説明

標識物質を含有する架橋剤のバッチ、新規架橋性ゴム混合物、それらの製造方法、およびそれらの使用

本発明は、標識物質を含有する架橋剤の新規バッチに、新規架橋性ゴム混合物に、それらの製造方法におよびそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標識物質を含む新規架橋剤マスターバッチに、新規架橋性ゴム混合物に、これらの製造方法に、およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)は、バッチ式に製造された親混合物中へ連続的に架橋剤マスターバッチを導入することを目的として架橋剤マスターバッチの別々の製造を開示している。この方法は、それがより実用的であり、かつ、より良好な性能を提供するやり方で架橋性ゴム混合物を製造できるという利点を有するが、ゴム混合物における架橋剤マスターバッチの分散の質を実証することができない−あるいはそれが実証できる場合でもこれはオフラインで可能であるにすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第2009/058041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、架橋剤マスターバッチの分散の質を測定するためのオンライン検出、およびまた好ましくはインライン検出を可能にする新規架橋剤マスターバッチを提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の根底にある目的は、標識物質を含む架橋剤マスターバッチによって達成された。
【0006】
本発明はそれ故、2g/cm超の密度の少なくとも1つの粉状標識物質と、硫黄、硫黄供与体、過酸化物、レゾルシノール、アルデヒド−アミン縮合物、ビスフェノール類、キノンジオキシム、カルバメート、トリアジン、チアゾール類、ジチオカルバミン酸塩、チウラム、チオウレア類、メルカプト硬化促進剤、スルフェンアミド、チオホスフェート硬化促進剤、ジチオホスフェート硬化促進剤、および/またはグアニジンの群から選択される少なくとも1つの架橋剤とを含む架橋剤マスターバッチを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、測定の両方を包含する、時間に対してプロットされた超音波信号(減衰)についての曲線を示す。ゴム混合物の押出中の変動(基線変動)は、20m−1未満で非常に小さい。基線ノイズは約1m−1である。
【図2】図2は、親混合物の押出中の時間に対してプロットされた超音波信号についての曲線を示す。実施例1におけるように、ゴム混合物の押出中の変動(基線変動)は、20m−1未満で非常に小さい。基線ノイズは約1m−1である。
【図3】図3は、時間に対してプロットされる、t=0分からの押出ストリップによる超音波の減衰についての曲線を示す。
【図4】図4は、実施例1におけるように、ゴム混合物KMを押し出し、2つの超音波変換器を用いて押出ストリップの減衰特性を分析した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】

次の群から選択される少なくとも1つの化合物が本発明の目的のための粉状標識物質として使用されることが好ましい:
− アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物、
− 元素の周期表の遷移群の化合物、
− ケイ素化合物、
− アルミニウム化合物、
− セレン化合物およびテルル化合物、
− スズ化合物、
− 鉛化合物、
− ビスマス化合物、
− 希土類の化合物、− 重金属粉末、
− 被覆金属粉末および/またはこれらの化合物、
− 金属炭化物、特に好ましくは炭化タングステン、および/または
− 天然起源鉱物、
− 重金属粉末(密度>5g/cm)、たとえばカルボニル鉄粉末、および/または
− 被覆重金属粉末および/またはそれらの化合物、たとえばリン酸化もしくは二酸化ケイ素被覆鉄粉末。
【0009】
下記が標識物質として本明細書においては特に好ましい:
− ルビジウムの、セシウムの、カルシウムの、ストロンチウムの、および/またはバリウムのハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、および/または硫化物、非常に特に好ましくは硫酸バリウムまたは酸化バリウム、
− マグネシウム、亜鉛、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、ケイ素、アルミニウム、スズ、鉛、ビスマス、セレン、テルル、ハフニウム、ガドリニウム、および/またはセリウムの酸化物、
− 亜鉛、タングステン、鉛、および/またはビスマスの硫化物、
− タンタル粉末、タングステン粉末、金粉末、白金粉末、および/またはイリジウム粉末、
− タングステン酸塩、フェライト、ケイ酸塩、特に好ましくはケイ酸バリウム、
− アルミン酸塩、特に好ましくはアルミン酸ストロンチウム、および/または希土類ドープアルミン酸ストロンチウムおよび/または希土類ドープアルカリ土類金属アルミン酸塩、塩化スズ、カルボニル鉄粉末、および/またはリン酸化もしくは二酸化ケイ素被覆鉄粉末、および/または炭化タングステン、
および/または
− アンチモナイト、アパタイト、アルバイト、アルマンディン、硬石膏、アラゴナイト、輝銀鉱、硫酸鉛鉱、硫砒鉄鉱、バライト、ボーキサイト、方鉛鉱、カシステライト、白鉛鉱、クロアナイト(chloanite)、セレスチン、ドロマイト、長石、ホタル石、黒鉛、雲母、イルメナイト、カオリン、コランダム、氷晶石(cryollite)、コランダム、磁鉄鉱、モリブデナイト、白雲母、モンモリロナイト(montmorilonite)、モナザイト、マグネサイト、黄鉄鉱、石英、ルチル、灰重石、砒白金鉱、ストロンチアナイト、タンタライト、トパーズ、閃ウラン鉱、褐鉛鉱、ビスマス、輝蒼鉛鉱、鉄マンガン重石、ウォラストナイト、ケイ酸亜鉛鉱、水鉛鉛鉱、シナバー、および/またはジルコンの群から選択される鉱物。
