説明

有機装置のための透明コンタクト

【課題】非常に信頼できる、実質的に透明であり、そして製造するのに比較的安価である3色有機発光装置を提供すること。
【解決手段】多色有機光放射装置は、有機化合物から加工される二重ヘテロ構造体の装置の垂直に積層された層(308, 310, 312) を用いる。その垂直に積層された構造体(300) は、ITOの透明被膜(304) 又は支持体を供給するための類似する金属を有するガラスベース上に形成される。垂直に積層された配置の3種の二重ヘテロ構造体の装置(308, 310, 312) が、支持体上に付着され、個々は適切な有機材料から加工される。積層化は、最長の波長を有する二重ヘテロ構造体が積層体の上部に存在するよう実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多色性有機発光装置、及びより特定には、フラットパネル電子表示、ヘッド−アップ表示、等に使用するためのそのような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子表示は、情報を送るためには近代社会において不可欠な手段であり、そしてテレビ受像機、コンピューター末端機及び他の用途の計算機に利用される。他の媒体は、その速度、多様性及び相互活性を付与しない。既知の表示技術は、プラズマ表示、発光ダイオード(LES) 、薄フィルムエレクトロルミネセント表示、等を包含する。
【0003】
本来の非発光性技法は、液晶(LC)又は液晶表示(LCD) として知られている種々の有機分子の電気光学性質を使用する。 LCDはかなりの信頼性で作動するが、しかし比較的低いコントラスト及び解像度を有し、そして高い力の背面照明を必要とする。活性マトリックス表示は、それぞれ単一のLC画素を活性化することができる一連のトランスミッターを使用する。フラットパネル表示に関する技法が実質的な関心のものであり、そして進歩が絶え間なく行なわれていることには何の凝いもない。 S.W.Depp and W.E.Howardによる“Flat Panel Displays”, Scientific America, March 1993, 90-97pの文献を参照のこと。その文献においては、1995年までに、フラットパネル表示が4〜50億ドルの市場を形成すると予測されることのみを示している。いずれかの表示技法のための所望する要因は、良好な光レベル及び競争価格で、高い解像度の十分な色の表示を提供する能力である。
【0004】
色の表示は、3種の主要な色、すなわち赤(R)、緑(G)及び青(B)で作動する。有機薄フィルム材料を用いて、赤、緑及び青色の発光装置(LED) を示すことにこれまで相当の進歩が存在した。それらの薄フィルム材料は、高い真空条件下で付着される。そのような技法は、世界の多くの場所において開発され、そしてこの技法は多くの研究施設において実施されている。
【0005】
現在、最とも好ましい高い効率の有機発光構造体は、図1に示され、そして従来技術と称するダブルヘテロ構造体 LEDとして言及される。この構造体は、GaAs又は InPのような材料を用いる従来の無機 LEDに非常に類似する。
【0006】
図1Aに示される装置においては、ガラス10の支持層が、酸化インジウム錫(ITO) 11の層により被覆され、ここで層10及び11が支持体を形成する。次に、薄い(100〜500 Å)有機性の優先的に正孔を輸送する層(HTL) 12が前記 ITO層上に付着される。薄い(典型的には、50〜100 Å)発光層(EL)13が、 HTL層12の表面上に付着される。前記層が薄すぎる場合、フィルムの連続性の欠損が存在し、そしてより厚いフィルムは、より高い力の操作を必要とする高い内部耐性を有する傾向がある。発光層(EL)13は、 HTL層12からの正孔と共に 100〜500 Åの厚さの電子輸送層14(ETL) から放される電子のための再結合部位を供給する。 ETL材料は、正孔の移動性よりもその相当に高い電子により特徴づけられる。従来技術の ETL, EL及び HTL材料の例は、Tangなどにより1994年3月15日に発行された”Organic Electroluminescent Malti Color Image Disphay Device” と称するアメリカ特許第 5,294,870号に開示される。
【0007】
しばしば、EL層13は色を変え、そして LEDのエレクトロルミネセント効率を高めるために高い螢光の色素によりドープされる。図1Aに示されるような装置は、金属コンタクト15, 16及び上部の電極17を付着することによって完結される。コンタクト15及び16は典型的には、インジウム又はTi/Pt/Auから加工される。電極17はしばしば、アロイ、たとえば有機 ETL層14と直接的にコンタクトするMg/Ag 17’、及び厚い、高い仕事関数の層17''、たとえばMg/Ag上の金(Au)又は銀(Ag)から成る二重層構体である。前記厚い金属17''は不透明である。適切なバイアス電圧が上部の電極17とコンタクト15及び16との間に適用される場合、発光がガラス支持体10を通して生じる。図1Aの LED装置は典型的には、発光及びその構造体の色に依存して、0.05%〜4%の発光外部量子効率を有する。
【0008】
シングルヘテロ構造体として言及されるもう1つの既知の有機発光構造体は、図1Bに示されており、そして従来の技術として示される。図1Aの構造体に対するこの構造体の差異は、EL層13がまた、 ETL層としても作用し、図1Aの ELT層14を排除していることである。しかしながら、効果的な操作のための図1Bの装置は、良好な電子輸送能力を有するEL層13を組込むべきであり、さもなければ、別の ETL層14が図1Aの装置のために示されるように包含されるべきである。
【0009】
現在、最高の効率が、緑色の LEDにおいて観察された。さらに、3〜10ボルトの駆動電圧が達成されている。それらの初期で且つ非常に有望な表示が、非晶性又は高い多晶性有機層を使用している。それらの構造体は、電流を制限し、そして駆動電圧を高めるフィルムを通しての電荷キャリヤー移動性を疑いなく制限する。多晶状態から生じる結晶の移動及び成長は、そのような装置の明白な失敗モードである。電極接触分解がまた、明白な失敗機構でもある。
【0010】
さらにもう1つの既知の LED装置が、図1Cに示されており、これは単一の層(ポリマー)LEDの典型的な横断面図を示す。示されるように、その装置は、基礎支持体を形成するために、薄い ITO層3により被覆されるガラス支持層1を含む。たとえば、回転被覆されたポリマーの薄い有機層5が、 ITO層3上に形成され、そして前に記載される装置のHTL, ETL、及びEL層の機能のすべてを供給する。金属電極層6が、有機層5上に形成される。その金属は典型的には、Mg, Ca、又は従来使用される他の金属である。
【0011】
発光性画素のための有機化合物を使用する多色エレクトロルミネセント像表示装置の例が、Tangなど.,アメリカ特許第 5,294,870号に開示される。この特許は、青色発光性副画素領域に青色光を発光するための有機媒体を含む多くの発光画素を開示する。螢光媒体が、前記青色発光性副画素領域から側部に区切られている。螢光媒体は、有機媒体から放される光を吸収し、そして異なった副画素領域において赤及び緑の光を放す。青色の副画素領域からの青色の光の吸収に基づいて緑又は赤色を放すよう螢光色素によりドープされた材料の使用は、緑又は赤色の LEDを通しての直接的な形成よりも効果的ではない。その理由は、前記効率が(ELのための量的な効率)*(螢光のための量的な効率)*(1−透過率)の積であるためである。従って、この表示の欠点は、異なった側部の空間の副画素領域が放される個々の色のために必要とされることである。
【発明の開示】
【0012】
それぞれ明白な色を放すいくつかのタイプの有機エレクトロルミネセント媒体を用いる多色有機発光装置を提供することが本発明の目的である。
【0013】
有機媒体が、いずれかの色が表示の共通領域から放され得るように積層された形状で配置されている、高い鮮明度の多色表示でのそのような装置を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0014】
動力源を断たれた場合、非常に信頼できる、実質的に透明であり、そして製造するのに比較的安価である3色有機発光装置を提供することが本発明のもう1つの目的である。
【0015】
高い信頼性のコンパクトで有効的であり、そして RGB表示への使用のために低い駆動電圧を必要とする有機 LEDを得るために、エレクトロルミネセントダイオードに使用されるそれらの材料に類似する有機材料の開発により実現されるそのような装置を提供することがさらなる目的である。
【0016】
本発明の1つの態様においては、多色発光装置(LED) 構造体は、積層された構造体を形成するために、お互い上に積層された少なくとも第1及び第2の及び好ましくは3層の有機 LEDを含んで成り、そして個々の LEDは、前記積層物を通して光を放すために別々のバイアス電位を個々の装置が受けることを可能にするために、透明な導電層によりお互い分離されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1Aは、従来技術のダブルヘテロ構造有機発光装置を示す。図1Aの装置の基本的構成が本発明において使用される。
【0018】
図2Aに関しては、本発明の1つの態様において、生長された又は真空付着された有機層により積層される、非常にコンパクトで、統合された RGB画素構造体の横断面が示される。多くの種類の材料(たとえば金属及びITO)上での有機材料の生成する能力に基づいて、1つの態様において、20, 21及び22として表わされる LEDダブルヘテロ構造体(DH)の積層物を構成することができる。例示的な目的のために、図2Aの例においては、LED 20は前記積層物の底部分に、LED 21は中間部分に、そしてLED 22は上方部分に考慮される。また、前記積層物は、図2Aにおいては垂直に配向されて示されているが、しかし LEDは別な配向で示されている。他の態様においては、シングルヘテロ構造体(SH) LEDの積層物(図1Bを参照のこと)、又はポリマー基礎の LED装置の積層物(図1Cを参照のこと)が、DH LEDに対する実施可能な代用物であり、そしてSH装置が光エミッターのためのDH装置として同等に実施できる。また、真空付着された及びポリマー発光材料の組合せを含んで成るSH及びDH装置も、本発明の範囲内にあると思われる。
【0019】
装置20としての個々の装置構造体は、 ITO層35の表面上に真空付着された又は生成された、又は付着された HTL層20Hから成る。上部 ETL層20Tは、たとえば図2Aの装置構成において示される。前者と HTL層20Hとの間にEL層20Eをサンドイッチする。その ETL層20T及び記載される他の ETL層は、有機材料、たとえばM(8−ヒドロキシキノレート)n (M=金属イオン;n=2〜4)から構成される。他の適切な有機 ETL材料の例は、アメリカ特許第 5,294,870号(Tangなど)に見出され得る。典型的には50Å〜 400Åの範囲の厚さを有する、薄い半透明の低い仕事関数(好ましくは、<4eV)の金属層26Mが、 ETL層20Tの上部に形成される。適切な候補体は、Mg, Mg/Ag、及びAsである。もう1つの透明な薄い導電性 ITO層26Iが、金属層26Mの上部に付着される。(本明細書での便利さのために、金属層26M及び ITO層26Iの二重層構造体は、 ITO/金属層26として言及される。)20, 21、及び22としてのダブルヘテロ構造体装置の個々は、ITO 26I又は35の透明な導電性層上に形成される底部 HTL層を有する。次に、EL層が付着され、そして次に、もう1つの ETL層が付着される。 HTL, ETL, ITO、金属及び有機EL層の個々は、それらの組成及び最小の厚さのために透明である。個々の HTL層は50Å〜1000Å超の厚さであり得;個々のEL層は50〜 200Å超の厚さであり;個々の ETL層は50〜1000Å超の厚さであり;個々の金属層26Mは50〜100 Å超の厚さであり;そして個々の ITO層26I及び35は、1000〜4000Å超の厚さであり得る。最適な性能のためには、個々の層は好ましくは、上記範囲の下限に維持されるべきであるが、しかしそれらの範囲は限定を意味するものではない。従って、個々のLED 20, 21及び22(ITO/金属層を除く)は、好ましくは、 200Åの厚さに近い。
【0020】
DH LED装置よりもむしろSH LED装置がLED 20, 21, 22を供給するために使用される場合、 ETL及びEL層は、図1BのSHのためにこれまでに記載されるように、単一層、たとえば層13により供給される。この層13は典型的にはAl−キノレートである。これは図2Bに示されており、ここでEL層20E,21E、及び22Eは、それぞれ、EL及び ETL層機能を供給する。しかしながら、図2BのSH LED積層体に対する、図2AのDH LED積層体の利点は、DH LED積層体が高い効率を有する全体的により薄い構造を可能にする。
【0021】
