説明

新規化合物カプラゼンとカプラゼン誘導体、ならびに新規化合物カプラゾールとカプラゾール誘導体

カプラザマイシンの加水分解によりカプラゼンとカプラゾールを合成できた。カプラゼンから式(II)


のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体と、式(III)


のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体が合成できた。また、カプラゾールから式(V)


のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体と、カプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体と、カプラゾール−3’’’−エステル誘導体などが合成された。さらに、カプラゾールの1,4−ジアゼピノン環の開環生成物からイミダゾリジノン誘導体が合成できた。
今回合成された新規カプラゼン誘導体と新規カプラゾール誘導体と新規イミダゾリジノン誘導体は、抗酸菌を含めて各種の細菌にすぐれた抗菌活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、抗生物質カプラザマイシンA、B、C、D、E、Fおよび(または)Gを酸の水溶液中で酸加水分解して生成される新規な化合物、カプラゼン(caprazene)に関し、またカプラザマイシンを無機塩基の水溶液中で加水分解して生成される新規な化合物、カプラゾール(caprazol)に関する。カプラゼンおよびカプラゾールは、抗菌活性をもたないが、それぞれ後記の立体構造式(I)および式(IV)で示される化合物であり、カプラゼンまたはカプラゾールから各種の抗菌性アミド誘導体またはエステル誘導体を合成するのに有用である中間体化合物であり、また、細菌の細胞壁生合成に関与する酵素MraYに対して阻害活性を有する酵素阻害剤としても有用である。
更に、本発明は、カプラザマイシンを加水分解することから成るカプラゼンの製造方法およびカプラゾールの製造方法を包含する。また、本発明は、各種の細菌に対して抗菌活性をもつ新規な各種のカプラゼンアミド誘導体またはカプラゼンエステル誘導体およびカプラゾールアミド誘導体またはカプラゾールエステル誘導体にも関する。本発明による抗菌性のカプラゼン誘導体およびカプラゾール誘導体は、結核の治療や非定型抗酸菌による感染症、すなわちMycobacteriumAviumComplex(MAC)症およびその他の細菌感染症などの治療に有効であると期待される。
更に、本発明は、カプラゾールから幾つかの反応工程を経て合成できる抗菌活性を有する式(VIII)の各種の新規なイミダゾリジノン誘導体(コード名:CP−IM)も包含する。
また、本発明は前記のカプラゼン誘導体またはカプラゾール誘導体またはイミダゾリジノン誘導体を有効成分とする医薬組成物にも関する。
また、本発明は、カプラゾールをメチルアミンで処理してカプラゾールのジアゼピン環を開環することにより生成され且つ前記のイミダゾリジノン誘導体CP−IMの合成用に中間体原料として利用できる式(IX)の新規なウリジン誘導体を包含する。
【背景技術】
細菌感染症の化学療法、特に抗酸菌の感染症の化学療法において、リファンピシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、バイオマイシン、カプレオマイシン、サイクロセリン等の抗生物質が抗菌剤として使用されている。
細菌感染症の化学療法において、感染症の原因となる細菌が薬剤耐性になることは重大な問題である。特に抗酸菌の感染症の化学療法において用いられるリファンピシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、バイオマイシン、カプレオマイシン、サイクロセリン等に対して、耐性を有する抗酸菌が出現して社会的問題となっている。従って、薬剤耐性の抗酸菌の感染症の治療に有効な新しい化学療法剤が強く望まれている。また、化学療法が確立していない非定型抗酸菌の感染症の治療に有効な新しい化学療法剤も強く望まれている。
そのため、従来使用されている既知の抗菌性抗生物質とは異なり、新規な化学構造を有し且つ高い抗菌作用などの優れた性質を示す新規な合成化合物および新規な抗生物質の発見または創製をすることが強く望まれている。本発明者らは、上記の要望に応え得る優れた抗菌活性を持つ新規な抗生物質を提供することを目的として種々の研究を行ってきた。
先に、ストレプトミセス・エスピーMK730−62F2株(ブダペスト条約下にFERM BP−7218の受託番号で寄託)により生産されるところの、抗酸菌に対し強い抗菌力を示す抗生物質、カプラザマイシンA、B、C、EおよびFが提供された〔国際公開WO 01/12643A1号パンフレット、ならびに欧州特許公開EP 1 211 259A1公報、参照〕。
カプラザマイシンA、B、C、EおよびFは、次の一般式(A)

〔式中、RはカプラザマイシンAではトリデシル基であり、カプラザマイシンBでは11−メチル−ドデシル基であり、カプラザマイシンCではドデシル基であり、カプラザマイシンEではウンデシル基であり、そしてカプラザマイシンFでは9−メチル−デシル基である〕で示される化合物である。
また、ストレプトミセス・エスピーMK730−62F2株(FERM BP−7218)により生産されるカプラザマイシンD、G、D1およびG1が提供された(2002年12月20日出願のPCT出願PCT/JP02/13386号明細書、参照)。
カプラザマイシンDおよびカプラザマイシンGは、次の一般式(B)

〔式中、RはカプラザマイシンDでは10−メチル−ウンデシル基−(CHCH(CHであり、カプラザマイシンGではRは9−メチル−ウンデシル基−(CHCH(CH)CHCHである〕で示される化合物である。
カプラザマイシンD1およびカプラザマイシンG1は、次の一般式(C)

〔式中、RはカプラザマイシンD1では10−メチル−ウンデシル基−(CHCH(CHであり、カプラザマイシンG1ではRは9−メチル−ウンデシル基−(CHCH(CH)CHCHである〕で示される化合物である。
また、ストレプトミセス・グリセオスポレウスSN−1051M(FERM BP−5800)により生産される抗生物質リポシドマイシン(liposidomycin)A、BおよびCが知られる(特開昭61−282088号公報、参照)。
リポシドマイシンA、BおよびCは次の一般式(D)

〔式中、RはリポシドマイシンAでは4,7−トリデカジエニル基−(CH−CH=CH−CH−CH=CH−(CH−CHであり、リポシドマイシンBでは9−メチル−デシル基−(CH−CH(CHであり、リポシドマイシンCではウンデシル基−(CH10−CHである〕で示される化合物である。
さらに、リポシドマイシンG、H、K、L、M、NおよびZならびにその他のリポシドマイシン類縁体が知られる(PCT国際公開WO97/41248号パンフレット、および欧州特許出願公開EP 1 001 035A1公報、参照)。
さらに、リポシドマイシンX−(III)、Y−(III)、Z−(III)、C−(III)、V−(III)、A−(III)、G−(III)、M−(III)、K−(III)、N−(III)が知られ(EP 1 001 035A1公報参照)、これらは、次の一般式(E)

〔式中、RはWO 97/41248号パンフレットまたはEP 1 001 035A1公報の第1表に示される長鎖のアルキル基である〕で表される化合物である。
また、リポシドマイシンA、BおよびCの化学構造の解明の研究が報告された(The Journal of Organic Chemistry,57巻24号6392〜6403頁(1992)、参照)。このJ.O.C.の6397〜6399頁には、リポシドマイシンBおよびCの混合物をNaOH希薄水溶液中で37℃でアルカリ性加水分解することによって生成された次の平面式(F)

の化合物10(分子量557のアンヒドロデアシルリポシドマイシンと記載される)、および次の平面式(G)

の化合物11(分子量637のアンヒドロデアシルリポシドマイシンと記載される)、ならびにリポシドマイシンBおよびCの混合物をLiBHで還元的脱アシル化して生成される次の平面式(H)

の化合物12が記載され、またこれら3つの化合物の13C−NMRデータ(表III)およびH−NMRデータ(表IV)も共に記載されてあるが、これら3つの化合物の立体構造は未知である。
前記したカプラザマイシンA〜Gは1つの共通な骨格構造を含有して、すぐれた抗菌活性を有する。しかし、カプラザマイシンA、B、C、D、E、FおよびGの間では、細菌の種類に応じて細菌に対する抗菌活性が相異なる。また、カプラザマイシン生産菌である前記のストレプトミセス・エスピーMK730−62F2株の培養によって得られた培養物からカプラザマイシン類を採取するに当っては、通常はカプラザマイシンA〜Gの混合物が先ず得られる。該混合物からカプラザマイシンA〜Gを別々に分離するために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の時間と手間のかかる操作を必要とする。
従って、カプラザマイシンA、B、C〜Gと同等の、またはよりすぐれた抗菌活性を保有しており、且つしかも効率的に製造できる新規な半合成抗生物質を、カプラザマイシンA〜Gの少なくとも2種の混合物またはカプラザマイシンA、BまたはCのそれぞれ単独を利用して合成することが要望された。また、カプラザマイシンA〜Gに共通する骨格構造を含有し且つ新規である半合成抗生物質を合成して提供することが要望された。
【発明の開示】
前記の要望に応えるために、本発明者らは種々研究を行った。先ず、本発明者らは、カプラザマイシンA〜Gの少なくとも1つ、好ましくはカプラザマイシンBを酸の水溶液、例えば50〜90%(重量)濃度の酢酸水溶液、あるいは硫酸または塩化水素希薄水溶液中で酸加水分解する実験を行った。その結果、得られた酸加水分解反応液中に次式(I)

〔式中、Meはメチル基を示す〕で示される化合物が生成することを見出し、この化合物を無色固体として単離することに成功した。上記の式(I)の化合物は、その分子中に5’−置換−ウリジン部分と5−アミノ−5−デオキシ−D−リボース部分と2重結合を1個有する1,4−ジアゼピノン部分を含有することが認められた。
この単離された化合物の物理化学的性質およびNMRデータを測定し、さらに該化合物の5’’−N−第3級ブトキシカルボニル化誘導体を作り且つ結晶化させ、その結晶を粉末X線回折法にかけることにより該化合物が上記の式(I)で示される立体的化学構造をもつことを決定した。
更に、該化合物の物理化学的性質、H−NMRデータおよび13C−NMRデータを綜合的に考えて、該化合物が新規物質であると判断して、カプラゼン(Caprazene)と命名した。
なお、前記の文献The Journal of Organic Chemistry,57巻24号6397〜6399頁および6402頁に平面式で記載される立体構造が未知の化合物10の13C−NMRデータ(表III)およびH−NMRデータ(表IV)の数値に比べると、その数値の一部で、必ずしも本発明の式(I)のカプラゼンの13C−NMRデータおよびH−NMRデータ(後記の実施例1の表15、参照)は一致していない。よって、本発明者らが収得したカプラゼンは前記の化合物10とは立体構造の一部の点で相違するところの新規物質であると本発明者は最終的に結論した。
さらに、本発明者らは、前記の式(I)のカプラゼンの遊離アミノ基に、糖化学でアミノ保護基として常用されるアルコキシカルボニル基、例えば第3級ブトキシカルボニル基(通例、Bocと略記される)、あるいはアラルキルオキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル基を導入することによって、カプラゼンの5’’−アミノ保護誘導体を合成することにも成功した。
従って、第1の本発明においては、次式(I)

〔式中、Meはメチル基を示す〕で示される化合物であるカプラゼン、およびこれの5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニル誘導体が提供される。
また、第2の本発明においては、カプラザマイシンA、B、C、D、E、FまたはG、もしくはカプラザマイシンA〜Gの少なくとも2つの混合物を、酸の水溶液中で室温または加熱下に加水分解することから成る、次式(I)

〔式中、Meはメチル基を示す〕で示される化合物であるカプラゼンの製造方法が提供される。
第2の本発明方法において、カプラザマイシンA〜Gの少なくとも1つを、酸の酸性水溶液中、例えば酢酸水溶液または硫酸水溶液または塩化水素水溶液中で加水分解するのが好ましい。
カプラザマイシンの酸加水分解に用いる酸水溶液は、有機酸、例えば酢酸またはn−プロピオン酸、あるいは無機酸、例えば塩酸または硫酸の水溶液であることができる。酢酸を50〜90%(重量)の濃度で含む酢酸水溶液を用いるか、あるいは塩化水素(HCl)を3重量%以下の濃度で含む希薄な塩酸水溶液を用いるのが好ましい。カプラザマイシンの酸加水分解反応は室温で行い得るが、40〜100℃に上昇された反応温度でも行い得る。
カプラザマイシンの加水分解反応の終了後に、得られた反応液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液にアセトンを加え、生じた沈殿をろ取し、得られた固体をアセトンで洗浄および乾燥すると、無色固体として式(I)のカプラゼンを回収できる。この固体状カプラゼンは、水−アセトン混液に溶解してから結晶を晶出させることができる。カプラゼンの物理化学的性質は後記の実施例1に示される。
更に、本発明者らは研究を進めた。すなわち、カプラゼンを水−ジオキサン(2:1)の混液に懸濁させ、得られた懸濁液にトリエチルアミンを加えると、カプラゼンの均一な溶液が得られることを認めた。この均一な溶液中でカプラゼンに次式(X)

