説明

板壁、及び耐震改修方法

【課題】板壁の耐力を向上することにより、建物等の耐震性を向上する。
【解決手段】複数の板材を有する板壁である。前記複数の板材は、前記板材の長手方向を鉛直方向及び水平方向のどちらか一方に揃えながら、互いに隣り合う前記板材同士が小端において当接されることにより、前記長手方向と直交する方向を整列方向として整列配置される。前記小端には、前記整列方向に隣り合う前記板材同士の前記長手方向の相対移動を規制する複数のダボが設けられる。各小端につき少なくとも一つのダボの前記長手方向の長さが、前記整列方向の長さ以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板壁であって、特に木造建築物に有効に適用可能な板壁、及び耐震改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
社寺等における伝統的木造建築物は、図7の正面図に示すように、柱1,1と梁3,3に設けられた四周の溝1t,3tにはめ込まれた板壁111を有している。そして、かかる板壁111は、コスト削減等の観点から高価な大判の板材を用いずに、複数枚の帯状の板材115,115…を組み合わせて構成される。詳しくは、これら板材115,115…は、その長手方向を水平方向に揃えながら、互いに隣り合う板材115,115同士が小端(こば)115k,115kにおいて当接されることにより、鉛直方向(上下方向)を整列方向として整列配置されている。そして、各板材115の上端面115uや下端面115dたる前記小端115kにはダボ121,121…が設けられ、これにより、整列方向に隣り合う板材115,115同士の長手方向(図示例では水平方向)の相対移動を規制している(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−248640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような板壁111は、地震時に耐震壁として機能する。よって、建築物の耐震性を高めるには、壁数を増やすことが有効であり、つまり耐震改修方法の一例として、木造建築物の室内に板壁111を増設することが挙げられる。但し、伝統的木造建築物では、開放感等の観点から間仕切りの少ない架構が望まれるところ、壁数が増えると、この要望に応え難くなる。
【0005】
他方、板壁一枚当たりの耐力を高めることによっても、耐震性を高め得る。そして、これによれば、壁数を増やすこと無く、建築物の耐震性を高めることができる。
そこで、かかる板壁111の耐力につき本願出願人が鋭意検討したところ、上述のように板材115の長手方向を水平方向に揃えつつ上下方向を整列方向として複数枚の板材115,115…が整列配置されている場合には、板壁111に水平外力が作用した際に、ダボ121は繊維と直交方向に圧縮を受けるため、その支圧及びせん断による変形が板壁111の剛性に影響(関係)し、かつダボ121の回転挙動(例えば図3Aを参照)も、板壁111の耐力に影響(関係)していることを知見した。そして、このダボの変形及び回転挙動を抑えるには、図7のような上下方向に長い縦長のダボ121よりも、水平方向に長い横長のダボ21(例えば図1Aを参照)を用いる方が効果的であることを知見した。
つまり、板材115の整列方向よりも、板材115の長手方向と平行な方向に長いダボ21を用いる方が、ダボ自身のせん断耐力の向上と合わせて、板壁111の水平方向の耐力を格段に高め得ることを知見した。
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、板壁の耐力を向上することにより、建物等の耐震性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、
複数の板材を有する板壁であって、
前記複数の板材は、前記板材の長手方向を鉛直方向及び水平方向のどちらか一方に揃えながら、互いに隣り合う前記板材同士が小端において当接されることにより、前記長手方向と直交する方向を整列方向として整列配置され、
前記小端には、前記整列方向に隣り合う前記板材同士の前記長手方向の相対移動を規制する複数のダボが設けられ、
各小端につき少なくとも一つのダボの前記長手方向の長さが、前記整列方向の長さ以上であることを特徴とする。
上記請求項1に示す発明によれば、各小端につき少なくとも一つのダボは、前記長手方向の長さが前記整列方向の長さ以上となるように形成されている。よって、前記ダボのせん断耐力を向上させると共にダボの回転挙動を抑制し、板壁の水平方向の耐力を高めることができる。
【0008】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の板壁であって、
前記板壁は、一対の鉛直材及び一対の水平材によってその内方に区画される空間に配置され、
前記板材の前記長手方向の両端部には、ほぞが設けられ、
