棒材溶接用治具
【課題】 2本の棒材を直線状に溶接するに当たって、溶接作業の高品質化、簡便化および作業時間の短縮を可能とする溶接用治具の提供を目的とする。
【解決手段】 溶接トーチを固定するトーチホルダー1と上記トーチホルダー1を搭載し可動自在に保持するトーチホルダー保持部2と、棒材の一方を把持する棒材ホルダーを備えたトーチホルダー支持部の受け部3とからなり、これらを結合部4により着脱自在に結合できるように形成する。
【解決手段】 溶接トーチを固定するトーチホルダー1と上記トーチホルダー1を搭載し可動自在に保持するトーチホルダー保持部2と、棒材の一方を把持する棒材ホルダーを備えたトーチホルダー支持部の受け部3とからなり、これらを結合部4により着脱自在に結合できるように形成する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接トーチにより一対の棒材の各先端に間隔を開けて配置し、上記間隔を溶融金属で充填することにより上記棒材を直列に接合する棒材溶接を補助する治具に関する。
【0002】
【従来の技術】棒材溶接技術の一例として、一対の鉄筋を軸方向に直列に溶接して接続する手段が知られている。具体的には、上記一対の鉄筋を軸方向に所定の隙間を隔てて同心的に位置決めするとともに、断面が略半円形状の裏当て金をその一対の鉄筋に隙間に跨がって外側から覆って固定し、前記一対の鉄筋の先端で形成された隙間と上記裏当て金により上記隙間の略半周が囲まれた空所を形成し、この形成された空間に対して、半自動溶接法により接合する工法である。この半自動溶接法は、溶接用ワイヤ自体が電極となり母材との間にアークを発生させ、母材とワイヤとをアーク熱により溶融し上記空所に充填して接合する工法である。上記溶接用ワイヤはワイヤ給送装置から自動的に供給される。この工法の命名もこのことに由来する。溶接の操作は、上記空間溶接トーチを手で持って行う。さらに、溶接作業中はその箇所にシールドガスを吹きつけて、大気中の酸素ガスや窒素ガスが溶接金属に入りその機械的性質を劣化させることを防止している。
【0003】以下、上記工法の具体的な装置について説明する。図9はその一例を示す概略図である。溶接機9の入力側には、電源部9aと炭酸ガスボンベ9bに接続され、その出力側には、一方の鉄筋5aのアース端子部に接続される電線ケーブル9cと、炭酸ガス供給用パイプと電線ケーブルからなる複合ケーブル9dが、溶接用ワイヤ給送装置8に接続されている。溶接用ワイヤ給送装置8は、溶接用ワイヤ7aを自動的に送りだす巻き取りドラムを備え、その出力端には溶接機9から送出されてきた炭酸ガスと電力とをそれぞれ送出するホースと電線ケーブルとを複合したパイプ8aが接続されている。上記パイプ8aは溶接用トーチ7に接続されている。
【0004】この装置の操作を説明すると、図9に示した配置を準備した後、溶接用トーチ7を(図示しない)両手で支えて、上記一対の鉄筋5a,5bの隙間と裏当て金6で形成された空間の開口部に狙いを定めて溶接トーチ7の位置決めをする。その後、溶接トーチ7に付いているレバーを引いて溶接操作に入る。溶接トーチ7の先端からは、溶接用ワイヤ7aが溶接箇所にまで自動的に繰り出されて、そこでアーク放電がスタートする。このときのアーク熱により溶接ワイヤ7aの溶け込みが行われ溶接が実行される。この溶接操作を溶融した溶接用ワイヤ7aが空間を埋め尽くすまで継続し、この段階で鉄筋5a、5bの溶接を完了する。溶接作業の間、溶接用トーチ7の先端からは炭酸ガスが放出されて溶接箇所を包み込んで大気との接触を遮断する。この鉄筋の溶接工法は、大電流が用いられること、そのためアークの広がりとアーク力が増大しアークスタート部での溶け込みの容易性、裏当て金の保温効果によって焼きなまし効果が得られるなどの利点を有し、そのため、母材部、熱影響部、溶接ワイヤの溶融部がほぼ同一の耐力、硬さが得られ、とくに、異形棒鋼の特性である高炭素当量の接合に適した工法として重用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この溶接工法を用いて溶接品質を確保するには、溶接トーチをその時々の状況に応じて前後左右に向きや位置を変えて操作し、かつ、その溶接時間は極力短く抑えることが要求される。この操作は、トーチを持ちながら行うために、不慣れなどにより作業が手間取ると、その分鉄筋5a,5bや溶融したワイヤ7aに無用な加熱時間を加えることになり、鉄筋の酸化(炭酸ガスを吹きつけているが確実に防止することはできない)、甚だしい場合は溶落という溶接品質の著しい劣化を示す最も避けるべき現象を招き兼ねない。したがって、このような作業は高度の熟練が必要である。
【0006】その上、溶接トーチ7を把持する手は輻射熱を受けるために、溶接時間が長くなればそれだけ作業者が低温火傷を受けるおそれが増える。これを防ぐためにも作業時間の短縮化は、品質確保と共に労働災害防止の観点からも重視される事項である。また、作業現場は多数の溶接箇所があるのが通常であり、当然、次々と溶接箇所を移りながら溶接作業が繰り返される。作業の開始に当たっては、先ず上記溶接箇所の空所に向かっての溶接トーチ7の位置決め作業が必要である。しかし、トーチを手持ちで位置決めし、狙い角を正しく定めることは難しく時間もかかる。多数の作業箇所があると、この位置決め作業等の時間も作業能率の観点からも無視できないものとなる。