図2A及び2Bにおいては、個々の LEDの中心はお互いはずされていても、個々の装置からの全体の光線は、LED 20, 21及び22間で実質的に一致する。光線は集中的な形状において一致するが、ガラス支持体に近い発光又は非発光装置は、ガラス支持体からさらに遠い発光装置に対して透明であろう。しかしながら、ダイオード20, 21、及び22は、お互い中心がはずされる必要はなく、そしてお互い上に集中的に交互に積層され、その上に、個々の装置からの光線が完全に他と一致する。集中的な形状は、加工装置に関して下記に記載されるであろう図12Eに示される。オフセット及び集中的形状間での機能的な差異は存在しないことを注目すること。個々の装置は実質的に全方向性のパターンでガラス支持体37を通して光を放す。積層体29における3個の LEDを通しての電圧は、いずれかの時点での特定の画素のために所望する得られる発光色及び明るさを提供するよう調節される。従って、22, 21及び20としての個々の LEDは、図2A及び2Bに図示されるように、可視又は透明層を通して方向づけられる、それぞれR,G及びBとしての光線と同時に電圧を付与され得る。個々のDH構造体20, 21及び22は、適切なバイアス電圧の適用に基づいて、異なった色の光を放すことができる。ダブルヘテロ構造体LED 20は青の光を放す。ダブルヘテロ構造体LED 21は緑の光を放し、そしてダブルヘテロ構造体(DH)LED 22は赤の光を放す。LED 20, 21及び22の異なった組合せ又は個々の LEDは、個々のLED 20, 21及び22における電流の大きさに部分的に依存してそれぞれの画素のための光の所望する色を選択的に得るために活性化され得る。
【0022】
図2A及び2Bの例においては、LED 20, 21及び22は、それぞれ電池32, 31及び30により前方にバイアスされる。電流は、個々の電池32, 31、及び30の正の端子からそれぞれその関連するLED 20, 21及び22のアノード端子にそれぞれの装置の層を通して、及びカソードを端子として作用する端子41, 42及び43からそれぞれ個々の電池32, 31及び30の負の端子に流れる。結果として、光が、LED 20, 21、及び22の個々から放される。 LED装置20, 21及び22は、それぞれ電池32, 31及び30を、それらのそれぞれの LEDへの連結に及びその連結から選択的に切替えるための手段(示されていない)を包含することによって、選択的に電圧を付与される。
【0023】
図2A及び2Bに関する本発明の態様においては、LED 22のための上部 ITO接触物26Iは透明であり、示される3種の色の装置をヘッド−アップ表示用途のために有用にする。しかしながら、本発明のもう1つの態様においては、上部コンタクト26Iは、装置の効率を実質的に高めるために支持体13を通して、放される光を上後方に反射するために、厚い金属、たとえばMg/Ag, In, Ag又はAuのいずれかから形成される。また、全体の装置効率は、反射防止表面を供給するために、ガラス支持体37と ITO層35との間に多層の誘電性薄フィルム被膜を形成することによって高められ得る。3組の反射防止層が必要とされ、1つは種々の層から放される個々の波長で反射防止被膜を形成するためである。
【0024】
もう1つの態様においては、図2Aの装置が形成機として底部よりもむしろ積層体の上部からの発光を提供するために、反対の2は逆転された態様で構成される。図2Cに関する逆転された構造体の例は、厚い反射性の金属層38により ITO層35を置換することである。次に、青色のLED 20が、 HTL層20H及び ETL層20Tを相互交換することによって提供され、そしてEL層20Eは後者の2つの層間にサンドイッチされたまま存続する。さらに、金属コンタクト層26Mが、 ITO層26Iの上部に付着される。積層物の緑色のLED 21及び赤色のLED 22部分が逆転された層(個々の HTL及び ETL層が相互交換され、続いて金属及び ITO層が逆転される)により、逆転された青色のLED 20のために、記載されるようにしてそれぞれ構成される。逆転された構造体においては、青色の装置20は上部に存在すべきであり、そして赤色の装置22は底部に存在すべきであることを注目すること。また、電池30, 31及び32の極性が逆転される。結果として、それぞれ、装置20, 21及び22を通しての電流の流れが、光を放すために前方にバイアスされる場合、図2Aの態様に対して同じ方向に存在する。
【0025】
横断面図での装置は、この例においては、段階のような又は階段的プロフィールを有する。透明コンタクト部分(ITO) 26Iは、積層体における個々の画素要素の別々のバイアスを可能にし、そしてさらに、前記材料は、加工段階の間、エッチング停止として使用され得る。個々のDH LED構造体20, 21及び22の別々のバイアスは、 CIE(Commiosion Internationale de 1' Eclairage/International Commission of Illumination) 色度標準で定義されるような可視スペクトルの種々の所望するいずれかの色への画素出力の波長同調を可能にする。青色を放すLED 20は、積層体の底部に配置され、そしてそれは3種の装置のうち最大である。青色は、それが赤及び緑の光に対して透明であるので、底部上に存在する。最後に、透明な ITO/金属層26を用いての材料“分割”は、記載されるように本発明の装置の製造を促進する。それは、たぶん図2A,2B及び2Cに示される画素 LED装置を製造する有機化合物に関連する真空生長及び加工工程の非常にユニークな観点である。図2A,2B及び2Cに示される垂直積層化は、最小の可能な部分を有する3種の色の画素の加工を可能にし、従って、高い鮮明度の表示のためにそれらを理想的にする。
【0026】
図2A,2B及び2Cに見えれるように、個々の装置DH構造体20, 21及び22は、それぞれ矢印B,G及びRにより示される光を、同時に又は別々に放すことができる。放された光は、個々のLED 20, 21及び22の実質的に全体の横断部分からであり、それにより前記R,G及びBの矢印は実際の放された光の幅の代表ではないことを注目すること。この場合、R,G及びBとしての加色又は減色は、異なった色及び色相の知覚を引き起こす眼により調整される。これは色覚の分野においては良く知られており、そして比色法を示す。示されるオフセット形状においては、赤、緑及び青の光線は実質的に一致する。種々の色のうちいずれか1つの色が積層体から製造され、そしてそれが単一の画素に起因する1つの色として現われるであろう。
【0027】
DH構造体に使用される有機材料は、他の構造体の上部上で生長された材料であり、又は前記上部上の赤の光を示す最長の波長の装置22及び前記底部上の青の光を示す最小の波長の要素20により垂直に積層される。この態様においては、画素又は装置における光の吸収を最少にする。個々のDH LED装置は、 ITO/金属層26(特に、半透明の金属層26M、及び酸化インジウム錫層26I)により分離される。 ITO層26Iはさらに、暴露された ITO表面上に明白なコンタクト領域、たとえばコンタクト40, 41, 42及び43を供給するために金属付着により処理され得る。それらのコンタクト40, 41, 42及び43は、インジウム、白金、金、銀又はアロイ、たとえばTi/Pt/Au, Cr/Au又はMg/Agから加工される。従来の金属付着又は蒸着を用いての接触物の付着のための技法は良く知られている。コンタクト、たとえば40, 41, 42及び43は、積層物における個々の LEDの別々のバイアスを可能にする。有機 LED材料と透明な電極26Iとの間の有意な化学的差異は、エッチング停止層としての電極の作用を可能にする。これは、装置加工の間、個々の画素の選択的エッチング及び暴露を可能にする。
【0028】
個々のLED 20, 21, 22は、個々の LEDの発光を可能にする、それぞれ電池32, 31及び30として図示されるこの例において、バイアス電位のそれ自身の源を有する。適切なシグナルが、それぞれ電池30, 31, 32の代わりに使用され得ることが理解される。知られているように、 LEDは光を放すために最小の限界電圧を必要とし(個々のDH LED)、そして従って、この活性化電圧は電池記号により図示されている。
【0029】
EL層20E,21E,22Eは、すべての主要な色及びその中間体を生成するそれらの能力に従って選択された有機化合物から加工され得る。前記有機化合物は一般的に、三価金属キノレート複合体、三価金属架橋されたキノレート複合体、Schiff塩基二価金属複合体、錫(iv)金属複合体、金属アセチルアセトネート複合体、金属二元リガンド複合体、ビスホスホネート、二価金属マレオニトリルジチオレート複合体、分子電荷トランスファー複合体、芳香族及び複素環式ポリマー、及び稀土類混合キレートから選択される。
【0030】
三価金属キノレート複合体は、図3に示される構造体により示され、ここでMは周期表の第3〜13族及びランタン系列元素から選択された三価金属イオンである。Al+3, Ga+3及びIn+3が好ましい三価金属イオンである。
【0031】
図3のRは、水素、置換された及び置換されていないアルキル、アリール及び複素環式基を包含する。アルキル基は、直鎖又は枝分れ鎖であり得、そして好ましくは、1〜8個の炭素原子を有する。適切なアルキル基の例は、メチル及びエチルである。好ましいアリール基はフェニルであり、そしてRのための複素環式基の例は、ピリジル、イミダゾール、フラン及びチオフェンを包含する。
【0032】
Rのアルキル、アリール及び複素環式基は、アリール、ハロゲン、シアノ、及びアルコキシ(好ましくは1〜8個の炭素原子を有する)から選択された少なくとも1つの置換基により置換され得る。好ましいハロゲンは、クロロである。
【0033】
図3の基Lは、リガンド、たとえばピコリルメチルケトン、置換された及び置換されていないサリチルアルデヒド(たとえばバルビツール酸により置換されたサリチルアルデヒド)、式R(O)CO−(ここで、Rは上記で定義された通りである)で表わされる基、ハロゲン、式RO−(ここで、Rは上記で定義された通りである)で表わされる基、及びキノレート(たとえば、8−ヒドロキシキノリン)及びその誘導体(たとえばバルビツール酸により置換されたキノレート)を表わす。図3に示される式により転換される好ましい複合体は、MがGa+3であり、そしてLがクロロである化合物である。そのような化合物は青の発光する。MがGa+3であり、Lがメチルカルボキシレートである場合、青〜青/緑の領域に発光する複合体が生成される。黄色〜赤の発光が、バルビツール酸置換のサリチルアルデヒド、又はバルビツール酸置換の8−ヒドロキシキノリン酸のいずれかをL基のために用いることによって予測される。緑色の発光が、L基のためにキノレートを用いることによって生成され得る。
【0034】
本発明に使用され得る、三価金属架橋されたキノレート複合体が図4A及び4Bに示される。それらの複合体は、緑色の発光を生成し、そして従来技術の装置に使用されるトリスキノレート(Lがキノレートである図3の複合体)に比較して卓越した環境安定性を示す。それらの複合体に使用される三価金属イオンMは上記に定義されており、そしてAl+3, Ga+3又はIn+3が好ましい。図4Aに示される基Zは、式SiR(ここでRは上記で定義された通りである)を有する。Zはまた、ホスフェートを形成する式P=Oの基でもあり得る。
【0035】
Schiff塩基性二価金属複合体は、図5A及び5Bに示されるものを包含し、ここでM1は周期表の第2−12族から選択された二価金属、好ましくはZnである(Y.Hanada, など., ”Blue Electroluminescence in Thin Fiilms of Axomethin-Zinc Complexes”, Japanese Journal of Applied Physics Vol.32, pp.L511-L513(1993) を参照のこと。基R1は、図5A及び5Bに示される構造式から選択される。R1基は好ましくは、アミン、又はピリジル基の窒素原子を通して複合体の金属に配置される。Xは、水素、アルキル、アルコキシ(それぞれ1〜8個の炭素原子を有する)、アリール、複素環式基、ホスフィノ、ハロゲン化物及びアミンから選択される。好ましいアリール基は、フェニルであり、そして好ましい複素環式基はピリジル、イミダゾール、フラン及びチオフェンから選択される。X基は有機溶媒におけるSchiff塩基性二価金属複合体の溶解性に影響を及ぼす。図5Bに示される特定のSchiff塩基性二価金属複合体は、 520nmでの波長で発光する。
【0036】
本発明のEL層に使用される錫(iv)金属複合体は、緑色の発光を放す。式SnL12L22(ここで、L1はサリチルアルデヒド、サリチル酸又はキノレート(たとえば、8−ヒドロキシキノリン)から選択される)を有する化合物が、それらの複合体間に包含される。L2は、水素を除くRについて前で定義されたようなすべての基を包含する。たとえば、L1がキノレートであり、そしてL2がフェニルである錫(iv)金属複合体は、 504nmで発光波長(λnm)を有し、その波長は、固体状態でのホトルミネセンスの測定に起因する。
【0037】
錫(iv)金属複合体はまた、Yが硫黄である図6の構造式を有する化合物、又はR2が水素及び置換されているか又は置換されていないアルキル及びアリールから選択される NR2を包含する。アルキル基は、直鎖又は枝分れ鎖であり得、そして好ましくは、1〜8個の炭素原子を有する。好ましいアリール基はフェニルである。アルキル及びアリール基のための置換基は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル及びアルコキシ、シアノ及びハロゲンを包含する。L3は、アルキル、アリール、ハロゲン化物、キノレート(たとえば、8−ヒドロキシキノリン)、サリチルアルデヒド、サリチル酸、及びマレオニトリルジチオレート(”mnt”) から選択され得る。AがSであり、そしてYがCNであり、そしてL3が”mnt” である場合、赤とオレンジ色との間の発光が予測される。
