説明

有機薄膜トランジスタ

有機薄膜トランジスタは、ソース及びドレイン電極(13、14)、ソース及びドレイン電極間のチャネル領域に配置された有機半導体(15)、ゲート電極(12)、及びソース及びドレイン電極とゲート電極との間に配置された誘電体(11)を備えている。ソース電極及びドレイン電極は、少なくとも1つの互いに異なる物理特性及び材料特性の少なくとも一方を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、有機薄膜トランジスタに関し、特に、有機薄膜トランジスタの一部を構成するソース及びドレイン電極の物理特性及び材料特性に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは、バイポーラ接合トランジスタと電界効果トランジスタとの2つの主なタイプに分類することができる。両方のタイプは、3つの電極とそれらの間に配置された半導体材料とをチャネル領域内に備える構造を共有している。バイポーラ接合トランジスタの3つの電極は、エミッタ、コレクタ、及びベースとして知られ、一方で、電界効果トランジスタの3つの電極は、ソース、ドレイン、及びゲートとして知られている。バイポーラ接合トランジスタは、エミッタ/コレクタ間の電流がベース/エミッタ間を流れる電流によって制御される電流動作型デバイスとして記述されている。対照的に、電界効果トランジスタは、ソース/ドレイン間を流れる電流がゲート/ソース間の電圧によって制御される電圧動作型デバイスとして記述されている。
【0003】
また、トランジスタは、半導体材料のそれぞれが正電荷キャリア(正孔)を電動するものか、又は負電荷キャリア(電子)を伝導するものかに応じて、p型、n型として分類される。半導体材料は、電荷を受け取ったり、伝導したり及び提供したりする能力に応じて選択される。正孔又は電子を受け取ったり、伝導したり、提供したりする半導体材料の能力は、材料にドーピングすることによって高めることができる。
【0004】
例えば、正孔を受け取り、伝導し、提供するのに効率的な半導体材料を選択することによって、また、正孔を注入したり半導体材料から正孔を受け取ったりするのに効率的なソース及びドレイン電極を選択することによって、p型トランジスタ・デバイスを形成することができる。電極内のフェルミ準位を半導体材料のHOMO順位と良好にエネルギー準位整合させることによって、正孔の注入及び受け取りが向上する。対照的に、電子を受け取り、伝導し、提供するのに効率的な半導体材料を選択することによって、また、半導体材料に電子を注入したり半導体材料から電子を受け取ったりするのに効率的なソース及びドレイン電極のための材料を選択することによって、n型トランジスタ・デバイスを形成することができる。電極内のフェルミ準位を半導体材料のLUMO順位と良好にエネルギー準位整合させることによって、電子の注入及び受け取りが向上する。
【0005】
トランジスタは、構成要素を薄膜で堆積させて薄膜トランジスタ(TFT)を形成することで作製される。このようなデバイスに半導体材料として有機材料を用いた場合、それは有機薄膜トランジスタ(OTFT)として知られる。
【0006】
OTFTは、低コスト、低温法(例えば、溶液処理)によって製造される場合がある。また、OTFTは、フレキシブル・プラスチック基板と適合するものであり、ロール・ツー・ロール・プロセスでフレキシブル基板上にてOTFTの大規模製造への見通しを提供する。
【0007】
図1を参照して、ボトム・ゲート型有機薄膜トランジスタ(OTFT)の一般的な構造は、基板10上に堆積されたゲート電極12を備えている。誘電体材料の絶縁層11がゲート電極12上に堆積され、ソース及びドレイン電極13、14が誘電体材料の絶縁層11上に堆積されている。ソース及びドレイン電極13、14は、ゲート電極12上に配置されると共にそれらの間にチャネル領域を形成するように離間して配置されている。有機半導体(OSC)材料15は、ソース及びドレイン電極13、14を接続するためにチャネル領域内に堆積されている。OSC材料15は、ソース及びドレイン電極13、14上の少なくとも一部に広がっている。
【0008】
これとは別に、いわゆるトップ・ゲート型有機薄膜トランジスタを形成するため、ゲート電極を有機薄膜トランジスタの最上部に設けることが知られている。このような構造では、ソース及びドレイン電極が基板上に堆積されると共に、それらの間にチャネル領域を形成するように離間して配置されている。有機半導体材料の層が、ソース及びドレイン電極を接続するためチャネル領域内に堆積されると共に、ソース及びドレイン電極上の少なくとも一部に広がっている。誘電体材料の絶縁層は、有機半導体材料上に堆積されると共に、ソース及びドレイン電極上の少なくとも一部に広がっている。ゲート電極は、絶縁層上に堆積されると共にチャネル領域上に配置されている。
【0009】
有機薄膜トランジスタは、硬質な又はフレキシブルな基板上に作製することができる。硬質な基板は、ガラス又はシリコンから選択され、フレキシブル基板は、薄いガラス、又はポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンナフタレート)PEN、ポリカーボネート、及びポリイミド等のプラスチックからなる。
【0010】
有機半導体材料は、好適な溶媒を用いて溶液処理可能に調整されている。一般的な溶媒として、トルエン及びキシレン;テトラリン;及びクロロホルム等のモノ−又はポリ−アルキルベンゼンがある。好ましい溶液堆積技術として、スピン・コーティング及びインク・ジェット印刷がある。他の溶液堆積技術として、浸漬コーティング、ロール印刷、及びスクリーン印刷がある。
