説明

映像監視装置

【課題】簡単な装置構成により映像データのうちから監視に必要な部分のみを抽出して短時間で監視作業を遂行することができる映像監視装置を提供する。
【解決手段】監視カメラによって継続して撮像して得られる映像データをフレーム単位に記憶し、動体を含むフレームを当該映像データから抽出する機能を有し、監視に必要な映像を素早く検出することを可能にした映像監視装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視されるべき空間を撮像するために設けられた監視カメラによって得られる映像データのうちから所定の条件に合致する部分の映像データを検索する検索機能を備えた映像監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば防犯等の目的のために例えばATMコーナーなどの空間を監視対象として撮像し、得られた映像データをハードディスク等の記憶媒体に記憶して、当該映像データのうちから所定の条件に合致する部分の映像データを検索する検索機能を備えた映像監視装置が知られている。例えば特許文献1には、ドアの開閉状態等の状態を示す状態情報を属性データとして映像データとともに記録し、当該属性データを検索キーワードとして当該属性データに対応する部分の映像データを検索する映像監視装置が開示されている。また、例えば特許文献2には、撮像して得られた複数の画像データから顔特徴量や着衣情報等の画像情報を求めて記憶し、録画画像の人物と検索対象画像の人物とが同一であるか否かを当該画像情報に基づいて判断する人物検索方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−46989号公報
【特許文献2】特開2009−199322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている装置の場合には、監視対象のドアなどの構成部分の位置や動きなどの状態情報を得るための計測手段を更に設けなければならないので、映像監視装置が大型化しコストも増加してしまうという問題があった。また、特許文献2に開示されている方法の場合には、容量が大きい画像情報を検索キーとするので、検索による絞り込みに時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、簡単な装置構成により映像データのうちから監視に必要な部分のみを抽出することによって短時間で監視作業を遂行することができる映像監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による映像監視装置は、少なくとも1つの監視カメラによって継続して撮像して得られる映像データをフレーム単位に記憶する映像データ記憶部と、与えられる検索条件を充足するパターンを含むフレームを前記映像データから抽出する抽出部と、当該抽出されたフレームのみを記憶する抽出フレーム記憶部と、を含む映像監視装置であって、前記検索条件は、動体の存否であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明による映像監視装置によれば、簡単な装置構成により映像データのうちから監視に必要な部分のみを抽出して短時間で監視作業を遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例の映像監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の映像記録検索部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の映像抽出部による映像検索処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図2の映像検索部によるパターン抽出処理ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図5】図1の表示部に表示される検索条件指定画面の一例である。
【図6】図1の表示部に表示される検索結果表示画面の一例である。
【図7】第2の実施例の映像監視システムの構成を通信網と共に示すブロック図である。
【図8】図7の表示部に表示される検索条件指定画面の一例である。
【図9】図7の表示部に表示される検索結果表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
