説明

有機エレクトロルミネッセンス装置および有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法

【課題】マスク蒸着を行うと、蒸着マスクと接触する位置に配置されている有機機能層や共通電極層が蒸着マスクと接触した時に有機機能層や共通電極層に切り立った形状の浮きが発生する。この上に窒化酸化シリコン層を用いた封止層を形成すると、応力がここに集中し、封止層に亀裂が入るため水分や酸素が浸入し、腐蝕が生じるという課題がある。
【解決手段】隔壁106上に突起部109を配置する。切り立った形状は突起部109上に選択的に発生する。この領域上にアルミニウムを用いた緩衝層110Aを配置する。アルミニウムは塑性変形能が高いため損傷が伝播されず、緩衝層110Aに加えられた応力を緩衝層110Aの変形吸収により緩和できるため、損傷の伝播による封止層112への破断が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置および有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置として、トップエミッション型を有するものが研究されている。トップエミッション型の有機EL装置は、有機EL装置面方向における平面視にてTFT(薄膜トランジスタ)や配線部分にあたる領域にも発光領域を設けることができる。そのため、高輝度の有機EL装置を構成することが可能となることから開発が進められてきている。特許文献1には、トップエミッション型の有機EL装置を応用して、外光反射によるコントラスト低下を抑えた構造について記載されている。
【0003】
トップエミッション形の有機EL装置では、射出側の電極(通例、陰極となる)は光学的に透明で、電気抵抗が低い電極であることが好ましい。通例、射出側の電極はITO(インジウム・錫・酸化物)等のセラミック系の透明導電層やMgAg等の金属層を用いて、層厚5nm〜30nm程度の厚さにしたものが用いられている。
【0004】
この場合、TVのような大画面有機EL装置をトップエミッション型で製造すると、上記した電極の抵抗値により、画面中央と周辺部で射出側の電極内での電位差が生じ輝度のムラが発生する。そのため、特許文献2に記載されている様に、画素間の非発光領域に補助の金属配線を形成する方法が公開されている。この金属配線は有機機能層や射出側の共通電極の上に形成される。有機機能層は水分に弱く、またエッチングによる損傷で劣化するため、一般的にエッチング工程を用いずにパターン形成を行う方法の一つとして、蒸着マスクを用いてパターン形成を行うマスク蒸着法等で形成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−234186号公報
【特許文献2】特開2001−195008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マスク蒸着を行うと、蒸着マスクと接触する位置に配置されている有機機能層や共通電極層が蒸着マスクと接触した時に剥がれ、後述する図4に示すように、有機機能層107や共通電極層108に浮き領域116が発生するという課題が発生する。この状態で、窒化シリコン層や酸化シリコン層、または窒化酸化シリコン層等を用いた封止層112を形成すると、この浮き領域116を忠実に覆った層が形成されるが、浮き領域116は切り立った形状を成しているため、温度変化を受けると膨張/収縮する。この際に生じる応力が浮き領域116に集中し、封止層112に亀裂が入る。この亀裂から水分や酸素が浸入し、有機機能層や共通電極層を腐蝕するという課題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり以下の形態または適用例として実現することが可能である。なお、以下の説明で、「上」とは、基板内部から基板の第1面側に向かう方向を指すものとする。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置は、基板と、前記基板の第1面上に位置し、各々電気的に分離されて配置された第1電極と、前記第1電極間に位置する隔壁と、前記隔壁上の一部に位置する突起部と、前記第1電極の少なくとも一部と、前記隔壁の少なくとも一部と、前記突起部の少なくとも一部を覆う有機機能層と、前記有機機能層の少なくとも一部を覆う第2電極と、前記基板における前記第1面の少なくとも一部を大気と分離させる封止層と、前記隔壁と前記封止層との間に位置し、前記突起部上に位置する前記有機機能層および/または前記第2電極の少なくとも一部を覆う前記封止層よりも塑性変形能が高い物質を用いた緩衝層と、を備えることを特徴とする。
【0009】