前記板材の長手方向を水平方向に揃えながら複数の前記板材が整列配置される場合には、前記板材の前記長手方向の両端部のほぞが、これらほぞに対応させて前記一対の鉛直材に形成されたほぞ穴に嵌合することにより、前記一対の鉛直材に前記板材が固定され、
前記板材の長手方向を鉛直方向に揃えながら複数の前記板材が整列配置される場合には、前記板材の前記長手方向の両端部のほぞが、これらほぞに対応させて前記一対の水平材に形成されたほぞ穴に嵌合することにより、前記一対の水平材に前記板材が固定されることを特徴とする。
上記請求項2に示す発明によれば、板材の長手方向の両端部に設けられたほぞは、対応する鉛直材のほぞ穴又は水平材のほぞ穴に嵌合し、これにより、板材は鉛直材又は水平材に強固に固定される。よって、鉛直材又は水平材と板壁との一体性を高めることができて、板壁に生じる所謂対角線上での圧縮束が早期に破壊しない架構を形成するため、結果、耐震性に優れた板壁を構成可能となる。
【0009】
請求項3に示す発明は、請求項1又は2に記載の板壁であって、
前記板壁が具備する全ての前記ダボに関して、前記長手方向の長さが、前記整列方向の長さ以上であることを特徴とする。
上記請求項3に示す発明によれば、全てのダボに亘りせん断耐力の向上を図れ、結果、板壁の水平方向の耐力をより確実に高めることができる。
【0010】
請求項4に示す発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の板壁であって、
前記ダボは木材であり、
前記木材の繊維方向は、前記長手方向に沿っていることを特徴とする。
上記請求項4に示す発明によれば、ダボの前記長手方向の圧縮強度や圧縮剛性を高くすることができる。これにより、前記長手方向の外力がダボに作用した際のダボの潰れやめり込み等の圧縮変形量の低減を図れ、結果、隣り合う板材同士の相対移動を確実に規制し、板壁の耐力を高めることができる。
【0011】
請求項5に示す発明は、請求項4に記載の板壁であって
前記板材は木材であり、
前記木材の繊維方向は、前記長手方向に沿っており、
前記板材よりも前記ダボの方が堅い木材であることを特徴とする。
上記請求項5に示す発明によれば、板材に凹設されるダボ穴の前記長手方向の圧縮強度や圧縮剛性を高くすることができる。これにより、前記長手方向の外力がダボ穴に作用した際のダボ穴の潰れやめり込み等の圧縮変形量の低減を図れる。結果、隣り合う板材同士の相対移動を確実に規制し、板壁の耐力を高めることができる。
またダボと板材の両者とも、繊維方向に圧縮されることで力が伝達されるために初期剛性が高くなる。
【0012】
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の板壁であって、
前記ダボの前記長手方向の両端面は、前記長手方向と直交する垂直面に形成されており、
前記小端に設けられて前記ダボが嵌合するダボ穴の前記長手方向の両端面は、前記長手方向と直交する垂直面に形成されていることを特徴とする。
上記請求項6に示す発明によれば、前記長手方向の外力をダボの端面とダボ穴の端面との面当たりによって確実に受けることができるので、前記長手方向の外力がダボ及びダボ穴に作用した際のダボ及びダボ穴の潰れやめり込み等の圧縮変形量の低減を図れる。結果、隣り合う板材同士の相対移動を規制し、板壁の耐力を高めることができる。
【0013】
請求項7に示す発明は、複数の板材を有する板壁の耐震改修方法であって、
前記複数の板材は、前記板材の長手方向を鉛直方向及び水平方向のどちらか一方に揃えながら、互いに隣り合う前記板材同士が小端において当接されることにより、前記長手方向と直交する方向を整列方向として整列配置されているとともに、前記小端には、前記整列方向に隣り合う前記板材同士の前記長手方向の相対移動を規制する複数のダボが設けられており、
各小端につき少なくとも一つのダボを、前記長手方向の長さが前記整列方向の長さ以上のダボに変更することを特徴とする。
上記請求項7に示す発明によれば、各小端につき少なくとも一つのダボは、前記長手方向の長さが前記整列方向の長さ以上のダボに変更される。よって、前記ダボの回転挙動を抑制し、板壁の水平方向の耐力を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、板壁の耐力を向上することにより、建物等の耐震性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは、本実施形態に係る板壁11を正面視及び中心縦断面視で示す図であり、図1Bは、図1A中のB−B断面図であり、図1Cは、図1A中のC−C断面図である。
【図2】図2Aは、板壁11の中央部の拡大正面図であり、図2Bは、図2A中のB−B断面図である。
【図3】図3Aは、板壁11に水平外力が作用した際の横長のダボ21縦長のダボ121の挙動を示す模式図であり、図3Bは、同じく横長のダボ21の挙動を示す模式図である。
