説明

樹脂分散体および接着剤

【課題】接着剤として用いたときに、ポリオレフィン基材と金属基材の密着性、及び低温ヒートシール性に優れ、低温、短時間の加熱によりポリオレフィン系樹脂と金属を接着することのできる樹脂分散体を提供する。遮光性、ガスバリア性等に優れ、内容物保護適性を有し、主に、レトルト食品、スナック菓子類、油脂類、医薬品、雑貨品、産業部材、その他等を充填包装するに有用な積層体、およびそれを用いて成型した包装用袋、包装容器を提供する。
【解決手段】重量平均分子量Mwが10,000以上、100,000以下であるポリオレフィン(A)に不飽和カルボン酸(B)を、酸変性率が1.3%より高く、10%より低くなるように結合させ、さらに、親水性高分子(C)を、(A):(C)=100:1〜100:100(重量比)の割合で結合させてなる重合体(D)を、水性媒体中に分散してなる樹脂分散体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性溶媒中に分散してなる樹脂分散体、およびそれによってなる接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロピレン重合体やプロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィンは安価であり、しかも、機械的物性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れていることから、広い分野で使用されている。しかしながら、こうしたポリオレフィンは、分子中に極性基を持たないため一般に低極性であり、塗装や接着が困難であり改善が望まれていた。このため、ポリオレフィンの成形体の表面を薬剤などで化学的に処理すること、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの手法で成形体表面を酸化処理することといった種々の手法が試みられている。しかるに、これらの方法では、特殊な装置が必要であるばかりでなく、塗装性や接着性の改良効果が必ずしも十分ではなかった。
【0003】
そこで、比較的簡便な方法でポリオレフィン、例えばプロピレン系重合体に良好な塗装性や接着性を付与するための工夫として、いわゆる塩素化ポリプロピレンや酸変性プロピレン−α−オレフィン共重合体、さらに酸変性塩素化ポリプロピレンが開発されてきた。このような変性ポリオレフィンを、ポリオレフィンの成形体表面に表面処理剤、接着剤或いは塗料等として塗布するのである。変性ポリオレフィンは通常、有機溶媒の溶液、又は水への分散体などの形態で塗布される。安全衛生及び環境汚染の面から通常、水分散体が好ましく用いられる。
【0004】
例えば、酸変性塩素化ポリプロピレンを界面活性剤と塩基性物質を使用して水に分散させた樹脂分散体(特許文献1)または酸変性ポリオレフィンを界面活性剤と塩基性物質を使用して水に分散させた樹脂分散体(特許文献2)等がある。しかし、これらの方法では分散粒子径を細かくするには界面活性剤を大量に添加する必要があり、結果として、このような水性分散体を用いた塗料は耐水性や耐薬品性に乏しいという課題があった。また塗布後に界面活性剤が塗装表面へブリードアウトして外観不良が起こる場合もあり、さらなる改善が望まれていた。
【0005】
一方、ヒートシール剤などの接着剤やプライマー用途など非極性材料であるポリオレフィン基材と極性材料である金属基材との両方との接着性を高めたいとの要望があり、ステレオブロック構造を有するポリプロピレンのみを使用した水分散体も提案されている( 特許文献3 ) が、界面活性剤の使用が必須であり、塗布後に界面活性剤が表面へブリードアウトして外観不良が起こる課題が残る。
【0006】
特許文献4、特許文献5には酸変性ポリオレフィンに親水性高分子を結合させてなる重合体を水性媒体に分散してなる樹脂分散体がポリオレフィン用の塗料、プライマーとして使用でき、塗装物としての積層体が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−231402号公報
【特許文献2】特開平6−256592号公報
【特許文献3】特開2000−344972号公報
【特許文献4】特開2007−246871号公報
【特許文献5】特開2007−270122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来知られた技術によっても、ポリオレフィン基材と金属材料との双方に優れた密着性を有する積層体を形成させることには至ってはいなかった。本発明はポリオレフィン基材に対する低温ヒートシール性に優れ、低温、短時間の加熱により容易にポリオレフィン基材と金属基材の双方の密着性に優れた接着剤を構成することのできる樹脂分散体および当該接着剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリオレフィン(A)と、特定の酸変性率となるような不飽和カルボン酸(B)と、所定割合となるような親水性高分子(C)と結合させてなる重合体(D)を、水性溶媒に分散させることで、優れた特性の樹脂分散体が得られることを見いだし本発明に至った。
即ち本発明の要旨は、重量平均分子量Mwが10,000以上、100,000以下であるポリオレフィン(A)と、酸変性率が1.3%より高く、10%より低くなるような不飽和カルボン酸(B)と、(A):(C)=100:1〜100:100(重量比)の割合となるような親水性高分子(C)とを結合させてなる重合体(D)を、水性媒体中に分散してなる樹脂分散体に存し、より好ましくは、当該ポリオレフィン(A)が、プロピレン含量が50モル%以上であって、かつアイソタクチックブロックとアタクチックブロックとを有するステレオブロックポリプロピレン重合体、及び/又は、プロピレン−α−オレフィン共重合体であるものであり、更に好ましくはポリオレフィン(A)が融点100℃以下である。また、重合体(D)が、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(C)がグラフト結合したグラフト共重合体であることが好ましく、親水性高分子(C)がポリエーテルアミンであることが好ましい。そして、本発明の別の要旨は、本発明の樹脂分散体を含有してなる接着剤に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂分散体は接着剤として用いることができ、ポリオレフィン基材と金属基材の密着性、及び低温ヒートシール性に優れ、低温、短時間の加熱によりポリオレフィン系樹脂と金属を接着することができ、さらに、従来のものよりもヒートシール性と密着性においても優れている。また、本発明の樹脂分散体は、水性溶媒に対する分散性に非常に優れたものであるため、危険性、有害性の虞がある有機溶剤を使用することなく、安全性、衛生性に優れ、かつ架橋剤を必要せず、さらに、一液でも接着剤として使用が可能であるため作業性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例における評価系の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。なお、本明細書において、「〜」とは、その前後の数字を含むものとする。