【0038】
図7に示されるM(アセチルアセトネート)3複合体は、青色発光を生成する。金属イオンMは、周期表の第1−13族の三価金属から選択される。好ましい金属イオンは、Al+3, Ga+3及びIn+3である。図7における基Rは、図3におけるRについて定義されるのと同じである。たとえば、Rがメチルであり、そしてMがAl+3, Ga+3及びIn+3からそれぞれ選択される場合、固体状態におけるホトルミネスセンスの測定に起因する波長は、それぞれ415nm, 445nm及び 457nmである(J.Kidoなど., ”Organic Electroluminescent Devices using Lanthanide Complexes”, Jornal of Alloys and Compounds, Vol.92, pp.30-30(1993)を参照のこと)。
【0039】
本発明に使用される金属二元複合体は一般的に、青色の発光を生成する。
【0040】
そのような複合体は、MDL24(ここで、Mは周期表及びランタニド系の第3−13族の三価金属から選択される)を有する。好ましい金属イオンはAl+3, Ga+3, In+3及びSc+3である。Dは、二元リガンドであり、この例は図8Aに示される。より特定には、二元リガンドDは、2−ピコリルケトン、2−キナルジルケトン及び2−(o−フェノキシ)ピリジンケトンを包含し、ここで図8AにおけるR基は上記で定義された通りである。
【0041】
4のための好ましい基はアセチルアセトネート;R3がSi及びCから選択され、そしてRが上記に記載されるのと同じ基から選択されるOR3Rの化合物;3−ジ(t−bu)フェノール;2,6−ジ(t−bu)フェノール;2,6−ジ(t−bu)クレゾール;及びH2BPZ2を包含し、後者の化合物はそれぞれ図8B−8Eに示される。
【0042】
例によれば、アルミニウム(ピコリルメチルケトン)ビス〔2,6−ジ(bu)フェノキシド〕の固体状態におけるホトルミネスセンスの測定に起因する波長(λnm)は 420nmである。上記化合物のクレゾール誘導体はまた、 420nmで測定された。アルミニウム(ピコリルメチルケトン)ビス(OSiPh3)及びスカンジウム(4−メトキシ−ピコリルメチルケトン)ビス(アセチルアセトネートは 433nmでそれぞれ測定され、そしてアルミニウム〔2−(o−フェノキシ)ピリジン〕ビス〔2,6−ジ(t−bu)フェノキシド〕は 450nmで測定された。
【0043】
ビスホスホネート化合物は、EL層のために本発明に従って使用され得るもう1つの種類の化合物である。ビスホスホネートは、下記一般式:
M2x(O3P−有機物−PO3)y
で表わされる。M2は金属イオンである。それは、四価金属イオンである(たとえば、x及びyの両者が1に等しい場合、Tr+4, Ti+4及びHf+4である)。xが3であり、そしてyが2である場合、金属イオンM2は二価状態で存在し、そしてたとえば、Zn+2, Cu2+及びCd+2を包含する。用語“有機物”とは、上記式において使用される場合、ホスホネート基により二官能化され得るいずれかの芳香族又は複素環式螢光化合物を意味する。
【0044】
好ましいビスホスホネート化合物は、図9A及び9Bに示されるようなフェニレンビニレンビスホスホネートを包含する。特に、図9Aは、β−スチレニルスチルベンビスホスホネートを示し、そして図9Bは4,4’−ビフェニルジ(ビニルホスホネート)を示し、ここでRは前記の通りであり、そしてR4は好ましくは1〜8個の炭素原子を有する、置換された及び置換されていないアルキル基、及びアリールから選択される。好ましいアルキル基は、メチル及びエチルである。好ましいアリール基はフェニルである。アルキル及びアリール基のための好ましい置換基は、アリール、ハロゲン、シアノ、アルコキシ(好ましくは、1〜8個の炭素原子を有する)から選択された少なくとも1つの置換基を包含する。
【0045】
二価金属マレオニトリルジチオネート(”mnt”) 複合体は、図10に示される構造式を有する。その二価金属イオンM3は、+2の電荷を有するすべての金属イオン、好ましくは遷移金属イオン、たとえばPt+2, Zn+2及びPd+2を包含する。Y1はシアノ、及び置換された又は置換されていないフェニルから選択される。フェニルのための好ましい置換基は、アルキル、シアノ、クロロ及び1,2,2−トリラアノビニルから選択される。
【0046】
5は電荷を有さない基を表わす。L5のための好ましい基は、P(OR)3及び P(R)3を包含し、ここでRは上記の通りであり、又はL5はキレートリガンド、たとえば2,2’−ジピリジル;フェナントロリン;1,5−シクロオクタジエン;又はビス(ジフェニルホスフィノ)メタンであり得る。
【0047】
それらの化合物の種々の組合せの発光波長の例示的な例が、表1に示されており、これは、C.E.Johsonなど., ”Luminescent Iridium(I), Rhodium(I), and Platinum(II) Dithiolate Complexes”, Journal of the American Chemical Society, Vol.105, pg.1795(1983)から得られた。
【0048】
【表1】

【0049】
EL層のために本発明において使用される分子電荷トランスファー複合体は、電子ドナー構造体により複合体化された電子受容体構造を含むものである。図11A−11Eは、図11F−11Jに示される電子ドナー構造体の1つと共に電荷トランスファー複合体を形成することができる種々の適切な電子受容体を示す。図11A及び11Hに示されるような基Rは、上記の通りである。
【0050】
それらの電荷トランスファー材料のフィルムは、別々のセルからのドナー及び受容体分子を支持体上に蒸発せしめることによって、又は予備製造された電荷トランスファー複合体を直接的に蒸発せしめることによって調製される。発光波長は、受容体がドナーにより結合されることに依存して、赤〜青の範囲であり得る。
【0051】
固体状態において螢光性である芳香族及び複素環式化合物のポリマーが、EL層のために本発明において使用され得る。そのようなポリマーは、種々の異なった着色された発光を生成するために使用され得る。表IIは、適切なポリマーの例、及びそれらの関連する発光の色を提供する。
【0052】
【表2】

【0053】
本発明に使用するための稀土類混合キレートは、二元芳香族又は複素環式リガンドに結合されるいずれかのランタニド元素(たとえばLa, Pr, Nd, Sm, Eu、及びTb)を包含する。その二元リガンドは、キャリヤー(たとえば電子)を輸送するよう作用するが、しかし発光エネルギを吸収しない。従って、それらの二元リガンドは、金属にエネルギーを輸送するよう作用する。稀土類混合物キレートにおけるリガンドの例は、サリチルアルデヒド及びその誘導体、サリチル酸、キノレート、Schiff塩基性リガンド、アセチルアセトネート、フェナントロリン、ビピリジン、キノリン及びピリジンを包含する。
【0054】
ホール輸送層20H,21H、及び22Hは、ポルホリン性化合物から構成され得る。さらに、そのホール輸送層20H,21H、及び22Hは、その少なくとも1つは芳香族環の員である炭素原子にのみ結合される少なくとも1つの三価窒素原子を含む化合物である少なくとも1つのホール輸送芳香族第三アミンを有することができる。たとえば、芳香族第三アミンは、アリールアミン、たとえばモノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン又はポリマー性アリールアミンであり得る。他の適切な芳香族第三アミン、及びすべてのポルホリン性化合物は、Tangなどのアメリカ特許第 5,294,870号に開示されており、その教授は、そのようないずれかの教授が本明細書における教授と矛盾しない場合、引用によりそれらのすべてを本明細書に組込まれる。
【0055】
本発明の積層された有機 LED三色画素の加工は、次の2種の方法のいずれかにより達成され得る:陰影マスキング方法又は乾式エッチング方法。記載される両方法は、例示目的のために、シングルヘテロ構造体 LED構成を想定し、すなわち個々の活性発光層のために1種のみの有機化合物を使用し、そして光が、底部のガラス支持体表面から発生する。個々の活性発光層のために複数の有機化合物層を有する複数ヘテロ接合有機 LED、及び/又は逆転された構造体(積層体の上部表面から発生する光を有する)がまた、当業者により加工され得、記載される方法へのわずかな改良を加えることが理解されるべきである。
【0056】
本発明の陰影マスキング工程段階は、図12A−Eに例示される。ITO 52の層により被覆されるべきガラス支持体50がまず、煮沸トリクロロエチレン又は類似する塩素化された炭化水素に約5分間、前記支持体50を含浸することによって清浄される。これに続いて、アセトンにおいて約5分間及び次に、メチルアルコールにおいて約5分間すずがれる。次に、前記支持体が超高い純度(UHP) の窒素により吹込み乾燥される。使用される清浄溶媒のすべては、好ましくは“エレクトロニクスグレード”である。清浄工程の後、 ITO層52が従来のスパッタ又は電子線方法を用いて、真空下で支持体50上に形成される。
【0057】
次に、青色を放すLED 55(図12Bを参照のこと)が、次のようにして、 ITO層52上に加工される。陰影マスク73が、 ITO層52の予定された外側の部分上に配置される。陰影マスク73、及び陰影マスキング工程の間に使用される外側のマスクが導入され、そして装置の操作寿命を減じる湿気、酸素及び他の汚染物に装置を暴露しないで、工程段階間で除去される。これは窒素又は不活性ガスにより満たされた環境にマスクを変えることによって、又は遠隔取扱い技法により真空環境下で装置表面上にマスクを遠隔配置することによって達成され得る。マスク73の開口部を通して、50〜100 Åの厚さのホール輸送層(HTL) 54及び50〜200 Åの厚さの青色発光層(EL)56(図12Bに示される)が、空気への暴露を伴わないで、すなわち真空下で連続的に付着される。次に、好ましくは50〜1000Åの厚さを有する電子輸送層(ETL) 58が EL 56上に付着される。次に、ETL 58上に、好ましくは10% Ag 、90% Mg 層、又は他の低い仕事関数の金属又は金属アロイ層から成る半透明金属層60Mが積層される。層60Mは非常に薄く、好ましくは 100Å未満である。層54, 56, 58及び60Mは、多くの従来の直接的な付着技法、たとえば蒸気相付着、イオンビーム付着、電子ビーム付着、スパッタ及びレーザー研磨のいずれか1つの技法により付着され得る。
【0058】
約1000〜4000Åの厚さの ITOコンタクト60Iが次に、従来のスパッタ又は電子ビーム方法の手段により金属層60M上に形成される。本明細書において便利さのために、サンドイッチ層60M及び60Iは、図2の層26と実質的に同じである単一層60として言及され、そして示されるであろう。個々の層60の低い仕事関数の金属部分60Mはその下の ETL層と直接的に接触し、そして ITO層60Iは、そのすぐ上の HTL層と接触する。全装置の加工方法は、段階間の真空を妨げないで、真空を維持することによって最良に達成されることを注意すること。
【0059】
図12Cは、青色発光LED 55を加工するために使用される技法と実質的に同じ陰影マスキング及び付着技法を用いて、層60の上部に加工される緑色発光LED 65を示す。LED 65は、HTL 62、緑色発光層64及びETL 65を含んで成る。第2の薄い(100Å以下の厚さ、半透明であるが、しかし電気的連続性を失なうほどの厚さではない厚さ)金属層60Mが、 ETL層66上に付着され、続いて、もう1つの1000〜4000Åの厚さの ITO層60Iが付着され、第2のサンドイッチ層60が形成される。
【0060】
類似する陰影マスキング及び金属付着方法を用いて層60(特異的には60I上に)上に加工される赤色発光LED 75が図12Dに示される。赤色発光LED 75は、HTL 70、赤色発光 EL 72及びTEL 74から成る。次に、層60I及び60Mの上部サンドイッチ層60が、LED 75上に形成される。図2の態様につい上記に記載されるように、同様に、上部透明 ITO層60Iが、他の態様において、支持体50を通して、上方に向けられた光を後方に反射するための鏡としても機能する適切な金属電極により置換され得、それにより、装置の上部からの光の損失を減じる。個々の ETL層74, 66及び58は50〜200 Åの厚さを有し;個々の HTL層54, 62及び70は 100〜500 Åの厚さを有し;そして個々のEL層56, 64及び72は50〜1000Åの厚さを有する。最適な明度及び効率のためには、 ITO/金属層を包含する個々の層は、上記範囲の下限にできるだ接近して維持されるべきであるが、しかしそれらの範囲は制限を意味するものではない。
【0061】