【図4】図4A及び図4Bは、実験に用いた試験片11s1,11s2及び試験装置の概略図である。
【図5】図5A及び図5Bは、実施例及び比較例の荷重−変位のグラフである。
【図6】その他の実施の形態の板壁11の正面図である。
【図7】従来(比較例)の板壁111の正面図である。
【図8】対角圧縮現象を示す板壁111の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
===本実施形態===
図1A乃至図1Cは、本実施形態に係る板壁11の説明図である。図1A中の左半部には板壁11を正面視で示し、同右半部には中心縦断面視で示している。また、図1Bは、図1A中のB−B断面図であり、図1Cは、図1A中のC−C断面図である。
【0017】
なお、以下では、互いに直交する三方向を、板壁11の壁高方向、壁幅方向、及び壁厚方向とする。ここで、壁高方向は、鉛直方向たる上下方向を向いており、また壁幅方向及び壁厚方向は、それぞれ水平方向を向いている。なお、壁幅方向のことを左右方向とも言い、壁厚方向のことを前後方向とも言う。
また、図1A乃至図1C中では、図の錯綜を防ぐ目的で、本来ハッチングで示すべき断面部もハッチング無しで示している。
【0018】
本実施形態の建物は木造建築物であり、その木造軸組みは、左右一対の柱1,1(鉛直材に相当)と、上下一対の梁3,3(水平材に相当)とを有している。なお、下梁3は地覆でも良い。また、柱1及び梁3は、例えば檜材であるが、これ以外の木材でも良い。そして、柱1と梁3とは、互いの端部1e,3eにおいて、ほぞ及びほぞ穴等の適宜な嵌合構造や込栓4により相対移動不能に連結固定されており、これにより、矩形枠状の木造軸組みの内方には、正面視矩形状の空間が区間されている。
【0019】
この矩形状の空間には、板壁11が設けられている。板壁11は、複数枚の略長方形の板材15,15…を有する。各板材15は、その長手方向を左右の水平方向に向け且つ幅方向を上下方向に向けながら、上下に隣り合う板材15と小端(こば)15kにおいて当接されており、これにより、前記長手方向と直交する方向たる上下方向を整列方向として各板材15,15…は整列配置されている。また、各板材15の小端15kたる上端面15u及び下端面15dには、それぞれダボ21が設けられており、かかるダボ21を介して、上下に隣り合う板材15,15同士が順次一体に連結されて全ての板材15,15…が一体化され、これにより全体として一枚の耐震用板壁11として機能する。
【0020】
かかる板壁11の各柱1,1への固定は、例えば、ほぞ15h及びほぞ穴1h等の嵌合構造によりなされる。すなわち、各板材15の長手方向たる左右方向の各端部15e,15eには、ほぞ15hが一体に形成されており、これに対応させて、柱1の溝状の大入れ1tの底面には、ほぞ穴1hが形成されている。そして、板材15の左右の各端部15e,15eが柱1の大入れ1tに入った状態で、各端部15e,15eのほぞ15hが大入れ1tの底面のほぞ穴1hに嵌るようになっており、これにより、柱1と板壁11とは鉛直方向のせん断力の伝達が可能な状態に連結される。
【0021】
同様に、板壁11の各梁3,3への固定も、例えば、ほぞ15h1及びほぞ穴3h等の嵌合構造によりなされる。すなわち、上端の板材15の上端面及び下端の板材15の下端面には、それぞれ、ほぞ15h1が一体に形成されており、これに対応させて、上梁3及び下梁3の各大入れ3t,3tの底面には、それぞれ、ほぞ穴3hが形成されている。そして、上端の板材15の上端面が、上梁3の大入れ3tに入った状態で、同上端面のほぞ15h1が大入れ3tの底面のほぞ穴3hに嵌るとともに、下端の板材15の下端面が、下梁3の大入れ3tに入った状態で、同下端面のほぞ15h1が大入れ3tの底面のほぞ穴3hに嵌るようになっており、これにより、上梁3及び下梁3と板壁11とは水平力の伝達が可能な状態に連結される。なお、上梁3及び下梁3と板壁11との水平方向のせん断力の伝達は、ダボ21によっても良い。
【0022】
なお、図示例では、上端の板材15と下端の板材15とを除き、それらの間に位置する各板材15,15…の平面形状は、何れも同形の長方形になっているが、同形状でなくても良く、つまり板材15の幅寸(図1Aの例では上下方向の長さ)や板厚(図1Bの例では前後方向の長さ)が、板材毎に異なっていても良い。
【0023】
図2A及び図2Bは、ダボ21の説明図である。図2Aには、板壁11の中央部の拡大正面図を示し、図2Bには、図2A中のB−B断面図を示している。
板材15,15同士を一体に連結するダボ21は、前述のように板材15の小端15kに埋設されている。すなわち、上下に隣り合う板材15,15同士の各小端15k,15kには、それぞれ、ダボ穴16,16が凹設されており、そして、互いに対向する上側の板材15のダボ穴16と下側の板材15のダボ穴16とに跨って、ダボ21が嵌合することにより、当該ダボ21を介して上側の板材15と下側の板材15とが、その長手方向たる水平方向の左右の相対移動を規制された状態に一体化されている。そして、かかる板材15,15同士の一体化が上下方向に亘って繰り返されることにより、図1Aで既述したように、全ての板材15,15…が連結一体化されて一枚の板壁11をなし、柱1や梁3から入力される地震力等の水平外力を受け止めて木造建築物の耐震性を高めるようになっている。
