説明

構成部品の配置構造および、構成部品の配置構造を製造する方法

構成部品の配置構造およびその製造のための方法を提供する。その構成部品の配置構造は、上に半導体部品を配置したキャリア要素を含んでおり、その半導体部品が少なくとも一つの結線ボンディングワイヤを介して電気的に、キャリア要素上の少なくとも一つの接触面と接続されている。結線ボンディングワイヤは、封止物質でできた封止部材の中に埋め込まれている。流出防止手段を介することにより少なくとも部分的範囲で、封止物質が制御されずに流出することを防止する。封止部材表面と半導体部品の部品側接触面間の境界に、流出防止手段として少なくとも一つの流出防止ボンディングワイヤを配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成部品の配置構造および、構成部品の配置構造を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光電関係の構成部品の配置構造は、例えば米国特許第7,149,091B2で公知である。そこでは半導体部品がキャリア要素上に配置されており、その半導体部品が多数の結線ボンディングワイヤを介して電気的に、キャリア要素上で露出している少なくとも一つの接触面と接続している。結線ボンディングワイヤは半導体部品と一緒に、適切な封止物質でできた封止部材の中に完全に埋め込まれている。更に流出防止手段が設けられており、封止材料が硬化する前にキャリア要素上の半導体部品の周りで封止物質が制御されないで流出することを防止する。流出防止手段として米国特許第7,149,091B2では、リング形状で半導体部品の周りに配置された扁平な導線部分をキャリア要素上に設けており、それがキャリア要素から僅かに突出している。この解決手段は確かに、例えばそれぞれの半導体部品周りに一つ又は複数の個別のダム状部分を設けるというような、個別の流出防止手段を廃止することができる。しかしながら、これが余分に流出防止手段として機能せねばならない時には、結果としてキャリア要素上における導線部分のレイアウトに関して制限が生じる。導線部分ないし流出防止手段を設けることは更に、マスキングプロセスを介した工数のかかる金属被覆が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
よって本発明の課題は、構成部品の配置構造および、その製造のための適切な方法を提供することであり、工数のかかる追加処置なしで確実に、結線ボンディングワイヤを保護するために設けられる封止部材の流出を防止できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
最初に挙げた課題は、請求項1の特徴を有する構成部品の配置構造により解決する。
本発明による構成部品の配置構造で利点のある実施形態は、請求項1に従属する請求項に記載されている特徴から得られる。
【0005】
二番目に記載の課題は、請求項14に記載の方法に従う構成部品の配置構造を製造するための方法により解決する。
本発明による方法で利点のある実施形態は、請求項14に従属する特許請求項に記載されている方法から得られる。
【0006】
本発明によれば、流出防止手段として流出防止ボンディングワイヤを半導体部品と封止部材間の境界範囲に配置する、好ましくは封止部材表面と半導体部品の部品側接触面間の境界に配置するようにしている。そのとき流出防止ボンディングワイヤは、電気的に結線するために必要なボンディングプロセスの範疇で装着できるので、プロセス技術的に多くの工数を加えることなく間違いのない流出防止策を実現できる。
【0007】
本発明による構成部品の配置構造は、上に半導体部品を配置したキャリア要素を含んでおり、その半導体部品が少なくとも一つの結線ボンディングワイヤを介して電気的に、キャリア要素上の少なくとも一つの接触面と接続している。結線ボンディングワイヤは、封止物質でできた封止部材の中に埋め込まれている。流出防止手段を介することにより少なくとも部分範囲で、封止物質が制御されずに流出することを防止する。封止部材表面と半導体部品の部品側接触面間の境界に、流出防止手段として少なくとも一つの流出防止ボンディングワイヤを配置している。

結線ボンディングワイヤと流出防止ボンディングワイヤが、同じ材料でできていると好ましい。
【0008】
流出防止ボンディングワイヤと結線ボンディングワイヤが、同じ直径を有していると利点がある。
可能性のある実施形態においては、キャリア要素上で別の方向にも一つ又は複数の別の流出防止ボンディングワイヤを追加して配置しており、それがこの方向でもキャリア要素上で封止物質が制御されずに流出することを防止する。
【0009】
利点のある実施形態では、流出防止ボンディングワイヤを半導体部品の上側に配置している。
