極微細構造の焼結多結晶ダイヤモンド材料
【解決手段】 極めて微細な結晶粒径の焼結多結晶ダイヤモンド(polycrysta
lline diamond material:PCD)材料は、高圧/高温(hig
h pressure/high temperature:HP/HT)処理下で、事
前に混合する触媒金属とともにダイヤモンド粉末を焼結することにより作製する。前記P
CD材料は、焼結後の平均ダイヤモンド結晶粒構造寸法が1.0μm未満である。
lline diamond material:PCD)材料は、高圧/高温(hig
h pressure/high temperature:HP/HT)処理下で、事
前に混合する触媒金属とともにダイヤモンド粉末を焼結することにより作製する。前記P
CD材料は、焼結後の平均ダイヤモンド結晶粒構造寸法が1.0μm未満である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年9月15日付けで出願された同時係属米国仮特許出願第60/7
17,227号、名称「極微細構造の多結晶ダイヤモンド焼結成形体(Sintered
, Polycrystalline Diamond Compact with E
xtremely Fine Microstructures)」に対して優先権を主
張するものであり、この開示によりこの参照はその全体が本明細書に組み込まれるものと
する。
[連邦政府の資金援助を受けた研究開発の記載]
該当なし。
[共同研究契約に係る関係者]
該当なし。
[配列表]
該当なし。
【0002】
本明細書に開示する実施形態は、焼結ダイヤモンドの切削用および成形用工具の分野に
関し、より具体的には、工具特性の改善、機械加工性、および被加工物(ワークピース)
材料の表面仕上げ改善能力をもたらす極めて微細な構造(極微細構造)を有するダイヤモ
ンド工具に関する。
【背景技術】
【0003】
多結晶ダイヤモンド(polycrystalline diamond:PCD)は
、金属切削、伸線(線引き)、ドリリング(掘削)を含む産業用途で、また摩耗部品とし
て広範囲にわたり使用される。本明細書で定義するように、PCDは、一体的に焼結され
たダイヤモンド結晶がダイヤモンドの連続格子を形成した二相多結晶ダイヤモンド生成物
である。この格子が主体相(であり、非ダイヤモンド結合相が介在しないダイヤモンド粒
子間結合を有する。残留触媒金属すなわち従属相の体積は、ダイヤモンド結晶間の間隙に
できる。
【0004】
PCDの生成方法は1960年代に初めて発見され、特許諸文献に詳しく説明されてい
る。米国特許第3,831,428号、第4,063,909号、第5,488,268
号(各々の開示は参照により本明細書に組み込むものとする)では、耐摩耗性および耐腐
食性の切削工具、伸線ダイス、および土砂掘削用カッターを製造する高圧/高温(hig
h pressure/high temperature:HP/HT)法について説
明している。PCDは、単結晶ダイヤモンドより均一な機械特性を呈し、単結晶ダイヤモ
ンドより大きなサイズで入手できるため、天然単結晶ダイヤモンドまたは合成単結晶ダイ
ヤモンドより大幅に優れた設計上の利点を備えている。しかし、現在生産されているPC
Dでは、極めて滑らかに切削、伸線、あるいは成形された被加工物面が得られない。単結
晶ダイヤモンドは、高価で異方性でサイズ的にも限られているが、光学材料のシングルポ
イント旋削や、精密微細仕上げワイヤーの線引きには依然として好ましい工具材料であり
続けている。また、強度および耐衝撃性の制約から来るPCD工具の機械的な故障も一般
的である。
【0005】
利用可能なPCD構成材は、HP/HT焼結後の(「焼結したままの(as−sint
ered))ダイヤモンド結晶粒径が1μm〜100μmの部分を有する。より微細で均
一な、焼結したままの、例えば約0.1μm〜約1.0μmの(「サブミクロン」と呼ば
れる)ダイヤモンド結晶粒径は、上記のPCD製造工程を使った市販用生産が困難である
ことが実証されている。サブミクロンダイヤモンド粒子は生産が困難であり、その表面が
混入物質を誘引・保持する力が強く、焼結工程および生成物特性に影響を及ぼすため、混
合中に扱いづらいことが実証されている。
【0006】
サブミクロンダイヤモンド粒子は、充填密度が低いため、遮蔽筐体(シールドエンクロ
ージャ)充填中およびHP/HT処理中に問題を生じる。初期の一定量ダイヤモンド粒子
に含まれるサブミクロンダイヤモンド結晶粒間の孔は非常に微細であるため、触媒金属を
均一に侵入させることが難しく、ダイヤモンド粒子間の結合および焼結が不完全になって
しまう。サブミクロンダイヤモンド粉末は表面積が大きく、ダイヤモンド溶液の再沈殿過
程が、ほぼ常時、不均一になってしまう。これがダイヤモンド結晶粒の不均一成長その他
の複雑な問題につながり、最終的なダイヤモンド結晶粒径を1ミクロン未満にしようとす
ると、より大きな部品の生産は実現不可能になる。
【0007】
サブミクロンのモノリシックPCDを生成するこれまでの試みは、(i)モノリシック
な自立構造体、または(ii)支持PCDとして知られる基板に取り付けられたPCDと
して実質的な均一性を有する生成物をいまだ実現していない。本明細書におけるPCDと
は、連続したダイヤモンドマトリックス、すなわち触媒金属を伴う若しくは伴わないダイ
ヤモンド間結合から成るPCD焼結成形体をいう。PCDは、一般に二相材料(ダイヤモ
ンドおよび触媒)で、結合を形成する炭化物、窒化物、ホウ化物など、ダイヤモンド結晶
粒間に介在する有意な量の第3相を含まない。
【0008】
PCDダイヤモンド生成物で、少なくとも若干のサブミクロンダイヤモンド結晶粒を含
むものは知られていない。米国特許第4,505,746号(この参照により本明細書に
組み込むものとする)では、3μmおよびサブミクロンのダイヤモンド粒子および触媒金
属に、炭化物と炭窒化物と窒化物とホウ化物との相を加えて生成する、より強靭な耐摩耗
性ダイヤモンド焼結成形体について説明している。原らに付与された米国特許第4,30
3,442号(この参照により本明細書に組み込むものとする)では、切削工具またはワ
イヤーダイス用にダイヤモンド材料を焼結する方法について説明しており、そのダイヤモ
ンド結晶粒径は1μm未満である。原らは、被加工物に高い寸法精度および非常に優れた
表面仕上げを実現する際の、サブミクロン結晶粒構造の利点を説明している。原らは、有
用な焼結ダイヤモンド工具を生成する上で、周期表の第IVB族、第VB族、第VIB族
の金属(それぞれ国際純正応用化学連合(International Union o
f Pure and Applied Chemistry:IUPAC)周期表の第
4族、第5族、および第6族の元素としても知られる)の1若しくはそれ以上の炭化物、
窒化物、およびホウ化物と、鉄族の触媒金属とを含む第3の結合相を、サブミクロンダイ
ヤモンド粒子に加える必要があった。また、原らは、サブミクロンPCD生成の難しさに
ついても教示している。原らの例1は、5%未満の結合添加物を含んだサブミクロンダイ
ヤモンド粉末で、HP/HT焼結中、300μmを越える直径まで結晶粒が成長すること
を示している。これらの不均一材料は、切削工具として役立つには硬度が不十分であった
。上記に記載したどちらの特許も、サブミクロンPCDのダイヤモンド成形体の生成につ
いて説明している。どちらの焼結生成物も、本来のPCDのダイヤモンドおよび触媒以外
に第3の相を含んでいた。
【0009】
米国特許第6,319,460号(この参照により本明細書に組み込むものとする)で
は、ダイヤモンド粒子の結晶粒径を落とすことにより全体的な強靱性が改善された焼結ダ
イヤモンド工具について説明している。この場合、前記ダイヤモンド粒子は、連続した金
属マトリックスに囲まれ、粒間ダイヤモンド結合は形成されなかった。その生成物はPC
Dではなく、むしろ1μm以上のダイヤモンド結晶粒を伴う複合材料であった。この生成
物の耐磨耗性、強度、および熱安定性は、真のPCDと比べて実質的に劣るものになる。
【0010】
Sungにより出願された米国特許出願公開第2005/0019114号(この参照
により本明細書に組み込むものとする)では、結晶粒径が0.1μm未満のナノ結晶ダイ
ヤモンド材料の生成について説明している。この出願では、高価なナノ結晶ダイヤモンド
