説明

新規アミン

本発明は、新規なアミン誘導体、及びその医薬組成物の製剤中の活性成分としての使用に関する。本発明は、化合物の製造方法、それらの化合物の一種又はそれ以上を含有する医薬組成物、及び特にそれらのレニン阻害剤としての使用を含む、関連した局面にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な式(I)の化合物に関する。本発明はまた、該化合物の製造方法、式(I)の化合物の一種又はそれ以上を含有する医薬組成物、並びに特にそれらの心血管事象及び腎機能障害におけるレニン阻害剤としての使用を含む、関連した局面にも関する。
【背景技術】
【0002】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)において、生物学的に活性なアンジオテンシンII(AngII)は、二段階機序により生成する。高度に特異的な酵素レニンは、アンジオテンシノーゲンを切断してアンジオテンシンI(AngI)とし、次にこれは比較的特異性の低いアンジオテンシン変換酵素(ACE)によって更にAngIIに加工される。AngIIは、AT1及びAT2と称される少なくとも2つの受容体サブタイプに作用することが知られている。AT1は、AngIIの周知の機能の殆どを伝達すると思われる一方、AT2の役割は現在でも分かっていない。
【0003】
RASの調節は、心血管系疾病の治療において大きく進歩している。ACE阻害剤及びAT1遮断薬は、高血圧症を治療することが認められている(非特許文献1、非特許文献2 )。加えて、ACE阻害剤は、腎臓保護のために(非特許文献3、非特許文献4)、鬱血性心不全(非特許文献5、非特許文献6)及び心筋梗塞(非特許文献7)の予防に使用されている。
【0004】
レニン阻害剤の開発の論理的根拠は、レニンの特異性である(非特許文献8)。レニンの周知の基質はアンジオテンシノーゲンのみであり、これは(生理的条件下で)レニンでのみ加工される。対照的に、ACEは、AngI以外にブラジキニンも切断することができ、またセリンプロテアーゼであるキマーゼにより迂回され得る(非特許文献9)。従って、患者においてACEの阻害は、咳(5〜20%)を引き起こし、また重篤な血管神経性浮腫(0.1〜0.2%)の可能性があるブラジキニン蓄積を誘導する(非特許文献10)。ACE阻害剤は、キマーゼを阻害しない。従って、ACE阻害剤で治療されている患者において、AngIIの形成は、尚可能である。他方、AT1受容体の遮断(例えば、ロサルタンによる)は、他のAT受容体サブタイプ(例えばAT2)をAngIIに過剰暴露し、その濃度はAT1受容体の遮断により有意に増大する。要約すれば、レニン阻害剤は、RAS遮断における効果及び安全性の局面において、ACE阻害剤及びAT1遮断薬とは異なる薬学的プロファイルを示すことが期待される。
【0005】
レニン阻害剤は、そのペプチド模倣性を原因として経口活性が不十分であることから(非特許文献11)、臨床経験が限られている(非特許文献12、非特許文献13 )。この問題と製品の高コストとにより、数種の化合物の臨床開発が中断されている。4つのキラル中心を含む一種の化合物のみが臨床試験に入っている(非特許文献14、非特許文献15)。このように、良好な経口バイオアベイラビリティ及び長い作用時間を有するレニン阻害剤が必要とされている。最近、インビトロで高い活性を示す最初の非ペプチドレニン阻害剤が記載された(非特許文献16、特許文献1、非特許文献17)。しかしながら、これらの化合物の開発状況は知られていない。
【非特許文献1】Waeber B. et al.,“renin-angiotensin system: role in experimental and human hypertension”,in Birkenhager W. H.,Reid J. L.(eds):Hypertension, Amsterdam, Elsevier Science Publishing Co, 1986,489-519
【非特許文献2】Weber M. A., Am. J. Hypertens., 1992, 5, 247S
【非特許文献3】Rosenberg M. E. et al., Kidney International, 1994, 45, 403
【非特許文献4】Breyer J. A. et al., Kidney International, 1994, 45, S156
【非特許文献5】Vaughan D. E. et al., Cardiovasc. Res., 1994, 28, 159
【非特許文献6】Fouad-Tarazi F. et al., Am. J. Med., 1988, 84(Suppl. 3A)、83
【非特許文献7】Pfeffer M. A. et al., N. Engl. J. Med., 1992, 327, 669
【非特許文献8】Kleinert H. D.,Cardiovasc. Drugs, 1995, 9, 645
【非特許文献9】Husain A., J. Hypertens.,1993, 11, 1155
【非特許文献10】Israili Z. H. et al., Annals of Internal Medicine, 1992, 117, 234
【非特許文献11】Kleinert H. D.,Cardiovasc. Drugs, 1995, 9, 645
【非特許文献12】Azizi M. et al., J. Hypertens., 1994, 12, 419
【非特許文献13】Neutel J. M. et al., Am. Heart, 1991, 122, 1094
【非特許文献14】Rahuel J. et al., Chem. Biol., 2000, 7, 493
【非特許文献15】Mealy N. E., Drugs of the Future, 2001, 26, 1139
【非特許文献16】Oefner C. et al.,Chem. Biol., 1999, 6, 127
【非特許文献17】Marki H. P. et al., Il Farmaco, 2001, 56, 21
【特許文献1】国際公開第 97/09311号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、非ペプチド性を有し、かつ低分子量のレニン阻害剤に関する。長い作用時間を有し、また、組織レニン−キマーゼ系が活性化されて病理生理学的に変更された局所機能、例えば腎臓、心臓及び血管リモデリング、アテローム性動脈硬化症、並びにおそらく再狭窄に至る血圧調整以外の適応症にも活性を有する、経口活性の式(I)のレニン阻害剤について記載する。従って、本発明は、これらの式(I)で示される非ペプチド性レニン阻害剤を記載する。
【0007】
詳細には、本発明は、式(I)
【0008】
【化13】

【0009】
(式中、
Xは、CH、N、又はN+-O-を表し;
Wは、パラ置換フェニル、パラ置換ピリジニル、又はチアゾリル、例えば特にパラ置換フェニル又は
【0010】
【化14】

【0011】
等を表し;
Vは、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2-A-、-CH2-A-CH2-、-A-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-A-CH2CH2CH2-、-CH2-A-CH2CH2-、-CH2CH2-A-CH2-、-CH2CH2CH2-A-、-A-CH2CH2-B-(好ましい)、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-A-CH2CH2CH2CH2-、-CH2-A-CH2CH2CH2-、-CH2CH2-A-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-A-CH2-,-CH2CH2CH2CH2-A-,-A-CH2CH2CH2-B-、-CH2-A-CH2CH2-B-、-A-CH2CH2-B-CH2-,-A-CH2CH2CH2-B-CH2-、-CH2-A-CH2CH2CH2-B-、若しくは-O-CH2-Q-(同様に好ましい)を表し、ここでQは式(I)のU基に結合し、又は(同様に好ましくは)Vは、式:
【0012】
【化15】

【0013】
のピロリジニルを表し;
Uは、非置換アリール、特にフェニル;一、二、三又は四置換アリール(特に一、二、三、又は四置換フェニル)、ここで置換基は、C1-7-アルキル(例えば特にメチル等)、-CF3、ハロゲン、及びヒドロキシ-C1-7-アルキルからなる群から独立して選択され;又は窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール(好ましくはピラゾリル又はイソオキサゾリル)を表し、ここで前記ヘテロアリール基は、場合により一、二又は三置換され、ここで置換基は、C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ、-CF3、-OCF3、及びハロゲンからなる群から独立して選択され;
Qは、O及びNから独立して選択される2個又は3個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール、好ましくはイソオキサゾリル、特に式(I)の分子の残りに対して以下:
【0014】
【化16】

【0015】
のように接続するイソオキサゾリルを表し;
Lは、-CH2-CH2-、-CH2-CH(R6)-CH2-、-CH2-N(R7)-CH2-、-CH2-O-CH2-、又は-CH2-S-CH2-を表し;
A及びBは、互いに独立して、-O-又は-S-を表し;
R1は、C1-7-アルキル又はシクロアルキル、好ましくは例えば特にシクロプロピル等のシクロアルキルを表し;
R2は、ハロゲン又はC1-7-アルキル、好ましくはクロロ又はメチルを表し;
R3は、水素、ハロゲン、C1-7-アルキル(例えば特にメチル等)、C1-7-アルコキシ、又は-CF3を表し;
R4は、水素;C1-7-アルキル-O-(CH2)0-4-CH2-;CF3-O-(CH2)0-4-CH2-;R’2N-(CH2)0-4-CH2-、ここでR’は、水素、(場合により、しかし好ましくは1〜3個のフッ素で置換された)C1-7-アルキル、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル、(場合により、しかし好ましくは1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル-C1-7-アルキル、及び-C(=O)-R’’からなる群から独立して選択され、ここでR’’は、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、-CF3、-CH2-CF3、若しくはシクロプロピルであり;又はR13-C(=O)-(O)0-1-(CH2)0-4-を表し、ここでR13は、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、若しくはシクロプロピルであり;ここでR’及びR’’の両方が同時に水素を表さないことが好ましく;
R5は、ヒドロキシ、C1-7-アルコキシ、ヒドロキシ-C1-7-アルキル、ジヒドロキシ-C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ-C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ-C1-7-アルコキシ-C1-7-アルキル、ヒドロキシ-C1-7-アルコキシ-C1-7-アルキル、カルバモイル-C1-7-アルコキシ、又はC1-7-アルキル-カルボニルオキシを表し;
R6は、-H、-CH2OR9、-CH2NR8R9、-CH2NR8COR9、-CH2NR8SO2R9、-CO2R9、-CH2OCONR8R9、-CONR8R9、-CH2NR8CONR8’R9、-CH2SO2NR8R9、-CH2SR9、-CH2SOR9、又は-CH2SO2R9を表し;
R7は、-R9、-COR9、-COOR11、-CONR8R9、-C(NR8)NR8’R9、-CSNR8R9、-SO2R9、若しくは-SO2NR8R9を表し;又はR7は、式:
【0016】
【化17】

