説明

有機EL表示装置

【課題】
高いコントラストを有し、良好な画像表示が可能であり、かつ、長い製品寿命を有する有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る有機EL表示装置1は、光反射電極12と光反射電極12の上に設けられた発光層13とを有し、発光層13の発光の直接光及び光反射電極12での反射光を観察者に対して出射する有機EL素子10と、有機EL素子10の観察者側に設けられ、観察者側から入射した外光の光反射電極12での反射光が再び観察者側に出射するのを阻止する円偏光板30と、円偏光板30を有機EL素子10と離間して保持するベゼル20と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理機器の多様化に伴って、従来から一般に使用されている陰極線管(CRT)よりも消費電力が少なく、薄型化が可能である平面表示装置に対する需要が高まってきている。そのような平面表示装置として、例えば、液晶表示装置やEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置等を挙げることができる。その中でも、有機EL表示装置は、低電圧駆動、全固体型、高速応答性、自発光性という特徴を有するため、特に研究開発が盛んに行われている。
【0003】
図6は、従来の有機EL表示装置200の概略断面図である。
【0004】
この有機EL表示装置200は、基板210と、基板210の上に設けられた発光層230と、発光層230を狭持するように設けられた第1電極220と第2電極240とを有する。
【0005】
また、有機EL表示装置200では、第2電極240は光反射性に、第1電極220は光透過性に構成されており、発光層230からの光は、第1電極220側から出射するように構成されている。
【0006】
この有機EL表示装置200では、第1電極220と発光層230とは非常に薄く構成されている。そのため、基板210を経由して観察者側から入射した外光は、第2電極240にまで到達し、光反射性に構成された第2電極240により再度観察者側に反射される。従って、表示画像とともに外部の景色が有機EL表示装置200に写ってしまい、有機EL表示装置200のコントラストや色純度が低下するという問題がある。
【0007】
このような問題に鑑み、光透過性に構成された第1電極側に円偏光板を設置した有機EL表示装置が提案されている(例えば、「特許文献1」等)。
【0008】
図5は、特許文献1に記載された有機EL表示装置100の概略断面図である。
【0009】
この有機EL表示装置100は、直線偏光板110及び位相差板120からなる円偏光板と、透明基板130と、陽極140と、正孔注入輸送層150と、有機発光層160と、電子注入輸送層170と陰極180と、がこの順で積層されてなるものである。
【0010】
特許文献1には、直線偏光板110の偏光軸と位相差板120の光軸とのなす角を±45°に傾けることにより右巻き及び左巻きの円偏光を得ることができる。円偏光の特徴は、反射することにより円偏光の向きが変わることである。すなわち、右円偏光は反射することにより左円偏光となり、左円偏光は反射すると右円偏光となる。外部から入射し、円偏光板を透過した光は右又は左の円偏光となり、背面の陰極180により反射されて、有機EL表示装置100外部に向かって進行する。しかし、入射した光と反対方向の円偏光となっているので、円偏光板が反射光を通さないので、反射による外部の景色が見えないこととなる、と記載されている。
【特許文献1】特開平8−321381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
有機EL表示装置100は、自発光型の表示装置であり、また電流駆動型の発光装置であるため、連続して画像表示を行った場合、特に発光層160が発熱する。また、直線偏光板110や位相差板120の耐熱温度は、一般的には70℃、高いものでも90℃程度と低い。従って、直線偏光板110と位相差板120とが発熱する発光層160に接着されている有機EL表示装置100では、発光層160の発熱が直線偏光板110や位相差板120に伝導しやすく、直線偏光板110と位相差板120との熱的劣化が激しい。従って、有機EL表示装置100は、その製品寿命が短いという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高いコントラストを有し、良好な画像表示が可能であり、かつ、長い製品寿命を有する有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る有機EL表示装置は、光反射層と該光反射層の上に設けられた発光層とを有し、該発光層の発光の直接光及び該光反射層での反射光を観察者に対して出射する有機EL素子と、
上記有機EL素子の観察者側に設けられ、観察者側から入射した外光の上記光反射層での反射光が再び観察者側に出射するのを阻止する光反射防止板と、
上記光反射防止板を上記有機EL素子と離間して保持する保持手段と、
を備えたものである。
【0014】
本発明に係る有機EL表示装置は、光反射防止板を備えているため、観察者側から入射した外光の光反射層での反射光が再び観察者側に出射することが阻止されている。従って、高いコントラストを有し、良好な画像表示が可能な有機EL表示装置を実現することができる。
【0015】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、光反射防止板が有機EL素子と離間して配設されている。そのため、有機EL素子の発熱が直接光反射防止板に伝導することがない。従って、光反射防止板の有機EL素子の発熱による劣化を効果的に抑制することができ、長い製品寿命を有する有機EL表示装置を実現することができる。