で示される二炭酸ジ−t−ブチルまたはN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)コハク酸イミドを反応させると、カプラゼンの5−アミノ−5−デオキシ−D−リボース部分の5−アミノ基がt−ブトキシカルボニル化またはベンジルオキシカルボニル化されて、5’’−N−t−ブトキシカルボニルカプラゼンまたは5’’−N−ベンジルオキシカルボニルカプラゼンを収得できることが認められた。
5’’−N−t−ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルカプラゼンをテトラヒドロフラン(THF)に懸濁し、得られた懸濁液にトリエチルアミンならびにカルボキシル基の活性化剤としてのN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを加えると、均一な反応混合物が形成され、これに次の一般式(XI)

〔式中、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であるか、あるいはRは、炭素数1〜14の直鎖状のアルキル基または炭素数1〜9の直鎖状のアルコキシ基または炭素数5〜12のシクロアルキル基をパラ位にもつフエニル基である〕で示されるアミン化合物を加えて反応させると、カプラゼンの2’’’位のカルボキシル基が式(XI)のアミン化合物でアミド化でき、それによって次の一般式(IIa)

〔式中、Meはメチル基を示し、Rは前記の式(XI)におけるRと同じ意味をもち、Aはアミノ保護基としてのt−ブトキシカルボニル基(Bocと略記されることもある)またはベンジルオキシカルボニル基(Zと略記されることもある)を示す〕で表される5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体を生成できる。なお、前記のt−ブトキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基に代えて、糖化学でアミノ保護基として常用される一般のアルコキシカルボニル基またはアラルキルオキシカルボニル基を用いて、式(I)のカプラゼンの5’’−アミノ基を保護できることが認められた。
前記の式(IIa)の5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体を、糖化学で慣用されるアミノ保護基脱離法、例えばBoc基の脱離のためにはメタノール中トリフルオロ酢酸で加水分解する方法にかけると、あるいはZ基の脱離のためには加水素分解方法にかけると、式(IIa)のアミド誘導体から5’’−N−Boc基または5’’−N−Z基を脱離することができ、これによって次の一般式(IIb)

〔式中、MeとRは前記と同じ意味をもつ〕で示されるカプラゼン−1’’’−アミド誘導体が生成できる。一般式(IIb)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体は、これをトリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸またはリン酸と反応させると、得られた式(IIb)のアミド誘導体の酸付加塩は、水に可溶性である。
さらに、上記の一般式(IIb)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体およびその5’’−N−Bocまたは5’’−N−Z−保護誘導体、すなわち一般式(IIb)の5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体は、結核菌を含めて各種の細菌に対して抗菌活性を有することが本発明者らによって見出された。
従って、第3の本発明においては、次の一般式(II)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であるか、あるいはRは、炭素数1〜14の直鎖状のアルキル基または炭素数1〜9の直鎖状のアルコキシ基または炭素数5〜12のシクロアルキル基をパラ位にもつフエニル基であり、Aは水素原子であるか、あるいはAはアミノ保護基としてのアルコキシカルボニ基、特に第3級ブトキシカルボニル基、もしくはアラルキルオキシカルボニル基、特にベンジルオキシカルボニル基である]で示される、カプラゼン−1’’’−アミド誘導体およびこれの5’’−Nアルコキシカルボニルまたはアラルキルオキシカルボニル誘導体、あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩が提供される。
一般式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体には、Aが水素原子であり且つRが前記のとおりアルキル基、アルケニル基またはシクロアルキル基である場合のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体(i)と、Aが水素原子であり且つRが前記のとおりのアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルキル基をパラ位にもつフエニル基である場合のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体(ii)とが包含される。
式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体において、Rである炭素数5〜21の直鎖状アルキル基は、下記の表1に例示されたアルキル基であることができる。

また、Rである炭素数5〜21の実質的に直鎖状のアルキル基とは、直鎖状アルキル基の鎖上にまたは鎖の末端炭素原子に1個〜3個のメチル基、エチル基またはn−プロピル基が置換されてある(C〜C21)アルキル基であることができ、例えば9−メチル−ウンデシル基−(CHCH(CH)CHCHまたは10−メチル−ウンデシル基−(CHCH(CHを包含する。
また、Rである炭素数5〜21の直鎖状アルケニル基は、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基またはイコセニル基であることができ、2重結合はアルケニル鎖の中間にあってもよく、またα−炭素またはω−炭素原子上にあってもよい。
である炭素数5〜12のシクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基またはシクロドデシル基であることができ、そのシクロアルカン環の上に1〜3個のメチル基またはエチル基が置換されてあってもよい。
なお、Rで示されるところの、アルキル基、アルコキシ基またはシクロアルキル基をパラ位にもつフエニル基の具体例は、後記の表2−2のRの欄に示される。
第3の本発明による一般式(II)で示される5’’−N−非保護−カプラゼン−1’’’−アミド誘導体に包含される次式(IIb)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の具体例を、その比旋光度と共に次の表2−1及び表2−2に示す。



第3の本発明による一般式(II)で示される5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体に包含される次式(IIa)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の具体例を、その比旋光度と共に次の表3に示す。

試験例1
各種の微生物に対する式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の最低発育阻止濃度(mcg/ml)を、日本化学療法学会標準法に基づき、寒天培地上で倍数希釈法により測定した。但しマイコバクテリウム・スメグマチス(抗酸菌の一つ)の培養には、1%グリセリン添加寒天培地を用いた(以下、同様)。その結果を次の表4−1および表4−2に示す。


第3の本発明による式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の製造法を、次に説明する。
式(I)のカプラゼンを水−ジオキサン混液に懸濁し、その懸濁液にトリエチルアミンを加えてカプラゼンの均一溶液を作る。このカプラゼン溶液に対して、有機化学で周知のアミノ基保護技法に準じて慣用されるアルコキシカルボニル化試薬またはアラルキルオキシカルボニル化試薬を加えて室温で反応させる。得られた反応液中には5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゼンが生成される。この反応液を濃縮し、得られた固体残渣を酢酸エチルで洗浄し且つ乾燥すると、これにより所望の5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゼンを固体として収得できる。
次に、5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゼンをピリジンに溶解して溶液とするか、もしくはテトラヒドロフラン(THF)に懸濁してその懸濁液にトリエチルアミンを加える。5’’−N−保護カプラゼンのピリジン溶液もしくはTHF中懸濁液中で5’’−N−保護カプラゼンの2’’’位のカルボキシル基に対して、前記の式(XI)のアミン化合物R−NHを通常のカルボン酸アミド化方法に準じて反応させる。このためのアミド化反応はカルボキシル基の活性化剤としてN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを添加した後に室温で行うのが便利である。
得られたアミド化反応溶液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液をクロロホルムで抽出し、得られたクロロホルム抽出溶液を水洗且つ濃縮すると、所望の5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体を含む残渣が得られる。この残渣をクロロホルムに溶解し、その溶液をクロロホルム−メタノール(10:1)混合溶媒で展開されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけることによって精製する。シリカゲルカラムから出る目的物を含む溶出液画分を集めて濃縮すると、一般式(II)で表される5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体が固体として収得できる。
更に、得られた5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体を、通例のアミノ保護基脱離方法によって処理すると、5’’−N−保護基を脱離でき、これによって一般式(II)で表される5’’−N−非保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体が生成される。前記のようにアミノ保護基としてのBoc基の脱離のためには、5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体を、80%トリフルオロ酢酸(TFA)を含むメタノール中に溶解し、得られた溶液を室温で攪拌するのが便利である。得られたアミノ保護基脱離反応液を濃縮し、シロップ状濃縮液にジエチルエーテルを加えると、沈殿が生じる。沈殿をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥すると、2トリフルオロ酢酸塩の形の一般式(II)で表される5’’−N−非保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体が固体として収得できる。
更に別途の研究を本発明者らは行った。すなわち、前記の一般式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の合成に当って作った5’’−N−保護カプラゼンを、ピリジンに溶解し、このピリジン溶液中で5’’−N−保護カプラゼンに対して、添加されたN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(カルボキシル基の活性化剤)の存在下に次の一般式(XII)

〔式中、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基である〕で示されるアルコールを室温で反応させた。この反応によって、5’’−N−保護カプラゼンの2’’’位カルボキシル基は式(XII)のアルコールでエステル化されて、次の一般式(IIIa)

〔式中、Rは前記と同じ意味をもち、Aはアミノ保護基である〕で示される5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体が生成される。
生成された5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体を含む得られた反応液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液をクロロホルムで抽出し、そのクロロホルム抽出液を水洗および濃縮する。得られた残渣をクロロホルムに溶解してそのクロロホルム溶液を、クロロホルム−メタノール(10:1)混合溶媒で展開されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて精製する。カラムからの目的物を含む溶出液画分を濃縮すると、式(IIIa)の5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体が固体として収得できる。式(IIIa)の5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体は、細菌に対して抗菌活性を有することが見出された。
式(IIIa)の5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体を、前述したのと同様なアミノ保護基脱離法で処理すると、5’’−N−保護基(A)が脱離でき、これによって次の一般式(IIIb)

〔式中、Rは前記と同じ意味をもつ〕で示されるカプラゼン−1’’’−エステル誘導体が生成される。式(IIIb)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体も、細菌に対して抗菌活性を有することが見出された。
従って、第4の本発明においては、次の一般式(III)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基であり、Aは水素原子であるか、あるいはアミノ保護基としてのアルコキシカルボニル基、特に第3級ブトキシカルボニル基、もしくはアラルキルオキシカルボニル基、特にベンジルオキシカルボニル基である〕で示される、カプラゼン−1’’’−エステル誘導体およびこれらの5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニル誘導体、あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩が提供される。
一般式(III)で示される5’’−N−非保護または保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体において、Rである炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基およびアルケニル基は、それぞれに、一般式(II)で示されるカプラゼン−1’’’−アミド誘導体におけるRであるアルキル基およびアルケニル基と同じであることができる。Rである炭素数5〜21のアルキニル基は、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、などであることができる。
第4の本発明による一般式(III)で示される5’’−N−非保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体に包含される次式(IIIb)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体の具体例を、その化合物コード名と比旋光度と共に次の表5に示す。

試験例2
各種の微生物に対する式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体の若干例の最低発育阻止濃度(mcg/ml)を、日本化学療法学会標準法に基づき、寒天培地上で倍数希釈法により測定した。その結果を次の表6に示す。

第4の本発明による式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体の製造法を、次に説明する。
先ず、第3の本発明で前記に説明したとおり、5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゼンを調製する。次に、5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゼンをピリジンに溶解し、そのピリジン溶液中で5’’−N−保護カプラゼンの2’’’位のカルボキシル基に対して、前記の式(XII)のアルコール化合物を通常のカルボン酸エステル化方法に準じて反応させる。このエステル化反応は、添加されたN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドの存在下に室温で行うのが便利である。
得られたエステル化反応液を、濃縮し、得られた濃縮液をクロロホルムで抽出し、そのクロロホルム抽出液を水洗、濃縮すると、所望の5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体を含む残渣が得られる。この残基をクロロホルムに溶解し、クロロホルム−メタノール混合溶媒で展開されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけることによって精製する。シリカゲルクロマトグラフィーからの目的物を含む溶出液画分を集めて濃縮すると、式(IIIa)で表される5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体が固体として収得できる。
この5’’−N−保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体を、通例のアミノ保護基脱離方法によって処理すると、5’’−N−アミノ保護基を脱離でき、これによって一般式(IIIb)で表される5’’−N−非保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体が生成される。5’’−N−保護基がBoc基である場合、80%TFAを含むメタノール中に溶解し、その溶液を室温で攪拌することによって、Boc基を脱離するのが便利である。その反応液を濃縮し、濃縮液にジエチルエーテルを加え、得られた沈殿をろ取し、その沈殿固体をジエチルエーテルで洗浄、乾燥すると、一般式(IIIb)で表される5’’−N−非保護カプラゼン−1’’’−エステル誘導体を固体として収得できる。
また、本発明者らは、カプラザマイシンA、BまたはCのN,N−ジメチルホルムアミド溶液に無機塩基の水溶液、例えばアンモニア水溶液または水酸化ナトリウム希薄水溶液を加えて、室温でカプラザマイシンのアルカリ性加水分解にかける実験を行った。その結果、カプラザマイシンA、BまたはCのアルカリ性加水分解によって、次式(IV)

