説明

日焼け止め化粧料

【課題】UVA吸収剤と超微粒子酸化チタンとを含有する日焼け止め化粧料において、衣服への二次付着による汚着を防止する日焼け止め化粧料を提供すること。
【解決手段】(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンの一種又は二種以上から選ばれるUVA吸収剤と、
(2)内部に疎水化処理された超微粒子酸化チタンを41%以上含有した樹脂球状粉末と
を配合することを特徴とする日焼け止め化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日焼け止め化粧料に関するものである。さらに詳しくは、衣服への二次付着による汚着を防止する日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料による重要な紫外線吸収波長領域は、UV−A領域(320〜400nm)とUV−B領域(290〜320nm)である。そして、UV−A領域の紫外線は皮膚を黒化させるが、UV−B領域の紫外線のようにサンバーンを起こし、皮膚の老化を促進させるものではないと考えられていた。
【0003】
ところが近年になって、UV−B領域の紫外線が比較的、皮膚の表面部分にとどまるのに対して、UV−A領域の紫外線が、皮膚の深部にまで達し、皮膚の老化はもとより皮膚癌を誘発する原因となることが分かってきた。このように、日焼け止め化粧料には特にUV−A領域の紫外線吸収への要求が高まっている。
【0004】
UV−A領域に有用な紫外線吸収剤(UVA吸収剤という)として、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブトキシ−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンが存在する。
【0005】
ところで、日焼け止め化粧料における重要な課題に、紫外線吸収剤の着色に基づく衣服に二次付着した場合の汚着(即ち染着性)の問題があり、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどの有用なUVA吸収剤は二次付着により汚着する場合が多い。
【0006】
そして、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルについては、特定のベンゾトリアゾール誘導体を組み合わせて日焼け止め化粧料に配合することにより、汚着防止を図る技術が開発されている(特許文献1)。
【0007】
また、日焼け止め化粧料に有用な紫外線吸収剤としてオクチルメトキシシンナメートが知られているが、オクチルメトキシシンナメートは容易に着色して汚着の原因となる。これに対して、オクチルメトキシシンナメートと特定のベンゾトリアゾール誘導体とを組み合わせて配合することにより、オクチルメトキシシンナメートの汚着(着色性)を防ぎ、かつUV−A領域においても優れた紫外線吸収効果を発揮させる技術が開発されている(特許文献2)。
【0008】
このように、紫外線吸収剤を配合する日焼け止め化粧料は汚着の問題を解消することが求められている。
【0009】
なお、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等のUVA吸収剤を配合した油中水型乳化組成物からなる日焼け止め化粧料は公知であり(特許文献3及び4)、日焼け止め化粧料には、紫外線防御効果を上げるために、紫外線吸収剤と共に、紫外線散乱剤として酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの微粒子粉末を配合することが多い。
【0010】
一方、樹脂の中に酸化チタンの粉末を内包する酸化チタン樹脂粉末を配合する化粧料はメーキャップ化粧料として広く知られている。また、紫外線遮蔽性を付与した化粧料に関し、金属酸化物粒子を樹脂粉体に含有させて使用することにより、化粧料の原料として金属酸化物の微粒子を使用する場合に伴う技術的困難さと有機系紫外線吸収剤のみを用いることによる弊害とを解消できるようにすることを課題とし、この課題を解決するため、紫外線遮蔽能を有する平均粒子径0.003〜0.1μmの金属酸化物を内包させた樹脂粉体からなり、該樹脂粉体を化粧料に配合することが知られている(特許文献5)。さらに、化粧料の可視光線透過型原料として適した球状樹脂粉体及びその製造方法とこれを使用した化粧品に関して、金属化合物粒子を樹脂粉体に含有させて使用することにより、有機系紫外線吸収剤を不要にし、化粧料の原料として金属化合物の微粒子を使用する場合に伴う技術的困難さと有機系紫外線吸収剤の存在に伴う弊害とを解消できるようにすることが知られている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−182388号公報
【特許文献2】特開2005―206473号公報
【特許文献3】特開2003−113020号公報
【特許文献4】特開2007−530637号公報
【特許文献5】特開平09−208437号公報
【特許文献6】特開平08−53568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、日焼け止め化粧料について汚着防止の観点から鋭意研究を重ねた結果、
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブトキシ−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンの一種又は二種以上から選ばれる特定のUVA吸収剤を超微粒子酸化チタンと組み合わせて日焼け止め化粧料に配合すると、極めて優れた紫外線防御効果が得られるものの、衣服に二次付着した汚着が洗濯しても落ち難いことを見出した。
そしてこの課題は、前記特定のUVA吸収剤を内部に疎水化処理された超微粒子酸化チタンを35%以上含有した樹脂球状粉末と組み合わせて配合すると見事に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の目的は、UVA吸収剤と微粒子酸化チタンと組み合わせて配合した日焼け止め化粧料において、衣服の汚着(染着性)を改善した日焼け止め化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンの一種又は二種以上から選ばれるUVA吸収剤と、
(2)内部に疎水化処理された超微粒子酸化チタンを35%以上含有した樹脂球状粉末と