【0017】
(式中、Tは、-CH2-、-NH-又は-O-を表し、rは、整数1〜6であり、sは、整数1〜4である)の基を表し;
R8及びR8’は、独立して水素、C1-7-アルキル、C2-7-アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルキル-C1-7-アルキルを表し、ここでC1-7-アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキル-C1-7-アルキルは、1個、2個、又は3個のハロゲンで置換されていてもよく;
R9は、水素、C1-7-アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキル-C1-7-アルキルを表し、ここでC1-7-アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキル-C1-7-アルキルは、一、二又は三置換されていてもよく、ここで置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、-OCOR12、-COOR12、C1-7-アルコキシ、シアノ、-SO2R12、-CONR12R12’、モルホリン-4-イル-CO-、((4-C1-7-アルキル)ピペラジン-1-イル)-CO-、-NHC(NH)NH2、-NR10R10’及びC1-7-アルキルからなる群から独立して選択されるが、但し炭素原子は、この炭素原子がsp3混成している場合、多くて1個のヘテロ原子に結合するものとし;
R10及びR10’は、独立して水素、C1-7-アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル-C1-7-アルキル、ヒドロキシ-C1-7-アルキル、-COOR8、又は-CONH2を表し;
R11は、ハロゲン、C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ、-CF3、又は水素を表し;
R12及びR12’は、独立して水素、C1-7-アルキル、C2-7-アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルキル-C1-7-アルキルを表し、ここでC1-7-アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキル-C1-7-アルキルは、1個、2個、又は3個のハロゲンで置換されていてもよく;
nは、整数0又は1、特に0を表し;
mは、整数0又は1、特に1を表すが、但しnが整数1を表すとき、mは整数1を表すものとする;)
の新規な化合物、並びにその塩に関する。
【0018】
本明細書において以前及び以後に使用する一般的用語は、本開示において、別に示さない限り、以下の意味を有することが好ましい:
化合物、塩、医薬組成物、疾病及び同様物に複数形が使用される場合、これは、一つの化合物、塩、又は同様物も意味することを意図する。
【0019】
式(I)の化合物の任意の引用は、適宜及び便宜的に、式(I)の化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)も指すことを理解するべきである。
【0020】
用語C1-7-アルキルは、単独で又は他の基との組み合わせで、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む飽和の直鎖及び分岐鎖基、即ちC1-C4-アルキルを意味する。C1-7-アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル及びヘプチルである。メチル、エチル及びイソプロピル基が好ましい。
【0021】
用語C1-7-アルコキシは、単独で又は他の基との組み合わせで、R-O-基を指し、ここでRは、C1-7-アルキル基である。C1-7-アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシである。
【0022】
用語ヒドロキシ-C1-7-アルキルは、単独で又は他の基との組み合わせで、HO-R-基を指し、ここでRは、C1-7-アルキル基である。ヒドロキシ-C1-7-アルキル基の例は、HO-CH2-、HO-CH2CH2-、HO-CH2CH2CH2-及びCH3CH(OH)-である。
【0023】
用語C2-7-アルケニルは、単独で又は他の基との組み合わせで、一つのオレフィン結合を含み、かつ2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子からなる直鎖又は分岐鎖基を意味する。C2-7-アルケニルの例は、ビニル、プロペニル及びブテニルである。
【0024】
用語ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくはフッ素、塩素又は臭素を意味する。本発明のより好ましい実施態様において、用語ハロゲンは、フッ素又は塩素を意味する。
【0025】
用語シクロアルキルは、単独で又は他の基との組み合わせで、3〜7個の炭素原子を含む飽和の環式炭化水素環系、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル、好ましくはシクロプロピルを意味する。
【0026】
用語アリールは、単独で又は他の基との組み合わせで、フェニル、ナフチル又はインダニル基、好ましくはフェニル基を指す。
【0027】
sp3混成しているという表現は、炭素原子を指し、この炭素原子が、この炭素原子の周囲にて四面体状に配置された4つの置換基に対する結合を形成していることを意味する。
【0028】
薬学的に許容される塩という表現は、生物に対して無毒な、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、亜リン酸、亜硝酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、パルモ酸(palmoic acid)、ステアリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸、及び同様物のような無機酸若しくは有機酸、又は式(I)の化合物が酸性の性質を有する場合、アルカリ若しくはアルカリ土類塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び同様物のような無機塩基のいずれかとの塩を包含する。薬学的に許容される塩の他の例に関して、"Salt selection for basic drugs", Int. J. Pharm. (1986), 33, 201-217を参照することができる。
【0029】
式(I)の化合物は、不斉炭素原子を含んでもよい。二重結合又は環における置換基は、別に示さない限り、シス-(=Z-)又はトランス(=E-)形で存在し得る。従って、式(I)の化合物は、立体異性体の混合物、又は好ましくは純粋な立体異性体として存在し得る。立体異性体の混合物は、それ自体公知の方法、例えばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、HPLC又は結晶化により分離され得る。
【0030】
本発明の化合物は、一つ又はそれ以上の部位、例えば酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル(sulfydryl)縮合)及び/又は窒素を介してニトロソ化されている式(I)のニトロソ化化合物も含む。本発明のニトロソ化化合物は、当業者周知の従来の方法を用いて調製し得る。例えば、化合物のニトロソ化に関する公知の方法は、米国特許第5,380,758号、米国特許第5,703,073号、米国特許第5,994,294号、米国特許第6,242,432号、及び米国特許第6,218,417号;WO 98/19672;並びにOae et al., Org. Prep. Proc. Int., 15(3): 165-198 (1983)に記載されている。
【0031】
本発明の好ましい実施態様は、XがN+-O-を表し、R4がC1-4-アルコキシ-C(=O)-NH-(CH2)0-4-CH2-又はR13-C(=O)-(O)0-1-(CH2)0-4-を表し、ここでR13はC1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、又はシクロプロピルである式(I)の化合物に関する。
【0032】
本発明の好ましい実施態様は、XがCH又はNを表し;
R4が水素;C1-7-アルキル-O-(CH2)0-4-CH2-;CF3-O-(CH2)0-4-CH2-;又はR’2N-(CH2)0-4-CH2-を表し、ここでR’は、水素、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)C1-7-アルキル、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル-C1-7-アルキル、及び-C(=O)-R’’からなる群から独立して選択され、ここでR’’はC1-4-アルキル、-CF3、-CH2-CF3、又はシクロプロピルである式(I)の化合物に関する。
【0033】
本発明の好ましい実施態様は、XがCH又はN+-O-を表す式(I)の化合物に関する。
【0034】
本発明の好ましい実施態様は、R7が-R9、-COR9、-COOR11、-CONR8R9、-C(NR8)NR8’R9、-CSNR8R9、-SO2R9、又は-SO2NR8R9を表す式(I)の化合物に関する。
【0035】
本発明の好ましい実施態様は、A及びBが両方とも-O-を表す式(I)の化合物に関する。
【0036】
本発明の好ましい実施態様は、R6が-CO2CH3又は-CO2Hを表す式(I)の化合物に関する。
【0037】
本発明の好ましい実施態様は、R7が-H、-COCH3、-C(NH)NH2、-CONHCH2C(CH3)2CONH2、-CONHCH(CH2)2、又は-CONHC(CH2)2CNを表す式(I)の化合物に関する。
【0038】
本発明の好ましい実施態様は、R7が-Hを表す式(I)の化合物に関する。
【0039】
本発明の好ましい実施態様は、Lが-CH2-CH2-又は-CH2-NH-CH2-を表す式(I)の化合物に関する。
【0040】
本発明の好ましい実施態様は、R1がシクロプロピルを表す式(I)の化合物に関する。
【0041】
本発明の好ましい実施態様は、Wがパラ置換フェニル、又は
【0042】
【化18】

【0043】
を表す式(I)の化合物に関する。
【0044】
本発明の好ましい実施態様は、Vが-O-CH2CH2-O-、-O-CH2-Q-、-CH2-CH2-O-、ここで-CH2-CH2-O-の-CH2部分が式(I)のW基に結合し、又は
【0045】
【化19】

【0046】
を表す式(I)の化合物に関する。
【0047】
本発明の好ましい実施態様は、Vが-O-CH2CH2-O-又は-O-CH2-Q-を表す式(I)の化合物に関する。
【0048】
本発明の好ましい実施態様は、Qがイソオキサゾリル又はオキサジアゾリルを表す式(I)の化合物に関する。
【0049】
本発明の好ましい実施態様は、Qがイソオキサゾリル、特に式(I)の分子の残りに対して以下:
【0050】
【化20】

【0051】
のように接続するイソオキサゾリルを表す式(I)の化合物に関する。
【0052】
本発明の好ましい実施態様は、V-Wが:
【0053】
【化21】

【0054】
を表す式(I)の化合物に関する。
【0055】
本発明の好ましい実施態様は、Uが:
【0056】
【化22】

【0057】
を表す式(I)の化合物に関する。
【0058】
本発明の好ましい実施態様は、Uが:
【0059】
【化23】

【0060】
を表す式(I)の化合物に関する。
【0061】
本発明の好ましい実施態様は、R2がClを表し、R3が水素を表す式(I)の化合物に関する。
【0062】
本発明の好ましい実施態様は、R4がCH3-O-(CH2)2-3-又はCH3-C(=O)-NH-CH2-CH2-を表す式(I)の化合物に関する。
【0063】
本発明の好ましい実施態様は、R4が-CH2CH2CH2-O-CH3又は-CH2CH2-O-CH3を表す式(I)の化合物に関する。
【0064】
本発明の好ましい実施態様は、R4が-CH2CH2-O-CH3を表す式(I)の化合物に関する。
【0065】
本発明の好ましい実施態様は、R5がヒドロキシを表す式(I)の化合物に関する。
【0066】
本発明の好ましい実施態様は、nが整数0を表す式(I)の化合物に関する。
【0067】
本発明の好ましい実施態様は、部分
【0068】
【化24】

【0069】
が、以下の可能性:
【0070】
【化25】

【0071】
の一つを表す式(I)の化合物に関する。
【0072】
本発明の特に好ましい実施態様は、
XがCH、N、又はN+-O-を表し;
Wがパラ置換フェニル又はパラ置換ピリジニルを表し、ここでピリジニルは、特に式(I)の分子の残りに対して以下:
【0073】
【化26】

【0074】
のように接続し;
Vが-A-CH2CH2-B-若しくは-O-CH2-Q-を表し、ここでQは式(I)のU基に結合し、又はVが式:
【0075】
【化27】

【0076】
のピロリジニルを表し、
Uが三置換フェニルを表し、ここで置換基は、C1-7-アルキル(例えば特にメチル等)及びハロゲンからなる群から独立して選択され;
Qがイソオキサゾリル、特に式(I)の分子の残りに対して以下:
【0077】
【化28】

【0078】
のように接続するイソオキサゾリルを表し;
A及びBが両方とも-O-を表し;
R1がシクロプロピルを表し;
R2がハロゲン又はC1-7-アルキル、特にクロロ又はメチルを表し;
R3が水素又はC1-7-アルキル、特に水素又はメチルを表し;
R4がC1-7-アルキル-O-(CH2)0-4-CH2-、特にCH3-O-(CH2)1-2-CH2-を表し;
R5がヒドロキシを表し;
nが整数0を表し;
mが整数1を表す、式(I)の化合物に関する。
【0079】
本発明の好ましい実施態様は、式(I)の化合物の絶対配置が、式(I’):
【0080】
【化29】