【0016】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記有機EL素子は、上記発光層よりも観察者側に設けられた透明基板を有しており、
上記保持手段は、上記透明基板を固定したベゼルで構成されているものであっても構わない。
【0017】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記ベゼルは、上記透明基板よりも熱伝導率が高いものであっても構わない。
【0018】
この構成によれば、有機EL素子は、透明基板の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有するベゼルに接着固定されている。そのため、有機EL素子の発熱は、熱伝導率の高いベゼルを経由して効果的に有機EL表示装置の外部に放熱される。よって、有機EL素子の発熱が光反射防止板へ伝導することをより効果的に抑制することができる。
【0019】
さらに、この構成によれば、有機EL素子の発熱がベゼルを経由して効果的に外部に放熱されることにより、有機EL素子に蓄熱することを効果的に抑制することができる。
【0020】
従って、この構成によれば、有機EL素子及び光反射防止板の熱的劣化をより効果的に抑制することができ、より長い製品寿命を有する有機EL表示装置を実現することができる。
【0021】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記光反射防止板は、上記有機EL素子から0.1mm以上離間して位置づけられているものであっても構わない。
【0022】
この構成によれば、有機EL素子からの発熱の光反射防止板への伝導をより効果的に抑制することができる。よって、より長い製品寿命を有する有機EL表示装置を実現することができる。
【0023】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記ベゼルが、金属で形成されているものであっても構わない。
【0024】
ベゼルを金属により構成することによって、高い熱伝導率を有するベゼルを実現することができる。従って、有機EL素子の発熱は、高い熱伝導率を有するベゼルを経由して効果的に外部に放熱される。よって、有機EL素子から光反射防止板への熱伝導をより効果的に抑制することができる。また、有機EL素子に蓄熱することをさらに効果的に抑制することができる。
【0025】
従って、この構成によれば、有機EL素子及び光反射防止板の熱的劣化をさらに効果的に抑制することができ、より長い製品寿命を有する有機EL表示装置を実現することができる。
【0026】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記ベゼルは、上記有機EL素子との接触面が環状に形成されているものであっても構わない。
【0027】
この構成によれば、ベゼルは、有機EL表示素子の表示領域の外側に位置する周縁部分の全体を覆うように接着固定されている。従って、有機EL表示素子の発熱がより効果的にベゼルに伝導し、放熱される。よって、この構成によれば、有機EL素子及び光反射防止板の熱的劣化をさらに効果的に抑制することができ、より長い製品寿命を有する有機EL表示装置を実現することができる。
【0028】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記ベゼルには、上記有機EL素子と上記光反射防止板との間の空間を外気に連通させる通気孔が形成されているものであっても構わない。
【0029】
この構成によれば、有機EL素子と光反射防止板との間に形成された空気層が外気と連通している。従って、空気層に蓄熱された有機EL素子の発熱が効果的に有機EL表示装置外に放出される。従って、この構成によれば、有機EL素子及び光反射防止板の熱的劣化を効果的に抑制することができ、より長い製品寿命を有する有機EL表示装置を実現することができる。
【0030】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記光反射防止板は、観察者側に設けられた偏光板と、有機EL素子側に設けられた位相差板と、により構成されているものであっても構わない。
【0031】
この構成によれば、観察者側から入射し、光反射層によって再び観察者側に反射された外光が有機EL表示装置から出射することを阻止することができる。すなわち、観察者側から入射した光は、偏光板と位相差板とからなる円偏光板により円偏光に変換される。そして、変換された円偏光は、光反射層により反射されることにより入射光とは逆巻きの円偏光に変わる。このように光反射層により反射されることにより入射光とは逆巻きに変換された円偏光は円偏光板を透過できず、よって、再び観察者側に出射することはない。
【0032】
従って、この構成によれば、高いコントラストを有し、良好な画像表示が可能な有機EL表示装置を実現することができる。
【0033】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記光反射防止板は、その観察者側表面にアンチリフレクションコート層及び/又はアンチグレアコート層を有しているものであっても構わない。
【0034】
この構成によれば、光反射防止板の表面で発生する光反射を効果的に抑制することができる。従って、表示画像の視認性の高い有機EL表示装置を実現することができる。
