構成する。
【0115】
本発明のさらなる態様において、前記製剤はさらに、薬学的に許容される保存剤を含む。本発明のさらなる態様において、該保存剤は、以下からなる群より選択される:フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、メチル p-ヒドロキシベンゾエート、プロピル p-ヒドロキシベンゾエート、2-フェノキシエタノール、ブチル p-ヒドロキシベンゾエート、2-フェニルエタノール、ベンジル アルコール、クロロブタノール、及びチオメロサル(thiomerosal)、ブロノポール、安息香酸、イミドウレア(imidurea)、クロロヘキシジン、ナトリウムデヒドロアセテート、クロロクレゾール、エチル p-ヒドロキシベンゾエート、ベンゼトニウム塩化物、クロロフェネシン(chlorphenesine)(3p-クロロフェノキシプロパン-1,2-ジオール)、又はそれらの混合物。本発明のさらなる態様において、前記保存剤は、0.1 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、前記保存剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、前記保存剤は、5 mg/ml〜10 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、前記保存剤は、10 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。それらの具体的な保存剤のそれぞれは、本発明の代替の態様を構成する。薬学的組成物における保存剤の使用は、当業者には周知である。レミングトンによる「the Science and Practice of Pharmacy、19th edition、1995」が便利に参照される。
【0116】
本発明のさらなる態様において、前記製剤はさらに等張剤を含む。本発明のさらなる態様において、前記等張剤は、以下からなる群より選択される:塩(例えば、塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、又はそれらの混合物。モノ-、ジ-又はポリサッカリドのような任意の糖、或いは、例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリンを含む水-可溶性グルカン、可溶性のスターチ、ヒドロキシエチルスターチ及びカルボキシメチルセルロース-Naを用いてよい。一つの態様において、該糖添加物はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも1つの--OH 基を有するC4-C8の炭化水素として定義され、例えば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールを含む。一つの態様において、糖アルコール添加物は、マンニトールである。上記の糖又は糖アルコールは、個々に又は組み合わせて用いられる。糖又は糖アルコールが液体製剤に溶解する限り、また、本発明の方法を用いて達成される安定化効果に不利に影響しない限り、使用する量に固定された限定はない。一つの態様において、糖又は糖アルコールの濃度は、約1 mg/ml〜約150 mg/mlである。本発明のさらなる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜7 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、等張剤は、8 mg/ml〜24 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、等張剤は、25 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。それらの具体的な等張剤のそれぞれは、本発明の代替の態様を構成する。薬学的組成物における等張剤の使用は、当業者には周知である。レミングトンによる「the Science and Practice of Pharmacy、19th edition、1995」が便利に参照される。
【0117】
本発明のさらなる態様において、前記製剤はさらにキレート剤を含む。本発明のさらなる態様において、該キレート剤は、以下から選択される:エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸、及びアスパラギン酸の塩、及びそれらの混合物。本発明のさらなる態様において、該キレート剤は、0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、該キレート剤は、0.1mg/ml〜2mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、該キレート剤は、2mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。それらの具体的なキレート剤のそれぞれは、本発明の代替の態様を構成する。薬学的組成物におけるキレート剤の使用は、当業者に周知である。レミングトンによる「the Science and Practice of Pharmacy、19th edition、1995」が便利に参照される。
【0118】
本発明のさらなる態様において、前記製剤はさらに安定化剤を含む。薬学的組成物における安定化剤の使用は、当業者には主知である。レミングトンによる「the Science and Practice of Pharmacy、19th edition、1995」が便利に参照される。
【0119】
さらに特には、本発明の組成物は、その治療的活性成分が液体薬学的製剤において貯蔵される間に凝集形成を示す可能性があるポリペプチドを含む、安定化された液体薬学的組成物である。「凝集形成」は、結果としてオリゴマーを形成するポリペプチド分子間の物理的相互作用を意図し、これは可溶性のままであるか、又は、溶液から沈殿する巨大な可視凝集体である。「貯蔵の間」は、一旦調製された液体薬学的組成物又は製剤が、被験者に直ちには投与されないことを意図する。むしろ、調製に続いて、液体形体か又は凍結状態、又は後で液体形体に再構成される乾燥形態、又は被験者に投与されるのに適した他の形態の何れかで貯蔵のためにパッケージされる。「乾燥形態」は、液体薬学的組成物又は製剤を、凍結乾燥(即ち、凍結乾燥法;例えば、Williams及びPolli(1984)J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照)、スプレードライ(Masters(1991)in Spray-Drying Handbook(5th ed; Longman Scientific及びTechnical、Essez、U.K.)、pp. 491-676; Broadhead et al.(1992)Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206;及びMumenthaler et al.(1994)Pharm. Res. 11:12-20を参照)、又はエアドライ(Carpenter及びCrowe(1988)Cryobiology 25:459-470;及びRoser(1991)biopharm. 4:47-53)の何れかで乾燥することを意図する。液体薬学的組成物の貯蔵の間のポリペプチドによる凝集形成は、そのポリペプチドの生物学的活性に不利に影響し得、その結果としてその薬学的組成物の治療的有効性の損失を招く。さらにその上、凝集形成は、ポリペプチド含有薬学的組成物が注入系を用いて投与されるとき、チュービング、メンブラン、又はポンプの阻害のような他の問題を引き起こす。
【0120】
本発明の薬学的組成物はさらに、該組成物の貯蔵の間、ポリペプチドによる凝集形成を減少させるのに十分なアミノ酸塩基の量を含む。「アミノ酸塩基」は、アミノ酸又はアミノ酸の組合せを意図し、ここで任意の与えられたアミノ酸はその遊離塩基形体又はその塩形体の何れかで存在する。アミノ酸の組み合わせが用いられる場合、全ての該アミノ酸がその遊離塩基形体で存在してもよく、全てがその塩形体で存在してもよく、或いは一部がその遊離塩基形態で存在しておりその他がその塩形体で存在していてもよい。一つの態様において、本発明の組成物の調製に使用されるためのアミノ酸は、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸のような帯電した側鎖を保有しているものである。一つの態様において、本発明の組成物の調製に用いられるアミノ酸は、グリシンである。特定のアミノ酸(例えば、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン及びそれらの混合物)の任意の立体異性体(即ち、L又はD)或いはそれらの立体異性体の組合せは、特定のアミノ酸がその遊離塩基形体又はその塩形体のいずれかで存在している限り、本発明の薬学的組成物に存在し得る。一つの態様において、L-立体異性体はが用いられる。また、本発明の組成物は、それらのアミノ酸の類似体を配合されてもよい。「アミノ酸類似体」は、本発明の液体薬学的組成物の貯蔵の間のポリペプチドによる凝集形成を減少させる所望の効果をもたらす、天然のアミノ酸の誘導体を意図する。適切なアルギニンの類似体には、例えば、アミノグアニジン、オルニチン及びN-モノエチルL-アルギニンが含まれ、適切なメチオニンの類似体には、S-エチル ホモシステイン及びS-ブチル ホモシステインが含まれ、及び適切なシステインの類似体にはS-メチル-L システインが含まれる。他のアミノ酸と同様に、アミノ酸類似体は、その遊離塩基形体又はその塩形体の何れかで組成物に導入される。本発明のさらなる態様において、アミノ酸又はアミノ酸類似体は、タンパク質の凝集を防ぐか又は遅らせるのに十分な濃度で用いられる。
【0121】
本発明のさらなる態様において、メチオニン(又は他のイオウ含有アミノ酸又はアミノ酸類似体)が、治療的薬剤として作用するポリペプチドがそのような酸化に影響されやすいメチオニン残基を少なくとも一つ含むとき、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために加えられる。「阻害」は、時間経過後の酸化された種の蓄積が最小であることを意図する。メチオニン酸化の阻害は、その固有の分子形体でのポリペプチドの保持率を大きくする。メチオニンの何れの立体異性体(L、D、又はそれらの混合物)を用いても良い。加えられる量は、メチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量であり、メチオニンスルホキシドの量が調節性薬剤に許容されるような量である。これは典型的には、該組成物が約10%〜約30%のメチオニンスルホキシドより多くは含まないことを意味する。これは通常、加えられるメチオニンの割合がメチオニン残基に対して約1:1 〜約1000:1、例えば10:1 〜約100:1の範囲であるように、メチオニンを加えることによって達成できる。
【0122】
本発明のさらなる態様において、前記製剤はさらに、高分子量ポリマー又は低分子量化合物の群から選択される安定化剤を含む。本発明のさらなる態様において、該安定化剤は、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ-/ヒドロキシセルロース、又はそれらの誘導体(例えば、HPC、HPC-SL、HPC-L及びHPMC)、シクロデキストリン、モノチオグリセロール、チオグリコール酸及び2-メチルチオエタノールのようなイオウ-含有物質、及び異なる塩(例えば、塩化ナトリウム)から選択される。それらの具体的な安定化剤のそれぞれは、本発明の代替の態様を構成する。
【0123】
前記薬学的組成物は、さらなる安定化剤を含んでもよく、それは、治療的活性なポリペプチドのそこでの安定性をさらに増強する。本発明に特に興味深い安定化剤には、これらに限定されないが、メチオニン及びEDTA(ポリペプチドをメチオニン酸化から保護する)、及び非イオン性界面活性剤(ポリペプチドを凍結-解凍又は機械的な剪断に伴う凝集から保護する)が含まれる。
【0124】
