説明

材料の抽出装置およびその抽出装置を備えた射出成形機

【課題】コンパクトに構成されていても粒形状の材料を所定量供給可能な抽出装置およびその抽出装置を備えた射出成形機を提供することである。
【解決手段】粒形状の材料Mを貯蔵する円筒または角筒形状のホッパー11と、ホッパー11の下部に形成されている開口部11aから材料Mを自重によって払い出させる抽出手段とからなっており、抽出手段は、ホッパー開口部11aの下方に設けられ、開口部11aを開閉させるよう移動可能なシャッター34と、シャッター34を移動させる駆動手段31とからなっており、シャッター34は、その底面積が前記ホッパー開口部11aの開口面積より大きい円錐または角錐形状に構成されており、シャッター34をホッパー開口部11aの下方からホッパー11の内部へ鉛直方向に出没させることで、ホッパー開口部11aを開閉させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の抽出装置およびその抽出装置を備えた射出成形機に関し、詳しくは、粒形状の材料をホッパーから抽出する装置およびその装置を備えた射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱可塑性樹脂からなる成形品を着色して成形したい場合、射出成形機の混練過程で予め着色する方法が知られている。この方法では、射出成形機に原料樹脂を投入する投入工程の前工程において、ベースとなる無着色樹脂材料(以下、「ベース材」と記す)に対して着色樹脂材料(以下、「マスターバッチ材」と記す)を所定比率で混合させることで成形品が所望する色彩となるように着色を実施している。このように所定比率で混合させる方法として、例えば、特許文献1に示すようにスクリューによって所定量供給させる方法、または、特許文献2に示すように回転テーブルによって所定量供給させる方法が知られている。
【特許文献1】特開平06−304967号公報
【特許文献2】特開平09−314554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したスクリューによる所定量供給方法では、スクリュー回転中の時には、マスターバッチ材は所定量供給されるため所望の混合比率となっていた。しかし、スクリューを停止させたときに、スクリュー先端からマスターバッチ材がこぼれ落ちるという問題が発生していた。このようにマスターバッチ材がこぼれ落ちると、マスターバッチ材が多く供給された状態となるため所望の混合比率とならなかった。そのため、できあがった成形品に色ムラが生じることがあり、成形品に色ムラが生じると不良品として扱われるため製品として出荷することができなかった。
また、回転テーブルによる所定量供給方法では、上記したこぼれ落ちるという問題は解消されていた。しかし、射出成形機に回転テーブルを設ける場合、射出成形機の大型化となるため、小型の射出成形機に回転テーブルを設けることは不向きだった。
【0004】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、コンパクトに構成されていても粒形状の材料を所定量供給可能な抽出装置およびその抽出装置を備えた射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、粒形状の材料を貯蔵する円筒または角筒形状のホッパーと、該ホッパーの下部に形成されている開口部から該材料を自重によって払い出させる抽出手段とからなる材料の抽出装置であって、前記抽出手段は、前記ホッパー開口部の下方に設けられ、該開口部を開閉させるよう移動可能なシャッターと、該シャッターを移動させる駆動手段とからなっており、前記シャッターは、その底面積が前記ホッパー開口部の開口面積より大きい円錐または角錐形状に構成されており、該シャッターを該ホッパー開口部の下方から該ホッパーの内部へ鉛直方向に出没させることで、該ホッパー開口部を開閉させるよう構成されている。
この構成によれば、コンパクトな構成で粒形状の材料を供給させることができる。このようにコンパクトに構成であるため、従来技術で説明した回転テーブルによる問題が生じることがない。また、ホッパーの開口部を閉ざすときには、シャッターによって該開口部を完全に閉塞させることができるため、従来技術で説明したスクリューによる問題が生じることがなく材料の抽出量の精度を向上させることができる。したがって、予め、材料の抽出量を決めておけば所定量供給させることができる。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の材料の抽出装置であって、前記シャッターの軸芯と前記ホッパー開口部の軸芯とは一致するように設定された構成である。