〔式中、Meはメチル基である〕で示される化合物が生成されることを見出し、これを無色固体として単離することに成功した。この固体を水−メタノール混液から結晶化すると、該化合物の無色結晶〔融点205〜206℃(分解)〕が収得できた。
この単離された式(IV)の化合物の物理化学的性質およびNMRデータを測定し、さらに該化合物の結晶を粉末X線回折法にかけることにより該化合物が上記の式(IV)で示される立体的化学構造をもつことを決定した。
更に、該化合物の物理化学的性質、H−NMRデータおよび13C−NMRデータを綜合的に考えて、該化合物が新規物質であると判断して、カプラゾール(Caprazol)と命名した。
なお、前記の文献The Journal of Organic Chemistry,57巻24号6397〜6399頁および6402頁に平面式で記載されて立体構造が未知である硫酸基−SOH含有の化合物11および12の13C−NMRデータ(表III)およびH−NMRデータ(表IV)の数値に比べると、その数値の一部で、必ずしも本発明の式(IV)のカプラゾールの13C−NMRデータおよびH−NMRデータ(後記の実施例5の表18、参照)は一致していない。よって、本発明者らが収得したカプラゾールは前記の化合物11および12とは立体構造の一部の点、また硫酸基の有無の点で相違するところの新規物質であると本発明者は結論した。
従って、第5の本発明においては、次式(IV)

〔式中、Meはメチル基である〕で示される化合物であるカプラゾール、およびこれの5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニル誘導体が提供される。
さらに、第6の本発明においては、カプラザマイシンA、B、C、D、E、FまたはG、もしくはカプラザマイシンA〜Gの少なくとも2つの混合物を、無機塩基の水溶液中で室温または加熱下に加水分解にかけることから成る、次式(IV)

で示されるカプラゾールの製造方法が提供される。
第6の本発明方法では、カプラザマイシンA〜Gの少なくとも1つを、アンモニア(NH)を15〜30重量%で含むアンモニア水溶液中で約40℃またはこれ以下の温度で加水分解するのが好ましい。
また、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム希薄水溶液を用いるカプラザマイシンのアルカリ加水分解反応は室温で行い得るが、40〜80℃に上昇された反応温度でも行い得る。
カプラザマイシンのアルカリ加水分解反応の終了後に、得られた反応液から不溶物をろ別し、得られたろ液を濃縮し、得られた固体残渣をアセトンで洗浄および乾燥すると、無色固体として式(IV)のカプラゾールを回収できる。この固体状カプラゾールは、水−メタノール混液に溶解してから結晶を晶出させることができる。カプラゾールの物理化学的性質は後記の実施例5に示される。
更に、本発明者らは研究を進めた。すなわち、カプラゾールをジオキサン−水溶液に溶解して、その水溶液中でカプラゾールにトリエチルアミンと二炭酸ジ−t−ブチルまたはN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)コハク酸イミドを反応させると、カプラゾールの5−アミノ−5−デオキシ−D−リボース部分の5−アミノ基がt−ブトキシカルボニル化またはベンジルオキシカルボニル化されて、5’’−N−t−ブトキシカルボニルカプラゾールまたは5’’−N−ベンジルオキシカルボニルカプラゾールを収得できることが認められた。
さらに、本発明者らは、一般的には、式(IV)のカプラゾールの5’’位の遊離アミノ基に、糖化学でアミノ保護基として常用されるアルコキシカルボニル基、例えば第3級ブトキシカルボニル基(通例、Bocと略記される)、あるいはアラルキルオキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル基を導入することによって、カプラゾールの5’’−N−保護誘導体を合成することにも成功した。
5’’−N−t−ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルカプラゾールをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、得られた溶液にトリエチルアミンを加え、さらにN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを加えて該クロリドの存在下に次の一般式(XIII)

〔式中、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基である]で示されるアミン化合物を反応させると、カプラゾールの2’’’位のカルボキシル基が式(XIII)のアミン化合物でアミド化でき、それによって次の一般式(Va)

〔式中、Meはメチル基を示し、Rは前記の式(XIII)におけるRと同じ意味をもち、Aはアミノ保護基としてのt−ブトキシカルボニル基(Bocと略記されることもある)またはベンジルオキシカルボニル基(Zと略記されることもある)を示す〕で表される5’’−N−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体を生成できる。なお、前記のt−ブトキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基に代えて、糖化学でアミノ保護基として常用される一般のアルコキシカルボニル基またはアラルキルオキシカルボニル基を用いて、式(IV)のカプラゾールの5’’−アミノ基を保護できることが認められた。
前記の式(Va)の5’’−N−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体がアミノ保護基としてBoc基を含む場合には、糖化学で慣用されるアミノ保護基脱離法、例えばメタノール中トリフルオロ酢酸で加水分解する方法にかけると、式(Va)のアミド誘導体から5’’−N−Boc基を脱離することができ、これによって次の一般式(Vb)

〔式中、MeとRは前記と同じ意味をもつ〕で示されるカプラゾール−1’’’−アミド誘導体が生成できる。一般式(Vb)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体は、これをトリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸またはリン酸と反応させると、得られた式(Vb)のアミド誘導体の酸付加塩は、水に可溶性である。
さらに、上記の一般式(Vb)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体およびその5’’−N−Bocまたは5’’−N−Z−保護誘導体、すなわち一般式(Va)の5’’−N−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体は、結核菌を含めて各種の細菌に対して抗菌活性を有することが本発明者らによって見出された。
従って、第7の本発明においては、次の一般式(V)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であり、Aは水素原子であるか、あるいはアミノ保護基としてのアルコキシカルボニル基、特に第3級ブトキシカルボニル基、もしくはアラルキルオキシカルボニル基、特にベンジルオキシカルボニル基である〕で示されるカプラゾール−1’’’−アミド誘導体およびこれの5’’−N−アルコキシカルボニルまたはアラルキルオキシカルボニル誘導体、あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩が提供される。
第7の本発明による一般式(V)の5’’−N−非保護または保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体において、Rであるアルキル基、アルケニル基およびシクロアルキル基は、それぞれに、第3の本発明による一般式(II)の5’’−N−非保護または保護カプラゼン−1’’’−アミド誘導体におけるRとしてのアルキル基、アルケニル基およびシクロアルキル基と同じであることができる。
第7の本発明による一般式(V)で示される5’’−N−非保護または保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体に包含される次式(Vb)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体の具体例を、その化合物コード名と比旋光度と共に次の表7に示す。

試験例3
各種の微生物に対する式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体の若干例の最低発育阻止濃度(mcg/ml)を、日本化学療法学会標準法に基づき、寒天培地上で倍数希釈法により測定した。その結果を次の表8に示す。

第7の本発明による式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体の製造法を、次に説明する。
式(IV)のカプラゾールを水に溶かし、このカプラゾール水溶液中でカプラゾールに対して、有機化学で周知のアミノ基保護技法に準じて慣用されるアルコキシカルボニル化試薬またはアラルキルオキシカルボニル化試薬を必要に応じてジオキサンなどの有機溶媒に溶解してトリエチルアミンと共に加えて、室温で反応させる。得られた反応液中には5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゾールが生成される。この反応液にアンモニア水溶液を加え、次いで減圧下に濃縮し、得られた固体残渣を減圧下に乾燥すると、これにより所望の5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゾールが固体として収得できる。
次に、5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニルカプラゾールを、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、その溶液にトリエチルアミンを加え、これにより5’’−N−保護カプラゾールの均一溶液を作る。この溶液中の5’’−N−保護カプラゾールの2’’’位のカルボキシル基に対して、前記の式(XIII)のアミン化合物R−NHを通常のカルボン酸アミド化方法に準じて反応させる。このためのアミド化反応は、添加されたN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドの存在下に室温で行うのが便利である。
得られたアミド化反応液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液をクロロホルムで抽出し、得られたクロロホルム抽出溶液を水洗、乾燥および濃縮乾固すると、所望の5’’−N−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体を含む固体残渣が得られる。この残渣をクロロホルムに溶解し、その溶液をクロロホルム−メタノール−濃アンモニア水(4:1:0.1)混合溶媒で展開されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけることによって精製する。シリカゲルカラムから出る溶出液の活性画分を集めて濃縮すると、一般式(V)で表される5’’−N−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体が固体として収得できる。
更に、得られた5’’−N−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体を、通例のアミノ保護基脱離方法によって処理すると、5’’−アミノ保護基を脱離でき、これによって一般式(V)で表される5’’−N−非保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体が生成される。前記のように5’’−アミノ保護基Bocの脱離のためには、5’’−N−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体を、80%トリフルオロ酢酸(TFA)を含むメタノール中に溶解し、得られた溶液を室温で攪拌するのが便利である。得られたアミノ保護基脱離反応液を濃縮し、シロップ状濃縮液にジエチルエーテルを加えると、沈殿が生じる。沈殿をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥すると、2トリフルオロ酢酸塩の形の一般式(V)で表される5’’−N−非保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体が固体として収得できる。
更に、本発明者らは別途の研究を行った。すなわち、第7の本発明による前記一般式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体の合成に当って作った5’’−N−t−ブトキシカルボニルカプラゾールを、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、その溶液に無水(±)10−カンファースルホン酸(酸触媒)を加え、さらにジメトキシメタンを加えて室温で反応させた。この反応によって、5’’−N−t−ブトキシカルボニルカプラゾールの2’位および3’位の水酸基ならびに2’’位および3’’位の水酸基がそれぞれに、イソプロピリデン基(=C(CH;公知のヒドロキシル保護基)で保護され、そして次式(XIV)

で示される5’’−N−t−ブトキシカルボニル−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾールが生成できることが見出された(後記の実施例9(a)、参照)。式(XIV)のカプラゾール−N,O−保護誘導体を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、その溶液にトリエチルアミンを加え、更に前記の式(XIII)のアミン化合物R−NHを加え、さらに第7の本発明による一般式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体の製造におけると同様に、アミド化反応を室温で行うと、
次の一般式(XV)

〔式中、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基である〕で示される5’’−N−t−ブトキシカルボニル−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−アミド誘導体が生成できることが見出された(後記の実施例9(b)参照)。式(XV)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体を含むアミド化反応液を濃縮乾固し、得られた残渣をクロロホルムで抽出し、そのクロロホルム抽出溶液を水洗し、乾燥し濃縮乾固する。得られた固体残渣をクロロホルムに溶解し、さらにクロロホルム−メタノール(50:1)混合溶媒で展開されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけることによって精製し、シリカゲルカラムからの目的物を含む溶出液画分を濃縮すると、式(XV)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体を回収できる。
次いで、式(XV)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体をジクロロメタンに溶解し、その溶液に4−ジメチルアミノピリジンならびに次式(XVI)

〔式中、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基である〕で示されるカルボン酸クロリドを加えて氷冷下に反応を行う。これによって、式(XV)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−アミド誘導体の3’’’位の水酸基は式(XVI)の酸クロリドでアシル化され、次の一般式(XVII)

〔式中、RおよびRは前記と同じ意味をもつ〕で示される5’’−N−t−ブトキシカルボニル−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体が生成できる。
式(XVII)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体を含むアシル化反応液に少量のメタノールを加えて、残存の試薬を分解する。その後に、クロロホルムで希釈し、得られた溶液を重硫酸カリウム水溶液と水にて洗浄し、洗浄された溶液を乾燥および濃縮乾固する。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、その溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムで洗浄後にクロロホルム−メタノール(150:1)で展開)にかけることによって精製する。式(XVII)の誘導体を含む溶出液画分を濃縮すると、式(XVII)の誘導体を回収できる。
次いで、式(XVII)の誘導体をメタノール中でトリフルオロ酢酸で処理すると、5’’位のt−ブトキシカルボニル基および2個のイソプロピリデン基(=C(CH)が脱離でき、後記の一般式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体が生成できる。トリフルオロ酢酸による脱保護処理の反応液を、濃縮乾固し、その残渣をジエチルエーテルで洗浄すると、式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体のトリフルオロ酢酸塩を回収できる。式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体も、細菌に対して抗菌活性を有することが見出された。
従って、第8の本発明においては、次の一般式(VI)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基である〕で示されるカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体、あるいはこれの製薬学的に許容できる酸付加塩が提供される。
第8の本発明による一般式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体の若干の具体例を、その化合物コード名と比旋光度と共に次の表9に表す。

