説明

構造化された表面を有する粒子

本発明は、付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能なシロキサン及び/又はシランの少なくとも1つの重合生成物と、少なくとも1つの粒状固体を含有する粒子を提供し、その際、前記粒状固体の平均粒度は、粒状固体なしのポリマー粒子の平均粒度よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表面の良好な自己洗浄効果を達成するには、優れた疎水性の他にミクロの凹凸表面構造を有さなくてはならないことは公知である。双方の特徴は、例えば自然界ではハスの葉に見られる。疎水性材料から形成された表面は、例えば短柔毛のようなものとして表現できる比較的に大きな球面の突起部を有し、これは極めて近くに隣り合って存在するので、水滴はその間に収まらず、短柔毛の先端の上にだけとどまる。この比較的に大きな突起部の他に、通常のハスの葉の表面も、この比較的に大きな突起部の表面も、比較的に小さな成分(ハスの葉の場合には、ワックス微粒子)によって下部構造化されている。全体として、100nm以下から30μmまでの部分的な突起部と窪みから成る構造が生じる。
【0002】
突起部と窪みを有するミクロの凹凸構造を有する撥水表面は、US3354022に記載されている。ここでは、疎水性材料、特にフッ素含有ポリマーが加えられている。実施態様によれば、基材に、3〜12μmの範囲内の直径を有するガラスビーズとフルオロアルキルエトキシメタクリレートポリマーをベースとするフッ化炭素ワックスを含有する懸濁液を被覆することにより、セラミック製瓦の上、又はガラスの上に自己洗浄特性を有する表面を被覆できる。このような被覆の欠点は、それらの僅かな耐摩耗性と、多くはない自己洗浄効果である。
【0003】
出願公開EP0909747A1には、表面、特に屋根瓦の自己洗浄作用を作る方法が教示されている。この表面は、5〜200μmの高さを有する疎水性の突起部を有する。このような表面は、シロキサン溶液中の不活性材料から成る粉末粒子の分散液を塗布し、引き続き硬化することにより製造される。予め容認された方法のように、構造形成粒子は基材の表面上には摩擦安定的に固定化されない。
【0004】
欧州特許第0772514号明細書には、突起部と窪みから成る人工表面構造を有する対象物の自己洗浄表面が教示されている。その際、突起部どうしの間の距離は5μm〜200μmの範囲内であり、かつ突起部の高さは5μm〜100μmの範囲内であり、かつ該構造は疎水性ポリマー又は耐久性のある疎水化材料から成っている。この構造の形成には、エッチング法又はスタンプ法、更なる被覆法、例えば疎水性ポリマーの付着が適切である。必要である場合には、構造形成に続いて疎水化、例えばシラン化が行われる。自己洗浄表面、すなわち車両のコーティングのように水が簡単に移動することによって洗浄すべき表面は、著しい機械的負荷を被ってはならない。それというのも、これにより自己洗浄の能力が失われてしまうからである。
【0005】
ドイツ国出願DE10063739には、自己洗浄表面を有するガラス、セラミック、プラスチック及び金属のような基材ならびにガラス化かつエナメル化した基材が教示されている。自己洗浄表面には、100nm未満の、特に50nm未満、しかし少なくとも5nmの平均直径ならびに無機もしくは有機材料である層形成材料を有する構造形成粒子が含まれる。構造形成粒子は、層形成材料により基材に固定される。一次粒子及び/又は凝集物の一部は、それ自体が突出しているか、又は層形成材料で表面から少なくとも部分的に覆われ、このようにナノスケールの範囲で突起部と窪みを形成する。構造化された表面は、少なくとも部分的に1つの疎水性被覆を有する。このような自己洗浄表面を製造するために、構造形成粒子と有機もしくは無機層形成材料を含有する薬剤は、公知の被覆法により例えば、ラッカー塗装により基材上に塗布できる。熱処理により凝集性でかつ堅く付着する層を形成した後に、続いてフッ素含有シラン及び/又はフッ素含有シロキサンを使用しながら疎水化が行われる。表面構造の形成と疎水化は、この方法では別々の工程で行われる。
【0006】
WO 02/064266には、突起部と窪みから成る粒子から形成された人工表面構造を有する、ベースラッカー層とトップコートを含む自己洗浄ラッカーコーティングが記載されていて、前記粒子は、100nm未満の平均粒径を有し、かつ少なくとも部分的に結合剤系によりトップコート中に結合し、50nm未満の突起部の平均高さと平均距離を有し、かつトップコートの表面が少なくとも部分的に疎水性であることに特徴付けられている。開示された自己洗浄ラッカーコーティングは、疎水性特性を有するナノスケールの表面構造を有する。100nm未満、特に50nm未満から約5nmの直径を有する構造形成一次粒子は、凝集物を形成できるので、表面構造は前記の突起部と窪みの他に、比較的に大きな距離と高さを有する上部構造も示す。一般的に、上部構造の平均高さと突起部の距離は、著しく1μmを下回る。構造を与える粒子は、有機又は無機材料であってよい。
【0007】
DE 10233829A1には、粒子を乾燥させ、粉末スプレーガンを用いる静電塗布により塗布することによりハスの構造を作成する方法が記載されている。
【0008】
これらの発明の全てに共通して、μm範囲内の構造エレメントを有する粒の大きい構造が記載されているか、又は相応する細かい構造を生じる極めて小さなナノスケールの構造エレメントを有する構造に関している。少なくとも数μmの大きな構造、500nm未満である構造エレメントで覆われている極めて微細なナノスケールの下部構造から成る組合せは、知られていない。まさにサイズを小さくした下部構造を覆っている比較的に大きな構造エレメントの組合せから成るこの表面構造は、ハスの葉の表面構造の特徴である。特に、ハスの葉の微細構造は、比較的に大きな突起部の間にある葉の表面上にも、これを殆ど覆っている比較的に大きな突起部の上にも存在する。比較的に小さな粒子と比較的に大きな粒子の組合せにより、比較的に小さな突起部と比較的に大きな突起部の組合せを作ることができるが、しかし比較的に小さな粒子が比較的に大きな粒子の間の隙間の中に集まるので、これにより充填密度が高まり、比較的に大きな粒子を覆わなくなる。この技術は、被覆中で充填密度を高めるために、比較的に大きな粒子と比較的に小さな粒子を組み合わせることにより原則として利用される。
【0009】
同様に、疎水性特性を有する構造化された表面はEP0933388A2に教示されている。表面は、50nm〜10μmの平均高さと50nm〜10μmの間の平均距離ならびに10〜20mN/mの非構造化材料の表面エネルギーを有する突起部を有する。特に低い表面エネルギー、ひいては疎水性及び疎油特性を達成するために構造化された表面はフッ素含有ポリマーを有するか、又はこれらはアルキルフルオロシランを使用しながら処理される。
【0010】
先に記載されたような、目標を定めて微細構造により覆われた粒の大きい構造から成る組合せは、ここにも記載されていない。
【0011】
EP0433727A1には、シリコンをベースとした核被覆粒子が記載されていて、その際、核はコロイドケイ酸から成り、かつ被覆はシロキサン又はシロキサン縮合物から成っている。粒子サイズは4〜400nmの間である。
【0012】
US2003/0044612A1は、有機ポリマーから成る多孔質核と、無機コロイド材料、有利にはコロイドケイ酸から成る被覆を有する核被覆粒子を請求している。
【0013】
目標とする粗く構造化された表面の微細構造化は、細かい微粒子と比較的に大きな微粒子の組合せだけによって達成できるという論証が成り立った。その際、比較的に大きな微粒子は、比較的に小さな粒子によってのみ達成可能な、既にその表面に堅く固定されている微細構造をもたらさなくてはならない。なぜならば、比較的に小さな粒子を含有している被覆材料を常に所望のレベルまで粗く構造化された表面上に後から塗布することにより、比較的に小さな微粒子が表面構造の突起した箇所の先端ではなく、先端の間で凝集するように上記の現象が調節され、このことから微細構造を与える部分の不均一な分布が不可避となるからである。
【0014】
従って本発明の課題は、表面の自己洗浄効果を獲得する粒子を提供することである。
【0015】
提示された課題は、本発明により解決された。本発明の対象は、付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能なシロキサン及び/又はシランの少なくとも1つの重合生成物と、少なくとも1つの粒状固体を含有する粒子であり、その際、前記粒状固体の平均粒度は、粒状固体なしのポリマー粒子の平均粒度よりも小さい。