【0010】
無機化合物が標識物質として好ましい。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、耐酸化性化合物の使用が好ましい。
【0012】
上述の群からの化合物の組み合わせの使用が同じように好ましい。用語組み合わせは、個々の群からの化合物あるいは上述の群内の化合物の組み合わせ、あるいはそれらの組み合わせのいずれかを本明細書においては意味する。
【0013】
本明細書において関連する物質は商業的に入手可能である。粉末のコーティングは、当業者によく知られている方法によって達成される。
【0014】
標識物質の密度は、好ましくは少なくとも3.5g/cm、特に好ましくは5.5g/cm超、非常に特に好ましくは7.5g/cm超である。
【0015】
1μm〜100μm、特に1μm〜25μmの粒度の粉状標識物質が本明細書においては好ましい。
【0016】
用語粉状は、130℃より下、好ましくは100℃より下の温度で固体である上述の物質のすべてを本明細書においては包含する。
【0017】
粉状標識物質は本明細書においては、ペレット化形態で、たとえばポリマー結合添加剤として任意選択的に使用することができる。
【0018】
標識物質の割合は好ましくは、架橋剤マスターバッチを基準として、50重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満である。
【0019】
標識物質は本明細書においては、超音波を用いての検出のために好ましくは好適であるが、例がXFA(蛍光X線分析)、NIR(近赤外分光法)、LIPS(レーザー誘起プラズマ分光法)、テトラヘルツ分光法、およびUV/VIS分光法である、その他の測定方法も排除されない。
【0020】
用語架橋剤マスターバッチは、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの標識物質とのおよび任意選択的にさらなる添加剤、たとえばバインダーおよび/または任意選択的に安定剤、可塑剤、充填剤、および/またはその他の助剤とのブレンドを本明細書においては包含する。
【0021】
本発明の目的のためには、架橋剤は、
ネットワークノードを形成する物質、たとえば
− 硫黄(可溶性もしくは不溶性)および/または硫黄供与体、たとえばジチオモルホリン(DTDM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、ホスホリルポリスルフィド、たとえばRhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenocure(登録商標)SDT/S、および/または
− 過酸化物、たとえばジ−第三ブチルペルオキシド、ジ(第三ブチルペルオキシチメチルシクロヘキサン、ジ(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジメチルジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン、ジ(第三ブチルペルオキシ)吉草酸ブチル、
− レゾルシノール、アルデヒド−アミン縮合物、たとえばヘキサメチレンテトラミン、レゾルシノール−ホルムアルデヒド予備縮合物、および/または加硫樹脂、たとえばハロメチルフェノール樹脂、
− キノンジオキシム、ならびに
− ビスフェノール類、
硬化促進剤、たとえば
− カルバメートまたはトリアジン、たとえばヘキサメチレンジアミンカルバメート(HMDC)、有機トリアジン、
− チアゾール類、たとえば2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、メルカプトベンゾチアゾール亜鉛(ZnMBT)、チアジアゾール(TDD)、
− シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、ジシクロヘキシルベンゾチアゾールスフフェンアミド(DCBS)、2−(4−モルホリニルメルカプト)−ベンゾトリアゾール(MBS)などの、スルフェンアミド、
− テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラ(ヘキサ)スルフィド(DPTT)などの、チウラム、
− ジメチルジチオカルバミン酸Zn(ZDMC)、ジメチルジチオカルバミン酸Cu、ジメチルジチオカルバミン酸Bi、ジエチルジチオカルバミン酸Zn(ZDEC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸Zn(ZDBC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸Zn(ZEPC)、ジベンジルジチオカルバミン酸Zn(ZBEC)、ジブチルジチオカルバミン酸Ni(NBC)、ジエチルジチオカルバミン酸セレン(SeEDC)、ジメチルジチオカルバミン酸セレン(SeDMC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TeEDC)などの、ジチオカルバミン酸塩、
− チオホスフェートおよびジチオホスフェート、たとえば亜鉛O,O−ジ−n−ブチルジチオホスフェート(ZBDP)、亜鉛O−ブチル−O−ヘキシルジチオホスフェート、亜鉛O,O−ジイソオクチルジチオホスフェート(ZOPD)、ドデシルアンモニウムジイソオクチルジチオホスフェート(AOPD)、たとえばRhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenogran(登録商標)製品ZDT、ZAT、およびZBOP、
− ウレア/チオウレア類、たとえばエチレンチオウレア(ETU)、N,N,N’,N’−テトラメチルチオウレア(TMTU)、ジエチルチオウレア(DETU)、ジブチルチオウレア(DBTU)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(ジウロン)など、および/または