このとき、結線ボンディングワイヤの部品側接点を、例えば半導体部品の上側で流出防止ボンディングワイヤと半導体部品縁部の間に配置している。
【0010】
流出防止ボンディングワイヤを、その二つの端部で固定すると好ましい。
加えて流出防止ボンディングワイヤを、半導体部品で封止部材に向き合っている側面に平行に配置していると、利点のあることが分かっている。
【0011】
可能性のある変形例では、半導体部品を光学素子として構成している。
封止部材が半導体部品上およびキャリア要素上で、結線ボンディングワイヤの部品側とキャリア要素側の接点を覆っていると利点がある。
【0012】
可能性のある実施形態では流出防止ボンディングワイヤを、両端部を使って半導体部品の部品側接触面に配置している。
更に、半導体部品の部品側接触面上の少なくとも別の一つの位置で、流出防止ボンディングワイヤを固定することも可能である。
【0013】
更に半導体部品の部品側接触面上に別の流出防止手段として、流出防止ボンディングワイヤにより片側で境界が決められているダム状部分を構成するようにしていることがある。
【0014】
構成部品の配置構造を製造するための本発明による方法の範疇では、まずキャリア要素上に半導体部品を配置する。そしてその半導体部品を少なくとも一つの結線ボンディングワイヤを介して電気的に、キャリア要素上の少なくとも一つの接触面と接続する。引き続いて、封止物質でできた封止部材を塗布し、その中に結線ボンディングワイヤを埋め込む。封止部材を塗布する前に、少なくとも半導体部品と封止部材間の境界範囲ないし封止部材表面と半導体部品の部品側接触面間の境界に、流出防止手段として少なくとも一つの流出防止ボンディングワイヤを配置する。
【0015】
結線ボンディングワイヤと流出防止ボンディングワイヤを、一つのボンディングプロセスを介して装着すると好ましい。
更に、キャリア要素上で別の方向にも一つ又は複数の別の流出防止ボンディングワイヤを追加して配置することがあり、それがこの方向でもキャリア要素上で封止物質が制御されずに流出することを防止する。
【0016】
流出防止ボンディングワイヤを半導体部品の上側に配置すると好ましい。
結線ボンディングワイヤの部品側接点を、半導体部品の上側で流出防止ボンディングワイヤと半導体部品の縁部間に配置していると利点がある。
【0017】
結線ボンディングワイヤの部品側とキャリア要素側の接触面を、封止部材を介して半導体部品上およびキャリア要素上で覆っていると好ましい。
最後に、流出防止ボンディングワイヤをその二つの端部で固定すると、利点があると分かっている。
【0018】
本発明の別の利点および詳細は、添付図面を使った実施例についての以下の記述により分かる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】本発明による構成部品の配置構造の第一実施例の概略第一断面外観図。
【図1b】図1aにある本発明による構成部品の配置構造の実施例の概略第二断面外観図。
【図2】図1aと1bにある本発明による構成部品の配置構造の実施例の上部外観図。
【図3a】第一実施例に従って本発明による構成部品の配置構造を製造するための本発明による方法の範疇にある方法の第1ステップ。
【図3b】第一実施例に従って本発明による構成部品の配置構造を製造するための本発明による方法の範疇にある方法の第2ステップ。
【図3c】第一実施例に従って本発明による構成部品の配置構造を製造するための本発明による方法の範疇にある方法の第3ステップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品の配置構造であって、
キャリア要素(1;21;31)と、
キャリア要素(1;21;31)上に配置されると共に少なくとも一つの結線ボンディングワイヤ(4;34)と接続している接触面(6;26;36)を有する半導体部品(3;23;33)であって、その結線ボンディングワイヤの他端部がキャリア要素(1;21;31)上の少なくとも一つの接触面(5;35)と接続している半導体部品と、
中に結線ボンディングワイヤ(4;34)を埋め込んでいる封止物質でできた封止部材(7;27;37)と、
少なくとも部分的範囲で封止物質が制御されずに流出することを防止する流出防止手段を備え、
流出防止手段として、少なくとも一つの流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)を、封止部材表面と半導体部品(3;23;33)の部品側接触面(6;26;36)間の境界に配置している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