これによれば、突起部に形成された有機機能層および/または第2電極の少なくとも一部が緩衝層に覆われる。突起部は基板上における他の領域よりも張り出して形成されるため、製造工程中や、基板のハンドリングにより生じる他の物体との接触はこの突起部に集中して発生し、基板上に位置する他の領域は、他の物体との接触から保護される。一方、接触に伴う有機機能層および/または第2電極の損傷は突起部上に集中する。この突起部を封止層よりも変形能が高い緩衝層で覆うことで、この損傷に起因する損傷の伝播を抑制することが可能となり、信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することが可能となる。ここで塑性変形能とは、応力が印加された場合に、損傷の伝播を抑え塑性変形しうる能力を示すものとし、JIS・Z2201に規定された平行部を有する引張試験片により求まる絞り値や延びで評価するものとする。即ち、塑性変形能が高い場合、同じ応力が印加されても損傷が伝播されず、緩衝層に加えられた応力を緩衝層の変形吸収により緩和できるため、損傷の伝播による封止層の破断が抑制される。そのため、信頼性に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記緩衝層は、少なくとも一部に前記第2電極に電流を供給する補助電極層を含むことを特徴とする。
【0011】
上記した適用例によれば、緩衝層と補助電極層とを兼ねることが可能となる。緩衝層の少なくとも一部に補助電極層を用いることで、第2電極を伝播して供給される電流により生じる第2電極内での電気抵抗による電圧降下を抑えることができ、表示面内における輝度の均一性を高めた有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記封止層は、窒化酸化シリコン(窒素0%、酸素0%を含む)層で構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記した適用例によれば、窒化酸化シリコン層はガスバリア性が高く、水分や酸素の侵入を抑制することが可能となる。また、窒化酸化シリコン層を構成する窒化酸化シリコンは、半導体プロセスで一般的に用いられている物質であり、想定外の汚染源として影響を与えるリスクが小さい。そのため、信頼性に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記補助電極層は、アルミニウム層またはアルミニウムに添加材を加えた、前記封止層よりも変形能が高い金属層を用いてなることを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、封止層よりも変形能が高いアルミニウム層またはアルミニウム合金層を用いることで、応力が印加された場合に、損傷の伝播を変形吸収させることで緩和され、損傷の伝播による封止層の破断が抑制される。そのため、信頼性に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することが可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記補助電極層は、200nm以上3μm以下の厚さを有することを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、補助電極層が200nm以上の厚さを有することで、突起層上に発生した有機機能層および/または第2電極の損傷を覆い、亀裂の伝播を防ぐことが可能となり、封止層の信頼性を保つことができる。また、補助電極層が3μm以下の厚さを有することで、補助電極層の被覆性低下を抑えることが可能となり、封止層の信頼性を保つことができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記突起部は、前記基板の前記第1面における平面視にて、千鳥状に配置されていることを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、突起部が千鳥状に配置されることで、製造工程中や、基板のハンドリングにより生じる他の物体との接触を少ない数の突起部で抑え、基板上に位置する他の領域を、他の物体との接触から保護することができ、信頼性に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することが可能となる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記突起部は、厚さが0.5μm以上、5μm以下であることを特徴とする。
【0021】
上記した適用例によれば、突起部の厚さが0.5μm以上あれば、他の物体との接触を突起部に集中させ、基板上に位置する他の領域と他の物体との接触を防ぐことができる。また、突起部の厚さが5μm以下であれば、突起部を含めて充填材を用いて平坦化が容易に行えるため、充填材上に封止ガラス等の保護材を配置することが可能となる。
【0022】
[適用例8]上記適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記突起部は、20°以上60°以下のテーパー角を有することを特徴とする。
【0023】