試験例4
各種の微生物に対する式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体の若干例の最低発育阻止濃度(mcg/ml)を、日本化学療法学会標準法に基づき、寒天培地上で倍数希釈法により測定した。その結果を次の表10に示す。

更に、本発明者らは別途の研究を行った。すなわち、前記で作った式(XIV)の5’’−N−t−ブトキシカルボニル−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾールを、ジクロロメタンに溶解し、その溶液に4−ジメチルアミノピリジンならびに次式(XVI)

〔式中、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基である〕で示されるカルボン酸クロリドを加えて氷冷下に反応を行う。これによって、式(XIV)のN,O−保護カプラゾールの3’’’位の水酸基は式(XVI)の酸クロリドでアシル化され、次の一般式(XVIII)

〔式中、Rは前記と同じ意味をもつ〕で示される5’’−N−t−ブトキシカルボニル−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−3’’’−エステル誘導体が生成できる。
式(XVIII)のN,O−保護カプラゾール−3’’’−エステル誘導体を含むアシル化反応液に少量のメタノールを加えて残存の試薬を分解する。その後に、クロロホルムで希釈し、得られた溶液を重硫酸カリウム水溶液と水にて洗浄し、洗浄された溶液を乾燥および濃縮乾固する。これによって、固体として式(XVIII)のN,O−保護−3’’’−エステル誘導体を回収できる。
次いで、式(XVIII)のN,O−保護−3’’’−エステル誘導体をメタノール中でトリフルオロ酢酸で処理すると、5’’位のt−ブトキシカルボニル基(Boc)および2個のイソプロピリデン基が脱離でき、次の一般式(XIX)

〔式中、Rは前記と同じ意味をもつ〕で示されるカプラゾール−3’’’−エステル誘導体が生成できる。一般式(XIX)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体を含有するところの、トリフルオロ酢酸による脱保護処理の反応液を、濃縮乾固し、その残渣をジエチルエーテルで洗浄すると、式(XIX)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体のトリフルオロ酢酸塩を回収できる。式(XIX)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体も、細菌に対して抗菌活性を有することが見出された。
また別に、前記の式(XIV)のN,O−保護カプラゾールをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、その溶液にトリエチルアミンおよびN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを加え、さらにエステル化剤として次式(XX)

〔式中、Rは炭素数1〜21のアルキル基である〕のアルカノールを加えて、室温で反応させる。これによって、式(XIV)のN,O−保護カプラゾールの2’’’位のカルボキシル基はエステル化されて、次の一般式(XXI)

で示される5’’−N−t−ブトキシカルボニル−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−エステル誘導体が生成できる。
ここで得られたエステル化反応液を濃縮乾固し、その残渣をクロロホルムで抽出する。そのクロロホルム抽出液を水洗、乾燥し、さらに濃縮乾固し、得られた残渣をクロロホルムに溶解し、その溶液を、クロロホルム−メタノール(50:1)で展開されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけることによって精製する。溶出液の所望画分を濃縮乾固すると、式(XXI)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−エステル誘導体を回収できる。
式(XXI)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−エステル誘導体をジクロロメタンに溶解し、その溶液に4−ジメチルアミノピリジンならびに次式(XVI)

〔式中、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基である〕で示されるカルボン酸クロリドを加えて氷冷下に反応を行う。これによって、式(XXI)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−エステル誘導体の3’’’位の水酸基は(XVI)の酸クロリドでアシル化され、次の一般式(XXII)

〔式中、RおよびRは前記と同じ意味をもつ〕で示される5’’−N−t−ブトキシカルボニル−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体が生成できる。
式(XXII)のN,O−保護カプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体を含むアシル化反応液に少量のメタノールを加えて残存の試薬を分解する。その後に、クロロホルムで希釈し、得られた溶液を重硫酸カリウム水溶液と水にて洗浄し、洗浄された溶液を乾燥および濃縮乾固する。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、その溶液を、前記と同様にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけることによって精製する。式(XXII)の1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体を含む溶出液画分を濃縮すると、式(XXII)の1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体を回収できる。
次いで、式(XXII)の1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体を脱保護のため、前記と同様にメタノール中でトリフルオロ酢酸で処理する。これによって5’’位のt−ブトキシカルボニル基および2個のイソプロピリデン基が脱離でき、次の一般式(XXIII)

〔式中、RおよびRは前記と同じ意味をもつ〕のカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体が生成できる。トリフルオロ酢酸による脱保護処理の反応液を、濃縮乾固し、その残渣をジエチルエーテルで洗浄すると、式(XXIII)のカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体のトリフルオロ酢酸塩を回収できる。式(XXIII)のカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体も、式(XIX)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体と同様に、細菌に対して抗菌活性を有することが見出された。
従って、第9の本発明においては、次の一般式(VII)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜21のアルキル基である〕で示されるカプラゾール−3’’’−エステル誘導体またはカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−アルキルエステル誘導体、あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩が提供される。
第9の本発明による一般式(VII)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体またはカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体の若干の具体例を、その化合物コード名と比旋光度と共に次の表11に表す。

試験例5
各種の微生物に対する式(VII)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体または1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体の若干例の最低発育阻止濃度(mcg/ml)を、日本化学療法学会標準法に基づき、寒天培地上で倍数希釈法により測定した。その結果を次の表12に示す。

更に、本発明者らは別途の研究を行った。すなわち、式(IV)のカプラゾール水溶液中でカプラゾールにメチルアミンで室温で長時間処理した。この処理反応によって、カプラゾールのジアゼピノン環部分が開環されて次式(IX)

のウリジン誘導体が生成できることが見出された。
カプラゾールとメチルアミンとの反応液を減圧下に濃縮し乾燥し、得られた残渣をクロロホルム−ジエチルエーテル混合溶媒で洗浄し、乾燥し、得られた固体を水に溶解する。その水溶液をアンバーライトCG−50(NH型)カラムに通して水で展開するクロマトグラフィーにかけることによって精製する。溶出液の目的物を含む所望画分を減圧下に濃縮、乾燥すると、式(IX)のウリジン誘導体の純品を収得できる。
また、前記した5’’−N−t−ブトキシカルボニルカプラゾールを、その水溶液中でメチルアミンで室温で長時間処理すると、その反応液中に式(IX)のウリジン誘導体の5’’−N−t−ブトキシカルボニル化生成物として、次式(IXa)

の化合物が生成できることが認められた。該反応液を減圧下に濃縮し乾燥すると、式(IXa)の化合物を回収できる。
式(IXa)の化合物をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、その溶液に次の一般式(XXIV)

〔式中、Rは炭素数1〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基である〕のアルキルイソシアネートの過剰量を加えて室温で反応させる。この反応によって、反応液中には、次の一般式(XXV)

〔式中、Rは前記と同じアルキル基である〕をもつと推定される構造の化合物が生成したと想定された。
式(IXa)の化合物と式(XXIV)のアルキルイソシアネートとの反応を室温で長時間行った後に、得られた反応液から沈殿が生ずるので、これをろ別し、残ったろ液を減圧濃縮する。得られた濃縮液をクロロホルムで抽出し、得られたクロロホルム抽出液を飽和硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥し、さらに減圧下に濃縮および乾燥する。得られた固体残渣をヘキサンで洗浄し乾燥すると、無色固体が得られた。この無色固体をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム−水−メタノール、9:1:0.1で展開)で精製し、さらに化学分析した。この固体は、推定式(XXV)の化合物が部分的に環化した生成物として得られる次の一般式(VIIIa)

〔式中、Rは前記と同じ意味をもつ〕で示されるイミダゾリジノン誘導体であると認められた。
式(VIIIa)のイミダゾリジノン誘導体からアミノ保護基(Boc)を脱離するために、式(VIIIa)の誘導体をメタノール中でトリフルオロ酢酸で処理する。その脱保護反応液を減圧下に濃縮乾固し、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し更に乾燥すると、後記の一般式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体のトリフルオロ酢酸塩が収得できた。この式(VIII)の誘導体にコード名としてCP−IMを与えた。式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体CP−IMも、細菌に対して抗菌活性を有することが認められた。
従って、第10の本発明においては、次の一般式(VIII)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数1〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基である〕で示されるイミダゾリジノン誘導体CP−IM、あるいはこれの製薬学的に許容できる酸付加塩が提供される。
第10の本発明による一般式(VIII)の誘導体の若干の具体例を、その化合物コード名と比旋光度と共に次の表13に表す。

試験例6
各種の微生物に対する式(VIII)の誘導体の若干例の最低発育阻止濃度(mcg/ml)を、日本化学療法学会標準法に基づき、寒天培地上で倍数希釈法により測定した。その結果を次の表14に示す。

なお、前記の式(IX)のウリジン誘導体と前記の式(IXa)の5’’−N−t−ブトキシカルボニル−ウリジン誘導体は、有意の抗菌活性をもたないが、前記の式(VIII)の誘導体の合成に用いるのに有用である新規な中間体化合物である。
従って、第11の本発明においては次式(IX)

〔式中、Meはメチル基である〕で示されるウリジン誘導体、またはこれの5’’−N−第3級ブトキシカルボニル誘導体が提供される。
第3の本発明による式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体、第4の本発明による式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体、第7の本発明による式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体、第8の本発明による式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体、第9の本発明による式(VII)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体またはカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体、あるいは第10の本発明による式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体CP−IM、あるいはそれら誘導体の酸付加塩は、前記のとおり各種の細菌に対して抗菌活性を有するものであり、これらの誘導体または酸付加塩の少なくとも1つを有効成分として用い且つ製薬学的に許容できる担体と配合して医薬組成物特に抗菌剤組成物の形にすることができる。製薬学的に許容できる常用の液状担体は、例えばエタノール、含水エタノール、水、生理食塩水であることができ、また固体担体は例えば結晶セルロース、でん粉等であることができる。
本発明による式(II)または式(III)のカプラゼン誘導体、式(V)または式(VI)または式(VII)のカプラゾール誘導体あるいは式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体、もしくはそれら誘導体の酸付加塩は、それぞれ単独でも、あるいはそれを有効成分とする医薬組成物の形でも、適当なルートで投与できる。
従って、本発明の別の要旨においては、前記したとおりの式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体、または式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体、または式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体、または式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体、または式(VII)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体またはカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体、あるいは式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体CP−IM、もしくはそれら誘導体の酸付加塩の少なくとも一つを、有効成分として含有し、しかも有効成分と共に製薬学的に許容できる液状または固体状担体を含有してなる医薬組成物が提供される。
発明の実施するための最良の形態
次に、第1の本発明による式(I)のカプラゼンを第2の本発明方法で製造する例を下記の実施例1について具体的に説明する。
【実施例1】
カプラザマイシンBからカプラゼンの合成

カプラザマイシンBの200mgを80%酢酸水溶液6mLに溶解し、得られた溶液を70℃にて2時間加熱した。反応液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液にアセトンを加えた。生じた沈殿をろ取し、アセトンによる沈殿の洗浄を行った後に、乾燥した。無色固体のカプラゼンの96.3mgを得た。収率99%。
融点 210〜211℃(分解)(水−アセトンより結晶化後)
比旋光度 [α]19 +85°(c 0.5,HO)
カプラゼンのH−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルを次の表15に示す。

【実施例2】
カプラザマイシンB、C、D、EおよびFの混合物からカプラゼンの合成
カプラザマイシンB〜F〔前記の一般式(A)および(B)参照〕の混合物の10.1gを80%酢酸水溶液250mLに溶解し、得られた溶液を70℃にて2時間加熱した。反応液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液にアセトンを加え、生じた沈殿をろ取した。この沈殿した固体をアセトンで洗浄した後に乾燥してカプラゼンの5.1gを得た。
次に、第3の本発明による式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の製造例を実施例3で具体的に説明する。
【実施例3】
(a)カプラゼンから5’’−N−Boc−カプラゼンの合成