本発明のさらなる態様において、前記製剤はさらに界面活性剤を含む。本発明のさらなる態様において、該界面活性剤は以下から選択される:洗浄剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン ブロックポリマー(例えば、Pluronic(R)F68のようなポロキサマー、ポロキサマー 188及び407、トリトンX-100)、ポリオキシエチレン ソルビタン脂肪酸エステル、アルキル化及びアルコキシル化誘導体(トゥイーン、例えば、Tween-20、Tween-40、Tween-80及びBrij-35)のようなポリオキシエチレン及びポリエチレン誘導体、モノグリセリド又はそれらのエトキシル化誘導体、ジグリセリド又はそれらのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レシチン及びリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール及びスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えば、ジパルミトイルホスファチジン酸)及びリゾリン脂質(例えば、パルミトイル リゾホスファチジル-L-セリン及びエタノールアミン、コリン、セリン又はスレオニンの、1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスフェートエステル)及びアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、リソホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、例えば、リソホスファチジルコリン及びジパルミトイルホスファチジルコリンのラウロイル及びミリストイル誘導体、及び、極性頭部、コリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトールの改変、及び、正に帯電した DODAC、DOTMA、DCP、BIHOP、リソホスファチジルセリン及びリソホスファチジルスレオニン、及びグリセロリン脂質(例えば、ケファリン)、グリセロ糖脂質(例えば、ガラクトピランソイド)、スフィンゴ糖脂質(例えば、セルアミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、雌鳥卵リソレクチン、フシジン酸誘導体-(例えば、ナトリウムタウロ-ジヒドロフシデートなど)、長鎖脂肪酸及びそれらの塩C6-C12(例えば、オレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン及び誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンのNα-アシル化誘導体、又はリジン又はアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニン、又はヒスチジンと中性又は酸性のアミノ酸の任意の組合せを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸及び二価帯電したアミノ酸の任意の組合せを含むトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS(ドキュセート(docusate)ナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ナトリウムドデシルスルフェート、又はナトリウムラウリルスルフェート)、カプリル酸ナトリウム、コール酸又はそれらの誘導体、胆汁酸及びそれらの塩及びグリシン又はタウリン接合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、陰イオン性(アルキル-アリール-スルホネート)一価の界面活性剤、両性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホンエート、3-コルアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホンエート、陽イオン性界面活性剤(4分の1(quarternary)アンモニウム塩基)(例えば、セチル-トリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウム塩化物)、非-イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル β-D-グルコピラノシド)、ポロキサミン(例えば、テトロンの(Tetronic’s))(エチレンジアミンへのプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの逐次追加から得られた四官能性ブロックコポリマー)、又は、イミダゾリン誘導体又はそれらの混合物の群から選択される界面活性剤。それらの具体的な界面活性剤のそれぞれは、本発明の代替の態様を構成する。
【0125】
薬学的組成物における界面活性剤の使用は、当業者には周知である。レミングトンによる「the Science and Practice of Pharmacy、19th edition、1995」が便利に参照される。
【0126】
GLP-1化合物の非経口投与のための組成物は、例えば、WO 03/002136に開示されているように調製される。
他の成分が、本発明のペプチド薬学的製剤中に存在することも可能である。そのようなさらなる成分には、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、増量剤、張度改変剤、キレート剤、金属イオン、油性溶媒、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン及びヒスチジンのようなアミノ酸)が含まれる。そのようなさらなる成分は、当然ながら、本発明の薬学的製剤の全体的な安定性に不利に影響しないべきである。
【0127】
本発明の化合物を含む薬学的組成物は、例えば局所的部位で、例えば皮膚及び粘膜部位で、バイパス吸収の部位で、例えば、動脈、静脈、心臓での投与、及び吸収に関する部位で、例えば皮膚中、皮下、粘膜中又は腹部での投与など、幾つかの部位においてそのような治療を必要としている患者に投与されてよい。
【0128】
本発明の薬学的組成物は、幾つかの投与経路、例えば、舌、舌下、頬側、口内、経口、胃腸内、経鼻、肺、例えば細気管支及び肺胞又はそれらの組合せを通して、上皮、真皮、経皮、膣、直腸、眼球、例えば結膜を通して、尿管(uretal)を通して、及び非経口的に、そのような治療を必要とする患者に投与されてよい。
【0129】
本発明の組成物は、幾つかの剤形で、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ミクロエマルジョン、多重エマルジョン(multiple emulsion)、泡、軟膏、ペースト、硬膏剤、軟膏剤(ointments)、錠剤、被覆錠剤、リンス、カプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、坐薬、直腸カプセル、液滴、ゲル、スプレー、粉末、エアロゾル、吸入薬、点眼剤、眼軟膏、眼リンス、腟坐薬、膣リング、膣軟膏、注射溶液、インサイチュー トランスフォーミング溶液、例えば、インサイチューゲル化剤、インサイチュー硬化剤、インサイチュー沈殿剤、インサイチュー結晶化剤、注入溶液、及び植込錠として投与されてよい。
【0130】
本発明の組成物はさらに、化合物の安定性をさらに増強するために、生物学的利用能を上昇するために、可溶性を上昇するために、有害な影響を減少するために、当業者に周知の時間治療を達成するために、及び患者のコンプライアンスを上昇するために、又はそれらの何れかの組合せのために、例えば、共有結合、疎水性及び静電気的相互作用を介して、薬物キャリア、薬物送達系及び後生的薬物送達系中に配合されるか、又はそれらに付属されてもよい。キャリア、薬物送達系及び後生的薬物送達系の例には、これらに限定されないが、ポリマー、例えば、セルロース及び誘導体、ポリサッカリド、例えば、デキストラン及び誘導体、スターチ及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリラート及びメタアクリラートポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸及びそれらのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、キャリアータンパク質、例えばアルブミン、ゲル、例えば、熱ゲル(thermogelling)系、例えば当業者に周知のブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ粒子、液体結晶及びそれらの分散系、脂質-水系における相の振る舞いが当業者に周知の、L2相及びそれらの分散液、ポリマーミセル、多重エマルジョン、セルフ-乳化、セルフ-ミクロエマルジョン化、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、及びデンドリマーが含まれる。
【0131】
本発明の組成物は、例えば、メータード(metered)投与吸入器、乾燥粉末吸入器及び噴霧器(全て当業者に周知のデバイスである)を用いる、化合物の肺投与のための、固体製剤、半固体製剤、粉末製剤及び溶液製剤において有用である。
【0132】
本発明の組成物は、制御され、持続され、遅延され、抑制され、及び徐放される薬物送達系の製剤において特に有用である。より特異的には、これらに限定されないが、組成物は、当業者に周知の非経口的な制御された放出系及び持続された放出系(何れの系も、投与数を何倍にも減少させる)の製剤において有用である。さらには、皮下投与される制御された放出系及び持続された放出系が好ましい。本発明の範囲を限定するものではないが、制御された放出系及び組成物の有用な例には、ヒドロゲル、油性ゲル、液体結晶、ポリマーミセル、ミクロスフィア、ナノ粒子が含まれる。
【0133】
本発明の組成物のために有用な、制御された放出系を調製する方法は、これらに限定されないが、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧均質化、被包、スプレードライ、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフェアを調製するための溶媒蒸発、押出し及び超臨界流体方法を含む。一般的な参考には、薬学的制御放出ハンドブック(Wise, D.L., ed. Marcel Dekker、New York、2000)及び薬物及び薬学科学 vol. 99: タンパク質製剤及び送達(MacNally、E.J., ed. Marcel Dekker, New York, 2000)を用いることができる。
【0134】
非経口投与は、シリンジ、任意にペン様シリンジによって、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、又は静脈内注射によって行われる。或いは、非経口投与は、注入ポンプによって行うことができる。さらなる選択肢は、経鼻スプレー又は肺スプレーの形体での、本発明の化合物の投与のための溶液又は懸濁液である組成物である。さらなる選択肢として、本発明の化合物を含む薬学的組成物は、経皮的な投与、例えば無針注射による投与、又はパッチ、任意にイオン泳動的なパッチからの投与、又は粘膜、例えば、頬側を通っての(transmucosal)投与にも適用することができる。
【0135】
用語「安定化された製剤」は、物理的安定性が増大した、化学的安定性が増大した、又は物理的及び化学的安定性が増大した製剤を示す。
【0136】
タンパク質製剤の「物理的安定性」という用語は、本明細書で使用されるように、タンパク質を、熱-機械的ストレス及び/又は不安定化している界面及び表面(疎水性表面及び界面のような)の相互作用に曝露した結果としての、タンパク質の不活性及び/又は不溶性の凝集体を形成する、タンパク質の傾向を示す。水溶性タンパク質製剤の物理的安定性は、適切な容器(例えばカートリッジ又はバイアル)に満たした製剤を、種々の時間で異なる温度で機械的/物理的ストレス(例えば攪拌)に曝した後の可視的な検査及び/又は濁度測定によって評価される。製剤の可視的検査は、暗背景での鋭い焦点光中で行われる。製剤の濁度は、例えば0〜3のスケールでの濁度の程度の視覚的スコアランキングによって特徴づけられる(濁りを示さない製剤は視覚的スコア0に相当し、昼光中で視覚的に濁りを示す製剤は視覚的スコア3に相当する)。製剤は、昼光中で視覚的に濁りを示すとき、タンパク質の凝集に関して物理的不安定に分類される。或いは、前記製剤の濁度は、当業者に周知の簡単な濁度測定によって評価することもできる。水性タンパク質製剤の物理的安定性は、タンパク質のコンフォメーションの状態の分光学的な薬剤又はプローブを用いて測定することができる。該プローブは、優先的に非天然配座のタンパク質に結合する小分子が好ましい。タンパク質構造の小分子分光学的プローブの一つの例は、チオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイドフィブリルの検出のために広く用いられている蛍光染料である。フィブリル、及び、そのうえ恐らく他のタンパク質立体配置の存在下において、フィブリルタンパク質形体に結合したとき、チオフラビンTは最大で約450 nmでの新たな励起及び約482 nmでの増強された発光を生じる。未結合のチオフラビンTは、その波長では基本的に蛍光性である。