上記した適用例によれば、突起部のテーパー角が20°以上であれば、突起部の面積を小さく抑えることが可能となり、突起部で発生する有機機能層および/または第2電極の剥がれに起因するパーティクルの発生を抑えることが可能となる。また、突起部のテーパー角が60°以下であれば、突起部を覆う緩衝層や補助電極層中での亀裂の発生を抑制することが可能となる。
【0024】
[適用例9]本適用例にかかる、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板の第1面上に位置し、各々電気的に分離されて配置された第1電極を形成する工程と、前記第1電極間に位置する隔壁を形成する工程と、前記隔壁上の一部に位置する突起部を形成する工程と、前記第1電極の少なくとも一部と、前記隔壁の少なくとも一部と、前記突起部の少なくとも一部とを覆う有機機能層を形成する工程と、前記有機機能層の少なくとも一部を覆う第2電極を形成する工程と、前記有機機能層および/または前記第2電極の少なくとも一部を覆う緩衝層を、前記基板上の第1領域内に位置する前記突起部と第1蒸着マスクとを接触させた状態で堆積する工程と、前記有機機能層および/または前記第2電極の少なくとも一部を覆う緩衝層を、前記基板上の第1領域外に位置する前記突起部と第2蒸着マスクとを接触させた状態で堆積する工程と、前記基板における前記第1面の少なくとも一部を大気と分離させる封止層を形成する工程と、を含み、前記第1蒸着マスクは、前記第1領域内に位置する前記突起部の少なくとも一部が開孔されており、前記第2蒸着マスクは、前記第1領域外に位置する前記突起部の少なくとも一部が開孔されており、前記緩衝層は、前記封止層よりも変形能が高い物質を用いたことを特徴とする。
【0025】
これによれば、突起部上の有機機能層および/または第2電極の少なくとも一部を覆う緩衝層を、突起部をスペーサとして形成することが可能となる。突起部は基板上における他の領域よりも張り出して形成されるため、基板上の他の領域と蒸着マスクとの接触を避けることができる。そして緩衝層には、封止層よりも塑性変形能が高い物質が用いられているため、応力が印加された場合に損傷が伝播されず、緩衝層に加えられた応力を緩衝層の変形吸収により緩和できるため、損傷の伝播による封止層の破断が抑制される。そのため、信頼性に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を製造する技術を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(第1の実施形態:突起部を含む有機EL装置の構成)
以下、第1の実施形態として、突起部を含む有機EL装置の構成について説明する。本実施形態では、有機EL層として白色発光を行わせ、カラーフィルタを用いてカラー画像を得る構成について説明する。図1(a)は有機EL装置100の平面図、図1(b)は有機EL装置100のA−A’断面図である。有機EL装置100は、基板101、バッファ層101A、半導体層102、薄膜トランジスタ(TFT)103、埋め込み層104、コンタクト部105、第1電極111、隔壁106、有機機能層107、共通電極(第2電極)108、突起部109、補助電極層110、緩衝層110A、封止層112、充填層120、カラーフィルタ121、を含む。図1(a)では、充填層120とカラーフィルタ121、封止層112の図示を省略し、第1電極111については発光に寄与する領域について図示を行っている。
【0028】
基板101は、ガラス等を用いた絶縁体により構成されており、半導体層102等を支える機能を有している。また、基板101にプラスチックを用いても良く、この場合には屈曲可能な有機EL装置100を提供することが可能となる。また、基板101として、導体や半導体を覆うように位置する絶縁体を備えたものを用いても良い。また、基板101は透明基板に限らず、光学的に不透明な材質を用いた基板を用いても良い。
【0029】
バッファ層101Aは、基板101に含まれる不純物が後述する半導体層102に伝播するのを防止する機能を有しており、窒化酸化シリコン(窒素0%、酸素0%を含む)等の材質により構成されている。
【0030】
半導体層102は、TFT103の活性層として機能し、ポリシリコンやアモルファスシリコンを用いたものが一般的に用いられている。
【0031】
TFT103は、第1電極111に供給する電流を制御する機能を有し、有機機能層107での発光強度を制御している。
【0032】
埋め込み層104は、TFT103等を埋め込み、平坦化すると同時に有機機能層107等の層と電気的に絶縁すべく備えられている。
【0033】
コンタクト部105は、TFT103と第1電極111とを電気的に接続させるべく配置されている。
【0034】
隔壁106は、第1電極111を分離し、また補助電極層110を支持させるべく配置されている。隔壁106の断面は高さ2μm、頂辺20μm程度の台形状の形状を有している。隔壁を構成する材料としては、酸化珪素等の無機絶縁材料の他にもアクリル樹脂等の有機絶縁材料を用いることができる。また、このような無機物或いは有機物以外にも、有機・無機材料を組み合わせてなる絶縁材料を用いることもできる。
【0035】
