説明

楽曲再生装置

【課題】 類似区間を有する複数の楽曲データのダウンロード及び当該類似区間の楽音再生を効率的に行うことのできる楽曲再生装置の提供。
【解決手段】 類似の楽音を発生する類似区間を有する複数の楽曲データを類似区間毎にそれぞれ分けて表示する。前記類似区間を有する複数の楽曲データは、各楽曲データに対応付けられた所定の表示情報で表示される。この類似区間毎に表示された複数の表示情報のいずれかが選択されると、選択された表示情報に対応付けられている楽曲データのうち少なくとも前記類似区間の楽曲データを外部機器から取得して再生する。このように、類似区間毎に分けて類似区間を有する複数の楽曲データを表示しておき、それらの表示情報を選択するだけで当該類似区間の楽音をすぐに再生できるようにしたことから、ユーザは類似区間を有する複数の楽曲データのダウンロード及び当該類似区間の再生を効率的に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信ネットワーク等を介して外部機器からダウンロードした楽曲データを再生する楽曲再生装置に関する。特に、一部区間が類似している類似区間を有する複数の楽曲データのダウンロード及び当該類似区間の楽音再生を効率的に行うことのできるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、インターネット等の通信ネットワークを介して外部のサーバ装置等(外部機器)に接続し、該接続したサーバ装置のデータベースに予め蓄積されている多数の楽曲(詳しくは楽曲データ)の中からユーザ所望の楽曲のみをダウンロードして再生することができるようになっている。前記楽曲を配信するサーバ装置には個々のユーザが目的とする楽曲を検索しやすいように、例えばシーンや所定の語句などといった個々を特定するための検索情報が楽曲データと共にデータベースに予め登録されているが、そのような検索情報を通信ネットワークを介して参照可能な他のWEBサイトやブログなどから自動的に収集して蓄積する技術が例えば下記に示す特許文献1に開示されている。
【0003】
また、下記に示す特許文献2には、複数のカラオケ曲を所定のカテゴリー(例えば年代やジャンルなど)に基づいて複数のグループに分類させておき、さらに利用者自身がそれら分類されたカラオケ曲を他のグループに移動させたりグループのカテゴリーそのものを変更したりすることによって、自分の好みの曲ばかりを連続して自動演奏させることのできるようにしたカラオケ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-234419号公報
【特許文献2】特開2003-271159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作曲やアレンジ等をはじめてみたいようなユーザは、既存の楽曲を実際に聴いてみてその曲中の一部区間を随時参考にするなどすれば、特に初心者であっても比較的に曲を作りやすい。そこで、一部区間が類似している類似区間を有するいくつかの楽曲をダウンロードして再生できるとよいが、上述したような従来技術によってはそのような一部区間が類似した複数の楽曲を効率的にダウンロードして聴き比べることが難しかった。すなわち、上述した従来技術はある曲と関連のある(同じカテゴリーの)他の楽曲を検索してダウンロードすることはできるが、それらの曲中においてどの区間が類似する区間であるかをユーザに対して提示することはなされておらず、またその類似区間からすぐに曲を再生することができなかった。そのため、結局はユーザ自身が類似区間を有する楽曲を全て把握していなければそもそもそれらの楽曲を検索することができないこと、またその楽曲のどの区間が互いに類似する区間であるかを認識したうえで該当区間までその楽曲を早送りやスキップするなどして再生させなければ参考とすることができないことなどから効率的でない、という不都合があった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、一部区間が類似している類似区間を有する複数の楽曲データのダウンロード及び当該類似区間の楽音再生を効率的に行うことのできるようにした楽曲再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る楽曲再生装置は、通信インタフェースを介して接続される外部機器から取得した楽曲データに基づき楽音を再生する楽曲再生装置であって、前記外部機器に予め蓄積されている多数の楽曲データのうち互いに類似する楽音を発生する類似区間を有する複数の楽曲データに関し、前記各楽曲データに対応付けられた所定の表示情報を前記類似区間毎にそれぞれ表示する表示手段と、前記類似区間毎に表示された複数の表示情報のいずれかを選択する選択手段と、前記選択された表示情報に対応付けられている楽曲データのうち、少なくとも前記類似区間の楽曲データを前記外部機器から取得する取得手段と、前記取得した類似区間の楽曲データに基づき前記類似区間の楽音を再生する楽音再生手段とを備える。
【0008】
この発明によると、類似の楽音を発生する類似区間を有する複数の楽曲データを前記類似区間毎にそれぞれ分けて表示する。前記類似区間を有する複数の楽曲データは、各楽曲データに対応付けられた所定の表示情報で表示される。そして、この類似区間毎に表示された複数の表示情報のいずれかが選択されると、該選択された表示情報に対応付けられている楽曲データのうち、少なくとも前記類似区間の楽曲データを通信インタフェースを介して接続される外部機器から取得して再生する。このように、類似区間毎に分けて類似区間を有する複数の楽曲データを表示するようにしたことから、ユーザは楽曲中で限定される一部区間において類似区間を持つ楽曲データとしてどのような楽曲があるかを容易に把握することができる。それと共に、そうした表示情報を選択するだけで該当区間の楽曲データを取得して当該類似区間からすぐに楽音を再生することができるようにしたことから、ユーザは一部区間が類似している類似区間を有する複数の楽曲データのダウンロード及び当該類似区間の楽音再生を効率的に行うことができるようになる。