次に、 ITO層52上の電気的コンタクト51及び59、及び ITO/金属層60の ITO部分60I上の電気的コンタクト88, 89, 92, 94及び96の形成は好ましは、1段階で達成される。それらの電気的コンタクトは、インジウム、白金、金、銀、又はTi/Pt/Au, Cr/Au又はMg/Agであり得る。それらは、装置の残りをマスキングした後、蒸着又は他の適切な金属付着技法により付着され得る。
【0062】
陰影マスキング方法における最終段階は、図12Eに示されるように、絶縁層97により全体の装置を被覆することであり、但し、マスキングされるすべての金属コンタクト51, 59, 88, 89, 92, 94及び96を除く。絶縁層97は湿気、酸素及び他の汚染物に対して不透過性であり、それにより、 LEDの汚染を防ぐ。緑縁層97は、SiO2、窒化珪素、たとえば Si2N3、又は電子ビーム、スパッタ又は熱分解的に増強された又はプラズマにより増強された CVDにより付着された他の絶縁体であり得る。使用される付着技法は、高温が LED特徴を劣化するので、 120℃以上の装置温度に上昇されるべきではない。 120℃は可変的であり、そして本発明に使用される典型的な有機材料の軟化点を表わすことを注意すること。
【0063】
本発明の LED積層体を加工するための乾式エッチング方法が図13(A−F)に示されている。図13Aに関しては、ガラス支持体 102がまず、上記に記載される陰影マスキング方法におけるのと同じ態様で清浄される。次に、 ITO層が、従来のスパッタ又は電子ビーム方法を用いて真空下でガラス支持体 102上に付着される。次に、 HTL 104、青色 EL 105, ETL 106、及び金属層 107M及び ITO層 107Iを含んで成るサンドイッチ層(すべては一般的に、陰影マスキング方法におけるのと同じ厚さである)が、従来の真空付着又はポリマーの場合、回転又は噴霧被覆技法のいずれかを用いて、 ITO層 101の全表面上に付着される。 ITO/金属層 107は、 100Å以下の厚さの、 ETL層 106上に直接的に付着される低仕事関数の金属層 107M、及び金属層 107M上の1000〜4000Åの厚さの ITO層 107Iから成る ITO層 107Iの全上部表面上に、1000Å〜2000Åの厚さの窒化珪素又は二酸化珪素マスキング材料の層 108が低温プラスマ CVDを用いて付着される。次に、陽性ホトレジスト層 109、たとえば HPR 1400Jが、窒化珪素層 108上に回転付着される。図13Bに示されるように、ホトレジスト層 109の外側部分110(図13Aを参照のこと)が、標準の写真平版方法を用いて、暴露され、そして除去される。暴露された外側部分 110は、底部 ITO層 101は、暴露され、そして電気的に接触されるべき領域に対応する。図13Cに関しては、除去されたホトレジスト部分に対応する窒化珪素層 108の外側領域111(図13Bに定義される)が、 CF4:O2プラズマを用いて除去される。次に、イオンミル技法又は他のプラズマエッチングを用いて、 ITO/金属層 107I及び 107Mの暴露された外側部分が除去される。次に、O2プラズマが使用され、それぞれ ETL層 106、EL層 105及び HTL層 104の対応する暴露された外側部分が連続的に除去され、そしてまた、図13Dに示される残りのホトレジスト層 109が除去される。最終的に、 CF4:O2プラズマが再び適用され、窒化珪素マスク 108が除去され、図13Dに示される青色 LED形状がもたらされる。
【0064】
乾式エッチング工程段階の同じ順序が、青色 LEDの上に緑色 LEDを加工するために使用され、但し SiNx 150 が示されるようにオーバーレイされ、続いて ITO層 101の外側部分をマスクするために、図13Eに示されるようにホトレジストマスク 113によりオーバーレイされる。次に、 HTL層 114、緑色EL層 116及び同様のものの付着が行なわれる(図13Fを参照のこと)。次に、青色 LEDに使用される同じ写真平版及びエッチング技法が、緑色 LED 115の形成を完結するために使用される。赤 LED 117が次に、実質的に同じ乾式エッチング方法を用いて、緑色 LED上に形成される。次に、図12Eの層97に類似する不動態化層 119が、陰影マスキング工程について記載されるようにして、電気的コンタクトを暴露するための適切なパターン化により LED積層物上に付される。ホトレジストマスクが、不動態化層 119への穴の乾式エッチングを可能にするために使用される。次に、金属 152がその穴に付着される。最終ホトレジスト層及び過剰の金属が、“リフト−オフ”工程により除去される。
【0065】
LED積層加工に続いて、陰影マスキング、乾式エッチング又は他の方法のいずれかにより実施されても、積層体は、許容できる装置性能及び信頼性を達成するために正しくパッケージされるべきである。図14(A−C)は、パッケージグを促進するための、及び本発明の多色 LED装置の4種までのための密封パッケージを供給するための本発明の態様を示す。図14(A−B)に使用される同じ参照番号が、図12Eにおけるような同一のそれぞれの特徴を示す。パッケージがまた、図13Fのほぼ同一の構造体と共に使用され得る。図14に関しては、絶縁層97、たとえば SiNxにより完全な装置を被覆した後、接近穴120, 122及び 124が、この例において、それぞれ青、緑及び赤色LED(有機発光ダイオード)のために最上部の金属層60M’,60M''、及び60M''' を暴露するために既知のエッチング/光マスキング技法を用いて形成される。その後、適切な金属回路の路126, 128及び130(典型的には全材料の)が、従来の加工段階を用いて、それぞれ配置されたインジウムはんだ隆起物132, 133及び 134を縁取りするために、それぞれ、暴露された金属層60M’,60M''、及び60M''' からの路に付着される。同様に、アノード電極末端が、内部端接触 ITO層52、及び配置されたインジウムはんだ隆起物 136の縁で終結する外部端を有するように形成された金属(たとえばAu)回路の路 135を通して供給される(すべては、従来の方法を通して供給される)。次に、装置が、追加の絶縁材料、たとえば SiNxにより被覆され、1つの端にそって暴露されるはんだ隆起物 132, 133, 134及び 136を有する絶縁された被覆が形成される。この態様においては、有機 LED装置が、従来の技法、又はすぐ下記で記載されるような本発明のパッケージング態様を用いて容易にパッケージされ得る。
【0066】
パッケージされた形状で共通する支持体50上に4種の多色 LED装置を製造するための方法が、本発明のもう1つの態様のために、それぞれ図14A,14B、及び14Cに記載されるであろう。出発材料は、酸化インジウム錫(ITO) 52の被膜により被覆されたガラス支持体50を包含する。次の段階が、パッケージされた多色有機 LEDアレイを得るために使用される:
1.従来の技法を用いて、 ITO層52の上部に、集中的な四角バンド環パターン(この例においては、いくつかの他のパターンが使用され得る)でSiO2層 138を付着するために ITO層52をマスクする。
【0067】
2.図12E又は13F及び14Aの構造体のいずれかを得るために上記に教授されるような方法を用いて、 ITO層52上の領域 140に4種の3色 LED積層体共有層を形成する。
【0068】
3.陰影マスキングにより金属コンタクト 170〜181 を付着する;個々は、外部電気連結又は結合パッド 170’〜 181’を供給するためにSiO2層 138上の外部端で終結する。図14Aにおけるコンタクト126, 128及び 130は、あらゆる連続的な3種のコンタクト 170〜181 と同じであることを注意すること。3種のコンタクトの個々のグループ、すなわち 170〜172, 173〜175, 176〜178 及び 179〜181 は、それぞれ、4種の有機 LED装置の個々の金属層60M’,60M'',60M''' との電気的結合を提供するためにそれらの内部又は他の端で終結する。もう1つの金属コンタクト 182は、この例においては、共通するアノード連結を供給するために、 LED装置のすべての4種に共通する ITO層52の端上に、陰影マスキングにより付着される。適切なマスキング及びエッチングにより、4種の LED装置は完全に独立した層で製造される場合、4種のアノードコンタクトはそれぞれ、後者のアレイのために供給されるべきであり、その結果、それは多様化された態様で作動され得る。この例に記載される多色 LEDアレイは、多様化されていないアレイである。
【0069】
4.2種の段階における“L”形状化されたマスクを用いての陰影マスキング、又は写真平版法により、たとえば、スパッタ、又はプラズマ増強された CVD、又は電子ビーム付着のいずれかを用いて、暴露された結合パッド 170’〜 181’を残して連続バンド又は環に第2のSiO2層 184を付着する。
【0070】
5.第2のSiO2層又はバンド 184の上部の連続バンド又は環 186にPb−Sn又は他の低温溶融はんだを付着する。
【0071】
6.はんだシール環 186と同時に存在する金属環 190をカバーガラス 188の底に付着する。
【0072】
7.不活性ガス雰囲気、たとえば無水窒素下に前記アセンブリーを配置し、そして気密シールを得るためにはんだ環 186を溶融するために熱を適用し、そして不活性ガスが内部領域 192にトラップされる。
【0073】
8.図14Bに示されるように、アセンブリー上にカバーガラス 188を設置し、そして金属環 190がはんだ環 186に対して隣接する。
【0074】
図15に関しては、 RGB有機 LED表示である表示 194が示される。ドット 195は省略である。 194としての完全な表示は、多くの画素、たとえば 196を含んで成る。画素は、 ITOにより被覆されるガラスシートの全表面積を被覆するためにXYマトリックスとして配置される。個々の画素は、図2に示されるような積層された LED構造体を包含する。電池30, 31及び32(図2)のような固定されたバイアス手段を有する代わりに、青(B)、緑(G)及び赤(R)として図2に示される末端の個々のラインが引き出され、そしてそれぞれ、適切な水平及び水垂スキャンプロセッサー 197及び 198に結合され、すべてはTVユニットであり得る表示発生機 199の制御下にある。従って、 LEDの個々のマトリックスは、少なくとも2つの軸(x,y)を有し、そして個々の LEDは少なくとも2の前記軸の交点で存在する。また、x軸は水平軸を表わし、そしてy軸は水垂軸を表わす。テレビジョンシグナル、たとえばNTSCシグナルを色彩表示のための色彩成分R,G及びBにいかにして転換するかは良く知られている。一次色彩のための赤、緑及び青を利用するコンピューターのためのモニターもまた良く知られている。垂直及び水平スキャン技法によるそのような装置の駆動及び制御もまた知られている。表示の表面上に付着される画素構造体の全アレーが、XYアドレスを用いるような典型的なXYスキャン技法を用いてスキャンされる。それらの技法は、活性マトリックス表示に使用される。
【0075】
所望するシグナル含有量に従ってDH LED画素の個々の赤、緑及び青色入力を選択的にエネルギー付与するためにパルス幅調整を使用することができる。この態様においては、表示の個々のラインにおける LEDの個々が、選択的に接近され、そしてアドレスされ、そして多くの手段、たとえばパルス幅調整シグナル、又は階段的に発生された電圧により変向され、単色又は多色が放され、その結果、前記構造体から放される光が予定された形状及び色を有する像を創造する。また、xy軸の個々を連続的にスキャンすることができ、そして垂直に連続的に創造された色を有する像を生成するための光を放すためにマトリックスにおける LEDの選択された1つの LEDを連続的に電圧をかけることができる。 LEDの選択された1つは、同時に電圧をかけられる。
【0076】
上記のように、図2に示される垂直積層技法は、非常に小さな部分内での3色DH LED画素の加工を可能にする。これは、高い鮮明度の表示、たとえば1インチ当たり 300〜600 又はそれ以上の線解像度を有する表示を可能にする。そのような高い解像度は、異なった色彩を発生する有機発光層又は螢光媒体がお互い横方向に配置される従来の技術を用いて得ることは相当により困難である。
【0077】
近代的な標準に基づけば、平方インチの部分内に垂直的に及び水平的に数百の画素ダイオードを積層することを可能にするために十分に小さな効果的部分を、図2に示されるような LED装置に供給することができる。従って、加工技法は、高い光の強さを有する非常に高い解像度の達成を可能にする。
【0078】
