構造物内壁面の止水構造及びその施工方法
【課題】遮水シートを容易に展張でき、かつ最も重要な遮水シート同士の接合が容易に施工できる構造物内壁面の止水構造及びその施工方法を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物15の内壁面11が遮水シート13で覆われる構造物内壁面の止水構造であって、内壁面11に脚部が埋設され内壁面11と同一平面に配置される固定帯板と、固定帯板に、固定帯板の長手方向に沿って連続して固着される遮水シート13と、固定帯板に固着された遮水シート13に隣接する他の遮水シート13と、を備え、固定帯板に固着された遮水シート13の固定帯板と平行な端縁13aが、隣接する他の遮水シート13の一方の端縁13aに接合され、接合された複数の遮水シート13によって内壁面11を覆った。
【解決手段】コンクリート構造物15の内壁面11が遮水シート13で覆われる構造物内壁面の止水構造であって、内壁面11に脚部が埋設され内壁面11と同一平面に配置される固定帯板と、固定帯板に、固定帯板の長手方向に沿って連続して固着される遮水シート13と、固定帯板に固着された遮水シート13に隣接する他の遮水シート13と、を備え、固定帯板に固着された遮水シート13の固定帯板と平行な端縁13aが、隣接する他の遮水シート13の一方の端縁13aに接合され、接合された複数の遮水シート13によって内壁面11を覆った。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物内壁面の浸食・腐食からの保護、水の流れる構造物の粗度係数の低い内壁面の構築を可能にし、コンクリート構造物の寿命を大幅に改善する構造物内壁面の止水構造及びその施工方法に関し、特に、廃棄物最終処分場、調整池、人工池、新設水路、建築構造物の壁面防水、トンネル内の側壁・天井、上下水処理施設、食品・化学・ハイテク工場など遮水シートを用いた止水構造物に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
水に接することとなる構造物の止水構造は、従来より種々のものが提案されている。例えば特許文献1,2に開示される止水構造は、既設のコンクリート構造物の内壁面、特に遮水シートの浮き上がりやすい箇所である入隅部・出隅部などに、コンクリート釘やアンカーボルトなどを用いてコーナー部材を固定し、このコーナー部材に遮水シートを固着したり、コーナー部材に予め接着しておいた遮水シートに、隣接の遮水シートを接合し、接合した複数の遮水シートを展張して内壁面を覆っている。
【0003】
また、特許文献3に開示される止水構造は、アンカー付のライニング板を用い、アンカーを内壁面に埋設することで、内壁面全面をライニング板で覆っている。また、特許文献4に開示される止水構造は、コンクリート構造物の内壁面の適当な箇所に、円板状部材をコンクリート釘で打ち付け、その上に遮水シートを固着して内壁面を覆っている。その他、コンクリート構造物の内壁面に、防水材を所定の膜厚で塗布し、防水膜で内壁面を被覆する塗布型止水構造や、接着剤を用い、内壁面の全面に遮水シートを接着するシート接着止水構造も採用されていた。
【特許文献1】特開平9−49267号公報
【特許文献2】特開昭61−232192号公報
【特許文献3】特開平5−132963号公報
【特許文献4】特公昭61−35072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示されるコーナー部材を用いた止水構造は、構造物に入隅部・出隅部が少ないと、内壁面への固定箇所が少なくなり、十分な固定が行えずに遮水シートが内壁面から浮き上がる問題が生じた。
また、特許文献3に開示される止水構造は、アンカーを有する特殊形状のライニング板を用いるため、ライニング板の製作が困難であり、部材コストが高くなるとともに、コンクリート構造物が複雑な形状である場合には、内壁面にライニング板を追従させ難く、施工性の悪い問題があった。さらに、コンクリート打設前にライニング板を型枠に取り付けるため、型枠を固定するセパレータにより無数の穴をライニング板に開けることとなり、型枠の脱型後にライニング板に開いた穴を補修し、漏水を防止する必要があるが、この補修の信頼性や穴の見落としなどの問題が発生し、工期遅れにもつながる。さらに、コンクリート固化後の収縮によって、ライニング板が内壁面から浮き上がって剥離したり、ライニング板同士の溶着接続部に自走式熱風溶着機を使用した場合には溶着部が浮き上がり見栄えを低下させる問題が生じた。
また、特許文献4に開示される止水構造は、遮水シートを固着するための円板状部材を、内壁面に点在して設けられるため、遮水シートの固着作業が煩雑であり、施工性の悪い問題があった。また、内壁面に散在する円板状部材に遮水シートを固着するため、内壁面と遮水シートとの間を遮水シート単位で区画することができず、一度シート破れが発生すると、浸入した水が内壁面と遮水シートとの全ての間に通じてしまい、浸入部分の発見・補修を困難にする問題があるとともに、コンクリート壁面を腐食損壊させるおそれもある。
さらに、塗布型止水構造は、膜厚に不均一が生じやすく、薄部では破れの生じやすい問題があるとともに、塗布膜の硬化までに、汚れを取り込み、この汚れが後のピンホールとなる問題もあった。
また、接着剤を用いたシート接着止水構造は、接着剤硬化完了までの押さえ型枠が必要であり、施工性の悪い問題があった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、遮水シートを容易に展張でき、かつ最も重要な遮水シート同士の接合が容易に施工でき、接合部の自動化も可能になるとともに、遮水シートを浮き上がりなく展張できる構造物内壁面の止水構造及びその施工方法を提供し、もって、施工性の向上、止水構造の信頼性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の構造物内壁面の止水構造は、コンクリート構造物の内壁面11が遮水シート13で覆われる構造物内壁面の止水構造であって、
前記内壁面11に脚部17aが埋設され該内壁面11と同一平面に配置される固定帯板17と、
該固定帯板17に、該固定帯板17の長手方向に沿って連続して固着される遮水シート13と、
該固定帯板17に固着された遮水シート13に隣接する他の遮水シート13と、
を備え、
前記固定帯板17に固着された遮水シート13の前記固定帯板17に沿う端縁13aが、前記隣接する他の遮水シート13の一方の端縁13aに接合され、
接合された複数の前記遮水シート13によって前記内壁面11が覆われたことを特徴とする。
【0007】
この構造物内壁面の止水構造では、遮水シート13が浮き上がりなく内壁面11に沿って展張され、しかも固定帯板17に沿って連続して固着され、そして最も重要な遮水シート13同士の接合が確実かつ容易に行えるようになる。
【0008】
請求項2記載の構造物内壁面の止水構造は、前記内壁面11が、略鉛直面であり、
前記固定帯板17が、長手方向が上下方向となるように配置されたことを特徴とする。
【0009】
この構造物内壁面の止水構造では、自重により、内壁面11に展開させた遮水シート13が、上方から下方へ向けて固定帯板17へ接合固定可能となる。
【0010】
請求項3記載の構造物内壁面の止水構造は、前記内壁面11に、一対の平行な前記固定帯板17,17が配設され、
前記遮水シート17の幅長が、該一対の固定帯板17,17の間隔より大きく形成され、
該遮水シート13の幅方向両端より内側の端縁13aがそれぞれ前記各固定帯板17,17に固着されたことを特徴とする。
【0011】
この構造物内壁面の止水構造では、例えばロール状に巻回した帯状遮水シート13の両端を一対の固定帯板17,17に固着しながらの展張が可能となる。
【0012】
請求項4記載の構造物内壁面の止水構造は、前記隣接して重ねられた遮水シート13の端縁13a,13a同士が、端辺部13bと平行な二条の接合部43によってそれぞれ連続して接合されたことを特徴とする。
【0013】
この構造物内壁面の止水構造では、二条の接合部43によって挟まれた空間45に圧縮空気を注入することで、接合部43の良否判定試験、すなわち接合不良個所の発見が可能となる。
【0014】
請求項5記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、コンクリート構造物の内壁面11を遮水シート13で覆う止水構造の施工方法であって、
前記内壁面11を構築するために設置した型枠21の内面21aに、脚部17aを有する固定帯板17を、該脚部17aが内向きとなるように取り付け、
