説明

有機エレクトロルミネッセンスデバイス用物質

本発明は式(1)の化合物およびこれらの化合物が発光層のマトリックス物質としておよび/または正孔輸送物質としておよび/または電子阻止物質としておよび/またはエキシトン阻止物質としておよび/または電子輸送物質として用いられる有機デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機半導体および有機エレクトロニックデバイスでのそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体は幾つかの異なる電子適用に対して発展されている。これらの有機半導体が機能物質として供される有機エレクトロルミネッセント(OLED)の構造は、例えばUS4539507, US 5151629, EP0676461およびWO98/27136に記述されている。しかしながら、さらなる改良が高品質および長寿命ディスプレーでこれらの使用に対してなお望まれている。したがって、近年、改良、特に有機エレクトロルミネッセントの寿命および効率、に対する要求がなおある。さらに、高熱安定性および高ガラス転移温度を有し、かつ分解せずに昇華が可能である化合物を必要としている。
特に、燐光エレクトロルミネッセントの場合においても、特性、特に寿命の十分な改良がなお望まれている。
【0003】
それゆえ、蛍光および燐光エッミタに対する改良物質、例えばホスト物質、に対する要求を続行するが、さらなる改良は電荷輸送物質、すなわち正孔および電子-輸送物質、ならびに電荷阻止物質の場合にも必要である。特にこれらの物質の特性はしばしば有機エレクトロルミネッセントの寿命および効率を招き、特に燐光OLEDでの改良に対する明らかな必要がなおある。
驚くべきことに、フェニル基もしくは対応するヘテロ環式基の3,5-位置での選択置換で置換されるベンゾフェノン誘導体、ジフェニルメタン誘導体および対応するヘテロ環式誘導体が有機エレクトロルミネッセントデバイス、ここでそれらは従来を超える十分な改良をもたらす、での使用に対して非常に高い安定性であることを見出した。本発明は、それゆえこれらの化合物および有機電子デバイスでのその使用に関する。フェニル基の置換に依存すること、およびベンゾフェノン誘導体かジフェニルメタン誘導体のいずれかに依存することは、本発明に係る化合物が特に正孔輸送物質として適切である、蛍光もしくは燐光化合物、正孔阻止物質もしくは電子輸送物質に対し電子もしくは励起阻止物質、マトリックス物質を伴う。本発明に係る物質は従来に関連する物質に比べて寿命の十分な増大、および有機電子デバイスの僅かな改良をできる。さらに、これらの化合物は高熱安定性を有する。
WO04/093207は、ジアリルケトン誘導体を燐光エレクトロルミネッセンスデバイス用マトリックス物質として開示している。ここで述べられる特に好ましい物質は、フェニル基の3,5-位置で置換される、スピロビフルオレン、ベンゾフェノン誘導体によって置換されるケト化合物、または対応するヘテロ環式化合物であり、開示されていない。しかしながら、この置換パターンが有機電子デバイスの使用上、特に良好な結果を与えることを見出している。
【発明の概要】
【0004】
本発明は式(1)の化合物に関する。
【化1】

【0005】
ここで、使用される記号は次に対応する。
【0006】
YはC=OもしくはC(R1)2である;
Xは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれCR2もしくはNであり;
Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ5〜60の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり、ヘテロ芳香族環系が一つ以上の基R3またはN(Ar)2, Si(Ar)3, C(=O)Ar, OAr, ArSO, ArSO2, P(Ar)2, P(O)(Ar)2 もしくは B(Ar)2基によって置換できる;
Arは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ1つまたはそれ以上の非芳香族基R3で置換できる5〜60の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり;ここで、同じ窒素、リンもしくはボロンの原子に結合される2つの基Arは単一結合もしくはB(R4), C(R4)2, Si(R4)2, C=O, C=NR4, C=C(R4)2, O, S, S=O, SO2, N(R4), P(R4) およびP(=O)R4から選択されるブリッジによって互いに連結することができる;
R1は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, D, Fもしくは1〜20のC原子を有する直線アルキル基または3〜20のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基であり、ここで複数の基R1は互いに環系を形成してもよい;
R2は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, D, F, CN, 直鎖アルキル、1〜40のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルコキシ基または分岐もしくは環式アルキル、3〜40のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルコキシ基、それぞれ1つ以上の基R4で置換されてもよく、ここで1またはそれ以上の非隣接CH2基はR4C=CR4, C≡C, O または Sで置換されてもよく、かつ1つまたはそれ以上のH原子はFで置換されてもよい;
R3は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, D, F, Cl, Br, I, CHO, N(Ar)2, C(=O)Ar, P(=O)(Ar)2, S(=O)Ar, S(=O)2Ar, CR2=CR2Ar, CN, NO2, Si(R4)3, B(OR4)2, B(R4)2, B(N(R4)2)2, OSO2R4、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル,アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり,それぞれ1つまたはそれ以上の基R4で置換されてもよく、ここで1つまたはそれ以上の非隣接CH2基はR4C=CR4, C≡C, Si(R4)2, Ge(R4)2, Sn(R4)2, C=O, C=S, C=Se, C=NR4, P(=O)(R4), SO, SO2, NR4, O, S もしくはCONR4で置換されてもよく、かつH原子はF, Cl, Br, I, CN もしくは NO2で置換されてもよく、またはそれぞれの場合1つまたはそれ以上の基R4で置換できる5〜60の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または1つまたはそれ以上の基R4で置換できる5〜60の芳香族環原子を有するアリロキシもしくはヘテロアリロキシ基、またはこれらの系の組合せ、であり;ここで2つまたはそれ以上の隣接置換基R3もまた互に単環もしくは多環の脂肪族または芳香族環系を形成してもよい;
R4は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, Dまたは1〜20のC原子を有する脂肪族、 芳香族および/またはヘテロ芳香族炭化水素基であり、さらにH原子はFで置換されてもよく;ここで2つまたはそれ以上の隣接置換基R4もまた互に単環もしくは多環の脂肪族または芳香族環系を形成してもよい。
【0007】
次の化合物は本発明から排除される。
【化2】

