旅客状況把握システム
【課題】 鉄道利用者が実際に利用した列車や経路を特定する旅客状況把握システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 列車の利用者が携帯するICカード200から利用者IDを含む利用者情報を通信により取得するカードリーダ10と、利用者情報の取得に合わせて列車の状態に関する列車情報を取得する列車情報取得部11と、利用者情報に含まれる利用者IDに基づいて、利用者情報と列車情報とを旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13に記憶させる車載情報処理部12と、すべての列車の列車旅客流動情報DB13に記憶されるすべての旅客流動情報を統合し、地上旅客流動情報DB31に記憶させる地上情報処理部30とを備える。
【解決手段】 列車の利用者が携帯するICカード200から利用者IDを含む利用者情報を通信により取得するカードリーダ10と、利用者情報の取得に合わせて列車の状態に関する列車情報を取得する列車情報取得部11と、利用者情報に含まれる利用者IDに基づいて、利用者情報と列車情報とを旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13に記憶させる車載情報処理部12と、すべての列車の列車旅客流動情報DB13に記憶されるすべての旅客流動情報を統合し、地上旅客流動情報DB31に記憶させる地上情報処理部30とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道の運行管理において利用する旅客状況把握システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道利用者が利用開始駅から利用完了駅まで、どの列車を利用しているかを把握することは困難であったが、自動改札機の普及により、利用開始駅と利用完了駅を把握することが可能となった(例えば、特許文献1参照)。また、それぞれの利用者が列車を選択した結果として、列車の乗車率から個々の利用者の選択行動を推定する方式、列車内で利用者の乗車区間情報を収集し、料金精算に利用する技術等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11―165637号公報(0013〜0018段、図1)
【特許文献2】特開平2007―79928号公報(0046〜0050段、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利用開始駅から利用完了駅までの区間で利用可能な列車は一般に複数存在し、また乗換が発生する場合は複数の経路を選択可能な場合があるため、鉄道利用者がそれぞれどの列車でどの経路を実際に利用しているかを知ることは困難であった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、鉄道利用者が実際に利用した列車や経路を特定する旅客状況把握システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る旅客状況把握システムは、列車の利用者が携帯する情報記憶媒体と、列車各々に設けられ、情報記憶媒体から少なくとも利用者IDを含む利用者情報を通信により取得する第一の情報取得手段と、利用者情報の取得に合わせて列車の状態に関する列車情報を取得する第二の情報取得手段と、利用者情報と列車情報とを旅客流動情報として記憶する第一の情報記憶手段と、利用者情報に含まれる利用者IDに基づいて、旅客流動情報を第一の情報記憶手段に利用者ごとに記憶させる第一の情報処理部と、すべての列車の第一の情報記憶手段に記憶されるすべての旅客流動情報を統合して記憶する第二の情報記憶手段と、すべての利用者情報に含まれる利用者IDに基づいてすべての旅客流動情報を統合し、第二の旅客情報記憶手段に記憶させる第二の情報処理部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、旅客状況把握システムは、鉄道利用者の携帯する情報記憶媒体から取得した利用者IDに基づいて、第一の情報処理部により鉄道利用者の利用した各列車での旅客流動情報を保存し、第二の情報処理部により鉄道利用者の利用したすべての列車の旅客流動情報を統合することにより、鉄道利用者が乗降・乗り換えした駅、列車、経路等の情報を利用者ごとに把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明に係る旅客状況把握システムの各種実施の形態について、図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明に係る実施の形態1における旅客状況把握システムの構成を示すブロック図である。
【0009】
図1において、旅客状況把握システムは、車載情報処理装置100と情報記憶媒体としてのICカード200及び地上情報処理装置300の組合せで構成されている。さらに、車載情報装置100は、第一の情報取得手段としてのカードリーダ10、第二の情報取得手段としての列車情報取得部11、第一の情報処理部としての車載情報処理部12、第一の情報記憶手段としての列車旅客流動情報データベース(Data Base、以下DBと略す)13を備えている。
【0010】
また、地上情報処理装置300は、第二の情報処理部としての地上情報処理部30と第二の情報記憶手段としての地上旅客流動情報DB31を備えている。
【0011】
車載情報処理装置100と地上情報処理装置300は、無線接続か、メモリカードなどの媒体を介して情報の授受を可能とする。車載情報処理装置100及び地上情報処理装置300は、それぞれCPUやメモリ及び外部記憶装置といったコンピュータとしての構成によって実現される。
【0012】
カードリーダ10は、利用者が携帯するICカード200と通信する仕組みを有し、例えば列車の各車両の乗降口付近等に設置され、ICカード200を翳すとICカード200に書き込まれている利用者ID等の利用者情報を読み取り、車載情報処理部12へ伝送する。
【0013】
列車情報取得部11は、列車に既に具備されているモニタ装置などと接続し、車載情報処理部12からの要求に応じて、列車位置情報を車載情報処理部12に返す。列車位置情報は、最後に停車又は通過した駅名などが用いられるが、基準地点からの列車のレール上の位置を示すキロ程でもよい。
【0014】
車載情報処理部12は、カードリーダ10により利用者ID等の利用者情報を取得する際に、列車情報取得部11から列車位置情報を読み取り、現在時刻、列車情報(列車ID、乗車位置)、及び利用者情報と共に、旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13へ保存する。