<第1の実施例>
図1は、建物1内に設けられた本実施例の映像監視装置2の構成を示すブロック図である。監視カメラ10が、例えば防犯等の目的のために建物1内の例えばATMコーナーなどの所定の場所に設置されている。映像監視装置2は、監視カメラ10による撮像によって得られた映像データを記憶及び検索する映像記録検索部3と、映像記録検索部3によって記録及び検索された映像を表示する表示部60と、を含む。
【0011】
映像記録検索部3は、映像データ記憶部20と、顔パターン記憶部30と、映像抽出部40と、抽出フレーム記憶部50と、を含む。
【0012】
映像データ記憶部20は、監視カメラ10によって継続して撮像して得られる映像データを撮像時刻と共にフレーム単位に記憶する例えばハードディスク等の記憶媒体である。
【0013】
顔パターン記憶部30は、映像抽出部40による検索処理に用いられる分類標準顔パターンを記憶する例えばハードディスク等の記憶媒体である。分類標準顔パターンは、人間の生理的属性によって分類された人間の顔(すなわち容貌若しくは人相)の標準的な顔パターンの集合である。顔パターンは、人間の顔を構成する例えば眉、目、鼻、口、耳などの要素の位置及び形状によって表わされる。人間の生理的属性は、例えば年齢、性別、人種、生誕地等々である。
【0014】
映像抽出部40は、例えば外部から入力された検索条件を充足する顔パターンを含むフレームを、映像データ記憶部20に記憶されている映像データから抽出する。
【0015】
抽出フレーム記憶部50は、映像抽出部40によって抽出されたフレームのみを当該フレームの撮像時刻と共に記憶する例えばハードディスク等の記憶媒体である。
【0016】
表示部60は、抽出フレーム記憶部50によって記憶されたフレームの少なくとも一部をフレーム単位に画像表示するディスプレイである。なお、表示部60は、映像監視装置2の必須の構成要素ではない。
【0017】
図2は、映像記録検索部3の構成を示すブロック図である。映像抽出部40は、条件受入れ部41と、映像検索部42と、結果出力部43と、を含む。
【0018】
条件受入れ部41は、例えば図示せぬキーボードなどの外部入力装置からの例えば時刻指定44、年齢指定45、性別指定46、人数指定47などの検索条件を入力信号として受け入れ、これを映像検索部42へ通知する。
【0019】
映像検索部42は、顔パターン記憶部30に記憶されている分類標準顔パターンのうちから検索条件に対応する顔パターンを取得し、当該取得した顔パターンと一致又は類似する顔パターンを含むフレームを、映像データ記憶部20に記憶されている映像データから検索する。
【0020】
検索条件には少なくとも時刻指定44が含まれる。映像検索部42は、先ず、映像データ記憶部20に記憶されている映像データから、時刻指定44によって示される時刻における撮像によって得られた部分の映像データを取得する。
【0021】
映像検索部42は、検索条件に年齢指定45が含まれると判別した場合には、分類標準顔パターンのうちから年齢指定45に対応する顔パターン(以下、年齢層別分類標準顔パターンと称する)を顔パターン記憶部30から取得する。年齢層別分類標準顔パターンは、例えば「0〜10歳代」、「20〜30歳代」、「40〜50歳代」及び「60歳以上」の4つの年齢層区分毎の例えば輪郭、目、鼻、口、耳などのパーツや、各パーツの顔全体における相対的な位置、大きさ及び範囲、しわ、しみ及び肌の色などの要素からなる年齢層毎の標準的な顔の形状(人相)を示すデータである。映像検索部42は、映像データ記憶部20に記憶されている映像データを構成するフレームを順次取り出し、当該フレーム中の顔パターンと、年齢指定45によって指定された例えば「20〜30歳代」の年齢層区分に対応する年齢層別分類標準顔パターンとを比較する。そして、映像検索部42は、顔パターンの類似度が例えば70%以上などの所定値以上である場合に当該フレームを抽出する。類似度を用いて性別や年齢層毎の識別を行う手法は、例えば特開平11−175724や特開2007−280291に開示されているように公知である。
【0022】
