説明

検索装置及びプログラム

【課題】レスポンスを低下させず、メモリ使用量の増大を招かずに施設検索ができるようにする。
【解決手段】 エリアを指定してPOIデータを検索する検索装置において、検索対象の行政区画エリア内に位置するPOIデータ、検索対象の行政区画エリア外に位置することを示す本拠地情報が格納されたPOIデータを含む拡大エリア検索データを記憶した情報記憶手段(2)と、前記拡大エリア検索データからPOIデータを検索する検索手段(3a)と、検索結果を出力する制御手段(3b)とを備え、前記制御手段は、隣接した行政区画に跨がる複数のエリアを検索対象とした検索結果に対し、本拠地情報が格納された前記隣接する検索対象の行政区画外に位置するPOIデータについて重複排除処理して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は行政区画を拡大したエリアの検索データを用いて施設を検索する検索装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置において店舗、民間施設や公共施設等の各種施設の地点を示すPOI(Point Of Interest )データを住所入力により検索することが行われている。ナビゲーション装置がもっているPOIデータは、当該地点の識別情報、地点の名称、住所コード、住所名称、地点の座標(緯度・経度)、電話番号等を有しており、住所コードは都道府県、市(区、郡)、町(村)のように大字より上位の各レベルの行政区画毎に付されていて、各レベルでの絞り込みが可能となっている。
【0003】
また、利用者の居住地域やよく利用する繁華街などを特定の区域として登録しておき、この区域を検索する場合には、通常より大きい検索エリアに拡げることで検索の取りこぼしがないようにするものも提案さている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−102175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住所をキーとして検索対象を絞り込む場合に、さまざまなレベルからなる行政区画の境界を示すポリゴン地図を使用し、入力した住所に対応する地点の座標(緯度・経度)とポリゴン地図とのマッチング処理により、前記地点が属する最小レベルのポリゴン地図を決定し、決定されたポリゴン内の施設データから入力した住所の施設等を検索している。
【0005】
しかし、施設等の検索において、住所で絞り込む場合に行政区画の境界に施設が立地している場合などには、利用者が正しくない地名で覚えていることがあり、利用者の記憶に基づいた間違えた住所入力情報では該当する地点を検索できない場合がある。この点、特許文献1のように、登録した特定区域の場合には検索エリアを拡げることで、検索できない場合を減らすことはできるものの、検索エリアを拡げ、複数のエリアに跨がる検索を行った場合には、同じ施設が重複して検索される可能性があるため重複を排除する必要がある。この重複排除処理のため施設の検索のレスポンスが低下してしまうとともに、メモリ使用量も大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、行政区画の境界等どのような区域に立地している場合であっても、レスポンスを低下させず、メモリ使用量の増大を招かずに施設検索ができるようにすることを目的とする。
本発明は、エリアを指定してPOIデータを検索する検索装置において、検索対象の行政区画エリア内に位置するPOIデータ、検索対象の行政区画エリア外に位置することを示す本拠地情報が格納されたPOIデータを含む拡大エリア検索データを記憶した情報記憶手段と、前記拡大エリア検索データからPOIデータを検索する検索手段と、検索結果を出力する制御手段とを備え、前記制御手段は、隣接した行政区画に跨がる複数のエリアを検索対象とした検索結果に対し本拠地情報が格納された前記隣接する検索対象の行政区画外に位置するPOIデータについて重複排除処理して出力することを特徴とする。
