検出条件最適化方法、プログラム作成方法、及び露光装置
【課題】アライメントマークの検出条件を最適化する。
【解決手段】 アライメント検出系ASを用いてウエハW上に形成されたアライメントマーク(EGAマーク又はサーチマーク)が複数の照明条件及び結像条件で検出され、得られた検出信号が複数のフィルタ処理を用いて解析され(ステップ302〜306)、その解析結果に基づいて複数のフィルタ処理の処理条件を含む複数の照明条件及び結像条件以外の検出条件が最適化される(ステップ308〜314)。これにより、アライメントマークの検出条件を最適化することができる。
【解決手段】 アライメント検出系ASを用いてウエハW上に形成されたアライメントマーク(EGAマーク又はサーチマーク)が複数の照明条件及び結像条件で検出され、得られた検出信号が複数のフィルタ処理を用いて解析され(ステップ302〜306)、その解析結果に基づいて複数のフィルタ処理の処理条件を含む複数の照明条件及び結像条件以外の検出条件が最適化される(ステップ308〜314)。これにより、アライメントマークの検出条件を最適化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出条件最適化方法、プログラム作成方法、及び露光装置に係り、さらに詳しくは、基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法、該検出条件最適化方法を利用するプログラム作成方法、及び前記検出条件最適化方法の実施に好適な露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子、液晶表示素子等のマイクロデバイス(電子デバイスなど)の製造におけるリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが比較的多く用いられている。
【0003】
この種の投影露光装置において重ね合わせ露光を行う際には、被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)上の各ショット領域に既に形成されている回路パターンと、これから露光するマスクとしてのレチクルのパターンとの位置合わせであるウエハのファインアライメントを高精度に行う必要がある。従来の高精度なファインアライメントの方式として、例えば特許文献1に開示されるように、ウエハ上の選択された所定個数のショット領域(サンプルショット)に付設されたファインアライメントマーク(ウエハマーク)の座標位置を計測し、得られる計測結果を統計処理して各ショット領域の配列座標を算出するエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)方式が知られている。
【0004】
EGA方式のファインアライメントを行う際には、アライメントセンサの検出レンジ内に被検マークが確実に収まるように、予めサーチアライメントが行われる。すなわち、ウエハ上に形成されている所定のサーチアライメント・マーク(サーチマーク)の位置を検出することによって、ウエハの大まかなショット配列が求められ、このショット配列に基づいて各サンプルショットのウエハマークがアライメントセンサの検出レンジ内に位置決めされていた。
【0005】
上述のファインアライメントでは、ウエハマーク(EGAマーク)の位置情報を正確に計測することが重要である。また、サーチアライメントでは、サーチマークを確実に検出することが重要である。マーク構造は、投影露光装置で作成中の半導体等に依存しており、マークの構造次第で、大きな信号波形が得られて検出が容易な場合、あるいは逆に小さな信号波形しか得られず検出が困難な場合もある。また、特にファインアライメントの際には、信号波形の検出は可能であっても、信号波形が小さいため、処理系のノイズの影響を受け、計測再現性(位置計測精度)が不十分となる場合もある。特に、そのような困難な状況の場合、被検マーク(EGAマーク又はサーチマーク)を検出するマーク検出系(ウエハアライメント系(アライメントセンサ))のマーク検出時の検出条件(計測条件)を、最適化すると効果的である。従来、最適化の際には、ウエハアライメント(サーチアライメント又はファインアライメント)の処理手順を規定するプロセスプログラム(以下、レシピファイルとも呼ぶ)の作成の際に、技術者によって、計測条件の最適化が行われていた。
【0006】
しかしながら、最近の露光装置では要求されるアライメント精度が厳しくなり、これに伴ってアライメントマークの種類、大きさなどが多様化し、また、サーチマークが従来に比べて小型になってきた。このため、プロセスプログラムの作成時に技術者が計測条件の最適化を行うことの負担が大きくなり、また、計測条件の最適化そのものを行うことも困難になりつつある。また、複数の投影露光装置を用いて半導体等を製造する場合、複数の投影露光装置間の重ね合わせ精度の差が少ないことも重要である。この点でも、計測条件の最適化を行い、誤差要因を減らすことが重要となりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,780,617号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法であって、基板上に形成された複数の前記マークを、マーク検出系を用いて複数の照明条件及び結像条件の下で検出することと;前記マーク検出系からの検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記照明条件及び結像条件以外の前記検出条件を最適化することと;を含む検出条件最適化方法が提供される。
【0009】
ここで、フィルタ処理とは、いわゆるデジタル信号処理により、信号波形の周波数成分(光学像の場合は空間周波数と呼ばれるが信号波形処理自体は同様である)の帯域を制限し、周波数特性を変更する処理を表すものとする。例えば、低域通過フィルタという場合、フィルタ適用後の信号波形の周波数成分は低い周波数のものだけとなり、高い周波数成分は削除されることを表す。
【0010】
一般に撮像素子(一般に言うCCD等の2次元画像を得られるセンサ)は、2次元に整列した多数の画素を持ち、光学系により結像されたアライメントマーク像を、所定の画素ピッチでサンプリングし、2次元画像信号を得ることができる。このようにして得られた画像の強度分布を処理し、光学的なアライメントマーク像の強度分布が得られ、さらに前記フィルタ処理を行い周波数特性を変更する処理を適用することができる。
【0011】
また、マークの検出条件は、マーク検出時におけるマーク検出系の照明条件(例えば照明波長、照明方法、照明開口数など)及び結像条件(フォーカス、結像開口数、収差など)は、勿論、マーク検出後における検出した結果の処理に伴う種々の条件をも含む。すなわち、マークの検出条件とは、位置合わせ用のマークの検出の結果(位置情報)を得るまでのマーク検出に関する種々の条件を含む概念であり、広義のマークの計測条件とほぼ同じ意味である。本明細書では、かかる意味で、マークの検出条件又は検出条件なる用語を用いている。
【0012】
これによれば、複数のフィルタ処理の処理条件を含む照明条件及び結像条件以外のマークの検出条件が最適化されるので、最適な照明条件及び結像条件を選択(又は決定)するだけで、結果としてマークの検出条件をトータル的に最適化することが可能になる。従って、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。
【0013】
また、本発明の第2の態様によれば、本発明の検出条件最適化方法を利用して前記複数のマークの検出信号の検出条件を最適化して、前記基板の位置合わせ手順を定めるプログラムを作成するプログラム作成方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第3の態様によれば、基板上に複数のパターンを重ね合わせて形成する露光装置であって、基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件又は複数の結像条件で検出して得られる検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記複数の照明条件又は前記複数の結像条件以外の前記マークの検出条件を最適化する最適化装置と;を備える露光装置が提供される。
【0015】
これによれば、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の主制御装置によって実行されるアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)の作成の処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】図3(A)は、ウエハ上の複数のショット領域と各ショット領域に付設されるアライメントマークの配置を示す図、図3(B)は図3(A)中の1つのショット領域を取り出して示す図である。
【図4】図2のステップ108(アライメントマーク検出処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5(A)はEGAマーク、図5(B)はEGAマークのX成分に対応する1次元信号、図5(C)はEGAマークのY成分に対応する1次元信号を示す図である。
【図6】検出信号の規格化を説明するための図である。
【図7】図2のステップ110(検出信号の解析条件の最適化処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図8(A)及び図8(B)は解析処理で用いられる代表的なフィルタ処理の利得関数を表す図、並びに図8(C)及び図8(D)はそれぞれフィルタ処理の前後の検出信号を示す図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、検出信号の特徴量を示す図(その1及びその2)である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、検出信号の特徴量を示す図(その3及びその4)である。
【図11】図11(A)〜図11(D)は、特徴点のグループ処理を説明するための図である。
【図12】形状に関する判定量である振幅、コントラスト及びエッジスロープを説明するための図である。
【図13】図13(A)は変形に関する判定量である線幅誤差、図13(B)は段差誤差、図13(C)は反射率トップ誤差、図13(D)は反射率ボトム誤差を示す図である。
【図14】図14(A)は対称性に関する判定量であるエッジ対称性及び波形対称性を説明するための図、図14(B)は対称性の崩れを説明するための図である。
【図15】形状に関する判定量を総合評価して計測再現性を評価する手順を説明するための図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、形状に関する判定量と計測再現性との相関を示す図(その1及びその2)である。
【図17】図17(A)〜図17(C)は、変形に関する判定量を総合評価してアライメント検出系に由来する検出誤差を評価する手順を説明するための図である。
【図18】変形に関する判定量とTISとの相関を示す図である。
【図19】対称性に関する判定量を総合評価してWISを評価する手順を説明するための図である。
【図20】光学ティーチングの結果(その1)を示す図である。
【図21】光学ティーチングの結果(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図21に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明の検出条件最適化方法を好適に実施可能な露光装置100の概略構成が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))である。
【0019】
露光装置100は、照明系IOP、レチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターンの像を感応剤(レジスト)が塗布されたウエハW上に投影する投影ユニットPU、ウエハWを保持してXY平面内を移動するウエハステージWST、ウエハステージWSTを駆動する駆動系22、及びこれらの制御系等を備えている。制御系は装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などを含む主制御装置28を中心として構成されている。
【0020】
照明系IOPは、例えばArFエキシマレーザ(出力波長193nm)(又はKrFエキシマレーザ(出力波長248nm)など)から成る光源、及び該光源に送光光学系を介して接続された照明光学系を含む。照明光学系としては、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含み、光源から射出されたレーザビームを整形し、この整形されたレーザビーム(以下、照明光ともいう)ILにより、レチクルR上でX軸方向(図1における紙面直交方向)に細長く伸びるスリット状の照明領域をほぼ均一な照度で照明する。
【0021】
レチクルステージRSTは、照明系IOPの図1における下方に配置されている。レチクルステージRST上にレチクルRが載置されている。レチクルRは、不図示のバキュームチャック等を介してレチクルステージRSTに吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルステージ駆動系によって、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面内左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査される。レチクルステージRSTの位置情報は、レチクルステージRSTに固定された移動鏡12を介してレーザ干渉計14によって計測され、レーザ干渉計14の計測値が主制御装置28に供給されている。なお、移動鏡12に代えて、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡12の反射面に相当)を形成しても良い。
【0022】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を含む投影光学系PLとを有している。投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセントリックな縮小系であって、光軸AXpと平行な方向(Z軸方向)に配列された複数枚のレンズエレメント(図示省略)を含む屈折光学系が用いられている。
【0023】
投影光学系PLの投影倍率は、一例として1/4とされている。このため、前述の如く照明光ILによりレチクルRが均一な照度で照明されると、その照明領域内のレチクルRのパターンが投影光学系PLにより縮小されて、レジストが塗布されたウエハW上に投影され、ウエハW上の被露光領域(ショット領域)の一部にパターンの縮小像(部分像)が形成される。このとき、投影光学系PLは視野内の一部(すなわち、露光エリアであって、投影光学系PLに関して照明領域と共役な矩形領域)に上記パターンの縮小像を形成する。
【0024】
ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含む駆動系22によって、X軸方向、Y軸方向に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向、X軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)、及びZ軸回りの回転方向(θz方向)に微小駆動される。ウエハステージWST上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等によって保持されている。
【0025】
ウエハステージWSTの位置情報は、ウエハステージWSTに固定された移動鏡24を介してレーザ干渉計システム(以下、「干渉計システム」と略述する)26によって計測され、干渉計システム26の計測値が主制御装置28に供給されている。主制御装置28は、干渉計システム26の計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(回転情報(ヨーイング量(θz方向の回転量)、ピッチング量(θx方向の回転量)、ローリング量(θy方向の回転量))を含む)を計測する。なお、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡24の反射面に相当)を形成しても良い。また、ウエハステージWSTに代えて、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に移動する第1ステージと、該第1ステージ上でZ軸方向、θx方向及びθy方向に微動する第2ステージとを備えるステージを、用いても良い。
【0026】
干渉計システム26の計測値は主制御装置28に供給され、主制御装置28は干渉計システム26の計測値に基づいて駆動系22を介してウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)を制御する。
【0027】
また、ウエハW表面のZ軸方向の位置及び傾斜量は、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示される送光系50a及び受光系50bを有する斜入射方式の多点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサAFSによって計測される。このフォーカスセンサAFSの計測値も主制御装置28に供給されている。
【0028】
また、ウエハステージWST上には、表面がウエハWの表面と同じ高さになるように基準板FPが固定されている。基準板FPの表面には、後述するアライメント検出系ASのいわゆるベースライン計測等に用いられる基準マークなどが形成されている。
【0029】
投影ユニットPUの鏡筒40の側面に、ウエハWに形成されたアライメントマーク及び上記基準マークを検出するアライメント検出系ASが設けられている。このアライメント検出系ASとしては、一例としてハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測する画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。
【0030】
アライメント検出系ASの検出信号は、アライメント制御装置16に供給され、アライメント制御装置16は、その検出信号をA/D変換し、このデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置を検出する。ここで、アライメント検出系ASには、アライメントマークの光学像を受光する撮像素子が用いられているが、近年、撮像素子の進化は著しく、A/D変換が撮像素子(アライメント検出系AS内)で行なわれ、アライメント制御装置16にはデジタル信号が供給され、アライメント制御装置16では、既にデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置を検出することも多い。この結果は、アライメント制御装置16から主制御装置28に供給される。
【0031】
アライメント検出系ASとして、本実施形態では、少なくとも照明条件及び結像条件の変更(又は切り換え)が可能な検出系が採用されている。照明条件は、波長選択フィルタ(照明波長)、照明開口絞り(照明開口数)、及びNDフィルタ(ニュートラル・デンシティ・フィルタ)の少なくとも1つを切り換えることにより、変更される。照明波長として、例えば、グリーン(例えば波長530〜610nm)、オレンジ(例えば波長600〜710nm)、レッド(例えば波長700〜800nm)、ブロード(例えば波長530〜800nm)、シアン(例えば480〜520nm)、及び近赤外(770〜850nm)の6つの波長帯域が用意されている。
【0032】
照明開口絞りとして、直径の異なる複数の円形絞り(通常絞り、小σ絞り)と、輪帯比の異なる複数の輪帯絞りとが切り換え可能に設けられている。複数の輪帯絞りは、結像光学系の開口数より大きな開口数を有する輪帯絞りを含む。本実施形態では、例えば、その結像光学系の開口数より大きな開口数を有する輪帯絞りを照明光路内に位置させることで、明視野照明から暗視野照明に切り換えることができる。なお、輪帯遮光形状の遮光部を備えた結像開口絞りを結像光路上に挿脱可能に構成し、輪帯絞り(照明絞り)と併用することで、暗視野照明を実現しても良い。
【0033】
また、特にファイン計測時には、照明開口絞りの光軸に対する偏心は、ウエハ上に導光する光束の倒れ(テレセントリシティ性の悪化)を防ぐため、非常に厳密に位置調整される必要があるが、明視野照明時の円形発光部と、暗視野照明時の輪帯発光部との位置ずれ(偏心ずれ)を考慮すると、特開2007−42966号公報に示されるように、円形と輪帯の2重丸構造の絞りとすると共に、ライトガイドファイバーで光を導光し、円形発光部に光を導くファイバー束と、輪帯発光部に光を導くファイバー束を別束として構成し、合成し、各ファイバー束に導光する入射光を切り換える構造としても良い。
【0034】
NDフィルタを有する減光装置として、例えば複数段の回転板を有する装置が用いられる。ここで、各回転板には透過率(減光率)の異なる複数のNDフィルタが設けられている。減光装置は、回転板を回転制御してNDフィルタを切り換えることにより、透過率(減光率)、すなわち照度を設定する。結像条件には、フォーカス(フォーカスオフセット)、結像開口数、収差等が含まれる。これらの条件は、例えば、アライメント検出系ASの光学系を構成する光学素子を微小駆動することにより調整される。なお、照明条件及び結像条件の変更は、主制御装置28の指示に基づき、アライメント制御装置16によって行われる。また、計測精度がファインアライメントに比べ緩いサーチアライメントにおいては、アライメント検出系ASに搭載されるAGC(Auto Gain Control)機能を用いることも可能である。なお、アライメント検出系ASと同様(ただし、波長選択フィルタの数など一部相違する)の構成のアライメントセンサは、例えば米国特許出願公開第2008/0013073号明細書などに開示されている。
【0035】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、例えば米国特許第5,646,413号明細書等に開示される、露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系が設けられ、該レチクルアライメント検出系の検出信号は、アライメント制御装置16を介して主制御装置28に供給される。
【0036】
次に、本実施形態の露光装置100で行われるアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)の作成について説明する。ここでは、主制御装置28(内のCPU)によって実行される処理アルゴリズムを示す図2のフローチャートに沿って、適宜他の図面を参照して説明する。
