説明

検知装置、画像形成装置、プログラムおよび検知システム

【課題】連結されたギアから破損したギアを容易に特定可能とする。
【解決手段】連結されたギアのうち1のギアについて回転速度の周波数特性を算出し、噛合周波数でのピークが閾値以上である場合に、連結されたギアが破損したギアを含むものと判定する。そして、連結されたギアが破損したギアを含むと判定された場合に、連結されたギアのうち何れか1のギアにおける回転速度の変化の周期を検出し、連結されたギアのうち、回転周期が検出された周期と対応するギアが破損したギアであると特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結されたギアの破損を検知する検知装置、画像形成装置、プログラムおよび検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置や画像形成装置のような回転駆動系を有する装置においては、モータの回転速度を減速するために、径の異なる複数のギアを組み合わせたギア伝達機構が用いられることが多い。このようなギア伝達機構においては、磨耗や過負荷によるギアの破損がしばしば発生し、装置の異常動作の原因となっている。したがって、このギアの破損の予測、診断および検知を可能とすることは、装置の保全に大きく役立つ。
【0003】
例えば、特許文献1には、歯車の噛合周波数成分の大きさと、噛合周波数とから求めた、軸回転数の間隔で刻んだ周波数成分毎の減衰傾向に基づき歯車の異常を検知するようにした技術が記載されている。また、特許文献2には、モータトルクおよびモータ回転速度の周波数特性に基づきギア破損の有無を判断するようにした技術が記載されている。さらに、特許文献3には、歯車駆動系の回転信号をフーリエ変換し、各ギアの噛合周波数成分の振幅値に基づき歯車の異常個所を特定するようにした技術が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ギアの噛合周波数成分だけを観察しても、噛合うギアの何方側に異常の原因があるのかを特定することはできない。そのため、上述した特許文献1〜3に記載の何れの技術を用いても、ギアで連結されたユニットのどの軸のギアが破損したかを特定することが特定が極めて困難であるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、連結されたギアから破損したギアを容易に特定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、連結されたギアのうち少なくとも1のギアの回転速度を計測する計測手段と、計測手段で計測された回転速度の周波数特性を算出する算出手段と、計測手段で計測された回転速度の変動の周期を検出する検出手段と、算出手段で算出された周波数特性に基づき連結されたギアに破損ギアが含まれるか否かを判定する判定手段と、判定手段で破損ギアが含まれると判定された場合に、連結されたギアのうち、回転周期が検出手段で検出された周期と対応するギアを、破損ギアとして特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、連結されたギアのうち少なくとも1のギアの回転速度を計測する計測ステップと、計測ステップにより計測された回転速度の周波数特性を算出する算出ステップと、計測ステップにより計測された回転速度の変動の周期を検出する検出ステップと、算出ステップにより算出された周波数特性に基づき連結されたギアに破損ギアが含まれるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにより破損ギアが含まれると判定された場合に、連結されたギアのうち、回転周期が検出ステップにより検出された周期と対応するギアを、破損ギアとして特定する特定ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、連結されたギアから破損したギアを容易に特定可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に適用可能な画像形成装置の構造の例を概略的に示す略線図である。
【図2】図2は、中間転写ベルトを駆動する駆動系の構成例について、より詳細に示す略線図である。
【図3】図3は、ロータリエンコーダの一例の構成をより詳細に示す略線図である。
【図4】図4は、パルス検出部と駆動制御部の構成の一例をより詳細に示すブロック図である。
【図5】図5は、駆動ローラの回転速度の周波数特性を解析した解析結果の例を示す略線図である。
【図6】図6は、駆動ローラの回転速度について自己相関関数を算出した一例の結果を示す略線図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係る破損ギア検知装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、ギア破損検知部の一例の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、破損ギア特定部の一例の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、第1の実施形態のギア破損検知装置によるモータ制御および破損ギア検知処理を示す一例のフローチャートである。
【図11】図11は、第1の実施形態による破損ギア検知処理をより詳細に示す一例のフローチャートである。
【図12】図12は、感光体ドラムを駆動する駆動系の構成例を示す略線図である。
【図13】図13は、第2の実施形態による破損ギア検知装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、破損ギア特定部の一例の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、第2の実施形態よる破損ギア検知処理をより詳細に示す一例のフローチャートである。
【図16】図16は、各実施形態および変形例に適用可能な複合機の一例のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、第4の実施形態の検知システムの一例を示す外観図である。
【図18】図18は、検知システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、ギア破損検知装置の第1の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、連結されたギアのうち1のギアについて回転速度の周波数特性を算出し、噛合周波数でのピークが閾値以上である場合に、連結されたギアが破損したギアを含むものと判定する。そして、連結されたギアが破損したギアを含むと判定された場合に、連結されたギアのうち何れか1のギアにおける回転速度の変化の周期を検出し、連結されたギアのうち、回転周期が検出された周期と対応するギアが破損したギアであると特定する。
【0011】
なお、以下では、本実施形態に係るギア破損検知装置を画像形成装置、例えばカラー画像を形成する複写機に適用した例を挙げて説明するが、適用可能な装置はこれに限られるものではない。例えば、PC(パーソナルコンピュータ)などの外部コントローラから画像データを受け取り、画像を形成するプリント機器なども含まれる。また、例えば、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、および、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能並びにファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。さらに、本実施形態に係るギア破損検知装置は、画像形成装置のみならず、複数のギアが連結して動力を伝達する構造を有していれば、他の種類の装置にも適用可能なものである。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に適用可能な画像形成装置10の構造の例を概略的に示す。なお、第1の実施形態では、カラー複写機で用いる中間転写ベルトを駆動するためのギアの破損を検出する場合を例に挙げて説明する。図1に示すように、画像形成装置10は、スキャナユニット11と、感光体ユニット12a〜12dと、定着ユニット13と、中間転写ベルト14と、二次転写ローラ15と、レジストローラ16と、給紙ローラ17と、紙搬送ローラ18と、転写紙19と、給紙ユニット20と、斥力ローラ21と、排紙ユニット22と、中間転写スケール検出センサ23とを備えている。