【化3】

【0008】
式(1)の化合物は70℃より大きい、好ましくは90℃より大きいガラス転移温度TGを有することが好ましい。
【0009】
この発明の目的のために、アリル基は少なくとも6C原子を含み;この発明の目的のためにヘテロアリル基は、C原子およびヘテロ原子の合計が少なくとも5である条件で、少なくとも2C原子および少なくとも1ヘテロ原子を含む。ヘテロ原子はN, O および/またはSから選択されることが好ましい。ここで、アリル基もしくはヘテロアリル基は単一芳香族環, すなわちベンゼン、または単一ヘテロ芳香族環, 例えばピリジン, ピリミジン, トリオフェン等,または凝縮アリルもしくはヘテロアリル基, 例えばナフタレン, アントラセン, ピレン, キノリン, イソキノリン等のいずれか意味するために与えられる。
【0010】
この発明の目的のために、芳香族環系は少なくとも6C原子を含む。この発明の目的のために、ヘテロ芳香族環系はC原子とヘテロ原子の合計が少なくとも5であるとの条件で、環系に少なくとも2C原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含む。ヘテロ原子は、N, O および/またはSから選択されることが好ましい。この発明の目的のために、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系はアリルもしくはヘテロ基のみを必要に含まない形を意味するために与えられることを意図するが、複数のアリルもしくは ヘテロアリル基もまた例えばsp3-混成C, NもしくはO原子のような短い非芳香族単位(好ましくはHより10%未満の原子)で中断されてもよい。したがって、例えば9,9‘-スピロビフルオレン, 9,9-ジアリルフルオレン, トリアリルアミン, ジアリルエーテル, スチルベンスチルベン, ベンゾフェノン等のような系もまたこの発明の目的のために芳香族環系を意味するために与えられることを意図する。芳香族もしくはヘテロ芳香族環系は複数のアリルもしくはヘテロアリル基が単一結合、例えばビフェニル, ターフェニルもしくはビピリジンで互に連結される形を意味するために同様に与えられる。
【0011】
本発明の目的のために、別個にH原子またはCH2基が前述の基で置換されてもよい、C1- からC40-アルキル基は基メチル, エチル, n-プロピル, i-プロピル, n-ブチル, i-ブチル, s-ブチル, t-ブチル, 2-メチルブチル, n-ペンチル, s-ペンチル, tert-ペンチル, 2-ペンチル, シクロペンチル, n-ヘキシル, s-ヘキシル, tert-ヘキシル, 2-ヘキシル, 3-ヘキシル, シクロヘキシル, 2-メチルペンチル, n-ヘプチル, 2-ヘプチル, 3-ヘプチル, 4-ヘプチル, シクロヘプチル, 1-メチルシクロヘキシル, n-オクチル, 2-エチル-ヘキシル, シクロオクチル, 1-ビシクロ2.2.2-オクチル, 2-ビスシクロ-2.2.2-オクチル, 2-(2,6-ジメチル)-オクチル, 3-(3,7-ジメチル)オクチル, トリフルオロメチル, ペンタフルオロエチル, 2,2,2-トリフルオロエチル, エチニル, プロペニル, ブテニル,ペンテニル, シクロペンテニル, ヘキシニル, シクロヘキシニル, ヘプテニル, シクロヘプテニル, オクテニル, シクロオクテニル, エチニル, プロピニル, ブチニル, ペンチニル, ヘキシニル, ッヘプチニルまたはオクチニルを意味するために特に好ましくは与えられる。C1-からC40−アルコキシ基 はメトキシ, トリフルオロメトキシ, エトキシ, n-プロポキシ, i-プロポキシ, n-ブトキシ, i-ブトキシ, s-ブトキシ, t-ブトキシもしくは2-メチルブトキシを特に好ましくは意味するものと解される。それぞれの場合前述の基Rで置換されることができ、かつ幾つかの望ましい位置を経由して芳香族もしくはヘテロ芳香族環に連結できる5〜60芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系は特に、ベンゼン, ナフタレン, アントラセン, フェナントレン, ベンズベンズアントラセン, ピレン, クリセン, ペリレン, フルオランテン, ベンゾフルオランテン, ナフタセン, ペンタセン, ベンゾピレン, ビフェニル, ビフェニレン,ターフェニル, ターフェニレン, フルオレン, ベンゾフルオレン, ジベンゾフルオレン, スピロビフルオレン, ジヒドロフェナントレン, ジヒドロピレン, テトラヒドロピレン, シス-もしくはトランス-インデノフルオレン, シス-もしくはトランス-モノベンゾインデノフルオレン, シス-もしくはトランス-ジベンゾインデノフルオレン, トラキシン, イソトラキシン, スピロトラキシン, スピロイソトラキシン, フラン, ベンゾフラン, イソベンゾフラン, ジベンゾフラン, トリオフェン, ベンゾトリオフェン, イソベンゾトリオフェン, ジベンゾトリオフェン, ピロール, インドール,イソインドール, カルバゾール, ピリジン, キノリン, イソキノリン, アクリジン, フェナントリジン, ベンゾ-5,6-キノリン, ベンゾ-6,7-キノリン, ベンゾ-7,8-キノリン, フェナンチアジン, フェノキサジン, ピラゾール, インダゾール, イミダゾール, ベンズイミダゾール, ナフサイミダゾール, フェナントリイミダゾール, ピリジイミダゾール, ピラジンイミダゾール, キノキサリンイミダゾール, オキサゾール, ベンゾキシアゾール, ナフソキシアゾール, アンスルオキサゾール, フェナンスルオキサゾール, イソキサゾール, 1,2-チアゾール, 1,3-チアゾール, ベンゾチアゾール, ピリダジン, ベンゾピリダジン, ピリミジン, ベンゾピリミジン, キノキサリン, 1,5-ジアザアントラセン, 2,7-ジアザピレン, 2,3-ジアザピレン, 1,6-ジアザピレン, 1,8-ジアザピレン, 4,5-ジアザピレン, 4,5,9,10-テトラアザペリレン, ピラジン, フェナジン,フェノキサジン, フェノチアジン, フルオルビン, ナフチリジン, アザカルバゾール, ベンゾカルボリン, フェナントロリン, 1,2,3-トリアゾール, 1,2,4-トリアゾール, ベンゾトリアゾール, 1,2,3-オキサジアゾール, 1,2,4-オキサジアゾール, 1,2,5-オキサジアゾール, 1,3,4-オキサジアゾール, 1,2,3-チアジアゾール, 1,2,4-チアジアゾール, 1,2,5-チアジアゾール, 1,3,4-チアジアゾール, 1,3,5-トリアジン, 1,2,4-トリアジン, 1,2,3-トリアジン, テトラゾール, 1,2,4,5-テトラジン, 1,2,3,4-テトラジン, 1,2,3,5-テトラジン, プリン, プテリジン, インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0012】
本発明の好ましい態様において、環式系の全ての記号XはCR2を意味する、もしくは環式系の全ての記号XはNを意味する。式(1)の2つの芳香族環式系のそれぞれは、3,5-置換フェニル基もしくは4,6-置換トリアジン基のいずれかを意味する。特に、全ての記号XはCR2を意味することが好ましい。
【0013】
本発明のさらに好ましい態様において、記号YはC=OもしくはC(R1)2を意味し、かつR1は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, F, 1〜10のC原子,特に1〜6のC原子を有する直線アルキル基,または3〜10のC原子,特に3〜6のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基を意味し;ここで2つのアルキル基R1は互に環系を形成してもよい。特に好ましくは、記号 Y はC=OもしくはC(R1)2を意味し、かつR1はH, D, Fもしくはメチルを意味する。もし、1つまたはそれ以上の基R、特に全ての基Rが芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を意味するならば、R1は特に好ましくはC=Oを意味する。もし、1つまたはそれ以上の基R、特に全ての基RがN(Ar)2を意味するならば、YはC(R1)2, 特にCH2もしくは C(CH3)2を特に好ましくは意味する。
【0014】
本発明のさらに好ましい態様において、記号 Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ1つまたはそれ以上の基R3で置換される、5〜30の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、特に6〜30の芳香族環原子を有する芳香族環系を意味するか、またはN(Ar)2, C(=O)Ar もしくはP(=O)Ar2基を意味する。Rは1つまたはそれ以上の基R3で置換される、6〜30の芳香族環原子を有する芳香族環系を非常に特に好ましくは意味する。
【0015】
もし、基Rが芳香族もしくは ヘテロ芳香族環系を意味するならば、これは基フェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クアテルフェニル, 2-フルオレイル, 2-スピロビフルオレニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, 1-, 2-もしくは9-アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1- もしくは2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6-もしくは7-ベンズアントラセニル, 2-, 4-もしくは5-ピリミリジニル, 1,3,5-トリアジニル, 特に芳香族基で置換される, N-ベンジミダゾイル, フェニル-N-ベンジミダゾイル, N-フェニルベンズイミダゾール, フェニル-N-フェニルベンズイミダゾール, トリオフェン, オキサゾール, オキサジアゾール, チアジアゾールもしくは ベンゾチアゾールから選択されることが好ましい。これらの基は1つまたはそれ以上の置換基R3でそれぞれ置換してもよい。特に好ましくは芳香族もしくはヘテロ芳香族環系Rは次の式(2)から(11)の構造から選択され、ここでダッシュを引いた結合はそれぞれの場合この単位の連結を示し、かつ基は1つまたはそれ以上の基R3でそれぞれ置換してもよい。
【化4】

【化5】

【化6】

【0016】
式(2)から(16)の構造のうち、式(3),(5),(7),(10),(11),(13)および(15)は非常に特に好ましい。
【0017】
基RがN(Ar)2を意味するならば、この基は式(17)もしくは式(18)から選択されることが好ましい。
【化7】

【0018】
ここで、R4は下記で示される意味を有し、かつさらに:
Eは単一結合, O, S, N(R4) もしくはC(R4)2を意味する;
Ar1は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ5〜24の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または15〜30の芳香族環原子を有するトリアリルアミン基、それぞれは1つまたはそれ以上の基R4、好ましくは6〜14の芳香族環原子を有するアリルもしくはヘテロアリル基で置換されてもよい、または18〜30の芳香族環原子、好ましくは18〜22の芳香族環原子を有するトリアリルアミン基、それぞれは1つまたはそれ以上の基R4で置換されてもよい、であり;
pは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ 0もしくは1である。
【0019】
Ar1は特に好ましくは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれフェニル, ビフェニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, 2-スピロビフルオレニル, 2-, 3-もしくは4-トリフェニルアミン, 1-もしくは 2-ナフチル-ジフェニルアミン,そえぞれナフチルもしくはフェニル基を経由して結合してもよい、1-もしくは2-ジナフチルフェニルアミン、それぞれナフチルもしくはフェニル基を経由して結合してもよい、N-カルバゾイル, N-フェニル-2-カルバゾイルもしくはN-フェニル-3-カルバゾイルを意味する。これらの基は1〜4のC原子を有するか、もしくはフッ素による1つまたはそれ以上のアルキル基でそれぞれ置換してもよい。
【0020】
本発明の好ましい態様において、式(1)の化合物の全ての記号Rは等しく選択される。本発明のさらに好ましい態様において、同じ環に結合される両方の置換基Rはそれぞれ等しく選択されるが、他の環煮たい足て置換基Rと異なる。
【0021】
本発明のさらに好ましい態様において、記号R2は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, F, 1〜10のC原子、好ましくは1〜6のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜10のC原子、好ましくは3〜6のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基を意味する。R2は特に好ましくはH, Fもしくはメチルを意味し, 特にHを意味する。
【0022】
式(1)の化合物は、同時に前述した選択を特に好ましくは有する。式(1)の化合物の特に好ましい態様はそれゆえ式(19), (20) および(21)の化合物である。
【化8】

【0023】
ここで、Ar, R3 およびR4は以下に記載され、かつ以下は使用される他の記号に適用する。
【0024】
YはC=OもしくはC(R1)2である;
Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ5〜30の芳香族環 原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、好ましくは6〜30の芳香族環原子を有する芳香族環系,特にフェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クアテルフェニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1- or 2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6- or 7-ベンズアントラセニル, N-ベンジミダゾイル, フェニル-N-ベンジミダゾイル, N-フェニルベンジミダゾイルもしくはフェニル-N-フェニルベンズイミダゾール, 特に上に示される式 (2)〜(16) からなる群から選択される、またはN(Ar)2基,好ましくは上に示される式(17)および(18)から選択される、またはC(=O)Ar or P(=O)Ar2である;
R1は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, F, 1 〜10のC原子を有する、好ましくは1〜6のC原子を有する直線アルキル基、特にメチル、または3 〜10のC原子を有する、好ましくは3〜6のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基であり、ここの複数の基R1は互に環系から形成してもよい;
R2は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, F, 1 〜10のC原子を有する、好ましくは1〜6のC原子を有する直鎖アルキル基、または3 〜10のC原子を有する、好ましくは3〜6のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基、好ましくはH, Fもしくはメチル、特に好ましくはHである。
【0025】
式(1)の化合物の特に好ましい態様は式(22)の化合物である。
【化9】

