説明

施設情報表示装置及び施設情報表示システム

【課題】使用者がカメラを向けて撮影した付近に存在する施設の適切な詳細情報を簡単に表示することができる施設情報表示装置を提供する。
【解決手段】施設の詳細な情報を表示することが出来る施設情報表示装置であって、現在位置を検出する現在位置検出手段と、被写体を撮影する撮影手段と、撮影手段が向いている方向を検出する方向検出手段と、施設情報表示装置の各種操作を行う入力手段と、情報を表示する表示手段と、施設の位置情報と共に前記施設の詳細な情報を保持するデータベースと、入力手段によって撮影操作が行われた時に現在位置検出手段で検出された現在位置と方向検出手段で検出された方向から現在位置を中心とする範囲内にある施設を前記データベースから検索する情報検索手段とを備え、情報検索手段で検索された施設の詳細な情報を表示手段に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在置付近にある施設などの詳細情報を表示することができる施設情報表示装置及び施設情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な施設情報表示装置は、例えばカーナビゲーション装置や、PND(Portable Navigation Device:持ち運び可能ナビゲーション)装置、PDA(小型情報端末)や携帯電話のインターネットブラウザ機能を利用した施設情報表示機能が知られている。これらは、表示された地図上に重畳表示された施設マークを選択することでその施設の詳細情報を表示したり、施設の名称の一部または全てを入力することで、検索結果が表示された一覧から所望の施設を選択することでその施設の詳細情報を表示することができるように構成されている。また、GPS衛星からの電波を受信し、現在地を計算することで施設マークが重畳表示された現在地付近の地図を表示することが出来るように構成されている。
【0003】
ところでこのような端末装置を用いて使用者が旅行中に目の前にある施設の詳細な情報、例えば施設の電話番号や営業時間等の施設に関する情報を見たい場合には、現在地の地図を表示させて目の前の施設と思われる施設マークを選択したり、施設の名称を入力して一覧から所望の施設を選択することで施設に関する情報を見ることができるが、現在地付近の地図を使用者がそのとき向いている方向とあわせた上で表示された複数の施設マークから所望の施設マークを選択する必要があり、そのためには地図を読む能力が少なからず必要となる。もしくは、所望の施設名称を入力するために、その施設の名称を知っておく必要があった。
【0004】
このため施設情報表示装置の操作になれていない使用者にとっては、簡単に施設の情報を表示することが難しいこともあり、このような課題を解消するためにカメラに写った実写映像の中から使用者が情報を表示したい施設を選択すると、画像認識により選択された施設の詳細な情報を表示するナビゲーション装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。また、カメラで撮影した時点の位置情報をサーバーに送信し、サーバー側で位置情報から撮影された場所の名称(地名や施設名など)を検索し、撮影した写真に名称を付加して保存することが出来るカメラつき携帯電話装置が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−138556号公報
【特許文献2】特開2008−85408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の施設情報表示装置では、画像認識して選択された施設を特定する必要があり、そのためには処理能力の高いCPU(中央処理装置)が必要となるため施設情報表示装置の構成が高価になってしまう恐れがあった。また、撮影された写真とマッチングさせて施設を特定するために予め様々な施設の形状情報を記憶したデータベースが必要となり、画像認識の精度を向上させるためには常に最新の位置及び形状情報を保持する必要があるなど維持管理が非常に煩雑となっていた。
【0006】
また、サーバー側で撮影された場所の名称を検索するには、撮影位置を中心とし円または扇形のいずれかの範囲内から抽出するように構成されており、円で抽出した場合は、カメラを向けた方向ではない方向の名称も抽出してしまう(具体的にはカメラの後方の名称
