説明

新規M3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト

ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストおよびそれらの使用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、新規ビアリールアミン誘導体、医薬組成物、それらの調製方法、およびMムスカリン性アセチルコリン受容体介在疾患の処置におけるそれらの使用に関する。
【0002】
(背景技術)
末梢および中枢神経系にあるコリン作用性ニューロンから放出されるアセチルコリンは、2つの主要な類のアセチルコリン受容体−ニコチン性およびムスカリン性アセチルコリン受容体との相互作用を介して、多種多様な生物学的過程に作用する。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)は、7回膜貫通型ドメインを有するG−蛋白質共役型受容体のスーパーファミリーに属する。mAChRにはM〜Mと呼ばれる5つのサブタイプがあり、それぞれ別個の遺伝子の産物である。これらの5つのサブタイプのそれぞれは、独特の薬理特性を示す。ムスカリン性アセチルコリン受容体は、脊椎動物の器官に広く分布しており、そこで、それらは多数の重要な機能を仲介する。ムスカリン性受容体は阻害性および興奮性作用の両方を仲介し得る。例えば、気道に見られる平滑筋において、M mAChRは、収縮反応を仲介する。報文については、Caulfield(1993 Pharmac.Ther.58:319−79)を参照のこと。
【0003】
肺において、mAChRは、気管および気管支にある平滑筋、粘膜下腺および副交感神経節に位置している。ムスカリン性受容体の密度は、副交感神経節において最も高く、そしてその密度は、粘膜下腺から気管、次いで、気管支の平滑筋へと減少する。ムスカリン性受容体は、肺胞にはほとんどない。肺におけるmAChRの発現および機能の報文については、FryerおよびJacoby(1998 Am J Respir Crit Care Med 158(5,pt 3)S 154−60)を参照のこと。
【0004】
mAChRの3つのサブタイプ、M、MおよびM mAChRが肺において重要なものとして同定されている。気道の平滑筋に位置するM mAChRは筋収縮を仲介する。M mAChRの刺激は、刺激性G蛋白質Gq/11(Gs)の結合を介して酵素ホスホリパーゼを活性化し、ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスリン酸塩の遊離をもたらし、結果として、収縮蛋白質のリン酸化をもたらす。M mAChRは、肺の粘膜下腺においても見出される。M mAChRのこの集団の刺激は、粘液分泌をもたらす。
【0005】
mAChRは、気道平滑筋上のコリン作用性受容体集団の約50〜80%を構成する。正確な機能は未だ知られていないが、それらは、cAMP産生を阻害することにより、気道平滑筋のカテコールアミンが関与する弛緩を阻害する。ニューロンのM mAChRは、節後副交感神経に位置する。通常の生理学的状態の下では、ニューロンのM mAChRは、副交感神経から放出されるアセチルコリンの厳しい制御をもたらす。阻害性M mAChRも、ある種の肺の交感神経上にあることが示されている。これらの受容体は、ノルアドレナリンの放出を阻害し、かくして、肺への交感神経性入力が軽減される。
【0006】
mAChRは肺の副交感神経節において見出されており、そこでそれらは機能し、神経伝達を強化する。これらの受容体は肺末梢部実質組織にも位置するが、実質組織におけるそれらの機能は知られていない。
【0007】
肺におけるムスカリン性アセチルコリン受容体機能障害は、多種多様な病理学的状態において注目されてきた。特に、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、炎症状態は、肺平滑筋を満たす副交感神経における阻害性Mムスカリン性アセチルコリン自己受容体機能の損失をもたらし、迷走神経の刺激後にアセチルコリンの放出増大を惹起する(Fryerら.1999 Life Sci 64(6−7)449−55)。このmAChR機能障害は、M mAChRの刺激増大に介される気道の機能亢進および反応性亢進をもたらす。故に、これらのmAChR介在疾患状態における治療剤として強力なmAChRアンタゴニストを同定することは有用であろう。
【0008】
COPDは、慢性気管支炎、慢性細気管支炎および気腫を含む様々な進行性の健康障害を含む不明確な用語であり、およびそれは世界中の死亡率および疾病率の主要な原因である。喫煙はCOPDの発症についての主要な危険性因子である。米国だけでは、ほぼ5000万人が喫煙しており、1日に推定3000人が喫煙を始めている。結果として、COPDは、2020年までに、世界的な健康負荷として上位5位内に入ることが予想される。吸入用抗コリン作用治療剤は、現在では、COPDの第一治療剤として「優れた(gold)基準」と見なされている(Pauwelsら.2001 Am.J.Respir.Crit.Care Med.163:1256−1276)。
【0009】
気道の機能亢進障害の処置のための抗コリン作用治療剤の使用を支持する大量の証拠があるにも関わらず、相対的にほとんどの抗コリン作用性化合物は、肺症状についての臨床において利用できない。より具体的には、米国では、イプラトロピウムブロミド(アルブテロールと組み合わせたAtrovent(登録商標)およびCombivent(登録商標))は、現在、気道の機能亢進障害の処置のために市販されている唯一の吸入用抗コリン作用剤である。この化合物は強力な抗ムスカリン剤であるが、その作用時間は短く、それ故に、COPD患者に緩和をもたらすためには、1日に4回も投与する必要がある。ヨーロッパおよびアジアでは、長時間作用性の抗コリン作用性チオトロピウムブロミド(Spiriva(登録商標))が最近認可されたが、この製品は現在でも米国では利用できない。故に、長時間作用し、かつ喘息およびCOPDのごとき気道の機能亢進障害の処置のために1日1回投与が可能となる、mAChRでの遮断を惹起し得る新規化合物が依然として必要とされている。
【0010】
mAChRは体内に広く分布するので、気道に対して局部的および/または局所的に抗コリン作用剤を適用する能力は特に有利であり、それにより、利用されるべき薬剤の用量をより少なくできよう。さらに、長い作用持続時間を有し、および特に、受容体または肺のいずれかにより保持される局所的な活性薬剤を設計する能力により、全身性抗コリン作用剤の使用において見られ得る不要な副作用を回避することができるだろう。
【0011】
(発明の概要)
本発明は、アセチルコリンがM mAChRに結合している、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)介在疾患の処置方法であって、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0012】
本発明は、その必要のある哺乳類においてアセチルコリンとその受容体の結合を阻害する方法であって、前記哺乳類へ有効量の式(I)の化合物を投与することを含む方法にも関する。
【0013】
本発明は、式(I)の新規化合物、ならびに式(I)の化合物および医薬担体または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。
【0014】
本発明において有用な式(I)の化合物またはその任意の他の医薬上許容される塩は、構造式:
【化1】

[式中:
ArおよびArは独立して、所望により置換されていてもよいフェニルおよび所望により置換されていてもよい単環ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、NR6R7R8であるか、または所望により置換されていてもよい4〜10員の飽和もしくは部分飽和環系であり、ここで、1またはそれ以上の環は、1またはそれ以上の4級アンモニウム窒素を含み、および所望により1またはそれ以上の2級窒素、3級窒素、OもしくはSを含み;
【0015】
は、I、Br、Cl、F、CFCOO、メシレートおよびトシレートからなる群より選択される医薬上許容されるカウンターイオンであり;
Xは、C(R1)もしくはC(O)であり;ここで、XがC(R1)である場合、mは0〜3の整数であり;XがC(O)である場合、mは1であり;
pは、0〜2の整数であり;
nは、0〜3の整数であり;
Yは、C(O)、S(O)、HNC(O)もしくはOC(O)であり;ここで、qは1もしくは2であり;
【0016】
R1およびR2は独立して、水素、所望により置換されていてもよいC−C10アルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよい複素環、所望により置換されていてもよい複素環アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
【0017】
R3は、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10アルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよいアリールアルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここで、置換されている場合、一の基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)1−10アルキル、C(O)R4、C(O)NR4R5;C(O)OH;S(O)NR4R5、NHC(O)R4、NHS(O)R4、C1−10アルキル、アルケニル、ハロ置換C1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択される1またはそれ以上のラジカルにより置換され、ここで、これらのアリールもしくはヘテロアリール部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)1−10アルキル、C1−10アルキルもしくはハロ置換C1−10アルキルにより1〜2回置換されていてもよく;
m’は、0、1もしくは2であり;
【0018】
