説明

景品管理装置

【課題】遊技媒体の端数の処理に関して、公平かつ効率的に処理できる景品管理装置を提供すること。
【解決手段】景品管理装置7では、制御部35が、遊技客が獲得した景品への交換を希望するパチンコ玉の獲得数を取得し、取得した獲得数と交換可能な景品の数を算出する。景品管理装置7の客用表示器34には、制御部35による算出結果が表示される。制御部35による算出の結果、景品に交換できないパチンコ玉の端数が発生した場合に、制御部35が、当該端数(余り玉数)について選択可能な複数種類の処理方法を客用表示器34に表示させる。これにより、客用表示器34に表示された複数種類の処理方法を見た遊技客は、これらの処理方法の中から所望の処理方法を自由に選んで、端数について当該所望の処理方法による処理を受けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を景品に交換するための制御をする景品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技店には、遊技客がパチンコ台等の遊技台で獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を景品に交換するための制御をする景品管理装置が設置されている。
ここで、1つの景品と交換するのに必要な遊技媒体の数は、景品の種類に応じて決まっていることから、遊技客が獲得した遊技媒体の総数によっては、景品に交換できない(1つの景品と交換するのに必要な数に足りない)遊技媒体の端数が発生する場合がある。
【0003】
下記特許文献1で提案されている景品交換装置と、下記特許文献2で提案されている景品交換管理装置とは、ともに、端数を処理できる構成を有している。
特許文献1の景品交換装置の運用では、まず、遊技客は遊技台での遊技を終了するために遊技台の精算スイッチを押すと、遊技客が遊技で獲得した遊技媒体の数(持玉数という)が記録された賞球カードが遊技台から払い出される。そして、遊技客が、この賞球カードを景品交換装置のカード挿入口に挿入すると、景品交換装置では、賞球カードから持玉数が読み取られ、この装置に設けられた持玉数表示部に表示される。
【0004】
持玉数表示部に表示された持玉数を確認した遊技客が、景品交換装置に設けられた換金スイッチを押すと、持玉数に応じた景品が払い出される。
ここで、景品交換装置には、端数玉数表示部が設けられており、景品が払い出された後に残った遊技媒体の端数が、端数玉数表示部により、遊技店の従業員および遊技客の双方へ向けて表示される。景品交換装置に設けられた端数玉処理スイッチを押すと、端数が書き込まれた賞球カードが遊技客へ向けて排出され、これにより、端数が遊技客に返却される。
【0005】
特許文献2の景品交換管理装置は、遊技媒体計数機やPOS装置等から構成されている。
この景品交換管理装置の運用では、まず、遊技台での遊技を終了した遊技客が、獲得した遊技媒体(ここでは、パチンコ玉)を遊技媒体計数機で計数する。計数終了後、遊技媒体計数機からレシートが発行される。レシートには、パチンコ玉の計数値や、獲得したパチンコ玉と交換できる特殊景品の数や、特殊景品と交換した後に余るパチンコ玉(余り玉)の数(端数)等が印字されている。ここで、特殊景品とは、菓子やたばこ等の一般景品と区別される景品であって、貴金属等の有価物が内蔵された景品である。
【0006】
そして、発行されたレシートに印字された内容がPOS装置で読み取られ、POS装置に設けられた遊技客用表示部には、交換可能な特殊景品の数や余り玉の数が表示されるとともに、余り玉と交換可能な一般景品の候補が表示される。遊技客は、遊技客用表示部に表示された一般景品の候補から所望の一般景品を選んで余り玉と交換することができる。
ここで、余り玉のうち一般景品と交換した後に残ったパチンコ玉は、特殊景品および一般景品のいずれにも交換できないことから、遊技客の意思とは無関係に遊技店側に回収されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−7663号公報
【特許文献2】特開平11−76578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、端数は、データとして賞球カードに記録されて返却され、特許文献2では、端数は、予め決められた一般景品の中のいずれかと交換され、それでも余った遊技媒体は遊技店側に強制的に回収されてしまう。つまり、特許文献1および特許文献2のそれぞれの場合には、遊技媒体の端数の処理方法について、選択肢が1つしかないので、遊技客にとって選択の余地がなく、利便性に欠ける。
【0009】
最近では、通常の貸出レート(たとえば、パチンコ玉の場合には4円/1玉)より低い貸出レート(たとえば、パチンコ玉の場合には1円/1玉)で貸し出された遊技媒体で遊技することができ、この場合、遊技媒体の価値が通常より低いことから、景品に交換できない遊技媒体の数が必然的に増えてしまう。そうすると、数が多いにもかかわらず景品に交換できない遊技媒体の端数の処理方法について、特許文献1および特許文献2のように選択肢が1つしかないのであれば、遊技客により不公平感を与えることが懸念される。
【0010】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、遊技媒体の端数の処理に関して、公平かつ効率的に処理できる景品管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、遊技客が獲得した特定の景品への交換を希望する遊技媒体数を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した遊技媒体数と交換可能な特定景品の数を算出する算出手段と、遊技客に臨む位置に設けられ、前記算出手段による算出結果が表示される客用表示器と、前記算出手段による算出の結果、景品に交換できない遊技媒体の端数が発生した場合に、当該端数について選択可能な複数種類の処理方法を前記客用表示器に表示させる表示制御手段と、を含むことを特徴とする、景品管理装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記客用表示器に設けられ、複数種類の前記処理方法の中から所望の処理方法を選択するための選択キーを含むことを特徴とする、請求項1記載の景品管理装置である。
請求項3記載の発明は、前記選択キーは、前記処理方法の種類に応じて複数設けられ、各前記選択キーには、対応する前記処理方法が表示されることを特徴とする、請求項2記載の景品管理装置である。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記表示制御手段は、所定の条件に応じて、前記客用表示器に表示させる前記処理方法の種類を変更することを特徴とする、請求項2または3記載の景品管理装置である。
請求項5記載の発明は、前記所定の条件には、遊技媒体の種類、遊技媒体の貸出レート、前記端数の値、景品交換のタイミング、および、遊技店における遊技客の待遇の少なくともいずれかが含まれることを特徴とする、請求項4記載の景品管理装置である。
【0014】
請求項6記載の発明は、前記端数を関連付けて保持するための保持手段があり、前記処理方法には、遊技した当日に、前記保持手段に関連付けられた前記端数の遊技媒体を用いて再遊技することが含まれ、この当日再遊技する処理方法が選択されると、前記端数が前記保持手段に関連付けて保持されることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の景品管理装置である。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記処理方法には、遊技した当日の翌日以降に、前記保持手段に関連付けられた前記端数の遊技媒体を用いて再遊技することが含まれ、この翌日以降に再遊技する処理方法が選択されると、前記端数が、前記翌日以降に再遊技するための遊技媒体の数として、前記保持手段に関連付けて保持されることを特徴とする、請求項6記載の景品管理装置である。
【0016】
請求項8記載の発明は、遊技店の会員に発行される会員用記録媒体を有し、獲得した遊技媒体を貯玉として前記会員用記録媒体に関連付けて管理する貯玉処理があり、前記貯玉処理方法が選択されると、前記貯玉処理が行われることを特徴とする、請求項2〜7のいずれかに記載の景品管理装置である。
請求項9記載の発明は、遊技媒体は、複数の貸出レートにおけるいずれかの貸出レートで貸し出されるものであり、前記端数を、貸し出された遊技媒体の貸出レートとは別の貸出レートの値に変換する変換手段を含み、前記保持手段には、前記変換手段が変換した後の端数の変換値が関連付けて保持されることを特徴とする、請求項6または7記載の景品管理装置である。
【0017】
請求項10記載の発明は、前記保持手段は、遊技客が携帯する記録媒体、または、前記景品管理装置に備えられた記録媒体を含むことを特徴とする、請求項6または7記載の景品管理装置である。
請求項11記載の発明は、前記処理方法には、前記取得手段が遊技媒体の追加獲得数を取得するまで前記端数について処理を保留することが含まれ、この保留処理方法が選択されると前記端数を一時的に預かる手段と、前記取得手段が前記追加獲得数を取得したのに応じて、一時的に預かっていた前記端数と前記追加獲得数とを合算した遊技媒体数と交換可能な特定の景品を前記算出手段に算出させる手段と、を含むことを特徴とする、請求項2〜10のいずれかに記載の景品管理装置である。
【0018】
請求項12記載の発明は、前記処理方法には、前記端数を放棄することが含まれ、この放棄処理方法が選択されると前記端数をクリアする手段を含むことを特徴とする、請求項2〜11のいずれかに記載の景品管理装置である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、景品管理装置では、取得手段が、遊技客が獲得した特定の景品への交換を希望する遊技媒体数を取得し、算出手段が、取得手段が取得した遊技媒体数と交換可能な特定景品の数を算出する。ここで、景品管理装置において遊技客に臨む位置には客用表示器が設けられており、客用表示器には、算出手段による算出結果が表示される。
【0020】
そして、景品管理装置では、算出手段による算出の結果、景品に交換できない遊技媒体の端数が発生した場合に、表示制御手段が、当該端数について選択可能な複数種類の処理方法を客用表示器に表示させる。
これにより、客用表示器に表示された複数種類の処理方法を見た遊技客は、これらの処理方法の中から所望の処理方法を自由に選んで、端数について当該所望の処理方法による処理を受けることができる。そのため、景品管理装置では、遊技媒体の端数の処理に関して、公平かつ効率的に処理できる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、客用表示器には、複数種類の処理方法の中から所望の処理方法を選択するための選択キーが設けられている。そのため、客用表示器に表示された複数種類の処理方法を見た遊技客は、選択キーを操作することによって、所望の処理方法を直接選択することができるので使い勝手がよい。