【0011】
ソース及びドレイン電極間に形成されるチャネルの長さは、最大で500ミクロンである場合があるが、好ましくは、200ミクロン未満、より好ましくは100ミクロン未満、最も好ましくは20ミクロン未満である。
【0012】
ゲート電極は、広範囲の伝導性材料、例えば、金属(金等)又は金属化合物(酸化インジウムスズ等)から選択される。これとは別に、伝導性ポリマーをゲート電極として堆積することもある。このような伝導性ポリマーは、例えば、スピン・コーティング又はインク・ジェット印刷技術及び前述した他の溶液堆積技術を用いて、溶液から堆積される。
【0013】
絶縁層は、高抵抗率を有する絶縁材料から選択される誘電体材料を含む。誘電体の誘電率kは、通常、約2〜3であるが、高いk値の材料が望ましい。これは、OTFTに対して実現可能な容量がkに正比例し、ドレイン電流Iが容量に正比例するためである。従って、高いドレイン電流を低い動作電圧で実現するには、チャネル領域に薄い誘電体層を設けたOTFTが好ましい。
【0014】
誘電体材料は、有機であってもよく、無機であってもよい。好ましい無機材料として、SiO、SiNx、及びスピン・オン・ガラス(SOG)がある。好ましい有機材料は、一般的にポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリジン(PVP)、アクリレート例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びベンゾシクロブタン(BCB)(ダウ・コーニングから入手可能)等の絶縁性ポリマーである。絶縁層は、材料の混合物から形成してもよく、多層構造を備えていてもよい。
【0015】
誘電体材料は、熱蒸発、真空処理、又は本技術分野で公知の積層技術によって堆積される。これとは別に、誘電体材料は、例えば、スピン・コーティング又はインク・ジェット印刷技術及び前述した他の溶液堆積技術を用いて、溶液から堆積される。
【0016】
誘電体材料を有機半導体上に溶液から堆積させる場合、有機半導体を溶解させてはならない。同様に、有機半導体を誘電体材料上に溶液から堆積させる場合も、誘電体材料を溶解させてはならない。このような溶解を回避するための技術として、直交溶媒の使用、例えば、下層を溶解しない最上層の堆積用溶媒の使用;及び下層の架橋等が挙げられる。
【0017】
絶縁層の厚さは、好ましくは、2マイクロメートル未満、より好ましくは500nm未満である。
製造を容易にするため、ソース及びドレイン電極を同じ材料から作製することが知られている。通常、金等の好適な材料を熱蒸発によって好適な基板上に堆積し、その後、本技術分野で知られる標準的なフォトリソグラフィ及びリフト・オフ技術を用いて、ソース及びドレイン電極を形成するためにパターニングを行う。
【0018】
図2を参照すれば、既知のOTFTに対するエネルギー準位図は、金から形成されて仕事関数が4.8eVであるソース及びドイン電極16、17を示す。例えば、小分子又はポリマー材料等のOSC材料18は、仕事関数が5.3eVであるものとして示されている。OSC18のより大きな仕事関数5.3eVが金ソース電極16からOSC18内への正孔の注入に対する障壁を示す点で、問題が生じる。金ドレイン電極17における正孔の取り出しのため有意な障壁は存在せず、逆バイアス又は非使用条件にて、OSC18とドレイン電極17との間での仕事関数値の違いが漏れ電流に対する障壁として作用する。
【0019】
これとは別に、図3に示すように、OSC18の仕事関数を、ソース及びドレイン電極16、17の両方の仕事関数に対し厳密に一致させることができる。このような配置では、OSC18への正孔の注入又はOSC18からの正孔の取り出しに対する有意な障壁は存在しない。しかしながら、逆バイアス又は非使用条件において、OSC18とソース又はドレイン電極16、17との間には、漏れ電流に対する障壁は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、ソース及びドレイン電極の両方を使用する有機半導体材料の特性に適合させるような有機薄膜トランジスタの改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第一の態様によれば、ソース及びドレイン電極、ソース及びドレイン電極間のチャネル領域に配置された有機半導体、ゲート電極、並びにソース及びドレイン電極とゲート電極との間に配置された誘電体を備える有機薄膜トランジスタであって、ソース電極及びドレイン電極は、少なくとも1つの互いに異なる物理特性及び材料特性の少なくとも一方を備える有機薄膜トランジスタが提供される。
【0022】
従って、本発明によって、何らかの物理又は材料特性で互いに異なるソース及びドレイン電極が提供される。これらの異なるか又は「非対称の電極」は、特定の電子特性を有するように別個に調整することができる。非対称であることによって、ソース電極からの電荷注入が改善される一方で、ドレイン電極における電荷の取り出しが最適化される。優位性として、移動度の増加、接触抵抗の低下、漏れの低下、及びオン・オフ比の増加がある。
【0023】
好ましくは、異なる物理特性及び材料特性の少なくとも一方は、パターニングされた表面形状によって提供される物理的構造である。パターニングされた表面形状を、隆起した表面形状及び凹みの少なくとも一方にして、有機半導体材料の結晶化を促進することができる。このようなパターニングされた表面形状は、好ましくは、鋸歯状断面、城郭構造、及び凹状又は凸状断面から選択される。方向付けられた結晶化成長を実現するため、ソース電極は、チャネル領域に隣接する縁部に沿ってパターニングされた表面形状を備えてもよく、ドレイン電極は、チャネル領域に隣接する縁部に沿ってパターニングされた表面形状であって、ソース電極のパターニングされた表面形状からずれている表面形状を備え、一方の電極の隆起した表面形状が他方の電極の凹みのある表面形状と対になっている。
