説明

模型用ラジオコントロール装置

【課題】 模型用ラジオコントロール装置のアンテナダイバシティー方式を利用した受信装置において、通信障害が発生しないようにサーボ装置の制御をおこなう操作信号を正しくサーボ装置へ出力する。
【解決手段】 2台の受信部を信号線で接続し、並列駆動を行う。第1の受信部で復調された復調データに信号判別部で誤りが発見されたときは、第2の受信部で復調されてデータ出力部で変換され、信号線を介して第1の受信部に入力された転送データを利用する。復調データまたは転送データ中のシリアルな操作信号は信号更新部で復号されてサーボ装置を駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型用ラジオコントロール装置に関わり、特に指向性のある受信部を組み合わせることにより無線通信の信頼性向上を図った模型用ラジオコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飛行機やヘリコプターなどの飛翔模型体を制御する無線操作のための送受信装置は、その通信の信頼性が重視されている。模型体の姿勢や周辺の電波状況がどのような場合であっても、通信が途切れることは許されない。
【0003】
しかしながら、通常無線操作のための送受信装置のアンテナは指向性を有しており、アンテナの向きに対して電波の受信感度がゼロとなるヌルポイントが存在する。
ヌルポイントでは通信障害が起こり、模型体の制御が不能になって模型体の墜落などの事故が起こる可能性がある。
【0004】
このような問題を解決するための方法として、複数のアンテナと受信部を備えたアンテナダイバシティー方式の受信装置が存在する。(特許文献1参照)
【0005】
図9は従来のアンテナダイバシティー方式による受信装置の一例を示すブロック図である。この図を用いて従来のアンテナダイバシティー方式の一例について説明する。この例では無線通信にパルス符号変調(Pulse code modulation 以下、PCM)方式を採用している。
【0006】
図示しない送信装置から出力された電波を、受信部70aのアンテナ71は受信する。アンテナ71が受信した電波は高周波回路72に出力される。高周波回路72で電波は周波数変換や信号増幅され、最終的にPCM方式の信号に復調される。
【0007】
PCM方式の信号は復号回路73に入力され、サーボ装置40を制御するための各チャンネルの操作信号が復号され切換処理部74に出力される。さらに、復号回路73では、復調されたPCM方式の信号から誤りチェック信号を生成し、切換処理部74に出力する。
【0008】
また、受信部70bのアンテナ71、高周波回路72および復号回路73でも受信部70aと同様の処理がおこなわれる。
【0009】
切換処理部74では受信部70aと受信部70bから出力された誤りチェック信号を判別して、エラーの生じていない受信部を選択し、前記受信部の操作信号をサーボ装置40に出力し、サーボ装置40の制御をおこなっている。
【0010】
このように複数のアンテナと受信部を使用し、アンテナの指向性を補って、サーボ装置の制御にエラーのない受信部の信号を使用することで、通信障害が発生しないようにしている。
【0011】
【特許文献1】特開平3−32197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図10は図9の受信装置の受信部70a、70bから切換処理部74へ出力される操作信号と、切換処理部74からサーボ装置40へ出力される操作信号の様子である。それぞれ(a)受信部70a、70bの操作信号ともに誤りなし、(b)受信部70aの操作信号は誤りなし、受信部70bの操作信号は誤りあり、(c)受信部70aの操作信号は誤りなしで遅延あり、受信部70bの操作信号は誤りなしの様子を表したものである。
受信部から切換処理部へ操作信号が出力されるときの遅延差は、アンテナに到達する電波伝搬の差や、電波を復号するまでの内部回路等の影響によって生じる。
【0013】
従来の切換処理部74での処理を説明する。図10(a)のようにどちらの受信部も正常な操作信号を出力したときはいずれか一方の受信部を優先的に選択している。この例の場合、切換処理部74は受信部70aの信号を選択している。図10(b)の場合、切換処理部74は誤りのない受信部70aの操作信号を選択している。このように図10(a)、図10(b)のような場合は切換処理部74の処理に問題は起こらないが、図10(c)のような状態になったとき、問題が発生する場合がある。
