検体処理システム及び検体情報表示装置
【課題】 検体の分析結果と検体の搬送状況とを簡便に確認することが可能な検体処理システム及び検体情報表示装置を提供する。
【解決手段】
検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットへ供給する検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、前記搬送先決定手段によって決定された搬送先の測定ユニットへ、前記検体を搬送する検体搬送ユニットと、表示部と、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備える。
【解決手段】
検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットへ供給する検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、前記搬送先決定手段によって決定された搬送先の測定ユニットへ、前記検体を搬送する検体搬送ユニットと、表示部と、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する測定ユニットへ検体を搬送する検体処理システム及び前記検体処理システムにおける検体に関する情報を表示する検体情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、モニタ上に表示されるシステム構成図中にラックの位置を、その検体の種類や性質によって区別してリアルタイムで表示する検体処理システムが開示されている。この特許文献1に記載された検体処理システムでは、メニューから情報内容として検体情報の選択とシステム構成図中に表示されるラックの中からのラック選択により、検体種別、投入時間、ポジション、検体番号、ホスト受付No.、及び患者氏名からなる検体情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−83863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された検体処理システムでは、上記のような検体情報は表示されるものの、検体の分析結果は表示されない。検査技師又は医師等のオペレータにとっては、検体の分析結果を確認することが重要であり、かかる特許文献1に記載された検体処理システムでは、検体の分析結果を確認するために、オペレータが検査処理システムとは別に設けられた分析結果を表示可能な装置を操作して分析結果の画面を表示させる必要があり、また当該装置において分析結果が得られていない検体の搬送の状況を確認したい場合には、オペレータが前記装置から検査処理システムまで戻ってモニタに表示されたラックの位置を確認する必要があり、多大な手間を要していた。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、分析結果と検体の搬送状況とを簡便に確認することが可能な検体処理システム及び検体情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットへ供給する検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、前記搬送先決定手段によって決定された搬送先の測定ユニットへ、前記検体を搬送する検体搬送ユニットと、表示部と、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0008】
この態様においては、前記検体処理システムが、入力部をさらに備え、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体については、該検体を特定する検体特定情報を前記表示部に表示させ、前記検体特定情報によって特定される検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての搬送状況を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0009】
この態様においては、前記搬送状況が、検体が過去に通過した搬送経路と、検体が将来通過する予定の搬送経路とを含むように構成されていることが好ましい。
【0010】
この態様においては、前記検体処理システムが、検体処理システムにおける検体の位置を記憶する記憶部をさらに備え、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記記憶部に記憶された位置を、前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、検体の処理の経過に関する時間を取得する時間取得手段をさらに備え、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記時間取得手段により取得された処理の経過に関する時間を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記時間取得手段が、検体の処理完了までの残り時間を取得するように構成されており、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体に関する処理の残り時間を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記表示制御手段が、分析結果が得られた検体については、該検体を特定する検体特定情報と共に分析結果を前記表示部に表示させ、分析結果が得られた検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体が過去に通過した搬送履歴を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記表示制御手段が、検体を検索するための検索条件の入力を受け付け可能な検索条件入力領域を前記表示部に表示させるように構成されており、前記検体処理システムが、検索条件が前記入力部を介して前記検索条件入力領域へ入力されたときに、当該検索条件に合致する検体を検索する検索手段をさらに備え、前記表示制御手段が、前記検索手段による検索結果を前記表示部に選択可能に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の一の態様の検体情報表示装置は、検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットの一又は複数へ検体を搬送する検体搬送ユニットとを備える、検体処理ユニットにおける検体に関する検体情報を表示する検体情報表示装置であって、表示部と、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0016】
この態様においては、前記検体情報表示装置が、複数種類の測定ユニットに接続可能であり、複数種類の測定ユニットに基づく複数種類の分析結果を取得可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る検体処理システム及び検体情報表示装置によれば、分析結果と検体の搬送状況とを簡便に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】検体搬送装置の第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】検体搬送装置の第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】検体分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】検体分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】検査情報管理装置の構成を示すブロック図。
【図11】システム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート。
【図12A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図12B】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図13】搬送状況データベースのレコードの構造を示す模式図。
【図14】実施の形態に係る検体処理システムにおいて定められた位置情報を説明するための模式図。
【図15】システム制御装置の搬送状況更新処理の手順を示すフローチャート。
【図16A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図16B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図17A】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図17B】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【図18】検査情報管理装置の測定オーダ提供処理の手順を示すフローチャート。
【図19】検査情報管理装置の分析結果記録処理の手順を示すフローチャート。
【図20A】検査情報管理装置のシステムモニタ画面表示処理の流れを示すフローチャート。
【図20B】検査情報管理装置の分析結果情報検索処理の流れを示すフローチャート。
【図20C】検査情報管理装置9の検体搬送状況表示処理の流れを示すフローチャート。
【図21A】システムモニタ画面の一例を示す図。
【図21B】検索条件入力ダイアログの一例を示す図。
【図22】システム制御装置の搬送状況通知処理の流れを示すフローチャート。
【図23】検査情報管理装置の表示画面の遷移の一例を示すフローチャート。
【図24A】検体処理システムがスタンバイ状態のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24B】検体が測定中のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24C】測定中の検体が選択状態のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24D】搬送中の測定完了検体が選択状態のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24E】検索条件が入力された検索条件入力ダイアログの一例を示す図。
【図24F】検索条件が入力された検索条件入力ダイアログの他の例を示す図。
【図24G】検体情報が検索された後のシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24H】選択された検体の搬送が完了したときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
本実施の形態は、検体の分析結果と搬送状況とを表示可能な検査情報管理装置を備える検体処理システムである。
【0021】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8と、検査情報管理装置9を備えている。また、システム制御装置8は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0022】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、バーコード読取ユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。バーコード読取ユニット22は、検体投入ユニット21と検体送出ユニット23との間に配置されており、検体投入ユニット21に投入された検体は、バーコード読取ユニット22を経由して検体送出ユニット23へ移送されるように構成されている。検体投入ユニット21及び検体送出ユニット23は、複数の検体容器を収納した後述するサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、検体チェックユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。検体投入装置2の制御部2aは、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット23に搬送され、検体送出ユニット23から検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0023】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0024】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを受け入れることが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0025】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0026】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0027】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側に位置し、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0028】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0029】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0030】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0031】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0032】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0033】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0034】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0035】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0036】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0037】
検体搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0038】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0039】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0040】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0041】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0042】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0043】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0044】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0045】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0046】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、検体供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0047】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0048】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0049】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用及び測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0050】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0051】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラム524aを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0052】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0053】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0054】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0055】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0056】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0057】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介して検査情報管理装置9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0058】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0059】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0060】
図9は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0061】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を図1に示す検体搬送装置301の測定ライン302a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0062】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0063】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0064】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0065】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0066】
また、ハードディスク81dには、搬送状況データベースが設けられている。この搬送状況データベースには、サンプルラック毎に、処理の進行状況を示すデータが記憶される。なお、搬送状況データベースの詳しい説明は後述する。
【0067】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0068】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ8aにデータを入力することが可能である。
【0069】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及び検査情報管理装置9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0070】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0071】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)である。検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1が備える血球分析装置5及び他のシステムが備える血球分析装置5とは異なる種類の検体分析装置(例えば、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置、尿分析装置等)と接続されており、これらの検体分析装置による分析結果を記憶し、またこれらの分析結果を表示する。
【0072】
図10は、検査情報管理装置9の構成を示すブロック図である。検査情報管理装置9は、コンピュータ9aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ9aは、本体91と、画像表示部92と、入力部93とを備えている。本体91は、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hを備えており、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hは、バス91jによって接続されている。
【0073】
ハードディスク91dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU91aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する検査情報管理プログラム94aも、このハードディスク91dにインストールされている。
【0074】
