説明

映像信号配信システム及び映像信号配信方法

【課題】有料デジタル放送において画面の部分的遮蔽処理を行った際に再生画像を損なうことなく、かつ伝送すべきデータストリーム量の縮減可能な映像配信システム並びに映像配信方法を提供する。
【解決手段】遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す第1圧縮符号化手段と、該圧縮符号化処理が施された映像信号と入力映像信号との差分信号を抽出する減算手段と、該差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す第2圧縮符号化手段と、第2圧縮符号化手段からの出力信号に所定の暗号化処理を施す暗号化手段とを設け、第1圧縮符号化手段からの出力信号に暗号化処理が施された信号を重畳して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、各種のデジタル放送やCATV等の放送媒体で実施されている有料放送における映像信号配信システム並びに映像信号配信方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波放送や衛星放送、或いはCATV等の各種放送媒体において、視聴契約を結んだ視聴者にのみ放送番組を提供する有料デジタル放送が普及しつつある。これらの有料デジタル放送では、放送事業者と視聴契約を結んでいない未契約視聴者の契約加入へのモチベーションを高めるべく、未契約視聴者に対しても短時間の無料放送時間を設けたり、或いは、有料放送番組のコンテンツを不鮮明画像で未契約視聴者に配信するなどのサービスが行われている。
【0003】
従来、未契約視聴者に対する不鮮明画像の配信に関しては、例えば、特許文献1などの公知文献に示されるような方式が用いられている。同公知文献に開示された技術は、画像信号のデコード規格等を定めたMPEG−2(ISO/IEC13818−2)で規定された3つの階層構造(空間、SNR、時間)のうち、空間スケーラビリティを利用して有料放送番組のコンテンツについての不鮮明画像を生成している。同方式では、放送番組の送信側において画像符号化時に著作権を保護すべき対象のビットストリームの一部にスクランブルをかけ、視聴権を有する視聴者の画像復号装置では所定のデスクランブル処理によって正常な画像再生が為されるが、視聴権を持たない視聴者の画像復号装置ではかかるスクランブルが解けず画像の概要が認識できるのみとなる。
【0004】
つまり、同方式では空間スケーラビリティの基本レイヤにおいて、いわゆる無料ストリームのデータ列が生成され、その拡張レイヤにおいてスクランブルの施された有料ストリームのデータ列が生成される。そして、かかる無料ストリームと有料ストリームが地上波や衛星波、或いはケーブル等の伝送媒体上で多重されて、放送番組の提供事業者から各々の視聴者に配信され、視聴権を有する視聴者のみが所定の復号キーによって有料ストリームの符号化部分を復号し得る構成をとっている。
【0005】
しかしながら、従来方式では、それぞれがデータ量の多い無料ストリームと有料ストリームとを併せて伝送する必要があるため、伝送媒体上に多重すべきデータ量が増加するという欠点があった。また、空間スケーラビリティにより処理を行うためスクランブルやデスクランブルの際に、例えば、アップサンプリング器やダウンサンプリング器等の回路を必要とし、画像符号化/復号化装置の構成が複雑となるという欠点もあった。
【0006】
さらに、従来方式において画面の一部のみにマスク等の遮蔽処理を施して視聴権の無い視聴者には重要な映像を見せず、視聴権の有る視聴者には全画面を見せると言う画面の部分的遮蔽を行う場合、例えば、見せたくない部分をデコード後にOSD(On Screen Display)等で遮蔽する処理や、見せる部分と見せたくない部分とを別々にエンコードしてデコード後にこれらを合成する等の処理が為されていた。しかしながら、前者の方法では遮蔽が不十分となってコンテンツ保護の観点から問題があり、また、後者の方法では合成後の遮蔽部と非遮蔽部との境界線が目立って再生画像が損なわれると言う欠点があった。
【特許文献1】特開2001−258004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題には、有料デジタル放送において画面の部分的遮蔽処理を行った際に再生画像を損なうことなく、かつ伝送すべきデータストリーム量の縮減可能な映像配信システム並びに映像配信方法の提供が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は映像信号送信装置であって、入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号を遮蔽処理する遮蔽処理手段と、該遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す第1圧縮符号化手段と、該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出する減算手段と、前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す第2圧縮符号化手段と、前記第2圧縮符号化手段からの出力信号に所定の暗号化処理を施す暗号化手段とを含み、前記第1圧縮符号化手段からの出力信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は映像信号受信装置であって、請求項1に記載の映像信号送信装