も抽出)恐れがあり、抽出の仕方によっては適切でない名称が付与されてしまう恐れがある。また、扇形で抽出した場合は、カメラを向けた方向の名称は適切に抽出することができるが、例えば有名施設のすぐそばでその施設に背を向けて撮影した場合、使用者が所望する名称はその施設である場合が多いと思われるが、使用者の後方に有名施設があるため必ずしも所望する名称が付与なされない恐れがある。例えば、付与される名称が持つ位置情報は緯度経度という「点」で表現されているため、たとえば大型ショッピングセンターや遊園地など、その施設がある程度の面積を持った「面」である場合、撮影した地点、撮影した方向から抽出する範囲の中に、その「点」が存在しないと、その名称は付与されないことなり、使用者にとっては不便である。
【0007】
これらの課題を解決するために本発明の目的は、使用者がカメラを向けて撮影した付近に存在する施設の適切な詳細情報を簡単に表示することができる施設情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の施設情報表示装置は、施設の詳細な情報を表示することが出来る施設情報表示装置であって、現在位置を検出する現在位置検出手段と、被写体を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が向いている方向を検出する方向検出手段と、前記施設情報表示装置の各種操作を行う入力手段と、情報を表示する表示手段と、施設の位置情報と共に前記施設の詳細な情報を保持するデータベースと、前記入力手段によって撮影操作が行われた時に前記現在位置検出手段で検出された現在位置と前記方向検出手段で検出された方向から現在位置を中心とする範囲内にある施設を前記データベースから検索する情報検索手段とを備え、前記情報検索手段で検索された施設の詳細な情報を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明の施設情報表示装置によれば、撮影操作が行われた時に現在位置検出手段で検出された現在位置と方向検出手段で検出された方向から現在位置を中心とする範囲内になる施設をデータベースから検索して、検索結果として施設の詳細な情報を表示手段に表示することができるように構成されている。
【0010】
また、本発明の施設情報表示システムは、様々な情報が保持された情報サーバーと、前記情報サーバーと通信を行い取得した情報を表示することができる施設情報表示装置で構成された施設情報表示システムであって、前記情報サーバーは、施設の位置情報と共に前記施設の詳細情報を保持するデータベースと、前記施設情報表示装置と通信を行う通信手段と、を備え、前記施設情報表示装置は、現在位置を検出する現在位置検出手段と、被写体を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が向いている方向を検出する方向検出手段と、前記施設情報表示装置の各種操作を行う入力手段と、情報を表示する表示手段と、前記入力手段によって撮影操作が行われた時に前記現在位置検出手段で検出された現在位置と前記方向検出手段で検出された方向から現在位置を中心とする範囲内にある施設を前記データベースで検索する情報検索手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明の施設情報表示システムによれば、撮影操作が行われた時に現在位置検出手段で検出された現在位置と方向検出手段で検出された方向から現在位置を中心とする範囲内になる施設に関する情報を情報サーバーのデータベースから情報を取得して、検索結果として施設の詳細な情報を表示手段に表示することができるように構成されている。
【0012】
また、本発明の施設情報表示装置の前記情報検索手段は、前記現在位置検出手段で検出された前記現在位置と前記方向検出手段で検出された前記方向から第1の距離と前記第1の距離よりも長い値の第2の距離とをあらかじめ定め、前記現在位置を中心とする前記第
1の距離を半径とする円と前記第2の距離を半径としあらかじめ定められた角度を中心角とする扇形の両方で囲まれる範囲内にある施設を検索することを特徴とする。
【0013】