【0015】
地上情報処理部30は、列車旅客流動情報DB13に蓄えられた旅客流動情報を定期的に収集し、利用者IDごとにそれぞれの列車の情報を統合化し、地上旅客流動情報DB31へ保存する。
【0016】
次に、図2及び図3のフローチャートに従い、本実施の形態1における旅客状況把握システムの動作について説明する。図2は、本実施の形態1の旅客状況把握システムの車載情報処理装置100における鉄道利用者の乗降処理の一例を示すフローチャートである。
【0017】
まず、鉄道利用者が列車に乗降する際に、利用者が保持するICカード200を列車乗降口付近に設置されているカードリーダ10に翳すと(S201)、カードリーダ10はICカード200に書き込まれている利用者ID等の利用者情報を読み取る(S202)。
【0018】
続いて、車載情報処理部12は、カードリーダ10により読み取られた利用者IDと列車旅客流動情報DB13に保存されている利用者IDの照合を行う。読み取られた利用者IDに該当する利用者IDが列車旅客流動情報DB13に保存されていなければ、読み取られた利用者IDの保有者が乗車したと判断する(S203)。
【0019】
乗車と判断した場合、車載情報処理部12は、カードリーダ10により利用者IDが読み取られた現在時刻と、列車の現在位置を乗車駅として列車情報取得部11から駅名とを読み取り、現在時刻と乗車駅名を列車情報(列車ID、乗車位置)と共に、乗車時の旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13へ保存する(S204)。
【0020】
図4は、乗車時に列車旅客流動情報DB13へ保存する旅客流動情報の一例である。利用者ID401は、この列車に乗車した利用者を特定するための番号である。第1時刻情報402は、乗車時刻であり、利用者ID401を取得した時に車載情報処理部12等から取得する現在時刻である。
【0021】
列車ID403、乗車位置404は、利用者ID401を取得した際に車載情報処理部12等から取得する列車・車両番号等である。乗車駅405は、利用者ID401を取得した際の列車位置情報として列車情報取得部11から取得した駅名である。
【0022】
読み取られた利用者IDに該当する利用者IDが既に列車旅客流動情報DB13に保存されている場合は、読み取られた利用者IDの保有者が降車したと判断する(S203)。この場合、車載情報処理部12は、カードリーダ10により利用者IDが読み取られた時刻の列車の現在位置を降車駅として列車情報取得部11から駅名を読み取る。
【0023】
降車駅の駅名は、現在時刻、及び列車情報(列車ID、乗車位置)と共に、降車時の旅客流動情報として、旅客流動情報に追記して列車旅客流動情報DB13へ保存される(S205)。
【0024】
図5は、降車時に列車旅客流動情報DB13へ保存する旅客流動情報の一例である。利用者ID501は、この列車に乗車していた利用者を特定するための番号である。第2時刻情報502は、降車時刻であり、利用者ID501を取得した時に車載情報処理部12等から取得する現在時刻である。
【0025】
列車ID503、乗車位置504は、利用者ID501を取得した際に車載情報処理部12等から取得する列車・車両番号等である。降車駅505は、利用者ID501を取得した時の列車位置情報として列車情報取得部11から取得した駅名である。
【0026】
鉄道利用者が列車を乗り継いだ場合にも、各列車は、乗車時と降車時にICカード200をカードリーダ10に翳すことで、各列車の車載情報処理部12により旅客流動情報をそれぞれの列車旅客流動情報DB13へ蓄積する。
【0027】
図3は、本実施の形態1の旅客状況把握システムの地上情報処理装置300における各列車に蓄積される旅客流動情報の統合処理の一例を示すフローチャートである。各列車の走行中定期的に、又は走行を完了した後に旅客流動情報を取得するたびに、この統合化処理が行われる。
【0028】
まず、地上情報処理装置300の地上情報処理部30は、列車の通し番号であるカウンタNを0にリセットし(S301)、N番目の列車の利用者の通し番号であるカウンタMをリセットした後(S302)、全列車の車載情報処理部12を介して列車旅客流動情報DB13からN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報を抽出する(S303)。
【0029】
続いて、地上情報処理部30は、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報の利用者IDが地上旅客流動情報DB31に登録されているか否かを確認する(S304)。同一の利用者IDの登録がある場合には、地上情報処理部30は、地上旅客流動情報DB31に保存されている同一の利用者IDの旅客流動情報に、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報を乗車時刻順に追加する(S305)。
【0030】
同一の利用者IDの登録がない場合には、地上情報処理部30は、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報を新規の旅客流動情報として登録し、地上旅客流動情報DB31に保存する(S306)。
【0031】
次いで、地上情報処理部30は、カウンタMを増やして(S307)、S303乃至S308のステップを繰り返し、抽出される旅客流動情報を地上旅客流動情報DB31に保存する。
【0032】
N番目の列車の列車旅客流動情報DB13に保存されている旅客流動情報を抽出し終われば(S308)、地上情報処理部30は、カウンタNを増やして(S309)、S302乃至S310のステップを繰り返す。すべての列車の列車旅客流動情報DB13に保存されている旅客流動情報を抽出し終われば(S310)、旅客流動情報の統合処理を終了する。
【0033】
ここで、例えば抽出された旅客流動情報が図5に示す内容で、また地上旅客流動情報DB31には既に同一利用者の他の列車での旅客流動情報が、図6に示す内容で保存されているものとする。
【0034】
図6に示すように、地上旅客流動情報DB31では、各利用者ID601の旅客流動情報は、経路情報602ごとに記録され、経路数603とともに保存される。経路情報602は、乗車時刻順に記録される。
【0035】
