説明

染料の濃縮水性組成物

アニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品を製造するための方法、さらなるアニオン染料とのブレンド/シェーディングとしての染料調製品、およびとりわけ繊維材料を印捺し浸染するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品の製造方法、他のアニオン染料とのブレンド/シェーディングとしての染料調製品、およびとりわけ繊維材料を印捺し浸染するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
当該分野で「液体染料」と呼ばれる濃縮水溶液の形態での水溶性染料の使用は、近年、紙および織物の浸染のための産業上の価値を得てきた。
【0003】
こうした濃縮水性染料調製品の微粉染料に対する主な利点は、取り扱い上の粉塵の回避、およびそれによりとりわけ捺染糊設定用の、およびパディング液および染液の液体染料を計測することができる簡便さと速さ、またクランピングのせいでの濡れ問題および未溶解染料粒子のせいでのむらのある浸染の回避である。こうした液体配合物は、高度に濃縮される(染料含量5wt%以上、好ましくは20wt%、さらに好ましくは8wt%〜15wt%である)と共に、変化(分離、沈殿など)なしで、すなわち、性能特性を変えることなく、広い温度範囲(−20℃〜+50℃)内で7ヶ月以上にわたり保存可能であることが好ましい。
【0004】
理想的には、濃縮水性染料調製品は、そのケースにおいて有機溶媒が水の代わりに用いられる場合に生じる処分または回収の問題が避けられる染料の水溶液からなる。しかし、多くの場合、水中の染料の溶解度は、濃縮水性染料調製品としての使用に望ましい濃度、すなわち、少なくとも5wt%にある水性溶液を与えるには十分でない。濃縮水性染料調製品を達成するために可溶化剤を添加することは先行技術にある(例えば、EP−A−446732を参照すること)が、しかし、これは染色所廃水中の望ましくない有機物質をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従って、その目的として、数ヶ月にわたり安定であり、とりわけ、追加の可溶化剤なしで紙の浸染および印捺用、また織物材料を浸染し印捺するためのパディング液、染浴および捺染糊の製造用に適するアニオン染料の濃縮液体調製品を製造することを有する。
【0006】
今、こうした保存安定性調製品は、塩および合成副生物を除去するために一部のアニオン染料を限外濾過またはダイアフィルトレーション(膜分離法)にかけることにより、且つ次の得られる濾過染料溶液の濃縮により達成することが可能であることが見出されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従って、式(I)で表される少なくとも1種のアニオン粗染料の水溶液または懸濁液を、限外濾過し、続いて濃縮すると共に、追加の可溶化剤、分散剤またはテンシデが全く使われないことを特徴とする、アニオン染料の保存安定性濃縮水性調製品の製造方法を提供する。
【化1】

(上式中、DKはフェニルまたはナフチル基、または、−SO3H、−COOH、−OH、もしくは−NH2により置換されているフェニルまたはナフチル基、または未置換であるかもしくはさらに−OH、−COOH、−NH2、−NHアルキル、もしくは−N(アルキル)2により置換されているC1-4−アルキル基により置換されているフェニル基またはナフチル基、または未置換であるかもしくはさらに−SO3H、−COOHもしくは−OHにより置換されているC1-4−アルコキシ基により置換されているフェニル基またはナフチル基であり、
KK1およびKK2は互いに独立に、フェニレンまたはナフチレン基、または、さらに−OH、−COOH、−NH2、−NHアルキル、−N(アルキル)2により置換されているフェニレン基またはナフチレン基、または未置換であるかもしくはさらに−SO3H、−COOHもしくは−OHにより置換されているC1-4−アルコキシ基により置換されているフェニレン基またはナフチレン基であり、
R5およびR6は互いに独立に、−H、−NH2、−NH−C65、−NH−CO−CH3または−NH−CO−C65である)
【0008】
式(I)の好ましい染料は以下のようなものである。
DKは上記と同じ意味を有し、
互いに独立のKK1およびKK2は、ナフチレン基または上記の置換基と同じ意味での置換ナフチレン基であり、
R5およびR6は上記と同じ意味を有する。
【0009】
式(I)のさらに好ましい染料は、式(II)を有する。
【化2】