【0009】
本発明は装置の発明として構成し実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、類似する楽音を発生する類似区間を有する複数の楽曲データを前記類似区間毎にそれぞれ分けて表示しておき、該表示された楽曲データの選択に応じて少なくとも前記類似区間の楽曲データのみを外部機器から取得し再生するようにしたことから、ユーザは一部区間が類似している類似区間を有する複数の楽曲データのダウンロード及び当該類似区間の楽音再生を効率的に行うことができるようになる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る楽曲再生装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
【図2】楽曲データ、属性情報、区間情報、類似集合情報の各データ構成の一実施例を示す概念図である。
【図3】メイン処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】曲再生処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図5】曲再生画面の一実施例を示す概念図である。
【図6】類似リスト表示処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図7】類似リスト画面及び類似区間選択画面の一実施例を示す概念図である。
【図8】楽曲関連図表示処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】楽曲関連図表示画面の一実施例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0013】
図1は、この発明に係る楽曲再生装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す楽曲再生装置は、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この楽曲再生装置全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、設定操作子4、表示器5、音源/効果回路6、音声データ再生装置7、記憶装置10、通信インタフェース(I/F)11がそれぞれ接続されている。
【0014】
ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、テンポラリメモリなどとして利用される。
【0015】
設定操作子(スイッチ等)4は、例えば後述する「曲再生モード」又は「類似リストランキングモード」又は「楽曲関連図モード」の少なくともいずれかを設定するモード選択ボタン、前記各モードへの設定に応じて表示器5上に表示される各種画面(後述する図5,図7,図9参照)において類似区間を有する楽曲を指定/再生するための各種操作子などを含んで構成される。勿論、設定操作子4は上記した以外にも数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいは表示器5に表示されるポインタなどを操作するマウス等の各種操作子を含んでいてもよい。
【0016】
表示器5は、例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイであり、後述する「曲再生画面」(図5参照)や「類似リスト画面」及び「類似区間選択画面」(図7参照)や「楽曲関連図表示画面」(図9参照)等の各種画面を表示するのは勿論のこと、記憶装置10等に記憶されたダウンロード済みの楽曲データや各種情報(後述する図2参照)あるいはCPU1の制御状態などを表示する。なお、表示器5は、画面上において行われたユーザタッチ操作を検出(認識)する検知機能を有するタッチパネルであってもよい。
【0017】
音源/効果回路6は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた楽曲データ(ここではMIDIデータなど)に基づき発生される各種演奏情報を入力し、これらの演奏情報に基づいて楽音信号を発生する。さらには、該発生した楽音信号に対して適宜に各種の音響効果を付与する。音声データ再生装置7は音声データ再生のためのデコーダ等を含んでなり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた楽曲データ(ここでは音声データなど)に基づいて楽音信号を発生する。これら音源/効果回路6及び音声データ再生装置7の各々から発生される楽音信号はミキシング回路8によりミキシングされ、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム9から発音される。上記音源・効果回路6は、例えばFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、DSP(Digital Signal Processor)やCPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
【0018】