を配合することを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、前記疎水化処理された超微粒子酸化チタンが脂肪酸アルミニウムによって処理されたものであることを特徴とする上記の日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、前記日焼け止め化粧料が油中水型乳化化粧料であることを特徴とする上記の日焼け止め化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明の日焼け止め化粧料は、衣服に対する汚着を低減する。したがって、日焼け止め化粧料にUVA吸収剤と超微粒子酸化チタンとを高配合することが可能となる。
(2)本発明の日焼け止め化粧料は、UVA吸収剤と超微粒子酸化チタンにより優れた紫外線防御効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】汚着の測定方法の説明図である。
【図2】表1の汚着の測定結果を示す図である。
【図3】表2の汚着の測定結果を示す図である。
【図4】表3の汚着の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳述する。
【0020】
「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」
本発明に用いるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、公知のUV−A領域の紫外線吸収剤(UVA吸収剤)である。本発明においては、市販品(ユビナールA plus:BASF製)を好ましく利用できる。
【0021】
「2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン」
本発明に用いる2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンは、公知のUV−A領域の紫外線吸収剤(UVA吸収剤)である。本発明においては、市販品(チノソーブS チバスペシャルケミカルズ製)を好ましく利用できる。
【0022】
「4−tert−ブトキシ−4−メトキシジベンゾイルメタン」
本発明に用いる4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタンは、公知のUV−A領域の紫外線吸収剤(UVA吸収剤)である。本発明においては、市販品(パルソール1789 DSM製)を好ましく利用できる。
【0023】
「2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノン」
本発明に用いる2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンは、公知のUV−A領域の紫外線吸収剤(UVA吸収剤)である。本発明においては、市販品(ユビナールM40 BASF製)を好ましく利用できる。
【0024】
上記UVA吸収剤の配合量は適宜決定されるが、その一種又は二種又は三種又は四種の合計配合量として、日焼け止め化粧料全量に対して、通常1〜35質量%が配合される。3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
【0025】
なお、本発明の日焼け止め化粧料には、上記のUVA吸収剤の他に、UVB吸収剤としてオクチルメトキシシンナメートを配合することも好ましい。その配合量は適宜決定されるが、日焼け止め化粧料全量に対して、通常1〜40質量%が配合され、5〜20質量%が好ましい。
【0026】
「樹脂球状粉末」
本発明に用いる樹脂球状粉末は、内部に疎水化処理された超微粒子酸化チタンを35%以上含有した樹脂球状粉末である。
本発明において、超微粒子酸化チタンとは、その平均粒子径が10nm〜100nmの超微粒子酸化チタン粉末である。平均粒子径はレーザー粒度分布計を用いて常法により測定される値である。
樹脂球状粉末の樹脂とは、球状樹脂の内部に疎水化処理された超微粒子酸化チタンを41質量%以上含有する樹脂粉末である。球状樹脂粉末に超微粒子酸化チタンが内包された樹脂粉末は公知であるが、含有率が34質量%以下では含有量が少なすぎ、例えば、超微粒子酸化チタンを含有する樹脂粉体を化粧料に配合して紫外線防御能を化粧料に与えようとしても、十分に性能を発揮させるためには樹脂粉体を大量に配合しなければならず、化粧料の配合設計が極めて難しくなる。
また、疎水化処理されていない超微粒子酸化チタンでは、重合前の分散液を製造する段階で、この分散液の粘度が非常に高くなり、金属化合物の微粒子に対し効果的に分散エネルギーを与えることができずに、金属化合物の微粒子を高分散状態にすることは困難になる。このため、金属化合物の凝集物が残ったり、不均一になったりして均一な樹脂粉体を製造することはできなくなる。
超微粒子酸化チタンを41質量%以上もの高い含有率で内包された粉末は化粧料原料として使用されたことなない。
【0027】
<樹脂球状粉末を製法>
樹脂球状粉末を製造するには、懸濁重合法、乳化重合法、樹脂溶液を機械的に分散又は乳化する方法、樹脂溶液から微粒子を析出させる方法等が知られている。母材粒子の内部に含有率が35質量%を超える疎水化処理微粒子酸化チタンを分散させる方法は、例えば、母材粒子がナイロン樹脂の場合には、パラフィン等に環状ラクタムを加熱、溶解し、これに所望量の二酸化チタン微粉末を添加し、かき混ぜながら、重合促進剤、例えば三塩化リンを添加してアルカリ重合を行わせ、得られた粒子をろ別し、有機溶剤、例えばベンゼンやイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥する方法が挙げられる。
母材粒子がシリコーン樹脂の場合には、アンモニアやアミン等の水溶液に二酸化チタンや酸化亜鉛の微粉末を添加、混合し、更に、加水分解性シラン、例えばクロロシラン、ハイドロジェンシラン、アルコキシシラン、アセトキシシランを加えて加水分解、縮合反応を行わせ、得られた粒子をろ別し、水洗し、乾燥する方法が挙げられる。
また、母材粒子が酸化ケイ素の場合には、まず、ケイ酸ナトリウムに二酸化チタンや酸化亜鉛の微粉末を添加して懸濁液を調製し、更に界面活性剤とベンゼン等の油性分散剤との混合液を調製し、この混合液に上述した懸濁液を加え、乳化させて油中水分散型エマルジョンを得た後、それを硫酸アンモニウムや塩化アンモニウム等の塩を添加してケイ酸ナトリウムと反応させ、得られた粒子をろ別、水洗し、メタノール等の有機溶剤で洗浄し、乾燥する方法などが挙げられる。
さらに、好適な製法として非水溶性の熱可塑性樹脂を200℃程度の高温下で液状にしておき、そこに疎水化処理した微粒子酸化チタンを分散させた後、当該分散液を水溶性材料(オリゴ糖など)に分散して冷却固化した後、水洗により水溶性材料を除去して、非水溶性の熱可塑性樹脂と疎水化処理した微粒子酸化チタンからなる樹脂球状粉末を得る方法が挙げられる。
【0028】
その樹脂球状粉末の平均粒子径は1〜10μmであり、1〜5μmが好ましい。平均粒子径はレーザー粒度分布計を用いて常法により測定される値である。