【0024】
かかるダボ21は、例えば中実の直方体部材である。その素材としては木材が使用され、また、板材15よりも堅い木材が使用される。ここで「堅い」というのは、圧縮荷重を付与した際に圧縮変形量が小さい(つまり潰れ難い)ということであり、この例では、板材15が檜材であるので、これよりも堅い木材として白樫や欅(けやき)等が使用される。
【0025】
また、ダボ穴16の各内法は、ダボ21の各外法と同寸若しくは若干小さめに設計されており、これにより、ダボ穴16にダボ21が嵌合された状態においては、ダボ21とダボ穴16との間に隙間が生じないようになっている。但し、ダボ21を介して板材15,15同士が連結された際に、これら板材15,15同士が小端15k,15kの略全面に亘って互いに当接するようにすべく、ダボ穴16の深さDは、ダボ21の上下方向の外法L1の略半分の値に設定されているとともに、各板材15の小端15kは平坦面に形成されている。
【0026】
ここで、本実施形態にあっては、ダボ21の長手方向が、板材15の長手方向を向いている。すなわち、ダボ21は、ダボ穴16に嵌合された状態において、板材15の長手方向と平行な方向(図2Aの例では左右方向)の長さL2が板材15の整列方向(図2Aの例では上下方向)の長さL1よりも長い横長形状に形成されている。これにより、板壁11自体の水平耐力が高められて、建築物の耐震性を向上可能となる。
【0027】
このように水平耐力が向上する理由は、次のように推察される。
ダボ121が図3Aの比較例のような縦長形状の場合、つまり、ダボ121の長手方向が、板材15の長手方向と直交する方向たる上下方向を向いている場合には、ダボ121自身のせん断耐力が小さいことに加えて、ダボ121と周囲の板材15の接する面で、ダボ121は繊維方向に直交して支圧を受けることにより変形が大きくなり、かつダボ121の上下面が接する周囲の板材が支圧による圧縮変形を生じることにより、ダボ121の回転変形が生じやすくなる。
【0028】
これに対して、図3Bの本実施形態の場合には、ダボ21が、板材15の長手方向たる左右方向に長くなっている。このダボ21は長手方向が繊維方向であるため、繊維方向に沿って圧縮を受けることで力が伝達されるために、ダボ21側の変形は小さくなる。また、面21a,21bが左右方向に広く確保されていることで、上下に隣り合う板材15,15同士が水平方向に相対移動する際にダボ21に作用する回転モーメントを、上記面21a,21bにより有効に受け止めて、これにより、図3B中二点鎖線で示すようにダボ21の回転は小さくなる。また、ダボ21は左右方向に長いため、せん断力を負担する面積も大きく、これをもって、板壁11の面内せん断剛性及び耐力が向上するものと考えられる。また板壁11としての面内せん断剛性及び耐力が向上することは、後述の実験によっても確認された事実である。
【0029】
かかるダボ21の横長形状に関し、この図2Aの例では、板材15の長手方向と平行な方向(図2A中の左右方向)のダボの長さL2と、板材15の整列方向(図2A中の上下方向)のダボ21の長さL1との比を、3:1としているが、何等これに限るものではない。すなわち、基本的には、板材15の長手方向と平行な方向(図2Aでは左右方向)のダボ21の長さL2を、板材15の整列方向(図2Aでは上下方向)のダボ21の長さL1以上にしていれば、上述の比較例よりも板壁11の水平耐力を高めることができる。但し、実用上は、上記の比を、2:1〜4:1の範囲に設定すると良い。
【0030】
また、図2Aの例では、直方体形状のダボ21を用いているので、その左右の両小口(請求項に係る「両端面」に相当)は、左右方向と直交する垂直面となっており、また、両小口が対向するダボ穴16の左右端面も、左右方向と直交する垂直面になっている。よって、水平外力をダボ21の小口とダボ穴16の端面との面接触により略均一に受けることができて、水平外力がダボ21及びダボ穴16に作用した際のダボ21及びダボ穴16の潰れやめり込み等の圧縮変形量の低減を図れ、その結果、隣り合う板材15,15同士の相対移動を有効に規制し、このことも、板壁11の水平耐力の向上に寄与する。
【0031】
ここで望ましくは、木材からなるダボ21の繊維方向を、板材15の長手方向たる左右方向に沿わせていると良く、更に望ましくは、板材15の繊維方向を、板材15の長手方向たる左右方向に沿わせていると良い。
【0032】
そして、このようにすれば、ダボ21及び板材15の圧縮強度や圧縮剛性を、板材15の長手方向たる左右方向に関して高めることができる。これにより、水平外力が板壁11に作用した際のダボ21及び板材15のダボ穴16の潰れやめり込み等の圧縮変形量の低減を図れ、結果、上下に隣り合う板材15,15同士の左右方向の相対移動を確実に規制することができる。