【0007】本発明は、上記溶接工法の利点を生かしつつ、上に述べた点を解決し、溶接トーチの溶接箇所への位置決めを機械的に定めて保持することにより、溶接時のトーチの操作を簡単化して、熟練度の低い人でも高品質で、かつ短時間に溶接が行えるようにし、これに伴い溶接箇所の多い現場においても次の溶接場所へ移動して溶接を開始する時間が短縮でき、かつ、高品質、高能率の溶接が可能な溶接用治具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の溶接治具は、トーチホルダーと上記トーチホルダーを搭載し可動自在に支持するトーチホルダー支持部と、上記棒材の一方を把持する棒材ホルダーを備えた上記トーチ支持部の受け部とを別体に構成して、両者を結合部材により着脱自在に結合できるようにしたものである。使用時には、上記結合部材を介して、上記トーチホルダー支持部を鉄筋に固定したトーチホルダー支持部の受け部に装着し、位置決め手段により上記トーチが溶接個所に来るように調整する。その後溶接操作に入る。
【0009】このように、トーチは、トーチホルダー支持部の受け部により溶接箇所に機械的に保持されているので、溶接時のトーチの操作(溶接箇所での狙い角、前進後退)を容易に行うことができる。そのため熟練度の低い人でも高品質の溶接が短時間で可能になる。また、通常の現場では溶接箇所が多数あるので、ある個所の溶接中に、次に予定している別の溶接箇所に上記トーチホルダー支持部の受け部を取り付けておき、別の溶接箇所に移る際には、トーチを固定したまま上記トーチ支持部をトーチホルダー保持部から外して次の予定箇所に取り付けてあった上記トーチ支持部受け部に装着して溶接を行えばよい。さらに、上記トーチホルダー支持部またはその受け部には、トーチ位置を調整する位置決め手段を設けているのでトーチを所望の個所に確実に保持できる。そのため溶接作業が容易となり高能率、高品質の溶接が可能となる。
【0010】
【実施の態様】発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。ここでは、2本の縦鉄筋を溶接する例について説明する。上記トーチホルダー1は、図1ないし図4に示すように、トーチ挿入孔11を有するトーチホルダー本体1と、トーチを締めつけて固定する蝶ネジ12とからなる。図1の右向き矢印はトーチの挿入方向を示し、この方向から(図示しない)トーチを挿入し、上記蝶ネジ12により確実に固定する。上記トーチホルダー1は、図1に示すように上記トーチホルダー支持部2に固定され、トーチが自由に操作できるように回転・直線運動が可能な機構が設けられている。次に、上記トーチホルダー支持部2の構成について説明する。図1R>1ないし図4に示すように、上記トーチホルダー本体1の直下にはほぼU字状のバネ21が横向きに配置されて、トーチの向きを上下方向に変えられるように構成されている。その上片は上記トーチホルダー本体1の下端に固定され、その下片は回転部材22に固定されている。上記回転部材22は回転部材取付板23に取り付けられている。上記回転部材取付板23は、図1に示すように、スライド機構24の上部を覆うように設置されているので、溶接作業により溶融鉄が飛散しても、スライド機構24に入り込むのを阻止でき、故障の原因となることを防止できる。
【0011】上記スライド機構24は、図1、図5に示すように、ベースプレート24a、一対の平行に配置された丸棒からなるスライド案内バー24c、上記スライド案内バー24cの両端を固定する案内バー取付金具24b、上記案内バー取付金具24bに案内されて摺動するスライダー24e、上記スライダー24eの側面に取り付けられている調整手掛け24f、上記スライダー24eを一定方向に押圧する圧縮コイルバネ24dから構成されている。なお、上記調整手掛け24fは利き手の異なる人でも操作しやすいように両側に設けてもよい。上記スライド案内バー24cの両端を固定する案内バー取付金具24bは、V溝を形成した一対の柱体からなり、上記各柱体の溝部同士を対向させて、そこに上記丸棒の上下端を嵌合しネジなどで締めつけて固定している。このV溝による固定構造は大きな板材から切り出して多数個取りする際に高い並行度が得易く有利な構造である。また、上記ベースプレート24aの下端には、結合部4の一部を構成する丸棒3が下方に突設している。なお、上記スライド機構は、角状の案内レールと、中空の角孔からなるスライダーを用いてもよく、この場合は案内レールは一本で足りる。
【0012】上記トーチホルダー支持部の受け部3の構造は図1、図6ないし8に示されている。本体部分をなす案内パイプ31と、これに取り付けられた鉄筋ホルダー33とから形成されている。上記本体部分31の一端は上記棒状部材の挿入口をなして上記結合用丸棒4の挿入により着脱自在の結合部4を形成し、その他端は上記丸棒4の先端に当接して挿入位置を調整する上下調整ネジ部32が位置決め手段として設けられている。この構成により、回転自在で上下の位置決めが可能な結合部4を兼用している。結合部4は、この実施例の構成に限られず着脱自在であればよく、位置決め機能は、トーチ支持部など他の部分に設けてもよいし、回転自在の構成は省略することもできる。上記鉄筋ホルダー33は、ほぼ円弧状をなし下方に位置する鉄筋を部分的に包囲するように形成されており、鉄筋を押圧する把手付き鉄筋押さえネジ部33aと、上記受け部の本体部分31と固定ネジで固定される鉄筋ホルダー基部33bとからなっている。なお、本実施例では、トーチの溶接箇所への位置調整をトーチホルダー支持部の受け部3の上下調整ネジ部32で行っている。しかし、この位置調整はトーチホルダー支持部2の機構の中に設けてもよく、この場合、周知の上下動機構を任意に採用できる。以上は、縦鉄筋の接続について説明したが横鉄筋でも可能である。本実施例の当接手段は、縦鉄筋ように縦鉄筋の溶接の場合にはトーチホルダー支持部の重量のみで結合が確実にできるが、横鉄筋の溶接の場合は重力が利用できないので、例えば、上記結合用丸棒4の先端または上下調整ネジ部32の先端に永久磁石を取り付けるなどの手段を取れば確実な支持ができる。