請求項3記載の発明によれば、選択キーは、処理方法の種類に応じて複数設けられ、各選択キーには、対応する処理方法が表示されている。そのため、客用表示器に表示された複数種類の処理方法を見た遊技客は、客用表示器において所望の処理方法が表示された部分(選択キー)を操作すれば、所望の処理方法を直感的に選択することができるので使い勝手がよい。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、表示制御手段は、所定の条件に応じて、客用表示器に表示させる処理方法の種類を変更する。ここで、所定の条件には、請求項5記載の発明のように、遊技媒体の種類、遊技媒体の貸出レート、端数の値、景品交換のタイミング、および、遊技店における遊技客の待遇の少なくともいずれかが含まれている。つまり、客用表示器には、これらの所定の条件に応じた適切な種類の処理方法が表示されることとなる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、端数を関連付けて保持するための保持手段がある。そして、客用表示器に表示される処理方法には、遊技した当日に、保持手段に関連付けられた端数の遊技媒体を用いて再遊技することが含まれており、この当日再遊技する処理方法が選択されると、景品管理装置では、端数が、保持手段に関連付けて保持される。そのため、遊技客は、遊技した当日に、この保持手段に関連付けられた端数の遊技媒体を用いて再遊技することができる。
【0024】
ここで、保持手段は、景品管理装置に備えられていてもよいし、景品管理装置とは別の装置(上位装置)に備えられていてもよい。
請求項7記載の発明によれば、客用表示器に表示される処理方法には、遊技した当日の翌日以降に、保持手段に関連付けられた端数の遊技媒体を用いて再遊技することが含まれており、この翌日以降に再遊技する処理方法が選択されると、景品管理装置では、端数が、翌日以降に再遊技するための遊技媒体の数として、保持手段に関連付けて保持される。そのため、遊技客は、翌日以降に、この保持手段に関連付けられた端数の遊技媒体を用いて再遊技することができる。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、遊技店の会員に発行される会員用記録媒体があり、獲得した遊技媒体を貯玉として会員用記録媒体に関連付けて管理する貯玉処理がある。そして、貯玉処理方法が選択されると、貯玉処理が行われる。そのため、会員は、都合に応じて、端数を貯玉にすることができる。
請求項9記載の発明によれば、遊技媒体は、複数の貸出レートにおけるいずれかの貸出レートで貸し出されるものであり、景品管理装置では、変換手段が、端数を、貸し出された遊技媒体の貸出レートとは別の貸出レートの値に変換し、保持手段には、変換手段が変換した後の端数の変換値が関連付けて保持される。これにより、遊技客は、都合に応じて端数を当初の貸出レートとは別の貸出レートでの値に変換し、保持手段に関連付けられた当該変換値の(当該別の貸出レートの)遊技媒体を用いて再遊技することができる。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、保持手段は、遊技客が携帯する記録媒体、または、景品管理装置に備えられた記録媒体を含むので、端数を、遊技客側の記録媒体および景品管理装置側の記録媒体において都合の良い方に関連付けることができる。
請求項11記載の発明によれば、客用表示器に表示される処理方法には、取得手段が遊技媒体の追加獲得数を取得するまで端数について処理を保留することが含まれている。この保留処理方法が選択されると、景品管理装置は、端数を一時的に預かり、取得手段が追加獲得数を取得したのに応じて、一時的に預かっていた端数と追加獲得数とを合算した遊技媒体数と交換可能な特定の景品を算出手段に算出させる。
【0027】
これにより、算出手段による算出の結果、合算した遊技媒体数において景品に交換できない端数があれば、この端数について選択可能な複数種類の処理方法が客用表示器に表示される。そのため、遊技客は、処理方法を急いで選択しなくても、追加獲得数を獲得するまで待ってから改めて処理方法を選択することができる。
請求項12記載の発明によれば、客用表示器に表示される処理方法には、端数を放棄することが含まれており、この放棄処理方法が選択されると、景品管理装置は、端数をクリアする。そのため、遊技客は、端数が不要な場合には、端数を放棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】遊技店内に設けられた管理システム1の全体構成を示す図である。
【図2】持玉データベース22の内容の一例を示す図である。
【図3】貯玉データベース27の内容の一例を示す図である。
【図4】(a)は、景品管理装置7を従業員側から見た斜視図であり、(b)は、景品管理装置7を遊技客側から見た斜視図である。
【図5】景品管理装置7の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】景品管理装置7の客用表示器34における表示内容を示す図である。
【図7】余り玉処理の条件を説明するための図である。
【図8】景品管理装置7において実施される処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】余り玉処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】引き換えチケット49を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
(1)管理システム
図1は、遊技店内に設けられた管理システム1の全体構成を示す図である。
図1を参照して、この発明に係る管理システム1は、遊技台2(ここでは、パチンコ台とする)で獲得された遊技媒体(ここでは、パチンコ玉とする)や、遊技媒体に交換される景品等の管理を行うものである。
【0030】
ここで、景品には、菓子やたばこ等の一般景品と、貴金属等の有価物が内蔵された特殊景品とがある。獲得したパチンコ玉を特殊景品に交換した遊技客は、特殊景品を特殊景品交換所に持ち込んで買い取ってもらう。
また、遊技客は、遊技に先立って、パチンコ玉を遊技店から貸し出してもらう必要があるが、最近の遊技店では、パチンコ玉の貸出レートが複数種類に設定されており、パチンコ玉は、複数の貸出レートにおけるいずれかの貸出レートで遊技客に貸し出される。たとえば、通常の貸出レート(以下では、「通常レート」という)は、4円/1玉とされ、通常レートのほかに、通常レートより低い貸出レート(以下では、「低レート」という)は、1円/1玉とされている。このように通常レートとは別に低レートが設定されているのは、たとえば、初心者等が気軽に遊技できるようにするためである。
【0031】
管理システム1は、遊技台2と、台間ユニット3と、島コントローラ4と、計数装置5と、端末6と、景品管理装置(POS)7と、端末8と、ターミナルコンピュータ(略してT/C)9とで構成されている。
遊技台2は、遊技店において、多数設置されている。所定台数の遊技台2は、集まって設置されており、1つの遊技島を構成している。遊技店には、このような遊技島が複数存在する。各遊技島には、島コントローラ4が設置されている。
【0032】
遊技台2には、上皿10と下皿11とが設けられている。遊技店から貸し出されたパチンコ玉(貸玉「かしだま」と呼ばれる)を上皿10に溜めると、上皿10の貸玉を用いて遊技台2で遊技を開始できる。そして、遊技において、いわゆる当たりが出ると、遊技台2からパチンコ玉(出玉「でだま」と呼ばれる)が排出されて下皿11に溜まる。ここで、遊技台2には、前述した通常レートで貸し出された貸玉で遊技できる専用の遊技台2(通常レート台)と、前述した低レートで貸し出された貸玉で遊技できる専用の遊技台2(低レート台)とがある。
【0033】
各遊技台2の隣(図1では左隣)には、台間ユニット3が設置されている(ドットで塗り潰した部分を参照)。台間ユニット3は、縦に細長い板状であり、各遊技島では、隣り合う遊技台2の間に位置している。それぞれの台間ユニット3は、図1において各台間ユニット3の右隣にある遊技台2についての専用装置である。各遊技島では、遊技台2および台間ユニット3のそれぞれが、各遊技島に設けられた島コントローラ4に対して通信可能に接続されている。
【0034】
台間ユニット3において図1における正面の下端部には、対応する遊技台2の下皿11の真下まで略水平に延びる回収ダクト12が設けられ、台間ユニット3の正面の上下方向略中央位置には、対応する遊技台2の上皿10の真上まで略水平に延びる供給ノズル13が設けられている。
台間ユニット3の正面において、上端部には、縦長の現金投入口14が設けられ、回収ダクト12と供給ノズル13との間の位置には、縦長のカード出入口15が設けられている。台間ユニット3の機能については後述する。
【0035】
各遊技島の島端には、計数装置5が設置されている。計数装置5は、パチンコ玉を計数するものである。計数装置5は、図1では幅広のボックス状であり、その天面には、パチンコ玉を受け入れるための幅広の開口部16が設けられている。
各遊技島の島端には、計数装置5に隣接するように端末6が設置されている。端末6には、カード出入口17と、レシート排出口18とが設けられている。端末6の機能については後述する。
【0036】
遊技店内には、獲得したパチンコ玉を景品と交換するための景品カウンタがあり、景品カウンタには、景品管理装置7と端末8とがまとまった状態で設置されている。端末8には、カード出入口25が設けられている。景品管理装置7および端末8の機能については後述する。
そして、T/C9は、管理システム1において最上位にある装置である。各遊技島の島コントローラ4、計数装置5および端末6、ならびに、景品管理装置7および端末8のそれぞれとT/C9とは、通信可能に接続されている。T/C9と、各遊技島の遊技台2および台間ユニット3とは、島コントローラ4を介して通信可能である。
【0037】
次に、遊技客による遊技台2での遊技開始から、遊技で獲得したパチンコ玉を景品に交換するまでの一連の流れについて説明する。
ここで、遊技客は、遊技店に会員登録している会員客と、会員客以外の一般客(ビジター)とに区別される。さらに、会員客は、所定期間内おける遊技店への来店回数や遊技店での使用金額等の違いから、来店回数や使用金額が所定数以上のVIP会員と、来店回数や使用金額が所定数未満のノーマル会員とに区別される。
【0038】
そして、VIP会員およびノーマル会員を問わず、各会員客には、会員専用のカード19(保持手段、記録媒体)が遊技店から支給(発行)されている。会員専用のカード19は、会員カード(会員用記録媒体)と呼ばれる。これに対し、一般客向けのカード19もあり、このカード19は、一般カードと呼ばれる。会員カードおよび一般カードを問わず、各カード19には、識別情報(カードID)が割り当てられており、各カード19は、持ち主である遊技客によって携帯されている。カード19には、所定の情報を記録することができる。以下では、必要に応じて、遊技客を会員客と一般客とに区別したり、会員客をVIP会員とノーマル会員とに区別したり、カード19を会員カードと一般カードとに区別したりすることがある。
【0039】
会員客が遊技店に入店して最初の遊技を開始する場合には、自分の会員カード19を台間ユニット3のカード出入口15に挿入する。そして、現金を現金投入口14に投入する。すると、投入した現金の額に相当する度数が遊技台2の上皿10の度数表示器20に表示される。なお、カード19には、度数がプリペイド価値として記録されるものがあり、その場合には、現金を現金投入口14に投入しなくても、カード19に記録された残り度数が度数表示器20に表示される。
【0040】
そして、遊技台2の上皿10等に設けられた貸出ボタン21を押すと、所定度数分の貸玉が、遊技台2に内蔵された貸玉払出機構(図示せず)によって上皿10に払い出される。これにより、上皿10のパチンコ玉(貸玉)を用いて遊技台2で遊技を開始できる。なお、所定度数分の貸玉が払い出されるのに応じて、度数表示器20における残り度数が減少する。
