説明

本質的に導電性のポリマー又は本質的に導電性のポリマー前駆体の架橋方法、及び当該方法により得られる物品

固体状態、膨潤状態、又はこれらの少なくとも一からなる組み合わせの状態において本質的に導電性のポリマー前駆体の一部を架橋することからなり、ここで、当該膨潤状態が本質的に導電性のポリマー前駆体が溶剤に完全に溶解することなく、溶剤に曝されて容積が増加する状態であることで特徴づけられる、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
他の具体例において、基板上に本質的に導電性のポリマー前駆体のフィルムを成形し、そして酸化反応によりフィルムの少なくとも一部を架橋する際に当該架橋を固体状態、膨潤状態、又はこれらの状態の少なくとも一からなる組み合わせの状態で行う、パターンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に導電性のポリマー又は本質的に導電性のポリマー前駆体の架橋方法、及び当該方法により得られる物品に関する。
【背景技術】
【0002】
本質的に導電性のポリマーはしばしば電気及び光電気デバイスで有用な基板上のパターンを発生するのに用いられる。本質的に導電性のポリマーの写真蝕刻技術(リソグラフィ)は、このようなパターンを形成するのに頻繁に使用されている。いくつかの異なった技術は、化学的に展開するソフトリソグラフィ、ソフト写真平板(フォトリソグラフィ)、光化学架橋を介したパターンの形成、及び電気化学のつけペン(dip-pen)ナノリソグラフィのような本質的に導電性のポリマーのパターンを形成するのに現在利用されている。
これらの方法の各々は、未置換の本質的に導電性のポリマーが一般の有機溶媒中への溶解性が不十分であることに関係するいくつかの欠点を有している。これらの欠点のなかで際立っているのはパターンを形成するのに必要とされる長時間である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、全基板上に本質的に導電性のポリマーの形成に必要なパターン発生技術は、それは長い形成時間を使用し、それ故にコスト的に効果のない、多段階の操作を利用する。同様に、リソグラフィを行うのにペンを利用する、電気化学のつけペンナノリソグラフィは、プロセスの中で使用される比較的遅いスキャン速度によりパターンを形成するに長時間要する。
この遅いスキャン速度は、しばしばインキ切れを起こし、2回目の書き込みのために再びインキを充填した後にペンの再配置が必要となる。これらの欠点は、パターン発生のために本質的に導電性のポリマーを処理可能な溶液の開発に導いた。しかしながら、化学溶媒の使用は、環境問題を引き起こした。それ故に、本質的に導電性のポリマーを利用する必要性と、溶媒の使用を最小限にしてナノリソグラフパターンの迅速な適用を可能にするこれらのポリマーの使用方法が依然として残されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、本質的に導電性のポリマーの製造方法であって、固体状態、膨潤状態、又はこれらの少なくとも一からなる組み合わせの状態において本質的に導電性のポリマー前駆体の一部を架橋することからなり、当該膨潤状態が本質的に導電性のポリマー前駆体が溶剤に完全に溶解することなく、溶剤にさらされて容積が増加する状態であることで特徴付けられる、本質的に導電性のポリマーの製造方法に関する。
【0005】
1つの具体例では、物品が固体状態、膨潤状態、又は前記状態の少なくとも一からなる組み合わせの状態において、当該本質的に導電性のポリマー前駆体を架橋することにより製造される。
【0006】
他の具体例では、パターンを製造する方法が、基板面に本質的に導電性のポリマー前駆体のフィルムを成形すること;そして酸化によりフィルムの少なくとも一部分を架橋することであり、ここで、架橋は固体状態、膨潤状態、又は前記状態の少なくとも一からなる組み合わせの状態において進行する。
【0007】
更に他の具体例では、パターンを有する物品は、基板上に本質的に導電性のポリマー前駆体のフィルムをキャスティングし、そして固体状態、膨潤状態、又は前記状態の少なくとも一からなる組み合わせの状態において、本質的に導電性のポリマー前駆体の少なくとも一部を架橋することにより製造される。
【0008】
更に他の具体例では、組成物は構造(XXXV)、あるいは構造(XXXVI)、あるいは構造(XXXVII)、あるいは構造(XXXVIII)、
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

あるいは前記ポリ(チオフェン)構造の少なくとも一からなる組み合わせの基を含むポリ(チオフェン)からなる。
そして、ここで、ポリ(チオフェン)の分子量は約100ないし約500,000g/モルであり、そしてさらに、本質的に導電性のポリマー上に正の荷電が存在し、当該正の電荷は負の電荷と結合している。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、後述する通り、他の競合プロセスと比較すると、ICPまたはICPの前駆体フィルムのパターンニングを達成するのに必要な工程段階の数は縮小されている。また、本発明方法は、単一の基板上に多部位のパターンニングを同時に行うのが可能であるばかりでなく、基板上に配置されたフィルムの上方と下方パターンニングを同時に行うことが可能である。
更に、形成したパターンが、直線、曲線、点、平面、あるいは他の望ましい幾何学的図形の形にすることができる。またパターンは所望により、一次元、二次元、あるいは三次元にでき、またエンボス構造として表面に形成、または表面内に埋め込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、固体状態、膨潤状態、もしくは前記状態の少なくとも一からなる組み合わせの状態において、架橋される本質的に導電性のポリマー(ICP)またはICPの前駆体(以後、「ICP前駆体」ということがある)に関する。
ICP及び/又はICP前駆体は、一般にICP又はICP前駆体の架橋をもたらす固体状態及び/又は膨潤状態での反応を経るものに、よく反応して機能的に共有結合している。ICP又はICP前駆体の架橋に加えて、ICP又はICP前駆体は、架橋を行うのに用いることができる反応性の官能基を有している他の非導電性オリゴマー及び/又はポリマーと共重合するか結合する。
【0011】
固体状態及び/又は膨潤状態でのICP又はICP前駆体の架橋は、さまざまな異なる技術において有利に用いられる。
例えば、それはICPまたはICPの前駆体フィルムの迅速な顕微鏡観察又はナノリソグラフィなパターンニングを可能にするために使用される。所望する場合には、これらのフィルムは基板に形成することもできる。
毎秒約60,000ナノメータ(nm/秒)までの架橋速度が、達成される可能性があり、これは電気化学的つけペンナノリソグラフィのような競合プロセスよりも約1000倍以上の改良であることを示す。架橋の改良された速度に加えて、他の競合プロセスと比較すると、ICPまたはICPの前駆体フィルムのパターンニングを達成するのに必要な工程段階の数は縮小される。
【0012】
ここで使用されるICPは、一般に共役ポリマーである。
ここで定義される膨潤状態とは、そこでICPまたはICP前駆体が溶剤に完全に溶けずに、溶剤と接触して体積が増加している状態である。ここで定義される固体状態は、そこでICPまたはICPの前駆体が溶剤により膨潤されていない状態である。
ここで定義されたように、非導電性オリゴマーとポリマーは、本質的に導電性ではない例えば、ポリアセタール、ポリアクリリック、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリメチルメータクリレート、ポリアリルスルホン、ポレエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルクロライド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンズオキサゾール(polybenzoxazoles)、ポリオキサジアゾール(polyoxadiazoles)、ポリベンゾチアゾノフェノチアジン、ポリベンゾチアゾール、ポリピラジノキィノキサリン、ポリピロメリトイミド、ポリキノキサリン、ポリベンズイミダゾール、ポリオキシインドール、ポリオキソインドリン、ポリジオキソイソインドリン、ポリトリアジン、ポリピリダジン、ポリピペラジン、ポリピリジン、ポリピペリディン、ポリトリアゾール、ポリピラゾール、ポリピロリディン、ポリカーボラン、ポリオキサビシクロノナン、ポリジベンゾフラン、ポリフタリド、ポリアセタール、ポリアンハイドライド、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオテール、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリビニルハライド、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホネート、ポリスルフィド、ポリチオエステル、ポリスルホン、ポリスルホンアミド、ポリユリア、ポリフォスファジン、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリオレフィン、又はこれらと同種のものが例示できる。
ICPと非導電性ポリマーとの共重合体は、ICPになりうると考えられる。ポリマー・ブレンドは、導電性か非導電性ポリマーが前駆体ポリマーと混合された組成物である。
【0013】
ここに定義されるICP前駆体は、非導電性ポリマー、オリゴマー又はモノマーを架橋して導電性(すなわち、ICPに変換された)にならしめうる非導電性ポリマー、オリゴマー又はモノマーである。
ここに定義されるように、ICP前駆体と非導電性ポリマーあるいはオリゴマーとの共重合体も、ICP前駆体になりうると考えられる。
ここに定義されるように、架橋は、共有結合が2つの本質的に導電性のポリマー分子間、又は2つの本質的に導電性のポリマー前駆体分子間、又は本質的に導電性のポリマー分子と本質的に導電性のポリマー前駆体分子間で生ずるプロセスである。
架橋反応の間に、本質的に導電性のポリマー前駆体の中で結合が同時に進行して、本質的に導電性のポリマー前駆体は本質的に導電性のポリマーに変化する。
ICP又はICP前駆体の適当な例は、ポリ(アニリン)、置換されたポリ(アニリン)、ポリ(ピロール)、置換されたポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、置換されたポリ(チオフェン)、ポリ(アセチレン)、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(エチレンジオキシピロール)、ポリ(P-フェニレンビニレン)、ポリカルバゾール、置換されたポリカルバゾール、ポリインドール、あるいはその他同種のもの、あるいは前記ICPの少なくとも一からなる組み合わせである。
他のICP 又はICP前駆体の適当な例は、ピロール、置換ピロール、チオフェン、置換チオフェン、アセチレン、エチレンジオキシチオフェン、置換エチレンジオキシチオフェン、エチレンジオキシピロール、置換エチレンジオキシピロール、ビニレン、カルナゾール、置換カルバゾールあるいはその他同種のポリマーを与えるもの繰り返し単位の種々の結合である。前記ICP の混合物あるいは共重合体あるいは組成物もまた用いることができる。
【0014】
ICP及び/又はICP前駆体は、非導電性オリゴマー又はポリマーと共重合することもできる、このような非導電性オリゴマー又はポリマーとしては、制限されるものではないが、ポリメチレンアクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリカーボネート、ポリアリレンエーテル、エポキサイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリノルボルニレン(polynorbornylene)、ポリシロキサン、ポリビニルクロライド、フルオロポリマー、液晶ポリマー、アイオノマー、あるいはその他同種のもの、あるいは前記ポリマーの少なくとも一からなる組み合わせがある。ICP又はICP前駆体と他のポリマーとの混合物も使用することができる。
【0015】
前記非導電性オリゴマー又はポリマーと前駆体分子の酸化的架橋で得られるICPは、通常約100ないし約500,000グラム/モル(g/mole)の分子量を有している。前記分子量範囲で、分子量は、約400以上が望ましいが、好ましくは約800以上、更に好ましくは約1000グラム/モル以上である。前記分子量範囲で、分子量は、約400,000以下が望ましいが、好ましくは約300,000以下、更に好ましくは約200,000グラム/モル以下である。
【0016】
使用するのに好ましいICPを以下の(1)から(25)に記載する。
(1)ポリ(アセチレン)とその誘導体を以下の(I)に示す。
【化5】

ここで、Rはアルキル基又はアルコキシル基で、nは6以上である。
(2)ポリ(チオフェン)とこれら誘導体を以下の(II)に示す。
【化6】

ここで、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらは、水素、アルキル基又はアルコキシル基で、nは6を越えるものである。
(3)ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリ(3,4-エチレンジチアチオフェン)とこれら誘導体を以下の(III)に示す。
【化7】

ここで、Xはイオウ又は酸素、Rは水素、アルキル基又はアルコキシル基で、nは6を越えるものである。
(4)ポリ(イサチアナフテン)(poly(isathianaphthene))、ポリ(ピリドチオフェン)(poly(pyridothiophene))、ポリ(ピリジノチオフェン)(poly(pyrizinothiophene))、及びこれら誘導体を以下の(IV)に示す。
【化8】

ここで、X=S、O、N-H、N-R、XとXは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらはC又はN、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらは水素、アルキル基又はアルコキシル基で、nは6を越えるものである。
(5)ポリ(ピロール)とその誘導体を以下の(V)に示す。
【化9】

ここで、Rは水素又はアルキル基、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらは水素、アルキル基又はアルコキシル基で、nは6を越えるものである。
(6)ポリ(3,4-エチレンジオキシピロール)とその誘導体を以下の(VI)に示す。
【化10】

ここで、Rは水素又はアルキル基、Rは水素、アルキル基又はアルコキシル基で、nは6を越えるものである。
(7)ポリ(アニリン)とその誘導体を以下の(VII)に示す。
【化11】

ここで、Rは水素、アルキル基又はプロパンスルホネート、Rは水素、アルキル基、アルコキシル基又はスルホネートで、nは6を越えるものである。
(8)ポリ(フェニレンビニレン)とその誘導体を以下の(VIII)に示す。
【化12】

ここで、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらは水素、アルキル基又はアルコキシル基で、nは6を越えるものである。
(9)ポリ(P-フェニレン)とその誘導体を以下の(IX)に示す。
【化13】

ここで、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらはアルキル基又はアルコキシル基で、nは6を越えるものである。
(10)ポリ(チオナフテン)、ポリ(ベンゾフラン)及びポリ(インドール)とこれらの誘導体を以下の(X)に示す。
【化14】

ここで、X=S、O、N-H、N-R、Rはアルキル基であり、そしてnは6を越えるものである。
(11)ポリ(ジベンゾチオフェン)、ポリ(ジベンゾフラン)及びポリ(カルバゾール)とこれらの誘導体を以下の(XI)に示す。
【化15】

ここで、X=S、O、N-H、N-R、Rはアルキル基、そしてnは6を越えるものである。
(12)ポリ(ビチオフェン)、ポリ(ビフラン)及びポリ(ビピロール)とこれらの誘導体を以下の(XII)に示す。
【化16】

ここで、XとXは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらはS、O、N-H、N-Rであり、R、R、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらは水素、アルキル基又はアルコキシル基で、Rはアルキル基、nは6を超えるものである。
(13)ポリ(チエノチオフェン)、ポリ(チエノフラン)及びポリ(チエノピロール)、ポリ(フラニルピロール)、ポリ(フラニルフラン)及びポリ(ピロリルピロール)とこれらの誘導体を以下の(XIII)に示す。
【化17】

構造(XIV)を有する2-置換チエノ[3,4-b]チオフェン、と構造(XV)を有する6-置換チエノ[3,4-b]チオフェン
【化18】

【化19】

ここで、XとXは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらはS、O、N-H、N-Rであり、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらは水素、アルキル基又はアルコキシル基であり、Rはアルキル基であり、nは6を越えるものである。
(14)ポリ(ターチオフェン)、ポリ(ターフラン)及びポリ(ターピロール)とこれらの誘導体を以下の(XVI)に示す。
【化20】

ここで、X、XとXは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらはS、O、N-H、N-Rであり、R、R、R、R、RとRは同一でも異なっていてもよく、そしてこれらは水素、アルキル基又はアルコキシル基であり、Rはアルキル基であり、nは6を越えるものである。
(15)ポリ(ジチエノチオフェン)、ポリ(ジフラニルチオフェン)、ポリ(ジピロリルチオフェン)、ポリ(ジチエノフラン)、ポリ(ジピロリルフラン)及びポリ(ジピロリルピリール)とこれらの誘導体を以下の(XVII)に示す。
【化21】

ここで、Xは、S、O、N-H、N-Rであり、Rはアルキル基で、nは6を越えるものである。
(16)ポリ(フェニルアセチレン)、とその誘導体を以下の(XVIII)に示す。
【化22】

ここでRとRは同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル基又はアルコキシル基であり、nは6を越えるものである。
【0017】
(17)ポリ(ビインドール)、とその誘導体を以下の(XIX)に示す。
【化23】

ここでRは、水素、又はアルキル基で、nは6を越えるものである。
(18)ポリ(ジチエノビニレン)、ポリ(ジフラニルビニレン)、及びポリ(ジピロリルビニレン)、とその誘導体を以下の(XX)に示す。
【化24】

ここで、Xは、S、O、N-H、N-Rであり、R,Rは水素、アルキル基又はアルコキシル基であり、Rはアルキル基であり、nは6を越えるものである。
(19)ポリ(1,2-トランス(3,4-エチレンジオキシチエニル)ビニレン)、ポリ(1,2-トランス(3,4-エチレンジオキシフラニル)ビニレン)、及びポリ(1,2-トランス(3,4-エチレンジオキシピロリル)ビニレン)、とこれらの誘導体を以下の(XXI)に示す。
【化25】

ここで、Xは、S、O、N-H、N-Rであり、Rはアルキル基であり、nは6を越えるものである。
(20)ポリ(ビス-チエニルアリレン)とポリ(ビス-ピロリルアリレン)類及びこれらの誘導体を以下の(XXII)に示す。
【化26】

ここで、XはS、O、N-H、N-Rであり、φは芳香環システムを示し、nは6を越えるものである。
(21)ポリ(ビス(3,4-エチレンジオキシチエニル)アリレン)類とその誘導体を以下の(XXIII)に示す。
【化27】

ここで、XはS、O、N-H、N-Rであり、φは芳香環システムを示し、nは6を越えるものである。
(22)ポリ(ジチエニルシクロペンテノン)を以下の(XXIV)に示す。
【化28】