【0013】次に、本発明の治具の使用の方法を縦鉄筋の溶接を例に説明する。溶接すべき鉄筋は、図9に示したように、先端が間隔を置いて縦方向に並べた一対の鉄筋であり、溶接箇所は、その間隔を跨いで両鉄筋の端部に固定される半円形状の添え板とからなる空所であり、ここを溶接ワイヤを溶融・固化することにより接合する。この点の詳細は従来の技術において説明している。作業は、まず下に位置する鉄筋に対してトーチホルダー支持部の受け部3を固定する。それには、トーチホルダー支持部の受け部3が備えている鉄筋ホルダー33で鉄筋を包囲し、把手付き鉄筋押さえネジ部33aで締めつけてしっかりと固定する。その後、上記トーチホルダー支持部の受け部3の案内パイプ31に、ベースプレート24aの下端に取り付けられている結合用丸棒4を挿入してトーチホルダー支持部2を装着する。トーチは最初からトーチホルダー1に取り付けておいてもよいし、上記トーチホルダー支持部を装着した段階で行われてもよい。溶接箇所が複数あり作業が連続する際には、トーチを取り付けたままの状態で、トーチホルダー支持部2をその受け部3から取り外して次の溶接箇所に持ち運べばよい。この状態で、予め取り付けてあったトーチホルダー支持部の受け部3に取り付ける。上記トーチの溶接箇所への位置(高さ)調整は、上記受け部3の上下調整ネジ部32により結合部4の結合用丸棒4の先端を動かして簡単に行うことができる。
【0014】次いで、左手でベースプレート24aの下面を支え、親指を調整用手掛け24fにかける。右手は(図示しない)トーチの握り部を掴み、両手でトーチの溶接箇所に対して向きや距離を調整したのち、(図示しない)トーチのスタートボタンを押して溶接を開始する。これにより溶接ワイヤの自動送り、炭酸ガスの噴出がなされる。溶接時のトーチの操作は、ほぼ横U字状のバネ21による縦方向の角度調整、回転部材22による横方向の角度調整、スライド機構24の調整用手掛け24fによる横方向移動、結合部4を構成する丸棒4の回転運動からなる四元動作により容易に行える。溶接の進行の状況に応じて、トーチの角度調整、位置調整を適宜行う必要があるが、この際にも上記四元動作が有効に働き円滑な操作ができる。この調整は、トーチの高さ位置が上下調整ネジ部32により確保されているので、トーチの手振れはなく、トーチの角度調整、進退調整のみを行えばよいので、熟練度の低い溶接工でも品質の高い溶接が短い時間で可能になる。短時間での作業終了は溶接品質の確保において重要な要素である。
【0015】また、現場での作業は、溶接箇所が多数あるのが通常であり、作業は溶接箇所を求めて順次移動しながら連続して行われる。その際にも本発明の治具は有効である。それには、トーチホルダー支持部の受け部3を2個またはそれ以上用意しておけばよい。そして、溶接工が一つの溶接箇所の作業を行っている間に、助手が次に溶接する鉄筋(下方の)に別途用意した受け部3を取り付けておく。溶接作業が終了すれば、溶接工は、トーチを装着した状態でトーチ保持部を受け部3から取り去り、次の溶接箇所へと移り既に取り付けられている上述の受け部3の案内パイプ31にトーチ保持部の丸棒4を結合する。トーチの溶接箇所への位置決めは受け部3の上下調整ネジ部32を調整して簡単に行うことができる。このため、素早い溶接が可能になり、作業能率を格段に向上させることができる。
【0016】溶接が終了し取り残された受け部3は、助手が外して次に予定している溶接箇所の鉄筋に取り付けることにより有効に活用できる。そのため、予め用意する受け部の数は最低2個で足りる。勿論、作業の状況に応じて準備する数を増加することは自由である。また、回転部材取付板23や、ベースプレート24aをアルミニウム材にすれば、飛散した溶融鉄がこれらに当たっても付着することがなく、治具の操作に悪影響を与えず故障の原因とならないばかりか、鉄製に比べて軽量になるためその分、溶接箇所を移動する際の疲労を防ぐことができる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。本発明の治具を採用すれば、溶接箇所へトーチの位置決めが簡単にできトーチの位置が機械的に固定されるので、トーチの操作中、その重量を手で支える必要がなく、また、手振れの心配がない。そのため、溶接工は、トーチ先端の狙い角度の調整に専念でき、溶接品質の確保、作業時間の短縮化ができ、熟練度の低い人でも操作は容易である。