この場合の統合処理では、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報では利用者ID501がP01であることから(図5)、地上情報処理部30は、地上旅客流動情報DB31に同一の利用者ID601であるP01の旅客流動情報の登録があることを確認する(図6)。
【0036】
抽出されたP01の旅客流動情報は、乗車時刻(第1時刻情報402、図5)が、地上旅客流動情報DB31に保存されているP01の旅客流動情報の乗車時刻(第1時刻情報604、図6)よりも早い。
【0037】
図7に示すように、地上情報処理部30は、地上旅客流動情報DB31に保存されているP01の旅客流動情報に、抽出されたP01の旅客流動情報を新たに第1経路(経路情報701)として追加し、元の第1経路(経路情報602)の旅客流動情報を第2経路(経路情報702)として更新して保存する。
【0038】
この統合された旅客流動情報(図7)により、鉄道利用者P01は、A駅から列車IDが1013Mの4号車に乗車し、B駅まで移動した後、列車IDが1029Mの1号車に乗り換え、C駅で降車し、鉄道の利用を完了したことがわかる。
【0039】
以上のように、本実施の形態1では、鉄道利用者の携帯するICカード200から取得した利用者IDに基づいて、鉄道利用者が利用した各列車の車載情報処理装置100の車載情報処理部12により旅客流動情報を取得し、地上情報処理装置300の地上情報処理部30により各列車が保有する旅客流動情報すべてを利用者ごとに統合するようにしたので、利用者ごとに利用した乗車・降車駅を把握することができるだけでなく、乗車した列車・号車、乗換駅、及び利用経路等の情報を得ることができる。さらには、利用者ごとの駅構内の動線推定等も可能となる。
【0040】
なお、本実施の形態1では、列車旅客流動情報DB13から旅客流動情報を取得するタイミングで統合処理を行う場合について示したが、これに限るものではない。すべての列車から抽出される旅客流動情報を、予め無線等で地上情報処理装置300等に備える記憶部に保存した後、統合処理を行ってもよい。この場合も、同様の効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1の旅客状況把握システムにおいては、鉄道利用者の利用者ID等の利用者情報を利用者の携帯するICカード200から取得する場合について示した。実施の形態2では、利用者が携帯する携帯端末から取得する場合について示す。
【0042】
図8は、この発明に係る実施の形態2における旅客状況把握システムの構成を示すブロック図である。図8において、カードリーダ10は、利用者が携帯する携帯端末201に備えられたICカード機能部20と通信し、例えば列車の各車両の乗降口付近等に設置され、携帯端末201を翳すとICカード機能部20に書き込まれている少なくとも利用者IDの利用者情報を読み取る。
【0043】
なお、ICカード機能部20を備える携帯端末201としては、例えばモバイルSuica(登録商標)等の機能を持つ携帯端末が挙げられる。
【0044】
携帯端末201は、ICカード機能部20に利用駅等の情報を書き込む情報入出力部21を備える。ICカード機能部20は、利用者ID等の利用者情報を保存するだけでなく、情報入出力部21により書き込まれる利用駅等の情報を保存する。その他の構成に関しては、実施の形態1と同様であり、相当部分には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
次に、図9のフローチャートに従い、本実施の形態2における旅客状況把握システムの動作について説明する。図9は、本実施の形態2の旅客状況把握システムの車載情報処理装置100における鉄道利用者の乗降処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、鉄道利用者が乗車のため改札通過時に携帯端末201を改札機に翳すことで(S901)、乗車駅等の情報が携帯端末201のICカード機能部20に書き込まれる(S902)。また、乗車前に利用者が情報入出力部21を動作させ、降車予定の降車駅等の情報を入力することで(S903)、ICカード機能部20に書き込まれる(S904)。
【0047】
なお、携帯端末201のICカード機能部20が定期券として使用されている場合は、定期利用区間を利用して、降車駅等の情報を入力するようにしてもよい。
【0048】
続いて、鉄道利用者が列車に乗車する際に、利用者が携帯する携帯端末201を列車乗降口付近に設置されているカードリーダ10に翳すと(S904)、カードリーダ10はICカード機能部20に書き込まれている利用者ID等の利用者情報と共に、降車駅等の情報を読み取る(S905)。
【0049】
次いで、車載情報処理部12は、現在時刻と共に、カードリーダ10で読み取られた乗車駅、降車駅、及び列車情報(列車ID、乗車位置)等を、乗車時の旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13へ保存する(S906)。
【0050】
図10は、乗車時に列車旅客流動情報DB13へ保存する旅客流動情報の一例である。降車駅1001は、ICカード機能部20から読み取られた降車予定の降車駅名が登録されている。その他の情報は、実施の形態1で乗車時に保存した旅客流動情報(図4)と同様である。
【0051】
車載情報処理部12は、列車旅客流動情報DB13に登録されている旅客流動情報の降車駅1001の情報に基づいて、列車が予定する降車駅(B駅)に到着した時点での現在時刻を、第2時刻情報(降車時刻)1002とみなして降車時の旅客流動情報として追記し、列車旅客流動情報DB13へ保存する(S907)。
【0052】
各列車に蓄積される旅客流動情報の統合処理の動作については、実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0053】
以上のように、本実施の形態2では、鉄道利用者の携帯する携帯端末201に備えたICカード機能部20から、利用者ID等の利用者情報と共に、予め乗車前に入力される乗車駅と降車予定の降車駅の情報等を車載情報処理部12により取得するようにしたので、乗車時にのみカードリーダに携帯端末を翳すだけで、実施の形態1と同様の情報を得ることができ、降車時にカードリーダへ携帯端末を翳す手間が省ける。
【0054】
なお、乗車中に降車する駅を変更した場合には、降車時に再度カードリーダ10へ携帯端末201をかざす事で、そのときの駅情報及び時刻情報が旅客流動情報に上書きされ、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0055】
実施の形態3.