の焼結の代替方法、具体的には、サブミクロン(0.1μm〜1μm)ダイヤモンド粒子
の排除と、液体金属触媒の使用の排除について開示している。前記出願では、触媒金属が
ないことから真のPCD生成物については説明しておらず、その生成物は、著しい欠陥を
有することになり、微粉末取り扱い特有の問題から生成が難しくなる。
【0011】
先行技術は、サブミクロンの粒径を実現できていない。米国特許第5,855,996
号および第5,468,268号(参照により本明細書に組み込むものとする)では、P
CD成形体の粒径分布(particle size distribution:PS
D)が、前記PCD成形体の性能特性に及ぼす効果について説明している。この場合、サ
ブミクロン粒子は、焼結PCD生成物のダイヤモンド濃度を上げるため、一定量のダイヤ
モンド粒子の一部として使用される。この先行技術では、15体積パーセントがサブミク
ロンダイヤモンドに可能な最大分画である。前記米国特許第5,855,996号の顕微
鏡画像は、サブミクロンダイヤモンドの存在が、実際には15体積パーセントをはるかに
下回ることを示している。
【0012】
ダイヤモンド結晶粒径が焼結したままの状態で均一に1μm未満であるモノリシックな
PCD材料を生成することが依然として必要とされている。本発明の出願人は、驚くべき
ことに、結合相を加えることなく、あるいは高価なナノ結晶ダイヤモンドに頼ることなく
、サブミクロンPCDの利点をいくつか実現する方法を発見した。
【0013】
本明細書に含まれる開示は、上述した1若しくはそれ以上の問題に対処する試みについ
て説明している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
例示的な実施形態において、多結晶ダイヤモンド(polycrystalline d
iamond:PCD)成形体は、焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1
μm未満のダイヤモンド結晶を有する。別の実施形態において、前記PCD成形体は、結
晶粒径が約0.1μmより大きく約1.0μm未満である。さらに別の実施形態では、P
CD成形体の焼結したままの結晶粒径は、実質的に均一である。さらに別の実施形態にお
いて、PCD成形体はモノリシックであり、炭化物、窒化物、またはホウ化物などの結合
相は前記PCD成形体に追加されない。PCD成形体の一実施形態は、酸素含有量が約0
.05重量パーセント未満の場合がある。PCD成形体のさらに別の実施形態では、窒素
含有量が約0.01重量パーセント未満である。本明細書で具現化されるPCD成形体は
、ダイヤモンド結晶を有してよく、当該結晶の少なくとも63%は結晶粒径が1.0μm
未満である。別の実施形態は、焼結したままの平均結晶粒径が約0.1μm〜約1.0μ
mで、成形体の厚さが約0.5mmを超えるPCD成形体である。
【0015】
一実施形態には、焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1.0μm未満で
ある多結晶ダイヤモンド(PCD)成形体を生成する方法が含まれ、この方法は、体積平
均粒径が約1.0μm未満のダイヤモンド粒子を初期に提供する工程と、前記ダイヤモン
ド結晶粒径より平均粒径が小さい触媒金属を、前記ダイヤモンド粒子に混合して、ダイヤ
モンド粉末混合物を形成する工程と、隣接しあうダイヤモンド結晶粒を粒間結合させる上
で十分な圧力および温度を使って、十分な時間、前記ダイヤモンド粉末混合物を処理する
工程とにより実施する。前記方法の一実施形態において、前記触媒金属は、鉄族金属であ
ってよい。さらに別の実施形態において、前記触媒金属は、コバルトであってよい。この
触媒金属は、前記ダイヤモンド粉末混合物の約0.5重量%〜約15重量%であってよい
。一実施形態では、前記触媒金属をナノ結晶として使用し、さらに別の実施形態では、前
記触媒金属のナノ結晶を前記ダイヤモンド粒子に付着させる。前記処理の圧力は、約20
Kbar〜約70Kbarであってよい。前記処理の温度は少なくとも約1000℃であ
ってよく、前記処理の時間は約3分間〜約120分間であってよい。この方法の一実施形
態において、前記処理は、さらに、前記ダイヤモンド粉末混合物とともに超硬合金の支持
体を具備する工程を含む。さらに別の実施形態では、環形の超硬合金の支持体を使用し、
この環形の支持体内に前記ダイヤモンド粉末混合物を配置する。
【0016】
さらに別の実施形態では、機械加工用工具、磨耗パッド、パンチ、ダイなどの(これに
限定されるものではないが)多結晶ダイヤモンド(PCD)磨耗部品を含み、この磨耗部
品は、焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が約0.1μm〜約1.0μmの
PCD成形体を有する。前記工具の別の実施形態において、前記PCD成形体はモノリシ
ックである。前記工具のさらに別の実施形態において、前記PCD成形体は基板に結合さ
れ、その基板は、タングステンカーバイド(炭化タングステン)超硬合金などの(これに
限定されるものではないが)超硬合金であってよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書で説明する特定の方法論、システム、または材料は場合により異なる可能性が
あるため、これらの方法、システム、および材料の説明を読む前に、これらに本開示が限
定されるものではないことを理解すべきである。また言うまでもなく、本説明で使用する
用語は、特定のバージョンまたは実施形態のみを説明することを目的としており、範囲を
限定するよう意図したものではない。例えば、本明細書および添付の請求項において単数
形扱いしている名称は、別段の断りがない限り、複数形も含む。また、本明細書における
表現「を有する(含有する)」は、「を含むただしこれに限定されるものではない」を意
味するよう意図している。さらに、表現「HP/HT」は、高圧(25 Kbarから7
5 Kbar若しくはそれ以上)および高温(約1000℃若しくはそれ以上)材料の処
理をいう。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、当業者
に一般に理解されているものと同じ意味を有する。
【0018】
一実施形態において、成形体は、サブミクロン多結晶ダイヤモンド(polycrys
talline diamond:PCD)、すなわち焼結後のダイヤモンド結晶粒径の
算術平均(すなわち、平均(値))が0.1μmより大きく1μm未満の、液体金属触媒
を使った焼結ダイヤモンド生成物で作製される。焼結後の平均結晶粒径は、ラインインタ
ーセプト法を使って決定された。この方法は、微細構造の写真上で無作為に描画した複数
の直線と結晶粒界との交点により決定される結晶粒の寸法に基づいたものである。
【0019】
ダイヤモンド粉末に、コバルトなどの触媒材料を事前に混合して使った方法の実施形態
では、焼結したままの平均結晶粒径が0.1μm〜1.0μmの高品質PCDが得られる
。別の実施形態では、炭化物、窒化物、またはホウ化物などの結合剤をPCD成形体に使
用していない。そのため、本明細書で説明するPCD成形体は、実質的にダイヤモンドお
よび触媒のみ有する。当該技術分野で実証されている先行PCD技術では、焼結したまま
の状態で結晶粒径が実質的に1.0μm未満のモノリシックPCDを生成することが不可
能である。
【0020】
ダイヤモンド粉末混合物。原材料であるダイヤモンド粒子は、天然またはHP/
HT合成(衝撃圧縮で生成したナノ結晶ダイヤモンドではないことが好ましい)の単結晶
粒子または多結晶集合体で、サブミクロン粒径が約0.1μm〜約1.0μmのものでよ
い。この原材料ダイヤモンドの粒径が、Microtracその他の任意の適切な分析器
等の粒径分析器で測定される平均の体積相当径(等体積球相当径)となる。一実施形態に
おいて、ダイヤモンド粒子の体積平均粒径は0.8μmであった。別の実施形態での体積
平均粒径は、0.5μmであった。第3の実施形態では、体積平均粒径0.3μmの粒子
を効果的に焼結した。当該ダイヤモンド粉末混合物は、コバルトまたは他の鉄族金属など
、事前に混合した1若しくはそれ以上の触媒金属をさらに含むものであった。この金属触
媒は、純粋な金属または不純物を少量含有するだけの実質的に純粋な金属であることが好