第1電極111は、コンタクト部105を経由して、TFT103から供給される電流を有機機能層107に供給し、有機機能層107から光を射出させる機能を有している。また、第1電極111は、アルミニウムを用いた反射層と、窒化珪素を用いた分離層と、ITOを用いた電極層などの多層構造を用いても良く、後述する有機機能層107から基板101側に射出された光を反射させて基板101の上側に戻し、有機機能層107から上向きに射出される光と合成させることで実効的な発光効率を向上させる機能を有している。
【0036】
共通電極108は、第1電極111と協働して、有機機能層107に電流を供給する機能を有している。共通電極108は、仕事関数の小さいアルカリ金属や、アルカリ土類等の金属材料を用いてなり、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)等を含む材料によって形成されている。好ましくは、MgAg(MgとAgを重量比でMg:Ag=10:1に混合した材料)を用いた薄層の透光性電極が、電子注入障壁が低く、かつ耐腐蝕性を持つことから好適に採用される。この他にも、MgAgAl電極、LiAl電極、LiFAl電極、ITO電極、IZO(インジウム・亜鉛・酸化物)電極等を用いても同様の効果をもって共通電極108を構成することが可能となる。ここでは、MgAgを15nm程度の厚さとしたものを用いている。
【0037】
有機機能層107は、第1電極111と共通電極108の間に位置し、第1電極111と共通電極108により供給された電流値に応じ、発光を行う機能を有している。有機機能層107は、たとえば蒸着法により形成することができる。有機機能層107は、複数の層を重ねたものを用いることも好適で、第1電極111から注入される正孔の注入効率を上げるための正孔注入層や、共通電極108から注入される電子の注入効率を上げるための電子注入層を備えさせることも好適である。
【0038】
補助電極層110は、共通電極108で生じる電圧降下を避けるため厚い層厚を用いており、光の透過率が低い。そのため、補助電極層110は隔壁106等の、非表示領域上に配置されることが好ましいが、若干の光量減少が容認される用途であれば、表示領域の一部を覆っても良い。補助電極層110は、構成材としてアルミニウムやアルミニウム合金が用いられ層厚200nm〜3μm程度の厚さを有しており、電気抵抗を下げる機能を有している。補助電極層110が200nm以上の厚さを有することで、突起部109上に発生した有機機能層および/または第2電極の損傷を覆い、亀裂の伝播を防ぐことが可能となり、封止層の信頼性を保つことができる。また、補助電極層が3μm以下の厚さを有することで、補助電極層の被覆性低下を抑えることが可能となり、封止層の信頼性を保つことができる。
【0039】
突起部109は、隔壁106上に配置され、底辺は10μm程度の幅を有し、0.5μm〜5μmの高さを有している。突起部109は、他の領域よりも張り出しているため、蒸着マスク等と接触させた場合、他の領域への接触を抑制し、突起部109以外での損傷を防止する機能を有している。高さが0.5μm以上あることで、突起部109以外での、他の物体との衝突を避けることができ、また、5μm以下の高さに抑えることで、後述するカラーフィルタ121の装着を容易なものとすることができる。また、突起部109は平面的には図1(a)に示すように、千鳥状の配置を持つことが好ましく、少ない突起部109で支持しうる平面を定めることが可能となり、他の物体との衝突を避けることが可能となる。突起部109で生じる損傷により粉塵が発生する場合があるが、突起部109の密度を下げることで突起部109から発生する粉塵量を減らすことが可能となり、より欠陥の少ない有機EL装置100を提供することが可能となる。
【0040】
また、突起部109は、20°以上60°以下のテーパー角を有することが好ましく、突起部109のテーパー角が20°以上であれば、突起部109の面積を小さく抑えることが可能となり、突起部109で発生する有機機能層107や共通電極108の剥がれに起因するパーティクルの発生を抑えることが可能となる。また、突起部109のテーパー角が60°以下であれば、突起部109を覆う、補助電極層110や、後述する緩衝層110A中での亀裂の発生を抑制することが可能となる。
【0041】
緩衝層110Aは、突起部109が蒸着マスク等と接触して発生した有機機能層107や共通電極108の損傷部分を覆い、損傷に起因する亀裂が封止層112に伝播することを抑制する機能を有している。緩衝層110Aの構成材としては、亀裂の進行を抑え、かつ共通電極108で生じる電圧降下を避けるべくアルミニウムやアルミニウム合金が用いられており、緩衝層110Aは、この場合補助電極層110の機能も兼ねており、200nm〜3μm程度の厚みを有している。緩衝層(補助陰極層)110Aの層厚を200nm以上にすることで、突起部109で生じた損傷を覆うことができ、亀裂の伝播を抑制することが可能となる。そして、層厚を3μm以下にすることで被覆性の低下に伴う新たな欠陥の発生を抑制することが可能となる。