【0041】
一方、一般客が遊技店に入店して最初の遊技を開始する場合には、この時点で一般客はカード19を持っていない。そのため、一般客は、何もカード出入口15に挿入することなく、現金を現金投入口14に投入する。すると、前述したように、投入した現金の額に相当する度数が度数表示器20に表示されるので、その後、貸出ボタン21を押すと、所定度数分の貸玉が上皿10に払い出される。一般客は、上皿10の貸玉を用いて遊技台2で遊技を開始できる。
【0042】
そして、会員客および一般客を問わず、遊技中に遊技客が当たりを出すと、前述したように出玉が下皿11に溜まる。下皿11に出玉がある程度溜まると、遊技客は、下皿11の底を開放する。すると、下皿11の出玉が自重で落下し、その先にある回収ダクト12に受け入れられて台間ユニット3へと送り込まれる。
台間ユニット3には、出玉を計数する機能がある。そのため、台間ユニット3に送り込まれた出玉は、台間ユニット3において1つずつ計数される。計数を終えた出玉は、持玉「もちだま」と呼ばれる。出玉(持玉)の計数値(パチンコ玉の獲得数(獲得したパチンコ玉数)であり、「持玉数」という)は、台間ユニット3で管理されるとともに、T/C9でも管理される。
【0043】
ここで、会員客が遊技をしているのであれば、遊技の開始に先立って、会員客の会員カード19がカード出入口15に挿入されている。台間ユニット3は、カード出入口15に挿入された会員カード19のカードIDを読み取っており、台間ユニット3およびT/C9は、このカードIDに関連付けて持玉数を管理している。T/C9が持玉数を管理するために、台間ユニット3が、現在の持玉数をカードIDに関連付けてT/C9にリアルタイムで送信する。
【0044】
そして、T/C9は、持玉数を管理するための専用の持玉データベース(略して「持玉DB」)22(保持手段、記録媒体)を有している。
図2は、持玉DB22の内容の一例を示す図である。
図2を参照して、持玉DB22では、会員客のカードID(ここでは、0001または0002)と、このカードIDの会員客のステータス(遊技店における遊技客の待遇であり、ここでは、VIP会員またはノーマル会員)と、持玉数とが、関連付けて管理されている。また、持玉(出玉)を獲得した遊技台2が、前述した通常レート台であれば、ここでの持玉数は、通常レートでの持玉数として持玉DB22で管理される。一方、持玉(出玉)を獲得した遊技台2が、前述した低レート台であれば、ここでの持玉数は、低レートでの持玉数として持玉DB22で管理される。ここで、遊技台2が通常レート台および低レート台のどちらかであるから、遊技台2に対応する台間ユニット3も通常レートおよび低レートのどちらかに対応しているので、T/C9は、持玉数を送信してきた台間ユニット3によって、送信された持玉数についての貸出レートを判別し、送信された持玉数を、該当する貸出レートの持玉数として持玉DB22で管理する。
【0045】
一例として、持玉DB22では、カードIDが0001の遊技客について、この遊技客のステータス(VIP会員)と、通常レートの持玉数(7000個)と、低レートの持玉数(3000個)とが管理されている。なお、持玉DB22では、前述したプリペイド価値の残度数が、カードIDに関連付けて管理されていてもよい。
一方、一般客が遊技をしているのであれば、前述したようにカード出入口15(図1参照)には何も挿入されていない。ここで、新規の一般カード19が台間ユニット3内にストックされている。台間ユニット3およびT/C9(図1参照)は、台間ユニット3内にストックされた中から選んだ1枚の一般カード19のカードIDに関連付けて、この一般客の持玉数を管理している。そのため、図2の持玉DB22では、このカードID(ここでは、0003)と、この一般客のステータス(ビジター)と、持玉数(通常レートの持玉数および/または低レートの持玉数)とが、関連付けて管理されている。
【0046】
遊技客は、獲得した持玉を用いて遊技台2で遊技をすることができる。たとえば、上皿10に貸玉がなくなった場合、回収ダクト12に設けられた払出ボタン23を押す(図1参照)。すると、所定数の持玉が、供給ノズル13から上皿10に供給されるので、遊技客は、上皿10に供給された持玉を用いて遊技をすることができる(図1参照)。
ここで、遊技客が遊技によって当たりを出せば、持玉数が増加し、払出ボタン23(図1参照)を押して持玉で遊技をすると、持玉数は減少する。持玉数の増減に連動して、持玉DB22や台間ユニット3で管理されている対応する持玉数も増減する(更新される)。
【0047】
図1に戻り、遊技客が遊技を終了したい場合には、遊技台2の上皿10に設けられた終了ボタン24を押す。すると、会員客の場合には、今までカード出入口15に挿入していた会員カード19に、現時点での持玉数が記録され、この会員カード19がカード出入口15から排出される。一般客の場合には、台間ユニット3内にストックされた中から前述したように選ばれた1枚の一般カード19に、現時点での持玉数が記録され、この一般カード19がカード出入口15から排出される。一般客の場合において、遊技終了時での持玉数が零であれば、一般カード19はカード出入口15から排出されない。ここで、カード19では、持玉数が、貸出レート(通常レートまたは低レート)毎に記憶(記録)される。
【0048】
カード19が排出されると、台間ユニット3では、今まで管理していた持玉数がクリアされるが、T/C9の持玉DB22では、排出されたカード19のカードIDに関連付けて、現時点での持玉数が引き続き管理される(図2参照)。なお、前述したように、遊技終了時での持玉数が零である一般客の場合には、カード19が排出されないことから、この一般客の持玉数は、台間ユニット3および持玉DB22のいずれにおいても管理されない。
【0049】
ここで、カード19に持玉数を記録することや、カード19のカードIDに関連付けてT/C9の持玉DB22(図2参照)で持玉数を管理する(持玉DB22に持玉数を記録する)ことは、カード19に持玉数(パチンコ玉の獲得数)を関連付けて保持することと同義である。また、カード19と同様に、持玉DB22や後述する貯玉DB27も、持玉数や後述する貯玉数を関連付けて保持するためのものである。
【0050】
そして、以上では、遊技台2で獲得した出玉を、その遊技台2専用の台間ユニット3で計数しているが、台間ユニット3を使用せず、遊技島の島端の計数装置5で出玉を計数してもよい。この場合、遊技中、下皿11に溜まった出玉は、箱に詰められて遊技客の足元に配置される。出玉が増えるに従って、出玉を詰める箱の数も増え、遊技客の足元には、出玉が詰まった箱が積み重ねられる。
【0051】
そして、この場合、遊技客が遊技を終了したいときには、従業員を呼ぶ。すると、従業員が、この遊技客の足元の箱を遊技島の島端の計数装置5に運び、各箱に詰まった出玉を、計数装置5の天面の開口部16に上から注ぎ込む。開口部16に注ぎ込まれた出玉は、計数装置5において1つずつ計数される。前述したように計数を終えた出玉は持玉となるから、計数装置5での計数結果には、持玉数が含まれる。計数結果は、計数装置5の隣にある端末6およびT/C9に送信される。
【0052】
ここで、遊技客が、一般客であれば、計数装置5で出玉を計数する際、前述した一般カード19は持っておらず、計数装置5での計数が完了すると、計数結果が印字されたレシート26が端末6のレシート排出口18から排出される。レシート26において、計数結果に含まれる持玉数は、数値として印字されているとともに、バーコードとしても印字されている。換言すれば、レシート26には、持玉数が関連付けられて(記録されて)いる。
【0053】
一方、遊技客が、会員客であれば、計数装置5での計数開始に先立って、端末6のカード出入口17に会員カード19を挿入する。すると、端末6によって会員カード19のカードIDが読み取られる。そして、計数装置5での計数が完了すると、端末6に送信されてきた計数結果(持玉数)が会員カード19に記録され、その後、会員カード19は、カード出入口17から排出されて会員客に返却される。
【0054】
また、会員客の場合、計数結果は、前述したようにT/C9へ送信される。この際、計数結果は、端末6によって読み取られた会員カード19のカードIDに関連付けてT/C9へ送信される。T/C9は、持玉DB22(図2参照)において、受信したカードIDについての持玉数が既にあれば、既にある持玉数に、今回受信した持玉数を足し合わせた値を、最新の持玉数として持玉DB22に記録する。受信したカードIDについての持玉数がなければ、T/C9は、今回受信した持玉数を、最新の持玉数としてカードIDに関連付けて持玉DB22に記録する(図2参照)。
【0055】
ここで、計数装置5での計数時には、計数されるパチンコ玉についての貸出レート(つまり、前述した通常レート台および低レート台のいずれの遊技台2で獲得されたパチンコ玉であるか)が特定されており、計数装置5での計数結果には、持玉数だけでなく、持玉についての貸出レートも含まれている。そのため、レシート26には、持玉数だけでなく、その持玉についての貸出レートもバーコード等として印字されている。また、T/C9が計数装置5から受信した持玉数には、その持玉についての貸出レートが関連付けられている。そのため、持玉数を受信したT/C9は、持玉DB22(図2参照)において、該当する貸出レートについての持玉数を更新することとなる。また、端末6のカード出入口17から排出された会員カード19に記録された持玉数には、その持玉数の持玉についての貸出レートが関連付けられている。
【0056】
端末6からレシート26または会員カード19を受け取った遊技客、または、台間ユニット3からカード19(一般カード19または会員カード19)を受け取った遊技客は、受け取ったレシート26またはカード19を持って景品カウンタに向かう。遊技客は、レシート26を持っているのであれば、レシート26におけるバーコードを景品管理装置7に読み取らせる。すると、景品管理装置7は、読み取ったバーコードから、持玉数を、この持玉数の持玉の貸出レートに関連付けて取得する。
【0057】
一方、遊技客は、カード19を持っているのであれば、カード19を、景品管理装置7の隣の端末8のカード出入口25に挿入する。すると、端末8によって、カード19のカードIDと、持玉数と、その持玉数の持玉の貸出レートとが読み取られ、景品管理装置7に送信される。これにより、景品管理装置7は、持玉数を、この持玉数の持玉の貸出レートに関連付けて取得する。または、景品管理装置7は、受信したカードIDに対応する最新の持玉数をT/C9の持玉DB22(図2参照)から呼び出して取得する。
【0058】
景品管理装置7では、持玉数(換言すれば、遊技客が獲得した特定の景品への交換を希望するパチンコ玉の獲得数)の取得後に、この持玉数の持玉の貸出レートに応じて、この持玉数分の持玉と交換可能な景品が表示される。遊技客が、表示された中から所望する景品を選択すると、景品管理装置7は、景品交換処理を実施する。具体的には、一般景品が選択された場合の景品交換処理として、景品管理装置7は、選択された一般景品が遊技客に渡される際に、この一般景品に記載されたバーコードを読み取る等によって、遊技客への一般景品の引渡しが正しく行われたか否かをチェックする。また、特殊景品が選択された場合の景品交換処理として、景品管理装置7は、図示しない特殊景品の払出機に対して、特殊景品を遊技客へ払い出させる。
【0059】
このように、景品管理装置7は、持玉数が関連付けられたカード19またはレシート26に基づいて持玉を景品に交換するための制御をする。
