説明

有機半導体パターン及び有機半導体層のパターニング方法、有機半導体装置及びその製造方法、並びに表示装置

【課題】 パリレンなどの特殊な保護材料を用いず、一般的な有機半導体層やフォトレジストに適用でき、パターニングによる有機半導体層の性能低下を抑制できる、有機半導体層のパターニング方法及び有機半導体装置の製造方法を提供し、更にこの方法に基づいて作製された有機半導体パターン及び有機半導体装置、並びに表示装置を提供すること。
【解決手段】 基板1の上に有機半導体層2を蒸着や塗布によって形成する。その上に、窒化ケイ素などの絶縁性無機化合物又はポリビニルアルコールなどの親水性有機高分子化合物からなる保護層3を、CVD法や水溶液の塗布によって形成する。その上にフォトレジスト層4を塗布によって形成し、これをパターニングしてマスク層5を形成する。マスク層5をマスクとして、保護層3と有機半導体層2をパターニングして、有機半導体パターン7を得る。パターニング終了後もマスク層5は保護層として残す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体パターン及び有機半導体層のパターニング方法、有機半導体装置及びその製造方法、並びに表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な半導体デバイス(トランジスタやダイオードや光電変換デバイスなど)には、シリコンSiやガリウム砒素GaAsやインジウムガリウム砒素InGaAsなどの無機半導体材料が用いられてきた。
【0003】
その製造法の基本は、フォトリソグラフィとエッチングによる半導体層のパターニングである。すなわち、まず、半導体層の表面にフォトレジストを含む溶液を塗布し、溶媒を蒸発させ、フォトレジスト層を形成する。続いて、このフォトレジスト層をフォトリソグラフィによって、作製しようとする電子回路パターンに対応した形状にパターニングする。次に、このフォトレジストパターンをマスクとしたエッチングによって半導体層の不要部を除去し、電子回路パターンを形成する。
【0004】
一方、有機半導体デバイスは、無機半導体デバイスに比べて安価に大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、機械的衝撃に対して安定であることなどから、次世代の表示装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
【0005】
しかしながら、ペンタセンなどの有機半導体薄膜は、成膜後に溶媒に曝されると、電気的な性質が変化しやすい。従って、無機半導体と同様に、有機半導体層にフォトレジスト溶液を塗布してフォトレジスト層を形成し、そのパターニングを行うと、フォトレジスト溶液の溶媒が有機半導体層にダメージを与えてしまい、有機半導体層中のリーク電流が増加したり、有機半導体層における移動度が低下したりするという問題が生じる。
【0006】
そこで、後述の特許文献1では、有機半導体材料などからなる有機薄膜の上に保護層を設け、この保護層の上にフォトレジスト層を形成してパターニングする、有機薄膜のパターニング方法が提案されている。
【0007】
図9は、特許文献1に開示されている有機薄膜のパターニング方法を示すフロー図である。
【0008】
この方法では、まず、図9(a)に示すように、通常の方法で基板101の上にペンタセンなどの有機半導体材料からなる薄膜102を形成した後、この有機薄膜102の上に保護材料からなる保護層103を積層して形成する。保護材料としては、溶媒等に対して化学的に安定で、溶媒等が有機薄膜102に侵入するのを阻止できるものであれば何でもよいが、パリレン、とりわけパリレン−Nが最も好ましいと記載されている。
【0009】
次に、図9(b)と(c)に示すように、通常の方法でフォトレジスト層104を形成した後、フォトリソグラフィによって所定の形状を有するレジストパターン105を形成する。
【0010】
次に、図9(d)に示すように、レジストパターン105をマスクとして保護層103をエッチングし、続いて、レジストパターン105とパターニングされた保護層106とをマスクとして有機薄膜102をエッチングする。パターニング終了後、レジストパターン105を除去する。レジストパターン105は除去せず、そのまま残しておいてもよい。このようにして得た有機薄膜パターン107には、引き続き、有機薄膜トランジスタなどを作製するための加工を施す。
【0011】
また、後述の特許文献2には、有機半導体層に直接フォトレジストによるマスクを形成し、このフォトレジストをパターニング後も残したままにした有機FET(電界効果トランジスタ)が示されている。
【0012】
図10は、特許文献2に示されている、液晶表示装置の画素トランジスタとして形成された有機FETの断面図である。
【0013】
この有機FET110では、絶縁基板111の上にゲート電極112が形成され、その上にゲート絶縁層113が形成されている。このゲート絶縁層113に接してドレイン電極114とソース電極115とが形成され、ドレイン電極114とソース電極115との間には、一部がドレイン電極114とソース電極115の上に重なりながら、テトラチオテトラセンからなる有機半導体層116が形成され、これらによって有機FET110が構成されている。
【0014】
有機FET110の右側には、ゲート絶縁層113に接して画素電極119が設けられており、ソース電極115は画素電極119に接続されている。有機FET110は、画素電極119に印加する駆動電圧のオン、オフによって、図示を省略した液晶表示素子の動作を制御する。
【0015】
上記のようにパターニングされた有機半導体層116は、蒸着法によって全面に被着された有機半導体層から、有機半導体層116の形状に対応してパターニングされたレジスト117をマスクとするエッチングによって形成される。この際、レジスト117の材料として感光性のベンゾシクロブテン(BCB)が用いられ、レジスト117は、エッチング工程後も除去されず、有機半導体層116の上に残される。さらに、BCB層が保護物質層118として、有機FET110全体を包み込むように形成される。
【0016】
特許文献2には、BCBからなるレジスト117を形成する際の溶媒などについての記載がなく、有機半導体層116の上に直接レジスト117を形成することによる有機半導体層116のダメージの有無については記載されていない。また、レジスト117を除去せず残すことによって、レジスト117を除去する際に生じる有機半導体層116へのダメージを未然に防止できると記載されている。
【0017】
【特許文献1】米国特許 第6500604号明細書(第3−5欄、図1)
【特許文献2】特開2000−66233号公報(第4及び5頁、図3及び6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1では、保護層を形成する保護材料に関して、フォトレジストの溶媒等に対して化学的に安定で、溶媒等が有機薄膜102に侵入するのを阻止できるものという一般的な記載と、パリレン、とりわけパリレン−Nが最も好ましいという記載があるのみである。例えば、なぜパリレン−Nが最適なのか、言い換えれば、どのような条件を満たしているものが保護材料としてより望ましいのか、具体的に示す記載がない。このため、特許文献1の発明の課題は、特許文献1の発明によって必ずしも完全に解決されたとは言えない。その理由は次の通りである。
【0019】