疎水化処理するための処理剤は限定されないがステアリン酸アルミニウム・メチルハイドロジェンポリシロキサン・アルキルトリエトキシシランなどが好ましく、常法により疎水化処理される。
【0029】
樹脂球状粉末の配合量は、日焼け止め化粧料全量に対して、通常1〜40質量%が配合される。3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
【0030】
「日焼け止め化粧料を油中水型又は水中油型の乳化組成物に調製すること」
本発明の日焼け止め化粧料は、上記必須成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、アルコール類、増粘剤、色剤、各種の粉末成分、各種の油性成分、各種の水性成分を必要に応じて適宜配合して、常法により乳化組成物を調整することが好ましく、油中水型乳化組成物に調製することが好ましい。
なお、油中水型乳化組成物又は水中油型乳化組成物を構成する水の配合量は任意であり、製品に応じて適宜決定される。
【0031】
乳化剤は任意である。乳化剤としては、POE・メチルポリシロキサン共重合体、シリコーン鎖分岐型POE・メチルポリシロキサン共重合体、架橋型POE・メチルポリシロキサン共重合体、アルキル・POE共変性メチルポリシロキサン共重合体、シリコーン鎖分岐型アルキル・POE共変性メチルポリシロキサン共重合体、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
これらの中で本発明に好ましい乳化剤は、アルキル・POE共変性メチルポリシロキサン共重合体、又は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体である。
【0032】
本発明の効果を損なわない範囲で配合可能な成分の具体例を以下に示す。
デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、流動パラフィン、スクワラン、アボカド油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、月見草油、ヒマシ油、ヒマワリ油、茶実油、コメヌカ油、ホホバ油、カカオ脂、ヤシ油、スクワレン、牛脂、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、流動パラフィン、ポリオキシエチレン(8モル)オレイルアルコールエーテル、モノオレイン酸グリセリル、シクロメチコン、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどの油分。
カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール。
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸。
ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサンなどの保湿剤。
メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ポリビニルアルコールなどの増粘剤。
エタノール、1,3−ブチレングリコールなどの水相を構成する液体。
ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸などの酸化防止剤。
安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、ヘキサクロロフェンなどの抗菌防腐剤。
グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸と塩酸塩。
アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸。
ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体などのビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテートなどのビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネートなどのビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチンなどのビタミン類。
ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サポニン類(サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニンなど)、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランチン、プラセンタエキスなどの各種薬剤。
ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、タイム、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラなどの有機溶剤、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコールなどで抽出した天然エキス。
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドなどのカチオン界面活性剤。
エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤。
【0033】
本発明の日焼け止め化粧料は、軟膏、クリーム、乳液、ローション等の製品形態が挙げられる。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り全量に対する質量%である。
【0035】
各表に示す日焼け止め油中水型乳化化粧料(乳液状のサンスクリーン)を常法により製造した。下記の方法により汚着に対する洗浄除去効果を確認した。但し、表3は、水中油型乳化化粧料(乳液状のサンスクリーン)である。
【0036】
<樹脂球状粉末の製造>
〔製造例1〕
ポリアミド12 25重量部、ステアリン酸アルミニウム処理微粒子酸化チタン(平均粒径 15nm、TTO S4 石原産業株式会社)25重量部を超音波分散機を用いて分散した後、オリゴ糖100重量部と200℃に加温混合し、押出機で溶融混練しながらストランド状に押し出した。これを搬送し、450重量部の水の入った容器中に供給して、オリゴ糖を水に溶解させ、酸化チタン内包ポリアミド粒子の水分散液を得た。
次いで、得られた水分散液を連続的に5Cの濾紙で濾過した。回収濾物は再度5重量%となるように水中に分散し、さらに濾過を行った。この操作を3回繰り返すことにより洗浄を行い、乾燥して酸化チタン内包ポリアミド粒子(平均粒径5μm)を得た。