【0137】
他の小分子が、タンパク質構造における天然状態から非天然状態への変化のプローブとして使用できる。例えば、曝露されたタンパク質の疎水性パッチに優先的に結合する「疎水性パッチ」プローブである。疎水性パッチは、通常、タンパク質のその天然の状態の三次構造内に埋もれているが、タンパク質が折りたたみ構造がほどけるか又は変性され始めると曝露されるようになる。それらの小分子、分光学的プローブの例は、芳香族、アントラセン(antrhacene)、アクリジン、フェナントロリン等のような疎水性染料である。他の分光学的プローブは、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、及びバリン等のような疎水性のアミノ酸のコバルト金属錯体のような金属-アミノ酸錯体である。
【0138】
タンパク質製剤の「化学的安定性」という用語は、本明細書で使用されるように、天然のタンパク質構造と比較して生物学的有効性が低い可能性及び/又は免疫原性的性質が増大している可能性を有する化学的分解産物の形体をもたらす、タンパク質構造における化学的共有結合の変化に関連する。種々の化学的分解産物は、天然のタンパク質のタイプ及び性質並びにそのタンパク質が曝される環境に依存して形成され得る。化学的分解の排除は、恐らく完全に避けることはできず、化学的分解産物の量の増加は多くの場合、当業者には周知のように、タンパク質製剤の貯蔵及び使用の間に見られる。ほとんどのタンパク質は脱アミドを起こしやすく、グルタミニル又はアスパラギニル残基における側鎖アミド基でのプロセスは、水素化されて遊離のカルボン酸を形成する。他の分解経路は、高分子量トランスフォーメーション産物の形成に関し、ここにおいて、二以上のタンパク質分子は、共有結合性ダイマー、オリゴマー及びポリマー分解産物の形成をもたらすアミド基転移及び/又はジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合されている(Stability of Protein Pharmaceutical, Ahern. T.J. & Manning M.C., Plenum Press、New York 1992)。酸化(例えばメチオニン残基の)は、他の種類の化学的分解として述べることができる。タンパク質製剤の化学的安定性は、異なる環境条件(分解産物の形成は、多くの場合、例えば温度上昇によって促進される)に曝露した後の種々の時間点における化学的分解産物の量を測定することによって評価できる。それぞれの分解産物の量は、多くの場合、分子サイズ及び/又は電荷に依存して、種々のクロマトグラフィー技術(例えば、SEC-HPLC 及び/又は RP-HPLC)を用いた、分解産物の分離によって測定される。
【0139】
それ故、上記の概要のように、「安定化された製剤」は、上昇した物理的安定性、上昇した化学的安定性、又は上昇した物理的及び化学的安定性を有する製剤について言及する。通常、製剤は、使用期限に達するまでは、使用及び貯蔵の間(推奨使用及び貯蔵条件に従って)安定でなければならない。
【0140】
本発明の一つの態様において、本発明の化合物を含む薬学的製剤は、6週間を越す使用及び3年を越す貯蔵に安定である。
本発明の他の態様において、本発明の化合物を含む薬学的製剤は、4週間を越す使用及び3年を越す貯蔵に安定である。
本発明の他の態様において、本発明の化合物を含む薬学的製剤は、4週間を越す使用及び2年を越す貯蔵に安定である。
本発明のさらなる態様において、前記化合物を含む薬学的製剤は、2週間を越す使用及び2年を越す貯蔵に安定である。
【0141】
他の側面において、本発明は、薬物の調製のための本発明の化合物の使用に関する。
本発明の一つの態様において、前記治療的薬剤がGLP-1ペプチドである本発明の化合物は、高血糖、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満症、高血圧症、症候群X、異脂肪血症、認知性障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠血管心臓疾患及び他の心血管性障害、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための薬物の調製のために用いられる。
【0142】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤がGLP-1ペプチドである本発明の化合物は、2型糖尿病における疾病の進行を遅延又は予防するための薬物の調製のために用いられる。
【0143】
本発明の他の態様において、前記治療的薬剤がGLP-1ペプチドである本発明の化合物は、食物摂取を減少するため、β-細胞アポトーシスを減少するため、β-細胞機能及びβ-細胞質量を増強させるため、及び/又はβ-細胞にグルコース感受性を回復させるため薬物の調製のために用いられる。
【0144】
他の態様において、本発明は、本発明の化合物の使用に関し、ここにおいて、前記治療的薬剤は、小腸性症候群、炎症性腸症候群、又はクローン病の治療のための薬物の調製のためのGLP-2ペプチドである。
【0145】
他の態様において、本発明は、本発明の化合物の使用に関し、ここにおいて、前記治療的薬剤は、高血糖、1型糖尿病、2型糖尿病、又はβ-細胞欠乏症の治療のための薬物の調製のためのインスリンペプチドである。
【0146】
本発明の化合物による処理は、二以上の薬理学的に活性な物質、例えば、抗糖尿病剤、抗肥満症剤、食欲制御剤、血圧降下薬剤、糖尿病の結果の又は糖尿病に付随する合併症の治療及び/又は予防のための薬剤、及び、肥満症の結果の又は肥満症に付随する合併症及び障害の治療及び/又は予防のための薬剤から選択されるものと併用することもできる。それらの薬理学的に活性な物質の例は、インスリン、GLP-1アゴニスト、スルホニルウレア、ビグアニド、メグリチニド、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)阻害剤、糖新生及び/又はグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤、グルコース取込みモジュレーター、抗高脂血症剤、HMG CoA 阻害剤(スタチン)のような脂質代謝を改変する化合物、食物摂取を低下させる化合物、RXRアゴニスト及びβ-細胞のATP-依存性カリウムチャンネル上で作用する薬剤;コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール、デキストロサイロキシン、ネテグリニド(neteglinide)、レパグリニド;アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール及びメトプロロールのようなβ-ブロッカー、ベナゼプリル(benazepril)、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル(fosinopril)、リシノプリル、アラトリオプリル(alatriopril)、キナプリル及びラミプリル(ramipril)のようなACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム及びベラパミルのようなカルシウムチャンネルブロッカー、及び、ドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン及びテラゾシンのようなα-ブロッカー;CART(コカイン アンフェタミン調整転写物)アゴニスト、NPY(ニューロペプチド Y)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチン(urocortin)アゴニスト、β3 アゴニスト、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラノサイト-濃縮ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再取込み阻害剤、セロトニン及びノルアドレナリン再取込み阻害剤、混合性セロトニン及びノルアドレナリン作動性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH(チレオトロピン(thyreotropin)放出ホルモン)アゴニスト、UCP 2、又は3(結合解離タンパク質 2又は3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DA アゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン(doprexin))、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、RXR(レチノイドX 受容体)モジュレーター、TR βアゴニスト; ヒスタミン H3 アンタゴニストである。
【0147】
本発明の化合物の、一以上の上記化合物及び任意に一以上のさらなる薬学的に活性な物質との任意の適切な組合せは、本発明の範囲内であると見なされることは理解されるであろう。
【0148】
本発明はさらに、以下の例によっても説明されるが、これによって本発明の保護範囲が制限されるものではない。上述の説明及び以下の例において記載された特徴は、別々であっても任意に組み合わされてもよく、本発明を多様な形体で認識するために表される。
【実施例】
【0149】
実施例において以下の用語は、以下の一般的な意味を有するように意図される:
DBU: 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DCM: ジクロロメタン、塩化メチレン
DMA: N,N-ジメチルアセトアミド
DMF: N,N-ジメチル ホルムアミド
DMSO: ジメチル スルホキシド
EDC: N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライド
HOAt: 3-ヒドロキシ-3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン、4-アザ-3-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HOBt: N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
NMP: N-メチルピロリドン
NMR スペクトルは、Bruker 300 MHz及び400 MHz機器で記録した。HPLC-MSは、Perkin Elmer 機器(API 100)で行った。
メルク-ヒタチのHPLC-システム(Hibar(TM)RT 250-4、Lichrosorb(TM)RP 18、5.0 μm、4.0 x 250 mm、勾配溶出、20%〜80% 水中アセトニトリル、30分以内、1.0 ml/分、254 nmで検出)及びウォーター(Symmetry(TM)、C18、3.5 μm、3.0 x 150 mm、勾配溶出、5%〜90% 水中アセトニトリル、15 分、1.0 ml/分、214 nmで検出)を用いた。
【0150】
さらに、以下に記載したHPLC方法h8を用いた:
逆相分析を、214、254、276及び301 nmで、218TP54 4.6 mm x 150 mm C-18 シリカカラムでのUV検出を用いて行い、これは1 ml/分、42 ℃で溶出した。このカラムを5%のアセトニトリル、85%の水、及び10%の水中0.5% トリフルオロ酢酸の溶液で平衡化し、5%のアセトニトリル、85%の水及び10%の水中0.5% トリフルオロ酢酸の溶液から、90%のアセトニトリル及び10%の0.5% トリフルオロ酢酸溶液の直線勾配で、15 分で溶出した。
【0151】
さらに、以下に記載したHPLC方法Aを用いた:
RP-分析は、ウォーター 996ダイオードアレイ検出器に適合させたウォーター 2690 システムを用いて行った。UV検波は、214、254、276、及び301 nmで、218TP54 4.6 mm x 250 mm 5μC-18 シリカカラム(The Seperations 基、Hesperia)を用いて収集し、1 ml/分、42°Cで溶出した。このカラムを水(0.1%)中TFA水溶液中5% アセトニトリル(+ 0.1% TFA)で平衡化した。注入後、サンプルを水(0.1%)中TFA水溶液中0%〜90% アセトニトリル(+ 0.1% TFA)勾配で、50分間溶出した。
【0152】
一般的方法(A)
本発明の式(I)の化合物は、一般的な方法(A)によって調製され得る:
【化23】