【0081】
に表される通りである式(I)の化合物に関する。
【0082】
本発明は、式(I)に又は式(I)の好ましい実施態様に定義される一つ若しくはそれ以上の置換基及び記号の意味が、本明細書に定義される、例えば上記に示した好ましい実施態様に定義される、それらの好ましい意味で置き換えた式(I)の化合物にも関する。
【0083】
本発明の好ましい実施態様は、(3S*, 4R*)-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジメチル-ベンジル)-アミドである式(I)の化合物に関する。
【0084】
本発明の別の好ましい実施態様は:
(3S, 4R)-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-3-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イルメトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[(R)-3-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-ピロリジン-1-イル]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミド、及び
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-1-オキシ-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミド:
から選択される、式(I)の化合物に関する。
【0085】
式(I)の化合物は、例えば高血圧症、鬱血性心不全、肺高血圧症、腎機能障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心臓線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、糖尿病に起因する合併症、例えば腎症、脈管障害及び神経障害、緑内障、眼圧の上昇、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管若しくは心臓手術後の合併症、勃起不全、高アルデステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知疾患、免疫抑制剤による治療の合併症、並びにレニン−アンジオテンシン系に関連した他の疾病、又はこれらに関連する疾病の治療及び/又は予防に有用である。
【0086】
式(I)の化合物は、高血圧症、鬱血性心不全、肺高血圧症、腎機能障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心臓線維症、心筋虚血、心筋症、糖尿病に起因する合併症、例えば腎症、脈管障害及び神経障害の治療及び/又は予防に特に有用である。
【0087】
一実施態様において、本発明は、レニン−アンジオテンシン系の調節不全に関連した疾病の治療及び/又は予防方法、特に上記した疾病の治療及び/又は予防方法に関し、該方法は、薬学的に活性な量の式(I)の化合物を、患者に投与することを含む。
【0088】
本発明の更なる局面は、式(I)の化合物、及び薬学的に許容される担体材料を含有する医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、上記した疾病の治療及び/又は予防に使用し得る。医薬組成物は、経腸、非経口、又は局所投与に使用し得る。これらは、例えば錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤若しくは縣濁剤の剤形で経口的に、例えば坐薬の剤形で経直腸で、例えば注射液若しくは輸液の剤形で非経口的に、又は軟膏、クリーム若しくはオイルの剤形で局所投与し得る。
【0089】
本発明は、上記した疾病の治療及び/又は予防用の医薬組成物の製造のための、式(I)の化合物の使用にも関する。
【0090】
医薬組成物は、記載した式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、場合により他の治療的に価値のある物質と組み合わせて、適切な、無毒の、不活性な、治療的に適合し得る固体又は液体担体材料、及び、所望であれば、通常の医薬補助剤と共に、製剤投与形態にすることにより、任意の当業者に馴染みのある方法で製造し得る(例えばMark Gibson, Editor, Pharmaceutical Preformulation and Formulation, IHS Health Group, Englewood, CO, USA, 2001; Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Philadelphia College of Pharmacy and Science参照)。
【0091】
式(I)の化合物、又は上記した医薬組成物は、薬理学的に活性な他の化合物、例えばACE阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アルドステロン拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、エンドセリン受容体拮抗薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、カリウム活性化因子、利尿薬、交感神経遮断薬、βアドレナリン拮抗薬、αアドレナリン拮抗薬、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化因子、及び/又は上記した疾病の予防若しくは治療に有益な他の薬物との組み合わせにおいても有用である。
【0092】
本発明は、インビボで式(I)の化合物それ自体に変換する、式(I)の化合物のプロドラッグにも関する。従って、式(I)の化合物の引用はいずれも、適宜及び便宜的に、式(I)の化合物の対応するプロドラッグも指すものとして理解するべきである。
【0093】
式(I)の化合物は、以下に概略する方法、実施例に記載する方法、又は類似した方法により製造することができる。
【0094】
スキーム1に記載するタイプAの化合物(国際公開WO 2003/093267、WO 2004/002957、WO 2004/096769、WO 2004/096803、WO 2004/096799、及びWO 2004/096366参照)を、タイプBの化合物に転換してもよく、ここでLは、式(I)に定義したL基の前駆体を表し、Raは、メチル、エチル、又はベンジルのような典型的なエステル置換基を表す。PGは、適切な保護基、一般にカルバメート、ベンジル、又はメチルを表す。スキーム1は、mが整数1である式(I)の化合物を表す;m及びnが整数0を表す場合、同一スキームを使用し得るが、スキームでは明確性のためmを省略した。Lは、合成の間に変更されてもよい。アミンは、別個に調製する必要がある(特定の実施例に関して以下参照)。タイプBの化合物のケトンのアルキル化により、タイプCの化合物に至り、又は、U-V-W-セグメントが既に達成されている場合、タイプDの化合物に至る。Vaは、式(I)に定義したVの前駆体を表し、合成の間に転換され得る。タイプCの化合物におけるU-V-W-セグメントの達成により、タイプDの化合物に至る。タイプDの化合物の第三級アルコールのアルキル化又はアシル化により、タイプEの化合物に至る。L-置換基の最終的な達成により、タイプFの化合物に至る。脱保護により、最終的に式(I)の化合物を得る。
スキーム1
【0095】
【化30】

【0096】
タイプBの化合物のタイプCの化合物へのアルキル化により、ジアステレオ異性体の混合物を得る。これらのジアステレオ異性体は、この段階で分離しても、又は後の任意の段階 (タイプD、E、Fの化合物、又は式(I)の化合物)で分離してもよい。
【0097】
数種のU-V-W-又はVa-W-置換基の調製は、前記した特許出願に記載されている。別法として、スキーム2に記載するように、銅又はパラジウム触媒を用いたカップリングにより、ピロリジン置換基を芳香環に結合させ得る。所定の状況下では、この反応を触媒する際に遷移金属は必要としない。PG’が適切な保護基を表すタイプGの化合物は、X’がCH又はNを表すタイプHの化合物に転換されるであろう。式(I)のWがチアゾリルを表す場合、同一の化学反応を適用し得る。
スキーム2
【0098】
【化31】

【0099】
Vが-O-CH2-Q-を表す場合、イソオキサゾリル部分は環化付加により調製し得る。この環化付加は、タイプCの化合物のW-Va-断片上で実現して、スキーム1に記載したタイプDの化合物に至り得る。別法として、環化付加は、例えばスキーム3に記載するように、別個にて行い得る。度々市販されているアルデヒドを用いた、タイプJの化合物に対する環化付加により、タイプKの化合物に至る。勿論、アルデヒド部分をW-Va-断片上に構築し、U-CCH形態の化合物を構成して、環化付加後に別の一イソオキサゾリル部分を与えてもよい。同一の原理を使用して、文献に記載されている方法体系を用いて、オキサジアゾリル部分を調製することができる。
スキーム3
【0100】
【化32】

【0101】
また、スキーム3に言及したアルデヒドとプロパルギルアルコールとから、ヒドロキシメチルイソオキサゾール(スキーム4)を調製し得る。X’’が一般に-OH、-Br、又は-Iを表すフェニル又はヘテロアリール誘導体に対するカップリングにより、タイプKの化合物に至る。
スキーム4
【0102】
【化33】

【0103】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明する役割を果たす。しかしながら、それらは、本発明の範囲を如何様にも制限するものではない。
実施例部分
略語(本明細書で使用される):
AcOH 酢酸
Ang アンジオテンシン
aq. 水性
Boc tert-ブチルオキシカルボニル
BSA ウシ血清アルブミン
Bu ブチル
BuLi n-ブチルリチウム
Cy シクロヘキシル
dba ジベンジリデンアセトン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMPU 1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン
DMSO ジメチルスルホキシド
dppp 1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン
EDC・HCl エチル-N,N-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩
EIA 酵素イムノアッセイ
ELSD 蒸発光散乱検出
eq. 当量
ES エレクトロスプレー
ES+ エレクトロスプレー、正イオン化
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FC フラッシュクロマトグラフィー
h 時間
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LC-MS 液体クロマトグラフィー質量分析法
Me メチル
MeOH メタノール
min 分
MS 質量分析法
NCS N-クロロスクシンイミド
org. 有機
p パラ
PG 保護基
rt 室温
sat. 飽和
sol. 溶液
TBAC テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド
TBME tert-ブチル-メチル-エーテル
tBu tert-ブチル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
tR 分で表す(LC-MS又はHPLCにおける)保持時間
UV 紫外線
Vis 可視
xantphos 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
HPLC-又はLC-MS -条件(別に示さない場合):
分析:Agilent Technologies製のZorbax 59 SB Aquaカラム、4.6x50mm。溶離液:A:アセトニトリル;B:H2O+0.5%TFA。勾配:90%B→5%Bで2分間。流速:1mL/分。検出:UV/Vis+MS。
分取:Agilent Technologies製のZorbax SB Aquaカラム、20x500mm。溶離液:A:アセトニトリル;B:H2O+0.05%水酸化アンモニウム(25%aq.)。勾配:80%B→10%Bで6分間。流速:40mL/分。検出:UV+MS、又はUV+ELSD。
キラル、分析:
a)Regis Whelkカラム、4.6x250mm、10μm。溶離液A:EtOH+0.05%Et3N。溶離液B:ヘキサン。流速:1mL/分。
【0104】
b)ChiralPak AD、4.6x250mm、5μm。溶離液A:EtOH+0.05% Et3N。溶離液B:ヘキサン。流速:1mL/分。
【0105】
c)ChiralCel OD、4.6x250mm、10μm。溶離液A:EtOH+0.1% Et3N。溶離液B:ヘキサン。流速:0.8mL/分。
キラル、分取:
a)Regis Whelk 01カラム、50x250mm及び流速:100mL/分。溶離液A:EtOH+0.05% Et3N。溶離液B:ヘキサン。
【0106】
b)ChiralCel OD、20μm、50mmx250mm、流速100mL/分。溶離液A:EtOH+0.1% Et3N。溶離液B:ヘキサン。
5-ブロモ-2-クロロ-N-シクロプロピルベンズアミド
マグネットスターラーバーを装備した火炎乾燥250mL丸底フラスコ内に、N2下でトルエン(80mL)中の5-ブロモ-2-クロロ安息香酸(10.0g、42.5mmol)及びDMF(3.9mL、51.0mmol)を加えた。溶液を0℃に冷却し、塩化オキサリル(4.4mL、51.0mmol)を1時間かけて滴加した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌した後、揮発性物質を除去した。得られた粗反応混合物をCH2Cl2(100mL)中に溶解し、氷浴内で0℃に冷却した。シクロプロピルアミン(4.5mL、63.7mmol)を1時間かけて滴加した後、DIPEA(11.8mL、85.0mmol)を加えた。得られた溶液を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、1M aq. HCl(600mL)を収容する1L分液漏斗内に注いだ。混合物をCH2Cl2(6x250mL)で抽出した。一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。生成物をヘキサン/CH2Cl2から結晶化させ、濾過により単離して、表題の化合物(8.24g、71%)を与えた。
N-(5-ブロモ-2-クロロベンジル)シクロプロピルアミン
5-ブロモ-2-クロロ-N-シクロプロピルベンズアミド(12.0g、43.7mmol)のTHF(100mL)溶液を、マグネットスターラーバーを装備した250mL丸底フラスコ内にN2下で配置した。溶液を、BH3.Me2S(13.1mL、131mmol)を滴加して処理し、得られた縣濁液を室温で1時間撹拌した。混合物を1時間加熱還流し、室温に冷却し、1M aq. HCl (25mL)を滴加してゆっくりクエンチした。縣濁液を再度1時間還流し、室温に冷却し、1M aq. NaOHを用いてpH=10〜11に塩基性化した。混合物を、1M aq. NaOH(350mL)を収容する500mL分液漏斗内に注いだ。該混合物をEtOAc(3x100mL)で抽出した。一緒にした有機層ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。粗アミンを次のステップに直接使用した。
シクロプロピルアミンを用いた置換ベンズアルデヒドの還元的アミノ化のための一般的手順:
【0107】
【化34】

