説明

樹脂発泡成形品の製造方法及び樹脂発泡成形品

【課題】発泡樹脂材料の発泡のためのキャビティ拡大に起因して樹脂発泡成形品が形状ダレを生じる問題を解決することのできる表皮付き樹脂発泡成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】表皮16の内側に発泡層を有する樹脂発泡成形品を製造するに際し、第2分割型34の少なくとも一方の側面成形面38を突成形部44を有するものとなし、第1キャビティ36の拡大時に突成形部44にて突形状部の表皮16-2Aを保持してこれを型開き方向に相対移動させるようになすとともに、第2分割型34の第2摺動面54を側面成形面38に連続して形成し、第1キャビティ36の拡大時に第2摺動面54に沿って、型締状態で形成された表皮16-2Aに連続した新たな表皮16-2Bを形成するようになす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表皮の内側に発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品の製造方法及び樹脂発泡成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性のソリッド状態の表皮と、その内側に形成された同じ材質の熱可塑性樹脂の発泡層とを、硬質の樹脂製の芯材に積層状態に一体化し、末端部の一対の側面と、それら一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有する、全体として扁平形状をなす樹脂発泡成形品を製造する方法として発泡射出成形方法が知られている。
この製造方法は、自動車のドアトリム等の自動車の内装品その他の製造方法に好適な方法として近年広く用いられるようになってきている。
【0003】
この製造方法では、型開き方向に第1分割型と第2分割型とに分割された金型の第1キャビティに、硬質の樹脂製の芯材を一方の第1分割型に重ねてセットし保持させた状態で、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出して第1キャビティに充填し、しかる後芯材を保持した一方の第1分割型を第2分割型に対し所定ストローク型開き方向に相対的に後退移動させて第1キャビティを拡大し、発泡樹脂材料を発泡させることによって、基材が金型内面で固化して形成された表皮と、発泡樹脂材料の発泡にて形成された、表皮の内側の発泡層及び芯材を積層状態に一体に有する樹脂発泡成形品を成形する。
【0004】
更にこの樹脂発泡成形品の製造方法として、異材質を成す芯材と発泡層及び表皮とをほぼ同時的に連続して成形する2色成形方法も知れられている。
例えば下記特許文献1,特許文献2にその製造方法が開示されている。
図8はその具体例を示している。
【0005】
図8において、200は第1分割型、202は第3分割型、203は型締状態でそれら第1分割型200と第3分割型202とで形成される第2キャビティである。
ここでは先ず第2キャビティ203に芯材用の熱可塑性の樹脂材料を射出して芯材204を成形する。
【0006】
そして芯材204の成形後、第1分割型200を芯材204を保持した状態で第3分割型202に対して型開き方向に図中上向きに相対的に後退移動させ、しかる後第3分割型202と第2分割型206とを取り替えて型締めし、第1分割型200と第2分割型206とで表皮及び発泡層成形用の第1キャビティを形成する。
図9(I)はこのときの状態を示している。
【0007】
同図において、208は第1分割型200と第2分割型206とで形成された第1キャビティである。
この製造方法では、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料210を射出して第1キャビティ208に充填し、しかる後、第1分割型200を型開き方向に図中上向きに所定ストローク後退移動させ、第1キャビティ208を拡大させる。
【0008】
すると容積の拡大に伴う第1キャビティ208内の圧力の低下によって発泡樹脂材料210が発泡し、発泡層217を形成する。
またこのとき金型の内面に沿って、詳しくは第2分割型206の内面に沿って表皮215が形成される。
この表皮215は、熱可塑性樹脂の基材が金型の内面で冷却され固化することによって生ずる。
尚、212は第1分割型200の第1摺動面,214は第2分割型206の第2摺動面で、これら第1,第2摺動面212,214は型開閉方向に延びて互いに摺動し、型締状態及び第1キャビティの拡大時に第1キャビティ208を閉鎖状態に維持する。
【0009】
図10は、同様の製造方法による他の形状の樹脂発泡成形品の製造例を比較例として示したものである。
図10(III)において、218は芯材204と発泡層217と表皮215を積層状態に一体化して成る樹脂発泡成形品で、型開閉方向にストレート形状で延びる末端部の一対の側面220,222とそれら側面220,222の同じ側(図中上側)の各端を繋ぐ頂面224を有する全体として扁平な形状をなしている。
尚、226は芯材204に形成された図中右方向に延びる板状の取付部である。
【0010】
図10(I),(II)は、この樹脂射出成形品218を発泡射出成形によって製造する際の要部工程を示している。
図10(I)は、第1分割型200に芯材204をセットし保持させた状態で、第1分割型200と第2分割型206とを型締めし、そしてそれらの間に形成される第1キャビティ208に発泡樹脂材料を射出し充填した状態を示している。
【0011】
このとき、第2分割型206による冷却作用で熱可塑性樹脂の基材がその内面に沿って固化し、表皮215が形成される。
尚ここでは、芯材204の板状の取付部226のために、第1分割型200が主型200-1とスライド型200-2とに分割されている。
【0012】