− キサントゲン酸塩硬化促進剤、たとえばイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(ZIX)、
− グアニジン類、たとえばジフェニルグアニジン(DPG)および/またはN’,N−ジ−オルト−トリルグアニジン(DOTG)、およびRhenogran(登録商標)XLA 60などの、グアニジンを含まない代替品硬化促進剤、
遅延剤、たとえば
− N−ニトロソジフェニルアミン、N−シクロヘキシルチオフタルイミド(CPT)、たとえばVulkalent(登録商標)G)、スルホンアミド誘導体(たとえばVulkalent(登録商標)E/C)、無水フタル酸(Vulkalent(登録商標)B/C)(ここで、Vulkalent(登録商標)製品の両方ともLanxess Deutschland GmbHから得られる)、およびまた無水安息香酸
である。
【0022】
上述の製品のすべてが、商業的に入手可能でありそしてペレット化形態で、たとえばポリマー結合添加剤として任意選択的にまた使用される製品である。
【0023】
硫黄、硫黄供与体、過酸化物、レゾルシノール、アルデヒド−アミン縮合物、ビスフェノール類、キノンジオキシム、カルバメート、トリアジン、チアゾール類、ジチオカルバミン酸塩、チウラム、チオウレア類、メルカプト硬化促進剤、スルフェンアミド、キサントゲン酸塩硬化促進剤、チオホスフェート硬化促進剤、ジチオホスフェート硬化促進剤、および/またはグアニジンなどの、様々な架橋剤の混合物を使用することが本明細書においては好ましい。
【0024】
例が硫黄、CBS(シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド)、およびまたMBTS(メチルベンゾチアジルジスルフィド)の混合物である、その融点が120℃より下、特に好ましくは100℃より下である架橋剤の混合物が本明細書においては好ましい。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態においては、本発明の架橋剤マスターバッチはまた、バインダーおよび/または任意選択的に安定剤、充填剤、可塑剤、および/またはその他の助剤を含む。
【0026】
バインダーなどの、これらの追加成分の割合は、架橋剤マスターバッチを基準として、好ましくは30%未満である。
【0027】
選択されるバインダーは好ましくは水不溶の未架橋ポリマーであり、それらの極性、融点、結晶化度、および/または表面構造は、混合プロセスの改善をもたらす、すなわち、均質な混合結果の迅速な達成をもたらす、ゴム混合物のそれらと似ている。バインダーはさらに好ましくはゴム混合物と架橋することができる。ガラス転移温度は好ましくは0℃未満である。
【0028】
特に好適なポリマーは、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレンゴム(IIR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、水素化カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フルオロゴム(FKM)、過フッ素化フルオロゴム(FFKM)、アクリレート−エチレンゴム(AEM)、アクリレートゴム(ACM)、エチレン−メチレン−アクリレートゴム(EMA)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、エチレン−エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、および/またはポリウレタンゴム(PU)である。
【0029】
本発明の目的のための安定剤の例は、着色および非着色酸化防止剤、たとえばパラフェニレンジアミン、イソプロピルフェニル−パラフェニレンジアミン(IPPD)、パラ−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N−ジトリ−p−フェニレンジアミン(DTPD)など、アミン、たとえばトリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、(フェニル)アミン)−1,4−ナフタレンジオン(PAN)、ビス(4−オクチルフェニル)アミン(ODPA)、スチレン化ジフェニルアミン(SDPA)、モノ−およびビスフェノール類、たとえば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール(BPH)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)(NKF)、2,2’−ジシクロベンタジエニルビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)(SKF)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール(ZKF)、2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾール(BHT)、置換フェノール(DS)、スチレン化フェノール(SPH)、メルカトプベンズイミダゾール類、たとえば2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール(MMBI)、4−および5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール亜鉛(ZMMBI)など)、オレフィン、ならびにパラフィン系および/または芳香族可塑剤である。組成は、所望の最終製品に適切であるように本明細書においては選択される。
【0030】
本発明の目的のための充填剤の例は特に、淡い色の無機充填剤、たとえば雲母、カオリン、ケイ質土、シリカ、チョーク、タルク粉末、カーボン充填剤、たとえばカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カルボニル鉄粉末、酸化鉄、フェライトなどの、磁化可能充填剤、および/または繊維、たとえばアラミド繊維パルプ、およびカーボンファイバーである。