【0013】
スキャナユニット11は、原稿台の上面に載置された原稿の画像を読み取る。感光体ユニット12a〜12dは、それぞれYCMK4色に対応し、潜像担持体としてのドラム状の感光体ドラム、感光体クリーニングローラなどを有している。以下、色を特定しない場合は、単に感光体ユニット12という場合がある。
【0014】
定着ユニット13は、転写されたトナー画像を転写紙上に定着させる。中間転写ベルト14は、感光体ユニット12a〜12dで形成された各色の画像を重ね合わせかつ転写紙に転写させる。中間転写ベルト14は、駆動ローラ30により駆動される。駆動ローラ30は、モータ52により、歯数が異なり連結されたギア55および56を介して回転速度が減速されて駆動される。
【0015】
二次転写ローラ15は、中間転写ベルト14上の画像を転写紙に転写する。レジストローラ16は、転写紙のスキュー補正および転写紙搬送などを行う。給紙ローラ17は、転写紙を給紙ユニット20から搬送部へ送り出す。紙搬送ローラ18は、給紙ローラ17から送り出された転写紙19をレジストローラ16まで搬送する。
【0016】
給紙ユニット20は、転写紙19を積載する。斥力ローラ21は、二次転写ローラ15の対抗部分に配置され、中間転写ベルト14と二次転写ローラ15との間のニップを生成および維持させる。排紙ユニット22は、画像が転写かつ定着された転写紙が排出される。中間転写スケール検出センサ23は、中間転写ベルト14上に形成されたスケールを検出してパルス出力を生成する。
【0017】
図2は、中間転写ベルト14を駆動する駆動系の構成例について、より詳細に示す。モータ52は、駆動制御部101の制御に従い駆動部102により駆動される。中間転写ベルト14を駆動する駆動ローラ30は、モータ52の回転軸に取り付けられたギア55と、ギア55に連結されるギア56とにより、モータ52の回転速度が減速されて駆動される。
【0018】
図2の例では、ギア56と同一軸にコードホイール53が設けられている。コードホイール53は、パルス発生部54と共にロータリエンコーダを構成するもので、ギア56と共に回転する。
【0019】
図3は、ロータリエンコーダの一例の構成をより詳細に示す。コードホイール53は、外周にロータリスケールが設けられる。一例として、透明なコードホイール53に対して、外周に、遮光可能な例えば黒のスリット53a、53a、…が等間隔に設けられ、ロータリスケールが構成される。一方、パルス発生部54は、透過型の光センサであって、発光部54aから出射された光が受光部54bにより受光され、受光信号が出力される。発光部54aから出射された光がコードホイール53のスリット53a、53a、…で遮光されるように、コードホイール53およびパルス発生部54を配置する。これにより、パルス発生部54は、コードホイール53の回転速度に応じた時間間隔のパルス信号を出力することができる。
【0020】
図2において、パルス発生部54から出力されるパルス信号がパルス検出部100に供給される。パルス検出部100は、供給されたパルス信号におけるパルスの時間間隔を計測し、計測されたパルス間隔時間のデータを出力する。パルス間隔時間のデータは、例えば受光部54bが発光部54aからの光を受光する毎に出力され、駆動制御部101に供給される。
【0021】
駆動制御部101は、パルス間隔時間を参照してモータ52の速度を制御する。例えば、駆動制御部101は、取り込まれたパルス間隔時間と目標パルス間隔時間とを比較し、比較結果に基づきモータ52の回転速度をフィードバック制御する。駆動部102は、駆動制御部101からの命令に応じてモータ52を駆動する。通信部103は、画像形成装置10内の他の構成部や外部装置との間のデータの送受信を行う。
【0022】
なお、駆動制御部101による制御方法は、パルス間隔時間のように時間そのものを直接用いる方法に限られるものではなく、駆動ローラ30の回転速度を計測できる単位系であれば特に手段は問わない。また、フィードバック制御については、特に速度に限定するものではなく、位置制御、または、速度と位置とによる制御でもよい。さらに、制御系の特性に応じて、フィードフォワード方式での制御でもよいし、フィードバック制御およびフィードフォワード制御を併用してもよい。
【0023】
図4は、パルス検出部100と駆動制御部101の構成の一例をより詳細に示す。図4の例では、パルス検出部100は、インプットキャプチャ300と、フィルタ301とを備える。インプットキャプチャ300は、パルス間隔時間を測定する。フィルタ301は、外乱ノイズなどによる不正なデータの除去および平均化などのフィルタ処理を実行する。
【0024】
駆動制御部101は、CPU(Central Processing Unit)310と、RAM(Random Access Memory)311と、ROM(Read Only Memory)312とを備えている。CPU310は、ROM312に予め記憶されるプログラムおよびデータに従い、RAM311をワークメモリとして用いて動作する。例えば、駆動制御部101は、パルス検出部100から供給されるパルス間隔時間を用いて、駆動ローラ30が回転ムラなどが無く一定速度で回転するように演算処理を実行し、演算結果をモータ速度へ反映する駆動制御信号を生成する。
【0025】
なお、CPU310は、駆動制御部101に対して専用に設けられるのに限らず、さらに大きな構成を制御するためのCPUの一部の機能を利用するようにしてもよい。RAM311およびROM312についても、同様である。
【0026】
図2に示すような構成を利用することにより、パルス間隔時間をフーリエ変換などの手法を用いて周波数解析し、駆動ローラ30の駆動系の回転ムラを検出することができる。なお、フーリエ変換で周波数解析するデータはパルス間隔時間に限られるものではなく、モータ52またはモータ52により駆動(回転)する移動体である駆動ローラ30の駆動に応じた信号であればあらゆるデータを適用できる。
【0027】
次に、第1の実施形態による破損ギアの特定方法について、より詳細に説明する。本第1の実施形態においては、先ず、駆動ローラ30の回転速度を計測し、計測された回転速度の周波数特性をフーリエ変換などの手法を用いて解析し、ギア55およびギア56の噛合周波数fmにおけるピーク間(peak−to−peak)の値が閾値を超えた場合に、ギア55およびギア56のうち少なくとも一方が破損していると判断する。
【0028】
図5は、駆動ローラ30の回転速度の周波数特性を解析した解析結果の例を示す。図5において、横軸は周波数を示し、縦軸は中間転写ベルト14の搬送速度(駆動ローラ30の回転速度)を基準としたpeak−to−peak値を示す。なお、この例では、0Hz〜1000Hzの範囲を解析対象としている。解析可能な最大周波数をfmax、基本周波数(周波数分解能)をfbasとした場合、2×fmax/fbasで算出されるサンプル数の計測データを用いて、離散フーリエ変換(DFT)により周波数解析を行っている。また、ギア55とギア56とのギア比が1:10、ギア55の回転周期を37.1Hz(27msec)、ギア56の回転周期を3.71Hz(270msec)、ギア55および56の噛合周波数が600Hzであるものとする。
【0029】
図5では、ギア55および56の何れも破損がない正常ギアの場合の周波数特性の解析結果200(図中、黒菱形◆で示す)と、ギア55およびギア56に破損がある破損ギアを含む場合の周波数特性の解析結果201(図中、四角□で示す)とを比較している。破損ギアは、ギア55およびギア56のうち一方のギアの歯を一箇所削ることで実現している。
【0030】
図5から分かるように、連結したギアに破損ギアが含まれると、駆動軸(ギア56)の回転周期成分(3.71Hz)ではなく、噛合周波数成分(600Hz)の値が大きくなる。したがって、噛合周波数成分の値に基づき、連結したギアに破損ギアが含まれるか否かを判定することができる。具体的には、噛合周波数成分の値が閾値を超えた場合に、破損ギアが含まれると判断する。図5の例では、閾値は、例えば0.2%程度を選択することが考えられる。
【0031】