また、本発明は、情報記憶手段に記憶され、検索対象の行政区画エリア内に位置するPOIデータ、検索対象の行政区画エリア外に位置することを示す本拠地情報が格納されたPOIデータを含む拡大エリア検索データを検索するステップ、隣接した行政区画に跨がる複数の拡大エリアを検索対象とした検索結果に対し、本拠地情報が格納された前記隣接する検索対象の行政区画外に位置するPOIデータについて重複排除処理して出力するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、本拠地情報を有する拡大エリア検索データを使用することで行政区画の境界に位置しているような施設であっても、レスポンスを低下させずに効率的に施設の検索が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係る検索装置の例を示す図である。入力装置1は、検索エリア等を指定するキーボード、マウス等である。情報記憶装置2は、日本全土、東日本、西日本、東北、関西、都道府県、市区町村、大字、小字、丁目、番地、号などの各種レベルの行政区画の境界を示すポリゴン地図データや道路データ等を含む地図データ2a、市区町村等の本来の行政区画を拡大したエリアのPOIデータを有する拡大エリア検索データ2bが格納されている。検索装置3はコンピュータであり、入力装置1から行政区画等の検索エリアが指定されると、検索手段3aは情報記憶装置2から該当する拡大エリア検索データ3bを読み出してPOIデータを検索し、制御手段3bにより検索結果を表示装置4へ出力する。後述するように、制御手段3bは、拡大エリア検索データからの検索結果に重複するデータがある場合などには、重複排除処理をして出力する。表示装置4は検索結果を表示するディスプレイである。
【0009】
図2は情報記憶装置に格納された拡大エリア検索データを説明する図である。
POIデータを住所で絞り込んで検索するとき、行政区画の境界に施設が位置している場合には、利用者が間違った地名で覚えていることがあり、利用者の記憶に基づいた間違えた住所入力情報では該当する地点を検索できない。そこで、本実施形態では市区町村等の検索対象の行政区画のエリアを拡大し、その行政区画内に位置するPOIデータの他に、拡大したエリア部分に位置するPOIデータを有する拡大エリア検索データを持つことで検索対象の行政区画の境界に位置する施設等でも検索できるようにする。しかし、このような隣接した行政区画に跨がる複数の拡大エリアを検索した場合、各拡大エリアに重複して収納されているPOIデータが検索される可能性があり、重複して検索されるデータを排除する必要がある。そのため、拡大したエリア部分に位置する検索対象の行政区画外POIデータには、そのPOIデータが本来位置する行政区画を示す本拠地情報を持たせるようにする。以下にこのような拡大エリア検索データについて詳述する。
【0010】
図3は拡大エリアを説明する図であり、図4は拡大エリアに収容される検索データを説明する図である。
図3において、拡大エリア10は、検索対象の豊田市の行政区画を拡大したエリア、拡大エリア20は、検索対象の岡崎市の行政区画を拡大したエリアをそれぞれ示している。ここでは、説明の便宜上、拡大エリアを四角形としたが、この形状は任意であり、本来の行政区画の形に近似した多角形であってもよい。これら拡大エリア内に存在するPOIデータが拡大エリア検索データで、図4に示すように、豊田市検索データ、岡崎市検索データ、安城市検索データ……には、それぞれ検索対象の行政区画内に位置するPOIデータと、拡大したエリア部分に存在し、検索対象の行政区画外に位置するPOIデータが含まれており、検索対象の行政区画外に位置するPOIデータには、それぞれが存在する行政区画を示す本拠地情報が格納されている。
【0011】
次ぎに、図5によりエリアを拡大したことによる拡張検索対象の施設の収容範囲について説明する。
拡大エリア10、拡大エリア20は互いに重なるエリア部分を有しており、エリアAは岡崎市に存在する施設のエリアであり、他のエリア、ここでは豊田市の拡張検索対象とはならない施設の収容範囲を示し、エリアBは豊田市に存在する施設のエリアであり、岡崎市の拡張検索対象となる施設の収容範囲を示し、エリアCは岡崎市に存在する施設のエリアであり、豊田市の拡張検索対象となる施設の収容範囲を示し、エリアD、E、Fは豊田市、岡崎市には存在しないが豊田市、岡崎市の拡張検索対象となる施設の収容範囲を示し、エリアGは豊田市に存在する施設のエリアであり、岡崎市の拡張検索対象とはならない施設の収容範囲を示し、エリアHは豊田市、岡崎市には存在しないが豊田市の拡張検索対象となる施設の収容範囲を示している。
【0012】
図6は拡大エリア検索データのフォーマットを説明する図であり、図5を参照して説明する。なお、POI検索データは施設の識別情報、名称、住所コード、住所名称、座標等を有しているが、ここでは便宜上省略している。
図6(a)は岡崎市検索データの例を示し、岡崎城、WA岡崎工場はエリアAに存在し、WA岡崎北工場はエリアCに存在し、それぞれ岡崎市内に存在する施設であるため、本拠地情報は格納しない。番長ラーメン安城店はエリアDに存在し、沓名商事豊田店はエリアBに存在し、岡崎市内に存在する施設でないのでそれぞれの存在する本拠地情報として安城市、豊田市が格納される。
