説明

樹脂成形体

【課題】低伸縮性であり、基材の熱可塑性樹脂を高発泡化でき、軽量で釘打ちが容易な樹脂成形体の提供。
【解決手段】充填材を含む熱可塑性樹脂からなる芯材と、該芯材を囲んで設けられた発泡熱可塑性樹脂からなる基材とを有することを特徴とする樹脂成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線膨張率が低く、環境温度変化による変形や反りが少ない樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂、例えばポリ塩化ビニル樹脂は、汎用プラスチックの中で耐水、難燃性に優れ、機械的性質も良好であり、しかも価格も比較的安価であることから、建築部材や家具、その他の材料として広く採用されている。また、前記熱可塑性樹脂を低発泡倍率で発泡させた発泡樹脂成形体は、非発泡の樹脂成形体と比べて軽量であり、木材と同様に釘を打ち付けることができ、さらに電動鋸などで切断し易いなどの利点から、特に建築材料として優れている。
【0003】
しかし、従来の樹脂成形体は、線膨張率が大きいため、従来の樹脂成形体を建築部材や家具、その他に用いた場合、直射日光や環境温度の寒暖等によって変形し、又、熱伸縮によるひび割れや反りが発生してその機能を果たし得なくなるおそれがある。
従来、樹脂成形体の熱伸縮性を低下させて、直射日光や環境温度の寒暖等による変形や割れ発生を防止するために、熱可塑性樹脂製の基材に線膨張率の低い補強材を組み合わせた樹脂成形体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
特許文献1には、 熱可塑性樹脂と補強用繊維よりなる補強材に、熱可塑性樹脂表面材を積層してなる積層成形品であって、上記補強材の表面に補強用繊維が突出し、該突出した補強用繊維が熱可塑性樹脂表面材内に食い込んでなる積層成形品が開示されている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂とランダム配向した無機短繊維よりなるシートの表裏に、熱可塑性樹脂を押出被覆してなる積層成形品が開示されている。
特許文献3には、ゴム成分を10〜70質量%含有する熱可塑性樹脂100質量部に対して、アスペクト比が10〜100で、かつエポキシシランで表面処理された無機充填材を40〜80質量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−277389号公報
【特許文献2】特開平10−315366号公報
【特許文献3】特開2006−63109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1〜3に開示された従来の樹脂成形体は、依然として線膨張率が高く、温度変化の大きい部位に用いることが難しかった。
また、従来の樹脂成形体は、製造上、熱可塑性樹脂の質量に対する補強材の添加量が制限されるため、低伸縮化が困難であった。
また、補強材の添加により熱可塑性樹脂の高発泡化が困難であるために、樹脂成形体の重量が増加してしまう問題があった。
さらに、熱可塑性樹脂を発泡させることが困難であるために、釘打ちによって割れを生じ易いという問題があり、建築部材として使用するため更なる改良が求められている。
また、雨水などの水分が成形体に染み込んで、補強材が劣化してしまう問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供している。
第1の発明は、充填材を含む熱可塑性樹脂からなる芯材と、該芯材を囲んで設けられた発泡熱可塑性樹脂からなる基材とを有することを特徴とする樹脂成形体を提供する。
第2の発明は、前記芯材及び基材の熱可塑性樹脂が、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキシド、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される1種であることを特徴とする。
第3の発明は、前記充填材が、芯材の熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜100質量部の範囲で含まれることを特徴とする。
第4の発明は、前記充填材が、木粉、タルク、マイカ、シリカ、カーボン、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウムからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする。
第5の発明は、前記基材の発泡熱可塑性樹脂の発泡倍率が1.1〜4.0倍の範囲であることを特徴とする。
第6の発明は、第1の樹脂材料として熱可塑性樹脂と発泡剤とを主押出機に投入し、第2の樹脂材料として熱可塑性樹脂と充填材とをサブ押出機に投入し、前記主押出機及びサブ押出機から共押出用の金型にそれぞれ樹脂を押出し、前記金型から、充填材を含む熱可塑性樹脂からなる芯材と、該芯材を囲んで設けられた発泡熱可塑性樹脂からなる基材とを有する長尺の樹脂成形体を得ることを特徴とする樹脂成形体の製造方法を提供する。
第7の発明は、前記樹脂成形体の製造方法において、前記熱可塑性樹脂が、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキシド、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される1種であることを特徴とする。
