説明

有糸分裂キネシン阻害薬

本発明は、細胞増殖性疾患の治療、KSPキネシン活性に関連する障害の治療、ならびにKSPキネシンの阻害に有用なジヒドロピロール化合物に関する。本発明はさらに、それらの化合物を含む組成物、および哺乳動物において癌を治療する上でのそれらの使用方法に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有糸分裂キネシン、特に有糸分裂キネシンKSPの阻害薬であり、例えば癌、過形成、再狭窄、心臓肥大症、免疫障害および炎症などの細胞増殖疾患の治療において有用な2,2−ジ置換2,5−ジヒドロピロール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
癌の治療に用いられる治療薬は、タキサン類およびビンカアルカロイド類である。タキサン類およびビンカアルカロイド類は、各種の細胞構造に存在する微小管に作用する。微小管は、有糸分裂紡錘体の主要な構造要素である。有糸分裂紡錘体は、細胞分裂から生じる2つの娘細胞のそれぞれへのゲノムの複製コピーの分配を担当するものである。これら薬剤による有糸分裂紡錘体の破壊によって癌細胞の分裂が阻害され、癌細胞死が誘発されると推定されている。しかしながら微小管は、神経プロセスにおける細胞内輸送のための輸送路など、他の種類の細胞構造を形成する。これらの薬剤は有糸分裂紡錘体を特異的に標的とするものではないことから、副作用を有するものであり、そのことがこれら薬剤の有用性を制限している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それら薬剤の投与に関連する副作用が低減できる場合に得られると考えられる治療効果から、癌治療に使用される薬剤の特異性改善にはかなりの関心が向けられている。従来において、癌治療の劇的な改善は、新規な機序で作用する治療薬の確認に関連したものである。それの例には、タキサン類だけでなく、カンプトテシン類のトポイソメラーゼI阻害薬などもある。これら両方の観点から、有糸分裂キネシンは新たな抗癌剤に向けた魅力的な標的となっている。
【0004】
有糸分裂キネシンは、有糸分裂紡錘体の組立および機能に必須の酵素であるが、神経プロセスの場合のような他の微小管構造の一部ではない。有糸分裂キネシンは、全ての細胞分裂期で非常に重要な役割を果たす。
【0005】
これらの酵素は、ATPの加水分解によって放出されるエネルギーを微小管に沿った細胞積み荷の有向運動を駆動する機械力に変換する「分子モーター」である。この仕事を行うのに十分な触媒領域は、約340アミノ酸のコンパクトな構造である。有糸分裂の際、キネシンは微小管をまとめて二極構造とし、それが有糸分裂紡錘体である。キネシン類は、紡錘体微小管に沿った染色体の運動と、有糸分裂の特定の相に関連する有糸分裂紡錘体における構造的変化に介在する。有糸分裂キネシン機能の実験的外乱によって、有糸分裂紡錘体の形成異常または機能異常が生じ、非常に多くの場合でそれによって細胞周期停止および細胞死に至る。
【0006】
確認されている有糸分裂キネシンの中にKSPがある。KSPは、集合して逆平行ホモ二量体からなる二極ホモ四量体となるプラス末端指向微小管モーターの進化的に保存されたキネシンに属する。有糸分裂の際にKSPは、有糸分裂紡錘体の微小管と結び付く。ヒト細胞でのKSPに対する抗体のマイクロインジェクションによって、前中期中の紡錘体極分離が防止されて、単極紡錘体が生じ、有糸分裂停止およびプログラム細胞死の誘発を生じる。他のヒト以外の生物におけるKSPおよび関連するキネシン類は、逆平行微小管を束ね、それらを互いに対してスライドさせることで、2つの紡錘体極を引き離す。KSPはまた、後期B紡錘体伸長および紡錘体極での微小管の集束にも介在し得る。
【0007】
ヒトKSP(HsEg5とも称される)は各種文献に記載されており[Blangy, et al., Cell, 83: 1159-69 (1995);Whitehead, et al., Arthritis Rheum., 39: 1635-42 (1996);Galgio et al., J. Cell Biol., 135: 339-414 (1996);Blangy, et al., J Biol. Chem., 272: 19418-24 (1997);Blangy, et al., Cell Motil Cytoskeleton, 40: 174-82 (1998);Whitehead and Rattner, J. Cell Sci., 111: 2551-61 (1998);Kaiser, et al., JBC 274: 18925-31 (1999);遺伝子バンク寄託番号X85137、NM004523およびU37426]、KSP遺伝子(TRIP5)の断片が報告されている[Lee, et al., Mol Endocrinol., 9: 243-54 (1995);遺伝子バンク寄託番号L40372]。ツメガエルKSP同族体(Eg5)ならびにショウジョウバエK−LP61F/KRP130が報告されている。
【0008】
最近、ある種のキナゾリノン類がKSPの阻害薬であると記載されている(PCT公開WO 01/30768;2001年5月3日)。
【0009】
有糸分裂キネシンは、新規な有糸分裂化学療法薬の発見および開発に向けた魅力的な標的である。従って本発明の目的は、KSP、有糸分裂キネシンの阻害において有用な化合物、方法および組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、細胞増殖疾患の治療、KSPキネシン活性に関連する障害の治療、ならびにKSPキネシンの阻害において有用なジヒドロピロール誘導体に関するものである。本発明の化合物は、下記式Iによって表すことができる。
【0011】
【化5】

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の化合物は有糸分裂キネシンの阻害において有用であり、式Iの化合物によって表されるかそれの製薬上許容される塩もしくは立体異性体である。
【0013】
【化6】

式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1、2または3であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
tは、0、1または2であり;
uは、0、1または2であり;
およびRは独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;
は、
1)水素、
2)C〜C10アルキル、
3)C〜C10アルキル−O−R
4)C〜C10アルケニル−O−R
5)C〜C10アルキニル−O−R
6)(C〜C〜アルキレン)C〜Cシクロアルキル−O−R
7)C〜C10アルキル−(C=O)−NRc′
8)C〜C10アルケニル−(C=O)NRc′
9)C〜C10アルキニル−(C=O)NRc′
10)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−(C=O)NRc′
11)C〜C10アルキル−S(O)−R
12)C〜C10アルケニル−S(O)−R
13)C〜C10アルキニル−S(O)−R
14)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルは、Rから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)O〜Cパーフルオロアルキル、
8)O(C=O)NR
9)S(O)
10)S(O)NR
11)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)水素、
2)(C=O)〜C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)COH、
5)ハロ、
6)CN、
7)OH、
8)O〜Cパーフルオロアルキル、
9)O(C=O)NR
10)S(O)
11)S(O)NR
12)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C〜C10アルケニル、
4)C〜C10アルキニル、
5)(C=O)複素環、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O〜Cパーフルオロアルキル、
11)O(C=O)NR
12)S(O)
13)S(O)NR
14)オキソ、
15)CHO、
16)(N=O)R
17)(C=O)〜Cシクロアルキル、
18)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−COH、
17)(C=O)N(R
18)S(O)
19)S(O)N(Rおよび
20)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
10は、HおよびFから選択され;
11およびR12は独立に、Fおよび−CHFから選択され;
13およびR14は独立に、Hおよび−CHFから選択され;
OXは非存在であるかオキソであり;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、H、(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルキル−OH,−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。
【0014】
本発明の化合物は有糸分裂キネシンの阻害において有用であり、式IIの化合物によって表されるかそれの製薬上許容される塩もしくは立体異性体である。
【0015】
【化7】

式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1、2または3であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
tは、0または1であり;
uは、0または1であり;
およびRは独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;
は、
1)水素、
2)C〜C10アルキル、
3)C〜C10アルキル−O−R
4)C〜C10アルケニル−O−R
5)C〜C10アルキニル−O−R
6)(C〜C〜アルキレン)C〜Cシクロアルキル−O−R
7)C〜C10アルキル−(C=O)−NRc′
8)C〜C10アルケニル−(C=O)NRc′
9)C〜C10アルキニル−(C=O)NRc′
10)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−(C=O)NRc′
11)C〜C10アルキル−S(O)−R
12)C〜C10アルケニル−S(O)−R
13)C〜C10アルキニル−S(O)−R
14)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルは、Rから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)O〜Cパーフルオロアルキル、
8)O(C=O)NR
9)S(O)
10)S(O)NR
11)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)水素、
2)(C=O)〜C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)COH、
5)ハロ、
6)CN、
7)OH、
8)O〜Cパーフルオロアルキル、
9)O(C=O)NR
10)S(O)
11)S(O)NR
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C〜C10アルケニル、
4)C〜C10アルキニル、
5)(C=O)複素環、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O〜Cパーフルオロアルキル、
11)O(C=O)NR
12)S(O)
13)S(O)NR
14)オキソ、
15)CHO、
16)(N=O)R
17)(C=O)〜Cシクロアルキル、
18)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−COH、
17)(CO)N(R
18)S(O)
19)S(O)N(Rおよび
20)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
11およびR12は独立に、Fおよび−CHFから選択され;
13およびR14は独立に、Hおよび−CHFから選択され;ただしtが1の場合にはR14はHであり、uが1である場合にはR13はHであり;
OXは非存在であるかオキソであり;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、H、(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルキル−OH,−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。
【0016】
本発明の1実施形態において、前記化合物は下記式IIIの化合物によって表されるか、あるいはそれの製薬上許容される塩または立体異性体である。
【0017】
【化8】

式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1または2であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
tは、0または1であり;
およびRは独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリールおよび(C〜C)シクロアルキルから選択され;
は独立に、
1)ハロ、
2)OH、
3)O〜Cパーフルオロアルキル
から選択され;
は、
1)水素、
2)ハロ、
3)OH、
4)O〜Cパーフルオロアルキル
から選択され;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−CO
17)(CO)N(R
18)S(O)および
19)S(O)N(R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
12は、Fおよび−CHFから選択され;
14は、Hおよび−CHFから選択され;ただしtが1の場合にはR14はHであり;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。
【0018】
本発明の別の実施形態は、下記式IVの化合物によって表されるか、あるいはそれの製薬上許容される塩または立体異性体である。
【0019】
【化9】

式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
およびRは独立に、Hならびに、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキルから選択され;
は独立に、
1)ハロ、
2)OH、
3)O〜Cパーフルオロアルキル
から選択され;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−CO
17)(CO)N(R
18)S(O)および
19)S(O)N(R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。
【0020】
本発明の化合物の具体例には、
(2S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−[(4R,6S)−6−フルオロ−1−メチルアゼパン−4−イル]−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−2−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキサミド、
(9S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−[(4S,6R)−6−フルオロ−1−メチルアゼパン−4−イル]−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−2−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキサミド
またはこれらの製薬上許容される塩または立体異性体などがある。
【0021】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸およびキラル面(E. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereochemistry of Carbon Compounds, John Wiley & Sons, New York, 1994, pp.1119-1190に記載)を有することができ、ラセミ体、ラセミ混合物および個々のジアステレオマーとして得られる場合があり、光学異性体を含めた全ての可能な異性体および混合物、全てのそのような立体異性体が本発明に含まれる。さらに本明細書に開示の化合物は互変異体として存在する場合があり、一方の互変異構造のみが描かれている場合であっても、両方の互変異体が本発明の範囲によって包含されるものである。
【0022】
いずれかの変数(例:R、R、R10など)が、いずれかの構成要素に複数個存在する場合、各場合についてのそれの定義は、他のいずれの場合でも独立である。さらに、置換基および変数の組合せは、そのような組合せによって安定な化合物が得られる場合にのみ許容される。置換基から環系に引かれた線は、示された結合が置換可能な環原子のいずれに結合していても良いことを表す。環系が多環である場合、その結合は近位の環のみ上のいずれか好適な炭素に結合しているものとする。
【0023】
当業者が本発明の化合物上の置換基および置換パターンを選択して、化学的に安定であって、容易に入手可能な原料から当業界で公知の技術ならびに下記に記載の方法によって容易に合成可能な化合物を提供できることは明らかである。置換基自体が複数の基で置換されている場合、安定な構造が得られる限りにおいて、それらの複数の基は同一炭素上にあっても異なる炭素上にあっても良いことは明らかである。「1以上の置換基で置換されていても良い」という表現は、「少なくとも1個の置換基で置換されていても良い」という表現と等価であると理解すべきであり、そのような場合、好ましい実施形態は、0〜3個の置換基を有する。
【0024】
本明細書で使用される場合に「アルキル」とは、指定された数の炭素原子を有する分岐および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素を含むものである。例えば、「C〜C10アルキル」の場合のようなC〜C10は、直鎖または分岐の配置で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素を有する基を含むものと定義される。例えば「C〜C10アルキル」は具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどを含む。「シクロアルキル」という用語は、指定数の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば「シクロアルキル」には、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどがある。
【0025】
「アルキレン」という用語は、指定数の炭素原子を有する2価の炭化水素基を意味する。例えば「アルキレン」には、−CH−、−CHCH−などがある。
【0026】
「C〜Cアラルキル」および「C〜Cヘテロアラルキル」という表現で使用される場合、「C〜C」という用語は、その部分のアルキル部を指し、その部分のアリール部およびヘテロアリール部における原子数を説明するものではない。
【0027】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して結合した指定数の炭素原子の環状もしくは非環状アルキル基を表す。従って「アルコキシ」は、上記のアルキルおよびシクロアルキルの定義を包含するものである。
【0028】
炭素原子数の指定がない場合、「アルケニル」という用語は、2〜10個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖、分岐もしくは環状の非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1個の炭素−炭素二重結合が存在し、4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在し得る。そこで「C〜Cアルケニル」とは、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニルおよびシクロヘキセニルなどがある。アルケニル基の直鎖、分岐または環状部分が二重結合を有することができ、置換アルケニル基が示されている場合には置換されていても良い。
【0029】
「アルキニル」という用語は、2〜10個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖、分岐もしくは環状の炭化水素基を指す。3個までの炭素−炭素三重結合が存在していても良い。従って、「C〜Cアルキニル」とは、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどがある。アルキニル基の直鎖、分岐または環状部分が三重結合を有することができ、置換アルキニル基が示されている場合には置換されていても良い。
【0030】
ある場合には、置換基は(C〜C)アルキレン−アリールのようにゼロを含む炭素範囲で定義することができる。アリールがフェニルであるとした場合、それの定義はフェニル自体ならびに−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Phなどを含むものと考えられる。
【0031】
本明細書で使用される場合の「アリール」とは、各環7個以下の原子の安定な単環式もしくは二環式の炭素環であって、少なくとも1個の環が芳香族であるものを意味するものである。そのようなアリール要素の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルおよびビフェニルなどがある。アリール置換基が二環式であり、1個の環が非芳香族である場合、結合は芳香族環を介したものであることは明らかである。
【0032】
本明細書で使用されるヘテロアリールという用語は、各環7個以下の原子の安定な単環式もしくは二環式環であって、少なくとも1個の環が芳香族であり、O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を有するものを表す。
【0033】
この定義の範囲に含まれるヘテロアリール基には、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキザリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンなどがあるが、これらに限定されるものではない。以下の複素環の定義と同様に、「ヘテロアリール」も含窒素ヘテロアリールのN−オキサイド誘導体を含むものと理解される。
【0034】
ヘテロアリール置換基が二環式であり、一つの環が非芳香族であるかヘテロ原子を含まない場合、結合はそれぞれ、芳香族環または含ヘテロ原子環を介したものであることは明らかである。
【0035】
本明細書で使用される「複素環」または「複素環系」という用語は、O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員の芳香族もしくは非芳香族複素環を意味するものであり、二環式の基を含む。従って「複素環系」は、上記のヘテロアリール類、ならびにそれらのジヒドロおよびテトラヒドロ類縁体を含むものである。「複素環系」のさらに別の例には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニル、ならびにこれらのN−オキサイドなどがあるが、これらに限定されるものではない。複素環置換基の結合は、炭素原子を介したもの、またはヘテロ原子を介したものであることができる。
【0036】
好ましくは複素環は、2−アゼピノン、ベンズイミダゾリル、2−ジアザピノン、イミダゾリル、2−イミダゾリジノン、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノン、2−ピリミジノン、2−ピロリジノン、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニルおよびチエニルから選択される。
【0037】
当業者には明らかなように、本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」とは、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素を含むものである。
【0038】
別段の具体的な定義がない限り、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環置換基は、置換されていても未置換であっても良い。例えば(C〜C)アルキルは、OH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノあるいはモルホリニル、ピペリジニルなどの複素環から選択される1個、2個もしくは3個の置換基で置換されていても良い。その場合、1個の置換基がオキソであり、他方がOHである場合には、その定義には−C=O)CHCH(OH)CH、−(C=O)OH、−CH(OH)CHCH(O)などが含まれる。
【0039】
本発明の1実施形態では、「シクロアルキル」という用語には、直前に記載の基が含まれ、さらには単環式の不飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。例えば、本実施形態で定義の「シクロアルキル」には、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニルなどがある。
【0040】
場合により、RおよびRc′ならびにRおよびRf′は、それらが、それらの結合している窒素と一体となって、各環が5〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良いように定義される。前記複素環は、Rから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。そうして形成できる複素環の例には下記のものなどがあるが、これらに限定されるものではなく、留意すべき点として、その複素環はRから選ばれる1以上の(1実施形態では、1個、2個または3個の)置換基で置換されていても良い。
【0041】
【化10】