【0026】
ここで、Ar, R3 およびR4は下記に規定され、以下は使用される他の記号に適用する。
【0027】
YはC=O, CH2, CF2 もしくは C(alkyl)2であり、ここでアルキルは1〜6のC原子を有するアルキル基、特にメチルを表わす;
Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ6〜30の芳香族環原子を有する芳香族環系、特にフェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クアテルフェニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1- もしくは2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6-もしくは7-ベンズアントラセニル, N-ベンズイミダゾール, フェニル-N-ベンジミダゾイル, N-フェニルベンジミダゾイルもしくはフェニル-N-フェニルベンズイミダゾール,特に上に示される式(2) 〜(16)の基、からなる群から選択される、またはN(Ar)2基、好ましくは上に示される式(17)および(18)の基から選択される、またはC(=O)ArもしくはP(=O)Ar2である。
【0028】
本発明のさらに好ましい態様において、式(1)および式(19)〜(22)の化合物の記号Arは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ6〜30 芳香族環原子を有する芳香族環系、特にフェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クアテルフェニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1-もしくは2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6-もしくは7-ベンズアントラセニル, N-ベンズイミダゾール, フェニル-N-ベンズイミダゾール, N-フェニルベンズイミダゾールもしくはフェニル-N-フェニルベンズイミダゾールからなる群から選択される、を意味する。
【0029】
本発明のさらに好ましい態様において、式(1)および式(19)〜(22)の化合物の記号R3は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, F, N(Ar)2, C(=O)Ar, P(=O)(Ar)2, S(=O)Ar, S(=O)2Ar, CR2=CR2Ar, Si(R4)3, B(OR4)2, B(N(R4)2)2, 1〜10のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、または3〜10のC原子を有する分岐もしくは環式アルキルまたはアルコキシ基、それぞれ1つまたはそれ以上の基R4で置換してもよい、ここで1つまたはそれ以上の非隣接CH2基はR4C=CR4 もしくはC=O, NR4, OもしくはSで置換されてもよく、かつ1つまたはそれ以上のHはFで置換されてもよい、またはそれぞれの場合、1つまたはそれ以上の基R4で置換され得る5〜30の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または1つまたはそれ以上の基R4で置換され得る5〜30の芳香族環原子を有するアリロキシもしくはヘテロアリロキシ基、またはこれらの系の組み合わせ;ここで2つまたはそれ以上の隣接置換基R3もまた互に単環もしくは多環の脂肪族もしくは芳香族環系を形成してもよい、を意味する。R3は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, F, N(Ar)2, C(=O)Ar, P(=O)(Ar)2, Si(R4)3, B(OR4)2, B(N(R4)2)2, 1〜6のC原子を有する直鎖アルキル基、特にメチルもしくはエチル、または3〜6のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基、それぞれ1つまたはそれ以上の基R4で置換されてもよい、ここで1つまたはそれ以上のHはFで置換されてもよい、特にプロピルもしくはtert-ブチル、またはそれぞれの場合、1またはそれ以上の基R4で置換できる5〜20の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、またはこれらの系の組合わせ;ここで2つまたはそれ以上の隣接置換基R3もまた互に単環もしくは多環の脂肪族もしくは芳香族環系を形成してもよい、を意味する。溶液から処理される化合物の場合において、10 C原子を上回る直線もしくは分岐アルキル基もまた好ましい。
【0030】
式(1)および(19)〜(22)の好ましい化合物の例は以下に示される構造(1)〜 (250)である。
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【0031】
本発明に係る式(1)および式(19)〜(22)の化合物は以下に述べられる合成工程によって調製でき、合成工程は当業者に一般的に知られている。本発明に係る対称置換化合物用出発化合物は、例えば3,3’,5,5’-テトラブロモベンゾフェノン (Eur. J. Org. Chem. 2006, 2523-2529) もしくはビス(3,5-ジブロモフェニル)メタン (J. Org. Chem. 1994, 59, 7701-7703)である。これらの四臭化物は当業者に知られた方法で転換できる。ホウ酸もしくはホウ酸誘導体とのパラジウム触媒反応(鈴木カップリング)または有機亜鉛化合物とのパラジウム触媒反応(根岸カップリング)は本発明に係る芳香族もしくはヘテロ芳香族を導く(スキーム1)。3,3’,5,5’-テトラブロモベンゾフェノンの調製方法は1,3,5-トリブルモベンゼンのモノリチオ化からなり、前駆体1に対する以下に詳細に述べるように、N,N-ジメチルカルバモイルクロライドとの反応が続く。
【化59】

【0032】
アミンとのパラジウム触媒反応(Hartwig-Buchwaldカップリング)は本発明に係る芳香族もしくはヘテロ芳香族 アミンを導く(スキーム2)。
【化60】

【0033】
臭素官能基は有機リチウム化合物またはグリニヤール化合物を用いるトランス-メタレーションで例えばアリルボロン、ハライド、アルデヒド、ケトン、二トリル、エステル、ハロエステル、炭素、二酸化物、アリルホスフィンハライド、ハロスルフィン酸、ハロアリルスルフィン等のような、求電子基、それから多数の求電子剤にカップリングできる、に転換でき、ここでこの手法で得られる前記化合物は本発明に係る最終製品または択一的にさらに反応できる中間体である。これは、本発明に係るケトンおよびホスフィンオキシドの調製の例に関して一例として示される(スキーム3)。
【化61】

【0034】
基YがC=Oを意味する化合物において、保護基は有機リチウム化合物またはグリニヤール化合物との反応前にすばやく導入しなければならず、かつ最終の反応で再び取り除くことができる。カルボニル官能基に対する適切な保護基は有機合成の当業者に浴知られている。適切な保護基はジメチルホルムアミド中で2-クロロエタノールおよびカリウム tert-ブツキシドとの反応によって導入できる、例えば1,3-ジオキソランである(スキーム4)。
【化62】

【0035】
臭素官能基は、ジメチルアセトアミド中の亜鉛およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在で、シアン化物、例えば亜鉛シアン化物の反応によってニトリル官能基に転換できる(スキーム5)。
【化63】

【0036】
ニトリル官能基のグリニヤール化合物との反応および続いて起こる酸性加水分解は、それから本発明に係るケトンの調製を可能にする(スキーム6)。
【化64】

【0037】
さらなる可能性はカルボン酸へのニトリル官能基の塩基性加水分解であり、カルボン酸はチオニルクロライドとのさらなる反応によって対応する酸クロライドに、かつ適切なジアミンとのさらなる反応によって本発明に係るベンズイミダゾール誘導体に、転換できる(スキーム7)。
【化65】

【化66】

【0038】
アリルトリアジニルケトンもしくはビストリアジニルケトンの調製は、シアヌール酸からの出発でなすことができ、シアヌール酸はEP810453に従って1-クロロ-3,5-ジアリルトリアジンに転換でき、1-クロロ-3,5-ジアリルトリアジンあUS2959589に従ってTHFのマグネシウムの作用によって3,5-ジアリルトリアジン-1-イルマグネシウムクロライドに連続的に転換でき、これはニトリルまたはカルバモイルクロライドのような適切な求電子剤と反応でき、この方法で得られる追加化合物の酸性加水分解は望ましいケトンを与える(スキーム8)。
【化67】