第8の発明は、前記樹脂成形体の製造方法において、前記充填材は、前記第2の樹脂材料の熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜100質量部の範囲で添加することを特徴とする。
第9の発明は、前記樹脂成形体の製造方法において、前記充填材が、木粉、タルク、マイカ、シリカ、カーボン、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウムからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする。
第10の発明は、前記樹脂成形体の製造方法において、前記基材の発泡熱可塑性樹脂の発泡倍率が1.1〜4.0倍の範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂成形体によれば、樹脂成形体の線膨張係数を低くすることができ、直射日光や環境温度の寒暖等による樹脂成形体の変形や割れ発生を防止することができるという効果が得られる。
また、基材の熱可塑性樹脂を高発泡化することができ、軽量化することができるという効果が得られる。
また、基材の熱可塑性樹脂を高発泡化することができ、釘打ち、切断などの作業が容易になり、また釘打ちによって割れを生じ難くすることができるという効果が得られる。
さらに、水分が芯材に染み込むことがなく、侵入した水分によって充填材が劣化することがなくなり、長期間にわたり良好な低伸縮性を保つことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態として示した樹脂成形体の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態として示した樹脂成形体の製造に用いられる樹脂成形体製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態として示した樹脂成形体の変形例を示す断面図である。
【図4】比較例として製造した樹脂成形体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態として示した樹脂成形体の実施形態を示す図である。この樹脂成形体1は、充填材を含む熱可塑性樹脂からなる芯材3と、該芯材3を囲んで設けられた発泡熱可塑性樹脂からなる基材2とからなっている。本実施形態において、樹脂成形体1は、断面長方形の長尺板状をなしている。
【0011】
芯材3の熱可塑性樹脂及び基材2の発泡熱可塑性樹脂は、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキシド、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される樹脂が好ましい。芯材3の熱可塑性樹脂と基材2の発泡熱可塑性樹脂は、互いに融着し合う樹脂を用い、両方に同じ樹脂を用いることが好ましい。
【0012】
前記熱可塑性樹脂は、各種の市販品の中から、適宜選択して用いることができる。また、市中発生品を回収し、粉砕処理したリサイクル品を用いることができる。熱可塑性樹脂のリサイクル品としては、回収や再利用が容易なポリスチレンやABS樹脂が好ましい。
【0013】
基材2を構成する発泡熱可塑性樹脂の発泡倍率は、1.1〜4.0倍の範囲が好ましく、1.5〜4.0倍がより好ましく、2.0〜3.5倍の範囲がさらに好ましい。基材2の発泡倍率を1.1倍以上とすれば樹脂成形体1が軽量になり、また釘打ちによって割れが生じ難くなる。基材2の発泡倍率を4.0倍以下とすれば建築部材として使用するために十分な強度が得られる。
【0014】
芯材3に添加される充填材としては、木粉、タルク、マイカ、シリカ、カーボン、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウムが挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を混合して用いることができ、それらの中でも木粉及びタルクが好ましい。
木粉としては、松、杉、檜等の廃木材を粉砕した木粉が使用可能であるが、木材に熱硬化性樹脂を添加し、加熱圧着、硬化して得られた、いわゆる合板の廃材を粉砕した廃木粉が、熱可塑性樹脂との混合性が優れているので好ましい。この木粉の大きさは200μm以下が好ましい。
また、タルクとしては、微粉末タルクや表面処理タルクなどの各種市販品の中から、使用する熱可塑性樹脂への分散性や価格などを考慮して適宜選択して用いることができる。
【0015】
芯材3に添加する充填材の添加量は、芯材3の熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜100質量部の範囲とすることが好ましく、20〜80質量部の範囲がより好ましい。充填材を1質量部以上芯材3に添加することで、芯材3の線膨張率が熱可塑性樹脂単独の線膨張率よりも低くなり、樹脂成形体1を低伸縮化することができる。充填材の添加量を100質量部以下とすることで、芯材3が脆くならず、樹脂成形体1の製造が容易になり、また芯材3と基材2とが融着し易くなる。
【0016】
前記樹脂成形体1の線膨張率は、基材2を構成する熱可塑性樹脂の線膨張率よりも低くなっている。その結果、直射日光や環境温度の寒暖等によって樹脂成形体1に変形や割れが生じ難くなる。熱可塑性樹脂としてポリスチレンを用いる場合、ポリスチレンのみを板状に押出した樹脂成形品(図4に示す樹脂成形品11)は、線膨張率が6.5〜8.0×10−5程度であるのに対し、充填材を含む芯材3を有する前記樹脂成形品1の線膨張率は、3.0〜6.0×10−5程度と低くすることができる。
