検出装置、及び検出方法
【課題】侵入者の有無を確実に検出できる検出装置、及び検出方法を提供すること。
【解決手段】受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置において、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力する受信部と、前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断する判断部とを備え、前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値を超えずに、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする。
【解決手段】受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置において、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力する受信部と、前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断する判断部とを備え、前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値を超えずに、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電波の送受信により車両への侵入者を検出する検出装置等がある(例えば、以下の特許文献1〜3)。例えば、検出装置は車両に取付けられ、受信した電波に含まれる周期信号の検出の有無により侵入者を検出する。
【0003】
図9及び図10は、従来の検出装置における周期性のある信号を検出する例を示すフローチャートである。検出装置は、処理を開始すると(S100)、信号が継続して発生している場合に(S101でYes)、信号発生時間(Count)と現在の周期(Tsa)とを更新する(S103)。
【0004】
そして、検出装置は、受信した電波に対して、受信した信号発生有無の閾値(信号発生有無スレッシュ)以上か否かを検出し(S104)、検出した場合に「0V」を下回ったか否かを検出する(S105)。図11は外来電波の例を示す図であり、横軸は時間(T)、縦軸は外来電波のレベル(V)を示す。入力波形が信号発生有無閾値を超えて、「0V」を下回れば、入力波形の「山」の部分を検出することになる。ここで信号発生有無閾値は、入力波形の周期性を検出するための閾値であり、この閾値を超えた瞬間を周期の始まりとしている。
【0005】
検出装置は、「山」の部分を検出するごとに山の数(WK)をカウントアップし(S106)、山の数が「2」以上なら、2つの山の周期差を計算し(図9のS110)、周期差の最大値が以前に計算した値よりも大きいと更新する(S111)。そして、検出装置は、現在の周期(Tsa)を過去の周期(Tsa_bf)として上書きし(S112)、信号発生時間(Count)が一定の時間を越え(S113でYes)、「山」の数が「7以上」であれば(S114でYes)、記憶している周期差の最大値により入力波形の周期性を判断する(S115)。例えば、周期性の最大値が閾値よりも大きいと入力波形は周期性を有しておらず、それ以外のときは周期性を有していると判断する。そして、検出装置は、検出した入力波形の電圧レベルに変化がなく周期性がない場合は、侵入者が車両に侵入したことを検出し、周期性があれば外来電波による電圧レベルの変化であることを検出する。
【0006】
また、検出装置は、図9及び同図10に示すように、外来電波が信号発生有無閾値を超えない場合(S104でNo)や「0V」を下回っていない場合(S105でNo)等は、再度信号発生有無閾値を超えるまで周期計算(S106〜S115)を行わない。
【特許文献1】特開2004−181982号公報
【特許文献2】特開昭62−045215号公報
【特許文献3】特開2001−99917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の検出装置は、外来電波が閾値を越えないと車両に人が侵入したと誤検知する場合があった。図10は、横軸が時間(T)、縦軸が外来電波のレベル(V)を示し、検出装置において一定時間外来電波を検出した場合の例である。同図の区間「A」では、外来電波のレベルは信号発生有無閾値を超えない。この区間を含む区間で従来の周期信号検出処理(図8、図9)を行うと、信号発生有無閾値未満で(S104でNo)、検出装置は次の閾値以上となったときにそれまでの「山」の周期差を検出(S110)する。従って、周期差が非常に大きくなり、周期性がないと判定する場合もある(S115)。
【0008】
かかる場合に、侵入者によって外来電波のレベルが信号発生有無閾値未満の場合は問題ない。しかし、例えば図10に示す例では、区間「A」において若干の周期性のある信号を検出している。このような信号は、例えば信号の発生源が移動したときに発生する。
【0009】
すなわち、従来の検出装置による侵入者検出処理では、侵入者による場合とそれ以外の場合、例えば信号発生源の移動による場合とで区別できず、車両に人が侵入したと誤検知する場合があった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものでその目的は、侵入者の有無を確実に検出できる検出装置、及び検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一実施態様によれば、受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置において、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力する受信部と、前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断する判断部とを備え、前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となったときから一定時間経過後、前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となった回数をカウントすることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前記受信信号のレベルが第3の閾値以下となったか否かを判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値以上となり、かつ、前記第3の閾値以下となったときに、前記受信信号の一周期を計算することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前後の周期差が第4の閾値以上のとき前記受信信号には周期性がないものと判断し、前後の周期差が前記第4の閾値よりも小さいとき前記受信信号に周期性があるものと判断することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前後の周期で前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号の前記一周期の計算は行わないことを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の他の実施態様によれば、受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置における検出方法において、受信部により、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力し、前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、侵入者の有無を確実に検出できる検出装置、及び検出方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態について、以下図面を参照しながら説明する。図1は、本発明が適用される車載ネットワークシステム1の一例である。車載ネットワークシステム1は、検出装置である侵入センサ11と、振動センサ12と、セキュリティECU(Electronic Control Unit)10と、ロックモータ13と、ホーン14と、ハザードランプ15と、ロックポジションSW16と、CAN(Control Area Network)バス20と、他ECU30とを備える。
【0019】
侵入センサ11は、車両への侵入者を検知する。すなわち、侵入センサ11は例えば車室内の天井に設置され、後述するように送信アンテナと受信アンテナとを備える。そして、送信アンテナから出力された、例えば24GHz帯の電波が車室内の機器(例えば、ハンドルやシート等)で反射してその反射波を受信アンテナで受信する。車室内に侵入者がいない場合は、機器に反射した反射波のみを受信アンテナで受信するため、受信アンテナは一定の入力波形の反射波を受信する。一方、侵入者が車室内に侵入すると入力波形が乱れることになる。よって、侵入センサ11は受信アンテナで受信する反射波の入力波形を検知し、入力波形が乱れたときは侵入者がいることを検知する。しかし、入力波形が乱れたときでも当該入力波形に周期性がある場合もある。この場合、侵入センサ11は侵入者はおらず受信電波を外来電波として判断する。外来電波の発生源は例えば高周波信号を出力する高周波治療器や、携帯電話等の携帯端末等である。侵入センサ11は、車室内の天井部分以外にも、車両のドア入口近傍に取付けられている。侵入センサ11の詳細は後述する。
【0020】
振動センサ12は、車両の振動を検出するセンサである。セキュリティECU10は、侵入センサ11や振動センサ12等、車両内のセキュリティに関するハードウェアに接続される。セキュリティECU10は、CANバス20を介して他ECU30に接続されて車内ネットワークが構築される。
【0021】
セキュリティECU10は、侵入センサ11等の検出信号をロックモータ13やホーン14、ハザードランプ15等に出力し、ロックモータ13により車両をロックしたり、ホーン14から音声が出力されたり、ハザードランプ15が点灯する。
【0022】
尚、CANはISO(International Organization for Standardization)で国際的に標準化されたシリアル通信プロトコルであり、バスが空いているときに他のECUがフレーム(CANプロトコルの通信単位)を送信できるマルチマスタ方式等が採用されている。
【0023】
図2は、検出装置である侵入センサ11の構成例を示す図である。侵入センサ11は、間欠駆動回路1110と、発振回路1120と、逓倍/増幅回路1130と、送信アンテナ111と、受信アンテナ110と、受信信号処理回路1140と、混合回路1150と、検波回路1160、及びマイコン113とを備える。また、マイコン113は、A/D変換器114と、CPU115と、ROM116と、RAM117とを備える。
【0024】
間欠駆動回路1110は、マイコン113から一定時間ごとに信号が入力され、一定時間発振回路1120を駆動するための駆動信号を出力する。一定時間としているのは侵入センサ11が動作中は消費電力を低減するためである。
【0025】
発振回路1120は、間欠駆動回路1110からの駆動信号に基づいて、例えば4MHzの高周波信号を出力する。逓倍/増幅回路1130は、発振回路1120からの高周波信号を、例えば24MHzの周波数信号に逓倍・増幅する。そして、送信アンテナ111から送信電波が送信される。
【0026】
受信アンテナ110は、送信アンテナ111から送信された送信電波が周囲の物体に当たって反射する反射波を受信し、受信信号として出力する。受信信号処理回路1140は、受信アンテナ110からの受信信号を例えばマイコン113内で処理できる信号に変換する。混合回路1150は、受信信号処理回路1140からの受信信号と逓倍/増幅回路1130からの送信信号とを混合して出力する。検波回路1160は、混合回路1150からの混合出力を検波し、検波後の信号をマイコン113に出力する。
【0027】
マイコン113内において、A/D変換器114は、受信信号処理回路112から出力された受信信号をデジタル信号に変換する。CPU115は、デジタル信号に変換された受信信号から、図3及び図4に示す検出処理を実行し、侵入者を検知する。ROM116には検出処理を実行するプログラムが格納され、CPU115がかかるプログラムを読み出して実行することで、検出処理が実行される。また、CPU115は、検出処理を実行するときに使用されるデータ等をRAM117に記憶する。
【0028】
マイコン113(例えば、CPU115)は侵入者を検知するとその信号をセキュリティECU10に出力し、セキュリティECU10はホーン14に検出信号を出力して、ホーン14から侵入者を検知したことを示す音声が出力される。
【0029】
次に、侵入センサ11の動作について説明する。図3、図4、及び図5はCPU115で実行される検出処理の例を示すフローチャートである。
【0030】
処理が開始されると(S10)、CPU115は信号発生継続中か否かを判断する(S11)。CPU115は、外来電波の受信信号が継続して発生していないと処理を終了する(S11でNo、S12)。例えば、CPU115は受信信号レベルが「0V」を超えると信号発生継続中と判断する。
【0031】
継続して信号が発生しているとき(S11でyes)、CPU115は「Count」を更新し、「0.2V以上エッジ数」を更新する(S13)。「Count」は受信信号の発生時間を示し、CPU115がA/D変換器114から受信信号を受信したときからカウントされる。また、「0.2V以上エッジ」とは入力波形の電圧が「0.2V」以上であることを意味し、「0.2V以上エッジ数」とは受信信号の受信レベルが「0.2V」以上となった回数を示す値である。CPU115は、RAM117に記憶された「Count」と「0.2V以上エッジ数」とを「0」に更新する。