【0024】
好ましくは、異なる物理的構造は、打ち抜き又はフォトリソグラフィによって形成される。
他の好ましい異なる物理特性として、電極の異なる表面積、電極の異なる形状、及び電極の異なる表面処理がある。好ましくは、表面処理は、自己組織化単層膜の追加を含む。
【0025】
好ましい異なる材料特性は、ソース及びドレイン電極の異なる仕事関数を提供することのできるソース及びドレイン電極の異なる材料組成である。
電荷注入及び取り出しが効率的であることに加えて漏れの少ないデバイスを実現するため、ソース電極の仕事関数は有機半導体の仕事関数と同じかそれよりも大きく、ドレイン電極の仕事関数は有機半導体の仕事関数と同じかそれよりも小さい。
【0026】
ソース及びドレイン電極にとって好ましい材料として、金属及び伝導性有機材料、例えば、小分子、ポリマー又はポリ(エチレンジオキシチオフェン)がある。伝導性有機材料は、インクジェット印刷、スピン・コーティング、はん印刷のいずれか1つによって堆積することができる。
【0027】
好ましくは、ソース及びドレイン電極の異なる材料組成には、ソース及びドレイン電極の酸化部分が含まれる。このような酸化部分として、酸素化合物、例えばMo、MoCr、W、もしくはVの酸化物が挙げられ、より詳しくは、酸化部分として、MoCr酸化物、MoO、WO、もしくはVが挙げられる。
【0028】
非対称の有機薄膜トランジスタは、ソース及びドレイン電極として、少なくとも2つの重なり合う層からなる二重層を備え、二重層の上部層は下部層から位置的にずれているソース及びドレイン電極を備えてもよい。好ましくは、ソース電極二重層の上部層はトランジスタのチャネル領域に重なってそれに隣接し、ドレイン電極二重層の下部層はトランジスタのチャネル領域に隣接している。或いは、ドレイン電極二重層の上部層はトランジスタのチャネル領域に重なってそれに隣接し、ソース電極二重層の下部層はトランジスタのチャネル領域に隣接している。
【0029】
ソース及びドレイン電極の少なくとも一方のパターニングによって、ソース及びドレイン電極の少なくとも一方がパターニングされなかった場合よりも有効チャネル幅が大きいトランジスタを得ることができる。従って、本発明の第二の態様によれば、ソース及びドレイン電極、ソース及びドレイン電極間のチャネル領域に配置された有機半導体、ゲート電極、並びにソース及びドレイン電極とゲート電極との間に配置された誘電体を備える有機薄膜トランジスタであって、有機半導体とパターニングされた電極との界面における有効チャネル幅接触面積の増加を提供するようにソース電極及びドレイン電極の一方又は両方がパターニングされている有機薄膜トランジスタが提供される。
【0030】
有機薄膜トランジスタは、トップ・ゲート型又はボトム・ゲート型トランジスタであってもよい。
本発明の第三の態様によれば、ソース及びドレイン電極、それらの間に設けられたチャネル領域、ゲート電極、ソース及びドレイン電極とゲート電極との間に配置された誘電体層、並びにソース及びドレイン電極間のチャネル領域に配置された有機半導体を備える有機薄膜トランジスタの製造方法であって、少なくとも1つの互いに異なる物理特性及び材料特性の少なくとも一方を有するソース及びドレイン電極を設けることを含む方法が提供される。
【0031】
次に、本発明の一実施形態について、単に一例として、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来技術によるボトム・ゲート型有機薄膜トランジスタの一般的な構造の概略図。
【図2】従来技術による有機薄膜トランジスタに対する第1のエネルギー準位図。
【図3】従来技術による有機薄膜トランジスタに対する第2のエネルギー準位図。
【図4】本発明の一実施形態による非対称のソース及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタに対する第1のエネルギー準位図。
【図5】本発明の一実施形態による非対称のソース及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタに対する第2のエネルギー準位図。
【図6】本発明の一実施形態による非対称のソース及びドレイン電極の概略図である。
【図7a】本発明の一実施形態によるずれた供給源を用いて非対称のソース及びドレイン電極を形成する方法の概略図。
【図7b】本発明の一実施形態によるずれた供給源を用いて非対称のソース及びドレイン電極を形成する方法の概略図。
【図8a】本発明の一実施形態によるずれたマスクを用いて非対称のソース及びドレイン電極を形成する方法の概略図。
【図8b】本発明の一実施形態によるずれたマスクを用いて非対称のソース及びドレイン電極を形成する方法の概略図。
【図9a】本発明の一実施形態によるパターニングされた非対称のソース及びドレイン電極の概略図。
【図9b】本発明の一実施形態によるパターニングされた非対称のソース及びドレイン電極の概略図。
【図10】本発明の一実施形態による共通基板上に作製された有機薄膜トランジスタ及び隣接する有機発光デバイスを備える画素の概略図。
【図11】本発明の一実施形態による有機発光デバイスに対して積層関係で作製された有機薄膜トランジスタの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明の全体に渡って、同様の部材番号を用いて、同様の部分を識別するものとする。