【0039】
本発明は、置換もしくは非置換ビス(3,5-ジブロモベンゾフェノン)を、金属触媒との芳香族もしくはヘテロ芳香族ホウ酸または対応するホウ酸誘導体の、または金属触媒との一次もしくは二次芳香族アミン、または金属触媒との金属シアン化物にカップリングすることを含む式(1) および(19)〜(22)の化合物の調製方法にさらに関する。
【0040】
前述の本発明に係る化合物、特に臭素、ヨウ素、トリフレート、トシル化、もしくはホウ酸エステルのような反応性脱離基で置換される化合物、は対応する二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマー、ポリマーの調製に対するモノマーとして、またはデンドリマーのコアとして用いることができる。ここで、オリゴマー形成もしくは高分子化はハロゲン官能性もしくはホウ酸官能性を経由して好ましくは遂行する。
【0041】
本発明は、それゆえさらに式(1)の1つまたはそれ以上の化合物を含む二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーに関し、ここで1つまたはそれ以上の基R1からR4は二量体,三量体, 四量体もしくは五量体中の式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物間の結合、または式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物からポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーへの結合を表わし、またはこの結合は基Rの置換基を経由して生じる。この発明の目的のために、オリゴマーは式(1)もしくは式(19)〜(22)の少なくとも6単位を有する化合物を意味するものと解される。ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーは共役、部分共役、非共役であってもよい。三量体, 四量体, 五量体、オロゴマーもしくはポリマーは直線もしくは分岐であってもよい。
【0042】
二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマーおよびポリマー中の式(1)の反復単位に対して、同じ選択は前述のように適用する。好ましい反復範単位はそれゆえ式(19)〜(22)である。
【0043】
オリゴマーもしくはポリマーの調製の間に、本発明に係るモノマーはさらなるモノマーでホモ重合もしくは共重合される。適切かつ好ましいコモノマーはフレオン(例えばEP842208 or WO00/22026に従って)、スピロビフルオレン(例えばEP707020, EP894107 or WO 06/061181に従って)、パラ-フェニレン(例えばWO 92/18552に従って),カルバゾール(例えばWO04/070772もしくはWO04/113468従って), トリオフェン(例えばEP 1028136従って),ジヒドロフェナントレン(例えばWO 05/014689従って), シス-もしくはトランス-インデノフルオレン(例えばWO04/041901もしくはWO04/113412従って),ケトン(例えばWO05/040302従って)、フェナントレン(例えばWO05/104264 or WO07/017066従って)または複数のこれら単位からも選択される。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーはさらなる単位、ビニルトリアリルアミン(例えばWO 07/068325に従って)のような例えば発光(蛍光もしくは燐光)単位、または燐光金属複合体(例えばWO06/003000従って)、および/又は電荷輸送単位、特にトリアリルアミン誘導体を通常含む。
【0044】
本発明は、さらに式(1)もしくは式(19)〜(22)の少なくとも化合物、または二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマーもしくはポリマーおよび少なくとも1つのさらなる化合物に関する。さらなる化合物はもし式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物がマットリックス物質として用いられるならば、例えば蛍光もしくは燐光ドーパントであってもよい。適切な蛍光および燐光ドーパントは有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関連して以下に示され、かつまた本発明に係る混合物に対して好ましい。さらなる化合物は、もし式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物が正孔輸送もしくが電子輸送化合物であるならば、ドーパントであってもまたよい。適切なドーパントは有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関連して以下に示される。
【0045】
本発明はさらにまた式(1)の少なくとも1つの化合物、または対応する二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマーもしくはポリマーおよび少なくとも1つの有機溶媒を含む溶液に関する。この形の溶液は例えばスピンコーティングまたは印刷処理によって溶液からの有機電子デバイスの製造に必要である。
【0046】
本発明に係る式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物および対応する二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーは、電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED, PLED)、有機電界効果トランジスタ(O-FET), 有機薄膜トランジスタ (O-TFT), 有機発光トランジスタ (O-LET), 有機集積回路(O-IC), 有機太陽電池(O-SC),有機電場消光デバイス(O-FQD), 発光電気化学電池(LEC), 有機レーザダイオード (O-laser)もしくは有機光受容器の使用に適切である。
【0047】
置換に依存し、化合物は異なる機能および層に使用される。
【0048】
本発明は、電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイスでの式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物および対応する二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーの使用にそれゆえさらに関する。前述の好ましい態様は、有機電子デバイスでの化合物の使用にまた供される。
【0049】
本発明は、またさらに電子デバイス、特に式(1)もしくは式(19)〜(22)の少なくとも1つの化合物または対応する二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーを含む前述した電子デバイス、特にアノード、カソードおよび少なくとも1つの発光層を備える有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関し、少なくとも1つの有機層、発光層もしくは別の層でもよい、は式(1)もしくは式(19)〜(22)の少なくとも1つの化合物または対応する二量体,三量体, 四量体, 五量体、オロゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーを含む。前述した好ましい態様は有機電子デバイスもまた適用される。
【0050】
カソード、アノードおよび発光層以外に、有機エレクトロルミネッセンスデバイスはそれ以上の層をまた含んでもよい。これらは、例えばそれぞれの場合に、1つまたはそれ以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層、電荷発生層、および/または有機もしくは無機p/n接合から選択される。さらに、層、特に電荷輸送層はドープされてもよい。層のドーピングは電荷輸送を改良するのに有益であるかもしれない。しかしながら、これら層の各々は必ずしも存在する必要がなく、かつ層の選択は使用される化合物、特にエレクトロルミネッセンスデバイスが蛍光かもしくは燐光かに常に依存することを注目すべきである。
【0051】
本発明のさらに好ましい態様において、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは複数の発光層を備え、少なくとも1つの有機層は式(1)もしくは式(19)〜(22)の少なくとも1つの化合物を含む。これらの発光層は、特に合計で380nmと750nmとの間の複数の発光極大を有し、白色発光、すなわち蛍光を発するもしくは燐光を発することが可能である種々の発光化合物、で全部をもたらし、かつ発光青色、および黄色、オレンジ色、もしくは赤色光が発光層に用いられる。特別な選択は3層系、すなわち3つの発光層を有する系で与えられ、これらの層の少なくとも1つは式(1)もしくは式(19)〜(22)の少なくとも1つの化合物を含み、かつ3層は青、緑、オレンジもしくは赤の発光を示す(基本構成に対し、例えばWO 05/011013参照)。広帯域発光バンドを有し、従って白色発光を示す発光体は白色発光に対して同様に適している。
【0052】
本発明の好ましい態様において、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物は発光層で蛍光もしくは燐光化合物に対してマトリックス物質として使用される。燐光化合物に対するマトリックス物質において、Yは好ましくはC=Oを意味し、および/または基RはC(=O)Ar, S(=O)Ar, S(=O)2Ar, P(=O)Ar2 もしくはN-カルバゾイルを意味する。特に、基YはC=Oを意味する。蛍光化合物に対するマトリックス物質において、1つまたはそれ以上の基Rは芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を意味し、特にアントラセンを含む芳香族環系を意味する。基Yはそれゆえ好ましくはC(R1)2を意味する。
【0053】
マトリックスおよびドーパントを含む系のマトリックス物質は、系中でより高い比率で存在する化合物を意味するものと解される。マトリックスおよび複数のドーパントを含む系において、マトリックスは混合物中の比率が最も高い化合物を意味するものと解される。複数のマトリックス物質の混合物を使用することができる。
【0054】
もし、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物が発光層で発光化合物に対してマトリックス物質として使用されるならば、1つまたはそれ以上の燐光物質(三重項発光体)と組合わせて使用できる。本発明の目的のために、燐光は比較的に高スピン多重度の励起状態、すなわちスピン状態>1、特に励起三重項状態からの蛍光を意味するものと解される。本発明の目的のために、特に全てのルミネッセントイリジウムおよび白金複合体は蛍光化合物を意味するものと解されるべきことを意図する。式(1)の化合物と発光化合物との混合物は、それゆえ、式(1)の化合物の、発光体とマトリックス物質との全混合物に基づいて99と50体積%の間、好ましくは98と50体積%の間、特に好ましくは95と85体積%の間を含む。同様に、混合物は発光体の、発光体とマトリックス物質との全混合物に基づいて1と50体積%の間,好ましくは2と50体積%の間, 特に好ましくは3と40体積%の間, 特に5と15体積%の間を含む。
【0055】
好ましくは、混合物として複数のマトリックス物質の使用が挙げられる。特に、この混合物の1つの成分は正孔輸送化合物であり、かつ混合物のそれ以上の成分は電子輸送化合物である。もし、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物が電子輸送化合物、すなわちもし、例えば基YがC=Oを意味するおよび/または基RがC(=O)Arまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を意味するならば、この化合物は好ましくは正孔輸送マトリックス物質と組合わせて用いられる。好ましい正孔伝導マトリックス物質はトリアリルアミンおよびカルバゾール誘導体である。もし、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物が正孔伝導化合物である、すなわち例えば基YがC(R1)2を意味し、および基RがN(Ar)2を意味するならば、この化合物は好ましくは電子輸送マトリックス物質と組合わせて用いられる。好ましい電子輸送マトリックス物質は芳香族 ケトン, 芳香族 ホスフィンオキシド, 芳香族スルホキシド,芳香族 スルホンおよびトリアジン誘導体である。
【0056】
適切な燐光化合物(=三重項発光体)は特に適切な励起にて光、好ましくは可視領域で、発光する化合物であり、かつさらに20より大きい、好ましくは38以上84未満、特に好ましくは56以上80未満の原子数を有する少なくとも1つの原子を含む。使用される燐光を発する発光体は銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、金もしくはユウロピウムを含む化合物、特にイリジウムもしくは白金を含む化合物が好ましい。
【0057】
前述した発光体の例は出願WO00/70655, WO01/41512, WO02/02714, WO02/15645, EP1191613, EP1191612, EP1191614 および WO05/033244によって示される。一般的に、燐光OLEDに対して従来に従って用いられ、かつ有機エレクトロルミネッセンスの分野で当業者に知られているような全ての燐光複合体は適切であり、かつ当業者は独創的な工程なしでさらなる燐光複合体を用いることができる。
【0058】
もし、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物が蛍光化合物に対するマトリックス物質として使用されるならば、発光層中のマトリックス物質の比率は50.0と99.9体積%の間、好ましくは80.0と99.5体積%の間, 特に好ましくは90.0と99.0体積%の間である。同様に、ドーパントの比率は0.1と50.0体積%の間,好ましくは0.1と20.0体積%の間,特に好ましくは0.5と15体積%の間,非常に特に好ましくは1.0と10.0体積%の間である。
【0059】
好ましいドーパントは、モノスチリルアミン、ジシチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテルおよびアリルアミンの種類から選択される。モノスチリルアミンは1つの置換もしくは非置換スチリル基および少なくとも1つ、好ましくは芳香族、アミンを含む化合物を意味するものと解される。ジシチリルアミンは、2つの置換もしくは非置換スチリル基および少なくとも1つ、好ましくは芳香族、アミンを含む化合物を意味するものと解される。トリスチリルアミンは、3つの置換もしくは非置換スチリル基および少なくとも1つ、好ましくは芳香族、アミンを含む化合物を意味するものと解される。テトラスチリルアミンは、4つの置換もしくは非置換スチリル基および少なくとも1つ、好ましくは芳香族、アミンを含む化合物を意味するものと解される。スチル基はスチルベンゼンであることが特に好ましく、スチルベンゼンはさらに置換されてもよい。対応するホスフィンおよびエーテルはアミンに類似的に規定される。この発明の目的のために、アリルアミンもしくは芳香族アミンは窒素に直接結合される3つの置換もしくは非置換芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を含む化合物を意味するものと解される。少なくとも3つのこれら芳香族もしくはヘテロ芳香族環系は、好ましくは少なくとも14芳香族環原子を有する凝縮環系であることが好ましい。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン,芳香族アントラセンジアミン,芳香族 ピレンアミン,芳香族ピレンジアミン,芳香族クリセンアミンもしくは芳香族 クリセンジアミンである。芳香族 アントラセンアミンは、1つのジアリルアミノ基がアントラセン基,好ましくは2-位もしくは9-位に直接結合される化合物を意味するものと解される。芳香族 アントラセンジアミンは2つのジアリルアミノ基がアントラセン基、好ましくは2,6-位もしくは9,10-位に直接結合される化合物を意味するものと解される。芳香族ピレンアミン, ピレンジアミン, クリセンアミンおよびクリセンジアミンはそれに類似して規定され,ここでピレン上のジアリルアミノ基は1-位もしくは1,6-位に好ましくは結合される。さらに好ましいドーパントはインデノフルオレンアミンもしくはインデノフルオレンジアミン,例えばWO06/122630に準拠し,ベンゾインデノフルオレンアミンもしくは ベンゾインデノフルオレンジアミン, 例えばWO08/006449に従って,およびジベンゾインデノフルオレンアミンもしくはジベンゾインデノフルオレンジアミン,例えばWO 07/140847に従って、から選択される。スチリルアミンの分類からのドーパントの例は、置換もしくは非置換トリスチルベンアミンもしくはWO06/000388, WO06/058737, WO06/000389, WO07/065549 and WO07/115610で述べられるドーパントである。
【0060】
本発明のさらなる態様において、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物は正孔輸送物質として、もしくは正孔注入物質として、もしくは電子阻止物質として、もしくはエキシトン阻止物質として使用される。基YはそのときC(R1)2を意味することが好ましい。化合物は、そのとき少なくとも1つのN(Ar)2基,好ましくは少なくとも2つのN(Ar)2 基で置換されるおよび/または正孔輸送を改良するさらなる基を含むことが好ましい。ここで全ての基Rは特に好ましくはN(Ar)2を意味する。N(Ar)2基は前述した式(17)および(18)から選択されることが好ましい。正孔輸送を改良するさらに好ましい基は、例えば電子富化ヘテロ芳香族化合物、特に基Rとしてのトリオフェン, ピロールもしくはフランである。化合物は、正孔輸送もしくは正孔注入もしくは電子阻止もしくはエキシトン阻止の層に使用することが好ましい。この発明の目的にとって、正孔輸送層は正孔注入層と発光層の間に位置する層である。この発明の目的にとって、電子阻止もしくはエキシトン阻止の層はアノード側で発光層に直接隣接する層である。もし、式(1)の化合物が正孔輸送もしくは正孔注入物質として用いられるならば、電子受容体化合物、例えばF4-TCNQを持つかもしくはEP1476881 もしくはEP1596445で述べられるような化合物を持つ、と共にドープされるべきそれらであることが好ましい。
【0061】
本発明のなおさらなる態様において、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物はそれぞれ電子輸送層中の電子輸送物質もしくは正孔阻止層中の正孔阻止物質として使用される。ここで、C=Oおよび/またはトリアジンを表わす少なくとも1つの芳香族基,すなわち式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物、を意味する基Y,および/または例えばイミダゾール, ピラゾール, トリアゾール, ベンズイミダゾール, ベンゾチアゾール, トリアゾール, オキサジアゾール, ベンゾチアジアゾール, ピリジン, ピラジン, ピリミジン, ピリダジン, トリアジン, ビピリジン, キノリン, isoキノリン, キノキサリン, フェナントロリン等のような電子不足へテロ環を表わすヘテロアリル基、またはC(=O)Ar, P(=O)Ar2, S(=O)Ar or S(O)2Ar、を意味する少なくとも1つの置換基Rが好ましい。電子輸送層にドープされるべき化合物、例えば電子−ドナー化合物もしくは例えばLiqのようなリチウム塩がさらに好ましいかもしれない。本発明の目的のために、正孔阻止層は発光層と電子輸送層の間に位置し、かつ発光層に直接隣接される層である。
【0062】
ポリマーにおいてもまた、式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物の反復単位はポリマー主鎖として、正孔輸送単位としておよび/または電子輸送単位としていすれかに使用することができる。ここで、好ましい置換パターンは前述したそれらに対応する。
【0063】
好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにさらに与えられ、1つまたはそれ以上の層は、物質が10-5mbar未満,好ましくは10-6mbar未満の初期圧力で真空昇華単位にて蒸着される、昇華処理の手段によって塗布されることを特徴とする。しかしながら、圧力はより低い、例えば10-7mbar未満でもよいことを気が付くべきである。
【0064】
好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイスに同様に与えられ、1つまたはそれ以上の層はOVPD(有機気相蒸着)法の手段もしくは物質が10-5mbarと1barの間の圧力で塗布される、キャリアガス昇華の助けで塗布されることを特徴とする。この方法の特別な場合は、物質がノズルを通して直接塗布され、従って組み立てられる、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)である(例えば M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0065】
好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにさらにに与えられ、1つまたはそれ以上の層は例えばスピンコーテッィングよるような溶液から、または例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷のような幾つかの望ましい印刷法によって塗布されるが、特にLITI (光誘導熱画像,熱移転印刷トランス)もしくはインキジェット印刷である。可溶な化合物はこの目的に対して必要であることを特徴とする。高溶解性は化合物の適切な置換を通して達成できる。ここで、単独の物質の溶液のみならず、複数の化合物、例えばマトリックス物質およびドーパントを含む溶液を塗布できる。
【0066】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは溶液から1つまたはそれ以上の層を塗布すること、および1つまたはそれ以上の層を蒸着することによって混成系として製造してもよい。式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物が一般的に有機溶媒中で高い溶解性を有し、これらの化合物は溶液から十分に処理できる。したがって、溶液から式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物および蛍光もしくは燐光ドーパントを含む発光層に塗布でき、かつ真空蒸着による頂部上に正孔阻止層および/または電子輸送層を塗布できる。
【0067】
これらの方法は、一般的に当業者に知られ、かつ式(1)もしくは式(19)〜(22)の化合物もしくは前述の好ましい態様を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスへの問題なしで彼によって適用できる。
【0068】
本発明に係る化合物は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスでの使用で従来を超える次の驚くべき有益さを有する。
【0069】
1.本発明に係る化合物は、高い熱安定性を有し、かつ分解せずに昇華することができる。
【0070】
2.燐光蛍光体に対するマトリックス物質の使用において、YがC=Oを意味する本発明に係る化合物、特に基Rがそれぞれ芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を意味するそれらは、寿命の少なからぬ改良および有機エレクトロルミネッセンスデバイスの効率における僅かな改良をもたらす。
【0071】
3.燐光エレクトロルミネッセンスデバイスの電子/エキシトン阻止層での使用において、本発明に係る化合物、特に基Rとしてジアリルアミノ置換基を含むそれらは、従来に従う物質に比べて効率において少なからぬ改良をもたらす。これは、特にYがC(R1)2を意味する化合物に適用する。
【0072】
4.本発明に係る化合物、特に基Rとしてのジアリルアミノ基で置換される、および/または電子富化ヘテロ芳香族基で置換されるそれらは、正孔注入および正孔輸送物質としての使用に対して非常に高適切であり、かつ操作電圧にて還元をもたらす。
【0073】
本発明は、それによって限定することを望まない、次の例で非常に詳細に述べる。当業者、独創的であることなし、は本発明に係る化合物をさらに調製し、かつ有機電子デバイスにそれらを用いることができる。
【0074】