(上式中、DKは上記と同じ意味を有し、
互いに独立のR1〜R4は、−H、−SO3H、−NH2または−COOHであり、
R5およびR6は上記と同じ意味を有する)
【0010】
式(II)で表される好ましい化合物において、DKは以下の式を有する:
【化3】

(上式中、アステリクスは結合点を示し、nは1または2である)
さらに好ましい実施形態において、DKはナフチル基であり、nは2であり、R7は−Hまたは−NH2である。
【0011】
式(II)のさらに好ましい化合物において、DKは以下のものある。
【化4】

(上式中、アステリクスは結合点を示し、nは1または2であり、
互いに独立のR1〜R4は−Hまたは−SO3Hであり、
R5およびR6は上記と同じ意味を有する)
【0012】
式(II)で表されるなおさらに好ましい化合物において、DKは以下のものである。
【化5】

(上式中、アステリクスは結合点を示し、nは1または2であり、
互いに独立のR1〜R4は−Hまたは−SO3Hであり、
互いに独立のR5およびR6は−Hまたは−NH2である)
【0013】
式(I)および/または(II)の好ましいアニオン染料は、遷移金属化合物でも遷移金属錯体でもない。好ましいアニオン染料は式(II)の染料であり、C.I.ダイレクトブルー(Direct Blue)71が特に好ましい。
【0014】
本発明は、従って、少なくとも1種のアニオン粗染料の水溶液または懸濁液が、膜によって500未満の分子量を有する塩および合成副生物および一部の水を除去するために、水圧をかけることにより半透膜を通過させることを特徴とする方法を提供する。
【0015】
好ましい実施形態において、保持液は、バッチ体積が仮にあったとしてもごく僅かしか変化しないように、連続的にまたは間歇的に水または緩衝液により置き換えられるかまたは補充される。換言すれば、染料濃度は、一定または実質的に一定のまま残る。保持液の染料濃度は、好ましい実施形態において20%以下、特に好ましい方法において10%以下、極めて特定的に好ましい方法において5%以下しか変化しない。
【0016】
この限外濾過に続いて、染料溶液は濃縮により望ましい濃度をもたらされる。
【0017】
本発明の方法において用いられる膜は、TFM(商標)膜、例えば、GEオスモニクスディサール(米国、ミネソタ55343、ミネトンカ、クリアウオータードライブ5951、GEオスモニクス(GE Osmonics Inc.,))からのG10、G20、G50またはDL5膜であり、それらの中でDL5膜が特に好ましい。
【0018】
本発明による方法のさらなる代替案において、ダイアフィルトレーションの前に、アニオン染料の対イオンが交換されるか、またはさらにカチオンが添加される。新しく添加されるカチオンは、元のカチオンが限外濾過またはダイアフィルトレーションを通して容易に除去可能であることを意味する。アニオン機能の対イオンは、特に好ましい実施形態においてアルカノールアミンまたはアルカノールアンモニウム塩により、また極めて特定的な好ましい実施形態においてトリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノールまたは塩酸トリエタノールアンモニウムにより交換される。
【0019】
本発明は、さらに、粗染料の水溶液または懸濁液の限外濾過によりアニオン染料の安定な液体配合物の製造を提供する。
【0020】
本発明の溶液は、さらなるアニオン染料と混合するまたはアニオン染料により色直しすることができる。液体直接染料を用いることが好ましく、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトイエロー、およびダイレクトターコイズ染料と混合することが特に好ましい。C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトイエロー、およびダイレクトターコイズ染料の特に好ましいバージョンは、C.I.ダイレクトブルー218、C.I.ダイレクトブルー267、C.I.ダイレクトブルー279、C.I.ダイレクトバイオレット35、C.I.ダイレクトイエロー137、C.I.ダイレクトイエロー168、C.I.ダイレクトイエロー147、C.I.ダイレクトイエロー170、C.I.ダイレクトイエロー148:1、C.I.ダイレクトイエロー157、および日本化薬の特開平1−297468号明細書(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料である。
