説明

映像記録再生装置

【課題】本発明は、映像の検索時間を短縮し、検索精度を向上させることが可能な映像記録再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による映像記録再生装置は、映像検索機能を有し、管理情報が付加されたデジタル映像信号の映像内の物体に動きがあるか否かを検知する動き検知手段と、物体の特徴をパターン化した物体パターンフォーマットを格納するパターンテーブル格納手段と、パターンテーブル格納手段に格納された物体パターンフォーマットに基づいて、動き検知手段にて動きがあると検知されたデジタル映像信号の映像内の物体の特徴を特徴データとして抽出する映像特徴抽出手段と、検索入力手段に入力された検索情報と、メタデータ蓄積手段に蓄積されたメタデータとを照合し、検索情報と一致するメタデータの検索処理を行うメタデータ照合検索手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像記録再生装置に関し、特に、監視用途に設置された複数のカメラによって撮影された映像を記録して蓄積し再生するものにおいて、当該蓄積された映像から所望の映像を検索する機能を有する映像記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、監視用途の映像記録再生装置は、複数のカメラによって撮影された映像データを長期間保存している。近年では、カメラによって撮影された映像を、例えばHDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)などの記録デバイスに蓄積し、蓄積された映像を検索・再生する映像記録再生装置が多く用いられている。監視用途のカメラの設置台数は増加傾向にあり、また、HDDなどの記録デバイスの高容量化に伴って、映像データの蓄積量はますます増加している。従って、記録デバイスに大量に蓄積された映像データの中からユーザーが目的とする映像を検索する場合において、従来の検索方法の一つである時刻指定のみの検索では、情報が少なすぎて検索に多くの時間を必要としてしまう。
【0003】
上記の対策として、映像検索を行う映像検索システムにおいて、カメラによって撮影した映像から生成したメタデータを、過去の検索履歴に基づいて検索に必要なデータ項目だけを抽出したメタデータに変更し、変更後のメタデータを用いて映像検索を行うことによって検索時間を短縮する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−195807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、メタデータの生成の際、画像特徴量として映像データに付随する各種属性情報、例えば、映像データのファイル名、画像サイズ、時刻情報、動き情報などを用いているが、ユーザーが映像検索を行う場合に、目的の映像に対する画像特徴量および映像情報の範囲が狭い(すなわち、検索情報が少ない)ため、ユーザーが目的とする映像を検索するために多くの時間を要するとともに、検索精度も期待できない。
【0006】
また、生成したメタデータを、過去の検索履歴等に基づいて必要なデータ項目だけを抽出したメタデータに変更し、変更後のメタデータを用いて映像検索を行うことによって検索効率を向上させているが、元の映像情報量が少ない(変更前のメタデータの生成に用いた映像情報量が少ない)ため、大幅な検索効率の向上は望めないと考えられる。
【0007】
さらに、前述の通り、カメラの設置台数の増加傾向および記録デバイスの高容量化に伴って、映像データおよびメタデータの蓄積量はますます増加するため、各々のメタデータの参照に要する時間が長くなり、結果的に検索時間が長くなってしまう。この対策としては、ハイパフォーマンスのPC(Personal Computer)を用いたシステムの構築や、ハイパフォーマンスのCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)を搭載した映像記録再生装置が必要となり、装置およびシステムの規模が大きくなって費用がかかるという問題があった。
【0008】
一方、ユーザー(例えば、監視者、警察官など)が目的とする映像を検索する場合において、映像の検索条件(例えば、映像信号の属性や対象物の特徴など)は、蓄積されているメタデータのデータ量に比べて極めて少ないと予想される。これは、一般的に何らかの事件が発生した場合、犯人または不審者を特定するために、犯人(例えば、性別、顔、背格好、服装など)または犯人が逃走に用いた自動車(例えば、車種、色など)などが撮影された映像を、できるだけ早く検索したいという要望が背景にあるためである。
【0009】