図16においては、N個までの個々のLED(ここでNは、1,2,3…Nの整数である)の積層物を包含する多色 LED装置についての本発明のもう1つの態様である。いずれかの本来の時点での技法の状態に依存して、Nは実質的な制限を有するであろう。たとえば、積層されたNレベルの LEDは、図12(A−E)において記載された陰影マスキング加工段階、又は図13A〜13Fに示される乾式エッチング工程のいずれかを用いて供給され得る。図16の積層されたアレイ基礎又は底部分は、図13Fに示されるようなガラス支持体 102であり、そして ITO層 101がその支持体 102上に形成される。前記積層する第1の LED装置、及び次の LED装置はそれぞれ、 ITO層 101上に連続して、 HTL層 154、EL層 156、 ETL層 158、金属層16及び ITO層 162を含む。N番目のレベルの LED装置 164はさらに、その最上部の ITO層 162上に形成される最上部金属層(図13Fの層 152を参照のこと)を含む。不動態化層 119が、図13Fの色彩積層体におけるように、積積体の上に付着される。個々の LED装置の個々のEL層 156のための材料が、関連する LEDのために特定の色彩を供給するために選択される。3色装置におけるように、より短い波長(青)の装置は、赤色を放す層による光学的吸収を回避するためにより長い波長(赤)の装置よりも、積層体において低い部分に積層すべきである。個々のそれぞれの LEDのために選択された色、及び積層された LEDの実際の数は、特定の用途、及び供給される所望する色及び濃淡化能力に依存する。そのような多色装置はまた、光学通信ネットワークにも使用され得、ここで個々の異なった光学チャネルが積層体における一定の装置から放される異なった波長を用いて伝達される、放された光の固有の集中性質は、単一の光学伝達繊維中へのいくつかの波長のカップリングを可能にする。実際のそのような積層されたアレイにおいては、接近穴が、個々の装置のITO 層 162に下方に形成され、続いて、図14A,14B、及び14Cの積層された多色 LED装置について記載される態様に類似する態様で、積層体における LED装置の個々にパッケージング及び電気的連結を促進するために適切な金属化付着される。
【0079】
この装置は、低い費用、高い解像度、高い明るさの十分な色、いずれかのサイズの平らなパネル表示を提供するために使用され得る。これは、数ミリメーターほどの小さなサイズからビルディングサイズまでの表示装置を付与することにより本発明の範囲を広くする。この表示装置上に創造される像は、個々の LEDのサイズに依存して、いずれかの解像度での十分な色彩の本文又はさしえである。
【0080】
本発明者は、図1A〜16の記載に関して上記のような多色有機 LEDが、OLED装置が電力を切られる場合、使用者に対して実質的に十分な透明であるよう改良される場合、そのような透明な有機発光装置(この後、 TOLEDと称す)が、ベッド−アップ装置及び他の用途への使用のために直接的に適用されることを認識した。この記載のためには、ヘッド−アップ表示装置は、電力を切られる場合、使用者に対して実質的に透明であり、それにより、使用者に透視能力を提供する。前記装置のうち一定の1つ又は複数の装置が電圧を付与される場合、この例においては光を放すよう電圧を付与される場合、表示装置の効果を与えられた部分が、本発明の下記態様を組込む上記有機 LEDにより個々の又は多色表示を照らす。これを達成するために、本発明者は、典型的には、既知の従来の方法を用いる場合に生じるような、下にある層に対する損傷を引き起こさないで、有機発光装置(OLED)に使用されるような軟質の材料上への透明な電気コンタクトの付着において従来技術に包含される困難性を克服するための方法及び装置を思いついた。本発明者は、それらの問題を克服する場合、OLED装置が、使用者に対して実質的に透明であるコンタクトを生成するために本発明の下記態様からそれ自体、有益である、種々の他の表示技法を用いるヘッド−アップ表示に使用され得ることを理解する。たとえば、本発明から有益である用途は、オートバイ用ヘルメット、又は戦闘機パイロット用ヘルメットのまでさしに使用されるヘッド−アップ表示装置であり、個々は、ゲージ、地図、旅程、及び同様のもののための直接的な観察表示を提供するためにOLEDによりパターン化されている。そのようなOLEDヘッド−アップに基づく表示装置を使用する他の用途は、フロントガラス、テレプロンプター及び同様のもの上での表示装置をまた包含する。ビデオゲーム表示装置及び他のタイプの表示装置はまた、本発明のOLEDを含むことができる。従って、下記の本発明の態様は、技術の状態における有意な段階の前進を表わすように思える。
【0081】
硬質材料、又は約50℃を越える温度により影響されない材料、たとえば無機太陽電池に使用される珪素(Si)上に透明なコンタクトを付着するための方法は知られている。本発明の下記態様の意図された有益性は軟質材料、たとえば有機層上での透明なコンタクトの形成に使用するためであるが、本発明の方法及び装置は硬質材料上に透明なコンタクトを付着するためにも使用され得ることが注目されるべきである。
【0082】
アメリカ特許出願番号08/354,674 に対する下記のようにOLEDを供給するための本発明の態様は、吸収バンドから0.5eV(電子ボルト)移行された、実質的に赤である発光バンドを有する装置を供給することが注目されるべきである。結果として、本発明のOLEDは、それら自体の発光スペクトルに対して、及びほとんどの可視スペクトルを通して高い透明性であり、それにより、無機半導体光エミッターに見出されない性質を提供する。実質的に透明なコンタクトを供給するための下記に記載されるような本発明の態様の使用により、本発明者は、電力を切られる場合、71%以上の透過率を有し、そして電力を付与される場合、高い効率を有する上部及び下部ダイオード表面から光を放すことができる(1%の量的効率に近づくか又は越える)新規種類の真空付着された有機発光装置を発明した。
【0083】
上記結果を達成するためには、本発明者により克服されるべき最初の問題は、機械的安定性を付与するために下部にある有機層と良好な化学結合を形成できる金属を発見することであった。1つのそのような金属が、マグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の金属アロイフィルムの使用により提供され得ることがわかった。しかしながら、他の金属及び/又は金属アロイフィルム、たとえば弗素ドープされた酸化錫、Ca, In, Al, Sm, Y, Yb, MgAl、及びMg:Agの金属アロイフィルム以外のそれらの材料を含む種々のアロイが、使用のために適用できる(Tangなど. アメリカ特許第 5,294,870号を参照のこと)。Mg:Agのフィルムは、本発明ための好ましい態様を提供すると現在思われている。コンタクトが単一金属から成る場合、その金属は低い仕事関数を有すべきである。コンタクトが金属アロイから成る場合、その金属中の少なくとも1つが、低い仕事関数を有すべきである。Mg:Agを用いる場合、Mgは低い仕事関数を有する。また、選択された金属は、種々の材料との実験を通して決定されるように、有機層との良好な電気結合を保証すべきである。良好な電気結合は、金属コンタクト又は電極が十分な数のキャリヤーを有機層中に注入するであろうことを確かにする。
【0084】
下部有機層との良好な化学結合及び電気接触を提供するための金属又は金属アロイを確立する最初の問題を解決した後、本発明者のための次の問題は、それらの他の性質、たとえば低い電気抵抗を保存しながら、コンタクトをいかにして透明にするかを決定することであった。金属層を非常に薄くすることによって、層のための所望する透明度を得ることは知られている。しかしながら、本発明者は、層は、必要とされる次の加工段階、この例においては、金属層の上部に酸化インジウム錫(ITO) 層を付着する段階から下部有機層を保護するのに十分な厚さのものであるべきであることを認識した。また、たとえば薄いMg層はすばやく酸化し、そしてMg層を保護するために、形成された後、できるだけ早く ITOにより被覆されるべきである。これを実施するための従来の方法は、下部の有機層に損傷を与える、高温及び高電力付着で行なわれる。従って、本発明者は、非常に低い電力及び室温、典型的には22℃(72°F)で金属層上に ITO層を付着するための方法を考えついた。
【0085】
透明である他に、 ITO層はまた、電導性であり、そして従って、Mg:Agにより形成される多層コンタクトの電気抵抗を減じる。 ITOは、単独では使用され得ない。なぜならば、それは有機材料との良好な結合を付与せず(すなわち、それは有機材料に十分に接着しない)、そして典型的には、それは有機電気発光材料中への良好な電子インジェクターではないからである。この例においては、Mg:Ag層は、有機層及び ITOに対する良好な結合を付与し、そして良好な電子インジェクターである。
【0086】
図17においては、透明有機発光装置(TOLED) を提供するために本発明者により製造された工学的原型の横断面図が示される。この例においては、装置30が、 ITOフィルムの厚さに依存して、典型的には20Ω(オーム)/平方のシート抵抗率を有する透明な酸化インジウム錫(ITO) 層フィルム 304により予備被覆されたガラス支持体 302上に構築される。支持体 302は透明なガラスから成るが、この例においては、それはまた、 ITOが被覆され得るいずれか他の透明な硬質支持体、たとえばプラスチック材料によっても供給され得ることを注意すること。また、 ITOフィルムは、いずれか適切な電導性酸化物又は電導性透明ポリマーにより置換され得る。有機フィルムの付着の前、支持体 302は、従来の技法を用いて前もって清浄された。付着は、正孔伝導性化合物N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TDD) の 200Åの厚さの層 306、続いて電子伝導性化合物Alq3(アルミニウムトリス−8−ヒドロキシキノリン)の 400Åの厚さの層 308の10-4トル以下の真空下での昇華により実施された。装置 300に電子注入コンタクトを供給する上部層 310は、薄い(50Å〜 400Å)半透明Mg−Agアロイ電極(40Mg:1Agのおおよその原子比での)の陰影マスキング(示されていない)による付着により製造された。他の原子比、たとえば50Mg:1Agが用途に依存して使用され得るが、しかし本発明はいずれかの特定の比又はコンタクト金属組成に限定することを意味しないことを注意すること。最終的に、 TOLED装置 300は、層 310のMg−Ag表面上にスパッタ付着された第2の 400Åの厚さの ITO層 312によりキャップされる。この第2の ITO層 312は、第2の TOLEDが構築される上部に連続した透明な伝導性表面を供給する(図12, 13及び16の記載についての上記を参照のこと)。 ITO層 312は、許容できる透明度を保持しながら、抵抗率を減じるためにできるだけ厚くされる。電気コンタクト314(負の極性)及び316(正の極性)が、従来の方法を用いて、それぞれ、 ITO層 312及び 304に結合される。
【0087】
100Åの厚さのMg−Ag電極 310を有する TOLEDに関するその上部表面及び支持体装置表面の両者から測定される装置 300の出力が図18に示される。直径1mmのそのような TOLED装置のための典型的な操作条件は、10−4A(アンペア)及び10V(ボルト)の駆動電圧(端子 314及び 316を通して適用される)である。両表面からの発光スペクトルは、これまでに記載されたAlq3に基づく装置に類似するか(C.W.Tang and S.A.VanSlyke, Appl.Phys.Lett., vol.51, 913(1987);及び P.E.Burrows and S.R.Fornest, Appl.Phys.Lett., vol.64, 2285(1993))、但し、後方コンタクトに対する上部コンタクトから出現する光の赤に対する発光のわずかな(10nm)シフトが存在する。これは、 ITOフィルムに比較してMg−Agの吸収スペクトルの差異、及び/又はMg−Ag/ ITO電極における界面状態のための吸収性の差異に起因する。この装置 300からの発光の合計内部量子効率は0.75%であり、これは従来のAlq3に基づくOLEDの効率に相当できる。約10%高い強さが、上部コンタクト 312からよりも支持体 302を通して放される。
【0088】
100Åの厚さのフィルム 310を有する TOLED 300の波長の関数としての透明度が、図19に詳細に示されている。プロットの短い波長端で、装置は、 ITO吸収、Mg−Ag吸収、及びAlq3のLa及びBb状態への強い分子転移の組合せのために非透過性になる。しかしながら、前記装置はAlq3のピーク(53nm)の発光波長で63%の透明度であり、そしてこの透明度は赤の可視光を通して拡張する。いくらかの損失が、Mg−Ag上部コンタクトによる吸収のために、赤外線領域において明白である。図20は、50Å〜 400Åの範囲のMg−Agフィルムの厚さに対する 530nmの波長でのMg−Agコンタクト 310の透過率を示す。92%の透明度が最とも薄いMg−Agフィルムに関して観察された。本発明者により製造された最とも薄い TOLED装置は75Åの厚さのMg−Agコンタクト 310を有し、これは81%のコンタクト透明度及び71%の合計の装置透明度に対応する。図20のデータに対する直線の傾斜は、計算された 180Åの皮膚の深さと適合する、 1.1× 106cm-1のMg−Agの光吸収係数を付与する。
【0089】