置からの送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化手段と、前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化手段と、前記第1及び第2復号化手段のそれぞれの出力信号を加算する加算手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は映像信号送信方法であって、入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号に遮蔽処理を施すステップと、前記遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施すステップと、該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出するステップと、前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施すステップと、前記圧縮率の低い圧縮符号化処理が施された信号に所定の暗号化処理を施すステップと、前記高圧縮符号化処理が施された信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信するステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は映像信号受信方法であって、請求項6に記載の映像信号送信方法によって送信された送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化ステップと、前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化ステップと、前記第1及び第2復号化ステップの処理を施された各々の信号を加算するステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項9に記載の発明はコンピュータプログラムに関する発明であって、コンピュータに、入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号について遮蔽処理を施す機能と、前記遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す機能と、該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出する機能と、前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す機能と、前記圧縮率の低い圧縮符号化処理が施された信号に所定の暗号化処理を施す機能と、前記高圧縮符号化処理が施された信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信する機能とを実現させるプログラムである。
【0013】
請求項10に記載の発明はコンピュータプログラムに関する発明であって、コンピュータに、請求項9のプログラムによって実現された送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化機能と、前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化機能と、前記第1及び第2復号化機能の処理を施された各々の信号を加算する機能とを実現させるプログラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
【実施例1】
【0015】
本発明に基づく映像信号配信システムの第1の実施例を図1に示す。同図において、映像信号送信装置10aは、地上波や衛星、或いはCATV等のデジタル放送事業を運営する事業者の局舎内に設けられている。映像信号送信装置10aから送信された信号は、例えば、空間電波伝搬経路や同軸ケーブル等の信号伝送路30を介して、デジタル放送番組の配信を受ける各視聴者の宅内に設けられた映像信号受信装置20aに伝送される。
【0016】
映像信号送信装置10aは、入力映像信号について所定のマスク処理を施すマスク処理部11、マスク処理部11からの出力信号について高圧縮の画像信号圧縮処理を施す高圧縮エンコード部12、及び高圧縮エンコード部12において符号化された信号を再びデコードするデコード部13を含んでいる。また、映像信号送信装置10aは、上記入力映像信号を所定時間遅延させる遅延部15、遅延部15からの出力信号と上記デコード部13からの出力信号との差分信号を抽出する減算部14、かかる差分信号について画像品質を維持すべく低圧縮の画像信号圧縮処理を施す高画質エンコード部16、及び高画質エンコード部16からの出力信号について所定の暗号化処理を施す暗号処理部17を含んでいる。
【0017】
高圧縮エンコード部12並びに暗号処理部17の各々からの出力信号は、例えば、時分割多重等の多重化方法によって同一の伝送チャネル内に多重されて、映像信号送信装置10aから所定の信号伝送路30に送出される。なお、以下の説明においては、高圧縮エンコード部12からの出力信号であるデータ列を無料ストリーム、暗号処理部17からの出力信号であるデータ列を有料ストリームと称するものとする。
【0018】