この構成によれば、ホッパーの開口部の周縁とシャッターとの間で材料が引っ掛かることを抑制できる。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれか1項に記載の材料の抽出装置であって、前記シャッターの縦断面における頂点の角度は90°となるように構成されている。
この構成によれば、ホッパーの開口部の内周面とシャッターとの間で材料が引っ掛かること、およびホッパーの開口部の周縁のフランジ内面とシャッターとの間で材料が引っ掛かることのどちらも防止する最適な角度を提供することができる。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の材料の抽出装置であって、前記シャッターは、前記駆動手段とボールジョイントを介して接続された構成である。
この構成によれば、シャッターの頂点をホッパーの軸心位置へと戻すことができるため、ホッパーの開口部の周縁とシャッターとの間で材料の引っ掛かりを防止することができる。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、粒形状の材料を貯蔵する円筒または角筒形状のホッパーと、該ホッパーの下部に形成されている開口部から該材料を自重によって払い出させる抽出手段とからなる材料の抽出装置であって、前記抽出手段は、前記ホッパー開口部の下方に設けられ、該開口部を開閉させるよう移動可能なシャッターと、該シャッターを移動させる駆動手段とからなっており、前記シャッターは、表面積が前記ホッパー開口部の開口面積より大きい板形状に構成されており、該シャッターを水平方向に移動させることで、前記ホッパー開口部を開閉させるよう構成されている。
この構成によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の材料の抽出装置であって、前記シャッターの縦断面における先端部は先細りとなった構成である。
この構成によれば、材料の落下方向を広げることができるため、材料の引っ掛かりを少しでも防止することができる。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の材料の抽出装置であって、前記ホッパー開口部が開状態から閉状態となるように、前記駆動手段を動作させた後に、再度、該ホッパー開口部が全開状態とならない半開き状態となるように、該駆動手段を単数回または複数回だけ動作させる構成である。
この構成によれば、シャッターは全開されないため、新たに、ホッパー内の材料が払い出されることなく、現状、引っ掛かっている材料のみが払い出されることになる。そのため、ホッパーの開口部の周縁とシャッターとの間で材料の引っ掛かりを防止することができる。
【0012】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の材料の抽出装置を少なくとも2系統備えた構成である。
この構成によれば、例えば2系統の場合、ベースとなる無着色樹脂材料に対して着色樹脂材料を所定比率で混合させることができるため、所望する色彩の成形品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1を、図1〜5を用いて説明する。
図1は、実施例1における材料の抽出装置を備えた射出成形機の全体斜視図である。図2は、図1の正面図である。図3は、実施例1における材料の抽出装置の動作説明図である。図4は、図3の第1ロッド32と第1シャッター34との締結部の拡大図である。図5は、材料の詰まり防止制御について説明する図である。
【0014】
まず、図1、2を参照して、材料(例えば、樹脂材料)の抽出装置を備えた射出成形機の一実施形態を説明する。この射出成形機の説明をすると、本発明のもう一方の発明である材料の抽出装置の説明も兼ねることとなるため、材料の抽出装置のみの単独説明は省略することとする。なお、この射出成形機は、従来技術で説明した射出成形機と同様に、混練過程において、ベース材Bに対して所望する色彩となるように色付けられたマスターバッチ材Mを所定比率で混合させる射出成形機である。
【0015】
11は、粒形状の材料であるマスターバッチ材Mを貯蔵する円筒形状の第1ホッパー(マスターバッチ材ホッパー)11である。12は、11と同様のホッパーであり、同じく粒形状の材料であるベース材Bを貯蔵する円筒形状の第2ホッパー(ベース材ホッパー)12である。これら両ホッパー11、12の下部にはそれぞれ開口部11a、12aが形成されており、これら両開口部11a、12aの外周縁には共通となるフランジ13が形成されている。