図4を参照して、本発明の一実施形態による非対称のソース及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタに対する第1のエネルギー準位図に、仕事関数が5.3eVの有機半導体材料40が含まれている。好ましい有機半導体材料40として、例えば、任意的に置換されたペンタセン等の小分子;例えば、ポリアリーレン、特に、ポリフルオレン及びポリチオフェン等の任意的に置換されたポリマー;及びオリゴマーがある。材料のブレンド、例えば、異なる種類の材料の混合物(ポリマー及び小分子のブレンド等)を用いてもよい。
【0034】
ソース電極42には、有機半導体材料40の仕事関数に整合している5.3eVの仕事関数が提供される。ドレイン電極44には、有機半導体材料40の仕事関数を下回る4.8eVの仕事関数が提供される。
【0035】
伝導性ポリマー等の伝導性有機材料をソース電極42として堆積させ、ドレイン電極44を金等の金属として堆積させる。これとは別に、両方の電極は、仕事関数を所望の値に変化させた伝導性ポリマーであってもよい。このような伝導性ポリマーの一例として、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)があるが、他の伝導性ポリマーも本技術分野では知られている。このような伝導性ポリマーを、例えば、スピン・コーティング又はインク・ジェット印刷技術を用いて、溶液から堆積させてもよい。
【0036】
これとは別に又は組み合わせて、pチャネル有機薄膜トランジスタの場合、ソース42及びドレイン44電極を、3.5eVよりも大きい好ましくは金属等の高仕事関数材料から適切に選択することができ、例えば、金、プラチナ、パラジウム、モリブデン、タングステン又はクロム等から、必要な仕事関数に応じて選択することができる。他の好適な化合物、合金、及び酸化物、例えば、モリブデン三酸化物及び酸化インジウム・スズを用いてもよい。
【0037】
図5に最もよく見られるように、有機半導体材料40は、仕事関数4.8eVを備えている。従って、ソース電極42は、有機半導体材料40の仕事関数と整合する4.8eVの仕事関数を有している金(Au)として選択される。更に、ドレイン電極44は、仕事関数が4.3eVである銀(Ag)として選択される。
【0038】
図4及び図5に関連して前述した両方の例において、ソース電極は、効率的な電荷注入及びキャリア移動度を図るため、有機半導体材料の仕事関数と整合する仕事関数を有するように選択される。ドレイン電極は、仕事関数が有機半導体材料のそれを下回るように選択される。これにより、電荷の取り出しが妨げられないようになり、逆バイアス又は非使用条件にて漏れ電流に対する障壁が存在するようになる。
【0039】
nチャネルOTFTの場合、好ましくは、ソース及びドレイン電極は、仕事関数が3.5eV未満である材料(例えば金属)、例えば、カルシウムもしくはバリウム、又は金属化合物の薄層、特に、アルカリ又はアルカリ土類金属の酸化物又はフッ化物、例えば、リチウムフッ化物、フッ化バリウム、及び酸化バリウムを含む。これとは別に、伝導性ポリマーは、ソース及びドレイン電極として堆積させてもよい。
【0040】
非対称のソース及びドレイン電極を堆積させる技術の一例として、最初に、金属蒸発によって第1のマスクを通して基板上にソース電極金属を堆積させることがある。ソース電極金属は、金であってもよく、熱蒸発によって堆積させてもよい。第2の堆積は、ドレイン電極を形成するため、第2のマスクを用いてドレイン電極金属により実行される。ドレイン電極は、銀であってもよく、また、熱蒸発によって堆積させてもよい。その後、有機半導体材料は、例えば、スピン・コーティング又はインク・ジェット印刷等の溶液堆積技術によって、ソースとドレイン電極との間にある伝導性チャネルの中に堆積される。有機半導体層は、熱処理プロセスを用いて乾燥させられる。
【0041】
図6を参照して、非対称のソース及びドレイン電極配置72に対する前駆体60の概略図に、ガラス基板64上に堆積されたパターニングされたNiCr密着層62(破線の輪郭で示す)が含まれている。通常、NiCr密着層62は、同一のソース及びドレイン電極66、68として配置される追加的な金属70(斜線パターンで示す)の密着を助けるように作用する。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、NiCr密着層62は、密着を提供することに加え、非対称なソース電極66及びドレイン電極68の形成するようにも作用する。当業者であれば明白であるように、この実施形態の目的を図るため、NiCrに代えて任意の他の好適なコンタクト電極材料を用いることもできる。
【0042】
図6では、追加的な金属70が、パターニングされたNiCr密着層62上にずらして堆積されている。従って、ソース電極66の場合、下層に設けられたNiCr密着層62の一部が上層に設けられた追加的な金属70層からはみ出しており、ドレイン電極68の場合、上層に設けられた追加的な金属70層が下層に設けられたNiCr密着層62からはみ出している。
【0043】
その後、有機半導体材料(図6に示さず)が、ソース及びドレイン電極66、68間のチャネル70を埋めるようにソース及びドレイン電極66、68上に堆積される。ソース電極66の場合、チャネル70に最も近い金属はNiCrであり、ドレイン電極68の場合、チャネル70に最も近い金属は追加的な金属70である。チャネル70に最も近い金属によって電極の電気的特性が支配されている。
【0044】