【0031】
本発明の目的のための可塑剤の例は、長鎖エステルおよび/またはエーテル、たとえばチオエステル、フタル酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、ジベンジルエーテル、および/または鉱油(パラフィン系、芳香族、ナフテン系または合成油)である。
【0032】
本発明の目的のための助剤の例は、分散剤、たとえば脂肪酸、ステアリン酸および/またはオレイン酸、および/または活性剤、たとえば炭酸リチウム、炭酸ナトリウムおよび/または水酸化カルシウムである。
【0033】
架橋マスターバッチの組成は本明細書においては次の通りであることが好ましい:
酸化亜鉛(約10%〜50%)、硫黄、CBS(シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェノアミド、約10%〜30%)、および/またはMBTS(メチルベンゾチアジルジスルフィド、約10%〜30%)、および/またはZBOP(約10〜30%)、EPDM/EPM、EVA、および/または少なくとも1つの粉状標識物質(約10%)と一緒に可塑剤(約20%)、ここで、データは重量百分率を基準としており、使用される成分の全体は100%である。
【0034】
この混合物の融点(100℃より下)は、個々の成分のそれより著しく低く、ここで、個々の成分の融点は次の通りである:
硫黄(融点:約115℃)、CBS(融点:約100℃)、およびMBTS(融点:約180℃)。
【0035】
これらの成分はしたがって、T<100℃で個々の成分として処理するのが著しくより困難である。
【0036】
本発明の架橋剤マスターバッチは、本明細書においては、標識物質を、120℃以下、好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である温度で架橋剤、および任意選択的にまたバインダーおよび/または任意選択的に安定剤、充填剤、可塑剤、および/またはさらなる助剤と混合することによって製造することができる。これは、架橋剤の反応が混合プロセス中にまったく起こらないような方法で理想的には達成される。
【0037】
この問題のない方法は、標識物質と、架橋剤および任意選択的にまたバインダーおよび/または任意選択的に安定剤、充填剤、可塑剤、および/またはさらなる助剤との非常に均一な混合物を与えることができる。粉体ミキサー、コンクリートミキサー、攪拌機システム、混合ドラム、内部ミキサー、二軸スクリューもしくはその他の押出機などの、従来型混合アセンブリのいずれかを使用することが本明細書においては可能である。
【0038】
本発明の目的のための均一な混合物の例は、粉末の混合物、ポリマー結合添加剤のペレットのドラム混合混合物、内部ミキサーもしくは押出機で製造されたポリマー結合粉末混合物などである。
【0039】
本発明の架橋剤マスターバッチの製造方法は、標識物質が、好ましくは100℃以下である温度で架橋剤および任意選択的にまたバインダー、および/または任意選択的に安定剤、充填剤および/またはさらなる助剤と混合される。
【0040】
本発明は、上に記載された本発明の架橋剤マスターバッチを含む架橋性ゴム混合物をさらに提供する。
【0041】
本発明の目的のためには、架橋性ゴム混合物は、ゴムを含む親混合物を含む。この混合物はポリマーおよびこれらのブレンドを含み、ここで、ブレンドは架橋後に弾性特性を有し、例は天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレンゴム(IIR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、水素化カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フルオロゴム(FKM)、過フッ素化フルオロゴム(FFKM)、アクリレート−エチレンゴム(AEM)、アクリレートゴム(ACM)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、エチレン−エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、および/またはポリウレタンゴム(PU)である。
【0042】
親混合物のその他の成分は特に、淡い色の無機充填剤、たとえば雲母、カオリン、ケイ質土、シリカ、チョーク、タルク粉末、酸化亜鉛、カーボン充填剤、たとえばカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、および/またはカルボニル鉄粉末、酸化鉄、フェライトなどの、磁化可能充填剤、繊維、たとえばアラミド繊維パルプ、カーボンファイバー、および/またはパラフェニレンジアミン(イソプロピルフェニルパラフェニレンジアミン/(IPPD)、パラ−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N−ジトリル−p−フェニレンジアミン(DTPD)など)、アミン、たとえばトリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、(フェニル)アミン]−1,4−ナフタレンジオン(PAN)、ビス(4−オクチルフェニル)アミン(ODPA)、スチレン化ジフェニルアミン(SDPA)など)、モノ−およびビスフェノール類、たとえばVulkanox製品2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール(BPH)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)(NKF)、2,2’−ジシクロベンタジエニルビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)(SKF)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール(ZKF)、2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾール(BHT)、置換フェノール(DS)、スチレン化フェノール(SPH)、メルカトベンズイミダゾール類、たとえば2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール(MMBI)、4−および5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール亜鉛(ZMMBI)など)などの、着色および非着色酸化防止剤、ならびにオレフィンおよび/またはパラフィン系、芳香族および/またはナフタレン系可塑剤、分散剤、およびまた任意選択的に架橋剤の一部(たとえば:硫黄)であることができる。