前記型枠21内にコンクリート31を打設し、
該コンクリート31の固化後に前記型枠21を除去することで前記内壁面11を構築し、
該内壁面11に展張した遮水シート13を、前記内壁面11と同一平面で表出する前記固定帯板17に、該固定帯板17の長手方向に沿って連続して接合固定し、
該固定帯板17に固着された遮水シート13の端縁13aに、隣接する他の遮水シート13の端縁13aを、端辺部13bと平行な接合部43によって連続的に接合することを特徴とする。
【0015】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、遮水シート13が浮き上がりなく内壁面11に展張され、最も重要な遮水シート13,13同士の接合が確実かつ容易に行えるようになる。
【0016】
請求項6記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記内壁面11に、一対の平行な固定帯板17,17を配設し、
前記遮水シート13の幅方向両端より内側のそれぞれを前記固定帯板17固着し、
該固定帯板17より外側に延出した前記遮水シート13の幅方向両端のそれぞれの端縁13a,13aを、隣接する他の遮水シート13との接合代Kとすることを特徴とする。
【0017】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、接合代Kの近傍が連続直線状に固定され、接合代Kの移動が規制されて、遮水シート13,13同士の接合が容易となる。
【0018】
請求項7記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記固定帯板17の長手方向に沿う両端と、前記型枠21との段差部25を、マスキングテープ27で覆うことを特徴とする。
【0019】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、コンクリート打設時における固定帯板17と型枠21との間へのコンクリート31の侵入が防止される。
【0020】
請求項8記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記固定帯板17と前記遮水シート13とを、加熱溶着によって接合固定することを特徴とする。
【0021】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、固定帯板17と遮水シート13とが真っ直ぐな連続作業で接合可能となる。
【0022】
請求項9記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記固定帯板と前記遮水シートとを、ホットメルト接着剤によって接着固定することを特徴とする。
【0023】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、固定帯板17と遮水シート13とが真っ直ぐな連続作業で接合可能となる。
【0024】
請求項10記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記遮水シート13の端縁同士を、該遮水シート13の端辺部13bと平行な連続する二条の接合部43,43によって接合することを特徴とする。
【0025】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、二条の接合部43,43によって挟まれた空間45に圧縮空気を注入することで、接合部43,43の良否判定試験、すなわち接合不良個所の発見が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る請求項1記載の構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面に固定帯板を配設し、この固定帯板に、長手方向に沿って遮水シートを固着し、固定帯板に固着した遮水シートと隣接する他の遮水シートの端縁同士を接合したので、遮水シートを浮き上がりなく、容易に内壁面に展張でき、最も重要な遮水シート同士の接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、遮水シートの固定帯板への固着を連続して行え、シート同士の接合の自動化も可能にすることができる。この結果、施工性、止水構造の信頼性を向上させることができる。
【0027】
請求項2記載の構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面が、略鉛直面であり、固定帯板が、長手方向を上下方向にして配設されたので、自重により、内壁面に展開させた遮水シートを、上方から下方へ向けて固定帯板へ接合固定でき、遮水シートを浮き上がりや弛みなく、容易かつ見栄え良く内壁面に沿って展張することができる。
【0028】
請求項3記載の構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面に、一対の平行な固定帯板を配設し、遮水シートの幅長をこの一対の固定帯板の間隔より大きく形成し、遮水シートの幅方向両端より内側の端縁のそれぞれを固定帯板に固着したので、例えばロール状に巻回した帯状遮水シートの両端を一対の固定帯板に固着しながら、確実かつ容易な展張を可能にすることができる。
【0029】
請求項4記載の構造物内壁面の止水構造によれば、隣接して重ねられた遮水シートの端縁同士を、二条の接合部によってそれぞれ連続して接合するので、二条の接合部によって挟まれた空間に圧縮空気を注入することで、接合部の良否判定試験、すなわち接合不良個所の発見が容易に可能となる。
【0030】
請求項5記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、型枠の内面に、脚部を有する固定帯板を取り付け、型枠内に打設したコンクリートの固化後に型枠を除去することで内壁面を構築し、内壁面に展張した遮水シートを、固定帯板の長手方向に沿って連続して接合固定し、固定帯板に固着された遮水シートの端縁に、隣接する他の遮水シートの端縁を、端辺部と平行な接合部によって連続的に接合するので、遮水シートを浮き上がりなく、容易に内壁面に展張でき、最も重要な遮水シート同士の接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、シート同士の接合の自動化も可能にすることができる。この結果、施工性、止水構造の信頼性を向上させることができる。
【0031】
請求項6記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板より外側に延出した遮水シートの幅方向両端のそれぞれの端縁を、隣接する他の遮水シートとの接合代とするので、接合代の近傍を連続直線状に固定でき、接合代の移動を規制し、遮水シート同士の接合を容易にすることができる。この結果、帯板に沿って真っ直ぐな連続接合作業が実現し、接合部の自動化を可能にできる。
【0032】
請求項7記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板の長手方向に沿う両端と、型枠との段差部をマスキングテープで覆うので、コンクリート打設時に、固定帯板と型枠との間にコンクリートが侵入することを防止でき、内壁面構築後の固定帯板の表面を、遮水シート接合良好な仕上がり面にすることができる。
【0033】
請求項8記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板と遮水シートとを、加熱溶着によって接合固定するので、固定帯板と遮水シートとを真っ直ぐな連続作業で容易に接合することができ、遮水シート同士の接合自動化を可能にすることができる。また、固定帯板の裏側に鋼板を設け、電磁誘導加熱により溶融接合することも可能である。
【0034】
請求項9記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板と遮水シートとを、ホットメルト接着剤によって接着固定するので、固定帯板と遮水シートとを真っ直ぐな連続作業で容易に接合することができ、遮水シート同士の接合自動化を可能にすることができる。
【0035】