実施の形態2の旅客状況把握システムにおいては、車載情報処理装置100が携帯端末201のICカード機能部20に書き込まれている乗降処理による情報を取得する場合のみについて示した。実施の形態3では、車載情報処理装置が追加情報を取得する場合について示す。
【0056】
図11は、この発明に係る実施の形態3における旅客状況把握システムの構成を示すブロック図である。図11において、車載情報処理装置101は、実施の形態1のカードリーダ10の代わりに、カードリーダ/ライタ14を備える。
【0057】
カードリーダ/ライタ14は、携帯端末201のICカード機能部20から乗降処理による情報を取得するだけでなく、利用者の追加情報を取得するものとして、例えば利用者へのアンケート調査の画面情報をICカード機能部20に書き込むことができる。その他の構成に関しては、実施の形態1と同様であり、相当部分には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
次に、図12のフローチャートに従い、本実施の形態3における旅客状況把握システムの動作について説明する。図12は、本実施の形態3の旅客状況把握システムの携帯端末201における追加情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、鉄道利用者が列車に乗車する際に、利用者が携帯する携帯端末201を列車乗降口付近に設置されているカードリーダ/ライタ14に翳すと(S1201)、車載情報処理装置101の車載情報処理部12によりカードリーダ/ライタ14を介して、ICカード機能部20にアンケート調査の画面情報が書き込まれる(S1202)。
【0060】
続いて、携帯端末201の情報入出力部21には、図13に示すアンケート調査の画面が所定のフォーマットで表示される(S1203)。アンケート調査の内容としては、例えば空調設備の効き具合や混雑度合いに対する不満、匂いなどの車両内環境に対する自由意見等がある。
【0061】
次いで、利用者は列車の車内で、アンケート調査の回答を追加情報として情報入出力部21を介してICカード機能部20に入力し(S1204)、降車時に再度携帯端末201をカードリーダ/ライタ14に翳すことで(S1205)、追加情報が車載情報処理装置101に送信され(S1206)、車載情報処理部12により列車旅客流動情報DB13に保存される。
【0062】
上記追加情報は、乗降処理による情報と共に、各列車の走行中定期的に、又は走行を完了した後に旅客流動情報を取得するたびに、地上情報処理装置300の地上情報処理部30により統合処理が行われる。乗降処理及び統合処理の動作については、実施の形態2と同様であり、その説明を省略する。
【0063】
以上のように、本実施の形態3では、車載情報処理装置101にカードリーダ/ライタ14を備え、利用者の追加情報を取得するための情報をICカード機能部20に書き込めるようにしたので、鉄道利用者の列車利用に関する種々の追加情報を収集することができ、得られた追加情報を車両ごと、走行区間ごと、又は利用客ごとに分析することにより車両内環境等の向上に役立てることができる。
【0064】
なお、上述の実施の形態では、利用者との通信にICカードとカードリーダ又はカードリーダ/ライタを用いたが、数mの通信が可能な無線タグと無線タグリーダ又は無線タグリーダ/ライタでもよい。新たな利用者IDが出現した駅を乗車駅、利用者IDが消えた駅を降車駅とみなすことで、同様の旅客流動情報を得ることができる。
【0065】
この場合、車載情報処理装置が無線タグリーダライタを周期的に起動させることで、車両内で利用者が携帯する無線タグと交信し、無線タグに書き込まれた利用者IDを入手することができ、利用者がICカードをカードリーダに翳す手間が省ける。
【0066】
また、非接触媒体は、ICカード及び無線タグに限られず、RFID(Radio Frequency Identification)タグと称されるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の乗降処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図3】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の統合処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図4】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の乗降処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の乗降処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の統合処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の統合処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図8】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態2の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態2の乗降処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図10】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態2の乗降処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図11】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態3の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態3の追加情報処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図13】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態3の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 カードリーダ
11 列車情報取得部
12 車載情報処理部
13 列車旅客流動情報DB
14 カードリーダ/ライタ
20 ICカード機能部
30 地上情報処理部
31 地上旅客流動情報DB
200 ICカード
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道の運行管理において利用する旅客状況把握システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道利用者が利用開始駅から利用完了駅まで、どの列車を利用しているかを把握することは困難であったが、自動改札機の普及により、利用開始駅と利用完了駅を把握することが可能となった(例えば、特許文献1参照)。また、それぞれの利用者が列車を選択した結果として、列車の乗車率から個々の利用者の選択行動を推定する方式、列車内で利用者の乗車区間情報を収集し、料金精算に利用する技術等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11―165637号公報(0013〜0018段、図1)