しかし、検索対象物および検索条件の範囲を絞る(狭くする)ことによって、映像のメタデータとして蓄積されているデータ量およびデータの条件(パラメータ)を少なくすると、検索時間は早くなるが、ユーザーが目的とする映像にたどり着けない(目的とする映像が見つからない)可能性が増えてしまう。
【0010】
上記課題の対策としては、必要な情報だけを含むデータ量が少ない検索用のメタデータを生成し、当該メタデータを参照して記録デバイスに蓄積した映像データの検索を行うようにすれば、1つのメタデータの参照に要する時間を短縮することができ、迅速かつ高精度な映像検索を行うことができると期待される。
【0011】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、映像の検索時間を短縮し、検索精度を向上させることが可能な映像記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明による映像記録再生装置は、複数のカメラによって撮影された映像を記録して蓄積し、当該蓄積された映像を再生する映像記録再生装置であって、映像検索機能を有し、複数のカメラによって撮影されたアナログ映像信号を入力する映像入力手段と、映像入力手段に入力されたアナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するA/D変換手段と、A/D変換手段にて変換されたデジタル映像信号に対して映像の記録・再生の管理に必要な管理情報を付加する管理情報付加手段と、管理情報が付加されたデジタル映像信号を記録映像として蓄積する映像蓄積手段と、管理情報が付加されたデジタル映像信号の映像内の物体に動きがあるか否かを検知する動き検知手段と、物体の特徴をパターン化した物体パターンフォーマットを格納するパターンテーブル格納手段と、パターンテーブル格納手段に格納された物体パターンフォーマットに基づいて、動き検知手段にて動きがあると検知されたデジタル映像信号の映像内の物体の特徴を特徴データとして抽出する映像特徴抽出手段と、映像特徴抽出手段にて抽出された特徴データを特徴ごとに格納するデータ格納手段と、データ格納手段に格納された特徴データを整理する特徴データ整理手段と、特徴データ整理手段にて整理された特徴データを、デジタル映像信号のメタデータとして記録して蓄積するメタデータ蓄積手段と、記録映像の検索時に、特徴データに含まれる任意の検索情報を入力する検索入力手段と、検索入力手段に入力された検索情報と、メタデータ蓄積手段に蓄積されたメタデータとを照合し、検索情報と一致するメタデータの検索処理を行うメタデータ照合検索手段と、メタデータ照合検索手段での検索結果を表示する表示手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、管理情報が付加されたデジタル映像信号の映像内の物体に動きがあるか否かを検知する動き検知手段と、物体の特徴をパターン化した物体パターンフォーマットを格納するパターンテーブル格納手段と、パターンテーブル格納手段に格納された物体パターンフォーマットに基づいて、動き検知手段にて動きがあると検知されたデジタル映像信号の映像内の物体の特徴を特徴データとして抽出する映像特徴抽出手段と、映像特徴抽出手段にて抽出された特徴データを特徴ごとに格納するデータ格納手段と、データ格納手段に格納された特徴データを整理する特徴データ整理手段と、特徴データ整理手段にて整理された特徴データを、デジタル映像信号のメタデータとして記録して蓄積するメタデータ蓄積手段と、記録映像の検索時に、特徴データに含まれる任意の検索情報を入力する検索入力手段と、検索入力手段に入力された検索情報と、メタデータ蓄積手段に蓄積されたメタデータとを照合し、検索情報と一致するメタデータの検索処理を行うメタデータ照合検索手段とを備えるため、映像の検索時間を短縮し、検索精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1による映像記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1によるパターン認識の処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態1によるメタデータ生成の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1による映像検索の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態1による検索画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2によるパターンテーブル格納部への登録の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態3による映像記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態3によるパターンテーブル格納部への登録処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態4による検索画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面に基づいて以下に説明する。