R4およびR5は独立して、水素、所望により置換されていてもよいC1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;またはR4およびR5はそれらが結合している窒素と一緒になって、OおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を所望により含んでいてもよい5〜7員環を形成し;および
【0019】
R6、R7およびR8は独立して、水素、所望により置換されていてもよいC1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、所望により置換されていてもよい複素環および所望により置換されていてもよい複素環アルキルからなる群より選択されるか;またはR7およびR8はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、NおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を所望により含んでいてもよい5〜7員環を形成する]
で表される。
【0020】
(詳細な説明)
本発明は、本発明の化合物の全ての水和物、溶媒和物、複合体およびプロドラッグを含む。プロドラッグは、インビボにおいて式Iで示される活性のある親薬剤を放出する任意の共有結合化合物である。キラル中心もしくは異性体中心の別形態が本発明の化合物中に存在するならば、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含むかかる1もしくは複数の異性体の全ての形態は、本発明に含まれることが意図される。キラル中心を含む本発明の化合物をラセミ混合物、エナンチオマーに富む混合物として用いてもよく、またはよく知られている技法を用いてラセミ混合物を分離してもよく、および個々のエナンチオマーを単独で用いてもよい。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、シス(Z)およびトランス(E)異性体は共に本発明の範囲内である。化合物がケト−エノール互変体のごとき互変異性形態にて存在してもよい場合、平衡状態で存在しているかまたは一形態が優勢的に存在しているかに関わらず、各互変異性形態は本発明内に含まれるものと熟慮される。
【0021】
別記しない限り、式Iまたはその任意の下位式中の任意の一の場合における任意の置換基の意味は、任意の他の場合におけるその意味または任意の他の置換基の意味に無関係である。
【0022】
ペプチドおよび化学技術分野において一般的に用いられている省略形および記号は、本明細書中、本発明の化合物を説明するために用いられる。一般的に、アミノ酸の省略形は、Eur.J.Biochem.,158,9(1984)において記載されているように、the IUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclatureに従う。
【0023】
本明細書中用いられる「部分を含むアリール、ヘテロアリールおよび複素環」なる語は、環およびアルキルの両方を言い、または含まれる場合には、アルケニル環、例えば、アリール、アリールアルキルおよびアリールアルケニル環を言う。用語「部分」および「環」は本明細書を通して同義的に用いられてもよい。
【0024】
本明細書中用いられる「所望により置換されていてもよい」は、特に定義されない限り、水素;ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素;シアノ;ヒドロキシ;ヒドロキシ置換C1−10アルキル;C1−10アルコキシ、例えば、メトキシもしくはエトキシ;S(O)1−10アルキル[ここで、m’は0、1もしくは2である]、例えば、メチルチオ、メチルスルフィニルもしくはメチルスルホニル;アミノ、モノおよびジ−置換アミノ、例えば、NR7R8基においてのような;NHC(O)R7;C(O)NR7R8;C(O)R7;C(O)OH;S(O)NR7R8;NHS(O)R7、C1−10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルもしくはt−ブチル;アルケニル、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニルもしくは2−メチル−1−プロペニル;ハロ置換C1−10アルキル、例えば、CF;所望により置換されていてもよいアリール、例えば、フェニル、または所望により置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジルもしくはフェネチル、所望により置換されていてもよい複素環、所望により置換されていてもよい複素環アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルを意味し、ここで、これらのアリール、ヘテロアリールもしくは複素環部分は、ハロゲン;ヒドロキシ;ヒドロキシ置換アルキル;C1−10アルコキシ;S(O)1−10アルキル;アミノ、モノおよびジ−置換アルキルアミノ、例えば、NR7R8基においてのような;C1−10アルキル、もしくはハロ置換C1−10アルキル、例えば、CFにより1〜2回置換されていてもよい。
【0025】
適当な医薬上許容される塩は当業者によく知られており、ならびに無機および有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、洒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸およびマンデル酸の塩基性塩を含む。
【0026】
本明細書中用いられる以下の用語は:
「ハロ」もしくは「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを言い、
「C1−10アルキル」もしくは「アルキル」は、鎖長が別に制限されない限り、1〜10個の炭素原子からなる直鎖および分岐鎖部分を言い、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルなどを含むが、これらに限定されず、
「C−C10アルコキシ」は、−O−CH、−O−CHCHのごとき直鎖および分岐鎖ラジカルならびにn−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシおよびヘキソキシなどを含み、
【0027】
本明細書中用いられる「C−C10シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むがこれらに限定されない環状部分を意味し、
本明細書中用いられる「アルケニル」は全ての場合において、鎖長が制限されない限り、2〜10個の炭素原子からなる直鎖もしくは分岐鎖部分を意味し、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなど含むが、これらに限定されず、
「アリール」は、フェニルおよびナフチルを言い;
「ヘテロアリール」(それ自体または「ヘテロアリールオキシ」もしくは「ヘテロアリールアルキル」のごとき任意の組み合わせにおいて)は、5〜10員芳香環系を言い、ここで、1またはそれ以上の環は、N、OもしくはSからなる群より選択される1またはそれ以上のヘテロ原子を含み、例えば、ピロール、ピラゾール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キナゾリニル、ピリジン、ピリミジン、オキサゾール、テトラゾール、チアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、イミダゾールもしくはベンズイミダゾールであるが、これらに限定されず、
【0028】
「複素環」(それ自体または「複素環アルキル」のごとき任意の組み合わせにおいて)は、4〜10員の飽和もしくは部分飽和環系を言い、ここで、1またはそれ以上の環は、N、OもしくはSからなる群より選択される1またはそれ以上のヘテロ原子を含み、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、チオモルホリンもしくはイミダゾリジンであるが、これらに限定されず、さらに所望により、硫黄はスルホンもしくはスルホキシドへ酸化されてもよく、
【0029】
本明細書中用いられる「2級窒素」は、1つの水素、所望により置換されていてもよい1つの炭素、および所望により置換されていてもよい1つの炭素、C(O)もしくはS(O)[ここで、m’は1もしくは2である]に直接連結されている窒素を意味し、
本明細書中用いられる「3級窒素」は、所望により置換されていてもよい2つの別個の炭素、および所望により置換されていてもよい1つの炭素、C(O)もしくはS(O)[ここで、m’は1もしくは2である]に直接連結されている窒素を意味し、
【0030】
本明細書中用いられる「4級アンモニウム窒素」は、所望により置換されていてもよい4つの別個の炭素に直接連結されている窒素を意味し、
本明細書中用いられる「アリールアルキル」もしくは「ヘテロアリールアルキル」もしくは「複素環アルキル」は、別記しない限り、本明細書で定義するようなアリール、ヘテロアリールもしくは複素環部分に結合した、上で定義したようなC1−10アルキルを意味し;
「スルフィニル」は、対応するスルフィドのオキシドS(O)を言い、用語「チオ」は、スルフィドを言い、および用語「スルホニル」は、完全に酸化されたS(O)部分を言う。
【0031】
式Iの好ましい化合物は、式中:
ArおよびArが独立して、所望により置換されていてもよいフェニルおよび所望により置換されていてもよい単環ヘテロアリールからなる群より選択され;
が、所望により置換されていてもよい4〜10員の飽和もしくは部分飽和環系であり、ここで、1またはそれ以上の環は、1またはそれ以上の4級アンモニウム窒素を含み、および所望により、1またはそれ以上の2級窒素もしくは3級窒素を含んでいてもよく;
が、I、Br、Cl、F、CFCOO、メシレートおよびトシレートからなる群より選択される医薬上許容されるカウンターイオンであり;
Xが、C(R1)であり、mは1であり;
pが2であり;
nが、1〜3の整数であり;
Yが、C(O)もしくはS(O)であり;ここで、qは1もしくは2であり;
R1が水素であり;
【0032】