記憶装置10は、通信ネットワークを介して接続される外部の楽曲配信用のサーバ装置(図示せず)からダウンロードした楽曲データの他に、後述するような曲属性情報や区間情報さらには類似集合情報(図2参照)などの各種情報、あるいはCPU1が実行する各種制御プログラム等を記憶する。なお、上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この記憶装置10(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1に実行させることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、記憶装置10はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の様々な形態の可搬記憶媒体を利用した記憶装置であってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよい。
【0019】
通信インタフェース(I/F)11は、通信ネットワークを介して当該装置と図示しないサーバ装置との間で制御プログラムや上記した楽曲データ及び各種データなどを送受信するためのインタフェースである。この通信インタフェース11は、例えばMIDIインタフェース,LAN,インターネット,電話回線等であってよく、また有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
【0020】
なお、本発明に係る楽曲再生装置は電子楽器や自動演奏装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯型通信端末、あるいはカラオケ装置やゲーム装置などのどのような装置・機器の形態であってもよい。さらには、楽曲データを多数蓄積した外部機器(例えばパーソナルコンピュータ)と通信ネットワークを介さずに直接通信インタフェース11により接続し、前記接続した外部機器から任意の楽曲データをダウンロードしてこれを再生することが可能な例えばポータブルプレイヤーなどの装置・機器であってもよい。
【0021】
次に、予め外部のサーバ装置にデータベースなどとして用意されており、当該サーバ装置から通信ネットワーク等を介して楽曲再生装置に取得され記憶される(つまりダウンロードされる)楽曲データ、及びそれに関連してダウンロードされる属性情報、区間情報、類似集合情報について、図2を用いて説明する。図2は、楽曲データ、属性情報、区間情報、類似集合情報の各データ構成の一実施例を示す概念図である。
【0022】
図2(A)は楽曲データの一例を示したものであり、当該楽曲データは1曲分の楽音を連続して再生することが可能な複数に区分け(分割)されていない1つのデータである。典型的には、楽器音や音声などが録音されているオーディオデータである。こうした楽曲データは個々のデータ毎に異なる固有番号からなる曲IDが割り当てられた状態でサーバ装置に予め多数蓄積されており、通信ネットワーク等を介して接続される個々の楽曲再生装置からのダウンロード要求に応じて、任意の楽曲データ(全体あるいは一部であってもよい)が前記楽曲再生装置へと送信される。なお、楽曲データをサーバ装置に予め蓄積しておく際や楽曲再生装置に対して送信する際には、適宜にデータ圧縮するなどしてもよい。また、楽曲データは上記したようなオーディオデータに限らず、例えばMIDIデータなどの他のデータ形式のものであってもよい。
【0023】
図2(B)は属性情報の一例を示したものであり、当該属性情報は上記した楽曲データに対応付けられる再生可能な楽曲に関する情報である。曲IDはサーバ装置等に蓄積されている各楽曲データに割り当てられた固有番号を指し示す情報であって、この曲IDによって楽曲データと属性情報とが対応付けられている(データベース検索における主キーに該当する)。属性情報は曲IDの他に、対応する楽曲データによって再生される楽曲の再生時間長(曲長)、前記楽曲の名前(曲名)、前記楽曲を歌っている人の名前(歌手名)、前記楽曲がヒットした年(年代)、前記楽曲のジャンルなどの当該楽曲を特定することのできる各種情報を保持する。したがって、これら曲長、曲名、歌手名、年代、ジャンルなどの各種情報は、サーバ装置に蓄積された多数の楽曲データの中からユーザ所望の楽曲データを検索するための検索情報ともなる。勿論、属性情報は上記したものに限らない。
【0024】
図2(C)は区間情報の一例を示したものであり、当該区間情報は楽曲データのうちの一部区間を特定して管理するための情報である。区間IDは、区間先頭情報及び区間末尾情報で表される楽曲データ(曲IDで特定される)の一部区間を指し示すためのユニークに割り当てられた固有番号である(主キーに該当する)。前記区間先頭情報は前記一部区間の始まりを、前記区間末尾情報は前記一部区間の終わりをそれぞれ示す。したがって、ここに示す例では、曲ID「1」の楽曲データの開始時刻から「1分30秒」経過した時点から「1分40秒」経過した時点までの「10秒」間の一部区間が区間ID「1」が付された第1の一部区間を指し示し、前記楽曲データの開始時刻から「3分11秒」経過した時点から「3分18秒」経過した時点までの「7秒」間の一部区間が区間ID「2」が付された第2の一部区間を指し示す。類似集合IDは、当該一部区間が属する類似区間の集合(後述する類似集合情報)を表す情報である。
【0025】
図2(D)は類似集合情報を示したものであり、当該類似集合情報は類似区間を有する楽曲データの数を前記類似区間毎に集計した類似集合に関する情報である。類似集合IDは、複数の類似区間をそれぞれが属する類似集合単位に割り当てられる固有番号である(主キーに該当する)。類似する区間の総数は、類似区間を有する楽曲データの数である。ここに示す例では、例えば曲ID「1」の楽曲データにおける第1の一部区間(区間ID「1」)に類似する類似区間を有する同じ類似集合に分類される楽曲データが全部で「23件」あることを、第2の一部区間(区間ID「2」)に類似する類似区間を有する同じ類似集合に分類される楽曲データが全部で「22件」あることをそれぞれ表している。