【0016】
〈実施形態1〉
初めに、本発明の実施形態1による映像記録再生装置101を構成する各構成要素について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態1による映像記録再生装置101の構成を示すブロック図である。本実施形態による映像記録再生装置101は、複数のカメラによって撮影された映像を記録して蓄積し、当該蓄積された映像を再生するとともに、映像検索機能を有している。
【0018】
カメラ100は、各種の映像を撮影する機能を有している。カメラ100によって撮影された映像は、アナログ映像信号として映像記録再生装置101の入力部(映像入力手段、図示せず)から入力される。監視用途に設置されるカメラの台数は、一般的に、1台の映像記録再生装置101に対して8〜16台程度である。カメラ100から映像記録再生装置101に入力されたアナログ映像信号は、A/D変換装置102(A/D変換手段)に入力され、A/D変換装置102にてアナログ映像信号がデジタル映像信号に変換される。
【0019】
A/D変換装置102にて変換されたデジタル映像信号は、データ制御装置103に入力される。データ制御装置103(管理情報付加手段)は、CPU108の制御によって、時刻情報、記録レート(1秒間の記録フレーム数)、画質、画像サイズ、カメラ情報など、映像の記録・再生の管理に必要な管理情報をデジタル映像信号に付加して記録映像信号とし、当該記録映像信号をCODEC107に入力する。CODEC107は、デジタル映像信号を圧縮・伸張する映像圧縮伸張装置であり、CPU108およびデータ制御装置103の制御によって、記録映像信号を圧縮してMPEG(Moving Picture Experts Group)信号に変換する。CODEC107にて圧縮された記録映像信号は、HDD113(映像蓄積手段)に記録して蓄積される。なお、本実施形態では、記録映像信号をHDD113に記録しているが、記録が可能であれば如何なるものであってもよい。
【0020】
CPU108は、映像記録再生装置101全体の制御や、各種情報の管理を行う。具体的には、記録・再生やデータ転送などのためのデータ転送制御、CODEC107、各種インターフェイスの制御、時計機能管理、データ管理など多岐にわたる。また、データ制御装置103にてデジタル映像信号に付加される管理情報をFLASHメモリ110などに格納しながら常に管理している。
【0021】
動き検知装置104(動き検知手段)は、データ制御装置103にて管理情報が付加されたデジタル映像信号に対して、当該デジタル映像信号の映像内の物体に動きがあるか否かを検知して判断し、判断の結果、動きが検知されたデジタル映像信号にはフラグ(動き検知フラグ)を付加するなどして、後の処理において識別可能なデジタル映像信号に変換した後にパターン認識装置105に入力する。
【0022】
パターン認識装置105(映像特徴抽出手段)は、データ制御装置103にて時刻情報を含む管理情報が付加され、動き検知装置104にて動き情報(動き検知フラグ)などが付加されたデジタル映像信号が入力されると、動きがある映像(動き検知フラグが付加されている映像)の中の映像と、パターンテーブル格納部109(パターンテーブル格納手段)に格納されている映像(物体)の特徴をパターン化した映像(物体)パターンフォーマット(後に詳述する)とを照合することによって、映像内の物体のパターンを判別する。パターン判別された映像データは、映像パターンデータ(特徴データ)として、一旦、映像パターン(特徴)ごとに分類してRAM(Random Access Memory)111(データ格納手段)などのメモリに格納される。
【0023】
メタデータ生成装置106は、RAM111に格納された映像パターンデータに対して、それぞれの映像パターンデータ間の関連性などを分析し、映像内の物体のイメージおよび映像が保有する情報に基づいて、映像内の物体を特定(例えば、髪の長い女性など)してキーワード化(例えば、“髪の長い女性”とキーワード化)し、映像メタデータの基本を生成する。
【0024】