【0042】
ある場合においてRおよびRd′は、それらが結合しているリンと一体となって、各環が5〜7員であり、前記窒素以外にNR、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式複素環であって、Rから選択される1以上の置換基で置換されていても良い複素環を形成し得るように定義される。そうして形成し得る複素環の例には、下記のものなどがあるが、これらに限定されるものではなく、留意すべき点として前記複素環はRから選択される1以上の(1実施形態では、1個もしくは2個の)置換基で置換されていても良い。
【0043】
【化11】

【0044】
1実施形態において、RはHおよびC〜Cアルキルから選択される。
【0045】
1実施形態において、RはHおよびC〜Cアルキルから選択される。
【0046】
1実施形態において、R10、R13およびR14はHである。
【0047】
1実施形態において、Rは、R10から選択される1〜2個の置換基で置換されていても良い−C〜C10アルキル−O−Rおよび−C〜C10アルキル−NRf′から選択される。
【0048】
1実施形態において、Rは独立に、ハロゲンおよびOHから選択される。別の実施形態において、nは2であり、Rは独立にハロゲンから選択される。
【0049】
1実施形態において、Rは独立に、H、ハロゲンおよびOHから選択される。
【0050】
1実施形態において、uは0である。
【0051】
1実施形態において、tは1であり、R12はフッ素である。
【0052】
1実施形態において、uおよびtは0であり、R13はHであり、R14は−CHFである。
【0053】
1実施形態において、uおよびtは0であり、R14はHであり、R13は−CHFである。
【0054】
1実施形態において、ROXは非存在である。
【0055】
本発明には、遊離型の式Iの化合物、ならびにそれの製薬上許容される塩および立体異性体が含まれる。本明細書に例示の具体的化合物の一部は、アミン化合物のプロトン化塩である。「遊離型」という用語は、非塩型でのアミン化合物を指す。包含される製薬上許容される塩は、本明細書に記載の具体的な化合物について例示される塩だけでなく、遊離型の式Iの化合物の全ての代表的な塩も含むものである。記載されている具体的な塩化合物の遊離型は、当業界で公知の方法を用いて単離することができる。例えばその遊離型は、希NaOH、炭酸カリウム、アンモニアおよび重炭酸ナトリウム水溶液などの好適な希塩基水溶液で塩を処理することで再生させることができる。遊離型は、極性溶媒中での溶解度のようなある種の物理特性において、それらの個々の塩型とは若干異なる可能性があるが、本発明に関しては、それ以外の点において酸塩および塩基塩は、それらの個々の遊離型と製薬上等価である。
【0056】
本発明の化合物の製薬上許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分または酸性部分を有する本発明の化合物から合成することができる。通常、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、あるいは好適な溶媒中もしくは各種組み合わせの溶媒中での化学量論量もしくは過剰量の所望の塩形成性無機もしくは有機酸と遊離塩基を反応させることで製造される。同様に酸性化合物の塩は、適切な無機もしくは有機塩基との反応によって形成される。
【0057】
そこで、本発明の化合物の製薬上許容される塩には、塩基性の本発明の化合物を無機もしくは有機酸と反応させることで形成される本発明の化合物の従来の無毒性塩が含まれる。例えば、従来の無毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から製造される塩などがある。
【0058】
本発明の化合物が酸性である場合、好適な「製薬上許容される塩」とは、無機塩基および有機塩基などの製薬上許容される無毒性塩基から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩および亜鉛塩などがある。特に好ましいものは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩から選択される。製薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの1級、2級および3級アミン、天然置換アミンなどの置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂の塩などがある。
【0059】
上記の製薬上許容される塩および他の代表的な製薬上許容される塩の製造については、バージらの報告(Berge, et al., ″Pharmaceutical Salts″, J. Pharm. Sci., 1977; 66: 1-19)により詳細に記載されている。
【0060】
生理条件下では、カルボキシル基などの化合物中の脱プロトン化された酸性部分がアニオン性であることができ、その電荷が4級窒素原子などのプロトン化もしくはアルキル化された塩基性部分に対して分子内で均衡を取ったものとなる可能性があることから、本発明の化合物が分子内塩または両性イオンである可能性があることも留意すべきである。
【0061】
図式および実施例で使用されている下記の略称を、以下に定義する。
【0062】
【表2】

【0063】
本発明の化合物は、文献で公知であって実験手順で例示されている他の標準的な手法以外に、下記の図式に示された反応を用いることで製造することができる。従って、下記の例示的な図式は、例示を目的として挙げられた化合物や用いられた特定の置換基によって限定されるものではない。図式に示した置換基の番号割り付けは、特許請求の範囲で用いられるものと必ずしも相関しているとは限らず、多くの場合、明瞭を期して、単一の置換基が化合物に結合しているように示されているが、本明細書で前述した式Iの定義下では、複数の置換基が可能である。
【0064】
図式
図式Aに示したように、容易に入手可能な好適に置換されたα−フェニルグリシンから、主要な2,2−ジ置換ジヒドロピロール中間体A−8を得ることができる。文献(Van Betsbrugge et al., Tetrahedron, 1997,53, 9233-9240)に記載の手順に従って、α−アリル−α−フェニルグリシンを製造する。エステルの還元とカルボニルジイミダゾールを用いた環化によって、中間体A−4を得る。アリルオレフィンのルテニウム酸化と、それに続くエステル形成および窒素のアルキル化によって、中間体A−5を得る。環化と脱炭酸によって、中間体A−6が得られる。次に、環カルボニルを用いて、好適に置換されたフェニル部分を組み込むことができる。その後にケン化および酸化保護を行うことで、エナンチオマー混合物が得られ、それは代表的にはキラルクロマトグラフィーによって分離して、保護中間体A−8を得ることができる。環窒素をトリホスゲンと反応させて、主要な中間体A−9を形成することができる。次に、後続の図式に示したように、それを各種の置換アミノピペリジンと反応させて、本発明の化合物を得ることができる。
【0065】
図式Bには、3−フルオロ−5−アミノアゼピン化合物の製造と、それらの基の本発明の化合物への組み込みを示している。留意すべき点として、中間体B−3での側鎖ヒドロキシルのフッ素による置き換えによって、期待される中間体B−5と環相同化合物B−4の両方が生じる場合が多い。これらの中間体化合物は、シリカゲルクロマトグラフィーによって分離することができ、次に中間体B−4をA−9との反応に用いて、本発明の化合物B−6を製造することができる。
【0066】
図式C〜Eには、本発明の化合物の合成に組み込むことができる各種の他のフルオロまたはフルオロメチル置換アミノアゼピン類の製造を示してある。従って、図式CおよびDに示したように、アゼピン環の形成は分子内還元的アルキル化に依存して、4−ヒドロキシアゼピン類(C−4およびD−4など)を与える。次に、ここに示したように、ヒドロキシル基を適切に置換されたアミンに変換する。
【0067】
図式Eには、図式Bに同様に示したものより、3−フルオロ−5−アミノアゼピン中間体E−6への指向性が高い合成経路を示した。
【0068】
図式Fには、ジヒドロピロール環上の2−ヒドロキシメチル部分のアルキル化を示してある。
【0069】
図式Gには、そのヒドロキシメチル部分のさらなる処理による、本発明の化合物G−2およびG−3の製造を示した。
【0070】
ヒドロキシメチル部分も酸化して相当するアルデヒドH−1とすることができ、次に図式Hに示したように、それについて還元的アミノ化を行うことで、本発明の化合物H−2を得ることができる。
【0071】
アミノカルボニル部分上の別の活性化基の使用を図式Iに示した。
【0072】
図式Jには、環ヒドロキシメチル部分のさらなる相同化を示してある。最初に、ホスホノ酢酸トリメチルとの反応によって、不飽和アルコール側鎖化合物J−1と相同アルデヒドJ−2の混合物を得る。これらの化合物は、クロマトグラフィー的に分離し、利用して、相当するアミンJ−3およびJ−4を製造することができる。
【0073】
図式Kに示したように、アルデヒドH−1をグリニャル試薬と反応させて、本発明の化合物K−1を得ることもできる。
【0074】
図式Lに示したように、ジヒドロピロール上の2位にあるアルデヒド部分をホスホノ酢酸トリメチルで処理して、共役二重結合の還元後に、エステル化合物ML2を得ることもできる。L−2の水素化リチウムアルミニウム還元と、次にデス−マーチン酸化によってアルデヒドL−4を得て、それを次に、前述のように還元的にアミノ化することができる。
【0075】
図式Mには、C−2側鎖のフッ素化と、次に相当するトリフレートのナトリウムアジドによる置き換えを介したヒドロキシル部分のアミンへの変換を示してある。
【0076】
図式Nには、ジフルオロメチル部分のC−2側鎖への組み込みを示してある。
【0077】
【化12】