〔製造例2〕
樹脂モノマー相
ステアリン酸アルミニウム処理微粒子酸化チタン
(平均粒径 15nm MT−100T テイカ社製) 45重量部
酢酸ビニル(樹脂モノマー) 10重量部
メチルメタクリレート(樹脂モノマー) 34.8重量部
エチレングリコールジメタクリレート(樹脂モノマー) 10重量部
2,2アゾビス 2,4ジメチルバレロニトリル(重合開始剤) 0.2重量部
水相
水 500重量部
ポリビニルアルコール(ケン化度87%) 10重量部

樹脂モノマー相を超音波分散機を用いて分散した後、水相に加えてホモミキサーで撹拌してモノマー粒子が4μmになるように調整した。次に、この分散体を攪拌機および温度計を備えた反応装置に移し、55℃に昇温して重合を開始させた。さらに、5時間、この温度で重合させたのち、室温まで冷却し、吸引濾過にて得られた樹脂粉体を分離した。適量の温水そしてメタノールで洗浄したのち、室温にて乾燥させてステアリン酸アルミ処理酸化チタンが45%内包された樹脂球状粉末を得た。
【0037】
「汚着(染着性)の測定方法」
図1に示すように、サンプルを腕に厚めに塗布し、ブロード綿の中央に転写し(転写量約0.06g)、一日室内に放置した後、通常の衣類用洗剤(アタック:花王株式会社)を使用して洗濯し、分光測色計(ミノルタ(株):現コニカミノルタセンシング(株)製CM-2002)で、ΔE及びΔYIを測定した。結果を各表及び各図に示す。
下記実施例において、疎水化処理微粒子酸化チタンを本発明の樹脂内包酸化チタンに置き換えることで染着性が低減され、耐汚着に優れる。
