メタデータ整理装置114(特徴データ整理手段)は、RAM111に格納された大量の映像パターンデータ(特徴データ)に対して、それぞれの映像パターンおよび映像パターンの組み合わせを解析し、不要なパターンや不要な組み合わせを削除してメタデータの削減・整理を行う。また、メタデータ生成装置106にて生成された映像メタデータの基本に対して、時系列、五十音、アルファベットなどにソートするなどの整理を行う。このような整理を行うことによって、映像の検索時間の短縮や検索精度の向上を図っている。
【0025】
FLASHメモリ110は、CPU108で用いられるプログラム(ソフトウェア)、データ制御装置103にて付加される管理情報、ユーザーによって設定される各種メニュー設定情報(カメラ数、画質、記録レートなど)、予約録画設定情報など、映像記録再生装置に必要な情報を格納している。なお、FLASHメモリ110に限らず、他のメモリであってもよい。
【0026】
検索入力部112(検索入力手段)は、ユーザーが目的とする映像を検索する場合に、ユーザーが任意に入力したキーワード情報や時刻情報などの検索情報(映像パターンデータに含まれる情報)をCPU108に伝達する。
【0027】
次に、カメラ100から映像記録再生装置101に入力された映像に対して、映像内の物体の特徴などのパターンを認識(判別)する処理について説明する。
【0028】
図2は、本発明の実施形態1によるパターン認識の処理を示すフローチャートである。図2に示すように、カメラ100によって撮影されたアナログ映像信号は映像記録再生装置101に入力される(ステップS200)。入力されたアナログ映像信号は、A/D変換装置102にてデジタル映像信号にA/D変換され(ステップS201)、データ制御装置103に入力される。
【0029】
データ制御装置103に入力されたデジタル映像信号は、CPU108の制御によって、時刻情報(タイムスタンプ)などを含む管理情報が付加され(ステップS202)、動き検知装置104に入力される。同時に、管理情報が付加されたデジタル映像信号は、CPU108の制御によって記録映像信号としてCODEC107に入力される。
【0030】
CODEC107は、ステップS202にて管理情報が付加されたデジタル映像信号が入力されると、CPU108およびデータ制御装置103による制御(例えば、画質(圧縮率)、記録レートなど)によって、記録用のデジタル映像信号(記録映像信号)を圧縮してMPEG信号に変換し(ステップS203)、変換した記録映像信号はHDD113に記録して蓄積される(ステップS204)。
【0031】
一方、動き検知装置104は、ステップS202にて管理情報が付加されたデジタル映像信号が入力されると、動きのある映像または動きのある物体が撮影されている映像のみをピックアップするために、入力されたデジタル映像信号をほぼリアルタイムで解析して映像内の物体の動きがあるか否かを検知して判断し(ステップS205)、動きがあると判断された映像にはフラグを付加して、後の処理において識別可能な映像データに変換した後にパターン認識装置105に入力する。また、ステップS205にて動きがないと判断された映像にはフラグを付加せずに処理を終了する。
【0032】
上記のステップS205における処理は、HDD113などの記録デバイスに蓄積された大量の映像データから、ユーザーが目的とする映像または映像の物体を効率よく検索するために、検索の対象物として可能性の低い映像データ、特に動きのない映像データを除外している。例えば、カメラ100によって撮影された映像のうち、背景、建造物、長時間駐車している自動車など動きに変化のない映像を除外して映像の検索の対象としないことによって、データ量の削減や、後の処理(例えば、ステップS206に代表されるパターン判別処理、ステップS208に代表されるパターン格納処理)におけるCPU108などの処理負担を軽減させることができ、映像検索全体の効率を向上させることが可能となる。
【0033】
ステップS205にて動きのある映像であると判断されたデジタル映像信号は、パターン認識装置105に入力される。パターン認識装置105(映像特徴抽出手段)は、データ制御装置103にて時刻情報を含む管理情報が付加され(ステップS202)、動き検知装置104にて動き情報などのフラグが付加された(ステップS205)デジタル映像信号に対して、パターンテーブル格納部109にて格納されている映像パターンフォーマット(例えば、ステップS207の形状データテーブル、ステップS210の色データテーブル、ステップS213の人物データテーブルなど)を参照して照合することによって、映像内の物体の判別を行う(例えば、ステップS206の形状判別、ステップS209の色判別、ステップS212の人物判別など)。すなわち、パターン認識装置105は、パターンテーブル格納部109に格納された映像バターンフォーマットに基づいて、動き検知装置104にて動きがあると検知されたデジタル映像信号の映像内の物体の特徴を映像パターン(特徴データ)として抽出する。