【0078】
【化13】

【0079】
【化14】

【0080】
【化15】

【0081】
【化16】

【0082】
【化17】

【0083】
【化18】

【0084】
【化19】

【0085】
【化20】

【0086】
【化21】


【0087】
【化22】

【0088】
【化23】


【0089】
【化24】

【0090】
【化25】

【0091】
用途
本発明の化合物には各種用途がある。
【0092】
当業者には明らかなように、有糸分裂は多様な形態で変化させることができる。すなわち、有糸分裂経路における構成要素の活性を高めたり低下させたりすることで有糸分裂に影響を与えることができる。別の表現をすれば、ある種の構成要素を阻害または活性化させることで平衡を乱すことにより、有糸分裂に影響を与える(例えば、破壊)ことができる。同様の手法を用いて、減数分裂を変化させることができる。
【0093】
好ましい実施形態では、本発明の化合物を用いて、有糸分裂紡錘体を調節して、それによって有糸分裂における細胞周期停止を長くすることができる。本明細書において「調節」とは、紡錘体形成の増加および減少を含む有糸分裂紡錘体形成の変化を意味する。本明細書において「有糸分裂紡錘体形成」とは、有糸分裂キネシンが微小管をまとめて双極構造とすることを意味する。
【0094】
本発明の化合物は、有糸分裂キネシンに結合したり、ないしはそれの活性を調節する上で有用である。好ましい実施形態において有糸分裂キネシンは、有糸分裂キネシンのbimCサブファミリー(米国特許第6284480号第5欄に記載)の一員である。別の好ましい実施形態において、有糸分裂キネシンはヒトKSPである。ただし、他の生物からの有糸分裂キネシンの活性も、本発明の化合物によって調節可能である。この文脈において調節とは、紡錘体極分離を増加もしくは減少させること、有糸分裂紡錘体極の形成異常、すなわち広がりを引き起こすこと、またはその他の形での有糸分裂紡錘体の形態的乱れを引き起こすことを意味する。これらの関してKSPの定義には、KSPの変種および/または断片も含まれる。さらに、本発明の化合物によって他の有糸分裂キネシンを阻害することができる。
【0095】
本発明の化合物を用いて、細胞増殖疾患を治療することができる。本発明で定業される方法および組成物によって治療可能な疾患状態には、癌(下記でさらに説明)、自己免疫疾患、関節炎、移植片拒絶、炎症性腸疾患、医学的処置(例えば、手術、血管形成術など(それらに限定されるものではない))後誘発増殖などがあるが、これらに限定されるものではない。場合によっては、細胞は過増殖状態でも低増殖状態(異常状態)でもないが、なお治療が必要である可能性があることは明らかである。例えば創傷治癒の際には、細胞は「正常に」増殖している可能性があるが、増殖の促進が望ましい場合がある。同様に、上記で説明したように、農業分野において、細胞は「正常」状態にあるが、作物の成長を直接促進することで、あるいは作物に悪影響を与える植物もしくは生物の成長を阻害することで増殖調節を行って、作物を増加させることが望ましい場合がある。そこで1実施形態において、本明細書に記載の本発明には、これらの障害もしくは状態のいずれかになっているか、あるいはそれになりそうな細胞または固体への使用が含まれる。
【0096】
本明細書で提供される化合物、組成物および方法は特に、皮膚癌、乳癌、脳腫瘍、子宮頸癌、睾丸癌などの固形腫瘍を含む癌の治療において有用であると考えられる。より詳細には、本発明の化合物、組成物および方法によって治療可能な癌には、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腺腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞腺癌(細気管支癌)、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;消化管:食道癌(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃癌(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管性腺癌、インシュリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、腺管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖器管:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、睾丸(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛膜癌、肉腫、間細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨大細胞腫瘍、軟骨腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨大細胞腫瘍;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起細胞腫、シュヴァン鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ(Sertoli-Leydig)細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ファロピーオ管(癌);血液系:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、ほくろ形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに副腎:神経芽細胞腫などがあるが、これらに限定されるものではない。従って、本明細書で与えられる「癌細胞」という用語は、上記で確認された状態のいずれかになっている細胞を含むものである。
【0097】
本発明の化合物は、米国特許第6284480号に記載のようなbimCキネシン小群の真菌構成員の活性を調節することで、抗真菌剤としても有用である可能性がある。
【0098】
本発明の化合物は、標準的な製薬上の実務に従って、単独であるいは好ましくは医薬組成物中で製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。その化合物は、静脈、筋肉、腹腔内、皮下、直腸および局所の投与経路等で経口もしくは非経口で投与することができる。
【0099】
本明細書で使用する場合、「組成物」という用語は、所定量で所定の成分を含有するもの、ならびに直接もしくは間接に所定の成分を所定量で組み合わせることで得られるものを含むものである。
【0100】
有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ剤、水系もしくは油系の懸濁液、分散性粉体もしくは粒剤、乳濁液、硬もしくは軟カプセルまたはシロップもしくはエリキシル剤などの経口用に適した剤型とすることができる。経口投与用組成物は、医薬組成物の製造に関して当業界で公知のいずれかの方法に従って製造することができ、そのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から成る群から選択される1以上の薬剤を含有させて、医薬的に見た目および風味が良い製剤を提供することができる。錠剤は、錠剤製造に好適な無毒性の製薬上許容される賦形剤との混合で有効成分を含有する。これらの賦形剤には例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;および微結晶セルロース、クロスカルメロース(crosscarmellose)ナトリウム、コーンスターチもしくはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドンもしくはアカシアなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの潤滑剤などがあり得る。錠剤は未コーティングとすることができるか、あるいは公知の方法によってコーティングを施して、薬剤の不快な味を隠したり、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって比較的長期間にわたって持続的作用を提供するようにすることができる。例えば、ヒドロキシプロピル−メチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性味被覆材料またはエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースなどの時間遅延材料を用いることができる。
【0101】
経口投与用製剤は、有効成分を例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混和した硬ゼラチンカプセルとして、あるいは有効成分を、ポリエチレングリコールなどの水溶性担体または例えば落花生油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの油系媒体と混和した軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0102】
水系懸濁液は、水系懸濁液の製造に好適な賦形剤と混和した形で活性材料を含む。そのような賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁剤がある。分散剤または湿展剤には、レシチンなどの天然ホスファチド、あるいは例えばポリオキシエチレンステアレートなどのアルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物、またはヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、または例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物があり得る。水系懸濁液には、例えばp−ヒドロキシ安息香酸のエチルもしくはn−プロピルエステルなどの1以上の保存剤、1以上の着色剤、1以上の香味剤、ショ糖、サッカリンもしくはアスパルテームなどの1以上の甘味剤を含有させることもできる。
【0103】
油系懸濁液は、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油中に有効成分を懸濁させることで製剤することができる。油系懸濁液には、蜜ロウ、硬パラフィンもしくはセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記のような甘味剤および香味剤を加えて、風味の良い経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソールまたはα−トコフェロールなどの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0104】
水を加えることで水系懸濁液を調製する上で好適な分散性粉体および粒剤では、有効成分を、分散剤もしくは湿展剤、懸濁剤および1以上の保存剤と混合する。好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤の例としては、前述したものがある。例えば甘味剤、香味剤および着色剤などの別の賦形剤を存在させることもできる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0105】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳濁液の形とすることもできる。油相は、オリーブ油もしくは落花生油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油、あるいはそれらの混合物とすることができる。好適な乳化剤には、例えば大豆レシチンなどの天然ホスファチド;ならびに、ソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル、および例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと前記部分エステルとの縮合生成物があり得る。乳濁液にはさらに、甘味剤、香味剤、保存剤および酸化防止剤を含有させることもできる。
【0106】
シロップおよびエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖などの甘味剤を加えて製剤することができる。そのような製剤には、粘滑剤、保存剤、香味剤および着色剤ならびに酸化防止剤を含有させることもできる。
【0107】
医薬組成物は、無菌の注射用水溶液の形とすることができる。使用可能な許容される担体および溶媒には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。
【0108】
無菌注射用製剤は、有功成分を油相に溶かした無菌注射用水中油ミクロ乳濁液であることもできる。例えば、最初に有効成分を大豆油とレシチンの混合物の溶かすことができる、次に、その油系溶液を水とグリセリンの混合液に入れ、処理してミクロ乳濁液を形成する。
【0109】
注射用液剤またはミクロ乳濁液は、局所ボラス注射によって患者の血流に導入することができる。別法として、本発明の化合物の一定の循環濃度を維持するような形で、液剤またはミクロ乳濁液を投与することが有利な場合がある。そのような一定濃度を維持するには、連続静脈投与装置を用いることができる。そのような装置の例には、デルテック(Deltec)CADD−PLUS(商標名)5400型静脈ポンプがある。
【0110】
医薬組成物は、筋肉投与または皮下投与用の無菌注射用水系もしくは油系懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液は、上記の好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って製剤することができる。無菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のように、無毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射用液剤または懸濁液とすることもできる。さらに、従来から溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。それに関しては、合成モノもしくはジグリセリドなどのいかなる種類の固定油も使用可能である。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の製剤に使用することができる。
【0111】
式Iの化合物は、薬剤の直腸投与用の坐剤の形で投与することもできる。そのような組成物は、常温では固体であるが直腸体温では液体となることで、直腸で融解して薬剤を放出する好適な無刺激性賦形剤と該薬剤とを混和することで製剤することができる。そのような材料には、カカオ脂、グリセリンゼラチン、硬化植物油、各種分子量のポリエチレングリコール類の混合物ならびにポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類などがある。
【0112】
局所用には、式Iの化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、液剤または懸濁液などを用いる(この投与法に関して、局所投与には含嗽液およびうがい剤が含まれる)。
【0113】
本発明の化合物は、好適な経鼻媒体およびおよび投与装置の局所使用を介して経皮的に、あるいは当業者には公知の経皮皮膚貼付剤の形態のものを用いて経皮経路で投与することができる。経皮投与系の形態で投与するには当然のことながら、製剤の投与は、投与法を通じて間歇的ではなく連続的なものとなる。本発明の化合物は、カカオ脂、グリセリンゼラチン、硬化植物油、各種分子量のポリエチレングリコール類の混合物ならびにポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類などの基剤を用いる坐剤として投与することもできる。
【0114】
本発明による化合物をヒト被験者に投与する場合、1日用量は通常、個々の患者の年齢、体重、性別および応答、ならびに患者の症状の重度に応じて用量を変えながら、処方医が決定する。
【0115】
ある投与例では、好適な量の化合物を、癌治療を受ける哺乳動物に投与する。投与は、約0.1mg/kg/日〜約60mg/kg/日の量で行い、好ましくは0.5mg/kg/日〜約40mg/kg/日の量で行う。
【0116】
本発明の化合物はまた、公知の治療薬および抗癌剤と併用して有用である。例えば本発明の化合物は、公知の抗癌剤との併用で有用である。本明細書に開示の化合物と他の抗癌剤もしくは化学療法薬との組み合わせは、本発明に範囲に含まれるものである。そのような薬剤の例は、デビータらの編著(Cancer Principles and Practice of Oncology, V. T. Devita and S. Hellman(編者)、第6版(2001年2月15日); Lippincott Williams & Willkins Publishers)に記載されている。当業者であれば、関与する薬剤および癌の特定の特性に基づいて、どの薬剤の組み合わせが有用であると考えられるかは理解できるものと考えられる。そのような抗癌剤には、エストロゲン受容体調節剤、アンドロゲン受容体調節剤、レチノイド受容体調節剤、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬および他の血管新生阻害薬、細胞増殖および生存シグナリングの阻害薬、アポトーシス誘発剤ならびに細胞周期のチェックポイントを妨害する薬剤などがあるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は、放射線療法と併用して投与すると特に有用である。
【0117】
1実施形態において本発明の化合物は、エストロゲン受容体調節剤、アンドロゲン受容体調節剤、レチノイド受容体調節剤、細胞傷害剤、細胞増殖抑制剤、プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、逆転写酵素阻害薬および他の血管新生阻害薬などの公知の抗癌剤と併用しても有用である。
【0118】
「エストロゲン受容体調節剤」とは、機序とは無関係に、受容体に対するエストロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体調節剤の例には、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
「アンドロゲン受容体調節剤」とは、機序とは無関係に、アンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体調節剤の例としては、フィナステリドおよび他の5α−レダクターゼ阻害薬、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド(flutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リアゾロール(liarozole)および酢酸アビラテロン(abiraterone)などがある。
【0120】
「レチノイド受容体調節剤」とは、機序とは無関係に、レチノイドの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体調節剤の例には、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4′−ヒドロキシフェニル)レチンアミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドなどがある。
【0121】
「細胞傷害/細胞増殖抑制剤」とは、主として細胞の機能を直接妨害するか細胞の有糸分裂を阻害もしくは妨害することで細胞死を引き起こしたり、細胞増殖を阻害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素症活性化化合物、微小管阻害薬/微小管安定化剤、有糸分裂キネシン阻害薬、有糸分裂進行に関与するキナーゼの阻害薬、抗代謝剤;生体応答調節剤;ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的治療薬、トポイソメラーゼ阻害薬、プロテオソーム阻害薬およびユビキチンリガーゼ阻害薬などがある。
【0122】
細胞傷害剤の例には、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニマスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムシチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド(trofosfamide)、ニムスチン、ジブロスピヂウム(dibrospidium)クロライド、プミテーパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロライド、ジアリジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン(zorubicin)、イダルビシン、ダウノルビシン、ビスアントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3′−デアミノ−3′−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO 00/50032参照)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
低酸素症活性化化合物の例には、チラパザミンがある。
【0124】
プロテオソーム阻害薬の例には、ラクタシスチンおよびボルテゾミブ(bortezomib)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
微小管阻害薬/微小管安定化剤の例には、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3′,4′−ジデヒドロ−4′−デオキシ−8′−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、アウリスタチン(auristatin)、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunine)、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−1−バリル−1−バリル−N−メチル−1−バリル−1−プロリル−1−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン類(例えば、米国特許第6284781号および同6288237号)およびBMS188797などがある。
【0126】
トポイソメラーゼ阻害薬のいくつかの例を挙げると、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3′,4′−O−エキソ−ベンジリデン−チャルトロイシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3′,4′:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2′−ジメチルアミノ−2′−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロ(hexohydro)フロ(3′,4′:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン(isoguinoline)−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナがある。
【0127】
有糸分裂キネシン、特にヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害薬の例は、PCT公開WO 01/30768およびWO 01/98278、WO 03/050064(2003年6月19日)、WO 03/050122(2003年6月19日)、WO 03/049527(2003年6月19日)、WO 03/049679(2003年6月19日)、WO 03/049678(2003年6月19日)およびWO 03/39460(2003年5月15日)および係属中のPCT出願番号US03/06403(2003年3月4日出願)、US03/15861(2003年5月19日出願)、US03/15810(2003年5月19日出願)、US03/18482(2003年6月12日出願)およびUS03/18694(2003年6月12日出願)に記載されている。1実施形態において有糸分裂キネシン阻害薬には、KSPの阻害薬、MKLP1の阻害薬、CENP−Eの阻害薬、MCAKの阻害薬、Kif14の阻害薬、Mphosph1の阻害薬およびRab6−KIFLの阻害薬などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害薬」には、、オーロラキナーゼの阻害薬、Polo様キナーゼ(PLK)の阻害薬(特に、PLK−1の阻害薬)、bub−1の阻害薬およびbub−R1の阻害薬などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
「抗増殖剤」には、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001などのアンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド類、ならびにエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスフェート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール(emitefur)、チアゾフリン、デシタビン(decitabine)、ノラトレキセド(nolatrexed)、ペメトレキセド、ネルザラビン、2′−デオキシ−2′−メチリデンシスチジン、2′−フルオロメチレン−2′−デオキシシスチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N′−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−1−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン(alanosine)、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2′−シアノ−2′−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどの代謝拮抗剤などがある。
【0130】
モノクローナル抗体標的治療薬の例には、癌細胞特異もしくは標的細胞特異モノクローナル抗体に結合した細胞傷害剤または放射性同位体を有する治療薬などがある。例としては、ベキサールなどがある。
【0131】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害薬を指す。HMG−CoAレダクターゼに対して阻害活性を有する化合物は、当業界で公知のアッセイを用いることで容易に確認することができる。例えば、米国特許第4231938号第6欄およびWO84/02131の30〜33頁に記載もしくは引用されたアッセイを参照する。「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」および「HMG−CoAレダクターゼの阻害薬」という用語は、本明細書で使用する場合には同じ意味を有する。
【0132】
使用可能なHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の例としては、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4231938号、4294926号、4319039号参照)、シンバスタチン(simvastatin;ZOCOR(登録商標);米国特許第4444784号、4820850号、4916239号参照)、プラバスタチン(pravastatin;PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4346227号、4537859号、4410629号、5030447号および5180589号参照)、フルバスタチン(fluvastatin;LESCOL(登録商標);米国特許第5354772号、4911165号、4929437号、5189164号、5118853号、5290946号、5356896号参照)およびアトルバスタチン(atorvastatin;LIPITOR(登録商標);米国特許第5273995号、4681893号、5489691号、5342952号参照)などがあるが、これらに限定されるものではない。本発明の方法で用いることができる上記および別のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の構造式は、ヤルパニの報告(M. Yalpani, ″Cholesterol Lowering Drugs″, Chemistry & Industry, pp.85-89(1996年2月5日))の87頁ならびに米国特許第4782084号および4885314号に記載されている。本明細書で使用されるHMG−CoAレダクターゼ阻害薬という用語は、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の全ての製薬上許容されるラクトンおよび開環酸型(すなわち、ラクトン環が開環して遊離酸を形成している)ならびに塩およびエステル型を含むものであり、それに関してそのような塩、エステル、開環酸およびラクトン型の使用は本発明の範囲に含まれる。ラクトン部分とそれの相当する開環酸型の図を構造式IおよびIIとして以下に示してある。
【0133】
【化26】

