説明

染料およびアルカリ剤を含むエマルションならびに酸化組成物を使用するケラチン物質の明色化染色方法

【課題】既存の方法の欠点を有さないのと同時に、得られる呈色の強さ、およびケラチン繊維に沿った色度および呈色の均一性の両方に関して少なくとも同様に効果的なままである酸化剤の存在下で実施される染色方法を提案すること。
【解決手段】本発明は、
a)直接エマルション(A)の総重量に対して25重量%を超える、好ましくは50重量%を超える量の、1種または複数の脂肪物質、1種または複数の界面活性剤、1種または複数のアルカリ剤、直接染料および酸化染料から選択される1種または複数の着色またはカラーリング化学種、ならびに5%を超える量の水を含む直接エマルション(A)、
b)1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)
が使用される、ケラチン物質の明色化方法に関する。
本発明は、区画の1つに該エマルション(A)、および別の区画に1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)を含む多区画装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトケラチン物質、特に毛髪の明色染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維などのヒトケラチン物質の明色化方法は、大半の場合はアルカリpH条件下で、少なくとも1種の酸化剤を含む水性組成物を使用することにある。この酸化剤は、毛髪のメラニンを分解する役割を担い、存在する酸化剤の性質に応じて該繊維を多少明白な明色化をもたらす。したがって、比較的弱い明色化に関しては、一般に、酸化剤は過酸化水素である。より強い明色化が求められる場合、通常、過酸化水素の存在下で、過酸化塩でできたもの、例えば過硫酸塩が使用される。
【0003】
明色化方法がアルカリ条件下で実施され、最も一般的に使用されるアルカリ剤がアンモニア水であるという事実から、1つの問題が生じる。アンモニア水は、この種の方法で特に有利である。その理由は、アンモニア水が該組成物のpHをアルカリpHへ調整して、酸化剤の分解を可能にするというものである。しかし、このアルカリ剤は、酸化剤の該繊維への浸透を促進する、キューティクルの穴を有するケラチン繊維の膨張も引き起こし、したがってその反応の有効性を増大させる。
【0004】
しかし、この塩基性化剤は非常に揮発性であり、該方法の間に放出される、特徴的で強力な、かなり不快なアンモニアの臭気が原因で、その使用者は不快に感じる。
【0005】
さらに、放出されるアンモニアの量は、この損失を代償するために必要な量より高い含量の使用を必要とする。このことは、臭気により迷惑を感じたままであるだけではなく、耐えられないこと、例えば頭皮の刺激(ヒリヒリ感)のリスクの増大に直面する恐れもある使用者に対する影響を伴う。
【0006】
アンモニア水の全てまたは一部を、1種または複数の他の標準的塩基性化剤で純粋および単純に代替するという選択肢に関しては、この選択肢は、特にこれらの塩基性化剤が、酸化剤の存在下で着色繊維を十分に明色化させないため、アンモニア水に基づいたものほど有効な組成物をもたらさない。
【0007】
毛髪の染色に関しては、酸化塩基およびカップラーなどの染料前駆物質により開始する毛髪の永久的染色のために、酸化組成物が使用される。直接染色に関しては、この方法は、呈色を示すために酸化剤の使用を必要としないが、酸化剤を使用して、染色により明色化効果を得ることは除外されない。そのため、これは、明色化条件下での直接染色または半永久的染色と呼ばれる。
【0008】
この酸化剤は、毛髪のメラニンを分解する役割を担い、存在する酸化剤の性質に応じて該繊維を多少明白な明色化をもたらす。したがって、比較的弱い明色化に関しては、一般に、酸化剤は過酸化水素である。より強い明色化が求められる場合、通常、過酸化水素の存在下で、過酸化塩でできたもの、例えば過硫酸塩が使用される。
【0009】
明色化方法がアルカリ条件下で実施され、最も一般的に使用されるアルカリ剤がアンモニア水であるという事実から、1つの問題が生じる。アンモニア水の使用は、この種の方法で特に有利である。その理由は、アンモニア水が該組成物のpHをアルカリpHへ調整して、酸化剤の活性化を可能にするというものである。しかし、このアルカリ剤は、酸化剤、さらには染料、特に酸化染料の該繊維への浸透を促進する、キューティクルの穴を有するケラチン繊維の膨張も引き起こし、したがって染色反応の有効性を増大させる。
【0010】
しかし、この塩基性化剤は非常に揮発性であり、その使用者は該方法の間に放出される、特徴的で強力な、かなり不快なアンモニアの臭気が原因で不快に感じる。
【0011】
さらに、放出されるアンモニアの量は、この損失を代償するために必要な量より高い含量の使用を必要とする。このことは、臭気により迷惑を感じたままであるだけではなく、耐えられないこと、例えば、ヒリヒリ感に反映される頭皮の刺激のリスクの増大に直面する恐れもある使用者に対する影響を伴う。
【0012】
アンモニア水の全てまたは一部を、1種または複数の他の標準的塩基性化剤と純粋および単純に代替するという選択肢に関しては、この選択肢は、特にこれらの塩基性化剤が、酸化剤の存在下で着色繊維を十分に明色化させないため、アンモニア水に基づいたものほど有効な組成物をもたらさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】GB1026978
【特許文献2】GB1153196
【特許文献3】FR2801308
【特許文献4】DE2359399
【特許文献5】JP88-169571
【特許文献6】JP05-63124
【特許文献7】EP0770375
【特許文献8】WO96/15765
【特許文献9】DE3843892
【特許文献10】DE4133957
【特許文献11】WO94/08969
【特許文献12】WO94/08970
【特許文献13】FR-A-2733749
【特許文献14】DE19543988
【特許文献15】FR-A-2886136
【特許文献16】WO95/15144
【特許文献17】WO95/01772
【特許文献18】EP714954
【特許文献19】FR2189006
【特許文献20】FR2285851
【特許文献21】FR2140205
【特許文献22】EP1378544
【特許文献23】EP1674073
【特許文献24】EP1637566
【特許文献25】EP1619221
【特許文献26】EP1634926
【特許文献27】EP1619220
【特許文献28】EP1672033
【特許文献29】EP1671954
【特許文献30】EP1671955
【特許文献31】EP1679312
【特許文献32】EP1671951
【特許文献33】EP167952
【特許文献34】EP167971
【特許文献35】WO06/063866
【特許文献36】WO06/063867
【特許文献37】WO06/063868
【特許文献38】WO06/063869
【特許文献39】EP1408919
【特許文献40】EP1377264
【特許文献41】EP1377262
【特許文献42】EP1377261
【特許文献43】EP1377263
【特許文献44】EP1399425
【特許文献45】EP1399117
【特許文献46】EP1416909
【特許文献47】EP1399116
【特許文献48】EP1671560
【特許文献49】EP1006153
【特許文献50】EP1433472
【特許文献51】EP1433474
【特許文献52】EP1433471
【特許文献53】EP1433473
【特許文献54】EP6291333
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Walter Noll「Chemistry and Technology of Silicones」(1968) Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、Jan. 76、27〜32頁、Todd & Byers「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」
【非特許文献3】「The HLB system. A time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.出版、1984)
【非特許文献4】K. Shinoda、J.Chem. Soc. Jpn.、1968年、89、435
【非特許文献5】K. ShinodaおよびH. Saito、J.Colloid Interface Sci.、1969年、30、258
【非特許文献6】「Application of the Phase-inversion-temperature method to the emulsification of cosmetics」、T. Mitsui、Y. MachidaおよびF. Harusawa、American Cosmet. Perfum.、1972年、87、33
【非特許文献7】Colour Index International、第3版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の1つの目的は、既存の方法の欠点を有さないのと同時に、得られる呈色の強さ、および該繊維に沿った色度および呈色の均一性の両方に関して少なくとも同様に効果的なままである酸化剤の存在下で実施される染色方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的および他の目的は、本発明により達成され、したがって、その目的の1つは、ケラチン物質の明色化方法であって、
a)直接エマルション(A)の総重量に対して25重量%を超える、好ましくは50重量%を超える量の、1種または複数の脂肪物質、1種または複数の界面活性剤、1種または複数のアルカリ剤、直接染料および酸化染料から選択される1種または複数の着色またはカラーリング化学種、ならびに5%を超える量の水を含む直接エマルション(A)、
b)1種または複数の酸化剤を含む水性組成物(B)
が使用される方法である。
【0017】
本発明は、区画の1つにエマルション(A)、および別の区画に1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)を含む多区画装置にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の文脈においては、直接エマルションは、水中油型エマルションである。
【0019】
以下の文章では、別段の定めのない限り、ある値の範囲の境界はその範囲に含まれる。
【0020】
本発明による方法により処理されるケラチン物質は、例えば、体毛、睫毛および頭髪である。本発明の方法は、刺激性であり得るアンモニアの臭気を放出することなく、頭髪などのこれらのケラチン物質の良好なレベルの明色化を達成することを特に可能にする。
【0021】
より具体的には、エマルション(A)は、該エマルションの重量に対して50重量%未満、好ましくは重量換算で10重量%と50重量%の間の含水率を有する。
【0022】
本発明において有用な水中油型エマルション種は、1種または複数の脂肪物質を含む。
【0023】