ここで、nは6を越えるものである。
(23)ポリ(キノリン)を以下の(XXV)に示す。
【化29】

ポリ(チアゾール)を以下の(XXVI)に示す。
【化30】

ここで、nは6を越えるものである。
(24)ポリ(フルオレン)とその誘導体を以下の(XXVII)に示す。
【化31】

ここで、nは6を越えるものである。
(25)ポリ(アズレン)とその誘導体を以下の(XXVIII)に示す。
【化32】

ここで、nは6を越えるものである。
【0018】
ここに定義される芳香族化合物はフェニル、ビフェニル、ターフェニル、カルバゾール、フラン、チオフェン、ピロール、フルオレン、チアゾール、ピリジン、2,3,5,6-ヘキサフルオロベンゼン、アントラセン、コロネン、インドール、ビインドール、3,4-エチレンジオキシチオフェン、3,4-エチレンジオキシピロール、またこれらの芳香族化合物のアルキルとアルコキシ誘導体である。
アルキル基は、好ましくはCH3からC20H41の範囲の分岐状又は直鎖状鎖の脂肪族基であり、一方、アルコキシル基は好ましくはORで、ここでRはCH3からC20H41の範囲の分岐状又は直鎖状鎖であってもよい脂肪族基である。
【0019】
1つの具体例では、好ましいICPがポリ(チオフェン)である。
好ましいポリ(チオフェン)は、一般的式(XXIX)及び/又は(XXX)の構造単位を持っているものである。
【化33】

【化34】

ここで、XとYは、互いに同一でも異なっていてもよく、そして水素、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルキレン基、アルキレンジオキシ基、カルボキシル基、エステル、チオアシル、もしくは同種のもの、又は炭素数約1ないし約22、好ましくは炭素数約1ないし約20、より好ましくは炭素数約4ないし約20、特に好ましくは炭素数約8ないし約18の前記基の少なくとも一のものとの組み合わせであり、そしてここでn、m、及びkは、互いに同一でも異なっていてもよい。一般にnとmは互いに独立で、約1から約10の整数、好ましくは約1から約6の整数であり、kは約1から約3000の整数、好ましくは約1から約1000の整数、より好ましくは約1から約100の整数である。
【0020】
ポリ(チオフェン)ICPを得るのに使用されるチオフェン類は、
3,4-ジ(デシル)チオフェン、3,4-ジ(ウンデシル)チオフェン、3,4-ジ(ドデシル)チオフェン、3,4-ジ(トリデシル)チオフェン、3,4-ジ(テトラデシル)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデシル)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデシル)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデシル)チオフェン、3,4-ジ(オクタデシル)チオフェン、3,4-ジ(デシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ウンデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ドデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(トリデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(テトラデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(オクタデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(デシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ウンデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ドデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(トリデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(テトラデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(オクタデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ((2-デシルオキシ)エチル)チオフェン、3,4-ジ((3-デシルオキシ)プロピル)チオフェン、3,4-ジ((4-デシルオキシ)ブチル)チオフェン、3,4-ジ(2-(2-デシルオキシエトキシ)エチル)チオフェン、3,4-ジ(2-(2-ウンデシルオキシエトキシ)エチル)チオフェン、3,4-ジ(2-(2-(ドデシルオキシ)エトキシ)エチル)チオフェン、3,4-ジ(シクロペンチル)チオフェン、3,4-ジ(シクロペンテニル)チオフェン、3,4-ジ(シクロヘキシル)チオフェン、3,4-ジ(シクロヘキセニル)チオフェン、
3,4-ジ(シクロヘキサジエニル)チオフェン、3,4-ジ(フェニル)チオフェン、3,4-ジ(ベンジル)チオフェン、3,4-ジ(デカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ウンデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ドデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(トリデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(テトラデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(オクタデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(デカノイルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ウンデカノイルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(デカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ウンデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ドデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(トリデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(テトラデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(オクタデカノイルアミノ)チオフェン、2,3-ジペンチルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジウンデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジドデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジトリデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジテトラデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジペンタデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジヘキサデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジヘプタデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジオクタデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2-メチル-3-デシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ウンデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ドデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-トリデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-テトラデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ペンタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ヘキサデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-オクタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-エイコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ドコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-デシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ウンデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ドデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-トリデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-テトラデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ペンタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ヘキサデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-オクタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-エイコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ドコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-デシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ウンデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ドデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-トリデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-テトラデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ペンタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ヘキサデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ヘプタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-オクタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-エイコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ドコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(デシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ウンデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ドデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(トリデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(テトラデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ペンタデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘキサデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘプタデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(オクタデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(デシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ウンデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ドデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(トリデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(テトラデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ペンタデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘキサデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘプタデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(オクタデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(エチル-2-オキシデシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(プロピル-3-オキシデシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ブチル-4-オキシデシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロペンチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロペンテニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロヘキシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロヘキセニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロヘキサジエニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(フェニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ベンジル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
5,6-ジ(デシルオキシ)シクロブタ[b]チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ウンデシルオキシ)シクロブタ[b]チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ドデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(トリデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(テトラデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ペンタデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ヘキサデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ヘプタデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(オクタデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロペンチルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロペンテニルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロヘキシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロヘキセニルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロヘキサジエニル)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(フェニル)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ベンジル)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
2-デシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ウンデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ドデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-トリデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-テトラデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ペンタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘキサデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘプタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-オクタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロペンチル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロペンテニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロヘキシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロヘキセニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロヘキサジエニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-フェニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ベンジル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ブチルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ペンチルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘキシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘプチルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-オクチルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ノニルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-デシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ウンデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ドデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-トリデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-テトラデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ペンタデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘキサデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘプタデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-オクトデシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
もしくは類似のもの、又は前記チオフェン類の少なくとも一からなる組み合わせである。
【0021】
上述したように、一般にチオフェン又はポリ(チオフェン)は非導電性ポリマーと共重合することができる。非導電性ポリマーは、骨格を形成し、一方、ポリ(チオフェン)又はチオフェンは骨格にグラフトする、選択的に、チオフェン又はポリ(チオフェン)と、非導電性ポリマーは、共重合して、スターブロック共重合体、ブロック共重合体、デンドリマー、もしくは類似のもの、又は前記共重合体の少なくとも一からなる組み合わせである。一つの具体例として、好ましい骨格は、構造式(XXXI)および(XXXII)に示すノルボルニレン(norbornylene)上にグラフトしたチオフェンを有するノルボルニレンである。
【化35】

【化36】

【0022】
式(XXXI)および(XXXII)のノルボルニレンは、その後、式(XXXIII)あるいは(XXXIV)の中で示されるようなポリノルボルニレン上にチオフェンがグラフトするポリノルボルニレンに重合される。
【化37】

【化38】

【0023】
式(XXXIII)あるいは(XXXIV)の中で示される共有結合したチオフェングラフトは、三塩化鉄のような酸化剤で化学的又は電気化学的酸化により重合され、以下の式(XXXV)あるいは(XXXVI)に示す構造を形成する。
【化39】

【化40】

ここで、mとnは、約1ないし約3000である。
【0024】
他の具体例として、ビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーは、式 (XXXVII)あるいは(XXXVIII)に示されるポリ(チオフェン)を得るために重合される。
【化41】