【0017】
図2は、前記樹脂成形体1の変形例を示す図である。前記樹脂成形体の断面形状、芯材3の断面形状及び本数は、図1に示す樹脂成形体1のみに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、図2(a)に示す樹脂成形体1aは、基材2a内に2本の芯材3aを設けたものである。芯材3aの本数は2本に限定されず、3本以上としてもよく、またそれぞれの芯材3aは離間していても一部接続していてもよい。本例の樹脂成形体1aは、芯材3aの本数を増やしたことで樹脂成形体1aの低伸縮性を向上できる。また樹脂成形体1aの幅方向中央に芯材3aが存在しないため、図1に示す樹脂成形体1と比べて幅方向中央への釘打ちが容易になる。
図2(b)に示す樹脂成形体1bは、基材2bの幅方向一端側に凸部12を設け、幅方向他端側に凹部13を設けたものである。この凸部12を他の樹脂成形体1bの凹部13に嵌合し、凹部13に他の樹脂成形体1bの凸部12を嵌合することで多数枚の樹脂成形体1bを簡単に連結することができる。
図2(c)に示す樹脂成形体1cは、芯材3cを囲む基材2cの断面形状を円形としたものである。
図2(d)に示す樹脂成形体1dは、芯材3dを囲む基材2dの断面形状を六角形としたものである。
図2(e)に示す樹脂成形体1eは、芯材3eを囲む基材2eの断面形状を楕円形としたものである。
図2(f)に示す樹脂成形体1fは、芯材3fを囲む基材2fの断面形状を正方形としたものである。
【0018】
前記樹脂成形体1は、第1の樹脂材料として熱可塑性樹脂と発泡剤とを主押出機に投入し、第2の樹脂材料として熱可塑性樹脂と充填材とをサブ押出機に投入し、前記主押出機及びサブ押出機から共押出用の金型にそれぞれ樹脂を押出し、前記金型から、充填材を含む熱可塑性樹脂からなる芯材と、該芯材を囲んで設けられた発泡熱可塑性樹脂からなる基材とを有する長尺の樹脂成形体を得る製造方法によって製造される。
【0019】
図3は、樹脂成形体1の製造方法に用いられる樹脂成形体製造装置の一例を示すものである。
この樹脂成形体製造装置Aは、充填材を含む熱可塑性樹脂からなる芯材3と、該芯材3を囲んで設けられた発泡熱可塑性樹脂からなる基材2とからなる長尺板状の樹脂成形体1を共押出法によって製造する装置である。この樹脂成形体製造装置Aは、主押出機4、サブ押出機5、金型6、水槽7、引取機8、切断装置9を備えている。
【0020】
金型6は、主押出機4からの樹脂導入路と、サブ押出機5からの樹脂導入路と、第2の樹脂材料をストランド状に押出すとともに、それを囲むように第1の樹脂材料を合流させて板状に押出す開口とを有する。
【0021】
前記第1の樹脂材料に添加される発泡剤としては、従来より合成樹脂の発泡成形の際に使用されている任意の発泡剤が使用可能であり、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスホルムアミド、アゾジカルボンアミド、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジル化合物、重炭酸ソーダ等が挙げられる。
【0022】
また、前記第1の樹脂材料及び第2の樹脂材料には、必要に応じて、従来公知の熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、可塑剤、滑剤、加工助剤等の添加剤を添加混合することができる。
【0023】
この樹脂成形体製造装置Aを用いて樹脂成形品1を製造するには、第1の樹脂材料となる熱可塑性樹脂、発泡剤、及び必要に応じて添加剤などの材料を主押出機4に投入する。また、第2の樹脂材料として熱可塑性樹脂、充填材、必要に応じて添加剤などの材料をサブ押出機5に投入する。それぞれの押出機4,5内で樹脂を加熱溶融させて他の材料と混練し、溶融樹脂を金型6のそれぞれの樹脂導入路内に押出す。金型6の開口からは、充填材を含む第2の樹脂材料がストランド状に押出されると共に、それを囲むように合流した第1の樹脂材料が板状に押出される。
【0024】
金型6から共押出された樹脂成形体のうち、第1の樹脂材料は発泡し、発泡熱可塑性樹脂からなる基材2が形成される。第1の樹脂材料が発泡した樹脂成形体は、水槽7に導入され、水中で急冷されて発泡を停止させる。
【0025】
水槽7で急冷された樹脂成形品1は、長尺状態のまま水槽7から引取機8によって引き取られ、切断装置9によって所望の長さに切断され、樹脂成形体1が得られる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例によって本発明の効果を実証するが、以下の実施例は単なる例示であり、本発明を限定するためのものではない。
【0027】
[実施例1]
熱可塑性樹脂として、食品トレイなどに使用された発泡ポリスチレンの市中発生品を回収したものを粉砕処理したリサイクルポリスチレンを用いた。
製造装置として、図2に示す通り、主押出機4と、サブ押出機5と、共押出用の金型6と、水槽7と、引取機8と、切断装置9とを備えた樹脂成形体製造装置Aを用いた。
基材形成用の第1の樹脂は、前記リサイクルポリスチレンと発泡剤とをタンブラーで混合したものを主押出機4に投入した。