映像検索部42は、検索条件に性別指定46が含まれると判別した場合には、性別指定46に対応する顔パターン(以下、性別分類標準顔パターンと称する)を顔パターン記憶部30から取得する。性別分類標準顔パターンは、男性及び女性それぞれの例えば輪郭、目、鼻、口、耳などのパーツや、各パーツの顔全体における相対的な位置、大きさ及び範囲、しわ、しみ及び肌の色などの要素からなる性別毎の標準的な顔の形状(人相)を示すデータである。映像検索部42は、映像データ記憶部20に記憶されている映像データを構成するフレームを順次取り出し、当該フレーム中の顔パターンと、性別指定46によって指定された例えば「男性」に対応する性別分類標準顔パターンとを比較する。そして、映像検索部42は、パターンの類似度が例えば70%以上などの所定値以上である場合に当該フレームを抽出する。
【0023】
検索条件として、同一フレーム内に存在する顔パターンの数を指定することもできる。例えば同一フレーム内に存在する人間の顔の数を指定する人数指定47を検索条件に含めることができる。この場合、映像検索部42は、分類標準顔パターンの条件の下に上記処理によって抽出されたフレーム中に、人数指定47によって指定された人数の顔パターンが存在すると判別した場合に当該フレームを抽出する。
【0024】
検索条件としては、例えば人種や生誕地を指定することもできる。人種の場合も上記と同様に、例えば輪郭、目、鼻、口、耳などのパーツや、各パーツの顔全体における相対的な位置、大きさ及び範囲、しわ、しみ及び肌の色などの要素からなる性別毎の標準的な顔の形状(人相)を示すデータと比較することにより類似度を求め、抽出する。あるいは、それらに加えて、目の色等を加えてもよい。このとき、人種あるいは生誕地については「白人系」「黒人系」「アジア系」のような分類となる。また、検索条件として2以上の条件が指定された場合には、映像検索部42は、上記と同様の処理を行って、検索条件に含まれる全ての条件に合致するフレームを抽出する。
【0025】
このように、人間の生理的属性によって分類された様々な人相(顔)の形状を示す分類標準顔パターンが顔パターン記憶部30に予め記憶されている。すなわち、顔パターンを学習データとして予め記憶しておく。映像検索部42は、当該分類標準顔パターンと、監視カメラ10の撮像によって得られた映像データを構成するフレーム中の顔パターンとを順次比較して、検索条件を充足するフレームを検索するいわゆる学習型検出方式により検索を行う。
【0026】
結果出力部43は、検索条件を充足するフレーム群のみを出力し、抽出フレーム記憶部50は、かかる抽出フレーム群のみを各フレームに対応する撮像時刻と共に記憶する。
【0027】
図3は、映像抽出部40により実行される映像検索処理ルーチンを示すフローチャートである。図4は、当該ルーチン中の映像検索部42によるパターン抽出処理ルーチンの詳細を示すフローチャートである。以下、図3及び図4を参照しつつ、映像検索処理について説明する。
【0028】
先ず、映像検索を行おうとする者(以下、検索者と称する)が、例えば警察や関連会社の監査職員等に証拠映像を提出する際などに、例えば図示せぬキーボードから検索処理開始信号を映像監視装置2に入力して映像抽出部40の機能を有効にする。当該信号に応じて例えば液晶ディスプレイなどの表示部60には検索条件指定画面が表示される。図5は、表示部60に表示される検索条件指定画面の一例である。検索条件指定画面には、「時間」、「人物年齢」、「人物性別」、「人数」の項目が含まれる。検索者は、図示せぬキーボードからの入力又は図示せぬマウスによる選択によってこれらの条件を指定することができる。条件受入れ部41(図2)は、キーボードなどの外部入力装置から例えば時刻指定44や年齢指定45などの検索条件を入力信号として受け入れ、これを映像検索部42へ通知する(ステップS1)。なお、検索条件指定画面には、人種や生誕地などの人間の生理的属性が更に含まれていても良い。
【0029】
次に、映像検索部42は、検索条件に対応する分類標準顔パターンを顔パターン記憶部30から取得する(ステップS2)。検索条件に例えば「2010年7月4日」の時刻指定44と、「20〜30歳代」の年齢指定45が含まれる場合には、以下の処理がなされる。先ず、映像検索部42は、「2010年7月4日」の時間帯における撮像によって得られた部分の映像データを映像データ記憶部20から抽出する。次に、映像検索部42は、「20〜30歳代」の年齢層区分に対応する年齢層別分類標準顔パターンを顔パターン記憶部30から取得する。
【0030】
続いて、映像検索部42は、パターン抽出処理を行う(ステップS3)。以下、図4を参照する。先ず、映像検索部42は、時刻指定44の条件に基づいて抽出した映像データを構成するフレームの1つを取り込む(ステップS31)。次に、映像検索部42は、当該1つのフレーム内に少なくとも1つの動体が存在するか否かを判別する(ステップS32)。映像検索部42は、動体が存在しないと判別した場合には、パターン抽出処理を終了する。映像検索部42は、動体が存在すると判別した場合には、動体の数が検索条件によって指定された数と一致するか否かを判別する(ステップS33)。