【化42】

ここで、nは約1から約3000である。
ポリノルボルニレンの形成を望む場合には、式(XXXVII)および(XXXVIII)
のノルボルニレンをその後重合すればよい。
【0025】
ノルボルニレン骨格に最初に共有結合したチオフェンあるいはポリ(チオフェン)グラフトは一般にチオフェンあるいはポリ(チオフェン)と反応して第二のノルボニレン骨格に共有結合するので、チオフェンがポリ(チオフェン)を形成する重合は、ICPの架橋を促進する。導電状態で、共有結合したポリマー骨格には正電荷が存在し、そしてその正電荷と結合する負電荷が存在する。
例えば、三塩化鉄が酸化剤として使用される場合、Clは対イオンを補う電荷の1つになる。他の例として、ICPを形成する重合が電気化学的に行われ、過塩素酸テトラブチルアンモニウムが電解質として用いられた場合、過塩素は対イオンを補う電荷の1つになることができる。
【0026】
上述したように、架橋は、ICP、ICP前駆体あるいは非導電性ポリマーと直接共有結合する、他の反応性機能物質の使用を通じて達成される。
架橋は、このようにICP、ICP前駆体あるいは非導電性ポリマーと互いに共有結合する機能物質を反応させることにより達成される。
一般に、ICPあるいはICP前駆体上の反応性機能物質を互いに反応させて架橋を達成するのが望ましい。ICPあるいはICP前駆体に用いられる反応性機能物質は、SOH,COOH,NH,OH,R’CHOH,CHO,CN,COCl、COSH、SH,COOR’,SR’,SiR’,Si-(OR’)y-R’(3−y) 、R”、AlR’、ハライド、チオフェン、エチレン性不飽和機能性物質、エポキサイド機能性物質、又は同種のものである。
ここで、R’は水素、アルキル基、アリル基、シクロヘキシル基、もしくはアラルキル基、シクロアリル基、ポリ(アルキルエーテル)、又は同種のもの、R”はフルオロアルキル基、フルオロアリル基、フルオロシクロシクロアルキル基、フルオロアラルキル基、シクロアリル基であり、Xはハロゲン化物であり、また、Zはカルボン酸塩、トリフルオロアセテート、あるいはその他同種のものである。
【0027】
ICP、ICP前駆体あるいは非導電性ポリマーの架橋は、アニオン重合、カチオン重合、フリーラジカル重合、付加重合、縮合重合、その他同種のもの、又は重合の前記方法の少なくとも一からなる組み合わせによって、前記官能性物と反応することにより行われる。好ましい官能基は、チオフェンで、架橋は酸化ラジカルカチオンカップリングにより行われるのが望ましい。
【0028】
架橋は、酸化によって一般に引き起こされる。
化学酸化又は電気化学的酸化法は、架橋を容易に行うのに有利に使用できる。
アンモニウムペルオキソ二硫酸、過硫酸ナトリウム、三塩化鉄(FeCl)トシル酸鉄(III)(これに限定されないが)のような鉄(III)塩、メタンスルホネート鉄(iron methane sulufonate)、過マンガン酸塩、過酢酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素、ニトロシルトリフルオロメチルスルホネート、ニトロシルビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、または同種のもの、あるいは前記酸化剤の少なくとも一からなる組み合わせ、のような酸化剤は、架橋を容易に行うのに用いることができる。電気化学的酸化の場合には、電解質がある状態で作用する電極と前駆体ポリマーの間の電子移動が、酸化を実行する。
【0029】
電解質は溶剤および塩から成る。
溶剤の例は、水;メータノール、エタノールおよびその他同種のもののようなアルコール;アセトニトリル;ブチロールアセトン;プロピレン炭酸塩;エチレン炭酸塩;エチレングリコール;ジグリム(diglyme);トリグリム(triglyme)、テトラグリム(tetraglyme)、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、塩化メチレン;クロロホルム;及び2を越える誘電率を有する他の溶剤を含んでいる。
塩類は、陽イオンおよび陰イオンから成る。塩を形成する陽イオンの例は、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、テトラブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、窒素上のアルキル基がすべて同じであるか異なっていて、該アルキル基は分岐状または直鎖状であるテトラアンモニウム塩、イミダゾリウム、および同種のものである。
陰イオンの例は、フッ化物、塩化物、臭化物および沃化物のようなハロゲン化物、過塩素酸塩、テトラフルオロボレート、テトラフルオロホスフェイト、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、トシレート、メシレート、ドデシルスルホネート、並びに他のスルホン化されたベンゼンシステム、カンファースルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、及びポリスチレンスルホン酸のような重合体スルホン酸塩を含む他の芳香族スルホン酸塩を含む。
好ましい酸化剤は、化学酸化的架橋用の三塩化鉄で、また、好ましい電解質は電気化学酸化的架橋用の過塩素酸テトラブチルアンモニウムである。
【0030】
電気化学が酸化に利用される場合、酸化を促進するのは作用電極の電位である。電気化学のために使用される電解質は、したがって製造されるICPのタイプに影響を及ぼす。例えば、ICPがテトラフルオロホウ酸リチウム中で架橋されるとき、テトラフルオロホウ酸は、対のイオンを補うのに荷電される。過塩素酸リチウムが使用される場合、過塩素酸塩は対イオンになる。
対イオンがヘキサフルオロホスフェート、テロラフルオロボレート、過塩素酸塩、トシレート、トリフルオロスルフォアミド、トリフルオロメタンスルホネート、もしくは同種のもの、又は前記対イオンの少なくとも一からなる組み合わせになるときに、使用可能な多くの異なる電解質がある。
【0031】
一般に、電解槽では、電解媒体は電解質と溶剤を含む。電解質は対イオンを補う電荷を生じさせる。電解媒体は、電解質の体積モル濃度に基づいて、約0.01モルから約10モルの量を含むことができる。この範囲内で、電解質は、電解質の体積モル濃度に基づいて、約0.05モル以上、好ましくは約0.1モル以上、より好ましくは約0.5モル以上存在するのが望ましい。この範囲内で、電解質は、電解質の体積モル濃度に基づいて、約9.5モル以下、好ましくは約9.25モル以下、より好ましくは約9モル以下存在するのが望ましい。
【0032】
化学的酸化の場合、ICP前駆体のモル数に対する酸化剤のモル数は、約0.5ないし12のモル比で行われるのが一般に望ましい。前記ICP前駆体のモル数は、ポリマーの繰り返し単位の分子の量である。この範囲内で、ICP前駆体のモル数に対する酸化剤のモル数は、約0.8以上、好ましくは約1以上、更に好ましくは約1.5以上であるのが望ましい。この範囲内で、ICP前駆体のモル数に対する酸化剤のモル数は、約11以下、好ましくは約10以下、更に好ましくは約8以下であるのが望ましい。
【0033】
酸化剤に加えて、ICP前駆体をICPに変換させるために、任意にドーパント添加するのが望ましい。例えば、ドーパントはロイコエメラルジン(leuco emeraldine)のようなポリ(アニリン)の非導電性形態をメラルジン又はプレニグラリンのようなポリ(アニリン)の導電性形態に変換させるのにたびたび利用される。
ここに定義されたドーパントは、インジウムが錫酸化物をドープしたように従来の半導体の範囲内で定義されたものと同じではない。ポリマーを導電性にするために、ドーパントは、一般にドーパントイオンを補う電荷に関係する。
例えば、p-ドープしたポリマーについては、正電荷はポリマー骨格に存在し、ドーパントは1価、2価又は3価で負イオンを補うことになる。例えば、塩化物は1価のイオンで、硫酸塩は二価のイオンになることができる。他のドーパントイオンは、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、トリフレート、もしくはその他同種のものである、又は前記ドーパントイオンの少なくとも1つを含むものとの組み合わせである。導電性のポリマーのドーピングは、それを絶縁状態から正に荷電されたキノイドな(quinoidal)骨格にするプロセスである。
ドーピングは電気化学的にあるいは化学的に行うことができる。例えば、塩化鉄がポリマーをドープするために使用される場合、ポリマーに組み入れられるドーパントイオンは塩化物になる。
【0034】
ポリアニリンに対して、ドーパントは一般にp-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、塩酸、塩化メチルスルホン酸、フッ化メチルスルホン酸、シュウ酸、スルホサルチル酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、もしくは同種のもの、又は前記酸の少なくとも1からなる組み合わせのような強い酸である。ドーパントは、一般に形成された架橋ICPの全モルをベースとして、約0.5モルから約100モルの量加えられる。
この範囲内で、形成された架橋ICPの全モルをベースとして、一般に約1モル以上、好ましくは約2モル以上、より好ましくは約3モル以上のドーパントが存在するのが望ましい。この範囲内で、形成された架橋ICPの全モルをベースとして、一般に約95モル以下、好ましくは約90モル以下、より好ましくは約75モル以下のドーパントが存在するのが望ましい。
【0035】
溶剤は、ICPを膨潤して、架橋を促進してICPにするために任意に使用することができる。上述した通り、溶媒を使用する場合、ICP前駆体を完全に溶解せずに、ICP前駆体を膨潤することのみが望ましい。
ICP前駆体の架橋を促進するために使用する溶剤は、ICP前駆体、非導電性ポリマーもしくはICP前駆体が共有結合しているオリゴマーのいずれかを膨潤するか、又はICP前駆体と、非導電性ポリマーもしくはICP前駆体が共有結合しているオリゴマーの双方を膨潤するものである。
液状非プロトン性極性溶媒としては、水、プロピレン炭酸塩、エチレン炭酸塩、ブチロールアセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ソフラン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、もしくは同種のもの、又は前記溶媒の少なくとも1からなる組み合わせが一般に望ましい。極性プロトン性溶媒としては、限定されるものではないが、水、メタノール、アセトニトリル、ニトロメタン、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールもしくはその他同種のもの、又は前記極性プロトン性溶媒の少なくとも1からなる組み合わせを用いることができる。
他の非極性溶媒としては、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、四塩化炭素、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、もしくはその他同種のもの、又は、又は前記溶媒の少なくとも1からなる組み合わせを用いることができる。
少なくとも1の非プロトン性極性溶媒と少なくとも1の非極性溶媒は溶媒の膨張力を調整するのに使用でき、そしてそれによりICPとICP前駆体の架橋割合を調節することができる。主にイミダゾリウム塩からなるイオン性液体もポリマーを膨張するのに使用することができる。
【0036】
架橋されたICPを形成するために固体状態でICP又はICP前駆体の架橋は、バルク(塊)状態か薄いフィルム状態で行われる。好ましくは、バルク状態は、溶媒により膨潤されていないICPかICP前駆体の塊で、最も小さいものの寸法は約1000ナノメートル(nm)以上である。バルク状態にある粒子は最も小さいものの寸法が約1500以上、好ましくは約2000以上、より好ましくは約2500ナノメータ以上である。
好ましい薄いフィルムは、約1000ナノメートル以下の厚みを有するICP又はICP前駆体である。一般に、薄いフィルムの厚みは、約750以下、好ましくは約500以下、より好ましくは約400ナノメートル以下である。
固体状態でICP又はICP前駆体は架橋を行う間、溶剤により膨潤されていないと、ICPの固体粒子は分散していて、架橋の間溶媒により膨潤されていないことが想定される。
【0037】
二者択一的に、架橋はまた膨潤状態で行われる。
一般に、溶剤は、ICP又はICP前駆体を当初のICP又はICP前駆体の容積ベースで、約0.1容積%から約300容積%増加させ得る。この範囲内では、当初のICP又はICP前駆体の容積ベースで、一般に容積増加は約1容積%以上、好ましくは約4容積%以上が望ましい。
この範囲内では、当初のICP又はICP前駆体の容積ベースで、一般に容積増加は約250容積%以下、好ましくは約200容積%以下、更に好ましくは約120容積%以下が望ましい。最も好ましい容積増加は、当初のICP又はICP前駆体の容積ベースで、約10容積%である。
【0038】
架橋は、一般に化学的酸化によって起われ、また電気化学的酸化によっても起なわれることができる。架橋されたICPが化学的酸化で形成されるとき、固体又は膨潤状態のICP前駆体は一般に酸化剤を含む溶液中に浸漬又は溶解されている。浸漬される時間は、ICP前駆体粒子のサイズあるいはICP前駆体フィルムの厚さに依存して変わる。
一般に、浸漬時間は、約30秒から約180分が望ましい。この範囲で、時間は、約45秒以上、好ましくは約1分以上、より好ましくは約3分以上が望ましい。この範囲で、時間は、約180分以下、好ましくは約150分以下、より好ましくは約120分以下が望ましい。
【0039】
化学的酸化中に、温度は反応および拡散速度を制御するために上昇又は低下される。一般に、約−50℃から約100℃の反応温度が採用される。
この範囲内では、温度は、約−30℃以上、好ましくは約−10℃以上、より好ましくは−5℃以上が望ましい。この範囲内では、また温度は、約90℃以下、好ましくは約80℃以下、より好ましくは約50℃以下が望ましい。
化学的酸化中に、アジテーションも任意に利用できる。
【0040】
電気化学的酸化はまたバルク状態又は薄いフィルム状態のICP前駆体を酸化するのに利用できる。もし所望の場合には、ICP前駆体は任意に、電気化学的酸化プロセスに先立った、あるいはそのプロセスの間に溶剤で膨潤させることができる。
電気化学的酸化では、ICP前駆体フィルムは、基板上に貼り付けられて、これは電解層中で作動する電極として任意に利用できる、または基板は、絶縁ともなり、外部導電プローブ又はパターンは作用電極として利用できる。酸化は、一般に十分な電圧が適用されるとラジカルカチオンに変化するペンダント重合単位は作用電極に移動する。
酸化の割合は、多くの要因、例えば限定されるものではないが、膨潤量、溶剤の極性、前駆体ポリマーの骨格上の前駆体モノマー単位、形成される架橋ICPの導電性、及び同種のものに影響される。この酸化の方法は、マイクログラッフィク又はナノグラフィックな直接書込みそしてパターンニング操作に優位に利用できる。
【0041】
ICP前駆体は、電気化学的酸化に先立って様々な異なる基板上に薄膜としてキャストされる。基板は、一般に光学的に透明なガラス(例えばケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、インジウム錫酸化物、または同種のもの)、プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメータクリレート、ポリエチレンテレフタレート (PET)、ポリスチレン、ポリエチレン、あるいは同種のもの)、セラミックス(例えば、アルミナ、ジルコニア、酸化カルシウム、あるいは同種のもの)、金属(例えば、銅、金、プラチナ、ニッケル、あるいは同種のもの)、あるいは前記した基板用品の少なくとも1つをからなる組み合わせから製造される。
限定されるものではないが、錫酸化物、タングステン三酸化物、シリコン、窒化ケイ素、砒化ガリウム、及びその他同種のもの、のような透明な半導体を含む基板は、また基板として利用することができる。
【0042】
1つの具体例では、ナノリソグラフィクなパターンを、ICP前駆体の薄膜で基板を覆い、ICPを形成するために続いて電気化学的にICP前駆体を酸化させることにより、パターン化された基板上に形成することができる。
【0043】
別の具体例では、基板は、その上で予め形成された導電性物質に由来したパターンを有する絶縁基板とすることができる。絶縁基板は一般にプラスチック、セラミックス、あるいはその他同種のもののような非電気的に導く材料、あるいは前記の絶縁材料の少なくとも1からなる組み合わせのような非導電性物質である。
パターンに利用される導電性物質は、エッチング、メッキ、化学的蒸着、ペインテング、あるいはその他同種のものによって基板上に形成され、また導電性フィラー粒子又は絶縁性フィラー粒子を含んでもよい。
ICP前駆体とフィラー粒子の配合物は、前駆体複合材料といわれる。
【0044】
フィラー粒子の形状に特に制限はなく、例えば、球状、不規則形状、フラクタル、プレート状、又はウイスカー状が例示できる。前記粒子は、ナノサイズあるいはマイクロサイズにすることができる。
ナノサイズ化された粒子の適切な例は、炭素ナノチューブ、カーボンブラック、フローレン、バッキーボール(buckeye balls)、あるいはその他同種のものである、あるいは前記ナノサイズ化された粒子の少なくとも1つからなる組み合わせである。
【0045】
炭素ナノチューブは、単一壁の炭素ナノチューブ(SWNT)、多層の炭素ナノチューブ(MWNT)、蒸気成長炭素繊維(VGCF)、あるいは前記したタイプのナノチューブの少なくとも1つからなるものとの組み合わせである。成分に使用するSWNTは、黒鉛のレーザー蒸発、炭素アーク合成、あるいは高圧一酸化炭素転換プロセス(HIPCO)プロセスにより製造される。これらのSWNTは、一般に約0.7から約2.4ナノメータ(nm)の直径を備えたグラファイトシートからなる単一の壁を有している。
一般に、アスペクト比が約5以上、好ましくは約100以上、更に好ましくは約1000以上のSWNTが組成物に使用される。SWNTは、一般にそれぞれのチューブの各端に半球状のキャップを有している構造で閉じられているが、1の端が開いているもの、又は両端が開いているものもまた使用できると思われる。
SWNTは、一般に空洞である中央部を含むが、無定形炭素で満たされているものもあると思われる。
【0046】
1つの具体例では、SWNTがロープ状の集合体として存在する。これらの集合体は一般に「ロープ」と呼ばれ、個々のSWNT間はヴァン・デル・ワール力の結果形成される。ロープ間の個々のナノチューブは、互いにスライドし、自由エネルギーを最小限にするためにロープ内でそれら自体が再配置する可能性がある。一般に10と105 のナノチューブを有するロープは、組成物に使用される。
この範囲内では、一般に約100以上、好ましくは約500以上のナノチューブがあるロープを持っていることが望ましい。この範囲内では、一般に約10以下のナノチューブ、好ましくは約5,000以下のナノチューブがあるロープであることが望ましい。
【0047】
他の具体例では、SWNTは金属ナノチューブと半導体の混合物を含むことができる。金属ナノチューブは、金属に似ている電気的な特性を示すが、一方、半導体ナノチューブは電気的に半導体である。
一般に、グラフェン(graphene)シートをロールアップする方法は、様々な螺旋構造のナノチューブを生産する。ジグザグ(zigzag)とアームチェアー型のナノチューブは、2つの可能性のあるコンファメーション(confirmations)を構成する。組成物中で利用されるSWNTの量を最小限にするために、一般に金属ナノチューブの割合を大く含む成分を使用するのが望ましい。
金属ナノチューブが約1 wt%以上、好ましくは約20 wt%以上、より好ましくは約30 wt%以上、更に好ましくは約50 wt%以上、そして最も好ましくはSWNTの全重量の約99.9 wt%以上からなるSWNTを前駆体合成物に使用するのが望ましい。ある状況下において、半導体ナノチューブが約1 wt%以上、好ましくは約20 wt%以上、より好ましくは約30 wt%以上、更に好ましくは約50 wt%以上、そして最も好ましくはSWNTの全重量の約99.9 wt%以上からなるSWNTを前駆体合成物に使用するのが望ましい。
【0048】
前駆体合成物は、さらにMWNTとVGCFのような他の炭素ナノチューブを含んでいてもよい。MWNTは、レーザー・アブレーション(laser ablation)および炭素アーク合成のようなプロセスに由来する。MWNTは、内部の中空コアの周囲に結合している少なくとも2つのグラフェン層を有している。
半球状のキャップは、一般にMWNTの両端を閉じる、しかし、単に1つの半球状キャップを有しているMWNT、あるいは双方のキャップが回避されたMWNTを使用するのに望ましい。MWNTは、一般に約2から約50nmの直径を有している。MWNTが使用される場合、平均アスペクト比が約5以上、好ましくは約100以上、より好ましくは約1000以上であることが望ましい。
【0049】
蒸気成長カーボンファイバー、カーボンブラック、導電性の金属フィラー、固体非金属、導電性フィラー、もしくは同種のもの、又は前記の少なくとも1を含むものの組み合わせのような他の導電性フィラーは任意に組成物に使用されてもよい。