R2が、水素、所望により置換されていてもよいC−C10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよい複素環、所望により置換されていてもよい複素環アルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
【0033】
R3が、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10アルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルおよび所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキルからなる群より選択され;ここで、置換されている場合、一の基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)1−10アルキル、C(O)R4、C(O)NR4R5;C(O)OH;S(O)NR4R5、NHC(O)R4、NHS(O)R4、C1−10アルキル、アルケニル、ハロ置換C1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択される1またはそれ以上のラジカルで置換され、ここで、これらのアリールもしくはヘテロアリール部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)1−10アルキル、C1−10アルキルもしくはハロ置換C1−10アルキル[ここで、m’は0、1もしくは2である]で1〜2回置換されていてもよく;
【0034】
R4およびR5が独立して、水素、所望により置換されていてもよいC1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;またはR4およびR5はそれらが結合している窒素と一緒になって、OおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を所望により含んでいてもよい5〜7員環を形成し;および
【0035】
R7およびR8が独立して、水素、所望により置換されていてもよいC1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、所望により置換されていてもよい複素環および所望により置換されていてもよい複素環アルキルからなる群より選択されるか;またはR7およびR8はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、NおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を所望により含んでいてもよい5〜7員環を形成する;
である化合物またはその任意の他の医薬上許容される塩を含む。
【0036】
さらにより好ましいものは、式中:
ArおよびArが独立して、所望により置換されていてもよいフェニルであり;
が、所望により置換されていてもよい5〜8員の飽和もしくは部分飽和環系であり、ここで、1またはそれ以上の環は、1またはそれ以上の4級アンモニウム窒素を含み、および所望により、1またはそれ以上の2級窒素もしくは3級窒素を含んでいてもよく;
が、I、Br、Cl、F、CFCOO、メシレートおよびトシレートからなる群より選択される医薬上許容されるカウンターイオンであり;
XがC(R1)であり;
R1が水素であり;
pが2であり;
mが1であり;
nが1であり;
YがC(O)もしくはS(O)であり;ここで、qは1もしくは2であり;
【0037】
R2が、水素、所望により置換されていてもよいC−C10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよい複素環、所望により置換されていてもよい複素環アルキル、所望により置換されていてもよいアリールアルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
【0038】
R3が、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10アルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルおよび所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキルからなる群より選択され;ここで、置換されている場合、一の基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)1−10アルキル、C(O)R4、C(O)NR4R5;C(O)OH;S(O)NR4R5、NHC(O)R4、NHS(O)R4、C1−10アルキル、アルケニルおよびハロ置換C1−10アルキル[ここで、m’は0、1もしくは2である]からなる群より選択される1またはそれ以上のラジカルで置換され;
【0039】
R4およびR5が独立して、水素、所望により置換されていてもよいC1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;またはR4およびR5はそれらが結合している窒素と一緒になって、OおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を所望により含んでいてもよい5〜7員環を形成し;および
【0040】
R7およびR8が独立して、水素、所望により置換されていてもよいC1−10アルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアリールアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、所望により置換されていてもよい複素環および所望により置換されていてもよい複素環アルキルからなる群より選択されるか;またはR7およびR8はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、NおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を所望により含んでいてもよい5〜7員環を形成する;
である化合物またはその任意の他の医薬上許容される塩である。
【0041】
式(I)の例示化合物は:
1−メチル−1−({3’−[({[4−(メチルオキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)メチル]−3−ビフェニリル}メチル)ピペリジニウム・トリフルオロアセテート;
1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチルピペリジニウム・トリフルオロアセテート;
1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチルピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);
1,1−ジメチル−4−({3’−[({[4−(メチルオキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)メチル]−3−ビフェニリル}メチル)ピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);
4−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1,1−ジメチルピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);
1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチル−3−オキソピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート;
4−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)カルボニル]−1,1−ジメチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);および
4−{[3’−({[(3−シアノフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3−ビフェニリル]メチル}−1,1−ジメチルピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);
または任意の他の医薬上許容されるカウンターイオンおよび/または塩を含む。
【0042】
(調製方法)
調製
式(I)の化合物は、その幾つかが以下のスキームに示されている合成手順を適用することにより得られてもよい。これらのスキームにより提供される合成は、本明細書中に記載の反応との適合性を達成するのに、反応性を有する多種多様なR1およびR2を有し、適宜保護されている置換基を利用する、式(I)の化合物を調製するために適用できる。これらの場合、その後に脱保護を行い、一般的に開示されている性質の化合物を得る。幾つかのスキームが特定の化合物について示されているが、これは単に例示を目的としている。
【0043】
調製1
スキーム1に示すように、還元的アルキル化を介して、ブロモベンジルアミン1を2,6−ジメトキシ−4−ポリスチレンベンジルオキシ−ベンズアルデヒド(DMHB樹脂)中にロードした。樹脂に結合したアミン2を様々なスルホニルクロリドと反応させて、スルホンアミド3を得、これを置換ホルミルフェニルボロン酸と共に鈴木カップリングに付し、ビフェニルアルデヒド4を得た。アミンを用いて4の還元的アルキル化を行い、ビフェニルアミン5を得、これをヨウ化メチルと反応させ、次いで、ジクロロエタン中の20%のトリフルオロ酢酸を用いて切断することにより、所望の4級アンモニウム塩6を得た。
【0044】
スキーム1
【化2】

条件:a)DMHB樹脂,Na(OAc)BH,ジイソプロピルエチルアミン,酢酸,1−メチル−2−ピロリジノン,室温;b)R1SOCl,ピリジン,ジクロロエタン,室温;c)置換ホルミルフェニル−ボロン酸,Pd(PPh,KCO,ジメトキシエタン,80℃;d)R2アミン,Na(OAc)BH,NaSO,ジクロロエタン,室温;e)ヨウ化メチル(MeI),MeCN,室温;f)ジクロロエタン中、20%のトリフルオロ酢酸,室温.