一方、映像信号受信装置20aは、受信信号に含まれる無料ストリームを復号するデコード部21、デコード部21の出力信号を所定時間遅延させる遅延部25を含んでいる。さらに、映像信号受信装置20aは、上記受信信号に含まれる有料ストリームに施された暗号化を解読する暗号復号処理部22、暗号復号処理部22からの出力信号について圧縮された信号の復号を行うデコード部23、及び上記デコード部21からの出力信号とデコード部23からの出力信号の各々を加算する加算部24を含んでいる。
【0019】
次ぎに、図1の映像信号配信システムにおける動作を説明する。なお、図1中において示されている画像a〜hの模式図は、映像信号送信装置10a及び映像信号受信装置20aの各部における映像信号の表示画像を概念的に表したものである。因みに、各々の画像に施されたハッチングの密度が各画像の解像度を示しており、ハッチングの密度が高いほど画像品質が高いことを意味している。
【0020】
先ず、映像信号送信装置10aの前段に設けられた配信画像生成装置(図示せず)から、視聴者に配信される画像a(以下“原画a”と称する)がマスク処理部11に供給される。これと同時に、マスク処理部11には所定のマスク画像bが、同じく本装置の前段に設けられたマスク視聴制御回路(図示せず)から供給される。
【0021】
マスク画像bは、原画aの画面中において視聴権の無い視聴者に見せたくない部分を遮蔽(マスク)するフレーム画像を意味している。例えば、表示画像を構成する各々の画素の輝度値が8ビット、即ち0〜255段階の階調ステップを有する場合、マスク画像bは、視聴権の無い視聴者に見せたくない部分、即ち遮蔽エリア(画像bの黒塗り部)の輝度値を0、見せても良い部分、即ち非遮蔽エリア(画像bの黒塗り部周囲)の輝度値を255としたフレーム画像である。
【0022】
マスク処理部11は、原画aとマスク画像bとの対応する画素同士毎に輝度値の論理積(AND)をとって無料ストリーム原画像cを生成し、これを高圧縮エンコード部12に供給する。高圧縮エンコード部12は、かかる無料ストリーム原画像cについて符号圧縮率の高い信号圧縮処理を施して無料ストリームのデータ列を生成する。
【0023】
無料ストリームのデータ列は、後述の有料ストリームのデータ列に多重されて映像信号送信装置10aから伝送路30に送信され、同時にデコード部13にも供給される。
【0024】
デコード部13は、無料ストリームをデコードして無料ストリームデコード画像dを生成する。なお、無料ストリームは、高圧縮エンコード部12において高圧縮符号化が施されているため、デコード部13によってデコードされたデコード画像dは、先の無料ストリーム原画像cに較べてその画像品質が低下している。因みに、デコード部13におけるデコード処理は、後述する映像信号受信装置20aのデコード部21における処理と同じであるので、デコード画像dは、映像信号受信装置20aにおいて視聴権の無い視聴者が見ることができる無料ストリーム再生画像fに相当するものとなる。
【0025】
一般に、映像信号送信装置のエンコード部は処理動作の必要上、符号化されたエンコード信号を再デコードするローカル・デコーダを内蔵している。それ故、映像信号送信装置10a内にデコード部13を別途設けることなく、かかる内蔵ローカル・デコーダの出力信号を利用してデコード画像dを得るような構成としても良い。
【0026】
一方、入力映像信号の原画aは、遅延部15にも供給されて遅延部15で所定の遅延時間が付加された後、減算部14に出力される。そして、減算部14において、遅延部15から供給された信号と、デコード部13から供給されたデコード画像dとの差分信号が算出される。
【0027】
かかる差分信号の画像は、原画aとデコード画像dの各々において対応する画素成分同士の輝度値の減算値となるので、図1に示される画像eのようなパターンとなる。
【0028】
すなわち、その遮蔽エリアにおいては、原画aの輝度値からデコード画像dの遮蔽エリア(画像dの黒塗り部)の輝度値0が減算されるだけであるので、原画aの該当エリアにおける輝度値がそのまま残留する(画像eのハッチング部)。一方、その非遮蔽エリアに関しても、原画aとデコード画像dの各々において対応する画素成分同士の輝度値の減算が為される。ところで、デコード画像dは、無料ストリーム原画像cについて高圧縮信号処理を施した後にこれを再度デコードした画像である。それ故、デコード画像dは原画aの低品質画像に相当し、非遮蔽エリアにおいては、デコード画像dと原画aとの各々対応する画素成分同士の輝度値は近似した値となり両者間の減算結果はほとんど0となる(画像eの黒市松模様部)。即ち、画像eの黒市松模様部には、非遮蔽エリアにおける原画aとデコード画像dとの輝度値の誤差成分のみが含まれることになり、その値は0に極めて近い値となる。
【0029】
減算部14の出力である差分信号(画像e)は、高画質エンコード部16に供給されてそこで信号圧縮処理が施される。高画質エンコード部16では、かかる差分信号(画像e)に対してその画像品質を維持すべく、高圧縮エンコード部12に比較して低圧縮の画像信号圧縮処理を実施する。上述の如く、画像eの大部分を占める非遮蔽エリアは、原画aとデコード画像dとの誤差成分のみでありその情報量自体が極めて少ない。それ故、低圧縮の画像信号圧縮処理を行った場合であっても、高画質エンコード部16によってエンコードされたデータ列のデータ量は極めて少ないものとなる。
【0030】
高画質エンコード部16から出力されたデータ列は、暗号処理部17において所定の暗号処理が施されて有料ストリームのデータ列となる。
【0031】
映像信号送信装置10aは、かかる有料ストリームのデータ列と、高圧縮エンコード部12からの出力信号である無料ストリームのデータ列とを、例えば、時分割多重等の多重化方法により1つの伝送チャネル内に多重して伝送路30に送出する。
