説明

植物抽出物を含有するヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子遺伝子発現促進剤

【課題】本発明は、植物由来の成分を有効成分とするHB-EGF遺伝子発現促進剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、アンジェリカ抽出物、ズイコウロウドク抽出物、カシニュウコウジュ抽出物、カンズイ抽出物、ホウセンカ抽出物、レンギョウ抽出物、ムラサキウマゴヤシ抽出物、モツヤクジュ抽出物、クィーンズ・ディライト抽出物、ヒカゲノカズラ抽出物、トキンソウ抽出物、ジャショウ抽出物、イチジク抽出物、モクレン抽出物、ハクモクレン抽出物、シラカンバ抽出物、及びウスバアカザ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とするHB-EGF遺伝子発現促進剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子遺伝子発現促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子 (Heparin-binding EGF-like Growth Factor)(本明細書では「HB-EGF」と略記することがある) は1回膜貫通蛋白質で細胞表面膜蛋白質として発現するEGFファミリーに属する増殖因子である。HB-EGF はNIH3T3細胞、平滑筋細胞、上皮細胞、ケラチノサイト、といった様々な細胞種に対して増殖促進活性や細胞遊走促進活性を示す。HB-EGF は身体の形成や再生過程に必須な働きをしていると同時に、血管狭窄、動脈硬化症、癌などの発症に関わっていると考えられている。
【0003】
HB-EGFの発現を促進することにより皮膚創傷治癒の促進や表皮ターンオーバーの促進が可能となる。また、特許文献1には、HB-EGFが、膀胱上皮細胞の増殖阻害によって生ずる間質性膀胱炎の治療に有用であることが記載されている。また、特許文献2には、中枢神経系(CNS)の損傷により生じる神経欠損を予防、減少、または消失させる方法として、HB-EGFなどのEGF様ポリペプチドの有用性が記載されている。また、特許文献3には、HB-EGFは特発性拡張型心筋症、心筋梗塞等の虚血性心疾患、心筋炎等における心筋障害並びに心不全を引き起こす種々の心疾患の治療、予防薬剤として有用である旨が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特表2002-512259号公報
【特許文献2】特表2002-522394号公報
【特許文献3】国際公開WO2003/096804号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように生体内でHB-EGFの発現を促進することにより種々の有益な効果が奏される。よってHB-EGF遺伝子の発現の促進剤が求められている。当該促進剤が植物由来の成分を有効成分とするものであれば安全性の観点からより一層好ましい。
【0006】
そこで本発明は、植物由来の成分を有効成分とするHB-EGF遺伝子発現促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究の結果、特定の植物抽出物がHB-EGF遺伝子発現促進作用を有することを見出し、以下の発明を完成するに至った。
(1) アンジェリカ抽出物、ズイコウロウドク抽出物、カシニュウコウジュ抽出物、カンズイ抽出物、ホウセンカ抽出物、レンギョウ抽出物、ムラサキウマゴヤシ抽出物、モツヤクジュ抽出物、クィーンズ・ディライト抽出物、ヒカゲノカズラ抽出物、トキンソウ抽出物、ジャショウ抽出物、イチジク抽出物、モクレン抽出物、ハクモクレン抽出物、シラカンバ抽出物、及びウスバアカザ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とするヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子(HB-EGF)遺伝子発現促進剤。
(2) 表皮のターンオーバー促進剤、表皮の肥厚化促進剤、皮膚の創傷治癒の促進剤、膀胱上皮細胞の増殖阻害が関与する疾患の予防又は治療剤、中枢神経系(CNS)の損傷により生じる神経欠損の予防又は治療剤、或いは、虚血性心疾患、心筋障害、又は心不全を引き起こす心疾患の予防又は治療剤である(1)記載のHB-EGF遺伝子発現促進剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば表皮等において、HB-EGF遺伝子の発現促進により改善され得る疾患又は症状を改善、治療又は予防することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(抽出物)
本発明に用いるアンジェリカ抽出物は、アンジェリカ (Angelica archangelica)の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは根から溶媒により抽出された抽出物である。
【0010】
本発明に用いるズイコウロウドク抽出物は、ズイコウロウドク (Stellera chamaejasme L.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは根から溶媒により抽出された抽出物である。
【0011】
本発明に用いるカシニュウコウジュ抽出物は、カシニュウコウジュ (Boswellia carterii Birdw.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは含油ガム質から溶媒により抽出された抽出物である。
【0012】
本発明に用いるカンズイ抽出物は、カンズイ (Euphorbia kansui Liou) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは種子から溶媒により抽出された抽出物である。