「脂肪物質」という用語は、常温(25℃)および大気圧(760mmHg)で水に不溶である(5%未満、好ましくは1%、さらにより優先的には0.1%の溶解度)有機化合物を意味する。脂肪物質は、その構造中に一連の少なくとも2個のシロキサン基または少なくとも6個の炭素原子を含有する少なくとも1種の炭化水素系鎖を含有する。さらに、脂肪物質は、同じ温度および圧力条件下の有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼンまたはデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶である。
【0024】
本発明によると、該組成物は、少なくとも25%の、脂肪酸以外の脂肪物質を含む。
【0025】
脂肪物質は、低級アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、油、特に非シリコーンの鉱物油、植物油、動物油または合成油、非シリコーンワックスおよびシリコーンから特に選択される。
【0026】
本発明の目的のために、脂肪アルコール、脂肪族エステルが、より具体的には、1種または複数のヒドロキシル基(特に1〜4)により場合により特に置換されている、6〜30個の炭素原子を含有する少なくとも1種の直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和の炭化水素系基を含有することが想起される。これらの化合物は、それらが不飽和である場合、1〜3個の共役または非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0027】
低級アルカンに関しては、それは好ましくは6〜16個の炭素原子を含み、直鎖または分岐鎖、および場合により環状である。例として、アルカンは、ヘキサンおよびドデカン、ならびにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカンおよびイソデカンから選択し得る。
【0028】
本発明による組成物において使用し得る油として、
- ペルヒドロスクアレンなどの動物由来の炭化水素系油、
- 6〜30個の炭素原子を含有する液体脂肪酸トリグリセリドなどの植物由来の炭化水素系油、例えばヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド、または代替として、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ハシバミ油、キョウニン油、マカダミア油、アララ(arara)油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されているものまたはMiglyol(登録商標)810、812および818という商品名でDynamit Nobel社により販売されているもの、ホホバ油およびシアバター油、
- 鉱物または合成由来の、16個を超える炭素原子の直鎖または分岐鎖の炭化水素、液体パラフィン、石油ゼリー、液体石油ゼリー、ポリデセン、およびParleam(登録商標)などの水添ポリイソブテン、
- フッ素化油、例えばFlutec(登録商標)PC1およびFlutec(登録商標)PC3という商品名でBNFL Fluoro Chemicals社により販売されているペルフルオロメチルシクロペンタンおよびペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;PF5050(登録商標)およびPF5060(登録商標)という商品名で3M社により販売されているドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサン、またはForalkyl(登録商標)という商品名でAtochem社により販売されているブロモペルフルオロオクチルなどのペルフルオロアルカン;ノナフルオロメトキシブタンおよびノナフルオロエトキシイソブタン;PF5052(登録商標)という商品名で3M社により販売されている4-トリフルオロメチルペルフルオロモルホリンなどのペルフルオロモルホリン誘導体
を例として挙げ得る。
【0029】
本発明の組成物において使用し得る脂肪アルコールは、オキシアルキレン化されていない。脂肪アルコールは、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖であり、6〜30個の炭素原子、より具体的には8〜30個の炭素原子を含有する。セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコールを挙げ得る。
【0030】
本発明の組成物において使用し得るワックス(複数可)は、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、エスパルトグラスワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、オリーブワックス、ライスワックス、水添ホホバワックスまたはBertin社(France)により販売されているクロスグリの花のエッセンシャルワックスなどの花の純粋ワックスなどの植物ワックス、動物ワックス、例えばミツロウまたは変性ミツロウ(セラベリナ(cerabellina))から選択される。本発明によって使用し得る他のワックスまたはワックス状出発物質は、特にM82という参照名でSophim社により販売されている製品などのマリーンワックスであり、一般に、ポリエチレンワックスまたはポリオレフィンワックスである。
【0031】
該エステルは、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖のC1〜C26脂肪族一塩基酸またはポリ酸のエステルおよび飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖のC1〜C26脂肪族モノアルコールまたはポリアルコールのエステルであり、該エステルの合計炭素数は、10以上である。
【0032】
モノエステルの中で、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、乳酸アルキル(C12〜C15)、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸(イソ)ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、リシノール酸メチルアセチル、ステアリン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチルおよびイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシル、ミリスチルまたはステアリルなどのミリスチン酸アルキル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルを挙げ得る。
【0033】
さらにこの変形形態に関しては、C4〜C22ジカルボン酸またはトリカルボン酸のエステルおよびC1〜C22アルコールのエステルおよびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸のエステルおよびC2〜C26ジヒドロキシアルコール、トリヒドロキシアルコール、テトラヒドロキシアルコールまたはペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用し得る。
【0034】
以下のもの、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアリン酸オクチルドデシルステアロイル、モノリシノール酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール、およびジステアリン酸ポリエチレングリコールを特に挙げ得る。
【0035】
上述のエステル中で、パルミチン酸エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチルまたはステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチルまたは2-オクチルドデシルなどのミリスチン酸アルキル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニルまたはオクタン酸セチルを使用することが好ましい。
【0036】
該組成物は、脂肪族エステルとして、C6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖エステルおよびジエステルも含み得る。「糖」という用語が、少なくとも4個の炭素原子を含有し、アルデヒドまたはケトン官能基を有する、または有さない、いくつかのアルコール官能基を含有する酸素保有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖または多糖でもよい。
【0037】
好適な糖の例として、スクロース(またはサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロースおよびラクトース、ならびにそれらの誘導体、特にメチル誘導体などのアルキル誘導体、例えばメチルグルコースを挙げ得る。
【0038】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖および直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のC6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸のエステルまたはエステルの混合物を含む基から特に選択し得る。これらの化合物は、それらが不飽和である場合、1〜3個の共役または非共役炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0039】
この変形形態のエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルおよびポリエステル、ならびにそれらの混合物からも選択し得る。
【0040】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステルおよびアラキドン酸エステル、または、特にオレオ-パルミチン酸エステル、オレオ-ステアリン酸エステルおよびパルミト-ステアリン酸エステルの混合エステルなどのそれらの混合物から選択し得る。
【0041】
より具体的には、モノエステルおよびジエステル、特にスクロース、グルコースまたはメチルグルコースのモノオレイン酸またはジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステルおよびオレオステアリン酸エステルを使用することが好ましい。
【0042】
例として、ジオレイン酸メチルグルコースである、Glucate(登録商標)DOという商品名でAmerchol社により販売されている製品を挙げ得る。
【0043】
糖および脂肪酸のエステルまたはエステルの混合物の例として、
- それぞれ73%のモノエステルと27%のジエステルおよびトリエステルから、61%のモノエステルと39%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルから、52%のモノエステルと48%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルから、45%のモノエステルと55%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルから、39%のモノエステルと61%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルから形成されたパルミトステアリン酸スクロースならびにモノラウリン酸スクロースを示す、F160、F140、F110、F90、F70およびSL40という商品名でCrodesta社により販売されている製品、
