説明

映像表示方法

【課題】監視カメラ等で撮影した映像を再生する方法であって、前後の映像の関係を把握することが可能な表示方法を提供することを課題とする。
【解決手段】表示制御部は、1台のネットワークカメラで撮影された映像の4つのフレーム画像を、モニタに4分割表示する。まず、分割表示D1では、フレーム画像A1〜A3が実質的に同時に表示される。所定時間経過後、分割表示D1を分割表示D2に置き換える。この場合にも、フレーム画像A5〜A8が実質的に同時に表示される。その後も、同様に、所定時間経過ごとに分割表示を切り替える。分割表示領域には、常に、左上→右上→右下→左下の順序でフレーム画像が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム等の映像記録システムにより蓄積された映像をモニタに表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル、マンションなどの施設内に監視カメラを設置し、その監視カメラから送られてきた映像を記録装置で記録する監視システムがある。記録装置は、ビル内の警備室やマンション内の管理室などに設置され、警備員や管理人は、この記録装置に記録されている映像を適宜再生して、モニタで確認することが可能である。あるいは、各カメラから送られてくる映像をリアルタイムでモニタに表示して、確認することが可能である。
【0003】
一般には、施設内には複数のカメラが設置されており、これら複数のカメラから記録装置に映像が送られるようになっている。そして、複数のカメラからの映像を同時に確認することを可能とするため、記録装置は、各カメラの映像をモニタに分割表示するようにしている。たとえば、4分割表示された画面により、4箇所のカメラから送られてくる映像を確認可能としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、記録装置は、複数の映像を分割表示することを可能としているが、たとえば、特定のカメラから送られてくる映像に注目して確認したい場合、そのカメラから送られてくる映像を全画面表示するようにしている。しかし、映像を全画面表示する場合、時間方向で前後の映像を比較し難いという問題がある。巻き戻し操作を行ったり、あるいはコマ送り再生を行ったりして、前後の映像の比較を行うようにしているが、このような操作方法によっても、時間とともに変化する映像を比較することは困難な作業である。
【0005】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、記録映像を表示する場合において、前後の映像の確認を容易とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、映像をモニタに表示する方法であって、前記モニタの表示領域をM個(Mは整数)に分割し、各分割表示領域内に(N+1)番目(Nは整数)のフレーム画像から(N+M)番目のフレーム画像を実質的に同時に表示する工程と、(N+1)番目のフレーム画像から(N+M)番目のフレーム画像を、各分割表示領域内に所定時間表示した後、各分割表示領域内を(N+M+1)番目のフレーム画像から(N+2M)番目のフレーム画像に実質的に同時に置き換える工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、映像をモニタに表示する方法であって、前記モニタの表示領域をM個(Mは整数)に分割し、各分割表示領域内に(N+1)番目(Nは整数)のフレーム画像から(N+M)番目のフレーム画像を第1分割表示として実質的に同時に表示する工程と、前記第1分割表示を所定時間表示した後、表示内容を実質的に同時に第2分割表示に置き換える第1画面切替工程と、を備え、前記第1画面切替工程は、(N+M+1)番目のフレーム画像から(N+2M)番目のフレーム画像の中に、映像の変化が発生している変化フレーム画像が存在するか否かを判別する工程と、前記変化フレーム画像が存在する場合、前記第2分割表示として、前記変化フレーム画像よりも前の少なくともK枚(Kは整数)のフレーム画像を含むM枚のフレーム画像を表示する工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の映像表示方法において、さらに、前記第2分割表示を前記所定時間表示した後、表示内容を実質的に同時に第3分割表示に置き