図10(c)の場合、はじめ受信部70bの操作信号しか切換処理部74へは入力されておらず、切換処理部74は受信部bの操作信号を選択している。受信部70bの操作信号に遅れて誤りのない受信部70aの操作信号が入力されると、切換処理部74の出力信号が受信部70aの操作信号に切換わり、2つの操作信号が干渉して足されてしまい、正しい操作信号がサーボ装置40へ出力出来ないということが起こりうる。
【0014】
上記の問題点に対して、アンテナダイバシティー方式を使用した受信装置において、操作信号の干渉などを防ぎ、操作信号を正しくサーボ装置へ出力するようにした模型用ラジオコントロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の模型用ラジオコントロール装置は、パルス符号変調方式を使用し、送信データを生成するエンコーダを備えた送信装置と、前記送信装置から送信された電波を受信するアンテナと受信した電波を復調する高周波回路を夫々備えた第1の受信部と第2の受信部と前記第1の受信部と前記第2の受信部を接続する信号線とからなる受信装置とを備えた模型用ラジオコントロール装置において、前記第1の受信部は第1の復調データを復号して模型の駆動制御手段に送信する第1の復号回路を備え、前記第2の受信部は第2の復調データを復号する第2の復号回路を備え、前記第2の復号回路は第2の復調データを第1の受信部に転送データとして出力するデータ出力部を備え、前記データ出力部は前記信号線を介して転送データを第2の復号回路のデータ出力部から第1の復号回路に通信し、前記第1の復号回路は前記第1の復調データと転送データの誤りを判別し、前記第1の復調データおよびまたは前記転送データから模型の駆動制御をおこなう操作信号を形成して出力する信号判別部と、信号判別部から出力された前記操作信号を復号する信号更新部を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の模型用ラジオコントロール装置は、請求項1記載の模型用ラジオコントロール装置において、前記信号判別部は、第1の復調データに含まれる誤りチェック信号を判別し、第1の復調データに誤りがないことが確認された場合は、第1の復調データ中の模型の駆動制御をおこなう操作信号を信号更新部に出力し、誤りが確認された場合は、転送データに含まれる誤りチェック信号を判別し、誤りがなければ転送データ中の操作信号を信号更新部に出力し、転送データにも誤りがあった場合は、信号更新部で記憶している駆動制御手段に所定の動作を実行させる補助操作信号を模型の駆動制御手段に出力することを特徴としている。
【0017】
請求項3記載の模型用ラジオコントロール装置は、パルス符号変調方式を使用し、送信データを生成するエンコーダを備えた送信装置と、前記送信装置から送信された電波を受信するアンテナと受信した電波を復調する高周波回路を夫々備えた複数の受信部と前記複数の受信部を互いに接続する信号線とからなる受信装置とを備えた模型用ラジオコントロール装置において、前記受信部は復調データを復号して模型の駆動制御手段に送信する復号回路を備え、復号回路は前記信号線を介して復調データを他の受信部に転送データとして出力するデータ出力部と、復調データと他の受信部から入力された転送データの誤りを判別して前記復調データおよびまたは前記転送データから模型の駆動制御をおこなう操作信号を形成して出力する信号判別部と、信号判別部から出力された前記操作信号を復号する信号更新部を備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項4記載の模型用ラジオコントロール装置は、請求項3記載の模型用ラジオコントロール装置において、前記信号判別部は、復調データに含まれる誤りチェック信号を判別し、前記復調データに誤りがないことが確認された場合は、前記復調データ中の模型の駆動制御をおこなう操作信号を信号更新部に出力し、誤りが確認された場合は、他の受信部から入力された転送データに含まれる誤りチェック信号を判別し、誤りがなければ前記転送データ中の操作信号を信号更新部に出力し、前記転送データにも誤りがあった場合は、信号更新部で記憶している駆動制御手段に所定の動作を実行させる補助操作信号を模型の駆動制御手段に出力することを特徴としている。
【0019】
請求項5記載の模型用ラジオコントロール装置は、請求項1乃至4記載の模型用ラジオコントロール装置において、前記送信データと復調データは、操作されたチャンネルを示す識別コードと、駆動制御手段に指示を与える各チャンネルの操作信号と、通信の誤りを判別するための誤りチェック信号を含み、前記転送データは、操作されたチャンネルを示す更新コードと、操作信号と、誤りチェック信号を含み、前記信号判別部は、復調データの操作信号または転送データの操作信号を信号更新部に出力するとき、識別コードまたは更新コードに対応するチャンネルの操作信号を出力することを特徴としている。