請求項10記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、遮水シートの端縁同士を、二条の接合部によって接合するので、二条の接合部によって挟まれた空間に圧縮空気を注入することにより、接合部の不良を容易に発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る構造物内壁面の止水構造及びその施工方法の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る止水構造を有する構造物内壁面の斜視図、図2は図1のA−A断面図である。
本実施の形態による構造物内壁面の止水構造は、内壁面11が遮水シート13で覆われる例えば貯水槽などのコンクリート構造物15に好適に用いることができる。内壁面11には図2に示す固定帯板17が配設され、固定帯板17は内壁面11に一対の脚部17a、17aが埋設される。脚部17a、17aを埋設した固定帯板17は、脚部17a、17aと反対面が内壁面11と同一平面に配置される。
【0037】
内壁面11に表出した固定帯板17には、固定帯板17の長手方向に沿って連続して遮水シート13が固着される。遮水シート13としては、例えばエチレンとα−オレフィンの共重合により作られた低密度ポリエチレン、すなわち、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)などのオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。内壁面11には複数の固定帯板17が設けられ、それぞれの固定帯板17には他の遮水シート13が固着される。固定帯板17に固着された遮水シート13は、遮水シート13の固定帯板17と平行な端縁13aが、隣接する他の遮水シート13の一方の端縁13aに接合される。内壁面11は、端縁13a、13a同士の接合された複数の遮水シート13によって覆われている。
【0038】
本実施の形態では、内壁面11が、略鉛直面となる。固定帯板17は、長手方向が上下方向となるように配置されている。したがって、遮水シート13は、自重により、所定の張力で内壁面11に沿って展開され、上方から下方へ向けて固定帯板17へ接着固定可能となる。これにより、遮水シート13が、浮き上がりや弛みなく、容易かつ見栄え良く内壁面11に展張可能となっている。
【0039】
また、本実施の形態では、内壁面11に少なくとも一対の平行な固定帯板17、17を一組として複数組配設されている。そして、遮水シート13は、幅長が、この一組となる一対の固定帯板17、17の間隔より若干大きく形成されている。遮水シート13は、幅方向両端より内側の端縁13aがそれぞれ固定帯板17に固着される。これにより、例えばロール状に巻回した長尺な帯状遮水シート13の幅方向両端を一対の固定帯板17、17に固着しながら、確実かつ容易な展張を可能にしている。
【0040】
なお、固定帯板17は、図4,図5に示すように、一対の脚部17aを有し、各先端縁に膨出形状部分を備えた例を示しているが、この固定帯板17は、図3に示すように、例えば一つの脚部17aを有するものであってもよい。固定帯板17は、プラスチック、ゴム等、好ましくは遮水シートと同様のオレフィン系樹脂を材料とし、外面を平滑にした帯状体17bの内面の略中央部又は一側縁から略直角に帯状の脚部17aを突出させている。脚部17aの先端には投錨足条17cを設け、さらに脚部17aの中間部には適当数の補助投錨足条17dを設けてなる。
【0041】
隣接する遮水シート13、13は、端縁13a、13a同士が、図2に示すように、所定の接合代K(100〜130mm程度)で重合わされている。この接合代Kは、例えば遮水シート13の端辺部13bと平行な一条の接合部によってそれぞれ連続して接合されている。なお、接合代Kは、端辺部13bと平行な二条の接合部によってそれぞれ連続して接合されてもよい(図15参照)。遮水シート13の端縁13a同士を、二条の接合部によってそれぞれ連続して接合すれば、二条の接合部によって挟まれた空間に圧縮空気を封入することにより、接合部の不良を容易に発見することができる。また、コンクリート構造物15の上端縁は、上端縁用の固定帯板19が内壁面11の上縁を、例えば水平となって、各固定帯板17,17,…の上端を連結するように形成する。なお、この上端縁用の固定帯板19に対する遮水シート13の固着方法についても、固定帯板17との固着方法と同等のものとなる。
【0042】
したがって、この構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面11に複数の固定帯板17を配設し、この固定帯板17に、長手方向に沿って遮水シート13を固着し、固定帯板17に固着した遮水シート13と隣接する他の遮水シート13の端縁13a、13a同士を接合したので、遮水シート13を浮き上がりなく、容易に内壁面11に展張でき、最も重要な遮水シート13、13同士の端縁13a、13aにおける接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、遮水シート同士の接合の自動化も可能にすることができる。この結果、止水構造の施工性、信頼性を向上させることができる。
【0043】
次に、上記のように構成される止水構造の施工方法を説明する。
図4は内面に固定帯板の取り付けられた型枠の平面図である。
上記内壁面11を構築するために設置した型枠21の内面21aには、一対の脚部17a、17aを有する固定帯板17を、各脚部17a、17aが内向きとなるように取り付ける。固定帯板17は、プラスチック釘29(図5,図6参照)によって内面21aに固定する。なお、図中、23は、型枠21の間隔を維持固定するセパレータを示す。
【0044】
図5は固定帯板と内面との段差部にマスキングテープの貼着された型枠の拡大斜視図、図6は固定帯板とマスキングテープの設けられた型枠板の水平断面図である。
この際、固定帯板17の長手方向に沿う両端17e、17eと、型枠21の内面21aとの段差部25を、マスキングテープ27で覆う。このように、固定帯板17の長手方向に沿う両端17e、17eと、型枠21内面21aとの段差部25をマスキングテープ27で覆うので、図6に示すように、固定帯板17と内面21aとの隙間がマスキングテープ27によって確実に塞がれ、コンクリート打設時に、固定帯板17と内面21aとの間にコンクリートが侵入することを防止でき、内面21a構築後の固定帯板17の表面を、遮水シート13接合良好な仕上がり面にすることができる。
【0045】
図7はコンクリートの打設された型枠の水平断面図、図8は型枠が除去されて構築された構造物内壁面の水平断面図である。
固定帯板17が取り付けられたなら、型枠21の内側にコンクリート31を打設する。そして、コンクリート31の固化後に、型枠21を除去することで図8に示す固定帯板17の脚部17a、17aを埋設した内壁面11を構築する。プラスチック釘29は、へし折り、できるだけ、突起にならないように除去する。なお、削り取るも好ましい。これにより、後の遮水シート13に対し、干渉しない(傷つけない)ようにする。一方、マスキングテープ27は残ってしまっても遮水シート13のコンクリート31側になるので問題は生じない。
【0046】
図9は遮水シートの展張状況を表す説明図、図10は固定帯板に対する遮水シートの接着作業状況を表す説明図、図11は固定帯板への遮水シートの固着部を表す構造物内壁面の水平断面図、図12は遮水シートの幅方向両端が固定帯板に固着された構造物内壁面の水平断面図である。
次いで、巻回体35の状態とした遮水シート13を、内壁面11の下部から、垂直上方へ繰り出すように、チェーンブロック33、或いはクレーンなどで吊り上げ、内壁面11に対して展張させる。巻回されている遮水シート13は、好ましくは、展張される内壁面11の高さと略同等の長さに予め成形しておく。次いで、図10に示すように、内壁面11に展張した遮水シート13を、内壁面11と同一平面で表出する固定帯板17に、固定帯板17の長手方向に沿って連続して固着する。これにより、遮水シート13は、図11に示すように、固定帯板17の表面に溶着部41によって固着される。
【0047】
内壁面11には、図12に示すように、少なくとも一対の平行な固定帯板17、17を配設し、遮水シート13の幅方向両端より内側のそれぞれを固定帯板17に固着する。固定帯板17より外側に延出した遮水シート13の幅方向両端辺部13b、13bのそれぞれの端縁13aを、隣接する他の遮水シート13との接合代K(図10,12参照)とする。このように、固定帯板17より外側に延出した遮水シート13の端縁13aを接合代Kとするので、接合代Kの近傍を連続直線状に固定でき、接合代Kの移動を規制し、遮水シート13、13同士の接合を容易にすることができる。この結果、真っ直ぐな連続接合作業が実現し、遮水シート同士の接合の自動化を可能にできる。