結線ボンディングワイヤ(4;34)と流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)が、同じ材料でできている、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項3】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)と結線ボンディングワイヤ(4;34)が、同じ直径を有している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項4】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
キャリア要素(1;21;31)上で別の方向にも一つ又は複数の別の流出防止ボンディングワイヤを追加して配置しており、それがこの方向でもキャリア要素上の封止物質が制御されずに流出することを防止する、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項5】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)を半導体部品(3;23;33)の上側に配置している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項6】
請求項5に記載の構成部品の配置構造において、
結線ボンディングワイヤ(4;34)の部品側接点(4.1;34.1)を、半導体部品(3;23;33)の上側で流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)と半導体部品(3;23;33)の縁部の間に配置している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項7】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)を、その二つの端部(9.1,9.2;29.1,29.2;39.1,39.2)で固定している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項8】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)を、半導体部品(3;23;33)の封止部材(7;27;37)に向き合っている側面に平行に配置している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項9】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
半導体部品(3;23;33)を光学素子として構成している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項10】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
封止部材(7;27;37)が半導体部品(3;23;33)上およびキャリア要素(1;21;31)上で、結線ボンディングワイヤ(4;34)の部品側とキャリア要素側の接点(4.1,4.2;34.1)を覆っている、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項11】
請求項1に記載の構成部品の配置構造において、
流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)を、両端部(9.1,9.2;29.1,29.2;39.1,39.2)を使って半導体部品(3;23;33)の部品側接触面(6;26;36)に配置している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項12】
請求項7に記載の構成部品の配置構造において、
半導体部品(23)の部品側接触面(26)上の少なくとも別の一つの位置(29.3)で、流出防止ボンディングワイヤ(28)を固定している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか一つに記載の構成部品の配置構造において、
半導体部品(33)の部品側接触面(36)上に別の流出防止手段として、流出防止ボンディングワイヤ(38)により片側で境界が決められているダム状部分(40)を構成している、ことを特徴とする構成部品の配置構造。
【請求項14】
構成部品の配置構造を製造するための方法において、
キャリア要素(1;21;31)上に半導体部品(3;23;33)を配置し、
その半導体部品(1;21;31)を少なくとも一つの結線ボンディングワイヤ(4;24;34)を介して電気的に、キャリア要素(1;21;31)上の少なくとも一つの接触面(6;26;36)と接続させ、そして
封止物質でできた封止部材(7;27;37)を塗布し、その中に結線ボンディングワイヤ(4;24;34)を埋め込み、そして