このように構成された本発明の施設情報表示装置によれば、撮影操作が行われた時に現在位置検出手段で検出された現在位置と方向検出手段で検出された方向から該当する施設をデータベースから検索する際に、現在位置検出手段で検出された前記現在位置と前記方向検出手段で検出された前記方向から第1の距離と前記第1の距離よりも長い値の第2の距離とをあらかじめ定め、現在位置を中心とする第1の距離を半径とする円と第2の距離を半径としあらかじめ定められた角度を中心角とする扇形の両方で囲まれる範囲内にある施設と判断するようにすることで精度よく撮影操作を行った施設の情報を表示手段に表示することができる。
【0014】
また、本発明の施設情報表示装置の前記情報検索手段は、前記現在位置検出手段で検出された前記現在位置と前記方向検出手段で検出された前記方向から第1の距離と、前記第1の距離よりも長い値の第2の距離と、施設の分類ごとに第3の距離と第4の距離とをあらかじめ定め、前記現在位置を中心とし、前記第1の距離と前記第3の距離の和を半径とする円と、前記現在位置を中心とし、前記第2の距離と前記第4の距離の和を半径としあらかじめ定められた角度を中心角とする扇形との両方で囲まれる範囲内にある施設を検索することを特徴とする。
【0015】
このように構成された本発明の施設情報表示装置によれば、撮影操作が行われた時に現在位置検出手段で検出された現在位置と方向検出手段で検出された方向から該当する施設をデータベースから検索する際に、現在位置検出手段で検出された現在位置と方向検出手段で検出された方向から第1の距離と、第1の距離よりも長い値の第2の距離と、施設の分類ごとに第3の距離と第4の距離とをあらかじめ定め、現在位置を中心とし、第1の距離と第3の距離の和を半径とする円と、現在位置を中心とし、第2の距離と第4の距離の和を半径としあらかじめ定められた角度を中心角とする扇形との両方で囲まれる範囲内にある施設を検索することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者は、詳細な情報を見たい施設に向かって施設情報表示装置のカメラで撮影するだけで撮影方向にある施設に関する詳細情報を簡単に得ることができる。
【0017】
また、通信装置を持った施設情報表示装置であれば、情報サーバー内に保存された情報を検索して表示することができるため、施設情報表示装置に施設の情報を保持しておく必要がなく、記憶領域を削減することが出来ることにより施設情報表示装置をより安価で提供することができる。
【0018】
また、検索対象となる施設は、現在地から円と扇形を組み合わせた範囲内に存在する施設を検索対象施設にしているので、使用者が所望の施設に背を向けてカメラで撮影しても、カメラを向けた方向に対して前方及び後方を含めて近い施設順に検索対象として処理を行うので正確な施設情報を表示することができる。
【0019】
また、検索対象となる施設の分類ごとに、検索範囲となる円と扇形の半径を変更することができるように構成しているので、大型ショッピングセンターや遊園地などの広い施設の詳細な情報を見たい場合でも、検索範囲を適切に広げて使用者が所望する施設の情報を表示することができ、また、お店など狭い施設の詳細な情報を見たい場合であっても、検索範囲を適切に狭くすることで使用者が所望しない施設を検索対象から除外することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る施設情報表示装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図2】図1に示した施設情報表示装置の詳細な動作を示すフローチャート
【図3】本実施形態における検索する円と扇形の半径の値を示した図
【図4】本実施形態における、検索する円と扇形の半径に加算するジャンルごとに定められた値を示した図
【図5】図2に示した施設の検索処理の詳細な動作を示すフローチャート
【図6】本実施形態における表示部に表示される施設の詳細な情報の表示例を説明するための模式図
【図7】本実施形態における、現在位置と施設の位置関係を示した模式図
【図8】本実施形態における現在位置と施設の位置関係においてレストランと検索範囲を示した模式図
【図9】本実施形態における現在位置と施設の位置関係において公園と検索範囲を示した模式図
【図10】本実施形態における現在位置と施設の位置関係においてスタジアムと検索範囲を示した模式図
【図11】本実施形態における現在位置と施設の位置関係においてテーマパークと検索範囲を示した模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る施設情報表示装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の施設情報表示装置1は、CPU2と、入力装置3と、インターフェース(図1にはI/Fと略記)4と、GPS受信機4aと、電子コンパス4bと、アンテナ5と、カメラ6と、記憶装置7と、ROM8と、RAM9と、表示装置10と、バスライン11と、を備えて構成されている。