また、ハードディスク91dには、測定オーダデータベースDB1が設けられている。測定オーダデータベースDB1には、測定オーダが登録される。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データを測定オーダデータベースDB1から読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。
【0075】
また、ハードディスク91dには、分析結果データベースDB2が設けられている。分析結果データベースDB2には、検体分析装置による検体の分析結果が記憶される。分析結果には、検体ID、検体の分析によって得られた各種の数値データ(RBC、PLT、HGB、WBC、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO等)並びにスキャッタグラム及びヒストグラム等の分布図データが含まれている。また、分析結果データベースDB2には、検体の測定に使用した測定ユニットを示す測定ユニット特定データが記憶される。検査情報管理装置9は、接続された検体分析装置から分析結果を受信した場合に、当該分析結果及び測定ユニット特定データを分析結果データベースDB2に登録する。また、検査情報管理装置9は、オペレータから与えられた指示に応じて、分析結果データベースDB2から検体の分析結果を読み出し、かかる分析結果を画像表示部92に表示する。また、上記の測定オーダデータベースDB1に測定オーダが登録されたときに、この測定オーダに含まれる検体IDを含む新規レコード(つまり、分析結果を含まないレコード)が、この分析結果データベースDB2に登録される。
【0076】
読出装置91eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体94に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体94には、コンピュータを検査情報管理装置9として機能させるための検査情報管理プログラム94aが格納されており、コンピュータ9aが当該可搬型記録媒体94から検査情報管理プログラム94aを読み出し、当該検査情報管理プログラム94aをハードディスク91dにインストールすることが可能である。
【0077】
入出力インタフェース91fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース91fには、キーボード及びマウスからなる入力部93が接続されており、ユーザが当該入力部93を使用することにより、コンピュータ9aにデータを入力することが可能である。
【0078】
通信インタフェース91gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース91gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ9aは、通信インタフェース91gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0079】
なお、検査情報管理装置9のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
[検体処理システムの動作]
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0081】
[検体処理動作]
まず、検体処理システム1が検体を搬送し、検体の処理(測定又は塗抹標本の作製)を行う検体処理動作について説明する。
【0082】
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル(図示せず)を操作して、検体処理システム1に処理開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる処理開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックLは、検体投入ユニット21上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0083】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、搬送路上を左方向へ移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。読み取られたラックID及び検体IDは、制御部2aによりシステム制御装置8へ送信される。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLが移送される。制御部2aは、検体送出ユニット23が受け入れたサンプルラックLを検体送出ユニット23上で移送する。その後、検体投入装置2が、ラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0084】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0085】
システム制御装置8の測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとして検査情報管理装置9に測定オーダを問い合わせて測定オーダを取得する。ここで、測定オーダとは、検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。以下、この動作を詳しく説明する。
【0086】
図11は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダにより読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。CPU81aにおいて、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0087】
ステップS102において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、検査情報管理装置9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS102)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS103においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS103においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS104)。
【0088】
次に、CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS105)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS105においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダを検査情報管理装置9に要求する。
【0089】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS105においてYES)、CPU81aは、当該サンプルラックLの各検体の測定オーダに基づいて、当該サンプルラックLに収容された全検体の処理に要する時間(以下、「処理時間」という。)を算出する(ステップS106)。なお、この処理時間の算出は、測定項目毎にあらかじめ定められた検体の測定時間に、検体搬送装置3によるサンプルラックLの搬送時間を加算することにより算出される。CPU81aは、このようにして算出した処理時間をラックID、検体ID、及び現在の時刻(処理開始時刻)に対応付けてハードディスク81dに記憶し(ステップS107)、処理を終了する。
【0090】
システム制御装置8から検体投入装置2への搬送指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれるラックIDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へサンプルラックLの搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0091】
図12Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0092】
ステップS112において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS112)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS113)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0093】
次に、CPU81aは、当該サンプルラックLのラックID及び当該サンプルラックLが収容している検体の検体IDに対応付けて、決定した搬送先を経由する搬送ルートを示す情報を搬送状況データベースに登録する(ステップS114)。図13は、搬送状況データベースのレコードの構造を示す模式図である。図に示すように、搬送状況データベースには、ラックID、検体IDを含むレコードが登録される。またこのレコードには、サンプルラックLの位置情報が複数含まれている。図14は、検体処理システム1において定められた位置情報を説明するための模式図である。図に示すように、本実施形態では、検体送出ユニット23を示す位置情報をSTY、搬送方向1番目の検体搬送装置3のラック搬入位置(当該検体搬送装置3のラック搬送部321上の最も上流側の位置)を示す位置情報をX1−1、この検体搬送装置3の測定ラインL1を示す位置情報をX1−2、この検体搬送装置3のスキップラインL2を示す位置情報をX1−3、この検体搬送装置3のラック搬出位置(当該検体搬送装置3のラック搬送部321上の最も下流側の位置)を示す位置情報をX1−4としている。また、搬送方向2番目の検体搬送装置3のラック搬入位置、測定ラインL1、スキップラインL2、及びラック搬出位置をそれぞれ示す位置情報をX2−1、X2−2、X2−3、及びX2−4としている。同様に、搬送方向3番目の検体搬送装置3のラック搬入位置、測定ラインL1、スキップラインL2、及びラック搬出位置をそれぞれ示す位置情報をX3−1、X3−2、X3−3、及びX3−4としている。さらに、検体搬送装置301のラックスライダ303を示す位置情報をRS、検体搬送装置301のコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bを示す位置情報をC1及びC2、並びに検体収容装置4を示す位置情報をSKYとしている。図13に示すように、搬送状況データベースのレコードには、搬送ルートで経由する位置情報が順番に格納される。また、各位置情報に対応付けて、その位置を通過したか否かを示す通過フラグのフィールドが設けられる。通過フラグには、未通過のときには「0」がセットされ、通過済みの場合には「1」がセットされる。新規のレコードが登録されるときには、検体送出ユニット23を示す位置情報に対応する通過フラグに「1」がセットされ、他の全ての通過フラグに「0」がセットされる。
【0094】
図13に示す搬送状況データベースは、サンプルラックLのバーコードラベルBL2の内容がA00001であり、このサンプルラックが位置情報X1−3すなわち搬送方向1番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に位置していることを示している。
【0095】
図12Aに戻り、次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS115)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、サンプルラックLの搬送方向において最も上流側の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、それ以外の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0096】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS116においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS116においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS117)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS118においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS118においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS119においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS119においてYES)、CPU81aは、搬送状況データベースのこのラックIDに対応するレコードに含まれる位置情報であって、サンプルラックLの搬送方向における最も上流側の検体搬送装置3のラック搬入位置を示す位置情報(つまり、「X1−1」)に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS120)。その後、CPU81aは、処理を終了する。
【0097】
次に、システム制御装置8から検体搬送装置3に送信される第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、何れかの検体搬送装置3にサンプルラックLの搬送指示が与えられる。図12Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS131)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS132の処理が呼び出される。
【0098】
ステップS132において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDに対応する搬送状況データベースのレコードに含まれる位置情報であって、当該検体搬送装置3のラック搬出位置を示す位置情報に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS132)。搬出要求データには、送信元の検体搬送装置3を特定する装置IDが含まれており、これによりどの検体搬送装置3から当該搬出要求データが送信されたかを特定することができる。CPU81aは、上記のステップS132の処理においては、搬送方向1番目、2番目及び3番目の検体搬送装置3のうち、上記のように特定された検体搬送装置3のラック搬出位置(当該検体搬送装置3のラック搬送部321上の最も下流側の位置)を示す位置情報の通過フラグを更新する。
【0099】
次に、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS133)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS134においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS134においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS135)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS136においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS136においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS137においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS137においてYES)、CPU81aは、このラックIDに対応する搬送状況データベースのレコードに含まれる位置情報であって、当該検体搬送装置3のラック搬入位置を示す位置情報に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS138)。搬入完了データには、送信元の検体搬送装置3を特定する装置IDが含まれており、これによりどの検体搬送装置3から当該搬入完了データが送信されたかを特定することができる。CPU81aは、上記のステップS138の処理においては、搬送方向1番目、2番目及び3番目の検体搬送装置3のうち、上記のように特定された検体搬送装置3のラック搬入位置を示す位置情報の通過フラグを更新する。かかる搬送状況データベースの更新処理を完了した後、CPU81aは、処理を終了する。
【0101】
また、検体搬送装置301及び検体収容装置4に対しても、システム制御装置8は上述と同様の第2搬送指示処理を実行し、搬送状況データベースの通過フラグを更新する。
【0102】
搬送状況更新処理
サンプルラックLが搬送されている間に、システム制御装置8は当該サンプルラックLの搬送状況データベースのレコードを更新する。以下、この動作について説明する。
【0103】
図15は、システム制御装置8の搬送状況更新処理の手順を示すフローチャートである。後述するように、検体搬送装置3からは、搬送状況更新要求データが送信される。かかる搬送状況更新要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS141)。CPU81aにおいて、搬送状況更新要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS142の処理が呼び出される。
【0104】
ステップS142において、CPU81aは、搬送状況更新要求データに含まれるラックIDに対応する搬送状況データベースのレコードに含まれる位置情報であって、当該搬送状況更新要求データに含まれる位置情報に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS142)。搬送状況更新要求データには、送信元の検体搬送装置3において現在サンプルラックLが存在している位置を示す位置情報が含まれている。CPU81aは、上記のステップS142の処理においては、搬送状況更新要求データに含まれる位置情報に対応する通過フラグを更新する。つまり、搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1にサンプルラックLが位置している場合には、搬送状況更新要求データに、位置情報「X1−2」が含まれており、上記のステップS142の処理では、このサンプルラックLのラックIDに対応するレコードにおける位置情報「X1−2」に対応する通過フラグが「1」に更新される。また、搬送方向2番目の検体搬送装置3のスキップラインL2にサンプルラックLが位置している場合には、搬送状況更新要求データに、位置情報「X2−3」が含まれており、上記のステップS142の処理では、このサンプルラックLのラックIDに対応するレコードにおける位置情報「X2−3」に対応する通過フラグが「1」に更新される。CPU81aは、このようなステップS142の処理の後、搬送状況更新処理を終了する。
【0105】
また、検体搬送装置301及び検体収容装置4からも同様に搬送状況更新要求データが送信され、システム制御装置8は上述と同様の搬送状況更新処理を実行して、搬送状況データベースを更新する。
【0106】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図16A及び図16Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS201)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0107】
ステップS202において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS202)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0108】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS204)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、ラックID及び当該検体搬送装置3の装置IDを含む、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS205)。
【0109】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS206)。ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインL1を示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS207)。次に制御部32は、ラックID、当該検体搬送装置3の測定ラインL1を示す位置情報を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へと送信する(ステップS208)。
【0110】