最適とされているパリレンからなる保護層を形成するためには、少なくとも、パリレンダイマーを蒸発させる工程を行う蒸発帯、パリレンダイマーを分解する工程を行う熱分解帯、基板に送り込むパリレン蒸気を調整する工程を行う後熱分解帯、およびパリレンモノマーを基板に堆積させ、重合させ、パリレンポリマーを形成させる工程を行う蒸着帯を備えた特殊な真空蒸着装置が必要になる。また、成熟した半導体製造技術とは異なり、上記の各工程の温度や圧力などの条件を最適化してパリレンポリマーを作製する技術が確立され、広く普及しているとは言い難い(特表2002−505803号公報参照。)。
【0020】
すなわち、現状は、特許文献1の発明を利用したいと考えた利用者の多くが、保護材料としてパリレンを用い得る状態にはない。そこで、パリレン以外の保護材料を用いて特許文献1の発明と同様の効果を得ようとした場合、保護材料を選定するために参考にできることがらは、特許文献1に何も記載されていない。
【0021】
また、パターニング後のフォトレジストの扱いに関しても同様である。特許文献1には、図1に、パターニング終了後、レジストパターン105を除去する例が示されているものの、他方には、レジストパターン105を除去せず、残しておいてもよいという主旨の記載もある。それぞれの場合の得失に関する記載がないため、パターニング後のフォトレジストの扱いに関して、参考にできることがらを特許文献1から得ることはできない。
【0022】
特許文献2には、蒸着法によって形成されたテトラチオテトラセンからなる有機半導体層116に、直接、ベンゾシクロブテンからなるフォトレジスト117をマスクとして設けた例が示されている。しかしながら、既述したように、有機半導体層116の上にフォトレジスト117を形成することによる有機半導体層116のダメージの有無については、記載されていないため不明である。
【0023】
仮に、有機半導体層116のダメージが許容できるほど小さいとしても、ベンゾシクロブテンからなるレジスト117を形成する際に用いられた溶媒についての記載がないため、その原因が、用いられた溶媒によるものなのか、ベンゾシクロブテンに特別なことであるのか、蒸着法によって形成されたテトラチオテトラセンに特別なことであるのか、あるいはこれらのいずれかの組み合わせによるものなのか、判断できない。
【0024】
その原因がいずれであるにせよ、有機半導体層の上に直接フォトレジストを形成しても有意のダメージが有機半導体層に生じないということは例外的なことであって、一般的な有機半導体層やフォトレジストを用いた場合について言えることではない。
【0025】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、パリレンなどの特殊な保護材料を用いず、一般的な有機半導体層やフォトレジストに適用でき、パターニングによる有機半導体層の性能低下を抑制できる、有機半導体層のパターニング方法及び有機半導体装置の製造方法を提供し、更にこの方法に基づいて作製された有機半導体パターン及び有機半導体装置、並びに表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
即ち、本発明は、有機半導体層を形成する工程と、前記有機半導体層をマスク層から保護する保護層を前記有機半導体層に積層して形成する工程と、所定のパターンを有する前記マスク層を前記保護層に積層して形成する工程と、前記マスク層をマスクとするエッチングによって前記保護層、更には前記有機半導体層を同一形状にパターニングする工程とを有する、有機半導体層のパターニング方法において、
前記マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性 無機化合物によって前記保護層を形成する
ことを特徴とする、有機半導体層のパターニング方法に係わり、また、
有機半導体層を形成する工程と、前記有機半導体層をマスク層から保護する保護層を前記有機半導体層に積層して形成する工程と、所定のパターンを有する前記マスク層を前記保護層に積層して形成する工程と、前記マスク層をマスクとするエッチングによって前記保護層、更には前記有機半導体層を同一形状にパターニングする工程とを有する、有機半導体装置の製造方法において、
前記マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性 無機化合物によって前記保護層を形成し、
前記パターニングの後も前記保護層と前記マスク層とを残す
ことを特徴とする、有機半導体装置の製造方法に係わるものである。
【0027】
更に、有機半導体層と、マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物からなる保護層と、前記マスク層とがこの順に同一パターンに積層されてなる有機半導体パターンに係わり、また、有機半導体層と、マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物からなる保護層と、前記マスク層とがこの順に同一パターンに積層されてなる有機半導体装置に係わり、また、少なくともチャネル部を構成する有機半導体層と、マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物からなる保護層と、前記マスク層とがこの順に同一パターンに積層され、前記チャネル部に接してソース及びドレイン電極を有する有機電界効果トランジスタを駆動部として有する表示装置に係わるものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明の有機半導体装置は、有機半導体層と保護層とマスク層とがこの順に積層された積層構造を有し、前記有機半導体層は前記マスク層を形成する際の溶媒等から前記保護層によって隔離されている。しかも、第1の特徴として、前記保護層を形成する材料として、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物を選択しているので、前記保護層は前記マスク層を形成する際に用いられる有機溶媒と親和せず、自身がこの有機溶媒に対して安定であるばかりでなく、有機溶媒が前記有機半導体層へ侵入するのを阻止することができる。更に、前記保護層は、前記有機半導体層が親和しない水などの極性溶媒を用いて形成するか、又は、例えば化学気相成長法(CVD)などの、溶媒を用いない方法で形成することができるので、前記保護層を形成する際の溶媒による前記有機半導体のダメージを抑えたり、なくしたりすることができる。
【0029】
また、前記マスク層のみを設ける場合と比べると、前記保護層と前記マスク層とを別個に設け、機能を分離することにより、各層は、その機能を保護作用およびマスク形成作用の一方に限定することができる。この結果、前記保護層と前記マスク層に対して、より広い選択肢の中からそれぞれに最適の材料および製造方法を選択することができる。また、前記保護層と前記マスク層とを溶媒に対する溶解性が異なる材料で形成すれば、前記マスク層を形成する際に用いられる溶媒に対する耐久性を前記保護層にもたせることができる。
【0030】
以上の結果、パリレンなどの特殊な材料とそれを形成するための特殊な装置を用いなくとも、薄くて緻密な前記保護層を形成することができる。例えば、前記親水性を有する有機高分子化合物としてはポリビニルアルコールなどがあり、その水溶液などをスピンコート法などで塗布した後、溶媒を蒸発させることで、簡易に前記保護層を形成することができる。また、絶縁性無機化合物としては窒化ケイ素や酸化アルミニウムなどがあり、CVD法やスパッタ法などの確立された半導体技術と既存の設備を用いて前記保護層を形成することができる。このように、既に確立され普及している技術と設備とを用いて、前記有機半導体層を少ないダメージで確実にパターニングすることができ、この結果として、有機半導体層における移動度が高く、また、リーク電流が小さくて、オン電流とオフ電流との比が大きい有機半導体装置を低コストで製造することができる。