【特許文献2】特開平2007―79928号公報(0046〜0050段、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利用開始駅から利用完了駅までの区間で利用可能な列車は一般に複数存在し、また乗換が発生する場合は複数の経路を選択可能な場合があるため、鉄道利用者がそれぞれどの列車でどの経路を実際に利用しているかを知ることは困難であった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、鉄道利用者が実際に利用した列車や経路を特定する旅客状況把握システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る旅客状況把握システムは、列車の利用者が携帯する情報記憶媒体と、列車各々に設けられ、情報記憶媒体から少なくとも利用者IDを含む利用者情報を通信により取得する第一の情報取得手段と、利用者情報の取得に合わせて列車の状態に関する列車情報を取得する第二の情報取得手段と、利用者情報と列車情報とを旅客流動情報として記憶する第一の情報記憶手段と、利用者情報に含まれる利用者IDに基づいて、旅客流動情報を第一の情報記憶手段に利用者ごとに記憶させる第一の情報処理部と、すべての列車の第一の情報記憶手段に記憶されるすべての旅客流動情報を統合して記憶する第二の情報記憶手段と、すべての利用者情報に含まれる利用者IDに基づいてすべての旅客流動情報を統合し、第二の旅客情報記憶手段に記憶させる第二の情報処理部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、旅客状況把握システムは、鉄道利用者の携帯する情報記憶媒体から取得した利用者IDに基づいて、第一の情報処理部により鉄道利用者の利用した各列車での旅客流動情報を保存し、第二の情報処理部により鉄道利用者の利用したすべての列車の旅客流動情報を統合することにより、鉄道利用者が乗降・乗り換えした駅、列車、経路等の情報を利用者ごとに把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明に係る旅客状況把握システムの各種実施の形態について、図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明に係る実施の形態1における旅客状況把握システムの構成を示すブロック図である。
【0009】
図1において、旅客状況把握システムは、車載情報処理装置100と情報記憶媒体としてのICカード200及び地上情報処理装置300の組合せで構成されている。さらに、車載情報装置100は、第一の情報取得手段としてのカードリーダ10、第二の情報取得手段としての列車情報取得部11、第一の情報処理部としての車載情報処理部12、第一の情報記憶手段としての列車旅客流動情報データベース(Data Base、以下DBと略す)13を備えている。
【0010】
また、地上情報処理装置300は、第二の情報処理部としての地上情報処理部30と第二の情報記憶手段としての地上旅客流動情報DB31を備えている。
【0011】
車載情報処理装置100と地上情報処理装置300は、無線接続か、メモリカードなどの媒体を介して情報の授受を可能とする。車載情報処理装置100及び地上情報処理装置300は、それぞれCPUやメモリ及び外部記憶装置といったコンピュータとしての構成によって実現される。
【0012】
カードリーダ10は、利用者が携帯するICカード200と通信する仕組みを有し、例えば列車の各車両の乗降口付近等に設置され、ICカード200を翳すとICカード200に書き込まれている利用者ID等の利用者情報を読み取り、車載情報処理部12へ伝送する。
【0013】
列車情報取得部11は、列車に既に具備されているモニタ装置などと接続し、車載情報処理部12からの要求に応じて、列車位置情報を車載情報処理部12に返す。列車位置情報は、最後に停車又は通過した駅名などが用いられるが、基準地点からの列車のレール上の位置を示すキロ程でもよい。
【0014】
車載情報処理部12は、カードリーダ10により利用者ID等の利用者情報を取得する際に、列車情報取得部11から列車位置情報を読み取り、現在時刻、列車情報(列車ID、乗車位置)、及び利用者情報と共に、旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13へ保存する。
【0015】
地上情報処理部30は、列車旅客流動情報DB13に蓄えられた旅客流動情報を定期的に収集し、利用者IDごとにそれぞれの列車の情報を統合化し、地上旅客流動情報DB31へ保存する。
【0016】
次に、図2及び図3のフローチャートに従い、本実施の形態1における旅客状況把握システムの動作について説明する。図2は、本実施の形態1の旅客状況把握システムの車載情報処理装置100における鉄道利用者の乗降処理の一例を示すフローチャートである。
【0017】
まず、鉄道利用者が列車に乗降する際に、利用者が保持するICカード200を列車乗降口付近に設置されているカードリーダ10に翳すと(S201)、カードリーダ10はICカード200に書き込まれている利用者ID等の利用者情報を読み取る(S202)。
【0018】
続いて、車載情報処理部12は、カードリーダ10により読み取られた利用者IDと列車旅客流動情報DB13に保存されている利用者IDの照合を行う。読み取られた利用者IDに該当する利用者IDが列車旅客流動情報DB13に保存されていなければ、読み取られた利用者IDの保有者が乗車したと判断する(S203)。
【0019】
乗車と判断した場合、車載情報処理部12は、カードリーダ10により利用者IDが読み取られた現在時刻と、列車の現在位置を乗車駅として列車情報取得部11から駅名とを読み取り、現在時刻と乗車駅名を列車情報(列車ID、乗車位置)と共に、乗車時の旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13へ保存する(S204)。
【0020】
図4は、乗車時に列車旅客流動情報DB13へ保存する旅客流動情報の一例である。利用者ID401は、この列車に乗車した利用者を特定するための番号である。第1時刻情報402は、乗車時刻であり、利用者ID401を取得した時に車載情報処理部12等から取得する現在時刻である。
【0021】
列車ID403、乗車位置404は、利用者ID401を取得した際に車載情報処理部12等から取得する列車・車両番号等である。乗車駅405は、利用者ID401を取得した際の列車位置情報として列車情報取得部11から取得した駅名である。
【0022】