【0037】
まず、ステップ102において、不図示のウエハローダを用いてウエハステージWST上に搭載された不図示のウエハホルダ上にウエハをロードする。ここでは、実際にデバイスの製造に用いられる、少なくとも1層のレチクルパターンの転写が行われ、レチクルパターンとともに転写されたサーチアライメントマークとファインアライメントマークとが形成されたウエハWがウエハホルダ上にロードされる。図3(A)に示されるように、ウエハW上の各ショット領域Snには、アライメントマークとして、ファインアライメントマーク(EGAマーク)32及びサーチアライメントマーク(サーチマーク)33が形成されている(ファインアライメントマークに関しては、正確には、各ショット領域Snの周囲のスクライブライン上に形成される)。図3(B)に示されるように、EGAマーク32は、それぞれX軸方向、X軸方向、及びY軸方向に所定ピッチで形成された凹凸のライン・アンド・スペースパターン(マルチバーパターン)32X1,32X2,32Yを含む。以下では、これら3つのマルチバーパターン32X1,32X2,32Yを、それぞれ、第1X成分、第2X成分、及びY成分とも呼ぶ。サーチマーク33は、X軸方向に所定ピッチで並ぶマルチパターンとY軸方向に所定ピッチで並ぶマルチパターンとが重ねて形成された格子状のパターンである。なお、通常は、サーチマーク33の方が大きいが、図3(A)及び図3(B)では、各マークの大小関係及び大きさなどは、実際とは異なっている。EGAマーク32及びサーチマーク33の設計パラメータ(形状、数、及び位置等)、及びウエハWの設計パラメータ(ウエハWの大きさ及び区画領域のレイアウト等)は予め定められており、後述する検出条件の最適化処理(レシピファイル作成手順の一部)に先立ってメモリ(不図示)に記憶されているものとする。なお、以下では、区別が必要な場合を除き、EGAマーク及びサーチマークのいずれをもアライメントマークと呼ぶ。
【0038】
次のステップ104では、ウエハホルダ上にロードされたウエハのサーチアライメントを行う。具体的には、例えば、ウエハ中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する2つのサーチマークをアライメント検出系ASを用いて検出する。これらのサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント検出系ASの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ行われる。そして、アライメント検出系ASの検出結果(アライメント検出系ASの計測座標原点と各サーチアライメントマークとの相対位置関係)と各サーチアライメントマーク検出時の干渉計システム26の計測値とに基づいて2つのサーチアライメントマークのステージ座標系上の位置座標を求める。しかる後、2つのサーチアライメントマークの位置座標から、ウエハの中心ずれ、及び残留回転誤差を算出し、少なくとも残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハステージWST(又はウエハホルダ)を微小回転させる。これにより、ウエハのサーチアライメントが終了する。
【0039】
ステップ106では、光量(照度)の最適化を行う。具体的には、所定の基準となる照明条件(例えばコンベンショナル照明で、ブロードの照明帯域(波長帯域)にて、照度(NDフィルタ)を変えつつ、アライメント検出系ASを用いて、初期フォーカス位置(アライメントオートフォーカスの追い込み位置)でEGAの第1サンプルマーク(先頭サンプルショット領域の第1マーク)を検出する。そして、主制御装置28は、得られる撮像信号のコントラストが最適となる照度を見つけることによって、照度、すなわちアライメント検出系ASの検出光の光量を最適化する。
【0040】
次のステップ107では、フォーカス最適化処理(FFO:FIA focus optimization)を行う。前述したように、アライメントマークの構造は、投影露光装置で作成中の半導体等に依存しており、マークの構造次第で、大きな信号波形が得られて検出が容易な場合、あるいは逆に小さな信号波形しか得られず検出が困難な場合もある。アライメントマークを構成する要素として、ライン部及びスペース部の線幅に加え、反射率、段差等の構造が半導体等の製造プロセスにより異なっているために、異なる信号波形となる(ここで段差はマークを構成する物質がライン部とスペース部で異なり、光の光路長が異なることにより発生する位相差成分も含めている)。FIA光学系においては、特に明視野照明系において、照明光束の開口数NAが結像光学系の開口数NAよりも小さく(比率にして0.8程度)設定されているが、一般にこのような光学系の設定は部分コヒーレント光学系と呼ばれ、結像特性として、アライメントマークの構造(前述した3つの要素)次第では、初期フォーカス位置よりも、デフォーカス(フォーカス位置を変更した場合)の方が、より大きな信号波形が得られるという既知の特徴がある。
【0041】
また、詳しくは後述するが、信号波形が大きく、コントラストが大きく、エッジスロープ(波形を形成する曲線の角度成分)が急峻なほど、計測精度が良いという特徴がある。
【0042】
フォーカス最適化は、ウエハステージをZ軸方向に移動させつつ、アライメントマークを検出し、各フォーカス位置でのエッジスロープ最大値(又は、コントラスト最大値)を計測し、フォーカスに対する曲線分布を獲得し、そのピーク位置となるフォーカス位置を検出する既知の処理である。処理の結果得られたフォーカス位置は、最適フォーカス位置として記憶しておく。
【0043】
同様にして、暗視野照明においても、FFO計測処理を行う。暗視野照明では、原理的には初期フォーカス位置と、最適化にて検出されたフォーカス位置の差はないが、アライメントマーク構造次第では、マーク部分が必ずしもウエハ表面と一致しているとは限らないため、実施する。ただし、予め誤差が少ないと判明している場合は、実施しなくても良い。
【0044】
しかる後、ステップ108のアライメントマーク検出処理のサブルーチンに移行する。このステップ108のアライメントマーク検出処理(のサブルーチンの処理)と、次のステップ110の検出信号の解析条件の最適化処理(のサブルーチンの処理)との両者が、光学ティーチング処理と呼ばれる処理に該当する。
【0045】
ステップ108のサブルーチンでは、まず、図4のステップ202において、アライメント検出系ASの照明波長の設定又は変更を行う。ここでの照明波長の設定は、前述のブロード、グリーン、オレンジ、レッド、シアン、及び近赤外の6つの波長帯域の中から予め定められた順番で、順次波長帯域を設定(変更)することで行われる。一例として、第1番目として、ブロードが定められているものとする。この場合、前述の光量最適化のときにすでにブロードが設定されているので、特に何も行う必要はない。
【0046】
次のステップ204では、アライメント検出系ASの照明方法及び結像条件の設定又は変更する。ここで、照明方法の設定/変更は、照明系開口絞りの選択設定によって実現される。従って、通常照明、変形照明などの他、明視野照明、暗視野照明などの設定/変更も含まれる。前述の如く、例えば、結像光学系の開口数(NA)より大きな照明開口数の輪帯絞りを用いて輪帯照明を行うと暗視野照明になる。
【0047】
また、結像条件には、前述の如く、アライメント検出系ASの結像光学系のフォーカス位置、結像開口数、及び収差などが含まれる。従って、結像開口数を変更しても良いが、以下では、説明の便宜上、結像条件の設定/変更は、主として結像光学系のフォーカス位置の設定/変更を指す。
【0048】
照明方法及び結像条件の設定又は変更は、予め定めた順番で、照明系開口絞りと暗視野又は明視野との組み合わせを設定し、さらに各組み合わせについて予め定められているフォーカス位置を所定の順番で設定することで行われる。
【0049】
ここでは、主制御装置28は、一例として、通常照明絞りと輪帯照明絞りとの切り替えにより、明視野照明と暗視野照明とを切り替え、明視野照明については、フォーカス位置を、前述したフォーカス最適化FFO処理にて検出した最適フォーカス位置、及び最適フォーカス位置を中心とする正負両側への各1点のフォーカス位置、最良フォーカス位置(いわゆるゼロ点)、及び最良フォーカス位置を中心とする正負両側への各10点のステップフォーカス位置を設定し、また、暗視野照明については、前述したフォーカス最適化FFO処理にて検出した最適フォーカス位置(最適化が不要の場合は、そのまま最良フォーカス位置(いわゆるゼロ点))、及び正負両側への各1点のフォーカス位置を設定するものとする。
【0050】
従って、本実施形態では、1つの照明波長に対して、このステップ204において、25通りの照明方法と結像条件との組み合わせが設定されることになる。
【0051】
次のステップ206では、現在設定されているアライメント光学条件の設定下で、アライメント検出系ASを用いて、予め定められた数、例えば20個のショット領域に付設されているアライメントマーク(ここでは、EGAマーク)を検出する。主制御装置28は、ウエハステージWSTをXY方向に駆動して、ウエハW上に付設された予め定められた数のアライメントマークをアライメント検出系ASの検出視野内に順次位置決めし、撮像する。
【0052】
次のステップ208では、得られた撮像結果を、アライメントマークのX、Y成分のそれぞれについての1次元信号に変換する。例えば、図5(A)に示されるEGAマーク32に対し、それぞれ走査線LX1,LX2に関するX成分32X1,32X2の1次元信号と、走査線LYに関するY成分32Yの1次元信号と、が抽出される。あるいは、走査線LX1,LX2に平行な複数の走査線についてのX成分32X1,32X2の輝度値(画素値)を加算した、あるいはその加算値の平均をとった1次元信号と、走査線LYに平行な複数の走査線についてのY成分32Yの輝度値を加算した、あるいはその加算値の平均をとった1次元信号と、が抽出される。いずれにしてもX成分32X1,32X2の1次元信号として図5(B)に示されるような波形の信号が得られ、Y成分32Yの1次元信号として図5(C)に示されるような波形の信号が得られる。
【0053】
次のステップ210では、得られた(検出された)1次元信号(以下、検出信号と呼ぶ)を検出光の光量(本実施形態ではAGC機能により調整される量)及び信号強度のブラックレベル(原点)BLに応じて規格化し、その検出信号(規格化後)を、アライメント検出系ASの照明条件及び結像条件と対応付けて、記憶装置(不図示)に記憶する。例えば、図6に示されるように、検出信号IはI’=(I−BL)/(IMax−BL)と規格化される。ここで、IMaxは最大階調であり、アライメント検出系ASで検出可能な限界信号強度に対応する。また、検出精度を改善するために、例えば、1つのアライメントマークを複数回に分けて撮像する場合等には、これらも考慮して検出信号が規格化される。
【0054】
次のステップ212では、予定されていた全ての照明方法と結像条件との組み合わせについて、現在設定中のアライメント検出系ASの照明波長におけるアライメントマークの検出が終了したか否かを判断する。そして、判断が否定された場合、ステップ204に戻って次の照明方法及び結像条件の組み合わせに変更し、変更後の照明方法及び結像条件に対してステップ206〜210の処理を行う。その後、ステップ212における判断が肯定されるまで、ステップ206、208,210、212のループの処理が繰り返し行われる。そして、ステップ212の判断が肯定されると、ステップ214に進む。
【0055】
ステップ214では、アライメント検出系ASの全ての照明波長、本実施形態では6つの照明波長について、アライメントマークの検出が終了したか否かを判断する。そして、この判断が否定された場合、ステップ202に戻って次の照明波長に変更し、変更後の照明波長について、ステップ212における判断が肯定されるまで、ステップ204〜ステップ212のループの処理を繰り返し行う。その後、ステップ214における判断が肯定されるまで、ステップ202以下の処理が繰り返し行われる。そして、ステップ214の判断が肯定されると、アライメントマーク検出処理のサブルーチンの処理を終了し、図2のメインルーチンのステップ110にリターンする。
【0056】
以上のステップ108までの処理により、1つのアライメントマークについて27×6=162通りの照明条件及び結像条件に対する検出信号が得られる。
【0057】
ステップ110、すなわち検出信号の解析条件の最適化処理のサブルーチンでは、まず、図7のステップ302において、アライメントマーク検出処理により得られたアライメントマークの検出信号を解析処理するための解析条件の設定又は変更を行う。ここで、設定又は変更される解析条件には、ノイズの除去等、検出信号を整形するための複数のフィルタ処理及び該複数のフィルタ処理の組み合わせ、並びに複数のフィルタ処理のそれぞれのフィルタ特性が、含まれる。このステップ302の処理は、これらの解析条件を、予め定められた順番で、順次設定(変更)することで行われる。なお、当然ながらフィルタ処理を行わない解析も同時に実施しても構わない。
【0058】
複数のフィルタ処理として、例えば図8(A)に示される利得関数を有する低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、及び帯域通過フィルタ、並びに図8(B)に示される利得関数を有する櫛形フィルタ等を用いる処理が用意されている。フィルタ処理の組み合わせには、これらのフィルタ処理の任意の組み合わせが含まれる。フィルタ特性には、例えば、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、及び帯域通過フィルタに対してカットオフ周波数、櫛形フィルタに対してカットオフ周波数、バンド幅、及びバンド間隔が含まれる。
【0059】
なお、前述したが、ここで、フィルタ処理とは、いわゆるデジタル信号処理により、信号波形の周波数成分(光学像の場合は空間周波数と呼ばれるが信号波形処理自体は同様であるため、図8内では周波数と表記されている)の帯域を制限し、周波数特性を変更する処理を表すものとする。例えば、低域通過フィルタという場合、信号波形の周波数成分は低い周波数のものだけとなり、高い周波数成分は削除されることを表す。
【0060】
一般に撮像素子(一般に言うCCD等の2次元画像を得られるセンサ)は、2次元に整列した多数の画素を持ち、光学系により結像されたアライメントマーク像を、所定の画素ピッチでサンプリングし、2次元画像信号を得ることができる。このようにして得られた画像の強度分布から、光学的なアライメントマーク像の強度分布が得られ、さらに前記フィルタ処理を行い周波数特性を変更する処理を適用することができる。
【0061】
なお、図8(B)に示される櫛形フィルタであるが、図8(B)では例として8個の櫛形状を持つ特性が示されているが、一般に多数の各櫛形状部の高さ(利得)を個々に変化させ、高さゼロを含む各種設定とすることも可能である。また、図8(A)及び図8(B)の各フィルタは、簡略化のため矩形形状で示されているが、図示は省略するが、一般に信号処理に最適化させ、矩形形状よりも角に丸みを持つ形状を採用するなど、より最適な形状として採用することが出来る。
【0062】
次のステップ304では、アライメントマーク検出処理により得られた全ての検出条件に対するアライメントマークの検出信号に対して、ステップ302において設定された解析条件、すなわち設定されたフィルタ特性を有するフィルタ処理又はその組み合わせを用いた処理を行う。処理された検出信号は、解析条件と対応付けて記憶装置(不図示)に記録される。
【0063】
図8(C)及び図8(D)には、ノイズ除去に適したフィルタ処理の組み合わせを用いた処理の適用前後の検出信号の一例が示されている。図8(C)に示される処理前の検出信号が、帯域通過フィルタによって、図8(D)に示されるように主要な周波数成分が取出されてされている。
【0064】
次のステップ306では、予定された全ての解析条件における検出信号のフィルタ処理が終了したか否か判断する。そして、この判断が否定された場合、ステップ302に戻って次の解析条件に変更し、ステップ304において変更後の解析条件における検出信号のフィルタ処理を行う。そして、ステップ306における判断が肯定されるまで、ステップ302、304、306のループの処理を繰り返す。そして、ステップ306における判断が肯定されると、次のステップ308に移行する。
【0065】
ステップ308では、フィルタ処理された検出信号から特徴量を抽出する。特徴量とは、フィルタ処理された検出信号中から抽出される(可能である)特徴点を表す量である。ここで、特徴量の一例について説明する。アライメントマーク中の各ラインパターンに対応して、例えば図9(A)に示されるような波形の1つの信号(ピース信号と呼ぶ)が得られる。図9(A)中に破線で示されるピース信号の信号波形の変曲点が、特徴点として抽出可能である。従って、ピース信号毎に、信号波形の変曲点の位置と変曲点での信号強度と傾き(微分値)とを、特徴量として求めることができる。なお、変曲点とは、信号波形を微分した波形が、ピース信号内で極大及び極小となる点であり、図9(A)においては、4点の変曲点が抽出されている。同様に、図9(B)中に破線で示されるピース信号の信号波形の極値点が、特徴点として抽出可能である。従って、ピース信号毎に、信号波形の極値点の位置と極値点での信号強度と、極値点での微分値を、特徴量として求めることができる。なお、極値点とは、信号波形が極大及び極小となる点である。よって、得られた極値点での微分値はほぼゼロとなり、極値点であることを確認することが出来る。
【0066】
なお、極値点の位置は、極値点を挟む2つの変曲点の中点の位置として求めることもできる。光学像の傾向として、極値点は極値点を挟む2つの変曲点の間に1点でない場合が想定される(2つの変曲点の間で信号波形に微小なうねり成分がある場合)が、このような場合、2つの変曲点の中点を極値点と仮定する本手法は有効である。同時に得られる極値点での信号波形の傾き(微分値)も、本手法の場合ゼロでない値をとるため、有効に活用できる。また、ノイズの影響等で、極値点が定まりにくい場合は、いわゆる所定幅で移動平均処理(スムージング)を施した後に、極値点を検出しても構わない。
【0067】
また、図10(A)中に破線で示されるピース信号の最大値及び最小値が特徴量として抽出可能である。前述した極値点での特徴量と異なり、ピース信号の単に波形最大値と最小値を抽出しピース信号の特徴量とすることができる。信号波形はピース信号毎に異なる形状になっていることが想定されるため、極値点に依存しない本特徴量を抽出する。さらに、図10(B)中に破線で示されるピース信号の波形中心と、相互に隣接するピース信号の波形間の中間点が抽出可能であり、それらの点の位置と対応する信号強度とを、特徴量として求めることができる。ここで、ピース信号の波形中心はすでに算出されていることが必要となるが、ピース信号の波形中心を求める既存の手法として、ピース信号部の信号波形を抽出し、信号波形の左右を反転させた信号波形を作り、元の信号に対して位置をずらして波形の相関をみる(いわゆる畳み込み処理)ことで、その最も相関が高い位置を中心位置とする手法を用いることができる。また、アライメントマーク中心に関しても、同様にして算出した各ピース信号の波形中心座標を平均処理することで求めることが可能である。
【0068】
前述した、変曲点位置及び/又は極値位置などを含め、特徴量の位置情報は、各ピース信号の波形中心点、及び/又はアライメントマークの中心点を原点として相対座標(例えば各ピース信号毎に、各ピースの波形中心を原点としたり、アライメントマーク中心点を原点とした座標)にて管理することが可能である。抽出された特徴点及び対応する特徴量は、解析条件及びアライメントマーク(を構成するマークライン)と対応付けて、記憶装置(不図示)に記録される。
【0069】
なお、抽出された特徴点(及び特徴量)は、対応するアライメントマーク毎にグループ化して管理される。グループ内では、例えば図11(A)に示されるように、位置(配置)に応じて特徴点にラベルが付される。この例では、m個の特徴点に、1からmまでの数字がラベルとして付されている。ただし、アライメントマークの構造差に起因する信号波形の形状差及び変形、又は検出誤差等により、特徴点が現れる位置が本来の位置からずれる、あるいは期待する特徴点が検出できないこともある。例えば図11(B)に、複数のアライメントマークによるk個の信号波形によりm個のグループを構成した例が示されている。この図11(B)では、検出信号のうち、2番目の検出信号に属するp−2番目の特徴点と、k番目の検出信号に属するp+1番目の特徴点が検出されていない状態が示されている。
【0070】
この様なグループ化を行なう手法を図11(B)で説明する。主制御装置28は、前述したように複数のアライメントマークのそれぞれの波形に対応するマーク中心位置を記憶しており、各特徴点はマーク中心を原点として相対位置座標で管理することができる。従って、各波形による特徴点の中心位置(マーク中心)を合わせて、各波形に含まれる特徴点の位置を相互に比較することができる。ここで、対応する特徴点の位置は、所定幅の比較範囲内で比較される。すなわち、位置が比較範囲内であり、傾き(微分値)の符号が同じとなり、さらに複数候補が含まれた場合には最も位置が近いことを確認し、対応する特徴点であると判断される。なお、対応する特徴点が確認できなかった場合、その特徴点が含まれるグループ内の他の特徴点のラベルが振りなおされる。
【0071】
また、主制御装置28は、図11(C)に示されるように、評価対象の特徴点のグループと、マーク中心を基準に位置を反転したその特徴点のグループとを、それらのマーク中心の位置を合わせて相互に比較しても良い。ここでは、対応する特徴点、例えば特徴点p−2(図11(C)中の上側)と反転された特徴点p+1(図11(C)中の下側)との位置が、比較範囲内で比較される。すなわち、位置が比較範囲内であり、傾き(微分値)の符号が同じとなり、さらに複数候補が含まれた場合には最も位置が近いことを確認し、対応する特徴点であると判断される。これにより、グループ内の特徴点の中から反転対応する特徴点が抽出される。かかる特徴点の抽出処理は、例えば後述するアライメントマークの反転対称性を評価する場合などに好適である。
【0072】
また、主制御装置28は、図11(D)に示されるように、デフォーカス時(フォーカス位置変更時)の信号波形に対応するマーク中心位置を合わせて、同じラベルが付された特徴点の位置を相互に比較範囲内で比較しても良い。これにより、フォーカスに対して特徴点の位置を変更した場合にも見落とすことなく、対応する特徴点を抽出することができる。かかる特徴点の抽出処理は、例えば後述する特徴量のフォーカス依存性を評価する場合などに好適である。
【0073】
図7に戻り、ステップ310では、ステップ308で得られた特徴量を用いて各種判定量を求める。ここで判定量は、大略、検出信号の信号波形の形状、変形、及び対称性に関する判定量に分類される。
【0074】