【0031】
また、第2の特徴として、前記有機半導体層のパターニングの後も前記保護層と前記マスク層とを残したままにするので、前記保護層と前記マスク層による前記有機半導体層へのパッシベーション効果を期待することができるとともに、これらの層を除去する際に生じる、前記有機半導体層へのダメージを未然に防止することができる。また、前記保護層と前記マスク層とを除去する工程を省略できるので、前記有機半導体装置の製造工程の工程数を減らし、生産効率を向上させることができる。
【0032】
本発明の有機半導体パターンは、前記有機半導体装置を製造する過程における中間生成物と見なすべきものであり、前記有機半導体層のパターニングによって得られる構造体である。前記有機半導体装置と同様、前記有機半導体層と前記保護層と前記マスク層とが積層された前記積層構造を有し、上記の第1の特徴とその効果とを有する。
【0033】
本発明の有機半導体層のパターニング方法及び有機半導体装置の製造方法は、それぞれ、前記有機半導体パターン及び前記有機半導体装置を製造する方法であって、その特徴及び効果は、上述した前記有機半導体パターン及び前記有機半導体装置の特徴及び効果と一体の関係にある。
【0034】
本発明の表示装置は、前記有機半導体層が少なくともチャネル部を構成する有機電界効果トランジスタとして構成された前記有機半導体装置を駆動部として有しているので、応答速度の速い、コントラスト比の大きい表示が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明において、ポリビニルアルコール及びプルランからなる群より選ばれた前記有機高分子化合物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれた前記絶縁性無機化合物との少なくとも一方によって前記保護層が形成されているのがよい。
【0036】
ポリビニルアルコール及びプルランは、ヒドロキシル基を有し、親水性を有するので、前述したように、前記マスク層を形成する際に用いられる有機溶媒と親和せず、自身がこの有機溶媒に対して安定であるばかりでなく、有機溶媒が前記有機半導体層へ侵入するのを阻止することができる。また、前記有機半導体層が親和しない水などの極性溶媒を用いて形成することができるので、前記保護層を形成する際の溶媒による前記有機半導体のダメージを抑えることができる。
【0037】
窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムは、結晶性の皮膜を形成し、前記マスク層を形成する際に用いられる有機溶媒が、前記有機半導体層へ侵入するのを阻止することができる。また、CVD法やスパッタ法などの、溶媒を用いない方法で形成することができるので、前記保護層を形成する際の溶媒による前記有機半導体のダメージをなくすことができる。
【0038】
また、前記有機高分子化合物及び/又は前記絶縁性無機化合物によって、単層又は積層の前記保護層が形成されているのがよい。単層であれば、構造が簡単で作製が容易であり、積層構造であれば、構造が複雑になり作製に手間がかかるが、各層の組み合わせによって、単層では実現できない機能を実現できるメリットがある。
【0039】
また、前記マスク層が有機材料によって形成されているのがよい。前記マスク層の材料は、有機材料に限るものではないが、前記保護層が親水性有機高分子化合物である場合には、前記マスク層を疎水性の有機材料によって形成することによって、前記保護層に対する前記マスク層およびその溶媒の影響を抑えることができる。
【0040】
また、前記有機半導体層がペンタセンによって形成されているのがよい。ペンタセンは、移動度が大きいなど、優れた半導体特性を示すことが知られている。
【0041】
本発明の有機半導体装置は、パターニングされた前記有機半導体層を少なくともチャネル部に有し、このチャネル部に接してソース及びドレイン電極を有する有機電界効果トランジスタとして構成されているのがよい。そして、この有機電界効果トランジスタが液晶表示装置の画素トランジスタとして用いられているのがよい。
【0042】
本発明の有機半導体層のパターニング方法及び有機半導体装置の製造方法は、前記マスク層をフォトレジスト層のパターニングによって形成するのがよい。この方法によれば、成熟した半導体製造技術を応用して、高精度に前記マスク層を形成することができる。
【0043】
或いは、前記マスク層を印刷によって形成するのもよい。この方法によれば、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、マイクロプリンティング法などの印刷技術を応用して、少ない工程で前記マスク層を形成することができる。また、容易に大型化することができる。
【0044】
本発明の有機半導体装置の製造方法において、前記パターニング工程後に前記有機半導体層をアニール処理するのがよい。これにより、前記保護層を形成する際に前記有機半導体層に生じる可逆的な変化による欠陥、例えば、スパッタ法によって保護層を形成する際に生じるプラズマダメージなどの前記有機半導体層のダメージを修復することができる。
【0045】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
【0046】
実施の形態1
実施の形態1では、フォトレジスト層をフォトリソグラフィとエッチングによってパターニングすることで、前記マスク層を形成する。このパターニングされた有機半導体層をチャネル部とし、このチャネル部に接してソース及びドレイン電極を設け、有機電界効果トランジスタを作製し、液晶表示装置の画素トランジスタとして用いる。
【0047】
図1は、実施の形態1に基づく有機半導体層2のパターニング工程を示すフロー図である。
【0048】
まず、図1(a)に示すように、基板1の上に有機半導体層2を形成する。有機半導体層2は、例えば、有機半導体材料がペンタセンやオリゴチオフェンなどの低分子量化合物であれば、抵抗加熱式の蒸着源を用いた蒸着法により形成し、有機半導体材料がポリチオフェンやポリフルオレンなどの高分子量化合物であれば、溶媒に溶かし、溶液をスピンコート法やキャピラリーコート法で塗布した後、溶媒を蒸発させることによって形成する。
【0049】
続いて、有機半導体層2に積層して保護層3を形成する。保護層3は、保護材料が窒化ケイ素、二酸化ケイ素、炭化ケイ素または酸化アルミニウムであれば、CVD法やスパッタ法によって形成し、保護材料がポリビニルアルコールあるいはプルランであれば、水溶液をスピンコート法やキャピラリーコート法で塗布した後、溶媒である水を蒸発させることで形成する。
【0050】
この際、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、炭化ケイ素または酸化アルミニウムは、CVD法やスパッタ法などの、溶媒を用いない方法で形成することができるので、保護層3を形成する際の溶媒による有機半導体層2のダメージをなくすことができる。また、ポリビニルアルコール及びプルランは、有機半導体層2が親和しない水などの極性溶媒を溶媒とする溶液から形成することができるので、保護層3を形成する際に用いられる溶媒によって有機半導体層2が受けるダメージを小さく抑えることができる。
【0051】