次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS209)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS210)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS210においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS211)、情報処理ユニット52へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS212)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS213においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS213においてYES)、処理をステップS215へ進める。
【0111】
一方、ステップS210において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS210においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS214)、処理をステップS215へ進める。ステップS215において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS215)、iが10未満である場合には(ステップS215においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS216)、ステップS210へ処理を戻す。
【0112】
ステップS215において、iが10以上である場合には(ステップS215においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS217)。その後、制御部32は、処理をステップS220へ移す。
【0113】
一方、ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「スキップラインL2」)、制御部32は、ラックID、当該検体搬送装置3のスキップラインL2を示す位置情報を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へと送信する(ステップS218)。
【0114】
次に、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS219)。その後、制御部32は、処理をステップS220へ移す。
【0115】
ステップS220において、制御部32は、サンプルラックLに割り当てられたラックID、及び当該検体搬送装置3の装置IDを含む搬出要求データをシステム制御装置8に送信する(ステップS220)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS221においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS221においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS222)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS223)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0116】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0117】
図17A及び図17Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS301)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0118】
ステップS302において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、検体供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS302)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS303)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS304)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS305)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS306)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gに検査情報管理装置9へ送信させ(ステップS307)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS308においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS308においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS309)。
【0119】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS310)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS311)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS312)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS313)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0120】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS314)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS315)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS316)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521dに格納され(ステップS317)、また、検査情報管理装置9へ送信される(ステップS318)。検査情報管理装置9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS318の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0121】
<検査情報管理装置9の動作>
測定オーダ提供処理
検査情報管理装置9は、上述のようにシステム制御装置8又は情報処理ユニット52から測定オーダの要求を受け付けたときには、該当する測定オーダを要求元の装置へ提供する。以下、かかる測定オーダ提供処理について説明する。
【0122】
図18は、検査情報管理装置9の測定オーダ提供処理の手順を示すフローチャートである。システム制御装置8又は情報処理ユニット52からは、オーダ要求データが送信される。かかるオーダ要求データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS401)。CPU91aにおいて、オーダ要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0123】
ステップS402において、CPU91aは、受信したオーダ要求データに含まれる検体IDを検索キーとして、測定オーダデータベースDB1から測定オーダを検索する(ステップS402)。次にCPU91aは、検索された測定オーダを要求元の装置へ送信し(ステップS403)、処理を終了する。
【0124】
分析結果記録処理
検査情報管理装置9は、上述のように情報処理ユニット52から分析結果を受信したときには、当該分析結果及び測定ユニット特定データを分析結果データベースDB2に記憶する。以下、かかる分析結果記録処理について説明する。
【0125】
図19は、検査情報管理装置9の分析結果記録処理の手順を示すフローチャートである。情報処理ユニット52からは、分析結果データが送信される。かかる分析結果データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS411)。CPU91aにおいて、分析結果データを受信するイベントが発生すると、ステップS412の処理が呼び出される。
【0126】
上述したように、分析結果データベースDB2には、測定オーダが登録されたときに当該測定オーダに含まれる検体IDを含む新規レコードが登録される。したがって、分析結果が得られたときには、当該検体IDのレコードが既に分析結果データベースDB2に存在している。したがって、CPU91aは、受信した分析結果データに含まれる検体IDを検索キーにして、同じ検体IDを含むレコードを分析結果データベースDB2から検索する(ステップS412)。次にCPU91aは、検索したレコードに分析結果を追加して、このレコードを更新する(ステップS413)。この後、CPU91aは、処理を終了する。
【0127】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302b上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0128】
また、検体搬送装置301は、ラックスライダ303にサンプルラックLを搬入したときには、ラックID及び装置IDを含む搬入完了データをシステム制御装置8へ送信し、コンベア302の測定ライン302aでサンプルラックLを搬送するときには、ラックID及び測定ライン302aを示す位置情報(つまり、「C1」)を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へ送信する。また、コンベア302のスキップライン302bでサンプルラックLを搬送するときには、ラックID及びスキップライン302bを示す位置情報(つまり、「C2」)を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へ送信する。これらのデータを受信したシステム制御装置8は、搬送状況データベースの当該サンプルラックLのレコードを更新する。
【0129】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0130】
また、検体収容装置4は、検体搬送装置301は、サンプルラックLを搬入したときには、ラックID及び装置IDを含む搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する。かかる搬入完了データを受信したシステム制御装置8は、搬送状況データベースの当該サンプルラックLのレコードを更新する。
【0131】
[分析結果表示動作]
次に、検体処理システム1による検体の分析結果を検査情報管理装置9で表示する分析結果表示動作について説明する。
【0132】
<検査情報管理装置9の動作>
図20Aは、検査情報管理装置9のシステムモニタ画面表示処理の流れを示すフローチャートである。検査情報管理装置9は、分析結果又は測定オーダ等の臨床検査情報を管理するための種々の画面を画像表示部92に表示する。かかる画面が画像表示部92に表示されている状態において、オペレータが入力部93に所定の入力操作を行うことにより、システムモニタ画面の表示要求を検査情報管理装置9に与えることができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかるシステムモニタ画面の表示指示を受け付ける(ステップS501)。CPU91aにおいて、システムモニタ画面の表示要求を受け付けるイベントが発生すると、ステップS502の処理が呼び出される。
【0133】
ステップS502において、CPU91aは、分析結果データベースDB2から分析結果データを読み出す(ステップS502)。次に、CPU91aは、読み出した分析結果データを含むシステムモニタ画面を画像表示部92に表示させ(ステップS503)、処理を終了する。
【0134】
図21Aは、システムモニタ画面の一例を示す図である。図に示すように、システムモニタ画面W1は、分析結果を一覧表示する分析結果リスト表示領域A1と、検体処理システム1のレイアウト図を含む搬送状況表示領域A2と後述する検索ボタンBとを含んでいる。さらに、分析結果リスト表示領域A1は、検体ID、ラックID、前記検体IDによって特定される検体の測定に使用された測定ユニットおよび当該検体の分析結果を含んでいる。また、分析結果リスト表示領域A1の各行は、マウスのクリック操作等によって選択可能である。かかる分析結果リスト表示領域A1においては、分析結果データベースDB2に分析結果が存在する検体については、分析結果の数値情報が表示される。
【0135】
一方、分析結果データベースDB2に分析結果が存在しない検体については、測定結果待ち、即ち、測定ユニットによって測定が実行されているがまだ測定結果が得られていない場合と、測定オーダが存在しない場合とがある。当該分析結果リスト表示領域A1においては、測定ユニットによって測定が実行されているが、まだ測定結果が得られていない項目については測定結果待ちを示す「Pending」の表示がされ、測定オーダが存在しない項目については何も表示されない(空白)。また、測定結果の数値が表示範囲を超えている場合には「++++」の表示がされ、測定又は解析エラーが発生したためデータを表示できない場合には「−−−−」の表示がされる(図24D参照)。このように、オペレータは分析結果リスト表示領域A1の表示を確認するだけで、検体について、分析結果が存在する項目、測定結果待ちの項目、測定オーダが存在しない項目、測定結果が表示範囲を超えている項目、及び測定不能の項目を識別することができる。また、分析結果リスト表示領域A1には、分析結果の数値情報が表示されるため、オペレータは分析結果を確認することができる。したがって、オペレータは異常な数値を示している検体等を容易に発見することができる。
【0136】
また、分析結果リスト表示領域A1には、検体毎に測定に使用された測定ユニットを特定する情報が表示される。これにより、オペレータは分析結果リスト表示領域A1の表示を確認するだけで、検体が何れの測定ユニットにより測定されたかを知ることができる。
【0137】
図20Bは、検査情報管理装置9の分析結果情報検索処理の流れを示すフローチャートである。上記の図21Aに示すように、システムモニタ画面W1には検体の検索に用いられる検索ボタンBが設けられている。この検索ボタンBはオペレータによるマウスのクリック操作等により選択可能である。このようなシステムモニタ画面W1が表示されている状態において、オペレータは入力部93を操作することにより、検索ボタンBを選択することができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかる検索ボタンBの選択を受け付ける(ステップS511)。CPU91aにおいて、検索ボタンBの選択を受け付けるイベントが発生すると、ステップS512の処理が呼び出される。
【0138】
ステップS512において、CPU91aは、検索条件入力ダイアログを表示する(ステップS512)。図21Bは、検索条件入力ダイアログの一例を示す図である。この検索条件入力ダイアログSDでは、検体ID、ラックID、患者氏名、患者ID、施設名称等の検索キーの種類を選択するための選択部P1と、検索キーを入力するための入力ボックスP2とが設けられている。オペレータは、入力部93の操作により、選択部P1において検索キーの種類を選択し、入力ボックスP2に検索キーを入力することができる。また、検索条件入力ダイアログSDには、マウスのクリック操作等により選択可能な検索実行ボタンB2が設けられている。オペレータは、上記のように検索キーの種類の選択及び検索キーの入力をした上で、マウスのクリック操作等により検索実行ボタンB2を選択すると、入力された検索条件(検索キーの種類及び検索キー)による分析結果データの検索を検査情報管理装置9に指示することができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかる検索条件の入力及び検索開始の指示を受け付ける(ステップS513)。検索条件の設定及び検索開始の指示を受け付けるイベントが発生すると、CPU91aは、検索条件に合致する分析結果を分析結果データベースDB2から検索する(ステップS514)。次に、CPU91aは、検索された分析結果データを表示するようにシステムモニタ画面を更新し(ステップS515)、処理を終了する。これにより、オペレータが分析結果及び搬送状況を確認したい検体がある場合に、かかる検体の分析結果をシステムモニタ画面に表示させることができる。また、オペレータがこの検体を選択することにより、後述のように検体の搬送状況を表示させることができる。
【0139】
図20Cは、検査情報管理装置9の検体搬送状況表示処理の流れを示すフローチャートである。このようなシステムモニタ画面W1が表示されている状態において、オペレータは入力部93を操作することにより、分析結果リスト表示領域A1に表示されている任意の検体を選択することができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかる検体の選択を受け付ける(ステップS521)。CPU91aにおいて、検体の選択を受け付けるイベントが発生すると、ステップS522の処理が呼び出される。
【0140】
ステップS522において、CPU91aは、選択された検体に含まれる検体IDを含む搬送状況要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS522)。その後、CPU91aは、当該検体の搬送状況を示す搬送状況データの受信を待機する(ステップS523においてNO)。搬送状況データを検査情報管理装置9が受信した場合には(ステップS523においてYES)、CPU91aは、受信した搬送状況データに基づいて、システムモニタ画面W1の搬送状況表示領域A2に、現在のサンプルラックLの位置、サンプルラックLが過去に通過してきた経路、サンプルラックLが将来通過する予定の経路、及び処理の残り時間を表示し(ステップS524)、処理を終了する。
【0141】
搬送状況データは、ラックID、上述した搬送状況データベースにおいて当該ラックIDに対応するレコードに含まれる各位置情報及び通過フラグ、並びに処理の残り時間の情報が含まれている。例えば、図21Aに示す搬送状況表示領域A2の表示に必要な搬送状況データには、位置情報として、「STY,X1−1,X1−3,X1−4,X2−1,X2−2,X2−4,X3−1,X3−3,X3−4,RS,C2,SKY」が含まれる。また、この搬送状況データは、STY〜X2−2に対応する通過フラグに「1」がセットされており、X2−4〜SKYに対応する通過フラグに「0」がセットされている。
【0142】
図21Aに示すように、搬送状況表示領域A2においては、通過済みのサンプルラックLの経路が実線で表示され、未通過のサンプルラックLの経路が破線で表示される。このように、CPU91aは、通過済みの経路と未通過の経路とを区別可能に表示する。これにより、オペレータは、現在のサンプルラックLの位置を把握できるだけでなく、それまでに行われた処理の内容及びこれから行われる予定の処理の内容を把握することができる。また、搬送状況表示領域A2には、サンプルラックLが検体収容装置4に収容されるまでの残り時間が表示される。これにより、オペレータは、処理が完了するまでの残り時間を把握することができる。
【0143】
また、処理が完了した検体が選択された場合には、かかる検体を収容するサンプルラックLの搬送経路は全て通過済みである。したがって、この場合の搬送状況表示領域A2には、サンプルラックLの搬送経路が全て実線表示される。オペレータは、検体が通過した搬送経路を確認することで、この検体がどのような搬送経路を通過し、どの測定ユニット51で測定が行われたか等の検体の処理の履歴を把握することができる。また、この場合には、残り時間が「0」と表示されるようになっている。オペレータは、この残り時間表示を見ることによっても、この検体の処理が完了していることを容易に把握することができる。
【0144】
<システム制御装置8の動作>
次に、分析結果表示動作におけるシステム制御装置8の動作について説明する。図22は、システム制御装置8の搬送状況通知処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、検査情報管理装置9は、検体IDを含む搬送状況要求データをシステム制御装置8に送信する。かかる搬送状況要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS601)。CPU81aにおいて、搬送状況要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS602の処理が呼び出される。
【0145】
ステップS602において、CPU81aは、搬送状況要求データに含まれる検体IDに対応する処理時間及び処理開始時刻をハードディスク81dから読み出す(ステップS602)。次にCPU81aは、処理開始時刻から現在まで経過している時間(経過時間)を、処理時間から差し引くことで、検体の処理の残り時間を算出する(ステップS603)。また、この処理では、残り時間が0以下となった場合には(すなわち、検体の処理が完了している場合には)、残り時間が「0」とされる。
【0146】
次に、CPU81aは、搬送状況要求データに含まれる検体IDをキーとして、搬送状況データベースから当該検体IDを含むレコードを検索し(ステップS604)、検索によって得られたレコードに含まれる位置情報及び通過フラグ並びに算出された残り時間を含む搬送状況データを検査情報管理装置9へ送信する(ステップS605)。その後、CPU81aは、処理を終了する。