【0042】
封止層112は、水分や酸素に弱い共通電極108や有機機能層107を大気から遮断し、保護する機能を有しており、窒化酸化シリコン層(窒素0%、酸素0%を含む)等により構成されており、0.5μm程度の厚さを有している。
【0043】
充填層120は、隔壁106等で形成された段差を埋め、カラーフィルタ121を実装するために配置されている。充填層120は、たとえばエポキシ系の樹脂により構成されている。
【0044】
カラーフィルタ121は、有機機能層107から射出された白色光からRGB(赤、緑、青)の波長成分を通過させて、カラー表示を行わせる機能を有している。
【0045】
上記したように、有機EL装置100は、損傷を受ける領域を突起部109に限定させ、突起部109の損傷を緩衝層110Aにより覆い、損傷に起因する亀裂の伝播を防ぐことで封止層112での亀裂の発生を抑制する。そのため共通電極108や有機機能層107への水分や酸素が、封止層112を通して浸入する現象を抑えることが可能となり、高い耐環境性を有する有機EL装置100を提供することが可能となる。
【0046】
次に、上記した構造を有する有機EL装置100と、突起部109と緩衝層110Aを備えていない参照有機EL装置200との信頼性を比較した例について説明する。図2は、参照有機EL装置200の断面図である。図1(b)に示す断面図との相違は、突起部109を持たず、隔壁106に位置している有機機能層107や共通電極108は、直接蒸着マスク等と接触しうる状態で配置されている点である。
【0047】
図3は、8インチ装置を製作し、有機EL装置100と参照有機EL装置200とを温度85℃、湿度90%の雰囲気中での加速試験を行い、定期的に点灯させて、欠陥面積の発生割合を示したグラフである。参照有機EL装置200は150時間の放置により欠陥が発生し始め、その後増加していることがわかる。一方有機EL装置100では、1000時間放置しても欠陥が発生しないことがわかる。
【0048】
次に、欠陥が発生した領域の断面観察を行った。図4(a)は、参照有機EL装置200で欠陥が発生した領域の断面図であり、図4(b)は、図4(a)における欠陥部分の拡大図である。図4(a)に示すように、欠陥は隔壁106の角部115で主に発生している。そして、図4(b)に示すように隔壁106の角部115では、有機機能層107と共通電極108が剥がれており、浮き領域116が発生している。そして、浮き領域116には、窒化酸化シリコン層を用いた封止層112が配置されており、浮き領域116を起点として封止層112に亀裂が生じていた。
【0049】
ここで、図5に示すように有機EL装置100についても同様の観察を行った。図5は、有機EL装置100の突起部109周辺の状態を示す拡大断面図である。有機EL装置100では、突起部109に浮き領域116が発生しているものの、アルミニウムを用いた緩衝層110A(補助電極層110を兼ねている)が緩衝層として機能しているため、浮き領域116は緩衝層110Aに埋もれている状態を保ち、封止層112の亀裂は見出せなかった。これらのことから、参照有機EL装置200の劣化は、封止層112の亀裂から侵入した水分による有機機能層107や共通電極108の腐蝕によるものと考察される。
【0050】
(第1の実施形態の変形例)
以下、第1の実施形態にかかる変形例について説明する。第1の実施形態では、突起部109を覆う物質としてアルミニウムを用いた例について説明したが、これはアルミニウム合金を用いても良い。アルミニウム合金として、たとえばシリコンプロセスで多用されるAlSiCu等の合金を用いても良い。
【0051】
また、突起部109を覆う物質としてアルミニウム等の金属に限らず、たとえば蒸着法によるポリエチレン層や、ジアミンとジイソシアナートの共蒸着法によるポリ尿素層、ジアミンとジカルボン酸無水物の共蒸着法によるポリイミド層等を用いても良い。これらの有機物はアルミニウム等の金属と比べ、塑性変形能が高いため、小型で耐環境性が要求される用途に対して好適である。また、アルミニウム等の金属を用いて補助配線を兼ねる緩衝層を形成し、補助配線を覆うように上記した有機物を配置しても良い。この場合、低い電気抵抗と高い塑性変形能とを兼ね備えた有機EL装置を提供することが可能となる。また、有機物で突起部を覆った後、金属配線を重ねても良い。さらには、光硬化性樹脂等を用いて突起部109を覆っても良い。
【0052】
また、図1(b)に示す有機EL装置100の有機機能層107に、白色発光を行わせ、カラーフィルタ121で分光させて表示させる例について説明したが、これは各色に塗り分ける形式を用いても良い。この場合、カラーフィルタ121がなくともカラー表示が可能となる。ここで、各色に塗り分ける形式を用いた場合に、カラーフィルタ121を用いても良く、この場合、色純度を向上させることが可能となる。
【0053】
また、封止層112として窒化酸化シリコン(窒素0%、酸素0%を含む)層を用いた例について説明したが、これは、窒化酸化シリコンに限らず他の材料を用いても良い。たとえば、Al23や、MgAl24等の材料を用いても良く、この場合においても水分や酸素の浸入を効果的に抑制することが可能となる。