【0032】
次ぎに、映像信号受信装置20aの動作について説明する。
【0033】
映像信号受信装置20aでは、同装置を保有する視聴者における視聴権の有無によってその動作範囲が異っている。即ち、視聴権の無い視聴者の宅内に置かれた装置では、図1の一点鎖線で囲まれた部分(200)のみが動作し、視聴権の有る視聴者宅内の装置では映像信号受信装置20aの全機能が動作する。
【0034】
先ず、視聴権の無い視聴者の宅内に置かれた受信装置の場合、受信信号に含まれる無料ストリームは、デコード部21によってデコード処理が施されて無料ストリーム再生画像fがデコードされる。かかるデコード処理は、映像信号送信装置10aのデコード部13におけるデコード処理と同様であるので、デコード部21からの無料ストリーム再生画像fは、映像信号送信装置10aのデコード画像dと同じになる。つまり、無料ストリーム再生画像fは、図1に示される如く、高圧縮エンコードによって原画aに較べて画像品質の低下した画像であり、かつ画像中の遮蔽エリアがマスクされた画像となっている。そして、視聴権の無い視聴者は、この無料ストリーム再生画像fのみを視聴することができる。
【0035】
一方、視聴権の有る視聴者の宅内に置かれた受信装置では、無料ストリーム再生画像fのデコード処理に加えて、受信信号に含まれる有料ストリームについての処理が行われる。即ち、有料ストリームのデータ列は、暗号復号処理部22において、映像信号送信装置10aで施された所定の暗号化処理が解除される。そして、暗号化を解かれた有料ストリームは、次段のデコード部23で所定のデコード処理が施されてデコード画像hが再生される。デコード部23におけるデコード処理は、映像信号送信装置10aの高画質エンコード部16におけるエンコード処理に対応しているので、デコード部23からの出力であるデコード画像hは、高画質エンコード部16の入力画像eと同様の画像になる。
【0036】
視聴権の有る視聴者の宅内に置かれた受信装置の場合、デコード部21からの無料ストリーム再生画像fは、さらに遅延部25を経て所定の遅延時間が付加された後に加算部24に供給される。一方、加算部24にはデコード部23からのデコード画像hも印加され、加算部24において両画像信号の加算処理が行われる。ところで、遅延部25の出力である画像gは、デコード部21からの無料ストリーム再生画像fが、単に所定時間遅延されたものであるから画像fと同様であり、上述した如く映像信号送信装置10aにおけるデコード画像dと同様になる。
【0037】
つまり、加算部24において行われる画像hと画像gとの加算処理は、映像信号送信装置10aにおける画像eと画像dとの加算処理に等しく、この加算によって得られる画像iは原画aに等しくなる。そして、視聴権を有する視聴者は、かかる原画aに等しい高品質画像の画像iを視聴することができる。
【0038】
すなわち、本実施例においては、無料ストリーム原画像cについて高圧縮符号化処理を施すので、その結果生成される無料ストリームのデータ量を低減させることができる。一方、画像eについては、高画質を維持すべく低圧縮符号化処理を施すが、画像eの大部分は非遮蔽エリアの誤差成分のみであるためその情報量は極めて少ない。それ故、低圧縮符号化処理を施してもそれによって生成される有料ストリームのデータ量も小さな値となる。従って、本実施例によれば、単純に低品質画面の無料ストリームと高品質画面の有料ストリームとを多重して伝送する場合に較べて、伝送すべきデータ量を縮減させることが可能となる。
【0039】
以上に説明したように、本実施例に基づく映像信号の配信システムは、映像信号送信装置10aと映像信号受信装置20aを含んでいる。
【0040】
そして、映像信号送信装置10aは、入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号を遮蔽処理する遮蔽手段に相当するマスク処理部11と、前記遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す第1圧縮符号化手段に相当する高圧縮エンコード部12と、該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出する減算手段に相当する減算部14と、前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す第2圧縮符号化手段に相当する高画質エンコード部16と、前記第2圧縮符号化手段からの出力信号に所定の暗号化処理を施す暗号化手段に相当する暗号処理部17とを含み、高圧縮エンコード部12からの出力信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信する。
【0041】
また、映像信号受信装置20aは、映像信号送信装置10aからの送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化手段に相当するデコード部21と、前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化手段に相当する暗号復号処理部22及びデコード部23と、前記第1及び第2復号化手段のそれぞれの出力信号を加算する加算手段に相当する加算部24とを含んでいる。
【0042】
本実施例に基づく映像信号の配信システムは、以上に説明した構成をとることによって、表示画面の一部に遮蔽処理の施された無料画像と遮蔽部分のない高品質の有料画像を同時に配信する際に、映像信号送信装置から映像信号受信装置に伝送すべきデータ量を低減させることができる。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明に基づく映像信号配信システムの第2実施例について、図2のブロック図参照しつつ説明を行う。