【0147】
<検査情報管理装置9の表示画面の遷移>
次に、検査情報管理装置9の表示画面の遷移について説明する。図23は、検査情報管理装置9の表示画面の遷移の一例を示すフローチャートである。検体処理システム1を起動した直後は、検体処理システム1は、検体が測定されておらず、サンプルラックLが搬送されておらず、且つ、検体の測定準備及びサンプルラックの搬送準備が完了しているスタンバイ状態にある。
【0148】
図24Aは、検体処理システム1がスタンバイ状態のときのシステムモニタ画面を示す図である。検体処理システム1がスタンバイ状態のときには、図24Aに示すようなシステムモニタ画面が表示される(ステップS701)。図24Aに示すシステムモニタ画面W11は、サンプルラックLが検体投入装置2に投入され、当該サンプルラックLのレコードが搬送状況データベースに登録された状態におけるものである。このときのシステムモニタ画面W11は、搬送状況表示領域A2の中の検体投入装置2の位置(図14におけるSTYの位置)にのみサンプルラックLを示す四角枠の画像(以下、「ラックマーク」という)LMが描画されたものである。このときのラックマークLMは、ユーザによって選択されておらず、枠の中が非選択色の白色とされている。
【0149】
また、この状態では、検体処理システムの検体搬送装置3,301によってサンプルラックLが1つも搬送されておらず、また、分析結果データベースDB2に上記の検体投入装置2に投入されたサンプルラックLに収容されている検体の分析結果データが登録されていないため、分析結果リスト表示領域A1には、検体ID、ラックID、及び分析結果の数値データが1つも表示されていない。また、この分析結果リスト表示領域A1における最上行は、選択されている状態ではないが仮選択状態となっており、この行が薄い青色の仮選択色で表示されている。さらに、残り時間の算出はまだ行われていないため、当該システムモニタ画面W11には残り時間が表示されていない。
【0150】
上記のスタンバイ状態から検体の測定が開始されると、サンプルラックLが検体搬送装置3によって搬送され、測定ユニット51によって検体が測定される。これにより、測定中の検体が非選択状態のときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS702)。図24Bは、検体が測定中のときのシステムモニタ画面を示す図である。図24Bに示すシステムモニタ画面W12は、2つのサンプルラックLの検体が、それぞれ測定ユニット51,51によって各別に測定中であり、これらのサンプルラックL及び検体が選択されていない状態のときのものである。このときのシステムモニタ画面W12においては、搬送状況表示領域A2の中の搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1(図14におけるX1−2の位置)及び搬送方向2番目の検体搬送装置3の測定ラインL1(図14におけるX2−2の位置)のそれぞれにラックマークLMが描画されている。また、このときのラックマークLMは、ユーザによって選択されていないため、枠の中が非選択色の白色とされている。
【0151】
また、このシステムモニタ画面W12の分析結果リスト表示領域A1には、検体搬送装置3によって搬送されているサンプルラックLに関する検体ID、ラックID、及び分析結果の数値データが表示されている。搬送方向2番目の検体搬送装置3の測定ラインL1上で搬送中のサンプルラックLのラックIDは「001」であり、このラックIDが分析結果リスト表示領域A1に表示されている。このシステムモニタ画面W12では、分析結果リスト表示領域A1に表示されている何れの検体の情報も選択されておらず、分析結果リスト表示領域A1の最上部に表示されている検体(検体IDが「P121」の検体)に関する情報が仮選択状態となっており、この行が薄い青色の仮選択色で表示されている。さらに、何れの行(検体)も選択されていないため、当該システムモニタ画面W12には残り時間が表示されていない。
【0152】
かかる分析結果リスト表示領域A1においては、測定結果の数値データが得られる都度、その数値が該当するセルに表示される。情報処理ユニット52の解析処理により得られる測定結果の数値データは、測定項目によって得られる時刻が異なる。つまり、1つの検体「P122」の測定結果であっても、同一の測定方法により測定されるRBC及びPLTの数値データは同時に得られるが、これらとは測定方法が異なるHGBの数値データはRBC及びPLTより後に取得される。したがって、図24Bに示す画面においては、検体「P122」についてRBC及びPLTの数値データが得られており、これらは表示されているが、この時点では当該検体のHGB、HCT及びWBCの数値データは得られていないため、対応するセルに測定結果待ちを示す「Pending」の表示がなされている。
【0153】
また、他方のサンプルラックL(搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1上で搬送中のサンプルラックL)に関する検体ID、ラックID、及び分析結果の数値データは、分析結果リスト表示領域A1に表示されていないが、分析結果リスト表示領域A1の右側に設けられたスクロールバーをユーザが操作する分析結果リスト表示領域A1の表示をスクロールさせることができ、これによって他方のサンプルラックLに関する上記の情報を表示させることができる。
【0154】
上記の検体の非選択状態から、ユーザが分析結果リスト表示領域A1の一行をクリックする操作を行うと、この行が選択され、測定中の検体が選択状態のときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS703)。図24Cは、測定中の検体が選択状態のときのシステムモニタ画面を示す図である。検体が非選択状態のシステムモニタ画面W12から分析結果リスト表示領域A1の一行(図24Cでは上から三行目。検体IDが「P123」の行。)が選択されると、分析結果リスト表示領域A1の最上部の行が仮選択色の薄い青色から非選択色の白色へと変化し、選択された上から三つ目の行が非選択色の白色から選択色の青色へと変化する。
【0155】
また、このシステムモニタ画面W13では、処理状況表示領域A2において、選択された検体を収容するサンプルラックLのラックマークLM、つまり、X2−2の位置に表示されているラックマークLMが、枠の中の色が青色に表示される。この枠の中の色が青色の表示は、このラックマークLMが示すサンプルラックLに収容されている検体に関する情報が選択されていることを示している。さらに、処理状況表示領域A2においては、選択されたラックマークLMが示すサンプルラックLの通過済みの経路が実線で表示され、未通過の経路が破線で表示される。また、選択された検体の処理完了までの残り時間が表示される。
【0156】
次に、上記の状態からさらに時間が経過し、検体搬送装置3上に存在するサンプルラックLに収容されている全ての検体について測定が完了した後には、これらのサンプルラックLは検体搬送装置3によってさらに搬送され、搬送中の検体が選択されている状態のときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS704)。図24Dは、搬送中の測定完了検体が選択状態のときのシステムモニタ画面を示す図である。搬送方向2番目の検体搬送装置3の測定ラインL1に存在していたサンプルラックLが搬送された結果、搬送方向3番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に到達しており、搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1に存在していたサンプルラックLが搬送された結果、搬送方向2番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に到達している。このため、図24Dに示すシステムモニタ画面W14においては、搬送状況表示領域A2のX3−3及びX2−3の位置にそれぞれラックマークLMが表示されており、X3−3の位置のラックマークLMが選択状態となっている。
【0157】
また、搬送状況表示領域A2の選択されたラックマークLMの経路も更新され、ラックマークLMよりも右側の経路が通過済みを示す実線で表示され、ラックマークLMよりも左側の経路が未通過を示す破線で表示される。また、残り時間の表示も更新される。さらに、搬送中のサンプルラックLに収容されている全検体の分析が完了しているため、分析結果リスト表示領域A1の全ての検体の情報について、分析結果の数値データが表示されている。また、図24Dでは、検体IDがP124の検体のHGB及びHCTの測定において、測定エラーが発生したためHGB及びHCTのセルに「−−−−」の表示がされており、検体IDがP125の検体のRBCの測定結果の数値が表示範囲を超えていたため、RBCのセルに「++++」の表示がされている。
【0158】
上記のシステムモニタ画面W14の検索ボタンBがクリックされることにより、検索条件入力ダイアログが表示される(ステップS705)。図24E及び図24Fは、検索条件入力ダイアログを示す図である。表示された直後の検索条件入力ダイアログSD1では、図24Eに示すように、検索キーの種類として「検体ID」が選択された状態となっている。図24Eでは、オペレータによって検索キーの入力ボックスP2に「P123」が入力された状態を示している。
【0159】
オペレータが検索キーの種類として「ラックID」を選択した状態の検索条件入力ダイアログSD2が図24Fに示されている。この図24Fでは、オペレータによって検索キーの入力ボックスP2に「001」が入力された状態を示している。
【0160】
図24Fに示した状態の検索条件入力ダイアログSD2において、検索実行ボタンがクリックされると、分析結果リスト表示領域A1においてラックIDが「001」である検体の情報が選択されたシステムモニタ画面W15が表示される(ステップS706)。図24Gは、検体情報が検索された後のシステムモニタ画面を示す図である。図24Gに示すとおり、ラックIDが「001」のサンプルラックLに収容されている検体は検体IDが「P121」〜「P126」のもの等複数存在しており、システムモニタ画面W15においてはこれらの検体に関する検体情報が全て選択される。つまり、分析結果リスト表示領域A1における複数行が青色表示される。また、ラックIDが「001」である、搬送方向3番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に存在するサンプルラックLを示すラックマークLMが選択状態となり、青色表示される。システムモニタ画面W15のその他の画面構成は、システムモニタ画面W14と同様である。
【0161】
さらに時間が経過し、搬送方向3番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に存在していたサンプルラックLが検体収容装置4に収容されると、検索した検体の搬送が完了したときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS707)。図24Hは、選択された検体の搬送が完了したときのシステムモニタ画面を示す図である。このシステムモニタ画面W16では、搬送状況表示領域A2のSKY(図14参照)の位置に、選択状態のラックマークLMが表示される。また、このラックマークLMに続く全ての経路が実線で表示され、全経路が通過済みであることが示される。さらに、残り時間は「0分」と表示され、このサンプルラックLに収容された検体の処理が完了したことが示される。なお、このシステムモニタ画面W16の分析結果リスト表示領域A1の表示は、システムモニタ画面W15のものと同様であるので、説明を省略する。
【0162】
以上のような構成とすることにより、オペレータは、検査情報管理装置9のシステムモニタ画面により、複数の検体の分析結果を一度に確認することができる。また、分析結果が得られていない検体については、分析結果が表示されないため、一目で処理が完了していないことを把握することができる。オペレータは、このような処理が完了していない検体の検体情報をリスト表示された複数の検体から選択することで、その検体の搬送状況を確認することができる。また、オペレータは、処理が完了している検体を選択することで、その検体の処理の履歴を確認することができる。
【0163】
また、システムモニタ画面には、検体処理システム1のレイアウト図が表示され、このレイアウト図上に選択された検体の位置が表示されるため、オペレータはシステム中のどの位置に検体が存在し、どのような処理が行われているのかを容易に把握することができる。また、前記レイアウト図に、検体が過去に通過した経路が表示されるため、検体がそれまでどの装置により処理されたのかを把握することができる。さらに、前記レイアウト図に、検体が将来通過する予定の経路が表示されるため、検体が将来どの装置によって処理されるのかを把握することができる。また、通過済の経路と未通過の経路とは異なる表示形式により表示され、オペレータは通過済の経路と未通過の経路とを容易に区別することが可能である。
【0164】
また、選択された検体の処理完了までの残り時間が表示されるため、オペレータが処理完了までの残り時間を知る必要がある検体がある場合に、この残り時間を容易に確認することができる。また、検体が将来通過する予定の経路とともに処理完了までの残り時間が表示されるため、オペレータは、どの装置による処理により、処理完了までどの程度の時間を要するのかを把握することができる。
【0165】
また、検体の分析結果を検索することができ、検索結果が分析結果リスト表示領域A1に表示されるので、オペレータは分析結果及び搬送状況を確認したい検体の分析結果を検査情報管理装置9に検索させて、この検体の分析結果及び搬送状況(処理が完了している場合には処理履歴)を容易に表示させることができる。
【0166】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、システムモニタ画面W1に分析結果リスト表示領域A1と搬送状況表示領域A2とを設ける構成について述べたが、これに限定されるものではない。分析結果リストを表示するウィンドウを表示し、このウィンドウにおいて検体の選択を受け付け、選択された検体の搬送状況を、前記分析結果リストのウィンドウとは独立したウィンドウに表示する構成としてもよい。また、分析結果リストを画面に表示し、その分析結果リストから検体の選択を受け付け、分析結果リストの画面から、選択された検体の搬送状況を表示する画面に表示を切り替える構成としてもよい。
【0167】
また、上述した実施の形態においては、検査情報管理装置9に検体の分析結果リスト及び搬送状況を表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。システム制御装置8又は情報処理ユニット52に検体の分析結果リスト及び搬送状況を表示させる構成としてもよい。
【0168】
また、上述した実施の形態においては、検体の処理の残り時間が0以下になった場合に、残り時間を「0」と表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。処理の残り時間が0以下となった場合に、負の数となった残り時間を表示する構成としてもよい。このようにすることにより、例えば、残り時間が「−5分」の場合には、オペレータはこの残り時間表示を見て、処理が完了してから5分が経過したことを知ることができる。このように、オペレータが処理完了後の経過時間を把握することができる。
【0169】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0170】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ9aによりコンピュータプログラム94aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム94aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の検体処理システム及び検体情報表示装置は、検体を測定する測定ユニットへ検体を搬送する検体処理システム及び前記検体処理システムにおける検体に関する情報を表示する検体情報表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0172】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
2a 制御部
21 検体投入ユニット
22 バーコード読取ユニット
23 検体送出ユニット
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
302 コンベア
302a 測定ライン
302b スキップライン
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81 本体
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
84 可搬型記録媒体
84a システム制御プログラム
9 検査情報管理装置
9a コンピュータ
91a CPU
91b ROM
91c RAM
91d ハードディスク
92 画像表示部
93 入力部
94 可搬型記録媒体
94a 検査情報管理プログラム
DB1 測定オーダデータベース
DB2 分析結果データベース
T 検体容器
L サンプルラック
L1 測定ライン
L2 スキップライン
W1 システムモニタ画面
A1 分析結果リスト表示領域
A2 搬送状況表示領域
B 検索ボタン
SD 検索条件入力ダイアログ
P1 選択部
P2 入力ボックス
B2 検索実行ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する測定ユニットへ検体を搬送する検体処理システム及び前記検体処理システムにおける検体に関する情報を表示する検体情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、モニタ上に表示されるシステム構成図中にラックの位置を、その検体の種類や性質によって区別してリアルタイムで表示する検体処理システムが開示されている。この特許文献1に記載された検体処理システムでは、メニューから情報内容として検体情報の選択とシステム構成図中に表示されるラックの中からのラック選択により、検体種別、投入時間、ポジション、検体番号、ホスト受付No.、及び患者氏名からなる検体情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−83863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された検体処理システムでは、上記のような検体情報は表示されるものの、検体の分析結果は表示されない。検査技師又は医師等のオペレータにとっては、検体の分析結果を確認することが重要であり、かかる特許文献1に記載された検体処理システムでは、検体の分析結果を確認するために、オペレータが検査処理システムとは別に設けられた分析結果を表示可能な装置を操作して分析結果の画面を表示させる必要があり、また当該装置において分析結果が得られていない検体の搬送の状況を確認したい場合には、オペレータが前記装置から検査処理システムまで戻ってモニタに表示されたラックの位置を確認する必要があり、多大な手間を要していた。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、分析結果と検体の搬送状況とを簡便に確認することが可能な検体処理システム及び検体情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットへ供給する検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、前記搬送先決定手段によって決定された搬送先の測定ユニットへ、前記検体を搬送する検体搬送ユニットと、表示部と、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0008】
この態様においては、前記検体処理システムが、入力部をさらに備え、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体については、該検体を特定する検体特定情報を前記表示部に表示させ、前記検体特定情報によって特定される検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての搬送状況を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0009】
この態様においては、前記搬送状況が、検体が過去に通過した搬送経路と、検体が将来通過する予定の搬送経路とを含むように構成されていることが好ましい。
【0010】