しかし、親混合物はまた専らゴムからなることができる。
【0043】
本発明は、本発明の架橋剤マスターバッチを連続的に、ゴムを含みそしてバッチ式に製造される親混合物と混合することによる架橋性ゴム混合物の製造方法をさらに提供する。得られた架橋性ゴム混合物は好ましくは連続的に押し出される。
【0044】
親混合物は、当業者によく知られている方法、たとえばPCT/EP第2009/058041号明細書に記載されているものによって好ましくは製造される。
【0045】
架橋剤マスターバッチは次に、バッチ式に製造された前記親混合物中へ連続的に計量供給され、仕上げ混合物は次に連続的に押し出される。
【0046】
本発明の好ましい架橋剤マスターバッチ中の架橋剤は互いに均一に既に混合されているので、連続計量供給プロセスは、親混合物における架橋剤の均一分散を容易にする。全体的な得られる効果は、親混合物と架橋剤との混合が実用的条件下での望ましい連続製造方法の失敗の原因であるというリスクを低減することであり得る。
【0047】
架橋剤マスターバッチの割合は、架橋性ゴム混合物を基準として、10重量%未満であることが本明細書においては好ましい。
【0048】
本発明の方法の好ましい実施形態においては、架橋剤マスターバッチは、親混合物と連続的に混合される。これは、たとえばBrabender製の、たとえば、統合差動式計量供給天秤(integrated differential metering balance)付き重量計量供給アセンブリを用いて達成することができる。
【0049】
本発明の一実施形態においては、架橋剤マスターバッチは、本明細書では比較的低いゲージ圧で特に搬送される、親混合物中へ高圧で導入される。本発明の目的のためには、高圧は、特に10バール超、好ましくは少なくとも50バール、特に好ましくは少なくとも100バールである。この結果は、専ら高い供給圧力のために、乱流が親混合物における架橋剤マスターバッチの即時分散をもたらし、これが均一な混合物の迅速生産に貢献することである。
【0050】
本発明の好ましい一実施形態においては、混合物の架橋のために、架橋剤マスターバッチはゴムを含む親混合物中へ好ましくは少なくとも50バールである高圧でポンプ送液され、親混合物は次に混合装置において架橋剤マスターバッチと混合される。
【0051】
親混合物は、好ましくはスクリューを1つのみ有する押出機で運ばれ、一方、架橋剤マスターバッチは親混合物中へ高圧でポンプ送液されることが好ましい。大きい圧力差が乱流を生み出す。したがって、押出機がさらなる混合を達成するために必要とされる時間を短縮することができる。
【0052】
本発明の別の実施形態においては、架橋剤マスターバッチは、親混合物中へギアポンプによってポンプ送液される。ギアポンプは、第1に所望の高圧を発生させることができ、第2に材料の好適な計量供給導入を提供することができる。
【0053】
本発明の別の実施形態においては、さらなる別個の定量供給装置、たとえば定量供給天秤、押出機、ギアポンプが、本発明の架橋剤マスターバッチとは別に、任意選択的にバインダー、安定剤、充填剤、および/または可塑剤と一緒に架橋剤を親混合物中へ定量供給するために用いられる。
【0054】
本発明はまた、本発明の上述の方法によって達成できる架橋性ゴム混合物を提供する。
【0055】
本発明はまた、ゴム混合物における架橋剤の分散を制御するための本発明の架橋剤マスターバッチの使用を提供し、ここで、分散の質は超音波を用いて好ましくは測定されるが、例がRFA(蛍光X線分析)、NIR(近赤外分光法)、LIPS(レーザー誘起プラズマ分光法)、テトラヘルツ分光法、およびUV/VIS分光法である、その他の測定方法も排除されない。架橋性ゴム混合物は、測定ヘッドを通して、たとえば押出機によって、連続的に搬送されることが本明細書においては好ましい。
【0056】
下の実施例は本発明を例示するのに役立つが、いかなる限定効果もない。
【実施例】
【0057】
本明細書において使用される物質は下記を含んだ:
SMR10=天然ゴム(標準マレーシアゴムSMR10)、
N550=Evonik Degussa,AG製のカーボンブラック、
Vivatec 500=可塑剤としての鉱油(TDAE油)、
Dutral CO 054=EniChem SpA製のエチレン−プロピレン−ジエンポリマー、
Brueggemannから得られる、Weissiegel酸化亜鉛、
Brueggemannから得られる、硫黄粉末、
MBTS=Lanxess Deutschland GmbHからVulcacit(登録商標)DM/Cとして得られる、ジ(ベンゾチアゾール−2−イル)ジスルフィド、
Rhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenocure(登録商標)ZBOP/S、
パラフィン系可塑剤(Shell AG製のR2スピンドル油)、
PL顔料MHG−4EおよびPL顔料MHG−4B=LanXi MinHui Photoluminescent Co.,Ltd.から得られる、ドープアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu+2,Dy+2,B+3)、