蒸気成長したカーボンファイバー (VGCF)で言及したように、直径が約3.5から約2000ナノメートル、平均アスペクト比が約5以上である、蒸気成長したカーボンファイバー、又は少量のグラファイト性もしくは部分的にグラファイト性であるカーボンファイバーがまた用いられる。
【0050】
固体導電性金属フィラーはまた任意に導電性組成物に用いることができる。
これらは、有機ポリマー中に配合して完成品を製造する際に用いられる条件で、溶融しない導電性金属又は合金である。アルミニウム、銅、マグネシウム、クロミウム、錫、ニッケル、銀、鉄、チタン、金、プラチナ、および前記金属のうちのいずれか一を含む混合のような金属は導電性フィラーとして有機ポリマーに組み込むことができる。物理的な混合物、及びステンレス鋼、ブロンズおよびその他同種のもののような真の合金は、さらに導電性のフィラーとして有用である。
更に、硼化物、炭化物およびその他同種のもののような金属との少数の金属間化合物(例えばチタンジボライド)が、導電性のフィラー粒子として有用である。
錫酸化物、インジウム錫酸化物および同種のもののような固体の非金属、導電性フィラーも、有機ポリマーに導電性を付与にするために任意に添加することができる。固体金属と非金属導電性フィラーは、パウダー、記載されたワイヤー、ストランド、ファイバー、チューブ、ナノチューブ、フレーク、ラミネート、小板、楕円体、ディスクおよび他の商業的に有用な形状物の形をして存在する。
【0051】
それらの表面の本質的な部分を固体の導電性金属の密着層で覆われた、非導電性で非金属のフィラーはまた任意に導電性組成物に使用することができる。
非導電性で非金属のフィラーは一般に基板として言及される。固体導電性金属の層コートされた基板は、金属でコートされたフィラーとして言及される。
アルミニウム、銅、マグネシウム、クロム、錫、ニッケル、銀、鉄、チタン、および前記金属のうちのいずれか1を含む混合物のような典型的な導電性金属は基板を覆うために使用することができる。
このような基板の例としては、溶融珪酸及び結晶の珪酸のような珪酸パウダー;窒化ホウ素パウダー;ホウ素ケイ酸塩パウダー;アルミナ;酸化マグネシウム(あるいはマグネシア);表面をワラストナイトで覆われたものを含むワラストナイト;硫酸カルシウム(その無水物、ジハイドレイト、トリハイドレイト);白墨を含む石灰石;大理石および一般に粉末粒子形状である合成、沈殿で得られた炭酸カルシウム;繊維、モジュール、針状物、及び層状のタルク;中空と固体の双方のグラス球体;ハード、ソフト、焼成したカオリン及び重合体のマトリックス・ポリマーで相溶性を容易にした種々のコーティングカオリンを含むカオリン;雲母;長石;ケイ酸塩球体;フルーダスト(flue dust);セノスフェアー(cenospheres);フィライテ(fillite);アルミノケイ酸塩(アルモスフェアー);天然シリカ;クオーツ;珪岩;真珠岩;トリポリ石;珪藻土;合成シリカ、および前記したもののうちのいずれか1からなる組み合わせが挙げられる。
上記の基板はすべて、導電性組成物に使用するため金属材料の層でコートされている。前述の非金属、非導電性フィラーも、導電性のコーティングなしで合成前駆体に使用できる。
【0052】
非金属、非導電性フィラーと同様に、導電性フィラーは、一般に前駆体合成物の全量を基準として約0.001から約90質量%の量用いられる
この範囲で、導電性フィラーは、非金属、非導電性フィラーと同様に、一般に前駆体合成体の全量を基準として約0.25質量%以上、好ましくは約0.5質量%以上、より好ましくは約1質量%以上の量用いられる。
この範囲で、導電性フィラーは、非金属、非導電性フィラーと同様に、更に一般に前駆体合成体の全量を基準として約80質量%以下、好ましくは約40質量%以下、より好ましくは約30質量%以下、更に好ましくは約5質量%以下の量用いられる。前駆体合成物は、化学的又は電気化学的に架橋されて本質的に導電性のポリマーになる。
【0053】
基板上に形成されるパターンに利用できる好ましい導電性物質は、インジウム錫酸化物、炭素、炭素ナノチューブ、金、プラチナあるいはニッケルである、一方、好ましい基板は、透明グラス、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリエーテル、あるいはポリメチルメータクリレートである。ICP前駆体内での架橋は一般に色の変化を生じるので、導電性の予め形成されたパターンに電位差を適用するとこの電位差に直接さらされるICP前駆体フィルムの部分は架橋が促進される。
これは、フィルム上あるいはそのフィルム内のいずれのパターンにおいても生ずることである。その後、もし必要があれば、フィルムの未反応部分は溶出されうる。
【0054】
他の具体例では、基板を導電性として、一方、基板上に予め形成されたパターンを絶縁性とすることができる。このような基板が使用される場合、電気的接触により基板の導電性部分に印加される。ICP前駆体は、一般に電荷を運ぶ基板のこれらの部分に架橋を受ける。架橋を受けないICP前駆体の部分は、必要であれば溶出され、基板上に架橋されたICPによりパターンが形成される。
【0055】
フィルムにパターンを適用する他の方法は、外部電極と基板上に配置されたICP前駆体フィルムとを接触させることからなる。基板は絶縁体、導電体、半導体、あるいはこれらの組み合わせとすることができる。基板は、フィルムと共に電解槽に配置され、希望の画像のネガを生ずる外部電極が、基板上に形成される表面と対向する側のフィルム表面に対して押し付けられる。電圧が電極および基板を経てフィルムに印加される場合、架橋が外部電極と接触しているフィルムのこれらの部位で起こる。
架橋には色の変化が一般に伴うので、画像がフィルム上に形成される。外部電極はいかなる所望の先端サイズを持つことができるので、ナノラインをパターンニングする目的に対しては、約200ナノメータ以下の先端サイズが適当である。パターンは表面上に形成することができる、つまりエンボスパターン、あるいは表面より下部、つまり埋め込まれた表面に形成することが可能である。一般に、ナノスケールパターンは電気化学原子力間顕微鏡を使用して生成することができる。表面上に形成されたパターン、つまりエンボスパターンは、接触モードを用いて形成され、一方、パターンはタッピングモードの使用により表面へ埋め込まれる。
更に、パターンニングの間、酸化電位を増加すると先端から離れていく架橋速度は増加する(電位的により早い書き込みに導く)、そして電極チップから離れる架橋が進行していく速度は、タッピングモードに対して接触モードの方が早くなることに留意すべきである。これは接触モードを使用してパターン化している間、先端が表面とより長く接しているからである。
【0056】
一般に、電気化学的酸化が架橋を引き起こすために使用される場合、約0.1ボルトから約10ボルトまでの電圧が電気化学的セルの中で使用される。
一般に、電圧は、前駆体ポリマーの重合することができる単位の酸化電位に依存する。
この電圧が、重合する単位の初期の酸化に対して望ましい電圧に比例することが望ましく、更に電圧が重合する単位の酸化に対するピークであることが望ましい。同様に、この範囲内では、重合可能な単位の酸化ピークより1ボルト高い値以下の電圧が望ましく、更に重合可能な単位の酸化のためのピークより0.8ボルト高い値以下の電圧が望ましい。
【0057】
二者択一的に、電気化学的のセルの中で、定電流電解的な電気化学的重合のために約0.1ミリアンペア/cm2から約20アンペア/cm2の電流を使用することが望ましい。この範囲内では、約0.1以上、好ましくは約0.3以上、より好ましくは約0.5ミリアンペア/cm2以上の電流を使用するのが望ましい。同様に、この範囲内では、約18以下、好ましくは約15以下、より好ましくは約10アンペア/cm2以下電流を使用するのが望ましい。
【0058】
全表面積を有するパターンに対して前記電圧及び/又は電流を、約0.5平方マイクロメータ(μm)以上、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約20μm以上、更に好ましくは約25μm以上、特に好ましくは約50μm以上である。
【0059】
更に他の具体例では、ナノリソグラフィックなパターンは電気化学的原子力間顕微鏡使用(AFM)の利用により基板上に形成されたICP前駆体フィルム上に形成することができる。
この方法では、ICP前駆体フィルム上に所望のパターンを形成するために、電解槽の中で作用する電極としてAFM先端(金、プラチナ/イリジウム、炭素ナノッチューブで修飾済の炭素、のような導電体でコートされている)が使用される。
AFM先端は、ICP前駆体フィルムと接触させるか、あるいはフィルムに触れずにICP前駆体フィルム接近させる、そして適当な電圧は、電気化学的AFM先端と、AFM先端による接触させた(あるいはAFM先端に接近させた) ICP前駆体フィルムのこれらの部位の架橋を促進する基板との間に適用される。
色変化が、架橋上のICP前駆体フィルムに生じるので、パターンは電圧に曝されたフィルムの部位で形成される。更に、架橋されたポリマーが対応する未架橋前駆体ポリマーより高密度であるので、それらは、フェーズモードでタッピングモードAFMの操作で観察することができる。
1つの具体例では、形成したパターンが、直線、曲線、点、平面、あるいは他の望ましい幾何学的図形の形にすることができる。パターンは所望により、一次元、二次元、あるいは三次元にでき、またエンボス構造として表面に形成、または表面内に(以下に)埋め込むことができる。
【0060】
ICPおよびICP前駆体を架橋するこの方法は、特に基板のリソグラフパターンニングの分野で多くの利点を有している。特にICPあるいはICP前駆体は30,000ナノメートル/秒の割合で電極から架橋していくので、固体及び/又は膨潤状態での架橋は、高速のパターン・トランスファーを可能にする。
ここに記述されたプロセスは、核形成と成長(nucleation and growth)を示さない点において新規である。核形成と成長は、その中にモノマーが溶解している電解質溶液からモノマーの「従来の電気化学的重合」という他の方法に遭遇する。ここで、「従来の電気化学的重合」は、モノマーが電解質溶液に溶解し、電圧(又は電流)がモノマーの酸化が行われて対応するラジカルカチオンを形成する作用電極に加えられる方法で定義される、そしてこのラジカルカチオンは一連のカップリング反応を経てより高分子のオリゴマーを形成し、そしてオリゴマー又はポリマーが溶液に不溶性になることにより適当な長さのオリゴマーが達成された後に、電着が核形成と成長のメカニズムを経て行われる。
【0061】
この記述された方法(本発明)は、モノマーが既に前駆体ポリマーフィルムに存在していてそして既に基板表面上を覆っているのでいかなる核形成と成長を有しない。更に、この方法は、単一の基板上に多部位のパターンニングを同時に行うのが可能であるばかりでなく、基板上に配置されたフィルムの上方と下方パターンニングを同時に行うことが可能である。この方法は、基板の表面にパターンを形成するだけでなく、図1に示すように、基板に埋め込まれるパターンを形成することも可能である。
図1Aで、ICP2が基板4の上にパターン化されたものを示し、一方、図1Bで、ICP2が基板4に埋め込まれたものを示す。
加えて、図1A又は1Bに示すようにICP2から未架橋ICPを溶解することにより、可溶性のブラシ6を有するICPナノワイアの物質は、図2に示すように得られる。この方法は、またラフな表面を有するフィルムの三次元的パターンを可能にする。加えて、ICP又はICP前駆体に対して異なる溶解力を有する溶剤又は電解質を使用することにより、膨潤状態での架橋率を変えることができる。
【0062】
この方法で製造されたものは、結合及び/又は導電性が望まれる一般に広い範囲での最終用途への利用に適している、例えば、帯電防止衣類、帯電防止の床覆い、コンピューター中のコンポーネント、そして一般に、金属導電体の代換物、あるいは半導体、そのような特定の適用を含んでいること、例えば、バッテリー、燃料電池、太陽光発電、静電気の消費、及び電磁気遮蔽が挙げられる。
更に、それらは、電子機器に対する静電気防止包装物、又は航空宇宙への適用およびバイオ医学の装置を含む、コンピューターおよび他の好感度機器に対する電磁気の妨害保護物として使用されてもよい。
好ましい最終用途は、センサー、外科と診断の装置および器機、あるいはそれのコンポーネント、生物学のプロセスの活性化のための導電性ポリマーワイヤー又はリード、そして手術室人員による使用される帯電防止の衣類を含んでいる。
さらなる適用は、熱伝導を制御するためのコーティングを含んでいる。
他の適用は、トランジスター、コンデンサー、回路類用ワイヤー、インターネットテクノロジー、発光ダイオードのためのホールトランスポート層、発光ダイオードで使用される発行剤、光学的に透明な導体/電極として、光学格子、またエレクトロクロッミクなウィンドウあるいはレクトロクロッミクなディスプレイがある。
【0063】
次の例(それらは典型的であることを意味する)は限定されるものではないが、ここに記述されたICPの様々な具体化のうちのいくつかの組成物及び製造方法を例証する。
【実施例】
【0064】
[実施例1]
この実施例では、重合によりICPを形成する5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)の合成法について詳述する。
【0065】
1.46グラム(9.5ミリモル)の5-ノルボルネン-2-エンド,3-エンド-ジメタノールを真空乾燥され、窒素置換された、デーン-スターク(Dean-Stark)トラップを取り付けた100ミリリットル(mL)、の3つ口丸底フラスコに添加した。
120mLのトルエンを窒素雰囲気下で該フラスコに加え、続いて2.84グラム(20ミリモル)の3-チオフェン酢酸および160ミリグラム(mg)のp-トルエンスルホン酸を添加した。
混合物を10分かけてトルエンに完全に溶解し、そして得られた溶液をデーン-スタークトラップ中の下層全部で80mL得られるまで時折採取する間、105℃で6時間還流させた。下層は水とトルエンを含んでいた。水はトルエンよりも比重が高いので、エステル化反応で発生した水はデーン-スタークトラップの底に採取された。水の除去は、エステル化反応を促進する。反応混合物は室温まで冷却され、50mLの水で洗浄され、そしてエーテルで抽出された。
反応の副生物を含む反応混合物の有機部分は、分離され、ブラインで洗浄され、硫酸ナトリウムで乾燥され、ろ過後真空下にトルエンを除去した。得られた生成物中に少なくとも75%含まれるイエローオイルを5mLの塩化メチレンに溶解した、そして溶離液として塩化メチレンとメタノール容積比98:2を用いてシリカゲルでカラムクロマトグラフィを行った。
淡黄色オイルとして2.90(75%収率)グラムの5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)が得られた。5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)の構造は、H-NMRとFTIRを使用して確認された。
【0066】
[実施例2]
この実施例は、5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)モノマーから、開環メタロシス重合反応(ROMP)を用いてICP前駆体の合成について詳述する。
【0067】
10mLの乾燥塩化メチレン中に1.33グラム(3.30ミリモル)の5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)を含む溶液を、18ミリグラム(mg)(0.02ミリモル)のグラブのアルキリデン触媒(Grubb’s alkylidene catalyst)と5 mLの塩化メチレンを含む100mLシュレンクフラスコに注射器により添加した。シュレンクフラスコ(Shlenk flask)は予め真空乾燥され、そして5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)を添加する前後窒素パージされた。
混合物は30分間撹拌され、次に3mLのエチルビニルエーテルを重合の終了を容易にするために添加した。溶液はその後室温で100mmHgの真空ロータリエバポレータで濃縮された。このポリマーは、300mLのペンタンで3度沈殿させ、ろ過し、真空下に乾燥させ、0.98グラムのガム状ポリマーを得た。その構造は、核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)で特徴づけられ、そしてその数平均分子量は、単分散ポリスチレンを標準に用いたゲルパーミエション・クロマトグラフィ(GPC)により測定され、65,000g/モルであった。多分散性指数は1.28であった。
【0068】
[実施例3]
この実施例は、ICO前駆体の製造に利用できるビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーの製造法を詳述する。2つのターチオフェン部分を含むノルボルネンモノマーが結合したエーテルは、以下の図3中の6ステップで合成された。
【0069】
真空乾燥され、窒素置換された、100ミリリットル(mL)の3つ口丸底フラスコに0.873グラム(2.8ミリモル)の(2,2': 5',2"-ターチオフェン)-3'-酢酸を加えた。
20ミリリッター量の乾燥した塩化メチレン(CH2Cl2)を窒素雰囲気下に加え、続いて1.27グラム(0.01mole)のオキサリルクロライドが加えられた。
その反応は、室温で2時間撹拌下に継続し、その後溶剤と過剰のオキサリルクロライドを真空下に除去し、得られた酸クロライドを20ミリリッターの乾燥ジエチルエーテルに再溶解した。
【0070】
別の100ミリリッターの3つ口丸底フラスコへ、窒素雰囲気下で0.208グラムの5-ノルボルネン-2-エンド,3-エンド-ジメタノール (1.35ミリモル))を加えた。このフラスコに20ミリリッターの乾燥ジメチルエーテル加え、続いて0.8ミリリッターのトリエチルアミンを添加した。20ミリリッターの乾燥ジメチルエーテルに溶解された(2,2': 5',2"-ターチオフェン)-3'-酢酸クロライドをこのフラスコに20分かけて滴下した。混合物は、その後更に10分間撹拌して、50ミリリッターの水の中に注いだ。有機相が分離され、水相はジエチルエーテル(3×50ml)で洗われた。
有機的な部分はブラインで洗われて、分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥されて、ろ過されて、そしてその後、塩化メチレンは真空の下で除去された。
得られた油は、塩化メチレンの5ミリリッターに溶解し、溶離剤として、塩化メチレンを使用して、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィを行い、0.431g(46%)のビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーを淡黄色固体粉末として得た。
【0071】
[実施例4]
この実施例は、ICPを形成するためにICP前駆体ポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))の化学酸化を詳述する。ポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))の0.5マイクロメートル厚みのフィルムを塩化メチレン溶液から1000rpmでガラススライド上に最初にキャストした。フィルムは、25°Cで一時間乾燥された。ガラス上に得られたフィルムは、図4に示すようにペンダントターチオフェン部分の酸化を促進するためにアセトニトリル中で塩化第二鉄(III)の溶液室温で浸漬された。アセトニトリルに対する塩化第二鉄(III)のモル比は0.01Mであった。5秒間で、ポリ(チオフェン)から酸化のカップリングが行われたことを示す、フィルムは淡黄色から青色に変化した。この変化は、架橋前後のそれぞれの紫外可視スペクトルのグラフ式表示である、図5と6に示されている。
図5は、ヒドラジン溶液の添加でポリマーの導電性が減少することを示す。
ヒドラジン添加で、800nmと1500nmでの低いエネルギーバンドの損失は、ポリマーの導電性が減少したことを示す。800nmと1500nmでの2つのバンドは、ドープされたフォームにおけるポリチオフェンのバンド構造と一致する。
【0072】
[実施例5]
これは、ビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーを使用して、従来の電気化学的重合のプロセスを実証するコントロール(比較)実験である。
この例は、図3の中で示されるようなICPを得るために、ビス(ターチエニル)ノルボルニレン前駆体ポリマーの重合を詳述する。
この例で、実施例3のビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーは、0.1M溶液の過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)を含むアセトニトリル溶液中で0.01M溶液のモノマーからなる電解質溶液で電気化学的に重合された。参照電極はAg/Ag+(つまりアセトニトリル中の硝酸銀(AgNO3)の10mM)であった。プラチナ・プレートを対極として使用した。このプロセス用のサイクリックボルタメトリィを図7に示す。
【0073】
図7で見られるように、実験は、0Vで開始した、この電位では、電流がないことで示されるように電子の流れは起こらなかった。