また、会員客であれば、台間ユニット3や計数装置5で計数された出玉(持玉)を、景品に交換せずに、貯玉(「ちょだま」という)として、遊技店に預け入れることもできる。その場合、少なくとも計数が終了した際、台間ユニット3のカード出入口15または端末6のカード出入口17に会員カード19が挿入されている。計数終了後に、会員客が、計数された出玉を貯玉とすることを台間ユニット3または計数装置5で選択すると、台間ユニット3または端末6は、計数された出玉(持玉)の数(貯玉数)を、カード出入口15またはカード出入口17に挿入された会員カード19のカードIDと、その出玉の貸出レートとに関連付けて、T/C9に送信する。出玉を貯玉にする(貯玉する)ことには、獲得した全ての出玉を貯玉する「全数貯玉」と、獲得した出玉のうち最小(最も価値の低い)景品(主には特殊景品)にも交換できない数(端数)の出玉、または、遊技客が交換を希望する景品(主には特殊景品)に相当する数を差し引いたときに余る数(端数)の出玉を貯玉する「端数貯玉」とがある。
【0060】
ここで、T/C9には、貯玉データベース(略して「貯玉DB」)27(保持手段、記録媒体)が設けられている。
図3は、貯玉DB27の内容の一例を示す図である。
図3を参照して、T/C9に送信された貯玉数は、会員カード19のカードIDに関連付けて、貯玉DB27で管理(記録)される。つまり、貯玉数は、前述した持玉数と同様にカード19に関連付けられている。また、貯玉数は、持玉数と同様に、会員カード19に記録されるものとする。
【0061】
ここで、持玉の場合と同様に、貯玉にも、通常レートでの貯玉数と、低レートでの貯玉数とがあり、貯玉数は、通常レートおよび低レートのそれぞれで区別された状態で、貯玉DB27において管理される。また、会員カード19には、貯玉数が、持玉数と同様に、貸出レート(通常レートまたは低レート)毎に記録される。
持玉と貯玉との違いを説明すると、持玉は、一般客の場合には、獲得した当日のみ有効であり、存在する持玉は、その日の営業が終了した時点で消滅する。これに応じて、一般客について一般カード19のカードIDに関連付けて持玉DB22(図2参照)で記憶(記録)されていた持玉数は、いずれの貸出レートの持玉数についても、その日の営業が終了した時点で零となる。また、一般カード19に記録された持玉数は、その日の営業が終了した時点で零とみなされる。具体的には、遊技客が、その日以降に遊技店に来店して、台間ユニット3のカード出入口15(図1参照)や端末6のカード出入口17(図1参照)や端末8のカード出入口25(図1参照)に、この一般カード19を挿入しても、この一般カード19に記録された持玉数は、零とみなされる。そのため、一般客は、獲得した持玉を、その日のうちに景品に交換するか、遊技で使い切る必要がある。
【0062】
一方、会員客の場合には、持玉は、その日の営業が終了した時点で、自動的に貯玉となる。たとえば、図2のカードIDが0001のVIP会員に関し、その日の営業が終了した時点で、通常レートの7000個の持玉は、通常レートの7000個の貯玉となり、貯玉DB27(図3参照)における同じカードIDについての通常レートの貯玉数が、7000個分増加する。同様に、低レートの持玉数は、低レートの貯玉数となって、貯玉DB27(図3参照)における同じカードIDについての低レートの貯玉数に加算される。なお、7000個の持玉がそのまま7000個の貯玉となるとは限らず、所定の取り決めに応じて、7000個の持玉が半分の3500個の貯玉となる場合もある。そして、持玉が貯玉になるのに応じて、持玉DB22において該当する持玉数は、いずれの貸出レートの持玉数についても、零となる。
【0063】
貯玉は、その日の翌日以降も存在するので、会員客は、翌日以降に自分の貯玉を引き出して遊技台2で再遊技することができる。なお、会員客の持玉は、その日の営業が終了する前の時点でも貯玉にすることができる。
ここで、その日の営業が終了した時点で持玉が自動的に貯玉となることから、この時点で、持玉DB22および貯玉DB27(図3参照)の該当する持玉数および貯玉数は、それぞれ更新される。しかし、遊技客が退店することで会員カード19(図1参照)が既に遊技店の外にあることから、会員カード19に記憶された持玉数および貯玉数のそれぞれの値は、営業が終了した時点の前後で同じである。つまり、営業が終了した時点で、会員カード19に記憶された持玉数と持玉DB22の該当する持玉数とが一致せず、会員カード19に記憶された貯玉数と貯玉DB27の該当する貯玉数とが一致しない状況が発生し得る。
【0064】
そこで、次のような運用によって、前記の状況への対応が図られている。
まず、営業終了後の翌日以降に、会員客が遊技店に来店して台間ユニット3のカード出入口15(図1参照)や端末6のカード出入口17(図1参照)や端末8のカード出入口25(図1参照)に、この会員カード19を挿入する。
このとき、会員カード19に記憶されている持玉数および貯玉数は、台間ユニット3、端末6および端末8のいずれかによって読み取られる。
【0065】
そして、会員カード19から読み取られた持玉数は、持玉DB22において該当する持玉数(ここでは、零)と一致しない場合には、一旦零にリセットされる。また、会員カード19から読み取られた貯玉数は、貯玉DB27(図3参照)において該当する貯玉数と一致しない場合には、クリアされ、代わりに貯玉DB27の貯玉数が会員カード19に記録される。
【0066】
要は、会員カード19が遊技店にあるときに、この会員カード19に記憶された持玉数と、持玉DB22で管理されている対応する持玉数とが一致し、かつ、この会員カード19に記憶された貯玉数と、貯玉DB27(図3参照)で管理されている対応する貯玉数とが一致しているような運用がされていればよい。また、この実施形態では、一般カード19に持玉数を記憶させ、会員カード19に持玉数および貯玉数を記憶させているが、一般カード19および会員カード19を問わず、持玉数および貯玉数の両方または一方を、カード19に記憶させずに、T/C9(図1参照)側だけで記憶(管理)する構成を用いてもよい。これにより、持玉数(後述する余り玉数も含む)を、遊技客側のカード19および管理システム1(図1参照)側の持玉DB22において都合の良い方に記録することができ、貯玉数(後述する余り玉数も含む)を、遊技客側のカード19および管理システム1側の貯玉DB27において都合の良い方に記録する(関連付ける)ことができる。
【0067】
ここで、T/C9と景品管理装置7(図1参照)とをまとめると、前述した持玉DB22および貯玉DB27を、景品管理装置7に備えられたものとして捉えることができる。
(2)景品管理装置
次に、景品管理装置7について説明する。
図4において、(a)は、景品管理装置7を従業員側から見た斜視図であり、(b)は、景品管理装置7を遊技客側から見た斜視図である。
【0068】
図4(a)の姿勢を参照して、景品管理装置7は、上下に所定の厚みを有する板状のベース部30と、ベース部30の奥側端部から奥側へ傾斜しながら上向きに延びる板状の延設部31とを一体的に含んでいる。
ベース部30の上面30Aにおいて延設部31との接続部分より手前側の領域には、多数のキー等から構成される操作部32が設けられている。操作部32は、景品を選択するときや所定の処理を実行するときに、従業員によって操作される。
【0069】
延設部31において、手前側の側面には、従業員用表示器33が設けられている。従業員用表示器33は、たとえば、タッチパネル付きの液晶表示器であり、略矩形をなしている。従業員用表示器33には、従業員に提示すべき情報(前述したレシート26の記載内容や、カード19に関連付けられた情報や、景品交換を受ける遊技客の情報等)が表示される。図4(a)において景品管理装置7の手前側に景品カウンタの従業員が位置し、景品カウンタの従業員は、景品管理装置7の手前側において従業員用表示器33の表示内容を確認する。図4(a)において景品管理装置7の奥側に遊技客が位置する。遊技客には、従業員用表示器33が見えない。
【0070】
そして、ベース部30の奥側端面30B(遊技客に臨む位置)には、図4(b)に示すように、客用表示器34が設けられている。客用表示器34は、たとえば、タッチパネル付きの液晶表示器であり、横長の略矩形をなしている。客用表示器34には、客に提示すべき情報(パチンコ玉の総獲得数や交換される景品の個数といった景品情報等)が表示される。遊技客は、図4(b)では、景品管理装置7の手前側において客用表示器34の表示内容を確認する。客用表示器34に表示される内容については、以降で詳説する。
【0071】
図5は、景品管理装置7の電気的構成を示すブロック図である。
図5を参照して、景品管理装置7には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部35(取得手段、算出手段、表示制御手段、変換手段)が備えられている。制御部35は、CPUやメモリ(ROM、RAM)などを含んでいる。制御部35は、景品管理装置7の動作を制御するためのものである。
【0072】
景品管理装置7において、制御部35には、前述した操作部32、従業員用表示器33および客用表示器34のそれぞれが電気的に接続されているとともに、バーコードリーダ36、通信I/F部37、計時部38、印字部39および記憶部40のそれぞれが電気的に接続されている。
バーコードリーダ36は、前述したレシート26(図1参照)のバーコードを読み取ることができる。
【0073】
通信I/F部37を介して、制御部35は、端末8やT/C9と通信することができる。ここで、以下では、端末8を景品管理装置7の一部とみなす。
計時部38は、現在時刻を把握するとともに経過時間等を計測する。印字部39は、必要な情報を紙に印字する。記憶部40は、必要な情報を記憶する。
図6は、景品管理装置7の客用表示器34における表示内容を示す図である。
【0074】
客用表示器34に表示される内容について詳説する。
客用表示器34には、上側領域41に、パチンコ玉獲得総数、景品数および余り玉数が、上からこの順番で表示される。
パチンコ玉獲得総数とは、景品管理装置7がバーコードリーダ36や端末8(図5参照)を介してカード19やレシート26(図1参照)から取得した遊技客の現時点での最新の持玉数である。ここでの持玉数は、前述した通常レートおよび低レートのうちのいずれか決まった方の貸出レート(ここでは、低レートとする)についての持玉数である。
【0075】
景品数とは、パチンコ玉獲得総数分(持玉数分)のパチンコ玉(持玉)と交換できる特定の種類の特殊景品(ここでは、価値が一番低い特殊景品)の数である。ここでは、特殊景品1個と低レートの持玉2000個とが交換可能である。そのため、パチンコ玉獲得総数が25800個の場合には、景品数は12個である。つまり、ここでの特殊景品1個の価値を2000円としている。なお、パチンコ玉の貸出単位と、パチンコ玉の景品への交換単位とが異なる場合には、その比率に応じて特殊景品1個へのパチンコ玉の交換個数を算出すればよい。
【0076】
余り玉数とは、パチンコ玉獲得総数において景品数分の特殊景品と交換した場合に余る(特殊景品に交換できない端数分の)パチンコ玉(「余り玉」という)の数(端数)である。図6では、特殊景品1個と低レートの持玉2000個とが交換可能であるので、パチンコ玉獲得総数が25800個の場合には、余り玉数は1800個となる。
そして、客用表示器34の下側領域42には、「余り玉はどうしますか?」という案内文が表示され、この案内文の下側に、複数の選択キー43が横方向に並んで表示されるとともに、これらの選択キー43の下側に、決定キー44が表示される。