式(I)のカプラゼンの8.14gを水−ジオキサン(2:1)の混合溶媒120mLに懸濁せしめた。ここにトリエチルアミン3.7mLを加えてカプラゼンの均一溶液を得た。この溶液に、二炭酸ジ−t−ブチル3.2gをジオキサン5mLに溶解した溶液を加え、次いで室温で1時間反応せしめた(アミノ保護基としてのt−ブトキシカルボニル基Bocの導入反応)。反応液を濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで洗浄し乾燥すると、5’’−N−Boc−カプラゼンの9.50gを淡黄色固体として得た。
粗収率99%。
H−NMRスペクトル(重水中、TMS内部標準)
δ 1.31(3H,s,MeCO−)
2.39(3H,slightly br.s,MeN−5’’’)
2.98(3H,s,MeN−8’’’)
5.13(1H,slightly br.s,H−1’’)
5.62(1H,slightly br.s,H−1’)
5.77(1H,d,H−5,J5,6=8Hz)
6.44(1H,t,H−3’’’,J=7Hz)
5.77(1H,d,H−6).
(b)5’’−N−Boc−カプラゼンからカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の合成

実施例3(a)で得た5’’−N−Boc−カプラゼンの150mgをテトラヒドロフラン6mLに懸濁せしめた。ここにトリエチルアミン80μLとN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド80mg、ならびに下記の表16に示す各種のアミン化合物R−NHを、あるいは各種のパラー置換アニリンを、それぞれ1.1〜1.3モル当量加えた。得られた混合物を室温で1時間攪拌し反応せしめた(アミド化反応)。

反応液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液をクロロホルムで抽出しそのクロロホルム抽出液を水洗後に濃縮した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、その溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系クロロホルム−メタノール=10:1)にて精製し、溶出液画分を集めて濃縮乾固した。前記の表2に示す化合物コード名の式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の5’’−N−Boc保護体をそれぞれ無色固体として得た。収量86〜128mg(カプラゼンから2工程での収率50〜60%)。
(c)カプラゼン−1’’’−アミド誘導体の合成

実施例3(b)で得られたカプラゼン−1’’’−アミド誘導体の5’’−N−Boc保護体の各々の50mgを、80%トリフルオロ酢酸のメタノール溶液1mLに溶解した。この溶液を室温で1時間反応せしめてアミノ保護基(Boc)の脱離を行った。この脱保護反応液を濃縮し、得られたシロップ状濃縮液にジエチルエーテルを加え、生じた沈殿をジエチルエーテルで洗浄し乾燥した。前記の表2−1に示された化合物II−A〜化合物II−R、もしくは前記の表2−2に示された化合物II−1〜化合物II−24である式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体がそれぞれ無色固体として得られた。収量54.5〜58.0mg(2トリフルオロ酢酸塩としての収率96〜99%)。
実施例3(c)で式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体として得られた化合物II−A〜化合物II−R(表2−1、参照)、あるいは化合物II−1〜化合物II−24(表2−2、参照)のH−NMRスペクトル(500MHz、重ジメチルスルホキシド中、TMS内部標準)を次に示す。
化合物II−A
δ 0.84(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),1.18〜1.25(6H,slightly br.s,CH(CHCHCHNH),2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.91(3H,s,NMe−8’’’),5.10(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=1.5Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.31(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.s,H−6),11.33(1H,s,NH−3).
化合物II−B
δ 0.84(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),1.16〜1.28(8H,br.s,CH(CHCHCHNH),2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.91(3H,s,NMe−8’’’),5.10(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜1Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.30(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.33(1H,s,NH−3).
化合物II−C
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),1.18〜1.28(10H,br.s,CH(CHCHCHNH),2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜1.5Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.s,H−6),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−D
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),1.18〜1.29(12H,br.s,CH(CHCHCHNH),2.34(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.08(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜1Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.68(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−E
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),1.18〜1.28(14H,br.s,CH(CHCHCHNH),2.34(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜1Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.28(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.68(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−F
δ 0.85(3H,t,CH(CH10NH,J=7Hz),1.18〜1.30(16H,br.s,CH(CHCHCHNH),2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.91(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜1Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−G
δ 0.85(3H,t,CH(CH11NH,J=7Hz),1.18〜1.29(18H,br.s,CH(CHCHCHNH),2.34(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.08(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.68(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−H
δ 0.86(3H,t,CH(CH12NH,J=7Hz),1.18〜1.30(20H,br.s,CH(CH10CHCHNH),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜1Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−I
δ 0.86(3H,t,CH(CH13NH,J=7Hz),1.18〜1.30(22H,br.s,CH(CH11CHCHNH),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,s,H−1’),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.68(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−J
δ 0.86(3H,t,CH(CH14NH,J=7Hz),1.18〜1.30(24H,br.s,CH(CH12CHCHNH),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,s,H−1’),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−K
δ 0.85(3H,t,CH(CH15NH,J=7Hz),1.18〜1.30(26H,br.s,CH(CH13CHCHNH),2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.91(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−L
δ 0.85(3H,t,CH(CH16NH,J=7Hz),1.18〜1.30(28H,br.s,CH(CH14CHCHNH),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,s,H−1’),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−M
δ 0.86(3H,t,CH(CH17NH,J=7Hz),1.18〜1.30(30H,br.s,CH(CH15CHCHNH),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,s,H−1’),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−N
δ 0.85(3H,t,CH(CH18NH,J=7Hz),1.18〜1.30(32H,br.s,CH(CH16CHCHNH),2.34(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.08(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.29(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.68(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−O
δ 0.85(3H,t,CH(CH19NH,J=7Hz),1.18〜1.30(34H,br.s,CH(CH17CHCHNH),2.34(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.08(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,slightly br.d,H−1’,J=〜1Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.28(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−P
δ 0.86(3H,t,CH(CH20NH,J=7Hz),1.18〜1.30(36H,br.s,CH(CH18CHCHNH),2.34(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.08(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,slightly br.d,H−1’,J=〜1Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.28(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.68(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.31(1H,s,NH−3).
化合物II−Q
δ 1.14〜1.45(22H,m,−(CH11−),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.91(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.58(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.64(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.31(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.66(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.33(1H,s,NH−3).
化合物II−R
δ 0.85(3H,t,CHCH−,J=7Hz),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.90(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.28(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.67(1H,br.d,H−6,J=〜8Hz),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−1
δ 2.26(3H,s,CHNH),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,Me−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.40(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.50(each 2H,d,CHNH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=〜8Hz),10.14(1H,s,CHNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−2
δ 1.16(3H,t,CHCHNH,J=8Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,dd,H−5,J=2,8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.15 and 7.52(each 2H,d,CH CHNH,J=8Hz),7.69(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CHCHNH),11.32(1H,d,NH−3,J=2Hz).
化合物II−3
δ 0.87(3H,t,CH(CHNH,J=8Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,dd,H−5,J=2,8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.14 and 7.52(each 2H,d,CH(CHNH,J=8Hz),7.69(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CH(CHNH),11.32(1H,d,NH−3,J=2Hz).
化合物II−4
δ 0.89(3H,t,CH(CHNH,J=7.5Hz),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.12(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.40(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.14 and 7.52(each 2H,d,CH(CHNH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.15(1H,s,CH(CHNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−5
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.51(each 2H,d,CH(CHNH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CH(CHNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−6
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.51(each 2H,d,CH(CHNH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CH(CHNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−7
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.51(each 2H,d,CH(CHNH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CH(CHNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−8
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.12(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.51(each 2H,d,CH(CHNH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CH(CHNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−10
δ 0.85(3H,t,CH(CHNH,J=7Hz),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.12(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.51(each 2H,d,CH(CHNH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CH(CHNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−12
δ 0.85(3H,t,CH(CH11NH,J=8Hz),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.51(each 2H,d,CH(CH11NH,J=8Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.15(1H,s,CH(CH11NH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−14
δ 0.85(3H,t,CH(CH13NH,J=7Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.12(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,dd,H−5,J=2,〜8Hz),6.38(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.13 and 7.51(each 2H,d,CH(CH13NH,J=8.5Hz),7.69(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,CH(CH13NH),11.31(1H,d,NH−3,J=〜2Hz).
化合物II−15
δ 2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),3.73(3H,s,OCH),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.63(1H,dd,H−5,J=〜2,8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),6.89 and 7.52(each 2H,d,CHNH,J=9Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.08(1H,s,CHOCNH),11.32(1H,d,NH−3,J=〜2Hz).
化合物II−16
δ 1.31(3H,t,CHCHOCNH,J=7Hz),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.63(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),6.87 and 7.51(each 2H,d,CHCHNH,J=9Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.08(1H,s,CHCHOCNH),11.33(1H,s,NH−3).
化合物II−18
δ 0.93(3H,t,CHCHOCNH,J=7.5Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),6.88 and 7.51(each 2H,d,CH(CHNH,J=9Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.07(1H,s,CH(CHOCNH),11.33(1H,s,NH−3).
化合物II−19
δ 0.89(3H,t,CHCHOCNH,J=7Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),6.88 and 7.50(each 2H,d,CH(CHNH,J=9Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.07(1H,s,CH(CHOCNH),11.33(1H,s,NH−3).
化合物II−20
δ 0.88(3H,t,CHCHOCNH,J=7Hz),2.38(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.12(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),6.88 and 7.50(each 2H,d,CH(CHNH,J=9Hz),7.67(1H,d,H−6,J=8Hz),10.08(1H,s,CH(CHOCNH),11.33(1H,s,NH−3).
化合物II−21
δ 0.87(3H,t,CHCHOCNH,J=7Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.39(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),6.88 and 7.50(each 2H,d,CH(CHNH,J=9Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.07(1H,s,CH(CHOCNH),11.32(1H,s,NH−3).
化合物II−23
δ 0.86(3H,t,CHCHOCNH,J=7Hz),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.60(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.38(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),6.88 and 7.50(each 2H,d,CH(CHNH,J=9Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.07(1H,s,CH(CHOCNH),11.32(1H,d,NH−3,J=〜2Hz).
化合物II−24
δ 2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.95(3H,s,NMe−8’’’),5.11(1H,br.s,H−1’’),5.59(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.62(1H,d,H−5,J=〜8Hz),6.38(1H,br.t,H−3’’’,J=〜6Hz),7.16 and 7.52(each 2H,d,−NH,J=9Hz),7.68(1H,d,H−6,J=8Hz),10.14(1H,s,−CNH),11.32(1H,s,NH−3).
次に、第4の本発明による式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体の製造の例を、次の実施例4について具体的に説明する。
【実施例4】
(a) 5’’−N−Boc−カプラゼンから5’’−N−Boc−カプラゼン−1’’’−エステル誘導体の製造

実施例3(a)で得た5’’−N−Boc−カプラゼンの150mgをピリジン5mLに溶解せしめた。この溶液にN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド120mg、ならびに下記の表17に示す各種のアルコール化合物R−OHをそれぞれ2モル当量加えて室温で一晩攪拌し反応せしめた(エステル化反応)。

得られたエステル化反応液を濃縮して得られたシロップ状濃縮液をクロロホルムで抽出し、そのクロロホルム抽出液を水洗後に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系クロロホルム−メタノール=10:1)にて精製した。前記の表5に示された化合物コード名のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体の5’’−N−Boc保護誘導体がそれぞれ無色固体として得られた。収量96〜108mg(カプラゼンからの2工程での収率45〜52%)。
(b) カプラゼン−1’’’−エステル誘導体の合成