【0054】
また、突起部109を千鳥状に配置することは必須ではなく、マトリクス状に配置してもその効果を損ねることはない。
【0055】
また、突起部109は有機EL装置100内で平面的に均一な密度を保つ必要はなく、欠陥に対して敏感な画素部では高密度、周辺回路等、欠陥に対して鈍感な領域では低密度となるよう構成しても良い。また、蒸着に用いるマスクの形状に合わせてマスク変形が生じやすい細いパターンがある場所では高密度、マスク変形が生じにくい場所では低密度となるよう配置しても良い。また、突起部109の高さは、均一である必要はなく、マスク変形が生じやすい場所では高く、マスク変形が生じにくい場所では低い突起部109を配置しても良い。
【0056】
(第2の実施形態:突起部を含む有機EL装置の製造方法)
以下、第2の実施形態として、図1(a)、(b)に示した有機EL装置100を形成する製造方法について説明する。図6(a)、(b)、(c)、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)は、有機EL装置100を形成するための工程断面図である。
【0057】
まず、ガラス等を用いてなる基板101上に酸化シリコン等を用いたバッファ層101Aを形成する。バッファ層101Aは、たとえばプラズマCVD(化学気相堆積)法などにより形成され、その厚さは200nmの程度の厚さを有している。この工程において用いる原料ガスとしては、たとえばモノシランと酸化窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC254))と酸素の組合せが好適である。成層温度は、基板101の表面温度が150℃〜450℃となる条件を用いることができる。
【0058】
次に、多結晶シリコンを用いた半導体層102を形成すべく、半導体層前駆体102AをプラズマCVD法などにより、20nm〜50nm程度の層厚で形成した後、XeCl、ArF、KrF、XeFなどのエキシマレーザを用いて、エネルギー密度を300mJ/cm2〜400mJ/cm2に設定し、半導体層前駆体102Aに光エネルギーを加え、半導体層前駆体102Aを溶融/再結晶化させ、半導体層102を形成する。
【0059】
次に、半導体層102をフォトリソグラフ・エッチング工程により島状に分離し、ゲート絶縁層を形成後、ゲート電極層をスパッタ法等を用いて形成する。次にフォトリソグラフ・エッチング工程によりゲート電極を形成し、イオン注入、サイドウォール形成等を行い、TFT103を形成する。ここまでの工程を終えた状態を図6(a)に示す。
【0060】
次に、埋め込み層104を形成しコンタクトホールを開口した後、反射層としてのアルミニウム、腐蝕防止層としての窒化珪素、陽極層としてのITO(インジウム・錫・酸化物)を積層した第1電極111を形成する。第1電極111とTFT103はコンタクト部105により電気的に接続され、後述する有機機能層107にホール(正孔)を供給する。
【0061】
次に、隔壁106を形成する。隔壁106は第1電極111の一部を覆い、断面は台形状の形状を有している。隔壁106は典型的には、高さ2μm、頂辺20μmの寸法を有している。隔壁106は、典型的には酸化シリコン層を形成して後、フォトリソグラフ・エッチング工程を用いて形成される。ここで、隔壁106として感光性有機物を用い、フォトリソグラフ法を用いて有機物からなる隔壁106を形成しても良い。ここまでの工程を終えた状態を図6(b)に示す。
【0062】
次に、隔壁106上に突起部109を形成する。突起部109は台形または半月状の形状を有し、底辺が10μm、高さが0.5μm〜5μm程度の寸法を有している。突起部109の高さが0.5μm以上あることで、突起部109以外での、他の物体との衝突を避けることができ、また、5μm以下の高さに抑えることで、後述するカラーフィルタ121の装着を容易なものとすることができる。突起部109は、好適には感光性レジストを用いて、レジスト塗布・露光・現像工程により形成することができる。また、突起部109として、無機材料を用いて形成しても良い。ここまでの工程を終えた状態を図6(c)に示す。
【0063】
次に、有機機能層107を形成する。有機機能層107は、たとえば青色発光層、赤色発光層、緑色発光層を重ねて形成する方法を用いることができる。一例としては、BH125(出光興産製)+BD102(出光興産製)、BD102(出光興産製)+GD206(出光興産製)、(アルミニウム・キノリノール錯体(Alq3)+ジシアノメチレンピラン誘導体(DCM2)の積層構造を用いることができる。これらの物質の分子量は比較的小さく、蒸着法により形成することが好適である。
【0064】