換える第2画面切替工程、を備え、前記第2画面切替工程は、前記第1分割表示と前記第2分割表示とで重複して表示されるフレーム画像の数がJ枚(Jは整数)である場合に、前記第2分割表示と前記第3分割表示とで重複して表示されるフレーム画像の数がJ枚より少ない数となるように、前記第3分割表示を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の映像表示方法において、映像の変化の度合いが大きいほど、前記Kの値として大きい値が設定されることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の映像表示方法において、映像と同期する音声が存在する場合であって、分割表示を行うフレーム画像中の重複して表示されるフレーム画像の割合に応じて、前記映像と同期する音声に警告音を挿入して再生することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の映像表示方法において、前記モニタの各分割表示領域は、1番目からM番目までの時間順序が設定されており、実質的に同時に表示されるM枚のフレーム画像は、その映像の時間順序に従って、各分割表示領域に割り当てられることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の映像表示方法において、前記映像が1秒あたりL枚(Lは整数)のフレーム画像を含む場合、前記所定時間は、M/L秒であることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の映像表示方法において、前記映像が1秒あたりL枚(Lは整数)のフレーム画像を含む場合であって、前記映像を高速再生する場合には、前記所定時間は、1/L秒であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の映像表示方法によれば、実質的に同時に複数のフレーム画像が分割表示領域内に表示されるので、映像の前後の関係を容易に把握することが可能である。
【0015】
また、映像の変化しているフレーム画像が存在する場合には、分割表示を切り替え後も、変化フレーム画像よりも前のフレーム画像が表示されるようにするので、重要な情報について、映像の前後の把握が容易である。
【0016】
また、重複して表示するフレーム画像の数を次第に減らすようにしているので、時間の経過とともに、元の表示状態に戻すことができる。
【0017】
また、映像の変化の度合いが大きいほど、変化フレームよりも前の多くのフレーム画像を表示するので、重要な情報について映像の前後の把握が容易である。
【0018】
また、重複してフレーム画像が表示される場合には、その割合に応じて警告音を挿入するので、音声との同期を確保することができる。また、重要な情報に対する注意を促すことが可能である。
【0019】
また、分割表示領域には、フレーム画像の表示する順序が設定されているので、フレーム画像の前後関係がより明確となる。
【0020】
また、分割数がMであり、映像が1秒あたりL枚のフレーム画像を含む場合、1つの分割表示をM/L秒継続して表示させるので、撮影時の時間経過と同じ時間経過を維持しながら、各フレーム画像の表示時間を長く確保することが可能である。また、映像を高速再生する場合には、1つの分割表示を1/L秒表示させるので、各フレーム画像については、撮影時のフレームレートと同じ表示時間を維持し、かつ、コマ落としをすることなく、高速再生を実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
{第1の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態に係る監視システムの全体図である。監視システムは、複数のネットワークカメラ1,1・・・1と、これらネットワークカメラ1,1・・・1と通信ケーブルを介して接続された記録装置2と、記録装置2に接続されたモニタ3および操作部4とを備えている。この監視システムは、たとえば、ビルやマンションの施設内に設置されるシステムであり、ネットワークカメラ1が、室内や廊下、エレベータ内などに設置され、記録装置2が警備室や管理室内に設置される。ネットワークカメラ1と記録装置2とは、LANを構成しており、このLANを介してネットワークカメラ1から記録装置2に対してデジタル映像の転送が行われたり、記録装置2からネットワークカメラ1に対して制御情報が送られたりする。