【0018】また、多数の溶接箇所がある場合には特に有利である。それは、トーチホルダー支持部とトーチホルダー支持部の受け部とは別体であり、両者は結合部により着脱自在に構成されている点にある。上記トーチホルダー支持部の受け部を複数個準備しておき、それを溶接予定箇所の棒材に予め固定しておけば、一か所の溶接が完了したとき、次の溶接現場へはトーチを装着した状態のトーチホルダー支持部だけを次の溶接個所へ運び、そこに取り付けてあるトーチホルダー支持部の受け部に装着してトーチの位置調整をすれば溶接作業の開始が素早くできるからである。さらに、本発明によれば、両手が、溶接による輻射熱源からベースプレート24aやトーチホルダー1により遮蔽されるので低温火傷などの傷害を受ける恐れがない点、溶接操作中はトーチの重量を支えなくてよいので疲労度の軽減にもなり労働災害の防止にも役立つ。スライド部材24eの側面には、調整用手掛け24fが取り付けられているので、ベースプレート24aを支えている手の親指で移動位置の調整が微妙にでき、トーチの溶接部への進退が自由に調整できる点も高品質の確保のために有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る鉄筋溶接用治具の概略斜視図。
【図2】図1において、トーチホルダーを回動部材と平行回転部材とで保持した構成を示す斜視図。
【図3】図2の正面図。
【図4】図2の側面図。
【図5】図1において、直角移動部材と平行移動部材との構成を示す側面図。
【図6】図1において、溶接用トーチ台受け部をを示す斜視図。
【図7】図6の側面図。
【図8】図6の上面図。
【図9】炭酸ガス半自動溶接機の概念図。
【符号の説明】
1 トーチホルダー
1 トーチホルダー本体
11 トーチ挿入孔
12 トーチ固定ねじ
2 トーチホルダー支持部
21 揺動部材(U字状バネ)
22 回転部材
23 固定部材取付板
24 スライド機構
24a ベースプレート
24b 案内バー取付金具
24c スライド案内バー
24d 圧縮コイルバネ
24e スライド部材
24f 調整用手掛け
3 トーチホルダー支持部の受け部
31 本体部(案内パイプ)
32 上下調整ネジ部
33 鉄筋ホルダー
33a 把手付き鉄筋押さえネジ部
33b 鉄筋ホルダー基部
4 結合部
4 結合用丸棒
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接トーチにより一対の棒材の各先端に間隔を開けて配置し、上記間隔を溶融金属で充填することにより上記棒材を直列に接合する棒材溶接を補助する治具に関する。
【0002】
【従来の技術】棒材溶接技術の一例として、一対の鉄筋を軸方向に直列に溶接して接続する手段が知られている。具体的には、上記一対の鉄筋を軸方向に所定の隙間を隔てて同心的に位置決めするとともに、断面が略半円形状の裏当て金をその一対の鉄筋に隙間に跨がって外側から覆って固定し、前記一対の鉄筋の先端で形成された隙間と上記裏当て金により上記隙間の略半周が囲まれた空所を形成し、この形成された空間に対して、半自動溶接法により接合する工法である。この半自動溶接法は、溶接用ワイヤ自体が電極となり母材との間にアークを発生させ、母材とワイヤとをアーク熱により溶融し上記空所に充填して接合する工法である。上記溶接用ワイヤはワイヤ給送装置から自動的に供給される。この工法の命名もこのことに由来する。溶接の操作は、上記空間溶接トーチを手で持って行う。さらに、溶接作業中はその箇所にシールドガスを吹きつけて、大気中の酸素ガスや窒素ガスが溶接金属に入りその機械的性質を劣化させることを防止している。
【0003】以下、上記工法の具体的な装置について説明する。図9はその一例を示す概略図である。溶接機9の入力側には、電源部9aと炭酸ガスボンベ9bに接続され、その出力側には、一方の鉄筋5aのアース端子部に接続される電線ケーブル9cと、炭酸ガス供給用パイプと電線ケーブルからなる複合ケーブル9dが、溶接用ワイヤ給送装置8に接続されている。溶接用ワイヤ給送装置8は、溶接用ワイヤ7aを自動的に送りだす巻き取りドラムを備え、その出力端には溶接機9から送出されてきた炭酸ガスと電力とをそれぞれ送出するホースと電線ケーブルとを複合したパイプ8aが接続されている。上記パイプ8aは溶接用トーチ7に接続されている。
【0004】この装置の操作を説明すると、図9に示した配置を準備した後、溶接用トーチ7を(図示しない)両手で支えて、上記一対の鉄筋5a,5bの隙間と裏当て金6で形成された空間の開口部に狙いを定めて溶接トーチ7の位置決めをする。その後、溶接トーチ7に付いているレバーを引いて溶接操作に入る。溶接トーチ7の先端からは、溶接用ワイヤ7aが溶接箇所にまで自動的に繰り出されて、そこでアーク放電がスタートする。このときのアーク熱により溶接ワイヤ7aの溶け込みが行われ溶接が実行される。この溶接操作を溶融した溶接用ワイヤ7aが空間を埋め尽くすまで継続し、この段階で鉄筋5a、5bの溶接を完了する。溶接作業の間、溶接用トーチ7の先端からは炭酸ガスが放出されて溶接箇所を包み込んで大気との接触を遮断する。この鉄筋の溶接工法は、大電流が用いられること、そのためアークの広がりとアーク力が増大しアークスタート部での溶け込みの容易性、裏当て金の保温効果によって焼きなまし効果が得られるなどの利点を有し、そのため、母材部、熱影響部、溶接ワイヤの溶融部がほぼ同一の耐力、硬さが得られ、とくに、異形棒鋼の特性である高炭素当量の接合に適した工法として重用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この溶接工法を用いて溶接品質を確保するには、溶接トーチをその時々の状況に応じて前後左右に向きや位置を変えて操作し、かつ、その溶接時間は極力短く抑えることが要求される。この操作は、トーチを持ちながら行うために、不慣れなどにより作業が手間取ると、その分鉄筋5a,5bや溶融したワイヤ7aに無用な加熱時間を加えることになり、鉄筋の酸化(炭酸ガスを吹きつけているが確実に防止することはできない)、甚だしい場合は溶落という溶接品質の著しい劣化を示す最も避けるべき現象を招き兼ねない。したがって、このような作業は高度の熟練が必要である。