【0031】
映像検索部42は、動体数と指定数とが一致しないと判別した場合には、パターン抽出処理を終了する。映像検索部42は、動体数と指定数とが一致すると判別した場合には、当該1つのフレーム内に顔パターンが存在するか判別する(ステップS34)。映像検索部42は、顔パターンが存在しないと判別した場合には、パターン抽出処理を終了する。映像検索部42は、顔パターンが存在すると判別した場合には、当該1つのフレーム内の顔パターンと、検索条件として指定された「20〜30歳代」の年齢層区分に対応する年齢層別分類標準顔パターンとを対比して、類似度が例えば70%以上などの所定値以上であるか否かを判別する(ステップS35)。映像検索部42は、類似度が所定値以上であると判別した場合には、当該1つのフレームを抽出する。
【0032】
映像検索部42は、後続のフレームについても同様の処理を順次行う。映像検索部42は、後続のフレーム内に検索条件の顔パターンと類似する顔パターンが存在しないと判別した場合には、パターン抽出処理ルーチンを終了する。
【0033】
再び、図3を参照する。結果出力部43は、上記したパターン抽出処理によって抽出されたフレーム群を出力する(ステップS4)。抽出フレーム記憶部50は、当該フレーム群のみを記憶する。また、結果出力部43は、当該フレーム群の映像データ中における位置を出力し、抽出フレーム記憶部50は、当該位置についても記憶する。位置を示す情報としては、例えば当該フレーム群の最初のフレームの撮像時刻及び最後のフレームの撮像時刻などである。
【0034】
映像抽出部40は、映像データ記憶部20に記憶されている映像データの全体に亘って上記した映像検索処理を実行する。その結果、複数のフレーム群を抽出した場合には、抽出フレーム記憶部50にはフレーム群単位で記憶される。
【0035】
表示部60は、抽出フレーム記憶部50に記憶されたフレーム群の撮像時刻に基づいて検索結果表示画面を表示する。図6は、表示部60に表示される検索結果表示画面の一例である。検索結果表示画面には、検索条件を充足するフレーム群の件数及び当該フレーム群に対応する日時が示される。複数表示されている日時のうちの1つを例えばマウス(図示せず)でクリックするなどして選択すると、当該選択した日時に対応するフレーム群に基づく映像が表示部60に表示される。
【0036】
映像検索部42は、検索条件に性別指定46や人種指定48、生誕地指定49などの条件が含まれる場合にも上記と同様の処理を行う。条件指定の例としては以下のような場合が考えられる。
【0037】
監視カメラ10の設置場所が例えばオフィスの場合、時刻指定44では休日の1日を指定し、人数指定47では「1人」を指定する。勤務時間外に1人でオフィスに居ることは通常考えられないからである。このとき、検索結果表示画面において特に早朝や深夜の時間帯が示されている場合や滞在時間が短時間である場合には映像の確認を要する。
【0038】
監視カメラ10の設置場所が例えば金庫やATMの周辺の場合、人数指定47では「1人」を指定する。金銭を入出するときには必ず2人で行うからである。このとき、検索結果表示画面において特に金銭を集配する時間以外の時間帯が示されている場合や滞在時間が短時間である場合には映像の確認を要する。更に性別指定46では例えば「男性」を指定しても良い。
【0039】
監視カメラ10の設置場所が例えば会議室の場合、人数指定47では「2人」を指定する。顧客との打合せは必ず3人以上で行うからである。このとき、検索結果表示画面において特に営業の時間帯が示されている場合や滞在時間が30分〜1時間である場合には映像の確認を要する。
【0040】
上記したように本実施例による映像監視装置2によれば、分類標準顔パターンを用いて検索条件を充足するフレーム群を抽出する。故に従来技術のような例えばATMコーナーなどの監視対象の現在状態情報を得るための計測手段を必要しないので、映像監視装置を大型化することなく所望部分の映像データを検索することができる。また、分類標準顔パターンについては記憶媒体に記憶すれば良いので簡単な装置構成とすることができコストもかからない。
【0041】