ましい。特に、この触媒は、当業者にとって現在公知の若しくは今後公知となる任意の方
法で作製されたダイヤモンド粒子に直接付着するナノ結晶粒子の形態とした。一部の実施
形態において、この金属触媒の平均粒径は、ダイヤモンド結晶粒の平均粒径未満であって
よい。
【0021】
図1は、一実施形態で使用できる粉末原材料100の走査型電子顕微鏡画像を示したも
のである。図1において、体積平均粒径0.8μmのダイヤモンド粒子110の表面には
、平均粒径100ナノメートル(nm)のコバルト粒子120が付着している。他の鉄族
金属を使ってもよい。一実施形態では、0.5重量%から最高10重量%までの触媒金属
が、原材料混合物に含まれていた。触媒は、混合物中に場合に応じた量で存在させてよい
。一部の実施形態では、触媒を混合物の約1重量%〜約10重量%にしてもよい。他の実
施形態では、触媒を混合物の約0.5重量%〜約15重量%にしてもよい。他の実施形態
では、触媒を混合物の約5重量パーセント〜約7重量パーセントにしてもよい。
【0022】
図2Aおよび2Bは、支持されたサブミクロンPCD成形体を作製する工程を表したも
のである。図2Aは、HP/HT処理前のシステム200を示している。図2Bは、HP
/HT処理済みの支持されたサブミクロンPCD成形体250を示している。図2Aの一
実施形態では、ダイヤモンド粉末混合物210(上述の金属触媒を伴ったダイヤモンド粒
子)および超硬合金の支持体220を、保護筐体230内に配置する。前記ダイヤモンド
粒子混合物210および前記超硬合金の支持体220は、単一のHP/HT工程で同時に
焼結することができる。一実施形態において、前記超硬合金の支持体220は、ダイヤモ
ンド粒子の層との界面240で、そのダイヤモンド粒子の層とだけ反応し、結果として得
られたPCD成形体を前記支持体に付着させる。結果として生じる生成物250は、超硬
合金の支持体220に付着したPCD焼結成形体260である。このPCD成形体260
は、ダイヤモンド間の結合を有する。次に、前記生成物250を、前記保護筐体230か
ら取り出す。言うまでもなく、本明細書で説明する方法を使用すると、モノリシックな(
支持されていない)構造を作製することもできる。そのような場合は、図2Aおよび図2
Bに示した方法を、前記支持体220なしで使用する。
【0023】
前記HP/HT処理に選択される条件は、隣接しあうダイヤモンド結晶粒を粒間結合さ
せ、任意選択で焼結ダイヤモンド粒子を前記超硬合金の支持体に接合する上で十分なもの
である。一実施形態では、前記処理の条件として、少なくとも1000℃の温度および少
なくとも20キロバール(Kbar)の圧力を約3〜約120分間適用することが一般的
である。別の実施形態では、約50〜約70Kbarの圧力および約1400℃〜約16
00℃の温度を適用できる。他の温度および圧力も可能である。圧力、温度、および工程
の適用時間は、焼結中のダイヤモンド結晶粒の成長を最小限に抑えるよう選択され、現在
または今後当業者に知られるものであってよい。本明細書で説明する温度および圧力は、
おおよそのものである。
【0024】
さらに別の実施形態では、前記超硬合金の支持体を使わずに、ダイヤモンドおよび触媒
をHP/HT工程で焼結できる。その後で、HP/HT工程またはろう付け工程を使用す
ると、超硬合金の支持体を付着させることができる。
【0025】
さらに別の実施形態では、前記超硬合金の支持体を環形にしてよく、一定量のダイヤモ
ンド粒子および触媒(ダイヤモンド粉末混合物)を前記支持体の環内に配置することがで
きる。これらは、触媒金属を追加するかどうかにかかわらず、HP/HT工程でまとめて
焼結してよい。
【0026】
本明細書に含まれる開示内容は、例えば非鉄金属、セラミックス、および木材ベースの
複合材料の機械加工における強度および強靱性が改善された焼結PCDに関する。また、
PCD機械加工用工具、磨耗パッド、パンチ、ダイなど磨耗部品の製作中における機械加
工性の改善にも関する。最後に、アルミニウム鋳物やステンレス鋼線を含む被加工物に改
善された表面仕上げをもたらす工具の能力にも関する。本明細書で説明する工具としては
、例えばモノリシック焼結PCD、基板(タングステンカーバイド(炭化タングステン)
または他の材料で作製した超硬合金の1つなど)に結合された焼結PCD層、およびタン
グステンカーバイドの超硬合金または他の材料でできた伸線用などの環形超硬合金の内側
で焼結したPCDなどがある。
【0027】
PCDの商業生産において、HP/HT機器の反応セルから回収された生成物すなわち
ブランク(材)は、放電加工、レーザー、フライス加工、特に成形体外面に付着した被覆
金属を除去するための研削などによる切削を含む種々の仕上げ作業に送られることが一般
的である。また、そのような作業は、ダイヤモンド層の厚さおよび/または炭化物支持体
の厚さに関する製品仕様を満たす形状へと成形体を機械工作する上でも行われる。
【0028】
結果として得られたPCD成形体において、ラインインターセプト法で測定される焼結
したままの平均ダイヤモンド結晶粒径は1ミクロン未満になる場合がある。0.1μmを
超える場合もある。種々の実施形態において、平均結晶粒径は、0.9μm未満、0.8
μm未満、0.7μm未満、0.6μm未満、または0.5μm未満となる。前記PCD
成形体は実質的に均一となる。これらの実施形態では、結晶粒径が対称的な正規分布に基
づいており、1μm未満のダイヤモンド結晶粒を50%、63%、77%、90%、98
%、および100%含む場合がある。他の実施形態は、他の範囲を有する場合がある。ま
た、酸素含有量が0.05%未満、0.01%未満、またはこれら数値のいずれかと装置
検出限界値との間など、酸素含有量が低くなる場合がある。本明細書に含まれるPCD成
形体は、厚さ(頂面から基板界面まで)が約0.5ミリメートル(mm)〜約1mm、最
高約1.5mm、1mmを超える、最高約2mm、または別のサイズとなる場合がある。
【0029】
本明細書において、「均一な」結晶粒径または「実質的に均一な」結晶粒径を有した成
形体は、平均結晶粒径が1ミクロン未満、すなわち焼結後に50%を越える粒子が1μm
未満である成形体を包含することを意図している。
【0030】
また製造中は、種々の量のコバルトまたは他の触媒金属が使用可能である。一部の実施
形態では、前記触媒金属の一部または全部が完成品内に残留する。前記触媒金属の一部ま
たは全部が当該材料内に残留する一実施形態において、前記触媒金属は、結合剤相として
は存在しない。前記金属触媒は、ダイヤモンド中の炭素と化学結合を形成せず、残留混入
物質としてのみ存在する。
【0031】
実施例。本明細書では種々の実施形態を例示しているが、これらの例は本発明の
範囲を限定するよう意図されたものではない。
【実施例1】
【0032】
再び図2Aおよび2Bを参照すると、この例は、焼結ダイヤモンドが超硬合金基板へと
一体的に結合されたPCD複合材料の作製能力を実証している。原材料ダイヤモンドの体
積平均粒径が約0.8μmで、図1のように分布した約7重量%のコバルトを含むダイヤ
モンド−コバルト粉末混合物210を、タンタル(Ta)の遮蔽筐体230と、タングス
テンカーバイド(WC)に13重量パーセントのコバルトを加えた超硬合金ディスクとの
間に配置した。このアセンブリ(組み立て品)を、約55Kbarおよび温度約1400
℃で約20分間HP/HT処理し、焼結サブミクロンPCD工具ブランク260を形成し
た。このPCD工具ブランク250を仕上げたところ厚さ1.5mmのダイヤモンド層2
60が得られ、ブランク250の全体的な厚さは3.2mmであった。電界放出走査型電
子顕微鏡で直接的なラインインターセプト測定により当該微細構造を評価したところ、焼
結したままの平均ダイヤモンド結晶粒径は0.87μmであった。この工程では、初期の
ダイヤモンド粉末サイズ、ダイヤモンド層の厚さ、およびコバルト混合物の量を変えて、
いくつかの変形形態を実施した。これらの変形形態については表1にまとめた。
【0033】
【表1】
【0034】
例1のPCD焼結成形体は、走査型電子顕微鏡(scanning electron m
icroscope:SEM)と、酸素および窒素の分析技術とを使って分析した。比較
対象として、先行技術および市販材料で作製したPCD成形体も分析した。それにより見