図6(b)は豊田市検索データの例を示し、沓名商事豊田店はエリアBに存在し、堀河工業豊田店はエリアGに存在し、それぞれ豊田市内に存在する施設であるため、本拠地情報は格納しない。番長ラーメン安城店はエリアDに存在し、WA岡崎北工場はエリアCに存在し、瀬戸物広場はエリアHに存在し、豊田市内に存在する施設ではないのでそれぞれの存在する本拠地情報として安城市、岡崎市、瀬戸市が格納される。
【0013】
次に、図6に示した岡崎市検索データ、豊田市検索データを用い、これらのエリアに存在する施設を検索して出力する処理について説明する。
(イ)本拠地情報を持たない施設
岡崎市検索データ(図6(a))からは、岡崎城、WA岡崎工場、WA岡崎北工場が検索対象となり、豊田市検索データ(図6(b))からは、沓名商事豊田店、堀河工業豊田店が検索対象となり、図7に示すようにそれぞれ検索結果に追加される。
(ロ)本拠地情報が豊田市か岡崎市の場合
岡崎市検索データ(図6(a))からは、沓名商事豊田店が検索対象となり、豊田市検索データ(図6(b))からは、WA岡崎北工場が検索対象となるが、(イ)の処理で検索されるので、これらの施設は検索結果には追加されない。
(ハ)本拠地情報が豊田市、岡崎市以外の場合
岡崎市検索データ(図6(a))からは、番長ラーメン安城店が検索対象となり、豊田市検索データ(図6(b))からは、番長ラーメン安城店、瀬戸物広場が検索対象となり、番長ラーメン安城店が重複するので、この重複を排除して番長ラーメン安城店が、また瀬戸物広場が検索結果に追加され、図7に示すように検索結果に追加される。なお、図7における検索理由は、上記(イ)〜(ハ)の何れの場合に検索されたかを示している。
【0014】
このような検索処理から分かるように、エリアを拡大して複数のエリアに跨がって検索をしても、本拠地情報が格納された検索対象行政区画外に位置するPOIデータのみ重複排除処理するだけですむので、重複排除に要する負担がすくなくレスポンスを低下させず、また、一部のデータにのみ本拠地情報を格納するだけですむのでメモリ使用量の増大を招かずに施設の検索が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る検索装置の例を示す図である。
【図2】拡大エリア検索データを説明する図である。
【図3】拡大エリアを説明する図である。
【図4】拡大エリアに収納される検索データを説明する図である。
【図5】拡張検索対象の施設の収容範囲を説明する図である。
【図6】拡大エリア検索データのフォーマットを説明する図である。
【図7】検索結果を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1…入力装置、2…情報記憶装置、2a…地図データ、2b…拡大エリア検索データ、3…検索装置、3a…検索手段、3b…制御手段、4…表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリアを指定してPOIデータを検索する検索装置において、
検索対象の行政区画エリア内に位置するPOIデータ、検索対象の行政区画エリア外に位置することを示す本拠地情報が格納されたPOIデータを含む拡大エリア検索データを記憶した情報記憶手段と、
前記拡大エリア検索データからPOIデータを検索する検索手段と、
検索結果を出力する制御手段とを備え、
前記制御手段は、隣接した行政区画に跨がる複数のエリアを検索対象とした検索結果に対し、本拠地情報が格納された前記隣接する検索対象の行政区画外に位置するPOIデータについて重複排除処理して出力することを特徴とする検索装置。
【請求項2】
前記制御手段は、隣接した行政区画に跨がる複数の拡大エリアを検索対象とした検索結果に対し、本拠地情報が格納されていないPOIデータはそのまま出力し、前記隣接した検索対象の行政区画内に位置し、本拠地情報が格納されたPOIデータは出力しないことを特徴とする請求項1記載の検索装置。
【請求項3】
情報記憶手段に記憶され、検索対象の行政区画エリア内に位置するPOIデータ、検索対象の行政区画エリア外に位置することを示す本拠地情報が格納されたPOIデータを含む拡大エリア検索データを検索するステップ、
隣接した行政区画に跨がる複数の拡大エリアを検索対象とした検索結果に対し、本拠地情報が格納された前記隣接する検索対象の行政区画外に位置するPOIデータについて重複排除処理して出力するステップ、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−259077(P2009−259077A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108709(P2008−108709)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】