【0044】
図2において、映像信号送信装置10bは、地上波や衛星、或いはCATV等の放送事業を運営する事業者の局舎内に設けられている。映像信号送信装置10bから送信された信号は、例えば、空間電波伝搬経路や同軸ケーブル等の信号伝送路30を介して、デジタル放送番組の配信を受ける各視聴者の宅内に設けられた映像信号受信装置20bに伝送される。
【0045】
ところで、上述した第1実施例と以下に説明する第2実施例との相違は、映像信号送信装置10a又は10bにおいて為される画像の部分的遮蔽処理がマスク処理であるか或いはモザイク処理化であるかの相違だけである。それ故、以下の説明では第1実施例で既に解説した各構成要素に関する説明は省略する。
【0046】
第2実施例において、映像信号送信装置10bは、入力映像信号の表示画面について所定のモザイク処理を施すモザイク処理部18、高圧縮エンコード部12、デコード部13、遅延部15、減算部14、高画質エンコード部16、及び暗号処理部17を含んでいる。また、映像信号受信装置20bは、デコード部21、遅延部25、暗号復号処理部22、デコード部23、及び加算部24を含んでいる。
【0047】
次ぎに、図2の映像信号配信システムにおける動作を、映像信号送信装置10bに供給される入力映像信号に施されるモザイク処理を中心に説明する。なお、図2中において示されている画像aa〜hhの模式図は、それぞれが第1実施例における画像a〜hに対応するものである。
【0048】
先ず、映像信号送信装置10bの前段に設けられた配信画像生成装置(図示せず)から視聴者に配信される画像aa(以下“原画aa”と称する)がモザイク処理部18に供給されるとモザイク処理部18は同画像について所定のモザイク処理を施す。即ち、モザイク処理部18は、原画aaの画面中において視聴権の無い視聴者に見せたくない部分、即ち遮蔽エリア(画像ccのモザイク模様部)をモザイク模様でカバーし、その回りの見せても良い部分、即ち非遮蔽エリア(画像ccのモザイク模様部周囲)の輝度値を原画aaのままとした無料ストリーム原画像ccを生成する。
【0049】
無料ストリーム原画像ccは、高圧縮エンコード部12に供給されて、高圧縮処理が施された無料ストリームのデータ列が生成される。無料ストリームのデータ列は、後述の有料ストリームのデータ列に多重されて映像信号送信装置10aaから信号伝送路30に送信され同時にデコード部13にも供給される。
【0050】
デコード部13は、無料ストリームを復号して無料ストリームデコード画像ddを生成する。なお、無料ストリームは、高圧縮エンコード部12において高圧縮符号化が為されているため、デコード部13によってデコードされたデコード画像ddは、先の無料ストリーム原画像ccに較べてその画像品質が低下している。因みに、デコード部13におけるデコード処理は、後述する映像信号受信装置20bのデコード部21における処理と同様であるので、デコード画像ddは、映像信号受信装置20bにおいて視聴権の無い視聴者が見ることができる無料ストリーム再生画像ffに相当するものとなる。なお、デコード部13は、高圧縮エンコード部12に内蔵されているローカル・デコーダを利用する構成としても良い。
【0051】
一方、原画aaは、遅延部15にも供給されて遅延部15で所定の遅延時間が付加された後、減算部14に出力される。減算部14では、遅延部15から供給された信号とデコード部13から供給されたデコード画像ddとの差分信号が算出される。
【0052】
かかる差分信号の画像は、原画aaとデコード画像ddの各々において対応する画素成分同士の輝度値の減算値となるので、図2に示される画像eeのようなパターンとなる。即ち、その遮蔽エリアに関しては、原画aaの輝度値からデコード画像ddのモザイク模様部の輝度が減算された輝度値となる(画像eeのモザイク模様部)。一方、その非遮蔽エリアに関しても原画aaとデコード画像ddの各々において対応する画素成分同士の輝度値の減算が為される。
【0053】
ところで、デコード画像ddは、無料ストリーム原画像ccについて高圧縮信号処理を施した後にこれを再度デコードした画像であり、原画aaの低品質画像に相当する。それ故、その非遮蔽エリアにおいては、デコード画像ddと原画aaとの各々対応する画素成分同士の輝度値が近似した値となり、両者間の減算結果はほとんど0となる(画像eeの黒市松模様部)。即ち、画像eeの黒市松模様部には、非遮蔽エリアにおける原画aaとデコード画像ddとの誤差成分のみが含まれることになりその値は0に極めて近い値となる。
【0054】
減算部14の出力である差分信号(画像ee)は、高画質エンコード部16に供給されて信号圧縮処理が施される。高画質エンコード部16では、かかる差分信号(画像ee)に対してその画像品質を維持すべく、高圧縮エンコード部12に比較して低圧縮の画像信号圧縮処理を実施する。上述の如く、画像eeの大部分を占める非遮蔽エリアは、原画aaとデコード画像ddとの誤差成分のみでありその情報量自体が極めて少ない。それ故、低圧縮の画像信号圧縮処理を行った場合であっても、高画質エンコード部16によってエンコードされたデータ列のデータ量は極めて少ないものとなる。
【0055】
高画質エンコード部16から出力されたデータ列は、暗号処理部17に印加されて所定の暗号処理が施されて有料ストリームのデータ列が生成される。
【0056】