【0033】
図1Aの例では、かかるダボ21,21…が、板壁11の壁面上において略格子状パターンで離散配置されている。すなわち、ダボ21,21…は、梁間方向(梁3の長手方向(左右方向))に所定ピッチで配置され、且つ上下方向に隣り合うダボ21,21同士は、梁間方向の位置を互いに揃えて配置されているが、この配置パターンは何等これに限るものではなく、例えば千鳥配置でも良い。
【0034】
以上説明してきた横長のダボ21による板壁11の水平耐力向上効果を、実験によっても確認しているので、その結果等について以下に説明する。
図4A及び図4Bは、実験に用いた試験片11s1,11s2及び試験装置の概略図である。図4Aには、実施例たる横長のダボ21の場合を示し、図4Bには比較例たる縦長のダボ121の場合を示している。
【0035】
図4Aに示す実施例の試験片11s1は、図2Aの板壁11において二点鎖線の部位を切り出したものに概ね相当する。また、図4Bに示す比較例の試験片11s2も、その外形寸法としては、上述の実施例と同寸である。すなわち、どちらの試験片11s1,11s2も、板材15の長手方向と直交する整列方向に並ぶ三枚の板材15,15,15を有し、整列方向の中央の板材15の両脇には、それぞれ一枚の板材15,15がダボ21(121)を介して取り付けられている。
【0036】
但し、図4Aの実施例の試験片11s1では、横長のダボ21が、中央の板材15の各小端15k,15kにそれぞれ一つずつ設けられているのに対し、図4Bの比較例の場合には、各小端15k,15kに、縦長のダボ121が二つずつ設けられている。また、実施例のダボ21の寸法は、24×180×60mmであるのに対して、比較例のダボ121の寸法は、24×24×60mmとしている。ここで、60mmは、板材15の整列方向に係るダボ21,121の長さL1であるが、実施例と比較例とは、共に、ダボ穴16,161の深さDを30mmに揃えていることから、ダボ21,121にあっても前記整列方向の長さL1を60mmに揃えている。また、板材15の長手方向に係るダボ16,161の長さL2については、実施例は180mmであるところ、比較例は24mmであり、これにより、実施例のダボ21は、比較例のダボ121よりも横長形状に形成されている。なお、残りの24mmは、板壁11の壁厚方向(図4A及び図4Bの紙面を貫通する方向)のダボ16,161の長さであり、互いに同寸である。
【0037】
一方、試験装置は、固定ヘッド91,91と可動ヘッド93とを有する。そして、固定ヘッド91,91に、試験片11s1(11s2)の両脇の各板材15,15を固定するとともに、可動ヘッド93の方には中央の板材15を固定した状態で、可動ヘッド93を板材15の長手方向に沿って例えば2mm/分の速度でスライドさせることにより、中央の板材15に対して前記長手方向の荷重を負荷し、その際の荷重値をロードセルで計測しつつ可動ヘッド93のスライド量を計測する。そして、計測された荷重値及びスライド量を、それぞれ、荷重−変位グラフの荷重値及び変位量として同グラフにプロットする。なお、スライド量の最大値は40mmであり、つまり40mmまでスライドさせた後に、除荷した。
【0038】
図5A及び図5Bに、実施例及び比較例の実験結果をそれぞれ示す。なお、ここでは、上述の実験を、実施例について3回、比較例については2回行っており、そのため、図5Aには3本のグラフが示され、図5Bには2本のグラフが示されている。
【0039】
また、同実験では、上述の実施形態の内容に対応させて、板壁11の板材15には檜材を用いる一方、実施例のダボ21には白樫を用い、また比較例のダボ121には欅を用いている。ここで、これら白樫や欅のどちらも、檜より十分に堅い木材である。よって、実験後にダボ21(121)及びダボ穴16(116)の損傷状態を観察したところ、専らダボ穴16(116)の方が凹んだりめり込まれるなど大きく損傷していた。つまり、ダボ21(121)の方の損傷は、概ね表面の浅い疵程度に留まっており、大きな凹み等の目立った外傷は無かった。
【0040】
以下、図5A及び図5Bのグラフを参照しながら、実験結果について説明する。
先ず、各試験片11s1,11s2の耐力であるが、これは、グラフの最初の荷重ピーク値で評価した。そして、図5Aの実施例の場合は、3つのグラフのピーク値の平均値が58.4kNであり、また、図5Bの比較例の場合は、2つのグラフのピーク値の平均値が35.3kNであった。このことから、実施例の試験片11s1は、ダボ数が比較例の二分の一であるにも拘わらず、比較例の試験片11s2よりも高い耐力を示すことがわかる。
【0041】