【0032】
次いで、CPU115は、受信信号のレベルがWeakth(信号発生有無スレッシュ)以上か否かを検出する(S14)。本実施例では、Weakthの値は「0.45V」とする。CPU115は、受信信号に対して、Weakth以上となった瞬間から周期の始まりを検出する。勿論、「0.45V」は一例であり、周期の開始を示す閾値であればそれ以外の値でもよい。
【0033】
図6(A)及び同図(B)は、受信信号の一例を示す図である。同図(A)及び(B)は横軸が時間(T)、縦軸が受信信号レベル(V)を示す。同図(A)に示すように、受信信号のレベルがWeakthの値「0.45V」以上か否かで判断する。
【0034】
受信信号のレベルがWeakth以上でないとき(S14でNo)、判定等を行うことなくS32に移行し、再びS11の処理を行う。一方、受信信号のレベルがWeakth以上のとき(S14でYes)、CPU115は受信信号のレベルが「−0.2V」以下か否かを検出する(S15)。図6(A)の例では点線の丸印が「−0.2V」以下の部分である。尚、CPU115は受信信号のレベルが「0.45V」以上となった時間をRAM117に記憶する。
【0035】
受信信号のレベルが「−0.2V」以下でないとき(S15でNo)、S32に移行し再びS11の処理を行う。一方、受信信号のレベルが「−0.2V」以下のとき(S15でYes)、CPU115は受信信号のレベルが「0V」を上回るタイミングか否かを検出する(S16)。CPU115は、受信信号において、「谷」の部分を越えて「0V」を超えるか否かのタイミングを検出している。図6(A)の例では縦線で示す位置を越えるタイミングか否かを検出する。尚、S14からS16までの処理は受信信号の波の部分を検出している。
【0036】
受信信号のレベルが「0V」を上回らないとき(S16でNo)、再びS11の処理に移行する。一方、受信信号のレベルが「0V」を上回るとき(S16でYes)、CPU115は「0.2V以上エッジ数」が「1」よりも大きいか否かを判断する(S17)。
【0037】
図6(A)の例において、「波X」の部分では「0.2V」以上の回数は「1回」である。正常な周期信号を含む場合、1周期において「0.2V」以上の回数は「1回」である。
【0038】
しかし、図6(A)の「波Y」の区間で示されるように、Weakth以上にならず、「−0.2V」以下にならないときでも、一定の周期性のある外来電波が検出される場合があり、この場合には、1周期において「0.2V以上エッジ数」が2回以上検出される(S17でYes)。このような周期性のある外来電波は、発生源である高周波治療器の移動による場合が考えられる。本実施例では、かかる場合、周期計算に使用されるパラメータ(Pt、Pt_bf、Ptop、Ptop_bf)をクリアして(S18)、周期計算に用いられないようにしている。
【0039】
一方、CPU115は「0.2V以上エッジ数」が「1回」よりも大きくないとき(S17でNo)、かかる場合は正常な周期を含む外来電波を検出したものとして次の処理に移行して、「Pt_bf」が有るか否かを判断する(図4のS20)。「Pt_bf」とは、前回の周期における波のピークのタイミングを示す。本実施例では、「Pt_bf」は受信信号のレベルがWeakth以上となる時間である。CPU115は、「Pt_bf」がRAM117に記憶されているか否かで判断する。
【0040】
「Pt_bf」がないと(S20でNo)、CPU115は「Pt」を「Pt_bf」に上書きする(S21)。「Pt」は今回の周期における波のピークタイミングである。例えば、現在の周期におけるWeakth以上となった時間である。CPU115は、RAM117に記憶された「Pt」を読み出して、「Pt_bf」が記憶される領域に書き込む。
【0041】
一方、「Pt_bf」があれば(S20でYes)、CPU115は今回の周期のピークタイミングPtと、前回の周期のピークタイミングPt_bfとから今回の周期Ptopを計算し(S22)、「Pt」を「Pt_bf」に上書きする(S23)。例えば、CPU115は、今回の周期のピークタイミングPtから前回のピークタイミングPt_bfを減算することで周期Ptopを計算する。
【0042】
次いで、CPU115は「Ptop_bf」が有るか否かを判断する(S24)。「Ptop_bf」は前回計算した周期の値である。CPU115はRAM117に「Ptop_bf」が記憶されているか否かにより判断する。
【0043】
「Ptop_bf」がないと(S24でNo)、CPU115は現在の周期「Ptop」を前回の周期「Ptop_bf」に上書きする(S25)。そして、再び処理はS11に移行する。
【0044】
一方、「Ptop_bf」が有れば(S24でYes)、CPU115は「Ptop」と「Ptop_bf」とから周期差を計算する(S26)。例えば、CPU115は「Ptop」と「Ptop_bf」との差分を計算して周期差を計算する。
【0045】
次いで、CPU115は、計算した周期差がRAM117に記憶された周期差の最大値よりも大きいとき、その最大値を更新してRAM117に記憶する(S27)。
【0046】
次いで、CPU115は、現在の周期「Ptop」を前回の周期「Ptop_bf」に上書きし(S28)、信号発生時間がマスク時間を越えたか否かを判断する(S30)。周期差を判定し得る一定の時間が経過したか否かを判断している。
【0047】
信号発生時間がマスク時間を越えないと(S30でNo)、処理は再びS11に移行する。一方、信号発生時間がマスク時間を越えると(S30でYes)、CPU115は周期性の有無を判定する(S31)。例えば、CPU115はRAM117に記憶している周期差の最大値が閾値以上のとき、検出した受信信号には周期性がなく(S33でNo)、車両に人が侵入したことを検知する(S34)。そして、一連の処理は終了する(S35)。
【0048】
一方、周期差の最大値が閾値以上でないとき、受信信号に周期性があり(S33でYes)、外来電波を受信しているものとして車両には人が侵入しないことを検知する。そして、CPU115は再びS11に移行して上述の処理を繰り返す(S32からS11へ)。
【0049】
図6(B)は、「0.2V以上エッジ数」のカウント値の推移例を示す図である。図5(A)の「波Y」の期間において、「0.2V以上エッジ数」は横軸「0.2」付近と、「0.24」付近、及び「0.26」付近の3回あり、CPU115は「3」をカウントする。すなわち、Weakth以上で(S14でYes)、「−0.2V」以下であってり(S15でYes)、さらに「0V」を超えるまで(S16でYes)、「0.2V以上エッジ数」が「3回」発生している。かかる場合に、周期差を計算すると(S26やS27等)、周期が非常に大きくなり、判定処理(S31)では周期性なし、すなわち侵入者ありと誤検知する可能性がある。
【0050】
本侵入センサ11は、このように2回以上の「0.2V以上」の回数をカウントすると、周期の計算に使用される値をクリア(S17でYes、S18)して判定処理(S18)に使用しないようにしている。つまり、本侵入センサ11は、図6(A)の区間「波Y」を検出すると、この区間を周期差の計算に使用しないようにしている。