【0021】
これは保存安定性濃縮染料溶液を提供し、これらは純粋に水系であると共に、染料を中和しおよび/または塩析するために用いられて、合成から生じ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば、塩化アンモニウムマグネシウム、硫酸マグネシウム、重硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウムまたは重硫酸カリウム、とりわけ塩化ナトリウムなどの合成溶液または懸濁液中に担持される1wt%未満、好ましくは0.5wt%未満の不活性塩および電解質を含む。
【0022】
表面活性物質(界面活性剤)などのさらなる添加剤は、殺生剤としてかまたはそれを必要とする場合を除き、半透膜通過の前および/または後には全く添加されない。あらゆる殺生剤は適する。しかし、FDAおよび/またはBGVV認可を有する殺生剤が好ましい。グラム陽性菌またはグラム陰性菌、酵母または菌類の増殖を制御することができるあらゆる殺生剤は、本発明の溶液中で用いることができる。適する殺生剤は、例えばチアゾール−3−オン誘導体、例えばアルキルおよび/または塩素化チアゾール−3−オン誘導体またはそれらの混合物である。一般的に、殺生剤は、組成物の重量百万部当り15重量部(ppm)から1000ppmまでの量で添加される。特に好ましくは50ppm〜500ppm(すぐに生成される組成物当りの重量部)である。可能なまたは好ましい殺生剤は、プロキセル(Proxel)GXL(商標)である(プロキセル(登録商標)はゼネカAGプロダクツ(Zeneca AG Products,Inc.)の商標であり、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンズ(CAS No:2634−33−5)を含む)。
【0023】
本発明の液体染料調製品は、特に、全体の調製品に対して10〜60wt%の少なくとも1種のアニオン染料、90〜40wt%の水、1wt%以下の無機不活性塩、および0.05%〜0.3wt%の殺生剤または好ましくは0.1%〜0.2wt%の殺生剤を含む。この調製品は、液体調製品に対して1wt%以下、とりわけ0.5wt%以下、好ましくは0.1wt%以下の無機不活性塩を含むことを特徴とする。
【0024】
染料調製品の正確な組成は、用いられる染料のアニオンタイプに応じて決まる。
【0025】
本発明は、さらに、本発明による方法により得られる保存安定性濃縮水性染料調製品、および、また、紙を浸染し印捺するため、および織物材料、とりわけセルロース、合成ポリアミドおよびウールからなる織物材料を浸染し印捺するために用いられる染液、染浴および捺染糊を製造するためのそれらの使用を提供する。
【0026】
本発明は、さらに、繊維材料を印捺し浸染するため、とりわけ紙を浸染し印捺するため、およびまた織物材料を浸染し印捺するための染液、染浴および捺染糊を製造するためのアニオン染料の本発明の染料調製品の使用を提供する。
【0027】
本発明は、さらに、インクジェットインクを製造するためのアニオン染料の本発明の染料調製品およびそれらから製造されるインクジェットインクの使用を提供する。
【0028】
本発明は、さらに、固形木材または木材チップまたはボール紙または木材繊維板を染色するためのウッドステイン製造用のアニオン染料の本発明の染料調製品の使用を提供する。ビーム形態の木材、板材または家具のような完成物体、建物の部品を浸染することは、本発明によるウッドステインの好ましい使用である。本発明による液体配合物の塗布は、木材表面の全体または一部上で行うことが可能である(木材またはベニヤにおける異常色覚を補償するために)。本発明による液体配合物は、水性ステイン(主溶媒水)、溶媒ステイン(約30〜95%有機溶媒)、または化学ステイン(これらは一般に水溶性である)中で用いることが可能である。
【実施例】
【0029】
実施例1a
43.85%のチタン滴定濃度を有する湿ったプレスケーキの形態をとる、式(1)
【化6】