芯材形成用の第2の樹脂は、前記リサイクルポリスチレンと、該ポリスチレン100質量部に対して40〜60質量部のタルクとを、ヘンシェルミキサーに投入し、約150℃に加熱して混合し、さらにペレット化工程を行ってφ3〜4mm×約3mmの円筒形のペレットとし、これをサブ押出機5に投入した。
主押出機4及びサブ押出機5内でそれぞれ樹脂材料を加熱溶融、混練し、それぞれの樹脂材料を金型6に押出した。それぞれの押出機温度は約160〜180℃に設定した。
金型6の開口から共押出された樹脂成形体を水槽7に導いて急冷し、基材2の発泡を停止させ、長尺の樹脂成形体を引取機8で引き取って水槽7から導出し、切断装置9によって所定長さに切断し、図1に示す樹脂成形体1を製造した。
得られた樹脂成形体1は、図1に示す各部a〜dの寸法が、a=60mm、b=15mm、c=15mm、d=7mmであり、基部2の樹脂の発泡倍率が2〜2.5倍であった。
次に、得られた樹脂成形体1の線膨張率を、ASTM D696に準拠して測定した。結果を表1に記す。
【0028】
[実施例2]
芯材3に添加する充填材としてタルクに代えて木粉を樹脂100質量部に対して30〜50質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を製造した。
【0029】
[比較例1]
熱可塑性樹脂として、食品トレイなどに使用された発泡ポリスチレンの市中発生品を回収したものを粉砕処理したリサイクルポリスチレンを用いた。
製造装置として、主押出機と、金型と、水槽と、引取機と、切断装置とを備えた従来方式の樹脂成形体製造装置を用いた。使用した金型は、主押出機から供給される樹脂を開口から板状に押出すタイプのものである。
基材形成用の樹脂は、前記リサイクルポリスチレンを主押出機に投入した。
主押出機内で樹脂を加熱溶融、混練し、金型に押出した。押出機温度は約160〜180℃に設定した。
金型の開口から共押出された樹脂成形体を水槽に導いて急冷し、長尺の樹脂成形体を引取機で引き取って水槽から導出し、切断装置によって所定長さに切断し、芯材が無く非発泡のポリスチレン樹脂製の基材のみからなる図4に示す樹脂成形体11を製造した。
得られた樹脂成形体11は、図4に示すa,bの寸法が、a=60mm、b=15mmであった。
次に、得られた樹脂成形体11の線膨張率を、ASTM D696に準拠して測定した。結果を表1に記す。
【0030】
[比較例2]
熱可塑性樹脂として家電製品などに使用されたABS樹脂の市中発生品を回収したものを粉砕処理したリサイクルABS樹脂を用い、該ABS樹脂100質量部に対し充填材として木粉30質量部をヘンシェルミキサーに投入し、約150℃に加熱して混合し、さらにペレット化工程を行ってφ3〜4mm×約3mmの円筒形のペレットとし、これを主押出機に投入した。これ以外は比較例1と同様にして、芯材が無く非発泡のABS樹脂と木粉の混合物の基材からなる樹脂成形体11を製造した。
【0031】
【表1】

【0032】
表1の結果から、充填材を添加したポリスチレンからなる芯材と、該芯材を囲む発泡ポリスチレンからなる基材とからなる実施例1,2の樹脂成形体は、非発泡のポリスチレン樹脂製の基材のみからなる比較例1の樹脂成形体と比べ、線膨張率が低い。
【符号の説明】
【0033】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f 樹脂成形体
2,2a,2b,2c,2d,2e,2f 基材
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f 芯材
4 主押出機
5 サブ押出機
6 金型
7 水槽
8 引取機
9 切断装置
A 樹脂成形体製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材を含む熱可塑性樹脂からなる芯材と、該芯材を囲んで設けられた発泡熱可塑性樹脂からなる基材とを有することを特徴とする樹脂成形体。
【請求項2】
前記芯材及び基材の熱可塑性樹脂が、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキシド、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される1種である請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】
前記充填材が、芯材の熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜100質量部の範囲で含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
【請求項4】
前記充填材が、木粉、タルク、マイカ、シリカ、カーボン、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウムからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項5】
前記基材の発泡熱可塑性樹脂の発泡倍率が1.1〜4.0倍の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−230481(P2011−230481A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105377(P2010−105377)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000221580)東都積水株式会社 (8)
【Fターム(参考)】