【0022】
ここでCPU2は、施設情報表示装置を構成する各部の動作を制御することができるように構成されている。また、CPU2には、ROM8に格納されたコンピュータプログラム8aを実行することにより、GPS受信機4aで取得した情報から現在位置と電子コンパス4bから取得した方向を検出する現在位置検出部101と、現在位置検出部101で検出された現在位置周辺にある施設を検索する周辺施設検索部102と、周辺施設検索部102で検索された施設を表示部10に表示することを制御する施設情報表示制御部103とを備えて構成されている。
【0023】
なお、現在位置検出部101は、施設情報表示装置の現在位置と方向を定期的に検出することができるように構成されており、具体的には、現在位置検出部101は、GPS受信機4aから施設情報表示装置の現在位置を含む位置情報を取得し、電子コンパス4bから施設情報表示装置が向いている方角情報を取得することができるように構成されている。
【0024】
周辺施設検索部102は、使用者が情報を表示したい施設にカメラ6を向け、入力装置3を操作することにより撮影された時点の、施設情報表示装置1の位置およびカメラ6が向いている方角を中心点とし、あらかじめ定められた範囲に存在する施設を、RAM9に読み出された施設情報を使って検索し、RAM9に格納することができるように構成されている。
【0025】
施設情報表示制御部103は、周辺施設検索部102で検索された施設の詳細な情報を
カメラで撮影した画像とは別に施設情報として表示装置10に表示することができるように構成されている。また、周辺施設検索部102で検索された施設が複数ある場合は、使用者が入力装置3を操作することにより、情報を表示する施設を切り換えて表示することができるように構成されている。
【0026】
入力装置3は、例えばタッチパネルやリモートコントローラのように、施設情報表示装置1に対して使用者による操作入力を行うことができるように構成されている。
【0027】
インターフェース4は、GPS受信機4a及び電子コンパス4bが接続されて構成されている。ここで、GPS受信機4aは、アンテナ5を通じて、GPS(Global Positioning System)に代表される測位システムに収容される人工衛星からの電波を受信して、移動体の現在位置を示す位置情報をインターフェース4に出力することができるように構成されている。また、電子コンパス4bは、地磁気センサを含んでおり、それらにより検出された施設情報表示装置1が向いている方角情報をインターフェース4に出力することができるように構成されている。さらにインターフェース4は、入力された位置情報、並びに方角情報をバスライン11でCPU2に転送することができるように構成されている。
【0028】
カメラ6は、典型的にはデジタルスチルカメラであり、撮影された風景などをデジタルデータ化し、バスライン11を介してRAM9に転送することができるように構成されている。
【0029】
記憶装置7は、HDD(ハードディスクドライブ)に代表される記録媒体7aとその駆動装置7bとを含んで構成されている。ここで記録媒体7aには、施設情報を表示するために必要な施設情報データベースが記録されて構成されている。また、駆動装置7bは、記録媒体7aから必要な施設情報を読み出してRAM9に転送することができるように構成されている。なお、記憶媒体7aのその他の媒体としては、例えばCD−ROM、DVD−ROM、メモリーカードやROMなどが挙げられる。
【0030】
ROM8は、施設情報表示装置1の動作を規定するコンピュータプログラム8aが少なくとも格納されて構成されている。
【0031】
RAM9は、施設情報表示装置1の構成各部から転送されてくる情報を格納し、さらには必要に応じて情報を消去することができるように構成されている。
【0032】
表示装置10は、検索された施設の詳細な情報を表示することができるように構成されている。具体的には例えば液晶ディスプレイなどで構成されている。
【0033】
バスライン11は、施設情報表示装置1の構成各部を通信可能にするために各部を接続して構成されている。