- 例えば、B370という参照名で、20%のモノエステルと80%のジ-トリエステル-ポリエステルから形成されたベヘン酸スクロースに相当する、Ryoto Sugar Esterという商品名で販売されている製品、
- Tegosoft(登録商標)PSEという商品名でGoldschmidt社により販売されているモノ-ジパルミト-ステアリン酸スクロース
も挙げ得る。
【0044】
本発明の化粧品組成物において使用し得るシリコーンは、揮発性または不揮発性、環状、直鎖または分岐鎖のシリコーンであり、有機基により変性されていないか、または変性されており、25℃で5×10-6〜2.5m2/s、好ましくは1×10-5〜1m2/sの粘度を有する。
【0045】
本発明によって使用し得るシリコーンは、油、ワックス、樹脂またはゴムの形態でもよい。
【0046】
好ましくは、シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、ならびにポリ(オキシアルキレン)基、アミノ基およびアルコキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を含む有機変性ポリシロキサンから選択される。
【0047】
有機ポリシロキサンは、Walter Nollの「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Pressで、より詳細に定義されている。有機ポリシロキサンは、揮発性でも不揮発性でもよい。
【0048】
有機ポリシロキサンが揮発性である場合、シリコーンは、より具体的には、60℃と260℃の間の沸点を有するもの、さらにより具体的には、以下のものから選択される。
【0049】
(i)3〜7個、好ましくは4〜5個のケイ素原子を含有する環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にVolatile Silicone(登録商標)7207という商品名でUnion Carbideにより、またはSilbione(登録商標)70045 V 2という商品名でRhodiaにより販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Volatile Silicone(登録商標)7158という商品名でUnion Carbideにより、およびSilbione(登録商標)70045 V 5という商品名でRhodiaにより販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、ならびにそれらの混合物である。
【0050】

【0051】
【化1】

【0052】
の、Union Carbide社により販売されているVolatile Silicone(登録商標)FZ3109などの、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマーも挙げ得る。
【0053】
オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)の混合物およびオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンの混合物などの、環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物の混合物も挙げ得る。
【0054】
(ii)2〜9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖の揮発性ポリジアルキルシロキサン。一例は、特にSH200という商品名でToray Silicone社により販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、Jan. 76、27〜32頁で公表された、Todd & Byers「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」という論文にも記載されている。
【0055】
好ましくは、不揮発性ポリジアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサンゴムおよび樹脂、上述の有機官能基により変性されたポリ有機シロキサン、ならびにそれらの混合物が使用される。
【0056】
これらのシリコーンは、より具体的には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中でトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを主に挙げ得る。シリコーンの粘度は、例えば、25℃でASTM規格445 Appendix Cに従って測定される。
【0057】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の商品、
- 47および70047シリーズのSilbione(登録商標)油またはRhodiaによるMirasil(登録商標)油、例えば油70047 V 500000、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- 60000mm2/sの粘度を有するDC200などのDow Corning社の200シリーズの油、
- General ElectricのViscasil(登録商標)油およびGeneral ElectricのSFシリーズ(SF96、SF18)の特定の油
を非限定的な形で挙げ得る。
【0058】
Rhodia社の48シリーズの油などの、ジメチコノール(CTFA)という商品名で知られている、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサンも挙げ得る。
【0059】
ポリジアルキルシロキサンのこのカテゴリーでは、ポリ(C1〜C20)ジアルキルシロキサンである、Abil Wax(登録商標)9800および9801という商品名でGoldschmidt社により販売されている製品も挙げ得る。
【0060】
本発明によって使用できるシリコーンゴムは、特に溶媒中で単独で、または混合物として使用される、200000と1000000の間の高い数平均分子量を有するポリジアルキルシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサンである。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカンおよびトリデカン、またはそれらの混合物から選択できる。
【0061】
本発明によって使用できる製品は、より具体的には、以下のものなどの混合物である。
- 鎖の末端でヒドロキシル化されたポリジメチルシロキサン、すなわちジメチコノール(CTFA)とDow Corning社により販売されている製品Q2 1401などの、シクロメチコン(CTFA)としても知られている環状ポリジメチルシロキサンから形成される混合物。
- General Electric社の製品SF1214 Silicone Fluidなどの、ポリジメチルシロキサンゴムと環状シリコーンから形成される混合物。この製品は、500000の数平均分子量を有するジメチコンに相当するSF30ゴムであり、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当する油SF1202 Silicone Fluid中に溶解されている。
- General Electric社の製品SF1236などの、異なる粘度を有する2種のPDMS、より具体的にはPDMSゴムとPDMS油の混合物。製品SF1236は、上で定義した20m2/sの粘度を有するSE30ゴムと5×10-6m2/sの粘度を有するSF96油の混合物である。この製品は、好ましくは15%のSE30ゴムおよび85%のSF96油を含有する。
【0062】
本発明によって使用できる有機ポリシロキサン樹脂は、以下の単位、
R2SiO2/2、R3SiO1/2、RSiO3/2およびSiO4/2
(式中、Rは、1〜16個の炭素原子を含有する炭化水素系基を表す)を含有する架橋シロキサン系である。これらの製品の中で、特に好ましいのは、RがC1〜C4低級アルキル基、より具体的にはメチルを示すものである。
【0063】
これらの樹脂の中で、ジメチル/トリメチルシロキサン構造のシリコーンである、Dow Corning 593という商品名で販売されている製品またはSilicone Fluid SS4230およびSS4267という商品名でGeneral Electric社により販売されているものを挙げ得る。
【0064】
X22-4914、X21-5034およびX21-5037という商品名でShin-Etsu社により販売されている、トリメチルシロキシシリケート型の樹脂も特に挙げ得る。
【0065】
本発明によって使用できる有機変性シリコーンは、上で定義したシリコーンであり、炭化水素系基を介して結合した1種または複数の有機官能基をその構造中に含む。
【0066】
上記のシリコーン以外に、有機変性シリコーンは、前述の有機官能基により官能化されたポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン、およびポリアルキルアリールシロキサンでもよい。
【0067】
ポリアルキルアリールシロキサンは、25℃で1×10-5〜5×10-2m2/sの粘度を有する直鎖および/または分岐鎖のポリジメチル/メチルフェニルシロキサンおよびポリジメチル/ジフェニルシロキサンから特に選択される。
【0068】
これらのポリアルキルアリールシロキサンの中で、例として、以下の名前、
- Rhodiaの70641シリーズのSilbione(登録商標)油、
- RhodiaのRhodorsil(登録商標)70633および763シリーズの油、
- Dow Corningの油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- 製品PK20などの、BayerのPKシリーズのシリコーン、
- 製品PN1000およびPH1000などの、BayerのPNおよびPHシリーズのシリコーン、
- SF1023、SF1154、SF1250およびSF1265などの、General ElectricのSFシリーズの特定の油
で販売されている製品を挙げ得る。
【0069】
有機変性シリコーンの中で、
- DC1248という商品名でDow Corning社によるジメチコンコポリオールとして知られている製品、またはUnion Carbide社による油Silwet(登録商標)L722、L7500、L77およびL711などの、C6〜C24アルキル基を場合により含むポリエチレンオキシおよび/またはポリプロピレンオキシ基、ならびにQ2 5200という商品名でDow Corning社により販売されている(C12)アルキルメチコンコポリオール。
- GP4 Silicone FluidおよびGP7100という商品名でGenesee社により販売されている製品、あるいはQ2 8220およびDow Corning 929または939という商品名でDow Corning社により販売されている製品などの、置換または非置換アミン基。置換アミン基は、特に、C1〜C4アミノアルキル基である。