【0016】
本発明による粒子は、有利には、下記の一般式(1)
[A1z1pSiO(4-p-z)/2] (1)
[式中、
1は、水素基又は30個までの炭素原子を含有し、かつ更にO、S、Si、Cl、F、Br、P又はN−原子から選択されるヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を意味し、従って、A1は場合により自体が非置換の又は置換された官能基を意味していてもよく、
1は、18個までの炭素原子を有するアルコキシ基又はアリールオキシ基、ヒドロキシ基又は水素を意味するか、又はA1とは無関係に、その意味を有することができ、
zとpは、それぞれ0、1、2又は3を意味する]
の繰り返し単位から成る重縮合可能な、付加重合可能な、又は重合可能なシロキサンの少なくとも1つの重合生成物、又は
一般式(2)
(R24-n−Si−(OR3n (2)
[式中、
nは、1、2、3又は4の値のうち1つの数を意味し、
2は、1〜16個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基(その際、隣接しない炭素は、酸素原子と置換することもできる)、アリール基を意味するか、又はホスホン酸モノエステル基、ホスホン酸ジエステル基、ホスホン酸基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアナト基から成るグループから選択される有機官能基(その際、イソシアナト基は、場合により化学反応の前に保護するために反応阻害されていてもよい)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、1個以上の窒素原子を有する第一、第二又は第三級アミノ基(その際、窒素原子は水素又は一価の芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素基により置換されていてもよい)、カルボン酸基、無水カルボン酸基、アルデヒド基、ウレタン基、尿素基(その際、基R2は、ケイ素原子に直接結合しているか、又は1〜6個の炭素原子の炭素鎖により、ケイ素原子から離れていてもよい)、かつ
3は、一価の線状又は分枝状の脂肪族又は脂環式炭化水素基であり、ここで、隣接しない炭素原子は、O、N、P、S、Cl、F、Br又はSiのようなヘテロ原子により置換されていてもよく、その際、該当するヘテロ原子の遊離原子価は、線状又は分枝状アルキル基により、又は水素原子により飽和されているか、又は一価の芳香族炭化水素基又は式−C(=O)−R3の基を意味し、その際、R3は、一価の線状又は分枝状脂肪族又は脂環式炭化水素基を意味するか、又は一価の芳香族炭化水素基を意味し、その際、選択されたシラン又は場合により選択された複数のシランは、加水分解されていない形、加水分解された形、又は加水分解かつ部分縮合された形、又は加水分解かつ縮合された形、又はこれらの形の混合物の形で存在できる]
の重縮合可能な、付加重合可能な、又は重合可能なシランの少なくとも1つの重合生成物
又は一般式(1)の繰り返し単位から成るこのような複数のシロキサン及び/又は式(2)のシランを有する重縮合可能な、付加重合可能な、又は重合可能な調製物の少なくとも1つの重合生成物と、
少なくとも1つの粒状固体を含有し、その際、粒状固体の平均粒度は、粒状固体なしのポリシロキサン粒子の平均粒度よりも小さい。
【0017】
本発明で使用される粒状固体は、有利には金属−酸素−結合の中に共有結合の部分を有する金属酸化物、例えば、典型元素と副族元素の固体酸化物、例えば、第三主族の酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム及び酸化インジウム、第四主族の二酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム及び一酸化スズならびに二酸化スズ、酸化鉛及び二酸化鉛、又は副族元素の酸化物、例えば、二酸化チタン、二酸化ジルコン、二酸化ハフニウム、セロキシド(Ceroxid)又は酸化鉄である。
【0018】
本発明により使用される金属酸化物は、酸化アルミニウム(III)、酸化チタン(IV)及び酸化ケイ素(IV)、例えば、湿式化学で製造されるような、沈降ケイ酸又はシリカゲル、又はプロセスの際に高温で製造される酸化アルミニウム、二酸化チタン又は二酸化ケイ素、例えば熱分解法により製造される酸化アルミニウム、二酸化チタン又はケイ酸であるのが有利であり、その際、熱分解法ケイ酸が特に有利である。
【0019】
熱分解法ケイ酸は、70未満のメタノール数を有するシラン化された熱分解法ケイ酸であるのが有利である。
【0020】
EP 1433749 A1に記載されているような水で部分的に湿潤可能な金属酸化物がとりわけ有利である。
【0021】
この場合に、微粒子又は場合により該粒子の凝集物の平均粒度は、付加重合可能な、重縮合可能な又は重合可能な微粒子の無いシロキサン及び/又はシランの少なくとも1つの重合生成物を含有するポリマー粒子の平均粒度よりも小さい。
【0022】
使用される粒状固体の平均粒度は、Malver社製のNanosizer ZSを用いて、173゜の光散乱にて、光子相関スペクトルスコピーにより平均の流体力学的相当直径として計測して、1000nm未満、有利には10nm〜800nmの間、特に有利には50nm〜500nmの間、とりわけ有利には75nm〜300nmの間である。使用される粒状固体のメタノール数は、70未満、有利には65未満、特に有利には60未満である。
【0023】
使用されるシラン化ケイ酸のメタノール数は、70未満、有利には65未満、特に有利には60未満であるのが有利である。
【0024】
メタノール数を決定するために、規定された水とメタノールの混合物を製造し、次にこれらの混合物の表面張力を公知の方法で決定する。別々の実験では、この水−メタノール混合物を定義付けられた量の粒子で覆い、かつ所定の条件下で振盪する(例えば、手で、又はタンブルミキサーにより約1分間弱く振盪)。粒子が均一に沈降していない水−アルコール混合物、及び粒子が均一に沈降した高いアルコール含有量を有する水−アルコール混合物を測定する。前記のアルコール−水混合物の表面張力は、粒子の表面エネルギーγの尺度として臨界表面エネルギーγcritを生じる。
【0025】
使用される粒状固体の炭素含有量は、乾燥した粒状固体の元素分析により測定して、0質量%以上、有利には0.1〜4質量%、特に有利には0.25〜3.5質量%、とりわけ有利には0.5〜3質量%である。
【0026】
本発明による粒子を製造するには、少なくとも2つの工程を含む方法が適切である:
1.シロキサン又はシラン中に溶解しないか又は混合不可能な連続相、及び不連続なシロキサンもしくはシラン相(その際、細かい金属酸化物により不連続なシロキサンもしくはシラン相から連続したものを互いに分け、それ自体が第三の相を形成する)から成る3相混合物を製造し、
2.不連続相を縮合または重合し、これにより連続相は変化することが無い。
【0027】
本発明の対象は、粒子の製法であり、該方法は、油相が付加重合可能な、重縮合可能な又は重合可能な少なくとも1つの一般式(1)
[A1z1pSiO(4-p-z)/2] (1)
[式中、
1は、水素基又は30個までの炭素原子を含有し、かつ更にO、S、Si、Cl、F、Br、P又はN−原子から選択されるヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を意味し、従って、A1は場合により自体が非置換の又は置換された官能基を意味していてもよく、
1は、18個までの炭素原子を有するアルコキシ基又はアリールオキシ基、ヒドロキシ基又は水素を意味するか、又はA1とは無関係に、その意味を有することができ、
zとpは、それぞれ0、1、2又は3を意味する]
のシロキサン、又は
又は一般式(2)
(R24-n−Si−(OR3n (2)
[式中、
nは、1、2、3又は4の値のうち1つの数を意味し、
2は、1〜16個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基(その際、隣接しない炭素原子は、酸素原子と置換することもできる)、又はアリール基を意味するか、又はホスホン酸モノエステル基、ホスホン酸ジエステル基、ホスホン酸基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアナト基から成るグループから選択される有機官能基(その際、イソシアナト基は、場合により化学反応の前に保護するために反応阻害されていてもよい)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、1個以上の窒素原子を有する第一、第二又は第三級アミノ基(その際、窒素原子は水素又は一価の芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素基により置換されていてもよい)、カルボン酸基、無水カルボン酸基、アルデヒド基、ウレタン基、尿素基(その際、基R2は、ケイ素原子に直接結合しているか、又は1〜6個の炭素原子の炭素鎖により、ケイ素原子から離れていてもよい)、かつ