読み取られた利用者IDに該当する利用者IDが既に列車旅客流動情報DB13に保存されている場合は、読み取られた利用者IDの保有者が降車したと判断する(S203)。この場合、車載情報処理部12は、カードリーダ10により利用者IDが読み取られた時刻の列車の現在位置を降車駅として列車情報取得部11から駅名を読み取る。
【0023】
降車駅の駅名は、現在時刻、及び列車情報(列車ID、乗車位置)と共に、降車時の旅客流動情報として、旅客流動情報に追記して列車旅客流動情報DB13へ保存される(S205)。
【0024】
図5は、降車時に列車旅客流動情報DB13へ保存する旅客流動情報の一例である。利用者ID501は、この列車に乗車していた利用者を特定するための番号である。第2時刻情報502は、降車時刻であり、利用者ID501を取得した時に車載情報処理部12等から取得する現在時刻である。
【0025】
列車ID503、乗車位置504は、利用者ID501を取得した際に車載情報処理部12等から取得する列車・車両番号等である。降車駅505は、利用者ID501を取得した時の列車位置情報として列車情報取得部11から取得した駅名である。
【0026】
鉄道利用者が列車を乗り継いだ場合にも、各列車は、乗車時と降車時にICカード200をカードリーダ10に翳すことで、各列車の車載情報処理部12により旅客流動情報をそれぞれの列車旅客流動情報DB13へ蓄積する。
【0027】
図3は、本実施の形態1の旅客状況把握システムの地上情報処理装置300における各列車に蓄積される旅客流動情報の統合処理の一例を示すフローチャートである。各列車の走行中定期的に、又は走行を完了した後に旅客流動情報を取得するたびに、この統合化処理が行われる。
【0028】
まず、地上情報処理装置300の地上情報処理部30は、列車の通し番号であるカウンタNを0にリセットし(S301)、N番目の列車の利用者の通し番号であるカウンタMをリセットした後(S302)、全列車の車載情報処理部12を介して列車旅客流動情報DB13からN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報を抽出する(S303)。
【0029】
続いて、地上情報処理部30は、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報の利用者IDが地上旅客流動情報DB31に登録されているか否かを確認する(S304)。同一の利用者IDの登録がある場合には、地上情報処理部30は、地上旅客流動情報DB31に保存されている同一の利用者IDの旅客流動情報に、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報を乗車時刻順に追加する(S305)。
【0030】
同一の利用者IDの登録がない場合には、地上情報処理部30は、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報を新規の旅客流動情報として登録し、地上旅客流動情報DB31に保存する(S306)。
【0031】
次いで、地上情報処理部30は、カウンタMを増やして(S307)、S303乃至S308のステップを繰り返し、抽出される旅客流動情報を地上旅客流動情報DB31に保存する。
【0032】
N番目の列車の列車旅客流動情報DB13に保存されている旅客流動情報を抽出し終われば(S308)、地上情報処理部30は、カウンタNを増やして(S309)、S302乃至S310のステップを繰り返す。すべての列車の列車旅客流動情報DB13に保存されている旅客流動情報を抽出し終われば(S310)、旅客流動情報の統合処理を終了する。
【0033】
ここで、例えば抽出された旅客流動情報が図5に示す内容で、また地上旅客流動情報DB31には既に同一利用者の他の列車での旅客流動情報が、図6に示す内容で保存されているものとする。
【0034】
図6に示すように、地上旅客流動情報DB31では、各利用者ID601の旅客流動情報は、経路情報602ごとに記録され、経路数603とともに保存される。経路情報602は、乗車時刻順に記録される。
【0035】
この場合の統合処理では、抽出されたN番目の列車のM番目の利用者の旅客流動情報では利用者ID501がP01であることから(図5)、地上情報処理部30は、地上旅客流動情報DB31に同一の利用者ID601であるP01の旅客流動情報の登録があることを確認する(図6)。
【0036】
抽出されたP01の旅客流動情報は、乗車時刻(第1時刻情報402、図5)が、地上旅客流動情報DB31に保存されているP01の旅客流動情報の乗車時刻(第1時刻情報604、図6)よりも早い。
【0037】
図7に示すように、地上情報処理部30は、地上旅客流動情報DB31に保存されているP01の旅客流動情報に、抽出されたP01の旅客流動情報を新たに第1経路(経路情報701)として追加し、元の第1経路(経路情報602)の旅客流動情報を第2経路(経路情報702)として更新して保存する。
【0038】
この統合された旅客流動情報(図7)により、鉄道利用者P01は、A駅から列車IDが1013Mの4号車に乗車し、B駅まで移動した後、列車IDが1029Mの1号車に乗り換え、C駅で降車し、鉄道の利用を完了したことがわかる。
【0039】
以上のように、本実施の形態1では、鉄道利用者の携帯するICカード200から取得した利用者IDに基づいて、鉄道利用者が利用した各列車の車載情報処理装置100の車載情報処理部12により旅客流動情報を取得し、地上情報処理装置300の地上情報処理部30により各列車が保有する旅客流動情報すべてを利用者ごとに統合するようにしたので、利用者ごとに利用した乗車・降車駅を把握することができるだけでなく、乗車した列車・号車、乗換駅、及び利用経路等の情報を得ることができる。さらには、利用者ごとの駅構内の動線推定等も可能となる。
【0040】
なお、本実施の形態1では、列車旅客流動情報DB13から旅客流動情報を取得するタイミングで統合処理を行う場合について示したが、これに限るものではない。すべての列車から抽出される旅客流動情報を、予め無線等で地上情報処理装置300等に備える記憶部に保存した後、統合処理を行ってもよい。この場合も、同様の効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1の旅客状況把握システムにおいては、鉄道利用者の利用者ID等の利用者情報を利用者の携帯するICカード200から取得する場合について示した。実施の形態2では、利用者が携帯する携帯端末から取得する場合について示す。
【0042】
図8は、この発明に係る実施の形態2における旅客状況把握システムの構成を示すブロック図である。図8において、カードリーダ10は、利用者が携帯する携帯端末201に備えられたICカード機能部20と通信し、例えば列車の各車両の乗降口付近等に設置され、携帯端末201を翳すとICカード機能部20に書き込まれている少なくとも利用者IDの利用者情報を読み取る。
【0043】
なお、ICカード機能部20を備える携帯端末201としては、例えばモバイルSuica(登録商標)等の機能を持つ携帯端末が挙げられる。
【0044】