- Silicon Copolymer F-755という商品名でSWS Siliconesにより販売されている製品、ならびにGoldschmidt社によるAbil Wax(登録商標)2428、2434および2440などのアルコキシル化基
を含むポリ有機シロキサンを挙げ得る。
【0070】
好ましくは、脂肪物質は、オキシアルキレン化もグリセロール化もされていない。
【0071】
より具体的には、脂肪物質は、室温および大気圧で液体またはペースト状である化合物から選択される。
【0072】
好ましくは、脂肪物質は、25℃の温度および大気圧で液体である化合物である。
【0073】
脂肪物質は、好ましくはC6〜C16低級アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、16個を超える炭素原子を含有する動物由来の非シリコーン油、または植物もしくは合成由来の非シリコーン油、およびシリコーンから選択される。
【0074】
一実施形態によると、脂肪物質(複数可)は、液体石油ゼリー、ポリブテン、脂肪酸もしくは脂肪アルコールの液体エステル、またはそれらの混合物から選択される。特に、本発明による組成物の脂肪物質(複数可)は、非シリコーンである。
【0075】
好ましくは、アルカンまたは炭化水素およびシリコーンが選択されよう。
【0076】
本発明による組成物は、少なくとも25%の脂肪物質を含む。好ましくは、脂肪物質濃度は、該組成物の総重量の25%〜80%、さらにより優先的には25%〜65%、さらに良好には30%〜55%の範囲である。
【0077】
エマルション(A)は、1種または複数の界面活性剤も含む。
【0078】
好ましくは、界面活性剤(複数可)は、非イオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤から選択される。
【0079】
アニオン性界面活性剤は、例えば、以下の化合物の塩(特にアルカリ金属塩、特にナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩またはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩)、
- アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、
- アルキルスルホン酸塩、アルキルアミドスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、
- アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、
- アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルアミドスルホコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、
- アルキルスルホ酢酸塩、
- アシルサルコシン酸塩、アシルイセチオン酸塩およびN-アシルタウリン酸塩、
- オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸またはステアリン酸、ヤシ油酸または水添ヤシ油酸などの脂肪酸の塩、
- アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩、
- アシル乳酸塩、
- ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸またはポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸、特に2〜50個の酸化エチレン基を含有するものの塩、
- ならびにそれらの混合物
から選択される。
【0080】
これらの様々な化合物のアルキルまたはアシル基が、6〜24個の炭素原子、好ましくは8〜22個の炭素原子、さらにより優先的には18〜22個の炭素原子を含有することが有利であり、アリール基が、好ましくはフェニルまたはベンジル基を示すことに留意されたい。
【0081】
非イオン性界面活性剤は、より具体的にはモノオキシアルキレン化またはポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化またはポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択される。オキシアルキレン単位は、より具体的にはオキシエチレンまたはオキシプロピレン単位、またはそれらの組合せ、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0082】
オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例として、
・ オキシアルキレン化(C8〜C24)アルキルフェノール、
・ 飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖のオキシアルキレン化C8〜C30アルコール、
・ 飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖のオキシアルキレン化C8〜C30アミド、
・ 飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖のC8〜C30酸およびポリエチレングリコールのエステル、
・ 飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖のC8〜C30酸およびソルビトールのポリオキシエチレン化エステル、
・ 飽和または不飽和のオキシエチレン化植物油、
・ とりわけ、単独の、または混合物としての酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンの縮合物、
を挙げ得る。
【0083】
界面活性剤は、1と100の間、好ましくは2と50の間のモル数の酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンを含有する。非イオン性界面活性剤がオキシプロピレン単位を全く含まないことが有利である。
【0084】
本発明の好ましい実施形態によると、オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化C8〜C30アルコール、好ましくはオキシエチレン化C18〜C30アミンから選択される。
【0085】
エトキシル化脂肪アルコールの例として、酸化エチレンのラウリルアルコールとの付加物、特に9〜50個のオキシエチレン基を含有するもの、より具体的には10〜12個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名としてはラウレス10〜ラウレス12);酸化エチレンのベヘニルアルコールとの付加物、特に9〜50個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス9〜ベヘネス50);酸化エチレンのセテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物)との付加物、特に10〜30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス10〜セテアレス30);酸化エチレンのセチルアルコールとの付加物、特に10〜30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名としてはセテス10〜セテス30);酸化エチレンのステアリルアルコールとの付加物、特に10〜30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名としてはステアレス10〜ステアレス30);酸化エチレンのイソステアリルアルコールとの付加物、特に10〜50個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス10〜イソステアレス50);ならびにそれらの混合物を挙げ得る。
【0086】
エトキシル化脂肪酸の例として、酸化エチレンのラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸との付加物、およびそれらの混合物、特にラウリン酸PEG9〜PEG50(CTFA名としては、ラウリン酸PEG9〜ラウリン酸PEG50)、パルミチン酸PEG9〜PEG50(CTFA名としては、パルミチン酸PEG9〜パルミチン酸PEG50)、ステアリン酸PEG9〜PEG50(CTFA名としては、ステアリン酸PEG9〜ステアリン酸PEG50)、パルミトステアリン酸PEG9〜PEG50、ベヘン酸PEG9〜PEG50(CTFA名としては、ベヘン酸PEG9〜ベヘン酸PEG50)などの、9〜50個のオキシエチレン基を含有するもの;ならびにそれらの混合物を挙げ得る。
【0087】
脂肪アルコールおよび脂肪酸のこれらのオキシエチレン化誘導体の混合物も使用し得る。
【0088】
本発明の好ましい一実施形態によると、エマルション(A)は、少なくとも1種のエトキシル化脂肪アルコール、好ましくは少なくともベヘニルアルコールを含む。
【0089】
モノグリセロール化またはポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、好ましくはモノグリセロール化またはポリグリセロール化C8〜C40アルコールが使用される。
【0090】
特に、モノグリセロール化またはポリグリセロール化C8〜C40アルコールは、以下の式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H
(式中、Rは、直鎖または分岐鎖のC8〜C40、好ましくはC8〜C30アルキルまたはアルケニル基を表し、mは、1〜30、好ましくは1〜10の範囲の数を表す)に相当する。
【0091】
本発明の文脈において好適な化合物の例として、4モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、および6モルのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げ得る。
【0092】
アルコールは、mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールの混合物を表すことができ、そのことは、商品中でいくつかのポリグリセロール化脂肪アルコールの化学種が混合物の形態で共存し得ることを意味する。
【0093】
モノグリセロール化またはポリグリセロール化アルコールの中で、より具体的には、1モルのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1モルのグリセロールを含有するC10/C12アルコールおよび1.5モルのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0094】
好ましくは、エマルション中に存在する界面活性剤は、8〜18のHLBを有する非イオン性界面活性剤である。HLBは、分子中の親水性部分と親油性部分の間の比である。この用語HLBは、当業者によく知られており、「The HLB system. A time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.出版、1984)に記載されている。