【0026】
なお、上記区間情報及び類似集合情報は楽曲データを配信するサーバ管理者がサーバ装置に登録することができるだけでなく、前記サーバ装置に通信ネットワークを介して接続可能な個々の楽曲再生装置の利用者が随時にサーバ装置にアクセスして登録することができるようになっていてよい。また、こうした手動登録によらずにサーバ装置による自動探索によって自動的に登録することができるようになっていてよい。例えば、楽曲データが登録されるたびに該楽曲データを所定の短い時間間隔毎に分割し、該分割した個々の楽曲データ毎に所定の特徴量を算出し、この特徴量が近いデータを有する他の楽曲データを検索して上記区間情報及び類似集合情報の登録を自動的に行えばよい。あるいは、自動採譜して移調により調整を行った譜面レベルで他の楽曲データとの一致度を調べたり、自動採譜後における旋律の時間経過のエンベロープの曲線形状に従って他の楽曲データとの一致度を調べたり、自動採譜せずに単純に波形レベルで相互相関をとって他の楽曲データとの一致度を調べるなどのさまざまな方法に従って、上記区間情報及び類似集合情報の登録を自動的に行なうことができるようになっていてもよい。
【0027】
次に、通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置からユーザ所望の楽曲データをダウンロードして再生する「メイン処理」について説明する。図3は、「メイン処理」の一実施例を示すフローチャートである。本処理は、当該楽音再生装置の電源オンに応じて開始されて、電源オフされるまで繰り返し実行される。
【0028】
ステップS1は、ユーザ操作に応じて該当する処理への切り替え(振り分け)を実行する。この実施形態において、ユーザ操作がモード選択ボタンによる「曲再生モード」への遷移操作である場合には、「曲再生処理」を実行する(ステップS2)。ユーザ操作がモード選択ボタンによる「類似リストランキングモード」への遷移操作である場合には、「類似リスト表示処理」を実行する(ステップS3)。ユーザ操作がモード選択ボタンによる「楽曲関連図モード」への遷移操作である場合には、「楽曲関連図表示処理」を実行する(ステップS4)。
【0029】
上記「曲再生処理」(図3のステップS2参照)について、図4を用いて説明する。図4は、「曲再生処理」の一実施例を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS11は、通信ネットワークを介して接続された楽曲配信用のサーバ装置から、ユーザ操作に応じてユーザが取得したい楽曲(ダウンロードしたい楽曲データ)を特定する。ステップS12は、前記サーバ装置から前記特定した楽曲データと、それに関連する属性情報及び区間情報を取得(ダウンロード)する。ただし、当該処理は既に記憶装置10などに楽曲データとそれに関連する属性情報及び区間情報とをダウンロード済みである場合には省略してよい。ステップS13は、並行して処理される図示しない別の再生処理タスク(ダウンロードした楽音データを読み出して、該読み出した楽曲データに基づく楽音再生を実行する実質的な楽音再生のための制御処理)に対して、前記取得した楽曲データを先頭から再生開始するよう指示する。当該指示に応じて楽曲の再生が開始されると共に、表示器5上に「曲再生画面」(後述する図5参照)が表示される。
【0031】
ステップS14は、ユーザ操作に応じて「曲再生モード」以外の別モードへの遷移操作がなされたか否かを判定する。別モードへの遷移操作がなされたと判定した場合には(ステップS14のYES)、当該曲再生処理を終了する。一方、別モードへの遷移操作がなされていないと判定した場合には(ステップS14のNO)、別の再生処理タスクから再生中の楽曲の現在位置を取得する(ステップS15)。ステップS16は、前記取得した再生中の楽曲の現在位置に応じて「曲再生画面」における曲の現在位置表示及び再生時間表示を更新する。ステップS17は、「曲再生画面」に表示中の区間表示図形(再生区間の表示範囲に該当)内に区間情報(図2(C)参照)に基づく類似区間があるならば、表示中の区間表示図形のうち前記類似区間を有する区間を一部区間表示にすると共に、その類似区間を有する他の楽曲データの曲名を類似リストとして前記一部区間表示の近傍に表示する。ステップS18は、曲の現在位置表示が他に類似区間を有する一部区間内にあるならば「曲再生画面」の当該区間表示を強調表示すると共に、またユーザ操作に応じて類似リスト内の他の楽曲データの曲名が選択されているならば当該曲名を強調表示する。上記したような「曲再生画面」における詳しい表示態様については後述する(図5参照)。
【0032】
ステップS19は、ユーザ操作に応じて類似区間の決定操作がされたか否かを判定する。類似区間の決定操作がされていないと判定した場合には(ステップS19のNO)、「移動」操作があったら再生中の曲の現在位置を変更するよう別の再生処理タスクに指示する(ステップS20)。ステップS21は、「戻る」操作があったら再生対象の楽曲データを以前に再生した1つ前の楽曲データに戻し、前記1つ前に再生した楽曲データを再度先頭から再生開始するよう別の再生処理タスクに対して指示する。
【0033】