図7a及び図7bを参照して、本発明の一実施形態によるずれた供給源を用いて、図6を参照して説明した非対称のソース及びドレイン電極72を形成する方法を説明する。
図7aを参照して、ガラス基板64は、公知の視線蒸発堆積技術を用いて、第1のNiCr金属源74に対して露出させる。シャッタ76が照射時間を調節するために設けられ、マスク78がガラス基板64上にNiCr金属をパターニングするために設けられている。従って、NiCr金属の蒸発後、基板64には、パターニングされたNiCr密着層62が設けられる。
【0045】
続いて、図7bを参照して、ガラス基板64を、Au等の追加的な金属源80に露出させる。追加的な金属80の供給源の位置がNiCr金属源74の位置からずれている。そのため、図6に記載した非対称のソース及びドレイン電極66、68の配置72を得るため、パターニングされた層70としてずれた状態で、パターニングされたNiCr密着層62上にAuが堆積される。
【0046】
図8a及び図8bを参照して、本発明の実施形態によるずれたマスクを用いて、図6を参照して説明したタイプの非対称のソース及びドレイン電極を形成する方法を説明する。
図8aを参照して、ガラス基板64が、公知の視線蒸発堆積技術を用いて、第1のNiCr金属源74に露出される。シャッタ76が照射時間を調節するために設けられ、マスク78がガラス基板64上にNiCr金属をパターニングするために設けられている。NiCr金属の蒸発後、基板64にはパターニングされたNiCr密着層62が設けられる。
【0047】
続いて、図8bを参照して、マスク78の位置を少しだけずらし、ガラス基板64をAu等の追加的な金属源80に露出させる。追加的な金属源80の位置は、NiCr金属源74と同じ位置に固定されている。このような金属源の交換を相対位置を変えずに行なうことは、カルーセル配置を用いることで実現される。図6に記載した非対称のソース及びドレイン電極66、68の配置72を得るため、パターニングされた層70としてずれた状態で、パターニングされたNiCr密着層62上にAuが堆積される。
【0048】
本発明の更なる実施形態では、非対称の電極を設けて有機薄膜トランジスタにおける電荷の注入及び取り出しを促進することに加え、ソース及びドレイン電極の表面上で、具体的には、チャネル縁部に沿って生じる核生成の程度を制御することによって、非対称の電極が、有機半導体材料結晶成長を制御するために用いられる。
【0049】
ソース及びドレイン電極の結晶成長及びドメイン・サイズが非対称であることによって、チャネルに生じる結晶成長を改善することができ、結晶がチャネルの各側面から成長してチャネルの中央に向かうときに生じる粒界を消失させることができる。粒界は、結晶の規則正しい部分ではなくアモルファスを示し、結晶を通る電荷の移動度に対する障壁を示すことができる。結晶成長の非対称性は、前述したような材料組成の違いに加えて、ソース及びドレイン電極間の物理的形状、パターニング、及び界面化学の違いによって導入することができる。核生成を非対称にして、結晶の核生成がソース及びドレイン電極の一方において優先されるように、また、核生成が一方の電極にて促進されて他方の電極にて抑制されるようにすることも、前述したような材料組成の違いに加えて、ソース及びドレイン電極間の物理的形状、パターニング、及び界面化学の違いによって導入することができる。このように核生成が非対称であることによって、結晶形成を一方の電極(例えば、ソース電極)にて開始させ、チャネルを渡って他方の電極(ドレイン電極)まで進行させることができる。
【0050】
こうして、図9aは、本発明の一実施形態として電極間の非対称性が電極のパターニングの違いから生じるときのパターニングされた非対称のソース及びドレイン電極の概略図である。金(Au)ソース電極90と金(Au)ドレイン電極92とが設けられ、それらの間にチャネル70を有している。
【0051】
ソース電極90は、有機半導体結晶の核生成及び成長を促進する構造によってパターニングされている。ドレイン電極92は直線状の縁部を有している。この場合、図9aに示すように、両方の電極は、同じ材料から作製することができ、単一のマスキングされた蒸発プロセスで堆積させるか又はフォトリソグラフィによりリフト・オフ手順を介してパターニングすることができる。このようなパターンは、鋸歯状、城郭構造、凹状もしくは凸状のセミディスク、又は他の好適な形状とすることができる。
【0052】
図9bを参照して、ソース電極90は、縁部鋸歯状パターンを備え、ドレイン電極92には、相補的な鋸歯状パターンが設けられている。一方の電極に頂点を設け、他方の電極には、対応する谷を設けることによって、一方の電極から他方の電極の方向に結晶化が促進される。このような結晶化成長の結果、結晶化が両方の電極から同時に進むときに形成される粒界がない材料を得ることができる。粒界は、電荷輸送に対する障壁として作用し、電荷トラップ・サイトとして作用する可能性もあるため(両方とも全体的な電荷移動度を低くする可能性がある)、このように粒界の形成が減少することは、デバイス全体の性能にとって有益である。
【0053】
図9a及び図9bに見られるように、物理的にパターニングされた電極構造を用いることによって、デバイス上のある特定の直線幅に対して、トランジスタに対する有効幅が大きくなる。有効幅が大きくなることによって、固有の移動度がより低い有機半導体材料を用いることができる。
【0054】