【0022】
記録装置2は、図に示すように、受信部21、表示制御部22、マーカ処理部23、記憶装置24を備えている。記録装置2は、たとえば、ハードディスクレコーダと呼ばれる機器であり、ネットワークカメラ1から受信したデジタル映像をハードディスクである記憶装置24に蓄積する機能や、ネットワークカメラ1から受信したデジタル映像をリアルタイムでモニタ3に出力する機能等を備えている。
【0023】
受信部21は、各ネットワークカメラ1から配信されるデジタル映像を受信し、受信したデジタル映像をマーカ処理部23あるいは表示制御部22に出力する。ここで、各ネットワークカメラ1は、記録装置2において蓄積するための解像度の高いデジタル映像を配信する機能に加え、モニタ3にリアルタイムで出力するための解像度の低いデジタル映像を配信する機能を備えている。
【0024】
受信部21は、蓄積用の解像度の高いデジタル映像を受信すると、このデジタル映像をマーカ処理部23に出力する。マーカ処理部23は、入力したデジタル映像を解析し、映像の変化を検出する。そして、映像の変化を検出すると、その検出情報とともにデジタル映像を記憶装置24に蓄積するのである。たとえば、マーカ処理部23は、デジタル映像について動き検出などの画像解析を実行し、動きを検出した場合には、その検出時間情報を記録するのである。
【0025】
受信部21は、また、モニタ出力用の解像度の低いデジタル映像を受信すると、このデジタル映像を表示制御部22に出力する。表示制御部22は、ネットワークカメラ1から受信したデジタル映像をリアルタイムでモニタ3に出力する。表示制御部22は、また、複数の表示モードを備えており、たとえば、1台のネットワークカメラ1から受信したデジタル映像を全画面表示するモードや、4台のネットワークカメラ1から受信したデジタル映像を4分割画面表示するモード等を備えている。
【0026】
また、警備員等が操作部4を操作し、記憶装置24に蓄積されているデジタル映像の再生指示を行うと、表示制御部22は、記憶装置24に記録されているデジタル映像をモニタ3に出力する。本発明は、この蓄積されたデジタル映像をモニタ3に出力する処理に特徴がある。以下、この蓄積映像の表示方法について説明する。
【0027】
前述したように、表示制御部22は、リアルタイムで映像を表示するために複数の表示モードを備えている。たとえば、4分割画面表示モードにより、4チャンネルのデジタル映像をそれぞれ分割表示領域に表示させる機能を備えている。本発明は、この分割表示領域に1台のカメラから取得された映像を表示させるところに特徴がある。
【0028】
図2は、モニタ3に表示される4つの分割表示領域を示す図である。警備員等が操作部4を操作し、特定のネットワークカメラ1で撮影され蓄積されているデジタル映像の再生指示を行うと、表示制御部22は、記憶装置24から当該ネットワークカメラ1で撮影されたデジタル映像を取得し、そのデジタル映像の各フレーム画像を4つの分割表示領域にそれぞれ表示させる。図2で示した例では、ネットワークカメラ1から配信されるデジタル映像のフレームレートは1fps(frame per second)であり、時間t0秒におけるフレーム画像A(t0)を画面左上の分割表示領域に、時間t0+1秒におけるフレーム画像A(t0+1)を画面右上の分割表示領域に、時間t0+2におけるフレーム画像A(t0+2)を画面右下の分割表示領域に、時間t0+3におけるフレーム画像A(t0+3)を画面左下の分割表示領域にそれぞれ表示させている。また、表示制御部22は、4つの分割表示領域に対して、4つのフレーム画像A(t0),A(t0+1),A(t0+2),A(t0+3)を実質的に同時に表示させるようにする。
【0029】
そして、表示制御部22は、4つの分割表示領域に対して、フレーム画像A(t0),A(t0+1),A(t0+2),A(t0+3)を一定時間表示した後、4つの分割表示領域に表示されている4つのフレーム画像を、同時に次の4つのフレーム画像に置き換えるようにする。つまり、フレーム画像A(t0),A(t0+1),A(t0+2),A(t0+3)を一定時間表示した後、フレーム画像A(t0+4)を画面左上の分割表示領域に,フレーム画像A(t0+5)を画面右上の分割表示領域に、フレーム画像A(t0+6)を画面右下の分割表示領域に、フレーム画像A(t0+7)を画面左下の分割表示領域に表示させるのである。そして、この時も、4つのフレーム画像A(t0+4),A(t0+5),A(t0+6),A(t0+7)を実質的に同時に表示させるのである。