このようにして、パリレンなどの特殊な材料と、それを形成するための特殊な装置を用いなくとも、薄くて緻密な保護層3を形成することができる。窒化ケイ素などの絶縁性無機化合物からなる保護層3は、CVD法やスパッタ法などの確立された半導体技術と既存の設備を用いて形成することができる。また、ポリビニルアルコールなどの親水性有機高分子化合物からなる保護層3は、その水溶液などをスピンコート法などで塗布した後、溶媒を蒸発させることで、簡易に形成することができる。
【0052】
保護層3の厚さは、50nm〜1μmが望ましく、200nmがより望ましい。これは、均質性と平坦性に優れ、保護作用が十分な保護層3を形成するには、50nm以上の厚さが必要であり、一方、厚さが厚すぎると駆動電圧が高くなりすぎるので、液晶表示素子の駆動電圧を低く保つためには、1μm以下の厚さに抑える必要があるからである。
【0053】
次に、図1(b)に示すように、保護層3の上に塗布法によってフォトレジスト層4を形成する。フォトレジストの材料としては、例えば、重合開始剤がドープされたポリビニルアルコールやポリメタクリル酸メチルやポリスチレンなどを用いることができる。ここで用いる重合開始剤は、紫外光の照射を受けてモノマーの重合を開始させる物質である。
【0054】
この際、保護層3の材料が窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素または酸化アルミニウムであれば、これらは結晶性の皮膜を形成し、フォトレジスト層4を形成する際に用いられる有機溶媒が、有機半導体層2へ侵入するのを阻止することができる。また、保護層3の材料がポリビニルアルコールまたはプルランであれば、これらは、ヒドロキシル基を有し、親水性を有するので、フォトレジスト層4を形成する際に用いられる有機溶媒と親和せず、自身がこの有機溶媒に対して安定であるばかりでなく、有機溶媒が有機半導体層2へ侵入するのを阻止することができる。
【0055】
次に、図1(c)に示すように、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層4を、有機半導体層2に形成しようとしている所定の回路パターンと同じパターンにパターニングして、マスク層5を形成する。この方法によれば、成熟した半導体製造技術を応用して、高精度にマスク層5を形成することができる。
【0056】
マスク層5を形成する方法としては、メタルマスクの開口部からの蒸着によって局所的に蒸着膜を被着させる方法もあるが、この方法では微細加工が困難である。
【0057】
次に、図1(d)に示すように、マスク層5をマスクとして保護層3をエッチングして、マスク層5と同一形状にパターニングする。この際、保護層3が窒化ケイ素からなる場合には、リン酸を含む溶液によるウエットエッチングを行うか、六フッ化硫黄SF6やパーフルオロハイドロカーボンCxyなどを用いたドライエッチングを行う。また、保護層3が二酸化ケイ素からなる場合には、フッ化水素酸を含む溶液によるウエットエッチングを行うか、六フッ化硫黄SF6やパーフルオロハイドロカーボンCxyなどを用いたドライエッチングを行う。また、保護層3がポリビニルアルコールあるいはプルラン等の有機材料からなる場合には、酸素O2プラズマによるエッチングを行う。
【0058】
次に、図1(e)に示すように、マスク層5およびパターニングされた保護層6をマスクとして、酸素プラズマによって有機半導体層2をエッチングし、マスク層5と同一形状にパターニングして、パターニングされた有機半導体層(有機半導体パターン)7を得る。パターニング終了後、マスク層5はレジスト剥離液で除去せず、有機半導体パターン7の保護膜としてそのまま残しておく。有機半導体パターン7には、引き続き、有機薄膜トランジスタなどを作製するための加工を施す。
【0059】
なお、保護層3および有機半導体層2を酸素プラズマによるエッチングする際、マスク層5もエッチングされる。従って、このエッチングによって減少した後の厚さが所定の厚さになるように、フォトレジスト層4は、エッチングによる減少分だけ厚めに形成しておくものとする。
【0060】
図2〜図4は、実施の形態1に基づく液晶表示装置要部の断面図(図2)、斜視図(図3)およびレイアウト図(図4)である。但し、断面図は、レイアウト図に示した4A−4A線の位置における断面図であり、斜視図は、同じ位置において、有機電界効果トランジスタ10とその周囲との関係がわかりやすいように、層間絶縁膜24と液晶26の一部を省略して示している。この液晶表示装置では、ソース電極15及びドレイン電極16に接して有機半導体層7をチャネル部として形成して有機電界効果トランジスタ10を作製し、液晶表示装置の画素トランジスタとして用いている。
【0061】
図2と図3に示すように、有機FET10では、基板11の上にバリア層12が設けられ、その上にゲート電極13とゲート絶縁層14が形成されている。このゲート絶縁層14に接してソース電極15とドレイン電極16とが形成され、ソース電極15とドレイン電極16との間には、一部がソース電極15とドレイン電極16の上に重なりながら、パターニングされた有機半導体層7と、パターニングされた保護層6と、マスク層5との積層構造が形成され、これらによってボトムゲート型の有機FET10が構成されている。
【0062】
有機FET10の右側には、ゲート絶縁層14の上に画素電極23が設けられており、ドレイン電極16は画素電極23に電気的に接続されている。有機FET10は、画素電極23に印加する駆動電圧のオン、オフによって、液晶表示素子20の動作を制御する。
【0063】
液晶表示素子20は、バックライト21、偏光板22、基板11、バリア層12、ゲート絶縁層14、画素電極23、層間絶縁膜24、配向膜25、液晶層26、配向膜27、画素電極28、基板29および偏光板30などからなる透過型の液晶表示素子である。
【0064】
以下、有機FET10に重点をおき、製造方法も含めて各部について説明する。
【0065】
基板11は、通常基板として用いられるものであれば何でもよいが、例えば、フレキシブルな画面が形成できることや安価で軽量であることなどから、有機高分子などからなるプラスチック基板が好ましい。
【0066】
基板11として有機高分子基板を用いると、加工プロセスの間に基板11からガスが放出されることがあり、液晶表示装置の品質が低下する原因になることがある。バリア層12はこのガスの放出を抑えるためのもので、基板11の表面に二酸化ケイ素や窒化ケイ素からなる層を数百nmの厚さに堆積させて形成する。
【0067】
次に、バリア層12が形成された基板11の上に、アルミニウムAlや銅Cuなどの金属薄膜や、銀微粒子Agや金微粒子Auなどの金属微粒子からなるゲート電極13を形成する。金属薄膜からなる電極は、金属薄膜の蒸着法とリソグラフィによるパターニングとによって形成し、金属微粒子からなる電極は、印刷法によって形成する。
【0068】
次に、ゲート電極13の上、およびゲート電極13が形成されていないバリア層12の上に、無機材料や有機高分子材料からなるゲート絶縁層14を形成する。具体的には、無機材料からなるゲート絶縁層14は、二酸化ケイ素や窒化ケイ素などからなる層をCVD法やスパッタ法によって形成し、有機高分子材料からなるゲート絶縁層14は、ポリビニルフェノール(PVP)やポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリイミドなどの溶液を塗布又は印刷によって被着させた後、溶媒を蒸発させて形成する。
【0069】