られた違いを、表2に少数示している。
【0035】
【表2】
【0036】
表2は、先行技術PCD材料と比べて、本明細書の実施形態のPCD材料のほうが窒素お
よび酸素の濃度が低いことを示している。本明細書で説明した実施形態は、約0.01%
(w/w)未満の窒素を含有する場合がある。本明細書で説明した実施形態は、約0.0
5%(w/w)未満の酸素を含有する場合がある。
【0037】
図3のSEM画像では、本明細書で説明したように体積平均粒径0.8μmのダイヤモ
ンド粉末を使って調製したPCD成形体の実施形態のサブミクロン結晶粒径を示している
。図4では、本明細書で説明したように体積平均粒径0.5μmのダイヤモンド粉末を使
って調製したPCD成形体の実施形態のサブミクロン結晶粒径を示している。図5は、市
販製品である住友製材質DA2200のPCD成形体の結晶粒径を示したものである。
【0038】
表3は、図5〜7と同じ3つの材料について、ラインインターセプト法を使って測定し
た焼結ダイヤモンド微細構造の値を示している。この方法は、微細構造の写真上で無作為
に描画した複数の直線と結晶粒界との交点により決定される結晶粒の寸法に基づいたもの
である。
【0039】
【表3】
【0040】
これらの評価により、本明細書で説明した新しいPCD材料は、最も微細な市販製品と比
べて、酸素および窒素含有量が低く、結晶粒径がはるかに微細で、また1μm未満とはる
かに微細な平均結晶粒径を実現することが示されている。
【実施例2】
【0041】
図8を参照すると、この例は、炭化物により支持されたワイヤーダイスブランク800
の作製能力を示している。これらの材料では、炭化物基板からのコバルト結合相を使って
焼結する代わりに、別個の金属源を触媒として使い、ダイヤモンド部分810を環形の炭
化物820の内側で焼結した。この例では、体積平均粒径0.5μmのダイヤモンド粉末
810で、例1と同様に分散された微細なコバルト7重量%をさらに含んだものが使用さ
れた。このダイヤモンドおよびコバルト粉末混合物810を、タンタル(Ta)筐体83
0に収納された円筒形の炭化物820の中央に充填した。コバルト(Co)ディスク84
0(分解図で示す)を前記粉末の上に配置し、その上にTa遮蔽筐体850(これも分解
図で示す)を配置した。これらアセンブリのいくつかをHP/HT反応セルに充填し、約
55Kbarの圧力を約1300℃〜約1500℃の温度で15分間適用して、焼結PC
Dワイヤーダイスを形成した。このPCDワイヤーダイスを前記反応セルから回収し、P
CDの焼結体積全体が直径約7mmおよび厚さ6mmになるよう仕上げた。ダイヤモンド
を取り囲む前記環形の炭化物を含んだ前記ワイヤーダイスの全体的直径は、約14mmで
あった。
【0042】
以上に開示した特徴および機能等の変形形態またその代替形態は、他の多くの異なるシ
ステムまたはアプリケーションへと望ましく組み込み可能なことが理解されるであろう。
また、現時点で予測または予期できない種々の代替形態、変更(修正)形態、変形形態、
または改良形態が今後作成可能であり、これらの形態は、添付の特許請求の範囲に包含さ
れるよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、例示的なコバルト−ダイヤモンド粉末混合物の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)画像である。
【図2A】図2は、焼結したままの状態でサブミクロンの平均結晶粒径を伴うPCD成形体を作製する工程について説明した図である。
【図2B】図2は、焼結したままの状態でサブミクロンの平均結晶粒径を伴うPCD成形体を作製する工程について説明した図である。
【図3】図3は、0.8μmのダイヤモンド粉末を使った一実施形態のSEM画像である。
【図4】図4は、0.5μmのダイヤモンド粉末を使った一実施形態のSEM画像である。
【図5】図5は、先行技術の生成物のSEM画像である。
【図6】説明なし
【図7】説明なし
【図8】説明なし
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年9月15日付けで出願された同時係属米国仮特許出願第60/7
17,227号、名称「極微細構造の多結晶ダイヤモンド焼結成形体(Sintered
, Polycrystalline Diamond Compact with E
xtremely Fine Microstructures)」に対して優先権を主
張するものであり、この開示によりこの参照はその全体が本明細書に組み込まれるものと
する。
[連邦政府の資金援助を受けた研究開発の記載]
該当なし。
[共同研究契約に係る関係者]
該当なし。
[配列表]
該当なし。
【0002】
本明細書に開示する実施形態は、焼結ダイヤモンドの切削用および成形用工具の分野に
関し、より具体的には、工具特性の改善、機械加工性、および被加工物(ワークピース)
材料の表面仕上げ改善能力をもたらす極めて微細な構造(極微細構造)を有するダイヤモ
ンド工具に関する。
【背景技術】
【0003】
多結晶ダイヤモンド(polycrystalline diamond:PCD)は
、金属切削、伸線(線引き)、ドリリング(掘削)を含む産業用途で、また摩耗部品とし
て広範囲にわたり使用される。本明細書で定義するように、PCDは、一体的に焼結され
たダイヤモンド結晶がダイヤモンドの連続格子を形成した二相多結晶ダイヤモンド生成物
である。この格子が主体相(であり、非ダイヤモンド結合相が介在しないダイヤモンド粒
子間結合を有する。残留触媒金属すなわち従属相の体積は、ダイヤモンド結晶間の間隙に
できる。
【0004】
PCDの生成方法は1960年代に初めて発見され、特許諸文献に詳しく説明されてい
る。米国特許第3,831,428号、第4,063,909号、第5,488,268
号(各々の開示は参照により本明細書に組み込むものとする)では、耐摩耗性および耐腐
食性の切削工具、伸線ダイス、および土砂掘削用カッターを製造する高圧/高温(hig
h pressure/high temperature:HP/HT)法について説
明している。PCDは、単結晶ダイヤモンドより均一な機械特性を呈し、単結晶ダイヤモ
ンドより大きなサイズで入手できるため、天然単結晶ダイヤモンドまたは合成単結晶ダイ
ヤモンドより大幅に優れた設計上の利点を備えている。しかし、現在生産されているPC
Dでは、極めて滑らかに切削、伸線、あるいは成形された被加工物面が得られない。単結
晶ダイヤモンドは、高価で異方性でサイズ的にも限られているが、光学材料のシングルポ
イント旋削や、精密微細仕上げワイヤーの線引きには依然として好ましい工具材料であり
続けている。また、強度および耐衝撃性の制約から来るPCD工具の機械的な故障も一般
的である。
【0005】
利用可能なPCD構成材は、HP/HT焼結後の(「焼結したままの(as−sint
ered))ダイヤモンド結晶粒径が1μm〜100μmの部分を有する。より微細で均
一な、焼結したままの、例えば約0.1μm〜約1.0μmの(「サブミクロン」と呼ば
れる)ダイヤモンド結晶粒径は、上記のPCD製造工程を使った市販用生産が困難である
ことが実証されている。サブミクロンダイヤモンド粒子は生産が困難であり、その表面が
混入物質を誘引・保持する力が強く、焼結工程および生成物特性に影響を及ぼすため、混
合中に扱いづらいことが実証されている。
【0006】
サブミクロンダイヤモンド粒子は、充填密度が低いため、遮蔽筐体(シールドエンクロ
ージャ)充填中およびHP/HT処理中に問題を生じる。初期の一定量ダイヤモンド粒子
に含まれるサブミクロンダイヤモンド結晶粒間の孔は非常に微細であるため、触媒金属を
均一に侵入させることが難しく、ダイヤモンド粒子間の結合および焼結が不完全になって
しまう。サブミクロンダイヤモンド粉末は表面積が大きく、ダイヤモンド溶液の再沈殿過
程が、ほぼ常時、不均一になってしまう。これがダイヤモンド結晶粒の不均一成長その他
の複雑な問題につながり、最終的なダイヤモンド結晶粒径を1ミクロン未満にしようとす
ると、より大きな部品の生産は実現不可能になる。
【0007】
サブミクロンのモノリシックPCDを生成するこれまでの試みは、(i)モノリシック
な自立構造体、または(ii)支持PCDとして知られる基板に取り付けられたPCDと