ここでスライド型200-2は、成形後に図中右方向にスライド移動して、樹脂発泡成形品218の脱型を可能とする。
第1分割型200における一対の第1摺動面212の一方は、このスライド型200-2の側に形成されている。
【0013】
図10(II)は、(I)の状態から第1キャビティ208に射出し充填した発泡樹脂材料を発泡させるために、第1分割型200を第2分割型206に対して図中下向きに所定ストローク相対的に後退移動させ、第1キャビティ208を拡大したときの状態を表している。
【0014】
図10(II)に示しているようにこのとき、第1キャビティ208を形成する第2分割型206の左右の末端部に空隙Kが生じてしまい、図10(III)に示しているように樹脂発泡成形品218の左右の末端部が第2分割型206の成形面に沿って良好に成形されないといった問題が従来生じていた。
【0015】
これは、図10(I)に示す状態で即ち第1キャビティ208に発泡樹脂材料を充填した段階で表皮215が形成され、そして図10(I)に示す状態から図10(II)に示す状態まで第2分割型206が第1分割型200に対して相対移動したとき、側面220の表皮215-1が、頂面224の表皮215-2を末端部で引張ってしまって、頂面224の表皮215-2の末端部が第2分割型206に追従して移動しないことにより生ずるものである。
【0016】
その結果、樹脂発泡成形品218における頂面224と側面220との交差部の形状が、第2分割型206の成形面に応じたシャープな目的形状228に成形されず、同部分が形状ダレを生じてしまう。図中230はその形状ダレの部分を表している。
【0017】
而してこのような形状ダレ230が生じてしまうと、樹脂発泡成形品218の外観が損なわれ、また寸法が不安定化してしまう。
尚、こうした問題点については下記特許文献3,4等にも指摘されている。
【0018】
実際にはこうした形状ダレの問題から、第1キャビティの拡大時の型開き方向のストロークを小さくし、形状ダレによる外観不良,寸法の不安定化を防ぐようにしているのが実情である。
しかしながらそのようにした場合、必然的に樹脂発泡成形品の発泡倍率が小さいものとなって、発泡樹脂成形品218の軽量化,触感(軟質感)を十分に高めることができない。
以上、芯材を有する樹脂発泡成形品の製造方法を例として述べたが、以上のような問題はこのような芯材を有しない表皮付き樹脂発泡成形品を製造するに際しても生ずる問題である。
【0019】
【特許文献1】特開平7−80885号公報
【特許文献2】特開平7−88878号公報
【特許文献3】特開2006−130878号公報
【特許文献4】特開2008−183834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は以上のような事情を背景とし、発泡樹脂材料の発泡のためのキャビティ拡大に起因して樹脂発泡成形品が形状ダレを生じる問題を解決し、外観が良好で寸法の安定性も高く、しかも発泡倍率を高くし得て、軽量で触感に優れた樹脂発泡成形品を得ることのできる表皮付き樹脂発泡成形品の製造方法及び樹脂発泡成形品を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
而して請求項1は樹脂発泡成形品の製造方法に関するもので、型開き方向に第1分割型と第2分割型とに分割された金型の第1キャビティに、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出して充填し、しかる後前記一方の第1分割型を前記第2分割型に対し所定ストローク前記型開き方向に相対的に後退移動させて前記第1キャビティを拡大し、前記発泡樹脂材料を発泡させることによって、前記型開閉方向と直角方向の末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有する、金型内面で固化した表皮の内側に発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品を製造する樹脂発泡成形品の製造方法であって、前記側面を成形する一対の側面成形面と、前記頂面を成形する頂面成形面とを備えた前記第2分割型の少なくとも一方の側面成形面を、該側面の、型締状態で該側面成形面に沿って形成された前記表皮の基端よりも前記頂面側の上側部分の少なくとも一部を前記型開閉方向と直角方向の外方の突形状部に成形する突成形部を有するものとなして、前記第1キャビティの拡大時に、該突成形部にて前記表皮に形成された突形状部を保持して前記第1分割型に対して前記型開き方向に相対移動させるようになすとともに、前記第2分割型の、前記第1分割型の側の第1摺動面に対して摺動する、前記型開閉方向に延びた第2摺動面を前記一方の側面成形面に連続して形成し、前記第1キャビティの拡大時に該第2摺動面を前記側面の成形用として用い、該第2摺動面に沿って、前記型締状態で形成された表皮に連続した新たな表皮を形成するようになしたことを特徴とする。
【0022】
請求項2のものは、請求項1において、前記突形状部が、前記型締状態で形成された前記側面の表皮の前記基端から前記頂面に向って漸次前記軸直角方向の外方への突出量を拡大する形態のアンダーカット形状であることを特徴とする。
【0023】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記樹脂発泡成形品が熱可塑性樹脂から成る硬質の芯材付きのものであって、前記型締状態で予め前記第1分割型にセットし保持させてある前記芯材の、前記型開閉方向に延びる縦の面を前記第1分割型の側の第1摺動面として、前記第2摺動面を該第1分割型に対し金属接触させることなく摺動させるようになしてあることを特徴とする。
【0024】