映像信号送信装置10bは、かかる有料ストリームのデータ列と、高圧縮エンコード部12からの出力信号である無料ストリームのデータ列とを、例えば、時分割多重等の多重化方式によって1つの伝送チャネル内に多重して伝送路30に送出する。
【0057】
次ぎに、映像信号受信装置20bの動作について説明する。
【0058】
映像信号受信装置20bでは、同装置を保有する視聴者における視聴権の有無によってその動作範囲が異っている。即ち、視聴権の無い視聴者の宅内に置かれた装置では、図2の一点鎖線で囲まれた部分200のみが動作し、視聴権の有る視聴者宅内の装置では映像信号受信装置20bの全機能が動作する。
【0059】
先ず、視聴権の無い視聴者の宅内に置かれた受信装置の場合、受信信号に含まれる無料ストリームは、デコード部21によってデコード処理が施されて無料ストリーム再生画像ffが生成される。かかるデコード処理は、映像信号送信装置10bのデコード部13におけるデコード処理と同様であるので、デコード部21からの無料ストリーム再生画像ffは、映像信号送信装置10bのデコード画像ddと同じになる。つまり、無料ストリーム再生画像ffは、図2に示される如く、高圧縮エンコードによって原画aaに較べて画像品質の低下した画像であり、かつ画像中の遮蔽エリアに所定のモザイク処理された画像となる。そして、視聴権の無い視聴者は、かかる無料ストリーム再生画像ffのみを視聴することができる。
【0060】
一方、視聴権の有る視聴者の宅内に置かれた受信装置では、無料ストリーム再生画像ffのデコード処理に加えて、受信信号に含まれる有料ストリームについての処理が行われる。即ち、受信信号に含まれる有料ストリームは、暗号復号処理部22において映像信号送信装置10bで施された所定の暗号処理が解除される。そして、暗号化を解かれた有料ストリームは、次段のデコード部23で所定のデコード処理が施されてデコード画像hhが再生される。なお、デコード部23におけるデコード処理は、映像信号送信装置10bの高画質エンコード部16におけるエンコード処理に対応しているので、デコード部23からの出力であるデコード画像hhは、高画質エンコード部16の入力画像eeと同様の画像になる。
【0061】
視聴権の有る視聴者の宅内に置かれた受信装置では、デコード部21からの無料ストリーム再生画像ffは、さらに遅延部25を経て所定の遅延時間が付加された後に加算部24に供給される。一方、加算部24にはデコード部23からのデコード画像hhも印加され、加算部24において両画像の加算処理が行われる。ところで、遅延部25の出力である画像ggは、デコード部21からの無料ストリーム再生画像ffが、単に所定時間遅延されたものであるから画像ffと同じであり、上述した如く映像信号送信装置10bにおけるデコード画像ddと同様になる。
【0062】
つまり、加算部24において行われる画像hhと画像ggとの加算処理は、映像信号送信装置10bにおける画像eeと画像ddとの加算処理に等しく、かかる加算によって得られる画像iiは原画aaに等しくなる。そして、視聴権を有する視聴者は、かかる原画aaに等しい高品質画像の画像iiを視聴することができる。
【0063】
すなわち、本実施例においては、無料ストリーム原画像ccについて高圧縮符号化処理を施すので、その結果生成される無料ストリームのデータ量を低減させることができる。一方、画像eeについては、高画質を維持すべく低圧縮符号化処理を施すが、画像eeの大部分は非遮蔽エリアの誤差成分のみであるためその情報量は極めて少ない。それ故、低圧縮符号化処理を施してもそれによって生成される有料ストリームのデータ量も小さな値となる。従って、本実施例によれば、単純に低品質画面の無料ストリームと高品質画面の有料ストリームとを多重して伝送する場合に較べて伝送すべきデータ量を縮減させることが可能となる。
【0064】
また、本実施例では、マスク画面による遮蔽ではなくモザイク処理によって画面上の見せたくない部分の遮蔽を行うので、第1実施例に較べて各々の画面毎に任意の位置或いは任意の大きさで遮蔽を行うことができる。これによって、未契約視聴者の興味をさらに引きつけることが可能となり、有料デジタル放送の視聴契約の加入を促進するサービスとしての利用価値が増大する。
【0065】
以上に説明したように、本実施例に基づく映像信号の配信システムは、映像信号送信装置10bと映像信号受信装置20bを含んでいる。
【0066】
そして、映像信号送信装置10bは、入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号を遮蔽処理する遮蔽処理手段に相当するモザイク処理部18と、該遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す第1圧縮符号化手段に相当する高圧縮エンコード部12と、該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出する減算手段に相当する減算部14と、前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す第2圧縮符号化手段に相当する高画質エンコード部16と、前記第2圧縮符号化手段からの出力信号に所定の暗号化処理を施す暗号化手段に相当する暗号処理部17とを含み、高圧縮エンコード部12からの出力信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信する。
【0067】