上記原型 TOLED装置は緑スペクトル領域において光を放すが、例示される構造体は、吸収から発光への大きなFramk-Condon赤色シフトが多くの有機材料の特徴を示すので、可視スペクトルのいずれかの領域において放す有機装置のために十分に同等に作用すべきであることを注意すること。単純な加工法を用いる場合、従って、多色発光性要素の独立してアドレスできる積層体を構成することが可能である。さらに、この構造体はまた、前で示されたように、ポリマー基材のOLEDのためにも有用である。たとえば、オーバーレイ ITO層を有するMg:Agアロイ薄フィルム層は、改良された透明コンタクト26を供給するために、図2A,2B及び2CのOLED装置の層26M及び26Iとして使用するために;及び改良された透明コンタクト60及び 107を供給するために、図12B,12C,12D及び12Eの層60M及び60I、及び図13A,13B,13C,13D,13E及び13Fの層 107M及び 107Iとして使用するために同様に記載される。同様にオーバーレイ ITO層 312を有するMg:Ag層は、図14AのOLED装置の金属層60M’,60M''、及び60M''' の金属、及び図16のOLED装置の金属層 160の金属の代わりに使用され得る。この態様においては、可視 TOLED多色装置が得られる。
【0090】
有機発光装置のためであろうと又は他の装置のためであろうと、有機材料層上に透明なコンタクトを配置するための方法及び装置が記載されるであろう。この例においては、第1の段階は、この例においては、抵抗加熱されたモリブデンボートからの構成成分の金属原子の熱同時蒸発を用いて、ターゲット有機層の上部に、それぞれ、いくらかの好ましい比、たとえば40:1の比でのMg:Agアロイの薄フィルムを付着することである。図20に関して前で例示されたように金属アロイフィルムの厚さは、得られるコンタクトの透明度の決定において最とも有力である。これを達成するためのシステム又は装置が図21に図示される。蒸発システム及び本発明の他のシステムの次の記載において、この例における発明者により使用される実際の成分が、例示される成分を供給する製造業者の名称及び住所を供給するための次の製造業者のインデックスと共に、下記に与えられる製品列挙に与えられる。
【0091】
図21に示されるような、有機支持体上にMg:Agフィルムを付着するための蒸発システムが詳細に現在記載されるであろう。
【0092】
Mg:Agフィルム蒸発が、 Alcatel粗ポンプ(E3)及びコールトトラップ(E4)と共に、 Alcatel 150 1/秒ターボポンプ(E2)により維持される、約10-7トルの基礎圧力を有する真空チャンバー(E1)において実施される。Ag及びMg源金属が、この例においては、Mg:Agを蒸発し、又は気化するために、10KW(E6)及び1KW(E7)の電源により抵抗加熱されるモリブデン(Mo)ボート(ES)中に負荷される。支持体(E8)がMoボート(E5)上30cm(d1)に位置決定され、そして水冷された非回転性支持体ホルダー(E9)により適切な位置に維持される。Moボート(E5)と支持体(E8)との間の路に位置決定されるシャッター(E10)は、Mg:Ag蒸発により支持体上へのMg:Ag蒸発された一フィルムの付着をそれぞれ可能にし又はブロックするために、開放又は閉鎖位置に遠隔的且つ選択的に操作され得る。好ましい付着システムにおいては、単一シャッター(E10)が、関連するボート(E5)から支持体(E8)へのMg及びAgの蒸気の流れを独立してブロックし又は可能にするために2つのシャッター(10EA, E10B;示されていない)により置換される。2種のより厚いモニター(E12, E13)が、2種のボートからの蒸発速度のための独立した測定値を付与するために、それぞれ、Moボート(E5)の個々の上に配置される。
【0093】
図21のシステムは、記載されるように、支持体(E8)上にこの例のMg:Agフィルムを付着するために次の段階を用いて操作される:
開放位置にシャッター(E10)を位置決定する。
【0094】
1×10-6トル(好ましくは、しかし10-3〜10-10トルの範囲であり得る)に達するまで、蒸気チャンバ(E1)をポンピングする。
【0095】
10KWの電力供給(E6)を開始し、そしてその電力出力をゆっくりと、Agが溶融し始めるまで高める。
【0096】
支持体−フィルムの厚のモニター(E11)上のAg密度及び音のインピーダンスパラメーターを設定する。
【0097】
支持体の厚さのモニター(E11)により記録されるような、Agの付着速度がこの例において 0.1Å/秒であるが、しかし5Å/秒ほどの高さであり得るように、10KW電力供給(E6)の出力を設定する。Agの厚さのモニター(E12)により記録される速度(R1)を注意すること。
【0098】
必要な場合、10KWの電力供給(E6)の出力を調整することによって、付着工程の間じゅうR1を一定に維持する。
【0099】
支持体−フィルムの厚さのモニター(E11)上のMgバラメーターを設定する。
【0100】
支持体の厚さのモニター(E11)により記録されるように、Mgの付着速度が5Å/秒であるように(この例においては、それが好ましいが、しかし 0.1Å/秒〜10Å/秒の範囲でもあり得る)、1KWの電力供給(E7)の出力を設定する。Mgの厚さのモニター(E13)により記録される速度(R2)を注意すること。
【0101】
必要とされる場合、1KWの電力供給(E7)の出力を調節することによって、付着工程を通してR2を一定に維持する。
【0102】
支持体ホルダー(E9)上に支持体(E8)を積層する。
【0103】
シャッター(E10)を開放位置に位置決定する。
【0104】
この例においては好ましいが、しかし他方では、50Å〜 500Åの範囲であり得る、 100ÅのMg:Agアロイを付着する。
【0105】
Mg:Agアロイフィルムが支持体(E8)上に付着された後、その支持体は、熱蒸発チャンバー(E1)からロードロックチャンバー(S4)(図22を参照のこと)を通してRFスパッタシステム中のスパッタチャンバ(S1)に移される。この移行の間、サンプルは、この例においては、真空、又は不活性雰囲気、たとえば窒素又はアルゴンガス雰囲気下に維持される。
【0106】
次に、酸化インジウム錫(ITO) フィルムが、チャンバー(S1)におけるRFスパッタによりMg:Ag金属アロイフィルムの上部に付着される。 ITOフィルムの抵抗率は、 1.5×10-3Ωcmである。この例においては、 ITOフィルムは 400Åの厚さである。
【0107】
図23に示されるように、スパッタシステムは、この例においては、 CTI-Cryogenics Cryo-Torr8低温ポンプ(S2)により維持される、1×10-3トル〜1×10-9トルの間の範囲である基本圧力(低い基本圧力が周囲ガスとの相互作用を減じるために好ましい)の間の範囲の基本圧力を有する高い真空性のチャンバー(S1)に収容される。ゲート弁(S3)を通してこのチャンバーに、 Leybold Turbovac 50ターボポンプ(S5)により維持される、大気圧〜1×10-10トルの範囲の基本圧力(より低い基本圧力が好ましい)を有するロード−ロックチャンバー(S4)が結合される。前記ロード−ロックチャンバー(S4)を通して、サンプルがスパッタシステム中に導入され、そして付着の完結で抽出される。この例においては、Pure Tech., Inc.により製造されるスパッタターゲット(S6)は、99%の純度を有する、10% SnO2及び90% In2O3(重量)である。ターゲット(S6)は、1/8インチの厚さと共に2インチの直径を有する。1/8インチの厚さの銅支持プレート(S17)が、過剰過熱及び亀裂からターゲット(S6)を防ぐために、ターゲット(S6)の背部に真空エポキシにより結合される。ターゲット(S6)は、 Advanced Energyからの自動整調インピーダンス整合ネットワーク(S9)と共に、 Advanced EnergyからのRF電力供給(S8) (600Wの最大RF電力出力及び13.56MHzの操作周波数を有する)により電圧付与された AJA Internationalからのマグネトロンスパッタガン(S7)に収容される。少なくとも20WのRF電力で供給するいずれかのRF電力供給が十分である。スパッタガン(S7)及びターゲット(S6)上に位置決定されたシャッター(S10)が、支持体(S11)上でのスパッタされたフィルム付着をそれぞれ可能にし、又は防ぐために、開放又は閉鎖位置に選択的に位置決定され得る。支持体(S11)は、シャッターされたターゲット(S6)の15cm(d2)上に位置決定され、そして水冷却された非回転性支持体ホルダー(S12)により適切な位置に維持される。d2 は好ましくは、5cm〜30cmの範囲であるが、しかしそれ以上でもあり得ることを注意すること。付着されたフィルムの厚さは、支持体(S11)の次に位置する校正された、フィルムの厚さのモニター(S13)により測定される。スパッタガスは、アルゴン(Ar)(99.9999%の純度) 及び酸素(O2) (99.998%の純度)の混合物である。スパッタチャンバー(S1)中へのガスの流れは、個々の MKS質量流れコントローラー(S14)により調節される。スパッタチャンバー(S1)の内部のガス圧は、MKS Baratronタイプ 121A絶対圧力変換機(S15)によりモニターされ、そして低温ポンプ(52)の前方に位置決定される蝶形弁(S16)により調節される。
【0108】
図23のスパッタシステムは、次の操作段階を用いて、Mg:Agの上部に ITO層を付着するように作動する:
真空チャンバー(E1)からサンプルを除去する。
【0109】
前記サンプルを負荷チャンバー(S4)中に導入する。
【0110】
前記ロードロックチャンバーを、それがその基圧圧力に達するまで、ポンピングする。
【0111】
前記サンプルを前記スパッタチャンバー(S1)に移し、そしてスパッタターゲット(S6)上にそれを位置決定する。
【0112】
閉鎖位置でのターゲットシャッター(S10)を位置決定する。
【0113】
200sccmの好ましい速度(システムポンピング速度に依存して、20sccm〜1,000sccm の範囲であり得る)でのスパッタチャンバー中へのアルゴン(Ar)ガス流、及び好ましくは0.1sccm(アルゴンガス流速及びスパッタ力の両者に依存して 0.0sccm〜100sccm の範囲であり得、ここでO2の早い流れがより高いスパッタ力のために必要とされる)での酸素(O2)流を設定する。
【0114】
この例においては好ましいが、しかしプラズマの開始及び維持のために十分であるべきである20mトルのチャンバー圧力を維持するために蝶形弁を設定する。
【0115】
15W〜30Wの間の及びそれを可能にできる出力電力にRF電力供給(S8)を設定する。自動整調されたインピーダンス整合ネットワーク(S9)が最適な設定を見出す場合、プラズマが開始すべきである。
【0116】
電力が次の段階において減じられるようにプラズマを維持するために、スパッタチャンバー(S1)内の圧力を蝶形弁(S16)を設定することによって減じる。
【0117】
5Wに等しいか又はそれよりも低い、RF電力供給(S8)上の出力電力をゆっくり減じ、インピーデンス整合ネットワーク(S9)が変化に対して応答するのに十分な時間を有することを確かにする。
【0118】
開放位置にターゲットシャッター(S10)を位置決定する。
【0119】
ITO層の透明度とその電導性との間の所望するバランスに依存して、50Å〜 600Åの ITOを付着する。
【0120】
本発明の重要な態様は、下部の有機層の損傷を回避するために、この例においては、Mg:Ag層上に ITOの薄フィルムを付着するために ITOをスパッタすることへの低いRF電力(5W又はそれ以下)の使用であることを注意すること。RF電力は、 ITOフィルムのための成長速度を維持しながら、有機層の損傷をさらに回避するために、スパッタチャンバーに異なったガス混合物、たとえば1Xa:10Ar又は1CH3:20Arの混合物を用いることによって、5W以下に減じられ得る。スパッタチャンバーにおけるRF電力は、プラズマの開始を維持するために最小のワット数にゆっくり減じられることが好ましい。
【0121】
参照表示(E1)〜(E13)、図21及び(S1)〜(S17)の付着システム、図23のスパッタシステムのための下記表1に与えられるような製品リストが、その説明、製品又はモデル数、及び関連する製造業者を列挙する。表1は、製造業者のインデックス列挙により、同定した製造業者の名称、及びそれらの最後に知られている住所及び電話番号を供給する。本発明は例示される成分及び製品、並びに製造業者の使用に制限されることを意味せず、そして実験工学的原型を通してそれらの発明を開発する上で本発明者により使用される装置を十分に例示するためにのみ本明細書に供給されることが注意されるべきである。
【0122】
【表3】

【0123】
【表4】

【0124】
【表5】

【0125】
この例において(図17を参照のこと)、Mg:Agフィルム 310上に ITO層 312を生長するための本発明のもう1つの態様においては、 ITO生長速度が、上記に与えられる非破壊性(遅い)方法により最初の50〜100 Åを生成せしめ、続いて、RF電力供給(S8)のためのより高い電力設定値(たとえば、20W〜40W)を用いてコンタクト 312をより厚くする(典型的には、 400〜1000Å)ために前記速度を増すことによって早められることが最近発見された。(S8)のためのより低い電力設定値(たとえば、1W−7W)で生成される50〜100 Åの保護キャップはすでに存在するので、この第2のすばやく生長する ITO層は、最初の ITOの遅く生長するコンタクトを透過し、そして下部のMg:Ag層及び有機層310, 308をそれぞれ破壊する能力を有さない。有機層のためのAlq3及び関連する化合物はこの損傷に対して非常に免疫性があるが、ところが青色の化合物は傷つきやすいことがまた発見された。結果として、本発明は“シングルヘテロ構造体”(図1Aを参照のこと)に、たとえば TPD 306を最初に配置し、次に50Å〜 1,000Åの厚さの範囲の青色発光材料層、続いて 300Å〜 1,000Åの厚さの範囲のAlq3層を配置する。得られる TOLED装置はまだ、青色を発光する。