【0048】
固定帯板17と遮水シート13とは、例えば加熱溶融によって溶着し固定する。また、固定帯板17と遮水シート13とは、ホットメルト接着剤によって接着固定してもよい。これら加熱溶融、ホットメルト接着剤によって接合固定することで、固定帯板17と遮水シート13とを真っ直ぐな連続作業で容易に接合することができ、遮水シート13、13同士の接合自動化を可能にすることができる。なお、これらの溶着機としては、ゴムローラ37,溶着機39からなる手動式溶着機(例えばライスター社製溶接機等)などを好適に使用することができる。
【0049】
図13は固定帯板に固着され端部同士が重ねられた遮水シートの展張される構造物内壁面の水平断面図、図14は一条の接合部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図、図15は二条の接合部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図である。
図13に示すように、固定帯板17に固着された遮水シート13の端縁13aには、隣接する他の遮水シート13の端縁13aが重合わせられる。この重合わせ部が、接合代Kとなっている。次いで、図14に示すように、隣接する遮水シート13、13の接合代K、K同士を、端辺部13bと平行な接合部43によって連続的に接合する。なお、遮水シート13の遮水シートの接合代K、K同士は、図15に示すように、二条の接合部43、43によって接合するものであってもよい。このように、二条の接合部43、43によって接合することで、二条の接合部43、43によって挟まれた空間45に圧縮空気を注入することにより、接合部43、43の不良を容易に発見することができる。
【0050】
したがって、この止水構造の施工方法によれば、型枠21の内面21aに、脚部17a、17aを有する固定帯板17を取り付け、型枠内に打設したコンクリート31の固化後に型枠21を除去することで内壁面11を構築し、内壁面11に展張した遮水シート13を、固定帯板17の長手方向に沿って連続して接着固定し、固定帯板17に固着された遮水シート13の端縁13aに、隣接する他の遮水シート13の端縁13aを、端辺部13bと平行な接合部43によって連続的に接合するので、遮水シート13を浮き上がりなく、容易に内壁面11に展張でき、最も重要な遮水シート同士の接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、接合部の自動化も可能にすることができる。この結果、施工性、止水構造の信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、固定帯板17が帯板状であるので、構築物形成時に、型枠21への取り付けを容易にできる。
【0052】
また、従来の板状のライニング板などを使用しないことから、とりまわしが良く、構築物の内面形状、例えぱ梁などの突出部分や、段部などがあるような内隅、外隅を有する形状などに対し、板を切断形成などの煩雑な作業がなく、内壁面の多様な形状に追従して確実な止水性能を得ることが可能となる。
また、ライニング板のような構造の場合、型枠に予め固定しておくことから、型枠を外した後の状態でセパレータの穴が開くこととなり、コンクリート固化後に型枠を外した後に、セパレータの穴を塞ぐ部材が必要で、穴を塞ぐ作業が必要であり、施工工数が多いが、本発明では、遮水シート13で全て内壁面11を覆ってしまうので、施工性が良くなる。
【0053】
なお、上記の実施の形態では、遮水シート13が略鉛直な内壁面11に展張される場合を例に説明したが、遮水シート13は、この他、垂直面(鉛直面)以外、例えば天井面、床面、傾斜面などであっても上記と同様の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る止水構造を有する構造物内壁面の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】固定帯板の他の実施形態の形状を示す斜視図である。
【図4】内面に固定帯板の取り付けられた型枠の平面図である。
【図5】固定帯板と内面との段差部にマスキングテープの貼着された型枠の拡大斜視図である。
【図6】固定帯板とマスキングテープの設けられた型枠板の水平断面図である。
【図7】コンクリートの打設された型枠の水平断面図である。
【図8】型枠が除去されて構築された構造物内壁面の水平断面図である。
【図9】遮水シートの展張状況を表す説明図である。
【図10】固定帯板に対する遮水シートの接着作業状況を表す説明図である。
【図11】固定帯板への遮水シートの固着部を表す構造物内壁面の水平断面図である。
【図12】遮水シートの幅方向両端が固定帯板に固着された構造物内壁面の水平断面図である。
【図13】固定帯板に固着され端部同士が重ねられた遮水シートの展張される構造物内壁面の水平断面図である。
【図14】一条の接着部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図である。
【図15】二条の接着部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図である。
【符号の説明】
【0055】
11…内壁面
13…遮水シート
13a…端縁
13b…端辺部
15…コンクリート構造物
17…固定帯板
17a…脚部
21…型枠
21a…内面
25…段差部
27…マスキングテープ
31…コンクリート
43…端辺部と平行な二条の接合部
K…接合代
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物内壁面の浸食・腐食からの保護、水の流れる構造物の粗度係数の低い内壁面の構築を可能にし、コンクリート構造物の寿命を大幅に改善する構造物内壁面の止水構造及びその施工方法に関し、特に、廃棄物最終処分場、調整池、人工池、新設水路、建築構造物の壁面防水、トンネル内の側壁・天井、上下水処理施設、食品・化学・ハイテク工場など遮水シートを用いた止水構造物に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
水に接することとなる構造物の止水構造は、従来より種々のものが提案されている。例えば特許文献1,2に開示される止水構造は、既設のコンクリート構造物の内壁面、特に遮水シートの浮き上がりやすい箇所である入隅部・出隅部などに、コンクリート釘やアンカーボルトなどを用いてコーナー部材を固定し、このコーナー部材に遮水シートを固着したり、コーナー部材に予め接着しておいた遮水シートに、隣接の遮水シートを接合し、接合した複数の遮水シートを展張して内壁面を覆っている。
【0003】
また、特許文献3に開示される止水構造は、アンカー付のライニング板を用い、アンカーを内壁面に埋設することで、内壁面全面をライニング板で覆っている。また、特許文献4に開示される止水構造は、コンクリート構造物の内壁面の適当な箇所に、円板状部材をコンクリート釘で打ち付け、その上に遮水シートを固着して内壁面を覆っている。その他、コンクリート構造物の内壁面に、防水材を所定の膜厚で塗布し、防水膜で内壁面を被覆する塗布型止水構造や、接着剤を用い、内壁面の全面に遮水シートを接着するシート接着止水構造も採用されていた。
【特許文献1】特開平9−49267号公報
【特許文献2】特開昭61−232192号公報
【特許文献3】特開平5−132963号公報
【特許文献4】特公昭61−35072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示されるコーナー部材を用いた止水構造は、構造物に入隅部・出隅部が少ないと、内壁面への固定箇所が少なくなり、十分な固定が行えずに遮水シートが内壁面から浮き上がる問題が生じた。
また、特許文献3に開示される止水構造は、アンカーを有する特殊形状のライニング板を用いるため、ライニング板の製作が困難であり、部材コストが高くなるとともに、コンクリート構造物が複雑な形状である場合には、内壁面にライニング板を追従させ難く、施工性の悪い問題があった。さらに、コンクリート打設前にライニング板を型枠に取り付けるため、型枠を固定するセパレータにより無数の穴をライニング板に開けることとなり、型枠の脱型後にライニング板に開いた穴を補修し、漏水を防止する必要があるが、この補修の信頼性や穴の見落としなどの問題が発生し、工期遅れにもつながる。さらに、コンクリート固化後の収縮によって、ライニング板が内壁面から浮き上がって剥離したり、ライニング板同士の溶着接続部に自走式熱風溶着機を使用した場合には溶着部が浮き上がり見栄えを低下させる問題が生じた。