【0016】
21は、逆円錐状に形成されたロウト21である。ロウト21の上部に形成の開口部21aの外周縁には、上記したフランジ13と締結可能なフランジ22が形成されている。また、ロウト21の下部に形成の開口部21bの外周縁には、フランジ23が形成されている。このロウト21によって、第1ホッパー11から供給されるマスターバッチ材Mと第2ホッパー12から供給されるベース材Bとを混合させることができる。
【0017】
フランジ23の上面における第1ホッパー11の下方位置には、第1ソレノイド31が設けられている。第1ソレノイド31には第1ロッド32が嵌挿されている。この嵌挿について詳述すると、図2に示すように、段差部32aによって、第1ロッド32はその下部側がその上部側より細くなるように形成されている。そして、この段差部32aと第1ソレノイド31の上面との間に第1圧縮バネ33が挟み込まれている。このように第1圧縮バネ33が挟み込まれた状態で、第1ソレノイド31には第1ロッド32が挿入されている。
【0018】
なお、第1ロッド32とロウト21との干渉を回避させるために、ロウト21の斜面の所定部位には、第1ロッド32を挿通させるための開口部21cが形成されている。これにより、第1ロッド32の上部側はロウト21内に配置された状態となる。そして、この状態で、第1ロッド32の上端には、円錐形状の第1シャッター34が取り付けられている。このとき、第1シャッター34の上部側は第1ホッパー11の内部に入り込む格好となっている。
【0019】
この第1シャッター34について詳述すると、図3(A)に示すように、第1シャッター34は、その縦断面における頂点の角度は90°となる円錐形状に構成されている。なお、第1ロッド32および第1シャッター34は、第1ホッパー11に対して軸心が一致するように設けられている。これにより、後記に詳述する第1ホッパー11の開口部11aの周縁と第1シャッター34との間でマスターバッチ材Mが引っ掛かることを抑制できる。また、これら「第1シャッター34と第1ソレノイド31」の記載が、特許請求の範囲に記載の「シャッターと該シャッターを移動させる駆動手段」に相当する。
【0020】
また、第1シャッター34の底面積は、第1ホッパー11の開口部11aの開口面積より大きくなるよう設定されている。そのため、第1シャッター34の上部側が第1ホッパー11の内部に入り込んでいくと、第1ホッパー11の開口部11aを完全に閉塞させることができる。例えば、第1ホッパー11の開口部11aの内径が「28mm」である場合、その下方に設けられている第1シャッター34の底面の外径は「30mm」となるように設定されている。また、この第1ソレノイド31は、制御装置(図示しない)と電気的に接続されている。そして、この制御装置は、所望するタイミングで第1ソレノイド31を通電させることができる。
【0021】
また、図3(A)の一部を拡大した図である図4からも明らかなように、第1シャッター34は、ボールジョイントによってロッド32の上端に取り付けられている。このボールジョイントを詳述すると、第1シャッター34の底面には、下方に向けてボール34aが突設されている。また、第1ロッド32の上端部には、このボール34aを収納可能な凹孔32cが穿設されている。また、この凹孔32cの上部の周縁には、該凹孔32c内に収納したボール34aが脱落することを防止するつば部32bが形成されている。このボールジョイントによって、例えば、第1ロッド32の軸心が本来の第1ロッド32の軸心よりズレている場合でも、第1シャッター34の頂点を本来の第1ロッド32の軸心位置、すなわち第1ホッパー11の軸心位置へと戻すことができる(図4に示す想像線参照)。
【0022】
なお、図1からも明らかなように、第2ホッパー12の下方位置には、上述した第1ホッパー11の下方位置に設けた第1ソレノイド31、第1ロッド32、第1圧縮バネ33と第1シャッター34と同様に、第2ソレノイド41、第2ロッド42、第2圧縮バネ43と第2シャッター(図示しない)が設けられている。このように、本実施例において、材料の抽出装置は2系統設けられている。
【0023】
図2に戻って、51は、すり鉢状に形成された開放部51である。この開放部51の上部に形成の開口部51aの外周縁には、上記したフランジ23と締結可能なフランジ52が形成されている。また、この開放部51の下部に形成の開口部51bの外周縁には、フランジ53が形成されている。
【0024】