主制御装置28は、形状に関する判定量として、図12に示されるように、ピース信号内の検出信号の最大及び最小強度より振幅(=最大強度−最小強度)及びコントラスト(=(最大強度−最小強度)/(最大強度+最小強度))、並びに変曲点での検出信号の傾きの最大より最大エッジスロープ(単にエッジスロープと呼ぶ)を求める。
【0075】
また、主制御装置28は、変形に関する判定量として、図13(A)に示されるように変曲点の位置のシフトより線幅誤差、図13(B)に示されるように変曲点での傾きの変化より段差誤差、図13(C)に示されるように隣接する2つのピースの中間点での強度変化より反射率トップ誤差、図13(D)に示されるように最小点での強度変化より反射率ボトム誤差を求める。
【0076】
また、主制御装置28は、対称性に関する判定量として、図14(A)に示されるように、検出信号(実線)とマーク中心を基準に反転したその検出信号の信号波形(破線)との間の変曲点の位置のずれ、その変曲点の位置での信号強度の差、及び傾きの差を求める。これらの判定量を、エッジ対称性とも呼ぶ。また、主制御装置28は、極値点の位置のずれ及びその極値点の位置での信号強度の差を求める。これらの判定量を、波形対称性とも呼ぶ。また、主制御装置28は、図14(B)内に白抜き丸で示される極値点及び黒塗り丸を用いて示される変曲点のように、検出信号の波形(実線)と反転信号の波形(破線)との間で対応する特徴点が見出せない場合、対称性の崩れが発生したものと判断する。
【0077】
図7に戻り、次のステップ312では、ステップ310において求めた各種判定量を用いて、アライメントマークの検出結果を評価する。例えば、前述の形状、変形、及び対称性に関する判定量を、それぞれ用いて、計測再現性、アライメント検出系に由来する検出誤差(TIS:Tool Induced Shift)(特に収差に由来する誤差)、及びウエハに由来する検出誤差(WIS:Wafer Induced Shift)が評価される。ここで、アライメント検出系に由来する検出誤差TISに関し、2種類の分類を説明する。一般に、半導体等を製造する製造プロセスにより、計測するマークの構造(マーク線幅、段差、反射率等)は変わる(ここで段差はマークを構成する物質がライン部とスペース部で異なり、光の光路長が異なることにより発生する位相差成分も含めている)。一般に、アライメント検出系に由来する誤差TISは、検出系の光学系に残存する収差等と、マーク構造の差によって発生する。従って、製造プロセス毎に、EGA計測を行う複数マークの全ての位置がずれるオフセット成分(TISオフセット成分と呼ぶ)が発生することがある。また、1つのウエハ内で、計測するマークの構造(マーク線幅、段差、反射率等)がアライメントマーク毎に変化しているとランダムな誤差成分(TISランダム成分と呼ぶ)が発生することがある。どちらの場合でも、マーク自体には位置ずれを引き起こす要素(例えば非対称性など)はなく、構造が異なることにより信号波形が変形するだけであり、アライメント検出系の光学系に残存収差があることに起因して位置ずれ要因となっている。このような背景から、アライメント検出系に由来する誤差と位置づけられている。TISオフセット成分は、例えば一旦露光を行い、重ね合わせを計測した結果を次の露光時のオフセットとしてフィードバッグすれば低減できるが、TISランダム成分は、EGA計測結果の誤差(すなわち位置計測誤差)となり低減することが難しい。以下、これら計測再現性、TIS、WISの評価について説明する。
【0078】
主制御装置28は、図15に示されるように、形状に関する判定量である振幅、コントラスト、及びエッジスロープを用いて計測再現性を評価する。主制御装置28は、各判定量を、例えば、4段階(A〜D)でランク付けして評価する。図15に示される例では、振幅はランクA、コントラストはランクC、エッジスロープはランクBと評価されている。主制御装置28は、これらの評価を総合して、計測再現性を評価する。評価手法の一例として、各判定量のランクと、与える点数の関係に関して、3種の判定量ランクが決まると1つの点数が対応するような参照可能な関係となるデータベースを持つ方法がある。図15では、ランクA、B,C,及びDに対して予め用意したデータベースを参照し、総合点(スコア)600と評価されている。
【0079】
各判定量のランク付け(評価)は、例えば図16(A)に示される各判定量と計測再現性との相関に基づいて、適切な総合点が決められるように定められる。ここで、相関は、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。光学ティーチングシミュレーションとは、想定した多種多様な構造を持つアライメントマークの光学像を、各種光学設定条件(照明条件及び/又は結像条件)、フォーカス設定条件で発生させ、A/D変換により撮像素子で計測された信号波形を擬似的に得たうえ、所定の電気ノイズを付加し、さらに実際の装置と同様の信号処理にて擬似的に各種特徴量及び/又は判定量を算出し評価する処理を意味する。光学ティーチングシミュレーションの結果を整理することで、点数を参照するためのデータベースを作成することが出来る。高い計測再現性から低い計測再現性を与える判定量の範囲が、順に、ランクA〜Dに分類される。判定量は、その値が位置する範囲に対応するランクを用いて評価される。
【0080】
なお、図16(A)から明らかなように、判定量によって、計測再現性に対する相関が大きく異なる。例えば、コントラストは、計測再現性に対する相関は弱く、振幅及びエッジスロープのそれぞれは、計測再現性に対する相関が強い。そこで、各判定量の計測再現性に対する相関の程度を考慮して、計測再現性を総合評価すると良い。前述した光学ティーチングシミュレーションでは、このような点を考慮し、最終的なデータベースを作成している。
【0081】
また、検出信号に含まれるノイズの主要成分に応じて新しい判定量を定義することも可能である。例えば、アライメント検出系内の撮像素子によるショットノイズ成分(受光光量に応じて増加する電気ノイズ)が支配的である場合、図16(A)に示されるように、振幅及びコントラストとエッジスロープの積の平方根のそれぞれと計測再現性の逆数との相関が強くなる。そこで、例えばコントラストとエッジスロープの積の平方根の逆数σsを新しい判定量として採用することができる。さらに、ブラックレベルノイズ成分(いわゆるホワイトノイズであり、常に発生する電気ノイズ成分)も無視できない場合は、図16(B)に示されるように、エッジスロープと計測再現性の逆数との関係も無視できなくなる。そこで、エッジスロープの逆数σbとσsとの自乗和の平方根σ(=√(α2・σs2+β2・σb2))を新しい判定量として用いることができる。ただし、αとβ(α2+β2=1)は重み係数であり、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。これらの判定量を使えば、光学ティーチングシミュレーションの結果からは、かなり正確に計測再現性を予想可能と考えられる。
【0082】
光学ティーチングシミュレーションの結果は、正確であることが望ましいが、現実的には、実際のアライメント検出系を用いて、評価用のアライメントマークの計測を行い、計測再現性を評価し、前述した参照用データベースそのもの、及び/又は判定量に関しても修正を行い、計測再現性の得点の値そのもの及びその誤差を確認することが望ましい。
【0083】
また、主制御装置28は、TISに強く相関する判定量を用いてTISを評価する。ここで、評価対象は主に低減が難しいTISランダム成分が主な対象となる。前述したように、TISランダム成分は検出系内の光学系に残存する収差等と、EGAの計測対象となるアライメントマークの構造誤差成分(検出信号波形の形状誤差となる)の相互作用で発生する。マーク構造(マーク構造に誤差がある場合は、ウエハ内のEGA対象マーク全体の平均状態)自体がTISランダム成分を発生させ易いか否かという指標と、実際にマーク構造の誤差がどの程度あるかの2点に着目して処理することになる。理由としては、TISランダム成分を発生しやすいマーク構造であっても、マーク構造の誤差がウエハ内で十分に小さければTISランダム成分が小さくなるためである。ここで、ウエハ内で平均的なマーク構造自体がTISランダム成分を発生させやすいどうかを表す判定量として、図17(A)に示されるアライメントマークの設計条件(例えば線幅とピッチ)、全アライメントマークの検出信号についてのコントラストの平均(平均コントラスト)及び検出信号の反射率比の平均(平均反射率比)が用いられる。また、個々のアライメントマークのマーク構造誤差を表す判定量として、図17(B)に示される変形に関する判定量である線幅誤差、段差誤差、及び反射率比のそれぞれの分散(ばらつき)が用いられる。ただし、反射率比≡(反射率トップ誤差−反射率ボトム誤差)/MAX(反射率トップ誤差,反射率ボトム誤差)である。段差誤差のばらつきは、その平均に対する比として与えられる。
【0084】
主制御装置28は、各判定量を、例えば、4段階(A〜D)でランク付けして評価する。図17(A)では、TISランダム成分の発生し易さを表す判定量において、設計条件はランクA、平均コントラストはランクB、平均反射率比はランクBと評価されている。また、図17(B)では、マーク構造誤差を表す判定量において、線幅誤差の分散はランクA、段差誤差の分散はランクB、及び反射率比の分散はランクBと評価されている。主制御装置28は、これらの評価を総合して、TISを評価する。
【0085】
一例として、ここで、設計条件、平均コントラスト、平均反射率比のランクA、B,C,及びDに対して、まず対応する基準得点を与える。各判定量のランクと、与える点数の関係に関しては、4種の判定量ランクが決まると1つの点数が対応する参照可能な関係となっており、予め光学ティーチングシミュレーション等により、各判定量とTISランダム成分発生の発生し易さを解析しておき、各判定量のランクが決まれば、もれなく規定の点数を参照可能なような参照データベースを持ち、参照することで行なわれる。TIS評価に対する光学ティーチングシミュレーションは、アライメント検出系の光学系に残存している収差を設定した状態で、各種光学設定条件(照明条件及び/又は結像条件)、フォーカス設定条件を設定し、多種多様な構造を持つアライメントマークの光学像を発生させ、A/D変換により撮像素子で計測された信号波形を擬似的に得たうえ、さらに実際の装置と同様の信号処理にて擬似的に各種特徴量及び/又は判定量を算出し評価する処理を意味する。このような、光学ティーチングシミュレーションの結果を整理することで、点数を参照するためのデータベースを作成することが出来る。線幅誤差、段差誤差、及び反射率比の分散のランクA、B,C,及びDに関しては、前述したように、それぞれの誤差が増えるとTISランダム成分が増大する。従って、同様に、予め光学ティーチングシミュレーション等により、各誤差量とTISランダム成分発生量を解析しておき、各判定量のランクが決まれば、もれなく規定の各誤差に対応した重みを、参照可能なような参照データベースを持つことで行なわれる。そして、これらの重みを加味し、「最終得点=(線幅誤差比×線幅誤差重み+段差誤差比×段差誤差重み+反射率誤差比×反射率誤差重み)×基準得点」として最終得点が得られる。ここに示す例は、上記のように事前解析を併用した一例であるが、図17(C)に示されるように、例えば、TISは総合点(スコア)500と評価される。
【0086】
なお、各判定量のランク付け(評価)は、各判定量とTISとの相関に基づいて行われる。ここで、相関は、やはり予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。例えば、図18に示されるように、(平均)コントラストとTISランダム成分には強い負の相関があることが分かる。そこで、小さいTISランダム成分から大きなTISランダム成分を与えるコントラストの範囲が、順に、ランクA〜Dに分類される。また、図18に示される(平均)反射率比とランダム誤差の関係を用いて、小さいTISランダム成分から大きなTISランダム成分を与える反射率比の範囲が、順に、ランクA〜Dに分類される。その他の判定量も、同様に、ランクA〜Dに分類される。各判定量は、その値が位置する範囲に対応するランクを用いて評価される。また、これらのランク付けは、前述した、基準得点あるいは重みを参照するためのデータベースに対しても十分都合が良いように設定しておくことが望ましい。
【0087】
なお、TIS評価に関し、光学ティーチングシミュレーションの結果からは、かなり正確にTISランダム誤差の大小を予想可能と考えられる。しかし、光学ティーチングシミュレーションの結果は、十分に正確であることが望ましいが、現実的には、実際のアライメント検出系を用いて、評価用のアライメントマークの計測を行い、評価し、前述した参照用データベース、及び/又は各判定量に関して修正を行い、評価精度を上げていくことが望ましい。その場合でも、元になる手法はほぼ同様であり、修正により精度を上げることが可能となる。
【0088】
また、主制御装置28は、図19に示されるように、対称性に関する判定量であるエッジ対称性、波形対称性、及び対称性の崩れを用いてWISを評価する。主制御装置28は、各判定量を、例えば、4段階(A〜D)でランク評価する。図19に示される例では、エッジ対称性はランクA、波形対称性はランクA、対称性の崩れはランクBと評価されている。主制御装置28は、これらの評価を総合して、WISを評価する。図19の例では、エッジ対称性、波形対称性及び対称性の崩れのそれぞれについて、ランクA、B,C,及びDに、やはりTISの場合と同様に、予め得点をデータベースで参照可能としておくことで、一例として例えば、総合点(スコア)800と評価されている。なお、WISの各判定量のランク付け(評価)は、前述の計測再現性及びTISと同様に、各判定量とWISとの相関に基づいて行われる。WIS評価に対する参照データベースは、実際の半導体等を製造する際に発生しているアライメントマーク像のWISを評価し、多数の評価結果を元に作成しても良いが、TIS評価同様に、光学ティーチングシミュレーションで作成しても良い。
【0089】
その他、特徴量及び判定量のフォーカス依存性を評価することとしても良い。例えば、信号波形の変曲点の位置とその変曲点での信号強度及び傾き、極値点の位置とその極値点での強度、さらに形状に関する判定量である振幅とコントラストのそれぞれのフォーカス依存性を求める。さらには、マーク中心の位置のフォーカス依存性を求める。求められた依存性を、位置に応じてグループ化されたアライメントマークのグループ毎に評価する。このようにすると、プロセスマーク(実際のデバイス製造に用いられるウエハ上のアライメントマーク)のフォーカスずれに対する位置ずれ成分(テレセン度)及びアライメントマーク間の差等を評価することができる。
【0090】
また、その他、特徴量及び判定量に基づいてアライメントマークの形成状態を評価することとしても良い。上記で求められたコントラストのフォーカス依存性より、最大及び最小コントラスト、該最大及び最小コントラストを与えるフォーカス位置を抽出する。同様にエッジスロープ及び/又は振幅を評価しても良い。この抽出結果、さらには対称性の崩れた検出信号の数等を合わせて評価する。これにより、ウエハ上に形成されたアライメントマークの構造の傾向を、検出信号を直接観察することなく把握することができる。
【0091】
図7に戻り、ステップ314では、上記ステップ312において得られた評価(の結果)に基づいて、検出信号の最適な解析条件を決定する。例えば、最良の計測再現性を与える検出結果に対応する解析条件から、フィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。決定された組み合わせのフィルタ処理を、計測再現性向上フィルタ処理と呼ぶ。同様に、最小のTISを与える検出結果に対応する解析条件より、フィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。決定された組み合わせのフィルタ処理を、TIS低減フィルタ処理と呼ぶ。同様に、最小のWISを与える検出結果に対応する解析条件より、フィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。決定された組み合わせのフィルタ処理を、WIS低減フィルタ処理と呼ぶ。さらに、同様に、最良のテレセントリック性、アライメントマークの形成状態を与えるフィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。
【0092】
次のステップ316では、ステップ314における最適化結果、すなわち、光学ティーチングの結果をモニタ(不図示)に表示した後、検出信号の解析条件の最適化処理のサブルーチンの処理を終了する。主制御装置28は、図20に示されるように、照明条件及び結像条件毎に振幅、コントラスト等の判定量を表示する。ただし、判定量の値に限らず、それに基づくランク等の形で表示することとしても良い。また、主制御装置28は、図21に示されるように、照明条件及び結像条件毎に、最適化されたフィルタ処理を用いた場合の評価量を表示する。例えば、計測再現性向上フィルタ処理を用いて検出信号をフィルタ処理した場合の計測再現性が、照明条件及び結像条件毎に表示される。同様に、それぞれTIS低減フィルタ処理及びWIS低減フィルタ処理を用いて検出信号をフィルタ処理した場合のTIS及びWISが、照明条件及び結像条件毎に表示される。主制御装置28は、さらにその他の評価量をも表示することとしても良い。評価量は、前述の評点に限らず、それに基づくランク等の形で表示することとしても良い。ここで、判定量の値又はランクに基づいて推奨される条件を強調して表示すると良い。これにより、オペレータ(又は技術者)等は、デバイス製造に最適又は好適な照明条件及び結像条件を選択することができる。なお、主制御装置28は、モニタに表示する光学ティーチングの結果の情報を、照明条件及び結像条件と関連づけて、記憶装置に記憶する。
【0093】
検出信号の解析条件の最適化処理のサブルーチンの処理を終了すると、メインルーチンのステップ112に戻り、最適な照明条件及び結像条件が決定されるのを待つ。そして、オペレータが、モニタ上の表示を見てキーボード、マウス、等のポインティングデバイスを介して最適な照明条件及び結像条件を選択し、あるいは決定してその入力がなされると、ステップ112における判断が肯定され、ステップ114に移行する。
【0094】
ステップ114では、上記の選択(又は決定)された最適な照明条件及び結像条件及びこれに対応するその他のマーク検出条件、すなわち最適化条件を用いてアライメント計測(EGA計測)のレシピファイルを作成する。レシピファイルの作成は、予め、最適化の対象である条件の数値等を空白としたレシピファイルを用意しておき、この空白に決定された最適条件を当てはめることで容易に行うことができる。これにより、実際のウエハの露光処理の際には、主制御装置28が、作成されたレシピファイルを読み出し、その内容に従ってウエハのファインアライメントを行うことが可能になる。
【0095】
なお、上記ステップ112のオペレータの処理に代えて、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択することとしても良い。この場合、主制御装置28は、重ね精度が最良となるように、最良の計測再現性、TIS、WIS等の評価量を与える照明条件及び結像条件が選択される。そして、ステップ114では、選択した最適化条件を用いてアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)を作成する。これにより、ほぼ全自動で、EGAマークに応じた最適計測条件を含むEGA計測のレシピファイルを作成することが可能になる。
【0096】
なお、これまでは、説明が必要以上に煩雑になるのを避けるため、EGA計測のレシピファイルの作成について説明したが、サーチアライメント計測のレシピファイルの作成も上記のEGA計測のレシピファイルの作成と同様にして行うことができる。この場合、アライメント検出系ASの照明波長の設定又は変更(ステップ202)、及び照明方法及び結像条件の設定又は変更(ステップ204)での処理の内容は、幾分相違するとともに、検出対象がEGAマークの代わりにサーチマークになる。しかし、かかる相違点を除けば、前述のステップ102〜114、ステップ202〜214、ステップ302〜316とほぼ同じ処理アルゴリズムに従ってサーチアライメント計測のレシピファイルを作成することができる。
【0097】
また、上記と同様の評価に加え、サーチマークに対して計測(検出)安定性を評価することとしても良い。ここで、サーチマークの計測安定性は、振幅がノイズに対して小さい場合、WIS(特に波形対称性)が振幅に対して無視できない程度である場合、対称性の崩れの程度が大きい場合等に、低くなる。そこで、前述の形状に関する判定量を用いて、例えば、S/N比、振幅に対するTIS及びWISの比を求める。それらの結果と対称性に関する判定量を総合評価して、前述の計測再現性等と同様に、計測安定性を評価する。なお、各判定量の評価は、各判定量と計測安定性との相関に基づいて定められる。相関は、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。この場合、最良の計測安定性を与えるフィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定されることとなる。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置28により、アライメント検出系ASを用いてウエハW上に形成されたアライメントマーク(EGAマーク又はサーチマーク)が複数の照明条件及び結像条件で検出され、得られる検出信号が複数のフィルタ処理を用いて解析され(ステップ302〜306)、その解析結果に基づいて複数のフィルタ処理の処理条件を含む複数の照明条件及び結像条件以外の検出条件が最適化される(ステップ308〜314)。従って、複数の照明条件及び結像条件のうち、最適な照明条件及び結像条件を選択するだけで結果としてマークの検出条件をトータル的に最適化することが可能になる。従って、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。ここで、なお、上記ステップ112のオペレータの処理に代えて、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択する場合には、最適な照明条件及び結像条件の選択も不要である。
【0099】
また、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置28が、最適化された検出条件を、アライメント計測の処理手順を規定するプロセスプログラム(レシピファイル)中の対応する条件として決定することで、アライメント計測のレシピファイルが作成される。ウエハの処理の際には、主制御装置28が、作成されたレシピファイルを読み出し、このレシピファイルに基づいて、ウエハのサーチアライメントを確実かつ正確に行うこと、またウエハのファインアライメント(EGA)を精度良く行うことが可能となる。