【0077】
ここで、余り玉の処理方法として、この実施形態では、4つの処理方法がある。
1つ目の処理方法としては、余り玉を持玉とする処理(「持玉処理」という)を行う処理方法があり、この処理方法を選ぶ場合には、その旨(「持玉とする」)が表示された選択キー43Aを押す。
また、持玉処理には、余り玉を今までと同じ貸出レートの持玉とする処理(「同レート持玉処理」という)と、余り玉を今までとは別の貸出レート(図6では、通常レート)の持玉とする処理(「異レート持玉処理」という)とがある。同レート持玉処理を選択する場合には、選択キー43Aを押した後に、選択キー43Aの左下にある同レート選択キー45を押す。異レート持玉処理を選択する場合には、選択キー43Aを押した後に、選択キー43Aの右下にある異レート選択キー46を押す。
【0078】
2つ目の処理方法としては、余り玉を貯玉とする処理(「貯玉処理」という)を行う処理方法があり、この処理方法を選ぶ場合には、その旨(「貯玉とする」)が表示された選択キー43Bを押す。
また、貯玉処理には、余り玉を今までと同じ貸出レートの貯玉とする処理(「同レート貯玉処理」という)と、余り玉を今までとは別の貸出レートの貯玉とする処理(「異レート貯玉処理」という)とがある。同レート貯玉処理を選択する場合には、選択キー43Bを押した後に、選択キー43Bの左下にある同レート選択キー47を押す。異レート貯玉処理を選択する場合には、選択キー43Bを押した後に、選択キー43Bの右下にある異レート選択キー48を押す。
【0079】
3つ目の処理方法としては、余り玉についての処分を保留するという処理(「保留処理」という)を行う処理方法があり、この処理方法を選ぶ場合には、その旨(「保留する」)が表示された選択キー43Cを押す。
4つ目の処理方法としては、余り玉を放棄するという処理(「放棄処理」という)を行う処理方法があり、この処理方法を選ぶ場合には、その旨(「放棄する」)が表示された選択キー43Dを押す。
【0080】
このように、客用表示器34において、選択キー43は、処理方法の種類に応じて複数設けられ、各選択キー43には、対応する処理方法が表示されている。
そして、いずれかの選択キー43を押した後に決定キー44を押すと、パチンコ獲得総数において余り玉数を差し引いた数のパチンコ玉は、景品数分の景品に交換され、余り玉数分の余り玉は、押された選択キー43の処理方法に沿って処理される。ここで、選択キー43Aを押すということには、選択キー43Aと同レート選択キー45または異レート選択キー46とを押すことをいい、選択キー43Bを押すということには、選択キー43Bと同レート選択キー47または異レート選択キー48とを押すことをいう(以下同じ)。
【0081】
図7は、余り玉処理の条件を説明するための図である。
ここで、余り玉についての前述した4種類の処理(余り玉処理)のそれぞれには、処理を実施するための所定の条件がある。そのため、余り玉の処理方法は、いつでも4つ(4種類)ある訳でなく、所定の条件に応じて、処理方法の種類が変化する。
具体的には、図7を参照して、所定の条件には、遊技客のステータス(VIP会員、ノーマル会員およびビジターのいずれか)と、余り玉についての貸出レート(低レートまたは通常レート)と、余り玉の処理を行うタイミング(換言すれば、景品交換のタイミング)とがあり、これらの条件に応じて、処理方法の種類が変化する。つまり、客用表示器34には、これらの所定の条件に応じた適切な種類の処理方法が表示されることとなる。
【0082】
ここで、余り玉処理を行うタイミングの条件として、そのタイミングが遊技店の閉店前か否かが挙げられる。遊技店の閉店時間を23時とすると、閉店前とは、ビジターの場合には、22時以降の時間帯であり、会員客の場合には、ビジターの場合より30分後の22時30分以降の時間帯である。
このように閉店前の定義についてビジターと会員客とで差があって会員客の方が閉店前に時間的な余裕がある理由は、主に3つある。1つ目の理由として、会員客をビジターよりも優遇しているからである。2つ目の理由として、会員客であれば、景品カウンタにわざわざ来て景品管理装置7で余り玉処理を行わなくても、自分が現在遊技している遊技台2の台間ユニット3(図1参照)において全ての持玉を貯玉にする処理が行えることから、閉店時間ぎりぎりまで遊技しても構わないからである。3つ目の理由として、会員客が自ら持玉を貯玉にする処理を行わないで退店しても、その日の営業が終了したときに、会員客の持玉は、前述したように自動的に貯玉になることから、会員客による景品管理装置7での手続きを想定して閉店前を早めに設定する必要があまりないからである。
【0083】
そして、VIP会員の場合には、低レートの余り玉および通常レートの余り玉の両方について、同レート持玉処理および異レート持玉処理における好みの処理方法を選択できる。しかし、遊技店の閉店前には、持玉処理は一切選択できない。このことは全ての遊技客に当てはまり、その理由は、閉店前の混雑を避けるためであり、また、閉店前に持玉で再遊技しようとする遊技客はいないからである。また、同レート貯玉処理は、余り玉の貸出レートおよび閉店前に関係なく、どのような場合であっても選択できるが、異レート貯玉処理は、一切選択できない。また、保留処理および放棄処理は、どのような場合であっても選択できる。
【0084】
つまり、VIP会員の場合には、低レートの余り玉および通常レートの余り玉のそれぞれについて、同レート持玉処理、異レート持玉処理、同レート貯玉処理、保留処理および放棄処理のいずれかを選択できるが、閉店前であれば、同レート貯玉処理、保留処理および放棄処理のいずれかしか選択できない。
ノーマル会員の場合には、低レートの余り玉および通常レートの余り玉のそれぞれについて、同レート持玉処理を選択できるが、異レート持玉処理は、低レートの余り玉の場合しか選択できない。これは、VIP会員をノーマル会員より優遇しているからである。また、VIP会員の場合と同様に、遊技店の閉店前には、持玉処理は一切選択できない。また、同レート貯玉処理は、余り玉の貸出レートおよび閉店前に関係なく、どのような場合であっても選択できるが、異レート貯玉処理は、一切選択できない。また、保留処理および放棄処理は、どのような場合であっても選択できる。
【0085】
つまり、ノーマル会員の場合には、低レートの余り玉について、同レート持玉処理、異レート持玉処理、同レート貯玉処理、保留処理および放棄処理のいずれかを選択でき、通常レートの余り玉について、同レート持玉処理、同レート貯玉処理、保留処理および放棄処理のいずれかを選択できる。一方、閉店前であれば、同レート貯玉処理、保留処理および放棄処理のいずれかしか選択できない。
【0086】
ビジターの場合には、低レートの余り玉および通常レートの余り玉の両方について、同レート持玉処理を選択できる。しかし、異レート持玉処理は、一切選択できない。これは、会員客をビジターより優遇しているからである。また、遊技店の閉店前には、持玉処理は一切できない。また、ビジターの場合には、前述したように会員客でないことから、貯玉処理は、一切選択できない。また、保留処理は、閉店前以外であれば選択でき、放棄処理は、どのような場合であっても選択できる。
【0087】
つまり、ビジターの場合には、低レートの余り玉および通常レートの余り玉のそれぞれについて、同レート持玉処理、保留処理および放棄処理のいずれかを選択できるが、閉店前であれば、放棄処理しか選択できない。
ここで、ビジターの場合に閉店前に保留処理を選択できない理由は、会員客の場合には、保留処理を選択した場合においてその後何もなされずに閉店時間に達しても、余り玉を貯玉にすることで対応できるが、ビジターの場合には、保留処理の選択後に閉店時間に達しても、会員客のような対応ができないからである。
【0088】
なお、このような条件設定は、あくまで一例であって、前述した条件では、異レート貯玉処理は、どんな場合でも選択できず、これに応じて、異レート選択キー48(図6参照)が表示される場合は無いが、たとえば、異レート貯玉処理は、別途定めた条件を満たせば選択できるようになってもよい。
そして、このような条件は、景品管理装置7の記憶部40(図5参照)に記憶されている。
【0089】
図8は、景品管理装置7において実施される処理の手順を示すフローチャートである。
次に、図8を参照しながら、景品管理装置7において実施される処理の手順を説明する。以下では、特に言及がない場合、パチンコ玉(持玉)の当初の貸出レートは、低レートであるものとする。
景品管理装置7において、制御部35(図5参照)は、カード19またはレシート26(図1参照)を受け付けたか否かを監視している(ステップS1)。具体的には、端末8がカード出入口25にカード19が挿入されたのを検知すると(図1参照)、制御部35は、カード19を受け付けたと判断する。また、バーコードリーダ36(図5参照)がレシート26のバーコードを認識すると、制御部35は、レシート26を受け付けたと判断する。
【0090】
そして、カード19またはレシート26が受け付けられると(ステップS1でYES)、制御部35は、前述したように、カード19またはレシート26から、カード19またはレシート26に関連付けられたパチンコ玉獲得数(現時点での持玉数)を、この持玉数の持玉の貸出レート(ここでは、低レート)に関連付けて取得する(ステップS2)。
その後、制御部35は、後述する引き換えチケット49(図10参照)を受け付けたか否かを確認する(ステップS3)。ステップS3、および、これに関連するステップS16については後述することとし、ここでは、引き換えチケット49を受け付けていないものとする。
【0091】
引き換えチケット49を受け付けていない場合(ステップS3でNO)、制御部35は、取得した獲得数(持玉数)と交換可能な特定の景品(特殊景品)の数(景品数)を算出する(ステップS4)。ここで、前述したように、特殊景品1個と低レートの持玉2000個とが交換可能であるから、持玉数を2000で割って得られた商が景品数となる。
ステップS4での算出結果として、持玉数が2000個で割り切れて、余り玉が無ければ(ステップS5でNO)、制御部35は、客用表示器34(図4〜図6参照)に、獲得数と、景品数と、決定キー44(図6参照)とを表示させる(ステップS6)。つまり、客用表示器34には、制御部35による算出結果等が表示される。ここで、前述した余り玉数に関し、余り玉が無いので、余り玉数の見出し自体が客用表示器34に表示されなくてもよいし、余り玉数が零個として表示されてもよい(図6参照)。また、余り玉が無いので、前述した選択キー43は客用表示器34に1つも表示されない。
【0092】
その後、決定キー44(図6参照)が押されると(ステップS7でYES)、制御部35は、前述した景品交換処理を実施する(ステップS8)。具体的には、制御部35は、図示しない特殊景品の払出機に対して、景品数分の特殊景品を遊技客へ払い出させる。なお、ステップS1でカード19(図1参照)を受け付けた場合には、ステップS8では、景品交換処理の一環として、制御部35は、景品交換処理完了後に、景品交換処理完了の旨をT/C9(図1参照)に送信するとともに、端末8(図1参照)に対して、カード19に記憶(記録)された持玉数を零にさせ(クリアさせ)、このカード19を排出させて遊技客に返却する。T/C9は、景品交換処理完了の旨を受信すると、持玉DB22(図2参照)において該当する(カード19のカードIDに関連付けられた低レートの)持玉数を零にする(クリアする)。
【0093】
このように、余り玉が無い場合には(ステップS5でNO)、ステップS8の景品交換処理が完了すると、景品管理装置7において実施される一連の処理が終了する。