【0020】
請求項6記載の模型用ラジオコントロール装置の受信装置は、パルス符号変調方式を使用し、送信データを生成するエンコーダを備えた送信装置から送信された電波を受信するアンテナと受信した電波を復調する高周波回路を夫々備えた複数の受信部と前記複数の受信部を接続する信号線とを備えた模型用ラジオコントロール装置の受信装置において、前記受信部は復調データを復号して模型の駆動制御手段に送信する復号回路を備え、復号回路は前記信号線を介して復調データを他の受信部に転送データとして出力するデータ出力部と、復調データと他の受信部から入力された転送データの誤りを判別して、前記復調データおよびまたは前記転送データから模型の駆動制御をおこなう操作信号を形成して出力する信号判別部と、信号判別部から出力された前記操作信号を復号する信号更新部を備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項7記載の模型用ラジオコントロール装置の受信装置は、請求項6記載の模型用ラジオコントロール装置の受信装置において、前記信号判別部は、復調データに含まれる誤りチェック信号を判別し、前記復調データに誤りがないことが確認された場合は、前記復調データ中の模型の駆動制御をおこなう操作信号を信号更新部に出力し、誤りが確認された場合は、他の受信部から入力された転送データに含まれる誤りチェック信号を判別し、誤りがなければ前記転送データ中の操作信号を信号更新部に出力し、前記転送データにも誤りがあった場合は、信号更新部で記憶している駆動制御手段に所定の動作を実行させる補助操作信号を模型の駆動制御手段に出力することを特徴としている。
【0022】
請求項8記載の模型用ラジオコントロール装置の受信装置は、請求項6または7記載の模型用ラジオコントロール装置の受信装置において、前記送信データと復調データは、操作されたチャンネルを示す識別コードと、駆動制御手段に指示を与える各チャンネルの操作信号と、通信の誤りを判別するための誤りチェック信号を含み、前記転送データは、操作されたチャンネルを示す更新コードと、操作信号と、誤りチェック信号を含み、前記信号判別部は、復調データの操作信号または転送データの操作信号を信号更新部に出力するとき、識別コードまたは更新コードに対応するチャンネルの操作信号を出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の模型用ラジオコントロール装置は、2つ以上の受信部により通信の信頼性を向上させ、さらに受信部の復号回路内にある信号判別部で復調データおよび転送データの誤りの判別をおこない、信号更新部で操作信号の更新をおこなうことでサーボ装置へ操作信号を出力するときの信号の干渉を防いで、サーボ装置が誤作動を起こさないようにしている。
また、どのチャンネルの操作信号が更新されたかを判別するための識別コードまたは更新コードを使用することで、サーボ装置の動作をより確実なものとしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を用いて本願発明の模型用ラジオコントロール装置について具体的に説明する。
【実施例1】
【0025】
初めに、図1から図7を用いて本願発明の送受信装置の第1の実施形態について説明する。ただし、従来例と構成が同一のものは同一符号を付して説明を省略する。
なお、無線通信にはPCM方式を使用している。
【0026】
図1は本願発明の送信装置の構成例を示したブロック図である。送信装置1は複数の操作子2とエンコーダ3と変調回路4と電力増幅回路5を備えている。また、送信装置1にはアンテナ6が接続されている。
【0027】
図2は本願発明の受信装置の構成例を示したブロック図である。第1の受信部10、第2の受信部20にはそれぞれアンテナ7が接続されている。また、第1の受信部10には模型体の駆動制御をするサーボ装置40などの駆動制御手段が接続線を介して接続されている。
さらに第1の受信部10と第2の受信部20は、それぞれ高周波回路8と復号回路11、21を備えている。第1の復号回路11は信号判別部12と信号更新部13を備え、第2の復号回路21はデータ出力部22を備えている。また、第1の受信部10と第2の受信部20は信号線30で接続されている。
【0028】
図3は本実施例の高周波回路8の構成例である。この高周波回路8は、周波数を2回変換するダブルスーパーヘテロダイン方式を利用している。
高周波回路8は、入力された信号を増幅する高周波増幅回路51、第1中間周波増幅回路54、第2中間周波増幅回路57と、信号の周波数を変換する第1周波数変換回路52、第2周波数変換回路55と、基準信号を生成する第1局部発信回路53、第2局部発信回路56と、信号を復調する復調回路58を備えている。