【0134】
開環酸型が存在し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害薬では、塩型およびエステル型は開環酸から形成することができ、そのような型は全て、本明細書で使用される「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」という用語に含まれる。1実施形態においてHMG−CoAレダクターゼ阻害薬は、ロバスタチンおよびシンバスタチンから選択され、別の実施形態においてシンバスタチンである。本明細書において、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬に関しての「製薬上許容される塩」という用語は、好適な有機もしくは無機塩基と前記遊離酸とを反応させることで製造される本発明で用いられる化合物の無毒性の塩を意味するものであり、特にはナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛およびテトラメチルアンモニウムなどのカチオンから形成されるもの、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1′−イル−メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミンから形成される塩がある。塩の形のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬のさらに別の例としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、ブロマイド、エデト酸カルシウム塩、カムシル酸塩、炭酸塩、クロライド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロライド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨージド、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)および吉草酸塩などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
上記のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流中に吸収されると、薬剤形を放出してその薬剤が改善された治療効力を与えることができるような形で開裂し得るプロドラッグとして働く場合がある。
【0136】
「プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬」とは、ファルネシル蛋白トランスフェラーゼ(FPTase)、ゲラニルゲラニル蛋白トランスフェラーゼI型(GGPTase−I)およびゲラニルゲラニル蛋白トランスフェラーゼII型(GGPTase−II、RabGGPTaseとも称される)などの1種類またはいずれかの組合せのプレニル蛋白トランスフェラーゼ酵素を阻害する化合物を指す。プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害性化合物の例としては、(±)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(−)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(+)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、5(S)−n−ブチル−1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、(S)−1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−5−[2−(エタンスルホニル)メチル)−2−ピペラジノン、5(S)−n−ブチル−1−(2−メチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−2−メチル−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(2,2−ジフェニルエチル)−3−[N−(1−(4−シアノベンジル)−1H−イミダゾール−5−イルエチル)カルバモイル]ピペリジン、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(4−クロロピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(3−クロロベンジル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ベンジル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−[1,2′]ビピリジン−5′−イルメチル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−[1,2′]ビピリジン−5′−イルメチル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−[3−(2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、18,19−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−6,10:12,16−ジメテノ−1H−イミダゾ[4,3−c][1,11,4]ジオキサアザシクロ−ノナデシン−9−カルボニトリル、(±)−19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサトリアザ−シクロオクタデシン−9−カルボニトリル、19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−18,21−エタノ−6,10:12,16−ジメテノ−22H−イミダゾ[3,4−h][1,8,11,14]オキサトリアザシクロエイコシン−9−カルボニトリルおよび(±)−19,20−ジヒドロ−3−メチル−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサ−トリアザシクロオクタデシン−9−カルボニトリルなどがある。
【0137】
プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬の他の例は、WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5420245号、米国特許第5523430号、米国特許第5532359号、米国特許第5510510号、米国特許第5589485号、米国特許第5602098号、欧州特許公開0618221、欧州特許公開0675112、欧州特許公開0604181、欧州特許公開0696593、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5661152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5571792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436および米国特許第5532359号という刊行物および特許に記載されている。血管新生に関するプレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬の例についても文献に記載がある(European J. of Cancer, Vol. 35, No. 9, pp. 1394-1401 (1999))。
【0138】
「血管新生阻害薬」とは、機序とは無関係に、新たな血管の形成を阻害する化合物に関する。血管新生阻害薬の例としては、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)およびFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害薬などのチロシンキナーゼ阻害薬、表皮由来、線維芽細胞由来もしくは血小板由来の成長因子の阻害薬、MMP(基質金属プロテアーゼ)阻害薬、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリ硫酸、アスピリンおよびイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のようなシクロオキシゲナーゼ阻害薬、ならびにセレコキシブ(celecoxib)およびロフェコキシブ(rofecoxib)などの選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬(PNAS, Vol. 89, p.7384 (1992); JNCI, Vol. 69, p. 475 (1982); Arch. Opthalmol., Vol. 108, p.573 (1990); Anat. Rec., Vol. 238, p.68 (1994); FEBS Letters, Vol. 372, p.83 (1995); Clin, Orthop. Vol. 313, p.76 (1995); J. Mol. Endocrinol., Vol. 16, p.1O7 (1996); Jpn. J. Pharmacol., Vol. 75, p.105 (1997); Cancer Res., Vol. 57, p.1625 (1997); Cell, Vol. 93, p.705 (1998); Intl. J. Mol. Med., Vol. 2, p.715 (1998); J. Biol. Chem., Vol. 274, p.9116 (1999))、ステロイド系抗炎症剤(副腎皮質ホルモン、無機質コルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレド(methylpred)、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンII拮抗薬(Fernandez et al., J. Lab. Clin. Med. 105: 141-145 (1985))およびVEGFに対する抗体などがあるが、これらに限定されるものではない(Nature Biotechnology, Vol. 17, pp.963-968 (October 1999); Kim et al., Nature, 362, 841-844 (1993);WO 00/44777およびWO 00/61186参照)。
【0139】
血管新生を調節または阻害し、本発明の化合物と併用することもできる他の治療薬には、凝血およびフィブリン溶解系を調節もしくは阻害する薬剤(Clin. Chem. La. Med. 38: 679-692 (2000)の総説を参照)などがある。凝血およびフィブリン溶解の経路を調節もしくは阻害するそのような薬剤の例には、ヘパリン(Thromb. Haemost. 80: 10-23 (1998)参照)、低分子量ヘパリン類およびカルボキシペプチダーゼU阻害薬(活性トロンビン活性化フィブリン溶解阻害薬[TAFIa]の阻害薬とも称される)(Thrombosis Res. 101: 329-354 (2001)参照)などがあるが、これらに限定されるものではない。TAFIa阻害薬は、PCT公開WO 03/013526および米国特許出願第60/349925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0140】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」とは、細胞周期チェックポイント信号を変換するタンパク質キナーゼを阻害することで、癌細胞をDNA損傷薬に対して増感させる化合物を指す。そのような薬剤には、ATR、ATM、ChklおよびChk2キナーゼの阻害薬ならびにcdkおよびcdcキナーゼ阻害薬などがあり、具体例としては7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル)およびBMS−387032などがある。
【0141】
「細胞増殖および生存シグナリング経路の阻害薬」とは、細胞表面受容体とその細胞表面受容体の下流の信号伝達カスケードを阻害する医薬を指す。そのような薬剤には、
EGFRの阻害薬(例えば、ゲフィチニブ およびエルロチニブ)、ERB−2の阻害薬(例えば、トラスツズマブ)、IGFRの阻害薬、サイトカイン受容体の阻害薬、METの阻害薬、PI3Kの阻害薬(例えば、LY294002)、セリン/トレオニンキナーゼの阻害薬(WO 02/083064、WO 02/083139、WO 02/083140およびWO 02/083138に記載のものなどのAktの阻害薬などがあるが、それらに限定されるものではない)、Rafキナーゼの阻害薬(例えば、BAY−43−9006)、MEKの阻害薬(例えば、CI−1040およびPD−098059)およびmTORの阻害薬(例えば、ワイエス(Wyeth)CCI−779)などがある。そのような薬剤には、小分子阻害薬化合物および抗体拮抗薬などがある。
【0142】
「アポトーシス誘発剤」には、TNF受容体ファミリーの構成員(TRAIL受容体など)の活性化剤などがある。
【0143】
NSAIDとの併用は、強力なCOX−2阻害薬であるNSAIDの使用に関するものである。本明細書に関してNSAIDは、細胞アッセイまたはミクロソームアッセイによって測定して、1μM以下のCOX−2阻害IC50を有する場合に強力である。
【0144】
本発明はさらに、選択的COX−2阻害薬であるNSAIDとの併用をも包含するものである。本明細書に関して、COX−2の選択的阻害薬であるNSAIDとは、細胞アッセイまたはミクロソームアッセイによって評価されるCOX−1についてのIC50に対するCOX−2についてのIC50の比によって測定されるCOX−1阻害に対するCOX−2阻害の特異性が少なくとも100倍であるものと定義される。そのような化合物には、1995年12月12日発行の米国特許第5474995号、1999年1月19日発行の米国特許第5861419号、1999年12月14日発行の米国特許第6001843号、2000年2月1日発行の米国特許第6020343号、1995年4月25日発行の米国特許第5409944号、1995年7月25日発行の米国特許第5436265号、1996年7月16日発行の米国特許第5536752号、1996年8月27日発行の米国特許第5550142号、1997年2月18日発行の米国特許第5604260号、1997年12月16日発行の米国特許第5698584号、1998年1月20日発行の米国特許第5710140号、1994年7月21日公開のWO94/15932、1994年6月6日発行の米国特許第5344991号、1992年7月28日発行の米国特許第5134142号、1995年1月10日発行の米国特許第5380738号、1996年2月20日発行の米国特許第5393790号、1995年11月14日発行の米国特許第5466823号、1997年5月27日発行の米国特許第5633272号および1999年8月3日発行の米国特許第5932598号(これらはいずれも、引用によって本明細書に組み込まれるものとする)に開示されているものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
本発明の治療方法で特に有用なCOX−2阻害薬は、
3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン:
【0146】
【化27】

および
5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン:
【0147】
【化28】

【0148】
あるいはこれらの製薬上許容される塩である。
【0149】
上記のCOX−2阻害薬化合物を製造するための一般的および具体的合成手順は、1995年12月12日発行の米国特許第5474995号、1999年1月19日発行の米国特許第5861419号および1999年12月14日発行の米国特許第6001843号(これらはいずれも、引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0150】
COX−2の特異的阻害薬であると記載されていることから、本発明で有用な化合物には、下記のものまたはこれらの製薬上許容される塩などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
【化29】