【0006】その上、溶接トーチ7を把持する手は輻射熱を受けるために、溶接時間が長くなればそれだけ作業者が低温火傷を受けるおそれが増える。これを防ぐためにも作業時間の短縮化は、品質確保と共に労働災害防止の観点からも重視される事項である。また、作業現場は多数の溶接箇所があるのが通常であり、当然、次々と溶接箇所を移りながら溶接作業が繰り返される。作業の開始に当たっては、先ず上記溶接箇所の空所に向かっての溶接トーチ7の位置決め作業が必要である。しかし、トーチを手持ちで位置決めし、狙い角を正しく定めることは難しく時間もかかる。多数の作業箇所があると、この位置決め作業等の時間も作業能率の観点からも無視できないものとなる。
【0007】本発明は、上記溶接工法の利点を生かしつつ、上に述べた点を解決し、溶接トーチの溶接箇所への位置決めを機械的に定めて保持することにより、溶接時のトーチの操作を簡単化して、熟練度の低い人でも高品質で、かつ短時間に溶接が行えるようにし、これに伴い溶接箇所の多い現場においても次の溶接場所へ移動して溶接を開始する時間が短縮でき、かつ、高品質、高能率の溶接が可能な溶接用治具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の溶接治具は、トーチホルダーと上記トーチホルダーを搭載し可動自在に支持するトーチホルダー支持部と、上記棒材の一方を把持する棒材ホルダーを備えた上記トーチ支持部の受け部とを別体に構成して、両者を結合部材により着脱自在に結合できるようにしたものである。使用時には、上記結合部材を介して、上記トーチホルダー支持部を鉄筋に固定したトーチホルダー支持部の受け部に装着し、位置決め手段により上記トーチが溶接個所に来るように調整する。その後溶接操作に入る。
【0009】このように、トーチは、トーチホルダー支持部の受け部により溶接箇所に機械的に保持されているので、溶接時のトーチの操作(溶接箇所での狙い角、前進後退)を容易に行うことができる。そのため熟練度の低い人でも高品質の溶接が短時間で可能になる。また、通常の現場では溶接箇所が多数あるので、ある個所の溶接中に、次に予定している別の溶接箇所に上記トーチホルダー支持部の受け部を取り付けておき、別の溶接箇所に移る際には、トーチを固定したまま上記トーチ支持部をトーチホルダー保持部から外して次の予定箇所に取り付けてあった上記トーチ支持部受け部に装着して溶接を行えばよい。さらに、上記トーチホルダー支持部またはその受け部には、トーチ位置を調整する位置決め手段を設けているのでトーチを所望の個所に確実に保持できる。そのため溶接作業が容易となり高能率、高品質の溶接が可能となる。
【0010】
【実施の態様】発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。ここでは、2本の縦鉄筋を溶接する例について説明する。上記トーチホルダー1は、図1ないし図4に示すように、トーチ挿入孔11を有するトーチホルダー本体1と、トーチを締めつけて固定する蝶ネジ12とからなる。図1の右向き矢印はトーチの挿入方向を示し、この方向から(図示しない)トーチを挿入し、上記蝶ネジ12により確実に固定する。上記トーチホルダー1は、図1に示すように上記トーチホルダー支持部2に固定され、トーチが自由に操作できるように回転・直線運動が可能な機構が設けられている。次に、上記トーチホルダー支持部2の構成について説明する。図1R>1ないし図4に示すように、上記トーチホルダー本体1の直下にはほぼU字状のバネ21が横向きに配置されて、トーチの向きを上下方向に変えられるように構成されている。その上片は上記トーチホルダー本体1の下端に固定され、その下片は回転部材22に固定されている。上記回転部材22は回転部材取付板23に取り付けられている。上記回転部材取付板23は、図1に示すように、スライド機構24の上部を覆うように設置されているので、溶接作業により溶融鉄が飛散しても、スライド機構24に入り込むのを阻止でき、故障の原因となることを防止できる。
【0011】上記スライド機構24は、図1、図5に示すように、ベースプレート24a、一対の平行に配置された丸棒からなるスライド案内バー24c、上記スライド案内バー24cの両端を固定する案内バー取付金具24b、上記案内バー取付金具24bに案内されて摺動するスライダー24e、上記スライダー24eの側面に取り付けられている調整手掛け24f、上記スライダー24eを一定方向に押圧する圧縮コイルバネ24dから構成されている。なお、上記調整手掛け24fは利き手の異なる人でも操作しやすいように両側に設けてもよい。上記スライド案内バー24cの両端を固定する案内バー取付金具24bは、V溝を形成した一対の柱体からなり、上記各柱体の溝部同士を対向させて、そこに上記丸棒の上下端を嵌合しネジなどで締めつけて固定している。このV溝による固定構造は大きな板材から切り出して多数個取りする際に高い並行度が得易く有利な構造である。また、上記ベースプレート24aの下端には、結合部4の一部を構成する丸棒3が下方に突設している。なお、上記スライド機構は、角状の案内レールと、中空の角孔からなるスライダーを用いてもよく、この場合は案内レールは一本で足りる。