【0153】

血漿-タンパク質結合酸を、適切な溶媒、例えばTHFに溶解し、わずかに過剰量のカルボニルジイミダゾールで処理する。酸イミダゾールの形成が完了したら、一般式H2N-S(O)2-X-Y-PG(PG = 保護基)のスルホアミドを該反応混合物に加え、続いて、適切な塩基、例えばDBUを加える。反応が完了したら、溶媒を蒸発させ、産物を抽出法及びカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0154】
次いで、得られた中間体を、脱保護し、活性化し、そして薬剤又は部分的に保護されたそれらの誘導体で処理し、最終的に脱保護した後、所望の物質が得られる。
【0155】
例1: 6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]ヘキサン酸
第一工程: 6-スルホヘキサン酸エチルエステル
【化24】

【0156】
6-ブロモヘキサン酸(9.75 g、50.0 mmol)、亜硫酸ナトリウム(25.2 g、200 mmol)、及び水(100 ml)の混合物を、100℃で一晩攪拌した。次いで、該混合物に濃塩酸水溶液(35 ml)を加えて酸性化し、減圧下で濃縮した。この残渣にエタノールを加え、この混合物を再び濃縮した。この残渣をエタノール中に再懸濁し、濾過して塩を除去した。濾液を濃縮し、残渣をトルエンで3倍に共沸濃縮して乾燥した。13.4 g(quant.)の表題化合物を油として得た。
【0157】
1H NMR(CDCl3)δ1.27(t、J = 7 Hz、3H)、1.50(m、2H)、1.68(m、2H)、1.87(m、2H)、2.36(m、2H)、3.12(t、J = 7 Hz、2H)、4.13(quart、J = 7 Hz、2H)、10.42(s、br、2H)。
【0158】
第二工程: 6-クロロスルホニルヘキサン酸エチルエステル
【化25】

【0159】
先の反応の産物(13.4 g、最大50 mmol)を、塩化チオニル(50 ml)に溶解し、一晩熱して還流した。この混合物を濃縮し、その残渣をトルエンで3倍に共蒸発させ、13.4 g(quant)の表題化合物を得た。
【0160】
1H NMR(CDCl3)δ1.26(t、J = 7 Hz、3H)、1.52(m、2H)、1.68(m、2H)、1.97(m、2H)、2.32(t、J = 7 Hz、2H)、3.54(t、J = 7 Hz、2H)、4.13(quart、J = 7 Hz、2H)。
【0161】
第三工程: 6-スルファモイルヘキサン酸エチルエステル
【化26】

【0162】
先の反応の産物(13.4 g、最大50 mmol)をアンモニア水溶液(80 ml、25% NH3)に溶解し、室温で10分間静置した。この混合物を減圧下で濃縮し、その残渣をエタノールで繰り返し共蒸発して乾燥した。次いで、その残渣を、飽和NaHCO3 水溶液とジクロロメタンの間に分布させた。ジクロロメタン相を水で一回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して2.55 g(23%)のスルホンアミドを得た。
【0163】
1H NMR(CDCl3)δ1.26(t、J = 7 Hz、3H)、1.50(m、2H)、1.68(m、2H)、1.89(m、2H)、2.32(t、J = 7 Hz、2H)、3.12(t、J = 7 Hz、2H)、4.12(quart、J = 7 Hz、2H)、4.55(br s、2H)。
【0164】
第四工程: 1: 6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]ヘキサン酸エチルエステル
【化27】

【0165】
ジクロロメタン(50 ml)中のラセミのケトプロフェン(3.81 g、15.0 mmol)の水溶液に、HOAt(2.04 g、15.0 mmol)及びEDC(2.88 g、15.0 mmol)を加え、該混合物を、清澄溶液が得られるまで攪拌した。この溶液に、ジクロロメタン中の6-スルファモイルヘキサン酸エチルエステル(2.23 g、10.0 mmol)及びDIPEA(2.56 ml)の溶液を加え、その混合物を室温で3時間攪拌した。この混合物を1N HCl水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製し、2.0 g(44%)の表題化合物を得た。分析用サンプルを分取HPLCによって得た。
【0166】
1H NMR(CDCl3)δ1.23(t、J = 7 Hz、3H)、1.39(m、2H)、1.52(d、J = 7 Hz、3H)、1.62(m、2H)、2.24(t、J = 7 Hz、2H)、3.38(t、J = 7 Hz、2H)、3.79(quart、J = 7 Hz、1H)、4.09(quart、J = 7 Hz、2H)、7.45-7.69(m、6H)、7.78(m、3H)、8.85(br s、1H)。
【0167】
第五工程: 1: 6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]ヘキサン酸
【化28】

【0168】
エタノール(50 ml)中のエステル(1.0 g、2.18 mmol)の溶液に、水酸化カリウム水溶液(15 ml、5%)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。該混合物を濃縮し、その残渣に希HClを加えて酸性化した。この産物をジクロロメタンで二回抽出し、合わせた濾液を乾燥し(MgSO4)、濃縮して0.85 g(91%)の表題酸を油として得た。
【0169】
1H NMR(CDCl3)δ1.42(m、2H)、1.52(d、J = 7 Hz、3H)、1.62(m、2H)、2.29(t、J = 7 Hz、2H)、3.38(t、J = 7 Hz、2H)、3.79(quart、J = 7 Hz、1H)、7.42-7.66(m、6H)、7.78(m、3H)、9.05(br s、1H)。
【0170】
例2
例1のアシルスルホンアミドによって位置17でアシル化されたGLP-2類似体:
NΣ17-(6-((2-(3-(ベンゾイル)フェニル)プロピオニルアミノ)スルホニル)ヘキサノイル)[Lys17,Arg30]GLP-2(1-33)
樹脂(ローディング: 1.05 mmol/g)Fmoc-His(Boc)-Ala-Asp(OtBu)-Gly-Ser(tBu)-Phe-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Glu(OtBu)-Met-Asn(Trt)-Thr(tBu)-Ile-Leu-Asp(OtBu)-Asn(Trt)-Lys(Mtt)-Ala-Ala-Arg(Pmc)-Asp(OtBu)-Phe-Ile-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Leu-Ile-Gln(Trt)-Thr(tBu)-Arg(Pmc)-Ile-Thr(tBu)-Asp(OtBu)-O-Wang を、当業者には周知であり、例えば、「Bodanszky and Bodanzsky、The practice of prptide synthesis Springer Verlag、2nd edition、Berlin 1994」に開示されている、FMOC-保護ストラテジーを用いた標準的なペプチド-化学の後に調製した。
【0171】
該樹脂(約0.1 mmol)を、ジクロロメタン(20 ml)に懸濁した。この溶媒を除去した。ジクロロメタン(10 ml)中のトリフルオロ酢酸(2%)及びトリイソプロピルサリン(2%)の溶液を、この樹脂に加えた。反応容器を室温で10分間振盪した。液体を除去した。この後者の手順を4回繰り返した。
【0172】
この樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(3 x 10 ml)及びジクロロメタン(3 x 10 ml)で洗浄した。N,N-ジメチルホルムアミド(5 ml)中の6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]ヘキサン酸(0.17 g、0.4 mmol)の溶液をこの樹脂に加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(5 ml)中の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、0.061 g、0.4 mmol)の溶液をこの樹脂に加えた。ジクロロメタン(10 ml)中のジイソプロピルカルボジイミド(DIC 0.06 ml、0.4 mmol)及びエチルジイソプロピルアミン(0.137 ml、0.8 mmol)の溶液をこの樹脂に加えた。この反応溶液を室温で16時間振盪した。液体を除去した。この樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(3 x 10 ml)及びジクロロメタン(3 x 10 ml)で洗浄した。Fmoc-基をN,N-ジメチルホルムアミド中のピペリジン(20%)溶液で、当業者に周知であって例えば「Bodanszky and Bodanzsky、The practice of peptide synthesis Springer Verlag、2nd edition、Berlin 1994」に開示されている方法を用いて除去した。このペプチドを、トリフルオロ酢酸中の水(2.5%)及びトリイソプロピルサリン(2.5%)の溶液を用いて、当業者に周知であって例えば「Bodanszky and Bodanzsky、The practice of peptide synthesis Springer Verlag、2nd edition、Berlin 1994」に開示されている方法により、樹脂から除去した。
この化合物は、水中アセトニトリル勾配30-80%を用いて、トリフルオロ酢酸(0.1%)で酸性化した環境中で、逆相HPLCにより精製した。
MS: 1408.8及び1056.9.
HPLC: 29.99 分(方法 A)
例3
6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]ブタン酸
第一工程: 4-スルファモイル酪酸メチルエステル
【化29】