して実質的な均一性を有する生成物をいまだ実現していない。本明細書におけるPCDと
は、連続したダイヤモンドマトリックス、すなわち触媒金属を伴う若しくは伴わないダイ
ヤモンド間結合から成るPCD焼結成形体をいう。PCDは、一般に二相材料(ダイヤモ
ンドおよび触媒)で、結合を形成する炭化物、窒化物、ホウ化物など、ダイヤモンド結晶
粒間に介在する有意な量の第3相を含まない。
【0008】
PCDダイヤモンド生成物で、少なくとも若干のサブミクロンダイヤモンド結晶粒を含
むものは知られていない。米国特許第4,505,746号(この参照により本明細書に
組み込むものとする)では、3μmおよびサブミクロンのダイヤモンド粒子および触媒金
属に、炭化物と炭窒化物と窒化物とホウ化物との相を加えて生成する、より強靭な耐摩耗
性ダイヤモンド焼結成形体について説明している。原らに付与された米国特許第4,30
3,442号(この参照により本明細書に組み込むものとする)では、切削工具またはワ
イヤーダイス用にダイヤモンド材料を焼結する方法について説明しており、そのダイヤモ
ンド結晶粒径は1μm未満である。原らは、被加工物に高い寸法精度および非常に優れた
表面仕上げを実現する際の、サブミクロン結晶粒構造の利点を説明している。原らは、有
用な焼結ダイヤモンド工具を生成する上で、周期表の第IVB族、第VB族、第VIB族
の金属(それぞれ国際純正応用化学連合(International Union o
f Pure and Applied Chemistry:IUPAC)周期表の第
4族、第5族、および第6族の元素としても知られる)の1若しくはそれ以上の炭化物、
窒化物、およびホウ化物と、鉄族の触媒金属とを含む第3の結合相を、サブミクロンダイ
ヤモンド粒子に加える必要があった。また、原らは、サブミクロンPCD生成の難しさに
ついても教示している。原らの例1は、5%未満の結合添加物を含んだサブミクロンダイ
ヤモンド粉末で、HP/HT焼結中、300μmを越える直径まで結晶粒が成長すること
を示している。これらの不均一材料は、切削工具として役立つには硬度が不十分であった
。上記に記載したどちらの特許も、サブミクロンPCDのダイヤモンド成形体の生成につ
いて説明している。どちらの焼結生成物も、本来のPCDのダイヤモンドおよび触媒以外
に第3の相を含んでいた。
【0009】
米国特許第6,319,460号(この参照により本明細書に組み込むものとする)で
は、ダイヤモンド粒子の結晶粒径を落とすことにより全体的な強靱性が改善された焼結ダ
イヤモンド工具について説明している。この場合、前記ダイヤモンド粒子は、連続した金
属マトリックスに囲まれ、粒間ダイヤモンド結合は形成されなかった。その生成物はPC
Dではなく、むしろ1μm以上のダイヤモンド結晶粒を伴う複合材料であった。この生成
物の耐磨耗性、強度、および熱安定性は、真のPCDと比べて実質的に劣るものになる。
【0010】
Sungにより出願された米国特許出願公開第2005/0019114号(この参照
により本明細書に組み込むものとする)では、結晶粒径が0.1μm未満のナノ結晶ダイ
ヤモンド材料の生成について説明している。この出願では、高価なナノ結晶ダイヤモンド
の焼結の代替方法、具体的には、サブミクロン(0.1μm〜1μm)ダイヤモンド粒子
の排除と、液体金属触媒の使用の排除について開示している。前記出願では、触媒金属が
ないことから真のPCD生成物については説明しておらず、その生成物は、著しい欠陥を
有することになり、微粉末取り扱い特有の問題から生成が難しくなる。
【0011】
先行技術は、サブミクロンの粒径を実現できていない。米国特許第5,855,996
号および第5,468,268号(参照により本明細書に組み込むものとする)では、P
CD成形体の粒径分布(particle size distribution:PS
D)が、前記PCD成形体の性能特性に及ぼす効果について説明している。この場合、サ
ブミクロン粒子は、焼結PCD生成物のダイヤモンド濃度を上げるため、一定量のダイヤ
モンド粒子の一部として使用される。この先行技術では、15体積パーセントがサブミク
ロンダイヤモンドに可能な最大分画である。前記米国特許第5,855,996号の顕微
鏡画像は、サブミクロンダイヤモンドの存在が、実際には15体積パーセントをはるかに
下回ることを示している。
【0012】
ダイヤモンド結晶粒径が焼結したままの状態で均一に1μm未満であるモノリシックな
PCD材料を生成することが依然として必要とされている。本発明の出願人は、驚くべき
ことに、結合相を加えることなく、あるいは高価なナノ結晶ダイヤモンドに頼ることなく
、サブミクロンPCDの利点をいくつか実現する方法を発見した。
【0013】
本明細書に含まれる開示は、上述した1若しくはそれ以上の問題に対処する試みについ
て説明している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
例示的な実施形態において、多結晶ダイヤモンド(polycrystalline d
iamond:PCD)成形体は、焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1
μm未満のダイヤモンド結晶を有する。別の実施形態において、前記PCD成形体は、結
晶粒径が約0.1μmより大きく約1.0μm未満である。さらに別の実施形態では、P
CD成形体の焼結したままの結晶粒径は、実質的に均一である。さらに別の実施形態にお
いて、PCD成形体はモノリシックであり、炭化物、窒化物、またはホウ化物などの結合
相は前記PCD成形体に追加されない。PCD成形体の一実施形態は、酸素含有量が約0
.05重量パーセント未満の場合がある。PCD成形体のさらに別の実施形態では、窒素
含有量が約0.01重量パーセント未満である。本明細書で具現化されるPCD成形体は
、ダイヤモンド結晶を有してよく、当該結晶の少なくとも63%は結晶粒径が1.0μm
未満である。別の実施形態は、焼結したままの平均結晶粒径が約0.1μm〜約1.0μ
mで、成形体の厚さが約0.5mmを超えるPCD成形体である。
【0015】
一実施形態には、焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1.0μm未満で
ある多結晶ダイヤモンド(PCD)成形体を生成する方法が含まれ、この方法は、体積平
均粒径が約1.0μm未満のダイヤモンド粒子を初期に提供する工程と、前記ダイヤモン
ド結晶粒径より平均粒径が小さい触媒金属を、前記ダイヤモンド粒子に混合して、ダイヤ
モンド粉末混合物を形成する工程と、隣接しあうダイヤモンド結晶粒を粒間結合させる上
で十分な圧力および温度を使って、十分な時間、前記ダイヤモンド粉末混合物を処理する
工程とにより実施する。前記方法の一実施形態において、前記触媒金属は、鉄族金属であ
ってよい。さらに別の実施形態において、前記触媒金属は、コバルトであってよい。この
触媒金属は、前記ダイヤモンド粉末混合物の約0.5重量%〜約15重量%であってよい
。一実施形態では、前記触媒金属をナノ結晶として使用し、さらに別の実施形態では、前
記触媒金属のナノ結晶を前記ダイヤモンド粒子に付着させる。前記処理の圧力は、約20
Kbar〜約70Kbarであってよい。前記処理の温度は少なくとも約1000℃であ
ってよく、前記処理の時間は約3分間〜約120分間であってよい。この方法の一実施形
態において、前記処理は、さらに、前記ダイヤモンド粉末混合物とともに超硬合金の支持
体を具備する工程を含む。さらに別の実施形態では、環形の超硬合金の支持体を使用し、
この環形の支持体内に前記ダイヤモンド粉末混合物を配置する。
【0016】
さらに別の実施形態では、機械加工用工具、磨耗パッド、パンチ、ダイなどの(これに
限定されるものではないが)多結晶ダイヤモンド(PCD)磨耗部品を含み、この磨耗部
品は、焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が約0.1μm〜約1.0μmの
PCD成形体を有する。前記工具の別の実施形態において、前記PCD成形体はモノリシ
ックである。前記工具のさらに別の実施形態において、前記PCD成形体は基板に結合さ
れ、その基板は、タングステンカーバイド(炭化タングステン)超硬合金などの(これに