3は、一価の線状又は二価の脂肪族又は脂環式炭化水素基であり、ここで、隣接しない炭素原子は、O、N、P、S、Cl、F、Br又はSiのようなヘテロ原子により置換されていてもよく、その際、該当するヘテロ原子の遊離原子価は、線状又は分枝状アルキル基により、又は水素原子により飽和されているか、又は一価の芳香族炭化水素基又は式−C(=O)−R3の基を意味し、その際、R3は、一価の線状又は分枝状脂肪族又は脂環式炭化水素基を意味するか、又は一価の芳香族炭化水素基を意味し、その際、選択されたシラン又は場合により選択された複数のシランは、加水分解されていない形、加水分解された形又は加水分解かつ部分縮合した形、又は加水分解かつ縮合した形、又はこれらの形の混合物の形で存在できる]
の付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能な少なくとも1つのシラン、
又は一般式(1)の複数のシロキサン及び/又は式(2)のシランの調製物を含有する油相を、水性環境中の粒状固体で乳化することに特徴付けられる。
【0028】
一般的には、このような3相混合物は、水に溶解せず、かつ水と混合不可能なシロキサン又はシランのエマルションであり、これはケイ酸のように水相中で安定化される部分的に疎水化された金属酸化物粒子である(ピッカリングエマルション(Pickering emulsion))。重合可能な又は縮合可能なシラン又はシロキサンは、本発明による粒子を製造するために適切な方法で、乳化の後に重合又は縮合される。
【0029】
場合により、シロキサン又はシランは、例えば、これがアルコキシ置換又はアセトキシ置換されたシラン又はシロキサンである場合に、縮合の前に加水分解しなくてはならない。十分な反応性のシランとシロキサンの場合には、既に存在する水が場合により加水分解と、それに続く縮合を引き起こす。
【0030】
僅かな反応性のシランとシロキサンの場合には、場合によりシランとシロキサンの加水分解と縮合を引き起こす触媒が必要である。これらの触媒は、通常加水分解、縮合反応又はエステル化反応を促進するために使用される酸性及び塩基性、又はIV族遷移金属触媒、スズ触媒などのような金属触媒であってもよい。酸又は塩基として、公知の鉱酸や金属塩の他に、酸性又は塩基性シランもしくはシロキサンを挙げることができる。
【0031】
有利な塩基性触媒は、NaOH、KOH、アンモニア及びNEt3である。
【0032】
有利な酸性触媒は、p−トルエンスルホン酸、水性又は気体のHCl、硫酸である。方法が重合反応を含む場合には、この場合にこれは例えばオレフィン性不飽和シロキサン又はシランのラジカル重合反応であることができる。
【0033】
この方法は、シロキサン相又はシラン相を安定化する細かい粒状金属酸化物が、縮合反応又は重合反応の間に、核形成縮合反応生成物又は重合反応生成物の表面と反応するか、又は少なくとも安定な相互作用、例えば、水素架橋結合、ファンデルワールス相互作用又は他の十分な相互作用、もしくはこのような十分な相互作用の組合せと化合するように行われ、従って、このシロキサン相又はシラン相は安定化する微粒子状金属酸化物を持続的に、シロキサン及び/又はシランの縮合生成物又は重合生成物から成る核の上で、固定する。
【0034】
本発明による粒子は、使用されるシラン又はシロキサンの作用により、他の作用とは無関係に自動的に疎水化されるか、又は後から表面処理により疎水化することができる。この場合に、シロキサン又はシラン相を安定化する部分的に水で湿潤可能な金属酸化物から成る粒子の被覆は例えばシラン化される。この場合に、水中で加水分解可能なアルキルアルコキシシランが使用され、加水分解後に、シロキサン相又はシラン相を安定化する粒状金属酸化物上に縮合し、これにより疎水性が割り当てられる。このようなシラン又は加水分解可能かつ縮合可能な相応のシロキサンを、本発明による粒子のポリマー相を製造するために使用する場合には、通常は後から疎水化する必要がない。
【0035】
EP0941761A2は、オルガノシロキサン壁を有する生成物をミクロカプセル化する方法を教示している。この方法は、後で本発明による粒子を疎水化するためにも適切である。場合により、EP094176A2でカプセル化すべき生成物に対して変更した本発明による粒子の溶解度と分散挙動を考慮した僅かな調整を行う必要がある。
【0036】
本発明による粒子の大きさは、例えば、乳化法により、すなわち加えた剪断エネルギー、分散した有機ケイ素相の体積割合、安定化した微細な金属酸化物粒子の量、連続水相のpH値及びそれらのイオン強度、粘度、供給の順番、供給速度により、又は反応法により、すなわち例えば反応温度、反応時間、使用した原料の濃度によりコントロールされる。場合により使用される加水分解触媒及び縮合触媒の選択と量は、同様に粒子の大きさに影響される。
【0037】
比較的に小さな液滴の製造を可能にする乳化法を使用する場合には、この方法の後に、小さな表面構造化された粒子が獲得できる。このために、例えば他の剪断エネルギー又は他の親水性粒子を、縮合可能な液体もしくは調製物を水中で安定化するために使用できる。相応する本発明による粒子は、粒子の代わりに縮合可能又は重合可能な乳化剤を使用しながら得ることができ、その際、乳化剤は後で又は同時に縮合可能な液体又は調製物を縮合するために、縮合又は重合することができ、このように被覆が形成される。
【0038】
粒子安定化したピッカリングを製造するために、エマルションを製造する当業者に公知の全ての方法を使用できる。しかし、以下の方法に従って本発明による粒子の製造するために特に適切なエマルションを得ることが明らかにわかる:
【0039】
方法1:
− 場合により、後で均質な相を作る媒体中の高濃度化した粒子分散液を装入し、その際、供給した体積は、必要な微細な金属酸化物粒子の全量を含有するように計量される。
− 分散相の全体積を、例えば高速撹拌機、高速ディソルバー又はローター・ステーター系を用いて、絶え間なく均質化しながらゆっくり供給し、
− 引き続き場合により、純粋な均質相の所望する残りの体積を、例えば、高速撹拌機、高速ディソルバー又はローター・ステーター系を用いて、絶え間なく均質化しながらゆっくり供給する。
【0040】
方法2:
− 分散相の全体積を装入する。
− 場合により、後で均質な相を作る媒体中の高濃度化した粒子分散液を、例えば高速撹拌機、高速ディソルバー又はローター・ステーター系を用いて、絶え間なく均質化しながらゆっくり装入し、その際、供給した体積は、必要な微細な金属酸化物粒子の全量を含有するように計量される。
− 引き続き場合により、純粋な均質相の所望する残りの体積を、例えば、高速撹拌機、高速ディソルバー又はローター・ステーター系を用いて、絶え間なく均質化しながらゆっくり供給する。
【0041】
方法3:
− 分散相の全体積を装入する。
− 場合により、後で均質な相を作る媒体中の高濃度化した粒子分散液を、例えば高速撹拌機、高速ディソルバー又はローター・ステーター系を用いて、絶え間なく均質化しながらゆっくり装入し、その際、供給した体積は、必要な微細な金属酸化物粒子と均質相の全量を含有するように計量される。
【0042】
方法4:
− 場合により、後で均質な相を作る媒体中の高濃度化した粒子分散液を装入し、その際、供給した体積は、必要な微細な金属酸化物粒子と均質相の全量を含有するように計量される。
− 例えば、高速撹拌機、高速ディソルバー又はローター・ステーター系を用いて、又はキャピラル乳化剤を用いて、絶え間なく均質化しながら分散相の全体積をゆっくり供給する。
【0043】
方法5:
− 場合により、後で均質な相を作る媒体中の高濃度化した粒子分散液を装入し、その際、供給した体積は、最大でも水で部分的に湿潤可能な必要な微細な金属酸化物粒子と均質相の全量及び分散相の全体積を含有するように計量される。
− 例えば、高速撹拌機、高速ディソルバー又はローター・ステーター系を用いて一緒に均質化する。
【0044】
方法1と2が有利であるが、特に方法1が有利である。
【0045】