【0095】
さらにより優先的には、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤から選択される。
【0096】
エマルション(A)中の界面活性剤含量は、より具体的には、無水組成物の重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%を占める。
【0097】
エマルション(A)は、標準的直接エマルション調製法を介して調製し得るが、PIT法を介しても調製し得る。転相温度(またはPIT)による乳化の原理は、その原理において、当業者によく知られており、1968年にK. Shinodaにより記載された(J.Chem. Soc. Jpn.、1968年、89、435)。この乳化技法が、安定な微細エマルションを得ることを可能にすることが示された(K. ShinodaおよびH. Saito、J.Colloid Interface Sci.、1969年、30、258)。この技法は、早くも1972年にMitsuiらにより化粧品に適用された(「Application of the Phase-inversion-temperature method to the emulsification of cosmetics」、T. Mitsui、Y. MachidaおよびF. Harusawa、American Cosmet. Perfum.、1972年、87、33)。
【0098】
この技法の原理は、以下の通りである。水性相と油性相の混合物を調製し、PIT温度、使用する乳化剤(複数可)の親水特性と親油特性の間の平衡が達成される温度である該系の転相温度より高くする。高温、すなわち、転相温度(>PIT)より高い温度で、エマルションは、油中水型であり、その冷却の間、このエマルションは転相温度で転相して、水中油型のエマルションとなり、その際に、予めマイクロエマルションの状態を通過することにより転相する。この特定の実施形態によると、非イオン性界面活性剤は、8と18の間のHLBを有する。非イオン性界面活性剤は、好ましくはエトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸部分グリセリド、およびポリグリセロール化脂肪酸トリグリセリド、ならびにそれらのエトキシル化誘導体、ならびにそれらの混合物から選択される。さらに、そのようなエマルションは、4ミクロン未満、好ましくは1μm未満の粒径を有する。
【0099】
本発明において有用なエマルションは、1種または複数のアルカリ剤を含む。
【0100】
アルカリ剤は、無機塩基、有機アミンおよび有機アミン塩から、単独で、または混合物として選択し得る。
【0101】
有機アミンの例としては、25℃で12未満、好ましくは10未満、さらに有利なことには6未満のpKbを有する有機アミンを挙げ得る。これが、最も高い塩基度の関数に相当するpKbであることに留意されたい。
【0102】
有機アミンは、1または2個の第1級、第2級または第3級アミン官能基、ならびに1個または複数のヒドロキシル基を保有する1個または複数の直鎖または分岐鎖のC1〜C8アルキル基を含み得る。
【0103】
1〜3個の同一または異なるC1〜C4ヒドロキシアルキル基を含む、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンなどのアルカノールアミンから選択された有機アミンは、本発明での使用に特に好適である。
【0104】
この種の化合物の中で、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオールおよびトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンを挙げ得る。
【0105】
以下の式、
【0106】
【化2】

【0107】
(式中、Wは、ヒドロキシル基により場合により置換されるC1〜C6アルキレン残基またはC1〜C6アルキル基であり、Rx、Ry、RzおよびRtは、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはC1〜C6アルキル、C1〜C6ヒドロキシアルキルまたはC1〜C6アミノアルキル基を表す)を有する有機アミンも、使用に好適である。
【0108】
そのようなアミンの例としては、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミンおよびスペルミジンを挙げ得る。
【0109】
本発明の別の変形形態によると、有機アミンは、アミノ酸から選択される。
【0110】
より具体的には、使用し得るアミノ酸は、L型、D型またはラセミ体の、天然または合成由来のものであり、より具体的にはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸およびリン酸官能基から選択される少なくとも1個の酸官能基を含む。アミノ酸は、その中性型でもイオン型でもよい。
【0111】
アミノ酸が、環またはウレイド官能基に場合により含まれる追加のアミン官能基を含む塩基性アミノ酸であることが有利である。
【0112】
そのような塩基性アミノ酸は、好ましくは以下の式(I)、
【0113】
【化3】

【0114】
に相当するものから選択され、
式中、Rは
【0115】
【化4】

【0116】
から選択される基を示す。
【0117】
式(I)に相当する化合物は、ヒスチジン、リシン、アルギニン、オルニチンおよびシトルリンである。
【0118】
本発明において使用し得るアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを特に挙げ得る。
【0119】
本発明の好ましい一変形形態によると、有機アミンは、塩基性アミノ酸から選択される。特に好ましいアミノ酸は、アルギニン、リシンおよびヒスチジン、またはそれらの混合物である。
【0120】
本発明の別の変形形態によると、有機アミンは、複素環型の有機アミンから選択される。アミノ酸として既に述べたヒスチジン以外に、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾールおよびベンゾイミダゾールを特に挙げ得る。
【0121】
本発明の別の変形形態によると、有機アミンは、アミノ酸ジペプチドから選択される。本発明において使用し得るアミノ酸ジペプチドとして、特にカルノシン、アンセリンおよびバレイン(baleine)を挙げ得る。
【0122】
本発明の別の変形形態によると、有機アミンは、グアニジン官能基を含む化合物から選択される。本発明において使用し得るこの種のアミンとして、アミノ酸として既に述べたアルギニン以外に、特にクレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、N-アミジノアラニン、3-グアニジノ-プロピオン酸、4-グアニジノブチル酸および2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸を挙げ得る。
【0123】
好ましくは、有機アミンは、アルカノールアミンである。より優先的には、有機アミンは、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールおよびモノエタノールアミン、またはそれらの混合物から選択される。さらにより優先的には、有機アミンは、モノエタノールアミンである。
【0124】
アルカリ剤は、塩形態の有機アミンでもよい。本発明の目的のために、「有機アミン塩」という用語は、上述の有機アミンの有機または無機塩を意味する。
【0125】
好ましくは、有機塩は、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、オキサレート酸塩および酒石酸塩などの有機酸の塩から選択される。
【0126】
好ましくは、無機塩は、ハロゲン化水素塩(例えば塩酸塩)、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸水素塩およびリン酸塩から選択される。
【0127】
本発明の目的のために、「無機化合物」という用語は、同時に炭素および水素原子を含まない、元素の周期表の列1〜13から、水素以外の1種または複数の元素をその構造中に保有する任意の化合物を意味する。
【0128】
本発明の特定の一実施形態によると、無機塩基は、元素の周期表の列1および2から、水素以外の1種または複数の元素を含有する。
【0129】
好ましい一変形形態では、無機塩基は、以下の構造、
(Z1x-)m(Z2y+)n
を有し、
式中、
Z2は、ナトリウムまたはカリウムなどの、元素の周期表の列1〜13、好ましくは1または2からの金属を示し、
Z1x-は、イオンCO32-、OH-、HCO32-、SiO32-、HPO42-、PO43-およびB4O72-、好ましくはイオンCO32-、OH-およびSiO32-から選択されるアニオンを示し、
xは、1、2または3を示し、
yは、1、2、3または4を示し、
mおよびnは、それぞれ独立に、1、2、3または4を示し、
n.y=m.xである。
【0130】
好ましくは、無機塩基は、以下の式(Z1x-)m(Z2y+)n、(式中、Z2は、元素の周期表の列1または2からの金属を示し、Z1x-は、イオンCO32-、OH-およびSiO32-から選択されるアニオンを示し、xは1であり、yは1または2を示し、mおよびnは、それぞれ独立に、1または2を示し、n.y=m.xである)に相当する。
【0131】
本発明によって使用し得る無機塩基として、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウムを挙げ得る。
【0132】
アルカリ剤としてアンモニウム塩も使用し得る。
【0133】
本発明による組成物(B)において使用し得るアンモニウム塩は、アンモニウム塩(NH4+)である。
【0134】
本発明による組成物(B)において使用し得るアンモニウム塩は、好ましくは以下の酸塩:酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩から選択される。特に好ましい方法では、該塩は、アンモニウム炭酸塩などの炭酸塩である。
【0135】
好ましい実施形態によると、該組成物は、アルカリ剤として少なくとも1種の有機アミン、好ましくは少なくとも1種のアルカノールアミンを含む。該組成物が、アルカノールアミンおよび水酸化アンモニウムまたはそれらの塩を含めた2種以上のアルカリ剤を含有する場合、有機アミン(複数可)の量は、好ましくはアンモニアの量より多い。
【0136】
一般に、エマルション(A)は、前記組成物の重量に対して0.1重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲のアルカリ剤含量を有する。
【0137】
エマルション(A)は、酸化染料および直接染料から選択される1種または複数のカラーリングまたは着色種を含む。
【0138】
酸化染料は、一般に、場合により1種または複数のカップラーと組み合わせた酸化塩基から選択される。
【0139】
例として、酸化塩基(複数可)は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)-アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノールおよび複素環塩基、ならびにそれらの付加塩から選択される。
【0140】