【0030】
図3は、連続する15枚のフレーム画像A1〜A15を表示させる例を示す図である。まず、1回目の分割表示D1では、フレーム画像A1〜A4が表示される。2回目の分割表示D2では、フレーム画像A5〜A8が表示され、3回目の分割表示D3ではフレーム画像A9〜A11が表示され、というように順に4つのフレーム画像が置き換えて表示されるのである。そして、分割表示D1〜D4が置き換えられるいずれのタイミングにおいても、4つのフレーム画像を一斉に同時に置き換えるようにするのである。
【0031】
本実施の形態においては、このように、1台のネットワークカメラ1で撮影されたデジタル映像を、分割表示領域内に複数フレーム分同時に表示させるようにしているので、モニタ3を参照することにより、時間方向で前後の映像の関係を容易に把握することが可能である。
【0032】
そして、上述したように、4分割された表示領域には、フレーム画像が、左上→右上→右下→左下という順序で常に表示されるようになっている。つまり、どの時点で表示されている分割画面でも、画面左上の映像が古く、画面左下の映像が新しいという規則となっている。したがって、時間の前後の把握が容易であり、利便性がよい。なお、この実施の形態では、フレーム画像が、左上→右上→右下→左下という順序で常に表示されるようになっているが、この順序を、たとえば、左上→右上→左下→右下などとしてもよい。表示順序は、操作部4を操作して、適宜設定可能とすればよい。
【0033】
また、本実施の形態によれば、1つのフレーム画像を通常の再生方法よりも長く観察することが可能である。たとえば、上記のようにデジタル映像が1fpsである場合、通常、全画面表示によりデジタル映像を観察すると、1枚のフレーム画像を観察できる時間は1秒である。これに対して、本実施の形態の方法によれば、1度に複数のフレーム画像をモニタ3に表示される分、1枚のフレーム画像を表示させる時間を長く設定できるのである。たとえば、上記のように4分割画面表示した場合、4つのフレーム画像を同時に4秒間表示させることが可能である。このような表示制御を行った場合であっても、撮影時の経過時間と同じ時間の経過でデジタル映像を観察することが可能である。
【0034】
図4は、図3で示した分割表示D1〜D4をそれぞれ4秒間表示させた場合のタイムチャートである。まず、時間t1において、分割表示D1を表示させる。そして、分割表示D1を4秒間維持した後、時間t1+4において分割表示D2に切り替えるのである。この後も同様に、4秒ごとに分割表示D3、D4と切り替えるのである。言い換えると、分割表示数がM(Mは整数)であって、デジタル映像が1秒あたりL枚(Lは整数)のフレーム画像を含む場合、Mフレーム分の映像を分割表示領域にM/L秒表示させるのである。これにより、撮影時の時間経過と同じ経過で映像の確認を行うことが可能であり、かつ、各フレーム画像を通常の再生と比べてM倍長く表示させることが可能となる。このように本実施の形態によれば、1台のネットワークカメラ1で撮影されたデジタル映像を、分割画面領域に複数フレーム同時で表示させることにより、前後の映像の関係を把握できるだけではなく、1枚のフレーム画像を表示させる時間を長く確保できることになり、より利便性がよい。
【0035】
次に、高速再生を行う場合の表示方法について説明する。本実施の形態においては、コマ落としをすることなく高速再生が可能である。たとえば、上記のように、デジタル映像が1fpsである場合、1枚のフレーム画像を再生する時間は1秒である。そこで、表示制御部22は、4枚のフレーム画像を4つの分割表示領域に1秒間表示させるのである。
【0036】
図5は、分割表示D1〜D4を高速再生する場合の例を示すタイムチャートである。まず、時間t1において、分割表示D1を表示させる。そして、分割表示D1を1秒間維持した後、時間t1+1において分割表示D2に切り替えるのである。この後も同様に、1秒ごとに分割表示D3、D4と切り替えるのである。
【0037】
