説明

検知器アレイおよびそれを用いた設備

【課題】本発明は検知器アレイを開示する。
【解決手段】本検知器アレイは、被検体の第1複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第1複数の部分に対する第1検知値と第2検知値とを取得するための第1リニアアレイ検知器と、前記第1リニアアレイ検知器と平行に設けられ、被検体の第2複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第2複数の部分に対する第3検知値と第4検知値とを取得するための第2リニアアレイ検知器とを含み、第2放射線と第1放射線は交互に輻射され、前記第1複数の部分と前記第2複数の部分は同じである。本検知器アレイにより、被検体に対する交互の二重エネルギーの放射線の走査検査効率と材料識別の正確率を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体のレントゲン写真を取って結像するための検知器に係り、特に、交互に発せられる放射線を用いて、被検体を検査する過程において出現しているエッジにおける物体材料に対する識別錯誤と識別の不正確さとを解消し、走査検査効率を倍に高くする検知器アレイおよびそれを用いた設備に関する。
【背景技術】
【0002】
税関における安全検査システムに対する要求が絶えず増すことに従って、例えば、特許文献1のように、二種の異なるエネルギーのX線を用いて被検体を無損検査するとともに、被検体の物質材料を識別することを実現するという技術は広く普及されている。最近、大型オブジェクトの無損検出において、高エネルギー領域(>1MeV)の二重エネルギー法で材料識別を実現するための技術も再び提出されている(特許文献2を参照)。
【0003】
二重エネルギー法で材料識別を実現するための物理原理は、二束の異なるエネルギーのX線が同一物体と相互作用し、フォトンエネルギーレベルが相違により、物体との相互作用に差別が存在することである、この差別が全体的に減衰係数比の違いに表れていると簡単に認められる。そのために、この原理に基づき、二種の異なるエネルギーの放射線が交互に発せられる複数の方法は提案されており、例えば、特許文献3及び特許文献4に記載されている単一放射線源は、材料吸収の方法で調整し、高エネルギースペクトルが得られる。なお、特許文献5には、一つの加速器により高又は低エネルギースペクトルの二種類の放射線が発せられることが開示されている。しかしながら、交互に発せられた高又は低エネルギースペクトルのX線では、物体を走査する時に、以下のようにシビアな欠点が存在する。つまり、二種のエネルギーレベルを持つX線はある周波数だけで交互に発せられるので、二種の放射線の発生の間に一定の時間間隔が存在している。被検体(例えば、手荷物、コンテナーなど)を走査するために用いられると、被検体は常に一定な速さで移動しているので、高又は低エネルギーのX線の発生する時間間隔に一定の距離だけ移動していた。このように、高又は低の二束放射線が物質と相互作用する過程は完全に同じではない。故に、材料に対する識別の正確率に影響を及ぼし、特に被検体のエッジにおいては、異なるエネルギーの二種放射線が相違する物体と相互作用した場合には、間違った識別結果が得られる。また、高又は低エネルギーの放射線が非同一物質と相互作用することによるエラーを少なくするための伝統的な方法は、被検体の速さを遅くするものであるが、これはオブジェクトを検査するための効率をシビアに制限し、オブジェクトのエッジにおける誤った識別問題ついては、依然として解決されていない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5044002号明細書
【特許文献2】米国特許第5524113号明細書
【特許文献3】米国特許第6069936号明細書
【特許文献4】国際公開第00/043760号パンフレット
【特許文献5】国際公開第04/030162号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであって、交互に発せられる放射線を用いて、被検体を検査する過程に出現している物体エッジにおける識別錯誤の欠点を解消する検知器アレイおよびそれを用いた材料識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一側面では、被検体の第1複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第1複数の部分に対する第1検知値と第2検知値とを取得するための第1リニアアレイ検知器と、
前記第1リニアアレイ検知器と平行に設けられ、被検体の第2複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第2複数の部分に対する第3検知値と第4検知値とを取得するための第2リニアアレイ検知器とを含み、
前記第2放射線と第1放射線は交互に輻射され、