【0051】
従って、本侵入センサ11は、Weakth以上でない場合でも、外来電波の周期性を確実に検出(外来電波の移動等を確実に検出)することができるため、周期差の計算から除外して計算することで、侵入者の有無を確実に検知できる。
【0052】
尚、周期差を確実に検出する(S26やS31等)ために以下に示す他の実施例がある。例えば、外来電波にノイズが含まれる場合も考えられる。かかる場合、「0.2V以上」のエッジからエッジまでの期間が非常に短い場合が多い。例えば、図7(A)は外来電波にノイズが含まれる場合の例、同図(B)は「0.2V以上エッジ数」のカウント値の例を示す図である。同図(A)に示すようにノイズ区間は、「0.2V以上」のエッジの区間が非常に短い。
【0053】
かかる場合、1周期を正常に検出した(S14からS16)にも拘わらず、「0.2V以上エッジ数」が「2回」以上となり(S17でYes)、周期の計算に使用される値がクリアされてしまう場合がある(S18)。
【0054】
そのため、CPU115は、エッジ数のカウント処理(S17)の際に「0.2V以上」のエッジを検出後、一定時間経過する前に次のエッジを検出してもカウントしないようにし、一定時間経過後にエッジを検出して初めてカウントするようにする。これにより、正常な場合でも周期の計算に使用されるパラメータがクリアされるのを防止し、周期性の有無を確実に検出して、侵入者の有無を確実に検知できる。
【0055】
また、周期差の計算に際し(S26)、前後の周期で「0.2V以上エッジ数」が2回以上あったとき(S17でYes)、前後の周期を計算に含めると、大きな周期差を検出する。図8(A)は外来電波の例を示し、同図(B)は「0.2V以上エッジ数」のカウント値の例を示す図である。同図(A)に示すように、「T4」期間の前後である「T3」期間と「T5期間」は「0.2V以上エッジ数」が「2回」以上検出された周期である。周期差の計算で「T4」期間において「T3」期間や「T5」期間を含めて計算すると周期差が大きくなる。かかる場合にCPU115は、判定処理(S115)において誤って周期性の有無を判定してしまう。
【0056】
そこで、CPU115は、前後の周期で周期のレベルが低下するような場合、当該周期も含めて判定処理(S115)では除外して判定する。図8(A)の例では、「T3」期間や「T5」期間のみならず、「T4」期間も判定処理から除外する。この場合に判定処理において採用される周期差は、「T2−T1」、「T8−T7」、及び「T9−T8」である。これにより本侵入センサ11は、周期性の誤判定を防止し、侵入者を確実に検出することができる。
【0057】
さらに、上述したいずれの例においても信号発生源は高周波治療器を例にして説明した。例えば、一定周期の高周波信号を発生する携帯電話を信号発生源としてもよい。
【0058】
さらに、本侵入センサ11は車両以外に設置されてもよい。例えば、店舗の入口などに設置されてもよい。
【0059】
尚、上述した高周波信号は例えば24GHzの周波数帯が使用されるが、他の周波数帯、例えば76GHzの周波数帯であっても良い。また、本発明では送信波または受信波を電波として説明したがこの送信波または受信波は、光、レーザー、超音波のように車両への侵入者を検出できるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は車載ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】図2は侵入センサの構成例を示す図である。
【図3】図3は同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図4】図4は同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図5】図5は同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は外来電波の例、同図(B)は0.2V超えエッジのカウント例を示す図である。
【図7】図7(A)は外来電波の例、同図(B)は0.2V超えエッジのカウント例を示す図である。
【図8】図8(A)は外来電波の例、同図(B)は0.2V超えエッジのカウント例を示す図である。
【図9】図9は従来の同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は従来の同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は外来電波の例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 車載ネットワークシステム、 10 セキュリティECU、 11 侵入センサ、 20 CANバス、 110 受信アンテナ、 112 受信信号処理回路、 113 マイコン、 115 CPU、 116 ROM、 117 RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電波の送受信により車両への侵入者を検出する検出装置等がある(例えば、以下の特許文献1〜3)。例えば、検出装置は車両に取付けられ、受信した電波に含まれる周期信号の検出の有無により侵入者を検出する。
【0003】
図9及び図10は、従来の検出装置における周期性のある信号を検出する例を示すフローチャートである。検出装置は、処理を開始すると(S100)、信号が継続して発生している場合に(S101でYes)、信号発生時間(Count)と現在の周期(Tsa)とを更新する(S103)。
【0004】
そして、検出装置は、受信した電波に対して、受信した信号発生有無の閾値(信号発生有無スレッシュ)以上か否かを検出し(S104)、検出した場合に「0V」を下回ったか否かを検出する(S105)。図11は外来電波の例を示す図であり、横軸は時間(T)、縦軸は外来電波のレベル(V)を示す。入力波形が信号発生有無閾値を超えて、「0V」を下回れば、入力波形の「山」の部分を検出することになる。ここで信号発生有無閾値は、入力波形の周期性を検出するための閾値であり、この閾値を超えた瞬間を周期の始まりとしている。
【0005】
検出装置は、「山」の部分を検出するごとに山の数(WK)をカウントアップし(S106)、山の数が「2」以上なら、2つの山の周期差を計算し(図9のS110)、周期差の最大値が以前に計算した値よりも大きいと更新する(S111)。そして、検出装置は、現在の周期(Tsa)を過去の周期(Tsa_bf)として上書きし(S112)、信号発生時間(Count)が一定の時間を越え(S113でYes)、「山」の数が「7以上」であれば(S114でYes)、記憶している周期差の最大値により入力波形の周期性を判断する(S115)。例えば、周期性の最大値が閾値よりも大きいと入力波形は周期性を有しておらず、それ以外のときは周期性を有していると判断する。そして、検出装置は、検出した入力波形の電圧レベルに変化がなく周期性がない場合は、侵入者が車両に侵入したことを検出し、周期性があれば外来電波による電圧レベルの変化であることを検出する。