また、これらの発光材料に代えて、有機機能層107としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いても良い。具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレ誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。またカルバゾール(CBP)などの低分子材料にこれらの低分子色素をドープして発光層とすることもできる。
【0065】
ここで、低分子系の発光材料を用いる場合には、典型的には蒸着法等を用いることが好適である。そして、高分子系の発光材料を用いる場合には、適当な溶媒中に分散させた後、スピンコート法等を用いることが好適である。なお、有機機能層107は発光層単層に限定されるわけではなく、他の層をさらに形成してもよい。たとえば、第1電極111と発光層との間に配置される、第1電極111から供給された電流を元に正孔を注入/輸送する正孔注入層を備えても良い。また、後述する共通電極108と発光層との間に配置されて、共通電極108から供給された電流を電子流として発光層に注入/輸送する電子注入層を備えても良い。このようにした場合、電流が正孔・電子として発光層中に注入されるため、有機機能層107内でのキャリア再結合効率が上昇し、発光効率が高い有機EL装置100を提供することが可能となる。
【0066】
次に、共通電極(第2電極)108を形成する。共通電極108としては、たとえばMgAg(MgとAgを重量比でMg:Ag=10:1に混合した材料)を共蒸着法(MgとAgを別の蒸着源を用いて同時に蒸着させることで合金化する方法)を用いて形成することが好適である。ここで、MgAgの層厚は15nm程度が光透過率、電気抵抗値とのバランスがとれるため好適であるが、この層厚はこの値に限定される必要はなく、光透過率を優先させたり、電気抵抗値を優先させたりすべく、層厚を別の値に設定しても良い。ここまでの工程を終えた状態を図7(a)に示す。
【0067】
次に、補助電極層110を形成する。ここでは、緩衝層110Aを補助電極層110と同時に形成する方法について説明する。補助電極層110及び緩衝層110Aは、アルミニウムをマスク蒸着することで形成される。補助電極層110は幅が狭く、長いパターンを形成する必要があるため、蒸着マスク201の強度を保つべく、マスク蒸着工程を2度に分けて行う。ここで、蒸着を行い補助電極層110を形成する工程では、突起部109で蒸着マスク201が支持されるため、補助電極層110が形成される領域と、蒸着マスク201との直接の接触は防がれる。
【0068】
図7(b)は1度目の蒸着を行っている状態を、図8(a)は2度目の蒸着を行っている状態を示す断面図である。図8(a)においては、断面図の向きと直交する、奥行き側に位置する突起部109(ここでは、奥行き側に位置する突起部109を表示している)により蒸着マスク201が支えられるため、他の隔壁106と蒸着マスク201との接触を防ぐことが可能となる。この工程で、突起部109には選択的に欠陥が発生する。そして、突起部109を覆うようにアルミニウムを用いた緩衝層110A(補助電極層110と同時に形成される)が形成される。アルミニウムは、後述する封止層112に用いられる窒化酸化シリコン層(窒素0%、酸素0%を含む)と比べ塑性変形能が高く、欠陥の伝播による亀裂の発生を抑えることが可能となる。
【0069】
ここで、補助電極層110と、緩衝層110Aとを同時に形成する工程に代えて、一旦補助電極層110を形成した後、緩衝層110Aを形成する方法を用いても良い。緩衝層110Aとしては、ポリエチレン層を蒸着法を用いて形成しても良い。また、ジアミンとジイソシアナートとを共蒸着法を用いて得られるポリ尿素層や、ジアミンとジカルボン酸無水物とを共蒸着法を用いて得られるポリイミド層等を用いても良い。これらの有機物はアルミニウム等の金属と比べ、塑性変形能が高いため、小型で耐環境性が要求される用途に対して好適である。
【0070】
また、一旦アルミニウムを用いた緩衝層110Aを形成した後、上記した有機層を形成しても良く、この場合、電気抵抗を下げ、かつ亀裂の伝播を効果的に抑えることが可能となる。また、光硬化性樹脂等を用いて塗布・露光・現像工程を用いて緩衝層110Aを形成しても良い。
【0071】
次に、封止層112を形成する。封止層112は窒化酸化シリコン層(窒素0%、酸素0%を含む)をプラズマCVD法を用いて形成する。封止層112の厚さは、0.5μm程度の層厚に設定されている。ここまでの工程を終えた状態を図8(b)に示す。
【0072】
次に、たとえばエポキシ系の樹脂を用いて充填層120を形成する。この際に、同時にカラーフィルタ121を装着する。具体的には、充填層120が固化しないうちに、カラーフィルタ121と、有機機能層107との位置合わせを行い、位置合わせ終了後、充填層120を固化させる。充填層120は隔壁106等で形成された段差を埋め、カラーフィルタ121を実装すべく配置されている。以上の製造工程を行うことで、図1(a)、(b)に示す有機EL装置100を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】(a)は有機EL装置の平面図、(b)は有機EL装置のA−A’断面図。