請求項4のものは、型開き方向に第1分割型と第2分割型とに分割された金型の第1キャビティに、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出して充填し、しかる後前記一方の第1分割型を前記第2分割型に対し所定ストローク前記型開き方向に相対的に後退移動させて前記第1キャビティを拡大し、前記発泡樹脂材料を発泡させることによって、型開閉方向と直角方向の末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有する、金型内面で固化した表皮の内側に発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品を製造する樹脂発泡成形品の製造方法であって、前記側面を形成する一対の側面成形面と、前記頂面を成形する頂面成形面とを備えた前記第2分割型の少なくとも一方の側面成形面を、型締状態で前記側面の前記頂面側の上部を前記型開閉方向と直角方向の外方の突形状部に成形する上突成形部と、基端側の下部を該基端に到るまで該外方の突形状部に成形する下突成形部とを有するものとなして、前記第1キャビティの拡大時に、前記上突成形部にて前記表皮に形成された上突形状部を保持し且つ該表皮に形成された下突形状部の変形で前記型開き方向の相対移動を吸収することにより根元部を前記第1分割型側に残す状態で、前記側面成形面を前記第1分割型に対して前記型開き方向に相対移動させるようになしたことを特徴とする。
【0025】
請求項5のものは、請求項4において、前記上突形状部が、前記側面の前記頂面側の端に向って漸次前記軸直角方向の外方への突出量を拡大する形態のアンダーカット形状であることを特徴とする。
【0026】
請求項6は樹脂発泡成形品に関するもので、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料の基材が成形用の金型内面で固化して形成された表皮の内側に該発泡樹脂材料の発泡にて形成された発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品であって、末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有し、且つ少なくとも一方の側面の形状が、少なくとも該頂面側の上側部分が型開閉方向と直角方向の外方の突形状部をなし、且つ該突形状部より下側且つ前記発泡層の下端までの下部が、前記金型の型開閉方向にストレート形状で延びるストレート形状部をなしていることを特徴とする。
【0027】
請求項7のものは、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料の基材が成形用の金型内面で固化して形成された表皮の内側に該発泡樹脂材料の発泡にて形成された発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品であって、末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有し、且つ少なくとも一方の側面の形状が、該頂面側の上側部分が型開閉方向と直角方向の外方に突出した形状の上突形状部をなし、且つ該上突形状部より下側且つ前記発泡層の下端に到るまでの下部が該型開閉方向と直角方向の外方に突出した形状の下突形状部をなしていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0028】
以上のように請求項1の製造方法は、第2分割型における少なくとも一方の側面成形面を以下のような形状、即ち型締状態で側面成形面に沿って形成された表皮の基端よりも頂面側の上側部分の少なくとも一部を、型開閉方向と直角方向の外方の突形状部に成形する突成形部を有するものとなし、第1キャビティの拡大時にその突成形部にて表皮の突形状部を保持し、これを第1分割型に対して型開き方向に相対移動させるようになしたものである。
【0029】
このようにすれば、表皮における頂面と側面との交差部が第2分割型とともに第1分割型に対して型開き方向に相対移動するため、表皮における頂面と側面との交差部を、第2分割型における頂面成形面と側面成形面との交差部に沿ったシャープな形状に良好に成形することができる。
【0030】
この請求項1の製造方法では、上記の側面成形面に連続する形で、第2分割型の型開閉方向に延びる第2摺動面を形成しており、そしてこの第2摺動面を発泡樹脂成形品、詳しくは表皮の側面の成形用として利用している点を他の特徴としている。
【0031】
単に側面成形面に突成形部を設け、その突成形部にて表皮に形成された突形状部を保持してこれを第2分割型とともに第1キャビティの拡大時に相対移動させるようにしただけであると、既に形成されている表皮の基端側の部分がちぎれ、破れてしまうこととなる。
【0032】
しかるにこの請求項1の製造方法では、側面成形面に連続して第2摺動面が型開閉方向に延びる形態で設けてあり、そしてその第2摺動面の一部が側面成形用として働いて、この第2摺動面に沿って、既に形成されている表皮に連続した形で新たな表皮が形成される。
従って第1キャビティの拡大時に表皮が破れることがあっても何等問題は生じない。
【0033】
この請求項1の製造方法によれば、樹脂発泡成形品の外観を良好となすことができる。
またこの請求項1の製造方法によれば、頂面と側面との交差部の形状ダレを生じないことから、第1キャビティ拡大の際の第1分割型と第2分割型との相対移動のストロークを大きく取ることが可能となり、これにより第1キャビティの容積を十分に拡大し得て、発泡樹脂材料を十分に発泡させることができる。
【0034】
これにより、厚みが厚く且つ高発泡倍率の樹脂発泡成形品を、形状ダレを心配することなく製造することが可能となり、樹脂発泡成形品を従来に増して軽量化することができ、また柔らかな触感を従来に増して高めることが可能となる。
【0035】
この請求項1の製造方法において、上記突形状部を、型締状態で形成された側面の表皮の基端から頂面に向って漸次軸直角方向の外方に突出量を拡大させる形態のアンダーカット形状となしておくことができる(請求項2)。