ステップS7で決定キー44が押されない場合において(ステップS7でNO)、ステップS6での表示がなされてから所定時間が経過すると(ステップS9でYES)、制御部35は、今回の処理がキャンセルされたものとして、受け付けたカード19またはレシート26を返却する(ステップS10)。レシート26の返却に関し、具体的には、制御部35は、このレシート26を受け付けなかったものとする(以下同じ)。
【0094】
そして、制御部35によるステップS4での算出の結果、持玉数が2000個で割り切れず、余り玉(余り玉数)が発生すれば(ステップS5でYES)、制御部35は、客用表示器34(図4〜図6参照)に、獲得数と、景品数と、余り玉数と、前述した余り玉処理の条件(図7参照)に応じた選択キー43(図6参照)と、決定キー44(図6参照)とを表示させる(ステップS11)。ここで、制御部35は、選択キー43を表示させることで、余り玉(余り玉数)について選択可能な処理方法を客用表示器34に表示させることとなる。
【0095】
ここで、選択キー43に関し、制御部35は、ステップS1でレシート26(図1参照)を受け付けた場合には、今回の余り玉の持ち主がビジターであると判別する。また、制御部35は、ステップS1でカード19(図1参照)を受け付けた場合には、T/C9の持玉DB22(図2参照)に問い合わせて、このカード19のカードIDから、今回の余り玉の持ち主のステータスを把握する。また、制御部35は、計時部38(図5参照)から現在時刻を把握することで、現在が閉店前であるか否かを把握する。また、ここでは、余り玉の貸出レートは低レートである。そのため、制御部35は、これらの状況を、前述した所定の条件(図7参照)に照らし合わせて、今回選択できる処理方法を特定し、対応する選択キー43を客用表示器34に表示させる。
【0096】
たとえば、現在が閉店前でなく、低レートの余り玉の持ち主がVIP会員である場合には、前述した所定の条件に応じて、同レート持玉処理、異レート持玉処理、同レート貯玉処理、保留処理および放棄処理のいずれかが選択できる(図7参照)。そのため、制御部35は、選択キー43A〜Dの全てと、同レート選択キー45と、異レート選択キー46と、同レート選択キー47とを客用表示器34に表示させる(図6参照)。換言すれば、制御部35は、同レート持玉処理、異レート持玉処理、同レート貯玉処理、保留処理および放棄処理という複数種類の処理方法を客用表示器34に表示させる。
【0097】
一方、この場合において閉店前であれば、制御部35は、前述した所定の条件に応じて(図7参照)、客用表示器34において、選択キー43B、CおよびDと同レート選択キー47とを引き続き表示させるものの、選択キー43A、同レート選択キー45および異レート選択キー46を表示させなくする(図6参照)。このように、制御部35は、所定の条件(図7参照)に応じて、客用表示器34に表示させる処理方法の種類を変更する。
【0098】
ここで、前述したように、閉店前においてビジターが放棄処理しか選択できないという状況以外では、少なくとも3種類以上の処理方法が必ず選択できるようになっており(図7参照)、これに応じて、複数の選択キー43が客用表示器34に表示される(図6参照)。
これにより、客用表示器34に表示された複数の選択キー43(複数種類の処理方法)を見た遊技客は、これらの処理方法の中から所望の処理方法を自由に選んで、余り玉(余り玉数)について当該所望の処理方法による処理を受けることができる。そのため、景品管理装置7では、パチンコ玉の端数(余り玉数)の処理に関して、公平かつ効率的に処理できる。
【0099】
そして、ステップS11の後、客用表示器34に表示された複数の選択キー43(図6参照)のうち、遊技客の所望する処理法方についての選択キー43が遊技客によって押され(ステップS12でYES)、さらに、決定キー44(図6参照)が遊技客によって押されると(ステップS13でYES)、制御部35は、前述した景品交換処理を実施する(ステップS14)。ここでの景品交換処理は、ステップS8での景品交換処理と同じである。ただし、ステップS1でカード19(図1参照)を受け付けた場合には、ステップS14では、制御部35は、ステップS8と異なり、カード19を排出させる処理を実施しない。
【0100】
また、前述したように、選択キー43AおよびBのいずれかを押すということには、選択キー43AおよびBのいずれかを押した後に、同レート選択キー45、異レート選択キー46、同レート選択キー47、および、異レート選択キー48(このキーが表示されることは実際にはない)のいずれかも押すことをいう(図6参照)。
一方、ステップS11の表示がなされてから所定時間経過しても選択キー43が押されない場合には(ステップS12でNO、ステップS9でYES)、今回の処理がキャンセルされたものとして、制御部35は、受け付けたカード19またはレシート26を返却する(ステップS10)。同様に、ステップS11の表示がなされてから所定時間経過しても決定キー44が押されない場合には(ステップS13でNO、ステップS9でYES)、今回の処理がキャンセルされたものとして、制御部35は、受け付けたカード19またはレシート26を返却する(ステップS10)。
【0101】
景品交換処理の後(景品交換処理と同時であってもよい)、制御部35は、遊技客によって押された選択キー43に対応する(遊技客の所望の)処理方法による余り玉処理を実施する(ステップS15)。つまり、客用表示器34に表示された複数種類の処理方法を見た遊技客は、選択キー43を押す(操作する)ことによって、余り玉処理に関する所望の処理方法を直接選択することができるので一層使い勝手がよい。また、遊技客は、客用表示器34において所望の処理方法が表示された部分(選択キー43)を押せば、所望の処理方法を直感的に選択することができるのでより一層使い勝手がよい(図6参照)。
【0102】
そして、ステップS1でカード19(図1参照)を受け付けた場合には、余り玉処理の一環として、余り玉処理の際(後述する)、または、余り玉処理の後に、制御部35は、端末8(図1参照)に対して、このカード19を排出させて遊技客に返却する。
このように、余り玉がある場合には(ステップS5でYES)、ステップS15の余り玉処理が完了すると、景品管理装置7において実施される一連の処理が終了する。
【0103】
図9は、余り玉処理の手順を示すフローチャートである。
前述したように余り玉処理には、持玉処理と、貯玉処理と、保留処理と、放棄処理とがあり、以下では、それぞれの処理方法について、持玉処理、貯玉処理、保留処理、放棄処理の順番で説明する。
(2−1)持玉処理
遊技客が客用表示器34において選択キー43A(図6参照)を押して持玉処理を選択した場合には、制御部35は、ステップS15(図8参照)において、持玉処理による余り玉処理を実施する。ここでは、前述したステップS1(図8参照)においてカード19(図1参照)が受け付けられたものとする。
【0104】
余り玉処理において、具体的には、図9(a)を参照して、制御部35は、カード19に記憶された持玉数に、余り玉数を追加する(ステップS21)。ここで、遊技客が同レート選択キー45(図6参照)を押して同レート持玉処理を選択した場合には、カード19に既に記憶された同じ貸出レートの持玉数(ただし、前述した景品交換処理の後なので値は零)に余り玉数を追加して、合計値を新たな持玉数としてカード19に記録する。
【0105】
また、持玉数は、カード19に記憶されるだけでなく、T/C9(図1参照)の持玉DB22(図2参照)でも記憶されている。そのため、制御部35は、同レート持玉処理の場合には、ステップS21において、前述した新たな持玉数を、カード19のカードID、および、この持玉数の持玉の貸出レート(ここでは、低レート)に関連付けてT/C9に送信する。T/C9は、持玉DB22(図2参照)において同じカードIDに関連付けて管理していた同じ貸出レート(ここでは、低レート)の持玉数の代わりに、今回受信した持玉数を、当該同じ貸出レートにおける最新の持玉数として持玉DB22に記録する。なお、制御部35が余り玉数をカード19のカードIDおよび貸出レートに関連付けてT/C9に送信し、T/C9が、受信した余り玉数を、持玉DB22において同じカードIDに関連付けられた同じ貸出レートの持玉数に追加して、当該同じ貸出レートの持玉数を更新してもよい。
【0106】
一方、遊技客が異レート選択キー46(図6参照)を押して異レート持玉処理を選択した場合には、制御部35は、まず、余り玉数を、この余り玉(貸し出されたパチンコ玉)の貸出レートとは別の貸出レート(ここでは、通常レート)の値に変換する。具体的には、所定の係数があって、この係数を余り玉数に掛けることで、別の貸出レートにおける余り玉数を算出する。たとえば、1円/1玉の低レートから4円/1玉の通常レートに変更する場合の係数が0.25(=1/4)であったとすると、低レートにおける前述した1800個の余り玉数は(図6参照)、通常レートでは、450個(=1800×0.25)となる。制御部35は、このように算出した別の貸出レートでの余り玉数(変換後の余り玉数の変換値)を、カード19に既に記憶された当該別の貸出レートの持玉数(零の場合もある)に追加して、合計値を当該別の貸出レートにおける新たな持玉数としてカード19に記録する。
【0107】
また、制御部35は、異レート持玉処理の場合には、ステップS21において、前述した別の貸出レートにおける新たな持玉数を、カード19のカードID、および、この持玉数の持玉の貸出レート(ここでは、通常レート)に関連付けてT/C9に送信する。T/C9は、持玉DB22(図2参照)において同じカードIDに関連付けて管理(記録)していた当該別の貸出レート(通常レート)の持玉数の代わりに、今回受信した持玉数を、当該別の貸出レートのおける最新の持玉数として記録する。なお、制御部35が、前述した変換後の余り玉数(前述した変換値)をカード19のカードIDおよび(当該別の)貸出レートに関連付けてT/C9に送信し、T/C9が、受信した余り玉数を、持玉DB22において同じカードIDに関連付けられた該当する別の貸出レートの持玉数に追加して、当該別の貸出レートの持玉数を更新(記録)してもよい。
【0108】
以上のように、異レート持玉処理の場合には、前述した余り玉数の変換値が、カード19(持玉DB22)に関連付けて保持される。
また、異レート持玉処理を実施する場合には、手数料を取るようにしてもよい。
以上のように、同レート持玉処理および異レート持玉処理のいずれの持玉処理であっても、制御部35は、ステップS21において、余り玉数をカード19に関連付ける。詳しくは、制御部35は、同レートの余り玉数、または、異レートに変換した後の余り玉数を、カード19に記録するとともに、T/C9を介して持玉DB22(図2参照)にも記録する。ここで、異レート持玉処理の場合には、制御部35は、当初の貸出レート(ここでは、低レート)の余り玉数について前述したように変換した後の(ここでは、通常レートの)余り玉数をカード19に関連付ける。
【0109】
そして、ステップS21の処理の後、制御部35は、端末8(図1参照)に対して、カード出入口25に挿入されていたカード19を排出させる(ステップS22)。以上により、持玉処理が完了する。