【0006】
また、検出装置は、図9及び同図10に示すように、外来電波が信号発生有無閾値を超えない場合(S104でNo)や「0V」を下回っていない場合(S105でNo)等は、再度信号発生有無閾値を超えるまで周期計算(S106〜S115)を行わない。
【特許文献1】特開2004−181982号公報
【特許文献2】特開昭62−045215号公報
【特許文献3】特開2001−99917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の検出装置は、外来電波が閾値を越えないと車両に人が侵入したと誤検知する場合があった。図10は、横軸が時間(T)、縦軸が外来電波のレベル(V)を示し、検出装置において一定時間外来電波を検出した場合の例である。同図の区間「A」では、外来電波のレベルは信号発生有無閾値を超えない。この区間を含む区間で従来の周期信号検出処理(図8、図9)を行うと、信号発生有無閾値未満で(S104でNo)、検出装置は次の閾値以上となったときにそれまでの「山」の周期差を検出(S110)する。従って、周期差が非常に大きくなり、周期性がないと判定する場合もある(S115)。
【0008】
かかる場合に、侵入者によって外来電波のレベルが信号発生有無閾値未満の場合は問題ない。しかし、例えば図10に示す例では、区間「A」において若干の周期性のある信号を検出している。このような信号は、例えば信号の発生源が移動したときに発生する。
【0009】
すなわち、従来の検出装置による侵入者検出処理では、侵入者による場合とそれ以外の場合、例えば信号発生源の移動による場合とで区別できず、車両に人が侵入したと誤検知する場合があった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものでその目的は、侵入者の有無を確実に検出できる検出装置、及び検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一実施態様によれば、受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置において、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力する受信部と、前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断する判断部とを備え、前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となったときから一定時間経過後、前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となった回数をカウントすることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前記受信信号のレベルが第3の閾値以下となったか否かを判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値以上となり、かつ、前記第3の閾値以下となったときに、前記受信信号の一周期を計算することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前後の周期差が第4の閾値以上のとき前記受信信号には周期性がないものと判断し、前後の周期差が前記第4の閾値よりも小さいとき前記受信信号に周期性があるものと判断することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の他の実施態様によれば、前記検出装置において、前記判断部は、前後の周期で前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号の前記一周期の計算は行わないことを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の他の実施態様によれば、受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置における検出方法において、受信部により、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力し、前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、侵入者の有無を確実に検出できる検出装置、及び検出方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態について、以下図面を参照しながら説明する。図1は、本発明が適用される車載ネットワークシステム1の一例である。車載ネットワークシステム1は、検出装置である侵入センサ11と、振動センサ12と、セキュリティECU(Electronic Control Unit)10と、ロックモータ13と、ホーン14と、ハザードランプ15と、ロックポジションSW16と、CAN(Control Area Network)バス20と、他ECU30とを備える。
【0019】
侵入センサ11は、車両への侵入者を検知する。すなわち、侵入センサ11は例えば車室内の天井に設置され、後述するように送信アンテナと受信アンテナとを備える。そして、送信アンテナから出力された、例えば24GHz帯の電波が車室内の機器(例えば、ハンドルやシート等)で反射してその反射波を受信アンテナで受信する。車室内に侵入者がいない場合は、機器に反射した反射波のみを受信アンテナで受信するため、受信アンテナは一定の入力波形の反射波を受信する。一方、侵入者が車室内に侵入すると入力波形が乱れることになる。よって、侵入センサ11は受信アンテナで受信する反射波の入力波形を検知し、入力波形が乱れたときは侵入者がいることを検知する。しかし、入力波形が乱れたときでも当該入力波形に周期性がある場合もある。この場合、侵入センサ11は侵入者はおらず受信電波を外来電波として判断する。外来電波の発生源は例えば高周波信号を出力する高周波治療器や、携帯電話等の携帯端末等である。侵入センサ11は、車室内の天井部分以外にも、車両のドア入口近傍に取付けられている。侵入センサ11の詳細は後述する。
【0020】
振動センサ12は、車両の振動を検出するセンサである。セキュリティECU10は、侵入センサ11や振動センサ12等、車両内のセキュリティに関するハードウェアに接続される。セキュリティECU10は、CANバス20を介して他ECU30に接続されて車内ネットワークが構築される。
【0021】
セキュリティECU10は、侵入センサ11等の検出信号をロックモータ13やホーン14、ハザードランプ15等に出力し、ロックモータ13により車両をロックしたり、ホーン14から音声が出力されたり、ハザードランプ15が点灯する。
【0022】