本発明の樹脂分散体は、重量平均分子量Mwが10,000以上、100,000以下であるポリオレフィン(A)と、酸変性率が1.3%より高く、10%より低くなるような不飽和カルボン酸(B)と、(A):(C)=100:1〜100:100(重量比)の割合となるような親水性高分子(C)とを結合させてなる重合体(D)を、水性溶媒中に分散させてなるものである。
なお、本明細書において「分散」とは、分散粒子が極めて小さく単分子で分散している状態、実質的には溶解と言えるような状態を含む概念である。以下、より詳細に説明する。
【0013】
また、本発明の樹脂分散体は、プロピレンとプロピレン以外のα − オレフィンとの共重合体であって、プロピレン含量が50モル% 以上100モル% 未満であり、かつ重量平均分子量Mw が10,000以上で分子量分布Mw/Mnが3.5以下であるポリオレフィン(A)に、不飽和カルボン酸(D)が結合し、親水性高分子(C)が結合してなるか又は酸性基が結合してなる重合体(D)を、50% 粒子径0.5μm以下で水に分散させてなり、界面活性剤含有量が重合体(D)100重量部に対し15重量部以下である。即ち上記特定のポリオレフィン(A)に親水性高分子(C)を結合させるか酸性基を結合させた重合体(D)は水への分散性に非常に優れるので、界面活性剤を全く用いないかごく少量用いることで、分散粒子径が細かく、かつ粒径分布が狭く、粒子が安定的に分散した樹脂分散体を得ることができる。
【0014】
なお本発明において分散とは、分散粒子が極めて小さく単分子で分散している状態、実質的には溶解と言えるような状態を含む概念である。
以下、より詳細に説明する。
〔1〕.ポリオレフィン(A)
本発明におけるポリオレフィン(A)は、重量平均分子量Mwが10,000以上、10,0000以下のものである。さらに、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体( 以下、単に「プロピレン−α−オレフィン共重合体」と称することがある。)であって、ポリオレフィン(A)のプロピレン含量は50モル% 以上100モル%未満であることが好ましい。
【0015】
ポリオレフィン(A) としては、プロピレンと、プロピレン以外の1種または2種以上のα −オレフィンコモノマーとの共重合体であれば公知の各種共重合体を用いることができ、特に限定されない。α−オレフィンコモノマーとしては、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、またはノルボルネンなどが挙げられる。α−オレフィンコモノマーとして好ましくは炭素数2〜6のα−オレフィンコモノマーが好ましく、エチレン、1−ブテンがさらに好ましく、エチレンが特に好ましい。
【0016】
ポリオレフィン(A)として具体的には、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレンブテン共重合体、塩素化プロピレン−エチレン共重合体、塩素化プロピレン−ブテン共重合体などが挙げられる。なかでも、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、塩素化プロピレン−エチレン共重合体、又は塩素化プロピレン−ブテン共重合体が好ましく、プロピレン−エチレン共重合体がより好ましい。ポリオレフィン(A)の市販品として入手できるものとしては、タフマーXMシリーズ(三井化学社製)、リコセンPPシリーズ(クラリアント社製)、スーパークロンシリーズの一部(日本製紙ケミカル社製)などが挙げられる。
【0017】
ポリオレフィン(A)のプロピレン含量は、α−オレフィンコモノマーの種類、立体規則性、塩素化度等が互いに関連して変化しうるが、おおよそ以下の通りである。ポリオレフィン(A)のプロピレンの含量は50モル%以上である。通常、プロピレン含量が高いほどポリプロピレン基材への密着性が増す傾向がある。プロピレン含量は、好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル% 以上である。但しプロピレン含量は100% 未満である。通常、プロピレン含量を低くすると共重合体の融点を下げることができ、例えば接着温度を下げることができ、製品の外観や作業安全上において利点がある。
なかでもプロピレン含量が70モル% 以上100モル%未満、エチレン含量が30モル% 以下であるプロピレン−エチレン共重合体が好ましい。
【0018】
本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、α− オレフィン以外の他のモノマーをさらに共重合してもよい。更に、これらプロピレン系重合体を塩素化した塩素化プロピレン系重合体も使用しうる。塩素化プロピレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、その塩素化度は通常25重量%以下であり、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。塩素化度が高くなるにつれてポリマーの極性が高くなり、ポリオレフィンとの親和性が低くなり密着性が低下する傾向にある。従って塩素化度は低い方が好ましい。また環境負荷を低減する目的からは、ポリオレフィン(A)は実質的に塩素を含まないことが望ましい。実質的に塩素を含まないとは、例えば塩素化度が5重量%未満である。
【0019】
ポリオレフィン(A)はランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、ランダム共重合体が好ましい。ランダム共重合体であれば、より効果的に共重合体の融点を下げることができ、低温ヒートシール密着性の点で有利である。またポリオレフィン(A)は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0020】
なかでもプロピレン含量が70モル% 以上100モル%未満、エチレン含量が30モル% 以下であるプロピレン−エチレン共重合体が好ましい。
ポリオレフィン(A)はランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、ランダム共重合体が好ましい。ランダム共重合体であれば、より効果的に共重合体の融点を下げることができる。またポリオレフィン(A)は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0021】
プロピレン−α−オレフィン共重合体の立体規則性としては、全体または部分的にアイソタクチック構造を有するものが好ましい。例えば通常のアイソタクチックプロピレン−α−オレフィン共重合体はもちろんのこと、特開2003−231714号公報やUS4,522,982号公報に記載されているような、アイソタクチックブロックポリプロピレンや、ステレオブロックポリプロピレン等にα−オレフィンコモノマーを共重合した共重合体も使用できる。
【0022】