これに限らず、連結するギアに破損が無い正常時における周波数成分の解析を予め行い、この正常時における噛合周波数の周波数成分と、駆動中に計測した値に基づく噛み合い周波数成分との比に基づき、連結するギアに破損ギアが含まれるか否かを判断することもできる。
【0032】
なお、連結したギアに破損ギアが含まれる場合に噛み合い周波数成分の値が大きくなる原因としては、破損ギアにおける破損部が噛合う際の振動が、破損ギアの正常部分においても残ってしまうことが考えられる。
【0033】
次に、連結するギアに破損ギアが含まれると判断した場合に、計測して得られた駆動ローラ30の回転速度の自己相関関数を用いて、破損ギアを特定する。例えば、上述した周波数特性を解析する際に用いた駆動ローラ30の回転速度のデータを用いて、当該回転速度について自己相関関数を算出する。そして、算出された自己相関関数の値のピークを検出し、検出されたピークのうち値が最大のピークに対応する遅延時間を求める。このようにして求めた遅延時間と回転周期が略一致するギアを、破損ギアとして特定する。これにより、連結された複数のギアから、破損ギアを特定することができる。
【0034】
なお、遅延時間が0および0の近傍では、自己相関関数の値が大きくなるので、この点を考慮してピーク値の検出を行うと好ましい。例えばm遅延時間=0から所定範囲を、ピーク値の検出対象から除外することが考えられる。
【0035】
図6は、駆動ローラ30の回転速度について自己相関関数を算出した一例の結果を示す。図6において、縦軸は自己相関関数の値の相対値であって、自己相関関数値を遅延が0の値、すなわち、信号のパワーで正規化した値である。また、横軸は、遅延時間を示す。図6では、ギア55およびギア56に破損ギアを含む場合の自己相関関数210と、ギア55および56の何れも破損がない正常ギアの場合の自己相関関数211とを比較している。破損ギアは、上述と同様に、ギア55およびギア56のうち一方のギアの歯を一箇所削ることで実現している。
【0036】
自己相関関数において、信号は、自己相関関数の値が大きくなっている遅延に相当する周期を持つ。図6の例では、自己相関関数210および211において、細かいピーク220は、ギア55および56の噛合周波数に対応する。また、間隔の長い大きなピーク221および222は、遅延時間の間隔が略270msecであって、駆動ローラ30側のギア56の回転周期に対応する。
【0037】
ここで、破損ギアを含む場合の自己相関関数210と、正常ギアの場合の自己相関関数211とを比較すると、ピークの値は、自己相関関数210の方が自己相関関数211よりも顕著に大きい。一方、モータ52側のギア55に対応する27msecおよびその倍数の遅延では、明確なピークが認められない。したがって、自己相関関数210のピーク221の遅延時間に基づき、駆動ローラ30側のギア56が破損していることが分かる。
【0038】
これは、ギアの破損箇所は、破損していない正常な箇所と比較して形状が異なるため、破損箇所が他方のギアと噛合う際に、一定の振動が発生するためと考えられる。また、図6では、正常ギアにおいてもギア56の回転周期に対応する遅延にピークが発生しているが、これは、ギア56そのもの、ギア55および56の噛合わせ、ギア56の軸などの精度が関連していることが考えられる。
【0039】
このように、破損ギアを含む場合の自己相関関数210について、最も大きなピーク値を検出し、検出されたピーク値に対応する遅延時間を求めることで、連結された複数のギアから、破損している破損ギアを特定することができる。
【0040】
すなわち、図5を用いて説明したように、ギア55またはギア56の回転速度の周波数特性における、ギアの噛合周波数成分を閾値と比較し、ギア55およびギア56が破損ギアを含んでいるか否かを判定する。そして、ギア55およびギア56が破損ギアを含んでいると判定した場合に、ギア55またはギア56の回転速度の自己相関関数から最も大きいピーク値を検出する。ギア55およびギア56のうち、検出されたピーク値を得る遅延時間と回転周期が対応するギアが、破損ギアであると特定する。連結されるギアが破損ギアを含んでいるか否かを判定し、含んでいるとされた場合に、破損ギアの特定を行うため、破損ギアの特定をより確実に行うことができる。
【0041】
図7〜図9を用いて、上述した、本第1の実施形態の方法により破損ギアの特定を行うための構成例について説明する。図7は、本第1の実施形態に係る破損ギア検知装置の一例の構成を示す。破損ギア検知装置は、例えば駆動制御部101に含まれる構成であって、速度計測部110、周波数特性計算部111、ギア破損検知部112、周期性計算部115および破損ギア特定部116を備える。
【0042】
これら破損ギア検知装置を構成する各部は、例えば、駆動制御部101に含まれるCPU310上で動作する破損ギア検知プログラムのモジュールからなる。すなわち、CPU310は、ROM312から破損ギア検知プログラムを読み出して、当該破損ギア検知装置の各部を構成するモジュールをRAM311上に展開し、実行させる。これに限らず、破損ギア検知装置を構成する各部をハードウェア的に構成してもよい。
【0043】
速度計測部110に対して、パルス検出部100から出力されたパルス間隔時間のデータが供給される。速度計測部110は、このパルス間隔時間からギア56の回転速度を計算し、回転速度のデータを得る。速度計測部110は、周波数特性計算部111および周期性計算部115において周波数特性および周期性の計算に必要な数の回転速度のデータを保持する。例えば、速度計測部110は、破損検出対象となるギアの回転周期のうち最大の回転周期を、離散フーリエ変換を用いて解析可能な数のデータを少なくとも保持することが考えられる。
【0044】
周波数特性計算部111は、速度計測部110に保持されるギア56の回転速度のデータに対して、例えば離散フーリエ変換を施して、回転速度の周波数特性を計算する。計算の結果、予め決められた範囲の各周波数におけるpeak−to−peak値が周波数特性データとして得られる。
【0045】
なお、上述では、周波数特性を離散フーリエ変換を用いて行っているが、これはこの例に限定されない。例えば、離散コサイン変換や各種ウェーブレット変換を用いて周波数特性を計算してもよい。
【0046】
図8は、ギア破損検知部112の一例の構成を示す。ギア破損検知部112は、ギア破損判定部121、噛合周波数値記憶部122および閾値記憶部123を備える。噛合周波数値記憶部122は、ギア55およびギア56の噛み合い周波数の値が予め記憶される。また、閾値記憶部123は、実験的に求めた閾値が予め記憶される。
【0047】
ギア破損判定部121は、噛合周波数値記憶部122に記憶される噛合周波数の値を参照して、周波数特性計算部111で算出された周波数特性のデータから、当該噛合周波数におけるpeak−to−peak値を抽出する。そして、閾値記憶部123に記憶される閾値と、この噛合周波数におけるpeak−to−peak値とを比較して、当該peak−to−peak値が閾値を超えるか否かを判定する。若し、超えると判定されたら、ギア55およびギア56が破損ギアを含んでいると判断でき、超えないと判定されたら、破損ギアを含んでいないと判断できる。ギア破損判定部121は、ギア破損検知部112の出力として、このギア破損の有無を示すギア破損有無情報を出力する。
【0048】
図7において、周期性計算部115は、速度計測部110に保持されるギア56の回転速度のデータを用いて、当該回転速度の変動の周期を求める。より具体的には、周期性計算部115は、当該回転速度の自己相関関数を算出する。この自己相関関数の例えばピークを調べることで、当該回転速度の変動の周期を求めることができる。破損ギア特定部116は、ギア破損検知部112からギア破損が有ることを示すギア破損有無情報が出力された場合に、周期性計算部115で算出された自己相関関数に基づき、ギア55およびギア56から破損したギアを特定する処理を行う。
【0049】
なお、上述では、周期性計算部115において自己相関関数を計算することで回転速度の変動の周期性を求めているが、これはこの例に限定されない。例えば、各種ケプストラム分析によって回転速度の周期性を求めることができる。
【0050】
図9は、破損ギア特定部116の一例の構成を示す。破損ギア特定部116は、最大値検出部130、破損ギア判定部131および遅延量記憶部132を有する。遅延量記憶部132は、ギア55およびギア56それぞれについて、回転周期に対応する遅延時間が、それぞれギア55およびギア56と対応付けられて記憶される。