【0035】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記光反射防止板は、その観察者側表面にアンチリフレクションコート層及び/又はアンチグレアコート層を有し、観察者側に設けられた偏光板と、有機EL素子側に設けられた位相差板と、により構成されているものであっても構わない。
【0036】
この構成によれば、観察者側から入射し、光反射層により反射された外光が再び観察者側に出射すること、及び、光反射防止板の表面で発生する光反射を効果的に抑制することができる。従って、この構成によれば、視認性が高く、高いコントラストを有し、良好な画像表示が可能な有機EL表示装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、観察者側から入射し、上記光反射層によって反射された光が再び観察者側に出射するのを阻止する機能を有する光反射防止板を備え、また、光反射防止板が有機EL素子と離間して設けられているので、観察者側からの入射光によるコントラストの低下等の表示画像品質の低下を抑制し、また、有機EL素子の発熱による光反射防止板及び有機EL素子の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置1の概略断面図である。
【0040】
また、図2は、図1中II−IIで示す部分の概略断面図である。
【0041】
この有機EL表示装置1は、有機EL素子10と、有機EL素子10の外縁部分に接着固定されたベゼル20と、ベゼル20により有機EL素子10に接着された透明基板40と、ベゼル20により固定された円偏光板30と、により構成されている。
【0042】
有機EL素子10は、第1基板11と、第1基板11の上に設けられた光反射電極12と、光反射電極12の上に設けられた発光層13と、発光層13の上に設けられた透明電極14と、透明電極14の上に設けられた第2基板15と、を有し、発光層13からの光は、透明電極14側から出射するように構成されている。有機EL素子10では、光反射電極12と透明電極14との間に発光層13のみを有するが、本発明は何らこの構成に限定されるものではない。すなわち、光反射電極12と透明電極14との間に、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等をさらに有するものであっても勿論構わない。
【0043】
また、有機EL素子10では、第1基板11の上に光反射電極12を設けたが、本発明は何らこれに限定されるものではない。すなわち、第1基板11の上に、光反射層を設けて、その上に、透明な電極を設けても勿論構わない。
【0044】
第1基板11と第2基板15とは、有機EL素子10の機械的強度を担保できるものであれば何ら限定されるものではない。第1基板11及び第2基板15は、例えば、ガラス、石英等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、及び、アルミナ等のセラミックス等の絶縁性材料からなる基板、若しくは、アルミニウム、鉄等の金属基板にSiO2や有機絶縁性材料等の絶縁材料をコートした基板、若しくは、アルミニウム、鉄等の金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等により構成することができる。
【0045】
尚、第2基板15は、発光層13からの光を透過する機能を有するため、光透過性に構成することが好ましい。すなわち、第2基板15は、例えば、ガラス、石英等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティックにより構成することがより好ましい。
【0046】
光反射電極12は、発光層13から光反射電極12側に向けて出射された光を観察者側に反射する機能、及び、発光層13にホールを注入する機能を有する。従って、光反射電極12は、光反射率が高く、且つ仕事関数の大きな材料により構成することが好ましい。
【0047】
光反射率が高い材料としては、例えば、アルミニウム(Al)やプラチナ(Pt)等が挙げられる。また、仕事関数の大きな材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、金(Au)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
【0048】
また、光反射電極12を光反射機能を有する金属層と高いホール注入効率を有するホール注入層との積層構造としても勿論構わない。この構成によれば、発光層13からの光の取り出し効率が高く、電流効率が高く、且つ高輝度な有機EL素子10を実現することができる。
【0049】
透明電極14は、発光層13からの光を観察者側に透過する機能、及び、発光層13へ電子を注入する機能を有する。従って、透明電極14は、電気導電率が高く、光透過率が高く、仕事関数の小さな材料により構成することがより好ましい。電気導電率が高く、且つ光透過率が高い材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電性酸化物が挙げられる。また、仕事関数の小さな材料としては、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)等が挙げられる。
【0050】
尚、透明電極14を仕事関数の小さな材料からなる電子注入層と、光透過率が高く且つ電気導電率の高い透明電極層との積層構造としても勿論構わない。この構成によれば、発光層13への高い電子注入効率と、発光層13からの光の高い取り出し効率を有する有機EL素子10を実現することができる。