遊技客は、持玉処理で排出されたカード19を受け取って、カード19を受け取ったその日において、好みの遊技台2に対応する台間ユニット3のカード出入口15に挿入して払出ボタン23を押せば、このカード19に関連付けられた持玉数の持玉が台間ユニット3の供給ノズル13から遊技台2の上皿10に払い出される(図1参照)。これにより、遊技客は、遊技した当日に、上皿10に払い出された持玉(カード19に関連付けて保持された余り玉数のパチンコ玉)を使って遊技台2で再遊技することができる。特に、異レート持玉処理の場合には、遊技客は、都合に応じて余り玉数を当初の貸出レートとは別の貸出レートでの値に変換し、カード19に関連付けられた当該変換値の(当該別の貸出レートの)パチンコ玉を用いて、当該別の貸出レートの遊技台2(図1参照)で再遊技することができる。
【0110】
このように、持玉処理とは、遊技した当日に、カード19に関連付けられた(カード19や持玉DB22に記録された)余り玉数の持玉を用いて再遊技できるようにする処理のことである。そして、持玉処理(当日再遊技する処理方法)が選択されると、前述したように、余り玉数がカード19(持玉DB22)に関連付けて保持される。
ここで、前述した説明では、ステップS1(図8参照)においてカード19が受け付けられた場合を想定している。一方、ステップS1においてレシート26(図1参照)が受け付けられた場合を想定して、端末8(図1参照)内には、台間ユニット3と同様に、新規の一般カード19がストックされている。この場合、制御部35は、同レート持玉処理および異レート持玉処理のいずれにおいても、ステップS21において、端末8内にストックされた中から1枚の一般カード19を選び、この1枚の一般カード19に、前述した余り玉数を持玉数として記録してから、この一般カード19を端末8から遊技客側へ排出(発行)する。また、T/C9(図1参照)では、持玉DB22(図2参照)において、この一般カード19のカードIDに関連付けて、前述した余り玉数を持玉数として記録(管理)する。遊技客は、今回新たに発行されたカード19を受け取って、このカード19に関連付けられた余り玉数分の持玉を用いて再遊技することができる。
【0111】
なお、カード19は、端末8の内部から発行されるのでなく、従業員等によって事前に準備されたカード19を端末8や景品管理装置7にタッチさせることによって、当該カード19に余り玉数が記録され、このカード19が遊技客に渡されてもよい。
また、媒体は、カード19ではなく、遊技客自身が保有している携帯電話であってもよい。携帯電話の場合には、カードIDに相当するものとして、携帯電話を特定できる情報(たとえば、携帯電話に内蔵されたICチップの製造番号(IDm)や、電話番号、メールアドレズ等)が挙げられる。
【0112】
また、ここでのカード19は、一般カードに限らず、会員カードであってもよい。
(2−2)貯玉処理
遊技客が客用表示器34において選択キー43B(図6参照)を押して貯玉処理を選択した場合には、制御部35は、ステップS15(図8参照)において、貯玉処理による余り玉処理を実施する。ここでは、前述したステップS1(図8参照)において、原則として会員カード19(図1参照)が受け付けられたものとする。
【0113】
具体的には、図9(b)を参照して、制御部35は、会員カード19(図1参照)に記憶された貯玉数に、余り玉数を追加する(ステップS31)。ここで、同レート選択キー47(図6参照)を押して同レート貯玉処理を選択した場合には、会員カード19に既に記憶された同じ貸出レート(ここでは、低レート)の貯玉数(零の場合がある)に余り玉数を追加して、合計値を当該同じ貸出レートにおける新たな貯玉数として会員カード19に記録する。
【0114】
また、貯玉数は、会員カード19に記憶されるだけでなく、T/C9(図1参照)の貯玉DB27(図3参照)でも記憶されている。そのため、制御部35は、同レート貯玉処理の場合には、ステップS31において、前述した新たな貯玉数を、会員カード19のカードID、および、この貯玉数の貯玉の貸出レート(ここでは、低レート)に関連付けてT/C9に送信する。T/C9は、貯玉DB27(図3参照)において同じカードIDに関連付けて管理していた同じ貸出レートの貯玉数の代わりに、今回受信した貯玉数を、当該同じ貸出レートにおける最新の貯玉数として管理する。なお、制御部35が余り玉数を会員カード19のカードIDおよび貸出レートに関連付けてT/C9に送信し、T/C9が、受信した余り玉数を、貯玉DB27において同じカードIDに関連付けられた同じ貸出レートの貯玉数に追加して、当該同じ貸出レートの貯玉数を更新してもよい。
【0115】
前述したように、異レート貯玉処理は、この実施形態では選択できないが(図7参照)、選択できる場合には、制御部35は、まず、余り玉数を、この余り玉(貸し出されたパチンコ玉)の貸出レートとは別の貸出レート(ここでは、通常レート)の値に変換する。具体的には、異レート持玉処理の場合と同様に、所定の係数を余り玉数に掛けることで、別の貸出レートにおける余り玉数を算出する。そして、制御部35は、算出した別の貸出レートでの余り玉数(変換後の余り玉数の変換値)を、会員カード19に既に記憶された当該別の貸出レートの貯玉数(零の場合もある)に追加して、合計値を当該別の貸出レートにおける新たな貯玉数として会員カード19に記録する。
【0116】
また、制御部35は、異レート貯玉処理の場合には、ステップS31において、前述した別の貸出レートにおける新たな貯玉数を、会員カード19のカードID、および、この貯玉数の貯玉の貸出レート(ここでは、通常レート)に関連付けてT/C9に送信する。T/C9は、貯玉DB27(図3参照)において同じカードIDに関連付けて管理(記録)していた当該別の貸出レートの貯玉数の代わりに、今回受信した貯玉数を、当該別の貸出レートにおける最新の貯玉数として記録する。なお、制御部35が、前述した変換後の余り玉数(前述した変換値)を会員カード19のカードIDおよび当該別の貸出レートに関連付けてT/C9に送信し、T/C9が、受信した余り玉数を、貯玉DB27において同じカードIDに関連付けられた該当する別の貸出レートの貯玉数に追加して、当該別の貸出レートの貯玉数を更新(記録)してもよい。
【0117】
以上のように、異レート貯玉処理の場合には、前述した余り玉数の変換値が、会員カード19(貯玉DB27)に関連付けて保持される。
また、異レート貯玉処理を実施する場合には、異レート持玉処理の場合と同様に、手数料を取るようにしてもよい。
以上のように、同レート貯玉処理および異レート貯玉処理のいずれの貯玉処理であっても、制御部35は、ステップS31において、余り玉数を、貯玉数(翌日以降に再遊技するためのパチンコ玉の数)として、会員カード19に関連付ける。詳しくは、制御部35は、同レートの余り玉数、または、異レートに変換した後の余り玉数を、会員カード19に記録するとともに、T/C9を介して貯玉DB27(図3参照)にも記録する。ここで、異レート貯玉処理の場合には、制御部35は、当初の貸出レートの余り玉数について前述したように変換した後の(ここでは、通常レートの)余り玉数を会員カード19に関連付ける。
【0118】
そして、このようなステップS31の処理の後、制御部35は、端末8(図1参照)に対して、カード出入口25に挿入されていた会員カード19を排出させる(ステップS32)。以上により、貯玉処理が完了する。
遊技客(ここでは、会員客に限られる)は、排出された会員カード19を受け取って退店し、翌日以降に再来店して、好みの遊技台2に対応する台間ユニット3のカード出入口15に挿入して払出ボタン23を押す(図1参照)。すると、この会員カード19に関連付けられた貯玉数の貯玉が台間ユニット3の供給ノズル13(または、前述した図示しない貸玉払出機構)から遊技台2の上皿10に払い出される(図1参照)。これにより、遊技客は、翌日以降(当日でもよい)に、上皿10に払い出された貯玉(会員カード19に関連付けられた余り玉数のパチンコ玉)を用いて遊技台2で再遊技することができる。特に、異レート貯玉処理の場合には、遊技客は、都合に応じて余り玉数を当初の貸出レートとは別の貸出レートでの値に変換し、会員カード19に関連付けられた当該変換値の(当該別の貸出レートの)パチンコ玉を用いて、当該別の貸出レートの遊技台2(図1参照)で再遊技することができる。
【0119】
このように、貯玉処理とは、遊技した当日またはその翌日以降に、会員カード19に関連付けられた(会員カード19や貯玉DB27に記録された)余り玉数の貯玉を用いて再遊技できるようにする処理のことである。そして、貯玉処理(当日または翌日以降に再遊技する処理方法)が選択されると、貯玉処理が行われ、余り玉数が、当日または翌日以降に再遊技するためのパチンコ玉(貯玉)の数として、会員カード19(貯玉DB27)に関連付けて保持される。換言すれば、貯玉処理によって、獲得したパチンコ玉が、貯玉として会員カード19に関連付けて管理される。
(2−3)保留処理
遊技客が客用表示器34において選択キー43C(図6参照)を押して保留処理を選択した場合には、制御部35は、ステップS15(図8参照)において、保留処理による余り玉処理を実施する。
【0120】
具体的には、図9(c)を参照して、制御部35は、余り玉数を、記憶部40(図5参照)において一時記憶する(ステップS41)。そして、制御部35は、端末8(図1参照)に対して、引き換えチケット49を発行させる(ステップS42)。以上で、保留処理が完了する。
図10は、引き換えチケット49を示す図である。
【0121】
引き換えチケット49では、余り玉数(図10では、1800個)が、その貸出レート(ここでは、低レート)に関連付けて、数値として印字されているとともに、バーコードとしても印字されている。また、引き換えチケット49には、通し番号(図10では、「No.0017」)が個別に付与されており、引き換えチケット49では、この通し番号が、数値として印字されているとともに、バーコードとしても印字されている。また、引き換えチケット49には、引き換えチケット49を発行した遊技店の店名(図10では、「パーラー○×」)と、引き換えチケット49の発行日時(図10では、2010/3/3 11:07)とが印字されている。
【0122】
ここで、制御部35は、保留処理のステップS41(図9(c)参照)において、余り玉数を記憶部40で一時記憶する際、余り玉数を、その貸出レートと、これから発行する引き換えチケット49の通し番号とに関連付けて一時記憶する。この際、制御部35は、引き換えチケット49と引き換えに、余り玉(余り玉数)を記憶部40において一時的に預かっているといえる。
【0123】
そして、発行された引き換えチケット49を受け取った遊技客は、その当日または翌日以降に遊技店において遊技台2で遊技をする。遊技客は、遊技によって持玉(景品管理装置7において一時的に預けた余り玉と貸出レートが同じであるとする)を追加で獲得すると、遊技後に、持玉数(「追加持玉数」という)が関連付けられたカード19またはレシート26とともに、引き換えチケット49を景品管理装置7に持って行く(図1参照)。
【0124】
すると、景品管理装置7の制御部35は、図8に示す処理を行い、まず、カード19またはレシート26を受け付けると(ステップS1でYES)、カード19またはレシート26から追加持玉数を取得する(ステップS2)。
次に、制御部35は、端末8のカード出入口25(図1参照)に引き換えチケット49(図10参照)が挿入されることで引き換えチケット49を受け付けたか否かを確認する(ステップS3)。または、バーコードリーダ36(図5参照)が引き換えチケット49のバーコード(図10参照)を認識したか否かで、制御部35は、引き換えチケット49を受け付けたか否かを判断する。
【0125】
引き換えチケット49を受け付けていない場合には(ステップS3でNO)、制御部35は、前述したステップS4以降の処理を実施する。