【0108】
置換ベンズアルデヒド(17.8mmol、1.0eq.)、シクロプロピルアミン(3.13mL、44.5mmol、2.5eq.)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.34g、21.4mmol、1.2eq.)のMeOH(100mL)溶液を、氷AcOH(3.06mL、53.4mmol、3.0eq.)を滴加して処理した。得られた溶液を室温で一夜、16時間撹拌した。sat. aq. NaHCO3を滴加して反応混合物をクエンチし、減圧濃縮してMeOHを除去した。粗残留物を、sat. aq. NaHCO3(150mL)を収容する250mL分液漏斗内に注ぎ、EtOAc(3x50mL)で抽出した。一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。FCで精製して、ベンズアミン生成物を得た。
シクロプロピルベンズアミンのBoc-保護のための一般的手順:
【0109】
【化35】

【0110】
シクロプロピルベンズアミン(43.7mmol、1.0eq.)のCH2Cl2(50mL)と1M aq. NaOH(50mL)の二層混合物中の溶液を、Boc2O(15.1mL、65.6mmol、1.5eq.)で処理した。混合物を室温で16時間激しく撹拌した。混合物を、H2O(300mL)を収容する500mL分液漏斗内に注ぎ、CH2Cl2(3x100mL)で抽出した。一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。FCで精製して、Boc-保護アミンを得た。
Boc-保護シクロプロピルベンズアミンのアリル化のための一般的手順:
【0111】
【化36】

【0112】
火炎乾燥丸底フラスコ又はシュレンク管内に、N2下でPd[PCy3]2(0.05eq.)、CsF(2.0eq.)及び対応する臭化アリール(1.0eq.)を加えた。出発物質として塩化アリールが使用された場合、Pd[PCy3]2触媒の代わりに(Pd[PtBu3]Br)2二量体(0.025eq.)を使用した。減圧下(0.1mmHg)でフラスコから気体を抜き、N2を再充填した(3回反復)。得られた固体を無水THF又はジオキサン(0.15M溶液)中に溶解し、トリ-n-ブチルアリルスズ(1.5eq.)を加え、得られた混合物を、TLCが出発物質の完全な消費を示す迄、8〜16時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、ガラスフィルター上のシリカゲルパッドを介して濾過し、Et2Oで洗浄した。濾液を濃縮し、FCで精製して、対応するアリルベンズアミド誘導体を与えた。
アリルベンズアミンのヒドロホウ素化/酸化のための一般的手順:
【0113】
【化37】

【0114】
マグネットスターラーバーを装備した火炎乾燥丸底フラスコ内に、アリルベンズアミン(1.0eq.)及び無水THF(0.3M溶液)を加えた。溶液を0℃に冷却し、BH3.Me2S(1.1 eq.)を20分かけて滴加した。溶液を0℃で1時間撹拌した後、室温に暖め、更に2時間撹拌した。溶液を0℃に冷却し、1M aq. NaOHを滴加した(注意−発熱反応)後、30% aq. H2O2を滴加した。混合物を室温に暖め、2時間撹拌した。混合物を、H2Oを収容する分液漏斗内に注ぎ、Et2Oで抽出した(3回)。一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。FCで精製して、所望のアルコール生成物を得た。
アリルベンズアミンの酸化的切断/還元のための一般的手順:
【0115】
【化38】

【0116】
アリルベンズアミン(1.0eq.)のCH2Cl2(0.4M溶液)溶液を-78℃に冷却し、ガス分散チューブを使用して、溶液中にO3ガスを導入した。TLCで測定して全出発物質が消費される迄、オゾンガスを導入した。反応混合物は、淡青色を維持した。反応物を-78℃で20分間撹拌した後、EtOH(0.5M溶液)及びNaBH4(2.5eq.)を加えた。混合物を一夜(16時間)で室温に暖めた。sat. aq. NH4Cl(5mL)を滴加して反応混合物をクエンチし、sat. aq. NH4Clを収容する分液漏斗内に注いだ。混合物をEt2Oで抽出した(3回)。一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。FCで精製して、所望のアルコールを得た。
ヨウ化メチルを用いた芳香族第一級アルコールのエーテル化のための一般的手順:
【0117】
【化39】

【0118】
第一級アルコール(1.0eq.)のTHF(0.25M溶液)中の懸濁液を0℃に冷却し、NaH(油中60%、2.0eq.)で処理した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌した後、室温で更に30分間撹拌した。縣濁液を0℃に再冷却した後、MeI(8.0eq.)を一度に加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、室温で30分間撹拌した後、TLCで測定して全出発物質が消費される迄、4時間加熱還流した。冷却した反応混合物を、sat. aq. NH4Clを滴加してクエンチし、sat. aq. NH4Clを収容する分液漏斗内に注ぎ、EtOAcで抽出した(3回)。一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。FCで精製して、メチルエーテルを得た。
Boc-保護シクロプロピルベンズアミンの脱保護のための一般的手順:
【0119】
【化40】