記載した方法は、連続した形でも不連続の形でも実施できる。連続した形が有利である。
【0046】
乳化プロセスの際の液相の温度は、0℃と80℃の間、有利には10℃と50℃の間、特に有利には20℃と40℃の間である。
【0047】
乳化プロセスは、標準圧力、すなわち900〜1100hPaで、高圧又は真空で実施される。標準圧力でのプロセスが有利である。
【0048】
本発明によるエマルション中で均質相を形成する液体中で微粒子が微分散した分散液の製造は、この場合に、粒子分散液を製造するための原則的に公知の方法により行うことができる。これは、高速撹拌機のように高い剪断作用を有する撹拌機器、高速ディソルバー、ローター・ステーター系、超音波分散機又はボールミルもしくはパールミルを用いて添加するように行うことができる。
【0049】
分散液中の微細な金属酸化物粒子の濃度は、この場合に1〜80質量%、有利には10〜60質量%、特に有利には10〜40質量%、とりわけ有利には12〜30質量%である。
【0050】
上記の粒子安定化したエマルションから出発し、本発明による粒子を以下の方法により得る事が出来る:
油相0.1質量%〜80質量%、有利には10質量%〜75質量%、特に有利には15質量%〜60質量%かつ特殊な実施態様では、20質量%〜50質量%の質量割合、かつ微細な金属酸化物粒子0.1質量%〜20質量%、有利には0.5質量%〜15質量%、特に有利には1質量%〜10質量%の質量割合、ならびに水10質量%〜99.8質量%の質量割合を有する上記の粒子安定化したピッカリング−エマルションは、僅かな剪断作用のもとで、例えばゆっくり作動するディソルバー、ローター・ステーター又はタービン型撹拌機を用いて、本発明による粒子が完全に内部架橋するまで撹拌するか又は適切な集成装置を用いて振盪することができる。
【0051】
この方法工程の期間は、有利には120時間よりも短く、有利には0〜48時間、特に有利には0.1時間〜24時間、特殊な実施態様では0.25時間〜12時間の間であるのが有利である。
【0052】
場合により、反応混合物に上記のような架橋を促進し、かつ完全なものにする触媒を添加することができる。この場合に、添加はピッカリング−エマルションの製造の前に、油相もしくは水中で直接に行われるか、又は乳化の間に又は後ですぐに利用できるピッカリング−エマルション中で行うことができる。
【0053】
場合により添加される触媒の投入量は、この場合に触媒に通常の量の範囲内である。
【0054】
撹拌段階の際の反応温度は、0℃〜150℃の間、有利には10℃〜80℃の間及び特に有利には15℃〜60℃の間である。
【0055】
場合により、反応は窒素、アルゴン又は二酸化炭素のような不活性ガス雰囲気下に実施できる。従って、酸素割合は15体積%未満、有利には10体積%未満、特に有利には5体積%未満である。
【0056】
反応混合物のpH値は、pH10〜1の間、有利にはpH9〜2の間、特に有利にはpH7〜2の間、ならびに特殊な実施態様ではpH6〜2.5の間である。
【0057】
場合により、本発明による粒子の分散液は、水溶性の有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール、又はアセトン又はMEKのようなアセトン、又はTHFのようなエーテル、又は他のものを添加できる。これらは、ピッカリング−エマルションの製造の終了直後に、又は反応段階の際に、又は反応段階が終了した後のいずれかに添加できる。
【0058】
場合により、本発明による粒子の分散液に、分散助剤、保護コロイド、界面活性剤又はそのようなものを添加することができる。これらは、ピッカリング−エマルションの製造の終了直後に、反応段階の間、又は反応段階の終了後に添加できる。
【0059】
本発明による粒子の分散液は、5質量%未満の分散助剤、保護コロイド、界面活性剤又はそのようなものを含有するのが有利であり、特に有利には本発明による粒子の分散液は、1質量%未満の分散助剤、保護コロイド、界面活性剤又はそのようなものを含有するのが有利であり、とりわけ有利には本発明による粒子の分散液は、0.1質量%未満の分散助剤、保護コロイド、界面活性剤又はそのようなものを含有するのが有利であり、かつ特殊な実施態様では、本発明による粒子の分散液は分散助剤、保護コロイド、界面活性剤又はそのようなものを含有しないのが有利である。
【0060】
場合により、本発明による粒子の分散液に、無機もしくは有機電解質を添加することができる。これらは、ピッカリング−エマルションの製造の終了直後に、反応段階の間に、又は反応段階が終了した後のいずれかに添加できる。
【0061】
この場合に、分散液のイオン強度は、0.01mmol/l〜1mmol/lの間、有利には0.1mmol/l〜500mmol/lの間ならびに特に有利には0.5mmol/l〜100mmol/lの間である。
【0062】
場合により、本発明による粒子の分散液は、更に上記のようなシラン又はシロキサンのような疎水化剤を添加できる。これらは、ピッカリング−エマルションの製造の終了直後に、又は反応段階の際に、又は反応段階が終了した後のいずれかに添加できる。
【0063】
使用した粒状固体と使用したポリマー相の合計から成る分散液中の本発明による粒子の固体割合は、0.1質量%〜99質量%の間、有利には5質量%〜90質量%の間、特に有利には10質量%〜80質量%の間である。
【0064】
場合により、反応段階が終了した後の分散液は撹拌しながら貯蔵できる。これは、例えばタービン型撹拌機又はアンカー型撹拌機を用いて行うことができる。
【0065】
場合により、粉末状の本発明による粒子を分散液から単離することができる。これは、例えば、濾過、沈降、遠心分離により、又は液体成分の除去により、又はオーブンもしくは乾燥器中の乾燥により、又は噴霧乾燥により又は相応の真空の使用により行うことができる。噴霧乾燥が有利である。
【0066】
本発明による粒子は、キュベット測定法においてSympatec社製のレーザー回折装置Helos/BFを用いるフラウンホーファー・レーザー回折により測定して、特に0.5〜500μm、有利には0.8〜100μm、特に有利には1〜50μmの平均粒径x50を有することに特徴付けられる。
【0067】
本発明による粒子は、特にこれらが疎水性であることに特徴付けられる。このことは、単離した乾燥粒子が、20以上、有利には30〜99、特に有利には40〜95のメタノール数を有することを意味する。
【0068】
本発明による粒子は、使用される微細な粒状固体の平均粒径が、粒状固体の無いポリマー粒子の平均粒径よりも小さいことに特徴付けられる。粒状固体の無いポリマー粒子の平均粒径dpolyは、本発明による埋没粒子の薄片のTEM写真(図1と2参照)から得られる。粒状固体の無いポリマー粒子の平均粒径dpolyと使用した粒状固体の流体力学的相当直径から成る比dpoly/dpartは、1以上、有利には1.5〜7000の間、特に有利には2.5〜1500である。
【0069】
本発明により粒子は、特に使用される粒状固体が実質的にポリマー粒子の表面に結合していることに特徴付けられる。使用される粒状固体の分布は、本発明による埋没粒子の薄片のTEM写真(図1と2参照)から得られる。
【0070】
使用した粒状固体がポリマー粒子の表面に、例えば本発明による粒子の有機ケイ素ポリマー成分と使用した粒状固体の表面OH基との化学反応により、化学的に結合しているのが有利である。本発明による粒子の有機ケイ素ポリマー成分と使用した粒状固体の表面OH基との化学反応は、例えば固体−NMR−分光分析法を用いて検出することができる。
【0071】
本発明による粒子は、特にこれがミクロ構造化された表面を有することにより特徴付けられる。この場合に、本発明による粒子の直径と構造化された表面層の厚さから成る平均の比(それぞれTEM又はREMのような電子顕微鏡写真から得られる)は、1より大きく、有利には、2.5〜10000の間、特に有利には3〜5000の間、特殊な実施態様では3〜2000の間の比にある(図1と2参照)。特に、平均表面構造パラメーター<Dpart/d1>は、1より大きく、有利には2.5〜10000の間、特に有利には3〜5000の間であり、特殊な実施態様では3〜2000の間にある。平均表面構造温度<Dpart/d1>は、合成樹脂中に埋没した粒子の薄片のTEM写真から決定される。この場合に、50個の無作為に選出した粒子から全粒子の直径Dpartと構造化された表面層の全厚さd1を決定した。よって、平均表面構造パラメーター<Dpart/d1>は、
【数1】

から得られた。
【0072】