【0100】
また、本実施形態の露光装置100では、上述のようにウエハのファインアライメントを精度良く行うことができるので、このファインアライメントの結果に基づいて露光の際の際にレチクルRのパターンをウエハW上の各ショット領域に精度良く重ね合わせて転写することが可能になる。
【0101】
なお、上記実施形態で、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択する場合に、「重ね合わせ精度優先」と「スループット優先」との2つのモードのいずれかに従って最良条件を選択することとしても良い。通常は前述と同様に重ね精度が最良となるように、最良の計測再現性、TIS、WIS等の評価量を与える照明条件及び結像条件を選択する重ね合わせ精度優先モードが選択される。
【0102】
一方、最適化処理の時間を短縮したい場合、スループット優先モードに変更される。このモードでは、より最適な照明条件及び結像条件があったとしても、予め定められた標準条件に対してのみ検出条件の最適化が行われる。例えば、照明波長に対し、使用頻度の高いブロードを標準条件とする。あるいは、優先度の高い照明条件及び結像条件に対してのみ、検出条件の最適化が行われる。例えば、使用頻度の高いブロードを最優先、次に計測再現性の改善が期待されるグリーン、オレンジ、及びレッド、最後に特殊な状況で主に使用されるシアン及び近赤外の順に優先順位が付けられる。また、照明方法及び結像条件に対し、使用頻度の高い明視野照明で最良フォーカス位置を最優先、次に大きな段差を有するマークの検出に好適な明視野照明で最適フォーカス位置、最後にTISの発生が抑制される暗視野照明で最良フォーカス位置の順に優先順位が付けられる。あるいは、明視野照明におけるTISが小さく暗視野照明における計測再現性が高い場合、明視野照明で最良フォーカス位置を優先する。また、明視野照明におけるTISが小さく暗視野照明における計測再現性が低い場合には、明視野照明で最適フォーカス位置を優先する。明視野照明におけるTISが大きく暗視野照明における計測再現性が高い場合、暗視野照明で最良フォーカス位置を優先する。明視野照明におけるTISが大きく暗視野照明における計測再現性が低い場合、オペレータ(又は技術者)に判断を委ねることとする。
【0103】
また、上記実施形態では、レシピファイルを作成する際に、本発明に係る検出条件最適化方法の一例が実施される場合について説明したが、これに限らず、実際のウエハの処理の際に、パイロットウエハ又はロット先頭ウエハなどを用いて、上記のステップ114を除く処理、すなわちアライメントマークの検出条件の最適化処理を行うこととしても良い。この場合にも、EGAマーク(及びサーチマーク)の検出条件が最適化され、その最適化された条件に従うことで、ウエハのファインアライメント(EGA)(及びサーチアライメント)を精度良く行うことが可能となる。
【0104】
なお、上記実施形態では、単独のアライメント検出系ASを備える露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される複数のアライメント検出系を備えた露光装置にも本発明は好適に適用できる。この場合、複数のアライメント検出系のそれぞれが収差等、異なる光学特性を有するため、それぞれの検出系について検出条件の最適化を行う必要がある。ただし、この手続を簡略化するために、複数のアライメント検出系のうちの1つ(プライマリアライメント系と呼ぶ)についてのみ検出条件の最適化を行う。そして、複数のアライメント検出系のそれぞれを用いて同じアライメントマークを検出し、その結果からプライマリアライメント系を基準とするその他のアライメント系についてのTISの差分を求める。この差分を用いてその他のアライメント系の検出結果を補正することにより、プライマリアライメント系に対して得られた最適な検出条件を共用することができる。
【0105】
なお、上記実施形態では、アライメント計測のレシピファイルを露光装置が作成し、その際に、検出条件を最適化する場合について説明したが、これに限らず、本発明の検出条件最適化方法及びプログラム作成方法を、露光装置以外の画像処理方式のアライメントセンサを備えた装置、例えば重ね合わせ測定機などで行うようにすることで、それらの装置でアライメント計測のレシピファイルを作成することも可能である。
【0106】
また、上記実施形態では、説明の簡略化のため、主制御装置28が、検出条件の最適化を含むアライメント計測に関する処理、レシピファイルの作成などを全て行うものとしたが、例えば主制御装置28が行う各種処理を、複数のハードウェアで分担して行うようにしても良い。例えば、前述の図2のフローチャートで示される各ステップの処理を、複数のマイクロコンピュータで適宜分担して行うようにしても良い。
【0107】
なお、上記実施形態では、光源として、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)などの紫外光源、ArFエキシマレーザ等の真空紫外域のパルスレーザ光源などを用いるものとしたが、これに限らず、水銀ランプは勿論、F2レーザ、あるいはAr2レーザ(出力波長126nm)などの他の真空紫外光源を用いても良い。また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0108】
更に、照明光ILとしてEUV光、X線、あるいは電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置、投影光学系を用いない、例えばプロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、及び例えば米国特許出願公開第2005/0259234号明細書などに開示される、投影光学系とウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。
【0109】
また、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターンを形成した光反射型マスクを用いたが、それらに限定されるものではない。例えば、そのようなマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(光学系の一種とする)を用いるようにしても良い。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されている。なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。
【0110】
また、例えば、2光束干渉露光と呼ばれているような、複数の光束の干渉によって生じる干渉縞を基板に露光するような露光装置にも適用することができる。そのような露光方法及び露光装置は、例えば、国際公開第01/035168号に開示されている。
【0111】
なお、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも本発明は好適に適用できる。
【0112】
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0113】
なお、これまでは、基板上にパターンを形成する露光装置について説明したが、スキャン動作により、基板上にパターンを形成する方法は、露光装置に限らず、例えば米国特許第6,973,710号明細書などに開示されるインクジェットヘッド群と同様のインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置を用いても実現可能である。
【0114】
上記米国特許明細書に開示されるインクジェットヘッド群は、所定の機能性液体(金属含有液体、感光材料など)をノズル(吐出口)から吐出して基板(例えばPET、ガラス、シリコン、紙など)に付与するインクジェットヘッドを複数有している。このインクジェットヘッド群のような機能性液体付与装置を用意して、パターンの生成に用いることとすれば良い。この機能性液体付与装置を備えた素子製造装置では、基板を固定して、機能性液体付与装置を走査方向にスキャンしても良いし、基板と機能性液体付与装置とを相互に逆向きに走査しても良い。
【0115】
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。従って、その半導体デバイスを生産性良く製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上説明したように、本発明の検出条件最適化方法は、アライメントマークの検出条件を最適化するのに適している。また、本発明のプログラム作成方法は、アライメント計測のレシピを作成するのに適している。また、本発明の露光装置は、基板上にパターンを重ね形成するのに適している。
【符号の説明】
【0117】
16…アライメント制御装置、28…主制御装置、100…露光装置、Sn…ショット領域、32…ファインアライメントマーク、33…サーチアライメントマーク、AS…アライメント検出系、W…ウエハ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出条件最適化方法、プログラム作成方法、及び露光装置に係り、さらに詳しくは、基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法、該検出条件最適化方法を利用するプログラム作成方法、及び前記検出条件最適化方法の実施に好適な露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子、液晶表示素子等のマイクロデバイス(電子デバイスなど)の製造におけるリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが比較的多く用いられている。
【0003】
この種の投影露光装置において重ね合わせ露光を行う際には、被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)上の各ショット領域に既に形成されている回路パターンと、これから露光するマスクとしてのレチクルのパターンとの位置合わせであるウエハのファインアライメントを高精度に行う必要がある。従来の高精度なファインアライメントの方式として、例えば特許文献1に開示されるように、ウエハ上の選択された所定個数のショット領域(サンプルショット)に付設されたファインアライメントマーク(ウエハマーク)の座標位置を計測し、得られる計測結果を統計処理して各ショット領域の配列座標を算出するエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)方式が知られている。
【0004】
EGA方式のファインアライメントを行う際には、アライメントセンサの検出レンジ内に被検マークが確実に収まるように、予めサーチアライメントが行われる。すなわち、ウエハ上に形成されている所定のサーチアライメント・マーク(サーチマーク)の位置を検出することによって、ウエハの大まかなショット配列が求められ、このショット配列に基づいて各サンプルショットのウエハマークがアライメントセンサの検出レンジ内に位置決めされていた。
【0005】
上述のファインアライメントでは、ウエハマーク(EGAマーク)の位置情報を正確に計測することが重要である。また、サーチアライメントでは、サーチマークを確実に検出することが重要である。マーク構造は、投影露光装置で作成中の半導体等に依存しており、マークの構造次第で、大きな信号波形が得られて検出が容易な場合、あるいは逆に小さな信号波形しか得られず検出が困難な場合もある。また、特にファインアライメントの際には、信号波形の検出は可能であっても、信号波形が小さいため、処理系のノイズの影響を受け、計測再現性(位置計測精度)が不十分となる場合もある。特に、そのような困難な状況の場合、被検マーク(EGAマーク又はサーチマーク)を検出するマーク検出系(ウエハアライメント系(アライメントセンサ))のマーク検出時の検出条件(計測条件)を、最適化すると効果的である。従来、最適化の際には、ウエハアライメント(サーチアライメント又はファインアライメント)の処理手順を規定するプロセスプログラム(以下、レシピファイルとも呼ぶ)の作成の際に、技術者によって、計測条件の最適化が行われていた。
【0006】
しかしながら、最近の露光装置では要求されるアライメント精度が厳しくなり、これに伴ってアライメントマークの種類、大きさなどが多様化し、また、サーチマークが従来に比べて小型になってきた。このため、プロセスプログラムの作成時に技術者が計測条件の最適化を行うことの負担が大きくなり、また、計測条件の最適化そのものを行うことも困難になりつつある。また、複数の投影露光装置を用いて半導体等を製造する場合、複数の投影露光装置間の重ね合わせ精度の差が少ないことも重要である。この点でも、計測条件の最適化を行い、誤差要因を減らすことが重要となりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,780,617号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法であって、基板上に形成された複数の前記マークを、マーク検出系を用いて複数の照明条件及び結像条件の下で検出することと;前記マーク検出系からの検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記照明条件及び結像条件以外の前記検出条件を最適化することと;を含む検出条件最適化方法が提供される。
【0009】
ここで、フィルタ処理とは、いわゆるデジタル信号処理により、信号波形の周波数成分(光学像の場合は空間周波数と呼ばれるが信号波形処理自体は同様である)の帯域を制限し、周波数特性を変更する処理を表すものとする。例えば、低域通過フィルタという場合、フィルタ適用後の信号波形の周波数成分は低い周波数のものだけとなり、高い周波数成分は削除されることを表す。
【0010】
一般に撮像素子(一般に言うCCD等の2次元画像を得られるセンサ)は、2次元に整列した多数の画素を持ち、光学系により結像されたアライメントマーク像を、所定の画素ピッチでサンプリングし、2次元画像信号を得ることができる。このようにして得られた画像の強度分布を処理し、光学的なアライメントマーク像の強度分布が得られ、さらに前記フィルタ処理を行い周波数特性を変更する処理を適用することができる。
【0011】
また、マークの検出条件は、マーク検出時におけるマーク検出系の照明条件(例えば照明波長、照明方法、照明開口数など)及び結像条件(フォーカス、結像開口数、収差など)は、勿論、マーク検出後における検出した結果の処理に伴う種々の条件をも含む。すなわち、マークの検出条件とは、位置合わせ用のマークの検出の結果(位置情報)を得るまでのマーク検出に関する種々の条件を含む概念であり、広義のマークの計測条件とほぼ同じ意味である。本明細書では、かかる意味で、マークの検出条件又は検出条件なる用語を用いている。
【0012】
これによれば、複数のフィルタ処理の処理条件を含む照明条件及び結像条件以外のマークの検出条件が最適化されるので、最適な照明条件及び結像条件を選択(又は決定)するだけで、結果としてマークの検出条件をトータル的に最適化することが可能になる。従って、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。
【0013】
また、本発明の第2の態様によれば、本発明の検出条件最適化方法を利用して前記複数のマークの検出信号の検出条件を最適化して、前記基板の位置合わせ手順を定めるプログラムを作成するプログラム作成方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第3の態様によれば、基板上に複数のパターンを重ね合わせて形成する露光装置であって、基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件又は複数の結像条件で検出して得られる検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記複数の照明条件又は前記複数の結像条件以外の前記マークの検出条件を最適化する最適化装置と;を備える露光装置が提供される。
【0015】
これによれば、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の主制御装置によって実行されるアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)の作成の処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】図3(A)は、ウエハ上の複数のショット領域と各ショット領域に付設されるアライメントマークの配置を示す図、図3(B)は図3(A)中の1つのショット領域を取り出して示す図である。
【図4】図2のステップ108(アライメントマーク検出処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5(A)はEGAマーク、図5(B)はEGAマークのX成分に対応する1次元信号、図5(C)はEGAマークのY成分に対応する1次元信号を示す図である。
【図6】検出信号の規格化を説明するための図である。
【図7】図2のステップ110(検出信号の解析条件の最適化処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図8(A)及び図8(B)は解析処理で用いられる代表的なフィルタ処理の利得関数を表す図、並びに図8(C)及び図8(D)はそれぞれフィルタ処理の前後の検出信号を示す図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、検出信号の特徴量を示す図(その1及びその2)である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、検出信号の特徴量を示す図(その3及びその4)である。
【図11】図11(A)〜図11(D)は、特徴点のグループ処理を説明するための図である。
【図12】形状に関する判定量である振幅、コントラスト及びエッジスロープを説明するための図である。
【図13】図13(A)は変形に関する判定量である線幅誤差、図13(B)は段差誤差、図13(C)は反射率トップ誤差、図13(D)は反射率ボトム誤差を示す図である。
【図14】図14(A)は対称性に関する判定量であるエッジ対称性及び波形対称性を説明するための図、図14(B)は対称性の崩れを説明するための図である。
【図15】形状に関する判定量を総合評価して計測再現性を評価する手順を説明するための図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、形状に関する判定量と計測再現性との相関を示す図(その1及びその2)である。
【図17】図17(A)〜図17(C)は、変形に関する判定量を総合評価してアライメント検出系に由来する検出誤差を評価する手順を説明するための図である。
【図18】変形に関する判定量とTISとの相関を示す図である。
【図19】対称性に関する判定量を総合評価してWISを評価する手順を説明するための図である。
【図20】光学ティーチングの結果(その1)を示す図である。
【図21】光学ティーチングの結果(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図21に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明の検出条件最適化方法を好適に実施可能な露光装置100の概略構成が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))である。
【0019】
露光装置100は、照明系IOP、レチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターンの像を感応剤(レジスト)が塗布されたウエハW上に投影する投影ユニットPU、ウエハWを保持してXY平面内を移動するウエハステージWST、ウエハステージWSTを駆動する駆動系22、及びこれらの制御系等を備えている。制御系は装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などを含む主制御装置28を中心として構成されている。
【0020】
照明系IOPは、例えばArFエキシマレーザ(出力波長193nm)(又はKrFエキシマレーザ(出力波長248nm)など)から成る光源、及び該光源に送光光学系を介して接続された照明光学系を含む。照明光学系としては、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含み、光源から射出されたレーザビームを整形し、この整形されたレーザビーム(以下、照明光ともいう)ILにより、レチクルR上でX軸方向(図1における紙面直交方向)に細長く伸びるスリット状の照明領域をほぼ均一な照度で照明する。
【0021】
レチクルステージRSTは、照明系IOPの図1における下方に配置されている。レチクルステージRST上にレチクルRが載置されている。レチクルRは、不図示のバキュームチャック等を介してレチクルステージRSTに吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルステージ駆動系によって、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面内左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査される。レチクルステージRSTの位置情報は、レチクルステージRSTに固定された移動鏡12を介してレーザ干渉計14によって計測され、レーザ干渉計14の計測値が主制御装置28に供給されている。なお、移動鏡12に代えて、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡12の反射面に相当)を形成しても良い。
【0022】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を含む投影光学系PLとを有している。投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセントリックな縮小系であって、光軸AXpと平行な方向(Z軸方向)に配列された複数枚のレンズエレメント(図示省略)を含む屈折光学系が用いられている。
【0023】
投影光学系PLの投影倍率は、一例として1/4とされている。このため、前述の如く照明光ILによりレチクルRが均一な照度で照明されると、その照明領域内のレチクルRのパターンが投影光学系PLにより縮小されて、レジストが塗布されたウエハW上に投影され、ウエハW上の被露光領域(ショット領域)の一部にパターンの縮小像(部分像)が形成される。このとき、投影光学系PLは視野内の一部(すなわち、露光エリアであって、投影光学系PLに関して照明領域と共役な矩形領域)に上記パターンの縮小像を形成する。
【0024】
ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含む駆動系22によって、X軸方向、Y軸方向に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向、X軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)、及びZ軸回りの回転方向(θz方向)に微小駆動される。ウエハステージWST上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等によって保持されている。
【0025】
ウエハステージWSTの位置情報は、ウエハステージWSTに固定された移動鏡24を介してレーザ干渉計システム(以下、「干渉計システム」と略述する)26によって計測され、干渉計システム26の計測値が主制御装置28に供給されている。主制御装置28は、干渉計システム26の計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(回転情報(ヨーイング量(θz方向の回転量)、ピッチング量(θx方向の回転量)、ローリング量(θy方向の回転量))を含む)を計測する。なお、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡24の反射面に相当)を形成しても良い。また、ウエハステージWSTに代えて、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に移動する第1ステージと、該第1ステージ上でZ軸方向、θx方向及びθy方向に微動する第2ステージとを備えるステージを、用いても良い。
【0026】
干渉計システム26の計測値は主制御装置28に供給され、主制御装置28は干渉計システム26の計測値に基づいて駆動系22を介してウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)を制御する。
【0027】
また、ウエハW表面のZ軸方向の位置及び傾斜量は、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示される送光系50a及び受光系50bを有する斜入射方式の多点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサAFSによって計測される。このフォーカスセンサAFSの計測値も主制御装置28に供給されている。
【0028】
また、ウエハステージWST上には、表面がウエハWの表面と同じ高さになるように基準板FPが固定されている。基準板FPの表面には、後述するアライメント検出系ASのいわゆるベースライン計測等に用いられる基準マークなどが形成されている。
【0029】
投影ユニットPUの鏡筒40の側面に、ウエハWに形成されたアライメントマーク及び上記基準マークを検出するアライメント検出系ASが設けられている。このアライメント検出系ASとしては、一例としてハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測する画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。
【0030】
アライメント検出系ASの検出信号は、アライメント制御装置16に供給され、アライメント制御装置16は、その検出信号をA/D変換し、このデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置を検出する。ここで、アライメント検出系ASには、アライメントマークの光学像を受光する撮像素子が用いられているが、近年、撮像素子の進化は著しく、A/D変換が撮像素子(アライメント検出系AS内)で行なわれ、アライメント制御装置16にはデジタル信号が供給され、アライメント制御装置16では、既にデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置を検出することも多い。この結果は、アライメント制御装置16から主制御装置28に供給される。
【0031】
アライメント検出系ASとして、本実施形態では、少なくとも照明条件及び結像条件の変更(又は切り換え)が可能な検出系が採用されている。照明条件は、波長選択フィルタ(照明波長)、照明開口絞り(照明開口数)、及びNDフィルタ(ニュートラル・デンシティ・フィルタ)の少なくとも1つを切り換えることにより、変更される。照明波長として、例えば、グリーン(例えば波長530〜610nm)、オレンジ(例えば波長600〜710nm)、レッド(例えば波長700〜800nm)、ブロード(例えば波長530〜800nm)、シアン(例えば480〜520nm)、及び近赤外(770〜850nm)の6つの波長帯域が用意されている。
【0032】
照明開口絞りとして、直径の異なる複数の円形絞り(通常絞り、小σ絞り)と、輪帯比の異なる複数の輪帯絞りとが切り換え可能に設けられている。複数の輪帯絞りは、結像光学系の開口数より大きな開口数を有する輪帯絞りを含む。本実施形態では、例えば、その結像光学系の開口数より大きな開口数を有する輪帯絞りを照明光路内に位置させることで、明視野照明から暗視野照明に切り換えることができる。なお、輪帯遮光形状の遮光部を備えた結像開口絞りを結像光路上に挿脱可能に構成し、輪帯絞り(照明絞り)と併用することで、暗視野照明を実現しても良い。
【0033】
また、特にファイン計測時には、照明開口絞りの光軸に対する偏心は、ウエハ上に導光する光束の倒れ(テレセントリシティ性の悪化)を防ぐため、非常に厳密に位置調整される必要があるが、明視野照明時の円形発光部と、暗視野照明時の輪帯発光部との位置ずれ(偏心ずれ)を考慮すると、特開2007−42966号公報に示されるように、円形と輪帯の2重丸構造の絞りとすると共に、ライトガイドファイバーで光を導光し、円形発光部に光を導くファイバー束と、輪帯発光部に光を導くファイバー束を別束として構成し、合成し、各ファイバー束に導光する入射光を切り換える構造としても良い。
【0034】
NDフィルタを有する減光装置として、例えば複数段の回転板を有する装置が用いられる。ここで、各回転板には透過率(減光率)の異なる複数のNDフィルタが設けられている。減光装置は、回転板を回転制御してNDフィルタを切り換えることにより、透過率(減光率)、すなわち照度を設定する。結像条件には、フォーカス(フォーカスオフセット)、結像開口数、収差等が含まれる。これらの条件は、例えば、アライメント検出系ASの光学系を構成する光学素子を微小駆動することにより調整される。なお、照明条件及び結像条件の変更は、主制御装置28の指示に基づき、アライメント制御装置16によって行われる。また、計測精度がファインアライメントに比べ緩いサーチアライメントにおいては、アライメント検出系ASに搭載されるAGC(Auto Gain Control)機能を用いることも可能である。なお、アライメント検出系ASと同様(ただし、波長選択フィルタの数など一部相違する)の構成のアライメントセンサは、例えば米国特許出願公開第2008/0013073号明細書などに開示されている。
【0035】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、例えば米国特許第5,646,413号明細書等に開示される、露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系が設けられ、該レチクルアライメント検出系の検出信号は、アライメント制御装置16を介して主制御装置28に供給される。
【0036】
次に、本実施形態の露光装置100で行われるアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)の作成について説明する。ここでは、主制御装置28(内のCPU)によって実行される処理アルゴリズムを示す図2のフローチャートに沿って、適宜他の図面を参照して説明する。
【0037】
まず、ステップ102において、不図示のウエハローダを用いてウエハステージWST上に搭載された不図示のウエハホルダ上にウエハをロードする。ここでは、実際にデバイスの製造に用いられる、少なくとも1層のレチクルパターンの転写が行われ、レチクルパターンとともに転写されたサーチアライメントマークとファインアライメントマークとが形成されたウエハWがウエハホルダ上にロードされる。図3(A)に示されるように、ウエハW上の各ショット領域Snには、アライメントマークとして、ファインアライメントマーク(EGAマーク)32及びサーチアライメントマーク(サーチマーク)33が形成されている(ファインアライメントマークに関しては、正確には、各ショット領域Snの周囲のスクライブライン上に形成される)。図3(B)に示されるように、EGAマーク32は、それぞれX軸方向、X軸方向、及びY軸方向に所定ピッチで形成された凹凸のライン・アンド・スペースパターン(マルチバーパターン)32X1,32X2,32Yを含む。以下では、これら3つのマルチバーパターン32X1,32X2,32Yを、それぞれ、第1X成分、第2X成分、及びY成分とも呼ぶ。サーチマーク33は、X軸方向に所定ピッチで並ぶマルチパターンとY軸方向に所定ピッチで並ぶマルチパターンとが重ねて形成された格子状のパターンである。なお、通常は、サーチマーク33の方が大きいが、図3(A)及び図3(B)では、各マークの大小関係及び大きさなどは、実際とは異なっている。EGAマーク32及びサーチマーク33の設計パラメータ(形状、数、及び位置等)、及びウエハWの設計パラメータ(ウエハWの大きさ及び区画領域のレイアウト等)は予め定められており、後述する検出条件の最適化処理(レシピファイル作成手順の一部)に先立ってメモリ(不図示)に記憶されているものとする。なお、以下では、区別が必要な場合を除き、EGAマーク及びサーチマークのいずれをもアライメントマークと呼ぶ。
【0038】
次のステップ104では、ウエハホルダ上にロードされたウエハのサーチアライメントを行う。具体的には、例えば、ウエハ中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する2つのサーチマークをアライメント検出系ASを用いて検出する。これらのサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント検出系ASの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ行われる。そして、アライメント検出系ASの検出結果(アライメント検出系ASの計測座標原点と各サーチアライメントマークとの相対位置関係)と各サーチアライメントマーク検出時の干渉計システム26の計測値とに基づいて2つのサーチアライメントマークのステージ座標系上の位置座標を求める。しかる後、2つのサーチアライメントマークの位置座標から、ウエハの中心ずれ、及び残留回転誤差を算出し、少なくとも残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハステージWST(又はウエハホルダ)を微小回転させる。これにより、ウエハのサーチアライメントが終了する。
【0039】
ステップ106では、光量(照度)の最適化を行う。具体的には、所定の基準となる照明条件(例えばコンベンショナル照明で、ブロードの照明帯域(波長帯域)にて、照度(NDフィルタ)を変えつつ、アライメント検出系ASを用いて、初期フォーカス位置(アライメントオートフォーカスの追い込み位置)でEGAの第1サンプルマーク(先頭サンプルショット領域の第1マーク)を検出する。そして、主制御装置28は、得られる撮像信号のコントラストが最適となる照度を見つけることによって、照度、すなわちアライメント検出系ASの検出光の光量を最適化する。
【0040】
次のステップ107では、フォーカス最適化処理(FFO:FIA focus optimization)を行う。前述したように、アライメントマークの構造は、投影露光装置で作成中の半導体等に依存しており、マークの構造次第で、大きな信号波形が得られて検出が容易な場合、あるいは逆に小さな信号波形しか得られず検出が困難な場合もある。アライメントマークを構成する要素として、ライン部及びスペース部の線幅に加え、反射率、段差等の構造が半導体等の製造プロセスにより異なっているために、異なる信号波形となる(ここで段差はマークを構成する物質がライン部とスペース部で異なり、光の光路長が異なることにより発生する位相差成分も含めている)。FIA光学系においては、特に明視野照明系において、照明光束の開口数NAが結像光学系の開口数NAよりも小さく(比率にして0.8程度)設定されているが、一般にこのような光学系の設定は部分コヒーレント光学系と呼ばれ、結像特性として、アライメントマークの構造(前述した3つの要素)次第では、初期フォーカス位置よりも、デフォーカス(フォーカス位置を変更した場合)の方が、より大きな信号波形が得られるという既知の特徴がある。
【0041】
また、詳しくは後述するが、信号波形が大きく、コントラストが大きく、エッジスロープ(波形を形成する曲線の角度成分)が急峻なほど、計測精度が良いという特徴がある。
【0042】
フォーカス最適化は、ウエハステージをZ軸方向に移動させつつ、アライメントマークを検出し、各フォーカス位置でのエッジスロープ最大値(又は、コントラスト最大値)を計測し、フォーカスに対する曲線分布を獲得し、そのピーク位置となるフォーカス位置を検出する既知の処理である。処理の結果得られたフォーカス位置は、最適フォーカス位置として記憶しておく。
【0043】
同様にして、暗視野照明においても、FFO計測処理を行う。暗視野照明では、原理的には初期フォーカス位置と、最適化にて検出されたフォーカス位置の差はないが、アライメントマーク構造次第では、マーク部分が必ずしもウエハ表面と一致しているとは限らないため、実施する。ただし、予め誤差が少ないと判明している場合は、実施しなくても良い。
【0044】
しかる後、ステップ108のアライメントマーク検出処理のサブルーチンに移行する。このステップ108のアライメントマーク検出処理(のサブルーチンの処理)と、次のステップ110の検出信号の解析条件の最適化処理(のサブルーチンの処理)との両者が、光学ティーチング処理と呼ばれる処理に該当する。
【0045】
ステップ108のサブルーチンでは、まず、図4のステップ202において、アライメント検出系ASの照明波長の設定又は変更を行う。ここでの照明波長の設定は、前述のブロード、グリーン、オレンジ、レッド、シアン、及び近赤外の6つの波長帯域の中から予め定められた順番で、順次波長帯域を設定(変更)することで行われる。一例として、第1番目として、ブロードが定められているものとする。この場合、前述の光量最適化のときにすでにブロードが設定されているので、特に何も行う必要はない。
【0046】
次のステップ204では、アライメント検出系ASの照明方法及び結像条件の設定又は変更する。ここで、照明方法の設定/変更は、照明系開口絞りの選択設定によって実現される。従って、通常照明、変形照明などの他、明視野照明、暗視野照明などの設定/変更も含まれる。前述の如く、例えば、結像光学系の開口数(NA)より大きな照明開口数の輪帯絞りを用いて輪帯照明を行うと暗視野照明になる。
【0047】
また、結像条件には、前述の如く、アライメント検出系ASの結像光学系のフォーカス位置、結像開口数、及び収差などが含まれる。従って、結像開口数を変更しても良いが、以下では、説明の便宜上、結像条件の設定/変更は、主として結像光学系のフォーカス位置の設定/変更を指す。
【0048】
照明方法及び結像条件の設定又は変更は、予め定めた順番で、照明系開口絞りと暗視野又は明視野との組み合わせを設定し、さらに各組み合わせについて予め定められているフォーカス位置を所定の順番で設定することで行われる。
【0049】
ここでは、主制御装置28は、一例として、通常照明絞りと輪帯照明絞りとの切り替えにより、明視野照明と暗視野照明とを切り替え、明視野照明については、フォーカス位置を、前述したフォーカス最適化FFO処理にて検出した最適フォーカス位置、及び最適フォーカス位置を中心とする正負両側への各1点のフォーカス位置、最良フォーカス位置(いわゆるゼロ点)、及び最良フォーカス位置を中心とする正負両側への各10点のステップフォーカス位置を設定し、また、暗視野照明については、前述したフォーカス最適化FFO処理にて検出した最適フォーカス位置(最適化が不要の場合は、そのまま最良フォーカス位置(いわゆるゼロ点))、及び正負両側への各1点のフォーカス位置を設定するものとする。
【0050】
従って、本実施形態では、1つの照明波長に対して、このステップ204において、25通りの照明方法と結像条件との組み合わせが設定されることになる。
【0051】
次のステップ206では、現在設定されているアライメント光学条件の設定下で、アライメント検出系ASを用いて、予め定められた数、例えば20個のショット領域に付設されているアライメントマーク(ここでは、EGAマーク)を検出する。主制御装置28は、ウエハステージWSTをXY方向に駆動して、ウエハW上に付設された予め定められた数のアライメントマークをアライメント検出系ASの検出視野内に順次位置決めし、撮像する。
【0052】
次のステップ208では、得られた撮像結果を、アライメントマークのX、Y成分のそれぞれについての1次元信号に変換する。例えば、図5(A)に示されるEGAマーク32に対し、それぞれ走査線LX1,LX2に関するX成分32X1,32X2の1次元信号と、走査線LYに関するY成分32Yの1次元信号と、が抽出される。あるいは、走査線LX1,LX2に平行な複数の走査線についてのX成分32X1,32X2の輝度値(画素値)を加算した、あるいはその加算値の平均をとった1次元信号と、走査線LYに平行な複数の走査線についてのY成分32Yの輝度値を加算した、あるいはその加算値の平均をとった1次元信号と、が抽出される。いずれにしてもX成分32X1,32X2の1次元信号として図5(B)に示されるような波形の信号が得られ、Y成分32Yの1次元信号として図5(C)に示されるような波形の信号が得られる。
【0053】
次のステップ210では、得られた(検出された)1次元信号(以下、検出信号と呼ぶ)を検出光の光量(本実施形態ではAGC機能により調整される量)及び信号強度のブラックレベル(原点)BLに応じて規格化し、その検出信号(規格化後)を、アライメント検出系ASの照明条件及び結像条件と対応付けて、記憶装置(不図示)に記憶する。例えば、図6に示されるように、検出信号IはI’=(I−BL)/(IMax−BL)と規格化される。ここで、IMaxは最大階調であり、アライメント検出系ASで検出可能な限界信号強度に対応する。また、検出精度を改善するために、例えば、1つのアライメントマークを複数回に分けて撮像する場合等には、これらも考慮して検出信号が規格化される。
【0054】
次のステップ212では、予定されていた全ての照明方法と結像条件との組み合わせについて、現在設定中のアライメント検出系ASの照明波長におけるアライメントマークの検出が終了したか否かを判断する。そして、判断が否定された場合、ステップ204に戻って次の照明方法及び結像条件の組み合わせに変更し、変更後の照明方法及び結像条件に対してステップ206〜210の処理を行う。その後、ステップ212における判断が肯定されるまで、ステップ206、208,210、212のループの処理が繰り返し行われる。そして、ステップ212の判断が肯定されると、ステップ214に進む。
【0055】
ステップ214では、アライメント検出系ASの全ての照明波長、本実施形態では6つの照明波長について、アライメントマークの検出が終了したか否かを判断する。そして、この判断が否定された場合、ステップ202に戻って次の照明波長に変更し、変更後の照明波長について、ステップ212における判断が肯定されるまで、ステップ204〜ステップ212のループの処理を繰り返し行う。その後、ステップ214における判断が肯定されるまで、ステップ202以下の処理が繰り返し行われる。そして、ステップ214の判断が肯定されると、アライメントマーク検出処理のサブルーチンの処理を終了し、図2のメインルーチンのステップ110にリターンする。
【0056】
以上のステップ108までの処理により、1つのアライメントマークについて27×6=162通りの照明条件及び結像条件に対する検出信号が得られる。
【0057】
ステップ110、すなわち検出信号の解析条件の最適化処理のサブルーチンでは、まず、図7のステップ302において、アライメントマーク検出処理により得られたアライメントマークの検出信号を解析処理するための解析条件の設定又は変更を行う。ここで、設定又は変更される解析条件には、ノイズの除去等、検出信号を整形するための複数のフィルタ処理及び該複数のフィルタ処理の組み合わせ、並びに複数のフィルタ処理のそれぞれのフィルタ特性が、含まれる。このステップ302の処理は、これらの解析条件を、予め定められた順番で、順次設定(変更)することで行われる。なお、当然ながらフィルタ処理を行わない解析も同時に実施しても構わない。
【0058】
複数のフィルタ処理として、例えば図8(A)に示される利得関数を有する低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、及び帯域通過フィルタ、並びに図8(B)に示される利得関数を有する櫛形フィルタ等を用いる処理が用意されている。フィルタ処理の組み合わせには、これらのフィルタ処理の任意の組み合わせが含まれる。フィルタ特性には、例えば、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、及び帯域通過フィルタに対してカットオフ周波数、櫛形フィルタに対してカットオフ周波数、バンド幅、及びバンド間隔が含まれる。
【0059】
なお、前述したが、ここで、フィルタ処理とは、いわゆるデジタル信号処理により、信号波形の周波数成分(光学像の場合は空間周波数と呼ばれるが信号波形処理自体は同様であるため、図8内では周波数と表記されている)の帯域を制限し、周波数特性を変更する処理を表すものとする。例えば、低域通過フィルタという場合、信号波形の周波数成分は低い周波数のものだけとなり、高い周波数成分は削除されることを表す。
【0060】
一般に撮像素子(一般に言うCCD等の2次元画像を得られるセンサ)は、2次元に整列した多数の画素を持ち、光学系により結像されたアライメントマーク像を、所定の画素ピッチでサンプリングし、2次元画像信号を得ることができる。このようにして得られた画像の強度分布から、光学的なアライメントマーク像の強度分布が得られ、さらに前記フィルタ処理を行い周波数特性を変更する処理を適用することができる。
【0061】
なお、図8(B)に示される櫛形フィルタであるが、図8(B)では例として8個の櫛形状を持つ特性が示されているが、一般に多数の各櫛形状部の高さ(利得)を個々に変化させ、高さゼロを含む各種設定とすることも可能である。また、図8(A)及び図8(B)の各フィルタは、簡略化のため矩形形状で示されているが、図示は省略するが、一般に信号処理に最適化させ、矩形形状よりも角に丸みを持つ形状を採用するなど、より最適な形状として採用することが出来る。