ポリオレフィン(A)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また本発明の効果を著しく損なわない限り、ポリオレフィン(A)にポリプロピレンホモポリマーやポリエチレンホモポリマーなど他のポリオレフィンを併用してもよい。併用する場合、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンは塩素化されていてもよい。なかでも全体または部分的にアイソタクチック構造を有するポリプロピレンが好ましい。例えば通常のアイソタクチックポリプロピレンは勿論のこと、特開2003−231714号公報やUS4,522,982号公報に記載されているような、アイソタクチックブロックポリプロピレンや、ステレオブロックポリプロピレン等も使用しうる。アイソタクチックブロックとアタクチックブロックとを有するステレオブロックポリプロピレンが好ましい。アイソタクチック立体規則性を示す[ m m m m ]ペンタッドが10%〜90%の範囲であるのがより好ましい。ペンタッドは、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。またペンタッドは、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましく、55%以下が特に好ましい。ペンタッドの比率の測定方法は特開2003−231714号公報に記載の方法を用いることができる。下限値より高いほどべたつき度合いが小さくなる傾向があり、また上限値より低いほど結晶化度が低くなり樹脂分散体の調製が容易になる傾向がある。他のポリオレフィンを併用する場合、全ポリオレフィン中の5重量%以上はポリオレフィン(A)であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは15重量%以上である。
【0023】
ポリオレフィン(A)の2種以上を組み合わせる場合、プロピレン含有量、塩素化度、分子量分布等の値は、個々の重合体の値の重量平均値をとるものとする。
本発明のポリオレフィン(A)の製法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などが挙げられ、それぞれリビング重合的であってもよい。
【0024】
また配位重合の場合は、例えばチーグラー・ナッタ触媒により重合する方法又はシングルサイト触媒またはカミンスキー触媒により重合する方法が挙げられる。好ましい製法としては、シングルサイト触媒による製造方法を挙げることができる。この理由としては、一般にシングルサイト触媒はリガンドのデザインにより反応を精密に制御しやすく、分子量分布や立体規則性分布がシャープな重合体が得られ、チーグラー・ナッタ触媒による重合体に比べてシングルサイト触媒による重合体の融点が低いので、この重合体を用いた樹脂分散体は塗装後の焼き付け温度を下げることができるためである。シングルサイト触媒としては、例えばメタロセン触媒、ブルックハート型触媒を用いうる。メタロセン触媒ではC対称型、C2対称型、C2V対称型、CS対称型など、重合するポリオレフィンの立体規則性に合わせて好ましい触媒を選択すればよい。C1対称型、C2対称型のメタロセン触媒を用いることが好ましい。
【0025】
ポリオレフィン(A)の重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定し各々のポリオレフィンの検量線で換算する。本発明のポリオレフィン(A)のMwは通常10,000以上である。Mwが10,000未満ではべたつき度合いが大きく基材への密着性が低くなる傾向にある。Mwの下限値のより好ましい値は15,000、更に好ましい値は25,000、特に好ましい値は35,000である。重量平均分子量Mwは通常100,000以下である。Mwはより好ましくは80,000以下、更に好ましくは65,000以下であり、特に好ましいのは50,000未満である。Mwが低いほど粘度が低くなり樹脂分散体の調製が容易になる傾向がある。なおGPC測定は、オルトジクロロベンゼンなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行うことができる。
【0026】
ポリオレフィン(A)は融点Tmが100℃以下であることが好ましい。より好ましくは90℃以下である。融点Tmが100℃より低いほど、結晶性が低く溶媒への溶解性が向上し、乳化・分散作業が低温で行いやすくなるため好ましい。また、この樹脂分散体が例えば塗料や接着剤としての用途に使用される場合は、低い焼付け温度で溶融するため、外観や安全性上において有利である。但し、共重合体(A)の融点Tmは通常、25℃以上であり、好ましくは35℃以上である。本発明の樹脂分散体を塗料や接着剤として用いたときには高耐熱性、高硬度、べたつきのなさなどの点で有利であるためである。融点Tmの測定方法は、主々の方法により、測定可能であるが、本明細書においては、実施例においてその具体例を示している。
【0027】
ポリオレフィン(A)は結晶融解熱量ΔHが60J/g以下であることが好ましく、さらに50J/g以下が好ましい。ΔHが60J/gより小さいほど、結晶性が低く溶媒への溶解性が向上し、乳化・分散作業が低温で行いやすくなるため好ましい。ΔHは通常、0J/g以上であるが、密着性という観点からは10J/g以上であることが好ましい。10J/g以上であれば凝集破壊しにくくなる利点がある。ΔHは、より好ましくは20J/g以上、更に好ましくは30J/g以上である。結晶融解熱量ΔHは主々の方法により、測定可能であるが、例えば実施例に記載の方法によって、融点Tmを決定し、そのピーク裾野を結んだ線により囲まれるピークの面積から算出することが可能である。
【0028】
ポリオレフィン(A)は、昇温溶出分別法(Temperature Rising Elution Fractionation:TREF)において60℃以下で95重量%以上が溶出することが好ましい。95%以上とすることで、分子の乳化性が向上し、乳化の際に凝集物として析出しにくくなる。凝集物が析出すると収率が悪化するだけでなく、ろ過時にフィルターが目詰まりする問題がある。また好ましくは20℃以下で溶出する成分が20%以下、さらに好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。また好ましくは30℃以下で溶出する成分が20%以下、さらに好ましくは10%以下である。20℃もしくは30℃以下で溶出する成分が少ないほうが、常温もしくは温暖時における密着性および耐牛脂性、耐ガソホール性などの耐薬品性が向上する。より好ましくは97重量%以上が溶出することがより好ましい。昇温溶出分別法の溶媒は通常、オルトジクロロベンゼンを使用する。昇温溶出分別法はポリマーを溶解温度の差を利用して分別する方法であり、ポリマー中のコモノマー濃度などポリオレフィンの結晶性に関与する構造不均一性を分析するのに有効な分析法である。
【0029】
TREFにおいては、まず高温で溶媒に溶解した試料を同温度でガラスビーズを充填したカラムに注入し、一定温度で冷却しポリマー成分を結晶化させて、ポリマーをビーズ表面に析出した形で保持させる。次に、カラムの温度を段階的に昇温すると、結晶化度の低いポリマー成分が溶出し検出器に到達し検出される。カラム温度が高温になるにつれ結晶化度の高い成分が順番に溶出していく。このようにして溶出温度と溶出量からポリマーの組成分布等が測定できる。またTREFにGPCを組み合わせたクロス分別クロマトグラフィー(CFC)を用いて測定する方法もある。