また、ダボ一つ当たりの耐力を求めてみると、比較例では、そのダボ数が4であることから、上記耐力35.3kNをダボ数4で除算して8.8kNが得られ、他方、実施例では、ダボ数が2であることから、上記耐力58.4kNを2で除算して29.2kNが得られた。よって、実施例の横長のダボ構造は、比較例の縦長のダボ構造の約3倍の耐力を有することがわかった。また初期剛性も向上しているが、それはダボ21と板材15との力の伝達が繊維方向同士の圧縮によってなされることも関係していると推察される。
【0042】
更に、実験後の各試験片11s1,11s2の損傷状態の観察結果によれば、比較例の試験片11s2では、ダボ121が大きく回転しているのに対して、実施例の試験片11s1では、ダボ21の回転が大幅に抑制されていることが確認された。このことから、ダボ21,121の回転挙動が、板壁11を模擬した各試験片11s1,11s2の耐力に大きく関係していることがわかった。
【0043】
ここで、図7及び図1Aを参照しながら、本実施形態の板壁11を用いた耐震改修方法について、既存の木造建築物の場合を例に説明する。この耐震改修は、既存の木造建築物を解体修理などする際に一緒に行われる。
【0044】
先ず、建築物から図7に示す既存の柱1及び梁3を解体する際に、既存の板壁111を柱1及び梁3から外す。すなわち、板壁111を構成する既存の板材115,115…及びダボ121,121…を柱1及び梁3から外す。
【0045】
次に、予め作成しておいた図1Aの板材15,15…及びダボ21,21…を現場に搬入する。そして、ダボ21によって板材15,15同士を順次連結していき、板壁11に組み立てる。これにより、縦長のダボ121から横長のダボ21へと変更されることとなり、もって、その耐震性は向上される。また、板壁11のダボ21は、既存の板壁111に用いていたダボ121よりも板材15の長手方向たる左右方向の長さが長いダボに変更されることにもなるので、これによっても、その耐震性は向上される。
【0046】
そうしたら、修理後の既存の柱1及び梁3を再度軸組みする前に、これら柱1及び梁3の溝状の大入れ1t,3tに、それぞれ複数のほぞ穴1h,1h…,3h,3h…を形成する(図1A)。そして、柱1及び梁3を軸組みする際には、これら柱1及び梁3の各ほぞ穴1h,1h…,3h,3h…に板壁11のほぞ15h,15h…,15h1,15h1…を嵌めて柱1及び梁3に板壁11を取り付け、以上をもって、板壁11の耐震改修化工事が終了する。
【0047】
ちなみに、上述では、既存の板壁111のみを新しい板壁11に交換し、既存の柱1及び梁3の方はそのまま流用していたが、何等これに限るものではなく、例えば、既存の木造建築物に対して新たに柱1及び梁3を追設し、その追設された柱1及び梁3に対して、本実施形態に係る板壁11を取り付けても良い。
更には、既存の木造建築物ではなく、新築の木造建築物に対して本実施形態の板壁11を適用可能であるのも言うまでもない。
【0048】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
【0049】
上述の実施形態では、ダボ21として直方体形状のものを例示したが、何等これに限るものではない。例えば断面が円形や楕円形等の円柱体でも良いし、断面が三角形の三角柱体でも良いし、断面が五角形以上の多角柱体でも良い。
【0050】
上述の実施形態では、建物の架構の柱1や梁3、板壁11に係る板材15やダボ21を木製としていたが、その素材は何等木材に限るものではない。例えば、コンクリート製や樹脂製、金属製等でも良い。
【0051】
上述の実施形態では、図1Aに示すように、板壁11の板材15の長手方向を水平方向に揃えていたが、何等これに限るものではない。例えば、図6の正面図に示すように、板材15の長手方向を上下方向(鉛直方向)に揃えても良い。そして、この場合には、板材15の長手方向が上下方向を向いていることから、ダボ21の長手方向も上下方向を向いて配置されることになる。つまり、ダボ21は、ダボ穴16に嵌合された状態において、板材15の長手方向と平行な上下方向の長さが板材15の整列方向と平行な左右方向の長さよりも長く設定されることになる。そして、かかる構成においても、上述と同じ理屈で、板壁11の水平耐力を高めることができて、建築物の耐震性を向上可能となる。すなわち、水平外力F0が板壁11に作用した場合に、図6に示すように、水平外力F0は、板壁11の内力を介して上下方向の剪断力F1に変換されるので、当該剪断力F1によって板材15,15同士が上下方向に相対移動することになるが、この時、この上下方向の相対移動をダボ21が規制するので、当該ダボ21は、上述の実施形態と同様の耐力向上効果を奏することができる。
【0052】
上述の実施形態では、図1Aに示すように、全てのダボ21,21…が同形状であり、また、全てのダボ21,21…の長手方向が板材15の長手方向と平行に配置されていたが、何等これに限るものではない。例えば、各小端15kにつき少なくとも一つのダボ21の長手方向が、板材15の長手方向と平行な向きに配置されていれば、それ相応の耐力向上効果を奏し得る。すなわち、整列方向に並ぶ全ての小端15k,15k…に関して、小端15k毎に、それぞれ、少なくとも一つのダボ21の長手方向が、板材15の長手方向と平行な向きに配置されていれば、本発明の範囲に属する。