【0062】
次のステップ304では、アライメントマーク検出処理により得られた全ての検出条件に対するアライメントマークの検出信号に対して、ステップ302において設定された解析条件、すなわち設定されたフィルタ特性を有するフィルタ処理又はその組み合わせを用いた処理を行う。処理された検出信号は、解析条件と対応付けて記憶装置(不図示)に記録される。
【0063】
図8(C)及び図8(D)には、ノイズ除去に適したフィルタ処理の組み合わせを用いた処理の適用前後の検出信号の一例が示されている。図8(C)に示される処理前の検出信号が、帯域通過フィルタによって、図8(D)に示されるように主要な周波数成分が取出されてされている。
【0064】
次のステップ306では、予定された全ての解析条件における検出信号のフィルタ処理が終了したか否か判断する。そして、この判断が否定された場合、ステップ302に戻って次の解析条件に変更し、ステップ304において変更後の解析条件における検出信号のフィルタ処理を行う。そして、ステップ306における判断が肯定されるまで、ステップ302、304、306のループの処理を繰り返す。そして、ステップ306における判断が肯定されると、次のステップ308に移行する。
【0065】
ステップ308では、フィルタ処理された検出信号から特徴量を抽出する。特徴量とは、フィルタ処理された検出信号中から抽出される(可能である)特徴点を表す量である。ここで、特徴量の一例について説明する。アライメントマーク中の各ラインパターンに対応して、例えば図9(A)に示されるような波形の1つの信号(ピース信号と呼ぶ)が得られる。図9(A)中に破線で示されるピース信号の信号波形の変曲点が、特徴点として抽出可能である。従って、ピース信号毎に、信号波形の変曲点の位置と変曲点での信号強度と傾き(微分値)とを、特徴量として求めることができる。なお、変曲点とは、信号波形を微分した波形が、ピース信号内で極大及び極小となる点であり、図9(A)においては、4点の変曲点が抽出されている。同様に、図9(B)中に破線で示されるピース信号の信号波形の極値点が、特徴点として抽出可能である。従って、ピース信号毎に、信号波形の極値点の位置と極値点での信号強度と、極値点での微分値を、特徴量として求めることができる。なお、極値点とは、信号波形が極大及び極小となる点である。よって、得られた極値点での微分値はほぼゼロとなり、極値点であることを確認することが出来る。
【0066】
なお、極値点の位置は、極値点を挟む2つの変曲点の中点の位置として求めることもできる。光学像の傾向として、極値点は極値点を挟む2つの変曲点の間に1点でない場合が想定される(2つの変曲点の間で信号波形に微小なうねり成分がある場合)が、このような場合、2つの変曲点の中点を極値点と仮定する本手法は有効である。同時に得られる極値点での信号波形の傾き(微分値)も、本手法の場合ゼロでない値をとるため、有効に活用できる。また、ノイズの影響等で、極値点が定まりにくい場合は、いわゆる所定幅で移動平均処理(スムージング)を施した後に、極値点を検出しても構わない。
【0067】
また、図10(A)中に破線で示されるピース信号の最大値及び最小値が特徴量として抽出可能である。前述した極値点での特徴量と異なり、ピース信号の単に波形最大値と最小値を抽出しピース信号の特徴量とすることができる。信号波形はピース信号毎に異なる形状になっていることが想定されるため、極値点に依存しない本特徴量を抽出する。さらに、図10(B)中に破線で示されるピース信号の波形中心と、相互に隣接するピース信号の波形間の中間点が抽出可能であり、それらの点の位置と対応する信号強度とを、特徴量として求めることができる。ここで、ピース信号の波形中心はすでに算出されていることが必要となるが、ピース信号の波形中心を求める既存の手法として、ピース信号部の信号波形を抽出し、信号波形の左右を反転させた信号波形を作り、元の信号に対して位置をずらして波形の相関をみる(いわゆる畳み込み処理)ことで、その最も相関が高い位置を中心位置とする手法を用いることができる。また、アライメントマーク中心に関しても、同様にして算出した各ピース信号の波形中心座標を平均処理することで求めることが可能である。
【0068】
前述した、変曲点位置及び/又は極値位置などを含め、特徴量の位置情報は、各ピース信号の波形中心点、及び/又はアライメントマークの中心点を原点として相対座標(例えば各ピース信号毎に、各ピースの波形中心を原点としたり、アライメントマーク中心点を原点とした座標)にて管理することが可能である。抽出された特徴点及び対応する特徴量は、解析条件及びアライメントマーク(を構成するマークライン)と対応付けて、記憶装置(不図示)に記録される。
【0069】
なお、抽出された特徴点(及び特徴量)は、対応するアライメントマーク毎にグループ化して管理される。グループ内では、例えば図11(A)に示されるように、位置(配置)に応じて特徴点にラベルが付される。この例では、m個の特徴点に、1からmまでの数字がラベルとして付されている。ただし、アライメントマークの構造差に起因する信号波形の形状差及び変形、又は検出誤差等により、特徴点が現れる位置が本来の位置からずれる、あるいは期待する特徴点が検出できないこともある。例えば図11(B)に、複数のアライメントマークによるk個の信号波形によりm個のグループを構成した例が示されている。この図11(B)では、検出信号のうち、2番目の検出信号に属するp−2番目の特徴点と、k番目の検出信号に属するp+1番目の特徴点が検出されていない状態が示されている。
【0070】
この様なグループ化を行なう手法を図11(B)で説明する。主制御装置28は、前述したように複数のアライメントマークのそれぞれの波形に対応するマーク中心位置を記憶しており、各特徴点はマーク中心を原点として相対位置座標で管理することができる。従って、各波形による特徴点の中心位置(マーク中心)を合わせて、各波形に含まれる特徴点の位置を相互に比較することができる。ここで、対応する特徴点の位置は、所定幅の比較範囲内で比較される。すなわち、位置が比較範囲内であり、傾き(微分値)の符号が同じとなり、さらに複数候補が含まれた場合には最も位置が近いことを確認し、対応する特徴点であると判断される。なお、対応する特徴点が確認できなかった場合、その特徴点が含まれるグループ内の他の特徴点のラベルが振りなおされる。
【0071】
また、主制御装置28は、図11(C)に示されるように、評価対象の特徴点のグループと、マーク中心を基準に位置を反転したその特徴点のグループとを、それらのマーク中心の位置を合わせて相互に比較しても良い。ここでは、対応する特徴点、例えば特徴点p−2(図11(C)中の上側)と反転された特徴点p+1(図11(C)中の下側)との位置が、比較範囲内で比較される。すなわち、位置が比較範囲内であり、傾き(微分値)の符号が同じとなり、さらに複数候補が含まれた場合には最も位置が近いことを確認し、対応する特徴点であると判断される。これにより、グループ内の特徴点の中から反転対応する特徴点が抽出される。かかる特徴点の抽出処理は、例えば後述するアライメントマークの反転対称性を評価する場合などに好適である。
【0072】
また、主制御装置28は、図11(D)に示されるように、デフォーカス時(フォーカス位置変更時)の信号波形に対応するマーク中心位置を合わせて、同じラベルが付された特徴点の位置を相互に比較範囲内で比較しても良い。これにより、フォーカスに対して特徴点の位置を変更した場合にも見落とすことなく、対応する特徴点を抽出することができる。かかる特徴点の抽出処理は、例えば後述する特徴量のフォーカス依存性を評価する場合などに好適である。
【0073】
図7に戻り、ステップ310では、ステップ308で得られた特徴量を用いて各種判定量を求める。ここで判定量は、大略、検出信号の信号波形の形状、変形、及び対称性に関する判定量に分類される。
【0074】
主制御装置28は、形状に関する判定量として、図12に示されるように、ピース信号内の検出信号の最大及び最小強度より振幅(=最大強度−最小強度)及びコントラスト(=(最大強度−最小強度)/(最大強度+最小強度))、並びに変曲点での検出信号の傾きの最大より最大エッジスロープ(単にエッジスロープと呼ぶ)を求める。
【0075】
また、主制御装置28は、変形に関する判定量として、図13(A)に示されるように変曲点の位置のシフトより線幅誤差、図13(B)に示されるように変曲点での傾きの変化より段差誤差、図13(C)に示されるように隣接する2つのピースの中間点での強度変化より反射率トップ誤差、図13(D)に示されるように最小点での強度変化より反射率ボトム誤差を求める。
【0076】
また、主制御装置28は、対称性に関する判定量として、図14(A)に示されるように、検出信号(実線)とマーク中心を基準に反転したその検出信号の信号波形(破線)との間の変曲点の位置のずれ、その変曲点の位置での信号強度の差、及び傾きの差を求める。これらの判定量を、エッジ対称性とも呼ぶ。また、主制御装置28は、極値点の位置のずれ及びその極値点の位置での信号強度の差を求める。これらの判定量を、波形対称性とも呼ぶ。また、主制御装置28は、図14(B)内に白抜き丸で示される極値点及び黒塗り丸を用いて示される変曲点のように、検出信号の波形(実線)と反転信号の波形(破線)との間で対応する特徴点が見出せない場合、対称性の崩れが発生したものと判断する。
【0077】
図7に戻り、次のステップ312では、ステップ310において求めた各種判定量を用いて、アライメントマークの検出結果を評価する。例えば、前述の形状、変形、及び対称性に関する判定量を、それぞれ用いて、計測再現性、アライメント検出系に由来する検出誤差(TIS:Tool Induced Shift)(特に収差に由来する誤差)、及びウエハに由来する検出誤差(WIS:Wafer Induced Shift)が評価される。ここで、アライメント検出系に由来する検出誤差TISに関し、2種類の分類を説明する。一般に、半導体等を製造する製造プロセスにより、計測するマークの構造(マーク線幅、段差、反射率等)は変わる(ここで段差はマークを構成する物質がライン部とスペース部で異なり、光の光路長が異なることにより発生する位相差成分も含めている)。一般に、アライメント検出系に由来する誤差TISは、検出系の光学系に残存する収差等と、マーク構造の差によって発生する。従って、製造プロセス毎に、EGA計測を行う複数マークの全ての位置がずれるオフセット成分(TISオフセット成分と呼ぶ)が発生することがある。また、1つのウエハ内で、計測するマークの構造(マーク線幅、段差、反射率等)がアライメントマーク毎に変化しているとランダムな誤差成分(TISランダム成分と呼ぶ)が発生することがある。どちらの場合でも、マーク自体には位置ずれを引き起こす要素(例えば非対称性など)はなく、構造が異なることにより信号波形が変形するだけであり、アライメント検出系の光学系に残存収差があることに起因して位置ずれ要因となっている。このような背景から、アライメント検出系に由来する誤差と位置づけられている。TISオフセット成分は、例えば一旦露光を行い、重ね合わせを計測した結果を次の露光時のオフセットとしてフィードバッグすれば低減できるが、TISランダム成分は、EGA計測結果の誤差(すなわち位置計測誤差)となり低減することが難しい。以下、これら計測再現性、TIS、WISの評価について説明する。
【0078】
主制御装置28は、図15に示されるように、形状に関する判定量である振幅、コントラスト、及びエッジスロープを用いて計測再現性を評価する。主制御装置28は、各判定量を、例えば、4段階(A〜D)でランク付けして評価する。図15に示される例では、振幅はランクA、コントラストはランクC、エッジスロープはランクBと評価されている。主制御装置28は、これらの評価を総合して、計測再現性を評価する。評価手法の一例として、各判定量のランクと、与える点数の関係に関して、3種の判定量ランクが決まると1つの点数が対応するような参照可能な関係となるデータベースを持つ方法がある。図15では、ランクA、B,C,及びDに対して予め用意したデータベースを参照し、総合点(スコア)600と評価されている。
【0079】
各判定量のランク付け(評価)は、例えば図16(A)に示される各判定量と計測再現性との相関に基づいて、適切な総合点が決められるように定められる。ここで、相関は、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。光学ティーチングシミュレーションとは、想定した多種多様な構造を持つアライメントマークの光学像を、各種光学設定条件(照明条件及び/又は結像条件)、フォーカス設定条件で発生させ、A/D変換により撮像素子で計測された信号波形を擬似的に得たうえ、所定の電気ノイズを付加し、さらに実際の装置と同様の信号処理にて擬似的に各種特徴量及び/又は判定量を算出し評価する処理を意味する。光学ティーチングシミュレーションの結果を整理することで、点数を参照するためのデータベースを作成することが出来る。高い計測再現性から低い計測再現性を与える判定量の範囲が、順に、ランクA〜Dに分類される。判定量は、その値が位置する範囲に対応するランクを用いて評価される。
【0080】
なお、図16(A)から明らかなように、判定量によって、計測再現性に対する相関が大きく異なる。例えば、コントラストは、計測再現性に対する相関は弱く、振幅及びエッジスロープのそれぞれは、計測再現性に対する相関が強い。そこで、各判定量の計測再現性に対する相関の程度を考慮して、計測再現性を総合評価すると良い。前述した光学ティーチングシミュレーションでは、このような点を考慮し、最終的なデータベースを作成している。
【0081】
また、検出信号に含まれるノイズの主要成分に応じて新しい判定量を定義することも可能である。例えば、アライメント検出系内の撮像素子によるショットノイズ成分(受光光量に応じて増加する電気ノイズ)が支配的である場合、図16(A)に示されるように、振幅及びコントラストとエッジスロープの積の平方根のそれぞれと計測再現性の逆数との相関が強くなる。そこで、例えばコントラストとエッジスロープの積の平方根の逆数σsを新しい判定量として採用することができる。さらに、ブラックレベルノイズ成分(いわゆるホワイトノイズであり、常に発生する電気ノイズ成分)も無視できない場合は、図16(B)に示されるように、エッジスロープと計測再現性の逆数との関係も無視できなくなる。そこで、エッジスロープの逆数σbとσsとの自乗和の平方根σ(=√(α2・σs2+β2・σb2))を新しい判定量として用いることができる。ただし、αとβ(α2+β2=1)は重み係数であり、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。これらの判定量を使えば、光学ティーチングシミュレーションの結果からは、かなり正確に計測再現性を予想可能と考えられる。
【0082】
光学ティーチングシミュレーションの結果は、正確であることが望ましいが、現実的には、実際のアライメント検出系を用いて、評価用のアライメントマークの計測を行い、計測再現性を評価し、前述した参照用データベースそのもの、及び/又は判定量に関しても修正を行い、計測再現性の得点の値そのもの及びその誤差を確認することが望ましい。
【0083】
また、主制御装置28は、TISに強く相関する判定量を用いてTISを評価する。ここで、評価対象は主に低減が難しいTISランダム成分が主な対象となる。前述したように、TISランダム成分は検出系内の光学系に残存する収差等と、EGAの計測対象となるアライメントマークの構造誤差成分(検出信号波形の形状誤差となる)の相互作用で発生する。マーク構造(マーク構造に誤差がある場合は、ウエハ内のEGA対象マーク全体の平均状態)自体がTISランダム成分を発生させ易いか否かという指標と、実際にマーク構造の誤差がどの程度あるかの2点に着目して処理することになる。理由としては、TISランダム成分を発生しやすいマーク構造であっても、マーク構造の誤差がウエハ内で十分に小さければTISランダム成分が小さくなるためである。ここで、ウエハ内で平均的なマーク構造自体がTISランダム成分を発生させやすいどうかを表す判定量として、図17(A)に示されるアライメントマークの設計条件(例えば線幅とピッチ)、全アライメントマークの検出信号についてのコントラストの平均(平均コントラスト)及び検出信号の反射率比の平均(平均反射率比)が用いられる。また、個々のアライメントマークのマーク構造誤差を表す判定量として、図17(B)に示される変形に関する判定量である線幅誤差、段差誤差、及び反射率比のそれぞれの分散(ばらつき)が用いられる。ただし、反射率比≡(反射率トップ誤差−反射率ボトム誤差)/MAX(反射率トップ誤差,反射率ボトム誤差)である。段差誤差のばらつきは、その平均に対する比として与えられる。
【0084】
主制御装置28は、各判定量を、例えば、4段階(A〜D)でランク付けして評価する。図17(A)では、TISランダム成分の発生し易さを表す判定量において、設計条件はランクA、平均コントラストはランクB、平均反射率比はランクBと評価されている。また、図17(B)では、マーク構造誤差を表す判定量において、線幅誤差の分散はランクA、段差誤差の分散はランクB、及び反射率比の分散はランクBと評価されている。主制御装置28は、これらの評価を総合して、TISを評価する。
【0085】
一例として、ここで、設計条件、平均コントラスト、平均反射率比のランクA、B,C,及びDに対して、まず対応する基準得点を与える。各判定量のランクと、与える点数の関係に関しては、4種の判定量ランクが決まると1つの点数が対応する参照可能な関係となっており、予め光学ティーチングシミュレーション等により、各判定量とTISランダム成分発生の発生し易さを解析しておき、各判定量のランクが決まれば、もれなく規定の点数を参照可能なような参照データベースを持ち、参照することで行なわれる。TIS評価に対する光学ティーチングシミュレーションは、アライメント検出系の光学系に残存している収差を設定した状態で、各種光学設定条件(照明条件及び/又は結像条件)、フォーカス設定条件を設定し、多種多様な構造を持つアライメントマークの光学像を発生させ、A/D変換により撮像素子で計測された信号波形を擬似的に得たうえ、さらに実際の装置と同様の信号処理にて擬似的に各種特徴量及び/又は判定量を算出し評価する処理を意味する。このような、光学ティーチングシミュレーションの結果を整理することで、点数を参照するためのデータベースを作成することが出来る。線幅誤差、段差誤差、及び反射率比の分散のランクA、B,C,及びDに関しては、前述したように、それぞれの誤差が増えるとTISランダム成分が増大する。従って、同様に、予め光学ティーチングシミュレーション等により、各誤差量とTISランダム成分発生量を解析しておき、各判定量のランクが決まれば、もれなく規定の各誤差に対応した重みを、参照可能なような参照データベースを持つことで行なわれる。そして、これらの重みを加味し、「最終得点=(線幅誤差比×線幅誤差重み+段差誤差比×段差誤差重み+反射率誤差比×反射率誤差重み)×基準得点」として最終得点が得られる。ここに示す例は、上記のように事前解析を併用した一例であるが、図17(C)に示されるように、例えば、TISは総合点(スコア)500と評価される。
【0086】
なお、各判定量のランク付け(評価)は、各判定量とTISとの相関に基づいて行われる。ここで、相関は、やはり予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。例えば、図18に示されるように、(平均)コントラストとTISランダム成分には強い負の相関があることが分かる。そこで、小さいTISランダム成分から大きなTISランダム成分を与えるコントラストの範囲が、順に、ランクA〜Dに分類される。また、図18に示される(平均)反射率比とランダム誤差の関係を用いて、小さいTISランダム成分から大きなTISランダム成分を与える反射率比の範囲が、順に、ランクA〜Dに分類される。その他の判定量も、同様に、ランクA〜Dに分類される。各判定量は、その値が位置する範囲に対応するランクを用いて評価される。また、これらのランク付けは、前述した、基準得点あるいは重みを参照するためのデータベースに対しても十分都合が良いように設定しておくことが望ましい。
【0087】
なお、TIS評価に関し、光学ティーチングシミュレーションの結果からは、かなり正確にTISランダム誤差の大小を予想可能と考えられる。しかし、光学ティーチングシミュレーションの結果は、十分に正確であることが望ましいが、現実的には、実際のアライメント検出系を用いて、評価用のアライメントマークの計測を行い、評価し、前述した参照用データベース、及び/又は各判定量に関して修正を行い、評価精度を上げていくことが望ましい。その場合でも、元になる手法はほぼ同様であり、修正により精度を上げることが可能となる。
【0088】
また、主制御装置28は、図19に示されるように、対称性に関する判定量であるエッジ対称性、波形対称性、及び対称性の崩れを用いてWISを評価する。主制御装置28は、各判定量を、例えば、4段階(A〜D)でランク評価する。図19に示される例では、エッジ対称性はランクA、波形対称性はランクA、対称性の崩れはランクBと評価されている。主制御装置28は、これらの評価を総合して、WISを評価する。図19の例では、エッジ対称性、波形対称性及び対称性の崩れのそれぞれについて、ランクA、B,C,及びDに、やはりTISの場合と同様に、予め得点をデータベースで参照可能としておくことで、一例として例えば、総合点(スコア)800と評価されている。なお、WISの各判定量のランク付け(評価)は、前述の計測再現性及びTISと同様に、各判定量とWISとの相関に基づいて行われる。WIS評価に対する参照データベースは、実際の半導体等を製造する際に発生しているアライメントマーク像のWISを評価し、多数の評価結果を元に作成しても良いが、TIS評価同様に、光学ティーチングシミュレーションで作成しても良い。
【0089】
その他、特徴量及び判定量のフォーカス依存性を評価することとしても良い。例えば、信号波形の変曲点の位置とその変曲点での信号強度及び傾き、極値点の位置とその極値点での強度、さらに形状に関する判定量である振幅とコントラストのそれぞれのフォーカス依存性を求める。さらには、マーク中心の位置のフォーカス依存性を求める。求められた依存性を、位置に応じてグループ化されたアライメントマークのグループ毎に評価する。このようにすると、プロセスマーク(実際のデバイス製造に用いられるウエハ上のアライメントマーク)のフォーカスずれに対する位置ずれ成分(テレセン度)及びアライメントマーク間の差等を評価することができる。
【0090】
また、その他、特徴量及び判定量に基づいてアライメントマークの形成状態を評価することとしても良い。上記で求められたコントラストのフォーカス依存性より、最大及び最小コントラスト、該最大及び最小コントラストを与えるフォーカス位置を抽出する。同様にエッジスロープ及び/又は振幅を評価しても良い。この抽出結果、さらには対称性の崩れた検出信号の数等を合わせて評価する。これにより、ウエハ上に形成されたアライメントマークの構造の傾向を、検出信号を直接観察することなく把握することができる。