【0034】
次に、図1に示した施設情報装置の詳細な動作について、図2〜図11を参照して説明する。図2は、図1に示した施設情報表示装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【0035】
図2に示すように、施設情報表示装置1は、カメラ6に映っている映像を表示装置10に表示する(S11)と同時に施設情報表示装置1の現在位置とカメラ6が向いている方角を検出する(S12)。次に、使用者が施設情報表示装置1の入力装置3に対して撮影操作を行ったかどうかの判断を行う(S13)。S13において、施設情報表示装置1の利用者が撮影操作を行っていないと判断されると(S13、No)、S11に戻って、カ
メラ6で撮影しているカメラ映像を表示装置10に表示し続ける。
【0036】
また、S13において、利用者が施設情報表示装置1の入力装置3に対して撮影操作を行ったと判断されると(S13、Yes)、S12で検出した現在位置と方角を用いて周辺施設検索部102で現在位置周辺の施設を検索する(S14)。なお、S14における処理については、別途、図5を用いて詳細な説明を後述する。
【0037】
次に、S14において周辺施設検索部102で検索した検索結果があるか否かの判定を行う(S15)。ここで、S15において、周辺施設検索部102での検索結果が無いと判断された場合(S15、No)、該当する施設情報が無いことを示すエラーを表示装置10に表示し(S17)、S11に戻ってカメラ映像を表示装置10に表示する状態に戻す。また、S15において周辺施設検索部102によって検索結果があると判断された場合(S15、Yes)、施設情報表示制御部103は検索された複数の施設のうち現在位置から最も近い施設の詳細な情報をカメラ映像とは別に表示装置10に表示する(S16)。
【0038】
次に、施設情報表示制御部103は、使用者が「次の施設」を表示するための操作を入力装置3から行ったかどうかを判断する(S18)。S18において、入力装置3から次の施設を表示するための操作があったと施設情報表示制御部103が判断すると(S18、Yes)、施設情報表示制御部103は検索された施設のうち表示中の施設の次に近い施設の詳細な情報を表示する(S19)。
【0039】
次に、施設情報表示制御部103は、入力装置3から使用者が表示終了の操作または電源OFFの操作を行ったかどうかを判断する(S20)。ここでS20において、入力装置3から表示終了の操作または電源OFFの操作を行わなかったと判断すると(S20、No)、そのまま表示装置10に施設の詳細情報の表示を続けS18に戻る。また、S20において、入力装置3から表示終了の操作または電源OFFの操作が行われたと判断された場合(S20、Yes)、入力装置3から操作が電源OFFの操作なのか否かを判断する(S21)。S21において、入力装置3から施設情報表示装置1の電源OFFの操作を行っていないと判断した場合(S21、No)、S11に戻りカメラ6で撮影されているカメラ映像を表示装置10に表示する。また、S21において、入力装置3から施設情報表示装置1の電源OFFの操作が行われたと判断した場合(S21、Yes)、施設情報表示装置1の電源をOFFにして終了する。
【0040】
ここで図2における施設を検索するフローチャートのS14の処理について、図面を用いて詳細に説明する。まず、S14の処理について説明するにあたり、本実施形態における検索する円と扇形の半径について図3を用いて説明し、また、図3に示した本実施形態における検索する円と扇形の半径に加算するジャンル毎に定められた値を示した図について図4を用いて説明する。
【0041】
図3に示すように、図2のS14における施設を検索する処理において、施設を検索する範囲を示す一実施形態としての具体例である。図3に示すように、基本円半径R1は、現在地を中心として検索する円の半径である。また、基本扇形半径R2は、現在地を中心として検索する扇形の半径である。なお、R1、R2の具体例として、本実施の形態ではR1を100m、R2を350mとして説明する。また、図3に示す値は、コンピュータプログラム8a内に定義されているものとする。
【0042】
また図4は、図2のS14における施設を検索する処理において、施設を検索する範囲を施設のジャンルごとに加算する値の一実施形態としての具体例である。図4に示すように、加算円半径Ra1は、基本円半径R1に加算される値であり、加算扇形半径Ra2は