61は、円筒状に形成された成形機ホッパー61である。この成形機ホッパー61の上部に形成の開口部61aの外周縁には、上記したフランジ53と締結可能なフランジ62が形成されている。また、この成形機ホッパー61の下部には、先端部に金型のスプルと衡合する射出ノズルが形成された射出シリンダと、該射出シリンダ内に配置され軸芯まわりに回転自在に且つ該軸方向に移動自在なスクリュー(いずれも公知のものであり、図示しない)とが設けられている。
【0025】
次に、上述した構成からなる射出成形機の動作について説明する。はじめに、ベース材Bに対するマスターバッチ材Mの混合比率を設定器(図示しない)によって設定する。すると、その設定した混合比率となるように、制御装置は所定の時間間隔だけ両ソレノイド31、41を通電させる。なお、両ソレノイド31、41への通電の説明は、どちらも同じであるため第1ソレノイド31への通電を説明することで第2ソレノイド41への通電の説明は省略する。
【0026】
図3(A)に示す状態から第1ソレノイド31を通電させると、その通電によって第1ソレノイド31は励磁されるため、その励磁によって生ずる磁力によって第1ロッド32は第1ソレノイド31の内部方向(図3(A)において、下方向)へ引き込まれる。この引き込まれた状態が、図3(B)に示す状態である。このとき、第1圧縮バネ33は第1ソレノイド31の上面と段差部32aとの間で縮められた状態となっている。この状態になると、第1ホッパー11の開口部11aと第1シャッター34との間に隙間が生じることになる。これにより、第1ホッパー11の開口部11aが開かれた状態となるため、第1ホッパー11内に貯蔵されているマスターバッチ材Mが自重によって払い出されてロウト21内へと供給される。
【0027】
やがて、所定の時間が経過して第1ソレノイド31への通電が解除されると、第1圧縮バネ33の戻り力によって第1ロッド32は第1ソレノイド31の外部方向(図3(A)において、上方向)へ放出され引き込まれる前の状態へ戻される(図3(A)参照)。この状態になると、第1ホッパー11の開口部11aと第1シャッター34との間に生じていた隙間が塞がれることになる。これにより、第1ホッパー11の開口部11aは閉ざされた状態となるため、マスターバッチ材Mのロウト21内への供給は停止される。
【0028】
また、このとき、第1シャッター34の上部側が第1ホッパー11の内部に入り込む格好となるように第1ロッド32は戻される(図3(A)参照)。そのため、第1ホッパー11の軸心と第1ロッド32の軸心とが一致する状態で第1ロッド32を戻すことが好ましい。なぜなら、これら両軸心が不一致な状態で第1ロッド32を戻してしまうと、第1ホッパー11の開口部11aの周縁と第1シャッター34との間でマスターバッチ材Mが引っ掛かることがある。この引っ掛かりが生じると、次回、第1シャッター34を開放させたときに、引っ掛かりの分だけマスターバッチ材が多く供給されることになる。これにより、マスターバッチ材Mの供給精度が低下するという問題が発生することになる。
【0029】
しかし、この問題は、既に説明したボールジョイントによって解決されている。なぜなら、第1ホッパー11の軸心と第1ロッド32の軸心とが不一致な状態で第1ロッド32が戻された場合でも、ボールジョイントによって第1シャッター34の頂点を第1ホッパー11の軸心位置へと戻すことができる(図4に示す想像線参照)。そのため、第1ホッパー11の開口部11aの周縁と第1シャッター34との間でマスターバッチ材Mの引っ掛かりを防止することができる。
【0030】
このようにボールジョイントによって機械的な構成でマスターバッチ材Mの引っ掛かりを防止する構成が考えられた。そして、機械的構成だけでなく、電気的な構成でマスターバッチ材Mの引っ掛かりを防止する構成も考えられる。以下に、その説明をする。図5に示すように、第1シャッター34を開放させてマスターバッチ材Mを所定量供給させた後に、再度、第1シャッター34を半開き状態となるように単数回もしくは複数回(図5において、3回)開放させている。ここで、第1シャッター34を半開きさせるには、第1ソレノイド31への通電時間を半分にすればよい。例えば、第1シャッター34を全開させるためには、少なくとも連続して0.1秒通電させなければいけない場合、連続して0.05秒しか通電させなければ第1シャッター34を半開き状態とすることができる。
【0031】
このようにして第1シャッター34を半開きさせると、第1シャッター34は全開されないため、新たに、第1ホッパー11内のマスターバッチ材Mが払い出されることなく、現状、引っ掛かっているマスターバッチ材Mのみが払い出されることになる。そのため、第1ホッパー11の開口部11aの周縁と第1シャッター34との間でマスターバッチ材Mの引っ掛かりを防止することができる。