封止部材(7;27;37)を塗布する前に、封止部材表面と半導体部品(3;23;33)の部品側接触面(6;26;36)間の境界に、流出防止手段として少なくとも一つの流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)を配置する、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
結線ボンディングワイヤ(4;34)と流出防止ボンディングワイヤ(8;28;38)を、一つのボンディングプロセスを介して装着する、ことを特徴とする方法。

【図3a】第一実施例に従って本発明による構成部品の配置構造を製造するための本発明による方法の範疇にある方法の第4ステップ。
【図4】本発明による構成部品の配置構造の第二実施例の概略断面外観図。
【図5】本発明による構成部品の配置構造の第三実施例の上部外観図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
図1aおよび1bでは、本発明による構成部品の配置構造の第一実施形態の断面外観を図示している。図2は、この実施例の上部外観を示している。以下においてはこれらの図を使いながら、本発明による構成部品の配置構造の第一実施例を説明することにする。
【0021】
本発明による構成部品の配置構造で以下において説明することになる別の構成部品が、キャリア要素1上に配置されている。この例ではキャリア要素1を、FR4材料製の公知のプリント基板として構成している。しかしながら代替として、例えばセラミックまたは柔軟性のあるプリント基板材料等のような別の材料も、キャリア要素1用として検討対象になる。
【0022】
キャリア要素1の中または上には金属製の導線2a、2bを配置しており、それがキャリア要素1上に配置した半導体部品3および、場合により別の部品を電気的に結線する働きをする。図示している実施例では半導体部品3として、矩形の底面を有しケースに入っていない光学素子を設けており、受光面の形態にあるその光学的機能に関連する範囲9は、キャリア要素1から離れる方向を向いている。しかしながら光学素子の代わりに、キャリア要素1上でこの位置に別の半導体部品3を配置することもあり得る。例えば半導体光源を設けており、それが発光面等の形態にある光学的機能に関連する範囲を有していること等もあり得る。
【0023】
キャリア要素1上への半導体部品3の固定は、提示の例ではハンダ付けプロセスにより行っている。しかしながら、これに対する代替として半導体部品3をキャリア要素1上に張り合わせることもあろう。
【0024】
半導体部品3は結線ボンディングワイヤ4を介して電気的に、キャリア要素1の上側で露出した接触面5と接続している。図から分かるようにキャリア要素1側の接触面5上に、結線ボンディングワイヤ4のキャリア要素側接点4.2がある。半導体部品3の上側に、結線ボンディングワイヤ4の部品側接点4.1用の部品側接触面6がある。接触面5、6は、それぞれ公知の形式と方法で金属的な構成となっている。
【0025】
ボンディングワイヤの接続を保護するために、適切な封止物質でできた封止部材7を接触面5、6の範囲に配置している。ここでは結線ボンディングワイヤ4を封止部材7の中に完全に埋め込んでおり、それにより機械的要因と環境的影響に対して保護している。更にこの実施例では封止部材7が、結線ボンディングワイヤ4のキャリア要素側接触面5を完全に覆っている。ボンディングワイヤの部品側接触面6は、以下で説明するように、封止部材7により部分的にのみ覆われている。
【0026】
封止部材7の材料としては、充填度の高い標準封止材料を使用すると好ましい。
提示している例のように光学的機能に関連する範囲9が受光面の形態で上側にある光電半導体部品3の場合では特に、封止部材7は塗布後に光学的機能に関連する範囲9を覆わないで、硬化前には出来るだけ、結線ボンディングワイヤ4が部品側接触面6と接続状態にある半導体部品上側の残り範囲に限られることを、間違いなく確保する必要がある。それに対して、封止物質がキャリア要素1上で別の方向に広がることは問題となることが少なく、そして封止材料を選択して適切な配量で供給することにより、および/またはキャリア要素1上でハンダ止めを適切に構成することにより、公知の形式と方法で適切に制御することができる。
【0027】
半導体部品3の上側で封止物質が制御されずに流出することを防ぐために、流出防止手段として本発明により少なくとも一つの流出防止ボンディングワイヤ8を、半導体部品3と封止部材7間の境界範囲に、ないしは封止部材表面と半導体部品3の部品側接触面6間の境界に配置している。図示の例では流出防止ボンディングワイヤ8を、図から分かるように結線ボンディングワイヤ4に対して概ね90°の角度で配置しており、この範囲において半導体部品4の幅の大部分に亘って延伸している。図示の例に対する代替として、流出防止ボンディングワイヤ8と結線ボンディングワイヤ4間の別の配置角度も基本的に可能であろう。
