説明

木造建物における断熱材及び表面材の支持ブラケット

【課題】 木造建物の壁構造または屋根構造において、断熱材及び表面材を支持するための支持ブラケットを提供する。
【解決手段】 構造材(35、36)に対して取り付け可能な平板状のベース板(11)と、ベース板上に垂直に立設された縦板(12)と、縦板と直交する横板(13)とを有すると共に、縦板の端部からさらに突出する取付ヘッド部(12b)を具備し、縦板が表面下地材(32、42)と平行となるべく支持ブラケットを構造材に対して取り付けたとき、縦板と横板の互いに直交する部分は断熱材(20)の層内に位置し、かつ取付ヘッド部が表面下地材(32、42)に穿設した嵌め込み溝(32a)へ挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建物の外側の断熱施工並びに外壁材及び屋根材の取付け施工を合理化することができる断熱材及び表面材を支持するためのブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の木造建物では、外壁周りの断熱は、柱や間柱の間に室内側から断熱材を嵌め込み、ポリエチレンフィルムなどで気密化を図る充填断熱工法が行われてきたが、最近では、軸組の外側に断熱材を設ける外張り断熱工法も増えている。
【0003】
図8は、外張り断熱工法による木造建物の壁構造及び屋根構造の一例を模式的かつ概略的に示す側断面図である。
壁構造は、屋外側から屋内側へ順に、外壁材31(サイディング、コンクリート薄型パネル等)、通気層33、断熱材20(発泡プラスチック、グラスウール等)、気密シート34(ポリエチレンフィルム等)、構造下地材35(合板等)、柱36及び内装材37を有する。外壁材31の裏面の通気層33内では、矢印で示すように下から上に空気が流れ、屋根裏へと通気される。尚、通気層33の通路は、軒下から外部へ流出する構造や、屋根の裏面に沿って上昇し屋根頂部から外部へ流出する構造等、種々の構造がある。この通気層33により、壁内の高湿化や結露による湿潤化を抑止する。この場合、通気層33内には、外壁材31を支持する数cm角の縦胴縁32が通気方向に沿って設けられている。
【0004】
屋根の天井裏構造は、天井の裏面にポリエチレンフィルムなどの気密シートを敷設して気密化を図り、その上に断熱材を敷き込んだり吹き込んだりする。また、屋根構造は、鉄板や野地板等の屋根材41と、これを支持する数cm角の垂木42を有する。
【0005】
特許文献1には、外張り断熱工法において、釘、ビスまたは螺子等を用いて外壁材、縦胴縁及び断熱材を貫通させ、構造材へ固定することが記載されている。
【特許文献1】特開2004−244968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の木造建物の充填断熱工法の場合には、次のような問題点を指摘することができる。
・断熱材を柱や間柱の間に隙間なく嵌め込む施工に手間がかかり、完全を期することが難しい。
・断熱材は柱等の間にのみ充填されるので、外壁部の柱や桁の部分は断熱なしとなり、桁と梁の接合部の気密化も難しい。
【0007】
また、木造建物の外張り断熱工法では、上記の充填断熱工法の問題点の多くは解決できるが、次のような問題点がある。
・軸組の外側で断熱する外張り工法の場合、最も屋外側に位置する重い外壁材を構造材(柱及び構造下地材等)に緊結する方法が難しい。場合によっては、外装材が自重で下がることがある。
・断熱材を容易に取付けかつ確実に支持固定する手段がない。
・特許文献1のように、釘等の金属製固定具を多用すると確実に緊結できるが、熱損失が増えて断熱効果は低減する。
・また、特許文献1では、断熱材、縦胴縁及び外壁材を全て仮留めした後に、釘等で固定するため、仮留めの工程が必要であり、煩雑である。
【0008】
以上の現状に鑑み、本発明は、外張り断熱工法による木造建物において、表面材を構造材へ確実に固定し支持するためのブラケットを提供することを目的とする。
さらに、当該支持ブラケットは、断熱効果を損なわないものとすることを目的とする。
またさらに、当該支持ブラケットは容易に施工できるものをすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を提供する。
(1)請求項1に係る木造建物における断熱材及び表面材の支持ブラケットは、