【0036】
更にこの請求項1の製造方法は、熱可塑性樹脂から成る硬質の芯材付きの樹脂発泡成形品の製造方法に適用し、型締状態で第1分割型にセットし保持させてある芯材の、上記型開閉方向に延びる縦の面を第1分割型の側の第1摺動面として、これに対し上記の第2分割型の第2摺動面を第1分割型に対し金属接触させることなく摺動させるようになしておくことができる(請求項3)。
【0037】
このようにすれば、摺動面が金属接触し摺動することによって摺動面が擦られ摩耗して隙間を大きくし、その隙間から発泡樹脂材料の液が外部に漏出してしまうのを良好に防止することができる。
そしてこれにより、液の漏出によりバリが発生し、またそのバリ除去のための仕上げ工程を必要とするといった問題を解決することができる。
【0038】
次の請求項4は、第2分割型の側面成形面を、型締状態で側面の頂面側の上部を突形状部に成形する上突成形部と、基端側の下部をその基端に到るまで突形状部に成形する下突成形部とを有するものとなし、第1キャビティの拡大時に上突成形部にて表皮に形成された上突形状部を保持し、また表皮に形成された下突形状部を第1分割型の側に残す状態で、側面成形面を第1分割型に対し型開き方向に相対移動させるようになしたものである。
【0039】
この請求項4の製造方法においても、表皮における側面と頂面との交差部を、第2分割型の頂面成形面と側面成形面との交差部の形状に正確に追従した形状のシャープな形状に成形することができる。
【0040】
この請求項4の製造方法では、表皮における上突形状部の下側に下突形状部が成形される。
而して上突形状部が第2分割型の側面成形面と一体に型開き方向に相対移動したとき、表皮における下突形状部が直線形状となろうとする方向に変形を生じ、そしてその変形によって、表皮における上記の上突形状部の下側部分が破れを生じるのを防止することができる。
即ち、表皮における下突形状部の変形によって上突形状部の移動ストロークを吸収することができる。
【0041】
この請求項4の製造方法においても、上記の上突形状部を、頂面側の端に向って漸次軸直角方向の外方に突出量を拡大する形態のアンダーカット形状となしておくことができる(請求項5)。
【0042】
これら請求項1〜5において、上記第1分割型と、上記第2分割型とは別の第3分割型とを型締めして、それら第1分割型と第3分割型とで形成される第2キャビティに芯材用の熱可塑性樹脂を射出し、芯材を成形した後、第3分割型と第2分割型とを取り替えて、それら第1分割型と第2分割型とで形成される第1キャビティに、上記発泡樹脂材料を充填及び発泡させて表皮と発泡層とを成形し、芯材に一体化させるようになすことができる。
【0043】
次に請求項6は発泡樹脂成形品に関するもので、この樹脂発泡成形品は、少なくとも一方の側面の形状が、少なくとも頂面側の上側部分が型開閉方向と直角方向の外方の突形状部をなし、且つその突形状部よりも下側で発泡層の下端までの下部の部分が、金型の開閉方向にストレート形状で延びるストレート形状部をなしているもので、発泡樹脂成形品をこのような形状で構成しておくにより、その製造方法として請求項1の製造方法を好適に適用することができ、請求項1の製造方法による上記の利点を得ることができる。
尚この請求項6において、上記の突形状部は頂面側に向って漸次外方への突出量を拡大する形態のアンダーカット形状となしておくことができる。
【0044】
次に請求項7の樹脂発泡成形品は、少なくとも一方の側面の形状が、頂面側の上突形状部と、上突形状部より下側且つ発泡層の下端にまで到る下部の下突形状部とを有するものとなしたもので、この請求項7の樹脂発泡成形品は、その製造方法として請求項4の製造方法を好適に適用することができ、これにより請求項4の製造方法にて得られる上記の利点を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は自動車のドアトリムその他自動車の内装品等に好適に用いられる樹脂発泡成形品で、この樹脂発泡成形品10は、硬質の熱可塑性樹脂から成る芯材12と、芯材12に積層された熱可塑性樹脂の発泡層14と、発泡層14と同じ材質の樹脂から成り、発泡層14の外表面を覆うソリッド樹脂から成る表皮16とを積層状態に一体に有している。
この樹脂発泡成形品10は、全体的に図中上向きに太鼓状に膨出した扁平な形状を成している。
【0046】
芯材12は、樹脂発泡成形品10の形状の保持と相手側への取付部としての機能を有するもので、発泡層14及び表皮16から図中右向きに延び出した取付部24を有している。
取付部24には取付孔26が設けられており、取付部24はこの取付孔26において相手側部材に取付固定される。
【0047】
図1において、18は樹脂発泡成形品10における図中左側の末端部の側面を、また20は図中右側の末端部の側面を示しており、更に22はそれら一対の側面18,20の同じ側の端、詳しくは図中上側の端を結ぶ頂面を表している。
【0048】
図に示しているように左側の側面18は、頂面22側の上側部分が図中左方向に突出する突形状部をなしており、そしてその突形状部の図中下側部分が、図1中上下方向にストレート形状で延びるストレート形状部をなしている。
一方右側の側面20は、頂面22側の上部が図中右方向に突出した上突形状部をなしており、またその下側の部分が発泡層14の下端に到るまで図中右方向に突出した下突形状部をなしている。
【0049】
ここで図中左側の側面18における突形状部は、頂面22に向って図中上方に進むにつれて左方向への突出量を漸次拡大形態のアンダーカット形状をなしている。
更に右側の側面20における上突形状部もまた、頂面22に向って上側に進むにつれ右方向への突出量を漸次拡大する形態のアンダーカット形状をなしている。
【0050】
図1において、16-1は頂面22の表皮を、16-2は図中左側の側面18の表皮を、また16-3は図中右側の側面20の表皮をそれぞれ表している。