この態様においては、前記検体処理システムが、検体処理システムにおける検体の位置を記憶する記憶部をさらに備え、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記記憶部に記憶された位置を、前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、検体の処理の経過に関する時間を取得する時間取得手段をさらに備え、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記時間取得手段により取得された処理の経過に関する時間を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記時間取得手段が、検体の処理完了までの残り時間を取得するように構成されており、前記表示制御手段が、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体に関する処理の残り時間を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記表示制御手段が、分析結果が得られた検体については、該検体を特定する検体特定情報と共に分析結果を前記表示部に表示させ、分析結果が得られた検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体が過去に通過した搬送履歴を前記表示部に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記表示制御手段が、検体を検索するための検索条件の入力を受け付け可能な検索条件入力領域を前記表示部に表示させるように構成されており、前記検体処理システムが、検索条件が前記入力部を介して前記検索条件入力領域へ入力されたときに、当該検索条件に合致する検体を検索する検索手段をさらに備え、前記表示制御手段が、前記検索手段による検索結果を前記表示部に選択可能に表示させるように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の一の態様の検体情報表示装置は、検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットの一又は複数へ検体を搬送する検体搬送ユニットとを備える、検体処理ユニットにおける検体に関する検体情報を表示する検体情報表示装置であって、表示部と、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0016】
この態様においては、前記検体情報表示装置が、複数種類の測定ユニットに接続可能であり、複数種類の測定ユニットに基づく複数種類の分析結果を取得可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る検体処理システム及び検体情報表示装置によれば、分析結果と検体の搬送状況とを簡便に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】検体搬送装置の第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】検体搬送装置の第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】検体分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】検体分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】検査情報管理装置の構成を示すブロック図。
【図11】システム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート。
【図12A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図12B】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図13】搬送状況データベースのレコードの構造を示す模式図。
【図14】実施の形態に係る検体処理システムにおいて定められた位置情報を説明するための模式図。
【図15】システム制御装置の搬送状況更新処理の手順を示すフローチャート。
【図16A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図16B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図17A】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図17B】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【図18】検査情報管理装置の測定オーダ提供処理の手順を示すフローチャート。
【図19】検査情報管理装置の分析結果記録処理の手順を示すフローチャート。
【図20A】検査情報管理装置のシステムモニタ画面表示処理の流れを示すフローチャート。
【図20B】検査情報管理装置の分析結果情報検索処理の流れを示すフローチャート。
【図20C】検査情報管理装置9の検体搬送状況表示処理の流れを示すフローチャート。
【図21A】システムモニタ画面の一例を示す図。
【図21B】検索条件入力ダイアログの一例を示す図。
【図22】システム制御装置の搬送状況通知処理の流れを示すフローチャート。
【図23】検査情報管理装置の表示画面の遷移の一例を示すフローチャート。
【図24A】検体処理システムがスタンバイ状態のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24B】検体が測定中のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24C】測定中の検体が選択状態のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24D】搬送中の測定完了検体が選択状態のときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24E】検索条件が入力された検索条件入力ダイアログの一例を示す図。
【図24F】検索条件が入力された検索条件入力ダイアログの他の例を示す図。
【図24G】検体情報が検索された後のシステムモニタ画面の一例を示す図。
【図24H】選択された検体の搬送が完了したときのシステムモニタ画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
本実施の形態は、検体の分析結果と搬送状況とを表示可能な検査情報管理装置を備える検体処理システムである。
【0021】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8と、検査情報管理装置9を備えている。また、システム制御装置8は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0022】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、バーコード読取ユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。バーコード読取ユニット22は、検体投入ユニット21と検体送出ユニット23との間に配置されており、検体投入ユニット21に投入された検体は、バーコード読取ユニット22を経由して検体送出ユニット23へ移送されるように構成されている。検体投入ユニット21及び検体送出ユニット23は、複数の検体容器を収納した後述するサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、検体チェックユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。検体投入装置2の制御部2aは、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット23に搬送され、検体送出ユニット23から検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0023】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0024】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを受け入れることが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0025】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0026】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0027】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側に位置し、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0028】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0029】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0030】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0031】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0032】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0033】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0034】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0035】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0036】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0037】
検体搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0038】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0039】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0040】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0041】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0042】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0043】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0044】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0045】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0046】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、検体供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0047】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0048】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0049】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用及び測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0050】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0051】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラム524aを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0052】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0053】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0054】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0055】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0056】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0057】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介して検査情報管理装置9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0058】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0059】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0060】
図9は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0061】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を図1に示す検体搬送装置301の測定ライン302a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0062】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0063】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0064】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0065】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0066】
また、ハードディスク81dには、搬送状況データベースが設けられている。この搬送状況データベースには、サンプルラック毎に、処理の進行状況を示すデータが記憶される。なお、搬送状況データベースの詳しい説明は後述する。
【0067】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0068】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ8aにデータを入力することが可能である。
【0069】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及び検査情報管理装置9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0070】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0071】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)である。検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1が備える血球分析装置5及び他のシステムが備える血球分析装置5とは異なる種類の検体分析装置(例えば、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置、尿分析装置等)と接続されており、これらの検体分析装置による分析結果を記憶し、またこれらの分析結果を表示する。
【0072】
図10は、検査情報管理装置9の構成を示すブロック図である。検査情報管理装置9は、コンピュータ9aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ9aは、本体91と、画像表示部92と、入力部93とを備えている。本体91は、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hを備えており、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hは、バス91jによって接続されている。
【0073】
ハードディスク91dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU91aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する検査情報管理プログラム94aも、このハードディスク91dにインストールされている。
【0074】
また、ハードディスク91dには、測定オーダデータベースDB1が設けられている。測定オーダデータベースDB1には、測定オーダが登録される。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データを測定オーダデータベースDB1から読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。
【0075】
また、ハードディスク91dには、分析結果データベースDB2が設けられている。分析結果データベースDB2には、検体分析装置による検体の分析結果が記憶される。分析結果には、検体ID、検体の分析によって得られた各種の数値データ(RBC、PLT、HGB、WBC、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO等)並びにスキャッタグラム及びヒストグラム等の分布図データが含まれている。また、分析結果データベースDB2には、検体の測定に使用した測定ユニットを示す測定ユニット特定データが記憶される。検査情報管理装置9は、接続された検体分析装置から分析結果を受信した場合に、当該分析結果及び測定ユニット特定データを分析結果データベースDB2に登録する。また、検査情報管理装置9は、オペレータから与えられた指示に応じて、分析結果データベースDB2から検体の分析結果を読み出し、かかる分析結果を画像表示部92に表示する。また、上記の測定オーダデータベースDB1に測定オーダが登録されたときに、この測定オーダに含まれる検体IDを含む新規レコード(つまり、分析結果を含まないレコード)が、この分析結果データベースDB2に登録される。
【0076】
読出装置91eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体94に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体94には、コンピュータを検査情報管理装置9として機能させるための検査情報管理プログラム94aが格納されており、コンピュータ9aが当該可搬型記録媒体94から検査情報管理プログラム94aを読み出し、当該検査情報管理プログラム94aをハードディスク91dにインストールすることが可能である。
【0077】
入出力インタフェース91fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース91fには、キーボード及びマウスからなる入力部93が接続されており、ユーザが当該入力部93を使用することにより、コンピュータ9aにデータを入力することが可能である。
【0078】
通信インタフェース91gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース91gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ9aは、通信インタフェース91gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0079】
なお、検査情報管理装置9のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
[検体処理システムの動作]
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0081】
[検体処理動作]
まず、検体処理システム1が検体を搬送し、検体の処理(測定又は塗抹標本の作製)を行う検体処理動作について説明する。
【0082】
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル(図示せず)を操作して、検体処理システム1に処理開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる処理開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックLは、検体投入ユニット21上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0083】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、搬送路上を左方向へ移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。読み取られたラックID及び検体IDは、制御部2aによりシステム制御装置8へ送信される。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLが移送される。制御部2aは、検体送出ユニット23が受け入れたサンプルラックLを検体送出ユニット23上で移送する。その後、検体投入装置2が、ラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0084】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0085】