パラ-フェニレンジアミンの中で、例えば、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロ-アニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニル-エンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニル-エンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシ-エチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチル-オキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノ-トルエンおよび3-ヒドロキシ-1-(4'-アミノフェニル)ピロリジン、ならびにそれらの酸付加塩を挙げ得る。
【0141】
上述のパラ-フェニレンジアミンの中で、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミンおよび2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、ならびにそれらの酸付加塩が特に好ましい。
【0142】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中で、例えば、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレン-ジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラ-メチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミンおよび1,8-ビス(2,5-ジアミノ-フェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、ならびにそれらの付加塩を挙げ得る。
【0143】
パラ-アミノフェノールの中で、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノールおよび4-アミノ-2-フルオロフェノール、ならびにそれらの酸付加塩を挙げ得る。
【0144】
オルト-アミノフェノールの中で、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノールおよび5-アセトアミド-2-アミノフェノール、ならびにそれらの付加塩を挙げ得る。
【0145】
複素環塩基の中で、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体およびピラゾール誘導体を挙げ得る。
【0146】
ピリジン誘導体の中で、例えば、特許GB1026978およびGB1153196に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジンおよび3,4-ジアミノピリジン、ならびにそれらの付加塩を挙げ得る。
【0147】
本発明において有用な他のピリジン酸化塩基は、例えば、特許出願FR2801308に記載されている3-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリジン酸化塩基またはその付加塩である。例としては、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ-[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イル-アミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ-[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-モルホリン-4-イル-ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]-ピリジン-3,5-ジアミン、5-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ-[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ-[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オールおよび3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、ならびにそれらの付加塩を挙げ得る。
【0148】
ピリミジン誘導体の中で、例えば、特許DE2359399、JP88-169571、JP05-63124、EP0770375または特許出願WO96/15765に記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジンおよび2,5,6-トリアミノピリミジン、ならびにそれらの付加塩、ならびに互変異性平衡が存在する場合はその互変異性型を挙げ得る。
【0149】
ピラゾール誘導体の中で、特許DE3843892およびDE4133957、ならびに特許出願WO94/08969、WO94/08970、FR-A-2733749およびDE19543988に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノ-ピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシ-エチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチル-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノ-ピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾールおよび3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、ならびにそれらの付加塩を挙げ得る。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールも使用し得る。
【0150】
好ましくは4,5-ジアミノピラゾール、さらにより優先的には4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾールおよび/またはその塩が使用されよう。
【0151】
ピラゾール誘導体としては、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロネス、特に以下の化合物、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ-(2-ヒドロキシ-エチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよびそれらの付加塩などの、特許出願FR-A-2886136に記載されているものも挙げ得る。
【0152】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよび/またはその塩が使用されよう。
【0153】
優先的に使用されると見込まれる複素環塩基には、4,5-ジアミノ-1-(3-ヒドロキシエチル)ピラゾールおよび/または2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよび/またはその塩が含まれる。
【0154】
本発明によるエマルション(A)は、ケラチン繊維の染色に通常使用されているものから有利に選択される1種または複数のカップラーを場合により含み得る。
【0155】
これらのカップラーの中で、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレン系カップラーおよび複素環カップラー、さらにはそれらの付加塩を特に挙げ得る。
【0156】
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシ-エチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3、4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチル-ピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾールおよび6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、それらの酸付加塩、ならびにそれらの混合物を挙げ得る。
【0157】
一般に、本発明の文脈において使用し得る酸化塩基およびカップラーの付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩および酢酸塩などの酸との付加塩から特に選択される。
【0158】
各酸化塩基(複数可)は、該組成物の総重量に対して0.0001重量%〜10重量%、好ましくは該組成物の総重量に対して0.005重量%〜5重量%を占めることが有利である。
【0159】
カップラー(複数可)の含量は、それらが存在する場合、該組成物の総重量に対して0.0001重量%〜10重量%、好ましくは化粧品組成物(B)の総重量に対して0.005重量%〜5重量%を表すことがそれぞれ有利である。
【0160】
直接染料に関しては、この染料は、より具体的にはイオン性および非イオン性化学種、好ましくはカチオン性または非イオン性化学種から選択される。
【0161】
好適な直接染料の例としては、以下の直接染料:アゾ染料、メチン染料、カルボニル染料、アジン染料、ニトロ(ヘテロ)アリール染料、トリ(ヘテロ)アリールメタン染料、ポルフィリン染料、フタロシアニン染料、および天然直接染料を、単独で、または混合物として挙げ得る。
【0162】
より具体的には、アゾ染料は、その2個の窒素原子が環に同時に結合していない-N=N-官能基を含む。しかし、配列-N=N-の2個の窒素原子のうちの1個が環に結合することは除外されていない。
【0163】
メチン類の染料は、より具体的には、その2個の原子が環に同時に結合していない、>C=C<および-N=C<から選択される少なくとも1種の配列を含む化合物である。しかし、該配列の窒素または炭素原子の一方が環に結合していてもよいことが指摘されている。より具体的には、この類の染料は、メチン、アゾメチン、モノアリールメタンおよびジアリールメタン、インドアミン(またはジフェニルアミン)、インドフェノール、インドアニリン、カルボシアニン、アザカルボシアニンおよびその異性体、ジアザカルボシアニンおよびその異性体、テトラアザカルボシアニンならびにヘミシアニンなどの種類の化合物に由来する。
【0164】
カルボニル類の染料に関しては、例としては、アクリドン、ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンゾアントロン、アントラントロン(anthranthrone)、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピリミジノアントロン、フラバントロン、イダントロン(idanthrone)、フラボン、(イソ)ビオラントロン、イソインドリノン、ベンゾイミダゾロン、イソキノリノン、アントラピリドン、ピラゾロキナゾロン、ペリノン、キナクリドン、キノフタロン、インジゴイド、チオインジゴ、ナフタルイミド、アントラピリミジン、ジケトピロロピロールおよびクマリンから選択される染料を挙げ得る。