【0045】
(合成実施例)
本発明は、ここで、以下の実施例を参照することにより説明されよう。該実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。ほとんどの試薬および中間体は市販されているか、または文献の方法に従って調製される。文献に記載のない中間体の調製は、以下に説明する。
【0046】
実施例1
1−メチル−1−({3’−[({[4−(メチルオキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)メチル]−3−ビフェニリル}メチル)ピペリジニウム・トリフルオロアセテートの調製
a)DMHB樹脂結合型3−ブロモ−ベンジルアミン
250mLの振盪容器へ、2,6−ジメトキシ−4−ポリスチレンベンジルオキシ−ベンズアルデヒド(DMHB樹脂)(10g,1.5mmol/g,15mmol)および150mLの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を加えた。次いで、3−ブロモ−ベンジルアミンHCl塩(17g,75mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(13mL,75mmol)、酢酸(HOAc)(15mL)およびNa(OAc)BH(19.1g,90mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩振盪し、次いで、NMP(150mL×2)、ジクロロメタン(DCM)(150mL×2)、MeOH(150mL×2)およびDCM(150mL×2)を用いて洗浄した。得られた樹脂を真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させ、DMHB樹脂結合型3−ブロモ−ベンジルアミン(15mmol)を得た。
【0047】
b)1−メチル−1−({3’−[({[4−(メチルオキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)メチル]−3−ビフェニリル}メチル)ピペリジニウム・トリフルオロアセテート
80mLのジクロロエタン(DCE)中の上記樹脂結合型3−ブロモ−ベンジルアミン(1a,2g,1.2mmol/g(理論量),2.4mmol)の混合物へ、4−メトキシベンゼンスルホニルクロリド(5.0g,24mmol)およびピリジン(13mL,160mmol)を加えた。その混合物を室温で一晩振盪し、次いで、DCM(100mL×2)、MeOH(100mL×2)およびDCM(100mL×2)で洗浄した。得られた樹脂を真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCE中の20%のトリフルオロ酢酸を用いて、分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのMeOH中に溶解した。MS(ESI):356[M+H]
【0048】
83mLのジメトキシエタン(DME)中の上記樹脂結合型N−[(3−ブロモフェニル)メチル]−4−(メチルオキシ)ベンゼンスルホンアミド(3.38g,0.99mmol/g(理論量),3.35mmol)の混合物へ、3−ホルミルフェニルボロン酸(1.49g,9.93mmol)、2MのKCO水溶液(5mL,9.93mmol)およびPd(PPh(0.19g,0.17mmol)を加えた。5〜10分間アルゴンでパージした後、アルゴン下、80℃で10時間、混合物を加熱した。次いで、テトラヒドロフラン(THF)(100mL×2)、THF:HO(1:1,100mL×2)、HO(100mL×2)、THF:HO(1:1,100mL×2)、THF(100mL×2)、DCM(100mL×2)を用いて樹脂を洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCE中の20%のTFAを用いて、分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのCHCN中に溶解した。MS(ESI):382[M+H]
【0049】
2mLのDCE中の上記樹脂結合型N−[(3’−ホルミル−3−ビフェニリル)メチル]−4−(メチルオキシ)ベンゼンスルホンアミド(50mg,0.97mmol/g(理論量),0.0485mmol)の混合物へ、NaSO(60mg,0.42mmol)およびピペリジン(41uL,0.42mmol)を加えた。室温で10分間振盪した後、Na(OAc)BH(98mg,0.46mmol)を加えた。その混合物を室温で一晩振盪した。得られた樹脂をTHF(10mL×2)、THF:HO(1:1,10mL×2)、HO(10mL×2)、THF:HO(1:1,10mL×2)、THF(10mL×2)、DCM(10mL×2)で洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCE中の20%のTFAを用いて、分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのMeOH中に溶解した。MS(ESI):451[M+H]
【0050】
6mLのCHCN中の上記樹脂結合型4−(メチルオキシ)−N−{[3’−(1−ピペリジンイルメチル)−3−ビフェニリル]メチル}ベンゼンスルホンアミド(50mg,0.91mmol/g(理論量),0.0455mmol)の混合物へ、ヨウ化メチル(MeI)(0.05mL)を加えた。その混合物を室温で一晩振盪した。その樹脂をCHCN(10mL×2)、DCM(10mL×2)、MeOH(10mL×2)、DCM(10mL×2)で洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCE中の20%のTFAを用いて、得られた樹脂を30分間分解し、次いで、再度、DCE中の20%のTFAを用いて、30分間処理した。合わせた分解溶液を真空濃縮した。残りをDMSO中に溶解し、次いで、YMC ODS−A(C−18)カラム50mm×20mmIDを用いたGilson分取(semi−preparative)HPLC系を利用し、10%のB〜90%のBで3.2分間溶離させ[ここで、A=HO(0.1%のトリフルオロ酢酸)およびB=CHCN(0.1%のトリフルオロ酢酸)、ポンプ流量;25mL/分]、1分間保持することにより精製し、1−メチル−1−({3’−[({[4−(メチルオキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)メチル]−3−ビフェニリル}メチル)ピペリジニウム・トリフルオロアセテートを得た(白色粉末,8mg,6工程にわたって38%)。MS(ESI):465[M]
【0051】
ピペリジンを1−メチルピペラジンで置き換えること以外は同様の方法を行って、表1中の以下の化合物を調製した。
表1
【表1】

【0052】
調製2
樹脂結合型ブロモベンジルアミン2を酸と反応させて、アミド7を得、これを置換ホルミルフェニルボロン酸と共に鈴木カップリングに付し、ビフェニルアルデヒド8を得た(スキーム2)。アミンを用いて8の還元的アルキル化を行い、ビフェニルアミン9を得、これをMeIで処理し、次いで、分解して、所望の4級アンモニウム塩10を得た。
【0053】
スキーム2
【化3】

条件:a)R1COH,1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC),DCM:ジメチルホルムアミド(DMF)=1:1,室温;b)様々なホルミルフェニル−ボロン酸,Pd(PPh,KCO,DME,80℃;c)R2アミン,Na(OAc)BH,NaSO,DCM,室温;d)MeI,MeCN,室温;e)DCE中、20%のTFA,室温
【0054】
実施例3
1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチルピペリジニウム・トリフルオロアセテートの調製
a)DMHB樹脂結合型N−[(3−ブロモフェニル)メチル]−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド
DCE/DMF(1:1,80mL)中のDMHB樹脂結合型3−ブロモ−ベンジルアミン(1a,2g,1.2mmol/g(理論量),2.4mmol)の混合物へ、ピペロニル酸(4.0g,24mmol)およびDIC(3.7mL,24mmol)を加えた。その混合物を室温で一晩振盪し、次いで、DMF(100mL×2)、DCM(100mL×2)、MeOH(100mL×2)およびDCM(100mL×2)で洗浄した。得られた樹脂を真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させ、DMHB樹脂結合型N−[(3−ブロモフェニル)メチル]−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド(2.4mmol)を得た。DCE中の20%のTFAを用いて、分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのMeOH中に溶解した。MS(ESI):334[M+H]
【0055】
b)1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチルピペリジニウム・トリフルオロアセテート
76mLのDME中のDMHB樹脂結合型N−[(3−ブロモフェニル)メチル]−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド(3a,3.03g,1.0mmol/g(理論量),3.03mmol)の混合物へ、3−ホルミルフェニルボロン酸(1.36g,9.09mmol)、2MのKCO水溶液(4.5mL,9.09mmol)およびPd(PPh(0.18g,0.15mmol)を加えた。5〜10分間、アルゴンでパージした後、アルゴン下、80℃で一晩混合物を加熱した。THF(100mL×2)、THF:HO(1:1,100mL×2)、HO(100mL×2)、THF:HO(1:1,100mL×2)、THF(100mL×2)、DCM(100mL×2)を用いて得られた樹脂を洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCM中の20%のTFAを用いて、分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのCHCN中に溶解した。MS(ESI):360[M+H]