【0029】
図4は12個のサーボ装置などの駆動制御手段を有する本実施例の送信装置1のエンコーダ3で生成される送信データの1フレームの構成例である。
送信データは、通信の同期を取るための同期コードSYNCと、各サーボ装置の駆動データである操作信号CDa、CDb、…と、操作信号がどのチャンネルのデータなのかを識別する識別コードC0、C1、…と、データの誤りをチェックするためのCRC(巡回冗長検査)コードなどによる誤りチェック信号CRCA、CRCBと、通信障害時にサーボ装置を安全に動作させるフェールセーフ機能を有効にするための制御コードCNTA、CNTBによって構成されている。
【0030】
また、送信データは1フレームで全12チャンネルのデータを送信しようとするとデータの転送時間が長くなり、サーボ装置40の応答速度に影響を与える原因となる。
そこで、1チャンネル分の操作信号の領域(以下、タイムスロットという)に2つのチャンネル分の操作信号を割り当てて、識別コードを付与している。具体的には、操作信号CDaのタイムスロットにチャンネル1とチャンネル7を割り当てて、識別コードC0には前記タイムスロットにどちらのチャンネルの操作信号が載っているのかを識別するためのデータが載るようにしている。
そして、前記タイムスロットに割り当てるチャンネルの一方を常時操作するチャンネル、他方を稀に操作するチャンネルとして、データの送信のとき、通常は前記タイムスロットに常時操作するチャンネルを割り当て、稀に操作するチャンネルが操作されたときや数回のデータの送信に一回だけ割り当てを変更するようにする。このようにすれば実使用での動作応答性には殆ど影響を発生させずに全12チャンネルのデータを送信するのに比べ、本実施例の場合、送信データの転送時間を略半分に短くすることが出来る。
【0031】
図5は第2の受信部20のデータ出力部22で生成される転送データの構成例である。転送データには同期コードHDと、各チャンネルの操作信号CD0、CD1、…と、誤りチェック信号ERDと、どのチャンネルの操作信号が更新されたのかを示す更新コードBLK、CF0、CF1、CF2が含まれている。
【0032】
図6は転送データを第1の受信部に出力するタイミングを示した図である。
【0033】
そして、図7は第1の受信部10での電波の受信からサーボ装置40の駆動制御までの処理の流れを示したフローチャートである。以下に図7での処理を中心とした本実施例の処理の流れを説明する。
【0034】
送信装置1に備えられた操作子2を操縦者が操作すると、模型の駆動制御をおこなう操作信号が生成され、エンコーダ3に入力される。操作信号は駆動制御手段に対応するチャンネル数だけあり、各チャンネルの操作信号は同時に変化する並列信号である。エンコーダ3は各チャンネルの操作信号に誤りチェック信号などを加えて直列信号である送信データに変換する。
【0035】
送信データは、変調回路4で電波に変調され、電力増幅器5で空中に電波を放射させるために十分な電力の増幅がおこなわれる。そしてアンテナ6から電波が放射される。
【0036】
第1の受信部10と第2の受信部20のアンテナ7はそれぞれ電波を受信する(S1)。アンテナ7が受信した電波は、それぞれ高周波回路8に入力される(S2)。電波は高周波回路8でそれぞれ第1の受信部では第1の復調データ、第2の受信部では第2の復調データに復調される(S3)。
なお、第1、第2の復調データの構成は送信データと同一である。
【0037】
第1の受信部10では、第1の復調データは第1の復号回路11に入力される。このとき第1の復調データ1フレームを誤りチェック信号CRCAの部分で分割して、誤りチェック信号CRCA、CRCBが復号回路11の信号判別部12にそれぞれ入力された時点で、信号判別部12で第1の復調データの誤りチェック信号の判別がおこなわれる。
【0038】
送信データと第1の復調データの間に誤りがなかった場合(S4、誤りなし)、信号判別部12から信号更新部13へ識別コードに対応するチャンネルの操作信号が出力される。信号更新部13には全チャンネルの操作信号が保持されており、出力されたチャンネルの操作信号が更新され(S6)、全チャンネルの操作信号が復号される(S7)。そして、操作信号を出力して(S8)、サーボ装置40等の模型体の駆動制御手段を駆動制御する(S9)。このとき更新されていないチャンネルの操作信号は信号更新部13で保持されている直前の状態の操作信号が出力される。
【0039】
本実施例では、1回の更新で3チャンネル分のデータが更新され、第1の復調データ1フレームで6チャンネル分のデータが更新される。このように復調データの1フレームを分割して更新することで復号遅れが改善されている。