更に16-2Aは、左側の側面18における突形状部の表皮を、また16-2Bは側面18におけるストレート形状部の表皮を表している。
【0051】
ここで突形状部の表皮16-2Aは、側面18における突形状部に対応したアンダーカット形状をなしており、またストレート形状部16-2Bもまたこれに対応した上下方向のストレート形状をなしている。
一方16-3Aは、図中右側の側面20における上突形状部の表皮を、また16-3Bは下突形状部における表皮を表している。
【0052】
上突形状部の表皮16-3Aはアンダーカット形状をなしている。
一方下突形状部の表皮16-3Bは、緩い角度で傾斜する上側の表皮16-3Baと、急角度で立ち上がる下側の表皮16-3Bbとを有している。
【0053】
ここで表皮16-3Baと16-3Bbとは、後述する図3(II)の成形時点でそれぞれ図中左右の水平方向と上下の垂直方向の向きをなしていたものが、その後の第1キャビティの拡大時における第1分割型28と第2分割型34の相対移動によって、それぞれ図1に示す形状となったものである。
【0054】
本実施形態において、発泡層14及び表皮16を構成する熱可塑性樹脂として、様々な種類の樹脂を用いることが可能であるが、ここではこれら発泡層14及び表皮16を構成する熱可塑性樹脂として熱可塑性エラストマー(TPE)が用いられている。
またTPEとしてスチレン系(スチレン・ブロック・コポリマー(SBC)),オレフィン系(TPO),ウレタン系(TPU),ポリエステル系(TPEE),ポリアミド系(TPAE),1,2-ポリブタジエン系,塩ビ系(TPVC),フッ素系その他のものを用いることが可能であるが、ここでは特に好適なものとしてオレフィン系の熱可塑性エラストマー(TPO)が用いられている。
【0055】
一方、芯材12は上記の機能から剛性を有する硬質の熱可塑性樹脂を用いる必要があり、この実施形態ではかかる芯材12を構成する熱可塑性樹脂として様々な樹脂を用いることが可能であるが、特に好適なものとしてここではポリプロピレン樹脂が用いられている。
尚、芯材12は硬質のものであることが必要で、ここではロックウェル硬度(Rスケール)が80〜100、或いは100〜120程度のものが用いられているが、この芯材12としてはロックウェル硬度で50以上のものを用いるのが望ましい。
尚、芯材12はここではその厚みが2.3mmである。芯材12としては厚みが1.5mm以上であることが望ましい。
【0056】
一方、上記発泡層14は熱可塑性樹脂の基材に予め発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出成形して発泡させたもので、その発泡の手段として物理的発泡法と化学的発泡法の何れも使用可能である。
具体的には、物理的発泡法として溶融状態の基材樹脂に、窒素や二酸化炭素等の発泡性ガスを物理的に強制的に注入し、これを射出成形後に発泡させる方法、或いは熱分解により発泡性ガスを放出する発泡剤を樹脂材料中に加えておいて、射出成形後においてこれを熱分解させて発泡させる方法の何れも可能である。
【0057】
後者の化学的発泡法を用いる場合には、発泡剤としてアゾ化合物やニトロソ化合物等の有機発泡剤又は重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤を使用することができるが、ここでは重炭酸ナトリウムを発泡剤として用いている。
【0058】
図2〜図5は、樹脂発泡成形品10の製造方法を具体的に示している。
ここでは樹脂発泡成形品10を2色成形によって成形し、金型の一部を共通に用いて先ず芯材12を成形した後、続いて発泡層14及び表皮16を連続して成形し、それらを一体化する。
【0059】
図2は、先ず芯材12を成形する際の方法を示している。
図において、芯材12を成形する金型は雄型としての第1分割型28と、雌型としての第3分割型30との分割構造とされており、それら第1分割型28と第3分割型30とによって、芯材12の形状に対応した形状の第2キャビティ32を形成している。
【0060】
ここでは、図2(II)に示しているように芯材12用の樹脂材料を射出成形によって第2キャビティ32に充填し、そこでこれを固化させることによって芯材12を成形する。
芯材12を成形したら、第1分割型28と第3分割型30とを図中上下方向に型開きする。
このとき、成形された芯材12は第1分割型28の側に残りそこに保持される。
【0061】
図3〜図5は、発泡射出成形によって発泡層14と表皮16とを成形し且つこれを芯材12に一体化する際の方法を示している。
図3に示しているように、発泡層14及び表皮16を成形する金型は、図2に示す第1分割型28と、第2分割型34との分割構造をなしている。
即ち、発泡層14及び表皮16を成形する発泡射出成形用の金型は、芯材12成形用の第1分割型28を共通の金型として備えている。
【0062】
具体的には、芯材12成形用の図2の第3分割型30と、図3の第2分割型34とを取り替えることで、発泡層14及び表皮16の発泡射出成形用の金型が構成される。
尚この実施形態において、第2分割型34は主型34-1と一対のスライド型34-2,34-3とで構成されている。
そしてこれら主型34-1,一対のスライド型34-2,34-3にて構成される第2分割型34と、第1分割型28とで第1キャビティ36を形成している。
【0063】
ここで第2分割型34は、図1の樹脂発泡成形品10における図中左側の側面18を成形する側面成形面38と、図1中右側の側面20を成形する側面成形面40及び頂面22を成形する頂面成形面42を有している。
ここで図1中左側の側面18を成形する側面成形面38は、上記のアンダーカット形状の突形状部を成形する突成形部44を有している。ここで突成形部44は、図3(I)に示す型締状態で芯材12の側端面52の上端にまで達している。
【0064】