【0165】
環状アジン類の染料に関しては、アジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン(fluorindine)、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジンおよびピロニンを特に挙げ得る。
【0166】
ニトロ(ヘテロ)芳香族染料は、より具体的にはニトロベンゼンまたはニトロピリジン直接染料である。
【0167】
ポルフィリンまたはフタロシアニン型の染料に関しては、1種または複数の金属または金属イオン、例えばアルカリ金属,アルカリ土類金属、亜鉛およびケイ素を場合により含むカチオン性または非カチオン性化合物を使用することが可能である。
【0168】
特に好適な直接染料の例としては、ニトロベンゼン染料;アゾ直接染料;アゾメチン直接染料;メチン直接染料;アザカルボシアニン直接染料、例えばテトラアザカルボシアニン(テトラアザペンタメチン);キノンおよび特にアントラキノン、ナフトキノンまたはベンゾキノン直接染料;アジン;キサンテン;トリアリールメタン;インドアミン;インジゴイド;フタロシアニン直接染料、ポルフィリンおよび天然直接染料を単独で、または混合物として挙げ得る。
【0169】
これらの染料は、単一発色団染料(すなわち、1種の染料のみを含む)でも多発色団、好ましくは二発色団または三発色団でもよい。発色団は、場合により同一または異なっており、同じ化学類由来であるか、そうではない。多発色団染料が、それぞれ400と800nmの間の可視領域で吸収する分子に由来するいくつかの基を含むことに留意されたい。さらに、染料のこの吸光度は、染料を先に酸化すること、または任意の他の化学種との併用を必要としない。
【0170】
多発色団染料の場合、発色団は、カチオン性でも非カチオン性でもよい少なくとも1種のリンカーにより結合される。
【0171】
本発明によって使用し得るベンゼン系直接染料の中で、以下の化合物、
- 1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、
- 1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン
- 1-アミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン
- 1,4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-2-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシ-エチルアミノ)ベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-アミノベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-(エチル)(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン
- 1-アミノ-3-メチル-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-6-ニトロベンゼン
- 1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-クロロベンゼン
- 1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-アミノ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1,2-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-4-ニトロベンゼン
- 1-アミノ-2-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-アミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルオキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-メトキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロ-ベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-2-ニトロベンゼン
- 1-β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-メチル-2-ニトロベンゼン
- 1-β-アミノエチルアミノ-5-メトキシ-2-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-アミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-6-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼン
を非限定的な形で挙げ得る。
【0172】
本発明によって使用し得るアゾ、アゾメチン、メチンおよびテトラアザペンタメチン直接染料の中で、特許出願WO95/15144、WO95/01772およびEP714954、FR2189006、FR2285851、FR2140205、EP1378544およびEP1674073に記載されているカチオン性染料を挙げ得る。
【0173】
これらの中で、以下の化合物、
【0174】
【化5】

【0175】
も挙げ得る。
【0176】
アゾ直接染料の中で、Colour Index International、第3版に記載されている以下の染料、
- ディスパースレッド17
- ベーシックレッド22
- ベーシックレッド76
- ベーシックイエロー57
- ベーシックブラウン16
- ベーシックブラウン17
- ディスパースブラック9
も挙げ得る。
【0177】
1-(4'-アミノジフェニルアゾ)-2-メチル-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼンも挙げ得る。
【0178】
キノン直接染料の中で、以下の染料、
- ディスパースレッド15
- ソルベントバイオレット13
- ディスパースバイオレット1
- ディスパースバイオレット4
- ディスパースブルー1
- ディスパースバイオレット8
- ディスパースブルー3
- ディスパースレッド11
- ディスパースブルー7
- ベーシックブルー22
- ディスパースバイオレット15
- ベーシックブルー99
さらには以下の化合物、
- 1-N-メチルモルホリニウムプロピルアミノ-4-ヒドロキシアントラキノン
- 1-アミノプロピルアミノ-4-メチルアミノアントラキノン
- 1-アミノプロピルアミノアントラキノン
- 5-β-ヒドロキシエチル-1,4-ジアミノアントラキノン
- 2-アミノエチルアミノアントラキノン
- 1,4-ビス(β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン
を挙げ得る。
【0179】
アジン染料の中で、以下の化合物、
- ベーシックブルー17
- ベーシックレッド2
を挙げ得る。
【0180】
本発明によって使用し得るトリアリールメタン染料の中で、以下の化合物、
- ベーシックグリーン1
- ベーシックバイオレット3
- ベーシックバイオレット14
- ベーシックブルー7
- ベーシックブルー26
を挙げ得る。
【0181】
本発明によって使用し得るインドアミン染料の中で、以下の化合物、
- 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-[ビス(β-4'-ヒドロキシエチル)-アミノ]アニリノ-1,4-ベンゾキノン
- 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-(2'-メトキシ-4'-アミノ)アニリノ-1,4-ベンゾキノン
- 3-N-(2'-クロロ-4'-ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノンイミン
- 3-N-(3'-クロロ-4'-メチルアミノ)フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン
- 3-[4'-N-(エチル、カルバミルメチル)アミノ]フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン
を挙げ得る。
【0182】
本発明によって使用し得るテトラアザペンタメチン型の染料の中で、以下の表に示す以下の化合物、
【0183】
【化6】

【0184】
を挙げることができ、Anは先に定義した通りである。
【0185】
X-は、好ましくは塩化物、ヨウ化物、硫酸メチル、硫酸エチル、酢酸および過塩素酸から選択されるアニオンを表す。
【0186】
多発色団染料の例として、特に特許出願EP1637566、EP1619221、EP1634926、EP1619220、EP1672033、EP1671954、EP1671955、EP1679312、EP1671951、EP167952、EP167971、WO06/063866、WO06/063867、WO06/063868、WO06/063869、EP1408919、EP1377264、EP1377262、EP1377261、EP1377263、EP1399425、EP1399117、EP1416909、EP1399116およびEP1671560に言及し得る。
【0187】
カチオン型のリンカーを介して結合したアントラキノン型の2種の発色団を含む染料について記載しているEP1006153;カチオン性または非カチオン性リンカーを介して結合した同一または異なる二発色団染料について記載しているEP1433472、EP1433474、EP1433471およびEP1433473;さらには、そのうちの1種がアントラキノン発色団であり、そこにアゾもしくはジアザカルボシアニン型またはそれらの異性体の2種の発色団が結合した三発色団を含む染料について特に記載しているEP6291333の特許出願で述べられているカチオン性直接染料を使用することも可能である。
【0188】
本発明によって使用し得る天然直接染料の中で、ローソン(lawsone)、ユグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン(spinulosin)、アピゲニジン(apigenidin)およびオルセインを挙げ得る。これらの天然染料を含有する抽出液または浸出液、特にヘンナ系パップ剤または抽出液を使用することも可能である。
【0189】
直接染料(複数可)は、それらが存在する場合、より具体的には、該組成物の総重量に対して0.0001重量%〜10重量%、好ましくは0.005重量%〜5重量%を占める。
【0190】
エマルション(A)は、1種および/または他の種類の染料を含み得る。エマルション(A)は、場合により、一方が酸化染料(複数可)を含み、他方が直接染料(複数可)を含む2種の染料組成物の混合から生じ得る。
【0191】
エマルション(A)は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性または双性イオン性ポリマーまたはそれらの混合物;無機増粘剤、特に粘土またはタルクなどの充填剤;特にアニオン性、カチオン性、非イオン性および両性のポリマー系会合性増粘剤などの有機増粘剤;酸化防止剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;芳香剤;分散剤;皮膜形成剤;保存剤;乳白剤などの、毛髪の明色化用の組成物において通常使用されている様々な補助剤も含有し得る。