前記第1複数の部分と前記第2複数の部分は同じであることを特徴とする検知器アレイが提案される。
【0007】
本発明の実施例によれば、前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器は密接に配列されることが好ましい。
【0008】
本発明の実施例によれば、前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器との間の距離は調節可能であることが好ましい。
【0009】
本発明の実施例によれば、前記距離は被検体の動きの速さ及び交互に発せられた第1放射線と第2放射線との間における時間間隔により定められることが好ましい。
【0010】
本発明の実施例によれば、前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器との検知器ユニットごとに、シンチレータ又はガス探知器を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の実施例によれば、前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器は同一処理装置に接続されることが好ましい。
【0012】
本発明の実施例によれば、前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器は各々、別々の処理装置に接続されることが好ましい。
【0013】
本発明の実施例によれば、前記第1放射線と第2放射線は同一放射線源から発せられるものであることが好ましい。
【0014】
本発明の実施例によれば、前記シンチレータはCdWO又はCsIであることが好ましい。
【0015】
また、本発明では前記検知器アレイを含む設備がさらに提案される。
【0016】
また、本発明では前記検知器アレイを用いるレントゲン写真方法がさらに提案される。
【0017】
また、本発明では前記検知器アレイを用いる材料識別方法がさらに提案される。
【0018】
本発明の他の一側面では、平行に設けられる第1リニアアレイ検知器と第2リニアアレイ検知器を備える検知器アレイを用いて放射線を検出する方法において、所定速度で移動している被検体を透過するように第1放射線と第2放射線とを発生させるステップと、第1リニアアレイ検知器を利用して被検体の第1複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第1複数の部分に対する第1検知値と第2検知値とを取得するステップと、第2リニアアレイ検知器を利用して被検体の第2複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第2複数の部分に対する第3検知値と第4検知値とを取得するステップを含み、
第2放射線と第1放射線は交互に輻射され、
前記第1複数の部分と前記第2複数の部分は同じであることを特徴とする方法が提案される。
【0019】
本発明の実施例によれば、当該方法は、さらに被検体の速さと交互に発せられる第1放射線と第2放射線との間の時間間隔に基づき、前記第1リニアアレイ検知器と第2リニアアレイ検知器との距離を調整するステップを含むことを特徴とする。
【0020】
本発明のさらに他の一側面では、被検体の第1複数の部分を透過した第1放射線、第2放射線及び第3放射線を検出し、前記第1複数の部分に対する第1検知値、第2検知値及び第3検知値を取得するための第1リニアアレイ検知器と、前記第1リニアアレイ検知器と平行に設けられ、被検体の第2複数の部分を透過した第1放射線、第2放射線及び第3放射線を検出し、前記第2複数の部分に対する第4検知値、第5検知値及び第6検知値を取得するための第2リニアアレイ検知器と、前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器と平行に設けられ、被検体の第3複数の部分を透過した第1放射線、第2放射線及び第3放射線を検出し、前記第3複数の部分に対する第7検知値、第8検知値及び第9検知値を取得するための第3リニアアレイ検知器とを含み、前記第1放射線、第2放射線及び第3放射線は交互に輻射され、前記第1複数の部分と前記第2複数の部分は同じであり、前記第2複数の部分と前記第3複数の部分は同じであることを特徴とする検知器アレイが提案される。
【発明の効果】
【0021】
検知器アレイは透過した放射線を検出すると共にディスロケーションマッチングにより、高又は低エネルギーの放射線ビームが物体の同一位置に相互作用し正確に検出されることが実現される。また、第1リニアアレイ検知器と第2リニアアレイ検知器との間の距離は、被検体の動きの速さ及び放射線源から発せられた高又は低エネルギーの放射線の時間間隔により定められるので、高又は低エネルギーの放射線が被検体の同一部分と相互作用することを保証した上で相互作用した放射線が検出され、二重エネルギー法により物質に対する材料識別の正確率が向上し、被検体のエッジにおける識別錯誤が解消される。第1リニアアレイ検知器と第2リニアアレイ検知器との間の距離は調整可能であるため、被検体の動きの速さは可変となり、被検体の動きの速さに対する要求は減少する。なお、第1リニアアレイ検知器と第2リニアアレイ検知器が同時に信号を収集することは、検出面積を増加することに相当し、また一個のシンチレータの小さな断面積が被検体に対する検出精度を保証するので、精細な検出画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の実施例による二列の検知器アレイを用いて物質材料の識別を実現するためのシステムの概略図である。