【0013】
本発明に用いるホウセンカ抽出物は、ホウセンカ (Impatients balsamina L.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは花(蕾であってもよい)又は植物体の全体(全草)から溶媒により抽出された抽出物である。
【0014】
本発明に用いるレンギョウ抽出物は、レンギョウ (Forsythia suspensa Vahl.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは果実から溶媒により抽出された抽出物である。
【0015】
本発明に用いるムラサキウマゴヤシ抽出物は、ムラサキウマゴヤシ (アルファルファとも呼ばれる) (Medicago sativa) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは葉又は植物体の全体(全草)から溶媒により抽出された抽出物である。
【0016】
本発明に用いるモツヤクジュ抽出物は、モツヤクジュ (Commiphora myrrha Engl. (又はC. molmol Engl.)) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは樹脂から溶媒により抽出された抽出物である。
【0017】
本発明に用いるクィーンズ・ディライト抽出物は、クィーンズ・ディライト (Stillingia sylvatica) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは根から溶媒により抽出された抽出物である。
【0018】
本発明に用いるヒカゲノカズラ抽出物は、ヒカゲノカズラ (Lycopodium clavatum L.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは植物体の全体(全草)から溶媒により抽出された抽出物である。
【0019】
本発明に用いるトキンソウ抽出物は、トキンソウ (Centipeda minima (L.) A. Br. et Aschers.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは植物体の全体(全草)から溶媒により抽出された抽出物である。
【0020】
本発明に用いるジャショウ抽出物は、ジャショウ (Cnidium monnieri (L.) Cuss.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは果実から溶媒により抽出された抽出物である。
【0021】
本発明に用いるイチジク抽出物は、イチジク (Ficus carica L.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは果実から溶媒により抽出された抽出物である。
【0022】
本発明に用いるモクレン抽出物は、モクレン (Magnolia lilifora Desr.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは花(蕾であってもよい)から溶媒により抽出された抽出物である。
【0023】
本発明に用いるハクモクレン抽出物は、ハクモクレン (Magnolia denudate Desr.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは花(蕾であってもよい)から溶媒により抽出された抽出物である。
【0024】
本発明に用いるシラカンバ抽出物は、シラカンバ (Betula platyphylla Suk. Var. japonica (Sieb.) Hara) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは樹皮から溶媒により抽出された抽出物である。
【0025】
本発明に用いるウスバアカザ抽出物は、ウスバアカザ (Chenopodium hybridum L.) の植物体の全体、植物体の一部又はそれらに由来する材料、好ましくは植物体の全体(全草)から溶媒により抽出された抽出物である。
【0026】
これらの植物抽出物を取得するために使用する溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、1,3-ブタンジオール等)、又はアセトン、或いはこれらの溶媒の2種以上の混合物が挙げられる。抽出溶媒としては、特に水又はアルコールと水との混合物、すなわちアルコール水溶液が好ましく、エタノール水溶液が特に好ましい。エタノール水溶液中のエタノール含量は水溶液全体を基準として10〜99.5v/v%が好ましい。
抽出しようとする植物体の全体、一部、又はそれらに由来する材料は適宜粉砕又は細切して用いてもよく、また適宜乾燥して用いてもよい。
【0027】
抽出の際は、抽出しようとする植物体の全体、一部、又はそれらに由来する材料に対して上記抽出溶媒を3〜20重量/容量倍 (例えば生薬1kgに溶媒10Lを加えると10重量/容量倍)加えることが好ましい。
【0028】
抽出は5℃〜70℃の温度条件下で行うことが好ましい。抽出時間は抽出温度によっても相違するが1時間〜2ヶ月間行うことが好ましい。抽出中は適宜撹拌を行ってもよい。
【0029】
抽出後、植物体残渣と抽出液とをろ過などの常法により分離する。得られた抽出液から減圧濃縮などの常法により溶媒を除去したものを本発明における植物抽出物として使用してもよい。
本発明では各種植物抽出物を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0030】
(用途)