【0051】
最大値検出部130は、周期性計算部115で算出された自己相関関数のピークのうち、最大のピーク値を持つピークを検出する。このとき、遅延量が0の近傍では、自己相関関数の値が大きくなるので、この点を考慮してピークを検出する。例えば、予め決められた遅延量以上についてピークを検出することが考えられる。最大値検出部130は、最大値を持つピークを検出すると、検出されたピークに対応する遅延時間(ピーク遅延時間と呼ぶ)を出力する。
【0052】
破損ギア判定部131は、遅延量記憶部132に記憶される遅延時間から、最大値検出部130が出力したピーク遅延時間と略一致する遅延時間を探索する。そして、探索された遅延時間に対応付けられたギアを、破損ギアとして特定する。この特定された破損ギアを示す破損ギア情報が、破損ギア特定部116の出力として破損ギア判定部131から出力される。
【0053】
図10は、本第1の実施形態のギア破損検知装置によるモータ制御および破損ギア検知処理を示す一例のフローチャートである。先ず、ステップS100で、駆動制御部101が、モータ52の起動要求を待機する。駆動制御部101は、モータ52の起動が要求されると、処理をステップS101に移行させ、モータ52の回転速度の指示値を駆動部102に指示する。これにより、駆動制御部101によるモータ52の速度の制御が開始される。また、モータ52のギア55に連結されるギア56の回転に応じて、パルス発生部54からパルス信号が出力され、パルス検出部100からパルス間隔時間が出力される。
【0054】
速度計測部110は、パルス検出部100から出力されたパルス間隔時間から、ギア56の回転速度を計算する。計算された回転速度のデータは、例えばRAM311に保存する(ステップS102)。次のステップS103で、周波数特性計算部111は、ステップS102で保存された回転速度のデータの数が必要データ数に達したか否かを判定する。若し、達していないと判定されたら、処理は後述するステップS107に移行される。
【0055】
一方、ステップS103で、ステップS102で保存された回転速度のデータの数が必要データ数に達していると判定したら、処理がステップS104に移行される。ステップS104では、周波数特性計算部111が、保存されている回転速度のデータを用いて例えば離散フーリエ変換により周波数特性を解析する。さらに、次のステップS105で、周期性計算部115が、ステップS104で周波数特性の解析に用いた回転速度のデータの自己相関関数を計算する。そして、次のステップS106で、ギア破損検知部112および破損ギア特定部116により、詳細を後述する破損ギア検知処理が行われる。破損ギア検知処理が終了すると、処理がステップS107に移行される。
【0056】
ステップS107では、駆動制御部101が、パルス間隔時間を監視して、パルス間隔時間と、ギア55およびギア56のギア比とに基づきモータ52の回転速度をチェックする。そして、次のステップS108で、モータ52の回転速度が目標速度に一致しているか否かを判定する。若し、一致していると判定した場合、処理を後述するステップS112に移行させる。
【0057】
一方、駆動制御部101は、モータ52の回転速度が目標速度に一致していないと判定した場合、処理をステップS109に移行させ、モータ52の回転速度が目標速度より大きいか否かを判定する。若し、モータ52の回転速度が目標速度より大きいと判定した場合、駆動制御部101は、処理をステップS110に移行させ、速度指示値を減少させる。一方、モータ52の回転速度が目標速度より大きくないと判定した場合は、駆動制御部101は、処理をステップS111に移行させて、速度指示値を増加させる。ステップS110またはステップS111の処理が終了すると、処理がステップS112に移行される。
【0058】
ステップS112で、駆動制御部101は、モータ52の停止が要求されたか否かを判定する。若し、停止が要求されていないと判定された場合は、処理をステップS101に戻し、現在の速度指示値によるモータ52の駆動を継続する。一方、モータ52の停止が要求されたと判定した場合、駆動制御部101は、処理をステップS113に移行させ、速度指示値を0に設定することにより、モータ52の駆動を停止する。その後、駆動制御部101は、処理をステップS100に戻し、上述した処理を繰り返す。
【0059】
図11は、上述した図10のフローチャートにおけるステップS106の、破損ギア検知処理をより詳細に示す一例のフローチャートである。先ず、ステップS200で、ギア破損検知部112は、ギア噛合周波数でのpeak−to−peak値(P−to−P値)が閾値以上であるか否かを判定する。若し、閾値以上ではないと判定したら、連結するギアが破損ギアを含んでいないと判断できるため、処理は図11のフローチャートを抜け、図10のステップS107に移行される。
【0060】
一方、ステップS200で、ギア噛合周波数でのpeak−to−peak値が閾値以上であると判定した場合、連結するギアが破損ギアを含んでいると判断できる。そのため、連結するギアから破損ギアを特定する処理を行う。すなわち、ギア噛合周波数でのpeak−to−peak値が閾値以上であると判定した場合、処理がステップS200からステップS201に移行される。そして、破損ギア特定部116の最大値検出部130が、周期性計算部115で計算された自己相関関数から最大のピーク値を持つピークを検出し、検出されたピークに対応するピーク遅延時間を求める。
【0061】
次のステップS202では、破損ギア判定部131が、遅延量記憶部132に予め記憶される各ギアの遅延時間と、最大値検出部130で求められたピーク遅延時間とを比較する。そして、破損ギア判定部131は、各ギアの遅延時間のうちピーク遅延時間と略一致する遅延時間を探索し、探索された遅延時間に対応付けられたギアを、破損ギアとして特定する。破損ギア判定部131は、特定された破損ギアを示す破損ギア情報を外部に通知する(ステップS203)。
【0062】
以上説明したように、第1の実施形態では、ギアの回転速度の周波数特性に基づき連結するギアに破損ギアが含まれているか否かを判定する。そして連結するギアに破損ギアが含まれていると判定された場合に、回転速度の自己相関関数における最大のピーク値を持つピークを探索して、連結するギアから破損ギアを特定する。そのため、容易且つ高精度に、連結するギアから破損ギアを特定することができる。
【0063】
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。上述では、中間転写ベルト14を駆動する駆動系のギアを対象に、ギア破損検知および破損ギア特定を行ったが、これはこの例に限定されない。例えば、感光体ユニット12a〜12dが有する感光体ドラムを駆動する駆動系に、上述の第1の実施形態を適用することもできる。
【0064】
図12は、感光体ドラムを駆動する駆動系の構成例を示す。モータ52’は、回転軸にギア57が設けられ、駆動制御部101’の制御に従い駆動部102’により駆動される。感光体ドラム60は、ギア57と連結するギア58が回転軸に設けられ、モータ52’により、ギア57およびギア58を介してモータ52’の回転速度が減速されて駆動される。
【0065】
図12の例では、回転ドラム60の回転軸に対してコードホイール53’が設けられる。コードホイール53’は、パルス発生部54’と共にロータリエンコーダを構成するもので、回転ドラム60と共に回転する。コードホイール53’およびパルス発生部54’の構成は、第1の実施形態で図3を用いて説明した構成と同様なので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0066】
図12において、パルス検出部100’、駆動制御部101’、駆動部102’および通信部103’は、上述の図2におけるパルス検出部100、駆動制御部101、駆動部102および通信部103にそれぞれ対応する。すなわち、パルス検出部100’は、パルス発生部54’から出力されたパルス信号におけるパルスの時間間隔を計測して出力する。駆動制御部101’は、パルス間隔時間を参照してモータ52’の速度を制御する。駆動部102’は、駆動制御部101’からの命令に応じてモータ52を駆動する。通信部103’は、画像形成装置10内の他の構成部や外部装置との間のデータの送受信を行う。
【0067】