【0024】
図1に示すように、第1リニアアレイ104aと第2リニアアレイ104bとを含む検知器アレイを用いて、放射線源から交互に発せられた二重エネルギーの放射線の収集を実現する。放射線源100は交互にX線のような放射線を発生することができる。同期制御部105は、同期信号110のタイミングにて放射線源100に高又は低エネルギーレベルの放射線を交互に発生させるように、同期信号110を放射線源100、第1リニアアレイ104aと第2リニアアレイ104bに供給する。
【0025】
放射線源100から発せられた放射線102がコリメーター101を介して、扇状の平面輻射が得られる。図1に示すように、被検体103はある固定速さで輻射平面に垂直な固定方向に移動している。平面輻射が被検体103と相互作用した透過輻射は、第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bとにより検出される。ここで、第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bとは互いに平行し、同期制御部105からの同期信号に基づき同期収集を行うためにコレクティング回路のパラメーターを調整するが、これは必ずしも必要ではない。
【0026】
その後、二列の検知器アレイの処理モジュールは最後に収集された二束のビームを整合し、高又は低エネルギーの放射線が被検体103における同一位置と相互作用した検知値を出力する。この検知値はネットワークを介して画像処理及び材料識別部106に転送される。画像処理及び材料識別部106は二重エネルギーのアルゴリズムとかかる画像処理アルゴリズムを利用して最終的に例えば無機物、有機物、重金属などのような被検体の材料属性を識別する。
【0027】
図2は本発明の一実施例であり、放射線源100から異なるエネルギーの放射線を交互に発生させるときの検知器アレイの動作原理を表示する概略図である。
【0028】
図2に示すように、放射線源100はタイミング203を基にして高又は低エネルギーレベルを持つ放射線102Hと102Lとを交互に発生させ、この高又は低エネルギーの放射線は二束ビームの輻射の間の時間間隔tが等しく固定周波数で交互に輻射される。物体103は固定速さVで一方向に移動している。任意時刻に放射線源100は高エネルギーの放射線102Hを輻射し、この放射線はコリメートされた後被検体103における部分1と部分2と相互作用することとする。透過した放射線はそれぞれ第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bにより検出されバッファされ、検知値は102H−1Aと102H−2Bとを表示している。
【0029】
そして、放射線源100は時間tを経てから、続いて低エネルギーの放射線102Lを輻射している。そのとき、被検体103は既に一画素の距離V*tだけ前に向かって移動した。低エネルギーの放射線102Lは被検体103の部分2と部分3とを透過してから、第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bによりそれぞれ収集、バッファされ、各々102L−2Aと102L−3Bとして表される。検知器アレイにおける処理モジュールは前回バッファされた高エネルギー放射線102Hと被検体103の部分2とを相互作用させた後収集されている102H−2Bと、今回低エネルギー放射線102Lと被検体103の部分2とを相互作用させた後収集されている102L−2Aとをペアにし、接続される画像処理及び材料識別部106に出力する。
【0030】
次に、放射線源100はタイミング203を基にして再び高エネルギー放射線102Hを発生すると同時に、被検体103は一画素の距離V*tだけさらに移動したので、高エネルギー放射線102Hが被検体103の部分3と部分4と相互作用することになる。第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bはそれぞれ高エネルギー放射線102Hと被検体103が相互作用した検知値を収集し、各々に102H−3Aと102H−4Bとして表される。その後、検知器アレイにおける処理モジュールは前回バッファされた低エネルギー放射線102Lと被検体103の部分3が相互作用した後収集されている検知値102L−3Bと、今回高エネルギー放射線102Lと被検体103の部分3が相互作用した後収集されている検知値102H−3Aとをペアにして、接続される画像処理及び材料識別部106に出力する。こうすれば、被検体103の動きに伴って高又は低エネルギーの放射線を被検体103の同一部分と相互作用させる信号検出が実現される。