【0030】
また重合は溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合などいずれの重合形態でもよい。溶液重合やスラリー重合の場合、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素;塩化メチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などが挙げられる。なかでも芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、又は脂環族系炭化水素が好ましく、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、又はシクロヘキサンが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
〔2〕.不飽和カルボン酸(B)
本発明において不飽和カルボン酸(B)は、不飽和カルボン酸であれば特に制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。不飽和カルボン酸(B)は1種で用いても、2以上を用いてもよい。また、不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン(A)中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト)などが挙げられる。
【0032】
不飽和カルボン酸(B)は、ポリオレフィン基材と金属基材の双方の接着性のバランスから、ポリオレフィン(A)に対して1.3%より高く、10%より低いことが好ましい。不飽和カルボン酸成分の含有量の下限値は1.4%以上がより好ましい。不飽和カルボン酸(B)成分の含有量の上限値は10%より少なく、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。含有量が1.3%以下の場合はアルミニウム箔等の金属基材との十分な接着性が得られない場合がある。また、10重量%を超える場合はポリオレフィン基材との接着性が低下する場合がある。本明細書においては、ポリオレフィン(A)に不飽和カルボン酸(B)を結合させたものを「酸変性ポリオレフィン」と称することがある。
【0033】
不飽和カルボン酸成分の他に必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していても良い。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化物が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。この中で、入手の容易さと接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルが好ましい(なお、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味する)。
【0034】
酸変性ポリオレフィンにおける(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、耐内容物性が向上する点から、25重量%以下であることが好ましくより好ましくは15重量%以下であり、さらに好ましくは、10重量%(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が25重量%を超えると、ポリオレフィン基材への接着性が相対的に低下する可能性がある。また、(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト)等が挙げられる。
【0035】
酸変性ポリオレフィンの製造方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、ポリオレフィン(A)に不飽和カルボン酸(B)をグラフト重合して得ることができる。
グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤から適宜選択して使用することができ、例えば有機過酸化物、アゾニトリル等を挙げることができる。有機過酸化物としては、ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキシケタール類、クメンヒドロパーオキシドなどのハイドロパーオキシド類、ジ(t−ブチル)パーオキシドなどのジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナートなどのパーオキシエステル類が使用できる。アゾニトリルとしてはアゾビスブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。なかでもベンゾイルパーオキシド及びt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナートが特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
ラジカル重合開始剤とグラフト共重合単位の使用割合は、通常、ラジカル重合開始剤:グラフト共重合単位=1:100〜2:1(モル比)の範囲である。好ましくは1:20〜1:1の範囲である。
酸変性ポリオレフィンの製法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えば、溶液変性法(溶液中で加熱攪拌して反応する方法)、溶融変性法(無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、又は、押し出し機で加熱混練して反応する方法)等が挙げられる。溶液中で製造する場合の溶媒としては、ポリオレフィン(A)の製造法で挙げた溶媒を同様に用いることができる。
【0037】
反応温度は、通常50℃以上300℃以下であり、好ましくは80〜230℃の範囲である。反応時間は、溶液変性法で通常1〜20時間程度であり、溶融変性法であれば滞留時間は10秒〜10分程度となる。
本発明の酸変性ポリオレフィンとしては、具体的には、無水マレイン酸変性プロピレン系重合体及びその塩素化物、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体及びその塩素化物、無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体及びその塩化物、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ブテン共重合体及びその塩化物、アクリル酸変性プロピレン系重合体及びその塩素化物、アクリル酸変性エチレン−プロピレン共重合体及びその塩素化物、アクリル酸変性プロピレン−ブテン共重合体及びその塩化物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち特に好ましいものは、無水マレイン酸変性プロピレン系重合体、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体である。