なお、ここでは、これらパルス検出部100’、駆動制御部101’、駆動部102’および通信部103’が、図2のパルス検出部100、駆動制御部101、駆動部102および通信部103とはそれぞれ独立して設けられるように説明したが、これはこの例に限られない。例えば、駆動制御部101’や通信部103’は、一部または全部の機能を、図2の駆動制御部101および通信部103と共通とすることができる。
【0068】
このような構成において、駆動制御部101’は、上述の第1の実施形態で図7〜図9を用いて説明したような、速度計測部110、周波数特性計算部111、ギア破損検知部112、周期性計算部115および破損ギア特定部116を含むことができる。そして、駆動制御部101’は、これらの構成により、第1の実施形態で説明したようにして、連結されるギア57およびギア58が破損ギアを含むか否かの判定処理、また、ギア57およびギア58が破損ギアを含む場合に、ギア57およびギア58から破損ギアを特定する処理を行うことができる。
【0069】
さらに、第1の実施形態は、画像形成装置10で用いられる駆動系のみならず、回転により動力を伝達するギアが複数連結された駆動系であれば、他の装置の駆動系に対しても適用可能なものである。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、連結するギアが破損ギアを含む場合に、計測されたギアの回転速度の自己相関関数において、最大のピーク値を持つピークを検出して破損ギアの特定を行った。これに対して、本第2の実施形態では、連結する各ギアについて正常ギアの状態で予め求めた、各ギアに固有の回転周期すなわち遅延時間に対応する自己相関関数の値と、連結されるギアのうち1のギアについて計測した回転速度から算出した自己相関関数の、当該各ギアに固有の遅延時間における値との比をそれぞれ求める。そして、各ギアについて求めた比の値を、各ギアに対して予め決められた閾値と比較して、閾値を超えた比の値を持つ遅延時間に対応する回転周期のギアを、破損ギアとして特定する。
【0071】
図13は、本第2の実施形態による破損ギア検知装置の一例の構成を示す。なお、図13において、上述した図7と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、ギア破損検知部112の構成は、第1の実施形態で図7を用いた構成と共通するので、ここでの詳細な説明を省略する。本第2の実施形態においては、連結するギアから破損ギアを特定する破損ギア特定部が、破損ギア特定部1171、1172、…のように、連結するギアの数だけ設けられる。すなわち、破損ギア特定部1171、1172、…のそれぞれは、連結するギアのうち互いに異なる1のギアを特定対象としている。
【0072】
なお、本第2の実施形態による破損ギア検知装置は、画像形成装置10の中間転写ベルト14の駆動系や感光体ドラムの駆動系、さらに、他の装置における複数のギアが連結されて回転による駆動を伝達する駆動系に対して、第1の実施形態と同様に適用できる。また、ギアの回転速度を計測するためのロータリエンコーダの構成は、図3を用いて説明した第1の実施形態の構成を共通して適用できるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0073】
図14は、破損ギア特定部1171、1172、…の一例の構成を示す。なお、以下では、各破損ギア特定部1171、1172、…を区別する必要が無い場合は、破損ギア特定部1171、1172、…を破損ギア特定部117として記述する。破損ギア特定部117は、周期性比較部140、破損ギア判定部141、正常時周期性記憶部142および閾値記憶部143を有する。
【0074】
本第2の実施形態では、予め、連結する各ギアの、破損が無い正常時における回転速度について自己相関関数がそれぞれ算出され、各ギアの回転速度に応じた遅延時間に対応する自己相関関数の値が求められる。求められた各ギアの回転速度に応じた遅延時間に対応する自己相関関数の値は、それぞれ、破損ギア特定部1171、1172、…の正常時周期性記憶部142に予め記憶される。
【0075】
破損ギア特定部1171、1172、…それぞれの閾値記憶部143は、連結されたギアから破損ギアを特定するための判定に用いる閾値が予め記憶される。この閾値は、上述した、連結する各ギアについて正常ギアの状態で求めた、各ギアの回転速度に対応する遅延時間における自己相関関数の値と、連結するギアのうち1のギアについて計測した回転速度から算出した自己相関関数の、連結する各ギアに固有の遅延時間における値との比の値に対する閾値である。この閾値は、例えば連結するギア毎に実験的に求められ、予め、各ギアに対応する破損ギア特定部1171、1172、…の閾値記憶部143にそれぞれ記憶される。
【0076】
周期性計算部115で算出された自己相関関数は、各破損ギア特定部1171、1172、…の周期性比較部140に用いられる。例えば破損ギア特定部1171において、周期性比較部140は、正常時周期性記憶部142に記憶される自己相関関数の値と、周期性計算部115で算出された自己相関関数の値のうち、当該破損ギア特定部1171が対象とするギアの回転周期に対応する値との比を求める。
【0077】
破損ギア判定部141は、周期性比較部140で求められた比の値と、閾値記憶部143に記憶される閾値とを比較し、比の値が閾値を超えているか否かを判定する。若し、超えていると判定した場合、当該破損ギア判定部141が含まれる破損ギア特定部117に対応するギアが破損ギアであると判断する。この判定処理を、各破損ギア特定部1171、1172、…において行う。
【0078】
本第2の実施形態による破損ギア特定処理について、上述した図6を用いてより具体的に説明する。一例として、連結するギアのうち、回転周期が270msecのギア(ギアAとする)に対する判定処理を、破損ギア特定部1171において行う場合について考える。この場合、正常時周期性記憶部142には、ギアAの破損が無い正常ギアの状態で算出した自己相関関数の値のうち、遅延時間が270msecにおける値(図6のピーク222における値)が予め記憶される。
【0079】
ギアAの駆動中にギアAの回転速度を計測し、計測された回転速度のデータを用いて自己相関関数を算出し、算出された値のうち遅延時間が270msecにおける値(図6のピーク221における値)が抽出される。周期性比較部140は、この抽出された値と、正常時周期性記憶部142に記憶された値との比を求める。破損ギア特定部117は、周期性比較部140で求めた比の値と、閾値記憶部143に記憶される閾値とを比較する。
【0080】
なお、ここでは、計測された値に基づき算出した自己相関関数の値と、予め算出され記憶された自己相関関数の値との比を用いて破損ギアの特定を行っているが、これはこの例に限定されない。例えば、自己相関関数の、各ギアの回転周期に対応する遅延量での値のそれぞれを、ギア毎に設定された閾値と比較し、自己相関関数の値が閾値を超えたギアを破損ギアに特定してもよい。この場合、各破損ギア特定部1171、1172、…において、周期性比較部140および正常時周期性記憶部142を省略することができる。
【0081】
本第2の実施形態のギア破損検知装置によるモータ制御および破損ギア検知処理は、図10を用いて説明した第1の実施形態による処理と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0082】
図15は、本第2の実施形態に上述の図10によるフローチャートによる処理を適用した場合の、ステップS106の破損ギア検知処理をより詳細に示す一例のフローチャートである。なお、ここでは、ギア#1、ギア#2およびギア#3の3のギアが連結され、ギア破損検知装置は、ギア#1、ギア#2およびギア#3にそれぞれ対応する破損ギア特定部1171、1172および1173の、3の破損ギア特定部117を有するものとする。
【0083】
先ず、ステップS300で、ギア破損検知部112は、ギア噛合周波数でのpeak−to−peak値が閾値以上であるか否かを判定する。若し、閾値以上ではないと判定したら、連結するギアが破損ギアを含んでいないと判断できるため、処理は図15のフローチャートを抜け、図10のフローチャートにおけるステップS107に移行される。
【0084】