但し、図1Aのように全てのダボ21,21…に関して、板材15の長手方向に係るダボ21の長さが、板材15の整列方向に係るダボ21の長さ以上になっている方が、板壁11の耐力をより確実に高めることができることから、好ましいのは言うまでもない。
【0053】
上述の実施形態では、図1B及び図2Bに示すように、板材15の厚み方向(つまり、壁厚方向(板壁11の厚み方向))のダボ21の長さを、板材15の厚みよりも小さくし、これによりダボ21を板材15内に完全に埋設していたが、何等これに限るものでない。例えば、板材15の厚み方向のダボ21の長さを、板材15の厚みと同厚又はそれ以上の長さにしても良い。但し、その場合には、板材15の板面から、ダボ21の一部(ダボ21において板材15の板面(又は板壁11の壁面)と平行な面)が外部に露出することになる。
【0054】
上述の実施形態では、図1Aに示すように、板材15毎に、その長手方向の両端部15e,15eにほぞ15tを一体に有している板壁11を例示したが、その際、作用効果については述べていなかったので、ここで、その作用効果について説明する。
【0055】
図7に、比較例の板壁111の正面図を示す。この比較例のように、一般に板壁111に係る板材115,115…は、その長手方向の両端部115e,115eにほぞを有していない。よって、左右一対の柱1,1にあってもほぞ穴は形成されておらず、つまり大入れ1tのみが上下に沿った溝状に形成されている。そして、板材115の長手方向の両端部115e,115eが当該大入れ1tに差し込まれて左右一対の柱1,1に固定されている。また、同様に、上下一対の梁3,3にもほぞ穴が形成されておらず、大入れ3tのみが左右に沿った溝状に形成されており、これに対応して、上端の板材115の上端面115mや下端の板材115の下端面115nもほぞを有しておらず、もって、上端の板材115の上端面115m及び下端の板材115の下端面115nが、それぞれ大入れ3t,3tに差し込まれて上下一対の梁3,3に固定されている。
【0056】
このような構成において、図8に示すような水平外力Fが作用すると、柱1及び梁3からなる木造軸組は、図8の二点鎖線のように、比較的容易に平行四辺形状に変形してしまう。すなわち、せん断力を受けた軸組内で板壁111全体が四辺でせん断力を伝達することができないため、対角方向に圧縮力を受けて抵抗する際に、対角両端の隅角部に圧縮力が集中しその結果、対角両端の板材115の繊維に直交方向に横圧縮が発生してつぶれ、対角長さが短くなることによって木造軸組は容易に平行四辺形状に変形してしまう。すると、所謂対角圧縮現象によって、図8に示す木造軸組みの四つの内角θ1,θ2,θ3,θ4のうちの鈍角の方の内角θ1,θ3につき、その対角線上に生じている圧縮束の影響により梁材3と柱材1の交点付近に圧縮束からの応力が作用し、これにより、当該部位が破損し易くなる。
【0057】
これに対して、図1Aの本実施形態の板壁11にあっては、各板材15,15…は、その長手方向たる左右方向の各端部15e,15eにほぞ15tを有しており、これらほぞ15t,15t…に対応させて、左右の各柱1,1の大入れ1tの底面には、ほぞ穴1h,1h…が断続的に形成されている。また、上端の板材15の上端面及び下端の板材15の下端面にも、それぞれ、複数のほぞ15h1,15h1…が断続的に形成されており、これに対応させて、上梁3及び下梁3の各大入れ3t,3tの底面には、それぞれ、複数のほぞ穴3h,3h…が断続的に形成されている。
【0058】
よって、上述の図8の水平外力Fが作用した際にも、ほぞ15tとほぞ穴1tとの嵌合によって、板材15の両端部15e,15eの柱1,1に対する鉛直方向の応力伝達が可能になるとともに、同じく、ほぞ15h1とほぞ穴3hとの嵌合によって、上端の板材15の上端面と上梁3との水平方向の応力伝達、及び下端の板材15の下端面と下梁3との水平方向の応力伝達が可能となる。これにより、上述の圧縮束の水平方向及び鉛直方向の分力を梁材3及び柱材1に効果的に伝達することが可能となり、水平外力Fの値を図7に示す架構形式よりも大きく設定することができる。合せて梁材3及び柱材1が変形に抵抗する要素となるため、平行四辺形状の変形も抑えられる。その結果、板壁11の面内せん断剛性及び耐力はより向上する。
【0059】
すなわち、各々の板材15の両端部が柱1にほぞ差しされていることで、鉛直方向のせん断力が伝達され、上下端の板材15が梁3にも前記同様に嵌合されていることにより水平方向のせん断力が伝達される。そのため、従来の板壁111のように、ただ溝1t,3tにはまっているだけだと、筋かいのように対角方向の圧縮力で四周の軸組に力を伝達することになり、両端隅角部の板材15が繊維直交方向につぶれて、剛性・耐力が上がらないという欠点があるが、これを解決して剛性・耐力を向上させることを可能としている。