【0038】
〔3〕.親水性高分子(C)
本発明において親水性高分子(C)とは、25℃の水に10重量%の濃度で溶解させたときに不溶分が1重量%以下の高分子を言う。親水性高分子(C)としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定されず用いることができ、合成高分子、半合成高分子、天然高分子のいずれも用いることができる。これらは反応性基を有していてもよい。
【0039】
合成高分子としては、特に限定されないが、例えばポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が使用できる。天然高分子としては、特に限定されないが例えばコーンスターチ、小麦デンプンなどのデンプン類、ふのり、寒天、アルギン酸ソーダなどの海藻、アラビアゴム、トラガントゴムなどの植物粘質物、カゼイン、ゼラチンなどの動物性タンパク等が使用できる。半合成高分子としては、特に限定されないが例えばカルボキシルデンプン、カチオン化デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース等が使用できる。
【0040】
なかでも好ましくは、親水性度合いの制御がしやすく、特性も安定している合成高分子である。より好ましくは、ポリ(メタ)アクリル樹脂などのアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びポリビニルピロリドン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリエーテル樹脂である。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中で親水性の高いポリエーテルアミンが最も好ましい。ポリエーテルアミンは、ポリエーテル骨格を有する樹脂の片末端又は両末端に、反応性基としての1級アミノ基を有する化合物である。ポリエーテルアミンとしては、ハンツマン社製ジェファーミンMシリーズ、Dシリーズ、EDシリーズなどを使用してもよい。
【0041】
本発明に用いる親水性高分子(C)は酸変性ポリオレフィンとの結合前に、これと反応しうる反応性基を1以上有しているものが好ましい。反応性基としては、例えばカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられるが、好ましくは少なくともアミノ基を有するものである。アミノ基はカルボン酸基、無水カルボン酸基、グリシジル基、イソシアネート基など多種の反応性基と反応性が高いので酸変性ポリオレフィンと親水性高分子(C)を結合させることが容易である。アミノ基は1級、2級、3級のいずれでもよいが、より好ましくは1級アミノ基である。反応性基は1つ以上あればよいが、より好ましくは反応性基を1つのみ有する。反応性基が2つ以上あると、酸変性ポリオレフィン(A)と結合させる際に3次元網目構造となりゲル化してしまう可能性がある。
【0042】
本発明における親水性高分子(C)は、重合体(D)に十分な親水性を付与するためには高分子である必要があり、GPCで測定しポリスチレンの検量線で換算した重量平均分子量Mwが200以上のものとする。下限値は好ましくは300、より好ましくは500である。但し重量平均分子量Mwが100,000以下であることが好ましい。上限値のより好ましい値は50,000であり、さらに好ましくは10,000、特に好ましくは3,000である。Mwが下限値より高いほど重合体(D)の親水性が増し分散粒子径が小さくなり安定に分散する傾向にあり、また上限値より低いほど粘度が低く樹脂分散体を調製しやすい傾向にある。なおGPC測定は、THFなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
【0043】
ポリオレフィン(A)に結合している親水性高分子(C)の量は、ポリオレフィン(A):親水性高分子(C)=100:1〜100:100(重量比)の範囲が好ましい。より好ましくはオレフィン(A):親水性高分子(C)=100:3〜100:30(重量比)の範囲であり、さらに好ましくはオレフィン(A):親水性高分子(C)=100:5〜100:20(重量比)の範囲である。下限値より高いほど重合体(D)の親水性が増し分散粒子径が小さくなり安定に分散する傾向にあり、上限値より低いほど、基材であるポリオレフィンに対する密着性が増す傾向にある。
【0044】
ポリオレフィン(A)と親水性高分子(C)とは、酸変性ポリオレフィンに親水性高分子(C)がグラフト結合したグラフト共重合体、酸変性ポリオレフィンの片末端又は両末端に親水性高分子(C)が結合した状態を含むポリオレフィンと親水性高分子(C)とのブロック共重合体、とがあり得るが、好ましくはグラフト共重合体である。親水性高分子(C)の含有量が制御しやすく、またブロック共重合体に比べて親水性高分子(C)の含有量を上げやすい利点がある。
【0045】
親水性高分子(C)は酸変性ポリオレフィンに対して、種々の反応形態により結合させることができる。その形態は特に限定されないが、例えば、酸変性ポリオレフィンの酸性基と反応性基を利用した反応である。反応性基を利用した反応は、ポリオレフィン(A)と親水性高分子(C)の双方に反応性基を有していてそれらを反応させて結合させるものであり、共有結合又はイオン結合が形成される。この反応としては、例えばカルボン酸基とヒドロキシル基のエステル化反応、カルボン酸基とエポキシ基との開環反応、カルボン酸基と1級又は2級アミノ基のアミド化反応、カルボン酸基と3級アミノ基の4級アンモニウム化反応、カルボン酸基とイソシアナート基のウレタン化反応、等が挙げられる。各反応の反応率は1〜100%の間で任意に選べばよく、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%である。カルボン酸基が二塩基酸もしくはその無水物である場合は、二塩基酸もしくはその無水物一当量に対し、一当量反応させても二当量反応させてもよい。
【0046】
〔4〕.重合体(D)
本発明に係る重合体(D)は、重量平均分子量Mwが10,000以上、100,000以下であるポリオレフィン(A)と、酸変性率が1.3%より高く、10%より低くなるような不飽和カルボン酸(B)と、(A):(C)=100:1〜100:100(重量比)の割合となるような親水性高分子(C)とを結合させてなるものである。
【0047】
本発明の重合体(D)の製造方法について以下に記述する。
本方法では、酸変性ポリオレフィン存在下で親水性高分子(C)を重合することで変性プロピレン系重合体に結合した親水性高分子(C)を得る。親水性高分子(C)の重合方法としては、例えば付加重合、縮合重合、開環重合などを用いうる。このとき重合後に親水性高分子を形成しうる範囲であれば疎水性モノマーを共重合させてもよい。
【0048】