一方、ステップS300で、ギア噛合周波数でのpeak−to−peak値が閾値以上であると判定した場合、連結するギアが破損ギアを含んでいると判断できる。そのため、連結するギアから破損ギアを特定する処理を行う。すなわち、ギア噛合周波数でのpeak−to−peak値が閾値以上であると判定した場合、処理がステップS300からステップS301に移行される。
【0085】
ステップS301〜ステップS303は、破損ギア特定部1171における処理となる。ステップS301では、破損ギア特定部1171が、ギア#1について、計測された自己相関関数の値と、正常時周期性記憶部142に記憶された自己相関関数の値との比を求める。次のステップS302で、破損ギア判定部141は、ステップS301で求められた比の値と、閾値記憶部143に記憶される閾値とを比較して、比の値が閾値以上であるか否かを判定する。若し、比の値が閾値未満であると判定したら、ギア#1は破損ギアではないと判断でき、処理はステップS304に移行される。一方、比の値が閾値以上であると判定した場合、次のステップS303でギア#1が破損ギアに特定される。そして、処理がステップS304に移行される。
【0086】
以下、ギア#2および#3に対して、同様の処理が繰り返される。すなわち、ステップS304〜ステップS306は、破損ギア特定部1172における処理であって、ステップS304で、破損ギア特定部1172が、ギア#2について、計測された自己相関関数の値と、正常時周期性記憶部142に記憶された自己相関関数の値との比を求め、ステップS305で、求められた比の値と閾値記憶部143に記憶される閾値とを比較する。比較の結果、比の値が閾値未満であると判定したら、ギア#2は破損ギアではないと判断でき、処理はステップS307に移行される。一方、比の値が閾値以上であると判定した場合、処理がステップS306に移行され、ギア#2が破損ギアに特定される。そして、処理はステップS307に移行される。
【0087】
次のステップS307〜ステップS309は、破損ギア特定部1173における処理であって、ステップS307で、破損ギア特定部1173が、ギア#3について、計測された自己相関関数の値と、正常時周期性記憶部142に記憶された自己相関関数の値との比を求め、ステップS308で、求められた比の値と閾値記憶部143に記憶される閾値とを比較する。比較の結果、比の値が閾値未満であると判定したら、ギア#3は破損ギアではないと判断でき、処理はステップS310に移行される。一方、比の値が閾値以上であると判定した場合、処理がステップS309に移行され、ギア#3が破損ギアに特定される。そして、処理はステップS310に移行される。
【0088】
ステップS310で、各破損ギア特定部1171、1172および1173は、破損ギア情報を外部に通知する。
【0089】
なお、上述では、破損ギア特定部1171、1172および1173それぞれの処理が直列的に実行されるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、破損ギア特定部1171、1172および1173それぞれの処理を並列的に実行することも可能である。
【0090】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態は、上述した第1の実施形態および第1の実施形態の変形例、ならびに、第2の実施形態による破損ギア検知装置から出力された破損ギア情報をユーザに提示する例である。図16は、各実施形態および変形例に適用可能な複合機の一例のハードウェア構成を示す。この図16に例示される複合機は、図1を用いて説明した画像形成装置10の構成を含むことができる。
【0091】
図16に示すように、この複合機は、コントローラ410とエンジン部(Engine)460とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ410は、複合機全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部460は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。例えば、図1に示した画像形成装置10は、このエンジン部460に含めることができる。また、このエンジン部460には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0092】
コントローラ410は、CPU411と、ノースブリッジ(NB)413と、システムメモリ(MEM−P)412と、サウスブリッジ(SB)414と、ローカルメモリ(MEM−C)417と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)416と、ハードディスクドライブ(HDD)418とを有し、ノースブリッジ(NB)413とASIC416との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス415で接続した構成となる。また、MEM−P412は、ROM412aと、RAM412bと、をさらに有する。
【0093】
CPU411は、複合機の全体制御を行うものであり、NB413、MEM−P412およびSB414からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。CPU411は、上述の図3に示すCPU310に対応させることができる。また、MEM−P412が含むROM412aおよびRAM412bは、それぞれ、図3に示すROM312およびRAM311と対応できる。
【0094】
NB413は、CPU411とMEM−P412、SB414、AGP415とを接続するためのブリッジであり、MEM−P412に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0095】
MEM−P412は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM412aとRAM412bとからなる。ROM412aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM412bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0096】
SB414は、NB413とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB414は、PCIバスを介してNB413と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0097】
ASIC416は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP415、PCIバス、HDD418およびMEM−C417をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC416は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC416の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C417を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部460との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC416には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)430、USB(Universal Serial Bus)440、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース450が接続される。
【0098】
MEM−C417は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)418は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0099】
AGP415は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P412に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0100】