【0056】
2mLのDCE中の上記樹脂(50mg,0.99mmol/g(理論量),0.0495mmol)の混合物へ、NaSO(60mg,0.42mmol)およびピペリジン(41uL,0.42mmol)を加えた。10分間振盪した後、Na(OAc)BH(98mg,0.46mmol)を加えた。室温で一晩振盪した後、その樹脂をTHF(10mL×2)、THF:HO(1:1,10mL×2)、HO(10mL×2)、THF:HO(1:1,10mL×2)、THF(10mL×2)、DCM(10mL×2)で洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCM中の20%のTFAを用いて分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのMeOH中に溶解した。MS(ESI):429[M+H]
【0057】
6mLのCHCN中の上記樹脂結合型N−{[3’−(1−ピペリジンイルメチル)−3−ビフェニリル]メチル}−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド(50mg,0.93mmol/g(理論量),0.0465mmol)の混合物へ、MeI(0.05mL)を加えた。その混合物を室温で一晩振盪した。その樹脂をCHCN(10mL×2)、DCM(10mL×2)、MeOH(10mL×2)、DCM(10mL×2)で洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCM中の20%のTFAを用いて得られた樹脂を30分間分解し、次いで、再度、DCM中の20%のTFAで処理した。合わせた分解溶液を真空濃縮した。残りをDMSO中に溶解し、次いで、YMC ODS−A(C−18)カラム50mm×20mmIDを用いたGilson分取(semi−preparative)HPLC系を利用し、10%のB〜90%のBで3.2分間溶離させ[ここで、A=HO(0.1%のトリフルオロ酢酸)およびB=CHCN(0.1%のトリフルオロ酢酸)、ポンプ流量;25mL/分]、1分間保持することにより精製し、1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチルピペリジニウム・トリフルオロアセテートを得た(白色粉末,7mg,6工程にわたって34%)。MS(ESI):443[M]
【0058】
ピペリジンを適切なアミン(例えば、実施例4の1−ピペラジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル、実施例5の1−メチルピペラジンおよび実施例6の7,2−ピペラジノン)で置き換えるか、および/またはピペロニル酸を適切な酸で置き換えること以外は同様の方法を行って、表2に記載の化合物を調製した。
【0059】
表2
【表2】

【0060】
調製3
樹脂結合型ブロモベンジルアミド7をジヒドロキシボラニル安息香酸と共に鈴木カップリングに付し、ビアリール酸11を得た(スキーム3)。ジアミンを用いて11のアミド形成を行って、アミド12を得、これをMeIで処理し、次いで、樹脂を分解し、所望の4級アンモニウム塩13を得た。
スキーム3
【化4】

条件:a)ジヒドロキシボラニル安息香酸,10%のPd(PPh,CsCO,DMF,80℃;b)R2アミン,PyBOP,DIEA,NMP,室温;c)MeI,MeCN,室温;d)DCE中、20%のTFA,室温
【0061】
実施例8
4−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)カルボニル]−1,1−ジメチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1)の調製
30mLのDMF中のDMHB樹脂結合型N−[(3−ブロモフェニル)メチル]−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド(3a,1.3g,1.0mmol/g(理論量),1.3mmol)の混合物へ、3−(ジヒドロキシボラニル)安息香酸(1.3g,7.8mmol)、2MのCsCO水溶液(1.95mL,3.9mmol)およびPd(PPh(0.15g,0.13mmol)を加えた。混合物を5分間アルゴンでパージし、次いで、一晩80℃で加熱した。その樹脂をDMF(50mL)、THF(50mL×2)、THF:HO(1:1,50mL×2)、HO(50mL×2)、THF:HO(1:1,50mL×2)、THF(50mL×2)、DCM(50mL×2)で洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCM中の20%のTFAを用いて分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのMeOH中に溶解した。MS(ESI):376[M+H]
【0062】
3mLのNMP中の上記樹脂結合型3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニルカルボン酸(100mg,0.97mmol/g(理論量),0.097mmol)の混合物へ、1−メチルホモピペラジン(0.11mL,0.9mmol)、DIEA(0.16mL,0.9mmol)およびPyBOP(0.23g,0.45mmol)を加えた。その混合物を室温で一晩振盪した。その樹脂をNMP(20mL×2)、DCM(20mL×2)、MeOH(20mL×2)、DCM(20mL×2)で洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCE中の20%のTFAを用いて分析用量の樹脂を10分間分解した。得られた溶液を真空濃縮し、次いで、0.5mLのMeOH中に溶解した。MS(ESI):472[M+H]
【0063】
6mLのCHCN中の上記樹脂結合型N−({3’−[(4−メチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル)カルボニル]−3−ビフェニリル}メチル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド(100mg,0.89mmol/g(理論量),0.089mmol)の混合物へ、MeI(0.05mL)を加えた。その混合物を室温で一晩振盪した。その樹脂をCHCN(20mL×2)、DCM(20mL×2)、MeOH(20mL×2)、DCM(20mL×2)で洗浄し、次いで、真空オーブン中、35℃で一晩乾燥させた。DCE中の20%のTFA、3mLを用いてその樹脂を30分間分解し、次いで、再度、DCE中の20%のTFA、3mLで処理した。合わせた分解溶液を真空濃縮した。残りをDMSO中に溶解し、次いで、YMC ODS−A(C−18)カラム50mm×20mmIDを用いたGilson分取(semi−preparative)HPLC系を利用し、10%のB〜90%のBで3.2分間溶離させ[ここで、A=HO(0.1%のトリフルオロ酢酸)およびB=CHCN(0.1%のトリフルオロ酢酸)、ポンプ流量;25mL/分]、1分間保持することにより精製し、4−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)カルボニル]−1,1−ジメチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1)(白色粉末,8.4mg,6工程にわたって28%)を得た。MS(ESI):486[M]
【0064】
(生物学的実施例)
mAChRにおける本発明の化合物の阻害効果を以下のインビトロおよびインビボアッセイにより測定する:
【0065】
カルシウム動員による受容体活性化の阻害分析:
1)384−ウェルFLIPRアッセイ
ヒトMムスカリン性アセチルコリン受容体を安定に発現しているCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株を、10%のFBS、2mMのグルタミンおよび200ug/mlのG418を加えたDMEM中で成長させる。酵素もしくはイオンキレート化による方法のいずれかを用いるアッセイに備えて、管理およびプレート用の細胞を剥離する。FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)アッセイの前日、細胞を剥離し、再懸濁し、カウントし、次いで、50ul容量で、384ウェルあたり20,000細胞を与えるようにプレートする。アッセイプレートはブラッククリアーボトムプレート、Becton Dickinsonカタログ番号35 3962である。組織培養インキュベーター中、プレートした細胞を一晩37℃でインキュベーションした次の日にアッセイを行う。アッセイを行うために、培地を吸引し、次いで、細胞を1×アッセイバッファー(145mMのNaCl、2.5mMのKCl、10mMのグルコース、10mMのHEPES、1.2mMのMgCl、2.5mMのCaCl、2.5mMのプロベネシド(pH7.4.)で洗浄した。次いで、細胞を50ulのFluo−3色素(アッセイバッファー中、4uM)と一緒に60〜90分間37℃でインキュベーションする。カルシウム感受性色素により、細胞は、細胞内カルシウム貯蔵からのカルシウムの放出を介するリガンドに応答する、蛍光における増大を示すことが可能となる。細胞をアッセイバッファーで洗浄し、次いで、50ulのアッセイバッファー中に再懸濁し、次いで、実験に用いる。試験化合物およびアンタゴニストを25ul容量で加え、次いで、37℃で5〜30分間インキュベーションする。次いで、今度は、アゴニスト攻撃、アセチルコリンを用いて、各ウェルに2度目の添加を行う。それを、FLIPR装置に、25ul容量で加える。蛍光単位における変化によりカルシウム応答を測定する。阻害剤/アンタゴニストの活性を測定するために、アセチルコリンリガンドをEC80濃度で加え、次いで、用量応答希釈曲線を用いて、アンタゴニストIC50を測定することができる。Mについて用いた対照アンタゴニストはアントロピンである。
【0066】
2)96−ウェルFLIPRアッセイ