このように本実施の形態によれば、コマ落としをすることなく、高速再生が可能である。言い換えると、分割表示数がM(Mは整数)であって、デジタル映像が1秒あたりL枚(Lは整数)のフレーム画像を含む場合、M枚のフレーム画像を分割表示領域にそれぞれ1/L秒表示させるのである。これにより、コマ落としをすることなく、かつ、各フレーム画像を撮影時と同じフレームレートで表示させながら、全体としては、早送り再生を実現しているのである。ここでは、高速再生として早送りを例に説明したが、高速逆再生についても同様の方法を実行することにより、コマ落としをすることなく高速再生可能である。
【0038】
{第2の実施の形態}
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における監視システムの構成も図1で説明したものと同様である。第2の実施の形態では、再生するデジタル映像に変化が発生しているか否かによって表示方法を変更するものである。監視システムにおいては、夜間の室内や、廊下、エレベータ内などが常時撮影される。このため、定常状態では、映像にあまり変化はない。逆に、撮影領域内に人が入った場合などは、映像に変化が見られ、この変化が発生している映像は、重要な情報となる。第2の実施の形態は、この重要な情報の表示方法に特徴がある。以下、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。
【0039】
前述したように、マーカ処理部23は、記憶装置24にデジタル映像を記録するときに、映像の変化を検出して、その検出情報をあわせて記録するようにしている。したがって、表示制御部22は、その検出情報を参照することで、どのフレーム画像において映像の変化が発生しているかを判別することが可能である。
【0040】
そこで、表示制御部22は、分割表示領域に次の4つのフレーム画像を表示させるタイミングで、その4つのフレーム画像に映像の変化が発生しているフレーム画像(以下、変化フレーム画像と呼ぶ。)が存在するか否かを判別し、変化フレーム画像が存在する場合には、変化フレーム画像よりも前の所定枚数のフレーム画像を含めて分割表示を行うのである。別に言い方をすれば、第1の実施の形態においては、常に、新しい4つのフレーム画像を分割表示するこことしたが、たとえば図3で示した例の場合、フレーム画像A5については、分割表示D2内では後の映像と比較することが可能であるが、前の映像と比較することができない。また、フレーム画像A6についても、前の1つのフレーム画像は参照できるが、2つ前のフレーム画像は比較することができない。映像に変化がない限りでは、このような表示方法でも、従来に比べて充分に前後映像の比較が容易であるが、これらフレーム画像A5あるいはA6が注目すべき映像である場合には、もう少し前の映像を参照できればより便利である。本実施の形態は、このような要請に応えるものである。
【0041】
図6に示した例では、変化フレーム画像が存在した場合、その変化フレーム画像を始めて表示させるときには、必ず、その変化フレーム画像よりも前の2枚のフレーム画像が表示されるように表示制御されている。具体的に説明すると、まず、分割表示E1としてフレーム画像A1〜A4が4秒間表示される。次に、フレーム画像A5〜A8を表示するのではなく、映像に変化のあったフレーム画像A5よりも前の2枚のフレーム画像A3,A4を含めてフレーム画像A3〜A6を表示するのである。言い換えると、4枚のフレーム画像を全て新しいフレーム画像に置き換えるのではなく、最初の2枚のフレーム画像は、分割表示E1で表示していたものを重複して表示させるのである。図においては、重複して表示されるフレーム画像を丸付きの記号で示している。このような表示制御を行うことにより、映像の変化が発生している場合には、よりその前後の映像を確認しやすいようにしているのである。
【0042】
分割表示E2を4秒間表示した後、次に、分割表示E3を表示する。分割表示E1と分割表示E2とでは、2枚のフレーム画像を重複して表示させたが、分割表示E3については、分割表示E2と1枚のフレーム画像だけを重複して表示させる。具体的には、分割表示E2では、フレーム画像A3〜A6を表示したが、分割表示E3においては、フレーム画像A7〜A10を表示させるのではなく、フレーム画像A6を重複して表示させ、フレーム画像A6〜A9を表示させるようにしているのである。
【0043】
このように、分割表示E2では、2枚のフレーム画像を重複して表示させ、分割表示E3では、1枚のフレーム画像を重複して表示させ、次第に重複するフレーム画像の枚数が少なくなるように制御している。そして、分割表示E4では、重複してフレーム画像を表示させることなく、新たなフレーム画像A10〜A12を表示させるのである。