【0034】
ステップS206の形状判別、ステップS209の色判別、ステップS212の人物判別などの映像パターンの判別処理は、それぞれが並行して同時に処理される。パターンが判別された映像データ(映像パターンデータ)は、一旦、映像パターンごとにRAM111に格納される(例えば、ステップS208では形状データの格納、ステップS211では色データの格納、ステップS214では人物データの格納)。なお、パターンテーブル格納部109に格納される映像パターンは、形状、色、人物に限らず、映像内の物体の特徴を示すものであれば如何なるものであってもよい。
【0035】
パターンテーブル格納部109に格納される映像パターンとは、例えば、形状を判別する場合は「丸」、「三角」、「四角」など、色を判別する場合は「赤」、「青」、「白」など、人物を判別する場合は「男性」、「女性」、「太い」、「細い」など、物体を判別する場合は「自動車」、「トラック」、「自転車」などであり、事件発生時などにカメラ100によって撮影された映像に対して、犯人の特定など事件解決に有力な情報になり得る映像および映像内の物体についての特徴を予めパターン化してパターンテーブル格納部109に格納しておく。
【0036】
次に、パターン認識装置105にてパターンの判別が行われてRAM111に格納された映像パターンデータを用いて、ユーザーが目的とする映像または映像内の物体を検索しやすくするためのメタデータを生成する処理について説明する。
【0037】
パターン認識装置105は、映像記録再生装置101がカメラ100によって撮影された映像をHDD113に記録中に、ほぼリアルタイムで各パターン同時にパターンの判別を行っており(例えば、ステップS206、ステップS209、ステップS212)、判別した映像パターンはRAM111に格納されている(例えば、ステップS208、ステップS211、ステップS214)。しかし、RAM111に格納された映像パターンデータは映像パターンごとに分類されているものの、複数のカメラによって撮影された映像データから抽出された映像パターンデータは大量にあるため、このような状態でユーザーが目的とする映像を検索することは効率が悪く非常に多くの時間を要することになる。
【0038】
図3は、本発明の実施形態1によるメタデータ生成の処理を示すフローチャートであり、RAM111に格納した映像パターンデータからメタデータを生成する処理を示したものである。図3に示すメタデータの生成処理は、CPU108の処理負荷に合わせて本来の記録再生処理が損なわれないように制御されて、CPU108の処理能力に余裕がある範囲で実施されるものとする。
【0039】
メタデータ生成装置106は、メタデータ整理装置114を用いてメタデータの生成を行う。RAM111に格納された大量の映像パターンデータ(特徴データ)は、メタデータ整理装置114によって整理される(ステップS300)。整理方法としては、各映像情報および映像パターンの組み合わせを分析して不要なパターンや不要な組み合わせを削除し、メタデータ量の削減および後処理の物体のイメージ化処理(ステップS301)での効率の向上を図る方法がある。
【0040】
メタデータ生成装置106は、メタデータ整理装置114にて整理された映像パターン(特徴データ)に基づいて物体のイメージを構築する物体イメージ構築手段(図示せず)と、物体イメージ構築手段にて構築された物体のイメージをキーワードに変換するキーワード変換手段(図示せず)とを備えている。また、メタデータ整理装置114は、キーワード変換手段にて変換したキーワードを任意の情報ごとに整理するキーワード整理手段(図示せず)を備えている。
【0041】
ステップS300にて整理された映像パターンデータは、ユーザーが目的とする物体映像の検索をしやすくするために、物体イメージ構築手段によって物体のイメージが構築(イメージ化)され(ステップS301、ステップS303)、キーワード変換手段にて物体のイメージをキーワードに変換(キーワード化)され(ステップS302、ステップS304)、メタデータとして生成される。例えば、色判別で「赤」、物体判別で「トラック」、大きさ判別で「大」という映像パターンの組み合わせの場合は「赤い大きなトラック」となるが、実際には「消防自動車」であると予想されるため、対象物を「消防自動車」として物体イメージし(ステップS301)、「消防自動車」とキーワード化される(ステップS302)。
【0042】