【0032】
上述した射出成形機によれば、第1ソレノイド31、第1ロッド32、第1圧縮バネ33と第1シャッター34によってロウト21内にマスターバッチ材Mを供給させることができる。そのため、コンパクトな構成でマスターバッチ材Mを供給させることができる。このようにコンパクトに構成であるため、従来技術で説明した回転テーブルによる問題が生じることがない。また、第1ホッパー11の開口部11aを閉ざすときには、第1シャッター34によって該開口部11aを完全に閉塞させることができるため、従来技術で説明したスクリューによる問題が生じることがなくマスターバッチ材Mの抽出量の精度を向上させることができる。したがって、予め、マスターバッチ材Mの抽出量を決めておけば所定量供給させることができる。これらのことは、ベース材Bにおいても同様である。
【0033】
また、所定量供給されたマスターバッチ材Mとベース材Bとは、ロウト21内で混合された後、開放部51と成形機ホッパー61を通って射出シリンダへ送られる。その後、射出シリンダによって射出成形され、着色された成形品となる。このようにして、設定した混合比率となるようにマスターバッチ材Mとベース材Bとが供給されるため、所望する色彩となるように着色された成形品を製造することができる。
【0034】
(実施例2)
続いて、本発明の実施例2を、図6を用いて説明する。
図6は、実施例2における材料の抽出装置の概念図である。既に説明した実施例1は、第1シャッター34を鉛直方向に移動させて第1ホッパー11の開口部11aを開閉させるものであった。それに対し、これから説明する実施例2は、第1シャッター34を水平方向に移動させて第1ホッパー11の開口部11aを開閉させるものである。このように、実施例1と実施例2とでは、第1シャッター34の移動方向が相違している。なお、この相違点以外の構成は、実施例1と同じであるため、重複する説明は省略する。また、実施例2の説明にあたって、実施例1と同一構成の部材には、図面において同一符号を付している。
【0035】
図6(A)、(B)に示すように、第1ロッド32の先端には、第1シャッター35が取り付けられている。この第1シャッター35は、水平面と、鉛直面と、その水平面に向けて上り傾斜となる傾斜面とからなる縦断面略直角三角形となる板形状に構成されたものである。このことが、特許請求の範囲に記載の「シャッターの縦断面における先端部は先細りとなっている」に相当する。第1シャッター35の水平面の表面積は、第1ホッパー11の開口部11aの開口面積より大きくなっている。そのため、第1シャッター35の水平面が第1ホッパー11の開口部11aの開口面より僅かに下位置で且つ真下となる位置に移動していくと、第1ホッパー11の開口部11aを完全に閉塞させることができる。
【0036】
また、第1シャッター35は傾斜面を備えているため、第1シャッター35を閉じている最中、マスターバッチ材Mは下方だけでなく、第1シャッター35の傾斜面と平行方向(図6(B)の矢印方向)にも落下可能となる。そのため、第1シャッター35が傾斜面を備えていない縦断面四角形となる板形状に構成された場合と比較すると、マスターバッチ材Mの落下方向を広げることができるため、マスターバッチ材Mの引っ掛かりを少しでも防止することができる。
【0037】
このように実施例2においても、実施例1と同様にしてマスターバッチ材Mを所定量供給させることができる。そのため、この実施例2も実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施例2では、第1ロッド32を水平方向に設けている。そのため、実施例1のように第1ロッド32を鉛直方向に設けることができない場合、この実施例2は効果的な実施形態である。
【0038】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例では、第1シャッター34、35を移動させる駆動手段として第1ソレノイド31を例に説明した。しかし、これに限定されるものではなく、第1シャッター34、35を移動させる駆動手段としてエアーシリンダーであっても構わない。
【0039】