限定されるものではないが)超硬合金であってよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書で説明する特定の方法論、システム、または材料は場合により異なる可能性が
あるため、これらの方法、システム、および材料の説明を読む前に、これらに本開示が限
定されるものではないことを理解すべきである。また言うまでもなく、本説明で使用する
用語は、特定のバージョンまたは実施形態のみを説明することを目的としており、範囲を
限定するよう意図したものではない。例えば、本明細書および添付の請求項において単数
形扱いしている名称は、別段の断りがない限り、複数形も含む。また、本明細書における
表現「を有する(含有する)」は、「を含むただしこれに限定されるものではない」を意
味するよう意図している。さらに、表現「HP/HT」は、高圧(25 Kbarから7
5 Kbar若しくはそれ以上)および高温(約1000℃若しくはそれ以上)材料の処
理をいう。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、当業者
に一般に理解されているものと同じ意味を有する。
【0018】
一実施形態において、成形体は、サブミクロン多結晶ダイヤモンド(polycrys
talline diamond:PCD)、すなわち焼結後のダイヤモンド結晶粒径の
算術平均(すなわち、平均(値))が0.1μmより大きく1μm未満の、液体金属触媒
を使った焼結ダイヤモンド生成物で作製される。焼結後の平均結晶粒径は、ラインインタ
ーセプト法を使って決定された。この方法は、微細構造の写真上で無作為に描画した複数
の直線と結晶粒界との交点により決定される結晶粒の寸法に基づいたものである。
【0019】
ダイヤモンド粉末に、コバルトなどの触媒材料を事前に混合して使った方法の実施形態
では、焼結したままの平均結晶粒径が0.1μm〜1.0μmの高品質PCDが得られる
。別の実施形態では、炭化物、窒化物、またはホウ化物などの結合剤をPCD成形体に使
用していない。そのため、本明細書で説明するPCD成形体は、実質的にダイヤモンドお
よび触媒のみ有する。当該技術分野で実証されている先行PCD技術では、焼結したまま
の状態で結晶粒径が実質的に1.0μm未満のモノリシックPCDを生成することが不可
能である。
【0020】
ダイヤモンド粉末混合物。原材料であるダイヤモンド粒子は、天然またはHP/
HT合成(衝撃圧縮で生成したナノ結晶ダイヤモンドではないことが好ましい)の単結晶
粒子または多結晶集合体で、サブミクロン粒径が約0.1μm〜約1.0μmのものでよ
い。この原材料ダイヤモンドの粒径が、Microtracその他の任意の適切な分析器
等の粒径分析器で測定される平均の体積相当径(等体積球相当径)となる。一実施形態に
おいて、ダイヤモンド粒子の体積平均粒径は0.8μmであった。別の実施形態での体積
平均粒径は、0.5μmであった。第3の実施形態では、体積平均粒径0.3μmの粒子
を効果的に焼結した。当該ダイヤモンド粉末混合物は、コバルトまたは他の鉄族金属など
、事前に混合した1若しくはそれ以上の触媒金属をさらに含むものであった。この金属触
媒は、純粋な金属または不純物を少量含有するだけの実質的に純粋な金属であることが好
ましい。特に、この触媒は、当業者にとって現在公知の若しくは今後公知となる任意の方
法で作製されたダイヤモンド粒子に直接付着するナノ結晶粒子の形態とした。一部の実施
形態において、この金属触媒の平均粒径は、ダイヤモンド結晶粒の平均粒径未満であって
よい。
【0021】
図1は、一実施形態で使用できる粉末原材料100の走査型電子顕微鏡画像を示したも
のである。図1において、体積平均粒径0.8μmのダイヤモンド粒子110の表面には
、平均粒径100ナノメートル(nm)のコバルト粒子120が付着している。他の鉄族
金属を使ってもよい。一実施形態では、0.5重量%から最高10重量%までの触媒金属
が、原材料混合物に含まれていた。触媒は、混合物中に場合に応じた量で存在させてよい
。一部の実施形態では、触媒を混合物の約1重量%〜約10重量%にしてもよい。他の実
施形態では、触媒を混合物の約0.5重量%〜約15重量%にしてもよい。他の実施形態
では、触媒を混合物の約5重量パーセント〜約7重量パーセントにしてもよい。
【0022】
図2Aおよび2Bは、支持されたサブミクロンPCD成形体を作製する工程を表したも
のである。図2Aは、HP/HT処理前のシステム200を示している。図2Bは、HP
/HT処理済みの支持されたサブミクロンPCD成形体250を示している。図2Aの一
実施形態では、ダイヤモンド粉末混合物210(上述の金属触媒を伴ったダイヤモンド粒
子)および超硬合金の支持体220を、保護筐体230内に配置する。前記ダイヤモンド
粒子混合物210および前記超硬合金の支持体220は、単一のHP/HT工程で同時に
焼結することができる。一実施形態において、前記超硬合金の支持体220は、ダイヤモ
ンド粒子の層との界面240で、そのダイヤモンド粒子の層とだけ反応し、結果として得
られたPCD成形体を前記支持体に付着させる。結果として生じる生成物250は、超硬
合金の支持体220に付着したPCD焼結成形体260である。このPCD成形体260
は、ダイヤモンド間の結合を有する。次に、前記生成物250を、前記保護筐体230か
ら取り出す。言うまでもなく、本明細書で説明する方法を使用すると、モノリシックな(
支持されていない)構造を作製することもできる。そのような場合は、図2Aおよび図2
Bに示した方法を、前記支持体220なしで使用する。
【0023】
前記HP/HT処理に選択される条件は、隣接しあうダイヤモンド結晶粒を粒間結合さ
せ、任意選択で焼結ダイヤモンド粒子を前記超硬合金の支持体に接合する上で十分なもの
である。一実施形態では、前記処理の条件として、少なくとも1000℃の温度および少
なくとも20キロバール(Kbar)の圧力を約3〜約120分間適用することが一般的
である。別の実施形態では、約50〜約70Kbarの圧力および約1400℃〜約16
00℃の温度を適用できる。他の温度および圧力も可能である。圧力、温度、および工程
の適用時間は、焼結中のダイヤモンド結晶粒の成長を最小限に抑えるよう選択され、現在
または今後当業者に知られるものであってよい。本明細書で説明する温度および圧力は、
おおよそのものである。
【0024】
さらに別の実施形態では、前記超硬合金の支持体を使わずに、ダイヤモンドおよび触媒
をHP/HT工程で焼結できる。その後で、HP/HT工程またはろう付け工程を使用す
ると、超硬合金の支持体を付着させることができる。
【0025】
さらに別の実施形態では、前記超硬合金の支持体を環形にしてよく、一定量のダイヤモ
ンド粒子および触媒(ダイヤモンド粉末混合物)を前記支持体の環内に配置することがで
きる。これらは、触媒金属を追加するかどうかにかかわらず、HP/HT工程でまとめて
焼結してよい。
【0026】
本明細書に含まれる開示内容は、例えば非鉄金属、セラミックス、および木材ベースの
複合材料の機械加工における強度および強靱性が改善された焼結PCDに関する。また、
PCD機械加工用工具、磨耗パッド、パンチ、ダイなど磨耗部品の製作中における機械加
工性の改善にも関する。最後に、アルミニウム鋳物やステンレス鋼線を含む被加工物に改
善された表面仕上げをもたらす工具の能力にも関する。本明細書で説明する工具としては
、例えばモノリシック焼結PCD、基板(タングステンカーバイド(炭化タングステン)
または他の材料で作製した超硬合金の1つなど)に結合された焼結PCD層、およびタン
グステンカーバイドの超硬合金または他の材料でできた伸線用などの環形超硬合金の内側
で焼結したPCDなどがある。
【0027】
PCDの商業生産において、HP/HT機器の反応セルから回収された生成物すなわち
ブランク(材)は、放電加工、レーザー、フライス加工、特に成形体外面に付着した被覆
金属を除去するための研削などによる切削を含む種々の仕上げ作業に送られることが一般
的である。また、そのような作業は、ダイヤモンド層の厚さおよび/または炭化物支持体
の厚さに関する製品仕様を満たす形状へと成形体を機械工作する上でも行われる。
【0028】
結果として得られたPCD成形体において、ラインインターセプト法で測定される焼結
したままの平均ダイヤモンド結晶粒径は1ミクロン未満になる場合がある。0.1μmを
超える場合もある。種々の実施形態において、平均結晶粒径は、0.9μm未満、0.8