【0044】
このように、本実施の形態においては、映像の変化が発生しているフレーム画像が存在した場合、全てのフレーム画像を新しいフレーム画像で置き換えるのではなく、変化が発生しているフレーム画像よりも所定枚数前のフレーム画像が必ず含まれるように表示制御を行う。したがって、映像に変化が発生し、注意を要するポイントが、分割表示の切り替わりの境界部分であっても、前後の映像を比較できるようにしているのである。また、重複して表示させる枚数を次第に減少させることで、映像の変化が終了した後は、自然に元の表示制御に移行できるようにしている。
【0045】
なお、図6で示した例では、分割表示E1を表示した後、次に表示予定のフレーム画像A5〜A8のうち、先頭のフレーム画像A5が変化フレーム画像である場合を説明した。ここで、2番目に表示する予定のフレーム画像A6が変化フレーム画像である場合には、分割表示E2として、フレーム画像A4〜A7を表示すればよい。これは、変化フレーム画像よりも前の2枚のフレーム画像を含めて表示するという規則に従うものである。この場合には、フレーム画像A4を重複して表示させることになる。また、3番目、4番目に表示する予定のフレーム画像A7,A8が変化フレームである場合には、第1の実施の形態と同様の方法で、フレーム画像A5〜A8を表示させればよい。
【0046】
図7は、別の表示例である。図6で示した例では、変化フレーム画像が存在した場合に、まず、変化フレーム画像よりも前の2枚のフレーム画像が含まれるように分割表示を行うようにしたが、図7の例では、分割表示F2において変化フレーム画像より前の3枚のフレーム画像が含まれるようにしている。図7においても、重複して表示させるフレーム画像を丸付きの記号で示している。具体的には、まず、分割表示F1では、フレーム画像A1〜A4を表示する。次に、フレーム画像A5が変化フレーム画像であると判別されると、そのフレーム画像A5よりも前の3枚のフレーム画像A2〜A4を分割表示F2においても表示しているのである。つまり、このときは、3枚のフレーム画像が重複して表示されることになる。
【0047】
そして、分割表示F3では、2枚のフレーム画像A4,A5を重複して表示させ、分割表示F4では、1枚のフレーム画像A7を重複して表示させ、分割表示F5では、全て新たなフレーム画像A11〜A14を表示させるようにしているのである。このように図7の例でも次第に重複させるフレーム画像の枚数を減らすようにしている。
【0048】
図7で示した例も、分割表示F1を表示した後、次に表示する予定の先頭のフレーム画像A5が変化フレーム画像である場合の例である。もし、フレーム画像A6が変化フレーム画像である場合には、その前の3枚のフレーム画像を含めればよいので、フレーム画像A3〜A6を表示させるようにすればよい。この場合は、重複して表示されるフレーム画像の数は2枚となる。その後、重複数を1枚→0枚と減らすようにすればよい。同様に、フレーム画像A7が変化フレーム画像である場合には、1枚のフレーム画像を重複させて、フレーム画像A4〜A7を表示すればよい。
【0049】
変化フレーム画像が存在する場合、図6の例では、変化フレーム画像よりも前の2枚のフレーム画像を含めて表示させ、図7の例では、変化フレーム画像よりも前の3枚のフレーム画像を含めて表示させているが、変化フレーム画像よりもどれだけ前のフレーム画像を含めるかについては、適宜設定可能とすればよい。あるいは、映像の変化の度合いに応じて枚数を調整すると効果的である。
【0050】
たとえば、映像の変化が少し発生している場合には、図6で示したように、変化フレーム画像よりも前の2枚のフレーム画像を含めるように表示制御し、映像の変化が大きく発生している場合には、図7で示したように、変化フレーム画像より前の3枚のフレーム画像を含めるのである。このような制御を行うためには、マーカ処理部23において、映像の変化の検出情報を記録する際に、あわせて変化の度合いについての情報を記録しておく必要がある。表示制御部22は、フレーム画像で発生している映像の変化の度合いに応じて重複して表示するフレーム画像の枚数を決定するのである。
【0051】