【0120】
Boc-保護シクロプロピルベンズアミン(1.0eq.)のCH2Cl2(0.1〜0.5M溶液)溶液に、ジオキサン(5.0eq.)中4M HClを加えた。得られた混合物を、TLCが出発物質の完全な変換を示す迄、室温で8〜16時間撹拌した。反応物を、1M aq. NaOHを収容する分液漏斗内に注ぎ、CH2Cl2で抽出した(3回)。FCで精製して、対応する遊離アミンを得た。
2-ブロモ-5-クロロ-ピリジン-4-カルバルデヒド
撹拌したジイソプロピルアミン(20.9mL、148mmol)の乾燥THF(350mL)溶液に、-5℃でBuLi(ヘキサン中1.6M、89.5mL、143mmol)を滴加し、得られた溶液を-5℃で30分間撹拌した。溶液を-70℃に冷却させ、2-ブロモ-5-クロロピリジン(25.0g、130mmol)のTHF(100mL)溶液を、内部温度が-65℃を超えないように、-70℃で15分かけて滴加した。混合物を-70℃で30分間撹拌した。内部温度が-70℃を超えないように、DMF(10.52mL、136mmol)を20分かけて滴加した。橙色混合物を-70℃で40分間撹拌した。混合物を室温に暖め、水(200mL)とaq. 1M NaOH(50mL)との混合物上に注いだ。混合物をEtOAc(2x)で抽出し、一緒にした有機抽出物を、aq. 1M NaOH(2x)で逆洗浄した。有機抽出物をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(EtOAc/ヘプタン1:9→1:8→1:6→1:4→1:2→1:1)で精製して、表題の化合物(21.55g、72%)を得た。LC-MS:tR=0.74分;ES+:295.01。
2-ブロモ-5-クロロ-4-ジメトキシメチル-ピリジン
2-ブロモ-5-クロロ-ピリジン-4-カルバルデヒド(43.9g、199mmol)のMeOH(800mL)溶液に、室温でオルトギ酸トリメチル(65.3mL、597mmol)とp-トルエンスルホン酸一水和物(1.90g、10.0mmol)を連続的に加えた。次いで、この反応混合物を3時間加熱還流した。混合物を室温に冷却させ、減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2中に溶解し、この混合物をaq. 10% K2CO3で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。高真空下で乾燥して、表題の化合物(51.7g、97%)を得た。LC-MS:tR=0.92分;ES+:309.06。
5-クロロ-4-ジメトキシメチル-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン
Mg(911mg、37.5mmol)及びヨウ素(1個の結晶)の乾燥THF(30mL)中の懸濁液に、1-ブロモ-3-メトキシプロパン(4.59g、30.0mmol)の総量の5%を滴加した。混合物を、グリニャール形成が開始する迄、ヒートガンの補助により加熱還流した。発熱反応が進行する間、残りの1-ブロモ-3-メトキシプロパンをゆっくり加えた。添加の終了後、反応混合物を還流下で20分間撹拌し、室温に冷却させた。このグリニャール溶液(THF中1M、23.5mL、23.5mmol)を、2-ブロモ-5-クロロ-4-ジメトキシメチル-ピリジン(2.50g、9.38mmol)及びNi(dppp)Cl2(495mg、0.938mmol)のTHF(50mL)中の混合物に、0℃で滴加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した後、2時間加熱還流した。混合物を室温に冷却させ、EtOAcに溶解した。この混合物をaq. sat. NaHCO3で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→EtOAc/ヘプタン1:1)で精製して、表題の化合物(1.51g、62%)を得た。LC-MS:tR=0.80分;ES+:260.15。
5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-カルバルデヒド
5-クロロ-4-ジメトキシメチル-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン(25.5g、98.2mmol)をaq. 1M HCl(500mL)中に溶解し、混合物を2時間加熱して80℃とした。混合物を室温に冷却させ、EtOAcを加えた。混合物を0℃に冷却し、pH=10に到達する迄、aq. 2.5M NaOHで塩基性化した。層を分離し、有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残留物を高真空下で乾燥して、表題の粗化合物(98.1mmol、99%)を得、これを精製せずに更に使用した。LC-MS:tR=0.62分;ES+:246.12。
[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミン
5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-カルバルデヒド(21.0g、98.2mmol)及びシクロプロピルアミン(13.8mL、196mmol)のMeOH(450mL)中の混合物を、室温で一夜撹拌した。NaBH4(4.83g、128mmol)を0℃で加え、混合物を室温で一夜撹拌した。氷を加え、混合物を減圧濃縮した。粗生成物をEtOAc中に溶解し、この混合物をaq. 1M NaOHで洗浄した。水層をEtOAcで逆抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(EtOAc/ヘプタン1:5→1:4→1:3→1:1→3:1→EtOAc)で精製して、表題の化合物(11.8g)及び[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチレン]-シクロプロピル-アミン(10.7g)を得た。この未反応イミンをMeOH(20mL)中に溶解し、この溶液を0℃に冷却した。NaBH4(3.20g、84.6mmol)を加え、混合物を室温で一夜撹拌した。NaBH4(3.20g、84.6mmol)を再度加え、混合物を3日間撹拌した。反応混合物に氷を加え、該混合物を減圧濃縮した。粗生成物をEtOAc中に溶解し、得られた混合物をaq. 1M NaOHで洗浄した。水層をEtOAcで逆抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(EtOAc/ヘプタン1:3→1:2→1:1→EtOAc)で精製して、表題の化合物(9.4g)を得た。表題の化合物の画分を共に混合した(21.2g、85%)。LC-MS:tR=0.55分;ES+:296.16。
2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エタノール
4-ブロモフェノール(1003g、0.58mol)をキシレン(220mL)中に溶解した。[1,3]ジオキシラン-2-オン(53.7g、0.61mol)及びイミダゾール(592mg、8.70mmol)を加えた。混合物を3日間加熱して140℃とした。混合物を室温に冷却させ、溶媒を減圧除去した。残留物を高真空下で乾燥して、表題の化合物(130g、定量的)を得た。LC-MS:tR=0.81分。
メタンスルホン酸2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エチルエステル
2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エタノール(125g、0.576mol)をCH2Cl2(650mL)中に溶解し、溶液を0℃に冷却した。Et3N(110mL、0.864mol)、次いで塩化メシル(67.1mL、0.864mol)を、温度が10℃より上昇しない速度で滴下した(約60分)。混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温で一夜撹拌した。混合物をCH2Cl2で希釈し、ブライン(2x)で洗浄した。水層をCH2Cl2で逆抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物を高真空下で乾燥して、未処理の表題の化合物(174g、定量的収率)を得、これを精製せずに更に使用した。LC-MS:tR=0.92分。
1-[2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エトキシ]-2,6-ジクロロ-4-メチル-ベンゼン
K2CO3(29.3g、212mmol)を水(162mL)中に溶解した。1-プロパノール(150mL)を加えた。2,6-ジクロロ-p-クレゾール(25g、141mmol)の1-プロパノール(150mL)溶液を加えた。メタンスルホン酸2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エチルエステル(41.6g、141mmol)を加えた。混合物を85℃で6時間撹拌した。加熱している油浴を除去し、内部温度が78℃に到達した際に、水(330mL)を滴加した。ベージュ色縣濁液を室温に冷却させた。混合物を濾過し、沈殿を水で洗浄した。沈殿を高真空下にて30℃で48時間乾燥して、表題の化合物(43g、81%)を得た。LC-MS:tR=1.15分。
2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エタノール
ガス液滴カウンター(gas droplet counter)及び高効率冷却システムを装備した3口フラスコ内で、2,6-ジクロロ-p-クレゾール(20.0g、113mmol)、[1,3]ジオキソラン-2-オン(9.95g、113mmol)及びイミダゾール(115mg、1.70mmol)の混合物を、25時間加熱して160℃とした。混合物を室温に冷却させた。FC(Et2O/ヘプタン1:1)で精製して、表題の化合物(18.7g、75%)を得た。LC-MS:tR=0.88分。
5-ブロモ-2-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-ピリジン
2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エタノール(18.6g、84mmol)のTHF(360mL)溶液を0℃に冷却した。NaH(油中約55%、6.60g、約153mmol)を一部ずつ加え、混合物を室温で30分間撹拌した。2,5-ジブロモピリジン(18.0g、76.3mmol)のTHF(60mL)溶液を滴加し、混合物を90分間加熱還流した。混合物を室温に冷却させ、氷を注意深く加えた。溶媒を一部減圧除去し、残留物をEtOAcで希釈した。この混合物をaq. sat. NH4Clで洗浄した。水層をEtOAc(2x)で逆抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(EtOAc/ヘプタン3:97)で精製して、表題の化合物(22.7g、79%)を得た。LC-MS:tR=1.13分;ES+:378.08。
2-クロロ-3,6-ジフルオロ-ベンズアルデヒドオキシム
2-クロロ-3,6-ジフルオロ-ベンズアルデヒド(25.0g、142mmol)をCH3CN(175mL)中に溶解した。この溶液にNaHCO3(35.7g、424mmol)を加え、混合物を5分間激しく撹拌した。水(350mL)を加え、混合物を10分間撹拌した。NH2OH・HCl(19.7g、283mmol)及びTBAC(1.97g、7.08mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。AcOH(20mL)をpH6〜7となる迄滴加した。混合物をEt2O(3x)で抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。高真空下で乾燥して、表題の化合物(25.0g、92%)を得た。LC-MS:tR=0.93分。
(S)-1-(5-ブロモ-ピリジン-2-イル)-ピロリジン-3-オール
2,5-ジブロモピリジン(12.2g、51.5mmol)及び(S)-ヒドロキシピロリジン(2.80g、32.1mmol)のトルエン(50mL)中の混合物を、一夜加熱還流した。混合物を室温に冷却させ、溶媒を減圧除去した。残留物をEtOAc(150mL)に溶解し、混合物をaq. 10 % K2CO3で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→ヘプタン/EtOAc 1:2)で精製して、表題の化合物(3.62g、46%)を得た。LC-MS:tR=0.48分;ES+:243.15。
(R)-5-ブロモ-2-[3-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-ピロリジン-1-イル]-ピリジン
アゾジカルボキシレートジピペリジド(11.7g、45.4mmol)を、(S)-1-(5-ブロモ-ピリジン-2-イル)-ピロリジン-3-オール(8.82g、36.3mmol)及び2,6-ジクロロ-p-クレゾール(7.37g、40.0mmol)のトルエン(200mL)溶液に加えた。混合物を窒素で5分間脱気し、PBu3(85%、15.8mL、46.2mmol)を加えた。混合物を急速に100℃まで加熱し、この温度で2時間撹拌した。混合物を室温に冷却させ、ヘプタン(200mL)で希釈した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:7)で精製して、表題の粗化合物を得、これをCH2Cl2で希釈した。この混合物をaq. 1M NaOHで洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物を高真空下で乾燥して、純粋な表題の化合物(13.5g、93%)を得た。LC-MS:tR=0.92分;ES+:402.98。
(rac.)-3-[シクロプロピル-(2,3-ジメチル-ベンジル)-カルバモイル]-4-オキソ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(B1)
4-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル3-メチルエステル(WO 2004/105738、1.00g、3.89mmol)、シクロプロピル-(2,3-ジメチル-ベンジル)-アミン(681mg、3.89mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(92.4mg、0.486mmol)の無水トルエン(40mL)溶液を、ディーン・スターク・トラップを装備したフラスコ内で一夜、還流撹拌した。反応混合物を室温に冷却させた。EtOAc(120mL)を加え、得られた混合物を、aq. sat. NaHCO3(2x)、aq. 1M HCl(1x)、及び最後にaq. sat. NaHCO3(1x)で連続的に洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→ヘプタン/EtOAc 50:50)で精製して、表題の化合物(566mg、36%)を得た。LC-MS:tR=1.02分;ES+:401.02。
(rac.)-3-{[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-カルバモイル}-4-オキソ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(B2)
4-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル3-メチルエステル(WO 2004/105738、4.83g、18.8mmol)、[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミン(3.00g、12.5mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(298mg、1.56mmol)の無水トルエン(188mL)溶液を、ディーン・スターク・トラップを装備したフラスコ内で24時間、還流撹拌した(130℃の油浴)。混合物を室温に冷却させ、週末に亘り放置した。EtOAc(100mL)を加え、得られた混合物を、aq. sat. NaHCO3、aq. 1M HCl(2x)、及びブラインで連続的に洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→ヘプタン/EtOAc 40:60)で精製して、表題の化合物(2.39g、41%)を得た。LC-MS:tR=1.03分;ES+:465.43。