【図2】参照有機EL装置の断面図。
【図3】加速試験を行い、定期的に点灯させて、欠陥面積の発生割合を示したグラフ。
【図4】(a)は、参照有機EL装置で欠陥が発生した領域の断面図、(b)は、(a)における欠陥部分の拡大図。
【図5】有機EL装置の突起部周辺の状態を示す拡大断面図。
【図6】(a)、(b)、(c)は、有機EL装置を形成するための工程断面図。
【図7】(a)、(b)は、有機EL装置を形成するための工程断面図。
【図8】(a)、(b)は、有機EL装置を形成するための工程断面図。
【符号の説明】
【0074】
100…有機EL装置、101…基板、101A…バッファ層、102…半導体層、102A…半導体層前駆体、103…TFT、104…埋め込み層、105…コンタクト部、106…隔壁、107…有機機能層、108…共通電極、109…突起部、110…補助電極層、110A…緩衝層、111…第1電極、112…封止層、115…角部、116…浮き領域、120…充填層、121…カラーフィルタ、200…参照有機EL装置、201…蒸着マスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面上に位置し、各々電気的に分離されて配置された第1電極と、
前記第1電極間に位置する隔壁と、
前記隔壁上の一部に位置する突起部と、
前記第1電極の少なくとも一部と、前記隔壁の少なくとも一部と、前記突起部の少なくとも一部を覆う有機機能層と、
前記有機機能層の少なくとも一部を覆う第2電極と、
前記基板における前記第1面の少なくとも一部を大気と分離させる封止層と、
前記隔壁と前記封止層との間に位置し、前記突起部上に位置する前記有機機能層および/または前記第2電極の少なくとも一部を覆う前記封止層よりも塑性変形能が高い物質を用いた緩衝層と、
を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記緩衝層は、少なくとも一部に前記第2電極に電流を供給する補助電極層を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記封止層は、窒化酸化シリコン(窒素0%、酸素0%を含む)層で構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記補助電極層は、アルミニウム層またはアルミニウムに添加材を加えた、前記封止層よりも変形能が高い金属層を用いてなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
請求項1、2、4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記補助電極層は、200nm以上3μm以下の厚さを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記突起部は、前記基板の前記第1面における平面視にて、千鳥状に配置されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記突起部は、厚さが0.5μm以上5μm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記突起部は、20°以上60°以下のテーパー角を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
基板の第1面上に位置し、各々電気的に分離されて配置された第1電極を形成する工程と、
前記第1電極間に位置する隔壁を形成する工程と、
前記隔壁上の一部に位置する突起部を形成する工程と、
前記第1電極の少なくとも一部と、前記隔壁の少なくとも一部と、前記突起部の少なくとも一部とを覆う有機機能層を形成する工程と、
前記有機機能層の少なくとも一部を覆う第2電極を形成する工程と、
前記有機機能層および/または前記第2電極の少なくとも一部を覆う緩衝層を、前記基板上の第1領域内に位置する前記突起部と第1蒸着マスクとを接触させた状態で堆積する工程と、
前記有機機能層および/または前記第2電極の少なくとも一部を覆う緩衝層を、前記基板上の第1領域外に位置する前記突起部と第2蒸着マスクとを接触させた状態で堆積する工程と、
前記基板における前記第1面の少なくとも一部を大気と分離させる封止層を形成する工程と、を含み、
前記第1蒸着マスクは、前記第1領域内に位置する前記突起部の少なくとも一部が開孔されており、
前記第2蒸着マスクは、前記第1領域外に位置する前記突起部の少なくとも一部が開孔されており、
前記緩衝層は、前記封止層よりも変形能が高い物質を用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−118162(P2010−118162A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288527(P2008−288527)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】