携帯端末201は、ICカード機能部20に利用駅等の情報を書き込む情報入出力部21を備える。ICカード機能部20は、利用者ID等の利用者情報を保存するだけでなく、情報入出力部21により書き込まれる利用駅等の情報を保存する。その他の構成に関しては、実施の形態1と同様であり、相当部分には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
次に、図9のフローチャートに従い、本実施の形態2における旅客状況把握システムの動作について説明する。図9は、本実施の形態2の旅客状況把握システムの車載情報処理装置100における鉄道利用者の乗降処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、鉄道利用者が乗車のため改札通過時に携帯端末201を改札機に翳すことで(S901)、乗車駅等の情報が携帯端末201のICカード機能部20に書き込まれる(S902)。また、乗車前に利用者が情報入出力部21を動作させ、降車予定の降車駅等の情報を入力することで(S903)、ICカード機能部20に書き込まれる(S904)。
【0047】
なお、携帯端末201のICカード機能部20が定期券として使用されている場合は、定期利用区間を利用して、降車駅等の情報を入力するようにしてもよい。
【0048】
続いて、鉄道利用者が列車に乗車する際に、利用者が携帯する携帯端末201を列車乗降口付近に設置されているカードリーダ10に翳すと(S904)、カードリーダ10はICカード機能部20に書き込まれている利用者ID等の利用者情報と共に、降車駅等の情報を読み取る(S905)。
【0049】
次いで、車載情報処理部12は、現在時刻と共に、カードリーダ10で読み取られた乗車駅、降車駅、及び列車情報(列車ID、乗車位置)等を、乗車時の旅客流動情報として列車旅客流動情報DB13へ保存する(S906)。
【0050】
図10は、乗車時に列車旅客流動情報DB13へ保存する旅客流動情報の一例である。降車駅1001は、ICカード機能部20から読み取られた降車予定の降車駅名が登録されている。その他の情報は、実施の形態1で乗車時に保存した旅客流動情報(図4)と同様である。
【0051】
車載情報処理部12は、列車旅客流動情報DB13に登録されている旅客流動情報の降車駅1001の情報に基づいて、列車が予定する降車駅(B駅)に到着した時点での現在時刻を、第2時刻情報(降車時刻)1002とみなして降車時の旅客流動情報として追記し、列車旅客流動情報DB13へ保存する(S907)。
【0052】
各列車に蓄積される旅客流動情報の統合処理の動作については、実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0053】
以上のように、本実施の形態2では、鉄道利用者の携帯する携帯端末201に備えたICカード機能部20から、利用者ID等の利用者情報と共に、予め乗車前に入力される乗車駅と降車予定の降車駅の情報等を車載情報処理部12により取得するようにしたので、乗車時にのみカードリーダに携帯端末を翳すだけで、実施の形態1と同様の情報を得ることができ、降車時にカードリーダへ携帯端末を翳す手間が省ける。
【0054】
なお、乗車中に降車する駅を変更した場合には、降車時に再度カードリーダ10へ携帯端末201をかざす事で、そのときの駅情報及び時刻情報が旅客流動情報に上書きされ、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0055】
実施の形態3.
実施の形態2の旅客状況把握システムにおいては、車載情報処理装置100が携帯端末201のICカード機能部20に書き込まれている乗降処理による情報を取得する場合のみについて示した。実施の形態3では、車載情報処理装置が追加情報を取得する場合について示す。
【0056】
図11は、この発明に係る実施の形態3における旅客状況把握システムの構成を示すブロック図である。図11において、車載情報処理装置101は、実施の形態1のカードリーダ10の代わりに、カードリーダ/ライタ14を備える。
【0057】
カードリーダ/ライタ14は、携帯端末201のICカード機能部20から乗降処理による情報を取得するだけでなく、利用者の追加情報を取得するものとして、例えば利用者へのアンケート調査の画面情報をICカード機能部20に書き込むことができる。その他の構成に関しては、実施の形態1と同様であり、相当部分には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
次に、図12のフローチャートに従い、本実施の形態3における旅客状況把握システムの動作について説明する。図12は、本実施の形態3の旅客状況把握システムの携帯端末201における追加情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、鉄道利用者が列車に乗車する際に、利用者が携帯する携帯端末201を列車乗降口付近に設置されているカードリーダ/ライタ14に翳すと(S1201)、車載情報処理装置101の車載情報処理部12によりカードリーダ/ライタ14を介して、ICカード機能部20にアンケート調査の画面情報が書き込まれる(S1202)。
【0060】
続いて、携帯端末201の情報入出力部21には、図13に示すアンケート調査の画面が所定のフォーマットで表示される(S1203)。アンケート調査の内容としては、例えば空調設備の効き具合や混雑度合いに対する不満、匂いなどの車両内環境に対する自由意見等がある。
【0061】
次いで、利用者は列車の車内で、アンケート調査の回答を追加情報として情報入出力部21を介してICカード機能部20に入力し(S1204)、降車時に再度携帯端末201をカードリーダ/ライタ14に翳すことで(S1205)、追加情報が車載情報処理装置101に送信され(S1206)、車載情報処理部12により列車旅客流動情報DB13に保存される。
【0062】
上記追加情報は、乗降処理による情報と共に、各列車の走行中定期的に、又は走行を完了した後に旅客流動情報を取得するたびに、地上情報処理装置300の地上情報処理部30により統合処理が行われる。乗降処理及び統合処理の動作については、実施の形態2と同様であり、その説明を省略する。
【0063】
以上のように、本実施の形態3では、車載情報処理装置101にカードリーダ/ライタ14を備え、利用者の追加情報を取得するための情報をICカード機能部20に書き込めるようにしたので、鉄道利用者の列車利用に関する種々の追加情報を収集することができ、得られた追加情報を車両ごと、走行区間ごと、又は利用客ごとに分析することにより車両内環境等の向上に役立てることができる。
【0064】
なお、上述の実施の形態では、利用者との通信にICカードとカードリーダ又はカードリーダ/ライタを用いたが、数mの通信が可能な無線タグと無線タグリーダ又は無線タグリーダ/ライタでもよい。新たな利用者IDが出現した駅を乗車駅、利用者IDが消えた駅を降車駅とみなすことで、同様の旅客流動情報を得ることができる。
【0065】