以前記載されているように、受容体活性化カルシウム動員をモニタリングすることにより、CHO細胞上で発現されているmAChRの刺激を分析した。96ウェルブラックウォール/クリアーボトムプレート中に、M mAChRを安定に発現しているCHO細胞をプレートした。18〜24時間後、培地を吸引し、次いで、100μlのローディング培地(Earl’s塩,0.1%のRIA−グレードBSA(Sigma,St.Louis MO)および4μMのFluo−3−アセトキシメチルエステル蛍光指示色素(Fluo−3 AM,Molecular Probes,Eugene,OR)を加えたEMEM)と交換し、次いで、37℃で1時間インキュベーションした。次いで、色素を含有する培地を吸引し、新鮮な培地(Fluo−3 AMなし)と交換し、次いで、細胞を37℃で10分間インキュベーションした。次いで、細胞を3回洗浄し、100μlのアッセイバッファー(0.1%のゼラチン(Sigma)、120mMのNaCl、4.6mMのKCl、1mMのKHPO、25mMのNaHCO、1.0mMのCaCl、1.1mMのMgCl、11mMのグルコース、20mMのHEPES(pH7.4))中、37℃で10分間インキュベーションした。50μlの化合物(アッセイ中、1×10−11〜1×10−5M最終)を加え、そのプレートを37℃で10分間インキュベーションした。次いで、プレートを蛍光強度プレートリーダー(FLIPR,Molecular Probes)中にセットし、そこで、色素をローディングした細胞を、6ワットのアルゴンレーザーからの励起光(488nm)に曝した。0.1%のBSAを含有するバッファー中で調製した50μlのアセチルコリン(0.1〜10nM最終)を50μl/秒で加えることにより、細胞を活性化した。サイトゾルのカルシウム濃度における変化としてモニタリングされるカルシウム動員を、566nmの発光強度における変化として測定した。発光強度における変化は、サイトゾルのカルシウムレベルに直接関連付けられる。同時に、冷却CCDカメラを用いて、全96ウェルから放出された蛍光を測定する。データポイントを毎秒集める。次いで、GraphPad PRISMソフトウェアを用いて、このデータをプロットし、解析した。
【0067】
メタコリンが誘導する気管支収縮
覚醒、無拘束のBalbCマウス(各群、n=6)において、メタコリンに対する気道応答性を測定した。圧プレスチモグラフィを用いて、メタコリンでの気管支の攻撃の間に生じる気道抵抗の変化と相関関係にあることが分かっている、ポウズの増大(Penh)、すなわち、単位のない尺度を測定した。50μlのビヒクル(10%のDMSO)中の50μlの化合物(0.003〜10μg/マウス)を用いてマウスの鼻腔内を予め処置し、次いで、プレスチモグラフィチャンバー内に置いた。そのチャンバー内で、一旦、マウスを10分間平衡状態とし、その後、5分間のベースラインPenh測定を行った。次いで、メタコリン(10mg/ml)のエアロゾルを用いて2分間マウスを攻撃した。メタコリンエアロゾルの攻撃開始から7分間連続してPenhを記録し、その後5分間攻撃を続けた。GraphPad PRISMソフトウェアを用いて、各マウスについてのデータを解析し、プロットした。
【0068】
本発明の化合物は、気道障害、例えば、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸器閉塞、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎を含むがこれらに限定されない様々な適応症を処置するために有用である。
【0069】
処方−投与
従って、本発明はさらに、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理機能誘導体(例えば、塩およびエステル)および医薬上許容される担体もしくは賦形剤ならびに所望により1またはそれ以上の他の治療成分を含む医薬処方を提供する。
【0070】
以後、用語「活性成分」は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理機能誘導体を意味する。
【0071】
式(I)の化合物は、口もしくは鼻を介して吸入投与され得る。
【0072】
吸入による肺への局所送達用のドライパウダー組成物は、吸入器もしくは粉末吸入器における使用のために、例えば、ゼラチンのごときカプセル剤およびカートリッジ中、またはラミネートアルミホイルのごときブリスター中にて提供されてもよい。一般的に、粉末ブレンド処方は、本発明の化合物を吸入するためのパウダーミックスおよび適当な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤物質)、例えば、モノ−、ジ−もしくはポリ−サッカライド(例えば、ラクトースもしくはデンプン)、有機もしくは無機塩(例えば、塩化カルシウム、リン酸カルシウムもしくは塩化ナトリウム)、多価アルコール(例えば、マンニトール)またはそれらの混合物、或いは、1もしくはそれ以上の添加物質を含有し、かかるブレンド処方に配合された添加剤は、以下に示されるように、処方もしくはその混合物の化学的および/または物理的安定性もしくは性能を改善する。ラクトースの使用が好ましい。一般的に、各カプセル剤もしくはカートリッジは、所望により他の治療活性成分と組み合わせて、20μg〜10mgの式(I)の化合物を含んでもよい。或いは、本発明の化合物は、賦形剤を用いることなく提供されてもよく、または共沈もしくはコーティングなどにより、化合物、所望により他の治療活性物質および賦形剤物質を含む粒子に処方されてもよい。
【0073】
適当には、医薬ディスペンサーは、リザーバードライパウダー吸入器(RDPI)、複数回投与用ドライパウダー吸入器(MDPI)および一定用量吸入器(MDI)からなる群より選択される型である。
【0074】
リザーバードライパウダー吸入器(RDPI)により、乾燥粉末形態の複数の(定量されていない用量の)医薬を含むために適するリザーバー形態のパックを有し、およびリザーバーからデリバリー位置までの医薬用量を計量するための手段を含む吸入器が意味される。計量手段は、例えば、計量カップまたは穴あきプレートであってもよく、カップがリザーバーからの医薬で充填されてもよい初めの位置から、定量された医薬用量を患者が吸入に利用できる第2の位置を可動する。
【0075】
複数回投与用ドライパウダー吸入器(MDPI)により、乾燥粉末形態の医薬を投与するために適する吸入器が意味され、ここで、医薬は、複数の一定用量(またはその部分)の医薬を含む(またはそうでなければ、それをもたらす)複数回投与用パック中に含まれる。好ましい一の態様において、担体はブリスターパックの形態であるが、例えば、カプセル剤ベースのパック形態か、または、その上に薬剤がプリント、ペイントおよび真空密閉を含む任意の適当な方法により塗布されている担体とすることもできる。
【0076】
処方は予め定量され得るか(例えば、ディスカスのように。GB 2242134を参照のこと。またはディスクヘイラーについては、GB 2178965、2129691および2169265を参照のこと)または使用時に定量され得る(例えばタービュヘイラーのように。EP 69715を参照のこと)。単位用量デバイスの一例は、ロタヘイラー(GB 2064336を参照のこと)である。吸入デバイス、ディスカスは、間隔を置いた多数のくぼみを有するベースシート、および密閉および剥離可能なリッドシートからなる伸縮性ストリップを含み、多数の容器を特徴としており、各容器は好ましくはラクトースと組み合わさっている式(I)の化合物を含む吸入用処方を有する。好ましくは、ストリップは十分に弾力があり、ロールに巻き取られる。好ましくは、リッドシートおよびベースシートは互いに封着できないリーディングエンド部分をもつが、少なくともそのリーディングエンド部分の1つは、巻き取り手段に付着するように作られている。また好ましくは、ベースとリッドのシート間の密封はシート全幅に伸びる。好ましくは、リッドシートはベースシートの一方の末端から縦方向にはがされてもよい。
【0077】
一の態様において、複数投与用パックは、乾燥粉末形態の医薬を封じ込めるための複数のブリスターを含むブリスターパックである。典型的に、ブリスターは、そこからの医薬の放出を容易にするために、規則的に並べられる。
【0078】
一の態様において、複数回投与用ブリスターパックは、ディスク型ブリスターパック上に通常円形に並べられた複数のブリスターを含む。別の態様において、複数回投与用ブリスターパックは、例えばストリップまたはテープを含む、伸縮形態である。
【0079】
好ましくは、複数回投与用ブリスターパックは、互いに剥離可能に固定された2つの部材の間で定められる。米国特許第5,860,419号、第5,873,360号および第5,590,645号は、この一般型の医薬パックを記載している。この態様において、通常、デバイスは該2部材を剥離し、各薬剤を封入するための剥離手段を含むオープニングステーションを備えている。適当には、シート全長にわたる多数の薬剤容器を特徴とする、剥離可能部分が伸縮性シートであるデバイスが用いられ、またこのデバイスは各容器に順に番号をつけるインデックス手段を備えている。より好ましくは、シートの一方が多数のくぼみを有するベースシートであり、他方のシートがリッドシートであるデバイスが用いられ、各くぼみおよびリッドシートの隣接部分を1容器と定義する。該デバイスはオープニングステーションでリッドおよびベースシートを引き離す駆動手段を含む。
【0080】
一定用量吸入器(MDI)により、エアロゾル形態の医薬を投与するために適当な医薬ディスペンサーが意味され、ここで、医薬は、噴霧剤ベースのエアロゾル医薬処方を含むために適切なエアロゾル容器中に含まれる。典型的に、エアロゾル容器は、エアロゾル形態の医薬処方を患者へ放出するために、定量バルブ、例えばスライドバルブを備えている。エアロゾル容器は一般的に、予め定量した医薬が1作動でバルブから供給されるように設計されており、該容器は、容器固定時にはバルブを押し、またはバルブ固定時には容器を押すことにより開けられる。
【0081】