一方、類似区間の決定操作がされたと判定した場合には(ステップS19のYES)、まず前記サーバ装置から前記決定した類似区間を有する楽曲データのうち当該類似区間以降のデータを優先して取得(ダウンロード)する(ステップS22)。ステップS23は、並行して処理される別の再生処理タスクに対して前記取得した類似区間以降部分からの楽曲データに基づき前記類似区間先頭からの再生を指示する。ステップS24は、前記サーバ装置から前記決定した類似区間を有する楽曲データのうち前記類似区間より前の残りのデータ部分を取得(ダウンロード)する。このように、類似区間を再生する場合にはサーバ装置側で区間情報に基づき該当の楽曲データが前記類似区間先頭箇所で分割され、前記サーバ装置から単純に該当の楽曲データを先頭からではなく前記分割された後の類似区間以降部分の楽曲データから先に取得して、ユーザによる類似区間の決定操作に応じて当該類似区間からすぐに楽音の再生を行うことのできるようにしている。そして、この類似区間以降部分の楽曲データの再生中に、並行して分割後の前記類似区間よりも前の楽曲データを取得することによって、類似区間を有する他の楽曲データへと再生を切り換えながら当該楽曲データ全体を効率よくダウンロードすることのできるようにしている。
【0034】
上記ステップS21又はステップS24終了後はステップS14の処理に戻って、ステップS14以降の処理を繰り返し実行する。なお、前記決定した類似区間を有する楽曲データのダウンロードにあわせて(ステップS22又はステップS24)、それに関連する属性情報及び区間情報を取得することは勿論である。なお、上記ステップS22及びステップS24の処理において、既に該当の楽曲データがダウンロード済みである場合には記憶装置10から該当する楽曲データを類似区間で分割してそれぞれ読み出すようにすればよい。
【0035】
ここで、上記した「曲再生処理」における楽曲データの再生開始に応じて表示器5上に表示されて、前記楽曲データに基づく曲進行にあわせてその表示内容が適宜に更新される「曲再生画面」について、図5を用いて説明する。図5は、「曲再生モード」時に表示器5に表示される「曲再生画面」の一実施例を示す概念図である。
【0036】
図5(A)に示すように「曲再生画面」には、画面上部に現在再生中の楽曲に関する楽曲情報が表示される(楽曲情報表示A)。この楽曲情報表示Aとして、ここでは曲名(この例では「はらのまい」)と当該楽曲の再生開始から経過した再生時間(この例では「56秒02」)と曲長(この例では「4分23秒」)とがそれぞれ表示されている例を示した。前記曲名及び曲長は属性情報(図2(B)参照)に基づき表示される一方、前記再生時間は別の再生処理タスクから取得した再生中の楽曲の現在位置(図4のステップS15参照)に基づき適宜に更新されながら表示される。
【0037】
前記楽曲情報表示Aの下方には、楽曲データの再生進行にあわせて表示更新されると共に、区間情報(図2(C)参照)に基づき類似区間を有する一部区間については類似区間を有さない他の区間と異なる表示態様で適宜に示す再生区間情報表示Bが表示される。該再生区間情報表示Bは表示中の再生区間範囲内に類似区間があるならば、表示中の再生区間のうち類似区間を有する一部区間を区切って表示する。この再生区間情報表示Bにおいて一部区間として区切られた区間表示の近傍には、類似区間を有する他の楽曲データの曲名(表示情報)が類似リストCとして表示される(図4のステップS17参照)。この実施形態では、一部区間「A」と一部区間「B」との2つの一部区間に区切られていることから、これらの一部区間は類似区間を有する区間としてユーザに認識される。
【0038】
そして、前記一部区間「A」においては曲名「インディタリアン」、「つくつくすぃーと」、「日本語++」の3つの曲が、一部区間「B」においては曲名「旅立ち」の1つの曲のみが類似リストCに表示されている。ユーザは前記一部区間毎に表示される類似リストCを参照すれば、類似区間を有する他の楽曲データとしてどのようなものがあるかをすぐに把握することができることとなる。また、前記再生区間情報表示Bに重なるようにして曲の現在位置表示Dが表示されており、当該曲の現在位置表示Dは曲進行にあわせて画面左から右へと移動するように更新される(図4のステップS16参照)。
【0039】
図5(B)は、曲の現在位置(再生位置)が類似区間を有する一部区間に達した場合の表示例を示すものである。この図5(B)に示すように、曲の現在位置表示Dが曲進行に応じて類似区間を有する一部区間内に位置するのにあわせ、当該区間表示部分が強調表示されるようになっている。ここでは曲の現在位置表示Dが一部区間「A」に位置していることから、一部区間「A」が強調表示されている。そして、ユーザ操作に応じて類似リストC内の他の楽曲データの曲名が選択されることに応じて、当該選択されている曲名が強調表示される。ここでは「インディタリアン」が選択されており強調表示されている。前記曲名の選択に応じてサーバ装置に対し曲ID及び区間IDが送信され、サーバ装置では前記曲IDに従う楽曲データを前記区間IDで規定される区間先頭情報以降の楽曲データを特定する。
【0040】
図5(C)は、類似区間の決定操作として「インディタリアン」が決定された場合の表示例を示すものである。図5(C)に示すように、楽曲情報表示Aは前記決定された「インディタリアン」に関する楽曲情報に表示変更される。すなわち、曲名が「はらのまい」から「インディタリアン」に、曲の再生時間が「インディタリアン」における該当区間の先頭に(この例では「4分33秒82」)、曲長が「はらのまい」の「4分23秒」から「インディタリアン」の「5分11秒」にそれぞれ変更される。また、再生区間情報表示Bにおいて一部区間として区切られる区間表示も変更される。さらに、類似リストC内の他の楽曲データの曲名のうち選択したものと再生していたものとの一部入れ替え表示、この例では「インディタリアン」と「はらのまい」とが入れ替えられるように表示変更が行われて、当該一部区間として区切られた区間表示の近傍には曲名「はらのまい」、「つくつくすぃーと」、「日本語++」の3つの曲が類似リストCに表示される。