Sicopal Schwarz K0095=BASF AGから得られる、クロム鉄酸化物、5.2g/ml、
Hostasol Yellow 3G=Clariant AGから得られる、蛍光性ナフタルイミド、
Hostasol Red 5B=Clariant AGから得られる、チオインジゴールド着色剤。
【0058】
phr単位でのデータは、ゴムの100重量部当たりの重量部単位でのデータに関する。
【0059】
実施例1:
単軸スクリュー押出機(Brabender製の小型押出機)を60rpmおよびT=90℃で用いて、100phrのSMR10天然ゴム、55phrのN550ファーネスブラック、5phrの可塑剤(Vivatec 500)、および1phrのステアリン酸からなる、ムーニー(Mooney)粘度ML 1+4(100℃)=60MUのペレット化ゴム混合物KMを押し出した。押出量は約1kg/時であった。押出ストリップは、幅が約5cm、厚さが4mmであった。測定ダイは、Krautkraemer製の2つの超音波変換器を有した。音源の平均周波数は5MHzであった。パルス透過法を用いて、超音波源と超音波受信器との間で、押出ストリップの押出中に振幅減衰を測定した。2つの測定を、異なる量の架橋剤マスターバッチVB1を添加して行った。
【0060】
図1は、測定の両方を包含する、時間に対してプロットされた超音波信号(減衰)についての曲線を示す。ゴム混合物の押出中の変動(基線変動)は、20m−1未満で非常に小さい。基線ノイズは約1m−1である。
【0061】
次のもの、100phrのEPM(EniChem SpA製のDutral CO 054)、233phrの密度5.6g/mlのWeissiegel酸化亜鉛(Brueggemann)、100phrの硫黄粉末、100phrのMBTS(Vulcacit(登録商標)DM/C Lanxess Deutschland GmbH)、53phrのジチオホスフェート硬化促進剤(Rhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenocure ZBOP/S)、およびまた33phrのパラフィン系可塑剤(R2スピンドル油、Shell)からなる約3.2gの本発明の架橋剤マスターバッチVB1(密度=1.75g/ml)をゴム混合物中へ供給した(パルス状インプット)。単軸ストリップ押出機は混合作用をほとんど持たず、これは、架橋剤マスターバッチVB1の添加後に、検出される応答信号が急勾配で上昇しそして順繰りに直ちに低下して、t=3分でピークとなって現れるという事実から明らかである。このピークの高さは約100m−1である。この応答信号は、押出ストリップの構成の変化(架橋剤マスターバッチVB1の添加)から生じる減衰特性の変化に起因する。
【0062】
約1.6gの本発明の架橋剤マスターバッチVB1が添加されるとき、検出される信号はt=18分で順繰りにより強い。ピークの高さは再び約100m−1である。架橋剤マスターバッチVB1の添加量がより少ないので、ピークの半分の高さでの全幅はここでt=3分でのピーク(3gのCB1の添加)のそれより小さい。基線はさらに幾分より高い。
【0063】
測定結果は、本発明の架橋剤マスターバッチVB1が超音波技術を用いて検出できることを示す。
【0064】
実施例2:
実施例1にしたがって、100phrのSMR10天然ゴム、55phrのN550ファーネスブラック、5phrの可塑剤(Vivatec 500)、および1phrのステアリン酸からなる、ムーニー粘度ML 1+4(100℃)=60MUのゴム混合物KMを押し出した。押出物を、超音波変換器を用いて、実施例1におけるように分析した。
【0065】
下にリストされる量の本発明の架橋剤マスターバッチVB2を、実施例1におけるようにゴム混合物KM中へ供給した(パルス状インプット)。架橋剤マスターバッチVB2は、実施例1において述べられた成分からなる:100phrのEniChem SpA製のDutral CO 054 EPM、156phrの酸化亜鉛(Brueggemann製のWeissiegel)、67phrの硫黄粉末、67phrのMBTS(Vulcacit(登録商標)DM/C Lanxess Deutschland GmbH)、36phrのジチオホスフェート硬化促進剤(Rhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenocure(登録商標)ZBOP/S)、およびまた33phrのパラフィン系可塑剤(R2スピンドル油、Shell)。架橋剤マスターバッチCB2はまた、いずれの場合にも33phrの割合を使用して、さらなる標識物質:CM標準銘柄カルボニル鉄粉末(BASF、7.9g/ml)、異なる平均粒度の、3.6g/mlの密度のユウロピウム/ジスプロシウム/ホウ素ドープアルミン酸ストロンチウムでできた2つの発光顔料(PL顔料MHG−4EおよびPL顔料MHG−4B LanXi MinHui photoluminescent Co.,Ltd.、いずれの場合にも3.6g/ml)、クロム鉄酸化物(Sicopal Schwarz K0095 BAS、5.2g/mlを使用する)を、蛍光性ナフタルイミド(Hostasol Yellow 3G、1.17g/ml)と、および蛍光性チオインジゴールド着色剤(Hostasol Red 5B、Clariant、1.6g/ml)と共に含む。密度>3g/mlの粉末化学薬品の割合は43%である。架橋剤マスターバッチVB2の密度は1.79g/mlであり、実施例1の架橋剤マスターバッチ1のそれに匹敵する。
【0066】
図2は、親混合物の押出中の時間に対してプロットされた超音波信号についての曲線を示す。実施例1におけるように、ゴム混合物の押出中の変動(基線変動)は、20m−1未満で非常に小さい。基線ノイズは約1m−1である。
【0067】
3つの測定を、異なる量の本発明の架橋剤マスターバッチVB2を添加して行った。
【0068】