【0012】上記トーチホルダー支持部の受け部3の構造は図1、図6ないし8に示されている。本体部分をなす案内パイプ31と、これに取り付けられた鉄筋ホルダー33とから形成されている。上記本体部分31の一端は上記棒状部材の挿入口をなして上記結合用丸棒4の挿入により着脱自在の結合部4を形成し、その他端は上記丸棒4の先端に当接して挿入位置を調整する上下調整ネジ部32が位置決め手段として設けられている。この構成により、回転自在で上下の位置決めが可能な結合部4を兼用している。結合部4は、この実施例の構成に限られず着脱自在であればよく、位置決め機能は、トーチ支持部など他の部分に設けてもよいし、回転自在の構成は省略することもできる。上記鉄筋ホルダー33は、ほぼ円弧状をなし下方に位置する鉄筋を部分的に包囲するように形成されており、鉄筋を押圧する把手付き鉄筋押さえネジ部33aと、上記受け部の本体部分31と固定ネジで固定される鉄筋ホルダー基部33bとからなっている。なお、本実施例では、トーチの溶接箇所への位置調整をトーチホルダー支持部の受け部3の上下調整ネジ部32で行っている。しかし、この位置調整はトーチホルダー支持部2の機構の中に設けてもよく、この場合、周知の上下動機構を任意に採用できる。以上は、縦鉄筋の接続について説明したが横鉄筋でも可能である。本実施例の当接手段は、縦鉄筋ように縦鉄筋の溶接の場合にはトーチホルダー支持部の重量のみで結合が確実にできるが、横鉄筋の溶接の場合は重力が利用できないので、例えば、上記結合用丸棒4の先端または上下調整ネジ部32の先端に永久磁石を取り付けるなどの手段を取れば確実な支持ができる。
【0013】次に、本発明の治具の使用の方法を縦鉄筋の溶接を例に説明する。溶接すべき鉄筋は、図9に示したように、先端が間隔を置いて縦方向に並べた一対の鉄筋であり、溶接箇所は、その間隔を跨いで両鉄筋の端部に固定される半円形状の添え板とからなる空所であり、ここを溶接ワイヤを溶融・固化することにより接合する。この点の詳細は従来の技術において説明している。作業は、まず下に位置する鉄筋に対してトーチホルダー支持部の受け部3を固定する。それには、トーチホルダー支持部の受け部3が備えている鉄筋ホルダー33で鉄筋を包囲し、把手付き鉄筋押さえネジ部33aで締めつけてしっかりと固定する。その後、上記トーチホルダー支持部の受け部3の案内パイプ31に、ベースプレート24aの下端に取り付けられている結合用丸棒4を挿入してトーチホルダー支持部2を装着する。トーチは最初からトーチホルダー1に取り付けておいてもよいし、上記トーチホルダー支持部を装着した段階で行われてもよい。溶接箇所が複数あり作業が連続する際には、トーチを取り付けたままの状態で、トーチホルダー支持部2をその受け部3から取り外して次の溶接箇所に持ち運べばよい。この状態で、予め取り付けてあったトーチホルダー支持部の受け部3に取り付ける。上記トーチの溶接箇所への位置(高さ)調整は、上記受け部3の上下調整ネジ部32により結合部4の結合用丸棒4の先端を動かして簡単に行うことができる。
【0014】次いで、左手でベースプレート24aの下面を支え、親指を調整用手掛け24fにかける。右手は(図示しない)トーチの握り部を掴み、両手でトーチの溶接箇所に対して向きや距離を調整したのち、(図示しない)トーチのスタートボタンを押して溶接を開始する。これにより溶接ワイヤの自動送り、炭酸ガスの噴出がなされる。溶接時のトーチの操作は、ほぼ横U字状のバネ21による縦方向の角度調整、回転部材22による横方向の角度調整、スライド機構24の調整用手掛け24fによる横方向移動、結合部4を構成する丸棒4の回転運動からなる四元動作により容易に行える。溶接の進行の状況に応じて、トーチの角度調整、位置調整を適宜行う必要があるが、この際にも上記四元動作が有効に働き円滑な操作ができる。この調整は、トーチの高さ位置が上下調整ネジ部32により確保されているので、トーチの手振れはなく、トーチの角度調整、進退調整のみを行えばよいので、熟練度の低い溶接工でも品質の高い溶接が短い時間で可能になる。短時間での作業終了は溶接品質の確保において重要な要素である。
【0015】また、現場での作業は、溶接箇所が多数あるのが通常であり、作業は溶接箇所を求めて順次移動しながら連続して行われる。その際にも本発明の治具は有効である。それには、トーチホルダー支持部の受け部3を2個またはそれ以上用意しておけばよい。そして、溶接工が一つの溶接箇所の作業を行っている間に、助手が次に溶接する鉄筋(下方の)に別途用意した受け部3を取り付けておく。溶接作業が終了すれば、溶接工は、トーチを装着した状態でトーチ保持部を受け部3から取り去り、次の溶接箇所へと移り既に取り付けられている上述の受け部3の案内パイプ31にトーチ保持部の丸棒4を結合する。トーチの溶接箇所への位置決めは受け部3の上下調整ネジ部32を調整して簡単に行うことができる。このため、素早い溶接が可能になり、作業能率を格段に向上させることができる。