また、特許文献4に開示される止水構造は、遮水シートを固着するための円板状部材を、内壁面に点在して設けられるため、遮水シートの固着作業が煩雑であり、施工性の悪い問題があった。また、内壁面に散在する円板状部材に遮水シートを固着するため、内壁面と遮水シートとの間を遮水シート単位で区画することができず、一度シート破れが発生すると、浸入した水が内壁面と遮水シートとの全ての間に通じてしまい、浸入部分の発見・補修を困難にする問題があるとともに、コンクリート壁面を腐食損壊させるおそれもある。
さらに、塗布型止水構造は、膜厚に不均一が生じやすく、薄部では破れの生じやすい問題があるとともに、塗布膜の硬化までに、汚れを取り込み、この汚れが後のピンホールとなる問題もあった。
また、接着剤を用いたシート接着止水構造は、接着剤硬化完了までの押さえ型枠が必要であり、施工性の悪い問題があった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、遮水シートを容易に展張でき、かつ最も重要な遮水シート同士の接合が容易に施工でき、接合部の自動化も可能になるとともに、遮水シートを浮き上がりなく展張できる構造物内壁面の止水構造及びその施工方法を提供し、もって、施工性の向上、止水構造の信頼性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の構造物内壁面の止水構造は、コンクリート構造物の内壁面11が遮水シート13で覆われる構造物内壁面の止水構造であって、
前記内壁面11に脚部17aが埋設され該内壁面11と同一平面に配置される固定帯板17と、
該固定帯板17に、該固定帯板17の長手方向に沿って連続して固着される遮水シート13と、
該固定帯板17に固着された遮水シート13に隣接する他の遮水シート13と、
を備え、
前記固定帯板17に固着された遮水シート13の前記固定帯板17に沿う端縁13aが、前記隣接する他の遮水シート13の一方の端縁13aに接合され、
接合された複数の前記遮水シート13によって前記内壁面11が覆われたことを特徴とする。
【0007】
この構造物内壁面の止水構造では、遮水シート13が浮き上がりなく内壁面11に沿って展張され、しかも固定帯板17に沿って連続して固着され、そして最も重要な遮水シート13同士の接合が確実かつ容易に行えるようになる。
【0008】
請求項2記載の構造物内壁面の止水構造は、前記内壁面11が、略鉛直面であり、
前記固定帯板17が、長手方向が上下方向となるように配置されたことを特徴とする。
【0009】
この構造物内壁面の止水構造では、自重により、内壁面11に展開させた遮水シート13が、上方から下方へ向けて固定帯板17へ接合固定可能となる。
【0010】
請求項3記載の構造物内壁面の止水構造は、前記内壁面11に、一対の平行な前記固定帯板17,17が配設され、
前記遮水シート17の幅長が、該一対の固定帯板17,17の間隔より大きく形成され、
該遮水シート13の幅方向両端より内側の端縁13aがそれぞれ前記各固定帯板17,17に固着されたことを特徴とする。
【0011】
この構造物内壁面の止水構造では、例えばロール状に巻回した帯状遮水シート13の両端を一対の固定帯板17,17に固着しながらの展張が可能となる。
【0012】
請求項4記載の構造物内壁面の止水構造は、前記隣接して重ねられた遮水シート13の端縁13a,13a同士が、端辺部13bと平行な二条の接合部43によってそれぞれ連続して接合されたことを特徴とする。
【0013】
この構造物内壁面の止水構造では、二条の接合部43によって挟まれた空間45に圧縮空気を注入することで、接合部43の良否判定試験、すなわち接合不良個所の発見が可能となる。
【0014】
請求項5記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、コンクリート構造物の内壁面11を遮水シート13で覆う止水構造の施工方法であって、
前記内壁面11を構築するために設置した型枠21の内面21aに、脚部17aを有する固定帯板17を、該脚部17aが内向きとなるように取り付け、
前記型枠21内にコンクリート31を打設し、
該コンクリート31の固化後に前記型枠21を除去することで前記内壁面11を構築し、
該内壁面11に展張した遮水シート13を、前記内壁面11と同一平面で表出する前記固定帯板17に、該固定帯板17の長手方向に沿って連続して接合固定し、
該固定帯板17に固着された遮水シート13の端縁13aに、隣接する他の遮水シート13の端縁13aを、端辺部13bと平行な接合部43によって連続的に接合することを特徴とする。
【0015】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、遮水シート13が浮き上がりなく内壁面11に展張され、最も重要な遮水シート13,13同士の接合が確実かつ容易に行えるようになる。
【0016】
請求項6記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記内壁面11に、一対の平行な固定帯板17,17を配設し、
前記遮水シート13の幅方向両端より内側のそれぞれを前記固定帯板17固着し、
該固定帯板17より外側に延出した前記遮水シート13の幅方向両端のそれぞれの端縁13a,13aを、隣接する他の遮水シート13との接合代Kとすることを特徴とする。
【0017】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、接合代Kの近傍が連続直線状に固定され、接合代Kの移動が規制されて、遮水シート13,13同士の接合が容易となる。
【0018】
請求項7記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記固定帯板17の長手方向に沿う両端と、前記型枠21との段差部25を、マスキングテープ27で覆うことを特徴とする。
【0019】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、コンクリート打設時における固定帯板17と型枠21との間へのコンクリート31の侵入が防止される。
【0020】
請求項8記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記固定帯板17と前記遮水シート13とを、加熱溶着によって接合固定することを特徴とする。
【0021】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、固定帯板17と遮水シート13とが真っ直ぐな連続作業で接合可能となる。
【0022】
請求項9記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記固定帯板と前記遮水シートとを、ホットメルト接着剤によって接着固定することを特徴とする。
【0023】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、固定帯板17と遮水シート13とが真っ直ぐな連続作業で接合可能となる。
【0024】
請求項10記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法は、前記遮水シート13の端縁同士を、該遮水シート13の端辺部13bと平行な連続する二条の接合部43,43によって接合することを特徴とする。
【0025】
この構造物内壁面の止水構造の施工方法では、二条の接合部43,43によって挟まれた空間45に圧縮空気を注入することで、接合部43,43の良否判定試験、すなわち接合不良個所の発見が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る請求項1記載の構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面に固定帯板を配設し、この固定帯板に、長手方向に沿って遮水シートを固着し、固定帯板に固着した遮水シートと隣接する他の遮水シートの端縁同士を接合したので、遮水シートを浮き上がりなく、容易に内壁面に展張でき、最も重要な遮水シート同士の接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、遮水シートの固定帯板への固着を連続して行え、シート同士の接合の自動化も可能にすることができる。この結果、施工性、止水構造の信頼性を向上させることができる。
【0027】