また、分類標準顔パターンは、人相(顔)の形状を示すデータなので、容量が大きい画像情報を検索キーとして検索する従来技術とは異なり、短時間で検索条件を充足する映像データを検索できる。
【0042】
また、本実施例による映像監視装置2においては、検索者は、時間のみならず、年齢、性別、人種、生誕地などの人間の生理的属性を検索条件として指定することができる。更に、例えば1つのフレーム内に存在する人間の顔パターンの数についても検索条件として指定することができる。このように複数の検索条件を指定でき、記憶されている膨大な量の映像データのうちから、動体が存在する場合に限って所望の検索条件に合致する部分のみを検索するので監視すべき対象フレームを短時間で効率的に絞り込むことができる。
【0043】
また、本実施例による映像監視装置2においては、分類標準顔パターンを用いたいわゆる学習型検出方式によって映像データを検出するので、照明の変化やドアの開閉、及び人物像の重なり等の影響を受け難く安定した顔検出が可能である。
【0044】
<第2の実施例>
図7は、本実施例の映像監視システム9の構成を通信網7と共に示すブロック図である。映像監視システム9は、複数の建物1−1〜1−n(nは2以上の整数)を一括して監視するための監視センター6を含む。
【0045】
建物1−1内には、第1の実施例と同様に監視カメラ10−1と、映像監視装置2−1と、が含まれる。映像監視装置2−1は、映像記録検索部3と、表示部60と、を含む。表示部60は第1の実施例におけるものと同一である。映像抽出部40、顔パターン記憶部30及び抽出フレーム記憶部50は、映像監視システム9に含まれる。映像記録検索部3は、監視カメラ10−1から映像データを取得し、これを通信網7を介して監視センター6へ送信する。通信網7は例えばインターネットであり、映像データは映像監視装置2−1と監視センター6との間でパケットによって送受信される。建物1−2〜1−nの各々にも同様に監視カメラ(10−2〜10−nのうちの対応する1つ)と映像監視装置(2−2〜2−nのうちの対応する1つ)とが含まれている。
【0046】
監視センター6は、映像監視サーバ4と、映像監視端末5と、を含む。映像監視サーバ4は、例えばハードディスクなどの映像データ記憶部20を含むサーバである。映像データ記憶部20は、映像監視装置2−1〜2−nの各々から送信された複数の映像データを記憶する。その際、映像データ記憶部20は、映像データとその送信元の映像監視装置(2−1〜2−nのうちのいずれか1つ)の識別子とを対応付けて記憶する。
【0047】
映像監視端末5は、顔パターン記憶部30と、映像抽出部40と、抽出フレーム記憶部50と、表示部61と、を含む例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理端末である。顔パターン記憶部30、映像抽出部40、抽出フレーム記憶部50及び表示部61の各々は第1の実施例と同一である。顔パターン記憶部30には、第1の実施例におけるものと同じ分類標準顔パターンが記憶される。映像抽出部40は、顔パターン記憶部30に記憶されている複数の映像データの各々を構成するフレームに対して図3及び図4に示される映像検索処理と同様の映像検索処理を順次実行する。抽出フレーム記憶部50には、映像抽出部40によって抽出されたフレーム群及び、当該フレーム群の映像データ中における位置についての情報が記憶される。表示部61には、映像抽出部40による検索の結果、及び抽出フレーム記憶部50に記憶されたフレーム群に基づく映像が表示される。
【0048】
図8は、表示部61に表示される検索条件指定画面の一例である。検索条件指定画面においては、時間、年齢、性別、人種、生誕地などの人間の生理的属性を検索条件として指定でき、更に、入力の無い映像を検索するか否かを選択することもできる。ここで、「入力の無い映像」は、例えば黒一色の映像(以下、暗黒映像と称する)などであり監視対象物が全く映っていない映像である。
【0049】
映像抽出部40が、暗黒映像などの入力の無い映像の検出を行う。映像抽出部40は、例えば映像データを構成する1つのフレーム内の全画素の平均輝度に基づいて当該検出を行う。
【0050】