次に、ゲート絶縁層14の上に、ゲート電極13と同様にして、アルミニウムAlや銅Cuなどの金属薄膜や、銀微粒子Agや金微粒子Auなどの金属微粒子からなるソース電極15とドレイン電極16とを形成する。
【0070】
次に、図1(a)に示したと同様にして、ソース電極15とドレイン電極16の上も含めてゲート絶縁層14の全面に、有機半導体層2と保護層3とを積層して形成する。有機半導体層2は、例えば、ペンタセンやオリゴチオフェンなどを抵抗加熱法によって蒸着するか、またはポリチオフェンやポリフルオレンなどの溶液をスピンコート法やキャピラリーコート法で塗布した後、溶媒を蒸発させることによって形成する。保護層3は、例えば、窒化ケイ素や二酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどをCVD法やスパッタ法によって形成するか、またはポリビニルアルコールやプルランなどの水溶液をスピンコート法やキャピラリーコート法で塗布した後、溶媒である水を蒸発させることによって形成する。
【0071】
次に、図1(b)に示したと同様にして、保護層3の上にフォトレジスト層4を塗布によって形成する。フォトレジストの材料としては、例えば、紫外光の照射を受けるとモノマーの重合を開始させる重合開始剤がドープされた、ポリビニルアルコールやポリメタクリル酸メチルやポリスチレンなどを用いることができる。
【0072】
次に、図1(c)に示したと同様にして、フォトリソグラフィによって、有機FET10の形状にフォトレジスト層4をパターニングしてマスク層5を形成する。
【0073】
次に、図1(d)に示したと同様にして、マスク層5をマスクとして保護層3をエッチングして、マスク層5と同一形状にパターニングする。この際、窒化ケイ素からなる保護層3は、リン酸溶液によるウエットエッチングか、またはドライエッチングを行う。二酸化ケイ素からなる保護層3は、フッ化水素酸によるウエットエッチングか、またはドライエッチングを行う。また、有機材料からなる保護層3は、酸素プラズマによるエッチングを行う。
【0074】
次に、図1(e)に示すように、マスク層5およびパターニングした保護層6をマスクとして酸素プラズマにより有機半導体層2をエッチングして、マスク層5と同一形状にパターニングする。これにより、有機半導体層2が画素ごとに分離され、各有機FETのチャネル部が形成される。パターニング終了後、マスク層5は有機半導体層パターン7の保護膜としてそのまま残しておく。
【0075】
このようにして得た有機半導体パターン7には、引き続き、有機薄膜トランジスタなどを作製するための加工を施す。例えば、ポリビニルアルコール水溶液をスピンコート法やキャピラリーコート法で塗布した後、溶媒を蒸発させることによってポリビニルアルコールからなる層間絶縁膜24を形成し、液晶表示素子20を構成する積層構造の中に有機FET10を組み込めるようにする。
【0076】
一方、液晶表示素子20は、これに限るものではないが、バックライト21を有する透過型の液晶表示素子であり、液晶層26を間に挟んで両側にそれぞれ、配向膜25と27、ITO(インジウム錫酸化物)などの透明電極からなる画素電極23と28、光透過性の基板11と29、そして偏光板22と30とが設けられている。2つの配向膜25と配27の配向方向および2つの偏光板22と30の偏光方向は直交しており、液晶表示素子20は、電圧無印加時に透過光量が最大になるTN(Twisted Nematic)型の液晶表示素子である。
【0077】
回路的には、画素電極23および28は、間に挟まれた液晶層26などを誘電体層とする画素容量(画素コンデンサ)を構成している。画素電極23は有機FET10のドレイン電極16に接続されており、画素容量は有機FET10を通じて充放電されるように構成されている。
【0078】
図4に示すように、この液晶表示装置では、有機FET10と液晶表示素子20の各1個によって1画素が形成され、多数の画素がマトリックス状に配置されている。そして、有機FET10のソース電極15に接続されているデータ線31と、ゲート電極13に接続されているゲート走査線32と、共通電極に接続され、実効的な接地電位を形成するコモン線33とが格子状に設けられている。
【0079】
液晶表示装置の動作時には、データ線31の1本に信号電圧が印加され、ゲート走査線32の1本に選択信号が印加される。これによってその交点にある画素が選択され、その画素の画素容量が、オン状態になった有機FET10を通じてソース電極15に印加された信号電圧によって充放電される。信号電圧が印加されるデータ線31と、選択信号が印加されるゲート走査線32とは、1周期の間に順次変更され、これによって次々にすべての画素が1回ずつアクセスされる。1つの周期である画素がアクセスされてから、次の周期でその画素が再びアクセスされるまでの1周期の間、その画素の有機FET10はオフ状態にあり、画素容量にはアクセス時に印加された信号電圧が保持され、液晶表示素子20は一定の階調を保つように構成されている。
【0080】
各画素には、画素容量に並列に補助容量35を設けてもよい。これは、有機FET10のオフ電流によって、画素容量の電圧が1周期の間に低下するのを、小さく抑えるためのものである。
【0081】
以上に説明したように、実施の形態1では、既に確立され普及している技術と設備とを用いて、有機半導体層2を少ないダメージで確実にパターニングすることができ、この結果として、パターニングされた有機半導体層7における移動度が高く、また、リーク電流が小さくて、オン電流とオフ電流との比が大きい有機半導体装置を低コストで製造することができる。
【0082】
また、有機半導体層2のパターニングの後も保護層6とマスク層5とを残したままにするので、保護層6とマスク層5による有機半導体層7へのパッシベーション効果を期待することができるとともに、これらの層を除去する際に生じる、有機半導体層7へのダメージを未然に防止することができる。また、保護層6とマスク層5とを除去する工程を省略できるので、有機半導体装置の製造工程の工程数を減らし、生産効率を向上させることができる。
【0083】
また、液晶表示装置は、上記有機半導体層7をチャネル部として有機電界効果トランジスタが形成され、これが画素トランジスタとして用いられているので、応答速度が速く、コントラスト比が大きく、ちらつきの少ない良質な表示が可能である。
【0084】
実施の形態2
図5は、実施の形態2基づく液晶表示装置のレイアウト図(a)と有機FET部の断面図(b)とである。なお、断面図(b)は、レイアウト図(a)に5A−5A線で示した位置における断面図である。
【0085】
図5に示した液晶表示装置は、ソース電極45とドレイン電極46とが、くし形電極に形成されていることのみが、図2〜4に示した実施の形態1基づく液晶表示装置と異なっている。くし形電極45と46は、実施の形態1と同様、金属薄膜を蒸着法やスパッタ法で形成し、リソグラフィによってパターニングすることによって形成する。
【0086】
図5(b)の断面図に示すように、有機半導体層7はくし形電極45と46の全体を包み込むように形成されている。ソース電極45およびドレイン電極46をくし形電極にすることで、有機半導体層7が形成するチャネル部の実質的な断面積が増加し、移動度の小さい有機半導体層7であっても、十分な大きさの充電または放電電流を得ることができる。
【0087】
その他は、実施の形態1基づく液晶表示装置と同じであるから、同様の作用効果を得られるのは言うまでもない。すなわち、本実施の形態に基づく液晶表示装置は、上記有機半導体層7をチャネル部として有機電界効果トランジスタが形成され、これが画素トランジスタとして用いられているので、応答速度が速く、コントラスト比が大きく、ちらつきの少ない良質な表示が可能である。