【0192】
エマルション(A)は、1種または複数の有機溶媒を場合により含み得る。有機溶媒の例としては、エタノールおよびイソプロパノールなどの直鎖または分岐鎖のC2〜C4アルカノール;グリセロール;ポリオールおよびポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセロール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびモノエチルエーテル、さらには芳香族アルコール、例えばベンジルアルコールまたはフェノキシエタノール、ならびにそれらの混合物を挙げ得る。
【0193】
該方法は、1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)により実施される。
【0194】
より具体的には、酸化剤(複数可)は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩またはフェリシアニド、過酸化塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過硫酸塩、過ホウ酸塩、過酸およびその前駆体ならびに過炭酸塩から選択される。
【0195】
この酸化剤は、特に水溶液としての過酸化水素(過酸化水素水溶液)から形成されることが有利であり、その滴定量は、より具体的には、1〜40容量(すなわち、0.3%〜12%のH2O2)、さらにより優先的には5〜40容量(すなわち、1.5%〜12%のH2O2)の範囲でもよい。
【0196】
所望の明色化の程度に応じて、酸化剤は、好ましくは過酸化塩から選択される酸化剤も含み得る。
【0197】
組成物(B)は、一般に、水性組成物である。「水性組成物」という用語は、5重量%を超える水、好ましくは10重量%を超える水、さらに有利なことには20重量%を超える水を含む組成物を意味する。
【0198】
この組成物(B)は、1種または複数の前述の有機溶媒も含み得る。組成物(B)は、1種または複数の酸性化剤も含み得る。
【0199】
酸性化剤の中で、例としては、無機または有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸または乳酸、およびスルホン酸を挙げ得る。
【0200】
通常、組成物(B)のpHは、7未満である。
【0201】
最後に、組成物(B)は、様々な形態、例えば溶液、エマルションまたはゲルである。
【0202】
本発明の方法は、エマルション(A)と組成物(B)を連続的に適用することにより、中間すすぎを行うことなく実施し得る。
【0203】
別の変形形態によると、使用時に、エマルション(A)および組成物(B)の即時混合により得られた組成物を、湿ったまたは乾燥したケラチン物質に適用する。この実施形態によると、(A)/(B)の量の重量比は、0.1〜10、好ましくは0.2〜2、さらに良好には0.3〜1の範囲である。
【0204】
さらに、使用した変形形態とは別に、ケラチン物質上に存在する混合物((A)と(B)の即時混合またはそれらの部分的もしくは全体的連続適用から得られた)を、しばらく、一般に、約1分〜1時間、好ましくは5分〜30分静置する。
【0205】
該方法の間の温度は、通常、室温(15と25℃の間)と80℃の間、好ましくは室温と60℃の間である。
【0206】
処理後、ケラチン物質は、場合により水ですすぎ、場合により洗浄し、引き続き水ですすぎ、次いで、乾燥するか、または乾燥させるために置いておく。
【0207】
本発明の好ましい一変形形態では、ケラチン物質は、体毛、睫毛または頭髪などのケラチン繊維である。
【0208】
一実施形態によると、先に開示したエマルション(A)と、酸化剤を含む水性組成物(B)の混合後に得られた染色組成物は、得られた染色組成物における脂肪物質の量が、20%より多い、好ましくは25%より多い、より好ましくは30%より多いものである。
【0209】
最後に、本発明は、第1の区画にエマルション(A)を含み、第2の区画に1種または複数の酸化剤を含む水性組成物(B)を含む多区画装置に関し、この組成物については前述した。
【実施例】
【0210】
以下のエマルションA1を転相温度法(PIT法)に従って調製した。
【0211】
製造方法
・ 相AをRayneriブレンダー(400rpm)により水浴上で加熱する。約68℃で半透明になり(マイクロエマルション相を通過する)、この温度より高い温度で増粘する流体の白色エマルションが得られる。
・ エマルションが増粘すると、水浴を除去する。連続撹拌によりエマルションを冷却させる。
・ 約50℃で、ポロキサマーを導入する。
・ 室温で、エタノール、モノエタノールアミン、重炭酸カリウム、塩基および4.302gの水中で予め分散させたカップラーを導入し、蒸発時に失った水(<5%)を再調整する。
【0212】
したがって、粒径が<1μmの半透明なゲル化エマルション(粘度=8DU M4、粒径<1μm、pH11.3)が得られた。
【0213】
【表1】

【0214】
使用時に、1重量のエマルションA1を、脂肪アルコールの水分散液(8%)を含む1.5重量の酸化水性組成物(B1)および6%の過酸化水素水溶液と混合する:白金20V。
【0215】
次いで、その混合物を天然の90%白髪の房(色合いの深さ4)に適用する。浴比「混合物/房」は、それぞれ、10/1(g/g)である。静置時間は27℃で30分である。それ以降、各房をすすぎ、次いでエルセーブのマルチビタミンシャンプーを用いて洗浄する。
【0216】
強力な青色の呈色が臭気なしで得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
総重量に対して25重量%を超える量の、脂肪酸以外の1種または複数の脂肪物質;1種または複数の界面活性剤;1種または複数のアルカリ剤;直接染料および酸化染料から選択される1種または複数の着色またはカラーリング化学種、ならびに5重量%を超える量の水を含む直接エマルション(A)、
1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)
が使用される、ケラチン物質の染色方法。
【請求項2】
前記エマルション(A)が50重量%を超える脂肪物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エマルション(A)における含水率が10重量%を超え、好ましくは10重量%と50重量%の間である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
脂肪物質が室温および大気圧で液体である化合物から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
脂肪物質が、6〜16個の炭素原子のアルカン、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、16個を超える炭素原子の鉱物油、非シリコーン植物油、動物油または合成油、シリコーンおよび非シリコーンワックスから選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
脂肪物質含量が前記エマルション(A)の重量に対して25重量%と80重量%の間であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エマルション(A)が、とりわけモノオキシアルキレン化またはポリオキシアルキレン化およびモノグリセロール化またはポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択される、1種または複数の非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エマルション(A)が1種または複数のアルカリ剤を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アルカリ剤が、有機アミン、無機塩基、有機アミン塩およびアンモニウム塩から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
有機アミンが、好ましくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールおよびモノエタノールアミンもしくはそれらの混合物から選択されるアルカノールアミン、またはアルギニン、ヒスチジンおよびリシンもしくはそれらの混合物から選択される塩基性アミノ酸であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
酸化染料がパラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール、複素環塩基およびそれらの付加塩、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレン系カップラーおよび複素環カップラー、さらにはそれらの付加塩から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
直接染料が以下の直接染料、アゾ染料、メチン染料、カルボニル染料、アジン染料、ニトロ(ヘテロ)アリール染料、トリ(ヘテロ)アリールメタン染料、ポルフィリン染料、フタロシアニン染料、および天然直接染料から単独でまたは混合物として選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物(B)が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩またはフェリシアニド、過酸素化塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過硫酸塩、過ホウ酸塩、過酸およびそれらの前駆体、および過炭酸塩、好ましくは過酸化水素から選択される1種または複数の酸化剤を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組成物(B)が5重量%を超える、好ましくは20重量%を超える水を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
使用時に前記エマルション(A)と組成物(B)との即時混合により得られる組成物が、ケラチン繊維に適用されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記エマルション(A)および組成物(B)が、連続的に中間にすすがれることなくケラチン繊維に適用されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1の区画に請求項1から12のいずれか一項で規定される前記エマルション(A)、および別の区画に請求項1、13および14のいずれか一項で規定される組成物(B)を含む多区画装置。

【公開番号】特開2010−143911(P2010−143911A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−288200(P2009−288200)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】