【0041】
上記図5(C)から理解できるように、類似区間の決定操作直後においては、曲の現在位置表示Dが「インディタリアン」における該当区間(図中の一部区間「A」)の先頭に位置づけられる。これは、それまで再生されていた「はらのまい」の該当区間の楽曲データと入れ替わりで、前記決定された類似区間の先頭(前記区間IDで規定される区間先頭情報に対応)から楽曲データの再生が開始されることを表している。すなわち、ユーザは前記一部区間毎に表示される類似リストCの中から任意の曲名を選択して決定操作を行うだけで、類似区間を有する他の楽曲データを当該区間から再生することがすぐにできることを意味する。
【0042】
このように、「曲再生モード」時においては、任意の楽曲データの再生にあわせて当該楽曲の再生進行状況を更新しながら表示する「曲再生画面」に、類似区間を有する他の楽曲データのダウンロード先(上記した曲ID及び区間IDに限らず、インターネット上の記憶場所を表すURLなどであってもよい)がリンクされている曲名などを羅列した類似リストCを、前記再生進行状況を表す区間表示図形Bの該当区間に対応付けるようにして表示する。ユーザは、「曲再生画面」に再生進行に応じて適宜に表示される類似リストC内の曲名のいずれかを選択することで、選択した類似区間の楽曲データのみを当該区間から再生することができる。したがって、ユーザは再生対象の楽曲データを適宜に切り換えながら多くの楽曲で用いられている類似区間を聴き比べて比較することを、画面上に表示された類似リストC内の曲名を指定するだけで容易に行うことができる。
【0043】
次に、上記「類似リスト表示処理」(図3のステップS3参照)について、図6を用いて説明する。図6は、「類似リスト表示処理」の一実施例を示すフローチャートである。図7は、「類似リストランキングモード」時に表示器5に表示される「類似リスト画面」及び「類似区間選択画面」の一実施例を示す概念図である。
【0044】
ステップS31は、サーバ装置が管理する類似集合情報(図2(D)参照)の全部あるいは類似区間の総数が多い上位(又は下位など)のいくつかを前記サーバ装置から取得する。ステップS32は、前記取得した類似集合情報に基づき類似区間の総数が多い順(あるいは少ない順など)に類似集合を並べた「類似リスト画面」を表示する。図7(A)に前記「類似リスト画面」の一例を示す。
【0045】
図7(A)に示す「類似リスト画面」は、類似集合別に各類似集合に属する類似区間を有した楽曲データの数が多い順にランキング形式に表示したものである。ここに示す例では、「23件」の楽曲データが同じ類似集合に属する類似区間を有した楽曲データとして1番数が多く、「22件」の楽曲データが別の類似集合に属する類似区間を有した楽曲データとして2番目に数が多く、「12件」の楽曲データがさらに別の類似集合に属する類似区間を有した楽曲データとして3番目に数が多いことを表している。
【0046】
図6の説明に戻って、ステップS33は、ユーザ操作に応じて「類似リストランキングモード」以外の別モードへの遷移操作がなされたか否かを判定する。別モードへの遷移操作がなされたと判定した場合には(ステップS33のYES)、当該類似リスト表示処理を終了する。一方、別モードへの遷移操作がなされていないと判定した場合には(ステップS33のNO)、前記表示した「類似リスト画面」においてユーザによる類似集合の選択操作がされたか否かを判定する(ステップS34)。前記ユーザによる類似集合の選択操作は、「類似リスト画面」においてランキング形式で表示されている楽曲データ数のいずれかをクリックするなどすればよい。
【0047】
こうしたユーザによる類似集合の選択操作がされていないと判定した場合には(ステップS34のNO)、ステップS32の処理へ戻る。他方、ユーザによる類似集合の選択操作がされたと判定した場合には(ステップS34のYES)、選択された類似集合に含まれる全ての区間情報をサーバ装置から取得(ダウンロード)する(ステップS35)。ステップS36は、取得した全ての区間情報に基づき類似区間を所定の順(例えば年代順など)に従って並べた「類似区間選択画面」を表示する。図7(B)に前記「類似区間選択画面」の一例を示す。
【0048】
図7(B)に示す「類似区間選択画面」は、前記「類似リスト画面」においてユーザにより選択操作がなされた同じ類似集合に属する類似区間を有した楽曲データの全てを数字(表示情報に該当)により表示したものである。ここでは単に数字を羅列表示したものを示したが、各楽曲データの曲名などを羅列表示させてもよい。
【0049】
図6の説明に戻って、ステップS37は類似集合を列挙した前記「類似リスト画面」に戻る操作がされたか否かを判定する。「類似リスト画面」に戻る操作がされたと判定した場合には(ステップS37のYES)上記ステップS32の処理へ戻る。「類似リスト画面」に戻る操作がされていないと判定した場合には(ステップS37のNO)、ユーザによる類似区間の選択操作がされたか否かを判定する(ステップS38)。前記ユーザによる類似区間の選択操作は、「類似区間選択画面」に羅列表示されている数字(あるいは曲名など)のいずれかをクリックするなどすればよい。「類似区間選択画面」に羅列表示されている数字の各々には、類似区間を有する他の楽曲データのダウンロード先(曲ID及び区間IDなど)がリンクされている。
【0050】
ユーザによる類似区間の選択操作がされていないと判定した場合には(ステップS38のNO)、上記ステップS37の処理に戻る。ユーザによる類似区間の選択操作がされたと判定した場合には(ステップS38のYES)、選択された類似区間に対応する部分の楽曲データのみをサーバ装置から取得(ダウンロード)する(ステップS39)。ステップS40は、取得した部分の楽曲データの再生を別の再生処理タスクに指示する。すなわち、サーバ装置側で区間情報に基づき該当の楽曲データのうち類似区間先頭から類似区間末尾までの一部区間が抽出されて、前記サーバ装置から前記抽出された一部区間の楽曲データのみを取得して当該区間のみがすぐに再生されるようになっている。ステップS40の処理終了後、上記ステップS37の処理に戻る。