、基本扇形半径R2に加算される値である。それぞれ、施設のジャンルごとに規定されている。Ra1、Ra2の具体例としてここでは、ジャンルが「神社・寺院」の場合、Ra1、Ra2はそれぞれ100m、100mとし、ジャンルが「ホテル」の場合は、Ra1、Ra2はそれぞれ0m、0mなどとしている。なお、図4に示す値は、コンピュータプログラム8a内に定義されているものとする。
【0043】
次に、図3と図4で示した、基本円半径R1、基本扇形半径R2、加算円半径Ra1、加算扇形半径Ra2を用いて図2におけるS14の詳細な処理について図5を用いて説明する。
図5に示すように、周辺施設検索部102は、仮検索半径Rxを計算する(S31)。ここで仮検索半径Rxは、加算円半径Ra1のうち最大値と基本円半径R1の和と、加算扇形半径Ra2のうち最大値と基本扇形半径R2の和の大きい方を仮検索半径Rxとしている。例えば、図3と図4の具体例を用いて説明すると、図4の項番3の「テーマパーク」の基本扇形半径R2=350mと加算扇形半径Ra2=500mの和である850mが仮検索半径Rxの値となる。
【0044】
次に、周辺施設検索部102は、現在位置を中心に半径Rxの円内にある施設を仮検索する(S32)。S32において周辺施設検索部102で行った検索において仮検索結果が1つ以上あるかどうか判定する(S33)。S33において仮検索結果が0と判定された場合は(S33、No)、施設検索処理を終了して、図2に示すS15に進み処理を続ける。また、S33において仮検索結果が1つ以上あると判定された場合は(S33、Yes)、仮検索結果のそれぞれの施設が本検索結果として適切な範囲に入っているか否かを判断するため、まずは変数Nを0に初期化する(S34)。次に、変数Nが仮検索結果数よりも小さいか否かを判定する(S35)。S35において変数Nが仮検索結果数以上の場合は(S35、No)、全ての仮検索結果の施設が本検索の範囲内に入っているか否かの確認が終了したとして図5に示す施設検索処理を終了して図2に示すS15に進み処理を続ける。また、S35において変数Nが仮検索結果数より小さいと判定した場合は(S35、Yes)、全ての仮検索結果の施設が本検索の範囲内に入っているか否かの確認が終了していないので、仮検索結果N番目の施設のジャンルAを特定する(S36)。
【0045】
次に、S36で特定されたジャンルAの加算円半径Ra1と加算扇形半径Ra2を、図4に示すテーブルより特定する(S37)。そして仮検索結果N番目の施設の緯度経度を参照して、図2に示したS12の処理で検出された現在位置を中心として半径R1+Ra1の円内に存在するかどうか、またはステップS12で検出された現在位置とカメラの方角を中心として特定の中心角を持つ半径R2+Ra2の扇形内に存在するか否かを判断する(S38、S39)。S39において仮検索結果N番目の施設が半径R1+Ra1の円内に存在または半径R2+Ra2の扇形内の場合は(S39、Yes)、仮検索結果N番目の施設を本検索結果として記憶する(S40)。S40において本検索結果として記憶した後に、次に該当する施設を判断するため変数Nに1を加算し(S41)、S35に戻り処理を行う。なお、S39において仮検索結果N番目の施設が半径R1+Ra1の円内にも、半径R2+Ra2の扇形内にも無いと判断した場合は(S39、No)、次に該当する施設を判断するために変数Nに1を加算し(S41)、S35に戻り処理を続ける。
【0046】
なお、図6は、図2のS16における施設の詳細な情報の表示例である。施設の詳細な情報の具体例としては、施設名、写真、説明文、電話番号、住所、交通アクセス情報、営業時間、定休日、駐車場有無、などである。
【0047】
また、S31からS41までの処理について、図7から図11を参照して一実施形態として具体的に説明をする。
図7は、本実施形態における、現在位置と施設の位置関係を示した模式図である。図8
は、本実施形態における現在位置と施設の位置関係においてレストランと検索範囲を示した模式図である。図9は、本実施形態における現在位置と施設の位置関係において公園と検索範囲を示した模式図である。図10は、本実施形態における現在位置と施設の位置関係においてスタジアムと検索範囲を示した模式図である。図11は、本実施形態における現在位置と施設の位置関係においてテーマパークと検索範囲を示した模式図である。
【0048】