3.2gのVB2が材料中へ供給されるとき(パルス状インプット)、ピークは、高さ210m−1でt=3分で検出される。0.3gのVB2が材料中へ供給されるとき、t=10分での超音波信号は約30 1/mであり、1.7gのVB2が材料中へ供給された後t=18分での超音波信号は約110m−1に達する。超音波信号はそれ故、材料中へ定量供給された架橋剤マスターバッチVB2の量に比例する。
【0069】
ゴム混合物中の架橋剤マスターバッチの量はそれ故、超音波によって検出することができる。
【0070】
図1と図2との比較はさらに、同じ量の架橋剤マスターバッチVB1およびVB2が添加されるとき、架橋剤マスターバッチVB2についての減衰(ピークの高さ)がVB1についてよりも著しく大きいことを示す。材料中へ供給されるVB2の量が非常に少ない、0.3gであるときでさえ、図2における信号は、基線変動から明らかに区別することができる。架橋剤マスターバッチVB2によって提供されるより高い減衰はここでは、2つのマスターバッチの密度の差のせいにすることはできない。個々の成分から計算される密度:1.75g/mlのVB1および1.79g/mlのVB2間の差は小さい。密度>3g/mlの粉末化学薬品の割合は、VB1について37%(ZnOのみ)および43%(ZnO、鉄カルボニル、クロム鉄酸化物、およびドープアルミン酸ストロンチウム)で、同じく似ている。より高い減衰はそれ故、密度7.9g/mlのカルボニル鉄粉末の存在に起因する。測定方法の感度(超音波信号の強度)は、ここで使用されるあまり重くない標識物質よりも重い粒子の影響を著しく受けやすいように思われる。
【0071】
実施例3:
実施例1におけるように、ゴム混合物KMを押出機に先ず供給する。時点t=0分から、時間に対してプロットされる、変化がゴム混合物の供給から架橋性ゴム混合物VKMの供給まで起こる。
【0072】
架橋性ゴム混合物は、161phrのゴム混合物KMおよび14.3phrの架橋剤マスターバッチVB2から従来型ロール法によって前もって製造した。ロールでの混合時間はここでは10分であり、架橋性ゴム混合物での架橋剤マスターバッチVB2の架橋化学薬品のおよび標識物質の確実に均一の分散を得た。
【0073】
押出ストリップを、2つの超音波変換器を用いて実施例1におけるようにインライン分析する。図3は、時間に対してプロットされる、t=0分からの押出ストリップによる超音波の減衰についての曲線を示す。
【0074】
時点t=0分では、ゴム混合物KMは依然として測定ダイ中にある。時点t=1分から、架橋性ゴム混合物VKMは超音波測定室に達する。超音波信号(減衰)は、特に架橋剤マスターバッチVB2中に存在する標識物質のために上昇する。短時間後に、信号は平坦域に達する。架橋性ゴム混合物は超音波測定ダイを完全に満たした。架橋性ゴム混合物をシステムに連続的に供給する。超音波信号は長時間にわたって一定のままである。架橋剤のおよび標識物質の分散が均一である架橋性ゴム混合物に合致して、約10〜20m−1の範囲のわずかな変動が認められるにすぎない。
【0075】
実験が終了した後、押出ストリップを7g部分へ分ける。これらの検体を、Alpha Technologies製のMDR流量計において160℃で15分間加硫した。流動計曲線の測定は、架橋性ゴム混合物のバッチ式製造におけるオフライン品質管理に相当する。最大トルクと最小トルクとの差Fmax−Fminを、得られた流動計曲線から求めた。この差は架橋剤の割合に比例する。図3において、それぞれの検体についてのFmax−Fmin値を、時間に対してプロットされる超音波信号についての曲線上に挿入した。ゴム混合物KMは架橋剤をまったく含まないので、Fmax−Fminは当初は(t<1分)ゼロに近い。t≧1分から、Fmax−Fminについての値は増加し、同様に平坦域に達する。時間に対してプロットされるFmax−Fminの値についての曲線は、超音波信号についてのそれと同じものである。Fmax−Fminについての平均広がりは、架橋剤の均一な分散に期待されるように、非常に小さく、1%未満である。同一曲線は、本発明の架橋剤マスターバッチが架橋剤混合物のインライン分光学的監視を可能にするという極めて有力な証拠を提供することができる。2つの測定方法は、KMにおける架橋剤マスターバッチVB2の分散が均一であるという証拠を提供する。
【0076】
実施例4
実施例1におけるように、ゴム混合物KMを押し出し、2つの超音波変換器を用いて押出ストリップの減衰特性を分析する。実施例3でとは違って、架橋剤マスターバッチVB2のペレットを、時点t=0分からゴム混合物KMに不規則に供給する。単軸スクリュー押出機はわずかな混合作用を持つにすぎず、それ故架橋性ゴム混合物VKMは押出機の出口端で生成するが、低レベルの混合作用および添加量の不規則性のために、架橋剤の分散は非常に不均一である。
【0077】
これは図4において明らかである。ここで、減衰は再び測定時間tに対してプロットされている。当初は、均一なゴム混合物KMへのt<1分での供給に対して超音波信号のわずかな変動が検出されるにすぎない。材料への架橋剤マスターバッチVB2のペレットのさらなる不規則な供給(t>1分)とともに、減衰は実施例3、図3におけるように上昇するが、超音波信号は著しく変動する。超音波信号の変動は、架橋剤マスターバッチVB2の著しく不均一な分散と、それぞれ、標識物質の不均一な分散とに合致して、約80m−1の幅にある。材料への架橋剤マスターバッチVB2の供給を終了させる場合(t>18分)、信号の減衰は低下する。ゴム混合物KMについての元の基線は、超音波信号のわずかな変動とともに回復する。
【0078】
ここで再び、実施例3におけるように、検体を押出ストリップから採取し、160℃で15分間加硫する(オフライン分析)。図4において、流動計曲線からのFmax−Fmin値を再び、時間に対してプロットされる曲線上に挿入する。時間に対してプロットされるFmax−Fminについての曲線が時間に対してプロットされる超音波信号についての曲線に合致することを理解することができる。t=1分およびt=18分の間のFmax−Fminについての値の平均広がりは、均一硬化促進混合物についての図3におけるFmax−Fmin値の広がりよりも著しく大きい。