一方、引き換えチケット49を受け付けた場合には(ステップS3でYES)、制御部35は、引き換えチケット49のバーコード(図10参照)等から、引き換えチケット49の前述した通し番号と余り玉数とその貸出レートとを読み取り、記憶部40(図5参照)において、この通し番号に関連付けて一時記憶していた余り玉数を呼び出す(ステップS16)。さらに、制御部35は、ステップS16において、記憶部40から呼び出した余り玉数と、引き換えチケット49から読み取った余り玉数とが合っていることを確認(貸出レートがあっていることも確認)した後に、この余り玉数と、ステップS2で取得した追加の獲得数(追加持玉数)とを合算して、その合算値である最終獲得数を算出する。さらに、制御部35は、ステップS16において、この最終獲得数と交換可能な景品数を算出する。つまり、制御部35は、追加持玉数を取得したのに応じて、記憶部40で一時的に預かっていた余り玉の数(余り玉数)と追加持玉数とを合算したパチンコ玉数と交換可能な特殊景品を算出する。なお、ここでの算出手順は、ステップS4での場合と同じである。
【0126】
その後、制御部35は、ステップS16での算出結果に基づいて、ステップS5〜ステップS15の処理を実施する。ここで、ステップS16での制御部35による算出の結果、合算した数において特殊景品に交換できない余り玉数があれば、この余り玉数について選択可能な複数種類の処理方法が客用表示器34に表示される(ステップS11)。そのため、遊技客は、余り玉数の処理方法を急いで選択しなくても、追加持玉数を獲得するまで待ってから改めて処理方法を選択することができる。
【0127】
このように、保留処理とは、景品管理装置7の制御部35が追加持玉数(パチンコ玉の追加獲得数)を取得するまで余り玉(余り玉数)について処理を保留できるようにする処理のことである。
なお、追加持玉数に係る持玉の貸出レートと、景品管理装置7で一時記憶していた余り玉数に係る余り玉の貸出レートとが異なる場合には、制御部35は、ステップS16の処理を行わない。
【0128】
ここで、遊技客が、前述したカード19(図1参照)を持っていてステップS1(図8参照)でこのカード19が受け付けられた場合には、カード19が、引き換えチケット49(図10参照)を兼ねてもよい。そのため、保留処理のステップS42(図9(c)参照)で排出(発行)されるカード19には、引き換えチケット49の内容が記録されている。また、前述したレシート26(図1参照)に、引き換えチケット49の内容が追加で印字されて、このレシート26が、引き換えチケット49を兼ねてもよい。
【0129】
ここで、引き換えチケット49には、有効期限を設けておくのが一般的である。遊技客が景品交換を行おうとしたが、パチンコ玉の獲得数が、欲しい景品に少し足りない場合等に、この獲得数を保留処理で一時保留しておき、再遊技で獲得したパチンコ玉(出玉)や、追加で借りたパチンコ玉(貸玉)等で不足分(前記獲得数では足りない数)のパチンコ玉を補うのが保留処理の主な目的である。そこで、通常、当日の営業終了時、または、引き換えチケット49が発行されてから3時間程度を有効期限としておくものである。
(2−4)放棄処理
遊技客が客用表示器34において選択キー43D(図6参照)を押して放棄処理を選択した場合には、制御部35は、ステップS15(図8参照)において、放棄処理による余り玉処理を実施する。
【0130】
具体的には、図9(d)を参照して、制御部35は、算出された余り玉数を零としてクリアする(ステップS51)。これより、余り玉がなかったものとされ、放棄処理が完了する。そのため、遊技客は、余り玉(余り玉数)が不要な場合には、余り玉数を放棄することができる。ここで、放棄処理は、景品交換処理の後に実施されるので、放棄処理が完了した時点における持玉数は零となっている。また、余り玉がなかったものとされるので、放棄処理の前後で貯玉数が変わることはない。
【0131】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述した実施形態では、客用表示器34に表示された選択キー43(図6参照)を遊技客が押すことで、余り玉についての所望の処理方法を遊技客が自ら選択しているが、遊技客が客用表示器34における選択キー43の中から所望の処理方法を従業員に伝えて、従業員が遊技客の代わりに処理方法を選択してもよい。
【0132】
また、前述した実施形態では、遊技媒体をパチンコ玉としたが、遊技媒体はメダルであってもよい。
また、景品管理装置7の客用表示器34に表示させる余り玉の処理方法の種類は、余り玉の貸出レート、余り玉処理(景品交換)のタイミングや、遊技客のステータスという所定の条件に応じて変更している。ここで、この所定の条件には、遊技媒体の種類(パチンコ玉またはメダル)や、余り玉数(端数)の値が含まれていて、遊技媒体の種類や余り玉数の値に応じて、客用表示器34に表示させる処理方法の種類を変更してもよい。遊技媒体の種類を基準とする場合、たとえば、パチンコ玉の場合には保留処理が選択できるが、メダルの場合には保留処理が選択できないようにしてもよい。また、余り玉数の値を基準とする場合、たとえば、余り玉数が所定数以上であれば、異レート貯玉処理が選択できるようにしてもよい。
【0133】
また、遊技客が携帯する携帯電話が、カード19(図1参照)を兼ねてもよい。ここで、携帯電話に内蔵されたICチップの製造番号(IDm)が、カード19のカードIDに相当する。そして、台間ユニット3や計数装置5や端末6や景品管理装置7や端末8が、IDmを読み取ることができ、T/C9において、IDmに関連付けて持玉数や貯玉数等が管理される(図1参照)。
【0134】
また、カード19を持っていない遊技客(ビジター)が計数装置5でパチンコ玉の計数をした場合には、前述した実施形態では、レシート26が発行される一方で貯玉できないようになっている。しかし、このビジターは、レシート26を受け取った後になって、計数装置5でされたパチンコ玉(特に、前述した余り玉)を貯玉としたいと思ったのであれば、景品管理装置7において、処理途中に、自身の携帯電話のIDmに基づいて仮の会員登録をすることができる。これにより、ビジターは、すぐに仮会員となって、会員カード19を持つ正規の会員客と同様に、余り玉を貯玉にすること(前述した貯玉処理)ができる。ただし、この場合、仮会員となった遊技客は、会員カード19を持つ会員客の場合と同様の手続き(住所や名前等の登録)を改めてして、正式な会員登録をする必要がある。
【0135】
また、前述した貯玉DB27(図1参照)を有する専用の装置が、T/C9とは別に設けられていてもよい。
また、景品管理装置7において、制御部35(図5参照)が、通常レートおよび低レートの両方について、それぞれの持玉数を取得する場合が想定される(図8のステップS2)。この場合、客用表示器34では、図6における表示内容が、たとえば、通常レートおよび低レートのそれぞれの場合について切り替え表示され、それぞれの表示において、該当する貸出レートの持玉について景品交換処理や余り玉処理を実行させるとよい。
【符号の説明】
【0136】
7 景品管理装置
19 カード
22 持玉データベース
27 貯玉データベース
34 客用表示器
35 制御部
43 選択キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技客が獲得した特定の景品への交換を希望する遊技媒体数を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した遊技媒体数と交換可能な特定景品の数を算出する算出手段と、
遊技客に臨む位置に設けられ、前記算出手段による算出結果が表示される客用表示器と、
前記算出手段による算出の結果、景品に交換できない遊技媒体の端数が発生した場合に、当該端数について選択可能な複数種類の処理方法を前記客用表示器に表示させる表示制御手段と、
を含むことを特徴とする、景品管理装置。
【請求項2】
前記客用表示器に設けられ、複数種類の前記処理方法の中から所望の処理方法を選択するための選択キーを含むことを特徴とする、請求項1記載の景品管理装置。
【請求項3】
前記選択キーは、前記処理方法の種類に応じて複数設けられ、各前記選択キーには、対応する前記処理方法が表示されることを特徴とする、請求項2記載の景品管理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、所定の条件に応じて、前記客用表示器に表示させる前記処理方法の種類を変更することを特徴とする、請求項2または3記載の景品管理装置。
【請求項5】
前記所定の条件には、遊技媒体の種類、遊技媒体の貸出レート、前記端数の値、景品交換のタイミング、および、遊技店における遊技客の待遇の少なくともいずれかが含まれることを特徴とする、請求項4記載の景品管理装置。
【請求項6】
前記端数を関連付けて保持するための保持手段があり、
前記処理方法には、遊技した当日に、前記保持手段に関連付けられた前記端数の遊技媒体を用いて再遊技することが含まれ、
この当日再遊技する処理方法が選択されると、前記端数が前記保持手段に関連付けて保持されることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の景品管理装置。
【請求項7】
前記処理方法には、遊技した当日の翌日以降に、前記保持手段に関連付けられた前記端数の遊技媒体を用いて再遊技することが含まれ、
この翌日以降に再遊技する処理方法が選択されると、前記端数が、前記翌日以降に再遊技するための遊技媒体の数として、前記保持手段に関連付けて保持されることを特徴とする、請求項6記載の景品管理装置。
【請求項8】
遊技店の会員に発行される会員用記録媒体を有し、
獲得した遊技媒体を貯玉として前記会員用記録媒体に関連付けて管理する貯玉処理があり、
前記貯玉処理方法が選択されると、前記貯玉処理が行われることを特徴とする、請求項2〜7のいずれかに記載の景品管理装置。
【請求項9】
遊技媒体は、複数の貸出レートにおけるいずれかの貸出レートで貸し出されるものであり、
前記端数を、貸し出された遊技媒体の貸出レートとは別の貸出レートの値に変換する変換手段を含み、
前記保持手段には、前記変換手段が変換した後の端数の変換値が関連付けて保持されることを特徴とする、請求項6または7記載の景品管理装置。
【請求項10】
前記保持手段は、遊技客が携帯する記録媒体、または、前記景品管理装置に備えられた記録媒体を含むことを特徴とする、請求項6または7記載の景品管理装置。
【請求項11】
前記処理方法には、前記取得手段が遊技媒体の追加獲得数を取得するまで前記端数について処理を保留することが含まれ、
この保留処理方法が選択されると前記端数を一時的に預かる手段と、
前記取得手段が前記追加獲得数を取得したのに応じて、一時的に預かっていた前記端数と前記追加獲得数とを合算した遊技媒体数と交換可能な特定の景品を前記算出手段に算出させる手段と、
を含むことを特徴とする、請求項2〜10のいずれかに記載の景品管理装置。
【請求項12】
前記処理方法には、前記端数を放棄することが含まれ、
この放棄処理方法が選択されると前記端数をクリアする手段を含むことを特徴とする、請求項2〜11のいずれかに記載の景品管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−206202(P2011−206202A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75906(P2010−75906)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】