【0088】
実施の形態3
実施の形態3では、前記マスク層をフォトレジスト層のパターニングによって形成する代わりに、前記マスク層を印刷法で形成する点のみが、実施の形態1と異なっている。
【0089】
図6は、実施の形態3に基づく有機半導体層2のパターニング工程を示すフロー図である。
【0090】
まず、実施の形態1と同様にして、図6(a)に示すように、基板1の上に有機半導体層2を形成し、その上に保護層3を形成する。有機半導体層2は、有機半導体材料がペンタセンやオリゴチオフェンなどの低分子量化合物であれば、抵抗加熱法による蒸着法により形成し、有機半導体材料がポリチオフェンやポリフルオレンなどの高分子量化合物であれば、溶媒に溶かして溶液をスピンコート法やキャピラリーコート法で塗布した後、溶媒を蒸発させることで形成する。保護層3は、保護材料が窒化ケイ素や二酸化ケイ素であれば、CVD法やスパッタ法によって形成し、保護材料がポリビニルアルコールあるいはプルランであれば、水溶液をスピンコート法やキャピラリーコート法で塗布した後、溶媒である水を蒸発させることで形成する。
【0091】
次に、図6(b)に示すように、保護層3の上にマスク層8を印刷によって形成する。印刷の方法としては、インクジェット印刷、スクリーン印刷、マイクロプリンティング法などを用いる。例えば、水などの極性溶媒にポリビニルアルコールあるいはプルラン等を溶かした溶液を上記の印刷法によって保護層3の上に被着させた後、溶媒を蒸発させて、形成しようとしている有機半導体層の回路パターンと同じパターンを有するマスク層8を形成する。この方法によれば、印刷技術を応用して、少ない工程でマスク層8を形成することができる。また、容易に大型化することができる。
【0092】
次に、図6(c)に示すように、図1(d)と同様、マスク層5をマスクとして、保護層3をエッチングする。この際、保護層3が窒化ケイ素からなる場合には、リン酸を含む溶液によるウエットエッチングを行うか、六フッ化硫黄SF6やパーフルオロハイドロカーボンCxyなどを用いたドライエッチングを行う。また、保護層3が二酸化ケイ素からなる場合には、フッ化水素酸を含む溶液によるウエットエッチングを行うか、六フッ化硫黄SF6やパーフルオロハイドロカーボンCxyなどを用いたドライエッチングを行う。また、保護層3がポリビニルアルコールあるいはプルラン等の有機材料からなる場合には、酸素O2プラズマによるエッチングを行う。
【0093】
次に、図2(d)に示すように、図1(e)と同様、マスク層8およびパターニングされた保護層6をマスクとして、酸素プラズマにより有機半導体層2をエッチングして、マスク層5と同一形状にパターニングする。パターニング終了後、マスク層8は除去せず、有機半導体パターン7の保護膜としてそのまま残しておく。
【0094】
この後、実施の形態1と同様にして、パターニングされた有機半導体層7をチャネル部とし、このチャネル部に接してソース及びドレイン電極を設けて、有機電界効果トランジスタを作製し、液晶表示装置の画素トランジスタなどとして用いる。
【0095】
以上に説明したように、本実施の形態は、マスク層を印刷によって形成するので印刷技術を応用して、少ない工程でマスク層を形成することができる。また、容易に大型化することができる。
【0096】
マスクの作製方法以外は実施の形態1と同じであるから、共通点に関して実施の形態1と同様の作用効果を得られることは言うまでもない。
【0097】
すなわち、既に確立され普及している技術と設備とを用いて、有機半導体層2を少ないダメージで確実にパターニングすることができ、この結果として、パターニングされた有機半導体層7における移動度が高く、また、リーク電流が小さくて、オン電流とオフ電流との比が大きい有機半導体装置を低コストで製造することができる。
【0098】
また、有機半導体層2のパターニングの後も保護層6とマスク層5とを残したままにするので、保護層6とマスク層5による有機半導体層7へのパッシベーション効果を期待することができるとともに、これらの層を除去する際に生じる、有機半導体層7へのダメージを未然に防止することができる。また、保護層6とマスク層5とを除去する工程を省略できるので、有機半導体装置の製造工程の工程数を減らし、生産効率を向上させることができる。
【0099】
また、液晶表示装置は、上記有機半導体層7をチャネル部として有機電界効果トランジスタが形成され、これが画素トランジスタとして用いられているので、応答速度が速く、コントラスト比が大きく、ちらつきの少ない良質な表示が可能である。
【0100】
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態1または実施の形態3と同様にして有機半導体層をパターニングした後、有機半導体層をアニール処理する工程を行うことのみが実施の形態1または実施の形態3と異なっている。但し、本実施の形態では、ペンタセンからなる有機半導体層2を蒸着法で形成し、保護層3として窒化ケイ素薄膜をスパッタ法で形成するものとする。
【0101】
有機半導体層2がペンタセンからなる場合には、例えば、有機半導体層2をパターニングした直後に、80℃で16時間、アニールを行う。この工程でパターニングされた有機半導体層7を流れるリーク電流を、パターニング工程を行う前の有機半導体層2の状態にもどすことができる。
【0102】
図7は、実施の形態4に基づく有機FETにおけるゲート電圧Vg とドレイン電流Id との関係を示すグラフである。点線は、成膜したままのペンタセン薄膜を用いて有機FETを構成した比較例1のグラフであり、破線は、蒸着によって成膜した後、窒化ケイ素薄膜を保護層3として用いてパターニングしたペンタセン薄膜によって有機FETを構成した、実施の形態3に相当する場合のグラフであり、実線は、蒸着によって成膜し、窒化ケイ素薄膜を保護層3として用いてパターニングした後、上記のアニール処理を行ったペンタセン薄膜によって有機FETを構成した、本実施の形態に基づく有機FETのグラフである。
【0103】
なお、上記の有機FETにおいて、ゲート長は5μm、ゲート幅は47.2μm、ドレイン電圧は−7Vであり、これらは一定である。
【0104】
図7によると、成膜したままのペンタセン薄膜による比較例1では、ドレイン電流Id は、オン状態の約10-3Aからオフ状態の約10-10Aまで変化し、オン電流とオフ電流との比が約107 に達する。これに対し、窒化ケイ素保護層下でパターニングしたペンタセン薄膜による実施の形態3では、ドレイン電流Id は、オン状態の約5×10-4Aからオフ状態の約5×10-7Aまで変化し、オン電流とオフ電流との比が約103 に減少する。しかし、パターニング後、アニール処理したペンタセン薄膜による実施の形態4では、ドレイン電流Id は、オン状態の約3×10-4Aからオフ状態の約3×10-10Aまで変化し、オン電流とオフ電流との比が約106 に回復する。
【0105】
図8は、比較のために、図7と同様の測定を他のペンタセン薄膜に対して行った例である。点線は、成膜したままのペンタセン薄膜を用いて有機FETを構成した比較例1のグラフであり、破線は、蒸着によって成膜した後、保護層なしでパターニングしたペンタセン薄膜を用いて有機FETを構成した比較例2のグラフであり、実線は、蒸着によって成膜し、保護層なしでパターニングした後、上記と同様のアニール処理を行ったペンタセン薄膜を用いて有機FETを構成した比較例3のグラフである。
【0106】