具体的には、例えば、親水性ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して親水性高分子(C)を形成するとともに酸変性プロピレン系重合体に結合させる方法がある。親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては、特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物、ビニルピロリドンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニルが挙げられる。
【0049】
または、ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して高分子を形成するとともに変性プロピレン系重合体に結合させ、次いで高分子を親水性に変性し親水性高分子(C)とする方法がある。例えば(メタ)アクリル酸t−ブチルを重合後、酸性下で加水分解しポリ(メタ)アクリル酸に変性する方法、酢酸ビニルを重合後、ケン化してポリビニルアルコールに変性する方法などが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニルが挙げられる。
【0050】
或いは、酸変性ポリオレフィンの反応性基を開始末端として、親水性ラジカル重合性不飽和化合物や親水性開環重合モノマー等を重合して親水性高分子(D)を得る方法がある。親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては上述のものを同様に用いうる。親水性開環重合モノマーとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンイミンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。これらはいずれも、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液変性法や溶融変性法が挙げられる。溶液中で製造する場合の溶媒としては、[1]ポリオレフィンの製造法で挙げた溶媒を同様に用いることができる。
反応温度は、通常0〜200℃の範囲であり、好ましくは30〜150℃の範囲である。反応時間は、溶液変性法で通常1〜20時間程度であり、溶融変性法であれば滞留時間は10秒〜10分程度となる。
【0052】
〔5〕.樹脂分散体
本発明の樹脂分散体とは、重量平均分子量Mwが10,000以上、100,000以下であるポリオレフィン(A)と、酸変性率が1.3%より高く、10%より低くなるような不飽和カルボン酸(B)と、(A):(C)=100:1〜100:100(重量比)の割合となるような親水性高分子(C)とを結合させてなる重合体(D)を、水性溶媒に分散させてなるものである。ここで、「水性溶媒」とは、水又は水に5重量%以上溶解する有機溶媒である。水性溶媒として好ましいものとして具体的には、水、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
これらの溶媒は1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いても良い。
【0053】
本発明の重合体(D)は水への分散性に非常に優れ、また本発明の樹脂分散体の製造方法によれば分散粒子径の細かい樹脂分散体が得られるので、本発明の樹脂分散体は分散粒子径が細かく、かつ樹脂が安定に分散しているという利点がある。従ってこれを用いると優れた外観の塗布品が得られる。
【0054】
本発明の樹脂分散体における重合体(D)の50%粒子径は0.5μm以下である。50%粒子径は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。また、好ましくは90%粒子径が1μm以下であり、特に好ましくは0.5μm以下である。また、本発明において「分散」とは、分散粒子が極めて小さく単分子で分散している状態、実質的には溶解と言えるような状態を含む概念であるため、分散粒子径の下限値については特に制限はない。
分散粒子径を小さくすることで、分散安定性を向上させ、凝集が起きにくく、より安定に分散できる。また90%粒子径と50%粒子径の比が小さくなることは、粒度分布が狭くなることを意味し結果として分散安定性が向上する。なお、「50%粒子径」とは、体積換算で粒径が細かい方から累積で50%の粒子径であり、50%平均粒子径とも称する。同様に累積で90%の粒子径が90%粒子径である。
【0055】
本発明の樹脂分散体における固形分は、全体に対して、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。また好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは60重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは40重量%以下である。固形分の量が少ないほど粘度が低く種々の塗布方法に適用でき使用しやすく、また分散体としての安定性も高い傾向にある。ただし、例えば接着剤として使用する際に、塗布後の水の乾燥にあまり多量のエネルギーと時間をかけないためには固形分が多い方が好ましい。
【0056】
本発明の樹脂分散体には、必要に応じて酸性物質や塩基性物質を添加することができる。酸性物質としては例えば塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。塩基性物質として例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、2−メチル−2−アミノ−プロパノール、モルホリンなどが挙げられる。また酸性基、塩基性基を含んだ高分子でも良い。
【0057】
樹脂分散体の製造方法を以下に記述する。
本発明に係わる重合体(D)を含む樹脂分散体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、重合体(D)、水、及び水以外の溶媒の混合物を調製したのち、該混合物から該溶媒を除去することにより水分散体とする方法、重合体(D)が溶融する温度以上で溶融させた後に水を添加して分散体とする方法、などが挙げられる。好ましくは前者である。前者の方法によれば粒径の細かい樹脂分散体が得られやすい。
混合物を調製する際は必要に応じ加熱してもよい。温度は、通常30〜150℃である。樹脂分散体における水以外の溶媒の比率は、最終的には通常50%以下とする。好ましくは20%以下とし、さらに好ましくは10%以下とし、特に好ましくは1%以下とする。
【0058】
なかでも、重合体(D)に水以外の溶媒を加え、必要に応じ加熱して溶解させた後に水を添加する方法は、より粒径の細かい水分散体が作りやすく、更に好ましい。溶媒への溶解時、又は水の添加時の温度は、通常30〜150℃である。また水以外の溶媒に一旦溶解する場合は、水を添加した後に溶媒を留去してもよい。樹脂分散体における水以外の溶媒の比率は上述の通りである。
或いは、重合体(D)を溶媒に溶解させた溶液に水と水以外の他の溶媒を加え、必要に応じ加熱して溶解させた後に、溶媒を留去する方法によっても粒径の細かい水分散体が作りやすい。水の添加時の温度は、通常30〜150℃である。樹脂分散体における水以外の溶媒の比率は上述の通りである。
【0059】