なお、実際に検索操作を行うときには、「消防自動車」と入力するほかに、「赤い大きなトラック」や「大きな赤いトラック」などとキーワードを入力してもよい。また、上記では物体について説明したが、人物についても同様に人物イメージして(ステップS303)、キーワード化する(ステップS304)。
【0043】
ステップS302およびステップS304にてキーワード化されたメタデータは、時刻情報、カメラ番号、HDD113における映像記録位置情報などを保有しており、検索の時間短縮および検索精度を向上させるためには、それぞれの情報ごとに整理した状態で格納(蓄積)しておく必要がある。メタデータは、CPU108の制御によって、メタデータ整理装置114(キーワード整理手段)において、五十音順またはアルファベット順にソートされる(ステップS305)。そして、時刻情報、カメラ番号、映像記録位置情報などごとに整理されて(ステップS306)、HDD113(メタデータ蓄積手段)に記録して蓄積される(ステップS307)。HDD113に蓄積されたメタデータは、CPU108によって管理されている。
【0044】
次に、キーワード入力による映像検索について図4および図5を用いて説明する。
【0045】
図4は、本発明の実施形態1による映像検索の処理を示すフローチャートである。また、図5は、検索画面の一例を示す図であり、検索結果を表示部(表示手段、図示せず)にリスト表示している。
【0046】
検索入力部112において、図5に示すキーワード入力箇所にユーザーが任意の自然な言葉(例えば、「髪の長い女性」)を入力すると(ステップS400)、検索入力部112からCPU108に入力情報が伝達される。CPU108(メタデータ照合検索手段)は、「髪の長い女性」というキーワード(検索情報)から、検索の対象物が人物であり、髪が長いことなどの特徴を有することを解析し(ステップS401)、解析結果に基づいて、HDD113に格納されている人物のメタデータ全てと照合し、入力したキーワードと一致するメタデータの検索処理を行う(ステップS402)。検索の結果、入力したキーワードと一致するメタデータが見つかると(ステップS404)、図5に示すように、入力されたキーワードに対応する映像の時刻および撮影されたカメラ番号(ch)をリスト表示する(ステップS404)。
【0047】
なお、図5において、リスト表示された検索結果のうちの一つを選択すると、選択された映像を1/4画面に表示するようにしてもよい。
【0048】
以上のことから、本実施形態1では、動き検知装置104によって映像内の物体に動きがあるか否かを検知して、動きがあると判断された映像に対してのみメタデータを生成し、また、生成したメタデータに基づいてキーワードを生成することによって、映像の検索時間を短縮し、検索精度を向上させることが可能となる。
【0049】
〈実施形態2〉
実施形態1では、映像や物体などの特徴のパターン(映像パターン)を、映像記録再生装置101のファームウェアの開発段階において予め設定してパターンテーブル格納部109に格納していたが、本実施形態2では、過去にカメラ100によって撮影された映像などを、ユーザーの用途に応じて任意にパターン化を行ってパターンテーブル格納部109に格納することを特徴としている。すなわち、本実施形態2によるパターンテーブル格納部109は、HDD113に蓄積された記録映像内の物体の特徴をパターン化して映像パターンフォーマットとして格納することを特徴としている。その他の構成および動作は、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0050】
図6は、本発明の実施形態2による過去に記録した映像の映像パターンをパターンテーブル格納部109への登録の処理を示すフローチャートである。図6において、カメラ100によって過去に撮影された映像はHDD113に蓄積されており、当該蓄積された映像には対象物となる犯人などの映像が記録されているものとする。例えば、警察官などのユーザーは、犯人の行動パターンや足取りなどをさらに捜査するために、犯人の映像が他の時刻、他のカメラ、他の場所などにて撮影されていないかを確認することが予想される。そこで、過去にカメラ100によって撮影されてHDD113に蓄積された映像データの中から、実施形態1による映像検索または従来の検索方法である時刻検索などによって映像検索を行い(ステップS600)、目的の映像(犯人が写っている映像など、犯人特定の手掛かりとなる映像)を最低1シーン選択する(ステップS601)。選択した映像に対してユーザーは名前などのキーワードを入力し(ステップS602)、入力したキーワードは選択した映像のキーワードとして、CPU108の制御によってキーワード化されて、映像パターンの一つとして登録される(ステップS603)。登録された映像パターンは、パターンテーブル格納部109に格納される(ステップS604)。