【0016】溶接が終了し取り残された受け部3は、助手が外して次に予定している溶接箇所の鉄筋に取り付けることにより有効に活用できる。そのため、予め用意する受け部の数は最低2個で足りる。勿論、作業の状況に応じて準備する数を増加することは自由である。また、回転部材取付板23や、ベースプレート24aをアルミニウム材にすれば、飛散した溶融鉄がこれらに当たっても付着することがなく、治具の操作に悪影響を与えず故障の原因とならないばかりか、鉄製に比べて軽量になるためその分、溶接箇所を移動する際の疲労を防ぐことができる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。本発明の治具を採用すれば、溶接箇所へトーチの位置決めが簡単にできトーチの位置が機械的に固定されるので、トーチの操作中、その重量を手で支える必要がなく、また、手振れの心配がない。そのため、溶接工は、トーチ先端の狙い角度の調整に専念でき、溶接品質の確保、作業時間の短縮化ができ、熟練度の低い人でも操作は容易である。
【0018】また、多数の溶接箇所がある場合には特に有利である。それは、トーチホルダー支持部とトーチホルダー支持部の受け部とは別体であり、両者は結合部により着脱自在に構成されている点にある。上記トーチホルダー支持部の受け部を複数個準備しておき、それを溶接予定箇所の棒材に予め固定しておけば、一か所の溶接が完了したとき、次の溶接現場へはトーチを装着した状態のトーチホルダー支持部だけを次の溶接個所へ運び、そこに取り付けてあるトーチホルダー支持部の受け部に装着してトーチの位置調整をすれば溶接作業の開始が素早くできるからである。さらに、本発明によれば、両手が、溶接による輻射熱源からベースプレート24aやトーチホルダー1により遮蔽されるので低温火傷などの傷害を受ける恐れがない点、溶接操作中はトーチの重量を支えなくてよいので疲労度の軽減にもなり労働災害の防止にも役立つ。スライド部材24eの側面には、調整用手掛け24fが取り付けられているので、ベースプレート24aを支えている手の親指で移動位置の調整が微妙にでき、トーチの溶接部への進退が自由に調整できる点も高品質の確保のために有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る鉄筋溶接用治具の概略斜視図。
【図2】図1において、トーチホルダーを回動部材と平行回転部材とで保持した構成を示す斜視図。
【図3】図2の正面図。
【図4】図2の側面図。
【図5】図1において、直角移動部材と平行移動部材との構成を示す側面図。
【図6】図1において、溶接用トーチ台受け部をを示す斜視図。
【図7】図6の側面図。
【図8】図6の上面図。
【図9】炭酸ガス半自動溶接機の概念図。
【符号の説明】
1 トーチホルダー
1 トーチホルダー本体
11 トーチ挿入孔
12 トーチ固定ねじ
2 トーチホルダー支持部
21 揺動部材(U字状バネ)
22 回転部材
23 固定部材取付板
24 スライド機構
24a ベースプレート
24b 案内バー取付金具
24c スライド案内バー
24d 圧縮コイルバネ
24e スライド部材
24f 調整用手掛け
3 トーチホルダー支持部の受け部
31 本体部(案内パイプ)
32 上下調整ネジ部
33 鉄筋ホルダー
33a 把手付き鉄筋押さえネジ部
33b 鉄筋ホルダー基部
4 結合部
4 結合用丸棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】 溶接すべき一対の棒材の相対向する先端部を所定の間隔を開けて配置し、裏当て金を上記間隔に跨り上記各先端部の外周に沿わせて固定し、上記棒材の各先端および上記裏当て金からなる空所に溶接ワイヤを溶融して、両棒材を直線状に溶接する棒材溶接用治具において、上記治具は、トーチホルダーと、上記トーチホルダーを搭載し可動自在に支持するトーチホルダー支持部と、上記一方の棒材を把持する棒材ホルダーが本体部に備えられたトーチホルダー支持部の受け部と、上記トーチホルダー支持部とその受け部とを着脱自在に結合する結合部とからなり、上記トーチホルダー支持部またはその受け部には、上記トーチホルダーを溶接位置へ調整する位置決め手段が設けられていることを特徴とする棒材溶接用治具。
【請求項2】 上記トーチホルダーは、トーチ挿入孔を有するトーチホルダー本体と、トーチを締めつけて固定するトーチ締めつけ部とからなることを特徴とする請求項1記載の棒材溶接用治具。
【請求項3】 上記トーチホルダー支持部は、上記棒材の長さ方向に揺動可能な揺動部材と、上記棒材の長さ方向に平行な回転軸を有する回転部材と、棒材の軸方向に直角な向きを往復動可能なスライド機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の棒材溶接用治具。
【請求項4】 上記揺動部材は、ほぼU字状のバネ材からなり、その一片は、上記トーチホルダーに固定され、その他片は、上記回転部材に取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の棒材溶接用治具。
【請求項5】 上記スライド機構は、ベースプレートとその表面に設置された案内レールとそれにより案内されるスライド部材とからなり、上記スライド部材の側面には調整用手掛けが形成されていることを特徴とする請求項3記載の棒材溶接用治具。