【0173】
4-スルファモイル酪酸(2.53 g、15.1 mmol)、メタノール(25 ml)、トリメチルオルトホルメート(10 ml、約 5 eq)及びポリスチレン-結合トルエンスルホン酸(0.58 g)の混合物を、60°で攪拌した。19時間後、該混合物を触媒からデカンテーションし、濃縮して2.70 g(99%)の表題エステルを油として得た。
【0174】
1H NMR(DMSO)δ1.92(m、2H)、2.49(t、J = 7 Hz、2H)、3.00(m、2H)、3.60(s、3H)、6.82(br s、2H)。
【0175】
第二工程: 6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]酪酸 メチル エステル
【化30】

【0176】
THF(30 ml)中のケトプロフェン(2.66 g、10.5 mmol)溶液に、カルボニルジイミダゾール(1.94 g、12.0 mmol)を加えた。この溶液を室温で20時間攪拌し、次いで60 ℃で30分攪拌した。次に、THF(10 ml)中の4-スルファモイル酪酸メチルエステル(1.74 g、9.60 mmol)の溶液を加え、続いてDBU(1.70 ml、11.4 mmol)を添加した。この混合物を60 ℃で25時間攪拌し、濃縮し、そしてこの残渣を水(100 ml)及び1N HCl(50 ml)と混合した。この産物をエチルアセテートで二回抽出し、合わせた抽出物を鹹水及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。この残渣をカラムクロマトグラフィーで(45 g シリカゲル、勾配 溶出 ヘプタン/エチル アセテート)で精製して、1.20 g(30%)の表題化合物を油として得た。
【0177】
1H NMR(DMSO)δ1.39(d、J = 7 Hz、3H)、1.78(m、2H)、2.39(t、J = 7 Hz、2H)、3.38(t、J = 7 Hz、2H)、3.55(s、3H)、3.87(quart、J = 7 Hz、1H)、7.51-7.78(m、9H)、11.91(br s、1H)。
【0178】
第三工程: 6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]ブチリック(butyric)
【化31】

【0179】
メタノール(5 ml)中の6-[2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオニルスルファモイル]酪酸メチルエステル(0.73 g、1.75 mmol)の溶液に、水(1.0 ml)中の水酸化ナトリウム(0.40 g、10 mmol)溶液を加えた。この混合物を室温で2時間攪拌した。1N 塩酸(10 ml)及び水(50 ml)を加え、この産物をエチルアセテートで3回抽出した。合わせた抽出物を鹹水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、0.65 g(92%)の表題化合物を泡として得た。
【0180】
1H NMR(DMSO)δ1.39(d、J = 7 Hz、3H)、1.78(m、2H)、2.33(t、J = 7 Hz、2H)、3.38(t、J = 7 Hz、2H)、3.86(quart、J = 7 Hz、1H)、7.51-7.76(m、9H)、11.89(br s、1H)、12.21(br s、1H)。
【0181】
例4
4-(パルミトイル(Palmitoyl)スルファモイル)酪酸
【化32】

【0182】
工程 1:
トルエン(6.0 ml)中のパルミチン酸(1.67 g、6.51 mmol)の懸濁液に、塩化オキサリル(0.56 ml、6.53 mmol)を加えた。45分後、得られた清澄溶液を、4-スルファモイル酪酸メチルエステル(0.91 g、5.02 mmol)を含むフラスコに加え、この混合物をDCM(5.0 ml)で希釈した。この混合物に、DMAP(1.90 g、15.5 mmol)を小部(small portions)で加えた。この混合物を室温で19時間攪拌した。水(100 ml)及び1N HCl(20 ml)の混合物を加え、続いて、AcOEt/DCMで抽出し、合わせた抽出物を鹹水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。得られた固体(2.26 g)を、熱AcOEt(約10 ml)から再結晶化し、1.59 g(76%)のメチルエステルをほとんど無色の固体(mp: 100-103 ℃)として得た。
【0183】
1H NMR(DMSO-d6):δ0.84(m、3H)、1.23(br s、24H)、1.49(m、2H)、1.88(m、2H)、2.24(t、J = 7 Hz、2H)、2.49(t、J = 7 Hz、2H)、3.38(m、2H)、3.59(s、3H)、11.58(s、1H)。
【0184】
工程 2:けん化:
【化33】

【0185】
メタノール(10 ml)中のメチルエステル(0.84 g、2.00 mmol)の懸濁液に、水(1.0 ml)中のNaOH(0.54 g、13.5 mmol)溶液を加えた。この混合物を室温で4時間攪拌した。水(30 ml)及び1N HCl(20 ml)の混合物を加え、この産物を濾過して単離した。沸騰MeCN(50 ml)から再結晶化し、0.64 g(79%)の表題化合物を無色の板状粉(M.p.: 156-157 °C)として得た。
【0186】
1H NMR(DMSO-d6):δ0.85(m、3H)、1.23(br s、24H)、1.49(m、2H)、1.85(m、2H)、2.25(t、J = 7 Hz、2H)、2.39(t、J = 7 Hz、2H)、11.15(s、1H)。
【0187】
例 5
4-(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナノイルスルファモイル)酪酸
工程 1:
【化34】

【0188】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナン酸(3.07 g、7.83 mmol)を塩化チオニル(20 ml)と混合し、80 ℃で1.5時間攪拌した。この混合物を濃縮し、残渣をトルエンで一回はいだ。この残渣液体をDCM(5 ml)中に溶解し、この溶液をDCM(5 ml)中の4-スルファモイル酪酸メチルエステル(1.15 g、6.35 mmol)の溶液に加えた。この混合物にDMAP(2.34 g、19.3 mmol)の小部(small portions)を精力的に(energically)攪拌しながら加えた。添加の間に混合物は粘稠性になり、さらにDCM(10 ml)を加えた。得られた混合物を室温で66時間攪拌し、それによってこれは黒変した。水(100 ml)及び1N HCl(30 ml)の混合物を加え、そして該産物を抽出した(3 x AcOEt;開始時に強くエマルゲート(emulgates))。合わせた抽出物を洗浄し(2 x 鹹水)、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮して、3.14 gのピンク固体を得た。AcOEt/ヘプタンから再結晶して1.83 g(52%)のメチルエステルをわずかにピンクの固体として得た(m.p. 143-145 °C)。
【0189】
1H NMR(DMSO-d6):δ1.91(m、2H)、2.47-2.62(m、4H)、2.67(m、2H)、3.41(m、2H)、3.59(s、3H)、11.87(s、1H)。
【0190】
工程 2: けん化:
【化35】

【0191】
MeOH(7.0 ml)中のメチルエステル(1.11 g、2.0 mmol)の懸濁液に、水(1.0 ml)中のNaOH(0.54 g、13.5 mmol)の溶液を加えた。この混合物を室温で3時間15分攪拌した。水(30 ml)及び1N HCl(20 ml)の混合物を加え、この産物を濾過して単離した。MeCN(約 5 ml)から-20 °Cで再結晶化し、0.77 g(71%)の表題酸を無色の固体(M.p.: 175-180 °C)として得た。
【0192】
1H NMR(DMSO-d6):δ1.88(m、2H)、2.38(t、J = 7 Hz、2H)、2.45-2.62(m、2H)、2.66(m、2H)、3.39(m、2H)、11.85(s、1H)、12.24(s、1H)。
【0193】
例6
Nδ17-(ラウロイルスルファモイル)ベンジル-[Glu3,Gln17]GLP-2(1-33)
工程 1: N-ドデカノイル-4-メチルベンゼンスルホンアミド
【化36】