で表される染料670gを、10Lのガラスビーカー中の脱塩水8000mL中に懸濁させる。懸濁液を60℃に加熱し、染料は溶解する。ハイフロースーパーセル濾過珪藻土助剤25gを添加してから、約15分間にわたり攪拌し、次に、吸収剤パッドを有する磁器製吸引フィルタを通して清澄濾過する。得られる染料溶液(8583g、約8300mL)を、48〜50℃および圧力12バールで(保持液の体積は実質的に一定に保たれる)DL5膜を有する研究室限外濾過システムにより、透過水の導電率が0.1mS/cmになり、塩化物イオンが透過水中で硝酸銀溶液によりもはや検出できなくなるまで限外濾過する。これは脱塩水約32000mLを必要とする。次に、保持液を、約50℃および圧力12〜15バールで2560g(チタン滴定=11.12%)に濃縮する。
【0030】
実施例1b
実施例1aからの染料溶液340gを、脱塩水38.1gにより調整し378.1gとする(チタン滴定=10.0%)。得られる染料溶液は、それぞれ、
−数ヶ月にわたる室温での保存(1、2、3および5ヶ月後の評価)
−温度試験、2週間、+50℃
−冷蔵室試験、2週間、+3℃
−コールド試験、2日、−20℃
の後、欠点のない(完全な)目視安定性評価を得た。
【0031】
比較実施例a)〜h):
各ケースにおいて、実施例1aからの染料溶液340gを、以下の有機添加物(一般的な標準化剤)28.4g(7.5%)、およびまた脱塩水9.7gにより調整し、同様に378.1g(チタン滴定=10.0%)とする:
比較実施例a) ベンジルアルコール
比較実施例b) エチレングリコールモノブチルエーテル
比較実施例c) 1,2−プロピレングリコール
比較実施例d) エチレングリコール
比較実施例e) ジエチレングリコールアミン
比較実施例f) トリエタノールアミン
比較実施例g) スルホラン
比較実施例h) POE−(9)−TEA(トリエタノールアミン1当量およびプロピレンオキシド3当量からのポリグリコールアミン)
比較実施例i) カプロラクタム
【0032】
液体配合物a)、b)、c)、e)、f)およびg)は室温で24時間後に沈殿し、配合物d)は48時間後、i)およびj)は約1ヶ月後に沈殿した。
【0033】
実施例2
実施例1aからの染料溶液680gを、プロキセル(登録商標)GXL殺生剤1.4gおよび脱塩水224.2gにより調整し905.6gとする(チタン滴定=8.35%)。得られる染料溶液は、それぞれ、
−数ヶ月にわたる室温での保存(1、2、3および5ヶ月後の評価)
−温度試験、2週間、+50℃
−冷蔵室試験、2週間、+3℃
−コールド試験、2日間、−20℃
の後、欠点のない(完全な)目視および顕微安定性評価を得た。
【0034】
実施例3a)
チタン滴定43.85%を有する湿ったプレスケーキ形態の式1で表される染料387.1gを、10Lのガラスビーカー中で、脱塩水3400mLおよびまたトリエタノールアミン53.6gにより懸濁し、30%水酸化ナトリウム水溶液約2.5mLによりpH10.5に調整した。懸濁液を50℃に加熱し、染料は溶解する。ハイフロースーパーセル濾過珪藻土助剤25gを添加してから、約15分間にわたり攪拌し、次に、吸収剤パッドを有する磁器製吸引フィルタを通して清澄濾過し、残留物を脱塩水約80mLにより洗浄する。得られる染料溶液(5345g、約5200mL)を、48〜50℃および圧力12バールでG50膜を有する研究室限外濾過システムにより、約2700mLに濃縮する。塩酸トリエタノールアンモニウム溶液(pH=7.0)1600mLを添加し、溶液を室温でトリエタノールアミン367g、脱塩水700g、氷300gおよびまた30%塩酸溶液約290mLから調製した。これに続いて、透過水の導電率が0.1mS/cmになり、塩化物イオンが透過水中で硝酸銀溶液によりもはや検出できなくなるまで限外濾過する(保持液の体積は実質的に一定に保たれる)。これは脱塩水約36000mLを必要とする。次に、保持液を、約50℃および圧力12〜15バールで1606g(チタン滴定=10.25%)に濃縮する。
【0035】
実施例3b
実施例3aからの染料溶液651gを、脱塩水16.3gにより調整し667.3gとする(チタン滴定=10.0%)。得られる染料溶液は、それぞれ、
−数ヶ月にわたる室温での保存(1、2、3および5ヶ月後の評価)
−温度試験、2週間、+50℃
−冷蔵室試験、2週間、+3℃
−コールド試験、2日間、−20℃
の後、欠点のない(完全な)目視および顕微安定性評価を得た。
【0036】
実施例1による一般手順に従うが、しかし、式(1)で表される染料の代わりに実施例につながる表1による染料を用いる液体水性配合物を調製するために、表1による染料を用いた。これらの実施例4〜12を実施例2により試験した。
【0037】
表1:実施例4〜12
【化7】