本方法に用いられる水以外の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素; ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素;塩化メチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のアルコール類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、ジアセトンアルコール等の2以上の官能基を持つ有機溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などが挙げられる。
これらの溶媒は1種類でも2種類以上用いても良い。
【0060】
なかでも水に1重量%以上溶解する溶媒を少なくとも1種類以上用いるが好ましく、5重量%以上溶解するものがさらに好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、ジアセトンアルコールが好ましい。
【0061】
溶媒に溶解した状態および溶融状態にしたのち、水と混合し樹脂分散体を製造する装置としては、特に限定されないが、例えば、撹拌装置付き反応釜、一軸または二軸の混練機などが使用できる。その際の攪拌速度は装置の選択に伴い多少異なるが、通常、10〜1,000rpmの範囲である。
【0062】
〔6〕.接着剤
本発明の樹脂分散体はそのまま接着剤として用いることができ、さらに、接着剤は重合体(D)を含有してなり、その強度や耐水性、耐熱性、耐薬品性、濡れ性を向上させるために、必要に応じて本発明の樹脂分散体に、さらに、重合体(D)以外の樹脂を含有していてもよい。その他の樹脂としては、添加剤や架橋剤であってもよい。
【0063】
添加剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。その他の樹脂の含有量は通常50重量%未満、好ましくは30重量%未満、更に好ましくは20重量%未満である。
【0064】
また、架橋剤として特に定めはないが、2官能以上の官能基を有する化合物があげられる。具体的には、多官能エポキシ、多官能イソシアネート、多官能アミン、多官能オキサゾリンなどがあげられる。特に好ましいのは酸変性ポリオレフィンのカルボキシル基との反応性の点から、多官能エポキシ、多官能オキサゾリンである。
【実施例】
【0065】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下で単に「部」と書いた場合は「重量部」を指す。
【0066】
<物性測定方法及び評価方法>
(1)ポリオレフィン(A)の重量平均分子量[Mw]および分子量分布[Mw/Mn]
はじめに試料5mgを10mlのバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHT 250ppm含有のテトラヒドロフランを5g添加し50℃で完全に溶解させる。室温に冷却後孔径0.45μmのフィルターでろ過し、ポリマー濃度0.1重量%の試料溶液を調製した。次に、カラムとしてTSKgel GMHXL−L(30cm×2本)にガードカラムTSKguardcolumnHXL−Hを装着した東ソー(株)社製GPC HLC−8020を使用しGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液のインジェクション量:50μl、カラム温度:40℃、溶媒:テトラヒドロフラン、流量1.0ml/分で測定した。分子量の算出に際しては、標準試料として市販の単分散のポリスチレン標準試料を測定し、標準試料の保持時間と分子量から検量線を作成し算出を行った。
【0067】
(2)ポリオレフィン(A)の融点[Tm]
セイコーインスツル(株)社製 示差走査熱量計 DSC 220Cを使用して測定した。
試料5±1mgをAlパンに入れAl蓋をし、空のAlパンをリファレンスとして検出器にのせた。200℃まで100℃/分の速度で昇温した。同温度で5分間保持した後、10℃/分の速度で冷却し、−10℃まで0.5秒間隔で熱量を検出した。同温度で1分保持した後10℃/分の速度で200℃まで昇温させ、0.5秒間隔で熱量を検出した。
各試料とも冷却過程において発熱ピークが1つ、最後の昇温過程において吸熱ピークが1つ観測された。最後の昇温過程におけるピークのピークトップ時の温度を融点[Tm]とした。
【0068】
(3)酸変性率(無水マレイン酸のグラフト重量部)
重合体200mgとクロロホルム4800mgを10mlのサンプル瓶に入れて50℃で30分加熱し完全に溶解させる。材質NaCl、光路長0.5mmの液体セルにクロロホルムを入れ、バックグラウンドとした。次に溶解した重合体溶液を液体セルにいれて、日本分光(株)製FT−IR460plusを用い、積算回数32回にて赤外線吸収スペクトルを測定した。無水マレイン酸のグラフト率は、無水マレイン酸をクロロホルムに溶解した溶液を測定し検量線を作成したものを用いて計算した。そしてカルボニル基の吸収ピーク(1780cm-1付近の極大ピーク、1750〜1813cm-1)の面積から、別途作成した検量線に基づき、重合体中の酸成分含有量を算出し、これをグラフト率(重量%)とした。
【0069】
(4)樹脂分散体の分散粒子径
日機装(株)社製マイクロトラック UPA(モデル9340 バッチ型 動的光散乱法/レーザードップラー法)を用いて測定した。分散体の密度を0.9g/cm3、粒子形状を真球形、粒子の屈折率を1.50、分散媒を水、分散媒の屈折率を1.33として、測定時間120秒にて測定し、体積換算として粒径が小さい方からの累積で50%となる粒子径を求め、当該粒子径を樹脂分散体の50%粒子径とした。
【0070】
(5)接着剤の剥離強度
フィルム積層体から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機を用い、180度ピール法により試験片の端部からポリオレフィン基材と金属基材の界面を剥離して強度を測定した。測定は23℃、65%RHの雰囲気中、引張速度50mm/分で行った。
【0071】
[製造例1] 樹脂分散体の製造
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン250g、メタロセン触媒によって重合されたプロピレン−エチレン共重合体(プロピレンの含有率90mol%、ポリスチレン換算での重量平均分子量40,000、融点70℃)750gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温した。昇温後、無水マレイン酸22.5gを加え、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製:パーブチルI)7.5gを加え、7時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿・濾別を繰り返し、洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーが得られた。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基のグラフト重量部は、2.1重量%(無水マレイン酸基として0.21mmol/g、カルボン酸基として0.42mmol/g)であった。また酸変性後の重量平均分子量は、70,000(ポリスチレン換算)であった。