【請求項6】 上記スライド部材は、押圧材により一方向に押圧されていることを特徴とする請求項5記載の棒材溶接用治具。
【請求項7】 上記案内レールは、平行に配置された一対の丸棒と、上記丸棒の両端を上記ベースプレート表面に固定する一対の取付具とからなっている。上記取付具は、2箇のV溝を形成した一対の柱体であり、上記各柱体の溝同士を対向させて丸棒の上下から挟み込み締め付けて固定することを特徴とする請求項5記載の棒材溶接用治具。
【請求項8】 上記ベースプレートの裏面には棒状部材が突設しており、一方、上記トーチホルダー支持部の受け部には棒材ホルダーを備えた本体部に柱筒状の孔が設けられ、その一端は上記棒状部材の挿入口をなし上記棒状部材の挿入により着脱・回転自在の結合部を形成し、その他端は上記棒状部材の先端に当接して挿入位置を調整する位置決め手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒材溶接用治具。
【請求項9】 上記スライド機構の表面には、上記回転部材を取り付ける回転部材取付板が形成されていることを特徴とする請求項3または5記載の棒材溶接用治具。
【請求項1】 溶接すべき一対の棒材の相対向する先端部を所定の間隔を開けて配置し、裏当て金を上記間隔に跨り上記各先端部の外周に沿わせて固定し、上記棒材の各先端および上記裏当て金からなる空所に溶接ワイヤを溶融して、両棒材を直線状に溶接する棒材溶接用治具において、上記治具は、トーチホルダーと、上記トーチホルダーを搭載し可動自在に支持するトーチホルダー支持部と、上記一方の棒材を把持する棒材ホルダーが本体部に備えられたトーチホルダー支持部の受け部と、上記トーチホルダー支持部とその受け部とを着脱自在に結合する結合部とからなり、上記トーチホルダー支持部またはその受け部には、上記トーチホルダーを溶接位置へ調整する位置決め手段が設けられていることを特徴とする棒材溶接用治具。
【請求項2】 上記トーチホルダーは、トーチ挿入孔を有するトーチホルダー本体と、トーチを締めつけて固定するトーチ締めつけ部とからなることを特徴とする請求項1記載の棒材溶接用治具。
【請求項3】 上記トーチホルダー支持部は、上記棒材の長さ方向に揺動可能な揺動部材と、上記棒材の長さ方向に平行な回転軸を有する回転部材と、棒材の軸方向に直角な向きを往復動可能なスライド機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の棒材溶接用治具。
【請求項4】 上記揺動部材は、ほぼU字状のバネ材からなり、その一片は、上記トーチホルダーに固定され、その他片は、上記回転部材に取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の棒材溶接用治具。
【請求項5】 上記スライド機構は、ベースプレートとその表面に設置された案内レールとそれにより案内されるスライド部材とからなり、上記スライド部材の側面には調整用手掛けが形成されていることを特徴とする請求項3記載の棒材溶接用治具。
【請求項6】 上記スライド部材は、押圧材により一方向に押圧されていることを特徴とする請求項5記載の棒材溶接用治具。
【請求項7】 上記案内レールは、平行に配置された一対の丸棒と、上記丸棒の両端を上記ベースプレート表面に固定する一対の取付具とからなっている。上記取付具は、2箇のV溝を形成した一対の柱体であり、上記各柱体の溝同士を対向させて丸棒の上下から挟み込み締め付けて固定することを特徴とする請求項5記載の棒材溶接用治具。
【請求項8】 上記ベースプレートの裏面には棒状部材が突設しており、一方、上記トーチホルダー支持部の受け部には棒材ホルダーを備えた本体部に柱筒状の孔が設けられ、その一端は上記棒状部材の挿入口をなし上記棒状部材の挿入により着脱・回転自在の結合部を形成し、その他端は上記棒状部材の先端に当接して挿入位置を調整する位置決め手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒材溶接用治具。
【請求項9】 上記スライド機構の表面には、上記回転部材を取り付ける回転部材取付板が形成されていることを特徴とする請求項3または5記載の棒材溶接用治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【公開番号】特開2001−259890(P2001−259890A)
【公開日】平成13年9月25日(2001.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−115922(P2000−115922)
【出願日】平成12年3月13日(2000.3.13)
【出願人】(500181924)
【出願人】(500181957)株式会社アイアンスクエアー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年9月25日(2001.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年3月13日(2000.3.13)
【出願人】(500181924)
【出願人】(500181957)株式会社アイアンスクエアー (1)
【Fターム(参考)】
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