電位はその後、正の方向、つまり酸化方向に100mV/sの割合でスキャンされた。
0.66Vでは、ビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーのターチオフェン部分の酸化に起因する酸化プロセスの開始があった。更なるスキャンで0.82Vの電位でピーク電量が得られた。0.66Vと電位を逆にする前の最終電位0.9Vの間でターチオフェンの電気化学的酸化カップリング及び重合が起こることが注目されるべきである。
このように、単一のサイクリックボルタメトリィでは、重合は合計で約4.8秒間進む。逆方向のスキャン、つまり還元方向のスキャンで、酸化が不可逆プロセスであることは直ちに明白である。更に、このことは、作用電極の真下に設置した鏡から観察されるように、電極表面上の青色の沈殿生成からも明らかである。
還元方向に更にスキャンする際、陰極のピークが0.41Vに生じる。この陰極のプロセスは、電極表面上で形成された導電性ポリマーが酸化/導電性の状態から中性状態への還元に起因する。ターチオフェン部分に関する減少された電位でこの還元プロセスが起こるのは更に伸びる結合種が存在することを示す。
【0074】
その後、電位を0Vに下げ、2回目のスキャンをスタートした。
2回目のスキャンで、0.48Vで最初に陽極に電流が流れた、これはビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーのペンダントターチオフェン部分の酸化が開始し、作用電極の表面で結合したポリマーの酸化に起因する値よりはるかに低い。
もう一度、約0.66Vでは、更なる重合を含むモノマー酸化の開始があった。
付加的重合は、導電性ポリマーの還元が0.41Vで観察される、陰極電流応答の増加により示される。その後のスキャンで、重合は、陰極のピーク電流に対し規則的な間隔で示されるような容易なやり方で進む。このことは、導電性ポリマーが作用電極として役立つために十分な導電性であることを示す。
【0075】
[実施例6]
この例は、基板上でポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))の電気化学的酸化の架橋によるICPの生成を詳述する。この例の中で使用されるポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))は、最初グラブアルキリデン触媒を用いて開環メタセシス重合(ROMP)を用いて誘導され、エチルビニルケトンを用いて終了する。
【0076】
ポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))の0.5マイクロメートルの膜厚のフィルムを1000rpmでインジウム錫酸化物(ITO)ガラス上に回転成形した。
ITOガラスは、電解質としてアセトニトリル中で過塩素酸塩テトラブチルアンモニウム(TBAP)の0.1M溶液を有する3-電極電解槽の中で作用電極として使用された。プラチナ・プレートは対極として使用された。電解槽中の溶液の温度は25°Cであった。
酸化は、ポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))のペンダントターチオフェン部分を架橋するためにAg/Ag+参照電極に対し0.9Vの電位で行った。
【0077】
[実施例7]
この実施例は、100の指のように組んだ金ラインを有するガラス基板上でポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))の電気化学的酸化によって前駆体ポリマーを架橋することによるICPの生成を詳述する。各金のラインは、10マイクロメートルの厚みを有し、また、ラインの間の距離は10マイクロメートルであった。基板は、実施例4で行ったと同様の方法でコートした。コートされた基板は、多電解質溶液(電気化学的セル中にある)に浸漬し、また、パターン化された基板は、図8に示されるように3つの電極配置の中で作用する電極として使用された。参照電極はAg/Ag+であった。プラチナ・プレートは対極であった。0.9Vの電位が適用された。電位は、図8の中で示されるような交互のラインの1つのセットだけに適用された、その結果、電位が適用された金ラインの上部の表面上のみのICPが酸化と架橋された。
【0078】
0.1秒の時間、0.9Vの電位を適用すると、金リード線の表面から約3マイクロメートル離れた厚みにあるICPの酸化と架橋を促進した。従って、架橋の割合は、30,000ナノメートル/秒の架橋の割合と等しい。
【0079】
[実施例8]
この実施例は、ICP前駆体のフィルムが希望するイメージの陰画を有する電極の使用により、その上部の表面にスタンプされ得ることを実証するために行われた。電極に電流あるいは電位を適用することによって、ICP前駆体フィルムは、電極と接触されているエリア内でのみ酸化され、それにより、所望のイメージかパターンを形成させる。
【0080】
ICP前駆体ポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))のフィルムは、実施例4に記載するようにガラス基板の表面に設置される。フィルムと共に基板は、Ag/Ag+参照電極と対極としてのPtプレートを有する3個の電極セルの中で、電極(基板とフィルムは電極ではなかった)として使用された。プラチナ・ボタン微小電極は、作用電極として役立ち、そして次に、図10に示されるように、インストロンを使用してフィルムの表面に対して押し付けられた。1kg/cm2の圧力がインストロンにより加えられた。1Vの電位が、0.01秒間、プラチナ・ボタン微小電極に適用された。
プラチナ・ボタンを除去して、10×の倍率で光学の顕微鏡使用を使用して、フィルムを検査すると、プラチナ電極の鏡像がICPの架橋の利点によりフィルムにインプリントされたことが確認できた。上記したように、ICP前駆体がICPを形成するために酸化と架橋を経るとき色に変化が生ずる。
実施例7及び8のパターン化する方法を組み合わせることによって、フィルムは、その上部と下部表面にパターン化され、それにより、フィルムに三次元のパターニングが可能であった。
【0081】
[実施例9]
ナノパターニングのこの例では、500nmの幅のプラチナ・ラインを有するパターン化されたシリコンウエハー基板が、3個の電極セルの中で電極として使用された。シリコンウエハーは電子線技術を使用してパターン化されたもので、コーネル大学のナノ製造センターから入手した。
ICP前駆体ポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))をクロロホルム中に溶解し、1500rpmの速度で回転コートし、200ナノメートルのコーティングを得た。フィルムは、電解槽中への浸漬に先立って室温で1時間乾燥された。
電極リード線は、10のプラチナ線に付けられ、そして基板はアセトニトリル中で過塩素酸テトラアンモニウム(TBAP)の0.1M溶液を有する電解槽に浸漬した。参照電極は銀(Ag/Ag+)で、プラチナ・プレートは対極として使用された。
【0082】
サイクリックボルメトリィは、毎秒100ミリボルトのスキャン割合で、0Vと1V(対参照電極)の間をスキャンして、作用電極としてプラチナ線を使用して実行された。実験のためのサイクリックボルメトリカーブを図11に示し、架橋の進行により還元電流が増加することを実証する。2回目のスキャンは、モノマーのターチオフェン単位の酸化ピーク及び0.75Vと0.5Vでのポリマーターチオフェンピークの両方をそれぞれ示す。
【0083】
[実施例10]
この例において、ナノリソグラフィは、電気化学的原子力間顕微鏡(ECAFM)を用い、基板上で固体状態の架橋を使用して行われた。
ポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))のICP前駆体フィルムは、毎分1500回転の速度(rpm)で30秒間回転コーティングを行うことにより、クロロホルム中にポリ(5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3’-[2,2’:5’,2”]-ターチオフェンアセテート))を1%含む溶液からシリコンウエハー基板を形成した。フィルム厚みは200ナノメートルであった。
フィルム粗さは原子力間顕微鏡(AFM)を使用して測定した、またフィルム粗さの2乗平均平方根(RMS)は、その測定値が空気中で1.2ナノメートルであった。
電解質溶液でのフィルム粗さは、その測定値が0.3ナノメートルであった、すなわち、表面粗さは、電解質溶液により生じた膨潤の結果縮小されたと思われる。
【0084】
画像化とリソグラフィは、ナノスコープEコントローラー(ディジタル・インスツルメント(Digital Instrument)社によって製造、開発された)を備えた分子像SPMを用いて行った。更に、上記ディジタル・インスツルメント社により製造されたナノスクリプト ソフトウエア(Nanoscript soft ware)をプログラミングとリソグラフィに使用した。
すべての画像化とリソグラフィは、真空中熱蒸発により25オングストロームのクロム層、次いで500オングストロームの金層を適用して製造された金コートされた窒化ケイ素(Si3N4)AFMチップを使用する原子力間顕微鏡を用いて、行った。金のコーティングを適用した後に、AFM先端の厚さは100ナノメートルであった。
【0085】
電気分解中に、AFM先端を作用電極として使用した、一方、0.25ミリメートルの直径を持っている銀ワイヤー、および、0.25ミリメートルの直径を有しているワイヤーで作られていたプラチナ・コイルを、それぞれ参照電極及び対極として使用した。電解質溶液は、アセトニトリルにTBAPを0.1M含んでいた。
【0086】
図12は、電気化学的AFMを使用して書かれたICPの2マイクロメータ×2マイクロメータのラインのAFM画像を有するコートされた基板の6マイクロメートル×6マイクロメートルの切片(セクション)を示す。
金がコートされたAFMチップは、接触モードAFMによってICP前駆体フィルムの表面と接触した、そして1.5V(対銀の参照ワイヤー)の電位が金でコートしたAFM先端に適用されている間、先端は3マイクロメートル/秒の速度でスキャンエリアの中心から2マイクロメートル下方へ移動された。
この先端とフィルム表面の間の力を最小限にするために、セットポイントは実験中に0Vと1Vの間に維持された。
図13は、フィルムの高さのグラフィカルな描写と共にフィルムの高さイメージを示す。フィルムの架橋された領域のこのグラフィカルな描写から、フィルムの架橋された部分がおよそ100ナノメートルの高さを備えた火山のような形状を持っていることが理解され。これは、架橋がより高度にチャージされた先端の方向に向かって行われることを示す。
【0087】
同様の実験は基板を横切るラインの架橋に試みられた。
これは、図14(a)、(b)および(c)に示される、ここで、幅400ナノメートルおよび長さが6マイクロメートルのラインが0.5秒未満で基板を横切って書かれた。ラインのプログラム速度は3マイクロメートル/秒であった。図14(a)は各位置で高さ差を示す高さイメージである。図14(b)は、画像をスキャニングしている間に先端の偏差を示す偏差イメージである、一方、図14(c)は、スキャニング中に各位置で摩擦差を示す側面の力画像である。
【0088】
上記の実施例は、ICPを形成する固体状態のICP前駆体の架橋は、特につけペンナノリソグラフィのような方法と比較する場合、いくつかの利点を有していることを実証する。この方法はパターン化するプロセスの間に筆記用具の先端にどのようなポリマーあるいはモノマーも付着させない。したがって、パターニングの速度合は、より迅速である。
さらに、パターンは、フィルムの厚みの表面内部と同様に、表面上部にも同時に生成される、それでフィルム上に三次元のパターンの形成が可能になる。
【0089】
[実施例11]
前駆体ポリマーの固体状態で酸化重合を利用する導電性ポリマーを直接書く他の例では、電気化学的原子力間顕微鏡(ECAFM)を使用した接触モードでの記載が、導電性のポリマー・ラインが前駆体ポリマーフィルム表面に生ずることによるモルフォロジィを作ることをさらに実証した。
図26AおよびBは、記載の形態として接触モードを使用して、PN3TからPNP3Tを形成したラインを示す、一方、図27A,B,C,及びDは、記載の形態としてタッピングモードを使用して、作られた、架橋された導電性のポリマーのラインを示す。これらの操作の詳細は以下の通りである:
【0090】
電気化学的酸化のナノリソグラフィ実験は、ナノスコープIVマルチモードスキャニングプローブ顕微鏡(SPM、ディジタル・インスツルメント社製)、及びSPM、MMTMECに対する流動体イメージセル(ディジタル・インスツルメント社製)を結合した、CHI 400 ポテンシオスタット(CHインストルメント社製)からなる電気化学的原子力間顕微鏡(ECAFM)を使用して行った。
導電性のAFMプローブ、金(Au)でコートした窒化ケイ素(SiN)プローブ(NPG、ベコ メトロジー(Veeco Metrogy)LLC製、力定数=0.52N/m)は、作用電極(WE)として使用された。銀(Ag)ワイヤーおよびプラチナ(Pt)ワイヤーは、参照電極(RE、0.2対NHE)及び対極(CE)としてそれぞれ使用された。0.1MのTBAPを含むACNが電解質溶液として使用された。
実験はプロピレン炭酸塩(PC)を使用し、そして作用電極としてAuでコートしたSiN4チップを用いて1.65V(対NHE)を適用して、0.1Mの過塩素酸テトラアンモニウム塩(TBAP)中で実行された。ECAFM先端は平均先端直径40nmを有している。1.3センチメートル(cm)の直径のガラススライドはフィッシャーサイエンティフィク(Fisher Scientific)社から購入され、使用の前に水、メタノールおよびアセトンで連続して洗浄した。ガラス顕微鏡用スライドの他の前処理は実行されなかった。
モバイルの導電性のAFM先端は、SPMにインストールしたLITHOソフトウェア(ディジタル・インストルメント社製)に基づいたC++コンパイラーを使用して、指定の方法でコントロールされた。図26Aは、PN3Tの接触モード電気化学の酸化の架橋により、60mm/sの(1)および30mm/sの(2)の速度で書かれたPNP3TのICPナノラインの高さイメージを示す顕微鏡写真図である。1と2のライン幅は、それぞれ120nmおよび170nmだった。
【0091】
100nm厚みのPN3Tフィルムは、キャスチングのための溶剤としてクロロホルムを使用して、ガラス基板上にコートされ、そしてPN3Tフィルムコートされたガラス基板はECAFMの電気化学セルに置かれた。記載は、60μm/s(ライン1)と30μm/s(ライン2)の記載速度で流動性の接触モードを使用して1.4V対参照電極を適用して行われた。得られたナノパターンは、接触モードによって画像化された。60mm/sの記載速度で、作製されたライン幅は100nmのオーダーで、30mm/sの記載速度で、PNP3Tのライン幅は170nmのオーダーあった。
【0092】
ガラス基板上にコートされた厚み100nmのPN3Tフィルムは、ECAFMの電気化学セルの中に置かれた。書き込みは、30μm/s(ライン3)と15μm/s(ライン4)の記載速度で流動性の接触モードを使用して、1.4V対参照電極を適用して行われた。作製されたナノパターンは、流動性の接触モードによってイメージされた。
図26Bは、30mm/s(3)および15mm/s(4)の速度で書き込まれた、ICPナノラインの高さイメージを描いた顕微鏡写真図である。3と4のライン幅はそれぞれ180nmおよび240nmであった。
【0093】
ガラス基板上に回転コートされた厚み100nmのPN3Tフィルムは、ECAFMの電気化学セルの中に配置された。書き込みは、15mm/s(ライン1)および10mm/s(ライン2)の速度で、1.4V対参照電極を適用して流動性のタッピングモードを使用して、実行された。作製されたナノパターンは、高さ(a)および位相画像(b)を同時に得る流動性タッピングモードにより描かれた。
図27Aおよび27Bは、ポリマー前駆体PN3Tのタッピングモード電気化学的酸化架橋により、15mm/s(1)および10mm/s(2)の速度で書かれた、PNP3TのICPナノラインの高さ(a)および位相画像(b)をそれぞれ示す顕微鏡写真図である。
1と2のライン幅は、それぞれ45nmおよび65nmであった。
【0094】
ガラス基板上に回転コート回転された厚み100nmのPN3TフィルムをECAFMの電気化学セルの中に配置した。
記載は、10 m/s(ライン3)と5 m/s(ライン4)の書き込み速度で、1.4V対参照電極を適用して、流動性タッピングモードを使用して行った。作製されたナノパターンは、高さ(c)および位相画像(d)を同時に得る流動性タッピングモードにより描かれた。
図27CおよびDは、10mm/s(3)および5mm/s(4)の速度で書き込まれた、PNP3Tナノラインの高さ(c)および位相画像(d)を示す顕微鏡写真図を示す。3と4のライン幅は、それぞれ65nmおよび95nmであった。
ICPナノラインの位相画像は、線形の前駆体ポリマーと架橋された導電性ポリマー間の物質の剛性の明瞭な差を示す、しかしながら、2つの間の明瞭な高さの差は、高さ画像中で観察されなかった。
【0095】
PN3Tの電気化学的固体状態架橋は、接触モードあるいは電解質流体中のタッピングモードAFMのいずれかで行い、そして作製されたパターンの画像は対応するモードを使用した直後に得られた。接触モードによって書かれたICP、PNP3Tのラインの高さ画像は、図26(a)および(b)にそれぞれ示される。
120nm(ライン1)、170nm(ライン2および3)、そして240nm(ライン4)幅のICPラインは、1.65V(対NHE)の電位を適用して、書き込み速度がそれぞれ60m/s、30m/sおよび15m/sで得られた。電位を適用しない書き込みは、いかなるパターンも作成されなかった、このことは先端によってポリマーフィルム表面に傷をつけて、ラインが生成されなかったことで確認される。
120nm幅程度のICPラインは、60 m/sの書き込み速度が達成される。
この書き込み速度、60m/sは、ポリマーを導く現状のSPLパターンニング速度と比較して驚くほど速い。例えば、電気化学的付けペンを用いると、ペンナノリソグラフィ最大の書き込み速度は10nm/sである。
固体状態の酸化架橋に対する、このより速い書き込み速度は、以下の事実に由来する、すなわち、我々の具体例での書き込み速度は、付けペンナノリソグラフィに対する場合におけるように物質移動と基板間の相互作用に依存する先端から基板への物質移動、又は電気化学的付けペンナノリソグラフィの場合におけるように電気化学的形成の間ICPデポシションを遅くする、核形成と成長のメカニズムを通しての電極表面への物質デポシションのいずれにも決定されないからである。
接触モードAFMにおける高さ画像で認識できるラインは、60 m/sより早い書き込みによっては得られなかった。この速度制限は、固体状態での酸化架橋中に、電気活性種の電気化学の酸化カップリング用の最低必要条件の観点から説明することができる。これは、種々の実験条件、適用される電位、先端から表面の距離、前駆体ポリマーなどのチェーン移動性により影響される。
我々の期待とは別に、接触モードAFMの中で、我々の電気化学的固体状態の酸化カップリングの書き込みは、およそ2nmの平均の高さで2.5次元の特徴を提供した。
理論により制限されることなく、荷電された先端と前駆体ポリマーフィルムPN3T間の電場が、接触モードで膨潤により軟化されるポリマーフィルムを引きつけるのに十分な力である信じられている。
【0096】
接触モードの書き込み結果から引き起こされて、ポリマーサンプルに対しより軽い力を適用するよりポピュラーなモードである、タッピングモードAMFを用いた書き込みが行われている。ナノメートルサイズICPラインはタッピングモードの電気化学的酸化の架橋書き込みにより得られる(図27)。得られる最も小さなライン幅は45nmで、これは使用されるAFM先端直径のサイズに接近している(〜40nm)。
タッピングモードにおいて、高さと位相画像は同時に得られ、そして速度15 m/sと10 m/sの速度で書き込まれたナノラインの画像は、図27A(高さ)及び図27B(位相)に示される。タッピングモードECONにより書き込まれたナノラインにおいて、顕著な高さ変化は観察されなかった(図27Aと27B)、しかし、絶縁されている前駆体ポリマー、PN3Tと導電性ポリマー架橋間での明白な位相差異(図27Bと27D)が観察された。位相差異は、線形の前駆体ポリマーPN3T及び架橋されたICPネットワーク間の、物質の剛性の差に起因する。
接触モードおよびタッピングモードの電気化学の酸化架橋の結果に基づき、先端とポリマー表面の間の、距離および適用される力は、先端とポリマーフィルム間の引力を引き起こす電場を決定する重要な役割を果たす。書き込みモードの選択により、ナノスケールICP構造の2次元(タッピングモードにより得られた)、又は2.5次元(接触モードによって得られた)のいずれも得ることができる。
【0097】
ICP ナノラインの幅は、書き込み速度を制御することにより、成功裏に操作できる。
ECONの書き込み速度は、AFMプローブが前駆体ポリマーフィルムのある領域上に留まる期間を決定する、言いかえれば固体状態の酸化架橋の期間は書き込み速度により決定される。固体状態の酸化架橋の間、絶縁性前駆体ポリマー,PN3TからICO,PNP3Tへの転換は、半導電性物質の新たな生成によって増加する。図27BとDに示されたように、ICPナノラインのライン幅は、書込み速度を45 m/sと95m/sの間で操作することにより、45nmと95nmの間に制御できた。