実施例4(a)で得られた5’’−N−Boc−カプラゼン−1’’’−エステル誘導体の各々50mgを、80%トリフルオロ酢酸のメタノール溶液1mLに溶解した。この溶液を室温で1時間反応せしめてアミノ保護基(Boc)の脱離を行った。得られた反応液を濃縮し、得られたシロップにジエチルエーテルを加え、生じた沈殿をジエチルエーテルで洗浄し乾燥した。式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体として、前記の表5に示すコード名の化合物III−AA〜化合物III−GGがそれぞれ無色固体として得られた。収量55.9〜57.4mg(2トリフルオロ酢酸塩としての収率98〜99%)。
実施例4(c)で式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体として得られた化合物III−AA〜化合物III−GG(表5、参照)のH−NMRスペクトル(500MHz、重ジメチルスルホキシド中、TMS内部標準)を下記に示す。
化合物III−AA
δ 0.86(3H,t,CH(CHO,J=7Hz),1.18〜1.35(14H,slightly br.s,CH(CHCHCHO),2.35(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,s,H−1’’),5.53(1H,d,H−1’,J=2.5Hz),5.64(1H,dd,H−5,J=〜1.5,8Hz),6.73(1H,t,H−3’’’,J=7Hz),7.63(1H,br.d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,d,NH−3,J=〜1.5Hz).
化合物III−BB
δ 0.86(3H,t,CH(CH12O,J=7Hz),1.2〜1.3(20H,slightly br.s,CH(CH10CHCHO),2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,s,H−1’’),5.53(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.64(1H,d,H−5,J=8Hz),6.73(1H,t,H−3’’’,J=7Hz),7.63(1H,d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,s,NH−3).
化合物III−CC
δ 0.86(3H,t,CH(CH17O,J=7Hz),1.2〜1.3(30H,slightly br.s,CH(CH15CHCHO),2.37(3H,br.s,NMe−5’’’),2.97(3H,s,NMe−8’’’),5.10(1H,slightly br.s,H−1’’),5.53(1H,d,H−1’,J=2.5Hz),5.64(1H,slightly br.d,H−5,J=8Hz),6.74(1H,t,H−3’’’,J=7Hz),7.62(1H,d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,slightly br.s,NH−3).
化合物III−DD
δ 0.91(3H,t,CHCHCH=CH−,J=7.5Hz),2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,s,H−1’’),5.53(1H,d,H−1’,J=2Hz),5.64(1H,d,H−5,J=8Hz),6.73(1H,t,H−3’’’,J=7Hz),7.63(1H,d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,s,NH−3).
化合物III−EE
δ 0.86(3H,t,CHCH−,J=7Hz),2.36(3H,slightly br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),4.60(2H,m,−CHCH=CHCHO−),5.09(1H,s,H−1’’),5.53(1H,s,H−1’),5.55(1H,m,−CHCH=CHCHO−),5.65(1H,d,H−5,J=8Hz),5.80(1H,dt,−CHCH=CHCHO−),J=〜7,〜7,〜15Hz)6.75(1H,t,H−3’’’,J=7Hz),7.64(1H,d,H−6,J=8Hz),11.34(1H,s,NH−3).
化合物III−FF
δ 2.36(3H,br.s,NMe−5’’’),2.96(3H,s,NMe−8’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.53(1H,slightly br.s,H−1’),5.65(1H,d,H−5,J=8Hz),5.75(1H,m,CHCH−),6.73(1H,t,H−3’’’,J=7Hz),7.63(1H,d,H−6,J=8Hz),11.34(1H,s,NH−3).
化合物III−GG
δ 0.85(3H,t,CHCH−,J=7Hz),2.35(3H,slightly br.s,NMe−5’’’),2.99(3H,s,NMe−8’’’),5.10(1H,s,H−1’’),5.55(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.65(1H,dd,H−5,J=〜1.5,8Hz),6.76(1H,t,H−3’’’,J=7Hz),7.65(1H,d,H−6,J=8Hz),11.34(1H,slightly br.s,NH−3).
更に、第5の本発明による式(IV)のカプラゾールを第6の本発明方法で製造する例を次の実施例5〜6について具体的に説明する。
【実施例5】
カプラザマイシンBからカプラゾールの合成

カプラザマイシンBの150mgをN,N−ジメチルホルムアミド1.5mLに溶解し、得られた溶液に28%アンモニア水溶液1.5mLを加えた。得られた混合物を室温で4日間攪拌して加水分解を行った。反応液中に生じた不溶物をろ別後、反応液を濃縮し、得られた残渣をアセトンで洗浄し乾燥した。無色固体のカプラゾールの74.7mgを得た。収率99%。
融点 205〜206℃(分解)(水−メタノールより結晶化後)
比旋光度 [α]19 +28°(c 0.5,ジメチルスルホキシド)
カプラゾールのH−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルを次の表18に示す。

【実施例6】
カプラザマイシンC〜Fの混合物からカプラゾールの合成
カプラザマイシンC、D、EおよびFの混合物の2.1gをN,N−ジメチルホルムアミド20mLに溶解した。得られた溶液に28%アンモニア水溶液20mLを加え室温で110時間加水分解を行った。反応液中に生じた不溶物をろ別後,反応液を濃縮し、得られた残渣をアセトンで洗浄し乾燥した。カプラゾールの1.08gを得た。
【実施例7】
カプラゾールからカプラゼンの製造
カプラゾールを1規定塩酸水中にとかし、その溶液を100℃で3時間加熱すると、カプラゼンが収率20%で生成した。カプラゾールが約20%残存した。それぞれの構造はNMRにより確認した。得られた反応液を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけると、カプラゼンとカプラゾールを分離できた。
更に、第7の本発明による式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体の製造の例を下記の実施例8について具体的に説明する。
【実施例8】
(a) 5’’−N−Boc−カプラゾールの合成
式(IV)のカプラゾール2.80gを水−ジオキサン(1:2)の混合溶媒80mLに溶解し、その溶液にトリエチルアミン1.7mLおよび二炭酸ジ−t−ブチル1.27gをジオキサン5mLに溶解した溶液を加えた。得られた混合物を室温にて1時間反応せしめた。反応液を濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで洗浄し乾燥すると5’’−N−Boc−カプラゾールの3.19gを淡黄色固体として得た。粗収率97%。
H−NMRスペクトル(500MHz、重水中)
δ 1.40(9H,s,−ブトキシカルボニル基のメチル),2.47(3H,s,NMe−5’’’),3.13(3H,s,NMe−8’’’),5.16(1H,s,H−1’’),5.74(1H,br.s,H−1’)
(b) 5’’−N−Boc−カプラゾールの1’’’−ドデシルアミド誘導体の合成
実施例8(a)で得た5’’−N−Boc−カプラゾールの97.8mgをN,N−ジメチルホルムアミド3mlに溶解し、その溶液にトリエチルアミン0.21ml、n−ドデシルアミン137mgとN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド188mgを加え、得られた混合物を40℃に加熱して反応させた(アミド化反応)。2時間後、4時間後にそれぞれトリエチルアミン0.21ml、n−ドデシルアミン137mg、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド189mgを加えた。
6時間後に反応液を濃縮乾固した。残渣をクロロホルムにて抽出し、そのクロロホルム抽出液を水にて1回洗浄後、飽和硫酸ナトリウム水溶液にて2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。この溶液を濃縮乾固し固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−メタノール−濃アンモニア水,4:1:0.1)にて精製した。5’’−N−Boc−カプラゼン−1’’’−ドデシルアミド誘導体の45.4mg(カプラゾールから収率32%)を得た。
(c) カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド誘導体の合成
上記の5’’−N−Boc−カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド誘導体をトリフルオロ酢酸−メタノール(8:2)の混液0.45mlに溶解し、室温にて2時間反応させた(Bocの脱離)。反応液を濃縮乾固し、残渣にジエチルエーテルを加え、不溶物をジエチルエーテルにて洗浄した。カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド誘導体(表7の化合物V−Gに相当)を2トリフルオロ酢酸塩として46mg(収率33%)得た。
[α]19 +12°(c 1,メタノール)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中):
δ 0.89(3H,t,N(CH11Me,J=7Hz),2.51(3H,s,NMe−5’’’),3.18(3H,s,NMe−8’’’),5.17(1H,s,H−1’’),5.76(1H,s,H−1’),5.77(1H,d,H−5,J5,6=8Hz),8.08(1H,d,H−6)
次に、第8の本発明による式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−1’’’−エステル誘導体の製造例を実施例9について説明する。
【実施例9】
(a) 5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−O−イソプロピリデン−カプラゾール(前記の式(XIV)の化合物)の合成
実施例8(a)で得た5’’−N−Boc−カプラゾールの1.097gをN,N−ジメチルホルムアミド33mlに溶解し、その溶液に無水(±)10−カンファースルホン酸1.06g、ジメトキシメタン6mlを加え室温にて反応させた。1日後、無水(±)10−カンファースルホン酸151mg、ジメトキシメタン2mlを加えた。2日後、無水(±)10−カンファースルホン酸(酸触媒として)113mg、ジメトキシメタン2mlを加えた。3日後ジメトキシメタン2mlを加えた(O−イソプロピリデン基の導入反応)。
実施例8(a)で得た5’’−N−Boc−カプラゾールの3.19gをN,N−ジメチルホルムアミド60mLに溶解し、この溶液に(±)カンファー10−スルホン酸3.29gおよび2,2−ジメトキシプロパン17mLを加えた。得られた混合物で室温にて一晩反応させた(O−イソプロピリデン基の導入反応)。
反応液に濃アンモニア水0.5mLを加え中和し、この中和溶液を濃縮した。得られた残渣をn−ブタノールに溶解し、有機層を水洗いした後に減圧濃縮、乾燥して前記の式(XIV)の化合物の3.55gを得た。収率99%。
[α]19 −30°(c 2,クロロホルム)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中):
δ 1.25,1.36,1.40,1.53(各3H,s,イソプロピリデン基のメチル),1.45(9H,s,t−ブトキシカルボニル基のメチル),2.50(3H,s,NMe−5’’’),3.09(3H,s,NMe−8’’’),5.24(1H,s,H−1’’),5.83(1H,d,H−1’,J1’,2’=2.7Hz)
(b) 5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド誘導体(前記の式(XV)の誘導体に包含される化合物)の製造
実施例9(a)で得た5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾールの69.6mgをN,N−ジメチルホルムアミド1.78mlに溶解し、その溶液にトリエチルアミン0.052mlとn−ドデシルアミン34.2mg、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド47mgを加え室温にて反応させた(1’’’−アミド化反応)。2時間後、4時間後にそれぞれトリエチルアミン0.052ml、n−ドデシルアミン34.2mg、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド47mgを追加した。
8時間反応の後、反応液を濃縮乾固し、残渣をクロロホルムにて抽出し、そのクロロホルム抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮乾固した。
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−メタノール,50:1)にて精製した。5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド誘導体の45.8mg(収率54%)を得た。
[α]19 −31°(c 2,メタノール)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中):
δ 0.89(3H,t,N(CH11Me,J=7Hz),1.44(9H,s,t−ブトキシカルボニル基のメチル),2.50(3H,s,NMe−5’’’),3.16(3H,s,NMe−8’’’),5.27(1H,s,H−1’’),5.73(1H,d,H−5,J5,6=8Hz),5.94(1H,d,H−1’,J1’,2’=2.7Hz),7.72(1H,d,H−6)
(c) 5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体(前記の式(XVII)の誘導体に包含される化合物)の合成
実施例9(b)で得られた5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド誘導体の45.5mgをジクロロメタンに溶解した。その溶液に氷冷下4−ジメチルアミノピリジン24.5mgとアシル化剤としてドデカノイルクロリド(慣用名:ラウロイルクロリド、Cl−CO−(CH10−CH)の0.035mlを加え、得られた混合物を氷冷下3時間反応させた(3’’’−O−エステル化)。反応液にメタノール0.027mlを加えた後、反応液をクロロホルムにて希釈した。得られた混合物の溶液を10%重硫酸カリウム水溶液および水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−メタノール、150:0→150:1)にて精製した。表題化合物の39.2mg(収率72%)を得た。
(d) カプラゾール−1’’’−ドデシルアミド−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体(第8の本発明に包含される表9の化合物VI−Gに相当する化合物)の合成
前項(c)で得られた化合物をトリフルオロ酢酸−メタノール(8:2)の混液0.35mlに溶解し、得られた溶液を室温にて4時間反応させた(脱保護反応)。反応液を濃縮乾固し、残渣にジエチルエーテルを加え、不溶物をジエチルエーテルにて洗浄した。表題の化合物、すなわちカプラゾール−1’’’−ドデシルアミド−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体(化合物VI−G)を2トリフルオロ酢酸塩として35.8mg(前項(c)の化合物より収率63%)得た。
[α]21 +6°(c 0.5,メタノール)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中):
δ 0.90(6H,t,N(CH11Meと(CH10Me,J=7Hz),2.37(2H,t,C(CHMe,J=7Hz),2.45(3H,s,NMe−5’’’),3.16(3H,s,NMe−8’’’),5.18(1H,s,H−1’’),5.53(1H,br.s,H−3’’’),7.73(1H,d,H−6,J5,6=8Hz)
更に、第9の本発明による式(VII)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体の製造の例を次の実施例10について説明する。
【実施例10】
(a) 5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体(前記の式(XVIII)の誘導体に包含される化合物)の合成
実施例9(a)で得られた5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール、すなわち前記の式(XIV)の化合物の42mgを、ジクロロメタン0.84mlに溶解した。その溶液に氷冷下4−ジメチルアミノピリジン13.6mgとアシル化剤としてドデカノイルクロリド(Cl−CO−(CH10−CH;式(XVI)のカルボン酸クロリドの一つ)0.019mlを加えた。得られた混合物を氷冷下反応させた(3’’’−O−エステル化)。7時間反応の後4−ジメチルアミノピリジン13.6mg、ドデカノイルクロリド0.019mlを追加、24時間後4−ジメチルアミノピリジン11.2mg、ドデカノイルクロリド0.019mlを追加、さらに36時間反応の後、4−ジメチルアミノピリジン11.9mg、ドデカノイルクロリド0.019mlを追加して反応を続けた。
48時間後、エステル化反応液にメタノール0.017mlを加えた後、反応液をクロロホルムにて希釈した。得られた混合物の溶液を10%重硫酸カリウム水溶液および水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。この溶液を濃縮乾固した。表題の化合物を含む82.7mgの固体を得た。
(b) 次式(VII−1)