屋外側から屋内側へ順に表面材(31、41)、通気層(33)、断熱材(20)、及び構造材(35、36)の各層が設けられかつ該通気層内には該表面材を取り付けるための表面下地材(32、42)が通気方向に沿って設置された木造建物の壁構造または屋根構造において、該断熱材(20)及び該表面材(31、41)を支持するための支持ブラケット(1)であって、
前記構造材(35、36)に対して取り付け可能な平板状のベース板(11)と、前記ベース板(11)上に垂直に立設された縦板(12)と、前記ベース板(11)上に垂直に立設されかつ前記縦板(12)と直交する横板(13)とを有すると共に、該縦板(12)における該横板(13)と直交する部分(12a)の端部からさらに突出する取付ヘッド部(12b)を具備し、
前記縦板(12)が前記表面下地材(32、42)と平行となるべく前記支持ブラケット(1)を前記構造材(35、36)に対して取り付けたとき、前記縦板(12)と前記横板(13)の互いに直交する部分は前記断熱材(20)の層内に位置し、かつ該取付ヘッド部(12b)が該表面下地材(32、42)に穿設した嵌め込み溝(32a)へ挿入されることを特徴とする。
【0010】
(2)請求項2に係る支持ブラケットは、請求項1において、第1の組立部品(1a)と第2の組立部品(1b)とを結合することにより形成され、
前記第1の組立部品(1a)は、前記ベース板(11)と前記縦板(12)からなりかつ該ベース板側から該縦板(12)の中間位置まで穿設した第1の組立用切り込み(12c)を具備し、
前記第2の組立部品(1b)は、前記横板(13)からなりかつ前記縦板(12)と直交した状態にて前記第1の組立用切り込み(12c)と嵌合する第2の組立用切り込み(13a)を穿設したことを特徴とする。
【0011】
(3)請求項3に係る支持ブラケットが、請求項1または2において、合成樹脂製であることを特徴とする。
【0012】
(4)請求項4に係る支持ブラケットは、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記取付ヘッド部(12b)に対し、前記嵌め込み溝(32a)への挿入側における角部に丸み(12e)を設けたことを特徴とする。
【0013】
(5)請求項5に係る支持ブラケットは、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記ベース板(11)が、前記構造材(35、36)へ取り付けるための固定具(15)を通す取付孔(14)を具備し、該取付孔(14)が該ベース板の面に対して垂直な方向から傾斜していることを特徴とする。
【0014】
(6)請求項6に係る支持ブラケットは、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記縦板(12)及び/または前記横板(13)に1または複数の貫通孔(12d)を穿設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
(1)請求項1に係る発明による、木造建物における断熱材及び表面材の支持ブラケット(以下、単に「ブラケット」と称する場合がある)は、表面材を支持する表面下地材と、構造材とを連結することができる。表面材は外壁材または屋根材であり、表面下地材は、表面材を取り付けるために通気層内に設置された縦胴縁または垂木である。構造材は、柱、間柱、構造合板等の軸組構造材である。
【0016】
本発明の支持ブラケットは、平板状のベース板を、柱及びその外側に敷設された合板を含む構造材の表面に取付け、ベース板に対して垂直に立設し断面十字状に直交した縦板と横板が断熱材の層を貫通し、縦板から突出する取付ヘッド部が表面下地材の嵌め込み溝へ挿入される。これにより、表面下地材の両側からビス等の固定具を挿入して表面下地材と取付ヘッド部とを緊結すれば、表面下地材(すなわち表面材)と構造材とを強固に連結することができる。このように、本発明の支持ブラケットは、外壁材または屋根材である表面材の下地材と一体化されることにより、施工の合理化を促す。
【0017】
この結果、外壁材が自重により下がることを防止できる。縦板及び横板が断面十字状に直交することにより、垂直及び水平の両方向の応力に対応し、地震などに対しても安全である。また、断面十字状とすることにより、断熱材を嵌め込んだ場合に四隅を安定させ、取付けを容易にする。
【0018】