また、図6、図7で示した例では、変化フレーム画像を検出すると、2枚あるいは3枚のフレーム画像が重複して表示され、その後、重複数を1枚づつ減らすようにした。しかし、重複数をどれだけの割合で減らすかについては適宜設定可能である。たとえば、重複数を2枚づつ減らすようにしてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態においては、映像に変化が発生している場合、いくつかのフレーム画像については重複して表示することとした。ここで、デジタル映像が音声を含むデータである場合、フレーム画像を重複して表示させるときに映像と音声の同期をとる必要がある。
【0053】
つまり、図6で示した例において、まず、分割表示E1を4秒間表示することにより、音声についても4秒間再生されることになる。次に、分割表示E2に切り替わったとき、そのまま音声を継続して再生すると、フレーム画像A3,A4が重複して表示されているため音声の同期がとれなくなる。そこで、本実施の形態においては、フレーム画像の重複数に対応して警告音を再生することで、映像と音声の同期をとることとする。
【0054】
図8は、図6で示した分割表示のタイムチャートに音声の再生タイミングを追加したものである。まず、時間t1〜t1+4において、分割表示E1が表示されている場合には、フレーム画像A1〜A4に対応した音声S1の再生が行われる。次に、分割表示E2が表示されると、この分割表示E2では、4枚の分割表示の中で2枚の分割表示が重複表示されているので、その割合に応じて時間t1+4〜t1+6においては警告音を再生する。そして、時間t1+6〜t1+8においては、フレーム画像A5,A6に対応する音声S2を再生するのである。次に、分割表示E3が表示されると、この分割表示E3では、4枚の分割表示の中で1枚の分割表示が重複表示されているので、時間t1+8〜t1+9においては警告音を再生する。そして、時間t1+9〜t1+12においては、フレーム画像A7〜A9に対応する音声S3を再生するのである。そして、分割表示E4については、重複して表示されるフレーム画像はないので、フレーム画像A10〜A13に対応する音声S4をそのまま再生するのである。
【0055】
このように、フレーム画像が重複して表示される場合には、警告音を挿入することで、映像と音声の同期をとることが可能である。また、映像の変化が発生している部分で警告音が再生されるので、重要な情報に対する注意を促すことができる。
【0056】
以上、本発明の第1および第2の実施の形態について説明した。上記実施の形態では、表示制御部22がデジタル映像を4分割表示する場合を例に説明したが、この分割数は特に限定されるものではない。たとえば、6分割や8分割で表示してもよい。
【0057】
また、上記の実施の形態において、分割表示領域に表示されている複数のフレーム画像を実質的に同時に置き換えると説明した。ここで、実質的に同時と説明したのは、多少の表示のずれが発生しても同様の効果を奏するからである。たとえば、4分割表示において、4つのフレーム画像を0.1秒間隔などで連続的に表示するようにしてもよい。このような表示方法をとっても、4番目のフレーム画像が表示されるまでの時間は0.3秒であるので、実質的には、4枚のフレーム画像を同時に表示させたのと同様の効果を奏するからである。また、これに加えて、わずかに表示をずらすことで、フレーム画像の順序を分かりやすくすることもできる。
【0058】
なお、従来から行われているような全画面表示による蓄積映像の表示方法と、本発明による蓄積映像の表示方法は、切り替え可能としておけばよい。警備員等は、操作部4を操作して、適宜、表示方法を切り替えることで、目的に応じた表示方法を選択するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施の形態に係る監視システムの全体図である。
【図2】4分割表示におけるフレーム画像の表示位置と表示順序とを示す図である。
【図3】第1の実施の形態におけるフレーム画像の表示方法を示す図である。
【図4】分割表示の切り替えタイミングを示す図である。
【図5】高速再生時における分割表示の切り替えタイミングを示す図である。
【図6】第2の実施の形態におけるフレーム画像の表示方法を示す図である。
【図7】第2の実施の形態におけるフレーム画像の表示方法を示す図である。
【図8】警告音を再生するタイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ネットワークカメラ
2 記録装置