【0028】
提示の例では、結線ボンディングワイヤ4の部品側接点4.1が接触面6と共に流出防止ボンディングワイヤ4と半導体部品3の縁部の間にくるように、流出防止ボンディングワイヤ8を結線ボンディングワイヤ4の部品側接触面6上に配置している。このような形式と方法により、使用する半導体部品3の光学的機能に関連する範囲9の方向に封止物質が塗布後に流出し、これを場合により覆うことを防止する。そのためには、半導体部品3の上側で流出防止ボンディングワイヤ8により構成された縁部で十分である。この縁部ないし流出防止ボンディングワイヤ8の所で、封止物質の更に流れることが防止され、半導体部品3の光学的機能に関連する範囲9は、封止部材により覆われることがないままとなる。この例で流出防止ボンディングワイヤ8は、15μm〜40μmの範囲にある直径を有しているので、この方向で流れる封止物質に対して15μm〜40μmの高さにある縁部が形成される。
【0029】
流出防止ボンディングワイヤ8が、結線ボンディングワイヤ4と同じ直径を有していると好ましい。同様に両方のボンディングワイヤ用には、同じ材料、例えばアルミ又は他の適切なボンディングワイヤ材料を使用する。この理由から、結線ボンディングワイヤ4も流出防止ボンディングワイヤ8も同一のボンディングプロセスの範疇で装着することができ、そのことが本発明による構成部品の配置構造の製造を著しく簡単にする。流出防止手段を装着するために、一つ又は複数の金属被膜ステップを伴い別個であることにより工数がかかるマスキングプロセスを特に必要としない。ダム状部分として構成された流出防止手段を有する解決手段と異なり、この実施例ではキャリア要素1上での追加構成部品が同じく不要になる、即ち、それと較べてキャリア要素1上で多くのスペースを使用できる。
【0030】
この実施例では流出防止ボンディングワイヤ8を、その両端部9.1、9.2で固定する。このことは提示の例のように、流出防止ボンディングワイヤ8の両端部9.1、9.2を半導体部品3の上側ないし部品側接触面6に固定することを意味するものとできる。しかしながらこれに対する代替として固定を、半導体部品の上側で接触面6の外側、例えば半導体部品3の直接上側で別の接触面上に、またはキャリア要素1の接触面に行うこともある。
【0031】
図1bで分かるように記載の実施例では、流出防止ボンディングワイヤ8がその全長に亘って接触面6上に載っている。しかしながら、これは必ずしも必要ではなく、例えば流出防止ボンディングワイヤ8が、その固定された両端部9.1、9.2のみで接触面6と接触状態にあり、その間の範囲では接触面6の僅か上方で延伸していることも可能であろう。その場合には当然、封止物質に対する流出防止効果を損なわないように、流出防止ボンディングワイヤを接触面6の上方で高過ぎて配置しないことに注意する必要がある。
【0032】
本発明の範疇には、説明している構成部品の配置構造の実施形態に加えて勿論、代替の変形実施形態も存在する。
よって例えば半導体部品との関連で、適切に配置した複数の流出防止ボンディングワイヤを設けることも可能である。このことが必要となるのは例えば、単一の流出防止ボンディングワイヤでは十分な流出防止効果を達成できない時、あるいは場合により半導体部品の複数の側において結線ボンディングワイヤを覆う封止部材を必要とする時である。
【0033】
更に、場合によって頑丈な流出防止策を構成するために、使用する結線ボンディングワイヤとして流出防止ボンディングワイヤより太いワイヤを、必要に応じて使用することもある。その場合には15μm〜500μmのワイヤ太さが可能であろう。
【0034】
更に、半導体部品との境界範囲に当該流出防止ボンディングワイヤを配置するだけでなく、封止部材の範囲においてキャリア要素上で別の方向に一つ又は複数の流出防止ボンディングワイヤを配置し、それにより封止物質が制御されないでこの方向に流出することを更に防ぐこともできるであろう。以上により、この種の別の流出防止ボンディングワイヤを介することにより、封止材料をキャリア要素上の特定の範囲に間違いなく抑え込むことができる。
【0035】
以下においては図3a〜3dを使って、先に説明した実施例に従う構成部品の配置構造を製造するための本発明による方法について、可能性のある実施形態を述べることにする。
【0036】
図3aで図示している第一プロセスステップでは、まず半導体部品3をキャリア要素1上に配置する。このとき、キャリア要素1上に半導体部品3をハンダ付け又は接着すると好ましい。
【0037】