【0194】
アセトニトリル(100 ml)中のp-トルエンスルホン酸アミド(980 mg、5.7 mmol)及びラウリン無水物(3.29g、8.59 mmol)の溶液を60℃に熱した。濃硫酸(0.009 ml、0.17 mmol)を加えた。反応混合物を60℃に1時間熱し、続いて室温で16時間放置した。水(300 ml)を加えた。沈殿物を濾過して単離した。それをヘプタン中に懸濁した。固体を濾過して単離し、2.63 g のN-ドデカノイル-4-メチルベンゼンスルホンアミドを得た。
【0195】
1H NMR(DMSO-d6)δ0.85(t、3 H); 1.00-1.45(m、18 H); 2.20(t、2 H); 2.40(s、3 H); 7.40(d、2 H); 7.80(d、2 H); 11.90(br、1 H)。
【0196】
工程 2: 4-ブロモメチル-N-(ドデカノイル)ベンゼンスルホンアミド
【化37】

【0197】
80℃で、N-ブロモスクシンイミド(1.43 g、8.06 mmol)及びジベンゾイルペルオキシド(62 mg、0.25 mmol)を、テトラクロロメタン(75 ml)中のN-ドデカノイル-4-メチルベンゼンスルホンアミド(3 g、8.48 mmol)の溶液に連続的に加えた。反応混合物を1時間80℃に熱した。他の部のジベンゾイルペルオキシド(100 mg、0.41 mmol)を加えた。反応混合物を2時間80℃に熱した。それを室温まで冷却し、16時間放置した。エチルアセテート(100 ml)及びヘプタン(100 ml)を加えた。固体を濾過して除去した。濾液から溶媒を除去して4.19 g の粗製4-ブロモメチル-N-(ドデカノイル)ベンゼンスルホンアミドを得た。これはさらなる精製なしで次工程に用いられる。
【0198】
1H NMR(DMSO-d6)δ0.80(t、3 H); 1.00-1.90(m、18 H); 3.35(m、2 H); 4.80(s、2 H); 7.70(d、2 H); 7.90(d、2 H); 11.1(br、1 H)。
【0199】
工程 3:(4-(ドデカノイルスルファモイル)ベンジル)カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【化38】

【0200】
N,N-ジメチルホルムアミド(20 ml)中の4-ブロモメチル-N-(ドデカノイル)ベンゼンスルホンアミド(2.1 g、4.86 mmol)の溶液を、25% アンモニア水溶液(4 ml)及びN,N-ジメチルホルムアミド(10 ml)の混合物に滴下して加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を真空中で除去した。残渣を、1 N水酸化ナトリウム水溶液(25 ml、25 mmol)及びテトラヒドロフラン(25 ml)に溶解した。ジ-tert-ブチルジカルボナート(1.88 g、8.63 mmol)を加えた。この反応混合物を16時間室温で攪拌した。これを、エチルアセテート(100 ml)で希釈し、10% 硫酸水素ナトリウムの水溶液(100 ml)で洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出した(2 x 50 ml)。混合性有機層を炭酸水素ナトリウム(100 ml)の飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を真空中で除去した。粗製産物をシリカでの(40 g)フラッシュクロマトグラフィーで、エチルアセテート/ヘプタン(1:2)を溶出液として用いて精製し、170 mgの(4-(ドデカノイルスルファモイル)ベンジル)カルバミン酸 tert-ブチルエステルを得た。
【0201】
1H NMR(CDCl3)δ0.85(t、3 H); 1.10-1.70(m、18 H); 2.25(t、2 H); 4.40(d、2 H); 5.00(br、1 H); 7.45(d、2 H); 8.05(d、2 H); 8.15(br、1 H)。
【0202】
工程 4: 4-アミノメチル-N-(ドデカノイル)ベンゼンスルホンアミド
【化39】

【0203】
トリフルオロ酢酸(25 ml)を室温で、ジクロロメタン(25 ml)中の(4-(ドデカノイルスルファモイル)ベンジル)カルバミン酸 tert-ブチルエステル(170 mg、0.40 mmol)の溶液に加えた。反応混合物を1時間室温で攪拌した。溶媒を真空中で除去した。残渣をジクロロメタン(40 ml)に溶解し、溶媒を真空中で除去した。後者の手順をもう一度繰り返し、0.19 g の4-アミノメチル-N-(ドデカノイル)ベンゼンスルホンアミドのトリフルオロ酢酸塩を得た。
【0204】
1H NMR(DMSO-d6)δ0.85(t、3 H); 1.05-1.50(m、18 H); 2.20(t、2 H); 4.10(s、2 H); 7.70(d、2H); 7.95(d、2 H); 8.25(br、3 H); 12.10(br、1 H)。
【0205】
工程 5:
Wang 樹脂上で、自動ペプチド-合成機で標準的なFMOC-化学を利用して、[Glu3,Glu17]GLP-2の配列を有する樹脂-結合ペプチドの、アスパラギン酸をtert-ブチルエステルとして保護し、スレオニンをtert-ブチルエーテルとして保護し、リジンをtert-ブチルカルバミン酸として保護し、グルタミンをtert-ブチルアミドとして保護し、トリプトファンをtert-ブチルカルバミン酸として保護し、アスパラギンをtert-ブチルアミドとして保護し、アルギニンをペンタメチルクロマニルスルホニル-誘導体として保護し、位置17のグルタミン酸を1-メチル-1-フェニルエチルエステルとして保護し、位置3及び9のグルタミン酸をtert-ブチルエステルとして保護し、及びヒスチジンを側鎖及びアルファ-アミノ基の両方でtert-ブチルカルバミン酸として保護した。この樹脂を、ジクロロメタン(10 ml)中の2% トリフルオロ酢酸溶液及び2% トリイソプロピリスランで10分間、5回処理した。この樹脂をN-メチルピロリジノン(3 x 10 ml)及びジクロロメタン(3 x 10 ml)で洗浄した。N-メチルピロリジノン(7 ml)中の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(32 mg、0.21 mmol)溶液を加えた。ジクロロメタン(7 ml)中の4-アミノメチル-N-(ドデカノイル)ベンゼンスルホンアミド(202 mg、0.42 mmol)のトリフルオロ酢酸塩の溶液を加えた。ジイソプロピルカルボジイミド(0.033 ml、0.21 mmol)及びエチルジイソプロピルアミン(0.179 ml、1.05 mmol)を連続的に加えた。この混合物を室温で16時間振盪した。液体を除去した。この樹脂をN-メチルピロリジノン(3 x 10 ml)で洗浄し、続いて、ジクロロメタン(5 x 10 ml)で洗浄した。トリフルオロ酢酸(10.6 ml)、水(0.265 ml)及びトリイソプロピルサリン(0.265 ml)の混合物を樹脂に加えた。この樹脂を1.5時間、室温で振盪した。液体を集め、約3 mlまで濃縮した。エーテル(50 ml)を加えた。沈殿を遠心分離及びデカンテーションで単離した。粗製産物をHPLCで、C18 カラムを用いて、水中、0.1% トリフルオロ酢酸バッファー中のアセトニトリル勾配 30-55%を適用して精製し、表題化合物を得た。このマススペクトルは、期待された産物と一致した。
【0206】
MS: 1383; 1038.
HPLC: 10.35 分(方法 02-b4-3)
HPLC-方法 02-b4-3:
RP-分析を、ウォーター 2487 二重バンド検出器に適合されたアライアンス・ウォーター 2695 システムを用いて行った。UV検波は、Symmetry300 C18 、3.5 um、3.6 mm x 150 mm カラムを用いて収集した。化合物は水中の5-90% アセトニトリル、90-0% 水、及び5% トリフルオロ酢酸(1.0%)の直線勾配で、15 分、流速1.0 ml/分で溶出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の血管内半減期を増加する方法であって、前記薬剤を一般式(I)の化合物に転換することによって特徴づけられる方法:
【化1】

式中、
R1は、カルボン酸 R1-CO2Hのラジカルであり、該R1-CO2Hは血漿タンパク質に可逆的に結合可能であり、
Gは、NH、又はCHWであり、式中Wは、水素、フッ素、シアノ、ニトロ、C(=O)-E1、S(=O)2-E2、S(=O)-E3、アリール、又はC1-6-アルキルであり、
式中 E1、E2、及びE3 は、独立的に、C1-6-アルキル、アリール、
ヘテロアリール、C1-6-アルコキシ、アミノ、C1-6-アルキル-アミノ、
又はジ-C1-6-アルキル-アミノを表し、
Zは、S=O、S(=O)2、C(=O)、C(=O)O、C(=O)NR2、又はC1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、又はヘテロアリーレンで任意に置換されたアリーレンであり、前記ヘテロアリーレンは、C1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、又はシアノで任意に置換され、
式中 R2 は、水素、シアノ、又はC1-6-アルキルを表し、
X は、結合又はスペーサーを表し、C1-C20-アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C20-ペルフルオロアルキレン、又はそれらの組合せ、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-[(CQ2nE]m(CQ2p-から任意に選択され、
式中
n及びmは独立的に1-20であり、及びp は独立的に0-10であり、
A及びEのそれぞれは独立的に、-O-、-S-、-NR3-、-N(COR4)-、-PR5(O)-、
又はP(OR6)(O)-であり、式中
R3、R4、R5、及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
各Qは、独立的に水素、又はフッ素であり、
Y は、前記薬剤へのリンカーとして役立つことができる官能基を表し、-C(=O)-、-C(=S)-、-NR7(C=O)-、-OC(=O)-、-NR8(C=S)-、-CH2-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-NR9-S(=O)2-、-S-、-S-S-から任意に選択され、式中
R7、R8,及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
及び前記用語「薬剤」は、血漿中の半減期が延長されることが望まれる化合物を示す。
【請求項2】
治療的薬剤の血管内半減期を増加する方法であって、前記治療的薬剤を一般式(II)の化合物に転換することによって特徴づけられる方法:
【化2】