図7に示すように、△は施設情報表示装置の現在位置であり、○はレストラン、◎は公園、□はスタジアム、☆はテーマパークを意味し、それぞれ現在位置からの位置関係を示している。また、図7における円は、図5に示した周辺施設検索部102の処理におけるS31で計算された仮検索半径Rx=350m+500mの円である。次にS32において仮検索半径Rxの円内にある施設を検索する。本実施形態では、図7に示すようにレストラン○6は、Rx円内にはないため、仮検索結果として検索されるのは、レストラン○1から○5と、公園◎1と◎2と、スタジアム□1と□2と、テーマパーク☆1となり、S33において仮検索結果有となる(S33、Yes)。
【0049】
S33におい仮検索結果が有ると判断されたので、S34において変数Nを0として、変数Nが仮検索件数よりも小さいか判断をS35で行う。このとき、前記したが複数の施設があり変数Nの値が仮検索件数よりも小さいため(S35、Yes)、S36において検索する施設のジャンルを特定する。そしてS36で特定されたジャンルの加算円半径Ra1と加算扇形半径Ra2を図4に示したデータから特定する(S37)。ここで、図4よりレストランの加算円半径Ra1は0m、加算扇形半径Ra2は0mが導き出される。
【0050】
その結果、S38において、R1+Ra1=100mの円内、またはR2+Ra2=350mの扇形内に存在する施設がS40にて本検索結果として記憶される施設となる。なお、本実施形態における扇形の中心角は45°としている。実施形態において、本発明の検索結果として記憶されるのは、図8に示すように、円内で示される範囲内に存在する、レストラン○1と○2、及び、扇形の部分で示される範囲内に存在する、レストラン○3となる。レストラン○1と○2は、現在向いている方向に対して後方も含む、現在位置周辺に存在する施設であり、レストラン○3は、現在向いている方向に存在する施設である。
【0051】
同様に、図9に示すように、本実施形態において公園◎だけを表した図であり、前記したレストランの処理と同じように、S37において図4から公園の加算円半径Ra1は100m、加算扇形半径Ra2は100mが導き出される。その結果、S38において、R1+Ra1=200mの円内、またはR2+Ra2=450mの扇形内に存在する施設がS40にて本検索結果として記憶される施設となる。この結果、本実施形態では、本検索結果として記憶されるのは、図9に示した円内及び扇形の部分で示される範囲内に存在する、公園◎1と公園◎2となる。
【0052】
また、同様に、図10に示すように、本実施形態においてスタジアム□だけを表した図であり、また、図11で示されるのは、本実施形態においてテーマパーク☆だけを表した図である。
【0053】
図10に示したスタジアムに対するS38の処理における円と扇形の半径は、R1+Ra1=400m、R2+Ra2=650mとなる。また、図11に示したテーマパークに対するS38の処理における円と扇形の半径は、R1+Ra1=600m、R2+Ra2=850mとなる。これより前記したように、本実施形態において、図10に示したスタジアムの本検索結果として記憶されるのは、扇方部分に存在する□2のみである。また、図11に示してテーマパークの本件策結果として記憶されるのは、扇形部分に存在する☆1のみとなる。
【0054】
なお、以上示した実施形態における施設のデータベースは、施設情報表示装置に内蔵するように構成したが、本発明を限定するものではなく、施設情報表示装置に通信装置を設けインターネット上に配置された情報サーバーに常に新しい情報に更新可能に保存された施設のデータベースを設け、そのデータベースを取得して施設を検索するように構成してもよい。なお、インターネット上に配置された情報サーバーで施設を検索する具体例については、既知の技術であるため説明を割愛する。
【0055】
また、本発明の実施形態おける施設の詳細な情報は、その施設の施設名、写真、説明文、電話番号、住所、交通アクセス情報、営業時間、定休日、駐車場有無、の情報としたが、本発明を限定するものではなく、その施設のおすすめメニューや料金、説明のための音声データなどを含んでもよく、特にその内容に関して種々に変更しても同様の効果を有すことができる。
【0056】