次の合成−別の方法を示されない限り−を乾燥溶媒中で保護ガス雰囲気下にて遂行する。溶媒および試薬をALDRICHもしくはABCRから仕入れる。
【0075】
前駆体は次のように調製できる(前駆体1-13)。
【0076】
前駆体1:ビス(3,5-ジブロモフェニル)ケトンの合成
【化68】

【0077】
ジエチルエーテルの4000ml 中の252.0g (801mmol)の1,3,5-トリブロモベンゼンの懸濁液を−72℃に冷却する。n-ブチルリチウム (ヘキサン中に2.5M)の320ml (800mmol)溶液を温度が−60℃を超えないような速度で滴下し、それから混合物をさらに1時時間攪拌する。38.8ml (399mmol)のN,N-ジメチルカルバモイルクロライドおよび 80mlのジチルエーテルの混合物を続いて添加し、かつ混合物をさらに1時間攪拌し、冷却をそれから取り除く。0℃の内部温度から、1000mlの水および80ml の酢酸の混合物を1時間の経過に亘って滴下する。混合物をさらに2時間攪拌し、かつ固体が堆積する間ずっと、一昼夜停止して放置する。3000mlのジエチルエーテルを吸引除去し、かつ固体をそれから吸引濾別し、100mlのエタノールで1回、100mlのエタノール/水(1:1)で2回、100mlのエタノールで2回洗浄し、真空で乾燥する。収率:168.5g (338mmol), 84.9%,純度約 98.5%(HPLC)。
【0078】
前駆体2:ビス(3,5-ジブロモフェニル)メタノールの合成
【化69】

【0079】
ビス(3,5-ジブロモフェニル)メタノールをJ. Org. Chem. 1994, 59, 7701-7703に記載されるように調製する。
【0080】
前駆体3:ビス(3,5-ジブロモフェニル)メタンの合成
【化70】

【0081】
ビス(3,5-ジブロモフェニル)メタンをJ. Org. Chem. 1994, 59, 7701-7703に記載のように調製する。
【0082】
前駆体4:ビス(3,5-ジシアノフェニル)ケトンの合成
【化71】

【0083】
49.7g (100mmol)のビス(3,5-ジブロモフェニル)ケトン, 29.4g (250mmol)の亜鉛シアン化物, 2.0g (31mmol)の亜鉛末および8.1g (7mmol) のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを900mlのジメチルアセタミド中で激しい攪拌を伴って135℃の内部温度にて、7日間加熱する。冷却後、500mlの水および500mlのアンモニア溶液(25%)を混合物に添加し、それから2時間攪拌する。形成する固体を吸引濾別し、200mlの水で5回, 100mlのメタノールで5回洗浄し、その後ジクロロメタン中で取り除く。溶液を硫酸ナトリウムによって乾燥し、シリカゲルを通して濾別し、真空で高濃縮する。200mlのエタノールの添加が固体の析出をもたらし、それを吸引濾別し、エタノールで洗浄する。ジメチルホルムアミドによる4時間の再結晶は無色固体を残す。収率:19.4g (69mmol), 68.7%,純度約99% (HPLC)。
【0084】
前駆体5:ビス(3,5-ジシアノフェニル)メタンの合成
【化72】