【0040】
第2の受信部20では、高周波回路8で復調された第2の復調データが、第2の復号回路21のデータ出力部22に入力され、転送データに変換される。転送データは信号線30を介して、図6の転送データの通信タイミングで第1の受信部10の第1の復号回路11の信号判別部12に入力される。
【0041】
第1の受信部10で第1の復調データの誤りチェック信号に誤りが見つかった場合(S4、誤りあり)、信号判別部12では信号線30を介して入力された転送データの誤りチェック信号の判別がおこなわれる。
【0042】
転送データの誤りチェック信号に誤りがなかった場合(S5、誤りなし)、転送データの更新コードに対応するチャンネルの操作信号が信号更新部13で更新される(S6)。また、このとき更新されなかったチャンネルは、それまでの操作信号が保持されるようになっている。
【0043】
その後、操作信号は復号、出力されて(S7、S8)、サーボ装置40を駆動制御する(S9)。
【0044】
また、転送データの誤りチェック信号にも誤りが見つかった場合(S5、誤りあり)、信号更新部13では操作信号を更新せず、それまでの模型体の動作の状態を維持するように信号更新部13で保持している操作信号でサーボ装置40をホールドするように駆動制御する。
【0045】
サーボ装置40のホールド状態が一定時間経過後も通信の状態が改善されない場合(S10、一定時間経過)、信号更新部13に記憶されているフェールセーフ動作用の補助操作信号を使用して、模型体が急に墜落しないように旋回飛行などをするようにサーボ装置40を駆動制御する(S11、S9)。
【0046】
なお、本実施例では受信装置のアンテナをそれぞれ異なる方向に向けることでより大きいダイバシティー効果を得られる。とくにアンテナの配置を直交配置とすることで、最大のダイバシティー効果が発揮される。これにより一方の受信部が通信障害を起こしているときも、他方の受信部は正常に電波を受信できる確率が大幅に向上する。
【0047】
また、本実施例の受信装置は2つの受信部を1つの筐体に納めたものと、受信部をそれぞれ別個の筐体に納めたもののいずれの形態でも実施できる。
【0048】
さらに、転送データの構成は実施例のように全てのチャンネルの操作信号を含めていなくても、更新コードと更新コードに対応したチャンネルの操作信号のみが含まれるようにしてもよい。
【実施例2】
【0049】
次に、図8を用いて本願発明の送受信装置の第2の実施形態について説明する。ただし、従来例および第1の実施形態と構成が同一のものは同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
図8は第2の実施例の受信装置のブロック図である。2つの受信部60a、60bにはそれぞれアンテナ7と模型体を制御するサーボ装置40などの駆動制御手段が接続されている。
また、受信部60aはそれぞれ高周波回路8と復号回路61aを備えている。そして、復号回路61aは信号判別部62aとデータ出力部63a、信号更新部64aを備えている。なお、受信部60bの構成は受信部60aと同一なので説明を省略する。さらに、受信部60a、60b間は信号線31で接続されている。
なお、無線通信にはPCM方式を使用している。
【0051】
ここから、受信部60aでの処理について詳しく説明する。
受信部60aでは、図1の送信装置1から送信された電波をアンテナ7が受信し、高周波回路8に入力する。電波は高周波回路8で復調データaに復調される。
高周波回路8の構成は第1の実施形態の図3と同様である。また、復調データaの構成は第1の実施形態の図4の送信データの構成と同様である。
【0052】
受信部60aの高周波回路8で復調された復調データaは、復号回路61aの信号判別部62aに入力され、誤りチェック信号の判別がおこなわれる。
【0053】
送信データと復調データaの間に誤りがなかった場合、信号更新部64aに保持されている操作信号のうち、復調データaの識別コードに対応するチャンネルの操作信号が更新される。そして、信号更新部64aで全チャンネルの操作信号が復号される。信号更新部64aは復号された操作信号を受信部60aに接続されているサーボ装置40等へ出力し、模型体の駆動制御をおこなう。
【0054】
一方、信号判別部62aでの処理と同時に、復調データaはデータ出力部63aにも入力され、転送データaに変換される。データ出力部63aで生成された転送データaは信号線31を介して信号判別部61bに出力される。
【0055】
また、復調データaの誤りチェック信号に誤りが見つかった場合、信号判別部62aではデータ出力部63bから信号線31を介して受信した転送データbの誤りチェック信号の判別がおこなわれる。
【0056】