【0072】
次に、還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、得られた無水マレイン酸変性ポリマー75gとトルエン152gを加え、温度を110℃に昇温し完全に溶解した。次いで2−プロパノール(206ml)に溶解したメトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)−2−プロピルアミン分子量1,000(ハンツマン社製:ジェファーミンM1000)7.5g(7.5mmol、ポリオレフィン(A)100重量部に対し親水性高分子(C)10重量部に相当)を加え70℃で1時間反応させた。その後ジメチルエタノールアミン0.75g(7.6mmol)を加えて系内を中和した。得られた反応液の温度を45℃に保ち、加熱・撹拌しながら、水300gを2時間かけて数回に分けて滴下しながら、系内の減圧度を下げてポリマー濃度30重量%になるまで2−プロパノールと水を減圧留去し、乳白色の水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は190nmであった。
なお実施例1で用いたメトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)−2−プロピルアミンは25℃の水に10重量%の濃度で溶解させたときに不溶分が1重量%以下であり、親水性高分子であった。
【0073】
[製造例2]
メタロセン触媒によって重合されたプロピレン−エチレン共重合体(プロピレンの含有率90mol%、ポリスチレン換算での重量平均分子量を30000とした以外は製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は160nmであった。
【0074】
[製造例3]
無水マレイン酸基の添加量を15.0g、パーブチルIの添加量を5.0gとした(無水マレイン酸基のグラフト重量部を1.5%とした)以外は製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は230nmであった。
【0075】
[製造例4]
無水マレイン酸の添加量を7.5g、パーブチルIの添加量を2.5gとした(無水マレイン酸基のグラフト重量部を0.8%とした)以外は製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は230nmであった。
【0076】
[実施例1]
表面にコロナ処理が施されたポリプロピレンフィルム(厚み60μm)に製造例1で製造された樹脂分散体をマイヤーバー(12番)を用いて塗布し、100℃、90秒乾燥した。接着剤層の厚みは3μmであった。この上にアルミを蒸着させたポリエステルフィルム(12μm)をアルミ面と接着剤面が重なるようにあわせた後、加熱温度120℃、圧力1kgf/cm、時間1秒で加熱して積層体を製造した。この積層体を15mm幅に切断した試験片を用いて剥離速度300mm/分で180度T字剥離試験を行ない、剥離強度を評価した。積層体の概念図を図1に示す。
【0077】
[実施例2]
接着剤として製造例2の樹脂分散体を用いた以外は実施例1と同様にし、剥離強度を評価した。
【0078】
[実施例3]
接着剤として製造例3の樹脂分散体を用いた以外は実施例1と同様にし、剥離強度を評価した。
【0079】
[比較例1]
接着剤として製造例4の樹脂分散体を用いた以外は実施例1と同様にし、剥離強度を評価した。
【0080】
[比較例2]
接着剤として塩素化ポリオレフィンを界面活性剤にて乳化した塩素化ポリオレフィンエマルション(ハードレンE−415・東洋化成社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、剥離強度を評価した。
【0081】
<ヒートシール密着性試験>
実施例1〜3、及び比較例1、2で得られた樹脂分散体について、ポリオレフィン基材とアルミ蒸着膜でヒートシール性の評価結果を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
実施例1〜3の樹脂分散体は剥離強度が大きく、ポリオレフィン基材とアルミ基材のヒートシール接着剤として優れることが確認された。これは実施例1〜3の樹脂分散体では公知の比較例1よりも不飽和カルボン酸(B)の酸変性率(無水マレイン酸のグラフト重量部)が高く、公知の比較例2より重量平均分子量が低いためにヒートシール性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の樹脂分散体は、ヒートシール性や塗膜密着性に優れ、また、ポリオレフィン材料と金属材料の接着力にも優れているため。さまざまな工業製品に適用可能である。また、本発明の樹脂分散体は、結晶性を有するポリオレフィン系樹脂材料に対する表面処理剤、接着剤、コーティング剤、塗料等としてきわめて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量Mwが10,000以上、100,000以下であるポリオレフィン(A)と、酸変性率が1.3%より高く、10%より低くなるような不飽和カルボン酸(B)と、(A):(C)=100:1〜100:100(重量比)の割合となるような親水性高分子(C)とを結合させてなる重合体(D)を、水性媒体中に分散してなる樹脂分散体。
【請求項2】
重量平均分子量Mwが35,000以上である、請求項1に記載の樹脂分散体。
【請求項3】
ポリオレフィン(A)が、プロピレン含量が50モル%以上であって、かつアイソタクチックブロックとアタクチックブロックとを有するステレオブロックポリプロピレン重合体、及び/又は、プロピレン−α−オレフィン共重合体である、請求項1又は2に記載の樹脂分散体。
【請求項4】
ポリオレフィン(A)が融点100℃以下である、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の樹脂分散体。
【請求項5】
重合体(D)が、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(C)がグラフト結合したグラフト共重合体である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の樹脂分散体。
【請求項6】
親水性高分子(C)がポリエーテルアミンである、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の樹脂分散体。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の樹脂分散体を含有してなる接着剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−178861(P2011−178861A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43364(P2010−43364)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】