【0051】
映像検索時の操作としては、実施形態1と同様に、図5に示すキーワード入力箇所に登録したキーワードを入力することによって対象物の検索処理が行われる。検索の結果は、図5に示すように、対象物の時刻とカメラ番号がリスト表示されるようにしてもよい。また、リスト表示された検索結果のうちの一つを選択すると、選択された映像を1/4画面に表示するようにしてもよい。
【0052】
以上のことから、本実施形態2では、実施形態1の効果に加えて、過去にカメラ100によって撮影されてHDD113に蓄積された映像内の物体の特徴をパターン化して映像パターンフォーマットとしてパターンテーブル格納部109に格納することが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態2では、過去にカメラ100によって撮影されてHDD113に蓄積された映像について説明したが、カメラ100によって撮影された写真に対しても、上記と同様の処理を行うことによって同様の効果が得られる。
【0054】
〈実施形態3〉
図7は、本発明の実施形態3による映像記録再生装置101の構成を示すブロック図である。また、図8は、本発明の実施形態3によるパターンテーブル格納部109への登録処理を示すブロック図である。本実施形態3では、スキャナ700を備えており、写真などの画像をスキャナ700で取得し、取得した画像に対してユーザーの用途に応じて任意にパターン化を行ってパターンテーブル格納部109に格納することを特徴としている。すなわち、本実施形態2による映像記録再生装置101は、画像を取得するスキャナ700(画像取得手段)を備え、パターンテーブル格納装置109は、スキャナ700にて取得された画像の特徴をパターン化して映像パターンフォーマットとして格納することを特徴としている。その他の構成および動作は、実施形態1または2と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
図7および図8に示すように、スキャナ700は、USB装置701を介して映像記録再生装置101に接続されている。スキャナ700に装着された写真などの画像は、USB装置701を介して映像記録再生装置101に取り込まれる(ステップS800)。
【0056】
取得した画像に対してユーザーは名前などのキーワードを入力し(ステップS801)、入力したキーワードは取得した画像のキーワードとして、CPU108の制御によってキーワード化されて、画像パターンの一つとして登録される(ステップS802)。登録された画像パターンは、パターンテーブル格納部109に格納される(ステップS803)。なお、スキャナ700は、市販のものであってもよい。
【0057】
映像検索時の操作としては、実施形態1と同様に、図5に示すキーワード入力箇所に登録したキーワードを入力することによって対象物の検索処理が行われる。検索の結果は、図5に示すように、対象物の時刻とカメラ番号がリスト表示されるようにしてもよい。また、リスト表示された検索結果のうちの一つを選択すると、選択された映像を1/4画面に表示するようにしてもよい。
【0058】
以上のことから、本実施形態3では、実施形態1または2の効果に加えて、スキャナ700によって取得した画像の特徴をパターン化してパターンテーブル格納部109に格納することが可能となる。
【0059】
なお、本実施形態3では、スキャナ700によって取得した画像について説明したが、過去にスキャナ700によって取得した画像に対しても実施形態2と同様の処理を行うことで画像の特徴をパターン化してパターンテーブル格納部109に格納することが可能である。
【0060】
〈実施形態4〉
図9は、本発明の実施形態4による検索入力部112に表示される検索画面の一例を示す図である。図9に示すように、本実施形態4では、検索情報のそれぞれをプルダウンメニューで表示して選択することを特徴としている。その他の構成および動作は、実施形態1〜3のいずれかと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0061】
実施形態1〜3では、映像検索時に任意のキーワードを入力していたが、本実施形態4では、映像に関する様々な特徴をプルダウンメニューから選択して入力する。例えば、「女性が運転する赤い自動車」の映像を検索する場合において、ユーザーは、図9に示すプルダウンメニューから、「女」、「赤」、「自動車」を選択して入力することによって検索操作を行う。
【0062】
検索の結果は、図9に示すように、対象物の時刻とカメラ番号がリスト表示される。なお、リスト表示された検索結果のうちの一つを選択すると、選択された映像を1/4画面に表示するようにしてもよい。