尚、本発明による支持ブラケットを縦胴縁や垂木に連結した場合も、これらの縦胴縁や垂木は、従来通り、断熱材と外壁材または屋根材との間の通気層を形成し、断熱層外側周りの湿潤化を抑止する。
【0019】
(2)請求項2に係る発明は、上記請求項1の発明の効果に加えて、2つの組立部品から支持ブラケットが形成されることにより、成型加工による製造が容易であると共に、運搬し易い。また、施工現場における組立も、2部品の切り込みを互いに嵌合させるのみであるので容易である。
【0020】
(3)請求項3に係る発明は、上記請求項1または2の発明の効果に加えて、支持ブラケットが合成樹脂製であるので、金属製の固定具に比べて熱伝導性が低いため、熱損失が少ない。
【0021】
(4)請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれかの発明の効果に加えて、支持ブラケットの取付ヘッド部の角部に丸みを設けたことにより、表面下地材の嵌め込み溝に容易に挿入することができる。
【0022】
(5)請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれかの発明の効果に加えて、構造材への取付孔が傾斜していることにより、固定具が構造材に対して垂直方向から傾斜して挿入されるので、引き抜き力に対する抗力が大きくなり、支持ブラケットをより強固に固定できる。
【0023】
(6)請求項6に係る発明は、上記請求項1〜5のいずれかの発明の効果に加えて、縦板または横板に貫通孔を設けたことにより、支持ブラケットの材料を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態の詳細を説明する。
図1は、本発明による支持ブラケットを用いた外張り断熱工法による壁構造及び屋根構造の一例を模式的かつ概略的に示す側断面図である。
【0025】
尚、本明細書では、壁構造における外壁材31と、屋根構造における屋根材41を総称して「表面材」と称することとする。また、壁構造における通気層33内の縦胴縁32と、屋根構造における通気層33内の垂木42を総称して「表面下地材」と称することとする。さらにまた、本明細書における「構造材」は、実質的には柱36、間柱、梁等の軸組構造物である。尚、これらの構造材と断熱材の間には、合板等の構造下地材35及び/または気密シート34等、外張り断熱工法において一般的に設置される構成要素が介在してもよい。
【0026】
壁構造は、屋外側から屋内側へ順に、サイディング、軽量発泡コンクリート薄型パネル等の外壁材31、通気層33、断熱材20、ポリエチレンフィルム等の気密シート34、構造合板等の構造下地材35、柱36及び内装材37を有する。断熱材20は、本発明では、板状に成型されたものを対象とし、例えば、発泡ポリエチレン、硬質ウレタンフォーム、板状グラスウール、ポリスチレンフォーム、板状ロックウール、木質繊維成型ボード等があり、木造建物の外張り断熱工法に一般的に使用されているものであれば特に限定されない。
【0027】
外壁材31の裏面の通気層33内では、矢印で示すように床近傍から流入した空気が上昇し、屋根裏へと通気される。図1では明示されないが、この壁構造における通気層33内には、外壁材31を支持する数cm角の縦胴縁32が通気方向に沿って設けられている。縦胴縁32断面の一辺の長さが通気層33の厚さに相当する。この通気層33により、壁内の高湿化や結露による湿潤化を抑止する。
【0028】
支持ブラケット1は、壁構造においては、そのベース側が構造下地材35を介して柱36へ固定され、その頭部側が通気層33内の縦胴縁32へ固定される。支持ブラケット1は、表面下地材(縦胴縁32)と構造材(柱36)を連結する。すなわち、支持ブラケット1が表面材(外壁材31)と構造材(柱36)を連結し、表面材を支持していることを意味する。
【0029】
図示の屋根構造は、屋根の外側から内側へ順に、屋根材41、通気層33、断熱材20、気密シート34、構造下地材35等を有する。屋根構造における構造下地材及び構造材の配置については種々の様式がある。断熱材20については、上記の壁構造と同様のものを用いることができる。屋根材41は、鉄板や野地板等を含む。
【0030】
屋根材41の裏面の通気層33内では、矢印で示すように壁の通気層から上昇した空気が屋根に沿って上昇し、屋根頂部(図示せず)から外部へ流出する。図1では明示されないが、この屋根構造における通気層33内には、屋根材41を支持する数cm角の垂木42が通気方向に沿って設けられている。垂木42断面の一辺の長さが通気層33の厚さに相当する。