【0038】
【表1】

*1:製造例1で得られた内部にステアリン酸アルミニウムで疎水化処理された超微粒子酸化チタンを50%含有したナイロン球状粉末
平均粒子径5μm、内包されている超微粒子酸化チタンの平均粒子径15nm)
*2:TTO S4(石原産業株式会社) ステアリン酸アルミニウムで疎水化処理された平均粒子径 15nmの酸化チタン粉末
*3:パルソール1789(DSM製)
*4:ユビナールA+(BASF製)
*5:チノソーブS(チバ製)
*6:ユビナールN539T(BASF製)



【0039】
【表2】

*1:製造例2で得られた内部にステアリン酸アルミニウムで疎水化処理された超微粒子酸化チタンを45%含有したポリアクリル酸球状粉末
平均粒子径4μm、内包されている超微粒子酸化チタンの平均粒子径15nm)
*2:MT−100T(テイカ株式会社製)ステアリン酸アルミニウムで疎水化処理された平均粒子径 15nmの酸化チタン粉末
*3:ユビナールM40 BASF社製
【0040】
上記実施例において、疎水化処理酸化チタン粉末を、本発明にて用いる球状樹脂粉末で置き換えることにより、染着性は低減され、耐汚着に優れる。















【0041】
「水中油型乳化組成物からなる日焼け止め化粧料の試験」
【表3】

*1:ユビナールA+(BASF製)
*2:MT−100T(テイカ株式会社製)ステアリン酸アルミニウムで疎水化処理された平均粒子径 15nmの酸化チタン粉末
*3:製造例2で得られた内部にステアリン酸アルミニウムで疎水化処理された超微粒子酸化チタンを45%含有したポリアクリル酸球状粉末
【0042】
上記実施例において、日焼け止め化粧料が水中油型乳化組成物であっても、疎水化処理酸化チタン粉末を、本発明にて用いる球状樹脂粉末で置き換えることにより、染着性は低減され、耐汚着に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、紫外線防御効果が高く、そして衣服への二次付着による汚着を防止する日焼け止め化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンの一種又は二種以上から選ばれるUVA吸収剤と、
(2)内部に疎水化処理された超微粒子酸化チタンを35%以上含有した樹脂球状粉末と
を配合することを特徴とする日焼け止め化粧料。
【請求項2】
前記疎水化処理された超微粒子酸化チタンが脂肪酸アルミニウムによって処理されたものであることを特徴とする請求項1記載の日焼け止め化粧料。
【請求項3】
前記日焼け止め化粧料が油中水型乳化化粧料であることを特徴とする請求項1又は2記載の日焼け止め化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−68567(P2011−68567A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218818(P2009−218818)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】