3 モニタ
22 表示制御部
A(t0)〜A(t0+3) フレーム画像
A1〜A15 フレーム画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像をモニタに表示する方法であって、
前記モニタの表示領域をM個(Mは整数)に分割し、各分割表示領域内に(N+1)番目(Nは整数)のフレーム画像から(N+M)番目のフレーム画像を実質的に同時に表示する工程と、
(N+1)番目のフレーム画像から(N+M)番目のフレーム画像を、各分割表示領域内に所定時間表示した後、各分割表示領域内を(N+M+1)番目のフレーム画像から(N+2M)番目のフレーム画像に実質的に同時に置き換える工程と、
を備えることを特徴とする映像表示方法。
【請求項2】
映像をモニタに表示する方法であって、
前記モニタの表示領域をM個(Mは整数)に分割し、各分割表示領域内に(N+1)番目(Nは整数)のフレーム画像から(N+M)番目のフレーム画像を第1分割表示として実質的に同時に表示する工程と、
前記第1分割表示を所定時間表示した後、表示内容を実質的に同時に第2分割表示に置き換える第1画面切替工程と、
を備え、
前記第1画面切替工程は、
(N+M+1)番目のフレーム画像から(N+2M)番目のフレーム画像の中に、映像の変化が発生している変化フレーム画像が存在するか否かを判別する工程と、
前記変化フレーム画像が存在する場合、前記第2分割表示として、前記変化フレーム画像よりも前の少なくともK枚(Kは整数)のフレーム画像を含むM枚のフレーム画像を表示する工程と、
を含むことを特徴とする映像表示方法。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示方法において、さらに、
前記第2分割表示を前記所定時間表示した後、表示内容を実質的に同時に第3分割表示に置き換える第2画面切替工程、
を備え、
前記第2画面切替工程は、前記第1分割表示と前記第2分割表示とで重複して表示されるフレーム画像の数がJ枚(Jは整数)である場合に、前記第2分割表示と前記第3分割表示とで重複して表示されるフレーム画像の数がJ枚より少ない数となるように、前記第3分割表示を行うことを特徴とする映像表示方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の映像表示方法において、
映像の変化の度合いが大きいほど、前記Kの値として大きい値が設定されることを特徴とする映像表示方法。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の映像表示方法において、映像と同期する音声が存在する場合であって、
分割表示を行うフレーム画像中の重複して表示されるフレーム画像の割合に応じて、前記映像と同期する音声に警告音を挿入して再生することを特徴とする映像表示方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の映像表示方法において、
前記モニタの各分割表示領域は、1番目からM番目までの時間順序が設定されており、実質的に同時に表示されるM枚のフレーム画像は、その映像の時間順序に従って、各分割表示領域に割り当てられることを特徴とする映像表示方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の映像表示方法において、
前記映像が1秒あたりL枚(Lは整数)のフレーム画像を含む場合、前記所定時間は、M/L秒であることを特徴とする映像表示方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の映像表示方法において、
前記映像が1秒あたりL枚(Lは整数)のフレーム画像を含む場合であって、前記映像を高速再生する場合には、前記所定時間は、1/L秒であることを特徴とする映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−25199(P2007−25199A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206608(P2005−206608)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(500040908)株式会社メガチップスシステムソリューションズ (80)
【Fターム(参考)】