【0051】
尚、有機EL素子10では、光反射電極12がホール注入機能を有し、透明電極14が電子注入機能を有するように構成されているが、本発明は何らこの構成に限定されるものではない。すなわち、光反射電極12が電子注入機能を有し、透明電極14がホール注入機能を有するものであっても構わない。
【0052】
発光層13は、光反射電極12から注入されたホールと透明電極14から注入された電子とを再結合させることにより励起子(エキシントン)を生成させ、その励起子が失活する際の光の放出を利用して発光する有機発光材料により形成されている。このような有機発光材料としては、例えば、4,4'‐ビス(2,2'‐ジフェニルビニル)‐ビフェニル(DPVBi)等の芳香族化合物、オキサジアゾール化合物、3‐(4‐ビフェニルイル)‐4‐フェニル‐5‐t‐ブチルフェニル‐1,2,4‐トリアゾール(TAZ)等のトリアゾ‐ル誘導体、1,4‐ビス(2‐メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料、アゾメチン亜鉛錯体、(8‐ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(Alq3)等の蛍光性有機金属化合物等の低分子発光材料、若しくは、例えば、ポリ(2‐デシルオキシ‐1,4‐フェニレン)(DO‐PPP)、ポリ[2,5‐ビス‐[2‐(N,N,N‐トリエチルアンモニウム)エトキシ]‐1,4‐フェニル‐アルト‐1,4‐フェニルレン]ジブロマイド(PPP‐NEt3+)、ポリ[2‐(2'‐エチルヘキシルオキシ)‐5‐メトキシ‐1,4‐フェニレンビニレン](MEH‐PPV)、ポリ[5‐メトキシ‐(2‐プロパノキシサルフォニド)‐1,4‐フェニレンビニレン](MPS‐PPV)、ポリ[2,5‐ビス‐(ヘキシルオキシ)‐1,4‐フェニレン‐(1‐シアノビニレン)](CN‐PPV)、ポリ(9,9‐ジオクチルフルオレン)(PDAF),ポリスピロ(PS)等の高分子発光材料等が挙げられる。
【0053】
円偏光板30は、観察者側から入射し光反射電極12により反射された光が観察者側に出射するのを防止する機能を有する。従って、表示画像とともに外部の景色が有機EL表示装置1に写ってしまうことはなく、高いコントラスト及び色純度を有し良好な画像表示をすることができる有機EL表示装置1を実現することができる。
【0054】
尚、円偏光板は、観察者側に設けられた直線偏光板と、有機EL素子側に設けられたλ/4位相差板と、により構成することができる。
【0055】
また、有機EL表示装置1では、観察者側から入射し、光反射電極12によって反射された外光が再び観察者側に出射するのを防止する機能を有する光反射防止板を円偏光板30により構成したが、本発明において光反射防止板は何らこれに限定されるものではない。
【0056】
すなわち、光反射防止板を、例えば、楕円偏光板や、表面にアンチグレアコート(防眩コート;以下、「AGコート」と略すことがある。)層及び/又は、アンチリフレクションコート(無反射コート;以下、「ARコート」と略すことがある。)層を有する透明基板等により構成してももちろん構わない。また、光反射防止板は、表面にAGコート層及び/又はARコート層が形成された直線偏光板と、λ/4位相差板と、により構成しても構わない。
【0057】
AGコート層及び/又はARコート層を有する光反射防止板を用いることによって、光反射防止板の観察者側表面による光反射を抑制することができ、視認性の高い有機EL表示装置1を実現することができる。
【0058】
保護基板40は、有機EL素子10及び円偏光板30を外部からの衝撃から保護し、有機EL表示装置1の物理的耐久性を向上するものである。保護基板40は、光透過性の高いものであれば、何ら限定されるものではないが、例えば、ガラスやアクリル等のプラスティックにより構成することができる。
【0059】
ベゼル20は、有機EL素子10と円偏光板30及び保護基板40とを接着する機能を有する。ベゼル20により円偏光板30は有機EL素子10と離間するように配置されている。従って、有機EL素子10の発熱が直接円偏光板30に伝導することはなく、円偏光板30の熱的劣化を効果的に抑制することができる。尚、ベゼル20の層厚は、0.1以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。この構成によれば、円偏光板30から有機EL素子10間での距離をより大きくすることができ、円偏光板30を有機EL素子10の発熱からより効果的に保護することができる。
【0060】
また、ベゼル20は、例えば、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)、ステンレス等の熱伝導率の高い金属により構成されている。そのため、有機EL素子10の発熱を有機EL表示装置1外に効果的に放出することができる。よって、円偏光板30及び有機EL素子10の熱的劣化をより効果的に抑制することができる。
【0061】
また、図2に示すように、ベゼル20には、円偏光板30と透明基板40との間に形成された空気層を外気に連通させる通気孔21が形成されている。よって、この空気層に蓄熱された有機EL素子10の発熱が効果的に有機EL表示装置1から放出される。従って、この構成によれば、円偏光板30の熱的劣化を効果的に抑制することができ、より長い製品寿命を有する有機EL表示装置1を実現することができる。
【0062】
図3は、ベゼル20の形状のバリエーションを示す平面図である。
【0063】
図4は、ベゼル20が図3(b)に示す形状を有する場合の有機EL表示装置1の概略断面図である。