【0152】
COX−2の特異的阻害薬であると記載されていることから本発明で有用な化合物ならびにその化合物の合成方法は、1994年7月21日公開のWO94/15932、1994年6月6日発行の米国特許第5344991号、1992年7月28日発行の米国特許第5134142号、1995年1月10日発行の米国特許第5380738号、1995年2月20日発行の米国特許第5393790号、1995年11月14日発行の米国特許第5466823号、1997年5月27日発行の米国特許第5633272号および1999年8月3日発行の米国特許第5932598号という特許、係属出願および刊行物(これらは、引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0153】
COX−2の特異的阻害薬であることから本発明で有用な化合物ならびにその化合物の合成方法は、1995年12月12日発行の米国特許第5474995号、1999年1月19日発行の米国特許第5861419号、1999年12月14日発行の米国特許第6001843号、2000年2月1日発行の米国特許第6020343号、1995年4月25日発行の米国特許第5409944号、1995年7月25日発行の米国特許第5436265号、1996年7月16日発行の米国特許第5536752号、1996年8月27日発行の米国特許第5550142号、1997年2月18日発行の米国特許第5604260号、1997年12月16日発行の米国特許第5698584号および1998年1月20日発行の米国特許第5710140号という特許、係属出願および刊行物(これらは、引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0154】
血管新生阻害薬の他の例には、エンドスタチオン(endostation)、ウクライン(ukrain)、ランピナーゼ(ranpinase)、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カーバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化リン酸マノペンタオース(manopentaose)、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレン・ジスルホネート)および3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0155】
上記で使用される「インテグリン遮断薬」とは、生理的リガンドのαβインテグリンへの結合を選択的に拮抗、阻害または妨害する化合物;生理的リガンドのαβインテグリンへの結合を拮抗、阻害または妨害する化合物;生理的リガンドのαβおよびαβインテグリンの両方への結合を拮抗、阻害または妨害する化合物;ならびに毛細管内皮細胞上で発現される特定のインテグリンの活性を拮抗、阻害または妨害する化合物を指す。その用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβインテグリンの拮抗薬をも指す。その用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβインテグリンのいずかの組合せの拮抗薬をも指す。
【0156】
チロシンキナーゼ阻害薬の具体例をいくつか挙げると、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3′,2′,1′−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4′−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミンおよびEMD121974などがある。
【0157】
抗癌化合物以外の化合物との併用も、本発明の方法に包含される。例えば本発明の特許請求の化合物とPPAR−γ(すなわちPPAR−ガンマ)作働薬およびPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)との併用は、ある種の悪性腫瘍の治療において有用である。PPAR−γおよびPPAR−δは、核ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体γおよびδである。内皮細胞でのPPAR−γの発現ならびにそれの血管新生における関与が文献で報告されている(J. Cardiovasc. Pharmacol. 1998; 31: 909-913; J. Biol. Chem. 1999; 274: 9116-9121; Invest. Ophthalmol Vis. Sci. 2000; 41: 2309-2317参照)。さらに最近では、PPAR−γ作働薬が、in vitroでVEGFに対する血管由来応答を阻害することが明らかになっている。トログリタゾン(troglitazone)およびマレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone)の両方が、マウスでの網膜新血管形成の発達を阻害する(Arch. Ophthamol. 2001; 119: 709-717)。PPAR−γ作働薬およびPPAR−γ/α作働薬の例には、チアゾリジンジオン類(DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン(pioglitazone)など)、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN09/782856に開示)および2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN60/235708および60/244697に開示)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
本発明の別の実施形態は、癌治療のための遺伝子療法との併用での本明細書に開示の化合物の使用である。癌治療に向けた遺伝子戦略の概説については、ホールらの報告(Hall et al., Am J Hum Genet 61: 785-789, 1997)およびクーフェ(Kufe)らの報告(Cancer Medicine, 5th Ed., pp. 876-889, BC Decker, Hamilton, 2000)を参照する。遺伝子療法を用いて、腫瘍抑制遺伝子を送達させることが可能である。そのような遺伝子の例には、組換えウィルス介在遺伝子転移を介して送達することができるp53(例えば、米国特許第6069134号)、uPA/uPAR拮抗薬(″Adenovirus-Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis-Dependent Tumor Growth and Dissemination in MICE,″ GENE Therapy, August 1998; 5(8): 1105-13)およびインターフェロン−γ(J Immunol 2000; 164: 217-222)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
本発明の化合物は、固有多薬剤耐性(MDR)、特に輸送タンパク質の高レベル発現に関連するMDRの阻害薬と併用して投与することもできる。そのようなMDR阻害薬には、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853およびPSC833(バルスポダール)などのp−糖タンパク質(P−gp)阻害薬などがある。
【0160】
本発明の化合物は、本発明の化合物の単独での使用または放射線療法との併用によって生じる可能性がある急性、遅発性、遅発相および期待性の嘔吐などの吐き気もしくは嘔吐を治療するために、鎮吐剤と併用することができる。嘔吐の予防または治療のため、本発明の化合物は、他の鎮吐剤、特にはニューロキニン−1受容体拮抗薬、5HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロンおよびザチセトロン(zatisetron)など)、GABAB受容体作働薬(バクロフェンなど)、コルチコステロイド(デカドロン(デキサメタゾン)、ケナログ、アリストコルト(Aristocort)、ナサリド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)または米国特許第2789118号、2990401号、3048581号、3126375号、3929768号、3996359号、3928326号および3749712号に開示のものなどの他の薬剤など)、抗ドーパミン薬(フェノチアジン類(例えばプロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジンおよびメソリダジン)、メトクロプラミドまたはドロナビノール(dronabinol)など)と併用することができる。本発明の化合物を投与することで生じる可能性がある嘔吐の治療または予防のために、ニューロキニン−1受容体拮抗薬、5HT3受容体拮抗薬およびコルチコステロイドから選択される鎮吐剤との併用療法が好ましい。
【0161】
本発明の化合物と併用されるニューロキニン−1受容体拮抗薬については、例えば米国特許第5162339号、5232929号、5242930号、5373003号、5387595号、5459270号、5494926号、5496833号、5637699号、5719147号;欧州特許公開EP0360390、0394989、0428434、0429366、0430771、0436334、0443132、0482539、0498069、0499313、0512901、0512902、0514273、0514274、0514275、0514276、0515681、0517589、0520555、0522808、0528495、0532456、0533280、0536817、0545478、0558156、0577394、0585913、0590152、0599538、0610793、0634402、0686629、0693489、0694535、0699655、0699674、0707006、0708101、0709375、0709376、0714891、0723959、0733632および0776893;PCT国際特許公開WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942および97/21702;英国特許公開2266529、2268931、2269170、2269590、2271774、2292144、2293168、2293169および2302689に詳細に記載されている。そのような化合物の製造については、上記の特許および公報(これらは参照によって本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。
【0162】
1実施形態において、本発明の化合物と併用されるニューロキニン−1受容体拮抗薬は、米国特許第5719147号に記載の2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリンまたはそれの製薬上許容される塩から選択される。
【0163】
本発明の化合物は、貧血の治療において有用な薬剤とともに投与することもできる。そのような貧血治療薬は例えば、連続赤血球生成受容体活性化剤(エポエチンアルファなど)である。
【0164】
本発明の化合物は、好中球減少症の治療に有用な薬剤とともに投与することもできる。そのような好中球減少症治療薬は例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などの好中球の産生および機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例にはフィルグラスチムなどがある。
【0165】
本発明の化合物は、レバミソール、イソプリノシンおよびザダキシン(Zadaxin)などの免疫強化剤とともに投与することもできる。
【0166】
従って本発明の範囲には、
1)エストロゲン受容体調節剤;
2)アンドロゲン受容体調節剤;
3)レチノイド受容体調節剤;
4)細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤;
5)抗増殖剤;
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬;
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;
8)HIVプロテアーゼ阻害薬;
9)逆転写酵素阻害薬;
10)血管新生阻害薬;
11)PPAR−γ作働薬、
12)PPAR−δ作働薬、
13)固有多薬剤耐性阻害薬、
14)鎮吐剤、
15)貧血治療に有用な薬剤、
16)好中球減少症の治療に有用な薬剤、
17)免疫強化剤、
18)細胞増殖および生存シグナリングの阻害薬、
19)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤および
20)アポトーシス誘発剤
から選択される第2の化合物との併用での、本明細書で特許請求されている化合物の使用が包含される。
【0167】
本発明の化合物に関して「投与」という用語およびそれの変形表現(例えば、化合物を「投与する」)は、処置を必要とする動物の系中にその化合物またはその化合物のプロドラッグを導入することを意味する。本発明の化合物またはそれのプロドラッグが1以上の他の活性薬剤(例:細胞傷害剤など)との併用で提供される場合、「投与」およびそれの変形表現はそれぞれ、その化合物またはそれのプロドラッグと他薬剤の同時および順次導入を含むものと理解される。
【0168】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、所定量で所定の成分を含有するもの、ならびに直接もしくは間接に所定の成分を所定量で組み合わせることで得られるものを含むものである。
【0169】
本明細書で使用される「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が追求している組織、系、動物またはヒトでの生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬の量を意味する。
【0170】
「癌を治療」または「癌の治療」という用語は、癌状態に冒された哺乳動物に対して投与することを指し、癌細胞を殺すことで癌状態を改善する効果を指すが、癌の増殖および/または転移の阻害を生じる効果も指す。
【0171】
1実施形態において、第2の化合物として使用する血管新生阻害薬は、チロシンキナーゼ阻害薬、表皮由来成長因子阻害薬、線維芽細胞由来成長因子阻害薬、血小板由来成長因子阻害薬、MMP(基質金属プロテアーゼ)阻害薬、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリ硫酸、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチン(combretastatin)A−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチルカルボニル)−フマギロール(fumagillol)、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1またはVEGFに対する抗体である。1実施形態において、エストロゲン受容体調節剤は、タモキシフェンまたはラロキシフェン(raloxifene)である。
【0172】
特許請求の範囲には、癌の治療方法であって、放射線療法との併用および/または
1)エストロゲン受容体調節剤;
2)アンドロゲン受容体調節剤;
3)レチノイド受容体調節剤;
4)細胞傷害剤;
5)抗増殖剤;
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬;
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;
8)HIVプロテアーゼ阻害薬;
9)逆転写酵素阻害薬;
10)血管新生阻害薬;
11)PPAR−γ作働薬、
12)PPAR−δ作働薬、
13)固有多薬剤耐性阻害薬、
14)鎮吐剤、
15)貧血治療に有用な薬剤、
16)好中球減少症の治療に有用な薬剤、
17)免疫強化剤、
18)細胞増殖および生存シグナリングの阻害薬、
19)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤および
20)アポトーシス誘発剤
から選択される化合物との併用で治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階を有する方法も含まれる。
【0173】
本発明の別の実施形態は、癌の治療方法であって、パクリタキセルまたはトラスツズマブ(trastuzumab)との併用で、治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階を有する方法である。
【0174】
本発明はさらに、癌の治療または予防方法であって、COX−2阻害薬との併用で、治療上有効量の特許請求の化合物を投与する段階を有する方法を包含する。
【0175】
本発明はさらに、治療上有効量の式Iの化合物および
1)エストロゲン受容体調節剤、
2)アンドロゲン受容体調節剤、
3)レチノイド受容体調節剤、
4)細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、
5)抗増殖剤、
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管新生阻害薬、および
11)PPAR−γ作働薬、
12)PPAR−δ作働薬、
13)細胞増殖および生存シグナリングの阻害薬、
14)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤および
15)アポトーシス誘発剤
から選択される化合物を含む癌の治療または予防において有用な医薬組成物を含む。
【0176】
本発明はさらに、KSPに結合する他の薬剤をスクリーニングする方法での本発明の化合物の使用を含む。KSPキネシンに結合する化合物のスクリーニング方法で本発明の化合物を用いるために、KSPを支持体に結合させ、本発明の化合物(有糸分裂剤である)をアッセイ物に加える。別法として、本発明の化合物を指示体に結合させ、KSPを加える。新規な結合剤を探すことができる化合物群には、特異的抗体、化学ライブラリのスクリーニングで確認される非天然結合剤、ペプチド類縁体などがある。特に興味深いものは、ヒト細胞に対して低毒性を有する候補薬剤のスクリーニングアッセイである。それに関しては非常に多様なアッセイを用いることができ、標識in vitroタンパク質−タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、タンパク質結合に関する免疫アッセイ、機能アッセイ(リン酸化アッセイなど)などがある。
【0177】
有糸分裂剤のKSPに対する結合の測定は、多くの方法で行うことができる。ある好ましい実施形態では、有糸分裂剤(本発明の化合物)を、例えば蛍光部分もしくは放射活性部分で標識し、結合を直接測定する。例えばそれは、KSPの全体もしくは一部を固体担体に結合させ、標識有糸分裂剤(例えば、少なくとも1個の原子が検出可能な放射性同位体で置き換わっている本発明の化合物)を加え、過剰の試薬を洗い流し、標識の量が固体担体上に存在するものであるか否かを確認することで行うことができる。当業界で公知のように、各種の遮断段階および洗浄段階を用いることができる。
【0178】
本明細書における「標識」とは、化合物が直接もしくは間接的に、検出可能な信号を与える標識、例えば放射性同位元素、蛍光タグ、酵素、抗体、磁性粒子などの粒子、化学発光タグまたは特異的結合分子などで標識されていることを意味する。特異的結合分子には、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンとアンチジゴキシンなどのペアなどがある。特異的結合の構成員については、通常は相補的構成員を、上記で説明したように公知の手順に従って、検出を提供する分子で標識することになると考えられる。標識は、直接または間接に検出可能信号を提供することができる。
【0179】
一部の実施形態において、構成要素の一つのみを標識する。例えばキネシンタンパク質は、125Iまたは蛍光団を用いてチロシン位置で標識することができる。別法として、複数の構成要素を、例えばタンパク質には125I、有糸分裂剤には蛍光団を用いて、異なる標識で標識することができる。
【0180】
本発明の化合物は、別の候補薬剤をスクリーニングする上での競合剤として用いることもできる。「生理活性候補剤」または「候補薬剤」または本明細書で使用される文法的均等物は、生理活性について試験の対象となるタンパク質、オリゴペプチド、小有機分子、多糖類、ポリヌクレオチドなどの分子を表す。それらは、細胞増殖表現型または細胞増殖配列(核酸配列およびタンパク質配列の両方など)の発現を直接または間接に変えることができる。他の場合、細胞増殖タンパク質結合および/または活性の変化をスクリーニングする。この種のスクリーニングは、微小管の存在下もしくは非存在下で行う。タンパク質結合または活性をスクリーニングする場合、好ましい実施形態においては、その特定のタンパク質に結合することがすでに知られている分子、例えば微小管などのポリマー構造、そしてATPなどのエネルギー源は除外される。本明細書でのアッセイの好ましい実施形態には、本明細書において「外因」剤と称される内因的自然状態で細胞増殖タンパク質に結合しない候補剤が含まれる。別の好ましい実施形態ではさらに、外因剤はKSPに対する抗体を除外するものである。
【0181】
候補薬剤は、多くの化学分類を包含することができる。ただし代表的にはそれは有機分子であり、好ましくは分子量が100より大きく、約2500ダルトン未満である小型有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特には水素結合および親油性結合に必要な官能基を有し、代表的には少なくとも1個のアミン、カルボニル、ヒドロキシル、エーテルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2個の機能的化学基を含む。候補薬剤は多くの場合、1以上の上記官能基で置換された環状炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多芳香族構造を有する。候補薬剤はまた、ペプチド類、糖類、脂肪酸類、ステロイド類、プリン類、ピリミジン類、誘導体、構造的類縁体またはそれらの組み合わせなどの分子もある。特に好ましいものはペプチド類である。
【0182】
候補薬剤は、合成もしくは天然化合物のライブラリを含む非常に多様な入手源から得られる。例えば、無作為化オリゴヌクレオチドなどの多くの手段が、非常に多様な有機化合物を生体分子の無作為かつ直接の合成に利用可能である。別法として、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態での天然化合物のライブラリが利用可能であるか、容易に製造される。さらに、天然もしくは合成的に製造されたライブラリおよび化合物は、従来の化学的、物理的および生化学的手段によって容易に修飾される。公知の薬物について、アシル化、アルキル化、エステル化、アミジン化などの直接もしくはランダムな化学修飾を行って、構造的類縁体を製造することができる。
【0183】
第1のサンプルでKSPと候補薬剤を組み合わせることで、競争的スクリーニングアッセイを行うことができる。第2のサンプルは、有糸分裂剤、KSPおよび候補薬剤を含む。それは、微小管の存在下もしくは非存在下で行うことができる。候補薬剤の結合を両方のサンプルについて測定し、2つのサンプル間での結合における変化または差が、KSPに結合することができ、その活性を調節する可能性のある薬剤の存在を示す。すなわち、候補薬剤の結合が第1のサンプルと比較して第2のサンプルにおいて異なる場合、その候補薬剤はKSPに結合することができる。
【0184】
ある好ましい実施形態において、候補薬剤の結合を、競争的結合アッセイを用いて確認する。この実施形態では競争剤は、抗体、ペプチド、結合相手、リガンドなどのKSPに結合することが知られている結合部分である。ある一定の環境下では、候補剤と結合部分との間に競争的結合がある可能性があり、結合部分が候補剤に置き換わる。
【0185】
1実施形態では、候補剤を標識する。最初に、候補剤もしくは競争剤のいずれか、あるいはその両方を、存在するのであれば結合を可能とするだけの期間にわたってKSPに加える。至適活性を促進する温度、代表的には約4〜約40℃でインキュベーションを行うことができる。
【0186】
インキュベーション期間は至適活性が得られるように選択されるが、迅速で高スループットのスクリーニングを促進するように至適化することもできる。代表的には、0.1〜1時間で十分である。通常、過剰の試薬を除去または洗い流す。次に、第2の成分を加え、成分の有無を追跡して、結合を示す。
【0187】
ある好ましい実施形態において、競争剤を最初に加え、次に候補剤を加える。競争剤が置き換わっていればそれは、候補剤がKSPに結合しており、従ってKSPに結合することができ、その活性を調節する可能性があることを示している。その実施形態では、いずれかの成分を標識することができる。そこで例えば、競争剤が標識されている場合、洗浄液中に標識が存在すれば、薬剤による置き換わりが示されている。あるいは、候補剤が標識されている場合、支持体上に標識が存在すれば置き換わりが示されている。
【0188】
別の実施形態においては、候補剤を最初に加え、インキュベーションおよび洗浄を行って、次に競争剤を加える。競争剤による結合がなければ、候補剤の方が高い親和性でKSPに結合することが示されると考えられる。従って、候補剤が標識されている場合、競争剤結合が欠如しているとともに支持体上に標識が存在すれば、候補剤がKSPに結合できることが示されることになると考えられる。
【0189】
KSPの結合部位を確認することは有用となり得る。それは、各種方法で行うことができる。1実施形態においては、KSPが有糸分裂剤に結合することが確認されたら、KSPを断片化もしくは修飾し、そのアッセイを再度行って、結合に必要な構成要素を確認する。
【0190】
調節の試験は、上記のように候補剤とKSPを組み合わせる段階およびKSPの生理活性における変化を確認する段階を有する、KSP活性を調節することができる候補薬剤についてのスクリーニングによって行う。そこでこの実施形態では、候補薬剤は、KSPに結合し(ただし、それは必要ない場合がある)、しかも本明細書で定義のそれの生理活性もしくは生化学的活性を変えるものでなければならない。これらの方法は、in vitroスクリーニング方法前述したような細胞周期分布、細胞生存性における変化、または有糸分裂紡錘糸の存在、形態、活性、分布もしくは量に関する細胞のおよびin vivoスクリーニングの両方を含む。
【0191】
別法として、異なるスクリーニングを用いて、天然KSPには結合するが修飾KSPには結合できない候補薬剤を確認することができる。
【0192】
これらのアッセイでは、陽性対照および陰性対照を用いることができる。好ましくは、全ての対照サンプルおよび試験サンプルについて少なくとも3連で試験を行って、統計的に有意な結果を得る。全サンプルのインキュベーションを、薬剤がタンパク質に結合するだけの期間にわたって行う。インキュベーション後、全てのサンプルを洗浄して非特異的結合物を除去し、結合した標識薬剤の量を測定する。例えば、放射能標識を用いる場合、サンプルをシンチレーションカウンタでカウンティングして、結合した化合物の量を測定することができる。
【0193】
スクリーニングアッセイには、各種の他の試薬を用いることができる。それには、至適なタンパク質−タンパク質結合を促進し、ないしは非特異的もしくはバックグラウンド相互作用を低減するのに用いることができる塩、中性タンパク質(例:アルブミン)、洗剤等の試薬などがある。プロテアーゼ阻害薬、ヌクレアーゼ阻害薬、抗菌剤などの他の形態でアッセイの効率を高める試薬も用いることができる。構成成分の混合物は、必要な結合が得られればいかなる順序でも加えることができる。
【0194】
本発明の上記および他の態様については、本明細書に記載の内容から明らかになろう。
【0195】
アッセイ
実施例に記載の本発明の化合物の試験を、以下に記載のアッセイによって行ったところ、キナーゼ阻害活性を有することが認められた。他のアッセイが文献で公知であり、当業者であればそれを容易に行うことができると考えられる(例えば、PCT公開WO 01/30768(2001年5月3日、18〜22頁)参照)。
【0196】
I.キネシンATPaseのin vitroアッセイ
ヒトポリヒスチジン標識KSP運動領域(KSP(367H))のクローニングおよび発現
ヒトKSP運動領域構築物の発現のためのプラスミドを、テンプレートとしてpBleuscript全長ヒトKSP構築物(Blangy et al., Cell, vol. 83, pp1159-1169, 1995)を用いるPCRによってクローニングした。
【0197】
【化30】