また、映像信号受信装置20bは、映像信号送信装置10aからの送信信号を受信して該受信信号に含まれる受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化手段に相当するデコード部21と、前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化手段に相当する暗号復号処理部22及びデコード部23と、前記第1及び第2復号化手段のそれぞれの出力信号を加算する加算手段に相当する加算部24とを含んでいる。
【0068】
本実施例に基づく映像信号の配信システムは、以上に説明した構成をとることによって映像信号送信装置から映像信号受信装置に伝送すべきデータ量を低減できるとともに、表示画面の一部に遮蔽処理の施された無料画像と、遮蔽部分のない高品質の有料画像を同時に配信することができる。
【0069】
なお、以上に説明した第1及び第2の実施例では、原画に施すマスク画面或いはモザイク処理部の面積を有限な値として取り扱ったが、本発明の実施はかかる事例に限定されるものではない。例えば、マスク画面或いはモザイク処理部の面積を極小若しくはゼロとした場合の実施をも含むものとする。この場合、無料ストリームは、高圧縮の符号圧縮処理が施された低画質画面のデータ列となり、有料ストリームは、かかる低画質画面と原画との誤差成分について低圧縮符号圧縮処理が施されたデータ列となる。そして、視聴権の無い視聴者は無料ストリームの低画質画面のみを再生することができ、視聴権の有る視聴者は無料ストリームのデータ有料ストリームのデータとを併せて高画質画面を再生することができる。なお、この場合においても、送信装置から受信装置に送られるデータ量は、単純に低画質画像と高画質画像の各々をデコードして送信する場合に較べて削減することができる。
【0070】
さらに、本発明の実施は以上に説明した各実施例に限定されるものではなく、例えば、インターネットなどのネットワークを利用した番組コンテンツのネット配信サービスにおいて、本発明に基づく映像信号配信システムを実施するようにしても良い。また、視聴者宅内の映像信号受信装置が、例えば、ハードディスク等記憶媒体を備えている場合は、分離して配信された有料ストリームと無料ストリームの各々を、かかる記憶媒体に一旦蓄積して視聴時に合成する構成を採るようにしても良い。
【0071】
また、以上に説明した実施例では、有料ストリームと無料ストリームの各々を同一の伝送媒体に多重して送出する例を示したが、本発明の実施はかかる事例に限定されるものではない。例えば、無料ストリームは放送形式の配信型の伝送媒体で送出して、有料ストリームはインターネット等の通信型の伝送媒体で送出するようにしても良い。一般に、有料ストリームは視聴契約を結んだ特定の視聴者のみに伝送すればよいので、かかる送出方法を用いることにより、比較的に高コストの通信型の伝送媒体を介して行うデータ送出量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例による映像信号配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施例による映像信号配信システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
10a,10b 映像信号送信装置
20a,20b 映像信号受信装置
11 マスク処理部
12 高圧縮エンコード部
13,21,23 デコード部
14 減算部
15,25 遅延部
16 高画質エンコード部
17 暗号処理部
18 モザイク処理部
22 暗号復号処理部
24 加算部
30 信号伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号を遮蔽処理する遮蔽処理手段と、
該遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す第1圧縮符号化手段と、
該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出する減算手段と、
前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す第2圧縮符号化手段と、
前記第2圧縮符号化手段からの出力信号に所定の暗号化処理を施す暗号化手段とを含み、
前記第1圧縮符号化手段からの出力信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信することを特徴とする映像信号送信装置。
【請求項2】
前記所定パターン画面は、均一色画面であることを特徴とする請求項1に記載の映像信号送信装置。
【請求項3】
前記所定パターン画面は、着色の異なる隣接小画面の組み合わせから成るモザイク画面であることを特徴とする請求項1に記載の映像信号送信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の映像信号送信装置からの送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化手段と、
前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化手段と、
前記第1及び第2復号化手段のそれぞれの出力信号を加算する加算手段と、を含むことを特徴とする映像信号受信装置。
【請求項5】