本発明による粒子は、特に滑らかではない表面を有することに特徴付けられる。これは、2より大きい、特に有利には2.1〜3.0の表面Dsのフラクタル次元を意味し、その際、表面Dsのフラクタル次元は以下のように定義づけられる:
粒子−表面Aは、粒子半径RのDs乗に比例する。物質のフラクタル次元は、小さな角度の散乱実験から得られる濃度I(Q)に対する散乱ベクトルQの二重ログ演算プロットから得ることがでる。
【0073】
本発明による粒子は、有利には被覆剤又は含浸剤において使用され基材上に表面構造が作成され、この上に被覆剤が塗布される。この場合に、本発明による粒子は、従来技術による粒子に対して、突起部を成形する可能性を提供し、更にそれらの表面上に堅く結合した下部構造がある。
【0074】
表面上での粒子の堅い結合を保証するために、有利には少なくとも1つの有機結合剤又は無機結合剤又は結合剤の組合せが、このような調製物中で併用される。本発明の粒子により作られる突起部の正確な高さは、表面上に作られる結合剤から成るフィルムの層厚と、その都度使用される本発明による粒子の粒子直径の差として近似的に得られる。この近似は、基材上に載っていて、他の併用された助剤の上には載っていない本発明による粒子がより明確になるほど、より一層正確になる。後者の場合には、粒子上に載っている助剤の高さは、突起部の高さに寄与する。
【0075】
本発明による粒子を用いて製造される表面被覆剤から、いわゆるハスの構造を生じさせる場合には、これらは更に50nm〜500nmの大きさを有し、かつ疎水性である球状粒子を含有する。このような粒子として、相応する粒径を有する無機、酸化物の又は有機の例えばポリマー材料から成る全ての疎水性コロイド状粒子が該当する。このような粒子の例は、熱分解法ケイ酸、沈降ケイ酸のようなケイ酸又は疎水性表面コーティングを有するシリカゲル、縮合及び凝集したシリコン樹脂粒子又は一般的に既に先に挙げたシロキサン又はシラン相を安定化する微細な金属酸化物である。
【0076】
本発明による粒子の表面構造を利用して、いわゆるハスの構造を製造するために、使用される結合剤の種類と量を選択する際に、本発明による粒子が結合剤フィルムにより完全に包囲されず、外に向かってもはや現れないことに留意すべきである。これは、フィルムの強化を引き起こすことができ、かつその機械強度を改善するが、副次的に実際に表面効果にも寄与する。粒子の界面活性と機械耐性すなわち、製造された表面層の耐摩耗性から成る組合せを達成するために、例えば、エメリーペーパーの製造に使用されるような技術が得策である。この場合にも粒子は結合剤層の上に突出するが、結合した形で耐摩耗性である。このような耐摩耗性表面構造を達成するために、本発明による粒子は33%〜66%までが、結合剤フィルムから突出するように結合剤の量を計量するのが有利であることが分かっている。本発明による粒子の間で細かい構造を形成する併用すべき粒子は、本発明による粒子よりも小さいので、それ自体が結合剤中で浮上し、かつ表面中に固定されるように選択されるか、又は架橋剤もしくは分散剤のような適切な添加剤に選ばれ、これらは併用される比較的に小さな粒子の相容性とフローティング挙動が表面へ浮くようにするために役立つ。
【0077】
通常使用可能な結合剤は、有利にはモノマー、オリゴマー及びポリマーのアクリレート、メタクリルレートならびにアクリレート部分及び/又はメタクリレート部分を含有するコポリマー、オリゴマー及びポリマーエポキシド、オリゴマー及びポリマーポリウレタン、飽和及び不飽和(ポリ)−エーテル及び(ポリ)−エステル、芳香脂肪族及び脂環式ポリオレフィン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミノアミド、ホスホン酸及びスルホン酸含有ポリマー、カルボン酸官能性、ヒドロキシ官能性、トリ−、ジ−及びモノアミノ官能性、エポキシ官能性、メルカプト官能性、無水官能性又は混合有機官能化されていてもよい有機官能化有機ポリマー及びコポリマー、ポリマーのリン酸エステル、フェノールホルムアルデヒド縮合生成物、メラミン含有コポリマー、シリコン樹脂、シリコンエラストマー、アルカリ金属及びアルカリ土類金属シリコネート、アルカリ及びアルカリ土類金属水ガラス、反応性で架橋可能なシリコンオイル、反応性で架橋可能なシラン、それぞれ純粋な形、又は溶剤又は水相中の調製物として、エマルション、分散液又は溶液として、ならびにこれらの組合せとして、混合及び/又は共重縮合、共縮合又は付加重合により、それぞれこれらが構成されるモノマー単位の共重縮合、共縮合又は付加重合により得られる。
【0078】
本発明の対象は、表面被覆、成形品、繊維材料又は繊維性織物であり、その際、これらは疎水性であり、水に対して空気中で測定して90゜よりも大きな接触角を有する。
【0079】
疎水性を高め、かつ汚れやすさを低減するための被覆剤、含浸剤及び他の表面処理剤における本発明による粒子の使用も本発明の対象である。
【0080】
構造化した表面を製造する目的の他に、本発明による粒子は、金属上での腐食防止の目的で、かつ本発明による粒子を含有している調製物、又は本発明による粒子を含有している調製物から得られる成形品もしくはフィルムの更なる特性を調節するために使用でき、これらは例えば、以下のように更に使用される:
− 電気伝導率と電気抵抗をコントロールする
− 調製物の流展特性をコントロールする
− 湿潤又は硬化したフィルムならびに対象物の光沢をコントロールする
− 汚れる傾向を低減する
− 風化耐性を高める
− 化学薬品耐性を高める
− 染料安定性を高める
− 白亜化の傾向を減少する
− 本発明による粒子を含有している調製物から得られる固形物又はフィルム上の付着摩擦及び滑り摩擦を減少又は増大する
− 本発明による粒子を含有している調製物中の気泡を安定化又は不安定化する
− 本発明による粒子を含有している調製物の基材への付着を改善する、その際、本発明による粒子を含有している調製物が前記基材の上に又は間に塗布されている
− 充填剤又は顔料架橋ならびに分散挙動をコントロールする
− 本発明による粒子を含有している調製物のレオロジー特性をコントロールする
− 機械特性、例えば、柔軟性、引掻耐性、弾性、延性、曲げ強さ、引裂挙動、反発弾性挙動、硬度、密度、引張強さ、圧力変形性、種々の温度の場合の挙動、膨張係数、耐摩耗性、ならびに熱伝導率、ガス透過性、水蒸気、熱気、化学物質、風化及び照射に対する耐性のような更なる特性をコントロールする、本発明による粒子を含有している調製物からえら得る固形物又はフィルムの特性をコントロールする、
− 電気特性、例えば、誘電損失係数、絶縁耐力、誘電率、トラッキング抵抗、アーク耐性、表面抵抗、誘電耐性のようなものをコントロールする
− 本発明による粒子を含有する調製物から得られる固形物又はフィルムの柔軟性、引掻耐性、弾性、延性、曲げ強さ、引裂挙動、反発弾性挙動、硬度、密度、引張強さ、圧力変形性、種々の温度での挙動。
【0081】
先に記載した特性を調節するために、本発明による粒子を用いることができる使用の例は、洗浄剤、光沢剤、被覆剤及び含浸剤の製造ならびにこれから得られる被覆剤及び、金属、ガラス、木材、鉱物基材のような基材上の被覆、繊維、カーペット、フロアーカバーを製造するための人工繊維及び天然繊維、又はその他の繊維から製造可能な物品、皮革製品、人工皮革、プラスチック、例えば、ホイル、成形部材である。
【0082】
天然繊維材料の例は、ウール、木綿、絹、亜麻及び再生したセルロースから成る繊維である。
【0083】
合成繊維材料の例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタンである。
【0084】
無機繊維材料の例は、ガラス繊維及び炭素繊維である。
【0085】
本発明による粒子を含有する組成物は、繊維自体の上又は、これらから製造される糸ならびに繊維性織物上に塗布できる。
【0086】
本発明による粒子を含有する組成物で処理できる繊維性形成物は、例えば、織物、メリヤス、ニット、クラッチ(Gelege)、編み細工、ニットウェア及びフリース材である。
【0087】
構造化した表面を有する本発明による粒子を含有する組成物の、被覆すべき基材もしくは含浸すべき基材もしくはそれらの表面塗布への塗布は、液体材料からの被覆もしくは含浸物の製造に適切かつ様々な公知の方法で、例えば浸漬、塗布、流し込み、スプレー塗り、ローラー塗り、ローラー塗り、捺染により、例えばオフセットグラビア塗布装置、ナイフコーティング又はブレードコーティングを用いて、又はエアブラシを用いて任意に行うことができる。
【0088】
合成繊維材料中へ添加は、本発明による粒子、又は本発明による粒子と繊維材料から成るマスターバッチの押出により行うことができる。同様に、本発明による粒子は、複合繊維の被覆に加えられた構造化された表面を有することができる。この場合に、核と被覆の繊維ポリマーは、同じ又は異なる特性であってよい。