図8によると、比較例1では、図7と同様、ドレイン電流Id は、オン状態の約10-3Aからオフ状態の約10-10Aまで変化し、オン電流とオフ電流との比が約107 に達する。これに対し、保護層なしでパターニングしたペンタセン薄膜による比較例2では、ドレイン電流Id は、オン状態の約5×10-4Aからオフ状態の約5×10-6Aまで変化し、オン電流とオフ電流との比が約102 に減少する。そして、保護層なしでパターニング後、アニール処理したペンタセン薄膜による比較例3では、ドレイン電流Id とは、オン状態の約4×10-4Aからオフ状態の約3×10-5Aまで変化し、オン電流とオフ電流との比が約101 にむしろ悪化する。
【0107】
実施の形態3および4と、比較例2および3とを比べると、ペンタセン薄膜が受けるダメージによってオフ電流が増加するメカニズムは、アニール処理の効果が異なる二通りのものが考えられる。
【0108】
すなわち、比較例2および3に見られるように、保護層なしでパターニングした場合のダメージは、大きく、アニール処理しても回復しないダメージである。これは、例えば、ペンタセンがレジストと不可逆な相互作用(例えば化学反応)を引き起こすことによって、ペンタセンとレジストとの界面に新しい電流経路が形成されてしまうことなどの、不可逆的な変化に起因すると考えられる。
【0109】
一方、実施の形態3および4に見られるように、保護層3がある場合のダメージは、比較的小さく、しかもアニール処理によって大半が回復するダメージである。本実施の形態では、このダメージは、窒化ケイ素保護層をスパッタ法で形成する際のスパッタリングに起因するプラズマダメージだということがわかっていて、アニール処理によって回復する可逆的な変化に起因するダメージと考えられる。
【0110】
上記のように、本実施の形態によれば、保護層3を設けることによって、保護層なしでパターニングした場合に生じる、大きく、アニール処理しても回復しない不可逆的な有機半導体層のダメージを未然に防止するとともに、パターニング後のアニール処理によって保護層3の形成の際に有機半導体層2に生じたプラズマダメージなどの可逆的なダメージを修復するので、パターニングされた有機半導体層7におけるオン電流とオフ電流との比を約106 とし、パターニング前の約107 に近い値まで回復させることができ、実施の形態1や3に比べて、さらにリーク電流が小さくて、オン電流とオフ電流との比が大きい有機半導体装置を製造することができる。また、液晶表示装置は、上記有機半導体層7をチャネル部として有機電界効果トランジスタが形成され、これが画素トランジスタとして用いられているので、実施の形態1や3に比べて、さらに応答速度が速く、コントラスト比が大きく、ちらつきの少ない良質な表示が可能である。
【0111】
その他の点では実施の形態1や3と本質的に変わるところはないので、実施の形態1や3と同様の効果が得られることは言うまでもない。すなわち、有機半導体層2のパターニングの後も保護層6とマスク層5とを残したままにするので、保護層6とマスク層5による有機半導体層7へのパッシベーション効果を期待することができるとともに、これらの層を除去する際に生じる、有機半導体層7へのダメージを未然に防止することができる。また、保護層6とマスク層5とを除去する工程を省略できるので、有機半導体装置の製造工程の工程数を減らし、生産効率を向上させることができる。
【0112】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の有機半導体パターン及び有機半導体層のパターニング方法、有機半導体装置及びその製造方法、並びに表示装置は、種々の電子回路、特にディスプレイのアクティブマトリックス回路などのスイッチング素子として広く用いられている薄膜トランジスタ(TFT)などの半導体装置及びその製造方法として用いられ、その低コスト化や、プラスチック等の耐熱性のないフレキシブルな基板への適用などの新規な用途の開発に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施の形態1に基づく有機半導体層のパターニング工程を示すフロー図である。
【図2】同、液晶表示装置要部の断面図である。
【図3】同、液晶表示装置要部の斜視図である。
【図4】同、液晶表示装置のレイアウト図である。
【図5】本発明の実施の形態2に基づく液晶表示装置のレイアウト図(a)と断面図(b)とである。
【図6】本発明の実施の形態3に基づく有機半導体層のパターニング工程を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施の形態4に基づく有機FETにおけるゲート電圧Vg とドレイン電流Id との関係を示すグラフである。
【図8】比較例の有機FETにおけるゲート電圧Vg とドレイン電流Id との関係を示すグラフである。
【図9】特許文献1に示されている、溶媒の影響を受けやすい有機薄膜をパターニングする方法を示すフロー図である。
【図10】特許文献2に示されている、液晶表示装置の画素トランジスタとして用いられた有機FETの断面図である。
【符号の説明】
【0115】
1…基板、2…有機半導体層、3…保護層、4…フォトレジスト層、5…マスク層、
6…パターニングされた保護層、
7…パターニングされた有機半導体層(有機半導体パターン)、8…マスク層、
10…有機FET、11…基板、12…バリア層、13…ゲート電極、
14…ゲート絶縁層、15…ドレイン電極、16…ソース電極、20…液晶表示素子、
21…バックライト、22、30…偏向板、23、28…画素電極、24…層間絶縁膜、
25、27…配向膜、26…液晶、29…基板、31…データ線、32…ゲート走査線、
33…コモン線、35…補助容量、40…有機FET、
45…ソース電極(くし形電極)、46…ドレイン電極(くし形電極)、
101…基板、102…有機薄膜、103…保護層、104…フォトレジスト層、
105…レジストパターン、106…パターニングされた保護層、
107…有機薄膜パターン、110…有機FET、111…絶縁基板、
112…ゲート電極、113…ゲート絶縁層、114…ドレイン電極、
115…ソース電極、116…有機半導体層、117…レジスト、118…保護物質層、
119…画素電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機半導体層を形成する工程と、前記有機半導体層をマスク層から保護する保護層を前記有機半導体層に積層して形成する工程と、所定のパターンを有する前記マスク層を前記保護層に積層して形成する工程と、前記マスク層をマスクとするエッチングによって前記保護層、更には前記有機半導体層を同一形状にパターニングする工程とを有する、有機半導体層のパターニング方法において、
前記マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性 無機化合物によって前記保護層を形成する
ことを特徴とする、有機半導体層のパターニング方法。
【請求項2】
ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール及びプルランからなる群より選ばれた前記有機高分子化合物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれた前記絶縁性無機化合物との少なくとも一方によって前記保護層を形成する、請求項1に記載した有機半導体層のパターニング方法。
【請求項3】
前記有機高分子化合物及び/又は前記絶縁性無機化合物によって、単層又は積層の前記保護層を形成する、請求項1に記載した有機半導体層のパターニング方法。
【請求項4】