【0091】
図7に戻り、ステップ314では、上記ステップ312において得られた評価(の結果)に基づいて、検出信号の最適な解析条件を決定する。例えば、最良の計測再現性を与える検出結果に対応する解析条件から、フィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。決定された組み合わせのフィルタ処理を、計測再現性向上フィルタ処理と呼ぶ。同様に、最小のTISを与える検出結果に対応する解析条件より、フィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。決定された組み合わせのフィルタ処理を、TIS低減フィルタ処理と呼ぶ。同様に、最小のWISを与える検出結果に対応する解析条件より、フィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。決定された組み合わせのフィルタ処理を、WIS低減フィルタ処理と呼ぶ。さらに、同様に、最良のテレセントリック性、アライメントマークの形成状態を与えるフィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定される。
【0092】
次のステップ316では、ステップ314における最適化結果、すなわち、光学ティーチングの結果をモニタ(不図示)に表示した後、検出信号の解析条件の最適化処理のサブルーチンの処理を終了する。主制御装置28は、図20に示されるように、照明条件及び結像条件毎に振幅、コントラスト等の判定量を表示する。ただし、判定量の値に限らず、それに基づくランク等の形で表示することとしても良い。また、主制御装置28は、図21に示されるように、照明条件及び結像条件毎に、最適化されたフィルタ処理を用いた場合の評価量を表示する。例えば、計測再現性向上フィルタ処理を用いて検出信号をフィルタ処理した場合の計測再現性が、照明条件及び結像条件毎に表示される。同様に、それぞれTIS低減フィルタ処理及びWIS低減フィルタ処理を用いて検出信号をフィルタ処理した場合のTIS及びWISが、照明条件及び結像条件毎に表示される。主制御装置28は、さらにその他の評価量をも表示することとしても良い。評価量は、前述の評点に限らず、それに基づくランク等の形で表示することとしても良い。ここで、判定量の値又はランクに基づいて推奨される条件を強調して表示すると良い。これにより、オペレータ(又は技術者)等は、デバイス製造に最適又は好適な照明条件及び結像条件を選択することができる。なお、主制御装置28は、モニタに表示する光学ティーチングの結果の情報を、照明条件及び結像条件と関連づけて、記憶装置に記憶する。
【0093】
検出信号の解析条件の最適化処理のサブルーチンの処理を終了すると、メインルーチンのステップ112に戻り、最適な照明条件及び結像条件が決定されるのを待つ。そして、オペレータが、モニタ上の表示を見てキーボード、マウス、等のポインティングデバイスを介して最適な照明条件及び結像条件を選択し、あるいは決定してその入力がなされると、ステップ112における判断が肯定され、ステップ114に移行する。
【0094】
ステップ114では、上記の選択(又は決定)された最適な照明条件及び結像条件及びこれに対応するその他のマーク検出条件、すなわち最適化条件を用いてアライメント計測(EGA計測)のレシピファイルを作成する。レシピファイルの作成は、予め、最適化の対象である条件の数値等を空白としたレシピファイルを用意しておき、この空白に決定された最適条件を当てはめることで容易に行うことができる。これにより、実際のウエハの露光処理の際には、主制御装置28が、作成されたレシピファイルを読み出し、その内容に従ってウエハのファインアライメントを行うことが可能になる。
【0095】
なお、上記ステップ112のオペレータの処理に代えて、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択することとしても良い。この場合、主制御装置28は、重ね精度が最良となるように、最良の計測再現性、TIS、WIS等の評価量を与える照明条件及び結像条件が選択される。そして、ステップ114では、選択した最適化条件を用いてアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)を作成する。これにより、ほぼ全自動で、EGAマークに応じた最適計測条件を含むEGA計測のレシピファイルを作成することが可能になる。
【0096】
なお、これまでは、説明が必要以上に煩雑になるのを避けるため、EGA計測のレシピファイルの作成について説明したが、サーチアライメント計測のレシピファイルの作成も上記のEGA計測のレシピファイルの作成と同様にして行うことができる。この場合、アライメント検出系ASの照明波長の設定又は変更(ステップ202)、及び照明方法及び結像条件の設定又は変更(ステップ204)での処理の内容は、幾分相違するとともに、検出対象がEGAマークの代わりにサーチマークになる。しかし、かかる相違点を除けば、前述のステップ102〜114、ステップ202〜214、ステップ302〜316とほぼ同じ処理アルゴリズムに従ってサーチアライメント計測のレシピファイルを作成することができる。
【0097】
また、上記と同様の評価に加え、サーチマークに対して計測(検出)安定性を評価することとしても良い。ここで、サーチマークの計測安定性は、振幅がノイズに対して小さい場合、WIS(特に波形対称性)が振幅に対して無視できない程度である場合、対称性の崩れの程度が大きい場合等に、低くなる。そこで、前述の形状に関する判定量を用いて、例えば、S/N比、振幅に対するTIS及びWISの比を求める。それらの結果と対称性に関する判定量を総合評価して、前述の計測再現性等と同様に、計測安定性を評価する。なお、各判定量の評価は、各判定量と計測安定性との相関に基づいて定められる。相関は、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。この場合、最良の計測安定性を与えるフィルタ特性及びフィルタ処理の組み合わせが決定されることとなる。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置28により、アライメント検出系ASを用いてウエハW上に形成されたアライメントマーク(EGAマーク又はサーチマーク)が複数の照明条件及び結像条件で検出され、得られる検出信号が複数のフィルタ処理を用いて解析され(ステップ302〜306)、その解析結果に基づいて複数のフィルタ処理の処理条件を含む複数の照明条件及び結像条件以外の検出条件が最適化される(ステップ308〜314)。従って、複数の照明条件及び結像条件のうち、最適な照明条件及び結像条件を選択するだけで結果としてマークの検出条件をトータル的に最適化することが可能になる。従って、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。ここで、なお、上記ステップ112のオペレータの処理に代えて、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択する場合には、最適な照明条件及び結像条件の選択も不要である。
【0099】
また、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置28が、最適化された検出条件を、アライメント計測の処理手順を規定するプロセスプログラム(レシピファイル)中の対応する条件として決定することで、アライメント計測のレシピファイルが作成される。ウエハの処理の際には、主制御装置28が、作成されたレシピファイルを読み出し、このレシピファイルに基づいて、ウエハのサーチアライメントを確実かつ正確に行うこと、またウエハのファインアライメント(EGA)を精度良く行うことが可能となる。
【0100】
また、本実施形態の露光装置100では、上述のようにウエハのファインアライメントを精度良く行うことができるので、このファインアライメントの結果に基づいて露光の際の際にレチクルRのパターンをウエハW上の各ショット領域に精度良く重ね合わせて転写することが可能になる。
【0101】
なお、上記実施形態で、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択する場合に、「重ね合わせ精度優先」と「スループット優先」との2つのモードのいずれかに従って最良条件を選択することとしても良い。通常は前述と同様に重ね精度が最良となるように、最良の計測再現性、TIS、WIS等の評価量を与える照明条件及び結像条件を選択する重ね合わせ精度優先モードが選択される。
【0102】
一方、最適化処理の時間を短縮したい場合、スループット優先モードに変更される。このモードでは、より最適な照明条件及び結像条件があったとしても、予め定められた標準条件に対してのみ検出条件の最適化が行われる。例えば、照明波長に対し、使用頻度の高いブロードを標準条件とする。あるいは、優先度の高い照明条件及び結像条件に対してのみ、検出条件の最適化が行われる。例えば、使用頻度の高いブロードを最優先、次に計測再現性の改善が期待されるグリーン、オレンジ、及びレッド、最後に特殊な状況で主に使用されるシアン及び近赤外の順に優先順位が付けられる。また、照明方法及び結像条件に対し、使用頻度の高い明視野照明で最良フォーカス位置を最優先、次に大きな段差を有するマークの検出に好適な明視野照明で最適フォーカス位置、最後にTISの発生が抑制される暗視野照明で最良フォーカス位置の順に優先順位が付けられる。あるいは、明視野照明におけるTISが小さく暗視野照明における計測再現性が高い場合、明視野照明で最良フォーカス位置を優先する。また、明視野照明におけるTISが小さく暗視野照明における計測再現性が低い場合には、明視野照明で最適フォーカス位置を優先する。明視野照明におけるTISが大きく暗視野照明における計測再現性が高い場合、暗視野照明で最良フォーカス位置を優先する。明視野照明におけるTISが大きく暗視野照明における計測再現性が低い場合、オペレータ(又は技術者)に判断を委ねることとする。
【0103】
また、上記実施形態では、レシピファイルを作成する際に、本発明に係る検出条件最適化方法の一例が実施される場合について説明したが、これに限らず、実際のウエハの処理の際に、パイロットウエハ又はロット先頭ウエハなどを用いて、上記のステップ114を除く処理、すなわちアライメントマークの検出条件の最適化処理を行うこととしても良い。この場合にも、EGAマーク(及びサーチマーク)の検出条件が最適化され、その最適化された条件に従うことで、ウエハのファインアライメント(EGA)(及びサーチアライメント)を精度良く行うことが可能となる。
【0104】
なお、上記実施形態では、単独のアライメント検出系ASを備える露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される複数のアライメント検出系を備えた露光装置にも本発明は好適に適用できる。この場合、複数のアライメント検出系のそれぞれが収差等、異なる光学特性を有するため、それぞれの検出系について検出条件の最適化を行う必要がある。ただし、この手続を簡略化するために、複数のアライメント検出系のうちの1つ(プライマリアライメント系と呼ぶ)についてのみ検出条件の最適化を行う。そして、複数のアライメント検出系のそれぞれを用いて同じアライメントマークを検出し、その結果からプライマリアライメント系を基準とするその他のアライメント系についてのTISの差分を求める。この差分を用いてその他のアライメント系の検出結果を補正することにより、プライマリアライメント系に対して得られた最適な検出条件を共用することができる。
【0105】
なお、上記実施形態では、アライメント計測のレシピファイルを露光装置が作成し、その際に、検出条件を最適化する場合について説明したが、これに限らず、本発明の検出条件最適化方法及びプログラム作成方法を、露光装置以外の画像処理方式のアライメントセンサを備えた装置、例えば重ね合わせ測定機などで行うようにすることで、それらの装置でアライメント計測のレシピファイルを作成することも可能である。
【0106】
また、上記実施形態では、説明の簡略化のため、主制御装置28が、検出条件の最適化を含むアライメント計測に関する処理、レシピファイルの作成などを全て行うものとしたが、例えば主制御装置28が行う各種処理を、複数のハードウェアで分担して行うようにしても良い。例えば、前述の図2のフローチャートで示される各ステップの処理を、複数のマイクロコンピュータで適宜分担して行うようにしても良い。
【0107】
なお、上記実施形態では、光源として、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)などの紫外光源、ArFエキシマレーザ等の真空紫外域のパルスレーザ光源などを用いるものとしたが、これに限らず、水銀ランプは勿論、F2レーザ、あるいはAr2レーザ(出力波長126nm)などの他の真空紫外光源を用いても良い。また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0108】
更に、照明光ILとしてEUV光、X線、あるいは電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置、投影光学系を用いない、例えばプロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、及び例えば米国特許出願公開第2005/0259234号明細書などに開示される、投影光学系とウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。
【0109】
また、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターンを形成した光反射型マスクを用いたが、それらに限定されるものではない。例えば、そのようなマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(光学系の一種とする)を用いるようにしても良い。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されている。なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。
【0110】
また、例えば、2光束干渉露光と呼ばれているような、複数の光束の干渉によって生じる干渉縞を基板に露光するような露光装置にも適用することができる。そのような露光方法及び露光装置は、例えば、国際公開第01/035168号に開示されている。
【0111】
なお、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも本発明は好適に適用できる。
【0112】
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0113】
なお、これまでは、基板上にパターンを形成する露光装置について説明したが、スキャン動作により、基板上にパターンを形成する方法は、露光装置に限らず、例えば米国特許第6,973,710号明細書などに開示されるインクジェットヘッド群と同様のインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置を用いても実現可能である。
【0114】
上記米国特許明細書に開示されるインクジェットヘッド群は、所定の機能性液体(金属含有液体、感光材料など)をノズル(吐出口)から吐出して基板(例えばPET、ガラス、シリコン、紙など)に付与するインクジェットヘッドを複数有している。このインクジェットヘッド群のような機能性液体付与装置を用意して、パターンの生成に用いることとすれば良い。この機能性液体付与装置を備えた素子製造装置では、基板を固定して、機能性液体付与装置を走査方向にスキャンしても良いし、基板と機能性液体付与装置とを相互に逆向きに走査しても良い。
【0115】
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。従って、その半導体デバイスを生産性良く製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上説明したように、本発明の検出条件最適化方法は、アライメントマークの検出条件を最適化するのに適している。また、本発明のプログラム作成方法は、アライメント計測のレシピを作成するのに適している。また、本発明の露光装置は、基板上にパターンを重ね形成するのに適している。
【符号の説明】
【0117】
16…アライメント制御装置、28…主制御装置、100…露光装置、Sn…ショット領域、32…ファインアライメントマーク、33…サーチアライメントマーク、AS…アライメント検出系、W…ウエハ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法であって、
基板上に形成された複数の前記マークを、マーク検出系を用いて複数の照明条件及び結像条件の下で検出することと;
前記マーク検出系からの検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記照明条件及び結像条件以外の前記検出条件を最適化することと;
を含む検出条件最適化方法。
【請求項2】
前記処理条件には、前記複数のフィルタ処理の最適な組み合わせが含まれる請求項1に記載の検出条件最適化方法。
【請求項3】
前記最適な組み合わせとして、前記複数のマークの検出結果の再現性を向上するフィルタ処理、前記マーク検出系に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理、及び前記基板に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理のうちの少なくとも1つが選択される請求項2に記載の検出条件最適化方法。
【請求項4】
前記処理条件には、前記複数のフィルタのそれぞれのフィルタ特性が含まれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項5】
前記複数のフィルタ処理には、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、及び櫛形フィルタのうちの少なくとも1つが含まれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項6】
前記最適化することでは、前記解析結果に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差のうちの少なくとも1つを含む評価量を評価し、該評価結果に基づいて前記検出条件を最適化する請求項1〜5のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項7】
前記最適化することでは、前記複数のマークの検出信号から該検出信号の特徴量を抽出する請求項6に記載の検出条件最適化方法。
【請求項8】
前記特徴量には、前記検出信号の極値点及び変曲点の少なくとも一方についての位置、該位置での前記検出信号の強度及び傾きのうちの少なくとも1つが含まれる請求項7に記載の検出条件最適化方法。
【請求項9】
前記特徴量には、前記複数のマークのそれぞれに対応する一群の信号についての極値と極値点の位置、中心位置と該中心位置での強度、及び隣接する信号群との中間での強度の少なくとも1つが含まれる請求項7又は8に記載の検出条件最適化方法。
【請求項10】
前記複数のマークの検出信号の特徴量は、該特徴量が現れる位置を所定幅の比較範囲内で比較することにより、前記複数のマークの検出信号間で対応する特徴量に分類される請求項7〜9のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項11】
前記最適化することでは、前記特徴量を用いて前記検出信号の形状、変形、及び対称性のうちの少なくとも1つに関する判定量を求める請求項7〜10のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項12】
前記形状に関する判定量には振幅、コントラスト、及びエッジスロープのうちの少なくとも1つが含まれ、前記変形に関する判定量には線幅誤差、段差誤差、及び強度誤差の少なくとも1つが含まれ、前記対称性に関する判定量には前記検出信号の反転対称性が含まれる請求項11に記載の検出条件最適化方法。
【請求項13】
前記最適化することでは、前記形状、変形、及び対称性に関する判定量を用いて、それぞれ、前記再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差を評価する請求項11又は12に記載の検出条件最適化方法。
【請求項14】
前記最適化することでは、前記判定量を個別に評価し、該評価結果を総合することにより前記評価量を評価する請求項11〜13のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項15】
前記最適化することでは、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つについて前記マーク検出系のフォーカスに対する依存性を求め、該依存性に基づいて前記マークのテレセン度を評価する請求項11〜14のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項16】
前記最適化することでは、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つに基づいて前記複数のマークの形成状態を評価する請求項11〜15のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項17】
前記最適化することでは、前記特徴量及び前記判定量を用いてS/N比、前記マーク検出系に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比、及び前記基板に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比のうちの少なくとも1つを含む新しい判定量を求め、前記判定量と前記新しい判定量のうちの少なくとも1つを用いて前記マーク検出系を用いてのマーク検出の安定性を評価する請求項11〜16のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項18】
前記複数の照明条件には、前記マーク検出系の照明方法又は照明波長が含まれる請求項1〜17のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項19】
前記マーク検出系の照明方法には、前記マーク検出系の照明開口数が含まれる請求項18に記載の検出条件最適化方法。
【請求項20】
前記複数の結像条件には、前記マーク検出系のフォーカス位置又は結像開口数が含まれる請求項1〜19のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項21】