本発明の更なる実施形態において、有機半導体結晶化核生成を促進して電荷注入及び取り出しの効率を増加させるように、ソース及びドレイン電極の化学的特性又は表面エネルギーを変更して最適化させることができる。自己組織化単層膜(SAM)をソース及びドレイン電極の少なくとも一方の上に堆積させることによって、表面処理がソース及びドレイン電極の一方又は両方に施される。極性末端基を伴うSAM分子を用いて、局所的な濡れ及び核結晶化を実現することができる。疎水性の末端基(例えば、フッ素化分子)を伴うSAM分子を用いて、濡れ領域への有機半導体分子の動きを促進する反濡れ「バックグラウンド」を提供することができる。このようなSAM分子は、インク・ジェット印刷を用いて堆積させることができる。特に好ましいSAM分子としてはF4TCNQがある。
【0055】
本発明の実施形態によるOTFTには、可能な応用例が広範囲にある。このような応用例の1つは、光学装置(好ましくは、有機光学装置)における画素を駆動することである。このような光学装置の例として、光応答デバイス(特に、光検出器)及び光放出デバイス(特に、有機発光デバイス)がある。OTFTは、特に、アクティブ・マトリックス有機発光デバイスと共に用いること(例えば、ディスプレイ応用例で用いること)に適している。
【0056】
図10は、共通の基板104上に作製された有機薄膜トランジスタ100及び隣接する有機発光デバイス102を備えた画素を示す。OTFT100は、ゲート電極106、誘電体層108、ソース及びドレイン電極110,112、並びにOSC層114を備えている。OLED102は、アノード116、カソード118、及びアノード116とカソード118との間に設けられたエレクトロルミネセント層120を備える。追加的な層を、アノード116とカソード118との間に配置してもよい。例えば、電荷輸送、電荷注入、又は電荷阻止層である。図10の実施形態において、カソード材料118の層は、OTFT100及びOLED102の両方に渡って延びており、絶縁層122が、カソード層118をOSC層122から電気絶縁するために設けられている。OTFT100及びOLED102の活性領域は、共通のバンク材料であって、フォトレジスト124の層を基板104上に堆積させること、それをパターニングしてOTFT100及びOLED102領域を基板上で形成することで形成されたバンク材料によって形成される。
【0057】
図10では、ドレイン電極112を有機発光デバイス102のアノード116に直接接続して、有機発光デバイス102を発光状態と非発光状態との間で切り換えることが行われる。
【0058】
図11に示す代替的な配置にあっては、有機薄膜トランジスタ200を、有機発光デバイス202に対する積層関係で作製してもよい。このような実施形態において、有機薄膜トランジスタ202は、トップ又はボトム・ゲート構成のいずれかで、前述したように構成される。図10の実施形態と同様に、OTFT200及びOLED202の活性領域は、パターニングされたフォトレジスト124の層によって形成されるが、この積層配置では、2つの分離したバンク層124が存在する。1つはOLED202用、1つはOTFT200用である。平坦化層204(パッシベーション層としても知られる)がOTFT200上に堆積されている。一般的なパッシベーション層204として、BCB及びパリレンがある。有機発光デバイス202は、パッシベーション層204上に作製され、有機発光デバイス202のアノード116は、パッシベーション層204とバンク層124とを通過する伝導性ビア206によって、OFTF200のドレイン電極112に電気的に接続されている。
【0059】
当然のことながら、OTFT及び光学活性領域(例えば、発光又は光検知領域)を備える画素回路は、追加的な要素を備えていてもよい。特に、図10及び11のOLED画素回路は、通常、図示した駆動トランジスタに加えて、少なくとも1つの追加的なトランジスタ、及び少なくとも1つのコンデンサを備えている。当然のことながら、本明細書に記載した有機発光デバイスは、上面又は下面発光デバイスであってもよい。即ち、デバイスは、デバイスのアノード又はカソード側を通って発光してもよい。透明デバイスでは、アノード及びカソードの両方が透明である。当然のことながら、透明カソード・デバイスでは、透明なアノードを必要としないため(当然のことながら、完全な透明デバイスが必要な場合を除いて)、下面発光デバイスに対して用いる透明なアノードを、反射性材料層(例えばアルミニウム層)によって交換するか又は補ってもよい。
【0060】
透明なカソードは、特に、アクティブ・マトリックス・デバイスに対して優位である。これは、このようなデバイスにおいて透明なアノードを通じて行なわれる発光は、図11に示す実施形態から明らかなように、少なくとも部分的に、発光画素の真下に配置されるOTFT駆動回路構成によって阻止される場合があるためである。
【0061】
ゲート電極、ソース及びドレイン電極の厚さは、5nm〜200nmの範囲であってもよいが、通常は、例えば、原子間力顕微鏡法(AFM)で測定したときに50nmである。
【0062】
他の層がデバイス構造に含まれていてもよい。例えば、自己組織化単層膜(SAM)をゲート、ソース、又はドレイン電極上に設けることに加えて、それを基板、絶縁層、及び有機半導体材料上に設けて、結晶性を促進し、接触抵抗を減少させ、表面特性を修復し、及び密着を促進することを、必要に応じて行うようにしてもよい。特に、チャネル領域の誘電体表面に結合領域及び有機領域を備えた単層を設けて、デバイス性能を向上させてもよい。これは、例えば、特に、高k誘電体表面に対して、有機半導体の形態(特に、高分子配向及び結晶性)を改善すること、及び電荷トラップを覆うことによって行われる。このような単層に対する典型的な材料として、長いアルキル鎖を伴うクロロ−又はアルコキシ−シラン、例えば、オクタデシルトリクロロシランが挙げられる。
【0063】