また、本発明の実施形態において、図3、図4で示したように基本円半径R1、基本扇形半径R2、加算円半径Ra1、加算扇形半径Ra2を設定して説明を行っているが、本発明を限定するものではなく、適時数値を変更しても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る施設情報表示装置は、簡単な操作で施設に関する詳細情報を表示することができ施設情報表示装置の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 施設情報表示装置
2 CPU
3 入力装置
4 インターフェース
4a GPS受信機
4b 電子コンパス
5 アンテナ
6 カメラ
7 記憶装置
7a 記録媒体
7b 駆動装置
8 ROM
8a コンピュータプログラム
9 RAM
10 表示装置
11 バスライン
101 現在位置検出部
102 周辺施設検索部
103 施設情報表示制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の詳細な情報を表示することが出来る施設情報表示装置であって、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
被写体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が向いている方向を検出する方向検出手段と、
前記施設情報表示装置の各種操作を行う入力手段と、
情報を表示する表示手段と、
施設の位置情報と共に前記施設の詳細な情報を保持するデータベースと、
前記入力手段によって撮影操作が行われた時に前記現在位置検出手段で検出された現在位置と前記方向検出手段で検出された方向から現在位置を中心とする範囲内にある施設を前記データベースから検索する情報検索手段とを備え、
前記情報検索手段で検索された施設の詳細な情報を前記表示手段に表示することを特徴とする施設情報表示装置。
【請求項2】
様々な情報が保持された情報サーバーと、
前記情報サーバーと通信を行い取得した情報を表示することができる施設情報表示装置で構成された施設情報表示システムであって、
前記情報サーバーは、
施設の位置情報と共に前記施設の詳細情報を保持するデータベースと、
前記施設情報表示装置と通信を行う通信手段と、を備え、
前記施設情報表示装置は、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
被写体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が向いている方向を検出する方向検出手段と、
前記施設情報表示装置の各種操作を行う入力手段と、
情報を表示する表示手段と、
前記入力手段によって撮影操作が行われた時に前記現在位置検出手段で検出された現在位置と前記方向検出手段で検出された方向から現在位置を中心とする範囲内にある施設を前記データベースで検索する情報検索手段とを備えることを特徴とする施設情報表示システム。
【請求項3】
前記情報検索手段は、
前記現在位置検出手段で検出された前記現在位置と前記方向検出手段で検出された前記方向から第1の距離と前記第1の距離よりも長い値の第2の距離とをあらかじめ定め、
前記現在位置を中心とする前記第1の距離を半径とする円と前記第2の距離を半径としあらかじめ定められた角度を中心角とする扇形の両方で囲まれる範囲内にある施設を検索することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の施設情報表示装置。
【請求項4】
前記情報検索手段は、
前記現在位置検出手段で検出された前記現在位置と前記方向検出手段で検出された前記方向から第1の距離と、前記第1の距離よりも長い値の第2の距離と、施設の分類ごとに第3の距離と第4の距離とをあらかじめ定め、
前記現在位置を中心とし、前記第1の距離と前記第3の距離の和を半径とする円と、前記現在位置を中心とし、前記第2の距離と前記第4の距離の和を半径としあらかじめ定められた角度を中心角とする扇形との両方で囲まれる範囲内にある施設を検索することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の施設情報表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−52976(P2012−52976A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197297(P2010−197297)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】