通信I/F470は、ネットワークとの間の通信を制御する。例えば、通信I/F470は、CPU411からNB413、AGP415、ASIC416およびバスを介して供給されたデータをネットワークに対して送信することができる。また、通信I/F470は、ネットワークを介して送信されたデータを、バス、ASIC416、AGP415およびNB413を介してCPU411に供給することができる。通信I/F470は、図2の通信部103や、図12の通信部103’に対応させることができる。
【0101】
操作表示部400は、ASIC416に直接的に接続されている。操作表示部400は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)といった表示デバイスと、複数の操作子による入力デバイスと、CPU411から供給される表示制御信号に基づき表示デバイスで表示可能な表示信号を生成する駆動部と、入力デバイスからの出力をCPU411に送信するための通信部とを含む。
【0102】
CPU411は、例えばプログラムに従い表示制御信号を生成し、NB413、AGP415およびASIC416を介して操作表示部400に供給する。これにより、操作表示部400の表示デバイスに対して、表示制御信号に従った画像を表示させることができる。
【0103】
このような構成において、図7または図13に示した破損ギア検知装置の各機能がCPU411上で動作するプログラムにより実行される。CPU411は、例えば、破損ギア特定部116または117から出力された破損ギア情報を表示させるための表示制御信号を生成し、生成した表示制御信号をNB413、AGP415およびASIC416を介して操作表示部400に供給する。操作表示部400では、供給された表示制御信号に基づき表示デバイスが駆動され、表示制御信号に従い破損ギア情報が表示デバイスに表示される。ユーザは、この操作表示部400に表示された破損ギア情報により、駆動系における何れのギアが破損しているかを容易に知ることができる。
【0104】
また例えば、CPU411は、破損ギア特定部116または117から出力された破損ギア情報を、NB413、AGP415、ASIC416およびバスを介して通信I/F470に供給する。通信I/F470は、供給された破損ギア情報を、例えばネットワークを介して接続されるサーバに送信する。これにより、複合機に対して遠隔地から当該複合機の駆動系における何れのギアが破損しているかを容易に知ることができ、メンテナンス性が向上する。
【0105】
なお、上述した各実施形態による駆動制御部101、101’(CPU310、CPU411)で実行される破損ギア検知プログラムは、ROM312(ROM412a)などに予め組み込まれて提供される。これに限らず、当該破損ギア検知プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)、フレキシブルディスク(FD)、DVD(Digital Versatile Disk)、不揮発性の半導体メモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。この場合、駆動制御部101、101’が適用される画像形成装置10や複合機の本体に、これらの記録媒体を読み取り可能なドライブ装置を設けてもよいし、当該記録媒体により提供されるプログラムを、通信部103などにより、ネットワークを介して受信してもよい。
【0106】
さらに、上述した各実施形態による駆動制御部101、101’(CPU310、CPU411)で実行される破損ギア検知プログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、通信部103の通信制御によりネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよいし、当該破損ギア検知プログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0107】
(第4の実施形態)
駆動制御部101、101’内の各機能(速度計測部110、周波数特性計算部111、ギア破損検知部112、周期性計算部115、破損ギア特定部116)を画像形成装置の外部の装置に備えるように構成してもよい。例えば、プロダクションプリンティング機では、RIP(Raster Image Processor)処理と、RIP処理により得られたビットマップデータの印刷とが別の装置で実行される。第4の実施形態の検知システム(画像形成システム)は、RIP処理を行うサーバ装置(Digital Front End(DEF)と、印刷処理を行う画像形成装置とを備えるプロダクションプリンティング機として構成する。そして、サーバ装置が、上述の駆動制御部101、101’内の各機能を備えるように構成する。
【0108】
図17は、第4の実施形態の検知システム500の一例を示す外観図である。検知システム500は、画像形成装置510と、サーバ装置520と、を備える。検知システム500は、例えばプロダクションプリンティング機であり、画像形成装置510に、給紙、折り、ステープル、および裁断等の機能を持った周辺機が接続されて使用される。例えば、検知システム500は、画像形成装置510に、給紙を行う大容量給紙ユニット502、表紙等の利用に使われるインサータ503、折りを行う折りユニット504、ステープルやパンチなどを行うフィニッシャー505、および裁断を行う断裁機506などの周辺機が用途に合わせて組み合わされる。なお上記各実施形態の周辺デバイスは、大容量給紙ユニット502、インサータ503、および折りユニット504が該当するが、これに限定されるものではない。
【0109】
図18は、検知システム500の構成例を示すブロック図である。図18に示すように、サーバ520は、ネットワーク710を介して、ホスト装置である複数のPC(Personal Computer)720と接続され、各PC720から、少なくとも1つの印刷データを含む印刷ジョブを受信可能である。印刷ジョブは、当該印刷ジョブに含まれる印刷データの印刷を要求する命令信号であり、印刷ジョブに含まれる印刷データの数(印刷枚数)は任意に設定され得る。印刷データは、PDL(Page Description Language)などの言語で記述される。
【0110】
サーバ装置520は、通信I/F部530と、記憶部540と、画像処理部550と、CPU590と、I/F部560とを備え、それぞれがバスB2で相互に接続されている。図18の例では、サーバ装置520は専用線600を介して画像形成装置510と接続される。I/F部560は、サーバ装置520を画像形成装置510に接続するための手段であり、I/F部560には専用線600が接続される。
【0111】
通信I/F部530は、サーバ520をネットワーク710に接続するための手段であり、各PC720からの印刷ジョブを受信することができる。
【0112】
記憶部540は、HDD542と、ROM544と、RAM546とを含む。記憶部540は、通信I/F部530で受信した印刷ジョブを記憶することができる。HDD542およびROM544は、不揮発性の半導体メモリであり、サーバ520で実行される各種のプログラムや各種のデータ(通信I/F部530で受信した印刷ジョブ等)を記憶する。RAM546は、HDD542やROM544に記憶された各種プログラムを実行する際に各種データを一時的に保持する揮発性の半導体メモリである。
【0113】
画像処理部550は、印刷ジョブに含まれる印刷データの画像処理を実行する。より具体的には、画像処理部550は、PDLなどのページ記述言語で記述された印刷データを、画像形成装置510が印刷可能な形式(例えばビットマップ形式)で描画された画像データに変換し、その画像データを画像形成装置510へ供給する。
【0114】
本実施形態では、CPU590、RAM546、およびROM544により、上述の駆動制御部101、101’の機能を実現する。例えば、図4のCPU310、RAM311、およびROM312と同様の機能を、それぞれCPU590、RAM546、およびROM544により実行するように構成する。
【0115】
図18に示すように、画像形成装置510は、I/F部610と、印刷部602と、上述の操作表示部400と、その他I/F部670と、上述のパルス検出部100とを備え、それぞれがバスB3で接続されている。I/F部610は、画像形成装置510をサーバ装置520に接続するための手段であり、I/F部610には専用線600が接続される。