図3(I)中54は、図中上下方向即ち型開閉方向に縦の面をなす側端面52を、第1分割型28の側の第1摺動面としてこれに接触し、摺動する第2分割型34の第2摺動面を表している。
第2摺動面54は、図3(I)に示す型締状態で側端面52に接触して第1キャビティ36の図中左端を閉鎖し、また後述の第1キャビティ36の拡大時に、この側端面52から成る第1摺動面に対して摺動し、第1キャビティ36の図中左端側を閉鎖状態に維持する。
この第2摺動面54は、全期間を通じて第1分割型28側に金属接触することはない。
【0065】
一方、図1の樹脂発泡成形品10の図中右側の側面20を成形する第2分割型34の側面成形面40は、側面20における上突形状部を成形する上突成形部48と、下突形状部を成形する、厳密には図3(II)に示す第1キャビティ36に発泡樹脂材料を射出し充填したときに図3(II)の形状の下突形状部の表皮16-3Ba′,16-3Bb′を成形する、下突成形部50を有している。
この下突成形部50は、図3中左右方向の水平な成形面と垂直な成形面とを備えている。
【0066】
図3(II)は、型締状態の下で第1キャビティ36に発泡樹脂材料を射出し、充填したときの状態を示している。
このとき、第1キャビティ36に射出充填された発泡樹脂材料の基材が、第2分割型34の内面、詳しくは頂面成形面42と側面成形面38及び40に接してそこで固まることによって、表皮16の中間形状体16′が形成される。
【0067】
このとき、図中左側の側面には図1に示す表皮16-2のうち、突形状部における表皮16-2Aのみが形成される。
また図中右側の側面においては、上突形状部の表皮16-3Aと下形状部の表皮16-3Ba′,16-3Bb′が形成される。
但しこの段階では表皮16-3Ba′は型開き方向と直角な方向の図中水平向きであり、また表皮16-3Bb′はこれと直角方向の縦向きである。
【0068】
図3(III)は発泡樹脂材料を発泡させるべく、第1キャビティ36を拡大させた状態を表している。
詳しくは、第1分割型28を第2分割型34に対して相対的に所定ストローク後退移動させ、第1キャビティ36を拡大させたときの状態を表している。
尚このとき、第2分割型34の第2摺動面54は芯材12の側端面52に沿って摺動する。
尚、芯材12の厚み詳しくは側端面52の高さは、その際に必要な金型の相対移動ストローク以上の厚みで予め設定してある。
【0069】
この実施形態では、図3(II)に示す状態から(III)に示す状態まで第1分割型28と第2分割型34とを型開き方向に所定ストローク相対移動させると、図4(I)及び(II)に示すように第2分割型34の側面成形面38における突成形部44より、突形状部の表皮16-2Aがその内側の発泡樹脂材料とともに保持された状態で図4中上向きに相対移動する。
この結果、図4(II)に示すように先に形成された表皮16-2Aの下端が一時的に芯材12から引き離され、ちぎられてしまう。
【0070】
但しこのとき、第2分割型34の第2摺動面54が芯材12の側端面52の上側に移動して第1キャビティ36内の発泡樹脂材料に接触するため、発泡樹脂材料の基材がこの第2摺動面54に接してそこで冷却固化し、図4(III)に示すように表皮16-2Aに連続した新たな表皮16-2B(図1参照)を形成する。
即ちアンダーカット形状をなす樹脂発泡成形品10における図中左側の突形状部の下側の、図中上下方向即ち型開き方向にストレート形状をなす表皮16-2Bを形成する。
【0071】
一方、図3の右側の側面成形面40においては、図5(I),(II)に示すように上突成形部48により、既に形成されている表皮16-3Aを内側の発泡樹脂材料とともに保持してこれを図中上向きに相対移動させる。
このとき、図中下側の下突形状部の表皮16-3Ba′,16-3Bb′は側面成形面40による保持によって図中上方に持ち上げられることはなく、下突形状部の表皮16-3Bの根元部は第1分割型28の側詳しくは芯材12の側に残される。
【0072】
その結果、図5(II)に示すように当初水平向き,垂直向きであった表皮16-3Ba′,16-3Bb′が、引張力を受けて図5(II)及び図1に示す形状の表皮16-3Ba,16-3Bbに変形する。
即ち水平向きであった表皮16-3Ba′が緩い傾斜角度で傾き、また直立していた表皮16-3Bb′が立上り角度の急な傾斜形状に変形する。
そして表皮16-3Ba′及び16-3Bb′の変形によって、上突形状部の表皮16-3Aの図中上向きの移動が吸収される。
【0073】
このようにして第1キャビティ36が拡大せしめられると、第2キャビティ42の圧力の低下によって発泡樹脂材料中の発泡剤がガス化し、これにより発泡樹脂材料が発泡して図1の表皮16にて囲まれた内側の発泡層14を形成する
【0074】
その後、第1分割型28と第2分割型34とを図中上下方向に大きく相対移動させて型開きし、成形された樹脂発泡成形品10を金型から脱型する。
その際、スライド型34-2,34-3を図中左右方向にスライド移動させることによって、樹脂発泡成形品10を容易に金型から脱型することができる。
ここで、スライド型34-2,34-3を使用しているが、アンダーカットの形状や樹脂発泡成形品10がもつ弾性力によって、スライド型34-2,34-3を第2分割型34と一体とし、樹脂発泡成形品10を弾性変形させながら脱型することも可能である。
【0075】
以上のような本実施形態の製造方法によれば、第1キャビティ36の拡大時に表皮16における頂面22と側面18,20との交差部が、第2分割型34とともに第1分割型28に対して型開き方向に相対移動するため、表皮16における頂面22と側面18,20との交差部を、第2分割型34における頂面成形面42と側面成形面38,40との交差部に沿ったシャープな形状に良好に成形することができる。
【0076】