式中 R1、G、Z、X、及びYは、請求項1で定義されたものである。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記治療的薬剤がバイオポリマーである方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記治療的薬剤がポリペプチドである方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記治療的薬剤が、1500 Da未満の分子量を有する薬物のような小分子薬物である方法。
【請求項6】
一般式(I)の化合物:
【化3】

式中
R1は、カルボン酸R1-CO2Hのラジカルであり、該R1-CO2H は、血漿タンパク質に可逆的に結合可能であり、
Gは、NH、又はCHWであり、式中Wは、水素、フッ素、シアノ、ニトロ、C(=O)-E1、S(=O)2-E2、S(=O)-E3、アリール、又はC1-6-アルキルであり、
式中 E1、E2、及びE3 は、独立的に、C1-6-アルキル、アリール、
ヘテロアリール、C1-6-アルコキシ、アミノ、C1-6-アルキル-アミノ、
又はジ-C1-6-アルキル-アミノを表し、
Zは、S=O、S(=O)2、C(=O)、C(=O)O、C(=O)NR2、又はC1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、又はヘテロアリーレンで任意に置換されたアリーレンであり、前記ヘテロアリーレンは、C1-6-アルキル、ハロゲン、ニトロ、又はシアノで任意に置換され、
式中 R2 は、水素、シアノ、又はC1-6-アルキルを表し、
Xは、結合又はスペーサーであり、C1-C20-アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C20-ペルフルオロアルキレン、又はそれらの組合せ、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-、又は[(CQ2nA]m(CQ2p-[(CQ2nE]m(CQ2p-から任意に選択され、式中
n及びmは、独立的に1-20であり、及びpは独立的に0-10であり、
A及びEのそれぞれは独立的に、-O-、-S-、-NR3-、-N(COR4)-、-PR5(O)-、
又はP(OR6)(O)-であり、式中
R3、R4、R5、及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
各Qは、独立的に水素、又はフッ素であり、
Yは、前記薬剤へのリンカーとして役立つことができる官能基を表し、-C(=O)-、-C(=S)-、-NR7(C=O)-、-OC(=O)-、-NR8(C=S)-、-CH2-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-NR9-S(=O)2-、-S-、-S-S-から任意に選択され、式中
R7、R8、及びR6 は、独立的に水素、又はC1-6-アルキルを表し、
及び前記用語「薬剤」は、血漿中の半減期が延長されることが望まれる化合物を示す。
【請求項7】
一般式(II)の化合物:
【化4】

式中 R1、G、Z、X、及びYは、請求項6で定義されたものである。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の化合物の調製方法であって、前記薬剤又は治療的薬剤を、一般式(III)の化合物と反応させることを含む方法:
【化5】

式中 R1、G、Z,及びXは、請求項6で定義されたものであり、及び
Y1は、化合物と結合形成反応をして一般式(I)の化合物を産することが可能な官能基であり、Y1 は、-C(=O)-L、-C(=S)-L、-NR2(C=O)-L、-OC(=O)-L、-NR2(C=S)-L、-C(H2)-L、-C(C1-6アルキル)(=O)、-CH(=O)、-S(=O)2-L、NR2-S(=O)2-L、-SH、-S-L、-NCO、-NCS、-NCNR2、-NC、-O-NH2から任意に選択され、式中
Lは、求核性置換のための脱離基であり、ヒドロキシ、ハライド、2,6-ジクロロベンゾイル、ピバロイル(pivaloyl)、2-又は4-ニトロフェニルオキシ、2,4-ジニトロフェニルオキシ、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ、4-ベンゾトリアゾール-3-イルオキシ、C1-6アルコキシカルボニルオキシ、4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イルオキシ、ペルフルオロフェニルオキシ、イミダゾリル、2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ、1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1-H-イソンドール(isondol)-2-イルオキシ、2,4,6-トリクロロフェニルオキシ、又はアジドから任意に選択され、
及び式中 R2 は水素、シアノ、又はC1-6-アルキルを表す。
【請求項9】
一般式(III)の化合物:
【化6】