【0085】
ビス(3,5-ジシアノフェニル)メタンを38.7g (80mmol)のビス(3,5-ジブロモフェニル)メタンから前駆体4と類似して調製する。収率:15.2g (57mmol), 71.0%,純度約99.5%(HPLC)。
【0086】
前駆体6:3,3’,5,5’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸の合成
【化73】

【0087】
28.2g (100mmol) のビス(3,5-ジシアノフェニル) ケトンを500mlのエタノールに懸濁し、500mlの水中に40.0g (1mol) の水酸化ナトリウムをゆっくり添加し、かつ混合物を還流下で24時間加熱する。冷却後、前記混合物を1000mlの塩酸水に注ぐ。形成する析出物は吸引濾別し、水で中性点に洗浄し、引き続いて150mlのエタノールで2回洗浄する。収率:33.5g (93.5mmol), 93.5%, 純度約 99.5%(HPLC)。
【0088】
前駆体7:3,3’,5,5’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸の合成
【化74】

【0089】
3,3’,5,5’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸を16.1g (60mmol)のビス(3,5-ジシアノフェニル)メタンから前駆体6に類似して調製する。収率:20.0g (58mmol), 96.8%,純度約99.5%(HPLC)。
【0090】
前駆体8:3,3’,5,5’-ベンゾフェノンテトラカルボニルクロライドの合成
【化75】

【0091】
28.7g (80mmol) の3,3’,5,5’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸を150ml の塩化チオニルと共に還流下で4時間加熱する。冷却後、過剰塩化チオニルと真空で除去する。収率:34.2g (79mmol), 98.8%, 純度約99.5% (HPLC)。
【0092】
前駆体9:3,3’,5,5’-ジフェニルメタンテトラカルボニルクロライドの合成
【化76】

【0093】
3,3’,5,5’-ジフェニルメタンテトラカルボニルクロライドを17.2g (50mmol)の3,3’,5,5’-ジフェニルメタンテトラ酢酸から前駆体8に類似して調製する。収率:20.6g (49mmol), 98.6%,純度約99.5%(HPLC)。
【0094】
前駆体10:2,2-ビス(3,5-ジブロモフェニル)-1,3-ジオキソランの合成
【化77】

【0095】
99.6g (200mmol)のビス(3,5-ジブロモフェニル)ケトンを最初に導入し、かつ20.1ml (300mmol) の2-クロロエタノールをゆっくり添加する。300mlのジメチルホルムアミドをそれから添加し、かつ混合物を-63℃に冷却する。33.7g (112mmol)のカリウムtert-ブツキシドおよび250mlのジメチルホルムアミドの混合物を、淡茶色懸濁液が形成する間ずっと、40分に亘って滴下する。6時間後、冷却を取り除く。200mlの飽和塩化アンモニウム溶液と20mlのアンモニア溶液(25%)の混合物を約-45℃の内部温度で添加する。室温まで暖めた後、固体を吸引濾別し、水で1回およびエタノール/水(1:1)で3回洗浄する。残渣を回転気化器でトルエンと共に共沸的に3回乾燥し、300mlのn-ヘプタン中で除去し、濾別、300mlのn-ヘプタンで洗浄、真空で乾燥する。収率:100.0g (179mmol), 89.5%, 純度約97%(HPLC)。
【0096】
前駆体11:m-ターフェニル-3-ホウ酸の合成
【化78】

【0097】
m-ターフェニル-3-ホウ酸を WO07/043357に記載されているように調製する。
【0098】
前駆体12:m-クアテルフェニル-3-ホウ酸の合成
【化79】

【0099】
m-クアテルフェニル-3-ホウ酸をWO07/043357に記載されているようにm-ターフェニル-3-ホウ酸に従って調製する。
【0100】
前駆体13:2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン
【化80】

【0101】
EP810453に従って調製。対応する2-クロロ-4,6-ジアリル-1,3,5-トリアジン(アリル=4-ビフェニル, 3-ビフェニル, 3-m-ターフェニル, 3,5-ジフェニルフェン-1-イル)をこの方法で同様に得る。
【0102】
例1:ビス(3,5-ジフェニルフェニル) ケトンの合成
【化81】

【0103】
74.7g (150mmol)のビス(3,5-ジブロモフェニル)ケトン,109.7g (900mmol)のフェニルホウ酸, 267.5g (1162mmol)のトリカリウムホスフェートモノハイドレイト, 5.5g (18mmol)のトリ-o-トリルホスフィンおよび673.5mg (3mmol) のパラジウム(II)アセトンを600mlのトルエン, 300ml of ジオキサンおよび750ml水の混合物に懸濁し、還流下で72時間加熱する。冷却後、有機相を分離し、水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムによって乾燥する。混合物をその後酸化アルミニウムを通して濾別し、約200mlまで濃縮し、粗生成物が析出する間ずっと、500mlのエタノールを添加する。固体を吸引濾別し、100mlのエタノールで洗浄し、沸騰トルエン中で5回溶解し、高温でエタノールの添加によって再析出する。収率:44.0g (90mmol), 60.2%,純度約99.9%(HPLC)。
【0104】
本発明に係る次の化合物(例2-11)をビス(3,5-ジブロモフェニル) ケトンおよび対応するホウ酸から例1に類似して得る。
【化82−1】

【化82−2】

【化82−3】

【化82−4】

【0105】
例12:ビス(3,5-ジフェニルフェニル)メタンの合成
【化83】

【0106】
13.9g (28mmol)のビス(3,5-ジフェニルフェニル)ケトン, 6.8g (121mmol)の水酸化カリウムおよび4.9ml (100mmol)のヒドラジン水化物を、450mlのジエチレングリコールに懸濁し、透明な溶液を形成する間ずっと、175℃の内部温度で5時間加熱し、形成する水を水分離器を通して混合物から除去する。室温までの冷却において、固体を析出し、400mlの水を添加し、固体を吸引濾別し、メタノールで洗浄し、トルエンによって2回およびジメチルホルムアミドによって3回再結晶し、その後真空で乾燥する。収率:10.7g (23mmol), 80.9%,純度約 99.8%(HPLC)。
【0107】
本発明に係る次の化合物(例13-17)を対応するケトンから例12に類似して得る。
【化84−1】

【化84−2】

【0108】
例18:3,3’,5,5’-テトラベンゾイルベンゾフェノンの合成
【化85】

【0109】
250mlのテトラヒドロフラン中の16.3g (30mmol)の2,2-ビス(3,5-ジブロモフェニル)-1,3-ジオキソランの溶液を-62℃にする。52ml (130mmol)のn-ブチルリチウムをゆっくり滴下し、かつ混合物をさらに2時間攪拌する。20mlのテトラヒドロフラン中の16.8ml (165mmol)のベンゾニトリルをそれから滴下し、混合物をさらに2時間攪拌し、それから室温まで暖める。50mlの1 N 塩酸水を添加し、混合物を還流下で16時間沸騰し、溶媒を真空除去し、残渣を300mlのジクロロメタン中に除去し、飽和ナトリウムハイドロゲンカーボネイト溶液で中性になるまで洗浄し、かつ有機相を硫酸マグネシウムによって乾燥する。ジクロロメタンを真空中で除去した後、残渣をシリカゲル上で3回クロマトグラフする(溶出ヘプタン:エチルアセテート3:1>1:1)。収率:7.7g (13mmol), 42.9%,純度約99.8%(HPLC)。
【0110】
例19:3,3’,5,5’-テトラキス(1-フェニルベンジイミダゾール-2-イル)ベンゾフェノンの合成
【化86】

【0111】
21.6g (50mmol)の3,3’,5,5’-ベンゾフェノンテトラカルボニルクロライドおよび46.1g (250mmol)の2-アミノジフェニルアミンを300mlのジクロロメタンに溶解する。78ml (560mmol)のトリエチルアミンをゆっくり滴下し、混合物を24時間攪拌する。有機相をその後分離し、100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムによって乾燥し、かつ真空で溶媒から除去する。残渣を350mlのエタノール中で除去し、1時間攪拌する。固体を吸引濾別し、ジメチルホルムアミドによって4回再結晶する。収率:19.9g (21mmol), 41.8%,純度約 99.5%(HPLC)。
【0112】
例20:3,3’,5,5’-テトラキス(1-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ジフェニルメタンの合成
【化87】

【0113】
3,3’,5,5’-テトラキス(1-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ジフェニルメタンを16.7g (40mmol)の3,3’,5,5’-ジフェニルメタンテトラカルボニルクロライドから例16に類似して調製する。収率:17.8g (19mmol), 47.5%,純度約99.7%(HPLC)。
【0114】
例21:ビス(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)ケトンの合成
【化88】