【0031】
本発明による支持ブラケット1は、屋根構造においては、ベース側が構造下地材35を介して適宜の構造材(図示せず)へ固定され、頭部側が通気層33内の垂木42へ固定される。支持ブラケット1は、表面下地材(垂木42)と構造材を連結する。すなわち、支持ブラケット1が表面材(屋根材41)と構造材を連結し、表面材を支持していることを意味する。
【0032】
図2は、本発明の支持ブラケット1の一実施例の構造を示す図である。図2(A)は外観斜視図である。図2(B)は平面図である。図2(C)は正面図である。図2(D)は底面図である。図2(E)は側面図である。支持ブラケット1は、好適には合成樹脂製であり、成型加工により量産することができる。図示の通り、長方形の外郭をもつ平板状のベース板11と、ベース板11の長方形の長辺方向に沿った中央位置に垂直に立設された縦板12と、同じくベース板11の長方形の短辺方向に沿った中央位置に垂直に立設された横板13とから構成される。縦板12と横板13は断面十字状に直交する。縦板12と横板13は、互いに直交する部分においてそれぞれ台形の外郭をもち、ベース板11と結合する下辺が上辺よりも長い。縦板12の台形部分12aの下辺は、ベース板11の長方形の長辺と同じ長さである。一方、横板13の下辺は、ベース板11の長方形の短辺から両側が突出している。
【0033】
縦板12は、横板13と直交する台形部分12aの上辺側端部からさらに突出する取付ヘッド部12bを具備する。取付ヘッド部12bの幅は、図示のように台形部分12aの短辺である端部と同幅か、またはそれ以下とする。横板13は台形部分のみを具備する。
【0034】
ベース板11には、構造材へ固定するための固定具を通す取付孔14が適宜の位置に穿設されている。図2(E)の側面図に示すように、取付孔14は、ベース板11の面に対して垂直な方向からベース板11の中央側へ傾斜して穿設されることが好適である。
【0035】
一実施例では、ベース板11が、厚さ6mm、長辺100mm、短辺30mmである。取付孔14は、4個ずつ2列に径8個穿設され、各列の位置の取付孔14の位置は互いにずれている。これは傾斜した固定具が互いに衝突しないようにするためである。また、縦板12は厚さ4mmであり、その台形部分12aが下辺100mm、上辺45mm、高さ100mmであり、その取付ヘッド部12bが幅45mm、高さ25mmである。また、横板13は厚さ4mmであり、下辺100mm、上辺45mmである。
【0036】
図3は、壁構造において、本発明の支持ブラケット1を取り付けた状態を模式的かつ概略的示す部分切り欠き斜視図である。屋内側に構造材である柱36及び幅の狭い間柱36aが所定の間隔で設置され、その外側に構造下地材である合板35が全面的に敷設され、さらにその外側に板状の断熱材20が全面的に敷設されている。断熱材20の外側には縦胴縁32が、柱36及び間柱36aと対応する位置に設置されている。縦胴縁32の設置される空間が通気層となる(上向き矢印参照)。縦胴縁32の外側に外壁材31が設置される。尚、合板35と断熱材20の間の気密シートは図示を省略している。
【0037】
施工においては、支持ブラケット1のベース板11を、取付孔14に通したビス等の固定具により合板35を介して柱36又は間柱36aに固定する。次に、断熱材20を設置する。これにより、支持ブラケット1の縦板12と横板13の直交部分は断熱材20内に埋め込まれ、縦板12の取付ヘッド部12bのみが突出した状態となる。図3では、説明のために、断熱材20の一部を切り欠いて支持ブラケット1を露出させ示している。次に、縦板12の取付ヘッド部12bを、縦胴縁32に設けた嵌め込み溝内に挿入するように縦胴縁32を設置し、固定する。最後に縦胴縁32に対し、外壁材31を取り付ける。
【0038】
図4(A)は、図3に示した本発明の支持ブラケット1の取付状態を詳細に示す部分拡大斜視図である。但し、この図では断熱材の図示を省略し、気密シートも省略している。図4(B)は、図4(A)のA−A断面図であるが、断熱材20も示している。図4(C)は、縦胴縁32において嵌め込み溝32aを穿設した部分の断面図である。図4(B)の断面図に示す通り、ベース板11は、傾斜した取付孔14にビス等の固定具15を通し、合板35を介して柱36へ固定される。固定具15は傾斜しているので、隣合う固定具15同士が衝突しないように左右の取付孔14の位置をずらしてある(図2(B)参照)。