より狭いナノラインの書き込みは、より尖ったAFM先端の使用により期待できる。電気化学的酸化のナノリソグラフィにおける書き込み速度によって、ICPライン幅コントロールは、得られるICPの導電性により特定されることは注目されるべきである。我々は、他の溶媒と基板を用いて、固体状態酸化架橋による電気化学的酸化のナノリソグラフィを研究してきたが、これまでは溶媒と基板の選択に特別の制限は見出されなかった。
溶媒の中でも、アセトニトリルとニトロメタンのような電気化学のSOCに適当なものは、これらのプロピレン炭酸塩(PC)とは多少異なる結果を与えるように用いられる、しかしながら、プロピレン炭酸塩は、書き込みとイメージ化の間乱れを少なくするその高い沸点により、最もよい結果を示す。
【0098】
実験から、ICPの真のナノメートルスケール(<100nm)の書き込みは、ECAFMを使用するナノメートルスケールでの電気化学的酸化の固体状態架橋により達成できると思われる。
接触モードおよびタッピングモードECAFMの両方はECONを行なうために使用することができる。用いるAMFプローブの直径に近い、45nmのような小さい幅のICPナノラインは、結果として小さい幅のラインが得られるより速いプローブのラスタ速さ(rastering speeds)でライン幅をコントロールすることにより得られる。
より狭いICPナノラインの書き込みは、ナノチューブ被覆先端のようなより尖った導電性AFMプローブの使用により可能となる。ECONの書き込み速度は、現在他の導電性ポリマーのナノリソグラフィより1,000倍以上速い。
まだ今のところ、基板の選択に特別の制限はなく、2次元あるいは2.5の次元のいずれの像も接触モードまたはタッピングモードを選択することによりそれぞれ生成することができる。
【0099】
[実施例12]
この実施例は、5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)(N1T)、5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3-[2,2’]-ビチオフェンアセテート)(N2T)及びターチオフェンペンダント(N3T)からなるポリノルボルネンの固体状態の酸化架橋(SOC)を決定するために行った。
研究は、結果として生ずる導電性ターチオフェン相互貫入ネットワーク(interpenetrating networks,IPN)の重合能力、動力学、及び電気化学的及び光学的性質を調べるために着手した。重合反応のスキームは図25に示されている。
一般に、これらのシステムから調製された導電性IPNは、ドーピング/脱ドーピングプロセスの間に顕著なアニオン移動によりイオンを往復させる能力を示すと考えられ、そして17から36%の範囲のドーピングレベルを有すると考えられる。N2Tは、N3Tから調製されたものと比較して、より低レベルのpからp*転移を伴うSOCを経て導電性IPNを生産すると考えられる。
【0100】
3-チオフェン酢酸、5-ノルボルネン-2-エンド,3-エンド-ジメタノール、エチルチオフェン-3-アセテート、2-(トリブチル-スタニル)チオフェン ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、重水素化されたクロロホルム(CDCl3)、及びp-トルエンスルホン酸は、オルドリッチケミカル社から購入し、そのまま使用した。
グラッブのアルキリデン触媒と鉄の(III)塩化物は、ストレムケミカル社(Strem Chemicals, Inc.)から購入され、それ以上の精製なしに使用された。テトラヒドロフラン(THF)とトルエンは、窒素雰囲気下にナトリウムとベンゾフェノン存在下で蒸留され、また塩化メチレン(CH2Cl2)とアセトニトリル(CH3CN)は、使用前に窒素雰囲気下でカルシウム水素化物(CaH2) 存在下で蒸留された。
アクロス(Acros)社から得たN-ブロモサクシニイミド(N-bromosuccinimide)(NBS)は、脱イオン化された水から再結晶し、真空乾燥した。過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)は、フィッシャーサイエンティフィク(Fisher Scientific)社から購入した70wt%過塩素酸溶液を、アクロス アルガニックス(ACROS organics) 社から購入したテトラブチルアンモニウム臭化物(TBABr)に加えて調製した。TBAPは使用の前にエタノールから再結晶した。シリカゲルはエスエアイ(SAI) 社から購入し、その粒子径は、32mmと63mmの間であった。
【0101】
1Hおよび13Cの核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ブルカー(Bruker) 400 FT-NMRスペクトロメーターを使用して記録された。
1H NMRデータは以下のように記録される:
ケミカルシフト(マルチプリシチイ:b=ブロードシグナル、s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、dd=ダブレットのダブレット、m=マルチプレット、インテグレーション)
1Hおよび13Cのケミカルシフトは、内部標準として残余のプロトン化された溶媒共鳴を使用して、テトラメチルシラン(TMS)参照からダウンフィールドのppmで報告される。
数平均分子量および多分散インデックス(PDI)は、単分散のポリスチレン基準、および紫外/可視の(UV/力)、屈折率、また蒸発の光散乱検知器を備えた、ウォターズ(Waters)150-C+ ゲルパーミエション・クロマトグラフィ (GPC) を使用して得た。熱分析は、示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)として、TAインストルメント社のDSC 2020及びHi-Res TGA 2950を使用して実行された。
【0102】
パーキン・エルマー・ラムダ(Perkin-Elmer Lambda)900 紫外(UV)-可視(Vis)-近赤外線(NIR)分光光度計を使用した、また、データはUVワインラブ( winlab)ソフトウェアを使用して記録された。ポリマー,NP2T,は、インジウム添加錫酸化物(ITO)コートを施したガラス上に、0.1MのTBAP/ACNの中10 mMのモノマー,N2Tの溶液から、スキャン速度0.1 V/sで0から1.10Vまでスキャンして電極を電気化学的に作用させて形成された。
紫外-可視-近赤外線スペクトルは、完全に酸化された状態で得られ、次いで連続してポリマーフィルムを還元した。ITOでコートされたガラスは、7mm×50mm×0.7mmの外形寸法で公称抵抗値100オームを持っており、デルタテクノロジー(Delta Technologies)社から購入された。
【0103】
紫外-可視-近赤外線の研究は、ヒドラジンでPNP2Tの連続還元について行われた。200 nm厚みのPN2Tフィルムは、1000rpmで回転コーティングによりPN2T濃度1wt%のクロロホルム溶液から、インジウム錫酸化物(ITO)コートしたガラス上に得られ、次いで、-0.2Vと1.1V(対Ag/Ag+)間でスキャンすることにより、PNP2Tに架橋された。
このPNP2Tフィルムは、十分に還元されたオレンジ色のフィルムが十分に酸化されたダークブルー色のフィルムになるまで、0.01MのFeCl3を含むアセトニトリル溶液に3分間浸漬された。このフィルムは、アセトニトリルで洗浄し、アセトニトリル中に配置された。十分に酸化された状態の紫外/可視/近赤外線スペクトルを得た、その後、続いて還元は、PNP2Tを含む溶液に0.005Mヒドラジン/アセトニトリル溶液を滴下することにより行われた。各還元工程で、フィルムは、紫外-可視-近赤外線スペクトルをとる前に5分間この溶液に入れた。このプロセスはその後数回繰り返した。フィルムは十分な還元のために最後に0.005Mのヒドラジン/アセトニトリル中に浸漬された。
【0104】
電気化学のクオーツ水晶微量天秤(EQCM)は、イオン輸送挙動を研究し、かつ架橋されたICPのドーパント・レベルを決定するために使用された。
EQCMセルは、オシレーター回路を装備したCHインストルメント400 ポテンシオスタットに接続された。両側が0.201インチ直径のキイ-電極で覆われ、7.995MHzの共振周波数で作動する磨き上げたクオーツ水晶は、インターナショナル・クリスタル・マニュファクチュアイング社(International Crystal Manufacturing)から購入された。
下層が100オングストロームのクロムでコートされた1000オングストロームの金からなるこのキイ-電極は、溶液から遠ざけて密閉された電気的な接触のための鉛板に半田付けされた。1枚の1cm2プラチナ・フラグは、対極として使用され、また非水性のAg/Ag+(0.456V対NHE)は、参照電極として使用された。EQCM研究は、すべて0.1MのTBAP/CH3CN電解質溶液を使用して行なわれた。
【0105】
5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)(N1T)の調製
真空乾燥と窒素パージし、ディーン-スタークトラップを備えた、250mlの3つ口丸底フラスコに、1.46g(9.5 mmol)の5-ノルボルネン-2-エンド,3-エンド-ジメタノールを加えた。120mlのトルエンを窒素雰囲気下で加え、続いて、2.84g(20mmolの3-チオフェン酢酸と160mgのp-トルエンスルホン酸を加えられた。
3つの固体は、10分後に完全に溶かされた、そして溶液は6時間還流され、その間ディーン-スタークトラップの下層が採取された(合計80ml)。反応混合液は室温にめで冷却され、水(50ml)で洗浄され、エーテル(3×50ml)で抽出された。有機部分は分離され、ブラインで洗浄され、無水硫酸ナトリウム上で乾燥され、ろ過されて、そしてその後溶媒は真空下で除去された。
得られた黄色の油は、5mlの CH2Cl2に溶解され、そしてカラムクロマトグラフィーは、溶離剤としてCH2Cl2/MeOH(98:2)を備えたシリカゲルを使用して実行され、淡黄色の油として目的の製品2.90g(75%)を得た。
1H-NMR(CDCl3): 7.26 (dd, 2H), 7.14 (d, 2H), 7.04 (dd, 2H), 6.10 (s, 2H), 3.90 (dd, 2H), 3.78 (s, 2H), 3.63(s, 4H), 2.82 (s, 2H), 2.49 (m, 2H), 1.48 (d, 1H), 1.29 (d, 1H)
13C-NMR (CDCl3): 36.30, 40.83, 45.75, 49.32, 65.33, 123.19, 126.10, 126.20, 128.77, 133.90, 135.71, 171.24.
FTIR: 3100 及び 3040 cm-1 (芳香族性でビニル基の C-Hストレッチング), 2967 and 2873 cm-1 (脂肪族のC-H ストレッチング), 1734 cm-1 (エステル C=O ストレッチング), 1259 cm-1 (エステル C-C-Oストレッチング)
【0106】
エチル2-ブロモチオフェン-3-アセタートの調製
50mlのCHCl3及び50mlの氷酢酸を含んでいる250mlの3つ口フラスコに、9.5グラム(0.0558mol)のエチルチオフェン-3-酢酸塩を加え、続いて9.93グラム(0.0558mol)のNBSを加えた。その混合物は、室温で12時間撹拌された。その混合物は1時間後に明瞭な黄色の溶液になり、次に室温まで冷やし、そして200mlの脱イオン化された(DI)水の中に注がれた。
有機部分は、100mlのDI水で再度洗浄し、そして5%の重炭酸ナトリウム水溶液で最後に洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥した後に、溶媒はろ過され、そして生成物は真空下で濃縮された。得られた残留物は、1mmの水銀(Hg)の下95℃で真空蒸留され、12.3グラムのエチル2-ブロモチオフェン-3-酢酸塩を得た(収率88%)。
1H NMR (CDCl3): 1.26 (t, 3H), 3.60 (s, 2H), 4.16 (q, 2H), 6.93 (d, 1H), 7.22 (d, 1H)
【0107】
エチル(2、2'-ビチオフェン) -3-アセテートの調製
ジクロロビス-(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.20g)を含有している50mlの乾燥THFを含む250mlの3つ口丸底フラスコに、8.5グラム(34 mmol)の2-ブロモチオフェン-3-酢酸塩を80mlの乾燥THFに溶解した溶液を注入した。
この混合物を24時間還流した。溶剤を真空下で除去し、残留物はCH2Cl2(100ml)に溶解した。溶液は、水(100ml×3)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶剤は蒸発させ、また、残留物は溶離剤としてトルエンを備えた珪酸を使用して、カラムクロマトグラフィーによって浄化された。
合計で5.9グラムのエチル(2、2'-ビスチオフェン)-3-アセテートを69%の収率でクリアオイルとして得られた。
1H-NMR (CDCl3): 7.33 (dd, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.19 (dd, 1H), 7.08 (dd, 1H), 7.05(d, 1H), 4.17 (q, 2H), 3.75 (s, 2H), 1.27 (t, 3H)
【0108】
(2,2’-ビスチオフェン)-3-酢酸の調製
500 mlのフラスコに、50mlのメタノールに溶解している5.5 g(22 mmol)のエチル(2,2’-ビスチオフェン)-3-アセテートを添加し、続いて15%過酸化ナトリウム水溶液200mlを加えた。その溶液は3時間還流された。
混合物を室温まで冷却した後に、溶液はロータリエバポレータを使用して、メタノール除去によって濃縮された。水溶液はジエチルエーテルで洗われ、次に、沈殿が生じるようにHClでpH 1まで酸性化された。
白色沈殿物は、CH2Cl2(150ml×3)に溶解し、そして有機部分を回収した。硫酸マグネシウム上で乾燥した後に、クロロホルムはロータリエバポレータを使用して除去された。4.7gの白色固体が96%の収率で得られた。
1H-NMR (CDCl3): 7.34 (dd, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.18 (dd, 1H), 7.08 (dd, 1H), 7.06 (d, 1H), 3.80 (s, 2H).
【0109】
5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3-[2,2’]-ビチオフェンアセテート,(N2T)の調製、
真空乾燥と窒素パージし、そしてディーン-スタークトラップを備えた、250mlの3つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で2.46グラム(11 mmol)の(2,2’-ビチオフェン)-3-酢酸、0.81グラム(5.2 mmol)の5-ノルボルネン-2-エンド,3-エンド-ジメタノール、及び100mlのトルエンを添加し、続いて84mgのp-トルエンスルホン酸を加えた。
3つの固体は10分後に完全に溶解した、そしてこの溶液を6時間還流した、この間、ディーン-スタークトラップの底層を時々空にした(全部で60mlの溶液を採取した)。反応混合物を室温まで冷却し、水(50ml)で洗浄し、そして生成物をエーテルで抽出した。有機物を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、ろ過し、そしてその後溶媒は真空下で除去した。得られた黄色オイルを、シリカゲルと溶離剤として酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーで純化し、1.4グラムの目的物をクリアオイルとして得た。
その収率は48%だった。
1H-NMR (CDCl3): 7.32 (dd, 2H), 7.22 (d, 2H), 7.18 (dd, 2H), 7.07 (dd, 2H), 7.04 (d, 2H), 6.08 (s, 2H), 3.79 (m, 2H), 3.84 (m, 2H), 3.74 (s, 4H), 2.79 (s, 2H), 2.42 (m, 2H), 1.46 (d, 1H), 1.27 (d, 1H)
13C NMR (CDCl3): 35.34, 40.95, 45.85, 49.42, 53.86, 65.52, 124.92, 126.57, 127.30, 128.11, 130.60, 130.73, 133.73, 135.52, 135.84, 171.11
FTIR: 3100 及び 3062 cm-1 (芳香族性でビニル基の C-H ストレッチング); 2967 及び 2868 cm-1 (脂肪族の C-H ストレッチング); 1734cm-1 (エステル C=O ストレッチh); 1259 cm-1 (エステル C-C-O ストレッチング).
【0110】
ポリ[5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレンチオフェンアセテート)](PN1T)の調製
N1T(1.33g、3.30mmol)を含む乾燥CH2Cl2(10ml)溶液をカニューラ(cannular)を通して、予め真空乾燥と窒素パージして、窒素雰囲気下に18mgのグラッブアルキリデン触媒(0.02 mmol)と5mlのCH2Cl2を含む100mlのシュレンクフラスコへ移送した。混合物は30分間撹拌し、3 mlのエチルビニルエーテルの添加により、不可逆的に停止した。この溶液を真空下に濃縮した。ポリマーはペンタン(300 ml)中で3度沈殿させ、ろ過後、真空下に乾燥して0.98g(収率75%)のゴム状のポリマーを得た。数平均分子量は65,000g/モル(PDI=1.28)であると決定された。
1H-NMR (CDCl3): 7.24 (b, 2H), 7.10 (b, 2H), 7.00 (b, 2H), 5.28 (s, 2H), 4.00 (b, 4H), 3.56 (s, 4H), 2.62 (b, 2H), 2.36 (b, 2H), 1.90 (b, 1H), 1.27 (b, 1H)
【0111】
ポリ[5-ノルボルネン-エンド-2,3-ビス(メチレン-3-[2,2’]-ビチオフェンアセテート)], (PN2T)の調製、
PN2Tは、PN1Tに記載したと同様の方法で、N2Tから94%の収率で重合された
数平均分子量は1.14のPDIで26,400g/molであると決定された。
1H-NMR (CDCl3): 7.19 (b, 2H), 7.06 (b, 4H), 6.91 (b, 4H), 5.13 (s, 2H), 3.93 (b, 4H), 3.60 (s, 4H), 2.45 (b, 2H), 2.21 (b, 2H), 1.78 (b, 1H), 1.20 (b, 1H)
13C-NMR (CDCl3): 35.16, 44.49, 44.52, 63.68, 124.81, 126.44, 127.10, 128.10, 130.39, 130.60, 133.62, 135.33, 171.00
FTIR: 3105 and 3065 cm-1(芳香族性でビニル基の C-H ストレッチング); 2954 and 2863 cm-1 (脂肪族の C-H ストレッチング); 1731cm-1 (エステル C=O ストレッチstretch); 1244 cm-1 (エステル C-C-O ストレッチング).
【0112】
すべての電気化学実験は、2mmの直径プラチナ(ボタン)作用電極、1cm2のプラチナ・フラグ・対極、及び非水性のAg/0.01M Ag+(0.1MのTBAP を含むCH3CN中銀ワイヤー)参照電極を使用して、従来の3-電極セルの中で実行された。
参照電極は、20mM(ミリモル)のフェロセン標準溶液を使用して、標準の水素電極(SHE)に対し0.456Vになるように調整された。
前駆体ポリマーの固体状態での電気化学的重合はモノマーなしの0.1MのTBAP/CH3CN電解質溶液で行い、エレクトロプレシピテーション(electroprecipitation)技術により電気化学的重合は、TBAP/CH3CN中10mMのモノマー濃度を用いて行われた。
ボタン作用電極上での導電性ポリマーの電気化学的特長は、CH3CNでポリマーを洗浄した後、モノマーなしの電解質溶液中で行われた。
【0113】
重合収率、数平均分子量、及びPN1T、PN2TおよびPN3Tに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から導かれた多分散インデックス(PDI)は、表1に記載されている。
PN1T、PN2TおよびPN3Tは、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトンおよびトルエンのような多くの通常の有機的溶剤に容易に溶解する。我々の電気化学の研究の溶剤であるアセトニトリルにおいて、ポリマーは、PN3Tに対し8容積パーセント、及びPN2Tに対し10容積パーセントそれぞれ計算された量膨潤する。
【表1】