【0116】
印刷部602は、サーバ装置520のCPU590の制御の下、画像処理部550から供給される画像データに基づいて、画像を記録紙Pに形成する。言い換えれば、印刷部602は、CPU590の制御の下、印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく印刷を実行する。
【0117】
その他I/F部670には、スキャナユニット11、および、図17に示した周辺機等が含まれる。要するに、その他I/F部670には、画像形成に必要なインタフェースが含まれる。
【0118】
図18の例では、画像形成装置510がパルス検出部100を備えているが、これに限らず、画像形成装置510の代わりに、サーバ装置520がパルス検出部100を備えてもよい。
【0119】
なお、画像形成装置510は、図16で説明した複合機と同様のハードウェア構成とすることができる。
【0120】
画像形成装置510やサーバ装置520で実行されるプログラムは、ROM(ROM544、ROM412a)などに予め組み込まれて提供される。これに限らず、当該プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0121】
10 画像形成装置
14 中間転写ベルト
30 駆動ローラ
52,52’ モータ
53,53’ コードホイール
54,54’ パルス発生部
55,56,57,58 ギア
60 感光体ドラム
100,100’ パルス検出部
101,101’ 駆動制御部
102,102’ 駆動部
103,103’ 通信部
110 速度計測部
111 周波数特性計算部
112 ギア破損検知部
115 周期性計算部
116,117 破損ギア特定部
121 ギア破損判定部
122 噛合周波数値記憶部
123,143 閾値記憶部
130 最大値検出部
131,141 破損ギア判定部
132 遅延量記憶部
140 周期性比較部
142 正常時周期性記憶部
310,411 CPU
311,412b RAM
312,412a ROM
400 操作表示部
470 通信I/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開平2−311735号公報
【特許文献2】特許第4229823号公報
【特許文献3】特開2009−180304号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結されたギアのうち少なくとも1のギアの回転速度を計測する計測手段と、
前記計測手段で計測された前記回転速度の周波数特性を算出する算出手段と、
前記計測手段で計測された前記回転速度の変動の周期を検出する検出手段と、
前記算出手段で算出された前記周波数特性に基づき前記連結されたギアに破損ギアが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記破損ギアが含まれると判定された場合に、前記連結されたギアのうち、回転周期が前記検出手段で検出された前記周期と対応するギアを、該破損ギアとして特定する特定手段と
を備える
ことを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記計測手段で計測された前記回転速度の自己相関関数を算出し、算出された該自己相関関数に基づき前記周期を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記検出手段は、
予め決められた遅延時間範囲内で、前記自己相関関数の値に最大のピーク値が現れる遅延時間を、前記周期として検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記検出手段は、
前記連結されたギアのうち対象とするギアの回転周期に対応する遅延時間での前記自己相関関数の値が閾値を超えた場合に、該遅延時間を前記周期として検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の検知装置。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記連結されたギアのうち対象とするギアの回転周期に対応する遅延時間での前記自己相関関数の値と、該連結されたギアに前記破損ギアが含まれない状態での、該遅延時間での前記自己相関関数の値との比が閾値を超える場合に、該遅延時間を前記周期として検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の検知装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記周波数特性に基づき、前記連結されたギアの噛合周波数でのピーク値が閾値を超えた場合に、該連結されたギアに破損ギアが含まれると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の検知装置。
【請求項7】
連結されたギアを介して駆動される移動体により用紙を搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段により搬送される前記用紙に対して、連結されたギアを介して回転駆動される回転ドラムにより画像を形成する画像形成手段と、
前記用紙搬送手段を駆動するギアと、前記画像形成手段を駆動するギアとのうち少なくとも一方のギアの破損を検知する請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の検知装置と
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記特定手段で特定された前記破損ギアを示す情報を表示する表示手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
ネットワークを介して外部と通信を行う通信手段をさらに備え、
前記特定手段で特定された前記破損ギアを示す情報を前記通信手段で外部に送信する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
連結されたギアのうち少なくとも1のギアの回転速度を計測する計測ステップと、
前記計測ステップにより計測された前記回転速度の周波数特性を算出する算出ステップと、
前記計測ステップにより計測された前記回転速度の変動の周期を検出する検出ステップと、
前記算出ステップにより算出された前記周波数特性に基づき前記連結されたギアに破損ギアが含まれるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記破損ギアが含まれると判定された場合に、前記連結されたギアのうち、回転周期が前記検出ステップにより検出された前記周期と対応するギアを、該破損ギアとして特定する特定ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
連結されたギアと、
当該連結されたギアのうち少なくとも1のギアの回転に基づいて信号を出力する出力手段と、を備える装置を含み、前記連結されたギアの破損を検知する検知システムであって、
当該検知システムは、
前記出力手段が出力した信号に基づいて前記少なくとも1のギアの回転速度を計測する計測手段と、
前記計測手段で計測された前記回転速度の周波数特性を算出する算出手段と、
前記計測手段で計測された前記回転速度の変動の周期を検出する検出手段と、
前記算出手段で算出された前記周波数特性に基づき前記連結されたギアに破損ギアが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記破損ギアが含まれると判定された場合に、前記連結されたギアのうち、回転周期が前記検出手段で検出された前記周期と対応するギアを、該破損ギアとして特定する特定手段と、
を備えることを特徴とする検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−181185(P2012−181185A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3353(P2012−3353)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】