【0039】
一方、縦板12の取付ヘッド部12bは、縦胴縁32の嵌め込み溝へ挿入され、ビス等の固定具16を縦胴縁32の両側から挿入して、取付ヘッド部12bと縦胴縁32とを固定する。こうして、支持ブラケット1により、外壁材31と柱36とを強固に結合することができる。
【0040】
屋根構造の場合、図3及び図4の縦胴縁32が、図1における垂木42に置き換わる。
【0041】
図5(A)は、支持ブラケット1に対する断熱材20の取付方法の一実施例を示した屋外側からみた平面図であり、図5(B)は別の実施例の平面図である。図5(A)では、支持ブラケット1の配置間隔に比べて大判の板状断熱材20を設置する場合である。この場合は、断熱材20に対し、支持ブラケット1の配置間隔と同じ間隔にて十字状の切り込みを予め施しておく。そして、断熱材20の十字状の切り込みに支持ブラケット1の直交部分を挿通させ、取付ヘッド部を断熱材20の反対側から突出させる。図5(B)は、支持ブラケット1の配置間隔と同じ大きさの板状断熱材20a〜20fを設置する場合である。この場合は、各断熱材20a〜20fの四隅に対し支持ブラケット1の直交部分が嵌合し、支持する。
【0042】
図6は、支持ブラケット1の好適例の構造を示す図である。好適例の支持ブラケット1は、第1の組立部品1aと第2の組立部品1bとを一体化することにより形成される。図6(A1)は、第1の組立部品1aの正面図であり、図6(A2)は同側面図であり、図6(A3)は同平面図である。図6(B1)は、第2の組立部品1bの正面図であり、図6(B2)は同側面図である。
【0043】
図6(A1)〜図6(A3)に示すように、第1の組立部品1aは、ベース板11と、ベース板11上に垂直に立設した縦板12からなる。縦板12は、台形部分12aと、その上辺端部から突出する取付ヘッド部12bを具備する。そして、ベース板11側から縦板12の中間位置まで延びる第1の組立用切り込み12cを穿設している。ベース板11に設けた取付孔14は、図2の実施例と同じである。一方、図6(B1)及び図6(B2)に示すように、第2の組立部品1bは、台形の横板13からなる。そして、台形の上辺端部から中間位置まで延びる第2の組立用切り込み13aを穿設している。
【0044】
図7(A)は、図6の第1の組立部品1aと第2の組立部品1bを結合させる様子を示した図である。第1の組立部品1aの縦板12と第2の組立部品1bの横板13を直交させた状態で、第1の組立用切り込み12cと第2の組立用切り込み13aを互いに嵌合させると、図7(B)に示すように、支持ブラケット1が完成する。
【0045】
再び図6に戻って、本発明の支持ブラケット1の別の好適例について説明する。図6(A1)に示すように、縦板12の取付ヘッド部12bにおいて、表面下地材の嵌め込み溝への挿入側における角部に丸み12eを設けることが好適である。これにより、挿入を容易にする。
【0046】
また、図6(A1)に示すように、縦板12に対し、1又は複数の貫通孔12dを穿設する。これらの貫通孔の位置及び数は、強度的に問題のない程度に設計する。これにより、支持ブラケット1の材料を節約することができる。尚、この貫通孔は、縦板12ではなく横板13に設けてもよく、また双方に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による支持ブラケットを用いた外張り断熱工法による壁構造及び屋根構造の一例を模式的かつ概略的に示す側断面図である。
【図2】本発明の支持ブラケット1の一実施例の構造を示す図である。(A)は外観斜視図である。(B)は平面図である。(C)は正面図である。(D)は底面図である。(E)は側面図である。
【図3】壁構造において、本発明の支持ブラケット1を取り付けた状態を模式的かつ概略的示す部分切り欠き斜視図である。
【図4】(A)は、図3に示した本発明の支持ブラケット1の取付状態を詳細に示す部分拡大斜視図である。(B)は、(A)のA−A断面図である。(C)は、縦胴縁32において嵌め込み溝32aを穿設した部分の断面図である。
【図5】(A)は、支持ブラケット1に対する断熱材20の取付方法の一実施例を示した屋外側からみた平面図であり、図5(B)は別の実施例の平面図である。