(rac.)-3-{[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-カルバモイル}-4-オキソ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(B3)
4-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル3-メチルエステル(WO 2004/105738、2.00g、7.77mmol)、[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミン(1.98g、7.77mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(185mg、0.972mmol)の無水トルエン(78mL)溶液を、ディーン・スターク・トラップを装備したフラスコ内で一夜、還流撹拌した。4-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル3-メチルエステル(500mg、1.94mmol)を加え、混合物を4時間加熱還流した。該混合物を室温に冷却させた。EtOAcを加え、混合物をaq. sat. NaHCO3、aq. 1M HCl及びaq. sat. NaHCO3で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(EtOAc/ヘプタン7:3)で精製して、表題の化合物(1.70g、46%)を得た。LC-MS:tR=0.90分;ES+:480.39。
(rac.)-(3S*, 4R*)-3-[シクロプロピル-(2,3-ジメチル-ベンジル)-カルバモイル]-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(D1)
1-[2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エトキシ]-2,6-ジクロロ-4-メチル-ベンゼン(537mg、1.43mmol)の乾燥THF(15mL)溶液を、-78℃にてBuLi(ヘキサン中1.6M、0.428mL、1.56mmol)で処理した。30分後、この溶液を、化合物B1(520mg、1.30mmol)の乾燥THF(15mL)溶液上に-78℃でカニュレートした。1時間後、混合物をaq. sat. NH4Cl上に注ぎ、EtOAc(2x)で抽出し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→ヘプタン/EtOAc 70:30)で精製して、表題の化合物(89mg、10%)を得た。LC-MS:tR=1.23分;ES+:697.16。
(rac.)-(3R*, 4S*)-3-{[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-カルバモイル}-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(D2)
1-[2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エトキシ]-2,6-ジクロロ-4-メチル-ベンゼン(4.04g、10.8mmol)のTHF(107mL)溶液を、-78℃にてBuLi(ヘキサン中1.6M、7.38mL、11.8mmol)で処理した。30分後、DMPU(2.85mL、23.7mmol)を加え、混合物を5分間撹拌した。化合物B2(2.00g、4.30mmol)のTHF(14mL)溶液をゆっくり加えた。混合物を-78℃で15分間撹拌し、aq. sat. NH4Cl(100mL)を加えた。混合物を室温に暖め、溶媒を一部減圧除去した。aq.残留物をaq. sat. NH4Cl(50mL)で希釈し、混合物をEtOAc(3x)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(ヘプタン→EtOAc/ヘプタン40:60)で精製して、表題の化合物(380mg、12%)を得た。LC-MS:tR=1.27分;ES+:763.22。
(rac.)-(3R*, 4S*)-3'-{[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-カルバモイル}-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ3',4',5',6'-テトラヒドロ-2'H-[3,4']ビピリジニル-1'-カルボン酸tert-ブチルエステル(D3)
Mg屑(535mg、22.0mmol)及び無水LiCl(848mg、20.0mmol)を、120℃の油浴内の乾燥したフラスコ内にて高真空下で一夜配置した。フラスコを開放せずに、これをN2下で冷却した後、THF(10mL)を加えた。塩化イソプロピルのTHF(10mL)溶液を室温でゆっくり加え、混合物を室温で12時間撹拌した。得られた灰色の1M溶液は、使用の準備ができているが、24時間保持する必要がある。乾燥THF(80.6mL)中の5-ブロモ-2-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-ピリジン(3040mg、8.07mmol)を、以前に調製したグリニャール溶液(1M、8.48mL、8.48mmol)で処理した。混合物を室温で4時間撹拌した。イソプロピルグリニャール溶液(1M、8.00mL、8.00mmol)を再度加え、混合物を2時間撹拌した。化合物B2(1500mg、3.226mmol)の乾燥THF(15mL)溶液を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。混合物をaq. sat. NH4Cl上に注ぎ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→ヘプタン/EtOAc 70:30)で精製して、表題の化合物(1.74g、71%)を得た。LC-MS:tR=1.23分;ES+:764.49。
(rac.)-(3R*, 4S*)-6-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イルメトキシ]-3'-{[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-カルバモイル}-4'-ヒドロキシ-3',4',5',6'-テトラヒドロ-2'H-[3,4']ビピリジニル-1'-カルボン酸tert-ブチルエステル(D4)
Mg屑(535mg、22.0mmol)及び無水LiCl(848mg、20.0mmol)を、120℃の油浴内の乾燥したフラスコ内にて高真空下で一夜配置した。フラスコを開放せずに、これをN2下で冷却した後、THF(10mL)を加えた。塩化イソプロピルのTHF(10mL)溶液を室温でゆっくり加え、混合物を室温で12時間撹拌した。得られた灰色の1M溶液は、使用の準備ができているが、24時間を超えて保持する必要がある。化合物K1(1.08g、2.69mmol)の乾燥THF(27mL)溶液を、以前に調製したグリニャール溶液(1M、3.76mL、3.76mmol)で室温にて処理した。混合物を室温で撹拌し、グリニャールの形成を毎時間検査した。5時間後、化合物B2(500mg、1.08mmol)の乾燥THF(10mL)溶液を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。混合物をaq. sat. NH4Cl上に注ぎ、該混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→EtOAc/ヘプタン30:70)で精製して、表題の化合物(275mg、33%)を得た。LC-MS:tR=1.20分;ES+:787.64。
(3’R, 4’S)-3'-{[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-カルバモイル}-6-[(R)-3-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-ピロリジン-1-イル]-4'-ヒドロキシ-3',4',5',6'-テトラヒドロ-2'H-[3,4']ビピリジニル-1'-カルボン酸tert-ブチルエステルと(3’S, 4’R)-3'-{[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-カルバモイル}-6-[(R)-3-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-ピロリジン-1-イル]-4'-ヒドロキシ-3',4',5',6'-テトラヒドロ-2'H-[3,4']ビピリジニル-1'-カルボン酸tert-ブチルエステル(D5)との混合物
Mg屑(535mg、22.0mmol)及び無水LiCl(848mg、20.0mmol)を、120℃の油浴内の乾燥したフラスコ内にて高真空下で一夜配置した。フラスコを開放せずに、これをN2下で冷却した後、THF(10mL)を加えた。塩化イソプロピルのTHF(10mL)溶液を室温でゆっくり加え、混合物を室温で12時間撹拌した。得られた灰色の1M溶液は、使用の準備ができているが、24時間を超えて保持する必要がある。(R)-5-ブロモ-2-[3-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-ピロリジン-1-イル]-ピリジン(2.16g、5.38mmol)の乾燥THF(61mL)溶液を、以前に調製したグリニャール溶液(1M、8.47mL、8.47mmol)で室温にて処理した。混合物を室温で撹拌し、グリニャールの形成を毎時間検査した。8時間後、化合物B2(1.13g、2.42mmol)の乾燥THF(11mL)溶液を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。混合物をaq. sat. NH4Cl上に注ぎ、該混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→EtOAc/ヘプタン30:70)で精製して、表題の化合物の混合物(1.29g、68%)を得た。LC-MS:tR=1.03分;ES+:787.77。
(rac.)-(3’R*, 4’S*)-3'-{[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-カルバモイル}-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-3',4',5',6'-テトラヒドロ-2'H-[3,4']ビピリジニル-1'-カルボン酸 tert-ブチルエステル(D6)
Mg屑(535mg、22.0mmol)及び無水LiCl(848mg、20.0mmol)を、120℃の油浴内の乾燥したフラスコ内にて高真空下で一夜配置した。フラスコを開放せずに、これをN2下で冷却した後、THF(10mL)を加えた。塩化イソプロピルのTHF(10mL)溶液を室温でゆっくり加え、混合物を室温で12時間撹拌した。得られた灰色の1M溶液は、使用の準備ができているが、24時間を超えて保持する必要がある。5-ブロモ-2-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-ピリジン(2.02g、5.37mmol)の乾燥THF(54mL)溶液を、以前に調製したグリニャール溶液(1M、7.51mL、7.51mmol)で室温にて処理した。混合物を室温で撹拌し、グリニャールの形成を毎時間検査した。5時間後、化合物B3(1.03g、2.15mmol)の乾燥THF(10mL)溶液を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。混合物をaq. sat. NH4Cl上に注ぎ、該混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→EtOAc/ヘプタン2:7)で精製して、表題の化合物(921mg、55%)を得た。LC-MS:tR=1.19分;ES+:779.64。
(rac.)-(3’R*, 4’S*)-3'-{[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-1-オキシ-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-カルバモイル}-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-3',4',5',6'-テトラヒドロ-2'H-[3,4']ビピリジニル-1'-カルボン酸tert-ブチルエステル(D7)
化合物D6(46mg、0.603mmol)の乾燥CH2Cl2(6.00mL)溶液を、室温にて3-クロロ過安息香酸(70%、166mg、0.675mmol)で処理し、混合物を室温で2時間撹拌した。該混合物をaq. sat. NaHCO3上に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をaq. sat. NaHCO3(2x)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(ヘプタン→ヘプタン/EtOAc 50:50)で精製して、表題の化合物(347mg、73%)を得た。
5-ブロモ-2-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イルメトキシ]-ピリジン(K1)
2,5-ジブロモピリジン(31.4g、132mmol)及び化合物L1(25.0g、102mmol)を、窒素下で乾燥トルエン(1.00L)中に溶解した。混合物にtert-BuONa(14.7g、153mmol)、キサントホス(3.54g、6.12mmol)及びPd2(dba)3・CHCl3(1.83g、2.00mmol)を加えた。混合物を一夜加熱還流し、室温に冷却させた。該混合物をaq. sat. NaHCO3及びブラインで洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン 10:90)で精製して、表題の化合物(17.4g、43%)を得た。LC-MS:tR=1.08分。
[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イル]-メタノール(L1)
2-クロロ-3,6-ジフルオロ-ベンズアルデヒドオキシム(21.3g、111mmol)のDMF(66.7mL)溶液を、NCS(14.9g、111mmol)及びピリジン(1.78mL)のDMF(222mL)溶液に滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、プロパルギルアルコール(4.99g、89.1mmol)のDMF(71mL)溶液を滴加した。反応混合物を85℃に加熱し、Et3N(15.5mL、111mmol)のDMF(89.3mL)溶液をゆっくり加えた。反応混合物を85℃で60分間撹拌し、室温に冷却させた。混合物を水(533mL)で希釈し、EtOAc(2x)で抽出した。一緒にした有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン40:60)で精製して、表題の化合物(17.0g、78%)を得た。LC-MS:tR=0.84分;ES+:287.12。
3-(ベンジル-tert-ブトキシカルボニル-アミノ)-プロピオン酸エチルエステル(M1)
Boc2O(5.53g、25.3mmol)をN-ベンジル-β-アラニンエチルエステル(3.40mL、16.9mmol)及びDIPEA(11.6mL、67.6mmol)のCH2Cl2(200mL)溶液に0℃で加えた。混合物を、室温に暖めながら一夜撹拌した。混合物を0℃に冷却し、aq. 1M HClで分割した。有機層を再度aq. 1M HCl及びaq. sat. NaHCO3で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(EtOAc/ヘプタン 3:20)で精製して、表題の化合物(5.16g、99%)を得た。LC-MS:tR=1.02分。
3-(ベンジル-tert-ブトキシカルボニル-アミノ)-プロピオン酸(N1)
化合物M1(838mg、2.73mmol)のEtOH(34mL)及びaq. 1M NaOH(13.7mL)中の混合物を、70℃で2時間撹拌した。混合物を室温に冷却させ、aq. 1M HClをpH=4に到達する迄加えた。溶媒を一部減圧除去し、aq.残留物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。高真空下で乾燥して、表題の粗化合物(769mg、定量的収率)を得、これを精製せずに更に使用した。LC-MS:tR=0.89分;ES+:280.33。