【0089】
本発明による粒子は、調製物成分を相応して選択する際に添加剤として調製物中で使用できる。その目的は、消泡、流展促進、疎水化、親水化、充填剤分散及び顔料分散、充填剤湿潤及び顔料湿潤、基材湿潤、表面光沢の促進、硬化した材料から得られる付加的な調製物からの表面上の付着抵抗及び滑脱抵抗力の減少である。本発明による粒子は、エラストマー材料に加えることができる。この場合に、これらは他の利用特性を強化又は改善する目的で、例えば、透明度、耐熱性、黄変傾向、風化耐性をコントロールするために使用できる。新規調製物の可能な利用分野は次のものである:例えば、織物、フリース、メリヤス、クラッチ、フェルト、ニットウェア又はチェーンニットウェアのような繊維性織物の被覆。
【0090】
繊維性織物は、木綿、ウール、シルクなどのような天然繊維から、またポリエステル、ポリアミド、アラミドなどのような人工繊維から作り挙げることができる。ガラス又はシリケートのような鉱物繊維または金属繊維からも繊維が作られる。
【0091】
本発明による粒子を含有する材料で被覆された繊維性織物は、工業的用途、例えば、ベルトコンベア、補償器、防護服、日よけテント、隔離分野又はエアバッグで使用できる。
【0092】
高性能テキスタイル分野、例えばパラグライダー、熱気球、パラシュート、アウトドア衣類、スポーツ用テキスタイル、リゾートウエア、テント又はリュックサックのようなリゾート用品、セイル及びストリートウエアで使用するために、本発明による粒子を含有する材料と一緒に使用できる。更に、記載した材料を成形品の製造に使用してもよい。
【0093】
鉱物材料、プラスチック、天然材料又は金属から成るフィルム又は表面を被覆するために、記載した製品を使用できる。
【0094】
更に、例えば紙、鉱物原料、プラスチック、木材のような基材及びその他の多くの基礎を本発明による調製物で処理できる。
【0095】
このように製造された本発明による調製物のテキスタイル材料上への塗布は、テキスタイル加工工業で流布している方法、例えば捺染、引き続くフーラード、ブレードを用いる又は用いない浸漬、又はローラー塗り、スクリーン、ペイントブラシ又はラスターローラーによる被覆、押出法、スプレー法又は噴霧法、又は他の任意の方法で塗布できる。彫刻ローラー、捺染又はマルチローラー系による塗布のようなローラー塗りの全ての方法も可能である。
【0096】
記載した材料は、薄層にするために、かつ転写法での処理にも適切である。成形品は、ダイガスト又は流し込み法で製造できる。
【0097】
乾燥と加硫は、熱風又は赤外線照射により、又は他のエネルギー源により適度の温度に調節できる通常のヒートパイプで行われる。有利な温度範囲は、50〜200℃である。複数のテキスタイルの種類は特に温度変化に安定ではないので、温度上限は、大抵はテキスタイルの温度変化安定性により限定される。乾燥炉での滞留時間は、ヒートパイプ中の温度により、かつ有利には0.5〜30分である。
【0098】
ガラス繊維から成る織物は、切断面で極めて著しくほつれるが、切断面のほつれは処理により妨げることができる。細かいガラス繊維の破砕により生じるガラス粉末は、装置により本発明による調製物で固定化される。更に、このように装備されたガラス繊維は、弾性特性を示す。
【0099】

図1と2には、透過電子顕微鏡による本発明の粒子の写真が示されている。
【0100】
実施例
例1
a)水性ケイ酸分散液の製造
200m2/gのBET比表面積を有する親水性ケイ酸出発物質(Wacker-Chemie GmbH社、ミュンヘンのHDK(R) N20の商標名で入手可能)とEP 1433749A1によるジメチルジクロロシランとの反応により得られる、シラノール含有量71%と炭素含有量0.95%を有する部分疎水化した熱分解法ケイ酸300gを、ディソルバーに少しずつ300〜600rpmで撹拌しながら脱イオン(VE−)水1000g中に入れた。この場合に、分散液のpHは、水性NaOHの供給により9〜9.5の範囲内に保持した。ケイ酸を完全に添加した後に、なお6000rpmで30分間後分散した。引き続き、得られた低粘性の分散液を5〜10ml/分の流量で、超音波流量計(Hiescher社製;24kHz;400W)によりポンプ供給した。この結果、薄い液体のケイ酸分散液が生じた。
【0101】
b)ピッカリングエマルションの製造
例1a)で記載した固体含有量23質量%を有するケイ酸分散液100gを、1000ml特殊鋼カップ中に装入した。水性HClの添加により、約4のpH値に調節した。高粘性の懸濁液に、ウルトラテュラックス(Ultra Turrax)と水冷を用いて1000rpmで撹拌しながら、約15分の時間にわたり、分子量Mw=1200と約30質量%のメトキシ基含有量を有するメチルトリメトキシシランから成るメトキシ基含有オリゴマー縮合生成物300gをゆっくり供給した。この場合に、混合物の温度は60℃を上回らないように上昇させた。引き続き、この高粘性の安定した材料に、脱イオン水220gを同様に1000rpmで、5分間の時間にわたり添加した。この場合に、混合物の温度は60℃を上回らないように上昇させた。薄いO/W白色エマルションが生じた。
【0102】
c)本発明による粒子の製造
例1b)で記載したピッカリングエマルション500gに、p−トルエンスルホン酸3gを撹拌しながら添加した。反応混合物を1000rpmで3時間、50〜60℃の温度でディソルバー(Getzmann社製)を用いて撹拌した。薄い白色分散液が生じた。それらの分析データは表1にまとめられている。
【0103】
【表1】

【0104】
− 固体含有量:水性分散液10gを陶磁器シャーレ中で同量のエタノールと混合し、かつN2−で排気した乾燥棚中に150℃で重量を一定に蒸発させた。乾燥した残留物の質量msは、固体含有量/%=ms*100/10gによる固体含有量により得られた。
【0105】
− 平均粒径(×50の値):レーザー回折及びSympatec社製のHelos/BFを用いて、キュベット測定法においてフラウンホーファー回折理論による測定結果の評価によりd50の値を決定した。
【0106】
− メタノール数:メタノール数を決定するために、水とメタノールの一定の混合物を製造した。別々の実験で、この水−メタノール混合物を一定量の乾燥粒子で覆い、かつ一定の条件下に振盪した(例えば、手で又はタンブルミキサーで弱く約1分間振盪する)。粒子が均一に沈降していない水−アルコール混合物と、粒子が均一に沈降した高いアルコール含有量を有する水−アルコール混合物を決定した。後者の水中でのメタノール含有量からメタノール数を得た。
【0107】
− 平均表面構造温度<DPart/d1>:合成樹脂中に埋没した粒子の薄片のTEM−写真は、50個の無作為に選出した粒子から全粒子の直径Dpartと構造化された表面層の全厚さd1を決定した。よって、平均表面構造パラメーター<Dpart/d1>は、
【数2】

から得た。
【0108】
2.使用例
2.1 含浸及び被覆用の本発明による粒子を含有している調製物の製造
a)例1で記載したような方法により製造された本発明による粒子の水性分散液20質量%を特殊鋼ビーカーに装入した。ディソルバーで撹拌しながら(4500rpm)、カルボキシ官能基の20質量%水性分散液とアンモニアで中和したポリアクリレートを添加した。ポリアクリレートは、これが自己乳化するように調節し、その際、分散安定性を高めるために、ドデシル硫酸ナトリウムの固体含有量に対して0.2質量%を添加した。ポリアクリレートの粒子サイズは、100nmを下回るまで調節した。ポリアクリレート分散液を添加した直後に、粘度が著しく増大した。ブレードにより塗布可能な薄い調製物を得るために、使用可能な粘度まで水で希釈した。全体の工程は20分間続いた。全体の時間の際に、一定の速度でディソルバーを用いて撹拌した。粒子分散液とポリアクリレート分散液の量の比は、ポリアクリレート分散液の成形品1部に対して、粒子分散液の成形品5部が生じるように選択した。
【0109】
b)例a)と同様の方法で行い、その際、粒子分散液:ポリアクリレート分散液の比は、ポリアクリレート分散液の成形品1部に対して、粒子分散液の成形品6部が生じるように選択した。
【0110】
c)例a)と同様の方法で行い、その際、粒子分散液:ポリアクリレート分散液の比は、ポリアクリレート分散液の成形品1部に対して、粒子分散液の成形品7部が生じるように選択した。
【0111】
d)例a)と同様の方法で行い、その際、粒子分散液:ポリアクリレート分散液の比は、ポリアクリレート分散液の成形品1部に対して、粒子分散液の成形品8部が生じるように選択した。