【0031】
このように、平行な2つの第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bを利用するので、放射線源100から最初に発せられた高エネルギーのビームであるナロービームに近似する第1放射線は被検体103の部分1と部分2と相互作用してから、第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bに収集される。第1リニアアレイ検知器104aは被検体103の部分1を透過した第1放射線を検出し、部分1の第1検知値を出力する。第2リニアアレイ検知器104bは被検体103の部分2を透過した第1放射線を検出し、部分2の第1検知値を出力する。直後に、放射線源100が低エネルギーの第2放射線を輻射して、このとき被検体103が既に一画素の距離だけ前に向かって移動したので、第2放射線は被検体103の部分2と3と相互作用するようになる。第1リニアアレイ検知器104aと第2リニアアレイ検知器104bはそれぞれ部分2と3を透過した第2放射線を検出し、部分2の第2検知値と部分3の第1検知値を出力する。この場合、部分2の第1検知値と部分2の第2検知値はそれぞれ第1放射線と第2放射線とが被検体103の部分2を透過した出力値である。従って、その第1検知値と第2検知値に基づき被検体103の部分2における有効原子番号を確定でき、当該部分2の材料属性を確定することができる。
【0032】
ここで、図3(A)に示すように、2つのリニアアレイ検知器104aと104bはいずれも複数の検知器ユニットを含み、密接に設置されるCdWO又はCsIからなる2つのシンチレータで構成する。図3(A)に示すように、第1及び第2リニア検知器104a及び104bは一体に結合することができる。各行にある2つのシンチレータは固定され、処理モジュール305に接続される。2つのシンチレータが信号を検出した後、同時に信号302Aと302Bを出力し、この二つの信号は処理モジュール305でバッファされ処理される。検知器は隣接する2つのパルスの高又は低エネルギーの放射線信号を検出した場合、処理モジュール305は高又は低エネルギーの信号を整合させて、被検体の対応部分の高又は低エネルギーの検知値を画像処理及び材料識別部106に出力する。また、第1及び第2リニア検知器104a及び104bは独立にそれぞれ信号301Aと301Bを各々の処理モジュール(図示せず)に出力してもよい。検知器アレイは高又は低エネルギーの放射線が被検体を透過した信号を収集するごとに、検知値を高又は低エネルギーの放射線に対してペアになるように処理モジュール305に出力して、被検体103における各部分の高又は低エネルギーの検知値は得られる。また、2つのリニア検知器104aと104bのいずれかがガス検知器でもよい。
【0033】
その以外では、図3(B)に示すように、第1リニア検知器104aと第2リニア検知器104bとの間の距離dは調節可能である。ここで、該距離dは被検体103の動きの速さVと放射線源100から発せられる高又は低エネルギーの放射線の時間間隔tにより定められる、つまりd=V*t。すなわち、放射線源から発せられる高又は低エネルギーの2つの放射線の時間間隔と被検体の動きの速さに従って、第1リニア検知器104aと第2リニア検知器104bの間の距離dを調整し、隣接する高又は低エネルギーの放射線が被検体の同一部分を透過する要求を満たすようにする。
【0034】
当業者は、本実施例における二列の検知器が走査速度を向上するように四列又は六列に拡張してもよいことは理解されたい。
【0035】
以上に記載されていることは二重エネルギーの場合の例であるが、本発明をマルチエネルギーの応用に適用してもよい。
【0036】
図4は本発明の他の実施例であり、放射線源が異なるエネルギーの放射線を交互に発生するときの検知器アレイの動作原理を表示する概略図である。
【0037】
図4に示すように、本実施例と上述の実施例との相違点は、検知器アレイがそれぞれ三種のエネルギーの放射線102H、102M及び102Lに対応する三つのリニアアレイ検知器104a、104b及び104cを含むことである。
【0038】
図4に示すように、放射線源100は、タイミング203を基にして高、中及び低という三種のエネルギーの放射線102H、102M及び102Lを発生し、二つの放射線の間における時間間隔tが等しいように高、中及び低エネルギーの放射線を所定周波数で交互に輻射する。被検体103は固定速さVで一方向に移動する。仮に任意時刻に、放射線源100は高エネルギーの放射線102Hを輻射し、該放射線はコリメートされてから被検体103の部分1、部分2及び部分3と相互作用して、透過した放射線はそれぞれ第1リニアアレイ検知器104a、第2リニアアレイ検知器104b及び第3リニアアレイ検知器104cにより収集、バッファされ、各々102H−1A、102H−2B及び102H−3Cとして表される。