【0038】
【表1】

【0039】
実施例2〜12により得られる染料溶液は、それぞれ、
−数ヶ月にわたる室温での保存(1、2、3および5ヶ月後の評価)
−温度試験、2週間、+50℃
−冷蔵室試験、2週間、+3℃
−コールド試験、2日間、−20℃
の後、欠点のない目視および顕微安定性評価を得た。
【0040】
実施例13
実施例2からの染料溶液66部を、ダイレクトバイオレット35の約10%溶液34部と混合する。得られる溶液は長期の安定性を有すると共に、紙を赤みがかったブルーの色調に染める。
【0041】
実施例14
実施例2からの染料溶液29部を、ダイレクトブルー218の約10〜15%溶液71部と混合する。得られる溶液は長期の安定性を有すると共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0042】
実施例15
実施例2からの染料溶液50部を、ダイレクトブルー267の約14%溶液50部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を赤みがかったブルーの色調に染める。
【0043】
実施例16
実施例2からの染料溶液50部を、ダイレクトブルー279の約10〜15%溶液50部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を赤みがかったブルーの色調に染める。
【0044】
実施例17
実施例2からの染料溶液47部を、日本化薬の特開平1−297468号公報(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料の約15%溶液53部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0045】
実施例18
実施例2からの染料溶液48部を、ダイレクトイエロー137の約13%溶液2部、および日本化薬の特開平1−297468号公報(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料の約15%溶液50部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0046】
実施例19
実施例2からの染料溶液49部を、ダイレクトイエロー168の約12%溶液2部、および日本化薬の特開平1−297468号公報(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料の約15%溶液49部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0047】
実施例20
実施例2からの染料溶液50部を、ダイレクトイエロー147の約17%溶液2部、および日本化薬の特開平1−297468号公報(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料の約15%溶液48部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0048】
実施例21
実施例2からの染料溶液47部を、ダイレクトイエロー170の約17%溶液2部、および日本化薬の特開平1−297468号公報(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料の約15%溶液51部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0049】
実施例22
実施例2からの染料溶液52部を、ダイレクトイエロー148:1の約10%溶液4部、および日本化薬の特開平1−297468号公報(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料の約15%溶液44部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0050】
実施例23
実施例2からの染料溶液52部を、ダイレクトイエロー157の約13%溶液3部、および日本化薬の特開平1−297468号公報(1988年5月26日に出願)の実施例1からの染料の約15%溶液45部と混合する。得られる染料溶液は完全な長期安定性を示すと共に、紙を緑がかったブルーの色調に染める。
【0051】
浸染処方
浸染処方A
化学的に漂白した松材亜硫酸セルロース70部および化学的に漂白した樺材亜硫酸セルロース30部を、叩解機中で水2000部中に叩解する。実施例1bからの液体染料調製品1.5部を材料中に添加する。紙が20分の混合後そこから作製される。こうして得られる吸収性紙は青みがかったバイオレット色を有する。