上記植物抽出物の1種以上がヒト等の哺乳動物の細胞に投与されると、当該細胞においてHB-EGF遺伝子の発現が促進される。ここで「HB-EGF遺伝子の発現が促進される」とは、HB-EGFをコードするDNAから転写されるmRNAの細胞中での存在量が、植物抽出物不存在下における存在量と比較して有意に増大することを意味する。
【0031】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤をヒト等の哺乳動物に投与することにより、被投与部位においてHB-EGF遺伝子の発現が促進され、当該部位において、HB-EGF遺伝子の発現により改善されうる疾患又は状態を改善、治療又は予防することができる。
【0032】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤が作用しうる細胞としては上皮細胞、神経細胞、心筋細胞、線維芽細胞、筋細胞等が挙げられる。ここで「上皮細胞」とは広義の意味であり、動物の体の内外の遊離面を覆う細胞であれば特に限定されないが、典型的には皮膚の表皮細胞(ケラチノサイト)、膀胱上皮細胞、肺上皮細胞、角膜上皮細胞、腎上皮細胞、乳腺上皮細胞、子宮内膜上皮細胞等が挙げられる。
【0033】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤を皮膚に作用させることにより表皮のターンオーバーが促進される。本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤を皮膚に作用させることにより表皮の肥厚化が促進される。本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤を皮膚の創傷部に作用させることにより、創傷の治癒が促進される。これら用途のためには本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は皮膚外用剤の形態であることが好ましい。
【0034】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤はまた、膀胱上皮細胞の増殖阻害が関与する疾患の予防又は治療剤としても有用である。「膀胱上皮細胞の増殖阻害が関与する疾患」としては、間質性膀胱炎が挙げられる。この用途のためには、本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は前記疾患の治療又は予防を必要とする膀胱上皮組織の部位に送達されるように投与される。この用途のためには本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は経口投与剤又は非経口投与剤の形態であることが好ましい。
【0035】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤はまた、中枢神経系(CNS)の損傷により生じる神経欠損の予防又は治療剤としても有用である。この用途のためには、本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は前記神経欠損の治療又は予防を必要とする中枢神経系の部位に送達されるように投与される。この用途のためには本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は経口投与剤又は非経口投与剤の形態であることが好ましい。
【0036】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤はまた、虚血性心疾患、心筋障害、又は心不全を引き起こす心疾患の予防又は治療剤としても有用である。「虚血性心疾患」としては特発性拡張型心筋症、心筋梗塞等が挙げられる。「心筋障害」としては心筋炎等における心筋障害が挙げられる。「心不全を引き起こす心疾患」としては心不全を引き起こす可能性のある種々の心疾患が挙げられる。この用途のためには、本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は前記疾患又は障害の治療又は予防を必要とする部位に送達されるように投与される。この用途のためには本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は経口投与剤又は非経口投与剤の形態であることが好ましい。
【0037】
(HB-EGF遺伝子発現促進剤の形態)
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は上記植物抽出物を少なくとも1種含んでいる限りどのような形態であってもよいが典型的には以下の形態が挙げられる。
【0038】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤はヒト等の哺乳動物のための皮膚外用剤として用いることができる。この実施形態では、上記植物抽出物のほかに、上記植物抽出物の活性を損なわない範囲で、化粧品又は医薬品として許容される各種担体、賦形剤、他の活性成分等を組み合わせて皮膚外用組成物とすることができる。皮膚外用組成物には化粧品組成物も医薬品組成物も包含される。皮膚外用組成物に配合できる成分としては、例えば油分、顔料、界面活性剤、保湿剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、殺菌剤、色素等が挙げられる。皮膚外用組成物の形態は特に限定されないが、典型的には、化粧水、皮膚塗布用、浴用又は洗浄用等のクリーム、乳液、ジェル、スティック、シート、パップ、粉末、液体、顆粒等が挙げられる。皮膚外用組成物中の植物抽出物の配合量は皮膚への適用時にHB-EGF遺伝子発現を有意に増大させることが可能な量である限り特に限定されないが、典型的には0.0001〜20重量%である。