【0126】
当業者は、本明細書に記載され、そして例示される発明の態様に対する種々の修飾を認識することができる。そのような修飾は、請求の範囲内である。たとえば、本発明のもう1つの態様において、多色積層 LED装置、たとえば図2の上記3色装置が、真空下で積層されるすべての3層を有するよりもむしろ、図3Cに示されるようなポリマー装置又は付着された金属ホスホネートフィルムからLED 20を形成することによって供給され得る。2種の残る積層された LEDは、蒸着又は他の技法により形成され得る。また、Mg:Agアロイは、1Mg:1Ag〜40Mg:1Ag〜 100% Mg の範囲であり得る。さらにもう1つの態様においては、 TOLED装置のための ITO層は、プレスパッタ、噴霧、又は浸漬により形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1Aは従来技術の典型的な有機ダブルヘテロ構造発光装置(LED) の横断面図である。図1Bは従来技術の典型的な有機シングルヘテロ構造発光装置(LED) の横断面図である。図1Cは従来技術の既知の単一層ポリマー LED構造体の横断面図である。
【図2A】本発明の態様に従っての、それぞれの統合された3種の色の画素を使用する結晶質有機発光装置(LED) の横断面図である。
【図2B】本発明の態様に従っての、それぞれの統合された3種の色の画素を使用する結晶質有機発光装置(LED) の横断面図である。
【図2C】本発明の態様に従っての、それぞれの統合された3種の色の画素を使用する結晶質有機発光装置(LED) の横断面図である。
【図3】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図4】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図5】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図6】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図7】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図8A】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図8B】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図8C】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図8D】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図8E】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図9】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図10】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11A】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11B】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11C】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11D】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11E】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11F】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11G】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11H】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11I】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図11J】種々の色を生成するための活性発光層に使用され得る種々の有機化合物を示す。
【図12A】本発明の多色 LEDの加工のための陰影マスキング方法を示す。
【図12B】本発明の多色 LEDの加工のための陰影マスキング方法を示す。
【図12C】本発明の多色 LEDの加工のための陰影マスキング方法を示す。
【図12D】本発明の多色 LEDの加工のための陰影マスキング方法を示す。
【図12E】本発明の多色 LEDの加工のための陰影マスキング方法を示す。
【図13A】本発明の多色 LEDの加工のための乾式エッチング方法を例示する。
【図13B】本発明の多色 LEDの加工のための乾式エッチング方法を例示する。
【図13C】本発明の多色 LEDの加工のための乾式エッチング方法を例示する。
【図13D】本発明の多色 LEDの加工のための乾式エッチング方法を例示する。
【図13E】本発明の多色 LEDの加工のための乾式エッチング方法を例示する。
【図13F】本発明の多色 LEDの加工のための乾式エッチング方法を例示する。
【図14A】そのパッケージングを促進するために形成された本発明の1つの態様の多色 LEDを示す。
【図14B】本発明のもう1つの態様のための気密パッケージの横断面図を示す。
【図14C】図14Bの14C−14Cにそって取られた横断面図である。
【図15】表示駆動回路と共に本発明の LED装置を利用する RGB表示を示すブロック図である。
【図16】積層された LEDの数をNに拡張する本発明のもう1つの態様の LED装置を示し、ここでNは、整数1,2,3…Nである。
【図17】本発明のもう1つの態様のための実質的に透明な有機発光装置(TOLED) を示す。
【図18】図17の発明の態様に関して、ELの強さ(a.u.)対波長(nm)のプロットとしての、 100Åの厚さのMg−Agコンタクト(点線)及び関連する支持体(実線)からの放される TOLEDのスペクトル出力を示す。
【図19】波長の関数としての 100Åの厚さのMg−Ag電極と共に図17の TOLED装置の透過スペクトルの例を示すための透過率(%)対波長(nm)のプロットである。
【図20】図17の TOLED上部コンタクトのプロトタイプを構築するために、 530nmの波長でのMg−Agコンタクトの厚さ対透過率(%)のプロットを示す。
【図21】有機層上に透明なコンタクトを部分的に形成するために、本発明の1つの態様のための支持体上の有機層上にMg:Agフィルムを付着するためのシステムを示す。
【図22】本発明の1つの態様のために、有機層上に透明なコンタクトを形成するために実施されるべき3種の連続的操作を一般的に示すブロック図を示す。
【図23】本発明の1つの態様のために、有機層上に前もって付着されたMg:Ag金属アロイの上部に酸化インジウム錫(ITO) フィルムを付着するためのスパッタチャンバーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を切られる場合、実質的に透明である少なくとも1つの有機光放射装置(OLED)を包含する光放射装置(TOLED) であって、
上部及び底部表面を有する実質的に透明な支持体;
前記支持体の上部表面に適用された、酸化インジウム錫(ITO) の第1の実質的に透明な薄フィルム被膜;
前記 ITO層上に適用されるホール伝導材料の実質的に透明な被膜;
前記 ITO層にオーバーレイする電子伝導性で且つ高いエレクトロルミネセント有機材料の実質的に透明な層;
前記有機材料層上に適用された実質的に透明な金属電極の比較的薄いフィルム;
前記金属電極フィルムにオーバーレイする ITOの第2の実質的に透明な薄フィルム被膜;及び
前記装置に電力を加え、そしてその上部及び底部表面から所定の色の光の放射を引き起こすためにバイアス電圧を受けるための、前記第1及び第2 ITO層に結合された第1及び第2の電気コンタクトを含んで成る TOLED装置。
【請求項2】
前記金属電極がマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)のアロイから成る請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項3】
前記アロイが1Mg:1Ag〜40Mg:1Ag〜 100% Mg の範囲の原子比を有する請求の範囲第2項記載の TOLED装置。
【請求項4】
前記有機材料層がAlq3を含む請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項5】
前記有機材料層がAlq3を含む請求の範囲第2項記載の TOLED装置。
【請求項6】
前記支持体がガラスから成る請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項7】
前記ホール伝導材料が TPDから成る請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項8】
前記ホール伝導材料層が 200Åの厚さである請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項9】
前記ホール伝導材料層が 400Åの厚さである請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項10】
前記金属電極層が、50Å〜 400Åの範囲の厚さを有する請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項11】
前記第1及び第2 ITO層がそれぞれ 2,000Å及び 400Åの厚さである請求の範囲第1項記載の TOLED装置。
【請求項12】
積層された構造体においてお互いの上に積層される複数の前記 TOLED装置;
前記複数の TOLED装置の個々を分離する複数の実質的に透明な電導層;及び
個々の TOLED装置の関連する積層体を通して光を放すためにそれに電力を付与するための別々のバイアス電位をその関連する第1及び第3コンタクト間に、個々の TOLED装置が受容することを可能にするために、前記複数の電導層の1つにそれぞれ個々に結合された複数の第3電気コンタクトをさらに含む請求の範囲第1項記載の発光装置。
【請求項13】
前記積層体における前記 TOLED装置の個々が、電力を付与される場合、積層体を通して異なった波長又は色の光を放す請求の範囲第12項記載の発光装置。
【請求項14】
電力が切られる場合、実質的に透明である多色光放射装置(LED) 構造体を加工するための方法であって、
透明な支持体上に第1の透明な導電層を形成し;
前記第の透明な導電層上に実質的に透明な第1のホール輸送層を付着し;
第1の発光色を提供するために前記ホール輸送層上に実質的に透明な第1の有機発光層を付着し;
前記第1の有機発光層上に実質的に透明な第1の電子輸送層を気相堆積により付着し;
前記第1の電子輸送層上に、第1のバイアス電位を受けるよう適合された第2の透明な導電層をスパターにより付着し;
前記第2の透明な導電層上に実質的に透明な第2のホール輸送層を付着し;
第2の発光色を提供するために前記第2のホール輸送層上に実質的に透明な第2の有機発光層を付着し;
前記第2の発光層上に実質的に透明な第2の電子輸送層を気相堆積により付着し;そして
前記第2の電子輸送層上に、第2のバイアス電位を受けるよう適合された第3の透明な導電層をスパターにより付着する段階を含んで成る方法。
【請求項15】
前記第1の透明な導電層の領域を暴露し、それにより、前記第2の透明な導電層と前記第1の透明な導電層の前記領域との間への前記第1のバイアス電位の適用を可能にするために、前記第1のホール輸送層を付着する前、前記第1の透明な電導層の前記領域を陰影マスキングする段階をさらに含む請求の範囲第14項記載の方法。
【請求項16】
前記第1の透明な導電層の一部を暴露し、それにより、前記第2の透明な導電層と前記第1の透明な伝導層の前記暴露された一部との間への前記第1のバイアス電位の適用を可能にするために、前記第1のホール輸送層の領域をエッチング除去する段階をさらに含む請求の範囲第14項記載の方法。
【請求項17】
前記第1の有機発光層上に第1の電子輸送層を及び前記第2の有機発光層上に第2の電子輸送層を気相堆積する前記段階が、それぞれ、前記支持体上に暴露される、被覆されるべき第1及び第2の有機発光層の1つと共に前記支持体を真空チャンバー中に配置し;
電子輸送層として前記第1及び第2の有機発光層の1つ上に付着されるべき、前記チャンバーにおける配置のための金属又は金属アロイを選択し;
前記真空チャンバー内の圧力を約1×10-6トルに減じ;
前記第1及び第2の有機層の暴露された1の層上に前記金属を気相堆積するための所望する付着速度を生成するために前記金属又は金属アロイ成分を溶融し;
付着される前記金属の厚さをモニターし;そして
所望する厚さに達した場合、前記第1及び第2の有機発光層の1つの層に対する気化された金属の流れを阻止することを包含する請求の範囲第14項記載の方法。