ベンジル-(2-{[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-カルバモイル}-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(O1)
化合物N1(769mg、2.75mmol)、DMAP(84.1mg、0.688mmol)、HOBt(446mg、3.30mmol)、DIPEA(1.78g、2.36mmol)及びEDC・HCl(1.32g、6.88mmol)のCH2Cl2(65mL)中の混合物を、室温で45分間撹拌した。[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミン(1.14g、4.13mmol)を加え、混合物を一夜撹拌した。CH2Cl2を加え、混合物をaq. 1M HCl(2x)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(MeOH/CH2Cl21:99)で精製して、表題の化合物(1.12g、76%)を得た。LC-MS:tR=1.11分;ES+:501.30。
4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-ベンズアルデヒド(Q1)
1-[2-(4-ブロモ-フェノキシ)-エトキシ]-2,6-ジクロロ-4-メチル-ベンゼン(8.81g、23.4mmol)のTHF(91mL)溶液に、BuLi(ヘキサン中1.6M、17.0mL、26.9mmol)を-78℃で加えた。混合物を-78℃で10分間撹拌し、DMF(2.72mL、35.1mmol)を加えた。混合物を-78℃で2.5時間撹拌し、aq. sat. NH4Clを加えた。混合物を室温に暖め、TBME(2x)で抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(EtOAc/ヘプタン 1:4)で精製して、表題の化合物(3.64g、48%)を得た。LC-MS:tR=1.07分;ES+:325.03。
実施例
実施例1
(rac.)-(3S*, 4R*)-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジメチル-ベンジル)-アミド
化合物D1(51mg、0.073mmol)のジオキサン(1mL)溶液を、0℃にてHCl(ジオキサン中4M、0.5mL)で処理し、混合物を0℃で2時間撹拌した。反応混合物を乾燥する迄濃縮した。FC(CH2Cl2→CH2Cl2/MeOH 90:10)で精製して、表題の化合物(18mg、39%)を得た。LC-MS:tR=0.96分;ES+:597.16。
実施例2
(3S, 4R)-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-3-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド
化合物D2(380mg、0.499mmol)のCH2Cl2(2.40mL)溶液に、HCl(ジオキサン中4M、2.40mL)を0℃で加えた。混合物を室温に暖めながら2時間撹拌した後、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(CH2Cl2/MeOH 90:10)で精製して、表題のラセミ化合物(249mg、75%)を得た。この混合物をキラル、分取HPLC(Regis Whelk、定組成溶離液B 85%)で分離した。表題の化合物(42mg、19%)を得た。LC-MS:tR=0.96分;ES+:663.56。キラル、分析HPLC(Regis Whelk、定組成溶離液B 85%):tR=33.0分。
実施例3
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド
化合物D3(1.132g、1.485mmol)をCH2Cl2(7.40mL)中に溶解した。溶液を0℃に冷却した。HCl(ジオキサン中4M、7.40mL)を混合物に滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、aq. sat. NaHCO3とEtOAcとの混合物上に注意深く注いだ。該混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(CH2Cl2〜CH2Cl2/MeOH 90:10)で精製して、尚少量のシリカゲルと混合した表題のラセミ化合物を得た。この混合物をCH2Cl2で希釈し、コットン上で濾過した。溶媒を減圧除去して、純粋な、表題のラセミ化合物(904mg、92%)を得た。このラセミ体をキラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 45%)で分離した。表題の化合物(350mg、42%)を得た。LC-MS:tR=0.94分;ES+:662.43。キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 65%):tR=11.4分。
実施例4
(3'S, 4'R)-6-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イルメトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド
化合物D4(275mg、0.349mmol)をCH2Cl2(1.75mL)中に溶解した。溶液を0℃に冷却した。混合物にHCl(ジオキサン中4M、1.75mL)を滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、aq. sat. NaHCO3とEtOAcとの混合物上に注意深く注いだ。混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(CH2Cl2→CH2Cl2/MeOH 90:10)で精製して、表題のラセミ化合物(162mg、67%)を得た。このラセミ体を、キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%)で分離した。表題の化合物(45mg、30%)を得た。LC-MS:tR=0.92分;ES+:687.63。キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%):tR=11.5分。
実施例5
(3'S, 4'R)-6-[(R)-3-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-ピロリジン-1-イル]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド
化合物D5(1.29g、1.64mmol)をCH2Cl2(8.2mL)中に溶解した。溶液を0℃に冷却した。HCl(ジオキサン中4M、8.2mL)を混合物に滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、aq. sat. NaHCO3とEtOAcとの混合物上に注意深く注いだ。混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(CH2Cl2〜CH2Cl2/MeOH 90:10)で精製して、その対応する立体異性体と尚混合し、かつ少量のシリカゲルを伴う表題の化合物を得た。この混合物をCH2Cl2で希釈し、コットン上で濾過した。溶媒を減圧除去して、その対応するジアステレオ異性体と混合した純粋な表題の化合物(904mg、80%)を得た。この混合物の一部(150mg)を、キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%)で分離した。表題の化合物(50mg、33%)を得た。LC-MS:tR=0.81分;ES+:689.66。キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%):tR=10.7分。
実施例6
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミド
化合物D6(920mg、1.18mmol)をCH2Cl2(5.9mL)中に溶解した。溶液を0℃に冷却した。HCl(ジオキサン中4M、5.9mL)を混合物に滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、aq. sat. NaHCO3とEtOAcとの混合物上に注意深く注いだ。混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(CH2Cl2〜CH2Cl2/MeOH 90:10)で精製して、その対応する立体異性体と尚混合し、かつ少量のシリカゲルを伴う表題の化合物を得た。この混合物をCH2Cl2で希釈し、コットン上で濾過した。溶媒を減圧除去して、その対応するジアステレオ異性体と混合した純粋な表題の化合物(682mg、85%)を得た。この混合物の一部(80mg)を、キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%)で分離した。表題の化合物(31mg、39%)を得た。LC-MS:tR=0.88分;ES+:679.23。キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%):tR=16.4分。
実施例7
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-1-オキシ-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミド
化合物D7(347mg、0.500mmol)をCH2Cl2(2.5mL)中に溶解した。HCl(ジオキサン中4M、2.50mL)を溶液に滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、aq. sat. NaHCO3とEtOAcとの混合物上に注意深く注いだ。混合物をEtOAcで抽出し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗物質をFC(CH2Cl2→CH2Cl2/MeOH 9:1)で精製して、尚少量のシリカゲルと混合した表題の化合物を得た。この混合物をCH2Cl2中に取り、コットン上で濾過して、表題のラセミ化合物(266mg、77%)を得た。このラセミ体の一部(83mg)を、キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%)で分離した。表題の化合物(29mg、35%)を得た。キラル、分析HPLC(Chiralpack AD、定組成溶離液B 50%):tR=31.1分。
生物学的アッセイ
1.AngI蓄積及びレニン阻害を見積もる酵素イムノアッセイ(EIA)
1.1 AngI-BSAコンジュゲートの調製
1.3mg(1μmol)のAngI[1-10(Bachem、H-1680)]及び17mg(0.26μmol)のBSA(Fluka、05475)を、4mLの0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4中に溶解し、その後グルタルアルデヒドのH2O(Sigma G-5882)中の1:100希釈物2mLを滴加した。混合物を4℃で一夜インキュベートした後、2リットルの0.9%NaClに対して室温で4時間、2回透析し、次に2リットルのPBS 1Xに対して室温で一夜透析した。次に、シリンジフィルター、0.45μm(Nalgene、Cat.No.194-2545)を用いて溶液を濾過した。コンジュゲートは、0.05%アジ化ナトリウム中、ポリプロピレン管内にて4℃で少なくとも12ヶ月保管することができる。
1.2 BSA-AngI被覆MTPの調製
テフロン(登録商標)ビーカー内にてPBS 1X中で1:100,000に希釈した(正確な希釈は、コンジュゲートのバッチに依存する)80μlのAngI(1-10)/BSAコンジュゲートを含むマイクロタイタープレート(MPT384、MaxiSorp(商標)、Nunc)を、4℃で一夜インキュベートし、空にして、90μlのブロッキング溶液[PBS 1X中0.5%BSA(Sigma A-2153)、0.02%NaN3]で満たし、室温で少なくとも2時間、又は4℃で一夜インキュベートした。96ウェルMTP(MaxiSorp(商標)、Nunc)を200μlのコンジュゲートで被覆し、ブロッキング溶液が3%BSAを含有する以外は上記と同様の250μlのブロッキング溶液でブロックした。プレートは、ブロッキング溶液中で、4℃で1ヶ月間保管することができる。
1.3 384ウェルMTP内のAngI-EIA
AngI(1-10)/BSA被覆MTPを洗浄緩衝液(PBS 1X、0.01%Tween20)で3回洗浄し、アッセイ緩衝液(PBS 1X、1mM EDTA、0.1%BSA、pH7.4)中で最終濃度1:100,000に希釈した75μlの一次抗体溶液(抗AngI抗血清、ウマ血清中で1:10に予め希釈)で満たした。5μlのレニン反応物(又はアッセイ緩衝液中の基準)(下記参照)を一次抗体溶液に加え、プレートを4℃で一夜インキュベートした。インキュベーション後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、二次抗体[洗浄緩衝液中で1:2,000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgG(Amersham Bioscience、NA 934V)]と共に室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した後、基質溶液[1.89mM ABTS(2.2'-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンゾチアゾリンスルホネート)](Roche Diagnostics、102 946)及び基質緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、pH4.2)中2.36mM H2O2[30%、(Fluka、95300]と共に、室温で1時間インキュベートした。マイクロプレートリーダー内にて405nmでプレートのODを判読した(BMG製のFLUOStar Optima)。レニン反応中のAngIの生成を、平行して測定したAngI(1-10)の基準曲線のODと、サンプルのODとを比較することにより定量した。
2.一次レニン阻害アッセイ:緩衝液中のIC50、384ウェルMTP
以前に記載されているアッセイ(Fischli W. et al., Hypertension, 1991, 18:22-31)からレニンアッセイを適合させ、これは2ステップからなる:第一ステップでは、組み換えヒトレニンをその基質(市販のヒトテトラデカペプチドレニン基質)と共にインキュベートして、生成物アンジオテンシンI(AngI)を形成する。第二ステップでは、蓄積されたAngIを免疫学的アッセイ(酵素イムノアッセイ、EIA)により測定する。このアッセイの詳細な記載は、以下に見出される。EIAは、非常に感度が高く、緩衝液又は血漿中でのレニン活性の測定に非常に適している。本アッセイに使用される低いレニン濃度により(アッセイチューブ当たり2fmol又は10pM)、この一次アッセイでは、阻害剤の親和性を低いpM濃度迄測定することが可能である。
2.1 方法体系
アッセイ緩衝液(PBS 1X、1mM EDTA、0.1%BSA、pH7.4)中の組み換えヒトレニン(3pg/μl)、ヒトテトラデカペプチド(1-14)基質(Bachem、M-1120)[10mM HCl中5μM]、ヒドロキシキノリンサルフェート(Fluka、55100)[H2O中30mM]及びアッセイ緩衝液を4℃にて100:30:10:145の比で予め混合した。ウェル当たり47.5μlのこのプレミックスを、ポリプロピレンプレート(MTP384、Nunc)内に移動した。試験化合物を100%DMSO中で溶解及び希釈し、2.5μlをプレミックスに加えた後、37℃で3時間インキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、5μlのレニン反応物(又はアッセイ緩衝液中の基準)をEIAアッセイ(上述した)内に移動し、レニンにより生成されたAngIを定量した。レニン阻害(AngI低下)の百分率を化合物の各濃度に関して計算し、酵素活性を50%(IC50)阻害したレニン阻害の濃度を決定した。化合物は、非常に良好なバイオアベイラビリティを示し、また先行技術の化合物と比較して、代謝的により安定であった。
阻害の例:
【0121】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、並びにその塩。
【化1】