【0063】
以上のことから、本実施形態4では、実施形態1〜3のいずれかの効果に加えて、検索時に検索情報プルダウンメニューから選択することができる。
【符号の説明】
【0064】
100 カメラ、101 映像記録再生装置、102 A/D変換装置、103 データ制御装置、104 動き検知装置、105 パターン認識装置、106 メタデータ生成装置、107 CODEC、108 CPU、109 パターンテーブル格納部、110 FLASHメモリ、111 RAM、112 検索入力部、113 HDD、114 メタデータ整理装置、700 スキャナ、701 USB装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラによって撮影された映像を記録して蓄積し、当該蓄積された映像を再生する映像記録再生装置であって、映像検索機能を有し、
前記複数のカメラによって撮影されたアナログ映像信号を入力する映像入力手段と、
前記映像入力手段に入力された前記アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するA/D変換手段と、
前記A/D変換手段にて変換された前記デジタル映像信号に対して映像の記録・再生の管理に必要な管理情報を付加する管理情報付加手段と、
前記管理情報が付加された前記デジタル映像信号を記録映像として蓄積する映像蓄積手段と、
前記管理情報が付加された前記デジタル映像信号の映像内の物体に動きがあるか否かを検知する動き検知手段と、
物体の特徴をパターン化した物体パターンフォーマットを格納するパターンテーブル格納手段と、
前記パターンテーブル格納手段に格納された前記物体パターンフォーマットに基づいて、前記動き検知手段にて動きがあると検知された前記デジタル映像信号の映像内の物体の特徴を特徴データとして抽出する映像特徴抽出手段と、
前記映像特徴抽出手段にて抽出された前記特徴データを特徴ごとに格納するデータ格納手段と、
前記データ格納手段に格納された前記特徴データを整理する特徴データ整理手段と、
前記特徴データ整理手段にて整理された前記特徴データを、前記デジタル映像信号のメタデータとして記録して蓄積するメタデータ蓄積手段と、
前記記録映像の検索時に、前記特徴データに含まれる任意の検索情報を入力する検索入力手段と、
前記検索入力手段に入力された前記検索情報と、前記メタデータ蓄積手段に蓄積された前記メタデータとを照合し、前記検索情報と一致する前記メタデータの検索処理を行うメタデータ照合検索手段と、
前記メタデータ照合検索手段での検索結果を表示する表示手段と、
を備える、映像記録再生装置。
【請求項2】
前記特徴データ整理手段にて整理された前記特徴データに基づいて、前記物体のイメージを構築する物体イメージ構築手段と、
前記物体イメージ構築手段にて構築された前記物体のイメージをキーワードに変換するキーワード変換手段と、
前記キーワード変換手段にて変換したキーワードを任意の情報ごとに整理するキーワード整理手段と、
をさらに備え、
前記メタデータ蓄積手段は、前記キーワード整理手段にて整理された前記キーワードをも、前記デジタル映像信号のメタデータとして蓄積し、
前記メタデータ照合検索手段は、前記検索入力手段に入力された前記キーワードを前記検索情報として前記検索処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の映像記録再生装置。
【請求項3】
前記パターンテーブル格納手段は、前記映像蓄積手段に蓄積された前記記録映像内の物体の特徴をパターン化して前記物体パターンフォーマットとして格納することを特徴とする、請求項1または2に記載の映像記録再生装置。
【請求項4】
画像を取得する画像取得手段をさらに備え、
前記パターンテーブル格納手段は、前記画像取得手段にて取得された前記画像の特徴をパターン化して前記物体パターンフォーマットとして格納することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の映像記録再生装置。
【請求項5】
前記検索入力手段は、前記検索情報のそれぞれをプルダウンメニューで表示して選択することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の映像記録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−244043(P2011−244043A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111692(P2010−111692)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】