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物は、例えば、水溶液または懸濁液として処方されてもよく、または適当な液状噴霧剤と一緒に、一定用量吸入器のごとき加圧式パックから送達されるエアロゾルとして処方されてもよい。吸入に適するエアロゾル組成物は、懸濁液または溶液であり得、および一般的には、所望により別の治療活性成分および適当な噴霧剤、例えば、フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはそれらの混合物、特に、ヒドロフルオロアルカン、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ−フルオロエタン、特に、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはそれらの混合物と組み合わせた、式(I)の化合物を含む。二酸化炭素または他の適当な気体が噴霧剤として用いられてもよい。エアロゾル組成物は賦形剤不含であってもよく、または所望により当業者によく知られているさらなる処方の賦形剤、例えば、オレイン酸またはレシチンなどの界面活性剤、およびエタノールなどの共溶媒を含んでもよい。加圧された処方は、一般的に、バルブ(例えば、定量バルブ)で閉鎖され、およびマウスピースを備えたアクチュエーターに取り付けられたキャニスター中に保持され得る。
【0082】
吸入投与のための医薬は、望ましくは、粒径を制御される。肺への局所送達のための気管支系への吸入のために最適な空気力学的粒径は、通常、1〜10μm、好ましくは、2〜5μmである。肺への全身投与を成し遂げるための肺胞領域への吸入のために最適な空気力学的粒径は、約0.5〜3μm、好ましくは、1〜3μmである。末梢気道に到達させるために吸入される場合、20μmよりも大きい空気力学的粒径を有する粒子は、一般的に、大きすぎる。処方の空気力学的粒径の平均は、例えば、カスケードインパクションにより測定されてもよい。幾何学的な粒径の平均は、例えば、レーザー回折、光学的手段により測定されてもよい。
【0083】
所望の粒径を成し遂げるために、生じる活性成分の粒子の大きさを、慣用的な手段、例えば、結晶化制御、微粒子化またはナノミリングにより、減じてもよい。所望のフラクションは、空気分級により分けられてもよい。或いは、所望の大きさの粒子は、例えばスプレー乾燥により直接形成されてもよく、スプレー乾燥のパラメーターを制御して、所望の大きさの範囲の粒子を生じる。好ましくは、粒子は結晶であり得るが、非晶物質も所望により用いられてもよい。ラクトースのごとき賦形剤が用いられる場合、一般的に、賦形剤の粒径は本発明内の吸入用医薬よりもはるかに大きいものであり得、その結果、「粗い」担体は呼吸に適さない。賦形剤がラクトースである場合、それは典型的には、粉砕ラクトースとして配合され得、ここで、ラクトース粒子の多くとも85%が60〜90μmのMMDを有し、および少なくとも15%が15μm未満のMMDを有し得る。担体に加えて、乾燥粉末混合物中の添加物質は、呼吸に適する、すなわち、空気力学的には10ミクロン未満であってもよく、または呼吸に適さない、すなわち、空気力学的には10ミクロン以上であってもよい。
【0084】
用いられてもよい適当な添加物質は、アミノ酸、例えば、ロイシン;水可溶性または水不溶性、天然または合成の界面活性剤、例えば、レシチン(例えば、大豆レシチン)および固体脂肪酸(例えば、ラウリン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)およびそれらの誘導体(例えば、塩およびエステル);ホスファチジルコリン;糖エステルを含む。添加物質は、着色剤、味のマスキング剤(例えば、サッカリン)、静電防止剤、滑沢剤(例えば、PCT公開番号WO 87/905213を参照のこと。該教示内容は出典明示により本発明の一部となる)、化学安定化剤、バッファー、防腐剤、吸収促進剤および当業者に知られている他の物質を含んでもよい。
【0085】
徐放性コーティング物質(例えば、ステアリン酸またはポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリ乳酸)も、活性物質または活性物質を含む粒子上にて用いられてもよい(例えば、米国特許第3,634,582号、独特許第1,230,087号、独特許第1,381,872号を参照のこと。該教示内容は出典明示により本発明の一部となる)。
【0086】
鼻腔内スプレーは、水性または非水性ビヒクルと一緒に、増粘剤、pHを調節するためのバッファー塩または酸もしくはアルカリ、等張化剤または抗酸化剤のごとき剤を添加して、処方されてもよい。
【0087】
ネブライザーによる(nebulation)吸入のための溶液は、水性ビヒクルと一緒に、酸もしくはアルカリ、バッファー塩、等張化剤または抗菌剤のごとき剤を添加して、処方されてもよい。それらは、濾過またはオートクレーブ中での加熱により滅菌されてもよく、或いは非滅菌製品として提供されてもよい。
【0088】
好ましい単位投与処方は、前記したような有効量の活性成分またはその適切なフラクションを含むものである。
【0089】
本明細書中にて引用した、特許および特許出願を含め、全ての文献は、出典明示によりその全てが本明細書の一部となる。
【0090】
上記記載は、その好ましい実施態様を含め、本発明を十分に開示する。本明細書中にて具体的に開示された実施態様の修飾および改善は、添付の特許請求の範囲内である。さらなる記載がなくとも、当業者は上記記載を用いて、本発明を最大限に利用し得るものと考えられる。故に、本明細書中の実施例は単なる例示と解釈されるべきであり、および本発明の範囲は決して限定されない。独占的な特性または特権が主張される本発明の実施態様は、添付の特許請求の範囲にて定義の通りである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す式I:
【化1】

[式中、
ArおよびArは独立して、置換されていてもよいフェニルおよび置換されていてもよい単環ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、NR6R7R8であるか、或いは置換されていてもよい飽和もしくは部分飽和の4〜10員環系であり、その1またはそれ以上の環は、1またはそれ以上の4級アンモニウム窒素を含み、かつ1またはそれ以上の2級窒素、3級窒素、OもしくはSを含んでいてもよく;
は、I、Br、Cl、F、CFCOO、メシレートおよびトシレートからなる群より選択される医薬上許容されるカウンターイオンであり;
Xは、C(R1)またはC(O)であり;ここで、XがC(R1)の場合、mは0〜3の整数であり;XがC(O)の場合、mは1であり;
pは、0〜2の整数であり;
nは、0〜3の整数であり;
Yは、C(O)、S(O)、HNC(O)またはOC(O)であり;ここで、qは1もしくは2であり;
R1およびR2は独立して、水素、置換されていてもよいC−C10アルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい複素環アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
R3は、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10アルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリールアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここで、置換されている場合、一つの基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)m’1−10アルキル、C(O)R4、C(O)NR4R5;C(O)OH;S(O)NR4R5、NHC(O)R4、NHS(O)R4、C1−10アルキル、アルケニル、ハロ置換C1−10アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択される1またはそれ以上のラジカルで置換され、ここで、これらのアリールもしくはヘテロアリール部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)m’1−10アルキル、C1−10アルキルもしくはハロ置換C1−10アルキルで1〜2回置換されていてもよく;
m’は0、1もしくは2であり;
R4およびR5は独立して、水素、置換されていてもよいC1−10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;またはR4およびR5はそれらが結合している窒素と一緒になって、OおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成し;および
R6、R7およびR8は独立して、水素、置換されていてもよいC1−10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよい複素環および置換されていてもよい複素環アルキルからなる群より選択されるか;またはR7およびR8はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、NおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成する]
の化合物またはその任意の他の医薬上許容される塩。
【請求項2】
ArおよびArが独立して、置換されていてもよいフェニルおよび置換されていてもよい単環ヘテロアリールからなる群より選択される;
が、置換されていてもよい飽和もしくは部分飽和の4〜10員環系であり、ここで、その1またはそれ以上の環は、1またはそれ以上の4級アンモニウム窒素を含み、かつ1またはそれ以上の2級窒素もしくは3級窒素を含んでいてもよい;
が、I、Br、Cl、F、CFCOO、メシレートおよびトシレートからなる群より選択される医薬上許容されるカウンターイオンである;
XがC(R1)であり、mは1である;
pが2である;
nが1〜3の整数である;
YがC(O)またはS(O)であり;ここで、qは1または2である;
R1が水素である;
R2が、水素、置換されていてもよいC−C10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい複素環アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択される;