【0079】
実施例4と実施例3との比較は、インライン超音波分析を用いて架橋剤マスターバッチVB2の均一分散と不均一分散とを区別することが可能であることを示す。3g/ml超の高密度の標識物質がここでは(VB2、特に鉄粉末の場合に)高感度の測定を保証する。インライン超音波分析を用いる結果は、流動計曲線(硬化促進ゴム混合物のための従来型オフライン品質管理)からの結果と相関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2g/cm超の密度の少なくとも1つの粉状標識物質と、硫黄、硫黄供与体、過酸化物、レゾルシノール、アルデヒド−アミン縮合物、ビスフェノール類、キノンジオキシム、キサントゲン酸塩、カルバメート、トリアジン、チアゾール類、ジチオカルバミン酸塩、チウラム、チオウレア類、メルカプト硬化促進剤、スルフェンアミド、チオホスフェート硬化促進剤、ジチオホスフェート硬化促進剤、および/またはグアニジンの群から選択される少なくとも1つの架橋剤とを含む架橋剤マスターバッチ。
【請求項2】
前記標識物質が、
− アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物、
− 元素の周期表の遷移群の化合物、
− ケイ素化合物、
− アルミニウム化合物、
− セレン化合物およびテルル化合物、
− スズ化合物、
− 鉛化合物、
− ビスマス化合物、
− 希土類の化合物、− 重金属粉末、
− 被覆金属粉末および/またはこれらの化合物、
− 金属炭化物、および/または
− 天然起源鉱物
の群から選択されていることを特徴とする請求項1に記載の架橋剤マスターバッチ。
【請求項3】
使用される標識物質が、
ルビジウムの、セシウムの、カルシウムの、ストロンチウムの、および/またはバリウムのハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、および/または硫化物、
マグネシウム、亜鉛、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、ケイ素、アルミニウム、スズ、鉛、ビスマス、ハフニウム、ガドリニウム、および/またはセリウムの酸化物、
亜鉛、タングステン、鉛、および/またはビスマスの硫化物、
タンタル粉末、タングステン粉末、金粉末、白金粉末、イリジウム粉末、
タングステン酸塩、フェライト、ケイ酸塩、
アルミン酸塩、塩化スズ、カルボニル鉄粉末、および/またはリン酸化もしくは二酸化ケイ素被覆鉄粉末、および/または炭化タングステン、
および/または、アンチモナイト、アパタイト、アルバイト、アルマンディン、硬石膏、アラゴナイト、輝銀鉱、硫酸鉛鉱、硫砒鉄鉱、バライト、ボーキサイト、方鉛鉱、カシステライト、白鉛鉱、クロアナイト、セレスチン、ドロマイト、長石、ホタル石、黒鉛、雲母、イルメナイト、カオリン、コランダム、氷晶石、コランダム、磁鉄鉱、モリブデナイト、白雲母、モンモリロナイト、モナザイト、マグネサイト、黄鉄鉱、石英、ルチル、灰重石、砒白金鉱、ストロンチアナイト、タンタライト、トパーズ、閃ウラン鉱、褐鉛鉱、ビスマス、輝蒼鉛鉱、鉄マンガン重石、ウォラストナイト、ケイ酸亜鉛鉱、水鉛鉛鉱、シナバー、および/またはジルコンの群から選択される鉱物
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の架橋剤マスターバッチ。
【請求項4】
また、水不溶性の未架橋バインダーおよび/または任意選択的に安定剤、充填剤、可塑剤、および/またはその他の助剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋剤マスターバッチ。
【請求項5】
少なくとも1つの標識物質が、架橋剤および任意選択的にバインダー、および/または任意選択的に安定剤、充填剤、可塑剤、および/またはその他の助剤と、120℃以下の温度で混合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋剤マスターバッチの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋剤マスターバッチを含む架橋性ゴム混合物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋剤マスターバッチが、バッチ式に製造されかつゴムを含む親混合物と連続的に混合されることを特徴とする請求項6に記載の架橋性ゴム混合物の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法によって得られる架橋性ゴム混合物。
【請求項9】
ゴム混合物における前記架橋剤の分散を制御するための請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋剤マスターバッチの使用。
【請求項10】
超音波を用いてゴム混合物における前記架橋剤の前記分散を制御するための請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋剤マスターバッチの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−508492(P2013−508492A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534679(P2012−534679)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065774
【国際公開番号】WO2011/048129
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511206984)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】