【図6】支持ブラケット1の好適例の構造を示す図である。(A1)は、第1の組立部品1aの正面図であり、(A2)は同側面図であり、(A3)は同平面図である。(B1)は、第2の組立部品1bの正面図であり、(B2)は同側面図である。
【図7】(A)は、第1の組立部品1aと第2の組立部品1bを結合させる様子を示した図であり、(B)は完成図である。
【図8】外張り断熱工法による木造建物の壁構造及び屋根構造の一例を模式的かつ概略的に示す側断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 支持ブラケット
1a 第1の組立部品
1b 第2の組立部品
11 ベース板
12 縦板
12a 断熱材支持部
12b 取付ヘッド部
12c 第1の組立用切り込み
12d 抜き孔
13 横板
13a 第2の組立用切り込み
14 ベース取付孔
15 固定具
16 固定具
20、20a〜20f 断熱材
31 表面材(外壁材)
32 表面下地材(縦胴縁)
32a 嵌め込み溝
33 通気層
34 気密シート
35 構造下地材
36 柱
36a 間柱
37 内装材
41 表面材(屋根材)
42 表面下地材(垂木)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外側から屋内側へ順に表面材(31、41)、通気層(33)、断熱材(20)、及び構造材(35、36)の各層が設けられかつ該通気層内には該表面材を取り付けるための表面下地材(32、42)が通気方向に沿って設置された木造建物の壁構造または屋根構造において、該断熱材(20)及び該表面材(31、41)を支持するための支持ブラケット(1)であって、
前記構造材(35、36)に対して取り付け可能な平板状のベース板(11)と、前記ベース板(11)上に垂直に立設された縦板(12)と、前記ベース板(11)上に垂直に立設されかつ前記縦板(12)と直交する横板(13)とを有すると共に、該縦板(12)における該横板(13)と直交する部分(12a)の端部からさらに突出する取付ヘッド部(12b)を具備し、
前記縦板(12)が前記表面下地材(32、42)と平行となるべく前記支持ブラケット(1)を前記構造材(35、36)に対して取り付けたとき、前記縦板(12)と前記横板(13)の互いに直交する部分は前記断熱材(20)の層内に位置し、かつ該取付ヘッド部(12b)が該表面下地材(32、42)に穿設した嵌め込み溝(32a)へ挿入されることを特徴とする
木造建物における断熱材及び表面材の支持ブラケット。
【請求項2】
第1の組立部品(1a)と第2の組立部品(1b)とを結合することにより形成され、
前記第1の組立部品(1a)は、前記ベース板(11)と前記縦板(12)からなりかつ該ベース板側から該縦板(12)の中間位置まで穿設した第1の組立用切り込み(12c)を具備し、
前記第2の組立部品(1b)は、前記横板(13)からなりかつ前記縦板(12)と直交した状態にて前記第1の組立用切り込み(12c)と嵌合する第2の組立用切り込み(13a)を穿設したことを特徴とする
請求項1に記載の支持ブラケット。
【請求項3】
合成樹脂製であることを特徴とする請求項1または2に記載の支持ブラケット。
【請求項4】
前記取付ヘッド部(12b)に対し、前記嵌め込み溝(32a)への挿入側における角部に丸み(12e)を設けたことを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の支持ブラケット。
【請求項5】
前記ベース板(11)が、前記構造材(35、36)へ取り付けるための固定具(15)を通す取付孔(14)を具備し、該取付孔(14)が該ベース板の面に対して垂直な方向から傾斜していることを特徴とする
請求項1〜4のいずれかに記載の支持ブラケット。
【請求項6】
前記縦板(12)及び/または前記横板(13)に1または複数の貫通孔(12d)を穿設したことを特徴とする
請求項1〜5のいずれかに記載の支持ブラケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−104769(P2006−104769A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292800(P2004−292800)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(592261719)
【Fターム(参考)】