を用いて、運動領域とネックリンカー領域を増幅した。PCR産物を、AseIおよびXhoIで消化させ、pRSETa(Invitrogen)のNdeI/XhoI消化産物に連結させ、大腸菌BL21(DE3)に形質転換させた。
【0198】
細胞を37℃で、OD600が0.5となるまで増殖させた。培地を室温まで冷却した後、KSPの発現を100μM IPTGで誘発し、インキュベーションを終夜続けた。細胞を遠心によってペレットとし、氷冷PBSで1回洗浄した。ペレットを急速冷凍し、−80℃で保存した。
【0199】
タンパク質精製
細胞ペレットを氷上で解凍し、溶解緩衝液(50mM K−HEPES、pH8.0、250mM KCl、0.1%Tween、10mMイミダゾール、0.5mM Mg−ATP、1mM PMSF、2mMベンゾイミジン、1×完全プロテアーゼ阻害薬カクテル(Roche))に再懸濁させた。細胞懸濁液を1mg/mLのリゾチームおよび5mM β−メルカプトエタノールとともに、氷上で10分間インキュベートしてから、超音波処理した(30秒間で3回)。その後の手順はいずれも4℃で行った。溶解物を40000×gで40分間遠心した。上清を希釈し、緩衝液A(50mM K−HEPES、pH6.8、1mM MgCl、1mM EGTA、10μM Mg−ATP、1mM DTT)中のSPセファロースカラム(Pharmacia、5mLカートリッジ)に加え、緩衝液A中の0〜750mM KCl勾配で溶離した。KSPを含有する分画を合わせ、Ni−NTA樹脂(Qiagen)で1時間インキュベートした。樹脂を緩衝液B(溶解緩衝液からPMSFおよびプロテアーゼ阻害薬カクテルを除外したもの)で3回洗浄し、次に15分間のインキュベーションを3回行い、緩衝液Bで洗浄した。最後に、樹脂をインキュベートし、緩衝液C(pH6.0以外は緩衝液Bと同じ)での15分間の洗浄を3回行い、カラムに投入した。KSPを、溶離緩衝液(150mM KClおよび250mMイミダゾール以外は緩衝液Bと同じ)で溶離した。KSP含有分画を合わせ、10%ショ糖液とし、−80℃で保存した。
【0200】
ウシ脳から単離したチューブリンから、微小管を得る。1mg/mLの精製チューブリン(>97%MAP非含有)を、BRB80緩衝液(pH6.8の80mM K−PIPES、1mM EGTA、1mM MgCl)中10μMパクリタキセル、1mM DTT、1mM GTPの存在下に37℃で重合させる。超遠心および上清の除去によって、得られた微小管を非重合チューブリンから分離する。微小管を含むペレットを、BRB80中10μMパクリタキセル、1mM DTT、50μg/mLアンピシリンおよび5μg/mLクロラムフェニコールにやさしく再懸濁させる。
【0201】
キネシン運動領域を、80mM K−HEPES(pH7.0)、1mM EGTA、1mM DTT、1mM MgClおよび50mM KClを含む緩衝液中、23℃で微小管、1mM ATP(1:1MgCl:Na−ATP)および化合物とともにインキュベートする。80mM HEPESおよび50mM EDTAの最終緩衝液組成物で2〜10倍希釈することで、反応を停止する。反応停止液A:反応停止液Bを2:1の比で含む反応停止液C緩衝液150μLを加えることで、キナルジンレッド/モリブデン酸アンモニウムアッセイによって、ATP加水分解反応からの遊離リン酸化合物を測定する。反応停止液Aは0.1mg/mLのキナルジンレッドおよび0.14%ポリビニルアルコールを含み、反応停止液Bは1.15M硫酸中に12.3mMモリブデン酸アンモニウム・4水和物を含む。反応液を23℃で10分間インキュベートし、リン−モリブデン酸錯体の吸光度を540nmで測定する。
【0202】
実施例中の化合物2−6aおよび2−6bの混合物について上記アッセイでの試験を行ったところ、IC50≦50μMを有することが認められた。
【0203】
II.細胞増殖アッセイ
細胞を、24時間、48時間および72時間にわたる対数的増殖を可能とする密度で96ウェル組織培養皿に接種し、終夜で付着させる。翌日、全てのプレートに、1/2対数値差で10点の滴定にて化合物を加える。各一連の滴定は3連で実施し、アッセイを通じてDMSO濃度を0.1%の一定に維持する。0.1%DMSO単独の対照も含める。各一連の化合物希釈を、血清を含まない培地で行う。アッセイ中の血清の最終濃度は、培地容積200μL中で5%である。アラマーブルー染色試薬20μLを、薬剤添加から24時間後、48時間後または72時間後に、滴定プレート上の各サンプルおよび対照ウェルに加え、37℃でのインキュベーションに戻す。6〜12時間後に、アラマーブルー蛍光を、励起波長530〜560nm、発光590nmを用いるサイトフルオル(CytoFluor)IIプレート読取装置で分析する。
【0204】
x軸に化合物濃度をプロットし、y軸に各滴定点についての細胞増殖の平均阻害パーセントをプロットすることで、細胞傷害性EC50を誘導する。媒体単独で処理した対照ウェルでの細胞増殖を、このアッセイでの100%増殖と定義し、化合物で処理した細胞の増殖をその値と比較する。当社所有の社内ソフトウェアを使って、論理的4パラメータ曲線適合を用いて、細胞傷害値パーセントおよび感染ポイントを計算する。細胞毒性パーセントは、下記のように定義される。
【0205】
細胞傷害%:(蛍光対照)−(蛍光サンプル)×100×(蛍光対照−1
【0206】
変曲点を細胞傷害EC50として報告する。
【0207】
III.FACSによる有糸分裂停止およびアポトーシスの評価
FACS分析を用いて、処理細胞群におけるDNA含有量を測定することで、化合物が有糸分裂を停止させ、アポトーシスを誘発する能力を評価する。細胞1.4×10個/6cm組織培養皿の密度で細胞を接種し、終夜で付着させる。次に、細胞を媒体(0.1%DMSO)または一連の化合物の滴定液で8〜16時間処理する。処理後、指定の時点でトリプシン添加によって細胞を回収し、遠心によってペレットとする。細胞ペレットをPBSで洗浄し、70%エタノールで固定し、4℃で終夜またはそれ以上保存する。
【0208】
FACS分析を行うため、少なくとも500000個の固定細胞をペレットとし、吸引によって70%エタノールを除去する。次に、RNaseA(50クニッツ(Kunitz)単位/mL)およびヨウ化プロピジウム(50μg/mL)とともに、細胞を4℃で30分間インキュベートし、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)FACSカリバを用いて分析する。データ(細胞10000個から)を、モドフィット(Modfit)細胞周期分析モデリングソフトウェア(Verity Inc.)を用いて解析する。
【0209】
x軸に化合物濃度をプロットし、y軸に各滴定点での細胞周期のG2/M基の細胞のパーセント(ヨウ化プロピジウム蛍光によって測定)をプロットすることで、有糸分裂停止に関するEC50を誘導する。シグマプロット(SigmaPlot)プログラムを用いてデータ解析を行って、論理的4パラメータ曲線適合を用いて変曲点を計算する。その変曲点を有糸分裂停止に関するEC50として報告する。同様の方法を用いて、アポトーシスについての化合物EC50を測定する。その場合、各滴定点でのアポトーシス細胞のパーセント(ヨウ化プロピジウム蛍光によって測定)をy軸にプロットして、同様の解析を上記の方法に従って行う。
【0210】
IV.単極紡錘糸を検出するための免疫蛍光顕微鏡検査
DNA、チューブリンおよびペリセントリンの免疫蛍光染色方法は、実質的に文献(Kapoor et al., 2000, J. Cell Biol., 150: 975-988)に記載の方法に従う。細胞培養試験を行うため、組織培養処理ガラスチャンバスライドグラス上で細胞を平板培養し、終夜で付着させる。次に、細胞を対象化合物とともに4℃で16時間インキュべートする。インキュベーション完了後、培地および薬剤を吸引し、チャンバおよびガスケットをスライドグラスから外す。次に、参照のプロトコールに従って、細胞を浸透性とし、固定し、洗浄し、非特異的抗体結合について遮断する。パラフィン包埋腫瘍切片をキシレンでパラフィン除去し、一連のエタノールで再水和させてから、遮断を行う。スライドグラスを、一次抗体(マウスモノクローナル抗−α−チューブリン抗体、1:500希釈したシグマ(Sigma)からのクローンDM1A;1:2000希釈したコバンス(Covance)からのウサギポリクローナル抗ペリセントリン抗体)中、4℃で終夜インキュベートする。洗浄後、15μg/mLまで希釈した接合二次抗体(チューブリンについてのFITC接合ロバ抗マウスIgG;ペリセントリンについてのテキサスレッド(Texasred)接合ロバ抗ウサギIgG)とともに、スライドグラスを室温で1時間インキュベートする。次に、スライドグラスを洗浄し、ヘキスト(Hoechst)33342で対比染色して、DNAを肉眼で確認できるようにする。免疫染色したサンプルを、メタモルフ(Metamorph)デコンボリューションおよび画像ソフトウェアを用い、ニコン(Nikon)落射蛍光顕微鏡上の100倍油浸レンズで撮像する。
【実施例】
【0211】
ここで提供される実施例は、本発明についての理解をさらに深める上で役立てることを意図したものである。使用した特定の材料、化学種および条件は、本発明を説明するためのものであり、本発明の妥当な範囲を限定するものではない。
【0212】
【化31】