尚、CANはISO(International Organization for Standardization)で国際的に標準化されたシリアル通信プロトコルであり、バスが空いているときに他のECUがフレーム(CANプロトコルの通信単位)を送信できるマルチマスタ方式等が採用されている。
【0023】
図2は、検出装置である侵入センサ11の構成例を示す図である。侵入センサ11は、間欠駆動回路1110と、発振回路1120と、逓倍/増幅回路1130と、送信アンテナ111と、受信アンテナ110と、受信信号処理回路1140と、混合回路1150と、検波回路1160、及びマイコン113とを備える。また、マイコン113は、A/D変換器114と、CPU115と、ROM116と、RAM117とを備える。
【0024】
間欠駆動回路1110は、マイコン113から一定時間ごとに信号が入力され、一定時間発振回路1120を駆動するための駆動信号を出力する。一定時間としているのは侵入センサ11が動作中は消費電力を低減するためである。
【0025】
発振回路1120は、間欠駆動回路1110からの駆動信号に基づいて、例えば4MHzの高周波信号を出力する。逓倍/増幅回路1130は、発振回路1120からの高周波信号を、例えば24MHzの周波数信号に逓倍・増幅する。そして、送信アンテナ111から送信電波が送信される。
【0026】
受信アンテナ110は、送信アンテナ111から送信された送信電波が周囲の物体に当たって反射する反射波を受信し、受信信号として出力する。受信信号処理回路1140は、受信アンテナ110からの受信信号を例えばマイコン113内で処理できる信号に変換する。混合回路1150は、受信信号処理回路1140からの受信信号と逓倍/増幅回路1130からの送信信号とを混合して出力する。検波回路1160は、混合回路1150からの混合出力を検波し、検波後の信号をマイコン113に出力する。
【0027】
マイコン113内において、A/D変換器114は、受信信号処理回路112から出力された受信信号をデジタル信号に変換する。CPU115は、デジタル信号に変換された受信信号から、図3及び図4に示す検出処理を実行し、侵入者を検知する。ROM116には検出処理を実行するプログラムが格納され、CPU115がかかるプログラムを読み出して実行することで、検出処理が実行される。また、CPU115は、検出処理を実行するときに使用されるデータ等をRAM117に記憶する。
【0028】
マイコン113(例えば、CPU115)は侵入者を検知するとその信号をセキュリティECU10に出力し、セキュリティECU10はホーン14に検出信号を出力して、ホーン14から侵入者を検知したことを示す音声が出力される。
【0029】
次に、侵入センサ11の動作について説明する。図3、図4、及び図5はCPU115で実行される検出処理の例を示すフローチャートである。
【0030】
処理が開始されると(S10)、CPU115は信号発生継続中か否かを判断する(S11)。CPU115は、外来電波の受信信号が継続して発生していないと処理を終了する(S11でNo、S12)。例えば、CPU115は受信信号レベルが「0V」を超えると信号発生継続中と判断する。
【0031】
継続して信号が発生しているとき(S11でyes)、CPU115は「Count」を更新し、「0.2V以上エッジ数」を更新する(S13)。「Count」は受信信号の発生時間を示し、CPU115がA/D変換器114から受信信号を受信したときからカウントされる。また、「0.2V以上エッジ」とは入力波形の電圧が「0.2V」以上であることを意味し、「0.2V以上エッジ数」とは受信信号の受信レベルが「0.2V」以上となった回数を示す値である。CPU115は、RAM117に記憶された「Count」と「0.2V以上エッジ数」とを「0」に更新する。
【0032】
次いで、CPU115は、受信信号のレベルがWeakth(信号発生有無スレッシュ)以上か否かを検出する(S14)。本実施例では、Weakthの値は「0.45V」とする。CPU115は、受信信号に対して、Weakth以上となった瞬間から周期の始まりを検出する。勿論、「0.45V」は一例であり、周期の開始を示す閾値であればそれ以外の値でもよい。
【0033】
図6(A)及び同図(B)は、受信信号の一例を示す図である。同図(A)及び(B)は横軸が時間(T)、縦軸が受信信号レベル(V)を示す。同図(A)に示すように、受信信号のレベルがWeakthの値「0.45V」以上か否かで判断する。
【0034】
受信信号のレベルがWeakth以上でないとき(S14でNo)、判定等を行うことなくS32に移行し、再びS11の処理を行う。一方、受信信号のレベルがWeakth以上のとき(S14でYes)、CPU115は受信信号のレベルが「−0.2V」以下か否かを検出する(S15)。図6(A)の例では点線の丸印が「−0.2V」以下の部分である。尚、CPU115は受信信号のレベルが「0.45V」以上となった時間をRAM117に記憶する。
【0035】
受信信号のレベルが「−0.2V」以下でないとき(S15でNo)、S32に移行し再びS11の処理を行う。一方、受信信号のレベルが「−0.2V」以下のとき(S15でYes)、CPU115は受信信号のレベルが「0V」を上回るタイミングか否かを検出する(S16)。CPU115は、受信信号において、「谷」の部分を越えて「0V」を超えるか否かのタイミングを検出している。図6(A)の例では縦線で示す位置を越えるタイミングか否かを検出する。尚、S14からS16までの処理は受信信号の波の部分を検出している。
【0036】
受信信号のレベルが「0V」を上回らないとき(S16でNo)、再びS11の処理に移行する。一方、受信信号のレベルが「0V」を上回るとき(S16でYes)、CPU115は「0.2V以上エッジ数」が「1」よりも大きいか否かを判断する(S17)。
【0037】
図6(A)の例において、「波X」の部分では「0.2V」以上の回数は「1回」である。正常な周期信号を含む場合、1周期において「0.2V」以上の回数は「1回」である。
【0038】
しかし、図6(A)の「波Y」の区間で示されるように、Weakth以上にならず、「−0.2V」以下にならないときでも、一定の周期性のある外来電波が検出される場合があり、この場合には、1周期において「0.2V以上エッジ数」が2回以上検出される(S17でYes)。このような周期性のある外来電波は、発生源である高周波治療器の移動による場合が考えられる。本実施例では、かかる場合、周期計算に使用されるパラメータ(Pt、Pt_bf、Ptop、Ptop_bf)をクリアして(S18)、周期計算に用いられないようにしている。
【0039】
一方、CPU115は「0.2V以上エッジ数」が「1回」よりも大きくないとき(S17でNo)、かかる場合は正常な周期を含む外来電波を検出したものとして次の処理に移行して、「Pt_bf」が有るか否かを判断する(図4のS20)。「Pt_bf」とは、前回の周期における波のピークのタイミングを示す。本実施例では、「Pt_bf」は受信信号のレベルがWeakth以上となる時間である。CPU115は、「Pt_bf」がRAM117に記憶されているか否かで判断する。