【0112】
e)例1で記載したように本発明による粒子の水性分散液20質量%を、特殊鋼ビーカーに装入した。ディソルバーで撹拌しながら(4500rpm)、エタノール性加水分解と、その後の縮合により、メチルトリクロロシラン100部とジメチルジクロロシラン15部から製造したメチルシリコン樹脂の50質量%エマルションを添加し、その際、メチルシリコン樹脂は、分子質量Mw6500を有し、6%のエトキシ基と1%のヒドロキシ基を有した。混合の際に、粘度増大は何も生じなかった。全体の工程は15分間続いた。全体の時間の際に、一定の速度でディソルバーを用いて撹拌した。粒子分散液とシリコン樹脂エマルションの量の比は、シリコン樹脂エマルションの成形品1部に対して、粒子分散液の成形品5部が生じるように選択した。
【0113】
f)20質量%の水性分散液
例1で記載したような方法で製造した本発明による粒子の水性分散液20質量%を、特殊鋼ビーカーに装入した。ディソルバーで撹拌しながら(4500rpm)、25℃で80000mPasの粘度を有するα、ω−ヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサンの31質量%エマルションと助剤(Wacker Chemie GmbH社製のFinish CT 27Eを水で1:1希釈して得られる)を添加した。粘度の増大は観察されなかった。全体の行程は15分間続いた。全体の時間の際に、一定の速度でディソルバーを用いて撹拌した。粒子分散液とポリジメチルシロキサンエマルションの量の比は、ポリジメチルシロキサンエマルションの成形品1部に対して、粒子分散液の成形品5部が生じるように選択した。
【0114】
g)例a)〜d)からのポリアクリレート分散液と、例g)からの30質量%ポリジメチルシロキサンエマルションから、両方の調製物を1:1で撹拌しながら混合することにより混合物を製造した。例1で記載したような方法により製造した本発明による粒子の液20質量%水性分散を、特殊鋼ビーカーに装入した。ディソルバーで撹拌しながら(4500rpm)、結合剤混合物を添加した。粘度の増大が観察されたので、ブレード塗装可能な粘度が得られるまで水を添加した。全体の行程は15分間続いた。全体の時間の際に、一定の速度でディソルバーを用いて撹拌した。粒子分散液:ポリアクリレート分散液とポリジメチルシロキサンエマルションから成る混合物の量の比は、混合物の成形品1部に対して、粒子分散液の成形品5部が生じるように選択した。
【0115】
評価:全ての調製物の場合に、僅かな時間の後に幾分か著しい濃厚化が生じた。撹拌により、濃厚なサンプルから再び薄い混合物が得られた。全ての調製物がチキソトロピーを示した。
【0116】
2.2 2.1からの調製物の塗布及び接触角の確定
a)鉱物基材の含浸とガラス上での被覆:
例2.1のa)〜g)からの調製物を20μmスパイラルブレードを用いて、それぞれ石灰砂岩、繊維セメントプレート及びガラスプレートの上に塗布した。乾燥は、23℃にて、60%相対大気湿度で4時間行った。ガラスプレート上で乾燥した層厚を決定した。これは、それぞれの調製物の濃度に応じて、5〜8μmの間であった。リフトを用いてガラスプレート上で接触角の測定を実施した。以下の値が得られた:
【表2】

【0117】
石灰砂岩プレート及び繊維セメントプレートの鉱物表面上に塗布した場合には、ガラス上のリフトとは反対に、調製物a)〜g)の結合剤は含浸剤のように基材中に実質的に浸透した。次に、僅かな白っぽい変色により表面上での粒子の状態を同定した。ASTM D 4214による含浸サンプルの白亜化試験では、例a)〜c)とe)〜g)の場合には白亜化が無く、例d)の場合には僅かに白亜化した。試験は、石灰砂岩プレートでも繊維セメントプレートでも実施した。すなわち、含浸した表面は、本発明による粒子は表面上でゆるくではなく結合して機械的に安定であった。
【0118】
45゜の角度で傾斜して置いた石灰砂岩プレートと繊維セメントプレート上に、垂直に水を垂らした。水は表面上で玉のような滴になって転がった。湿りは観察されなかった。これに対して、例a)〜d)からのポリアクリレート分散液、例e)からのシリコン樹脂エマルション、例f)からのポリジメチルシロキサンエマルションならびに例g)からの混合物では、新たに含浸し、かつ乾燥させた鉱物表面の湿りが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、本発明による埋没粒子の薄片のTEM写真を示す図である。
【図2】図2は、本発明による埋没粒子の薄片のTEM写真を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能なシロキサン及び/又はシランの少なくとも1つの重合生成物と、少なくとも1つの粒状固体を含有する粒子であって、その際、前記粒状固体の平均粒度は、粒状固体なしのポリマー粒子の平均粒度よりも小さいことを特徴とする粒子。
【請求項2】
粒状固体は、実質的にポリマー粒子の表面に結合している、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
一般式(1)
[A1z1pSiO(4-p-z)/2] (1)
[式中、
1は、水素基又は30個までの炭素原子を含有し、かつ更にO、S、Si、Cl、F、Br、P又はN−原子から選択されるヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を意味し、従って、A1は場合により自体が非置換の又は置換された官能基を意味していてもよく、
1は、18個までの炭素原子を有するアルコキシ基又はアリールオキシ基、ヒドロキシ基又は水素を意味するか、又はA1とは無関係に、その意味を有することができ、
zとpは、それぞれ0、1、2又は3の値を意味する]
の繰り返し単位から成る付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能なシロキサンの少なくとも1つの重合生成物、又は
一般式(2)
(R24-n−Si−(OR3n (2)
[式中、
nは、1、2、3又は4の値のうち1つの数を意味し、
2は、1〜16個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基(その際、隣接しない炭素原子は、酸素原子と置換することもできる)、又はアリール基を意味するか、又はホスホン酸モノエステル基、ホスホン酸ジエステル基、ホスホン酸基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアナト基から成るグループから選択される有機官能基(その際、イソシアナト基は、場合により化学反応の前に保護するために反応阻害されていてもよい)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、1個以上の窒素原子を有する第一、第二又は第三級アミノ基(その際、窒素原子は水素又は一価の芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素基により置換されていてもよい)、カルボン酸基、無水カルボン酸基、アルデヒド基、ウレタン基、尿素基(その際、基R2は、ケイ素原子に直接結合しているか、又は1〜6個の炭素原子の炭素鎖により、ケイ素原子から離れていてもよい)、かつ
3は、一価の線状又は分枝状の脂肪族又は脂環式炭化水素基であり、ここで、隣接しない炭素原子は、O、N、P、S、Cl、F、Br又はSiのようなヘテロ原子により置換されていてもよく、その際、該当するヘテロ原子の遊離原子価は、線状又は分枝状アルキル基により、又は水素原子により飽和されているか、又は一価の芳香族炭化水素基又は式−C(=O)−R3の基を意味し、その際、R3は、一価の線状又は分枝状脂肪族又は脂環式炭化水素基を意味するか、又は一価の芳香族炭化水素基を意味し、その際、選択されたシラン又は場合により選択された複数のシランは、加水分解されていない形、加水分解された形、又は加水分解かつ部分縮合された形、又は加水分解かつ縮合された形、又はこれらの形の混合物の形で存在できる]
の付加重合可能、縮合可能な、又は重合可能なシランの付加重合生成物、縮合生成物又は重合生成物から成るか、又は
一般式(1)の繰り返し単位から成るこのような複数のシロキサン及び/又は式(2)のシランを有する調製物の重合生成物、縮合生成物又は重合生成物である、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