【0052】
浸染処方B
実施例1bからの液体染料調製品1.5部を、叩解機中で水2000部中に叩解された化学的に漂白された亜硫酸セルロース100部に添加する。15分間にわたる混合後、通例のサイジングが樹脂サイズおよび硫酸アルミニウムを用いて達成される。この材料から作製される紙は、各ケースにおいて青みがかったバイオレット色を示す。
【0053】
浸染処方C
アンサイズドペーパーの吸収性ウエブを、40〜50℃で、水95部および実施例1bの本発明染料溶液5部からなる水性染料溶液を通過させる。
【0054】
過剰の染料溶液を二つのロールにより絞る。紙の乾燥ウエブは各ケースにおいて青みがかったバイオレット色を有する。
【0055】
実施例2〜23の染料調製品は、処方A〜Cに類似の浸染用に用いることができる。
【0056】
浸染処方D
実施例1bからの染料調製品5部を計量して、室温で軟水4000部中に入れる。予め濡らした毛織物100部を浴中に導入し、続いて30分間にわたり加熱し沸騰させる。浴は1時間にわたり沸騰状態に保持されるが、その間蒸発水は時々補われる。次に、染め物は浴液から除去され、水でリンスされ、乾燥される。得られる染め物は青みがかったバイオレット色を有する。
【0057】
実施例2〜23の染料調製品は、類似のやり方で木綿を浸染するために用いることができる。
【0058】
浸染処方E
新たになめした中和クロムメッキ銀面革100部を、30分間にわたり55℃での水250部および実施例1bにより作製される染料調製品0.5部のフロート中に入れ、スルホン化魚油に基づくアニオン脂肪染液2部により同じ浴中でさらなる30分間にわたり処理する。革は従来式に乾燥され仕上げられる。得られる革は一様なスカーレット色を有する。
【0059】
さらに、低親和性の植物での再なめし革は、公知の方法により同様に浸染することができる。
浸染は、実施例2〜23の染料により類似のやり方で行うことができる。
【0060】
浸染処方F
古紙パルプ15kg(木材パルプ基準)、さらし砕木パルプ25kgおよび非さらし亜硫酸セルロース10kgを、3%水性懸濁液が得られるまで叩解した。この木材繊維の懸濁液を2%水性懸濁液に薄め、懸濁液を連続的に攪拌しながら、以下の化学品を添加した(懸濁液の乾燥繊維含量に対して):カオリン(陶土)5%および実施例2からの染料溶液の5%溶液(酢酸により酸性化)1.25kg。20分後、乾燥繊維含量に対して1%の樹脂接着剤分散液を添加した。紙パルプ懸濁液がペーパーマシンに移される直前に、明礬を添加することにより均一な懸濁液をpH5にした。ペーパーマシンによりブルー紙が生成した。
【0061】
浸染は実施例2〜23の染料により類似のやり方で行うことができる。
【0062】
浸染処方G
非さらし砕木パルプ40%および亜硫酸セルロース木材パルプ(Sulfitzellstoff)60%を、叩解機中で水により叩解レベル40SRまで叩解した。懸濁液を乾燥繊維の2.5%を含むように水で薄めた。
【0063】
繊維200部を実施例2による染料溶液5部と接触させ、5分間にわたり攪拌し、繊維の乾燥重量に対して2%の樹脂接着剤および4%の明礬を添加した。混合物を再度数分間にわたり攪拌し、浸染処方Fにおいて記載するように紙を生成した:ブルー紙を得た。
【0064】
浸染は実施例2〜23の染料により類似のやり方で行うことができる。
【0065】
浸染処方H
実施例2からの染料6部、
グリシン20部および
水74部
を含むインクジェット印刷用のインクジェット組成物を生成した。このインクジェットインク組成物を、市販されているインクジェット印刷機中に必要とされる希釈下でインクを充填することにより、紙または紙様基板、織物材料およびプラスチック透明原稿の印刷用に用いた。目的を確認するため、上述基板の一つの上に一色印刷物を生成した。
【0066】
浸染は実施例2〜23の染料により類似のやり方で行うことができる。
【0067】
針葉樹(ヨーロピアントウヒ)の貫木および葉の多い木(ブナ)の貫木を、それぞれ、約5cmの断片に切断し、数分間にわたり実施例2による薄めた溶液(水10部および実施例2による染料溶液1部)中に浸漬し、10時間にわたる乾燥の後、ライトブルーの貫木断片を得た。
【0068】
浸染は実施例2〜23の染料により類似のやり方で行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)
【化1】