【0040】
「Pt_bf」がないと(S20でNo)、CPU115は「Pt」を「Pt_bf」に上書きする(S21)。「Pt」は今回の周期における波のピークタイミングである。例えば、現在の周期におけるWeakth以上となった時間である。CPU115は、RAM117に記憶された「Pt」を読み出して、「Pt_bf」が記憶される領域に書き込む。
【0041】
一方、「Pt_bf」があれば(S20でYes)、CPU115は今回の周期のピークタイミングPtと、前回の周期のピークタイミングPt_bfとから今回の周期Ptopを計算し(S22)、「Pt」を「Pt_bf」に上書きする(S23)。例えば、CPU115は、今回の周期のピークタイミングPtから前回のピークタイミングPt_bfを減算することで周期Ptopを計算する。
【0042】
次いで、CPU115は「Ptop_bf」が有るか否かを判断する(S24)。「Ptop_bf」は前回計算した周期の値である。CPU115はRAM117に「Ptop_bf」が記憶されているか否かにより判断する。
【0043】
「Ptop_bf」がないと(S24でNo)、CPU115は現在の周期「Ptop」を前回の周期「Ptop_bf」に上書きする(S25)。そして、再び処理はS11に移行する。
【0044】
一方、「Ptop_bf」が有れば(S24でYes)、CPU115は「Ptop」と「Ptop_bf」とから周期差を計算する(S26)。例えば、CPU115は「Ptop」と「Ptop_bf」との差分を計算して周期差を計算する。
【0045】
次いで、CPU115は、計算した周期差がRAM117に記憶された周期差の最大値よりも大きいとき、その最大値を更新してRAM117に記憶する(S27)。
【0046】
次いで、CPU115は、現在の周期「Ptop」を前回の周期「Ptop_bf」に上書きし(S28)、信号発生時間がマスク時間を越えたか否かを判断する(S30)。周期差を判定し得る一定の時間が経過したか否かを判断している。
【0047】
信号発生時間がマスク時間を越えないと(S30でNo)、処理は再びS11に移行する。一方、信号発生時間がマスク時間を越えると(S30でYes)、CPU115は周期性の有無を判定する(S31)。例えば、CPU115はRAM117に記憶している周期差の最大値が閾値以上のとき、検出した受信信号には周期性がなく(S33でNo)、車両に人が侵入したことを検知する(S34)。そして、一連の処理は終了する(S35)。
【0048】
一方、周期差の最大値が閾値以上でないとき、受信信号に周期性があり(S33でYes)、外来電波を受信しているものとして車両には人が侵入しないことを検知する。そして、CPU115は再びS11に移行して上述の処理を繰り返す(S32からS11へ)。
【0049】
図6(B)は、「0.2V以上エッジ数」のカウント値の推移例を示す図である。図5(A)の「波Y」の期間において、「0.2V以上エッジ数」は横軸「0.2」付近と、「0.24」付近、及び「0.26」付近の3回あり、CPU115は「3」をカウントする。すなわち、Weakth以上で(S14でYes)、「−0.2V」以下であってり(S15でYes)、さらに「0V」を超えるまで(S16でYes)、「0.2V以上エッジ数」が「3回」発生している。かかる場合に、周期差を計算すると(S26やS27等)、周期が非常に大きくなり、判定処理(S31)では周期性なし、すなわち侵入者ありと誤検知する可能性がある。
【0050】
本侵入センサ11は、このように2回以上の「0.2V以上」の回数をカウントすると、周期の計算に使用される値をクリア(S17でYes、S18)して判定処理(S18)に使用しないようにしている。つまり、本侵入センサ11は、図6(A)の区間「波Y」を検出すると、この区間を周期差の計算に使用しないようにしている。
【0051】
従って、本侵入センサ11は、Weakth以上でない場合でも、外来電波の周期性を確実に検出(外来電波の移動等を確実に検出)することができるため、周期差の計算から除外して計算することで、侵入者の有無を確実に検知できる。
【0052】
尚、周期差を確実に検出する(S26やS31等)ために以下に示す他の実施例がある。例えば、外来電波にノイズが含まれる場合も考えられる。かかる場合、「0.2V以上」のエッジからエッジまでの期間が非常に短い場合が多い。例えば、図7(A)は外来電波にノイズが含まれる場合の例、同図(B)は「0.2V以上エッジ数」のカウント値の例を示す図である。同図(A)に示すようにノイズ区間は、「0.2V以上」のエッジの区間が非常に短い。
【0053】
かかる場合、1周期を正常に検出した(S14からS16)にも拘わらず、「0.2V以上エッジ数」が「2回」以上となり(S17でYes)、周期の計算に使用される値がクリアされてしまう場合がある(S18)。
【0054】
そのため、CPU115は、エッジ数のカウント処理(S17)の際に「0.2V以上」のエッジを検出後、一定時間経過する前に次のエッジを検出してもカウントしないようにし、一定時間経過後にエッジを検出して初めてカウントするようにする。これにより、正常な場合でも周期の計算に使用されるパラメータがクリアされるのを防止し、周期性の有無を確実に検出して、侵入者の有無を確実に検知できる。
【0055】
また、周期差の計算に際し(S26)、前後の周期で「0.2V以上エッジ数」が2回以上あったとき(S17でYes)、前後の周期を計算に含めると、大きな周期差を検出する。図8(A)は外来電波の例を示し、同図(B)は「0.2V以上エッジ数」のカウント値の例を示す図である。同図(A)に示すように、「T4」期間の前後である「T3」期間と「T5期間」は「0.2V以上エッジ数」が「2回」以上検出された周期である。周期差の計算で「T4」期間において「T3」期間や「T5」期間を含めて計算すると周期差が大きくなる。かかる場合にCPU115は、判定処理(S115)において誤って周期性の有無を判定してしまう。
【0056】
そこで、CPU115は、前後の周期で周期のレベルが低下するような場合、当該周期も含めて判定処理(S115)では除外して判定する。図8(A)の例では、「T3」期間や「T5」期間のみならず、「T4」期間も判定処理から除外する。この場合に判定処理において採用される周期差は、「T2−T1」、「T8−T7」、及び「T9−T8」である。これにより本侵入センサ11は、周期性の誤判定を防止し、侵入者を確実に検出することができる。
【0057】
さらに、上述したいずれの例においても信号発生源は高周波治療器を例にして説明した。例えば、一定周期の高周波信号を発生する携帯電話を信号発生源としてもよい。
【0058】
さらに、本侵入センサ11は車両以外に設置されてもよい。例えば、店舗の入口などに設置されてもよい。
【0059】