【0039】
その後、放射線源100は時間tを経てから、続いて中エネルギーの放射線102Mを輻射している。そのとき、被検体103は既に一画素の距離V*tだけ前に向かって移動した。中エネルギーの放射線102Mは被検体103の部分2、部分3及び部分4を透過してから、第1リニアアレイ検知器104a、第2リニアアレイ検知器104b及び第3リニアアレイ検知器104cによりそれぞれ収集、バッファされ、各々102M−2A、102M−3B及び102M−4Cとして表される。
【0040】
そして、放射線源100は時間tを経てから、続いて低エネルギーの放射線102Lを輻射している。そのとき、被検体103は既に一画素の距離V*tだけ前に向かって移動した。低エネルギーの放射線102Lは被検体103の部分3、部分4及び部分5を透過してから、第1リニアアレイ検知器104a、第2リニアアレイ検知器104b及び第3リニアアレイ検知器104cによりそれぞれ収集、バッファされ、各々102L−3A、102L−4B及び102L−5Cとして表される。こうすれば、三種の異なるエネルギーの放射線による画素点である部分3の透過値が得られ、102H−3C、102M−3B及び102L−3Aとして表される。
【0041】
次に、放射線源100は、タイミング203を基にして再び高エネルギーの放射線102Hを発生すると同時に、被検体103は一画素の距離V*tだけさらに移動したので、高エネルギーの放射線102Hが被検体103の部分4、部分5及び部分6と相互作用している。第1リニアアレイ検知器104a、第2リニアアレイ検知器104b及び第3リニアアレイ検知器104cはそれぞれ高エネルギー放射線102Hが被検体103と相互作用した検知値を収集し、各々102H−4A、102H−5B及び102L−6Cとして表される。こうすれば、三種異なるエネルギーの放射線による画素点である部分4の透過値が得られ、102H−4A、102M−4C及び102L−4Bとして表される。
【0042】
同様に、当業者は、本実施例における三列の検知器は走査速度を向上するように六列又は九列に拡張してもよいことは理解されたい。
【0043】
以上述べたことは、本発明における具体的な実施形態だけであるが、本発明が保護請求する範囲はこれらの実施形態に限られない。即ち当業者が本発明に開示されている技術範囲内で容易に想到し得る変換又は置換はいずれも本発明に含まれるものである。従って、本発明の保護範囲はクレームの保護範囲を基準とされたい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例にかかる検知器アレイを用いて材料識別を実現するシステムの概略図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる放射線源から異なるエネルギーの放射線を交互に発生させるときの検知器アレイの動作原理を表示する概略図である。
【図3】本発明の実施例にかかる検知器アレイの構成の概略図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる放射線源から異なるエネルギーの放射線を交互に発生させるときの検知器アレイの動作原理を表示する概略図である。
【符号の説明】
【0045】
100 放射源
101 コリメーター
102 放射線
103 被検体
104a 第1リニアアレイ
104b 第2リニアアレイ
105 同期制御部
106 画像処理及び材料識別部
110 同期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の第1複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第1複数の部分に対する第1検知値と第2検知値とを取得するための第1リニアアレイ検知器と、
前記第1リニアアレイ検知器と平行に設けられ、被検体の第2複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第2複数の部分に対する第3検知値と第4検知値とを取得するための第2リニアアレイ検知器とを含み、
前記第2放射線と前記第1放射線は交互に輻射され、
前記第1複数の部分と前記第2複数の部分は同じであることを特徴とする検知器アレイ。
【請求項2】
前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器は密接に配列されることを特徴とする請求項1に記載の検知器アレイ。
【請求項3】
前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器との間の距離は調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の検知器アレイ。
【請求項4】