(式中、
Xは、CH、N、又はN+-O-を表し;

Wは、パラ置換フェニル、パラ置換ピリジニル、又はチアゾリルを表し;

Vは、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2-A-、-CH2-A-CH2-、-A-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-A-CH2CH2CH2-、-CH2-A-CH2CH2-、-CH2CH2-A-CH2-、-CH2CH2CH2-A-、-A-CH2CH2-B-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-A-CH2CH2CH2CH2-、-CH2-A-CH2CH2CH2-、-CH2CH2-A-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-A-CH2-、-CH2CH2CH2CH2-A-、-A-CH2CH2CH2-B-、-CH2-A-CH2CH2-B-、-A-CH2CH2-B-CH2-、-A-CH2CH2CH2-B-CH2-、-CH2-A-CH2CH2CH2-B-、若しくは-O-CH2-Q-を表し、ここでQは式(I)のU基に結合し、又はVは、式:
【化2】

のピロリジニルを表し;

Uは、非置換アリール;一、二、三又は四置換アリール、ここで置換基は、C1-7-アルキル、-CF3、ハロゲン、及びヒドロキシ-C1-7-アルキルからなる群から独立して選択され;又は窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリールを表し、ここで前記ヘテロアリール基は、場合により一、二又は三置換され、ここで置換基は、C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ、-CF3、-OCF3、及びハロゲンからなる群から独立して選択され;

Qは、O及びNから独立して選択される2個又は3個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリールを表し;

Lは、-CH2-CH2-、-CH2-CH(R6)-CH2-、-CH2-N(R7)-CH2-、-CH2-O-CH2-、又は-CH2-S-CH2-を表し;

A及びBは、互いに独立して、-O-又は-S-を表し;

R1は、C1-7-アルキル又はシクロアルキルを表し;

R2は、ハロゲン又はC1-7-アルキルを表し;

R3は、水素、ハロゲン、C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ、又は-CF3を表し;

R4は、水素;C1-7-アルキル-O-(CH2)0-4-CH2-;CF3-O-(CH2)0-4-CH2-;R'2N-(CH2)0-4-CH2-、ここでR'は、水素、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)C1-7-アルキル、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル-C1-7-アルキル、及び-C(=O)-R"からなる群より独立して選択され、ここでR"は、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、-CF3、-CH2-CF3、若しくはシクロプロピルであり;又はR13-C(=O)-(O)0-1-(CH2)0-4-を表し、ここでR13は、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、若しくはシクロプロピルであり;ここでR'及びR"の両方が同時に水素を表さないことが好ましく;

R5は、ヒドロキシ、C1-7-アルコキシ、ヒドロキシ-C1-7-アルキル、ジヒドロキシ-C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ-C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ-C1-7-アルコキシ-C1-7-アルキル、ヒドロキシ-C1-7-アルコキシ-C1-7-アルキル、カルバモイル-C1-7-アルコキシ、又はC1-7-アルキル-カルボニルオキシを表し;

R6は、-H、-CH2OR9、-CH2NR8R9、-CH2NR8COR9、-CH2NR8SO2R9、-CO2R9、-CH2OCONR8R9、-CONR8R9、-CH2NR8CONR8'R9、-CH2SO2NR8R9、-CH2SR9、-CH2SOR9、又は-CH2SO2R9を表し;

R7は、-R9、-COR9、-COOR11、-CONR8R9、-C(NR8)NR8'R9、-CSNR8R9、-SO2R9、若しくは-SO2NR8R9を表し;又はR7は、式:
【化3】

(式中、Tは、-CH2-、-NH-又は-O-を表し、rは、整数1〜6であり、sは、整数1〜4である)の基を表し;

R8及びR8'は、独立して水素、C1-7-アルキル、C2-7-アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルキル-C1-7-アルキルを表し、ここでC1-7-アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキル-C1-7-アルキルは、1個、2個、又は3個のハロゲンで置換されていてもよく;

R9は、水素、C1-7-アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキル-C1-7-アルキルを表し、ここでC1-7-アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキル-C1-7-アルキルは、一、二又は三置換されていてもよく、ここで置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、-OCOR12、-COOR12、C1-7-アルコキシ、シアノ、-SO2R12、-CONR12R12'、モルホリン-4-イルCO-、((4-C1-7-アルキル)ピペラジン-1-イル)-CO-、-NHC(NH)NH2、-NR10R10'及びC1-7-アルキルからなる群より独立して選択されるが、但し炭素原子は、この炭素原子がsp3混成している場合、多くて1個のヘテロ原子に結合するものとし;

R10及びR10'は、独立して水素、C1-7-アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル-C1-7-アルキル、ヒドロキシ-C1-7-アルキル、-COOR8、又は-CONH2を表し;

R11は、ハロゲン、C1-7-アルキル、C1-7-アルコキシ、-CF3、又は水素を表し;

R12及びR12'は、独立して水素、C1-7-アルキル、C2-7-アルケニル、シクロアルキル、又はシクロアルキル-C1-7-アルキルを表し、ここでC1-7-アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキル-C1-7-アルキルは、1個、2個、又は3個のハロゲンで置換されていてもよく;

nは、整数0又は1を表し;

mは、整数0又は1を表すが、但しnが整数1を表すとき、mは整数1を表すものとする)
【請求項2】
XがN+-O-を表し、R4がC1-4-アルコキシ-C(=O)-NH-(CH2)0-4-CH2-又はR13-C(=O)-(O)0-1-(CH2)0-4-を表し、ここでR13は、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、又はシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項3】
XがCH又はNを表し;
R4が水素;C1-7-アルキル-O-(CH2)0-4-CH2-;CF3-O-(CH2)0-4-CH2-;又はR'2N-(CH2)0-4-CH2-を表し、ここでR'は、水素、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)C1-7-アルキル、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル、(場合により1〜3個のフッ素で置換された)シクロプロピル-C1-7-アルキル、及び-C(=O)-R"からなる群から独立して選択され、ここでR"はC1-4-アルキル、-CF3、-CH2-CF3、又はシクロプロピルである;
請求項1に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項4】
XがCH又はN+-O-を表す、請求項1に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項5】
R7が-R9、-COR9、-COOR11、-CONR8R9、-C(NR8)NR8'R9、-CSNR8R9、-SO2R9、又は-SO2NR8R9を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項6】
A及びBが両方とも-O-を表す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項7】
R6が-CO2CH3又は-CO2Hを表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項8】
R7が-H、-COCH3、-C(NH)NH2、-CONHCH2C(CH3)2CONH2、-CONHCH(CH2)2、又は-CONHC(CH2)2CNを表す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項9】
R7が-Hを表す、請求項8に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項10】
Lが-CH2-CH2-又は-CH2-NH-CH2-を表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項11】
R1がシクロプロピルを表す、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項12】
Wがパラ置換フェニル、又は
【化4】

を表す、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項13】
Vが-O-CH2CH2-O-、-O-CH2-Q-、-CH2-CH2-O-を表し、ここで-CH2-CH2-O-の-CH2部分が式(I)のW基に結合し、又は
【化5】

を表す、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項14】
Vが-O-CH2CH2-O-又は-O-CH2-Q-を表す、請求項13に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項15】
Qがイソオキサゾリル又はオキサジアゾリルを表す、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項16】
Qがイソオキサゾリルを表す、請求項15に記載の化合物に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項17】
V-Wが:
【化6】

を表す、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項18】
Uが:
【化7】

を表す、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項19】
Uが:
【化8】

を表す、請求項18に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項20】
R2がClを表し、R3が水素を表す、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項21】
R4がCH3-O-(CH2)2-3-又はCH3-C(=O)-NH-CH2-CH2-を表す、請求項1及び3〜20のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項22】
R4が-CH2CH2CH2-O-CH3又は-CH2CH2-O-CH3を表す、請求項21に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項23】
R4が-CH2CH2-O-CH3を表す、請求項22に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項24】
R5がヒドロキシを表す、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項25】
nが整数0を表す、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項26】
部分
【化9】

が、以下の可能性:
【化10】

の一つを表す、請求項1、5〜19及び24〜25のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項27】
XがCH、N、又はN+-O-を表し;

Wがパラ置換フェニル又はパラ置換ピリジニルを表し;

Vが-A-CH2CH2-B-若しくは-O-CH2-Q-を表し、ここでQは式(I)のU基に結合し、又はVが式:
【化11】

のピロリジニルを表し;

Uが三置換フェニルを表し、ここで置換基は、C1-7-アルキル及びハロゲンからなる群から独立して選択され;

Qがイソオキサゾリルを表し;

A及びBの両方が-O-を表し;

R1がシクロプロピルを表し;

R2がハロゲン又はC1-7-アルキルを表し;

R3が水素又はC1-7-アルキルを表し;

R4がC1-7-アルキル-O-(CH2)0-4-CH2-を表し;

R5がヒドロキシを表し;

nが整数0を表し;

mが整数1を表す、

請求項1に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項28】
式(I)の化合物の絶対配置が、式(I'):
【化12】

に表される通りである、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物、又はその塩。
【請求項29】
(3S*, 4R*)-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジメチル-ベンジル)-アミドである、請求項1に記載の化合物、又はその塩。
【請求項30】
(3S, 4R)-4-{4-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-フェニル}-4-ヒドロキシ-ピペリジン-3-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イルメトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[(R)-3-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-ピロリジン-1-イル]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[2-クロロ-5-(2-メトキシ-エチル)-ベンジル]-シクロプロピル-アミド、
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミド、及び
(3'S, 4'R)-6-[2-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェノキシ)-エトキシ]-4'-ヒドロキシ-1',2',3',4',5',6'-ヘキサヒドロ-[3,4']ビピリジニル-3'-カルボン酸[5-クロロ-2-(3-メトキシ-プロピル)-1-オキシ-ピリジン-4-イルメチル]-シクロプロピル-アミド:
から選択される、請求項1に記載の化合物、又はそれらの化合物の塩。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体材料を含有する医薬組成物。
【請求項32】
医薬として使用するための、請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
高血圧症、鬱血性心不全、肺高血圧症、腎機能障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心臓線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、糖尿病に起因する合併症、例えば腎症、脈管障害及び神経障害、緑内障、眼圧の上昇、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管又は心臓手術後の合併症、勃起不全、高アルデステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知疾患、免疫抑制剤による治療の合併症、並びにレニン−アンジオテンシン系に関連した他の疾病から選択される疾病の治療及び/又は予防用の医薬組成物の製造のための、請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。

【公表番号】特表2009−529033(P2009−529033A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557879(P2008−557879)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050758
【国際公開番号】WO2007/102127
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】