一般式(1)の繰り返し単位は、少なくとも1質量%、しかし60質量%以下の基R1を含有する、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
1は、メトキシ基又はエトキシ基を意味する、請求項3に記載の粒子。
【請求項6】
シランはアルキルアルコキシシランである、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
アルキルアルコキシシランは、1個、2個又は3個のアルコキシ基を有するアルキルアルコキシシランであり、その際、アルキル基は線状又は分枝状のC1〜C18−アルキル基である、請求項6に記載の粒子。
【請求項8】
アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル又はイソオクチル基であり、かつアルコキシ基は、メトキシ基又はエトキシ基である、請求項7に記載の粒子。
【請求項9】
粒子状固体は、1つの金属酸化物又は複数の種々の金属酸化物である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項10】
粒状固体は、二酸化ケイ素、ケイ酸、二酸化チタン、酸化アルミニウム又は二酸化ジルコニウムである、請求項9に記載の粒子。
【請求項11】
粒状固体は、熱分解法ケイ酸、熱分解法二酸化チタン、熱分解法酸化アルミニウム又は熱分解法二酸化ジルコニウムである、請求項10に記載の粒子。
【請求項12】
粒状固体は、シリル化された熱分解法ケイ酸である、請求項9又は10に記載の粒子。
【請求項13】
シリル化された熱分解法ケイ酸は、70未満のメタノール数を有する、請求項12に記載の粒子。
【請求項14】
粒子は、0.5μm〜500μmの平均直径を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項15】
一般式(1)
[A1z1pSiO(4-p-z)/2] (1)
[式中、
1は、水素基又は30個までの炭素原子を含有し、かつ更にO、S、Si、Cl、F、Br、P又はN−原子から選択されるヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を意味し、従って、A1は場合により自体が非置換の又は置換された官能基を意味していてもよく、
1は、18個までの炭素原子を有するアルコキシ基又はアリールオキシ基、ヒドロキシ基又は水素を意味するか、又はA1とは無関係に、その意味を有することができ、
zとpは、それぞれ0、1、2又は3の値を意味する]
の付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能な少なくとも1つのシロキサン、又は
一般式(2)
(R24-n−Si−(OR3n (2)
[式中、
nは、1、2、3又は4の値のうち1つの数を意味し、
2は、1〜16個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基(その際、隣接しない炭素原子は、酸素原子と置換することもできる)、又はアリール基を意味するか、又はホスホン酸モノエステル基、ホスホン酸ジエステル基、ホスホン酸基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアナト基から成るグループから選択される有機官能基(その際、イソシアナト基は、場合により化学反応の前に保護するために反応阻害されていてもよい)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、1個以上の窒素原子を有する第一、第二又は第三級アミノ基(その際、窒素原子は水素又は一価の芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素基により置換されていてもよい)、カルボン酸基、無水カルボン酸基、アルデヒド基、ウレタン基、尿素基(その際、基R2は、ケイ素原子に直接結合しているか、又は1〜6個の炭素原子の炭素鎖により、ケイ素原子から離れていてもよい)、かつ
3は、一価の線状又は分枝状の脂肪族又は脂環式炭化水素基であり、ここで、隣接しない炭素原子は、O、N、P、S、Cl、F、Br又はSiのようなヘテロ原子により置換されていてもよく、その際、該当するヘテロ原子の遊離原子価は、線状又は分枝状アルキル基により、又は水素原子により飽和されているか、又は一価の芳香族炭化水素基又は式−C(=O)−R3の基を意味し、その際、R3は、一価の線状又は分枝状脂肪族又は脂環式炭化水素基を意味するか、又は一価の芳香族炭化水素基を意味し、その際、選択されたシラン又は場合により選択された複数のシランは、加水分解されていない形、加水分解された形、又は加水分解かつ部分縮合された形、又は加水分解かつ縮合された形、又はこれらの形の混合物の形で存在できる]
の付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能な少なくとも1つのシラン、
又はこのような複数の一般式(1)のシロキサン及び/又は式(2)のシランの調製物を含有する油相を、水性環境中の粒状固体で乳化することを特徴とする、粒子の製法。
【請求項16】
乳化に使用される分散液中の粒状固体の質量割合は、全体のエマルションに対して、1〜80質量%の間である、請求項15に記載の粒子の製法。
【請求項17】
エマルション中、油相の質量割合は全体のエマルションに対して0.1質量%〜80質量%であり、かつ粒状固体の質量割合は0.1質量%〜20質量%であり、かつ水の質量割合は10質量%〜99.8質量%である、請求項15又は16に記載の粒子の製法。
【請求項18】
一般式(1)の付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能なシロキサン、又は一般式(2)の付加重合可能、重縮合可能な、又は重合可能なシランを含有する油相を重合し、かつ架橋する、請求項15から17までのいずれか1項に記載の粒子の製法。
【請求項19】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の粒子、又は請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法により製造された粒子が含有されている組成物又は調製物。
【請求項20】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の粒子、又は請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法により製造された粒子を有する表面被覆。
【請求項21】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の粒子、又は請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法により製造された粒子を有する成形品。
【請求項22】
水に対して空気中で測定して90゜よりも大きな接触角を有し、疎水性である、請求項21に記載の表面被覆又は成形品。
【請求項23】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の粒子、又は請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法により製造された粒子を有する繊維材料。
【請求項24】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の粒子、又は請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法により製造された粒子を有する繊維性織物。
【請求項25】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の粒子、又は請求項15から18までのいずれか1項に記載の方法により製造された粒子を有する建築物の被覆。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−531489(P2009−531489A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502011(P2009−502011)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052511
【国際公開番号】WO2007/113095
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】