【0064】
図3(a)のように、ベゼル20は、その接着部20aが有機EL素子10の周縁部分全体に、環状となるように設けられているものであっても構わない。この構成によれば、高い熱伝導率を有するベゼル20が、より広い面積で有機EL表示素子10と接着固定されているため、有機EL表示素子10の発熱が効果的にベゼル20に伝導し、放熱される。従って、ベゼル20による放熱効果の高い有機EL表示装置1を実現することができる。
【0065】
また、図(b)〜(d)に示すように、ベゼル20は、その接着部20aが有機EL素子10の外縁部の一部に設けられたものであっても構わない。この構成によれば、図4に示すように、ベゼル20と接着していない部分が、有機EL素子10と円偏光板30との間の空間を外気に連通させる通気孔20bとなる。よって、空気の対流によって、この空間に蓄熱された有機EL素子10の発熱がより効果的に有機EL表示装置1外に放出される。従って、この構成によれば、有機EL素子10及び円偏光板30の熱的劣化をさらに効果的に抑制することができ、より長い製品寿命を有する有機EL表示装置1を実現することができる。
【0066】
尚、本発明においては、有機EL素子10は、何ら限定されるものではなく、基板11上にTFT等のスイッチング素子を有するアクティブマトリクス型の素子であっても、また、パッシブマトリクス型の素子、セグメント型の素子であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る有機EL表示装置1の概略断面図である。
【図2】図1中II−IIで示す部分の概略断面図である。
【図3】ベゼル20の形状のバリエーションを示す平面図である。
【図4】ベゼル20が図3(b)に示す形状を有する場合の有機EL表示装置1の概略 断面図である。
【図5】特許文献1に記載された有機EL表示装置100の概略断面図である。
【図6】従来の有機EL表示装置200の概略断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1、100、200 有機EL表示装置
10 有機EL素子
11 第1基板
12 光反射層
13、170、230 発光層
14 透明電極
15 第2基板
20 ベゼル
20a 接着部
21、20b 通気孔
30 円偏光板
40 保護基板
110 直線偏光板
120 位相差板
130 ガラス基板
140 陽極
150 正孔輸送層
160 発光層
180 陰極
210 基板
220 第1電極
240 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射層と該光反射層の上に設けられた発光層とを有し、該発光層の発光の直接光及び該光反射層での反射光を観察者に対して出射する有機EL素子と、
上記有機EL素子の観察者側に設けられ、観察者側から入射した外光の上記光反射層での反射光が再び観察者側に出射するのを阻止する光反射防止板と、
上記光反射防止板を上記有機EL素子と離間して保持する保持手段と、
を備えた有機EL表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記有機EL素子は、上記発光層よりも観察者側に設けられた透明基板を有しており、
上記保持手段は、上記透明基板を固定したベゼルで構成されている有機EL表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された有機EL表示装置において、
上記ベゼルは、上記透明基板よりも熱伝導率が高い有機EL表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記光反射防止板は、上記有機EL素子から0.1mm以上離間して位置づけられている有機EL表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載された有機EL表示装置において、
上記ベゼルが、金属で形成されている有機EL表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載された有機EL表示装置において、
上記ベゼルは、上記有機EL素子との接触面が環状に形成されている有機EL表示装置。
【請求項7】
請求項2に記載された有機EL表示装置において、
上記ベゼルには、上記有機EL素子と上記光反射防止板との間の空間を外気に連通させる通気孔が形成されている有機EL表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記光反射防止板は、観察者側に設けられた偏光板と、有機EL素子側に設けられた位相差板と、により構成されている有機EL表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記光反射防止板は、その観察者側表面にアンチリフレクションコート層及び/又はアンチグレアコート層を有している有機EL表示装置。
【請求項10】
請求項8に記載された有機EL表示装置において、
上記光反射防止板は、その観察者側表面にアンチリフレクションコート層及び/又はアンチグレアコート層を有している有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−18187(P2006−18187A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198397(P2004−198397)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】