【請求項18】
前記第1の電子輸送層上に第2の透明な導電層を及び前記第2の電子輸送層上に第3の透明な導電層をスパターにより付着する前記段階が、それぞれ、暴露される、第2又は第3の伝導層を受けるための前記第1及び第2の電子輸送層の1つの層と共にロードロックチャンバー中に前記支持体に配置し;
前記ロードロックチャンバーにおける圧力を1×10-7トルに減じ;
前記ロードロックチャンバーから前記スパターチャンバー中に真空下で前記支持体を移し;
スパターターゲット上方に前記支持体を配置し;
前記スパターチャンバー中へのアルゴンガス流を確立し;
前記スパターチャンバー中への酸素流を形成し;
前記スパターチャンバーの圧力を20mトルに維持し;
ターゲットシャッターを開放位置に配置することによって、前記第1及び第2の電子輸送層の暴露された1つの層への前記コンタクトからの材料のスパターを開始するためにプラズマを点火するためのRF電力及びインペーダンス整合のレベルを確立し;
前記プラズマの点火を維持するために前記RF電力のレベルを最小レベルにゆっくりと減じ;そして
前記関連する透明な導電材料の必要とされる厚さをスパター付着した後、前記ターゲットシャッターを閉じ段階を包含する請求の範囲第17項記載の方法。
【請求項19】
前記第1及び第2の電子輸送層が、Mg:Agの金属アロイから子に形成される請求の範囲第17項記載の方法。
【請求項20】
前記アルゴンガスの流量が約 200sccmで確立される請求の範囲第18項記載の方法。
【請求項21】
前記酸素の流量が 0.1sccmで達成される請求の範囲第18項記載の方法。
【請求項22】
前記溶融段階が、
Agのための付着速度を 0.1Å/秒で確立し;そして
Mgのための付着速度を5Å/秒で確立する段階を包含する請求の範囲第19項記載の方法。
【請求項23】
支持体上の有機材料の層に透明な電導性コンタクトを適用するための方法であって;
前記有機材料と化学結合を形成するよう決定された金属材料を選択し;
気相堆積システムの真空チャンバー中に前記支持体を配置し;
前記真空チャンバーにおけるモリブデンボート中の前記金属材料を位置決定し;
前記真空チャンバーに真空を確立し;
前記金属材料を溶融し;
前記有機層上に前記金属材料を付着するための気化/堆積速度を確立し;
金属材料が付着されるにつれて前記有機層上の金属材料の厚さを測定し;
前記金属材料層の所望する厚さが得られる場合、前記有機層上への前記金属材料の付着を停止し;
前記支持体をロードロックチャンバーに移し;
前記ロード・ロックチャンバー内の圧力を減じ、真空を確立し;
前記ロードロックチャンバーに関連するスパターチャンバーの圧力を前記ロードロックチャンバーの圧力に減じ;
前記ロードロックチャンバーから支持体を前記スパターチャンバーに移し;
スパターターゲット上に面し、そしてそのターゲットから間隔をあけて、前記支持体をその有機層と共に位置決定し;
前記スパターチャンバー中へのアルゴン及び酸素ガス流を確立し;
予定されたチャンバー圧力を維持するよう前記スパターチャンバー中の蝶形弁を設定し;
プラズマの点火のために前記スパターチャンバーに対するRF電力を調節し;
前記蝶形弁の再設定を通して前記スパターチャンバー内の圧力を減じ;
前記プラズマの点火を維持するための最小のワット数に前記スパターチャンバーに対するRF電力をゆっくり減じ;
前記ターゲットシャッターをその開放位置に位置決定し;そして
前記スパター標的物から前記有機材料の層に所望する厚さの電導性材料を付着する段階を含んで成る方法。
【請求項24】
前記真空チャンバー内の真空が約1×10-6トルで確立される請求の範囲第23項記載の方法。
【請求項25】
前記ロードロックチャンバーにおける圧力を減じる段階が、1×10-7トルの圧力を確立する請求の範囲第23項記載の方法。
【請求項26】
前記スパターチャンバー中へのアルゴン及び酸素ガスの流量が、それぞれ、 200sccm及び 0.1sccmで設定される請求の範囲第23項記載の方法。
【請求項27】
20mトルのチャンバー圧力が、前記蝶形弁を設定する初期段階の間、前記スパターチャンバーにおいて確立される請求の範囲第23項記載の方法。
【請求項28】
前記蝶形弁の再設定により前記スパターチャンバー内の圧力を減じる前記段階が、−5mトルまで圧力低める請求の範囲第27項記載の方法。
【請求項29】
前記金属材料が、薄フィルムの形でそのアロイを形成するために、マグネシウム及び銀から成る請求の範囲第23項記載の方法。
【請求項30】
前記金属材料のための気化/堆積速度を確立する前記段階が、
0.1/秒のAgのための付着速度を確立し;そして
5/秒のMgのための付着速度を確立する段階を包含する請求の範囲第29項記載の方法。
【請求項31】
前記スパター標的物が ITOから成る請求の範囲第23項記載の方法。
【請求項32】
電力を切られる場合、実質的に透明である少なくとも1つの有機光放射装置(OLED)を包含する光放射装置(TOLED) であって、
上部及び底部表面を有する実質的に透明な支持体;
前記支持体の上部表面に適用された導電性材料の第1の実質的に透明な薄フィルム被膜;
前記導電性材料の第1層をオーバーレイする高いエレクトロルミネセント有機材料を含む少なくとも1つの実質的に透明な層;
前記有機材料の層をオーバーレイする導電性材料の第2の実質的に透明な薄フィルム被膜;及び
前記装置に電圧を加え、そしてその上部及び底部表面から一定の色の光の放射を引き起すためにバイアス電圧を受けるための、前記第1及び第2導電性被膜に結合された第1及び第2の電気コンタクトを含んで成る TOLED装置。
【請求項33】
前記第1の導電層が酸化インジウム錫(ITO) の薄フィルム被膜から成る請求の範囲第32項記載の TOLED装置。
【請求項34】
導電性材料の前記第2被膜が、
前記有機材料層をオーバーレイする低い仕事関数金属の層;及び
前記低い仕事関数金属の層をオーバーレイする酸化インジウム錫(ITO) の層を包含する請求の範囲第32項記載の TOLED装置。
【請求項35】
前記低い仕事関数金属が、低い仕事関数のマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)のアロイから成る請求の範囲第34項記載の TOLED装置。
【請求項36】
前記導電性材料の第1の被膜と前記エレクトロルミネセント有機材料層との間にサンドイッチされるホール輸送層(HTL) を提供するホール伝導材料の実質的に透明な層をさらに包含する請求の範囲第32項記載の TOLED装置。
【請求項37】
前記導電性材料の第2の被膜と前記エレクトロルミネセント有機材料層との間にサンドイッチされる電子輸送層(ETL) を提供する電子伝導性材料の実質的に透明な層をさらに包含する請求の範囲第36項記載の TOLED装置。
【請求項38】
前記アロイが、1Mg:1Ag〜40Mg:1Ag〜 100% Mg の範囲の原子比を有する請求の範囲第35項記載の TOLED装置。
【請求項39】
前記有機材料層がAlq3を包含する請求の範囲第32項記載の TOLED装置。
【請求項40】
前記有機材料層がAlq3を包含する請求の範囲第35項記載の TOLED装置。
【請求項41】
前記支持体がガラス又はプラスチック材料の1つから成る請求の範囲第32項記載の TOLED装置。
【請求項42】
前記ホール伝導性材料が TPDから成る請求の範囲第36項記載の TOLED装置。
【請求項43】
前記ホール伝導性材料層が 200Åの厚さである請求の範囲第36項記載の TOLED装置。
【請求項44】
前記金属電極層が50Å〜 400Åの範囲の厚さを有する請求の範囲第34項記載の TOLED装置。
【請求項45】
前記 ITO層が、それぞれ 2,000Å及び 400Åの厚さである請求の範囲第33項記載の TOLED装置。
【請求項46】
積層された構造体においてお互いの上に積層される複数の前記 TOLED装置;
前記複数の TOLED装置の個々の1つをを分離する複数の実質的に透明な電導層;及び
個々の TOLED装置の関連する積層体を通して光を放すためにそれに電力を付与するための別々のバイアス電位をその関連する第1及び第3コンタクト間に、個々の TOLED装置が受容することを可能にするために、前記複数の電導層の1つにそれぞれ個々に結合された多くの第3電気コンタクトをさらに含む請求の範囲第32項記載の発光装置。
【請求項47】
前記積層体における前記 TOLED装置の個々が、電力を付与される場合、積層体を通して異なった波長又は色の光を放す請求の範囲第46項記載の発光装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成され、正の極性を有する第1の導電性層と、
前記第1の導電性層上に形成された透明有機発光デバイスと、
前記透明有機発光デバイス上に形成され50〜400Åの厚さを有する透明導電性金属層と、
前記透明導電性金属層上に形成され、負の極性を有し、酸化インジウム錫以外の透明導電性酸化物を含む第2の導電性層と
を具備して成る有機発光デバイス構造。
【請求項2】
前記透明導電性金属層が100〜400Åの厚さを有する請求項1記載の有機発光デバイス構造。
【請求項3】
前記透明導電性金属層が100Å未満の厚さを有する請求項1記載の有機発光デバイス構造。
【請求項4】
前記透明導電性金属層が4eV未満の仕事関数を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造。
【請求項5】
前記透明導電性金属層がマグネシウムを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造。
【請求項6】
前記透明導電性金属層がさらに銀を含む請求項5に記載の有機発光デバイス構造。
【請求項7】
前記基板が透明である請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造。
【請求項8】
前記基板が硬質である請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造。
【請求項9】
前記第1の導電性層が透明である請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造。
【請求項10】
前記第1の導電性層が反射金属層である請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造。
【請求項11】
基板上に正の極性を有する第1の導電性層を形成する工程と、
前記第1の導電性層上に透明有機発光デバイスを形成する工程と、
前記透明有機発光デバイス上に50〜400Åの厚さを有する透明導電性金属層を形成する工程と、
前記透明導電性金属層上に、負の極性を有し、酸化インジウム錫以外の透明導電性酸化物を含む第2の導電性層を形成する工程と
を含むことを特徴とする有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項12】
前記透明導電性金属層が100〜400Åの厚さを有する請求項11記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項13】
前記透明導電性金属層が100Å未満の厚さを有する請求項11記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項14】
前記透明導電性金属層が4eV未満の仕事関数を有する請求項11〜13のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項15】
前記透明導電性金属層がマグネシウムを含む請求項11〜14のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項16】
前記透明導電性金属層がさらに銀を含む請求項15に記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項17】
前記基板が透明である請求項11〜16のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項18】
前記基板が硬質である請求項11〜17のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項19】
前記第1の導電性層が透明である請求項11〜18のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造の製造方法。
【請求項20】
前記第1の導電性層が反射金属層である請求項11〜18のいずれか1項に記載の有機発光デバイス構造の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−59818(P2006−59818A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−267561(P2005−267561)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【分割の表示】特願平9−531791の分割
【原出願日】平成9年2月15日(1997.2.15)
【出願人】(505346975)ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ (2)
【Fターム(参考)】