尚、上述した高周波信号は例えば24GHzの周波数帯が使用されるが、他の周波数帯、例えば76GHzの周波数帯であっても良い。また、本発明では送信波または受信波を電波として説明したがこの送信波または受信波は、光、レーザー、超音波のように車両への侵入者を検出できるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は車載ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】図2は侵入センサの構成例を示す図である。
【図3】図3は同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図4】図4は同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図5】図5は同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は外来電波の例、同図(B)は0.2V超えエッジのカウント例を示す図である。
【図7】図7(A)は外来電波の例、同図(B)は0.2V超えエッジのカウント例を示す図である。
【図8】図8(A)は外来電波の例、同図(B)は0.2V超えエッジのカウント例を示す図である。
【図9】図9は従来の同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は従来の同期信号検出処理の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は外来電波の例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 車載ネットワークシステム、 10 セキュリティECU、 11 侵入センサ、 20 CANバス、 110 受信アンテナ、 112 受信信号処理回路、 113 マイコン、 115 CPU、 116 ROM、 117 RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置において、
前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力する受信部と、
前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断する判断部とを備え、
前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となったときから一定時間経過後、前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となった回数をカウントすることを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記受信信号のレベルが第3の閾値以下となったか否かを判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値以上となり、かつ、前記第3の閾値以下となったときに、前記受信信号の一周期を計算することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項4】
前記判断部は、前後の周期差が第4の閾値以上のとき前記受信信号には周期性がないものと判断し、前後の周期差が前記第4の閾値よりも小さいとき前記受信信号に周期性があるものと判断することを特徴とする請求項3記載の検出装置。
【請求項5】
前記判断部は、前後の周期で前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号の前記一周期の計算は行わないことを特徴とする請求項3記載の検出装置。
【請求項6】
受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置における検出方法において、
受信部により、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力し、
前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断する、
ことを特徴とする検出方法。
【請求項1】
受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置において、
前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力する受信部と、
前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断する判断部とを備え、
前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断することを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となったときから一定時間経過後、前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号のレベルが前記第2の閾値以上となった回数をカウントすることを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記受信信号のレベルが第3の閾値以下となったか否かを判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値以上となり、かつ、前記第3の閾値以下となったときに、前記受信信号の一周期を計算することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項4】
前記判断部は、前後の周期差が第4の閾値以上のとき前記受信信号には周期性がないものと判断し、前後の周期差が前記第4の閾値よりも小さいとき前記受信信号に周期性があるものと判断することを特徴とする請求項3記載の検出装置。
【請求項5】
前記判断部は、前後の周期で前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号の前記一周期の計算は行わないことを特徴とする請求項3記載の検出装置。
【請求項6】
受信波に基づいて侵入者の有無を検出する検出装置における検出方法において、
受信部により、前記受信波を受信して前記受信波に含まれる受信信号を出力し、
前記受信信号に対して、第1及び第2の閾値により前記受信信号の周期性の有無を判断し、前記受信信号のレベルが前記第1の閾値未満で、複数回前記第2の閾値以上となったとき、前記受信信号は周期性を有するものと判断する、
ことを特徴とする検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−92542(P2009−92542A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264230(P2007−264230)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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