【0060】
ちなみに、上述では、耐力の改善効果について、板材15の長手方向を水平方向に揃えながら複数の板材15,15…が上下方向に並んで配置された場合を例に説明したが(図1A)、何等これに限るものではない。すなわち、図6に示すように、板材15の長手方向を上下方向(鉛直方向)に揃えながら複数の板材15,15…が水平方向(左右方向)に並んで配置された場合についても、ほぞ15h1とほぞ穴1hとの嵌合及びほぞ15hとほぞ穴3hとの嵌合によって、耐力が改善されるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 柱、1e 端部、1h ほぞ穴、1t 大入れ、
3 梁、3e 端部、3h ほぞ穴、3t 大入れ、4 込栓、
11 板壁、11s1 試験片、11s2 試験片、
15 板材、15k 小端、15e 端部、15h ほぞ、15h1 ほぞ、
15u 上端面、15d 下端面、
16 ダボ穴、
21 ダボ、21a 面、
91 固定ヘッド、93 可動ヘッド、
111 板壁、115k 小端、115u 上端面、115d 下端面、
115m 上端面、115n 下端面、
116 ダボ穴、
121 ダボ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板材を有する板壁であって、
前記複数の板材は、前記板材の長手方向を鉛直方向及び水平方向のどちらか一方に揃えながら、互いに隣り合う前記板材同士が小端において当接されることにより、前記長手方向と直交する方向を整列方向として整列配置され、
前記小端には、前記整列方向に隣り合う前記板材同士の前記長手方向の相対移動を規制する複数のダボが設けられ、
各小端につき少なくとも一つのダボの前記長手方向の長さが、前記整列方向の長さ以上であることを特徴とする板壁。
【請求項2】
請求項1に記載の板壁であって、
前記板壁は、一対の鉛直材及び一対の水平材によってその内方に区画される空間に配置され、
前記板材の前記長手方向の両端部には、ほぞが設けられ、
前記板材の長手方向を水平方向に揃えながら複数の前記板材が整列配置される場合には、前記板材の前記長手方向の両端部のほぞが、これらほぞに対応させて前記一対の鉛直材に形成されたほぞ穴に嵌合することにより、前記一対の鉛直材に前記板材が固定され、
前記板材の長手方向を鉛直方向に揃えながら複数の前記板材が整列配置される場合には、前記板材の前記長手方向の両端部のほぞが、これらほぞに対応させて前記一対の水平材に形成されたほぞ穴に嵌合することにより、前記一対の水平材に前記板材が固定されることを特徴とする板壁。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の板壁であって、
前記板壁が具備する全ての前記ダボに関して、前記長手方向の長さが、前記整列方向の長さ以上であることを特徴とする板壁。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の板壁であって、
前記ダボは木材であり、
前記木材の繊維方向は、前記長手方向に沿っていることを特徴とする板壁。
【請求項5】
請求項4に記載の板壁であって
前記板材は木材であり、
前記木材の繊維方向は、前記長手方向に沿っており、
前記板材よりも前記ダボの方が堅い木材であることを特徴とする板壁。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の板壁であって、
前記ダボの前記長手方向の両端面は、前記長手方向と直交する垂直面に形成されており、
前記小端に設けられて前記ダボが嵌合するダボ穴の前記長手方向の両端面は、前記長手方向と直交する垂直面に形成されていることを特徴とする板壁。
【請求項7】
複数の板材を有する板壁の耐震改修方法であって、
前記複数の板材は、前記板材の長手方向を鉛直方向及び水平方向のどちらか一方に揃えながら、互いに隣り合う前記板材同士が小端において当接されることにより、前記長手方向と直交する方向を整列方向として整列配置されているとともに、前記小端には、前記整列方向に隣り合う前記板材同士の前記長手方向の相対移動を規制する複数のダボが設けられており、
各小端につき少なくとも一つのダボを、前記長手方向の長さが前記整列方向の長さ以上のダボに変更することを特徴とする板壁の耐震改修方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−12861(P2012−12861A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151343(P2010−151343)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(510183545)株式会社中村建築研究所 (2)
【出願人】(510183589)
【Fターム(参考)】