この場合、車載情報処理装置が無線タグリーダライタを周期的に起動させることで、車両内で利用者が携帯する無線タグと交信し、無線タグに書き込まれた利用者IDを入手することができ、利用者がICカードをカードリーダに翳す手間が省ける。
【0066】
また、非接触媒体は、ICカード及び無線タグに限られず、RFID(Radio Frequency Identification)タグと称されるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の乗降処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図3】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の統合処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図4】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の乗降処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の乗降処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の統合処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態1の統合処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図8】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態2の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態2の乗降処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図10】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態2の乗降処理での旅客流動情報の一例を示す図である。
【図11】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態3の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態3の追加情報処理の動作手順を示すフローチャート図である。
【図13】本発明に係る旅客状況把握システムの実施の形態3の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 カードリーダ
11 列車情報取得部
12 車載情報処理部
13 列車旅客流動情報DB
14 カードリーダ/ライタ
20 ICカード機能部
30 地上情報処理部
31 地上旅客流動情報DB
200 ICカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の利用者が携帯する情報記憶媒体と、
前記列車各々に設けられ、前記情報記憶媒体から少なくとも利用者IDを含む利用者情報を通信により取得する第一の情報取得手段と、
前記利用者情報の取得に合わせて前記列車の状態に関する列車情報を取得する第二の情報取得手段と、
前記利用者情報と前記列車情報とを旅客流動情報として記憶する第一の情報記憶手段と、
前記利用者情報に含まれる利用者IDに基づいて、前記旅客流動情報を第一の情報記憶手段に利用者ごとに記憶させる第一の情報処理部と、
すべての前記列車の第一の情報記憶手段に記憶されるすべての前記旅客流動情報を統合して記憶する第二の情報記憶手段と、
すべての前記利用者情報に含まれる利用者IDに基づいてすべての前記旅客流動情報を統合し、前記第二の旅客情報記憶手段に記憶させる第二の情報処理部とを備える旅客状況把握システム。
【請求項2】
情報記憶媒体は、ICカードであることを特徴とする請求項1に記載の旅客状況把握システム。
【請求項3】
情報記憶媒体は、無線タグであることを特徴とする請求項1に記載の旅客状況把握システム。
【請求項4】
ICカードは、無線端末に設けられ、携帯端末の入力部により利用者情報を追加して記憶することを特徴とする請求項2に記載の旅客状況把握システム。
【請求項5】
第一の情報取得手段は、この第一の情報取得手段からの要求に応じた追加の利用者情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の旅客状況把握システム。
【請求項6】
列車利用情報は、乗車駅名、乗車時刻、降車駅名、降車時刻、列車ID、車両番号の情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の旅客状況把握システム。
【請求項1】
列車の利用者が携帯する情報記憶媒体と、
前記列車各々に設けられ、前記情報記憶媒体から少なくとも利用者IDを含む利用者情報を通信により取得する第一の情報取得手段と、
前記利用者情報の取得に合わせて前記列車の状態に関する列車情報を取得する第二の情報取得手段と、
前記利用者情報と前記列車情報とを旅客流動情報として記憶する第一の情報記憶手段と、
前記利用者情報に含まれる利用者IDに基づいて、前記旅客流動情報を第一の情報記憶手段に利用者ごとに記憶させる第一の情報処理部と、
すべての前記列車の第一の情報記憶手段に記憶されるすべての前記旅客流動情報を統合して記憶する第二の情報記憶手段と、
すべての前記利用者情報に含まれる利用者IDに基づいてすべての前記旅客流動情報を統合し、前記第二の旅客情報記憶手段に記憶させる第二の情報処理部とを備える旅客状況把握システム。
【請求項2】
情報記憶媒体は、ICカードであることを特徴とする請求項1に記載の旅客状況把握システム。
【請求項3】
情報記憶媒体は、無線タグであることを特徴とする請求項1に記載の旅客状況把握システム。
【請求項4】
ICカードは、無線端末に設けられ、携帯端末の入力部により利用者情報を追加して記憶することを特徴とする請求項2に記載の旅客状況把握システム。
【請求項5】
第一の情報取得手段は、この第一の情報取得手段からの要求に応じた追加の利用者情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の旅客状況把握システム。
【請求項6】
列車利用情報は、乗車駅名、乗車時刻、降車駅名、降車時刻、列車ID、車両番号の情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の旅客状況把握システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−238154(P2009−238154A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86639(P2008−86639)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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