R3が、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10アルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルおよび置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキルからなる群より選択され;ここで、置換されている場合、一つの基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)m’1−10アルキル、C(O)R4、C(O)NR4R5;C(O)OH;S(O)NR4R5、NHC(O)R4、NHS(O)R4、C1−10アルキル、アルケニル、ハロ置換C1−10アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択される1またはそれ以上のラジカルで置換されており、ここで、これらのアリールまたはヘテロアリール部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)1−10アルキル、C1−10アルキルまたはハロ置換C1−10アルキルで1〜2回置換されていてもよく;およびm’は0、1または2である;
R4およびR5が独立して、水素、置換されていてもよいC1−10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;またはR4およびR5はそれらが結合している窒素と一緒になって、OおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成する;および
R7およびR8が独立して、水素、置換されていてもよいC1−10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよい複素環および置換されていてもよい複素環アルキルからなる群より選択されるか;またはR7およびR8はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、NおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成する:
からなる群より選択される請求項1記載の化合物またはその任意の他の医薬上許容される塩。
【請求項3】
ArおよびArが独立して、置換されていてもよいフェニルである;
が、置換されていてもよい飽和もしくは部分飽和の5〜8員環系であり、その1またはそれ以上の環は、1またはそれ以上の4級アンモニウム窒素を含み、かつ1またはそれ以上の2級窒素もしくは3級窒素を含んでいてもよい;
が、I、Br、Cl、F、CFCOO、メシレートおよびトシレートからなる群より選択される医薬上許容されるカウンターイオンである;
XがC(R1)である;
R1が水素である;
pが2である;
mが1である;
nが1である;
YがC(O)またはS(O)であり;ここで、qは1または2である;
R2が、水素、置換されていてもよいC−C10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい複素環アルキル、置換されていてもよいアリールアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択される;
R3が、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10アルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルおよび置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキルからなる群より選択され;ここで、置換されている場合、一つの基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、S(O)1−10アルキル、C(O)R4、C(O)NR4R5;C(O)OH;S(O)NR4R5、NHC(O)R4、NHS(O)R4、C1−10アルキル、アルケニルおよびハロ置換C1−10アルキルからなる群より選択される1またはそれ以上のラジカルで置換され;ここで、m’は0、1または2である;
R4およびR5が独立して、水素、置換されていてもよいC1−10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;またはR4およびR5はそれらが結合している窒素と一緒になって、OおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成する;ならびに
R7およびR8が独立して、水素、置換されていてもよいC1−10アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキル、置換されていてもよいC−C10シクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよい複素環および置換されていてもよい複素環アルキルからなる群より選択されるか;またはR7およびR8はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、NおよびSから選択されるさらなる1個のヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成する;
からなる群より選択される請求項1記載の化合物またはその任意の他の医薬上許容される塩。
【請求項4】
1−メチル−1−({3’−[({[4−(メチルオキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)メチル]−3−ビフェニリル}メチル)ピペリジニウム・トリフルオロアセテート;
1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチルピペリジニウム・トリフルオロアセテート;
1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチルピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);
1,1−ジメチル−4−({3’−[({[4−(メチルオキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)メチル]−3−ビフェニリル}メチル)ピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);
4−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1,1−ジメチルピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);
1−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)メチル]−1−メチル−3−オキソピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート;
4−[(3’−{[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]メチル}−3−ビフェニリル)カルボニル]−1,1−ジメチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1);および
4−{[3’−({[(3−シアノフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3−ビフェニリル]メチル}−1,1−ジメチルピペラジン−1−イウム・トリフルオロアセテート−トリフルオロ酢酸(1:1):
からなる群より選択される請求項1記載の化合物または任意の他の医薬上許容されるカウンターイオンおよび/または塩。
【請求項5】
請求項1記載の化合物およびその医薬上許容される担体を含む、ムスカリン性アセチルコリン受容体介在疾患を処置するための医薬組成物。
【請求項6】
その必要のある哺乳類においてアセチルコリンとその受容体の結合を阻害する方法であって、安全かつ有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項7】
アセチルコリンがその受容体に結合している、ムスカリン性アセチルコリン受容体介在疾患の処置方法であって、安全かつ有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項8】
疾患が、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸器閉塞、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
口または鼻を介して吸入投与される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
リザーバードライパウダー吸入器、複数回投与用ドライパウダー吸入器または一定用量吸入器から選択される医薬ディスペンサーを介して投与される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
化合物がヒトに投与され、かつ12時間またはそれ以上の作用持続時間を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
化合物が24時間またはそれ以上の作用持続時間を有する、請求項11記載の方法。
−ジメチル−
【請求項13】
化合物が36時間またはそれ以上の作用持続時間を有する、請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2007−530451(P2007−530451A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502970(P2007−502970)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/007822
【国際公開番号】WO2005/086873
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】