送信データと転送データbの間に誤りがなかった場合、転送データbの更新コードに対応するチャンネルの操作信号が信号更新部64で更新される。そして、操作信号は復号、出力されて、受信部60aに接続されているサーボ装置40を駆動制御する。
【0057】
また、信号判別部62aで転送データbの誤りチェック信号に誤りが見つかった場合、信号更新部64aはサーボ装置40が現在の動作の状態を維持するように操作信号を出力してサーボ装置40をホールドするように模型の駆動制御をおこなう。ホールド状態になってから一定時間経過後も通信の状態が改善されない場合は、模型がフェールセーフ動作をおこなうように信号更新部64aに記憶されている補助操作信号を出力し、これに従ってサーボ装置40を駆動制御する。
また、受信部60bでは受信部60aと同様の処理がおこなわれるので説明を省略する。
【0058】
このように2つの受信部が互いの転送データを利用することで、どちらの受信部にもダイバシティー効果を持たせることができる。
【0059】
また、2つの受信部にそれぞれサーボ装置が接続可能なので受信部とサーボ装置の設置場所や配線を自由に設定できる。また、それぞれの受信部の同じチャンネルにサーボ装置を接続させれば全く同じ動作をさせることが出来る。
【0060】
さらに、本実施例では、受信部は2つであったが3つ以上であってもよい。本実施例の受信部は他の受信部に転送データを出力する端子と他の受信部から転送データが入力される端子を備えている。この端子を信号線で接続することでダイバシティー効果を得られる。
【0061】
また、サーボ装置などの駆動制御手段は必要に応じて任意の受信部に接続してよく、全ての受信部に接続する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の高周波回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の送信データの構成を示す図である。
【図5】本発明の転送データの構成を示す図である。
【図6】本発明の転送データを一方の受信部から他方の受信部へ出力するタイミングを示す図である。
【図7】本発明の受信部での処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態の受信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】従来のアンテナダイバシティー方式による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の受信装置の受信部から切換処理部へ入力される操作信号と、切換処理部からサーボ装置へ出力される操作信号の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 送信装置
8 高周波回路
10 第1の受信部
11、21 復号回路
12 信号判別部
13 信号更新部
20 第2の受信部
22 データ出力部
30 信号線
40 サーボ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス符号変調方式を使用し、送信データを生成するエンコーダを備えた送信装置と、前記送信装置から送信された電波を受信するアンテナと受信した電波を復調する高周波回路を夫々備えた第1の受信部と第2の受信部と前記第1の受信部と前記第2の受信部を接続する信号線とからなる受信装置とを備えた模型用ラジオコントロール装置において、
前記第1の受信部は第1の復調データを復号して模型の駆動制御手段に送信する第1の復号回路を備え、前記第2の受信部は第2の復調データを復号する第2の復号回路を備え、前記第2の復号回路は第2の復調データを第1の受信部に転送データとして出力するデータ出力部を備え、前記データ出力部は前記信号線を介して転送データを第2の復号回路のデータ出力部から第1の復号回路に通信し、前記第1の復号回路は前記第1の復調データと転送データの誤りを判別し、前記第1の復調データおよびまたは前記転送データから模型の駆動制御をおこなう操作信号を形成して出力する信号判別部と、信号判別部から出力された前記操作信号を復号する信号更新部を備えたことを特徴とする模型用ラジオコントロール装置。
【請求項2】
前記信号判別部は、第1の復調データに含まれる誤りチェック信号を判別し、第1の復調データに誤りがないことが確認された場合は、第1の復調データ中の模型の駆動制御をおこなう操作信号を信号更新部に出力し、誤りが確認された場合は、転送データに含まれる誤りチェック信号を判別し、誤りがなければ転送データ中の操作信号を信号更新部に出力し、転送データにも誤りがあった場合は、信号更新部で記憶している駆動制御手段に所定の動作を実行させる補助操作信号を模型の駆動制御手段に出力することを特徴とする請求項1記載の模型用ラジオコントロール装置。