当業者であれば、明らかに、他の多くの効果的な変更例を想到することができる。当然のことながら、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内において当業者であれば容易に想到し得る変更例を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機薄膜トランジスタであって、
ソース及びドレイン電極、
ソース及びドレイン電極間のチャネル領域に配置された有機半導体、
ゲート電極、及び
ソース及びドレイン電極とゲート電極との間に配置された誘電体を備え、
ソース電極及びドレイン電極は、少なくとも1つの異なる物理物性及び材料特性の少なくとも一方を備えている有機薄膜トランジスタ。
【請求項2】
請求項1記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
少なくとも1つの異なる物理物性及び材料特性の少なくとも一方は物理的構造である有機薄膜トランジスタ。
【請求項3】
請求項2記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
物理的構造は、パターニングされた表面形状を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項4】
請求項3記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
パターニングされた表面形状は、隆起した表面形状及び凹みの少なくとも一方である有機薄膜トランジスタ。
【請求項5】
請求項4記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
隆起した表面形状及び凹みの少なくとも一方は、鋸歯状断面、城郭構造、及び凹状又は凸状断面から選択される有機薄膜トランジスタ。
【請求項6】
請求項5記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ソース電極は、チャネル領域に隣接する縁部に沿ってパターニングされた表面形状を備え、ドレイン電極は、チャネル領域に隣接する縁部に沿ってパターニングされた表面形状であって、ソース電極のパターニングされた表面形状からずれている表面形状を備え、一方の電極の隆起した表面形状が他方の電極の凹みのある表面形状と対になっている有機薄膜トランジスタ。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
異なる物理的構造は、打ち抜き又はフォトリソグラフィによって形成される有機薄膜トランジスタ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
異なる物理特性は、電極の異なる表面積を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
異なる物理特性は、電極の異なる形状を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
異なる物理特性は、電極の異なる表面処理を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項11】
請求項10記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
表面処理は、自己組織化単層膜の追加を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
少なくとも1つの異なる物理物性及び材料特性の少なくとも一方は、ソース及びドレイン電極の異なる材料組成である有機薄膜トランジスタ。
【請求項13】
請求項12記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
異なる材料組成によって、ソース及びドレイン電極の異なる仕事関数が提供される有機薄膜トランジスタ。
【請求項14】
請求項13記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ソース電極の仕事関数は有機半導体の仕事関数と同じかそれよりも大きく、ドレイン電極の仕事関数は有機半導体の仕事関数と同じかそれよりも小さい有機薄膜トランジスタ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ソース及びドレイン電極の少なくとも一方は伝導性有機材料である有機薄膜トランジスタ。
【請求項16】
請求項15記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
伝導性有機材料はポリマーを含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項17】
請求項16記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ポリマーは、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
伝導性有機材料は、インクジェット印刷、スピン・コーティング、はん印刷のいずれか1つによって堆積される有機薄膜トランジスタ。
【請求項19】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ソース及びドレイン電極の異なる材料組成には、ソース及びドレイン電極の酸化部分が含まれている有機薄膜トランジスタ。
【請求項20】
請求項19記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