前記複数のマークには、前記基板を粗く位置合わせするためのマークと精密に位置合わせするためのマークとが含まれる請求項1〜20のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項22】
前記最適な検出条件に対応する解析結果を、前記複数の照明条件及び結像条件のそれぞれについて表示することをさらに含む請求項1〜21のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項23】
前記最適な検出条件に対応する解析結果に基づいて、前記複数の照明条件及び結像条件の中から最適な条件を決定することをさらに含む請求項1〜22のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法を利用して前記複数のマークの検出信号の検出条件を最適化して、前記基板の位置合わせ手順を定めるプログラムを作成するプログラム作成方法。
【請求項25】
基板上に複数のパターンを重ね合わせて形成する露光装置であって、
基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;
前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件及び結像条件の下で検出して得られる検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記照明条件及び結像条件以外の前記マークの検出条件を最適化する最適化装置と;
を備える露光装置。
【請求項26】
前記処理条件には、前記複数のフィルタ処理の最適な組み合わせが含まれる請求項25に記載の露光装置。
【請求項27】
前記最適な組み合わせとして、前記複数のマークの検出結果の再現性を向上するフィルタ処理、前記マーク検出系に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理、及び前記基板に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理のうちの少なくとも1つが選択される請求項26に記載の露光装置。
【請求項28】
前記処理条件には、前記複数のフィルタのそれぞれのフィルタ特性が含まれる請求項25〜27のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項29】
前記複数のフィルタ処理には、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、及び櫛形フィルタのうちの少なくとも1つが含まれる請求項25〜28のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項30】
前記最適化装置は、前記解析結果に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差のうちの少なくとも1つを含む評価量を評価し、該評価結果に基づいて前記検出条件を最適化する請求項25〜29のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項31】
前記最適化装置は、前記複数のマークの検出信号から該検出信号の特徴量を抽出する請求項30に記載の露光装置。
【請求項32】
前記特徴量には、前記検出信号の極値点及び変曲点の少なくとも一方についての位置、該位置での前記検出信号の強度及び傾きのうちの少なくとも1つが含まれる請求項31に記載の露光装置。
【請求項33】
前記特徴量には、前記複数のマークのそれぞれに対応する一群の信号についての極値と極値点の位置、中心位置と該中心位置での強度、及び隣接する信号群との中間での強度の少なくとも1つが含まれる請求項31又は32に記載の露光装置。
【請求項34】
前記複数のマークの検出信号の特徴量は、該特徴量が現れる位置を所定幅の比較範囲内で比較することにより、前記複数のマークの検出信号間で対応する特徴量に分類される請求項31〜33のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項35】
前記最適化装置は、前記特徴量を用いて前記検出信号の形状、変形、及び対称性のうちの少なくとも1つに関する判定量を求める請求項31〜34のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項36】
前記形状に関する判定量には振幅、コントラスト、及びエッジスロープのうちの少なくとも1つが含まれ、前記変形に関する判定量には線幅誤差、段差誤差、及び強度誤差の少なくとも1つが含まれ、前記対称性に関する判定量には前記検出信号の反転対称性が含まれる請求項35に記載の露光装置。
【請求項37】
前記最適化装置は、前記形状、変形、及び対称性に関する判定量を用いて、それぞれ、前記再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差を評価する請求項35又は36に記載の露光装置。
【請求項38】
前記最適化装置は、前記判定量を個別に評価し、該評価結果を総合することにより前記評価量を評価する請求項35〜37のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項39】
前記最適化装置は、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つについて前記マーク検出系のフォーカスに対する依存性を求め、該依存性に基づいて前記マークのテレセン度を評価する請求項35〜38のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項40】
前記最適化装置は、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つに基づいて前記複数のマークの形成状態を評価する請求項35〜39のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項41】
前記最適化装置は、前記特徴量及び前記判定量を用いてS/N比、前記マーク検出系に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比、及び前記基板に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比のうちの少なくとも1つを含む新しい判定量を求め、前記判定量と前記新しい判定量のうちの少なくとも1つを用いて前記マーク検出系を用いてのマーク検出の安定性を評価する請求項35〜40のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項42】
前記複数の照明条件には、前記マーク検出系の照明方法又は照明波長が含まれる請求項25〜41のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項43】
前記マーク検出系の照明方法には、前記マーク検出系の照明開口数が含まれる請求項42に記載の露光装置。
【請求項44】
前記複数の結像条件には、前記マーク検出系のフォーカス位置又は結像開口数が含まれる請求項25〜41のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項45】
前記複数のマークには、前記基板を粗く位置合わせするためのマークと精密に位置合わせするためのマークとが含まれる請求項25〜44のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項46】
前記最適化装置は、前記最適な検出条件に対応する解析結果を、前記複数の照明条件及び結像条件のそれぞれについて表示する請求項25〜45のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項47】
前記最適化装置は、前記最適な検出条件に対応する解析結果に基づいて、前記複数の照明条件及び結像条件の中から最適な条件を決定する請求項25〜46のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項1】
基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法であって、
基板上に形成された複数の前記マークを、マーク検出系を用いて複数の照明条件及び結像条件の下で検出することと;
前記マーク検出系からの検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記照明条件及び結像条件以外の前記検出条件を最適化することと;
を含む検出条件最適化方法。
【請求項2】
前記処理条件には、前記複数のフィルタ処理の最適な組み合わせが含まれる請求項1に記載の検出条件最適化方法。
【請求項3】
前記最適な組み合わせとして、前記複数のマークの検出結果の再現性を向上するフィルタ処理、前記マーク検出系に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理、及び前記基板に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理のうちの少なくとも1つが選択される請求項2に記載の検出条件最適化方法。
【請求項4】
前記処理条件には、前記複数のフィルタのそれぞれのフィルタ特性が含まれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項5】
前記複数のフィルタ処理には、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、及び櫛形フィルタのうちの少なくとも1つが含まれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項6】
前記最適化することでは、前記解析結果に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差のうちの少なくとも1つを含む評価量を評価し、該評価結果に基づいて前記検出条件を最適化する請求項1〜5のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項7】
前記最適化することでは、前記複数のマークの検出信号から該検出信号の特徴量を抽出する請求項6に記載の検出条件最適化方法。
【請求項8】
前記特徴量には、前記検出信号の極値点及び変曲点の少なくとも一方についての位置、該位置での前記検出信号の強度及び傾きのうちの少なくとも1つが含まれる請求項7に記載の検出条件最適化方法。
【請求項9】
前記特徴量には、前記複数のマークのそれぞれに対応する一群の信号についての極値と極値点の位置、中心位置と該中心位置での強度、及び隣接する信号群との中間での強度の少なくとも1つが含まれる請求項7又は8に記載の検出条件最適化方法。
【請求項10】
前記複数のマークの検出信号の特徴量は、該特徴量が現れる位置を所定幅の比較範囲内で比較することにより、前記複数のマークの検出信号間で対応する特徴量に分類される請求項7〜9のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項11】
前記最適化することでは、前記特徴量を用いて前記検出信号の形状、変形、及び対称性のうちの少なくとも1つに関する判定量を求める請求項7〜10のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項12】
前記形状に関する判定量には振幅、コントラスト、及びエッジスロープのうちの少なくとも1つが含まれ、前記変形に関する判定量には線幅誤差、段差誤差、及び強度誤差の少なくとも1つが含まれ、前記対称性に関する判定量には前記検出信号の反転対称性が含まれる請求項11に記載の検出条件最適化方法。
【請求項13】
前記最適化することでは、前記形状、変形、及び対称性に関する判定量を用いて、それぞれ、前記再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差を評価する請求項11又は12に記載の検出条件最適化方法。
【請求項14】
前記最適化することでは、前記判定量を個別に評価し、該評価結果を総合することにより前記評価量を評価する請求項11〜13のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項15】
前記最適化することでは、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つについて前記マーク検出系のフォーカスに対する依存性を求め、該依存性に基づいて前記マークのテレセン度を評価する請求項11〜14のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項16】
前記最適化することでは、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つに基づいて前記複数のマークの形成状態を評価する請求項11〜15のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項17】
前記最適化することでは、前記特徴量及び前記判定量を用いてS/N比、前記マーク検出系に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比、及び前記基板に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比のうちの少なくとも1つを含む新しい判定量を求め、前記判定量と前記新しい判定量のうちの少なくとも1つを用いて前記マーク検出系を用いてのマーク検出の安定性を評価する請求項11〜16のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項18】
前記複数の照明条件には、前記マーク検出系の照明方法又は照明波長が含まれる請求項1〜17のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項19】
前記マーク検出系の照明方法には、前記マーク検出系の照明開口数が含まれる請求項18に記載の検出条件最適化方法。
【請求項20】
前記複数の結像条件には、前記マーク検出系のフォーカス位置又は結像開口数が含まれる請求項1〜19のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項21】
前記複数のマークには、前記基板を粗く位置合わせするためのマークと精密に位置合わせするためのマークとが含まれる請求項1〜20のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項22】
前記最適な検出条件に対応する解析結果を、前記複数の照明条件及び結像条件のそれぞれについて表示することをさらに含む請求項1〜21のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項23】
前記最適な検出条件に対応する解析結果に基づいて、前記複数の照明条件及び結像条件の中から最適な条件を決定することをさらに含む請求項1〜22のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法を利用して前記複数のマークの検出信号の検出条件を最適化して、前記基板の位置合わせ手順を定めるプログラムを作成するプログラム作成方法。
【請求項25】
基板上に複数のパターンを重ね合わせて形成する露光装置であって、
基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;
前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件及び結像条件の下で検出して得られる検出信号を複数のフィルタ処理を用いて解析し、該解析結果に基づいて前記複数のフィルタ処理の処理条件を含む前記照明条件及び結像条件以外の前記マークの検出条件を最適化する最適化装置と;
を備える露光装置。
【請求項26】
前記処理条件には、前記複数のフィルタ処理の最適な組み合わせが含まれる請求項25に記載の露光装置。
【請求項27】
前記最適な組み合わせとして、前記複数のマークの検出結果の再現性を向上するフィルタ処理、前記マーク検出系に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理、及び前記基板に由来する検出誤差を低減するフィルタ処理のうちの少なくとも1つが選択される請求項26に記載の露光装置。
【請求項28】
前記処理条件には、前記複数のフィルタのそれぞれのフィルタ特性が含まれる請求項25〜27のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項29】
前記複数のフィルタ処理には、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、及び櫛形フィルタのうちの少なくとも1つが含まれる請求項25〜28のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項30】
前記最適化装置は、前記解析結果に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差のうちの少なくとも1つを含む評価量を評価し、該評価結果に基づいて前記検出条件を最適化する請求項25〜29のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項31】
前記最適化装置は、前記複数のマークの検出信号から該検出信号の特徴量を抽出する請求項30に記載の露光装置。
【請求項32】
前記特徴量には、前記検出信号の極値点及び変曲点の少なくとも一方についての位置、該位置での前記検出信号の強度及び傾きのうちの少なくとも1つが含まれる請求項31に記載の露光装置。
【請求項33】
前記特徴量には、前記複数のマークのそれぞれに対応する一群の信号についての極値と極値点の位置、中心位置と該中心位置での強度、及び隣接する信号群との中間での強度の少なくとも1つが含まれる請求項31又は32に記載の露光装置。
【請求項34】
前記複数のマークの検出信号の特徴量は、該特徴量が現れる位置を所定幅の比較範囲内で比較することにより、前記複数のマークの検出信号間で対応する特徴量に分類される請求項31〜33のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項35】
前記最適化装置は、前記特徴量を用いて前記検出信号の形状、変形、及び対称性のうちの少なくとも1つに関する判定量を求める請求項31〜34のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項36】
前記形状に関する判定量には振幅、コントラスト、及びエッジスロープのうちの少なくとも1つが含まれ、前記変形に関する判定量には線幅誤差、段差誤差、及び強度誤差の少なくとも1つが含まれ、前記対称性に関する判定量には前記検出信号の反転対称性が含まれる請求項35に記載の露光装置。
【請求項37】
前記最適化装置は、前記形状、変形、及び対称性に関する判定量を用いて、それぞれ、前記再現性、前記マーク検出系に由来する検出誤差、及び前記基板に由来する検出誤差を評価する請求項35又は36に記載の露光装置。
【請求項38】
前記最適化装置は、前記判定量を個別に評価し、該評価結果を総合することにより前記評価量を評価する請求項35〜37のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項39】
前記最適化装置は、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つについて前記マーク検出系のフォーカスに対する依存性を求め、該依存性に基づいて前記マークのテレセン度を評価する請求項35〜38のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項40】
前記最適化装置は、前記特徴量及び前記判定量のうちの少なくとも1つに基づいて前記複数のマークの形成状態を評価する請求項35〜39のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項41】
前記最適化装置は、前記特徴量及び前記判定量を用いてS/N比、前記マーク検出系に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比、及び前記基板に由来する検出誤差と前記一群の信号の振幅との比のうちの少なくとも1つを含む新しい判定量を求め、前記判定量と前記新しい判定量のうちの少なくとも1つを用いて前記マーク検出系を用いてのマーク検出の安定性を評価する請求項35〜40のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項42】
前記複数の照明条件には、前記マーク検出系の照明方法又は照明波長が含まれる請求項25〜41のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項43】
前記マーク検出系の照明方法には、前記マーク検出系の照明開口数が含まれる請求項42に記載の露光装置。
【請求項44】
前記複数の結像条件には、前記マーク検出系のフォーカス位置又は結像開口数が含まれる請求項25〜41のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項45】
前記複数のマークには、前記基板を粗く位置合わせするためのマークと精密に位置合わせするためのマークとが含まれる請求項25〜44のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項46】
前記最適化装置は、前記最適な検出条件に対応する解析結果を、前記複数の照明条件及び結像条件のそれぞれについて表示する請求項25〜45のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項47】
前記最適化装置は、前記最適な検出条件に対応する解析結果に基づいて、前記複数の照明条件及び結像条件の中から最適な条件を決定する請求項25〜46のいずれか一項に記載の露光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図16】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図16】
【図18】
【公開番号】特開2011−159753(P2011−159753A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19523(P2010−19523)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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