【請求項3】
パルス符号変調方式を使用し、送信データを生成するエンコーダを備えた送信装置と、前記送信装置から送信された電波を受信するアンテナと受信した電波を復調する高周波回路を夫々備えた複数の受信部と前記複数の受信部を互いに接続する信号線とからなる受信装置とを備えた模型用ラジオコントロール装置において、
前記受信部は復調データを復号して模型の駆動制御手段に送信する復号回路を備え、復号回路は前記信号線を介して復調データを他の受信部に転送データとして出力するデータ出力部と、復調データと他の受信部から入力された転送データの誤りを判別して前記復調データおよびまたは前記転送データから模型の駆動制御をおこなう操作信号を形成して出力する信号判別部と、信号判別部から出力された前記操作信号を復号する信号更新部を備えたことを特徴とする模型用ラジオコントロール装置。
【請求項4】
前記信号判別部は、復調データに含まれる誤りチェック信号を判別し、前記復調データに誤りがないことが確認された場合は、前記復調データ中の模型の駆動制御をおこなう操作信号を信号更新部に出力し、誤りが確認された場合は、他の受信部から入力された転送データに含まれる誤りチェック信号を判別し、誤りがなければ前記転送データ中の操作信号を信号更新部に出力し、前記転送データにも誤りがあった場合は、信号更新部で記憶している駆動制御手段に所定の動作を実行させる補助操作信号を模型の駆動制御手段に出力することを特徴とする請求項3の模型用ラジオコントロール装置。
【請求項5】
前記送信データと復調データは、操作されたチャンネルを示す識別コードと、駆動制御手段に指示を与える各チャンネルの操作信号と、通信の誤りを判別するための誤りチェック信号を含み、前記転送データは、操作されたチャンネルを示す更新コードと、操作信号と、誤りチェック信号を含み、
前記信号判別部は、復調データの操作信号または転送データの操作信号を信号更新部に出力するとき、識別コードまたは更新コードに対応するチャンネルの操作信号を出力することを特徴とする請求項1乃至4記載の模型用ラジオコントロール装置。
【請求項6】
パルス符号変調方式を使用し、送信データを生成するエンコーダを備えた送信装置から送信された電波を受信するアンテナと受信した電波を復調する高周波回路を夫々備えた複数の受信部と前記複数の受信部を接続する信号線とを備えた模型用ラジオコントロール装置の受信装置において、
前記受信部は復調データを復号して模型の駆動制御手段に送信する復号回路を備え、復号回路は前記信号線を介して復調データを他の受信部に転送データとして出力するデータ出力部と、復調データと他の受信部から入力された転送データの誤りを判別して、前記復調データおよびまたは前記転送データから模型の駆動制御をおこなう操作信号を形成して出力する信号判別部と、信号判別部から出力された前記操作信号を復号する信号更新部を備えたことを特徴とする模型用ラジオコントロール装置の受信装置。
【請求項7】
前記信号判別部は、復調データに含まれる誤りチェック信号を判別し、前記復調データに誤りがないことが確認された場合は、前記復調データ中の模型の駆動制御をおこなう操作信号を信号更新部に出力し、誤りが確認された場合は、他の受信部から入力された転送データに含まれる誤りチェック信号を判別し、誤りがなければ前記転送データ中の操作信号を信号更新部に出力し、前記転送データにも誤りがあった場合は、信号更新部で記憶している駆動制御手段に所定の動作を実行させる補助操作信号を模型の駆動制御手段に出力することを特徴とする請求項6記載の模型用ラジオコントロール装置の受信装置。
【請求項8】
前記送信データと復調データは、操作されたチャンネルを示す識別コードと、駆動制御手段に指示を与える各チャンネルの操作信号と、通信の誤りを判別するための誤りチェック信号を含み、前記転送データは、操作されたチャンネルを示す更新コードと、操作信号と、誤りチェック信号を含み、
前記信号判別部は、復調データの操作信号または転送データの操作信号を信号更新部に出力するとき、識別コードまたは更新コードに対応するチャンネルの操作信号を出力することを特徴とする請求項6または7記載の模型用ラジオコントロール装置の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−5121(P2010−5121A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167674(P2008−167674)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】