μm未満、0.7μm未満、0.6μm未満、または0.5μm未満となる。前記PCD
成形体は実質的に均一となる。これらの実施形態では、結晶粒径が対称的な正規分布に基
づいており、1μm未満のダイヤモンド結晶粒を50%、63%、77%、90%、98
%、および100%含む場合がある。他の実施形態は、他の範囲を有する場合がある。ま
た、酸素含有量が0.05%未満、0.01%未満、またはこれら数値のいずれかと装置
検出限界値との間など、酸素含有量が低くなる場合がある。本明細書に含まれるPCD成
形体は、厚さ(頂面から基板界面まで)が約0.5ミリメートル(mm)〜約1mm、最
高約1.5mm、1mmを超える、最高約2mm、または別のサイズとなる場合がある。
【0029】
本明細書において、「均一な」結晶粒径または「実質的に均一な」結晶粒径を有した成
形体は、平均結晶粒径が1ミクロン未満、すなわち焼結後に50%を越える粒子が1μm
未満である成形体を包含することを意図している。
【0030】
また製造中は、種々の量のコバルトまたは他の触媒金属が使用可能である。一部の実施
形態では、前記触媒金属の一部または全部が完成品内に残留する。前記触媒金属の一部ま
たは全部が当該材料内に残留する一実施形態において、前記触媒金属は、結合剤相として
は存在しない。前記金属触媒は、ダイヤモンド中の炭素と化学結合を形成せず、残留混入
物質としてのみ存在する。
【0031】
実施例。本明細書では種々の実施形態を例示しているが、これらの例は本発明の
範囲を限定するよう意図されたものではない。
【実施例1】
【0032】
再び図2Aおよび2Bを参照すると、この例は、焼結ダイヤモンドが超硬合金基板へと
一体的に結合されたPCD複合材料の作製能力を実証している。原材料ダイヤモンドの体
積平均粒径が約0.8μmで、図1のように分布した約7重量%のコバルトを含むダイヤ
モンド−コバルト粉末混合物210を、タンタル(Ta)の遮蔽筐体230と、タングス
テンカーバイド(WC)に13重量パーセントのコバルトを加えた超硬合金ディスクとの
間に配置した。このアセンブリ(組み立て品)を、約55Kbarおよび温度約1400
℃で約20分間HP/HT処理し、焼結サブミクロンPCD工具ブランク260を形成し
た。このPCD工具ブランク250を仕上げたところ厚さ1.5mmのダイヤモンド層2
60が得られ、ブランク250の全体的な厚さは3.2mmであった。電界放出走査型電
子顕微鏡で直接的なラインインターセプト測定により当該微細構造を評価したところ、焼
結したままの平均ダイヤモンド結晶粒径は0.87μmであった。この工程では、初期の
ダイヤモンド粉末サイズ、ダイヤモンド層の厚さ、およびコバルト混合物の量を変えて、
いくつかの変形形態を実施した。これらの変形形態については表1にまとめた。
【0033】
【表1】
【0034】
例1のPCD焼結成形体は、走査型電子顕微鏡(scanning electron m
icroscope:SEM)と、酸素および窒素の分析技術とを使って分析した。比較
対象として、先行技術および市販材料で作製したPCD成形体も分析した。それにより見
られた違いを、表2に少数示している。
【0035】
【表2】
【0036】
表2は、先行技術PCD材料と比べて、本明細書の実施形態のPCD材料のほうが窒素お
よび酸素の濃度が低いことを示している。本明細書で説明した実施形態は、約0.01%
(w/w)未満の窒素を含有する場合がある。本明細書で説明した実施形態は、約0.0
5%(w/w)未満の酸素を含有する場合がある。
【0037】
図3のSEM画像では、本明細書で説明したように体積平均粒径0.8μmのダイヤモ
ンド粉末を使って調製したPCD成形体の実施形態のサブミクロン結晶粒径を示している
。図4では、本明細書で説明したように体積平均粒径0.5μmのダイヤモンド粉末を使
って調製したPCD成形体の実施形態のサブミクロン結晶粒径を示している。図5は、市
販製品である住友製材質DA2200のPCD成形体の結晶粒径を示したものである。
【0038】
表3は、図5〜7と同じ3つの材料について、ラインインターセプト法を使って測定し
た焼結ダイヤモンド微細構造の値を示している。この方法は、微細構造の写真上で無作為
に描画した複数の直線と結晶粒界との交点により決定される結晶粒の寸法に基づいたもの
である。
【0039】
【表3】
【0040】
これらの評価により、本明細書で説明した新しいPCD材料は、最も微細な市販製品と比
べて、酸素および窒素含有量が低く、結晶粒径がはるかに微細で、また1μm未満とはる
かに微細な平均結晶粒径を実現することが示されている。
【実施例2】
【0041】
図8を参照すると、この例は、炭化物により支持されたワイヤーダイスブランク800
の作製能力を示している。これらの材料では、炭化物基板からのコバルト結合相を使って
焼結する代わりに、別個の金属源を触媒として使い、ダイヤモンド部分810を環形の炭
化物820の内側で焼結した。この例では、体積平均粒径0.5μmのダイヤモンド粉末
810で、例1と同様に分散された微細なコバルト7重量%をさらに含んだものが使用さ
れた。このダイヤモンドおよびコバルト粉末混合物810を、タンタル(Ta)筐体83
0に収納された円筒形の炭化物820の中央に充填した。コバルト(Co)ディスク84
0(分解図で示す)を前記粉末の上に配置し、その上にTa遮蔽筐体850(これも分解
図で示す)を配置した。これらアセンブリのいくつかをHP/HT反応セルに充填し、約
55Kbarの圧力を約1300℃〜約1500℃の温度で15分間適用して、焼結PC
Dワイヤーダイスを形成した。このPCDワイヤーダイスを前記反応セルから回収し、P
CDの焼結体積全体が直径約7mmおよび厚さ6mmになるよう仕上げた。ダイヤモンド
を取り囲む前記環形の炭化物を含んだ前記ワイヤーダイスの全体的直径は、約14mmで
あった。
【0042】
以上に開示した特徴および機能等の変形形態またその代替形態は、他の多くの異なるシ
ステムまたはアプリケーションへと望ましく組み込み可能なことが理解されるであろう。
また、現時点で予測または予期できない種々の代替形態、変更(修正)形態、変形形態、
または改良形態が今後作成可能であり、これらの形態は、添付の特許請求の範囲に包含さ
れるよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、例示的なコバルト−ダイヤモンド粉末混合物の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)画像である。
【図2A】図2は、焼結したままの状態でサブミクロンの平均結晶粒径を伴うPCD成形体を作製する工程について説明した図である。
【図2B】図2は、焼結したままの状態でサブミクロンの平均結晶粒径を伴うPCD成形体を作製する工程について説明した図である。
【図3】図3は、0.8μmのダイヤモンド粉末を使った一実施形態のSEM画像である。
【図4】図4は、0.5μmのダイヤモンド粉末を使った一実施形態のSEM画像である。
【図5】図5は、先行技術の生成物のSEM画像である。
【図6】説明なし
【図7】説明なし
【図8】説明なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1μm未満であるダイヤモンド結晶
を有した多結晶ダイヤモンド(polycrystalline diamond:PC
D)成形体。
【請求項2】
請求項1記載のPCD成形体において、前記結晶粒径は0.1μmを超えるものである
。
【請求項3】
請求項1記載のPCD成形体において、前記成形体の酸素含有量は、約0.05重量パ
ーセント未満である。
【請求項4】
請求項1記載のPCD成形体において、前記成形体の窒素含有量は、約0.01重量パ
ーセント未満である。
【請求項5】
請求項1記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)成形体において、この多結晶ダイヤモン
ド(PCD)成形体成形体は、
少なくとも63%の結晶が1.0μm未満の結晶粒径であるダイヤモンド結晶成形体で
ある。
【請求項6】
請求項1記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)成形体において、前記焼結されたダイヤ