図9は、例えば暗黒映像などの入力の無い映像を検出することを検索条件に含めて検索して入力の無い映像が検出された場合に表示部61に表示される検索結果表示画面の一例である。検索結果表示画面には、入力の無い映像を表わす映像データの件数と、その映像データを送信した映像監視装置(2−1〜2−nのうちの少なくとも1つ)が設置されている建物(1−1〜1−nのうちの少なくとも1つ)を示す例えばAA支店などの表示が示されている。映像データ記憶部20には、映像データと、その映像データを送信した映像監視装置を特定する識別子とが対応付けられて記憶されているので、検索結果表示画面においては当該識別子に対応するAA支店などの表示が示される。AA支店などの表示部分を例えばマウス(図示せず)によりクリックすると、対応する映像データに基づく映像が表示部61に表示される。なお、建物1−1〜1−nに備えられた表示部60にも同様の映像表示をすることができる。
【0051】
上記したように本実施例の映像監視システム9によれば、複数の建物1−1〜1−nの各々に監視者が滞在する必要が無く、1人の監視者が監視センター6において建物1−1〜1−nの各々についての映像データを一括して管理し、更に監視に必要な部分の映像データのみを検索することができる。これにより、映像監視システム9の全体における監視効率を向上させることができる。
【0052】
また、かかる構成により建物1−1〜1−n内の従業員が監視映像に干渉することが無くなるので、映像データの改ざんを防止できるとともに、監視映像を秘密の状態で取り扱うことができる。
【0053】
また、本実施例の映像監視システム9によれば、入力の無い映像を表わす映像データの有無を確認することもできる。かかる映像データを送信した映像監視装置又はこれ対応する監視カメラは故障していると考えられる。故に監視センター6における監視者は、かかる映像データの有無を確認することによって故障発生の有無を判断することができる。監視者は、故障が発生したと判断した場合には監視センター6から建物の管理者へ監視カメラ等の修理を依頼することもできる。
【0054】
なお、上記の実施例において、人物が検索条件に当てはまるかどうかを主に顔画像から判断するとしたが、さらに各検索条件について標準的な人物の身長、体形の情報を記憶しておき、同様に類似度を求めるようにしてもよい。あるいは、映像と共に取得した音声情報について、音声認識により言語を特定し、特定された言語情報により人種や生誕地を限定するようにしてもよい。それにより、さらに人物の抽出精度を向上させることが出来る。
【符号の説明】
【0055】
1、1−1〜1−n 建物
2、2−1〜2−n 映像監視装置
3 映像記録検索部
4 映像監視サーバ
5 映像監視端末
6 監視センター
7 通信網
9 映像監視システム
10、10−1〜10−n 監視カメラ
20 映像データ記憶部
30 顔パターン記憶部
40 映像抽出部
41 条件受入れ部
42 映像検索部
43 結果出力部
50 抽出フレーム記憶部
60、61 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの監視カメラによって継続して撮像して得られる映像データをフレーム単位に記憶する映像データ記憶部と、与えられる検索条件を充足するパターンを含むフレームを前記映像データから抽出する抽出部と、当該抽出されたフレームのみを記憶する抽出フレーム記憶部と、を含む映像監視装置であって、
前記検索条件は、動体の存否であることを特徴とする映像監視装置。
【請求項2】
前記検索条件は、人間の生理的属性によって分類された分類標準顔パターンを更に含むことを特徴とする請求項1記載の映像監視装置。
【請求項3】
前記人間の生理的属性は、性別、年齢、人種及び生誕地のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2記載の映像監視装置。
【請求項4】
前記抽出フレーム記憶部によって記憶されたフレームの少なくとも一部をフレーム単位に映像表示する映像表示部を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の映像監視装置。
【請求項5】
前記検索条件は、動体数条件、撮像時刻条件及び暗黒映像条件のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の映像監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−49774(P2012−49774A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189319(P2010−189319)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】