【0115】
対応するグリニヤール化合物を53.5g (200mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンおよび 4.9g (200mmol)のマグネシウムから調製し、700mlのTHFの沸騰を伴ってヨウ素粒子の手段で活性化する。グリニヤール溶液を-78℃に冷却し、100mlのTHF中の9.7g (90mmol) のN,N-ジメチルカルバモイルクロライドの混合物を激しい攪拌を伴って滴下する。付加が完了するとき、混合物を -78℃でさらに1時間攪拌し、かつ冷却を取り除く。0℃の内部温度から、 500mlの水および30mlの酢酸の混合物を1時間の経過に亘って滴下する。混合物をさらに2時間攪拌し、一昼夜放置する。水相を分離し、有機相を真空で乾燥し、300mlのエタノールを残渣に添加し、かつ混合物をエタノールで1時間攪拌することで洗浄する。固体を吸引濾別し、100mlのエタノールで1回、100mlのエタノール/水(1:1)で2回、100mlのエタノールで2回洗浄し、真空で乾燥し、最後にDMF / BuOHによって5回再結晶する。収率:22.0g (45mmol), 49.6%, 純度約 99.9% (HPLC)。
【0116】
本発明に係る次の化合物(例22-25)を対応する2-クロロ-4,6-ジアリル-1,3,5-トリアジンから例21に類似して得る。
【化89−1】

【化89−2】

【0117】
例26:(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-(3,5-ジフェニルフェン-1-イル) ケトンの合成
【化90】

【0118】
対応するグリニヤール化合物を53.5g (200mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンおよび4.9g (200mmol)のマグネシウムから調製し、700mlのTHFの沸騰を伴ってヨウ素粒子の手段によって活性化する。グリニヤール溶液を0℃に冷却し、250mlのTHF中の48.5g (190mmol)の1-シアノ-3,5-ジフェニルベンゼンの懸濁液を激しい攪拌を伴って滴下する。付加が完了するとき、混合物を 0℃でさらに1時間攪拌し、かつ冷却を取り除き、混合物を室温で6時間攪拌し、最後に還流下で3時間攪拌する。200mlの水および100mの酢酸粉混合物の添加後、混合物を還流下で6時間加熱する。冷却後、水相を分離し、有機相を真空で除去し、300mlのエタノールを残渣に添加し、混合物をエタノールを伴って1時間攪拌する。固体をそれから吸引濾別し、100mlのエタノールで1回、100mlのエタノール/水(1:1)で2回、および100mlのエタノールで2回洗浄し、真空で乾燥し、最後にアセトン/EtOHによって5回再結晶する。収率:55.3g (113mmol), 59.5%, 純度約 99.9% (HPLC)。
【0119】
本発明に係る次の化合物(例27-30)を対応する2-クロロ-4,6-ジアリル-1,3,5-トリアジンから例26に類似して得る。
【化91−1】

【化91−2】

【0120】
例31:ビス-1,3-(ジフェニルアミノフェニル) ケトンの合成
【化92】

【0121】
607mg (3mmol)のトリ-tert-ブチルホスフィンおよび337mg (1.5mmol) のパラジウム(II)アセテイトを、1000mlのトルエン中の37.3g (75mmol)のビス(3,5-ジブロモフェニル) ケトン,76.2g (450mmol)のジフェニルアミンおよび49.0g (510mmol) のナトリウムtert-ブツキシド の懸濁液に添加し、混合物をその後還流下で3時間加熱する。冷却後、500mlの水を添加し、混合物を短いシリカゲル塔を通して濾別し、かつ有機相を分離し、500mlの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムによって乾燥し、その後真空で実質的に乾燥まで気化する。残渣を1000mlの暖かいエタノールで除去する。冷却後、析出固体を吸引濾別し、真空で乾燥し、DMFによって5回再結晶する。収率:23.8g (28mmol), 37.7%, 純度約99.9% (HPLC)。
【0122】
本発明に係る次の化合物(例32-37)を対応するアミンから例31に類似して得る。
【化93−1】

【化93−2】

【0123】
例:有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造および特徴づけ
本発明に係るエレクトロルミネッセンスデバイスは、例えばWO05/003253に記載されるように製造できる。種々のOLEDの結果はここで比較される。前記物質が用いられる、基本構造、ドーピング度合およびその層厚さは良好な比較に対して同一である。最初の4つのデバイス例は発光層がホスト物質(もしくはマトリックス)ビス(9,9’-スピロbiフルオレン-2-イル) ケトン(SK)および種々のゲスト物質(ドーパント)緑発光に対するTEGもしくは赤発光に対するTERまたは青発光に対するTEBからなる、従来に従う比較標準を記載する。さらに、種々の構造のOLEDが記載される。次の構造を有するOLEDは前述の一般的な方法に類似して製造される。
【0124】
正孔注入層 (HIL) 20 nmの2,2’,7,7’-テトラキス(ジ-パラ-トイ
ルアミノ)スピロ-9,9‘-biフルオレン
電子阻止層(EBL, 任意) 15 nm of EBL-1 (9,9-ビス(3,5-ジフェニルア
ミノフェニル)フルオレン)
発光層(EML) 比較もしくは本発明に係る40 nmホスト物質:
スピロケトン (SK)(ビス(9,9'-スピロビフルオ
レン-2-イル) ケト。前記ホスト物質は2つの
物質の混合物でもよい。
【0125】
ドーパント:10体積%ドーピング;以下に
参照化合物
正孔阻止層(HBL, 任意) 本発明に係る10nmの化合物(表1参照)
電子導体(ETL) 比較としての20nmのAlQ3 (トリス
(キノリナト)アルミニウム(III))
カソード 1 nmのLiF,上に100 nmのAl
WO 04/085449に従って合成されるEBL-1, TEG-1およびUS2001/0019782に従ってそれぞれ合成されるEG-2 and TEG-3の構造、TER-1, TER-2, TEB-1, SK, LSK, CBZおよびTCTAは以下に明確に示される。
【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

【0126】
本発明に係る化合物1から6は以下に示される。
【化99】

【化100】

【化101】

【0127】
未だ最適化されないOLEDとしてのこれらは、標準方法;エレクトロルミネッセンススペクトル、電流−電圧−ルミネッセンス特性ライン(IUL特性線)から計算される、ルミネッセンスの関数としての効率(cd/Aで測定される)によって特徴付けされ、かつ寿命はこの目的に対して決定される。
【0128】
表1から明らかなように、青−もしくは赤−発光ドーパント(TEGおよびTER)を含むエレクトロルミネッセンスデバイスはホスト物質SKを含む比較デバイスに比べて測定効率、電圧、色および寿命において優れた挙動を示す。
【0129】
表2は、青ドーパントTEB-1に対する対応値を示す。ホスト物質SKは、青ドーパントに対して不適切である。極端に弱いルミネッセンスがこの物質で観測され、効率に対する値および電圧が有意義な手法で決定できないことを意味する。
【表1】

【表2】

【0130】
例63:溶液による有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造および特徴付け
本発明に係る物質は溶液によっても用いることができ、ここでそれらは良好な特性をすでに有する十分に簡単なデバイスを結果として生じる。そのような成分の製造は高分子発光ダイオード(PLED)の製造に基づき、ダイオードは文献(例えばWO 2004/037887に)に何回かすでに記載されている。この場合において、本発明に係る化合物もしくは同様な可溶性比較化合物(LSK)は三重項発光体TEG-3と共にトルエンもしくはクロルベンゼンに溶解する。用いられる物質の構造は例38において前述されている。そのような溶液の典型的な固体含有量はもし、ここのように、デバイスに対して典型的である80 nmの層厚さがスピンコーティングの手段で達成されるならば、16と25 g/lの間である。ここでデバイスは、以下の構造を有する。
【0131】
ITOアノード/ PEDOTを含む80 nm緩衝層 / 20 nm 中間層 /対応するマトリックス物質に17重量%のTEG-3を含む80nm発光層(表3参照) / 3 nmのBaおよび150 nmのAlを含むカソード。
【0132】
構造化したITO基板およびいわゆる緩衝層(PEDOT, 実質的に PEDOT:PSS)に対する物質は市販されている(ITO Technoprintおよび他から, PEDOT:PSS H.C. Starckから水性分散剤Clevios Baytron Pとして)。使用する中間層は正孔注入に対して役に立ち、この場合、 MerckからのHIL-012が使用される。発光層は、不活性ガス雰囲気、この場合アルゴン、でスピンコーティングで塗布され、120℃、10分間での加熱によって乾燥される。最後に、バリウム/アルミニウムカソードは真空蒸着法によって塗布される。上の例で用いられる正孔阻止および/または電子輸送層は発光層とカソードの間に蒸着法によって塗ることができ、かつ中間層は溶液から発光層の堆積の続く処理工程によって再度切り離すことのない条件を満足する必要のみがある1つまたはそれ以上の層で置き換えてもよい。
【0133】
溶液処理デバイスもまた標準方法によって特徴付けされる。表3は得られ多データを表わす。ほんはつめいに係る物質が効率および寿命に関して以前に入手できるそれらより優れていることを溶液処理デバイスの分野で明白である。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物。
【化1】