システム制御装置8の測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとして検査情報管理装置9に測定オーダを問い合わせて測定オーダを取得する。ここで、測定オーダとは、検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。以下、この動作を詳しく説明する。
【0086】
図11は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダにより読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。CPU81aにおいて、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0087】
ステップS102において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、検査情報管理装置9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS102)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS103においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS103においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS104)。
【0088】
次に、CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS105)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS105においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダを検査情報管理装置9に要求する。
【0089】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS105においてYES)、CPU81aは、当該サンプルラックLの各検体の測定オーダに基づいて、当該サンプルラックLに収容された全検体の処理に要する時間(以下、「処理時間」という。)を算出する(ステップS106)。なお、この処理時間の算出は、測定項目毎にあらかじめ定められた検体の測定時間に、検体搬送装置3によるサンプルラックLの搬送時間を加算することにより算出される。CPU81aは、このようにして算出した処理時間をラックID、検体ID、及び現在の時刻(処理開始時刻)に対応付けてハードディスク81dに記憶し(ステップS107)、処理を終了する。
【0090】
システム制御装置8から検体投入装置2への搬送指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれるラックIDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へサンプルラックLの搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0091】
図12Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0092】
ステップS112において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS112)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS113)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0093】
次に、CPU81aは、当該サンプルラックLのラックID及び当該サンプルラックLが収容している検体の検体IDに対応付けて、決定した搬送先を経由する搬送ルートを示す情報を搬送状況データベースに登録する(ステップS114)。図13は、搬送状況データベースのレコードの構造を示す模式図である。図に示すように、搬送状況データベースには、ラックID、検体IDを含むレコードが登録される。またこのレコードには、サンプルラックLの位置情報が複数含まれている。図14は、検体処理システム1において定められた位置情報を説明するための模式図である。図に示すように、本実施形態では、検体送出ユニット23を示す位置情報をSTY、搬送方向1番目の検体搬送装置3のラック搬入位置(当該検体搬送装置3のラック搬送部321上の最も上流側の位置)を示す位置情報をX1−1、この検体搬送装置3の測定ラインL1を示す位置情報をX1−2、この検体搬送装置3のスキップラインL2を示す位置情報をX1−3、この検体搬送装置3のラック搬出位置(当該検体搬送装置3のラック搬送部321上の最も下流側の位置)を示す位置情報をX1−4としている。また、搬送方向2番目の検体搬送装置3のラック搬入位置、測定ラインL1、スキップラインL2、及びラック搬出位置をそれぞれ示す位置情報をX2−1、X2−2、X2−3、及びX2−4としている。同様に、搬送方向3番目の検体搬送装置3のラック搬入位置、測定ラインL1、スキップラインL2、及びラック搬出位置をそれぞれ示す位置情報をX3−1、X3−2、X3−3、及びX3−4としている。さらに、検体搬送装置301のラックスライダ303を示す位置情報をRS、検体搬送装置301のコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bを示す位置情報をC1及びC2、並びに検体収容装置4を示す位置情報をSKYとしている。図13に示すように、搬送状況データベースのレコードには、搬送ルートで経由する位置情報が順番に格納される。また、各位置情報に対応付けて、その位置を通過したか否かを示す通過フラグのフィールドが設けられる。通過フラグには、未通過のときには「0」がセットされ、通過済みの場合には「1」がセットされる。新規のレコードが登録されるときには、検体送出ユニット23を示す位置情報に対応する通過フラグに「1」がセットされ、他の全ての通過フラグに「0」がセットされる。
【0094】
図13に示す搬送状況データベースは、サンプルラックLのバーコードラベルBL2の内容がA00001であり、このサンプルラックが位置情報X1−3すなわち搬送方向1番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に位置していることを示している。
【0095】
図12Aに戻り、次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS115)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、サンプルラックLの搬送方向において最も上流側の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、それ以外の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0096】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS116においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS116においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS117)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS118においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS118においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS119においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS119においてYES)、CPU81aは、搬送状況データベースのこのラックIDに対応するレコードに含まれる位置情報であって、サンプルラックLの搬送方向における最も上流側の検体搬送装置3のラック搬入位置を示す位置情報(つまり、「X1−1」)に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS120)。その後、CPU81aは、処理を終了する。
【0097】
次に、システム制御装置8から検体搬送装置3に送信される第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、何れかの検体搬送装置3にサンプルラックLの搬送指示が与えられる。図12Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS131)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS132の処理が呼び出される。
【0098】
ステップS132において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDに対応する搬送状況データベースのレコードに含まれる位置情報であって、当該検体搬送装置3のラック搬出位置を示す位置情報に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS132)。搬出要求データには、送信元の検体搬送装置3を特定する装置IDが含まれており、これによりどの検体搬送装置3から当該搬出要求データが送信されたかを特定することができる。CPU81aは、上記のステップS132の処理においては、搬送方向1番目、2番目及び3番目の検体搬送装置3のうち、上記のように特定された検体搬送装置3のラック搬出位置(当該検体搬送装置3のラック搬送部321上の最も下流側の位置)を示す位置情報の通過フラグを更新する。
【0099】
次に、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS133)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS134においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS134においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS135)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS136においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS136においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS137においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS137においてYES)、CPU81aは、このラックIDに対応する搬送状況データベースのレコードに含まれる位置情報であって、当該検体搬送装置3のラック搬入位置を示す位置情報に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS138)。搬入完了データには、送信元の検体搬送装置3を特定する装置IDが含まれており、これによりどの検体搬送装置3から当該搬入完了データが送信されたかを特定することができる。CPU81aは、上記のステップS138の処理においては、搬送方向1番目、2番目及び3番目の検体搬送装置3のうち、上記のように特定された検体搬送装置3のラック搬入位置を示す位置情報の通過フラグを更新する。かかる搬送状況データベースの更新処理を完了した後、CPU81aは、処理を終了する。
【0101】
また、検体搬送装置301及び検体収容装置4に対しても、システム制御装置8は上述と同様の第2搬送指示処理を実行し、搬送状況データベースの通過フラグを更新する。
【0102】
搬送状況更新処理
サンプルラックLが搬送されている間に、システム制御装置8は当該サンプルラックLの搬送状況データベースのレコードを更新する。以下、この動作について説明する。
【0103】
図15は、システム制御装置8の搬送状況更新処理の手順を示すフローチャートである。後述するように、検体搬送装置3からは、搬送状況更新要求データが送信される。かかる搬送状況更新要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS141)。CPU81aにおいて、搬送状況更新要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS142の処理が呼び出される。
【0104】
ステップS142において、CPU81aは、搬送状況更新要求データに含まれるラックIDに対応する搬送状況データベースのレコードに含まれる位置情報であって、当該搬送状況更新要求データに含まれる位置情報に対応する通過フラグに「1」をセットする(ステップS142)。搬送状況更新要求データには、送信元の検体搬送装置3において現在サンプルラックLが存在している位置を示す位置情報が含まれている。CPU81aは、上記のステップS142の処理においては、搬送状況更新要求データに含まれる位置情報に対応する通過フラグを更新する。つまり、搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1にサンプルラックLが位置している場合には、搬送状況更新要求データに、位置情報「X1−2」が含まれており、上記のステップS142の処理では、このサンプルラックLのラックIDに対応するレコードにおける位置情報「X1−2」に対応する通過フラグが「1」に更新される。また、搬送方向2番目の検体搬送装置3のスキップラインL2にサンプルラックLが位置している場合には、搬送状況更新要求データに、位置情報「X2−3」が含まれており、上記のステップS142の処理では、このサンプルラックLのラックIDに対応するレコードにおける位置情報「X2−3」に対応する通過フラグが「1」に更新される。CPU81aは、このようなステップS142の処理の後、搬送状況更新処理を終了する。
【0105】
また、検体搬送装置301及び検体収容装置4からも同様に搬送状況更新要求データが送信され、システム制御装置8は上述と同様の搬送状況更新処理を実行して、搬送状況データベースを更新する。
【0106】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図16A及び図16Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS201)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0107】
ステップS202において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS202)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0108】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS204)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、ラックID及び当該検体搬送装置3の装置IDを含む、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS205)。
【0109】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS206)。ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインL1を示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS207)。次に制御部32は、ラックID、当該検体搬送装置3の測定ラインL1を示す位置情報を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へと送信する(ステップS208)。
【0110】
次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS209)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS210)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS210においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS211)、情報処理ユニット52へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS212)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS213においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS213においてYES)、処理をステップS215へ進める。
【0111】
一方、ステップS210において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS210においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS214)、処理をステップS215へ進める。ステップS215において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS215)、iが10未満である場合には(ステップS215においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS216)、ステップS210へ処理を戻す。
【0112】
ステップS215において、iが10以上である場合には(ステップS215においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS217)。その後、制御部32は、処理をステップS220へ移す。
【0113】
一方、ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「スキップラインL2」)、制御部32は、ラックID、当該検体搬送装置3のスキップラインL2を示す位置情報を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へと送信する(ステップS218)。
【0114】
次に、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS219)。その後、制御部32は、処理をステップS220へ移す。
【0115】
ステップS220において、制御部32は、サンプルラックLに割り当てられたラックID、及び当該検体搬送装置3の装置IDを含む搬出要求データをシステム制御装置8に送信する(ステップS220)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS221においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS221においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS222)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS223)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0116】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0117】
図17A及び図17Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS301)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0118】
ステップS302において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、検体供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS302)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS303)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS304)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS305)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS306)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gに検査情報管理装置9へ送信させ(ステップS307)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS308においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS308においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS309)。