【0213】
段階1:4−アリル−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン(1−4)
LAH粉末15.8g(416mmol)のジエチルエーテル(600mL)懸濁液に、α−アリル−α−フェニルグリシンエチルエステル(1−3)(Van Betsbrugge et. al., Tetrahedron, 1997, 53, 9233-9240に従って製造)18.3g(90mmol)のジエチルエーテル(75mL)溶液を、緩やかな還流を維持するような速度で加えた。室温で終夜攪拌した後、水27mLと、次に15%NaOH 27mLおよび最後に水82mLで注意深く反応停止した。多量のNaSOを加え、混合物を1時間攪拌した。固体を濾去し、溶液を濃縮した。残留物をCHCl300mLに溶かし、NaSOで脱水し、濃縮して、アミノアルコールを無色油状物として得た。アミノアルコール(4.5g、25mmol)をCHCl50mLに溶かし、冷却して0℃とした。トリエチルアミン5.4mL(53mmol)および1,1′−カルボニルジイミダゾール4.5g(28mmol)を加えた後、混合物を昇温させて室温とし、4時間攪拌した。反応液を分液漏斗に投入し、1M HCl、水で2回洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮して、オキサゾリジノン1−4を無色油状物として得た。1−4のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.4〜7.2(m、5H)、6.6(s、1H)、5.6〜5.5(m、1H)、5.2(m、2H)、4.5(d、1H)、4.35(d、1H)、2.8(m、1H)、2.6(m、1H)ppm。
【0214】
段階2:ジエステル(1−5)
1−4 68g(334.6mmol)のCHCl(500mL)溶液を冷却して−78℃とし、淡青色が消えなくなるまで溶液にオゾンを吹き込んだ。Oを溶液に15分間吹き込み、次にNを30分間吹き込んだ。その時点で、ジメチルスルフィド491mL(6.7mol)を加え、溶液を終夜攪拌しながら、徐々に室温に戻した。揮発分をロータリーエバポレータ留去によって除去して、褐色油状物を得た。その取得物をtBuOH 1リットルに懸濁させ、2−メチル−2−ブテン200mL(1.9mol)を加えた。その溶液に、NaHPO160g(1.33mol)およびNaClO70g(774mmol)のHO(800mL)中混合物を滴下した。添加完了後、混合物をさらに4時間攪拌した。層を分離した後、有機層をロータリーエバポレータ留去によって濃縮し、残留物をEtOAcに溶かし、反応液からの水相が入った分液漏斗に入れた。分離後、水相をEtOAcで3回抽出し、NaSOで脱水し、濃縮して、黄色ガム状物約90gを得た。その残留物をMeOH 500mLに懸濁させ、溶液がほぼ還流するまで、HClガスを溶液に吹き込んだ。フラスコにキャップを取り付け、終夜攪拌しながら冷却して室温とした。揮発分をロータリーエバポレータ留去によって除去し、残留物をCHCl中のシリカゲルカラム上に乗せ、EtOAc/ヘキサンで溶離して、メチルエステルを淡橙赤色ガム状物として得た。その残留物をTHF 500mLに溶かし、冷却して0℃とし、ブロモ酢酸tert−ブチル32.6mL(220.5mmol)を加え、次にNaH 10.6g(60%懸濁物264.6mmol)を加えた。混合物を昇温させて室温とし、終夜攪拌した後、それを飽和NHCl溶液で反応停止し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮し、残留物をEtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、1−5を粘稠淡黄色ガム状物として得た。1−5のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.4〜7.3(m、5H)、4.65(d、1H)、4.55(d、1H)、3.9(d、1H)、3.65(s、3H)、3.5(d、1H)、3.35(d、1H)、3.2(d、1H)、1.4(s、9H)ppm。HRMS(ES)C1823NOの計算値M+Na:372.1423。実測値:372.1412。
【0215】
段階3:7a−フェニルジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール−3,6−(5H)−ジオン(1−6)
1−5 18.6g(53mmol)のTHF(150mL)溶液に−78℃で、LiHMDSの1M THF溶液58.6mL(58.6mmol)を滴下した。その温度で1時間攪拌後、冷却浴を外し、反応液を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。混合物を飽和NHCl溶液で反応停止し、EtOAcで2回抽出し、ブラインで2回洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。残留物をギ酸60mLに溶かし、100℃で24時間加熱した。揮発分を真空下に除去し、残留物をCHCl/ヘキサン/EtOで磨砕して、1−6をベージュ固体として得た。1−6のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.5〜7.3(m、5H)、4.7(d、1H)、4.3(d、1H)、4.2(d、1H)、3.5(d、1H)、3.1(d、1H)、2.95(d、1H)、2.9(d、1H)ppm。
【0216】
段階4:6−(2,5−ジフルオロフェニル)−7a−フェニル−5,7a−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール−3−オン(1−7)
1−7 2.2g(10mmol)のTHF(150mL)懸濁液に−78℃で、1M NaHMDSのTHF溶液12.2mL(12.2mmol)を滴下した。30分間攪拌後、溶液を昇温させて0℃とし、その温度に1時間維持した。溶液を再度冷却して−78℃とし、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)4.35g(12.2mmol)のTHF(10mL)溶液を加えた。冷却浴を外し、混合物を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。混合物を飽和NHCl溶液で反応停止し、EtOAcで2回抽出し、ブラインで2回洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。残留物をDME75mLおよび水18mLに溶かした。その混合物に、LiCl 1.29g(30mmol)、NaCO3.2g(30mmol)および2,5−ジフルオロフェニルボロン酸4.8g(30mmol)を加えた。溶液をNで1分間脱気し、次にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)630mg(0.5mmol)を加えた。反応液を90℃で3時間加熱し、冷却して室温とし、飽和NaHCOで希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮し、残留物をCHCl/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、1−7を白色固体として得た。1−7のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.5〜7.3(m、5H)、7.1〜6.9(m、3H)、6.8(s、1H)、4.9(d、1H)、4.75(d、1H)、4.5(d、1H)、4.25(d、IH)ppm。HRMS(ES);C1813NOの計算値M+H:314.0987。実測値:314.0993。
【0217】
段階5:2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール(1−8)
1−7 1.75g(5.6mmol)のEtOH(15mL)および3M NaOH(10mL)中懸濁液を、60℃で3時間加熱し、冷却して室温とし、EtOAcおよびブラインの入った分液漏斗に投入した。層を分離し、水相をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機相をブラインで2回洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮して、白色固体を得た。そのフラスコに、CHCl30mL、イミダゾール1.5g(22.3mmol)およびTBSCl 1.76g(11.7mmol)を加え、得られた懸濁液を終夜攪拌した。反応液をCHClで希釈し、水で2回洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮し、残留物を、EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、1−8を白色固体として得た。1−8のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.6〜7.3(m、5H)、7.1〜6.9(m、3H)、6.75(s、1H)、4.25(d、1H)、4.1(d、1H)、3.95(d、1H)、3.75(d、1H)、0.9(s、9H)、0.1(s、3H)、0.05(s、3H)ppm。
【0218】
段階6:中間体1−8のエナンチオマー分割
150mL/分で1%イソプロパノール/ヘキサン(0.1%ジエチルアミン含有)を用いるキラルパックAD(登録商標)10×50cmカラムを使用して、エナンチオマーの分割をクロマトグラフィーで行った。1mL/分での1%イソプロパノール/ヘキサン(0.1%ジエチルアミン含有)を用いる4×250mmキラルパックAD(登録商標)カラムでの溶出液の分析HPLC分析は、最初に溶出した活性エナンチオマーがR=5.5分を有し、第2のエナンチオマーがR=6.9分を有することを示していた。
【0219】
段階7:カルバモイルクロライド1−9
トリホスゲン1.95g(6.6mmol)のTHF(25mL)溶液に0℃で、最初に溶出した1−8のエナンチオマー1.31g(3.3mmol)およびトリエチルアミン915μL(6.6mmol)のTHF(10mL)溶液を加えた。氷浴を外し、反応液を昇温させて室温とし、3時間攪拌した。反応液を次に、水とEtOAcとの間で分配し、層を分離し、NaSOで脱水し、濃縮して、1−9を褐色油状物として得た。1−9のデータ:HRMS(ES);C2428ClFNOSiの計算値M+H:464.1619。実測値:464.1625。
【0220】
【化32】

【0221】
ジエステル1−5の別途合成
1−4 14.8g(73mmol)およびCHCl 110mL、CHCN 110mLおよび水320mLの二相混合物に、塩化ルテニウム(III)・水和物約200mgを加えた。高攪拌しながら、過ヨウ素酸ナトリウム(85.6g、400mmol)を1時間かけて少量ずつ加えた。添加完了後、反応液をさらに4時間室温で攪拌した。混合物を水500mLおよびEtOAc 1.5リットルで希釈し、固体を濾過によって除去した。濾液を分液漏斗に入れ、相を分離し、水相をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機相をブラインで2回洗浄し、NaSOで脱水した。濃縮後、得られた暗褐色固体をMeOH 250mLに溶かし、溶液温度が35℃を超えて上昇しないような速度で、HCl(ガス)を溶液にゆっくり通した。5分後、反応液にキャップを施し、室温で終夜攪拌した。揮発分をロータリーエバポレータで除去し、残留物を、EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、メチルエステル13.6g(58mmol)を粘稠油状物として得た。その残留物をTHF 200mLに溶かし、冷却して0℃とし、ブロモ酢酸tert−ブチル10.3mL(70mmol)を加え、次にNaH2.8g(60%懸濁物70mmol)を加えた。混合物を昇温させて室温とし、終夜攪拌した後、それを飽和NHCl溶液で反応停止し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮し、残留物をEtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、1−5を無色油状物として得た。1−5のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.4〜7.3(m、5H)、4.65(d、1H)、4.55(d、1H)、3.9(d、1H)、3.65(s、3H)、3.5(d、1H)、3.35(d、1H)、3.2(d、1H)、1.4(s、9H)ppm。HRMS(ES);C1823NOの計算値M+Na:372.1423。実測値:372.1412。
【0222】
【化33】

【0223】
段階1:4−メチレン−2−フェニルプロリン酸メチル(1B−2)
フェニルグリシンメチルエステル−HCl(100g)の水溶液(300mL)を、10N NaOHで中和してpH8とした。水溶液をEtOAcで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機抽出液をMgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。残留物(56.7g、344mmol)をオルトギ酸トリメチル(100mL)に溶かし、ベンズアルデヒド(34.9mL、36.4g、344mmol)で処理した。2時間攪拌後、反応液をEtO(200mL)で希釈し、水で洗浄した(50mLで3回)。有機溶液をMgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られたイミン残留物の一部(26.8g、100mmol)を塩化メチレン(240mL)に溶かし、10N NaOH 160mL、メタアリルジクロライド(50.0g、400mmol)およびBuNHSO(3.59g)で処理した。室温で10時間攪拌後、反応液を塩化メチレンで希釈し、有機溶液を分離し、MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。残留物をEtO/1N HCl(200mL/200mL)に再度溶かし、2時間攪拌した。水相を分離し、10N NaOHで中和した(pH8とした)。その水系混合物をEtOAcで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機溶液をMgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を水に溶かし、中和した(pH8とした)。その混合物をEtOAcで抽出し(3回)、次にMgSOでの脱水、濾過および濃縮を行って、粗1B−2を得た。この残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製することで、純粋な1B−2を得た。
【0224】
1B−2のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.51(m、2H)、7.42(m、3H)、5.03(s、1H)、4.95(s、1H)、3.71(m、5H)、3.41(m、1H)、2.80(m、1H)ppm。
【0225】
段階2:7a−フェニルジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール−3,6(5H)−ジオン(1−6)
LiAlH(7.14g、188mmol)のTHF(500mL)懸濁液を冷却して0℃とし、エステル1B−2(10.2g、47mmol)のTHF(50mL)溶液を20分かけて加えた。0℃で30分間攪拌後、水(7.1mL)、15%NaOH水溶液(7.1mL)およびHO(21.3mL)を加えることで注意深く反応停止した。固体NaSOを加え、混合物を40分間攪拌した。混合物を濾過し、濃縮した。残留物(8.2g、43.3mmol)を塩化メチレン(300mL)に溶かし、トリエチルアミン(9.0mL、6.5g、65.0mmol)およびカルボニルジイミダゾール(9.14g、56.4mmol)で処理した。室温で48時間攪拌した後、反応液を塩化メチレンで希釈し、1N HClおよびブラインで洗浄した。有機溶液を濃縮し、それ以上精製しなかった。残留物1B−3(9.2g、42.8mmol)の塩化メチレン(200mL)溶液を冷却して−78℃とし、青色が消えなくなるまでオゾンを溶液に通した。溶液をパージし、ジメチルスルフィド(35mL)で処理した。終夜で徐々に昇温させて室温とした後、溶液を濃縮して黄色固体を得た。この固体をEtOで磨砕して、純粋な1−6を得た。1−6のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ7.5〜7.3(m、5H)、4.7(d、1H)、4.3(d、1H)、4.2(d、1H)、3.5(d、1H)、3.1(d、1H)、2.95(d、1H)、2.9(d、1H)ppm。
【0226】
【化34】