【0114】
モノマー、N1TおよびN2Tの電気化学的重合は、サイクルボルタメトリィによって0.1MのTBAP/ACNの中の10 mM溶液から試みられた。
N1Tの電気化学的重合は成功しなかった。
図15Aは、0.1MのTBAP/ACN中の10mM N2Tの溶液からのNP2Tの生成が表されている。電位は、100mV/sの割合で-0.2Vから開始して、陽極のスキャニング(anodically, scanning) がされた。
0.81V対Ag/Ag+非水性の参照電極で、1.1Vに酸化の拡散律速のピーク電流を有するビチオフェンからビチオフェンラジカルカチオンの酸化が開始された。0.81V以上の電位では、作用電極表面上にNP2Tの濃青色固体の沈殿が観察され、重合が進行する。
陰極のスキャニングに際して酸化されたNP2Tから中性のNP2Tへの還元に起因する、0.56Vにピーク電流が生ずる。2回目の陽極のスキャニングは、NP2Tの酸化に起因する0.51Vでの酸化の開始を示した。この酸化がモノマーより低い電位で生じるので、NP2Tがスタートするモノマー、N2Tよりより高度の結合がされていることが結論できる。スキャンサイクルの関数として、0.56Vでの陰極電流及び0.81Vでの陽極電流の増加は、電極表面にN2Tの追加重合が生じることを示す更なる電気活性種を示唆する。
【0115】
N2Tの重合の後に、一般的な構造NP2Tのポリマーでコートされた電極は、アセトニトリルで洗われ、電気化学的プロセスを分離するためにモノマーなしの0.1MのTBAP/ACN溶液に入れられた。
図15Bは、100mV/sのスキャン割合でNP2Tで得られたサイクル ボルタモグラム(voltammogram)を示す。図15Bによって示されるように、ポリマーの半波長還元電位は、0.56Vである。
【0116】
電気化学的重合、イオン輸送、及び得られる導電性のポリマーのドーピングは電気化学的クオーツ水晶微量天秤(EQCM)を使用して研究された。
図16Aは、0.1MのTBAP/ACNの中のN3Tの一定電位の電気化学的重合で得られたクロノクーロメトリィ(chronocoulometry)及び電流クロノグラビメトリィ(chronogravimetry)を示す。0.9Vの適用で、多量の結合した過塩素酸塩対イオンに加えて、正に荷電されたNP3Tに起因して、その重量は増加する。
1秒の終わりに、電位は0Vまで変化し、ここで、ポリマーは中性の形に還元され、そして水晶上の重量損失は、ポリマーからの陰イオンの圧倒的な移送により生じる。
還元の間に移送された陰イオンの割合は、次の式から計算された。
Mfinal=Minitial −Xan・Man+ (Q/F-Xan)Mcat-------------式(1)
ここで、MinitialとMfinalは、それぞれ最初の1秒間の終わりでの酸化された状態で形成されたポリマーNP3Tの質量、及び還元後の中性ポリマーの質量を示す。
ManとMcatは、それぞれアニオン(ClO4-イオン)及びカチオン(Bu4N+イオン)のモル重量である。Qは還元の間パスした電荷であり、Fはファラデイ定数であり、Xanは移動したアニオンのモル数である。NP3Tのドーピング/脱ドーピングの挙動は、図16Bに示されるように、4秒のパルス(>10回)における0.9Vと0Vの間の電位をステップすることにより研究された。
酸化と還元でのフィルムを出入りするイオンの移動は、97%の陰イオンドミナントで、チオフェン繰り返し単位のモル数に対する電子が除去されるホールとの比として計算されるドーピングレベルは、35%であることが分かった。
同様のイオン移動の挙動は、N2Tの電気化学的重合、及び結果として得られる導電性ポリマーの酸化還元切り替えの間同様に観察された。
【0117】
従来の電気的重合(electropolymerization)によって調製されたNP2Tの光学的性質も研究された。
図17は、ACN中で5mMのヒドラジンを使用して、化学還元でのNP2Tの紫外-可視-近赤外線スペクトルを示す。
最初に、ITOでコートされたガラス上の十分に酸化されたNP2Tフィルムの紫外-可視-近赤外線スペクトルは、1.0Vの適用によって得られた。
πからバイポラロンへの転移に起因する1200nmでの吸収ピークが得られた。
その後、酸化されたNP2Tは、5mMのヒドラジン/CANをNP2Tフィルムを含むACN溶液中に滴下して連続的に還元された。
5mMのヒドラジン溶液の9mgの添加で、1200nmの吸収が著しく縮小し、そしてより低いエネルギーπからバイポラロンへの転移に起因する800 nm での新しいピークが生じた。更にヒドラジン溶液を滴下すると、1200nmのピークは消失した、一方、ポリチオフェンのπからπへの転移に起因する400nmでの吸収はより明白になった。ACN中の5mMのヒドラジン45mgの添加後に、NP2Tは約400nmに単一の吸収を有し、そして約605nm(2.05eV)でπからπへの転移が開始して、十分に減少した。
【0118】
PN1TとPN2Tの電気化学的SOCは、0.1MのTBAP/CH3CN電解質溶液で試みられた。
図18Aは、サイクリックボルタメトリィを使用して行われたPN2Tの電気化学的SOCを示す。前駆体ポリマー,PN2Tは、Pt作用電極上にTBAP/ACN 中の1wt%溶液としてコートされた、そしてその後0.1MのTBAP/CAN中に置かれた。
PN2Tは、電解質溶液に可溶ではなかった、そしてこの不溶性は、1時間後にPN2Tのフィルムを含む溶液の紫外-可視スペクトルを測定することにより確認されたことに注目すべきである。SOCの間、唯一の電気化学的に重合することができるモノマーは、現在、PN2Tに結合したペンダントビチオフェンであり、これは電極の表面に限定される。架橋実験は、-0.2Vの電位で開始し、50mV/sのスキャン速度で陽極の方向へスキャンした。
図18Aの中で示されるように、1.00Vの電位にピークが結果的にある酸化が0.81Vで開始した。陰極のスキャンニングに際して、還元ピークは、およそ0.67Vの電位で観察される、これは導電性ポリチオフェンの還元に起因する。
陽極方向への2回目のエクスカーションで、およそ0.31Vで生ずる酸化の開始がある、これは、PN2T内で結合されたポリチオフェン架橋単位の酸化に起因する。
【0119】
陽極方向へのさらなるスキャニングは、殆どのビチオフェン単位が消費されることを示す、1.00Vで陽極電流感度において著しい還元を示す。逆方向へのスキャンニングは、結合したポリマーのこれ以上の生成を示さない第1のスキャンのそれと等価な電流感度で陰極のプロセスを引き起こす。結合した、導電性ポリマーを製造する酸化のカップリングは、最初の酸化サイクルで完全であった。
ポリマーの色の観察から、PN2Tの最初に透明なフィルムが0.82V以上のエックスカーションで紺色に変化したので、カップリングが行われたことは明らかである。
【0120】
図18Bは、PN2Tの固体状態の架橋後に得られたPNP2Tのサイクルボルタメトリィを示す。PNP2Tの酸化ピークが0.64Vに生じて、還元ピークがおよそ0.67 Vで生じることは注目されるべきである。図19は、スキャン速度が50、75、100、125、150及び175mV/sに応じたPNP2Tの電流感度を示す。スキャン速度に関してピーク電流の直線的な増加は、ポリマーが電極表面に付着されていることを示す。
PN2Tと同一の条件の下で行われたPN1TのSOCは、多分生成したポリチオフェンの過剰酸化により成功しなかった。このことは、サイクリックボルタメトリィにおいて、明らかとなる後の還元なしにチオフェンの不可逆酸化があったことは明確である。
【0121】
図20Aは、PN3Tの定電位電気化学的SOCのためのクロノクーロメトリィ(chronocoulometry)及び同時クロノグラビメトリィ(chronogravimetry)である。PN3Tは、金のキー電極上にQCMによる測定でおよそ2.00μg(マイクログラム)コートされた、そして0.1MのTBAP/CAN溶液で満たされたEQCMセルに置かれた。
PN3TのSOCは、0.9V(vs. Ag/Ag+)の一定電位、PN3Tの酸化ピーク電位で行われた。30秒の後に、0.0Vが適用された。酸化と還元の各ステップは30秒であった、それはイオン移動の平衡到達に十分な時間を与えるのに足りるものであった。
電位性(0.9V)が適用されると直ちに、PN3Tの酸化の架橋は、ターチオフェンペンダント単位上で発生した正電荷を償うためにポリマー・マトリックス中に陰イオンをとって開始される。その結果、対イオンが移動してきてポリマーの質量は増加する、しかしながら、約3秒後に安定状態に到達して、ターチオフェンの消費は完結したことを示す。言いかえれば、架橋反応は3秒以内に終了する。
この期間、ターチオフェン単位の酸化の生成に起因する正電荷を補うために陰イオンの取り込み、及びそれで導電性ポリマーPNP3Tが得られる結果として、主に781ナノグラム(ナノグラム)の質量増加が観察された。
ポリマーPNP3Tが還元される電位-0.2Vに切り替えることで、質量は1秒以内に急激に減少し、それから安定した質量を維持した。これは、ポリマーが還元される一方、陰イオンの閉じ込めが瞬間的に起こったことを示す。この脱ドーピング中に、389ngの質量は、イオン移動の結果減少した、これはポリマーフィルムから陰イオンが移動して、ポリマーフィルム中の陽イオンと結合する組み合わせである。
固体状態の酸化架橋の間に移動する、陰イオンと陽イオンの比率は、式(1)によると92:8になると計算され、これは高い陰イオン優勢である。PNP3Tのドーピング/脱ドーピング挙動は、また6秒(>10回)のパルス幅で0.9Vと-0.2Vの間の電位をステッピングすることにより研究された。
その結果は、図20Bに示される。
PNP3Tをうまく交替し、そしてイオン移動比率は同様に陰イオン優勢(89%)になると計算された、そして電極上に形成されるチオフェン繰り返し単位のモル数に対する電子のモルの比として掲載されるドーピングレベルは36%になることが分かった。
【0122】
図21Aは、0.1MのTBAP/CH3CN溶液で満たされたEQCMセル内に置かれた金のキー電極上にコートされた3.57μgのPN2Tに定電位を適用することにより、PN2Tの電気化学的SOCの間の電荷と質量の変化を示す。
PN2TからPNP2Tへの架橋は、PN2Tの酸化のピーク電位(図7A)である1.0V(vs. Ag/Ag+)の定電位を6秒間適用し、続いて-0.2Vで6秒間、架橋された導電性ポリマーの還元を適用することにより実行された。固体状態の酸化架橋中に輸送された陰イオンと陽イオンのパーセント比率は、式(1)によって89%の陰イオン優勢になると計算された。
PNP2Tのドーピング/脱ドーピングの挙動も、6秒のパルス(>10回)中で0.9Vと-0.2Vの間の電位をステッピングすることにより研究された。
結果は、図21Bに示される。イオン輸送比率は、同様の陰イオン優勢(93%)になると計算された、そして電極上に形成されたチオフェン繰り返し単位のモル数に対するホール(holes)のモルの比率として計算されたドーピングレベルは、17%であると分かった。
【0123】
図22は、紫外-可視-近赤外線スペクトロスコピーを使用して、連続してPNP2Tフィルムを化学的に還元することにより得られたPNP2Tの光学的性質を表す。
ITOガラス上に回転コートされたPN2Tフィルムは、サイクリックボルタメトリィにより電気化学的SOCによってPNP2Tに変換された。酸化された状態で得られたPNP2Tフィルムは、ACN中の5mMのヒドラジンで連続的に還元された。
十分に酸化された状態でのスペクトルは、780nm(1.59eV)及び1510nm(0.82eV)に2つのピークを示すが、これは原子価バンド(the valence band)から第1と第2のバイポラロンバンド(bipolaron bands)への転移に起因する。化学還元剤(ACN中の5mMのヒドラジン)の滴下で、バイポラロン転移に対する原子化吸光度の減少、及びπ*転移に対する原子価用吸光度の増加が生じて、ポリマーは、連続的に還元される。
PNP2Tは、十分に還元された状態で、2.79eV(445nm)にピークを持っていておよそ2.10eV(588nm)のバンドギャップ(band gap)を示す。
【0124】
3つの前駆体ポリマー、PN1T、PN2TおよびPN3Tのガラス転移推移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を使用して研究された。図23は、これらの3つの前駆体ポリマーのDSC結果を示す。
これらのサンプルは100℃まで加熱され、直ちにこれらが-50℃に達するまで液体窒素を使用して急冷された、次に、DSC分析は、10℃/分のスキャン速度で加熱することにより実行された。図23に示されるように、PN1T、PN2T及びPN3TのTgは、それぞれ21℃、34℃及び80℃であった。より芳香性の部分がフレキシブルなポリノルボルネンの骨格に結合しているので、前駆体ポリマーのガラス転移温度は増加する。
これらの前駆体ポリマーが高度に非結晶質であることを示す、融点は観察されなかった。前駆体ポリマーの熱安定も熱重量分析(TGA)を使用して研究された。
図24は、PN3TとPNP3TのTGA結果を示す。前駆体ポリマー(PN3T)の熱の安定は、特に高温でSOCによって著しく増加させられた。PN3TとPNP3Tの5%重量減少温度はそれぞれ、293℃、332℃、及び50%重量減少温度はそれぞれ355℃と507℃であった。
【0125】
理論に制限されないで、ペンダント複素環式化合物のサイズとして増加した3つのプレポリマーのガラス転移温度がDSC測定で増加し、そしてPNP2Tの場合に、SOCを経ることにより自由体積の縮小によってガラス転移温度は、PN2Tのそれより高温にシフトした、と信じられる。PNP3Tの熱安定性は、SOCを経ることによるネットワーク構造の生成がポリマーの熱の安定性を増加することを示して、PN3Tの熱安定性より高かった。
【0126】
前述の例から、チオフェンベースのモノマー,N1Tは、高い酸化電位が原因でいずれの方法によっても重合されなかったことは理解される、しかしながら、ビ-及びター-チオフェン系、N2T及びN3Tは、双方の技術によって重合され、また、SOC技術は、従来のエレクトロプレシピィテーション(electroprecipitation)のそれより長い結合長を与える。従って、より高いオリゴマー単位からのポリチオフェンは、エレクトロプレシピィテーション及び固体状態の架橋の双方における、より低いオリゴマーの単位のそれより低い結合度を与える。
【0127】
2つの異なる方法,エレクトロプレシピィテーション及びSOCにおいて、ポリチオフェンのイオン輸送挙動は、エレクトロプレシピィテーションからポリチオフェンのそれと同様の挙動を示す。PNP3Tのドーピングレベルは36%(3つのチオフェン環に対し1電荷)及びPNP2Tは、17%(6つのチオフェン環に対し1電荷)であった。
これらの結果はすべて、ネットワークを互いに組み込む(interpenetrating)導電性のポリマーは、従来の電気化学的重合によって調製された導電性のポリマーが用いられる適用に対して使用可能であることを示している。
【0128】
[実施例13]
次の例は、固体状態の酸化架橋がポリマー前駆体コンポジット(コンポジットは導電性又は絶縁性フィラーを含む前駆体ポリマーとして定義される)に有用であることを実証する。10wt%のバッキィボール及びPN3Tを含む前駆体コンポジットは、酸化的固体状態の架橋にさらされた。
その操作は以下の通りであった。
【0129】
バッキィボール−PN3T溶液は、1mgのフラーレンを、9mgのPN3Tを含む1ml のCHCl3中に添加して調製した。その混合物は、バッキィボールを分散させるために30秒間超音波で処理された。その溶液は、45℃の温度で保持された、インジウム錫酸化物(ITO)でコートされたガラススライド上に注がれた。
フィルムは、5分間乾かされ、その後、50mV/sのスキャン速度で0Vと1.0V(vs. Ag/Ag+)の間の電位の適用によるサイクリックボルタメトリィ(3サイクル)を使用して、固体状態の電気化学的酸化架橋を0.1M TBAP/ACNの中で行った。
サイクリックなボルタモグラム(図示しない)は、架橋プロセスであることを示した。
【0130】
第2の例において、電気的に絶縁性であるガラスのビーズを7.4 wt%(前駆体コンポジットの質量ベースで)含む前駆体コンポジットを酸化的固体状態の架橋にさらされた。その操作は以下の通りであった。
【0131】
PN3T溶液への7.4 wt%ガラスビーズの配合は、0.8mgのガラスビーズを10mg のPN3Tを含むCHCl3 1mlに添加することにより調製された。
その溶液を45℃で保持されたインジウムでドープされた錫酸化物でコートしたガラススライド上に注がれた。フィルムを5分間乾燥し、続いて、電気化学的酸化の固体状態架橋は50mV/sのスキャン速度で0Vと1.0V(vs. Ag/Ag+)の間の電位スキャンを適用する、サイクリックなボルタメトリィ(3サイクル)を使用して、0.1M TBAP/ACNの中で実行された。
得られたコンポジットCVは、100mV/sのスキャン速度で、0Vと0.95V(vs. Ag/Ag+)の間の適用によってサイクリックなボルタメトリィ(4サイクル)を使用して、0.1M TBAP/ACNの中で実行された。サイクリックなボルタメトリィ(図示せず)は、固体状態の酸化架橋の発生に一致していた。
【0132】
本発明は典型的な具体例に関して記述されている、一方、種々の変更を行いうることは当業者により理解されることである、また均等は本発明の範囲を逸脱することなく、それらの中の要素で代用することができる。
さらに、多くの修正(モディフィケション)がそれの本質的な範囲を逸脱せずに、本発明の教えに特別の状況か要素(マテリアル)を適応させてなされるかもしれない。したがって、本発明を行なうために検討されたベストモードとして開示された特別の具体例に本発明が制限されず、本発明は、添付された請求項の範囲内に収まるすべての具体例を含む。
【産業上の利用可能性】
【0133】
この方法で製造されたものは、上述したように、例えば、帯電防止衣類、帯電防止の床覆い、コンピューター中のコンポーネント、そして一般に、金属導電体の代換物、あるいは半導体、そのような特定の適用を含んでいること、例えば、バッテリー、燃料電池、太陽光発電、静電気の消費、及び電磁気遮蔽が挙げられる。更に、それらは、電子機器に対する静電気防止包装物、又は航空宇宙への適用およびバイオ医学の装置を含む、コンピューターおよび他の高感度機器に対する電磁気の妨害保護物として使用されてもよい。
他の適用は、トランジスター、コンデンサー、回路類用ワイヤー、インターネットテクノロジー、発光ダイオードのためのホールトランスポート層、発光ダイオードで使用される発光剤、光学的に透明な導体/電極として、光学格子、またエレクトロクロッミクなウィンドウあるいはエレクトロクロッミクなディスプレイがある。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1Aは基板の表面に形成された架橋された本質的に導電性のポリマー(ICP)を示す概略図であり、一方、図1Bは基板の中に埋め込まれた表面に形成された架橋されたICPを示す概略図である。
【図2】図2は、未架橋ICP前駆体が溶出した後に、架橋されたICPの表面から出現するICPナノ構造体(すなわち、ナノワイヤー)を示す概略図である。架橋されたICPナノ構造体から出現している波線は、部分的にのみ架橋され、そしてナノ構造体に共有結合している前駆体ポリマーの一部である。
【図3】図3は、ビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーを合成するのに利用できる反応図式を示す。
【図4】図4は、ビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーを架橋してICPにするのに利用できる反応図式を示す。
【図5】図5は、架橋前のビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーの紫外−可視スペクトルのグラフ表示である。
【図6】図6は、架橋後のビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーの紫外−可視スペクトルのグラフ表示である。
【図7】図7は、ビス(ターチエニル)ノルボルニレンモノマーを電気化学的に酸化してポリ(チオフェン)にするのに利用できるサイクリック ボルタメトリィのグラフ表示である。
【図8】図8は、基板上に形成されたICP前駆体フィルムを選択的に架橋する一方法を示す。ここで、基板はその上に形成される導電性パターンを有している。
【図9】図9は、導線が接続されている金ライン上のICP前駆体のみの選択的架橋を示す。
【図10】図10は、電極が基板が形成される面と対向するフィルム面と接触していることにより基板上に配置されたICP前駆体フィルムの少なくとも一部を選択的に架橋する一方法を示す。
【図11】図11は、シリコンウエファ上に形成された白金ラインを有するシリコンウエファ上に形成されたICP前駆体フィルムのナノパターンニングに利用できるサイクリックボルタメトリィのグラフ表示である。
【図12】図12は、外部作用電極として電気化学的AFM先端を用いて架橋されているICPの2マイクロメートルの原子間力顕微鏡画像である。
【図13】図13は、外部作用電極として電気化学的AFMチップを用いて架橋されたICPの2マイクロメートルラインの断面のグラフ表示である。
【図14】図14は、外部電極として電気化学的AFM先端を用いて、ICP前駆体フィルムの表面に描かれたラインの原子間力顕微鏡画像である。
【図15】図15Aは、0.1 Mの過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)/アセトニトリル(ACN)中の10mMの溶液からNP2Tの生成を示す。図15Bは、100mV/sのスキャン速度でNP2Tを得るためのサイクリックボルタメトリィを示すグラフ表示である。
【図16】図16Aは、0.1 M TBAP/CAN中でN3Tの定電圧電気化学的重合で得られるクロノクーロメトリィ(時間電量分析)と同時クロノグラビメトリ(時間重量分析)を示すグラフ表示である。 図16Bは、4秒のパルスで0.9Vと0V間の電位を経ることにより、NP3Tのドーピング/脱ドーピングを示すグラフ表示である。
【図17】図17は、CAN中の5mMヒドラジンを用いて化学的還元によりNP2Tの紫外対NIRスペクトルを示すグラフ表示である。
【図18】図18Aは、サイクリックボルタメトリィを用いて形成されるPN2Tの電気化学的な固体状態の酸化的架橋(SOC)を示すグラフ表示である。図18Bは、PN2Tの固体状態の架橋後に得られるPNP2Tのサイクリックボルタメトリィを示すグラフ表示である。
【図19】図19は、スキャン速度が50,75,100,125,150及び175 mV/sでの作用としてPNP2Tの電流応答を示すグラフ表示である。
【図20】図20Aは、PN3Tの定電圧電気化学的SOCに対するクロノクーロメトリィと同時クロノグラビメトリィ示すグラフ表示である。図20Bは、6秒のパルス幅で0.9Vと-0.2Vの間の電位を経ることにより決定されたPNP3Tのドーピング/脱ドーピング性質のグラフ表示である。
【図21】図21Aは、定電位の適用によりPN2Tの電気化学的SOCの期間に電荷と質量変化を示すグラフ表示である。図21Bは、6秒のパルスで0.9Vと-0.2Vの間の電位を経ることにより決定されたPNP2Tのドーピング/脱ドーピング性質のグラフ表示である。
【図22】図22は、PNP2Tフィルムを化学的に連続して還元することにより、紫外対NIRスペクトルを用いて得られるPNP2Tの光学的性質を示すグラフ表示である。
【図23】図23は、示差走査熱量計(DSC)で決定される、3つの前駆体ポリマーPN1T,PN2T,そしてPN3Tのガラス転移温度(Tg)を示すグラフ表示である。
【図24】図24は、PN3TとPNP3TのTGA結果を示すグラフ表示である。
【図25】図25は、N1T,N2T,そしてN3TからそれぞれPN1T,PN2T及びPN3Tに変化する反応を示す概略図である。
【図26】図26は、接触モードPN3Tの電気化学的酸化架橋によって形成されたPNP3TのICPナノラインの高さイメージを示す顕微鏡写真図である。
【図27】図27A、B、C、Dは、PN3Tのタッピングモード電気化学的酸化架橋によって形成されたPNP3TのICPナノラインの高さ(それぞれAとCおよびフェーズBとD)画像を示す顕微鏡写真図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体状態、膨潤状態、又はこれらの少なくとも一からなる組み合わせの状態において本質的に導電性のポリマー前駆体の一部を架橋することからなり、ここで、当該膨潤状態が本質的に導電性のポリマー前駆体が溶剤に完全に溶解することなく、溶剤にさらされて容積が増加する状態であることで特徴づけられる、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記本質的に導電性のポリマーがポリ(アニリン)、置換されたポリ(アニリン)、ポリ(ピロール)、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(p-フェニレン ビニレン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジチアチオフェン)、ポリ(イサチアナフテン)、ポリ(ピリドチオフェン)、ポリ(ピリジノチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシピロール)、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(p-フェニレン)、ポリ(チオナフテン)、ポリ(ベンゾフラン)、ポリ(インドール)、ポリ(ジベンゾチオフェン)、ポリ(ジベンゾフラン)、ポリ(カルバゾール)、ポリ(ビチオフェン)、ポリ(ビフラン)、ポリ(ビピロール)、ポリ(チエノチオフェン)、ポリ(チエノフラン)、ポリ(チエノピロール)、ポリ(フラニルピリール)、ポリ(フラニルフラン)、ポリ(ピロリルピリール)、ポリ(ターチオフェン)、ポリ(ターフラン)、ポリ(ターピロール)、ポリ(ジチエノチオフェン)、ポリ(ジフラニルチオフェン)、ポリ(ジピロリルチオフェン)、ポリ(ジチエノフラン)、ポリ(ジピロリルフラン)、ポリ(ジピロリルピロール)、ポリ(フェニルアセチレン)、ポリ(ビインドール)、ポリ(ジチエノビニレン)、ポリ(ジフラニルビニレン)、ポリ(ジピロリルビニレン)、ポリ(1,2,-トランス(3,4-エチレンジオキシチエニル)ビニレン)、ポリ(1,2,-トランス(3,4-エチレンジオキシフラニル)ビニレン)、ポリ(1,2,-トランス(3,4-エチレンジオキシピロリル)ビニレン)、ポリ(ビス−チエニルアリレン)とポリ(ビス−ピロリルアリレン)、ポリ(ビス(3,4-エチレンジオキシチエニル)アリレン)、ポリ(ジチエニルシクロペンテノン)、ポリ(キノリン)、ポリ(チアゾール)、ポリ(フルオレン)、ポリ(アズレン)、ポリ(2-置換チエノ[3,4,-b]チオフェン)、ポリ(6-置換チエノ[3,4,-b]チオフェン)、又は前記本質的に導電性のポリマーの少なくとも一からなる組み合わせである、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記本質的に導電性のポリマーが非導電性のポリマーと共重合されており、そして当該非導電性のポリマーが、ポリアセタール、ポリアクリリック、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルクロライド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾノフェノチアジン、ポリベンゾチアゾール、ポリピラジノキィノキサリン、ポリピロメリトイミド、ポリキノキサリン、ポリベンズイミダゾール、ポリオキシインドール、ポリオキソインドリン、ポリジオキソイソインドリン、ポリトリアジン、ポリピリダジン、ポリピペラジン、ポリピリジン、ポリピペリディン、ポリトリアゾール、ポリピラゾール、ポリピロリディン、ポリカーボラン、ポリオキサビシクロノナン、ポリジベンゾフラン、ポリフタリド、ポリアセタール、ポリアンハイドライド、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオテール、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリビニルハライド、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホネート、ポリスルフィド、ポリチオエステル、ポリスルホン、ポリスルホンアミド、ポリユリア、ポリフォスファジン、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリオレフィン、フルオロポリマー、液状結晶ポリマー、アイオノマー又は前記ポリマーの少なくとも一からなる組み合わせであって、前記共重合体がランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、スターブロック共重合体、デンドリマー、又は前記共重合体の少なくとも一からなる組み合わせである、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、非導電性ポリマーが本質的に導電性のポリマー、もしくは本質的に導電性のポリマー前駆体、又はこれらの双方と架橋されている、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマーが式(XXIX)と(XXX)で示される構造単位を有するポリ(チオフェン)であり、
【化1】