式中 R1、G、Z,及びXは、請求項6で定義されたものであり、Y1は、請求項8で定義されたものである。
【請求項10】
請求項6、7又は9の何れか一項の化合物であって、前記対応する酸 R1-CO2H が、ヒト血清アルブミンに対して、約10 μM未満、又は約1 μM未満の一定の結合親和性を有する化合物。
【請求項11】
請求項6-7、又は9-10の何れか一項に記載の化合物であって、式中 R1が、
一以上の-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、ハロゲン、又はアリールで任意に置換されたC1-30-アルキル、該アリールは-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、又はハロゲンで任意に置換される、或いは、
一以上の-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、ハロゲン、又はアリールで任意に置換されたC1-30-ペルフルオロアルキル、該アリールは-CO2H、-SO3H、-PO2OH、-SO2NH2、-NH2、-OH、-SH、又はハロゲンで任意に置換される、
から選択される化合物。
【請求項12】
請求項6-7、又は9-10の何れか一項に記載の化合物であって、式中 R1は、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、ω-カルボン酸基を有する基、部分的に又は完全に水素化されたシクロペンタノフェナントレン骨格から選択される化合物。
【請求項13】
請求項6-7、又は9-10の何れか一項に記載の化合物であって、式中 R1-CO2Hが、アリール酢酸、ヨーフェノキセート(iophenxate)、又はジカルボン酸から選択される化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物であって、式中 R1-CO2Hが、ケトプロフェン、又は3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオン酸(CMPF)である化合物。
【請求項15】
請求項6-7、又は9-12の何れか一項に記載の化合物であって、式中 R1 が6〜40の炭素原子、8〜26の炭素原子、又は8〜20の炭素原子を有する化合物。
【請求項16】
請求項6-7、又は9-10の何れか一項に記載の化合物であって、式中 R1が、40未満のアミノ酸残基を含むペプチドのようなペプチドである化合物。
【請求項17】
請求項6-7、又は9-16の何れか一項に記載の化合物であって、式中 GがNHである化合物。
【請求項18】
請求項6-7、又は9-17の何れか一項に記載の化合物であって、式中 ZがS(=O)2である化合物。
【請求項19】
請求項6-7、又は9-18の何れか一項に記載の化合物であって、式中 QがHである化合物。
【請求項20】
請求項6-7、又は9-19の何れか一項に記載の化合物であって、式中 A及びEが何れも-O-である化合物。
【請求項21】
請求項6-7、又は9-20の何れか一項に記載の化合物であって、式中 nが2である化合物。
【請求項22】
請求項6-7、又は9-21の何れか一項に記載の化合物であって、式中 Xが、約80 Da〜約1000 Daの範囲の分子量、又は約80 Da〜約300 Daの範囲の分子量を有するスペーサーである化合物。
【請求項23】
請求項7、又は9-22の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的薬剤がバイオポリマーである化合物。
【請求項24】
請求項7、又は9-23の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的薬剤がポリペプチドである化合物。
【請求項25】
請求項24に記載の化合物であって、前記ポリペプチドが、前記ポリペプチドのリジン残基のε-アミノ基を介してYに結合する化合物。
【請求項26】
請求項24に記載の化合物であって、前記ポリペプチドが、システイン、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選択されるアミノ酸残基を介してYに結合する化合物。
【請求項27】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、GLP-1ペプチドである化合物。
【請求項28】
請求項27に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、GLP-1(7-35)、GLP-1(7-36)、GLP-1(7-36)-アミド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-38)、GLP-1(7-39)、GLP-1(7-40)、GLP-1(7-41)、又はそれらの類似体から選択される化合物。
【請求項29】
請求項27-28の何れか一項に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、交換され、追加され、又は欠失されたアミノ酸残基を15より多く含まないか、又はGLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、交換され、追加され、又は欠失されたアミノ酸残基を10より多く含まないことを特徴とする化合物。
【請求項30】
請求項29に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、GLP-1(7-37)(配列番号1)と比較して、交換され、追加され、又は欠失されたアミノ酸残基を6より多く含まないことを特徴とする化合物。
【請求項31】
請求項29に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸残基を4より多く含まないことを特徴とする化合物。
【請求項32】
請求項29に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、DPPIV保護されたGLP-1ペプチドである化合物。
【請求項33】
請求項29-32の何れか一項に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、位置8においてAib残基を含む化合物。
【請求項34】
請求項27-33の何れか一項に記載の化合物であって、前記GLP-1 化合物の位置7における前記アミノ酸残基が、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、及びα-メチル-ヒスチジンからなる群より選択される化合物。
【請求項35】
請求項25-31の何れか一項に記載の化合物であって、前記ポリペプチドが、式(IV)のアミノ酸配列を含むGLP-1ペプチドである化合物:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Ala-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46
式(IV)(配列番号: 2)
式中
Xaa7は、L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、又は4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、又は(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり;
Xaa16は、Val、又はLeuであり;
Xaa18は、Ser、Lys、又はArgであり;
Xaa19は、Tyr、又はGlnであり;
Xaa20は、Leu、又はMetであり;
Xaa22は、Gly、Glu、又はAibであり;
Xaa23は、Gln、Glu、Lys、又はArgであり;
Xaa25は、Ala、又はValであり;
Xaa26は、Lys、Glu、又はArgであり;
Xaa27は、Glu、又はLeuであり;
Xaa30は、Ala、Glu、又はArgであり;
Xaa33は、Val、又はLysであり;
Xaa34は、Lys、Glu、Asn、又はArgであり;
Xaa35は、Gly、又はAibであり;
Xaa36は、Arg、Gly、又はLysであり;
Xaa37は、Gly、Ala、Glu、Pro、Lys、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa38は、Lys、Ser、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa39は、Ser、Lys、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa40は、Gly、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa41は、Ala、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa42は、Pro、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa43は、Pro、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa44は、Pro、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa45は、Ser、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa46は、アミドであるか、又は非存在であり;
Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45、又はXaa46が非存在である場合、各アミノ酸残基の下流もまた非存在であると規定される。
【請求項36】
請求項25-31の何れか一項に記載の化合物であって、前記ポリペプチドが、式(V)のアミノ酸配列を含むGLP-1ペプチドである化合物:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Xaa18-Tyr-Leu-Glu-Xaa22-Xaa23-Ala-Ala-Xaa26-Glu-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Val-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38
式(V)(配列番号: 3)
式中
Xaa7は、L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、又は4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、又は(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり;
Xaa18は、Ser、Lys、又はArgであり;
Xaa22は、Gly、Glu、又はAibであり;
Xaa23は、Gln、Glu、Lys、又はArgであり;
Xaa26は、Lys、Glu、又はArgであり;
Xaa30は、Ala、Glu、又はArgであり;
Xaa34は、Lys、Glu、又はArgであり;
Xaa35は、Gly、又はAibであり;
Xaa36は、Arg、又はLysであり;
Xaa37は、Gly、Ala、Glu、又はLysであり;
Xaa38は、Lys、アミドであるか、又は非存在である。
【請求項37】
請求項26-36の何れか一項に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、
Arg34GLP-1(7-37)、Lys38Arg26,34GLP-1(7-38)、
Lys38Arg26,34GLP-1(7-38)-OH、Lys36Arg26,34GLP-1(7-36)、
Aib8,22,35 GLP-1(7-37)、Aib8,35 GLP-1(7-37)、Aib8,22 GLP-1(7-37)、
Aib8,22,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,35 Arg26,34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22,35 Arg26Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,35 Arg26Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22 Arg26Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22,35 Arg34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,35Arg34Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22Arg34Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22,35Ala37Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,35Ala37Lys38GLP-1(7-38)、Aib8,22Ala37Lys38GLP-1(7-38)、
Aib8,22,35 Lys37GLP-1(7-37)、Aib8,35Lys37GLP-1(7-37)、及び
Aib8,22Lys37GLP-1(7-38)からなる群より選択される化合物。
【請求項38】
請求項26-37の何れか一項に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、配列番号:1のアミノ酸配列と相対した位置23、26、34、36、又は38のアミノ酸残基を介してYに結合している化合物。
【請求項39】
請求項27に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、エクセンディン(exendin)-4(配列番号:4)である化合物。
【請求項40】
請求項27に記載の化合物であって、前記GLP-1ペプチドが、ZP-10、即ち、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK-アミド(配列番号:5)である化合物。
【請求項41】
請求項27-40の何れか一項に記載の化合物であって、R1-C(=O)-G-Z-X-Y-が、前記GLP-1ペプチドのC-末端アミノ酸残基で前記GLP-1ペプチドに結合された化合物。
【請求項42】
請求項41に記載の化合物であって、第二のR1-C(=O)-G-Z-X-Y- 部分が、前記C-末端アミノ酸残基ではないアミノ酸残基に結合された化合物。
【請求項43】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドがGLP-2ペプチドである化合物。
【請求項44】
請求項43に記載の化合物であって、前記GLP-2ペプチドが、DPPIV-保護されたGLP-2ペプチドである化合物。
【請求項45】
請求項43に記載の化合物であって、前記GLP-2ペプチドがGly2-GLP-2(1-33)である化合物。
【請求項46】
請求項43に記載の化合物であって、前記GLP-2ペプチドが、Lys17Arg30-GLP-2(1-33)である化合物。
【請求項47】
請求項43に記載の化合物であって、
Nε17-(6-((2-(3-(ベンゾイル)フェニル)プロピオニルアミノ)スルホニル)ヘキサノイル)[Lys17,Arg30]GLP-2(1-33)、又はNδ17-(lauroylスルファモイル)ベンジル-[Glu3,Gln17]GLP-2(1-33)である化合物。
【請求項48】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、ヒトインスリン、又はそれらの類似体である化合物。
【請求項49】
請求項48に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、AspB28-ヒトインスリン、LysB28,ProB29-ヒトインスリン、LysB3,GluB29-ヒトインスリン、GlyA21,ArgB31,ArgB32-ヒトインスリン及びdes(B30)ヒトインスリンからなる群より選択される化合物。
【請求項50】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、ヒト成長ホルモン又はそれらの類似体である化合物。
【請求項51】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、副甲状腺ホルモン、又はそれらの類似体である化合物。
【請求項52】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、ヒト 卵胞刺激ホルモン、又はそれらの類似体である化合物。
【請求項53】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、100 kDa未満の分子量、50 kDa未満の分子量、又は10 kDa未満の分子量を有する化合物。
【請求項54】
請求項24-26の何れか一項に記載の化合物であって、前記治療的なポリペプチドが、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子α(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)、上皮細胞成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)のような成長因子、インスリン成長因子I(IGF-I)、インスリン成長因子II(IFG-II)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、又はアンジオポエチンのようなソマトメジン、インターフェロン、プロ-ウロキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤 1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤 2、フォンウィルブランド因子、サイトカイン、例えば、インターロイキン(IL)1、IL-1Ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20、又はIL-21のようなインターロイキン、GM-CSFのようなコロニー刺激因子(CFS)、幹細胞因子、TNF-α、リンホトキシン-α、リンホトキシン-β、CD40L、又はCD30Lのような腫瘍壊死因子、例えばアプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤、スーパーオキシドジスムターゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、リボヌクレアーゼ、カタラーゼ、ウリカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、トリプシン、パパイン、アルカリホスファターゼ、β-グルコロニダーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、又はバトロキソビンのような酵素、オピオイド、例えばエンドルフィン、エンケファリン又は非-天然オピオイド、ホルモン又はニューロペプチド、例えば、カルシトニン、グルカゴン、ガストリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コレシストキニン、ルテナイジング(lutenizing)ホルモン、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン、コルチコトロピン放出因子、バソプレッシン、オキシトシン、抗利尿ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、リラキシン、プロラクチン、ペプチドYY、ニューロペプチドY、パンクレアスタティックポリペプチド、レプチン、CART(コカイン及びアンフェタミン調整転写物)、CART関連ペプチド、ペリリピン(perilipin)、MC-4のようなメラノコルチン(メラニン細胞刺激ホルモン)、メラニン凝集ホルモン、ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリン、エンドセリン、セクレチン、アミリン、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、ピチュアリー(pituary)アデニル化シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、ボンベシン、ボンベシン-様ペプチド、チモシン、ヘパリン-結合タンパク質、可溶性CD4、視床下部放出因子、メラノトニン(melanotonins)及びそれらの類似体からなる群より選択される化合物。
【請求項55】
以下からなる群より選択される化合物:
【化7】

【請求項56】
請求項55に記載の化合物の使用であって、治療的なポリペプチドの薬物動態学的性質を、該治療的なポリペプチドを前記化合物で誘導体化することによって改変するための使用。
【請求項57】
請求項6-7又は10-54の何れか一項に記載の化合物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項58】
非経口的投与に適した、請求項57に記載の薬学的組成物。
【請求項59】
薬物の調製のための、請求項6-7又は10-54の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項60】
高血糖、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満症、高血圧症、症候群X、異脂肪血症、認知性障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠血管心臓疾患及び他の心血管性障害、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための薬物の調製のための、請求項27-42の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項61】
2型糖尿病における疾病の進行を遅延又は予防するための薬物の調製のための、請求項27-42の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項62】
食物摂取の減少、β-細胞アポトーシスの減少、β-細胞機能及びβ-細胞質量の増大のための薬物、及び/又はβ-細胞にグルコース感受性を回復させるための薬物の、調製のための請求項27-42の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項63】
小腸性症候群、炎症性腸症候群、又はクローン病の治療のための薬物の調製のための、請求項43-47の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項64】
高血糖、1型糖尿病、2型糖尿病、又はβ-細胞欠乏の治療又は予防のための薬物の調製のための、請求項48-49の何れか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−537981(P2007−537981A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526520(P2006−526520)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000625
【国際公開番号】WO2005/028516
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】