請求項2記載の構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面が、略鉛直面であり、固定帯板が、長手方向を上下方向にして配設されたので、自重により、内壁面に展開させた遮水シートを、上方から下方へ向けて固定帯板へ接合固定でき、遮水シートを浮き上がりや弛みなく、容易かつ見栄え良く内壁面に沿って展張することができる。
【0028】
請求項3記載の構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面に、一対の平行な固定帯板を配設し、遮水シートの幅長をこの一対の固定帯板の間隔より大きく形成し、遮水シートの幅方向両端より内側の端縁のそれぞれを固定帯板に固着したので、例えばロール状に巻回した帯状遮水シートの両端を一対の固定帯板に固着しながら、確実かつ容易な展張を可能にすることができる。
【0029】
請求項4記載の構造物内壁面の止水構造によれば、隣接して重ねられた遮水シートの端縁同士を、二条の接合部によってそれぞれ連続して接合するので、二条の接合部によって挟まれた空間に圧縮空気を注入することで、接合部の良否判定試験、すなわち接合不良個所の発見が容易に可能となる。
【0030】
請求項5記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、型枠の内面に、脚部を有する固定帯板を取り付け、型枠内に打設したコンクリートの固化後に型枠を除去することで内壁面を構築し、内壁面に展張した遮水シートを、固定帯板の長手方向に沿って連続して接合固定し、固定帯板に固着された遮水シートの端縁に、隣接する他の遮水シートの端縁を、端辺部と平行な接合部によって連続的に接合するので、遮水シートを浮き上がりなく、容易に内壁面に展張でき、最も重要な遮水シート同士の接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、シート同士の接合の自動化も可能にすることができる。この結果、施工性、止水構造の信頼性を向上させることができる。
【0031】
請求項6記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板より外側に延出した遮水シートの幅方向両端のそれぞれの端縁を、隣接する他の遮水シートとの接合代とするので、接合代の近傍を連続直線状に固定でき、接合代の移動を規制し、遮水シート同士の接合を容易にすることができる。この結果、帯板に沿って真っ直ぐな連続接合作業が実現し、接合部の自動化を可能にできる。
【0032】
請求項7記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板の長手方向に沿う両端と、型枠との段差部をマスキングテープで覆うので、コンクリート打設時に、固定帯板と型枠との間にコンクリートが侵入することを防止でき、内壁面構築後の固定帯板の表面を、遮水シート接合良好な仕上がり面にすることができる。
【0033】
請求項8記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板と遮水シートとを、加熱溶着によって接合固定するので、固定帯板と遮水シートとを真っ直ぐな連続作業で容易に接合することができ、遮水シート同士の接合自動化を可能にすることができる。また、固定帯板の裏側に鋼板を設け、電磁誘導加熱により溶融接合することも可能である。
【0034】
請求項9記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、固定帯板と遮水シートとを、ホットメルト接着剤によって接着固定するので、固定帯板と遮水シートとを真っ直ぐな連続作業で容易に接合することができ、遮水シート同士の接合自動化を可能にすることができる。
【0035】
請求項10記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法によれば、遮水シートの端縁同士を、二条の接合部によって接合するので、二条の接合部によって挟まれた空間に圧縮空気を注入することにより、接合部の不良を容易に発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る構造物内壁面の止水構造及びその施工方法の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る止水構造を有する構造物内壁面の斜視図、図2は図1のA−A断面図である。
本実施の形態による構造物内壁面の止水構造は、内壁面11が遮水シート13で覆われる例えば貯水槽などのコンクリート構造物15に好適に用いることができる。内壁面11には図2に示す固定帯板17が配設され、固定帯板17は内壁面11に一対の脚部17a、17aが埋設される。脚部17a、17aを埋設した固定帯板17は、脚部17a、17aと反対面が内壁面11と同一平面に配置される。
【0037】
内壁面11に表出した固定帯板17には、固定帯板17の長手方向に沿って連続して遮水シート13が固着される。遮水シート13としては、例えばエチレンとα−オレフィンの共重合により作られた低密度ポリエチレン、すなわち、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)などのオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。内壁面11には複数の固定帯板17が設けられ、それぞれの固定帯板17には他の遮水シート13が固着される。固定帯板17に固着された遮水シート13は、遮水シート13の固定帯板17と平行な端縁13aが、隣接する他の遮水シート13の一方の端縁13aに接合される。内壁面11は、端縁13a、13a同士の接合された複数の遮水シート13によって覆われている。
【0038】
本実施の形態では、内壁面11が、略鉛直面となる。固定帯板17は、長手方向が上下方向となるように配置されている。したがって、遮水シート13は、自重により、所定の張力で内壁面11に沿って展開され、上方から下方へ向けて固定帯板17へ接着固定可能となる。これにより、遮水シート13が、浮き上がりや弛みなく、容易かつ見栄え良く内壁面11に展張可能となっている。
【0039】
また、本実施の形態では、内壁面11に少なくとも一対の平行な固定帯板17、17を一組として複数組配設されている。そして、遮水シート13は、幅長が、この一組となる一対の固定帯板17、17の間隔より若干大きく形成されている。遮水シート13は、幅方向両端より内側の端縁13aがそれぞれ固定帯板17に固着される。これにより、例えばロール状に巻回した長尺な帯状遮水シート13の幅方向両端を一対の固定帯板17、17に固着しながら、確実かつ容易な展張を可能にしている。
【0040】
なお、固定帯板17は、図4,図5に示すように、一対の脚部17aを有し、各先端縁に膨出形状部分を備えた例を示しているが、この固定帯板17は、図3に示すように、例えば一つの脚部17aを有するものであってもよい。固定帯板17は、プラスチック、ゴム等、好ましくは遮水シートと同様のオレフィン系樹脂を材料とし、外面を平滑にした帯状体17bの内面の略中央部又は一側縁から略直角に帯状の脚部17aを突出させている。脚部17aの先端には投錨足条17cを設け、さらに脚部17aの中間部には適当数の補助投錨足条17dを設けてなる。
【0041】
隣接する遮水シート13、13は、端縁13a、13a同士が、図2に示すように、所定の接合代K(100〜130mm程度)で重合わされている。この接合代Kは、例えば遮水シート13の端辺部13bと平行な一条の接合部によってそれぞれ連続して接合されている。なお、接合代Kは、端辺部13bと平行な二条の接合部によってそれぞれ連続して接合されてもよい(図15参照)。遮水シート13の端縁13a同士を、二条の接合部によってそれぞれ連続して接合すれば、二条の接合部によって挟まれた空間に圧縮空気を封入することにより、接合部の不良を容易に発見することができる。また、コンクリート構造物15の上端縁は、上端縁用の固定帯板19が内壁面11の上縁を、例えば水平となって、各固定帯板17,17,…の上端を連結するように形成する。なお、この上端縁用の固定帯板19に対する遮水シート13の固着方法についても、固定帯板17との固着方法と同等のものとなる。
【0042】