酸化部分は、酸素化合物を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項21】
請求項20記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
酸化部分は、Mo、MoCr、W、又はVの酸化物を含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項22】
請求項21記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
酸化部分は、MoCr酸化物、MoO、WO、又はVを含む有機薄膜トランジスタ。
【請求項23】
請求項12〜22のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ソース及びドレイン電極は、少なくとも2つの重なり合う層からなる二重層を備え、二重層の上部層は下部層から位置的にずれている有機薄膜トランジスタ。
【請求項24】
請求項23記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ソース電極二重層の上部層はトランジスタのチャネル領域に重なってそれに隣接し、ドレイン電極二重層の下部層はトランジスタのチャネル領域に隣接している有機薄膜トランジスタ。
【請求項25】
請求項23記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
ドレイン電極二重層の上部層はトランジスタのチャネル領域に重なってそれに隣接し、ソース電極二重層の下部層はトランジスタのチャネル領域に隣接している有機薄膜トランジスタ。
【請求項26】
有機薄膜トランジスタであって、
ソース及びドレイン電極、
ソース及びドレイン電極間のチャネル領域に配置された有機半導体、
ゲート電極、及び
ソース及びドレイン電極とゲート電極との間に配置された誘電体を備え、
有機半導体とパターニングされた電極との界面における有効チャネル幅接触面積の増加を提供するように、ソース電極及びドレイン電極の一方又は両方がパターニングされている有機薄膜トランジスタ。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
有機薄膜トランジスタは、ボトム・ゲート型有機薄膜トランジスタである有機薄膜トランジスタ。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
有機薄膜トランジスタは、トップ・ゲート型有機薄膜トランジスタである有機薄膜トランジスタ。
【請求項29】
ソース及びドレイン電極、それらの間に設けられたチャネル領域、ゲート電極、ソース及びドレイン電極とゲート電極との間に配置された誘電体層、及びソース及びドレイン電極間のチャネル領域に配置された有機半導体を備える有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
少なくとも1つの異なる物理特性及び材料特性の少なくとも一方を有するソース及びドレイン電極を提供する段階
を含む方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、
互いに異なる物理特性を有するソース及びドレイン電極を提供する段階は、少なくとも一方の電極の物理的構造を変える段階を含む方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、
少なくとも一方の電極の物理的構造を変える段階は、電極の表面をパターニングする段階を含む方法。
【請求項32】
請求項29記載の方法において、
少なくとも1つの互いに異なる物理特性及び材料特性の少なくとも一方を有するソース及びドレイン電極を提供する段階は、ソース電極にドレイン電極とは異なる表面処理を施す段階を含む方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、
表面処理は、ソース及びドレイン電極の少なくとも一方の表面に結晶化領域を提供し、その結果、有機半導体材料が結晶化領域にて結晶化する段階を含む方法。
【請求項34】
請求項29記載の方法において、
互いに異なる材料特性を有するソース及びドレイン電極を提供する段階は、ドレイン電極とは異なる仕事関数を有するソース電極を堆積させる段階を含む方法。
【請求項35】
実質的に既に述べた及び添付図面の図4〜図11の少なくとも一方に基づく非対称の有機薄膜トランジスタ。
【請求項36】
実質的に既に述べた及び添付図面の図4〜図11の少なくとも一方に基づく非対称の有機薄膜トランジスタの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2011−515844(P2011−515844A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500281(P2011−500281)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000668
【国際公開番号】WO2009/115772
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(599086607)ケンブリッジ、ディスプレイ、テクノロジー、リミテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】CAMBRIDGE DISPLAY TECHNOLOGY LTD
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】