【0051】
このように、「類似リストランキングモード」時においては、ユーザが「類似リスト画面」に表示された類似集合別の楽曲データ数のいずれかを選択することで、「類似区間選択画面」として当該類似集合に含まれる1乃至複数の類似区間を有する楽曲データを個別に羅列表示することができる。そして、該羅列表示された類似区間(楽曲データ)のいずれかを選択することで、選択された類似区間の楽曲データのみを再生することができる。したがって、ユーザはより多くの曲で用いられている複数の類似区間に関し、各々の類似区間のみを順次に聴き比べて比較することが容易にできるようになる。
【0052】
次に、「楽曲関連図表示処理」(図3のステップS4)について、図8を用いて説明する。図8は、「楽曲関連図表示処理」の一実施例を示すフローチャートである。図9は、「楽曲関連図モード」時に表示器5に表示される「楽曲関連図表示画面」の一実施例を示す概念図である。
【0053】
ステップS41は、サーバ装置が管理する全部の楽曲データ(あるいは所定の検索条件に合致する複数の楽曲データ又はユーザが指定した複数の楽曲データであってもよい)について、前記サーバ装置から属性情報(曲名や曲長など)及び区間情報を取得する。ステップS42は、前記各楽曲データそれぞれに対応しておりかつ前記取得した区間情報に基づき類似区間毎に区分されている所定の表示形態の区間表示図形の配置位置が所定のアルゴリズムにより決定された、後述の「楽曲関連図表示画面」(図9参照)を表示する。前記アルゴリズムは各楽曲データが含んでいる類似区間の共有関係に基づいて区間表示図形の配置位置を計算するものであって、例えば力学的手法(ばねモデル、ポテンシャルモデルなど)や統計的手法(多次元尺度構成法など)などの一般的な方法が用いられる。ステップS43は、前記配置位置を決定した各楽曲データに対応する各区間表示図形と共に、ユーザにより指定された楽曲データのみに関してあるいは表示された全ての楽曲データに関して他の楽曲データとのリンク関係を表示する。ここで、図9(A)及び図9(B)に前記「楽曲関連図表示画面」の一例を示す。
【0054】
図9(A)に示す「楽曲関連図表示画面」には、区間情報(図2(C)参照)に基づき類似区間を有する楽曲区間を所定の表示態様で適宜に示す再生区間情報表示Bが楽曲データ毎に表示される。該再生区間情報表示Bは、表示中の楽曲区間内に類似区間があるならば、表示中の楽曲区間のうち類似区間を有する一部区間を区切って表示する。前記再生区間情報表示Bの近傍には、現在表示中の楽曲区間に関しての楽曲情報が表示される(楽曲情報表示A)。この楽曲情報表示Aとして、ここでは曲名(この例では「はらのまい」など)のみが表示されている例を示した。
【0055】
前記再生区間情報表示Bで示される楽曲区間の一部区間のうち、他の楽曲データにおいて前記一部区間と類似する類似区間を有するものがある場合すなわち同じ類似集合に属する類似区間を有する楽曲データがある場合には、対応する各再生区間情報表示Bの類似区間同士を関連付けるリンク表示E(リンク関係)を表示する。例えば、図示の例では「はらのまい」の一部区間Aと、「日本語++」の一部区間A、「インディタリアン」の一部区間A、「つくつくすぃーと」の一部区間Cそれぞれとがリンク表示Eによって結ばれていることから、これらは同じ類似集合に属する類似区間であることが示される。また、「はらのまい」の一部区間Bと「旅立ち」の一部区間Aとがリンク表示Eによって結ばれていることから、これらは「はらのまい」の一部区間Aが属する類似集合とは異なる別の類似集合に属する類似区間であることが示される。
【0056】
他方、図9(B)に示す「楽曲関連図表示画面」は、類似区間を有する楽曲データの数が多い場合の表示例を示したものである。この場合には、1つの類似集合毎に当該類似集合に属する類似区間を有する楽曲データに対応した多数の再生区間情報表示Bを1つの群にまとめて表示する(図示の例では4つの群F1〜F4)。各群F1〜F4に属する楽曲データにおいて、同じ楽曲データが異なる別の類似集合にも属している場合には、異なる類似集合内に含まれる同じ楽曲データを互いに関連付けるリンク表示Eを表示する。ただし、指定した楽曲データのみ(例えば後述する区間選択された楽曲データのみ)に関して前記リンク表示Eを表示すればよい。例えば、楽曲データが図9(A)に示したものと同様である場合、「はらのまい」と「日本語++」と「インディタリアン」と「つくつくすぃーと」の各楽曲データが同じ群F1にまとめられる。その一方で、前記「はらのまい」は「旅立ち」と共に別の群F2(つまり異なる類似集合)にもまとめられる。この状態で、群F1の「はらのまい」を指定した場合には、群F2に含まれる「旅立ち」へのリンク表示Eが表示される。すなわち、図9に示す例においては再生区間情報表示Bとリンク表示Eとの組み合わせが表示情報に該当する。
【0057】
図8の説明に戻って、ステップS44はユーザ操作に応じて「楽曲関連図モード」以外の別モードへの遷移操作がなされたか否かを判定する。別モードへの遷移操作がなされたと判定した場合には(ステップS44のYES)、当該楽曲関連図表示処理を終了する。一方、別モードへの遷移操作がなされていないと判定した場合には(ステップS44のNO)、ユーザによる曲選択操作がされたか否かを判定する(ステップS45)。ユーザによる曲選択操作がされたと判定した場合には(ステップS45のYES)、曲全区間の楽曲データをサーバ装置から取得する(ステップS46)。ただし、既に取得済みである場合には当該処理を省略してよい。ステップS47は、曲全区間の楽曲データの再生を別の再生処理タスクに指示する。ステップS51は、楽曲区間を指定するユーザ操作に応じて任意の楽曲データに関する区間表示図形の表示位置を他の楽曲区間に変更する。