(上式中、DKはフェニルまたはナフチル基、または、−SO3H、−COOH、−OH、もしくは−NH2により置換されているフェニルまたはナフチル基、または未置換であるかもしくはさらに−OH、−COOH、−NH2、−NHアルキル、もしくは−N(アルキル)2により置換されているC1-4−アルキル基により置換されているフェニル基またはナフチル基、または未置換であるかもしくはさらに−SO3H、−COOHもしくは−OHにより置換されているC1-4−アルコキシ基により置換されているフェニル基またはナフチル基であり、
KK1およびKK2は互いに独立に、フェニレンまたはナフチレン基、または、さらに−OH、−COOH、−NH2、−NHアルキル、−N(アルキル)2により置換されているフェニレン基またはナフチレン基、または未置換であるかもしくはさらに−SO3H、−COOHもしくは−OHにより置換されているC1-4−アルコキシ基により置換されているフェニレン基またはナフチレン基であり、
R5およびR6は互いに独立に、−H、−NH2、−NH−C65、−NH−CO−CH3または−NH−CO−C65である)
で表される少なくとも1種のアニオン粗染料の水溶液または懸濁液を、限外濾過し、続いて濃縮すると共に、追加の可溶化剤、分散剤またはテンシデを全く用いないことを特徴とする、アニオン染料の保存安定性濃縮水性調製品の製造方法。
【請求項2】
式(I)の染料が下式(II)
【化2】

(上式中、DKは請求項1における規定と同じであり、
R1〜R4は互いに独立に、−H、−SO3H、−NH2または−COOHであり、
R5およびR6は請求項1における規定と同じである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
DKが、下式
【化3】

(上式中、アステリクスは結合点を示し、
nは1または2であり、
R1〜R4は互いに独立に、−Hまたは−SO3Hであり、
R5およびR6は互いに独立に、−Hまたは−NH2である)
で表される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アニオン染料がC.I.ダイレクトブルー71であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
バッチ体積が20%を超えて変わることがないように、アニオン粗染料の水溶液または懸濁液が、連続的にまたは間歇的に水または緩衝液により置き換えられるかまたは補充され、得られる限外濾過染料溶液が2を超える係数に濃縮されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アニオン粗染料の水溶液または懸濁液が、限外濾過の前または間にさらなるカチオンと混合されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
限外濾過の前または間に添加されるカチオンがアルカノールアミンまたはアルカノールアンモニウム塩であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
限外濾過の前または間に添加されるカチオンが塩酸トリエタノールアンモニウムであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造されるアニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造されるアニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品と他のアニオン染料とのブレンドおよびシェーディング。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造されるアニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品と他の液体直接染料とのブレンドおよびシェーディング。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造されるアニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品と、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトイエローおよびダイレクトターコイズ染料の液体バージョンとのブレンドおよびシェーディング。
【請求項13】
繊維材料とりわけセルロース系織物および紙を浸染するかおよび/または印捺するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造されるアニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品の使用。
【請求項14】
インクジェットインクを製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造されるアニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品の使用。
【請求項15】
固形木材の浸染、着色、酸洗いまたは染色のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造されるアニオン染料の保存安定性濃縮水性染料調製品の使用。

【公表番号】特表2007−522268(P2007−522268A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542050(P2006−542050)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003968
【国際公開番号】WO2005/054376
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】