【0119】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS310)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS311)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS312)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS313)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0120】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS314)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS315)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS316)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521dに格納され(ステップS317)、また、検査情報管理装置9へ送信される(ステップS318)。検査情報管理装置9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS318の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0121】
<検査情報管理装置9の動作>
測定オーダ提供処理
検査情報管理装置9は、上述のようにシステム制御装置8又は情報処理ユニット52から測定オーダの要求を受け付けたときには、該当する測定オーダを要求元の装置へ提供する。以下、かかる測定オーダ提供処理について説明する。
【0122】
図18は、検査情報管理装置9の測定オーダ提供処理の手順を示すフローチャートである。システム制御装置8又は情報処理ユニット52からは、オーダ要求データが送信される。かかるオーダ要求データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS401)。CPU91aにおいて、オーダ要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0123】
ステップS402において、CPU91aは、受信したオーダ要求データに含まれる検体IDを検索キーとして、測定オーダデータベースDB1から測定オーダを検索する(ステップS402)。次にCPU91aは、検索された測定オーダを要求元の装置へ送信し(ステップS403)、処理を終了する。
【0124】
分析結果記録処理
検査情報管理装置9は、上述のように情報処理ユニット52から分析結果を受信したときには、当該分析結果及び測定ユニット特定データを分析結果データベースDB2に記憶する。以下、かかる分析結果記録処理について説明する。
【0125】
図19は、検査情報管理装置9の分析結果記録処理の手順を示すフローチャートである。情報処理ユニット52からは、分析結果データが送信される。かかる分析結果データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS411)。CPU91aにおいて、分析結果データを受信するイベントが発生すると、ステップS412の処理が呼び出される。
【0126】
上述したように、分析結果データベースDB2には、測定オーダが登録されたときに当該測定オーダに含まれる検体IDを含む新規レコードが登録される。したがって、分析結果が得られたときには、当該検体IDのレコードが既に分析結果データベースDB2に存在している。したがって、CPU91aは、受信した分析結果データに含まれる検体IDを検索キーにして、同じ検体IDを含むレコードを分析結果データベースDB2から検索する(ステップS412)。次にCPU91aは、検索したレコードに分析結果を追加して、このレコードを更新する(ステップS413)。この後、CPU91aは、処理を終了する。
【0127】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302b上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0128】
また、検体搬送装置301は、ラックスライダ303にサンプルラックLを搬入したときには、ラックID及び装置IDを含む搬入完了データをシステム制御装置8へ送信し、コンベア302の測定ライン302aでサンプルラックLを搬送するときには、ラックID及び測定ライン302aを示す位置情報(つまり、「C1」)を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へ送信する。また、コンベア302のスキップライン302bでサンプルラックLを搬送するときには、ラックID及びスキップライン302bを示す位置情報(つまり、「C2」)を含む搬送状況更新要求データをシステム制御装置8へ送信する。これらのデータを受信したシステム制御装置8は、搬送状況データベースの当該サンプルラックLのレコードを更新する。
【0129】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0130】
また、検体収容装置4は、検体搬送装置301は、サンプルラックLを搬入したときには、ラックID及び装置IDを含む搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する。かかる搬入完了データを受信したシステム制御装置8は、搬送状況データベースの当該サンプルラックLのレコードを更新する。
【0131】
[分析結果表示動作]
次に、検体処理システム1による検体の分析結果を検査情報管理装置9で表示する分析結果表示動作について説明する。
【0132】
<検査情報管理装置9の動作>
図20Aは、検査情報管理装置9のシステムモニタ画面表示処理の流れを示すフローチャートである。検査情報管理装置9は、分析結果又は測定オーダ等の臨床検査情報を管理するための種々の画面を画像表示部92に表示する。かかる画面が画像表示部92に表示されている状態において、オペレータが入力部93に所定の入力操作を行うことにより、システムモニタ画面の表示要求を検査情報管理装置9に与えることができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかるシステムモニタ画面の表示指示を受け付ける(ステップS501)。CPU91aにおいて、システムモニタ画面の表示要求を受け付けるイベントが発生すると、ステップS502の処理が呼び出される。
【0133】
ステップS502において、CPU91aは、分析結果データベースDB2から分析結果データを読み出す(ステップS502)。次に、CPU91aは、読み出した分析結果データを含むシステムモニタ画面を画像表示部92に表示させ(ステップS503)、処理を終了する。
【0134】
図21Aは、システムモニタ画面の一例を示す図である。図に示すように、システムモニタ画面W1は、分析結果を一覧表示する分析結果リスト表示領域A1と、検体処理システム1のレイアウト図を含む搬送状況表示領域A2と後述する検索ボタンBとを含んでいる。さらに、分析結果リスト表示領域A1は、検体ID、ラックID、前記検体IDによって特定される検体の測定に使用された測定ユニットおよび当該検体の分析結果を含んでいる。また、分析結果リスト表示領域A1の各行は、マウスのクリック操作等によって選択可能である。かかる分析結果リスト表示領域A1においては、分析結果データベースDB2に分析結果が存在する検体については、分析結果の数値情報が表示される。
【0135】
一方、分析結果データベースDB2に分析結果が存在しない検体については、測定結果待ち、即ち、測定ユニットによって測定が実行されているがまだ測定結果が得られていない場合と、測定オーダが存在しない場合とがある。当該分析結果リスト表示領域A1においては、測定ユニットによって測定が実行されているが、まだ測定結果が得られていない項目については測定結果待ちを示す「Pending」の表示がされ、測定オーダが存在しない項目については何も表示されない(空白)。また、測定結果の数値が表示範囲を超えている場合には「++++」の表示がされ、測定又は解析エラーが発生したためデータを表示できない場合には「−−−−」の表示がされる(図24D参照)。このように、オペレータは分析結果リスト表示領域A1の表示を確認するだけで、検体について、分析結果が存在する項目、測定結果待ちの項目、測定オーダが存在しない項目、測定結果が表示範囲を超えている項目、及び測定不能の項目を識別することができる。また、分析結果リスト表示領域A1には、分析結果の数値情報が表示されるため、オペレータは分析結果を確認することができる。したがって、オペレータは異常な数値を示している検体等を容易に発見することができる。
【0136】
また、分析結果リスト表示領域A1には、検体毎に測定に使用された測定ユニットを特定する情報が表示される。これにより、オペレータは分析結果リスト表示領域A1の表示を確認するだけで、検体が何れの測定ユニットにより測定されたかを知ることができる。
【0137】
図20Bは、検査情報管理装置9の分析結果情報検索処理の流れを示すフローチャートである。上記の図21Aに示すように、システムモニタ画面W1には検体の検索に用いられる検索ボタンBが設けられている。この検索ボタンBはオペレータによるマウスのクリック操作等により選択可能である。このようなシステムモニタ画面W1が表示されている状態において、オペレータは入力部93を操作することにより、検索ボタンBを選択することができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかる検索ボタンBの選択を受け付ける(ステップS511)。CPU91aにおいて、検索ボタンBの選択を受け付けるイベントが発生すると、ステップS512の処理が呼び出される。
【0138】
ステップS512において、CPU91aは、検索条件入力ダイアログを表示する(ステップS512)。図21Bは、検索条件入力ダイアログの一例を示す図である。この検索条件入力ダイアログSDでは、検体ID、ラックID、患者氏名、患者ID、施設名称等の検索キーの種類を選択するための選択部P1と、検索キーを入力するための入力ボックスP2とが設けられている。オペレータは、入力部93の操作により、選択部P1において検索キーの種類を選択し、入力ボックスP2に検索キーを入力することができる。また、検索条件入力ダイアログSDには、マウスのクリック操作等により選択可能な検索実行ボタンB2が設けられている。オペレータは、上記のように検索キーの種類の選択及び検索キーの入力をした上で、マウスのクリック操作等により検索実行ボタンB2を選択すると、入力された検索条件(検索キーの種類及び検索キー)による分析結果データの検索を検査情報管理装置9に指示することができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかる検索条件の入力及び検索開始の指示を受け付ける(ステップS513)。検索条件の設定及び検索開始の指示を受け付けるイベントが発生すると、CPU91aは、検索条件に合致する分析結果を分析結果データベースDB2から検索する(ステップS514)。次に、CPU91aは、検索された分析結果データを表示するようにシステムモニタ画面を更新し(ステップS515)、処理を終了する。これにより、オペレータが分析結果及び搬送状況を確認したい検体がある場合に、かかる検体の分析結果をシステムモニタ画面に表示させることができる。また、オペレータがこの検体を選択することにより、後述のように検体の搬送状況を表示させることができる。
【0139】
図20Cは、検査情報管理装置9の検体搬送状況表示処理の流れを示すフローチャートである。このようなシステムモニタ画面W1が表示されている状態において、オペレータは入力部93を操作することにより、分析結果リスト表示領域A1に表示されている任意の検体を選択することができる。検査情報管理装置9のCPU91aは、かかる検体の選択を受け付ける(ステップS521)。CPU91aにおいて、検体の選択を受け付けるイベントが発生すると、ステップS522の処理が呼び出される。
【0140】
ステップS522において、CPU91aは、選択された検体に含まれる検体IDを含む搬送状況要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS522)。その後、CPU91aは、当該検体の搬送状況を示す搬送状況データの受信を待機する(ステップS523においてNO)。搬送状況データを検査情報管理装置9が受信した場合には(ステップS523においてYES)、CPU91aは、受信した搬送状況データに基づいて、システムモニタ画面W1の搬送状況表示領域A2に、現在のサンプルラックLの位置、サンプルラックLが過去に通過してきた経路、サンプルラックLが将来通過する予定の経路、及び処理の残り時間を表示し(ステップS524)、処理を終了する。
【0141】
搬送状況データは、ラックID、上述した搬送状況データベースにおいて当該ラックIDに対応するレコードに含まれる各位置情報及び通過フラグ、並びに処理の残り時間の情報が含まれている。例えば、図21Aに示す搬送状況表示領域A2の表示に必要な搬送状況データには、位置情報として、「STY,X1−1,X1−3,X1−4,X2−1,X2−2,X2−4,X3−1,X3−3,X3−4,RS,C2,SKY」が含まれる。また、この搬送状況データは、STY〜X2−2に対応する通過フラグに「1」がセットされており、X2−4〜SKYに対応する通過フラグに「0」がセットされている。
【0142】
図21Aに示すように、搬送状況表示領域A2においては、通過済みのサンプルラックLの経路が実線で表示され、未通過のサンプルラックLの経路が破線で表示される。このように、CPU91aは、通過済みの経路と未通過の経路とを区別可能に表示する。これにより、オペレータは、現在のサンプルラックLの位置を把握できるだけでなく、それまでに行われた処理の内容及びこれから行われる予定の処理の内容を把握することができる。また、搬送状況表示領域A2には、サンプルラックLが検体収容装置4に収容されるまでの残り時間が表示される。これにより、オペレータは、処理が完了するまでの残り時間を把握することができる。
【0143】
また、処理が完了した検体が選択された場合には、かかる検体を収容するサンプルラックLの搬送経路は全て通過済みである。したがって、この場合の搬送状況表示領域A2には、サンプルラックLの搬送経路が全て実線表示される。オペレータは、検体が通過した搬送経路を確認することで、この検体がどのような搬送経路を通過し、どの測定ユニット51で測定が行われたか等の検体の処理の履歴を把握することができる。また、この場合には、残り時間が「0」と表示されるようになっている。オペレータは、この残り時間表示を見ることによっても、この検体の処理が完了していることを容易に把握することができる。
【0144】
<システム制御装置8の動作>
次に、分析結果表示動作におけるシステム制御装置8の動作について説明する。図22は、システム制御装置8の搬送状況通知処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、検査情報管理装置9は、検体IDを含む搬送状況要求データをシステム制御装置8に送信する。かかる搬送状況要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS601)。CPU81aにおいて、搬送状況要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS602の処理が呼び出される。
【0145】
ステップS602において、CPU81aは、搬送状況要求データに含まれる検体IDに対応する処理時間及び処理開始時刻をハードディスク81dから読み出す(ステップS602)。次にCPU81aは、処理開始時刻から現在まで経過している時間(経過時間)を、処理時間から差し引くことで、検体の処理の残り時間を算出する(ステップS603)。また、この処理では、残り時間が0以下となった場合には(すなわち、検体の処理が完了している場合には)、残り時間が「0」とされる。
【0146】
次に、CPU81aは、搬送状況要求データに含まれる検体IDをキーとして、搬送状況データベースから当該検体IDを含むレコードを検索し(ステップS604)、検索によって得られたレコードに含まれる位置情報及び通過フラグ並びに算出された残り時間を含む搬送状況データを検査情報管理装置9へ送信する(ステップS605)。その後、CPU81aは、処理を終了する。
【0147】
<検査情報管理装置9の表示画面の遷移>
次に、検査情報管理装置9の表示画面の遷移について説明する。図23は、検査情報管理装置9の表示画面の遷移の一例を示すフローチャートである。検体処理システム1を起動した直後は、検体処理システム1は、検体が測定されておらず、サンプルラックLが搬送されておらず、且つ、検体の測定準備及びサンプルラックの搬送準備が完了しているスタンバイ状態にある。
【0148】
図24Aは、検体処理システム1がスタンバイ状態のときのシステムモニタ画面を示す図である。検体処理システム1がスタンバイ状態のときには、図24Aに示すようなシステムモニタ画面が表示される(ステップS701)。図24Aに示すシステムモニタ画面W11は、サンプルラックLが検体投入装置2に投入され、当該サンプルラックLのレコードが搬送状況データベースに登録された状態におけるものである。このときのシステムモニタ画面W11は、搬送状況表示領域A2の中の検体投入装置2の位置(図14におけるSTYの位置)にのみサンプルラックLを示す四角枠の画像(以下、「ラックマーク」という)LMが描画されたものである。このときのラックマークLMは、ユーザによって選択されておらず、枠の中が非選択色の白色とされている。
【0149】
また、この状態では、検体処理システムの検体搬送装置3,301によってサンプルラックLが1つも搬送されておらず、また、分析結果データベースDB2に上記の検体投入装置2に投入されたサンプルラックLに収容されている検体の分析結果データが登録されていないため、分析結果リスト表示領域A1には、検体ID、ラックID、及び分析結果の数値データが1つも表示されていない。また、この分析結果リスト表示領域A1における最上行は、選択されている状態ではないが仮選択状態となっており、この行が薄い青色の仮選択色で表示されている。さらに、残り時間の算出はまだ行われていないため、当該システムモニタ画面W11には残り時間が表示されていない。
【0150】
上記のスタンバイ状態から検体の測定が開始されると、サンプルラックLが検体搬送装置3によって搬送され、測定ユニット51によって検体が測定される。これにより、測定中の検体が非選択状態のときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS702)。図24Bは、検体が測定中のときのシステムモニタ画面を示す図である。図24Bに示すシステムモニタ画面W12は、2つのサンプルラックLの検体が、それぞれ測定ユニット51,51によって各別に測定中であり、これらのサンプルラックL及び検体が選択されていない状態のときのものである。このときのシステムモニタ画面W12においては、搬送状況表示領域A2の中の搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1(図14におけるX1−2の位置)及び搬送方向2番目の検体搬送装置3の測定ラインL1(図14におけるX2−2の位置)のそれぞれにラックマークLMが描画されている。また、このときのラックマークLMは、ユーザによって選択されていないため、枠の中が非選択色の白色とされている。
【0151】
また、このシステムモニタ画面W12の分析結果リスト表示領域A1には、検体搬送装置3によって搬送されているサンプルラックLに関する検体ID、ラックID、及び分析結果の数値データが表示されている。搬送方向2番目の検体搬送装置3の測定ラインL1上で搬送中のサンプルラックLのラックIDは「001」であり、このラックIDが分析結果リスト表示領域A1に表示されている。このシステムモニタ画面W12では、分析結果リスト表示領域A1に表示されている何れの検体の情報も選択されておらず、分析結果リスト表示領域A1の最上部に表示されている検体(検体IDが「P121」の検体)に関する情報が仮選択状態となっており、この行が薄い青色の仮選択色で表示されている。さらに、何れの行(検体)も選択されていないため、当該システムモニタ画面W12には残り時間が表示されていない。
【0152】
かかる分析結果リスト表示領域A1においては、測定結果の数値データが得られる都度、その数値が該当するセルに表示される。情報処理ユニット52の解析処理により得られる測定結果の数値データは、測定項目によって得られる時刻が異なる。つまり、1つの検体「P122」の測定結果であっても、同一の測定方法により測定されるRBC及びPLTの数値データは同時に得られるが、これらとは測定方法が異なるHGBの数値データはRBC及びPLTより後に取得される。したがって、図24Bに示す画面においては、検体「P122」についてRBC及びPLTの数値データが得られており、これらは表示されているが、この時点では当該検体のHGB、HCT及びWBCの数値データは得られていないため、対応するセルに測定結果待ちを示す「Pending」の表示がなされている。
【0153】
また、他方のサンプルラックL(搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1上で搬送中のサンプルラックL)に関する検体ID、ラックID、及び分析結果の数値データは、分析結果リスト表示領域A1に表示されていないが、分析結果リスト表示領域A1の右側に設けられたスクロールバーをユーザが操作する分析結果リスト表示領域A1の表示をスクロールさせることができ、これによって他方のサンプルラックLに関する上記の情報を表示させることができる。