【0039】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤はヒト等の哺乳動物に経口摂取される形態であってもよい。この実施形態では、上記植物抽出物のほかに、上記植物抽出物の活性を損なわない範囲で、飲食品又は医薬品として許容される各種担体、賦形剤、他の活性成分等を組み合わせて経口摂取用組成物とすることができる。経口摂取用組成物には飲食品用組成物も経口用医薬製剤も包含される。経口摂取用組成物に配合できる成分としては、例えば賦型剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等が挙げられる。経口摂取用組成物の形態は特に限定されないが、典型的には、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末状、顆粒状、茶状、ティバッグ状、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、チューインガム、チョコレート、キャンディ、グミゼリー、飲料、スープ、アイスクリーム、麺類、ベーカリー食品等が挙げられる。当該経口摂取用組成物が飲食品組成物である場合、その本体、包装、説明書、宣伝物又は宣伝用電子的情報に効能の表示、例えばHB-EGF遺伝子の発現を促進する旨の表示、表皮のターンオーバーを促進する旨の表示等が付されたものであってもよい。経口摂取用組成物中の植物抽出物の配合量は経口摂取時にHB-EGF遺伝子発現を有意に増大させることが可能な量である限り特に限定されないが、典型的には0.0001〜10重量%である。
【0040】
本発明のHB-EGF遺伝子発現促進剤は注射剤(例えば皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤)、直腸投与剤、吸入剤、点眼剤等の非経口投与剤の形態に製剤化されてもよい。これらの非経口投与剤は上記植物抽出物に加えて、医薬品として許容される賦形剤、担体等を適宜含有し得る。
【実施例】
【0041】
以下に実施例に基づいて本発明を説明するが、実施例は本発明の一実施形態を示すものであり、本発明の範囲は実施例の範囲には限定されない。
1. エキスの製造法
各植物の抽出物を得た。抽出操作の具体例を2つ示す。
(抽出例1)
ホウセンカの花15gを細切し、50%エタノール100mLを加え、室温で7日間抽出後、濾過して抽出液を得た(収量80mL、蒸発残分2.18w/v%)。
(抽出例2)
アンジェリカの根15gを細切し、95%エタノール100mLを加え、室温で7日間抽出後、濾過して抽出液を得た(収量80mL、蒸発残分2.34w/v%)。
同様にして各植物から表1に示す条件により抽出物を得た。
【0042】
2. ケラチノサイトにおける遺伝子発現解析
正常ヒト新生児包皮由来ケラチノサイト(品名:凍結NHEK(F))はクラボウ(株) より入手した。培地にはHuMedia-KG2(クラボウ社製)を使用した。細胞は37℃・5%CO2インキュベーター中で培養した。細胞を12ウェルの培養プレートに0.4×105 cells/ml/wellで播き、24時間後に培地添加剤hEGF及びBPEを含まない培地に交換し、24時間処理した。表2に示した終濃度で植物エキスを添加し(N=2)、24時間後にTRIzol(登録商標) Reagent(Invitrogen)を用いてTotal RNAを抽出した。1μgのTotal RNAを鋳型とし、Super script III first strand system(Invitrogen)による逆転写反応を行いcDNAを合成した。定量的RT-PCR法によりHB-EGF及び内部標準RPLP0(Ribosomal Protein Large P0)の遺伝子発現量を解析した。各遺伝子の特異的プローブ及びプライマーには、アプライドバイオシステムズ(株) のTaqMan(登録商標) Gene Expression Assayを使用した(HB-EGF: Assay ID Hs00181813_m1、RPLP0: Assay ID Hs99999902_m1)。PCR反応試薬には、TaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mixを使用し、PCR反応及び解析には、7500 Real-time PCR Systemを用いた。各遺伝子について検量線法による絶対定量を行い、得られた発現量は、内部標準遺伝子RPLP0(Ribosomal Protein Large P0)の発現量により補正した。陰性対照(コントロール)の発現量を1として算出した相対発現量を表2に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンジェリカ抽出物、ズイコウロウドク抽出物、カシニュウコウジュ抽出物、カンズイ抽出物、ホウセンカ抽出物、レンギョウ抽出物、ムラサキウマゴヤシ抽出物、モツヤクジュ抽出物、クィーンズ・ディライト抽出物、ヒカゲノカズラ抽出物、トキンソウ抽出物、ジャショウ抽出物、イチジク抽出物、モクレン抽出物、ハクモクレン抽出物、シラカンバ抽出物、及びウスバアカザ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とするヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子(HB-EGF)遺伝子発現促進剤。
【請求項2】
表皮のターンオーバー促進剤、表皮の肥厚化促進剤、皮膚の創傷治癒の促進剤、膀胱上皮細胞の増殖阻害が関与する疾患の予防又は治療剤、中枢神経系(CNS)の損傷により生じる神経欠損の予防又は治療剤、或いは、虚血性心疾患、心筋障害、又は心不全を引き起こす心疾患の予防又は治療剤である請求項1記載のHB-EGF遺伝子発現促進剤。

【公開番号】特開2008−266156(P2008−266156A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108353(P2007−108353)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】