前記マスク層を有機材料によって形成する、請求項1に記載した有機半導体層のパターニング方法。
【請求項5】
前記マスク層をフォトレジスト層のパターニングによって形成する、請求項4に記載した有機半導体層のパターニング方法。
【請求項6】
前記マスク層を印刷によって形成する、請求項4に記載した有機半導体層のパターニング方法。
【請求項7】
前記有機半導体層をペンタセンによって形成する、請求項1に記載した有機半導体層のパターニング方法。
【請求項8】
有機半導体層を形成する工程と、前記有機半導体層をマスク層から保護する保護層を前記有機半導体層に積層して形成する工程と、所定のパターンを有する前記マスク層を前記保護層に積層して形成する工程と、前記マスク層をマスクとするエッチングによって前記保護層、更には前記有機半導体層を同一形状にパターニングする工程とを有する、有機半導体装置の製造方法において、
前記マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性 無機化合物によって前記保護層を形成し、
前記パターニングの後も前記保護層と前記マスク層とを残す
ことを特徴とする、有機半導体装置の製造方法。
【請求項9】
ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール及びプルランからなる群より選ばれた前記有機高分子化合物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれた前記絶縁性無機化合物との少なくとも一方によって前記保護層を形成する、請求項8に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記有機高分子化合物及び/又は前記絶縁性無機化合物によって、単層又は積層の前記保護層を形成する、請求項8に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記マスク層を有機材料によって形成する、請求項8に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記マスク層をフォトレジスト層のパターニングによって形成する、請求項11に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記マスク層を印刷によって形成する、請求項11に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記有機半導体層をペンタセンによって形成する、請求項8に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記パターニング工程後に前記有機半導体層をアニール処理する、請求項8に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項16】
パターニングされた前記有機半導体層を少なくともチャネル部に有し、このチャネル部に接してソース及びドレイン電極を有する有機電界効果トランジスタを製造する、請求項8に記載した有機半導体装置の製造方法。
【請求項17】
有機半導体層と、マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物からなる保護層と、前記マスク層とがこの順に同一パターンに積層されてなる、有機半導体パターン。
【請求項18】
ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール及びプルランからなる群より選ばれた前記有機高分子化合物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれた前記絶縁性無機化合物との少なくとも一方によって前記保護層が形成されている、請求項17に記載した有機半導体パターン。
【請求項19】
前記有機高分子化合物及び/又は前記絶縁性無機化合物によって、単層又は積層の前記保護層が形成されている、請求項17に記載した有機半導体パターン。
【請求項20】
前記マスク層が有機材料によって形成されている、請求項17に記載した有機半導体パターン。
【請求項21】
前記有機半導体層がペンタセンによって形成されている、請求項17に記載した有機半導体パターン。
【請求項22】
有機半導体層と、マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物からなる保護層と、前記マスク層とがこの順に同一パターンに積層されてなる、有機半導体装置。
【請求項23】
ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール及びプルランからなる群より選ばれた前記有機高分子化合物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれた前記絶縁性無機化合物との少なくとも一方によって前記保護層が形成されている、請求項22に記載した有機半導体装置。
【請求項24】
前記有機高分子化合物及び/又は前記絶縁性無機化合物によって、単層又は積層の前記保護層が形成されている、請求項22に記載した有機半導体装置。
【請求項25】
前記マスク層が有機材料によって形成されている、請求項22に記載した有機半導体装置。
【請求項26】
前記有機半導体層がペンタセンによって形成されている、請求項22に記載した有機半導体装置。
【請求項27】
パターニングされた前記有機半導体層を少なくともチャネル部に有し、このチャネル部に接してソース及びドレイン電極を有する有機電界効果トランジスタとして構成されている、請求項22に記載した有機半導体装置。
【請求項28】
液晶表示装置の画素トランジスタである、請求項22に記載した有機半導体装置。
【請求項29】
少なくともチャネル部を構成する有機半導体層と、マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物からなる保護層と、前記マスク層とがこの順に同一パターンに積層され、前記チャネル部に接してソース及びドレイン電極を有する有機電界効果トランジスタを駆動部として有する、表示装置。
【請求項30】
ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール及びプルランからなる群より選ばれた前記有機高分子化合物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれた前記絶縁性無機化合物との少なくとも一方によって前記保護層が形成されている、請求項29に記載した表示装置。
【請求項31】
前記有機高分子化合物及び/又は前記絶縁性無機化合物によって、単層又は積層の前記保護層が形成されている、請求項29に記載した表示装置。
【請求項32】
前記マスク層が有機材料によって形成されている、請求項29に記載した表示装置。
【請求項33】
前記有機半導体層がペンタセンによって形成されている、請求項29に記載した表示装置。
【請求項34】
前記有機電界効果トランジスタが画素トランジスタとして用いられている液晶表示装置である、請求項29に記載した表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−41317(P2006−41317A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221258(P2004−221258)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】