引き続き図3bに従って半導体部品3を、公知のボンディングプロセスを介して電気的に結線する。この目的のために主として使用されるワイヤボンディングプロセスの範疇において、結線ボンディングワイヤをキャリア要素側接触面5および部品側接触面6と一般的な形式と方法で接続し、それにより部品3およびキャリア要素1との結線ボンディングワイヤ4の接点4.1、4.2を構成する。
【0038】
更に図3cに従い同じボンディングプロセスを介して、流出防止手段として機能する流出防止ボンディングワイヤ8を半導体部品3の上側ないし部品側接触面6上に配置する。上記で説明しているように、ここでは流出防止ボンディングワイヤ8を基本的に結線ボンディングワイヤ4に対して直角に配置し、そして少なくともその両端部で固定する。
【0039】
よって本発明によれば、少なくとも一つの流出防止ボンディングワイヤ8の形態をした流出防止手段の装着を、結線ボンディングワイヤ4の装着と同じボンディングプロセスの範疇で行う。その結果としてプロセスが著しく簡素化される。
【0040】
説明した例に対する代替として勿論、まず流出防止ボンディングワイヤ8を装着し、その後に結線ボンディングワイヤ4を装着することも可能である。
最後に図3dに従って、封止部材7ないし対応する封止物質を、結線ボンディングワイヤ4のキャリア要素側接触面5と部品側接触面6の範囲に塗布し、それにより結線ボンディングワイヤ4を封止部材7の中に完全に埋め込んで、機械的に保護している。そこでは先行して装着した流出防止ボンディングワイヤ8を介することにより、封止物質が硬化前に半導体部品3の光学的機能に関連する範囲に制御されずに流出することが確実に防止される。
【0041】
本発明による方法の範疇においても勿論、説明した処置で種々の変形体も考えられる。
【実施例2】
【0042】
図4では本発明による構成部品の配置構造の第二実施例を、図1bでの断面外観図に類似した断面外観図で示している。ここでは先に説明した実施例に対する違いとして、流出防止ボンディングワイヤ28を半導体部品23の部品側接触面26にある両端部29.1、29.2で固定するだけでなく、追加して更にこれを半導体部品23の部品側接触面26上にある別の位置29.3でも固定するようにしている。それにより、封止材料が流出防止ボンディングワイヤ28の下側を半導体部品であけておくべき面の方向に流れないことが、更に間違いなく確保される。この実施形態の範疇では更に、流出防止ボンディングワイヤを端部以外で複数の位置で固定することが考えられるであろう。更に、第二実施形態による流出防止ボンディングワイヤを、第一実施形態による流出防止ボンディングワイヤに並列して配置すること等も考えられるであろう。
【実施例3】
【0043】
最後に図5は、本発明による構成部品の配置構造について第三実施例の上部外観図を示している。最初に図示した例と同じく、ここでも流出防止ボンディングワイヤ38を設けており、それを介することにより、半導体部品33の光学的機能に関連する範囲9の方向に封止部材7が流れることを防止することになる。流出防止ボンディングワイヤ38を補完して、この実施形態では別の流出防止手段として、半導体部品33の部品側接触面36上にダム状部分40を構成している。そのダム状部分40は一つの側で、即ち、封止部材37に向き合う側で、流出防止ボンディングワイヤ38により境界が決められる。このように構成することにより、流出防止ボンディングワイヤを剥き出しで使用することに較べて、範囲9の保護を更に改善ないし最適な流出防止策を構成することができる。ダム状部分40のための材料としては高粘度のダム状部分用材料が考えられ、それを公知の形式と方法で該当する位置に塗布する。
【0044】
具体的に説明した実施例の他にも勿論、本発明の範疇においては更に別の構成の可能性がある。
【符号の説明】
【0045】
1 キャリア要素
2 導線
3、23、33 半導体部品
4 結線ボンディングワイヤ
5 キャリア要素側接触面
6、26、36 部品側接触面
7 封止部材
8、28、38 流出防止ボンディングワイヤ
9 光学的機能に関連する範囲
40 ダム状部分
【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−517076(P2011−517076A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502313(P2011−502313)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052497
【国際公開番号】WO2009/121675
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(501232827)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】