また、実施例1では、第1シャッター34は、その縦断面における頂点の角度が90°である場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、図7(A)に示す45°、または図7(B)に示す135°であっても構わない。しかし、45°である場合、図からも明らかなように、第1ホッパー11の開口部11aの内周面と第1シャッター34との間でマスターバッチ材Mが引っ掛かり易くなる。また、135°である場合、図からも明らかなように、第1ホッパー11の開口部11aの周縁のフランジ内面と第1シャッター34との間でマスターバッチ材Mが引っ掛かり易くなる。これらのことから、第1シャッター34の縦断面における頂点の角度は90°が最適である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、実施例1における材料の抽出装置を備えた射出成形機の全体斜視図である。
【図2】図2は、図1の正面図である。
【図3】図3は、実施例1における材料の抽出装置の動作説明図である。
【図4】図4は、図3の第1ロッド32と第1シャッター34との締結部の拡大図である。
【図5】図5は、材料の詰まり防止制御について説明する図である。
【図6】図6は、実施例2における材料の抽出装置の概念図である。
【図7】図7は、実施例1における第1シャッター34の他の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
11 第1ホッパー(ホッパー)
11a 開口部
31 第1ソレノイド(駆動手段)
34、35 第1シャッター(シャッター)
M マスターバッチ材(材料)
B ベース材(材料)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒形状の材料を貯蔵する円筒または角筒形状のホッパーと、
該ホッパーの下部に形成されている開口部から該材料を自重によって払い出させる抽出手段とからなる材料の抽出装置であって、
前記抽出手段は、
前記ホッパー開口部の下方に設けられ、該開口部を開閉させるよう移動可能なシャッターと、
該シャッターを移動させる駆動手段とからなっており、
前記シャッターは、その底面積が前記ホッパー開口部の開口面積より大きい円錐または角錐形状に構成されており、該シャッターを該ホッパー開口部の下方から該ホッパーの内部へ鉛直方向に出没させることで、該ホッパー開口部を開閉させる材料の抽出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の材料の抽出装置であって、
前記シャッターの軸芯と前記ホッパー開口部の軸芯とは一致するように設定されている材料の抽出装置。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の材料の抽出装置であって、
前記シャッターの縦断面における頂点の角度は90°である材料の抽出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の材料の抽出装置であって、
前記シャッターは、前記駆動手段とボールジョイントを介して接続されている材料の抽出装置。
【請求項5】
粒形状の材料を貯蔵する円筒または角筒形状のホッパーと、
該ホッパーの下部に形成されている開口部から該材料を自重によって払い出させる抽出手段とからなる材料の抽出装置であって、
前記抽出手段は、
前記ホッパー開口部の下方に設けられ、該開口部を開閉させるよう移動可能なシャッターと、
該シャッターを移動させる駆動手段とからなっており、
前記シャッターは、表面積が前記ホッパー開口部の開口面積より大きい板形状に構成されており、該シャッターを水平方向に移動させることで、前記ホッパー開口部を開閉させる材料の抽出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の材料の抽出装置であって、
前記シャッターの縦断面における先端部は先細りとなっている材料の抽出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の材料の抽出装置であって、
前記ホッパー開口部が開状態から閉状態となるように、前記駆動手段を動作させた後に、再度、該ホッパー開口部が全開状態とならない半開き状態となるように、該駆動手段を単数回または複数回だけ動作させる材料の抽出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の材料の抽出装置を少なくとも2系統備えた射出成形機。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−81285(P2008−81285A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264598(P2006−264598)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】