したがって、この構造物内壁面の止水構造によれば、内壁面11に複数の固定帯板17を配設し、この固定帯板17に、長手方向に沿って遮水シート13を固着し、固定帯板17に固着した遮水シート13と隣接する他の遮水シート13の端縁13a、13a同士を接合したので、遮水シート13を浮き上がりなく、容易に内壁面11に展張でき、最も重要な遮水シート13、13同士の端縁13a、13aにおける接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、遮水シート同士の接合の自動化も可能にすることができる。この結果、止水構造の施工性、信頼性を向上させることができる。
【0043】
次に、上記のように構成される止水構造の施工方法を説明する。
図4は内面に固定帯板の取り付けられた型枠の平面図である。
上記内壁面11を構築するために設置した型枠21の内面21aには、一対の脚部17a、17aを有する固定帯板17を、各脚部17a、17aが内向きとなるように取り付ける。固定帯板17は、プラスチック釘29(図5,図6参照)によって内面21aに固定する。なお、図中、23は、型枠21の間隔を維持固定するセパレータを示す。
【0044】
図5は固定帯板と内面との段差部にマスキングテープの貼着された型枠の拡大斜視図、図6は固定帯板とマスキングテープの設けられた型枠板の水平断面図である。
この際、固定帯板17の長手方向に沿う両端17e、17eと、型枠21の内面21aとの段差部25を、マスキングテープ27で覆う。このように、固定帯板17の長手方向に沿う両端17e、17eと、型枠21内面21aとの段差部25をマスキングテープ27で覆うので、図6に示すように、固定帯板17と内面21aとの隙間がマスキングテープ27によって確実に塞がれ、コンクリート打設時に、固定帯板17と内面21aとの間にコンクリートが侵入することを防止でき、内面21a構築後の固定帯板17の表面を、遮水シート13接合良好な仕上がり面にすることができる。
【0045】
図7はコンクリートの打設された型枠の水平断面図、図8は型枠が除去されて構築された構造物内壁面の水平断面図である。
固定帯板17が取り付けられたなら、型枠21の内側にコンクリート31を打設する。そして、コンクリート31の固化後に、型枠21を除去することで図8に示す固定帯板17の脚部17a、17aを埋設した内壁面11を構築する。プラスチック釘29は、へし折り、できるだけ、突起にならないように除去する。なお、削り取るも好ましい。これにより、後の遮水シート13に対し、干渉しない(傷つけない)ようにする。一方、マスキングテープ27は残ってしまっても遮水シート13のコンクリート31側になるので問題は生じない。
【0046】
図9は遮水シートの展張状況を表す説明図、図10は固定帯板に対する遮水シートの接着作業状況を表す説明図、図11は固定帯板への遮水シートの固着部を表す構造物内壁面の水平断面図、図12は遮水シートの幅方向両端が固定帯板に固着された構造物内壁面の水平断面図である。
次いで、巻回体35の状態とした遮水シート13を、内壁面11の下部から、垂直上方へ繰り出すように、チェーンブロック33、或いはクレーンなどで吊り上げ、内壁面11に対して展張させる。巻回されている遮水シート13は、好ましくは、展張される内壁面11の高さと略同等の長さに予め成形しておく。次いで、図10に示すように、内壁面11に展張した遮水シート13を、内壁面11と同一平面で表出する固定帯板17に、固定帯板17の長手方向に沿って連続して固着する。これにより、遮水シート13は、図11に示すように、固定帯板17の表面に溶着部41によって固着される。
【0047】
内壁面11には、図12に示すように、少なくとも一対の平行な固定帯板17、17を配設し、遮水シート13の幅方向両端より内側のそれぞれを固定帯板17に固着する。固定帯板17より外側に延出した遮水シート13の幅方向両端辺部13b、13bのそれぞれの端縁13aを、隣接する他の遮水シート13との接合代K(図10,12参照)とする。このように、固定帯板17より外側に延出した遮水シート13の端縁13aを接合代Kとするので、接合代Kの近傍を連続直線状に固定でき、接合代Kの移動を規制し、遮水シート13、13同士の接合を容易にすることができる。この結果、真っ直ぐな連続接合作業が実現し、遮水シート同士の接合の自動化を可能にできる。
【0048】
固定帯板17と遮水シート13とは、例えば加熱溶融によって溶着し固定する。また、固定帯板17と遮水シート13とは、ホットメルト接着剤によって接着固定してもよい。これら加熱溶融、ホットメルト接着剤によって接合固定することで、固定帯板17と遮水シート13とを真っ直ぐな連続作業で容易に接合することができ、遮水シート13、13同士の接合自動化を可能にすることができる。なお、これらの溶着機としては、ゴムローラ37,溶着機39からなる手動式溶着機(例えばライスター社製溶接機等)などを好適に使用することができる。
【0049】
図13は固定帯板に固着され端部同士が重ねられた遮水シートの展張される構造物内壁面の水平断面図、図14は一条の接合部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図、図15は二条の接合部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図である。
図13に示すように、固定帯板17に固着された遮水シート13の端縁13aには、隣接する他の遮水シート13の端縁13aが重合わせられる。この重合わせ部が、接合代Kとなっている。次いで、図14に示すように、隣接する遮水シート13、13の接合代K、K同士を、端辺部13bと平行な接合部43によって連続的に接合する。なお、遮水シート13の遮水シートの接合代K、K同士は、図15に示すように、二条の接合部43、43によって接合するものであってもよい。このように、二条の接合部43、43によって接合することで、二条の接合部43、43によって挟まれた空間45に圧縮空気を注入することにより、接合部43、43の不良を容易に発見することができる。
【0050】
したがって、この止水構造の施工方法によれば、型枠21の内面21aに、脚部17a、17aを有する固定帯板17を取り付け、型枠内に打設したコンクリート31の固化後に型枠21を除去することで内壁面11を構築し、内壁面11に展張した遮水シート13を、固定帯板17の長手方向に沿って連続して接着固定し、固定帯板17に固着された遮水シート13の端縁13aに、隣接する他の遮水シート13の端縁13aを、端辺部13bと平行な接合部43によって連続的に接合するので、遮水シート13を浮き上がりなく、容易に内壁面11に展張でき、最も重要な遮水シート同士の接合を確実かつ容易に行うことができる。これにより、接合部の自動化も可能にすることができる。この結果、施工性、止水構造の信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、固定帯板17が帯板状であるので、構築物形成時に、型枠21への取り付けを容易にできる。
【0052】
また、従来の板状のライニング板などを使用しないことから、とりまわしが良く、構築物の内面形状、例えぱ梁などの突出部分や、段部などがあるような内隅、外隅を有する形状などに対し、板を切断形成などの煩雑な作業がなく、内壁面の多様な形状に追従して確実な止水性能を得ることが可能となる。
また、ライニング板のような構造の場合、型枠に予め固定しておくことから、型枠を外した後の状態でセパレータの穴が開くこととなり、コンクリート固化後に型枠を外した後に、セパレータの穴を塞ぐ部材が必要で、穴を塞ぐ作業が必要であり、施工工数が多いが、本発明では、遮水シート13で全て内壁面11を覆ってしまうので、施工性が良くなる。
【0053】
なお、上記の実施の形態では、遮水シート13が略鉛直な内壁面11に展張される場合を例に説明したが、遮水シート13は、この他、垂直面(鉛直面)以外、例えば天井面、床面、傾斜面などであっても上記と同様の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る止水構造を有する構造物内壁面の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】固定帯板の他の実施形態の形状を示す斜視図である。
【図4】内面に固定帯板の取り付けられた型枠の平面図である。
【図5】固定帯板と内面との段差部にマスキングテープの貼着された型枠の拡大斜視図である。
【図6】固定帯板とマスキングテープの設けられた型枠板の水平断面図である。
【図7】コンクリートの打設された型枠の水平断面図である。
【図8】型枠が除去されて構築された構造物内壁面の水平断面図である。
【図9】遮水シートの展張状況を表す説明図である。
【図10】固定帯板に対する遮水シートの接着作業状況を表す説明図である。