入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号を遮蔽処理する遮蔽処理手段と、該遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す第1圧縮符号化手段と、該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出する減算手段と、前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す第2圧縮符号化手段と、前記第2圧縮符号化手段からの出力信号に所定の暗号化処理を施す暗号化手段とを含み、前記第1圧縮符号化手段からの出力信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信することを特徴とする映像信号送信装置と、
前記映像信号送信装置からの送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化手段と、前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化手段と、前記第1及び第2復号化手段のそれぞれの出力信号を加算する加算手段とを含むことを特徴とする映像信号受信装置と、から成る映像信号の配信システム。
【請求項6】
入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号に遮蔽処理を施すステップと、
前記遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施すステップと、
該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出するステップと、
前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施すステップと、
前記圧縮率の低い圧縮符号化処理が施された信号に所定の暗号化処理を施すステップと、
前記高圧縮符号化処理が施された信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信するステップと、を含むことを特徴とする映像信号送信方法。
【請求項7】
請求項6に記載の映像信号送信方法によって送信された送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化ステップと、
前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化ステップと、
前記第1及び第2復号化ステップの処理を施された各々の信号を加算するステップと、を含むことを特徴とする映像信号受信方法。
【請求項8】
入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号に遮蔽処理を施すステップと、前記遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施すステップと、該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出するステップと、前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施すステップと、前記圧縮率の低い圧縮符号化処理が施された信号に所定の暗号化処理を施すステップと、前記高圧縮符号化処理が施された信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信するステップとを含むことを特徴とする映像信号送信方法と、
前記映像信号送信方法によって送信された送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化ステップと、前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化ステップと、前記第1及び第2復号化ステップの処理を施された各々の信号を加算するステップとを含むことを特徴とする映像信号受信方法と、から成る映像信号の配信方法。
【請求項9】
コンピュータに、入力映像信号に含まれるフレーム画面の各々の一部が所定パターン画面となるように前記入力映像信号について遮蔽処理を施す機能と、
前記遮蔽処理の施された映像信号について圧縮率の高い圧縮符号化処理を施す機能と、
該圧縮符号化処理が施された映像信号と前記入力映像信号との差分信号を抽出する機能と、
前記差分信号について圧縮率の低い圧縮符号化処理を施す機能と、
前記圧縮率の低い圧縮符号化処理が施された信号に所定の暗号化処理を施す機能と、
前記高圧縮符号化処理が施された信号に前記暗号化処理が施された信号を重畳して送信する機能と、を実現させるプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9のプログラムによって実現された送信信号を受信して該受信信号に含まれる高圧縮符号化処理を施された映像信号について伸長復号化処理を施す第1復号化機能と、
前記受信信号に含まれる暗号化並びに低圧縮符号化処理を施された映像信号について暗号復号化処理並びに伸長復号化処理を施す第2復号化機能と、
前記第1及び第2復号化機能の処理を施された各々の信号を加算する機能と、を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−121566(P2006−121566A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309427(P2004−309427)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】