【0058】
ユーザによる曲選択操作がされていないと判定した場合には(ステップS45のNO)、ユーザによる区間選択操作がされたか否かを判定する(ステップS48)。ユーザによる区間選択操作がされていないと判定した場合には(ステップS48のNO)、ステップS51の処理へジャンプする。ユーザによる区間選択操作がされたと判定した場合には(ステップS48のYES)、前記選択された区間に対応する部分の楽曲データのみをサーバ装置から取得する(ステップS49)。ただし、既に取得済みである場合には当該処理を省略してよい。ステップS50は、取得した部分の楽曲データの再生を別の再生処理タスクに指示する。ステップS50の処理終了後には、上記ステップS51の処理へ行く。
【0059】
このように、「楽曲関連図モード」時においては、ユーザが「楽曲関連図表示画面」に表示された楽曲データの区間選択により任意に選択することで、選択した楽曲データの該当区間のみを再生することができる。したがって、ユーザはより多くの曲で用いられている複数の類似区間に関し、各々の類似区間のみを順次に聴き比べて比較することが容易にできる。
【0060】
以上のように、本発明に係る楽曲再生装置では、類似する楽音を発生する類似区間を有する複数の楽曲データを前記類似区間毎にそれぞれ分けて、各楽曲データに対応付けられた所定の表示情報で表示する。この類似区間毎に表示された複数の表示情報のいずれかが選択されると、該選択された表示情報に対応付けられている楽曲データのうち、少なくとも前記類似区間の楽曲データのみを通信ネットワーク等を介して接続されるサーバ装置(外部機器)から取得する。そして、該取得した楽曲データに基づき少なくとも前記類似区間の楽音を再生するようにした。このように、類似区間毎に分けて類似区間を有する複数の楽曲データを表示することにより、ユーザは楽曲中の限定されたピンポイントで類似区間を持つ楽曲データにどのようなものがあるかを把握することが容易にできるようになる。それと共に、類似区間の楽曲データのみを取得して当該類似区間の楽音をすぐに再生できるようにしたことにより、ユーザは一部区間が類似している類似区間を有する複数の楽曲データのダウンロード及び当該類似区間の再生を効率的に行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0061】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…設定操作子、5…表示器、6…音源/効果回路、7…音声データ再生装置、8…ミキシング回路、9…サウンドシステム、10…記憶装置、11…通信インタフェース、1D…データ及びアドレスバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信インタフェースを介して接続される外部機器から取得した楽曲データに基づき楽音を再生する楽曲再生装置であって、
前記外部機器に予め蓄積されている多数の楽曲データのうち互いに類似する楽音を発生する類似区間を有する複数の楽曲データに関し、前記各楽曲データに対応付けられた所定の表示情報を前記類似区間毎にそれぞれ表示する表示手段と、
前記類似区間毎に表示された複数の表示情報のいずれかを選択する選択手段と、
前記選択された表示情報に対応付けられている楽曲データのうち、少なくとも前記類似区間の楽曲データを前記外部機器から取得する取得手段と、
前記取得した類似区間の楽曲データに基づき前記類似区間の楽音を再生する楽音再生手段と
を備える楽曲再生装置。
【請求項2】
前記表示手段は楽曲データの再生にあわせて楽音の再生区間をリアルタイムに更新しながら表示するものであって、前記更新表示する再生区間の楽音と類似する楽音を発生する前記類似区間を有する他の楽曲データがある場合には、前記再生区間を前記類似区間毎に分割表示すると共に、前記表示情報を分割後の各再生区間にそれぞれ対応付けて表示することを特徴とする請求項1に記載の楽曲再生装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記外部機器に予め蓄積されている多数の楽曲データのうち互いに類似する楽音を発生する類似区間を有する楽曲データの数を前記類似区間毎に集計した類似集合情報を所定順に列挙表示し、前記類似集合情報のいずれかの選択に応じて該類似集合情報に含まれる楽曲データのみに関し前記表示情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の楽曲再生装置。
【請求項4】
前記表示手段は複数の楽曲データの楽曲区間を表示するものであって、前記楽曲区間の表示されている複数の楽曲データのうち指定された任意の楽曲データの楽曲区間の楽音と類似する楽音を発生する前記類似区間を有する全ての他の楽曲データに関し、前記指定された楽曲データの楽曲区間と前記他の楽音データにおける前記楽曲区間に対応した類似区間とを互いに関連付けて表示することを特徴とする請求項1に記載の楽曲再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−53393(P2012−53393A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197716(P2010−197716)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】