モンド成形体の厚さは、約0.5mmを超えるものである。
【請求項7】
請求項1記載のPCD成形体において、このPCD成形体は、さらに、
超硬合金(cemented metal carbide)の支持体を有するもので
ある。
【請求項8】
焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1μm未満である多結晶ダイヤモン
ド(PCD)成形体を生成する方法であって、
体積平均粒径が約0.1μmより大きく約1.0μm未満のダイヤモンド粒子を提供す
る工程と、
前記ダイヤモンド結晶粒径より平均粒径が小さい触媒金属を、前記ダイヤモンド粒子に
混合して、ダイヤモンド粉末混合物を形成するものである、前記混合する工程と、
隣接しあうダイヤモンド結晶粒を粒間結合させる上で十分な圧力および温度を使用して
、十分な時間、前記ダイヤモンド粉末混合物を処理する工程と
を有する方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記触媒金属は、鉄族金属を含有するものである。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記金属触媒はコバルトを含有するものである。
【請求項11】
請求項8記載の方法において、前記金属触媒は、前記ダイヤモンド粉末混合物の約0.
5重量%〜約15重量%である。
【請求項12】
請求項8記載の方法において、前記金属触媒はナノ結晶粒子を含有するものである。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記ナノ結晶粒子は、前記ダイヤモンド粒子に直接付
着するものである。
【請求項14】
請求項8記載の方法において、前記圧力は約20Kbar〜70Kbarで、前記温度
は少なくとも約1000℃で、前記時間は約3分間〜約120分間である。
【請求項15】
請求項8記載の方法において、この方法は、さらに、
前記ダイヤモンド粉末混合物を、超硬合金の支持体とともに処理する工程を有するもの
である。
【請求項16】
請求項8記載の方法において、前記超硬合金の支持体は、環形の支持体を有し、前記ダ
イヤモンド粉末混合物は、前記環形の支持体内に配置されるものである。
【請求項17】
焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が約0.1μm〜約1.0μmである
ダイヤモンド結晶を有するPCD成形体を有した多結晶ダイヤモンド(PCD)磨耗部品
。
【請求項18】
請求項17記載の部品において、前記PCD成形体はモノリシックである。
【請求項19】
請求項17記載の部品において、前記PCD成形体は基板に結合されているものである
。
【請求項20】
請求項17記載の部品において、前記基板は、超硬合金を有するものである。
【請求項21】
請求項17記載の部品において、前記超硬合金は、タングステンカーバイド(炭化タン
グステン)超硬合金を有するものである。
【請求項1】
焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1μm未満であるダイヤモンド結晶
を有した多結晶ダイヤモンド(polycrystalline diamond:PC
D)成形体。
【請求項2】
請求項1記載のPCD成形体において、前記結晶粒径は0.1μmを超えるものである
。
【請求項3】
請求項1記載のPCD成形体において、前記成形体の酸素含有量は、約0.05重量パ
ーセント未満である。
【請求項4】
請求項1記載のPCD成形体において、前記成形体の窒素含有量は、約0.01重量パ
ーセント未満である。
【請求項5】
請求項1記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)成形体において、この多結晶ダイヤモン
ド(PCD)成形体成形体は、
少なくとも63%の結晶が1.0μm未満の結晶粒径であるダイヤモンド結晶成形体で
ある。
【請求項6】
請求項1記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)成形体において、前記焼結されたダイヤ
モンド成形体の厚さは、約0.5mmを超えるものである。
【請求項7】
請求項1記載のPCD成形体において、このPCD成形体は、さらに、
超硬合金(cemented metal carbide)の支持体を有するもので
ある。
【請求項8】
焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が1μm未満である多結晶ダイヤモン
ド(PCD)成形体を生成する方法であって、
体積平均粒径が約0.1μmより大きく約1.0μm未満のダイヤモンド粒子を提供す
る工程と、
前記ダイヤモンド結晶粒径より平均粒径が小さい触媒金属を、前記ダイヤモンド粒子に
混合して、ダイヤモンド粉末混合物を形成するものである、前記混合する工程と、
隣接しあうダイヤモンド結晶粒を粒間結合させる上で十分な圧力および温度を使用して
、十分な時間、前記ダイヤモンド粉末混合物を処理する工程と
を有する方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記触媒金属は、鉄族金属を含有するものである。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記金属触媒はコバルトを含有するものである。
【請求項11】
請求項8記載の方法において、前記金属触媒は、前記ダイヤモンド粉末混合物の約0.
5重量%〜約15重量%である。
【請求項12】
請求項8記載の方法において、前記金属触媒はナノ結晶粒子を含有するものである。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記ナノ結晶粒子は、前記ダイヤモンド粒子に直接付
着するものである。
【請求項14】
請求項8記載の方法において、前記圧力は約20Kbar〜70Kbarで、前記温度
は少なくとも約1000℃で、前記時間は約3分間〜約120分間である。
【請求項15】
請求項8記載の方法において、この方法は、さらに、
前記ダイヤモンド粉末混合物を、超硬合金の支持体とともに処理する工程を有するもの
である。
【請求項16】
請求項8記載の方法において、前記超硬合金の支持体は、環形の支持体を有し、前記ダ
イヤモンド粉末混合物は、前記環形の支持体内に配置されるものである。
【請求項17】
焼結したままのダイヤモンド結晶粒径の算術平均が約0.1μm〜約1.0μmである
ダイヤモンド結晶を有するPCD成形体を有した多結晶ダイヤモンド(PCD)磨耗部品
。
【請求項18】
請求項17記載の部品において、前記PCD成形体はモノリシックである。
【請求項19】
請求項17記載の部品において、前記PCD成形体は基板に結合されているものである
。
【請求項20】
請求項17記載の部品において、前記基板は、超硬合金を有するものである。
【請求項21】
請求項17記載の部品において、前記超硬合金は、タングステンカーバイド(炭化タン
グステン)超硬合金を有するものである。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2009−508798(P2009−508798A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531314(P2008−531314)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/035801
【国際公開番号】WO2007/035394
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504174825)ダイヤモンド イノベーションズ、インク. (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/035801
【国際公開番号】WO2007/035394
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504174825)ダイヤモンド イノベーションズ、インク. (12)
【Fターム(参考)】
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