またこの製造方法では、側面成形面38に連続して第2摺動面54を型開閉方向に延びる形態で設け、そしてその第2摺動面54の一部を側面成形用として働かせて、この第2摺動面54に沿って、既に形成されている表皮16-2Aに連続した形で新たな表皮16-2Bを形成させる。
従って第1キャビティ36の拡大時に表皮16が破れることがあっても何等問題は生じない。
【0077】
更にこの製造方法では、第2分割型34の側面成形面40を、型締状態で側面の頂面22側の上部を突形状部に成形する上突成形部48と、基端側の下部をその基端に到るまで突形状部に成形する下突成形部50とを有するものとなし、第1キャビティ36の拡大時に上突成形部48にて上突形状部の表皮16-3Aを保持し、また下突形状部の表皮16-3Bを第1分割型28の側に残す状態で、側面成形面40を第1分割型28に対し型開き方向に相対移動させるようになしていることから、表皮16における側面20と頂面22との交差部を、第2分割型34の頂面成形面42と側面成形面40との交差部の形状に正確に追従した形状のシャープな形状に成形することができる。
【0078】
而して上突形状部の表皮16-3Aが第2分割型34の側面成形面40と一体に型開き方向に相対移動したとき、下突形状部の表皮16-3Bが直線形状となろうとする方向に変形を生じ、そしてその変形によって上突形状部の表皮16-3Aの下側部分が破れを防止する。
即ち下突形状部の表皮16-3Bの変形によって上突形状部の表皮16-3Aの移動ストロークを吸収することができる。
【0079】
このような製造方法によれば、樹脂発泡成形品10の外観を良好となすことができる。
またこの製造方法によれば、頂面22と側面18及び20との交差部の形状ダレを生じないことから、第1キャビティ36拡大の際の第1分割型28と第2分割型34との相対移動のストロークを大きく取ることが可能となり、これにより第1キャビティ36の容積を十分に拡大し得て、発泡樹脂材料を十分に発泡させることができる。
因みにこの製造方法によれば、従来発泡倍率1.8倍程度が限度であったのが、同一材料の下で2〜2.5倍まで発泡倍率を高くすることが可能である。
【0080】
これにより、厚みが厚く且つ高発泡倍率の樹脂発泡成形品10を、形状ダレを心配することなく製造することが可能となり、樹脂発泡成形品10を従来に増して軽量化することができ、また柔らかな触感を従来に増して高めることが可能となる。
【0081】
更にこの製造方法では第2分割型34の、型開き方向に延びて第1分割型28の側に対して摺動する第2摺動面54が、第1分割型28にセットし保持させてある芯材12の側端面52を第1分割型28の側の第1摺動面として、これに対し第1分割型28に対し金属接触させることなく摺動するようになしてあるため、摺動面が金属接触し摺動することによって摺動面が擦られ摩耗して隙間を大きくし、その隙間から発泡樹脂材料の液が外部に漏出してしまうのを良好に防止することができる。
そしてこれにより、液の漏出によりバリが発生し、またそのバリ除去のための仕上げ工程を必要とするといった問題を解決することができる。
【0082】
尚、上例では第2分割型34の第2摺動面54を芯材12の側端面52に対してだけ摺動させるようにしているが、図6に示しているように、第2摺動面54を第1分割型28の金属の第1摺動面56に対して摺動させるようになすことも可能である。
【0083】
更に図7に示しているように芯材12に縦の壁58を設けて、その縦の壁58の型開閉方向に延びる外面60を第1摺動面として、これに対し第2分割型34の第2摺動面54を摺動させるようになすことも可能である。
【0084】
これら図6,図7に示す実施形態では第1分割型28と第2分割型34との第1キャビティ36拡大時の相対移動のストロークを、上例に比べてより大きく確保することが可能となる。
【0085】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明は他の様々な樹脂発泡成形品の成形に適用することも可能であるし、また芯材を有しない樹脂発泡成形品の製造に適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態の樹脂発泡成形品を示した断面図である。
【図2】図1の樹脂発泡成形品の芯材の成形方法の説明図である。
【図3】図1の樹脂発泡成形品の発泡層と表皮の成形方法の要部工程の説明図である。
【図4】図3の工程図の要部を更に拡大して示す図である。
【図5】図4とは異なる部分の要部を更に拡大して示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態の要部工程の図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態の要部工程の図である。
【図8】従来公知の樹脂発泡成形品の製造方法の要部工程の説明図である。
【図9】図8に続く製造方法の要部工程の説明図である。
【図10】本発明の背景説明のために示した比較例図である。
【符号の説明】
【0087】
10 樹脂発泡成形品
12 芯材
14 発泡層
16 表皮
18,20 側面
22 頂面
28 第1分割型
30 第3分割型
32 第2キャビティ
34 第2分割型
36 第1キャビティ
38,40 側面成形面
42 頂面成形面
44 突成形部
48 上突成形部
50 下突成形部
54 第2摺動面
58 縦の壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型開き方向に第1分割型と第2分割型とに分割された金型の第1キャビティに、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出して充填し、しかる後前記一方の第1分割型を前記第2分割型に対し所定ストローク前記型開き方向に相対的に後退移動させて前記第1キャビティを拡大し、前記発泡樹脂材料を発泡させることによって、前記型開閉方向と直角方向の末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有する、金型内面で固化した表皮の内側に発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品を製造する樹脂発泡成形品の製造方法であって