のカプラゾール−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体(前記の式(XIX)または式(VII)の誘導体に包含される化合物であり、表11の化合物VII−Fに相当する化合物)の合成
前項(a)で得られたN,O−保護カプラゾール−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体を含む固体(82.7mg)を、トリフルオロ酢酸−メタノール(8:2)の混液0.85mlに溶解した。その溶液を室温にて2.5時間反応させた(脱保護反応)。反応液を濃縮乾固し、残渣にジエチルエーテルを加えた。得られた不溶物をジエチルエーテルにて洗浄し28.8mgの固体を得た。これを水に懸濁させ、その懸濁液をダイヤイオンHP−20のカラムに通し、次いでカラムを水洗後、50%メタノール水、80%メタノール水、メタノールにて順次溶出した。目的物質を含む溶出液画分を濃縮乾固した。表題化合物の10.4mgを得た(前項(a)で得た化合物より収率25%)。
[α]20 +17°(c 0.5,ジメチルスルホキシド)
H−NMRスペクトル(500MHz、重ジメチルスルホキシド中):
δ 0.86(3H,t,(CH10Me,J=7Hz),2.26(3H,s,NMe−5’’’),2.93(3H,s,NMe−8’’’),5.00(1H,s,H−1’’),5.40(1H,br.s,H−3’’’),5.56(1H,s,H−1’),5.64(1H,d,H−5,J5,6=8Hz),7.81(1H,d,H−6)
また、第9の本発明による式(VII)のカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体の製造の例を次の実施例11について説明する。
【実施例11】
(a) 5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−メチルエステル誘導体(前記の式(XXI)の誘導体でRがメチル基である場合の化合物)の合成
実施例9(a)で得られた5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール〔式(XIV)の化合物〕の60.7mgをN,N−ジメチルホルムアミド1.8mlに溶解した。その溶液にトリエチルアミン0.034mlとエステル化剤としてのメタノール0.0065mlとN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド31.5mgを加え、その混合物を室温にて2時間反応させた(メチルエステル化反応)。
反応液を濃縮乾固し、残渣をクロロホルムにて抽出し水洗後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−メタノール、50:1)にて精製した。次式(XXI−1)

で示される表題化合物の30.9mg(収率50%)を得た。
[α]19 −33°(c 0.3,メタノール)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中):
δ 1.27,1.37,1.42,1.56(各3H,s,イソプロピリデン基のメチル),1.43(9H,s,t−ブトキシカルボニル基のメチル),2.50(3H,s,NMe−5’’’),3.15(3H,s,NMe−8’’’),3.36(3H,s,COOMe),5.27(1H,s,H−1’’),5.71(1H,d,H−5,J5,6=8Hz),5.86(1H,s,H−1’),7.68(1H,d,H−6)
(b) 5’’−N−Boc−2’,3’;2’’,3’’−ジ−O−イソプロピリデン−カプラゾール−1’’’−メチルエステル−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体(前記の式(XXII)の誘導体に包含される化合物)の合成
前項(a)で得られた式(XXI−1)の30.7mgをジクロロメタン0.56mlに溶解し、その溶液に氷冷下4−ジメチルアミノピリジン10.1mgとアシル化剤としてのドデカノイルクロリド0.014mlを加えた。得られた混合物を氷冷下反応させた。5時間後4−ジメチルアミノピリジン6.5mg、ドデカノイルクロリド0.0094mlを追加してアシル化反応を続けた。
7時間反応の後、反応液にメタノール0.02mlを加え、次いで、反応液をクロロホルムにて希釈した。その希釈された溶液を10%重硫酸カリウム水溶液および水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−メタノール、100:0→100:1)にて精製した。表題化合物の26.5mg(収率70%)を得た。
(c) 次式(VII−2)

のカプラゾール−1’’’−メチルエステル−3’’’−ドデカノイルエステル誘導体(表11の化合物VII−Gに相当)の合成
前項(b)で得られた化合物(26.5mg)を、トリフルオロ酢酸−メタノール(8:2)の混液0.25mlに溶解し、その溶液を室温にて4時間反応させた(脱保護反応)。反応液を濃縮乾固し、残渣にジエチルエーテルを加え、不溶物をジエチルエーテルにて洗浄した。表題化合物を2トリフルオロ酢酸塩として23.8mg(前項(a)の式(XXI−1)の化合物より収率60%)得た。
[α]20 +6°(c 1,メタノール)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中):
δ 0.90(6H,t,N(CH11Meと(CH10Me,J=7Hz),2.38(2H,t,C(CHMe,J=7Hz),2.46(3H,s,NMe−5’’’),3.13(3H,s,NMe−8’’’),3.68(3H,s,COOMe),5.20(1H,s,H−1’’),5.42(1H,br.s,H−3’’’),5.71(1H,d,H−1’,J1’,2’=2Hz),5.75(1H,d,H−5,J5,6=8Hz),7.71(1H,d,H−6)
また、前記の一般式(VII)に包含されて且つ前記の表11に具体例化合物として示された化合物VII−A、化合物VII−C、化合物VII−Eおよび化合物VII−RのH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホキシド中、TMS内部標準)を次に示す。
化合物VII−A
δ 0.86(3H,t,CHCHCO,J=7Hz),2.29(3H,s,NMe−5’’’),3.02(3H,s,NMe−8’’’),5.02(1H,s,H−1’’),5.52(1H,s,H−1’),5.66(1H,d,H−5,J=8Hz),7.72(1H,d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,s,NH−3).
化合物VII−C
δ 0.86(3H,t,CHCHCO,J=7Hz),2.29(3H,s,NMe−5’’’),3.02(3H,s,NMe−8’’’),5.02(1H,s,H−1’’),5.52(1H,d,H−1’,J=〜2Hz),5.66(1H,dd,H−5,J=2,8Hz),7.72(1H,d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,d,NH−3,J=2Hz).
化合物VII−E
δ 0.86(3H,t,CHCHCO,J=7Hz),2.28(3H,s,NMe−5’’’),3.01(3H,s,NMe−8’’’),5.02(1H,s,H−1’’),5.52(1H,s,H−1’),5.66(1H,d,H−5,J=8Hz),7.73(1H,d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,s,NH−3).
化合物VII−R
δ 0.85(3H,t,CHCHCH=,J=7Hz),2.28(3H,s,NMe−5’’’),3.01(3H,s,NMe−8’’’),5.02(1H,s,H−1’’),5.52(1H,s,H−1’),5.66(1H,d,H−5,J=8Hz),7.72(1H,d,H−6,J=8Hz),11.33(1H,s,NH−3).
次に、カプラゾールから第11の本発明による前記の式(IX)のウリジン誘導体を製造する例と、また該ウリジン誘導体の5’’−N−Boc−保護誘導体から第10の本発明による前記の式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体を製造する例を、下記の実施例12について具体的に説明する。
【実施例12】
(a) 次式(IX)

で示されるウリジン誘導体の製造
カプラゾール100.9mgを、40%メチルアミン水溶液3.0mlに溶解し、得られた混合物を室温で19時間反応させた。その反応液を減圧濃縮および減圧乾燥した。得られた残渣をクロロホルム−ジエチルエーテル(1:1)の混合溶媒で洗浄した。減圧乾燥後、固体93.8mgを得た。この固体を、アンバーライトCG−50(NH型)カラムクロマトグラフィーに通した。水で展開して精製し、減圧濃縮、減圧乾燥後、表題化合物の72.5mg(収率68%)を得た。
[α]20 +30°(c 1,HO)H−NMRスペクトル(500MHz,重水中)
δ 2.30(3H,s,NMe−6’),2.50(3H,s,NMe−2’’’),2.61(3H,s,NMe−7’),3.39(1H,d,H−2’’’,J2’’’,3’’’=4Hz),3.47(1H,d,H−6’,J5’,6’=9Hz),5.06(1H,d,H−1’’,J1’’,2’’=2Hz),5.54(1H,d,H−1’,J1’,2’=2.5Hz),5.67(1H,d,H−5,J5,6=8Hz),7.61(1H,d,H−6)
(b) 次式(IXa)

で示される5’’−N−Boc−ウリジン誘導体の合成
実施例8(a)で得られた5’’−N−Boc−カプラゾールの14.6mgを、40%メチルアミン水溶液0.73mlに溶解し、得られた混合物を室温で2日間反応させた。反応液を減圧濃縮、減圧乾燥すると、表題の化合物13.7mg(収率90%)を得た。
[α]21 −13°(c 1.5,メタノール)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中)
δ 1.49(9H,s,−ブトキシカルボニル基のメチル),2.46(3H,s,NMe−6’),2.73(3H,s,NMe−7’),2.75(3H,s,NMe−2’’’),5.09(1H,br.s,H−1’’),5.77(1H,d,H−5,J5,6=8Hz),5.88(1H,d,H−1’,J1’,2’=4Hz),7.95(1H,d,H−6)
(c) 次式(VIIIa−1)

で示されるN−保護イミダゾリジノン誘導体(前記の式(VIIIa)の誘導体に包含される化合物)の合成 前項(b)で得られた式(IXa)のN−保護ウリジン誘導体の167.6mgを、N,N−ジメチルホルムアミド2.5mlに溶解し、その溶液に前記の式(XXIV)のアルキルイソシアネートとしてドデシルイソシアネート0.63mlを加えた。得られた混合物を室温で反応させた。反応開始から1時間後、さらにドデシルイソシアネート0.63mlを加え、3時間反応させた。反応液から、析出してきた不溶物を濾別し、残った反応液を減圧濃縮した。濃縮液を、クロロホルムで抽出し、そのクロロホルム抽出液を飽和硫酸ナトリウム水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをヘキサンで洗浄し、減圧乾燥すると、固体261mgを得た。この固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−メタノール−水,9:1:0.1)精製すると、式(VIIIa−1)の表題化合物32.5mg(収率15%)を得た。
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中)
δ 0.89(3H,t,N(CH11Me,J=7Hz)2.47(3H,s,NMe−6’),2.75(3H,s,NMe−7’),2.99(3H,s,NMe−2’’’),5.09(1H,d,H−1’’)
(d) 次式(VIII−1)