【0154】
上記の検体の非選択状態から、ユーザが分析結果リスト表示領域A1の一行をクリックする操作を行うと、この行が選択され、測定中の検体が選択状態のときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS703)。図24Cは、測定中の検体が選択状態のときのシステムモニタ画面を示す図である。検体が非選択状態のシステムモニタ画面W12から分析結果リスト表示領域A1の一行(図24Cでは上から三行目。検体IDが「P123」の行。)が選択されると、分析結果リスト表示領域A1の最上部の行が仮選択色の薄い青色から非選択色の白色へと変化し、選択された上から三つ目の行が非選択色の白色から選択色の青色へと変化する。
【0155】
また、このシステムモニタ画面W13では、処理状況表示領域A2において、選択された検体を収容するサンプルラックLのラックマークLM、つまり、X2−2の位置に表示されているラックマークLMが、枠の中の色が青色に表示される。この枠の中の色が青色の表示は、このラックマークLMが示すサンプルラックLに収容されている検体に関する情報が選択されていることを示している。さらに、処理状況表示領域A2においては、選択されたラックマークLMが示すサンプルラックLの通過済みの経路が実線で表示され、未通過の経路が破線で表示される。また、選択された検体の処理完了までの残り時間が表示される。
【0156】
次に、上記の状態からさらに時間が経過し、検体搬送装置3上に存在するサンプルラックLに収容されている全ての検体について測定が完了した後には、これらのサンプルラックLは検体搬送装置3によってさらに搬送され、搬送中の検体が選択されている状態のときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS704)。図24Dは、搬送中の測定完了検体が選択状態のときのシステムモニタ画面を示す図である。搬送方向2番目の検体搬送装置3の測定ラインL1に存在していたサンプルラックLが搬送された結果、搬送方向3番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に到達しており、搬送方向1番目の検体搬送装置3の測定ラインL1に存在していたサンプルラックLが搬送された結果、搬送方向2番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に到達している。このため、図24Dに示すシステムモニタ画面W14においては、搬送状況表示領域A2のX3−3及びX2−3の位置にそれぞれラックマークLMが表示されており、X3−3の位置のラックマークLMが選択状態となっている。
【0157】
また、搬送状況表示領域A2の選択されたラックマークLMの経路も更新され、ラックマークLMよりも右側の経路が通過済みを示す実線で表示され、ラックマークLMよりも左側の経路が未通過を示す破線で表示される。また、残り時間の表示も更新される。さらに、搬送中のサンプルラックLに収容されている全検体の分析が完了しているため、分析結果リスト表示領域A1の全ての検体の情報について、分析結果の数値データが表示されている。また、図24Dでは、検体IDがP124の検体のHGB及びHCTの測定において、測定エラーが発生したためHGB及びHCTのセルに「−−−−」の表示がされており、検体IDがP125の検体のRBCの測定結果の数値が表示範囲を超えていたため、RBCのセルに「++++」の表示がされている。
【0158】
上記のシステムモニタ画面W14の検索ボタンBがクリックされることにより、検索条件入力ダイアログが表示される(ステップS705)。図24E及び図24Fは、検索条件入力ダイアログを示す図である。表示された直後の検索条件入力ダイアログSD1では、図24Eに示すように、検索キーの種類として「検体ID」が選択された状態となっている。図24Eでは、オペレータによって検索キーの入力ボックスP2に「P123」が入力された状態を示している。
【0159】
オペレータが検索キーの種類として「ラックID」を選択した状態の検索条件入力ダイアログSD2が図24Fに示されている。この図24Fでは、オペレータによって検索キーの入力ボックスP2に「001」が入力された状態を示している。
【0160】
図24Fに示した状態の検索条件入力ダイアログSD2において、検索実行ボタンがクリックされると、分析結果リスト表示領域A1においてラックIDが「001」である検体の情報が選択されたシステムモニタ画面W15が表示される(ステップS706)。図24Gは、検体情報が検索された後のシステムモニタ画面を示す図である。図24Gに示すとおり、ラックIDが「001」のサンプルラックLに収容されている検体は検体IDが「P121」〜「P126」のもの等複数存在しており、システムモニタ画面W15においてはこれらの検体に関する検体情報が全て選択される。つまり、分析結果リスト表示領域A1における複数行が青色表示される。また、ラックIDが「001」である、搬送方向3番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に存在するサンプルラックLを示すラックマークLMが選択状態となり、青色表示される。システムモニタ画面W15のその他の画面構成は、システムモニタ画面W14と同様である。
【0161】
さらに時間が経過し、搬送方向3番目の検体搬送装置3のスキップラインL2に存在していたサンプルラックLが検体収容装置4に収容されると、検索した検体の搬送が完了したときのシステムモニタ画面に画面表示が変化する(ステップS707)。図24Hは、選択された検体の搬送が完了したときのシステムモニタ画面を示す図である。このシステムモニタ画面W16では、搬送状況表示領域A2のSKY(図14参照)の位置に、選択状態のラックマークLMが表示される。また、このラックマークLMに続く全ての経路が実線で表示され、全経路が通過済みであることが示される。さらに、残り時間は「0分」と表示され、このサンプルラックLに収容された検体の処理が完了したことが示される。なお、このシステムモニタ画面W16の分析結果リスト表示領域A1の表示は、システムモニタ画面W15のものと同様であるので、説明を省略する。
【0162】
以上のような構成とすることにより、オペレータは、検査情報管理装置9のシステムモニタ画面により、複数の検体の分析結果を一度に確認することができる。また、分析結果が得られていない検体については、分析結果が表示されないため、一目で処理が完了していないことを把握することができる。オペレータは、このような処理が完了していない検体の検体情報をリスト表示された複数の検体から選択することで、その検体の搬送状況を確認することができる。また、オペレータは、処理が完了している検体を選択することで、その検体の処理の履歴を確認することができる。
【0163】
また、システムモニタ画面には、検体処理システム1のレイアウト図が表示され、このレイアウト図上に選択された検体の位置が表示されるため、オペレータはシステム中のどの位置に検体が存在し、どのような処理が行われているのかを容易に把握することができる。また、前記レイアウト図に、検体が過去に通過した経路が表示されるため、検体がそれまでどの装置により処理されたのかを把握することができる。さらに、前記レイアウト図に、検体が将来通過する予定の経路が表示されるため、検体が将来どの装置によって処理されるのかを把握することができる。また、通過済の経路と未通過の経路とは異なる表示形式により表示され、オペレータは通過済の経路と未通過の経路とを容易に区別することが可能である。
【0164】
また、選択された検体の処理完了までの残り時間が表示されるため、オペレータが処理完了までの残り時間を知る必要がある検体がある場合に、この残り時間を容易に確認することができる。また、検体が将来通過する予定の経路とともに処理完了までの残り時間が表示されるため、オペレータは、どの装置による処理により、処理完了までどの程度の時間を要するのかを把握することができる。
【0165】
また、検体の分析結果を検索することができ、検索結果が分析結果リスト表示領域A1に表示されるので、オペレータは分析結果及び搬送状況を確認したい検体の分析結果を検査情報管理装置9に検索させて、この検体の分析結果及び搬送状況(処理が完了している場合には処理履歴)を容易に表示させることができる。
【0166】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、システムモニタ画面W1に分析結果リスト表示領域A1と搬送状況表示領域A2とを設ける構成について述べたが、これに限定されるものではない。分析結果リストを表示するウィンドウを表示し、このウィンドウにおいて検体の選択を受け付け、選択された検体の搬送状況を、前記分析結果リストのウィンドウとは独立したウィンドウに表示する構成としてもよい。また、分析結果リストを画面に表示し、その分析結果リストから検体の選択を受け付け、分析結果リストの画面から、選択された検体の搬送状況を表示する画面に表示を切り替える構成としてもよい。
【0167】
また、上述した実施の形態においては、検査情報管理装置9に検体の分析結果リスト及び搬送状況を表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。システム制御装置8又は情報処理ユニット52に検体の分析結果リスト及び搬送状況を表示させる構成としてもよい。
【0168】
また、上述した実施の形態においては、検体の処理の残り時間が0以下になった場合に、残り時間を「0」と表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。処理の残り時間が0以下となった場合に、負の数となった残り時間を表示する構成としてもよい。このようにすることにより、例えば、残り時間が「−5分」の場合には、オペレータはこの残り時間表示を見て、処理が完了してから5分が経過したことを知ることができる。このように、オペレータが処理完了後の経過時間を把握することができる。
【0169】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0170】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ9aによりコンピュータプログラム94aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム94aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の検体処理システム及び検体情報表示装置は、検体を測定する測定ユニットへ検体を搬送する検体処理システム及び前記検体処理システムにおける検体に関する情報を表示する検体情報表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0172】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
2a 制御部
21 検体投入ユニット
22 バーコード読取ユニット
23 検体送出ユニット
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
302 コンベア
302a 測定ライン
302b スキップライン
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81 本体
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
84 可搬型記録媒体
84a システム制御プログラム
9 検査情報管理装置
9a コンピュータ
91a CPU
91b ROM
91c RAM
91d ハードディスク
92 画像表示部
93 入力部
94 可搬型記録媒体
94a 検査情報管理プログラム
DB1 測定オーダデータベース
DB2 分析結果データベース
T 検体容器
L サンプルラック
L1 測定ライン
L2 スキップライン
W1 システムモニタ画面
A1 分析結果リスト表示領域
A2 搬送状況表示領域
B 検索ボタン
SD 検索条件入力ダイアログ
P1 選択部
P2 入力ボックス
B2 検索実行ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定する複数の測定ユニットと、
前記複数の測定ユニットへ供給する検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、
前記搬送先決定手段によって決定された搬送先の測定ユニットへ、前記検体を搬送する検体搬送ユニットと、
表示部と、
前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える、検体処理システム。
【請求項2】
入力部をさらに備え、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体については、該検体を特定する検体特定情報を前記表示部に表示させ、前記検体特定情報によって特定される検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての搬送状況を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記搬送状況は、検体が過去に通過した搬送経路と、検体が将来通過する予定の搬送経路とを含む、請求項1又は2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
検体処理システムにおける検体の位置を記憶する記憶部をさらに備え、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記記憶部に記憶された位置を、前記表示部に表示させるように構成されている、請求項2又は3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
検体の処理の経過に関する時間を取得する時間取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記時間取得手段により取得された処理の経過に関する時間を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項2乃至4の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記時間取得手段は、検体の処理完了までの残り時間を取得するように構成されており、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体に関する処理の残り時間を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項5に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、分析結果が得られた検体については、該検体を特定する検体特定情報と共に分析結果を前記表示部に表示させ、分析結果が得られた検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体が過去に通過した搬送履歴を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項2乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、検体を検索するための検索条件の入力を受け付け可能な検索条件入力領域を前記表示部に表示させるように構成されており、
検索条件が前記入力部を介して前記検索条件入力領域へ入力されたときに、当該検索条件に合致する検体を検索する検索手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記検索手段による検索結果を前記表示部に選択可能に表示させるように構成されている、請求項2乃至7の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットの一又は複数へ検体を搬送する検体搬送ユニットとを備える、検体処理ユニットにおける検体に関する検体情報を表示する検体情報表示装置であって、
表示部と、
前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える、検体情報表示装置。
【請求項10】
複数種類の測定ユニットに接続可能であり、複数種類の測定ユニットに基づく複数種類の分析結果を取得可能に構成されている、請求項9に記載の検体情報表示装置。
【請求項1】
検体を測定する複数の測定ユニットと、
前記複数の測定ユニットへ供給する検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、
前記搬送先決定手段によって決定された搬送先の測定ユニットへ、前記検体を搬送する検体搬送ユニットと、
表示部と、
前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える、検体処理システム。
【請求項2】
入力部をさらに備え、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体については、該検体を特定する検体特定情報を前記表示部に表示させ、前記検体特定情報によって特定される検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての搬送状況を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記搬送状況は、検体が過去に通過した搬送経路と、検体が将来通過する予定の搬送経路とを含む、請求項1又は2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
検体処理システムにおける検体の位置を記憶する記憶部をさらに備え、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記記憶部に記憶された位置を、前記表示部に表示させるように構成されている、請求項2又は3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
検体の処理の経過に関する時間を取得する時間取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体についての前記時間取得手段により取得された処理の経過に関する時間を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項2乃至4の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記時間取得手段は、検体の処理完了までの残り時間を取得するように構成されており、
前記表示制御手段は、分析結果が得られていない検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体に関する処理の残り時間を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項5に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、分析結果が得られた検体については、該検体を特定する検体特定情報と共に分析結果を前記表示部に表示させ、分析結果が得られた検体が前記入力部を介して選択されたときには、選択された検体が過去に通過した搬送履歴を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項2乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、検体を検索するための検索条件の入力を受け付け可能な検索条件入力領域を前記表示部に表示させるように構成されており、
検索条件が前記入力部を介して前記検索条件入力領域へ入力されたときに、当該検索条件に合致する検体を検索する検索手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記検索手段による検索結果を前記表示部に選択可能に表示させるように構成されている、請求項2乃至7の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
検体を測定する複数の測定ユニットと、前記複数の測定ユニットの一又は複数へ検体を搬送する検体搬送ユニットとを備える、検体処理ユニットにおける検体に関する検体情報を表示する検体情報表示装置であって、
表示部と、
前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られた検体についての該分析結果を前記表示部に表示させ、前記測定ユニットによる測定に基づく分析結果が得られていない検体についての搬送状況を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える、検体情報表示装置。
【請求項10】
複数種類の測定ユニットに接続可能であり、複数種類の測定ユニットに基づく複数種類の分析結果を取得可能に構成されている、請求項9に記載の検体情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図24G】
【図24H】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図24G】
【図24H】
【公開番号】特開2010−133917(P2010−133917A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43301(P2009−43301)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]