前記側面を成形する一対の側面成形面と、前記頂面を成形する頂面成形面とを備えた前記第2分割型の少なくとも一方の側面成形面を、該側面の、型締状態で該側面成形面に沿って形成された前記表皮の基端よりも前記頂面側の上側部分の少なくとも一部を前記型開閉方向と直角方向の外方の突形状部に成形する突成形部を有するものとなして、前記第1キャビティの拡大時に、該突成形部にて前記表皮に形成された突形状部を保持して前記第1分割型に対して前記型開き方向に相対移動させるようになすとともに、
前記第2分割型の、前記第1分割型の側の第1摺動面に対して摺動する、前記型開閉方向に延びた第2摺動面を前記一方の側面成形面に連続して形成し、前記第1キャビティの拡大時に該第2摺動面を前記側面の成形用として用い、該第2摺動面に沿って、前記型締状態で形成された表皮に連続した新たな表皮を形成するようになしたことを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記突形状部が、前記型締状態で形成された前記側面の表皮の前記基端から前記頂面に向って漸次前記軸直角方向の外方への突出量を拡大する形態のアンダーカット形状であることを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記樹脂発泡成形品が熱可塑性樹脂から成る硬質の芯材付きのものであって、
前記型締状態で予め前記第1分割型にセットし保持させてある前記芯材の、前記型開閉方向に延びる縦の面を前記第1分割型の側の第1摺動面として、前記第2摺動面を該第1分割型に対し金属接触させることなく摺動させるようになしてあることを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。
【請求項4】
型開き方向に第1分割型と第2分割型とに分割された金型の第1キャビティに、熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料を射出して充填し、しかる後前記一方の第1分割型を前記第2分割型に対し所定ストローク前記型開き方向に相対的に後退移動させて前記第1キャビティを拡大し、前記発泡樹脂材料を発泡させることによって、型開閉方向と直角方向の末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有する、金型内面で固化した表皮の内側に発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品を製造する樹脂発泡成形品の製造方法であって
前記側面を形成する一対の側面成形面と、前記頂面を成形する頂面成形面とを備えた前記第2分割型の少なくとも一方の側面成形面を、型締状態で前記側面の前記頂面側の上部を前記型開閉方向と直角方向の外方の突形状部に成形する上突成形部と、基端側の下部を該基端に到るまで該外方の突形状部に成形する下突成形部とを有するものとなして
前記第1キャビティの拡大時に、前記上突成形部にて前記表皮に形成された上突形状部を保持し且つ該表皮に形成された下突形状部の変形で前記型開き方向の相対移動を吸収することにより根元部を前記第1分割型側に残す状態で、前記側面成形面を前記第1分割型に対して前記型開き方向に相対移動させるようになしたことを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、前記上突形状部が、前記側面の前記頂面側の端に向って漸次前記軸直角方向の外方への突出量を拡大する形態のアンダーカット形状であることを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料の基材が成形用の金型内面で固化して形成された表皮の内側に該発泡樹脂材料の発泡にて形成された発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品であって、
末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有し、且つ少なくとも一方の側面の形状が、少なくとも該頂面側の上側部分が型開閉方向と直角方向の外方の突形状部をなし、且つ該突形状部より下側且つ前記発泡層の下端までの下部が、前記金型の型開閉方向にストレート形状で延びるストレート形状部をなしていることを特徴とする樹脂発泡成形品。
【請求項7】
熱可塑性樹脂の基材に発泡剤を含有させた発泡樹脂材料の基材が成形用の金型内面で固化して形成された表皮の内側に該発泡樹脂材料の発泡にて形成された発泡層を有する表皮付きの樹脂発泡成形品であって、
末端部の一対の側面と、該一対の側面の同じ側の各端を繋ぐ頂面とを有し、且つ少なくとも一方の側面の形状が、該頂面側の上側部分が型開閉方向と直角方向の外方に突出した形状の上突形状部をなし、且つ該上突形状部より下側且つ前記発泡層の下端に到るまでの下部が該型開閉方向と直角方向の外方に突出した形状の下突形状部をなしていることを特徴とする樹脂発泡成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−94873(P2010−94873A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266552(P2008−266552)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000219668)東海化成工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】