のイミダゾリジノン誘導体(前記の表13に示す化合物VIII−Gに相当する)の合成 前項(c)で得られた式(VIIIa−1)のN−保護イミダゾリジノン誘導体の32.5mgを、トリフルオロ酢酸−メタノール(8:2)の混合溶液0.33mlに溶解した。得られた混合物を室温で2時間反応させた(脱保護反応)。反応液を減圧濃縮し、得られた残さをジエチルエーテルで洗浄した。減圧乾燥すると、2トリフルオロ酢酸塩として式(VIII−1)の表題化合物32.5mg(収率88%)を得た。
[α]20 +13°(c 2、メタノール)
H−NMRスペクトル(500MHz、重メタノール中)
δ 0.89(3H,t,N(CH11Me,J=7Hz),5.16(1H,d,H−1’’),7.74(1H,d,H−6,J5,6=8Hz)
更に、カプラゼンおよびカプラゾールの製造に原料として用いられるカプラザマイシンA〜Fの製造を、次の参考例1について具体的に説明する。
参考例1
抗生物質カプラザマイシンA〜Fの製造
寒天斜面培地に培養したストレプトミセス・エスピーMK730−62F2(受託番号FERM BP−7218で寄託)を、ガラクトース2%、デキストリン2%、グリセリン1%、バクトソイトン(ディフコ社製)1%、コーン・スティープ・リカー0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、炭酸カルシウム0.2%を含む液体培地(pH7.4に調整)を三角フラスコ(500ml容)に110mlずつ分注して常法により120℃で20分滅菌した培地に接種した。接種後、これを30℃で2日間にわたり回転振とう培養し、種母培養液を得た。
トマトペースト(カゴメ社製)2.4%、デキストリン2.4%、酵母エキス(オリエンタル社製)1.2%、塩化コバルト0.0006%(pH7.4に調整)の組成の培地15リットルをタンク培養槽(30リットル容)中に調製し、滅菌後に生産培地として用いた。この生産培地に、上記の種母培養液を2%量で接種し、27℃、1分間あたり空気通気量15リットル、200rpmの撹拌速度を用いる培養条件で6日間タンク培養した。
このようにして得られた培養液を遠心分離して培養ろ液12リットルと菌体を分離した。つづいて、菌体に6リットルのメタノールを加えてよく撹拌し、菌体から既知の抗生物質カプラザマイシンA、B、C、EおよびF、ならびに新規抗生物質カプラザマイシンD、G、D1およびG1をメタノールで抽出した(なお、以下では、これら抗生物質カプラザマイシンA、B、C、D、E、F、G、D1およびG1を総称的にカプラザマイシン類caprazamycinsと記述することがある)。
前記の培養ろ液と菌体抽出液(メタノール抽出液)を合わせて、この合併で得られた混合液18リットルを芳香族系合成吸着剤ダイヤイオンHP−20(日本、三菱化学株式会社製)のカラム750mlに通過させ、カプラザマイシン類を吸着させた。
カプラザマイシン類を吸着、含有するダイヤイオンHP−20のカラムに脱イオン水、50%メタノール水、80%メタノール水、80%アセトン水、アセトンを各2.25リットル順次通過させた。カプラザマイシン類は、80%アセトン水での溶出画分中に多く溶出された。また、50%メタノール水溶出画分および80%メタノール水溶出画分にもカプラザマイシン類が含まれていたので、両者を合わせて再度、ダイヤイオンHP−20カラム(750ml)に通過させ、これによりカプラザマイシン類をカラムの吸着剤に吸着させた。次いでカラムに80%メタノール水2.25リットルを通過させた。その後、カラムから80%アセトン水2.25リットルで溶出させた。この80%アセトン水での溶出液を先の80%アセトン水溶出画分に合わせ、得られた混合物を減圧下で濃縮乾固してカプラザマイシン類を含む粗精製物10.1gを得た。
このカプラザマイシン類を含む粗精製物の10.1gをクロロホルム−メタノール(1:2)の混合溶媒の50mlに溶解して、その溶液にキーゼルグール(メルク社製、Art.10601)50mlを加え溶媒を減圧下で濃縮乾固した。このようにカプラザマイシン類をキーゼルグールに吸着させて得られた固体残渣を、シリカゲルカラム(内径54mm×長さ200mm)の上にのせ、クロマトグラフィーを行った。この際には、展開溶媒としてクロロホルム−メタノール−水(4:1:0.1)、クロロホルム−メタノール−水(2:1:0.2)、クロロホルム−メタノール−水(1:1:0.2)の各混合液の各1.35リットルを用い、順次に展開を行った。
フラクションコレクターによって、シリカゲルカラムからの溶出液を、フラクションNo.1〜53では20gずつ分画し、フラクションNo.54〜117では19gづつ分画して集めた。こうして、フラクションNo.66〜83にカプラザマイシンA、B、C、D、E、FおよびGを含む活性画分が溶出され、フラクションNo.84〜144にカプラザマイシンD1およびG1を含む活性画分が溶出された。このカプラザマイシンA、B、C、D、E、FおよびGを含むフラクションNo.66〜83を集めて減圧下で濃縮乾固し、カプラザマイシンA、B、C、D、E、FおよびGを含む粗精製物625.3mgを得た。また、フラクションNo.54〜117を集めて減圧下で濃縮乾固し、カプラザマイシンD1およびG1を含む粗精製物1.28gを得た。
次にまず、カプラザマイシンA、B、C、D、E、FおよびGを含む粗精製物について各成分の単離と精製を行った。前記の粗精製物625.3mgにメタノール5mlを加えて溶解して、得られた溶液を5℃の冷暗下に静置すると、カプラザマイシンA、B、C、D、E、F、Gを含む析出沈殿画分の537.3mgを得た。つづいて、このカプラザマイシンA、B、C、D、E、F、Gを含む析出沈殿画分をHPLC(CAPCELLPAK C18φ20×250mm、資生堂製)を用い精製した。このHPLCでは、展開溶媒として50%アセトニトリル水−0.05%ぎ酸(流速:12.0ml/min)により展開すると、61〜68分後にカプラザマイシンAが溶出され、52〜60分後にカプラザマイシンBが溶出され、39〜41分後にカプラザマイシンCが溶出され、30〜38分後にカプラザマイシンDおよびカプラザマイシンGを含む混合物、25〜28分後にカプラザマイシンEが溶出され、また22〜25分後にカプラザマイシンFが溶出された。それぞれの活性分画を集めて、減圧下で濃縮乾固することにより、カプラザマイシンA(56.9mg)、カプラザマイシンB(90.3mg)、カプラザマイシンC(19.7mg)、カプラザマイシンDおよびカプラザマイシンGを含む混合物(162.9mg)、カプラザマイシンE(30.3mg)およびカプラザマイシンF(25.5mg)を得た。
さらに、上記で得られたカプラザマイシンDおよびカプラザマイシンGを含む混合物を162.9mgをHPLC(CAPCELLPAK C18,φ20×250mm、資生堂製)を用いて精製した。このHPLCでは、展開溶媒として50%アセトニトリル水−0.025%トリフルオロ酢酸(流速:9.0ml/min)により展開すると、55〜69分後にカプラザマイシンD、48〜53分後にカプラザマイシンGが溶出された。それぞれの活性分画を集めて、減圧下で濃縮乾固することにより、カプラザマイシンD(69.7mg)およびカプラザマイシンG(39.0mg)を得た。
さらに、上記で得られたカプラザマイシンD1およびG1を含む粗精製物1.28gについてHPLC(CAPCELLPAK C18,φ20×250mm、資生堂製)を用いて各成分の単離と精製を行った。このHPLCで展開溶媒として45%アセトニトリル水−0.05%トリフルオロ酢酸(流速:12.0ml/min)により展開すると、36〜49分後にカプラザマイシンG1およびD1が溶出され、これらの溶出液を集めて減圧下で濃縮乾固することにより、カプラザマイシンD1およびカプラザマイシンG1の混合物を187mg得た。さらに、該混合物を、HPLC(CAPCELLPAK C18,φ20×250mm、資生堂製)を用い、展開溶媒として44%アセトニトリル水−0.025%トリフルオロ酢酸(流速:9.0ml/min)により展開することから成るHPLCにかけると、46〜52分後にカプラザマイシンD1が溶出され、また41〜44分後にカプラザマイシンG1が溶出された。これら溶出画分を集めて、別々に減圧下で濃縮乾固することにより、カプラザマイシンD1(54.1mg)およびカプラザマイシンG1(57.6mg)を得た。
【産業上の利用可能性】
前記に説明したように、本発明では、カプラザマイシンの加水分解によりカプラゼンとカプラゾールを得た。カプラゼンとカプラゾールは、すぐれた抗菌活性をもつ半合成誘導体を作るのに有用な化合物である。また、本発明で合成された新規な化合物として、式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体、または式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体、または式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体、または式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体、または式(VII)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体またはカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体、あるいは式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体CP−IMは、各種の細菌に対してすぐれた抗菌活性を有して抗菌剤として有用である。さらに、本発明で得られた式(IX)のウリジン誘導体は、各種の新規化合物の合成に利用できる新しい中間体化合物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)

〔式中、Meはメチル基を示す〕で示される化合物であるカプラゼン、およびこれの5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニル誘導体。
【請求項2】
カプラザマイシンA、B、C、D、E、FまたはG、もしくはカプラザマイシンA〜Gの少なくとも2つの混合物を、酸の水溶液中で室温または加熱下に加水分解にかけることから成る、次式(I)

〔式中、Meはメチル基である〕で示されるカプラゼンの製造方法。
【請求項3】
カプラザマイシンA〜Gの少なくとも1つを、酢酸、硫酸または塩化水素の酸性水溶液中で加水分解する、請求の範囲2に記載の方法。
【請求項4】
次の一般式(II)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であるか、あるいはRは、炭素数1〜14の直鎖状のアルキル基または炭素数1〜9の直鎖状のアルコキシ基または炭素数5〜12のシクロアルキル基をパラ位にもつフエニル基であり、Aは水素原子であるか、あるいはAはアミノ保護基としてのアルコキシカルボニル基、特に第3級ブトキシカルボニル基、もしくはアラルキルオキシカルボニル基、特にベンジルオキシカルボニル基である〕で示されるカプラゼン−1’’’−アミド誘導体およびこれの5’’−N−アルコキシカルボニルまたはアラルキルオキシカルボニル誘導体、あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩。
【請求項5】
一般式(II)において、Aが水素原子であり且つRがアルキル基、アルケニル基またはシクロアルキル基である場合のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体である、請求の範囲4に記載の誘導体。
【請求項6】
一般式(II)において、Aが水素原子であり且つRがアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルキル基をパラ位にもつフエニル基である場合のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体である、請求の範囲4に記載の誘導体。
【請求項7】
次の一般式(III)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基であり、Aは水素原子であるか、あるいはアミノ保護基としてのアルコキシカルボニル基、特に第3級ブトキシカルボニル基、もしくはアラルキルオキシカルボニル基、特にベンジルオキシカルボニル基である〕で示されるカプラゼン−1’’’−エステル誘導体、およびこれらの5’’−N−アルコキシカルボニルまたはアラルキルオキシカルボニル誘導体あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩。
【請求項8】
次式(IV)

〔式中、Meはメチル基である〕で示される化合物であるカプラゾール、およびこれの5’’−N−アルコキシカルボニルまたは5’’−N−アラルキルオキシカルボニル誘導体。
【請求項9】
カプラザマイシンA、B、C、D、E、FまたはG、もしくはカプラザマイシンA〜Gの少なくとも2つの混合物を、無機塩基の水溶液中で室温または加熱下に加水分解にかけることから成る、次式(IV)

で示されるカプラゾールの製造方法。
【請求項10】
カプラザマイシンA〜Gの少なくとも1つを、アンモニア(NH)、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選ばれた塩基の水溶液中で約40℃またはこれ以下の温度で加水分解する、請求の範囲9に記載の方法。
【請求項11】
次の一般式(V)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であり、Aは水素原子であるか、あるいはアミノ保護基としてのアルコキシカルボニル基、特に第3級ブトキシカルボニル基、もしくはアラルキルオキシカルボニル基、特にベンジルオキシカルボニル基である〕で示されるカプラゾール−1’’’−アミド誘導体およびこれの5’’−N−アルコキシカルボニルまたはアラルキルオキシカルボニル誘導体、あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩。
【請求項12】
次の一般式(VI)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基、炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基である〕で示されるカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体、あるいはこれの製薬学的に許容できる酸付加塩。
【請求項13】
次の一般式(VII)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基または炭素数5〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルケニル基あるいは炭素数5〜21のアルキニル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜21のアルキル基である〕で示されるカプラゾール−3’’’−エステル誘導体、またはカプラゾール−1’’’−エステル−3’’’−アルキルエステル誘導体、あるいはこれらの製薬学的に許容できる酸付加塩。
【請求項14】
次の一般式(VIII)

〔式中、Meはメチル基であり、Rは炭素数1〜21の直鎖状または実質的に直鎖状のアルキル基である〕で示されるイミダゾリジノン誘導体CP−IM、あるいはこれの製薬学的に許容できる酸付加塩。
【請求項15】
一般式(VIII)の誘導体においてRが炭素数6〜21のアルキル基である、請求の範囲14に記載の誘導体。
【請求項16】
次式(IX)

〔式中、Meはメチル基である〕で示されるウリジン誘導体、またはこれの5’’−N−第3級ブトキシカルボニル誘導体。
【請求項17】
式(II)のカプラゼン−1’’’−アミド誘導体、または式(III)のカプラゼン−1’’’−エステル誘導体、または式(V)のカプラゾール−1’’’−アミド誘導体、または式(VI)のカプラゾール−1’’’−アミド−3’’’−エステル誘導体、または式(VII)のカプラゾール−3’’’−エステル誘導体またはカプラゾール1’’’−エステル−3’’’−エステル誘導体、あるいは式(VIII)のイミダゾリジノン誘導体CP−IM、もしくはそれら誘導体の酸付加塩の少なくとも一つを、有効成分として含有し、しかも有効成分と共に、製薬学的に許容できる液状または固体状担体を含有してなる医薬組成物。

【国際公開番号】WO2004/067544
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504778(P2005−504778)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000969
【国際出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【出願人】(000173913)財団法人微生物化学研究会 (29)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】