前記距離は被検体の動きの速さ及び交互に発せられた第1放射線と第2放射線との間における時間間隔により定められることを特徴とする請求項3に記載の検知器アレイ。
【請求項5】
前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器との検知器ユニットごとにシンチレータ又はガス検知器を含むことを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の検知器アレイ。
【請求項6】
前記シンチレータはCdWO又はCsIであることを特徴とする請求項5に記載の検知器アレイ。
【請求項7】
前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器は同一処理装置に接続されることを特徴とする請求項5に記載の検知器アレイ。
【請求項8】
前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器はそれぞれ別々の処理装置に接続されることを特徴とする請求項5に記載の検知器アレイ。
【請求項9】
前記第1放射線と前記第2放射線は同一放射線源から発せられるものであることを特徴とする請求項5に記載の検知器アレイ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の検知器アレイを含むことを特徴とする設備。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の検知器アレイを用いることを特徴とするレントゲン写真方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の検知器アレイを用いることを特徴とする材料識別方法。
【請求項13】
平行に設けられる第1リニアアレイ検知器と第2リニアアレイ検知器を備える検知器アレイを用いて放射線を検出する方法において、
所定速度で移動している被検体を透過するように第1放射線と第2放射線とを交互に発生させるステップと、
第1リニアアレイ検知器により被検体の第1複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第1複数の部分に対する第1検知値と第2検知値とを取得するステップと、
第2リニアアレイ検知器により被検体の第2複数の部分を透過した第1放射線と第2放射線とを検出し、前記第2複数の部分に対する第3検知値と第4検知値とを取得するステップとを含み、
前記第2放射線と前記第1放射線は交互に輻射され、
前記第1複数の部分と前記第2複数の部分は同じであることを特徴とする方法。
【請求項14】
被検体の速さ及び交互に発せられる第1放射線と第2放射線との間の時間間隔に基づき、前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器との距離を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1放射線と前記第2放射線は同一放射線源から発せられるものであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器との検知器ユニットごとに、シンチレータ又はガス探知器を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記シンチレータはCdWO又はCsIであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被検体の第1複数の部分を透過した第1放射線、第2放射線及び第3放射線を検出し、前記第1複数の部分に対する第1検知値、第2検知値及び第3検知値を取得するための第1リニアアレイ検知器と、
前記第1リニアアレイ検知器と平行に設けられ、被検体の第2複数の部分を透過した第1放射線、第2放射線及び第3放射線を検出し、前記第2複数の部分に対する第4検知値、第5検知値及び第6検知値を取得するための第2リニアアレイ検知器と、
前記第1リニアアレイ検知器と前記第2リニアアレイ検知器と平行に設けられ、被検体の第3複数の部分を透過した第1放射線、第2放射線及び第3放射線を検出し、前記第3複数の部分に対する第7検知値、第8検知値及び第9検知値を取得するための第3リニアアレイ検知器とを含み、
前記第1放射線、前記第2放射線及び前記第3放射線は交互に輻射され、
前記第1複数の部分と前記第2複数の部分は同じであり、
前記第2複数の部分と前記第3複数の部分は同じであることを特徴とする検知器アレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−309929(P2007−309929A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124981(P2007−124981)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(506388336)清華同方威視技術股▲フン▼有限公司 (7)
【Fターム(参考)】