【化2】

ここで、XとYは同一又は異なっていてもよく、そして水素、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルキレン基、カルボキシル基、エステル基、チオアシル基、又は1ないし22の炭素数を有する前記基の少なくとも一との組み合わせであり、そしてここで、nとmは、相互に独立で1ないし10の整数であり、kは1ないし3000の整数である、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマーが構造式(XXXV)又は構造式(XXXVI)を有するポリ(チオフェン)であり、
【化3】

【化4】

そして、ポリ(チオフェン)の分子量は100ないし500,000グラム/モルであり、そして更に本質的に導電性のポリマー上に正の電荷が存在していて、この正電荷は負の電荷と結合している、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマーが構造式(XXXVII)又は構造式(XXXVIII)を有するポリ(チオフェン)であり、
【化5】

【化6】

ここで、ポリ(チオフェン)の分子量は100ないし500,000グラム/モルであり、そして更に本質的に導電性のポリマー上には正の電荷が存在しており、この正電荷は負の電荷と結合している、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマー前駆体が3,4-ジ(デシル)チオフェン、3,4-ジ(ウンデシル)チオフェン、3,4-ジ(ドデシル)チオフェン、3,4-ジ(トリデシル)チオフェン、3,4-ジ(テトラデシル)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデシル)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデシル)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデシル)チオフェン、3,4-ジ(オクタデシル)チオフェン、3,4-ジ(デシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ウンデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ドデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(トリデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(テトラデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(オクタデシルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(デシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ウンデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ドデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(トリデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(テトラデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ(オクタデシルオキシエチル)チオフェン、3,4-ジ((2-デシルオキシ)エチル)チオフェン、3,4-ジ((3-デシルオキシ)プロピル)チオフェン、3,4-ジ((4-デシルオキシ)ブチル)チオフェン、3,4-ジ(2-(2-デシルオキシエトキシ)エチル)チオフェン、3,4-ジ(2-(2-ウンデシルオキシエトキシ))エチル)チオフェン、3,4-ジ(2-(2-(ドデシルオキシ)エトキシ)エチル)チオフェン、3,4-ジ(シクロペンチル)チオフェン、3,4-ジ(シクロペンテニル)チオフェン、3,4-ジ(シクロヘキシル)チオフェン、3,4-ジ(シクロヘキセニル)チオフェン、3,4-ジ(シクロヘキサジエニル)チオフェン、3,4-ジ(フェニル)チオフェン、3,4-ジ(ベンジル)チオフェン、3,4-ジ(デカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ウンデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ドデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(トリデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(テトラデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(オクタデカノイル)チオフェン、3,4-ジ(デカノイルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(ウンデカノイルオキシ)チオフェン、3,4-ジ(デカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ウンデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ドデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(トリデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(テトラデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ペンタデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ヘキサデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(ヘプタデカノイルアミノ)チオフェン、3,4-ジ(オクタデカノイルアミノ)チオフェン、
2,3-ジペンチルチエノール[3,4-b]ピラジン、2,3-ジデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジウンデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジドデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジトリデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジテトラデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジペンタデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジヘキサデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジヘプタデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、2,3-ジオクタデシルチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-デシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ウンデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ドデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-トリデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-テトラデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ペンタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ヘキサデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-オクタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-エイコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-メチル-3-ドコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-デシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ウンデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ドデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-トリデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-テトラデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ペンタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ヘキサデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-オクタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-エイコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-エチル-3-ドコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-デシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ウンデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ドデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-トリデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-テトラデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ペンタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ヘキサデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ヘプタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-オクタデシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-エイコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2-フェニル-3-ドコシルオキシチエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(デシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ウンデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ドデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(トリデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(テトラデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ペンタデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘキサデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘプタデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(オクタデシルオキシ)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(デシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ウンデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ドデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(トリデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(テトラデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ペンタデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘキサデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ヘプタデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(オクタデシルオキシエチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(エチル-2-オキシデシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(プロピル-3-オキシデシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ブチル-4-オキシデシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロペンチル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロペンテニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロヘキシル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロヘキセニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(シクロヘキサデニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(フェニル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
2,3-ジ(ベンジル)チエノ[3,4-b]ピラジン、
5,6-ジ(デシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ウンデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ドデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(トリデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(テトラデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ペンタデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ヘキサデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ヘプタデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(オクタデシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロペンチルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロペンテニルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロヘキシルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロヘキセニルオキシ)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(シクロヘキサジエニル)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(フェニル)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
5,6-ジ(ベンジル)シクロブタ[b] チエノ[3,4-e]ピラジン、
2-デシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ウンデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ドデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-トリデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-テトラデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ペンタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘキサデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘプタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-オクタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロペンチル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロペンテニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロヘキシル-1H-シアノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロヘキセニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-シクロヘキサジエニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-フェニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ベンジル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ブチルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ペンチルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘキシルチオ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘプチル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-オクチル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ノニル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-デシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ウンデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ドデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-トリデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-テトラデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ペンタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘキサデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-ヘプタデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-オクトデシル-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール、
2-置換-チエノ[3,4-b]チオフェン、6-置換-チエノ[3,4-b]チオフェン、
又は前記本質的に導電性のポリマー前駆体の少なくとも一からなる組み合わせである、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマー前駆体が式(XXXI)と(XXXII)に示す構造を有するポリ(チオフェン)である、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【化7】

【化8】

【請求項10】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性を有する前駆体が酸化剤を用いて架橋され、かつ前記酸化剤がアンモニウムパーオキシジスルフェイト、塩化鉄(III)、メタンスルホン酸鉄、過マンガン酸塩、過酢酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、ニトロシルトリフルオロメチルスルホネイト、ニトロシルビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、又は前記酸化剤の少なくとも一からなる組み合わせである、ことを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマー前駆体が電解槽の中で架橋される、ことを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、本質的に伝導性のポリマー前駆体は電解槽中で架橋する前に基板に適用されることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記基板が電解槽の中で電極として使用されることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、本質的に導電性のポリマー前駆体の対向する面で架橋されることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記パターンが架橋によって本質的に導電性のポリマー前駆体面に形成されることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、前記パターンが架橋によって本質的に導電性のポリマー前駆体の断面を通して形成されることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、前記パターンが架橋によって本質的に導電性のポリマー前駆体の対向する面に形成されることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、前記パターンが本質的に導電性のポリマー前駆体表面の少なくとも一の面と物理的に接触させた外部電極を通して本質的に導電性のポリマー前駆体の表面に電位を適用することにより、本質的に導電性のポリマー前駆体の表面に形成される、ことを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記外部電極が原子間力顕微鏡の一部である、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法において、前記外部電極が電場を適用しうる先端を有しており、当該先端が200ナノメートル以下のサイズである、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法において、前記パターンが点、直線、曲線又はこれらの形状の少なくとも一からなる組み合わせの形状を有する、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、前記パターンが接触モードを用いることにより表面上に生じさせるか、又は当該パターンラインがタッピングモードにより表面内に埋め込まれることを特徴とする、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマーの全架橋表面積が本質的に導電性のポリマー前駆体全表面積の10%未満である、本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマー前駆体の架橋が酸化反応により引き起こされることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記酸化反応の際に酸化電位の増加がパターンの書き込み、又は電極先端から離れていく架橋速度の増加を促進する、ことを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマー前駆体が導電性又は絶縁性フィラーを含むことを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法において、本質的に導電性のポリマーが導電性又は絶縁性フィラーを含む、ことを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、前記導電性フィラーがカーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンブラック、炭素繊維、インジウム錫酸化物、金属製導電性フィラー又は前記したものの少なくとも一からなる組み合わせであることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、前記カーボンナノチューブが単一壁カーボンナノチューブ、多層壁カーボンナノチューブ、蒸気成長炭素繊維、又は前記したカーボンナノチューブの少なくとも一からなる組み合わせであることを特徴とする本質的に導電性のポリマーの製造方法。
【請求項30】
請求項1に記載の方法により製造された物品。
【請求項31】
基板上に本質的に導電性のポリマー前駆体のフィルムを成形し、そして酸化反応によりフィルムの少なくとも一部を架橋する際に当該架橋を固体状態、膨潤状態、又はこれらの状態の少なくとも一からなる組み合わせの状態で行うパターンの製造方法。
【請求項32】
請求項31に記載の製造方法において、前記酸化反応が化学的酸化、電気化学的酸化、又はこれらの酸化の少なくとも一からなる組み合わせによって進行することを特徴とするパターンの製造方法。
【請求項33】
請求項31に記載の製造方法において、前記フィルムが少なくとも一の表面で架橋される、ことを特徴とするパターンの製造方法。
【請求項34】
請求項31に記載の製造方法において、前記フィルムの対向する面で架橋されることを特徴とするパターンの製造方法。
【請求項35】
請求項31に記載の製造方法において、前記架橋が原子間力顕微鏡先端を利用して生ずることを特徴とするパターンの製造方法。
【請求項36】
請求項31に記載の製造方法において、前記フィルムが絶縁基板上に形成されており、当該基板がその表面に形成された導電性パターンを有していることを特徴とするパターンの製造方法。
【請求項37】
請求項31に記載の製造方法において、前記フィルムが導電性基板上に形成されており、当該基板がその上に形成された絶縁性パターンを有していることを特徴とするパターンの製造方法。
【請求項38】
請求項31に記載の製造方法により製造された物品。
【請求項39】
構造(XXXV)、あるいは構造(XXXVI)、あるいは構造(XXXVII)、あるいは構造(XXXVIII)、あるいはこれらのポリ(チオフェン)構造の少なくとも一からなる組み合わせからなり、ポリ(チオフェン)の分子量が100ないし500,000g/モルで、導電性ポリマーに正電荷が負荷されていて、当該正電荷が負電荷と結合している、ポリ(チオフェン)からなる組成物。
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】


【図1】
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【図2】
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【図26】
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【図27】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2006−523262(P2006−523262A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508885(P2006−508885)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/005913
【国際公開番号】WO2005/014693
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500489956)ユニバーシティ オブ コネチカット (3)
【Fターム(参考)】