ここで、次に挙げるものは使用される記号に該当する:
YはC=O もしくはC(R1)2であり;
Xは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれCR2もしくはNであり;
Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ1つまたはそれ以上の基R3またはN(Ar)2, Si(Ar)3, C(=O)Ar, OAr, ArSO, ArSO2, P(Ar)2, P(O)(Ar)2 もしくはB(Ar)2基で置換できる5〜60の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり;
Arは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ1つまたはそれ以上の非芳香族基R3で置換できる5〜60の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり;ここで、同じ窒素、リンもしくはボロン原子に結合される2つの基Arは単一結合もしくはB(R4), C(R4)2, Si(R4)2, C=O, C=NR4, C=C(R4)2, O, S, S=O, SO2, N(R4), P(R4)およびP(=O)R4から選択されるブリッジによって互いに連結することができる;
R1は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, D, Fもしくは1〜20のC原子を有する直線アルキル基または3〜20のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基であり、ここで複数の基R1は互いに環系を形成してもよい;
R2は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, D, F, CN, 1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、それぞれ1つ以上の基R4で置換されてもよく、ここで1またはそれ以上の非隣接CH2基はR4C=CR4, C≡C, OもしくはSで置換されてもよく、かつ1つまたはそれ以上のH原子はFで置換されてもよい、であり;
R3は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, D, F, Cl, Br, I, CHO, N(Ar)2, C(=O)Ar, P(=O)(Ar)2, S(=O)Ar, S(=O)2Ar, CR2=CR2Ar, CN, NO2, Si(R4)3, B(OR4)2, B(R4)2, B(N(R4)2)2, OSO2R4,1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または 3〜40のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル,アルコキシもしくはチオアルコキシ基,それぞれ1つまたはそれ以上の基R4で置換されてもよく、ここで1つまたはそれ以上の非隣接CH2基はR4C=CR4, C≡C, Si(R4)2, Ge(R4)2, Sn(R4)2, C=O, C=S, C=Se, C=NR4, P(=O)(R4), SO, SO2, NR4, O, SもしくはCONR4 で置換されてもよく、かつ1つまたはそれ以上のH原子はF, Cl, Br, I, CN もしくはNO2で置換されてもよく、またはそれぞれの場合、1つまたはそれ以上の基R4で置換できる5〜60の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または1つまたはそれ以上の基R4で置換できる5〜60の芳香族環原子を有するアリロキシもしくはヘテロアリロキシ基、またはこれらの系の組合せ、であり;ここで2つまたはそれ以上の隣接置換基R3 もまた互に単環もしくは多環の脂肪族もしくは芳香族環系を形成してもよい;
R4は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれH, Dまたは1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族炭化水素基、さらにH原子はFで置換されてもよい、であり;ここで2つ以上の隣接置換基R4もまた互に単環もしくは多環の脂肪族または芳香族環系を形成してもよい;
次の化合物は本発明から排除される;
【化2】

【化3】

【化4】

【請求項2】
環系の全ての記号XはCR2を意味するか、もしくは全ての記号XはNを意味することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
記号Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ1つまたはそれ以上の基R3で置換できる5〜30の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を意味し、またはN(Ar)2, C(=O)Ar or P(=O)Ar2基を意味することを特徴とする請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
基Rは、もしそれが芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を意味するならば、基フェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クアテルフェニル, 2-フルオレンyl, 2-スピロビフルオレニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, 1-, 2- もしくは9-アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1- or 2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6- or 7-ベンズアントラセニル, 2-, 4- or 5-ピリミリジニル, 1,3,5-トリアジニル, 特に芳香族基で置換される, N-ベンジミダゾイル, フェニル-N-ベンズイミダゾール, N-フェニルベンジミダゾイル, フェニル-N-フェニルベンズイミダゾール, トリオフェン, オキサゾール, オキサジアゾール, チアジアゾールもしくはベンゾチアゾールから選択され、ここでこれらの基は1つまたはそれ以上の置換基R3でそれそれ置換されてもよく、Rは好ましくは式(2)〜(16)の構造から選択され、ここでそれぞれの場合において破線結合はこの単位の連結を示し、かつ基はそれぞれ1つまたはそれ以上の基R3で置換されてもよい、ことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の化合物。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【請求項5】
基Rは、もしそれがN(Ar)2基を意味するならば、式(17)もしくは式(18)の基から選択される請求項1から4いずれか1項記載の化合物。
【化10】

ここで、R4は請求項1に示される意味を有し、さらに:
Eは単一結合, O, S, N(R4)もしくはC(R4)2を意味し;
Ar1は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ5〜24の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系または15〜30の芳香族環原子を有するトリアリルアミン基、それぞれ1つまたはそれ以上の基R4で置換されてもよい、好ましくは6〜14の芳香族環原子を有するアリルもしくはヘテロアリル基または18〜30の芳香族環原子を有する、好ましくは18〜22の芳香族環原子を有するトリアリルアミン基、それぞれ1つまたはそれ以上の基R4で置換されてもよい、であり;
pは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ0もしくは1である。
【請求項6】
式(1)の化合物中の全ての基Rは同一に選択されるか、もしくは同じ環に結合される両方の置換基Rがそれぞれ同一に、しかし他の環上で置換基Rと異なって選択される請求項1から5いずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
式(19), (20) および(21)の化合物から選択される請求項1から6いずれか1項記載の化合物。
【化11】

ここでAr, R3およびR4は請求項1で規定され、かつ次に挙げるものは使用される他の記号に該当する:
YはC=OもしくはC(R1)2であり;
Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ5〜30の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、特にフェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クアテルフェニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1-もしくは2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6-もしくは7-ベンズアントラセニル, N-ベンジミダゾイルl, フェニル-N-ベンズイミダゾール, N-フェニルベンジミダゾイルもしくはフェニル-N-フェニルベンズイミダゾールからなる群から選択され、特に請求項4に係る式 (2) 〜(16)、または(Ar)2基、好ましくは請求項5に係る式(17)および(18) C(=O)ArおよびP(=O)Ar2から選択される、であり;
R1は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ, H, F, 1〜10のC原子を有する、好ましくは1〜6のC原子を有する直線アルキル基,特にメチル, または3〜10のC 原子を有する、好ましくは3〜6のC原子を有する分岐もしくは環式アルキル基;ここで多数の基R1は互に環系を形成してもよい、であり;
R2は出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ, H, F, 1〜10のC原子を有する,特に1〜6のC原子を有する直鎖アルキル基,または3〜10のC 原子を有する,特に3〜6のC 原子を有する分岐もしくは環式アルキル基、好ましくはH, Fもしくはメチルである。
【請求項8】
式(22)の請求項1から8いずれか1項記載の化合物
【化12】

ここでAr, R3およびR4は上に規定され、かつ次に挙げるものは使用される他の記号に該当する:
YはC=O, CH2, CF2もしくはC(alkyl)2,ここでアルキルは1〜6のC原子を有するアルキル基を意味し、特にメチルであり;
Rは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれフェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クオータフェニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1-もしくは 2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6-もしくは7-ベンズアントラセニル, N-ベンズイミダゾール, フェニル-N-ベンジミダゾイル, N-フェニルベンジミダゾイルもしくはフェニル-N-フェニルベンズイミダゾールからなる群から選択され、特に請求項4に係る式(2)から(16)もしくはN(Ar)2基から選択され、好ましくは請求項5に係る式(17) および(18)から選択される芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または C(=O)ArもしくはP(=O)Ar2である。
【請求項9】
記号Arは出現する毎に同一かまたは異なり、それぞれ 6〜30の芳香族環原子を有する芳香族環系、特にフェニル, o-ビフェニル, m-ビフェニル, p-ビフェニル, o-ターフェニル, m-ターフェニル, p-ターフェニル, 3,5-(ジフェニル)フェニル, m-クアテルフェニル, 1-ナフチル, 2-ナフチル, アントラセニル, フェニルアントラセニル, 1-もしくは2-ナフチルアントラセニル, ビナフチル, ピレニル, フルオロンチェニル, 2-, 3-, 4-, 5-, 6-もしくは7-ベンズアントラセニル, N-ベンジミダゾイル, フェニル-N-ベンズイミダゾール, N-フェニルベンズイミダゾールもしくはフェニル-N-フェニルベンズイミダゾールからなる群から選択される、を意味する請求項1から8いずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から9いずれか1項記載の化合物の調製方法であって、
金属触媒で芳香族もしくはヘテロ芳香族ホウ酸もしくは対応するホウ酸誘導体への、または金属触媒で一次もしくは二次芳香族アミンへの、または金属触媒での金属シアン化物への、置換もしくは非置換ビス(3,5-ジブロモベンゾフェノン)の結合を含む方法。
【請求項11】
請求項1から9いずれか1項記載の1つまたはそれ以上の化合物を含む二量体, 三量体, 五量体, オリゴマー, ポリマーもしくはデンドリマーであって、1つまたはそれ以上の基R1〜R4が二量体, 三量体もしくは五量体もしくは式(1)の化合物からポリマーへの結合、オリゴマー, ポリマーもしくはデンドリマー、もしくはこの結合が基R上の置換基を通して生じる、中の式(1)の化合物間の結合を表わす二量体, 三量体, 五量体, オリゴマー, ポリマーもしくはデンドリマー。
【請求項12】
請求項1から9いずれか1項記載の少なくとも1つの化合物、もしくは請求項11記載の二量体,三量体, 四量体, 五量体, オリゴマーもしくはポリマーと、少なくとも1つの有機溶媒と、を含む溶液。
【請求項13】
電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて請求項1から9いずれか1項記載の化合物、または請求項11記載の二量体,三量体, 四量体, 五量体, オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーの使用。
【請求項14】
有機電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED, PLED), 有機電界効果トランジスタ(O-FET), 有機薄膜トランジスタ (O-TFT), 有機発光トランジスタ(O-LET), 有機集積回路(O-IC),有機太陽電池(O-SC), 有機電場消光デバイス(O-FQD), 発光電気化学電池(LEC),有機レーザダイオード(O-laser) もしくは有機光受容器からなる群から選択される、であって、請求項1から9いずれか1項記載の少なくとも1つの化合物、または請求項11記載の二量体,三量体, 四量体, 五量体, オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーを含む有機電子デバイス。
【請求項15】
請求項1から9いずれか1項記載もしくは請求項11記載の化合物は、発光層で蛍光もしくは燐光化合物に対してマトリックス物質として、もしくは正孔輸送物質として、もしくは正孔注入物質として、もしくは電子阻止物質として、もしくはエキシトン阻止物質として、もしくは電子輸送物質として、もしくは正孔阻止物質として使用される請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。

【公表番号】特表2011−528324(P2011−528324A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517768(P2011−517768)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004448
【国際公開番号】WO2010/006680
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】