【0227】
4−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル(2−2)
2−1(S. J. Hayes, T. C., Malone, G. Johnson, J. Org. Chem., 1991, 56, 4084-4086に報告)2.0g(6.8mmol)のCHCl(100mL)溶液に、トリエチルアミン3.33mL(23.9mmol)を加え、次にSO−ピリジン2.44g(15.4mmol)のDMSO(50mL)溶液を滴下した。室温で5時間攪拌後、混合物をCHClとHOとの間で分配し、相を分離し、1M HClで2回、飽和NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮してケトンを得た。Toそのケトン2.1g(7.2mmol)をMeOH 35mLに溶かしたものに、AcOH 1mLおよび2M MeNH/MeOH溶液14.4mL(28.9mmol)を加えた。1時間攪拌後、MeOH(5mL)中のNaCNBH910mg(14.4mmol)を加え、反応液を終夜攪拌した。飽和NHCl水溶液で反応停止し、CHClで抽出し、NaHCO、HO、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮して、アミン2.0g(7.2mmol)を得た。その取得物をCHCl25mLに溶かし、ジ−tert−ブチルジカーボネート1.78g(8.2mmol)およびトリエチルアミン1.8mL(12.9mmol)を加え、得られた混合物を72時間攪拌した。その反応を次に、CHClと飽和NaHCO水溶液との間で分配し、分離し、HO、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。残留物を、EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ジアステレオマー混合物1.85g(4.6mmol)を得た。それをTHF 20mLおよびMeOH 1mLに溶かし、冷却して0℃とし、LiBH496mg(22.8mmol)を加えた。昇温させて室温とし、終夜攪拌した後、飽和NHCl水溶液で反応停止し、EtOAcで抽出し、HO、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮して、2−2を無色ガム状物として得た。2−2のデータ:LRMS(ES);C2030の計算値M+H:379。実測値:379。
【0228】
tert−ブチル[2−(ヒドロキシメチル)−1−メチルピペリジン−4−イル]メチルカーバメート(2−3)
2−2 1.08g(2.9mmol)のEtOH(30mL)溶液に、1,4−シクロヘキサジエン7mL(74mmol)および触媒量の10%Pd/炭素を加えた。終夜攪拌後、反応液をセライトで濾過し、ロータリーエバポレータ留去によって濃縮し、MeOH 25mLに溶かした。それに、AcOH 2mLおよび37%ホルムアルデヒド水溶液700μL(8.6mmol)を加えた。終夜攪拌後、NaCNBH540mg(8.6mmol)のMeOH(5mL)溶液を加え、反応液をさらに1時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレータ留去によって除去し、残留物をEtOAcとNaHCO水溶液との間で分配し、有機相をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。残留物をCHClに取り、濾過し、濃縮して、2−3を無色油状物として得た。2−3のデータ:LRMS(ES);C1326の計算値M+H:259。実測値:259。
【0229】
tert−ブチル[2−(フルオロメチル)−1−メチルピペリジン−4−イル]メチルカーバメート(2−5)およびtert−ブチル(6−フルオロ−1−メチルアゼパン−4−イル)メチルカーバメート(2−4)
(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(DAST)350μL(2.6mmol)のCHCl(15mL)溶液に−78℃で、2−3 520mg(2.0mmol)のCHCl(5mL)溶液を加えた。終夜攪拌しながら、反応液を徐々に昇温させて室温とし、氷水で反応停止した。混合物を追加のCHClと少量の3M KOHとの間で分配し、有機相を水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムに乗せ、EtOAc−20:1:1EtOH/NHOH/HOで溶離した。最初の溶出生成物は、無色油状物としての環拡大生成物2−4であり、第2の溶出生成物は無色油状物としての2−5であった。8−5および8−4のいずれも、トランスジアステレオマーのエナンチオマー混合物として単離された。それらの構造は、拡張1Dおよび2D NMRスペクトル測定によって確認した。2−4のデータ:H NMR(600MHz、CDCl)δ4.75(m、1H)、4.1〜3.9(m、1H)、2.9〜2.7(m、3H)、2.75(s、3H)、2.4(s、3H)、2.35(m、1H)、2.1〜1.7(m、4H)、1.4(s、9H)ppm。2−5のデータ:H NMR(500MHz、CDCl)δ4.8〜4.5(m、2H)、4.1〜4.0(m、1H)、3.2(m、1H)、2.75(m、2H)、2.7(s、3H)、2.45(s、3H)、1.9〜1.5(m、4H)、1.45(s、9H)ppm。
【0230】
(2S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−[(4R,6S)−6−フルオロ−1−メチルアゼパン−4−イル]−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−2−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキサミド(2−6a)および(2S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−[(4S,6R)−6−フルオロ−1−メチルアゼパン−4−イル]−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−2−フェニル、5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキサミド(2−6b)の合成
2−4 45mg(0.17mmol)のEtOAc(30mL)溶液をHClガスで飽和させ、室温で1時間攪拌した。反応液をロータリーエバポレータ留去によって濃縮し、得られた白色固体をTHF 1mLに懸濁させた。それに、1−9 88mg(0.19mmol)、ジイソプロピルエチルアミン151μL(0.87mmol)およびDMAP少量を加えた。50℃で終夜加熱した後、トリフルオロ酢酸500μLを加え、攪拌を室温でさらに1時間続けてから、飽和NaHCO水溶液で反応停止した。混合物をCHClで分配し、有機相をブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムに乗せ、CHCl−80:10:10CHCl/EtOAc/MeOHで溶離して、2−6aおよび2−6bの混合物を無色ガム状物として得た。2−6a/2−6bのデータ:HRMS(ES);C2630の計算値M+H:474.2363。実測値:474.2377。
【0231】
図式1〜2および図式A〜Nに示した手順に簡単な変更を加え、それら図式で用いられている試薬を適切に置換された試薬に代えることで、下記の化合物が製造される。
【0232】
【表3】

































【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【化1】

[式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1、2または3であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
tは、0、1または2であり;
uは、0、1または2であり;
およびRは独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;
は、
1)水素、
2)C〜C10アルキル、
3)C〜C10アルキル−O−R
4)C〜C10アルケニル−O−R
5)C〜C10アルキニル−O−R
6)(C〜C〜アルキレン)C〜Cシクロアルキル−O−R
7)C〜C10アルキル−(C=O)−NRc′
8)C〜C10アルケニル−(C=O)NRc′
9)C〜C10アルキニル−(C=O)NRc′
10)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−(C=O)NRc′
11)C〜C10アルキル−S(O)−R
12)C〜C10アルケニル−S(O)−R
13)C〜C10アルキニル−S(O)−R
14)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルは、Rから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)O〜Cパーフルオロアルキル、
8)O(C=O)NR
9)S(O)
10)S(O)NR
11)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)水素、
2)(C=O)〜C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)COH、
5)ハロ、
6)CN、
7)OH、
8)O〜Cパーフルオロアルキル、
9)O(C=O)NR
10)S(O)
11)S(O)NR
12)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C〜C10アルケニル、
4)C〜C10アルキニル、
5)(C=O)複素環、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O〜Cパーフルオロアルキル、
11)O(C=O)NR
12)S(O)
13)S(O)NR
14)オキソ、
15)CHO、
16)(N=O)R
17)(C=O)〜Cシクロアルキル、
18)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−COH、
17)(C=O)N(R
18)S(O)
19)S(O)N(Rおよび
20)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
10は、HおよびFから選択され;
11およびR12は独立に、Fおよび−CHFから選択され;
13およびR14は独立に、Hおよび−CHFから選択され;
OXは非存在であるかオキソであり;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、H、(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルキル−OH,−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。]
【請求項2】
式IIの請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【化2】

[式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1、2または3であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
tは、0または1であり;
uは、0または1であり;
およびRは独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;
は、
1)水素、
2)C〜C10アルキル、
3)C〜C10アルキル−O−R
4)C〜C10アルケニル−O−R
5)C〜C10アルキニル−O−R
6)(C〜C〜アルキレン)C〜Cシクロアルキル−O−R
7)C〜C10アルキル−(C=O)−NRc′
8)C〜C10アルケニル−(C=O)NRc′
9)C〜C10アルキニル−(C=O)NRc′
10)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−(C=O)NRc′
11)C〜C10アルキル−S(O)−R
12)C〜C10アルケニル−S(O)−R
13)C〜C10アルキニル−S(O)−R
14)(C〜C〜アルキレン)〜Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルは、Rから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)O〜Cパーフルオロアルキル、
8)O(C=O)NR
9)S(O)
10)S(O)NR
11)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)水素、
2)(C=O)〜C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)COH、
5)ハロ、
6)CN、
7)OH、
8)O〜Cパーフルオロアルキル、
9)O(C=O)NR
10)S(O)
11)S(O)NR
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は独立に、
1)(C=O)〜C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C〜C10アルケニル、
4)C〜C10アルキニル、
5)(C=O)複素環、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O〜Cパーフルオロアルキル、
11)O(C=O)NR
12)S(O)
13)S(O)NR
14)オキソ、
15)CHO、
16)(N=O)R
17)(C=O)〜Cシクロアルキル、
18)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環およびシクロアルキルは、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−COH、
17)(CO)N(R
18)S(O)
19)S(O)N(Rおよび
20)−OPO(OH)
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
11およびR12は独立に、Fおよび−CHFから選択され;
13およびR14は独立に、Hおよび−CHFから選択され;ただしtが1の場合にはR14はHであり、uが1である場合にはR13はHであり;
OXは非存在であるかオキソであり;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は、H、(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルキル−OH,−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。]
【請求項3】
下記式IIIの請求項2に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩または立体異性体。
【化3】

[式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1または2であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
tは、0または1であり;
およびRは独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリールおよび(C〜C)シクロアルキルから選択され;
は独立に、
4)ハロ、
5)OH、
6)O〜Cパーフルオロアルキル
から選択され;
は、
1)水素、
2)ハロ、
3)OH、
4)O〜Cパーフルオロアルキル
から選択され;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−CO
17)(CO)N(R
18)S(O)および
19)S(O)N(R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
12は、Fおよび−CHFから選択され;
14は、Hおよび−CHFから選択され;ただしtが1の場合にはR14はHであり;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。]
【請求項4】
下記式IVの請求項3に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩または立体異性体。
【化4】

[式中、
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
およびRは独立に、Hならびに、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキルから選択され;
は独立に、
1)ハロ、
2)OH、
3)O〜Cパーフルオロアルキル
から選択され;
は、
1)(C=O)(C〜C10)アルキル、
2)O(C〜C)パーフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C〜C10)アルケニル、
8)(C〜C10)アルキニル、
9)(C=O)(C〜C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C〜C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C〜C)アルキレン−複素環、
12)(C=O)(C〜C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C〜C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C〜C)アルキレン−COHおよび
17)(CO)N(R
18)S(O)および
19)S(O)N(R
から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルキレンおよび複素環は、R、OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C〜Cアルキル、オキソ、NOおよびN(Rから選択される3個以下の置換基で置換されていても良く;
およびRは独立に、
1)H、
2)(C=O)O〜C10アルキル、
3)(C=O)O〜Cシクロアルキル、
4)(C=O)アリール、
5)(C=O)O複素環、
6)C〜C10アルキル、
7)アリール、
8)C〜C10アルケニル、
9)C〜C10アルキニル、
10)複素環、
11)C〜Cシクロアルキル、
12)SO、および
13)(C=O)NR
から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルおよびアルキニルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く、あるいは
およびRが、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であって、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリールまたは複素環から選択され;
は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環、(C〜C)シクロアルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′またはS(O)から選択され;
およびRc′は独立に、H、(C〜C)アルキル、アリール、NH、OH、OR,−(C〜C)アルキル−OH、−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル、(C=O)OC〜Cアルキル、(C=O)C〜Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)複素環、(C=O)NRe′、S(O)および−(C〜C)アルキル−N(Rから選択され、前記アルキルはRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;または
およびRc′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個または2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良く;
およびRe′は独立に、Rから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良いH、(C〜C)アルキル、アリール、複素環および(C〜C)シクロアルキルから選択され;あるいは
およびRe′が、それらが結合している窒素と一体となって、各環が3〜7員であり、窒素以外にN、OおよびSから選択される1個もしくは2個の別のヘテロ原子を有していても良い単環式または二環式複素環を形成していても良く、前記単環式または二環式複素環はRから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されていても良い。]
【請求項5】
(2S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−[(4R,6S)−6−フルオロ−1−メチルアゼパン−4−イル]−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−2−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキサミド、
(9S)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−[(4S,6R)−6−フルオロ−1−メチルアゼパン−4−イル]−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−2−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキサミド
またはこれらの製薬上許容される塩から選択される化合物。
【請求項6】
下記のものから選択される請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【表1】
































【請求項7】
請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体からなる医薬組成物。
【請求項8】
処置を必要とする哺乳動物での癌の治療もしくは予防方法であって、該哺乳動物に、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階からなる方法。
【請求項9】
前記癌が、脳、消化管、リンパ系、胃、喉頭および肺の癌から選択される請求項8に記載の癌の治療または癌の予防方法。
【請求項10】
前記癌が、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、血管芽細胞腫および乳癌から選択される請求項8に記載の癌の治療または予防方法。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物と製薬上許容される担体とを組み合わせる段階を有する、医薬組成物の製造方法。
【請求項12】
1)エストロゲン受容体調節剤、
2)アンドロゲン受容体調節剤、
3)レチノイド受容体調節剤、
4)細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、
5)抗増殖剤、
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管新生阻害薬、
11)PPAR−γ作働薬、
12)PPAR−δ作働薬、
13)細胞増殖および生存シグナリングの阻害薬、
14)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、および
15)アポトーシス誘発剤
から選択される第2の化合物をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
前記第2の化合物が、チロシンキナーゼ阻害薬、表皮由来成長因子の阻害薬、線維芽細胞由来成長因子の阻害薬、血小板由来成長因子の阻害薬、MMP阻害薬、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリ硫酸、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1およびVEGFに対する抗体からなる群から選択される血管新生阻害薬である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
プロテオソーム阻害薬をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項15】
オーロラキナーゼ阻害薬をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項16】
Rafキナーゼ阻害薬をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項17】
セリン/トレオニンキナーゼ阻害薬をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項18】
KSPとは異なる別の有糸分裂キネシンの阻害薬をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項19】
前記第2の化合物が、タモキシフェンおよびラロキシフェンから選択されるエストロゲン受容体調節剤である請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
放射線療法との併用で、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する、癌の治療方法。
【請求項21】
1)エストロゲン受容体調節剤;
2)アンドロゲン受容体調節剤;
3)レチノイド受容体調節剤;
4)細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤;
5)抗増殖剤;
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬;
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;
8)HIVプロテアーゼ阻害薬;
9)逆転写酵素阻害薬;
10)血管新生阻害薬;
11)PPAR−γ作働薬;
12)PPAR−δ作働薬;
13)固有多薬剤耐性阻害薬;
14)鎮吐剤;
15)貧血治療に有用な薬剤;
16)好中球減少症の治療に有用な薬剤;
17)免疫強化剤;
18)細胞増殖および生存シグナリングの阻害薬;
19)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤;および
20)アポトーシス誘発剤
から選択される化合物との併用で、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項22】
放射線療法および
1)エストロゲン受容体調節剤;
2)アンドロゲン受容体調節剤;
3)レチノイド受容体調節剤;
4)細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤;
5)抗増殖剤;
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬;
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;
8)HIVプロテアーゼ阻害薬;
9)逆転写酵素阻害薬;
10)血管新生阻害薬;
11)PPAR−γ作働薬;
12)PPAR−δ作働薬;
13)固有多薬剤耐性阻害薬;
14)鎮吐剤;
15)貧血治療に有用な薬剤;
16)好中球減少症の治療に有用な薬剤;
17)免疫強化剤;
18)細胞増殖および生存シグナリングの阻害薬;
19)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤;および
20)アポトーシス誘発剤
から選択される化合物との併用で、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療方法。
【請求項23】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物およびパクリタキセルまたはトラスツズマブを投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項24】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物およびGPIIb/IIIa拮抗薬を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項25】
前記GPIIb/IIIa拮抗薬がチロフィバンである請求項24に記載の方法。
【請求項26】
COX−2阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項27】
プロテオソーム阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項28】
オーロラキナーゼ阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項29】
Rafキナーゼ阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項30】
セリン/トレオニンキナーゼ阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項31】
KSPとは異なる別の有糸分裂キネシンの阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する癌の治療または予防方法。
【請求項32】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する有糸分裂紡錘糸形成を調節する方法。
【請求項33】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する有糸分裂キネシンKSPの阻害方法。

【公表番号】特表2007−502773(P2007−502773A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523320(P2006−523320)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/025964
【国際公開番号】WO2005/018547
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】