【図11】固定帯板への遮水シートの固着部を表す構造物内壁面の水平断面図である。
【図12】遮水シートの幅方向両端が固定帯板に固着された構造物内壁面の水平断面図である。
【図13】固定帯板に固着され端部同士が重ねられた遮水シートの展張される構造物内壁面の水平断面図である。
【図14】一条の接着部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図である。
【図15】二条の接着部によって接合された遮水シート端縁同士の水平断面図である。
【符号の説明】
【0055】
11…内壁面
13…遮水シート
13a…端縁
13b…端辺部
15…コンクリート構造物
17…固定帯板
17a…脚部
21…型枠
21a…内面
25…段差部
27…マスキングテープ
31…コンクリート
43…端辺部と平行な二条の接合部
K…接合代
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の内壁面が遮水シートで覆われる構造物内壁面の止水構造であって、
前記内壁面に脚部が埋設され該内壁面と同一平面に配置される固定帯板と、
該固定帯板に、該固定帯板の長手方向に沿って連続して固着される遮水シートと、
該固定帯板に固着された遮水シートに隣接する他の遮水シートと、
を備え、
前記固定帯板に固着された遮水シートの前記固定帯板に沿う端縁が、前記隣接する他の遮水シートの一方の端縁に接合され、
接合された複数の前記遮水シートによって前記内壁面が覆われたことを特徴とする構造物内壁面の止水構造。
【請求項2】
前記内壁面が、略鉛直面であり、
前記固定帯板が、長手方向が上下方向となるように配置されたことを特徴とする請求項1記載の構造物内壁面の止水構造。
【請求項3】
前記内壁面に、一対の平行な前記固定帯板が配設され、
前記遮水シートの幅長が、該一対の固定帯板の間隔より大きく形成され、
該遮水シートの幅方向両端より内側の端縁がそれぞれ前記各固定帯板に固着されたことを特徴とする請求項1又は2記載の構造物内壁面の止水構造。
【請求項4】
前記隣接して重ねられた遮水シートの端縁同士が、端辺部と平行な二条の接合部によってそれぞれ連続して接合されたことを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造。
【請求項5】
コンクリート構造物の内壁面を遮水シートで覆う止水構造の施工方法であって、
前記内壁面を構築するために設置した型枠の内面に、脚部を有する固定帯板を、該脚部が内向きとなるように取り付け、
前記型枠内にコンクリートを打設し、
該コンクリートの固化後に前記型枠を除去することで前記内壁面を構築し、
該内壁面に展張した遮水シートを、前記内壁面と同一平面で表出する前記固定帯板に、該固定帯板の長手方向に沿って連続して接着固定し、
該固定帯板に固着された遮水シートの端縁に、隣接する他の遮水シートの端縁を、端辺部と平行な接合部によって連続的に接合することを特徴とする構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項6】
前記内壁面に、一対の平行な固定帯板を配設し、
前記遮水シートの幅方向両端より内側のそれぞれを前記固定帯板に固着し、
該固定帯板より外側に延出した前記遮水シートの幅方向両端のそれぞれの端縁を、隣接する他の遮水シートとの接合代とすることを特徴とする請求項5記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項7】
前記固定帯板の長手方向に沿う両端と、前記型枠との段差部を、マスキングテープで覆うことを特徴とする請求項5又は6記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項8】
前記固定帯板と前記遮水シートとを、加熱溶着によって接合固定することを特徴とする請求項5,6,7のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項9】
前記固定帯板と前記遮水シートとを、ホットメルト接着剤によって接着固定することを特徴とする請求項5,6,7のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項10】
前記遮水シートの端縁同士を、該遮水シートの端辺部と平行な連続する二条の接合部によって接合することを特徴とする請求項5,6,7,8,9のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項1】
コンクリート構造物の内壁面が遮水シートで覆われる構造物内壁面の止水構造であって、
前記内壁面に脚部が埋設され該内壁面と同一平面に配置される固定帯板と、
該固定帯板に、該固定帯板の長手方向に沿って連続して固着される遮水シートと、
該固定帯板に固着された遮水シートに隣接する他の遮水シートと、
を備え、
前記固定帯板に固着された遮水シートの前記固定帯板に沿う端縁が、前記隣接する他の遮水シートの一方の端縁に接合され、
接合された複数の前記遮水シートによって前記内壁面が覆われたことを特徴とする構造物内壁面の止水構造。
【請求項2】
前記内壁面が、略鉛直面であり、
前記固定帯板が、長手方向が上下方向となるように配置されたことを特徴とする請求項1記載の構造物内壁面の止水構造。
【請求項3】
前記内壁面に、一対の平行な前記固定帯板が配設され、
前記遮水シートの幅長が、該一対の固定帯板の間隔より大きく形成され、
該遮水シートの幅方向両端より内側の端縁がそれぞれ前記各固定帯板に固着されたことを特徴とする請求項1又は2記載の構造物内壁面の止水構造。
【請求項4】
前記隣接して重ねられた遮水シートの端縁同士が、端辺部と平行な二条の接合部によってそれぞれ連続して接合されたことを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造。
【請求項5】
コンクリート構造物の内壁面を遮水シートで覆う止水構造の施工方法であって、
前記内壁面を構築するために設置した型枠の内面に、脚部を有する固定帯板を、該脚部が内向きとなるように取り付け、
前記型枠内にコンクリートを打設し、
該コンクリートの固化後に前記型枠を除去することで前記内壁面を構築し、
該内壁面に展張した遮水シートを、前記内壁面と同一平面で表出する前記固定帯板に、該固定帯板の長手方向に沿って連続して接着固定し、
該固定帯板に固着された遮水シートの端縁に、隣接する他の遮水シートの端縁を、端辺部と平行な接合部によって連続的に接合することを特徴とする構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項6】
前記内壁面に、一対の平行な固定帯板を配設し、
前記遮水シートの幅方向両端より内側のそれぞれを前記固定帯板に固着し、
該固定帯板より外側に延出した前記遮水シートの幅方向両端のそれぞれの端縁を、隣接する他の遮水シートとの接合代とすることを特徴とする請求項5記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項7】
前記固定帯板の長手方向に沿う両端と、前記型枠との段差部を、マスキングテープで覆うことを特徴とする請求項5又は6記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項8】
前記固定帯板と前記遮水シートとを、加熱溶着によって接合固定することを特徴とする請求項5,6,7のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項9】
前記固定帯板と前記遮水シートとを、ホットメルト接着剤によって接着固定することを特徴とする請求項5,6,7のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【請求項10】
前記遮水シートの端縁同士を、該遮水シートの端辺部と平行な連続する二条の接合部によって接合することを特徴とする請求項5,6,7,8,9のいずれか1つに記載の構造物内壁面の止水構造の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−247139(P2007−247139A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67770(P2006−67770)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】
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