説明

樹脂製モールド作製用積層体およびその製造方法、並びに樹脂製モールドの製造方法

【課題】微細な凹凸パターンが形成された樹脂製のレプリカモールドを高精度にかつ大量に高い生産性で製造できる樹脂製モールド作製用積層体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本願発明の樹脂製モールド作製用積層体10は、マスターモールドを用いた圧縮成形により樹脂製モールドを作製する際に圧縮成形に供される積層体であって、互いに対向する一対の基体11,12と、一対の基体11,12間に挟まれた液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の層13と、硬化性樹脂材料の硬化物からなり、前記一対の基体11,12間に挟まれた流動抑止体14とを有し、硬化性樹脂材料の層13が、一対の基体11,12および流動抑止体14によって封入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マスターモールドを用いた圧縮成形により樹脂製モールドを作製する際に圧縮成形に供される樹脂製モールド作製用積層体およびその製造方法に関する。また、その樹脂製モールド作製用積層体を用いた樹脂製モールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造等において、100nm以下の超微細パターンを形成し、量産性を安価に提供する技術としてナノインプリント法が注目されている。ナノインプリント法は、転写すべき凹凸パターンが予め形成されたモールドを、光硬化樹脂あるいは熱硬化樹脂からなる被転写材に押し付け、光を照射あるいは熱を与えながら被転写材を硬化させることによって、凹凸パターンを被転写材に転写する方法である。この方法のうち、光硬化樹脂を用いた転写法は光ナノインプリント法、熱硬化樹脂を用いた転写法は熱インプリント法と称されている。
微細な転写パターンを有するナノインプリント用モールドは、一般には、シリコン、シリコンの酸化物、ニッケル、石英ガラス等により形成される。また、被転写材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリイミド(PI)等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアルキド樹脂(PAK)等の光硬化性樹脂、またはハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂(HSQ)、スピンオンガラス材料(SOG)等の高粘性樹脂等が使用されることが多い。
【0003】
前述のナノインプリント用モールドは、例えば、シリコン等の表面に100nm以下の超微細凹凸パターンが形成されたものであり、大変高価である。このモールドがインプリントプロセスの際に摩耗し、破損すると、新しいモールドに交換しなければならないため、ナノインプリント法を経て製造される製品のコストが上昇することになる。そのため、工業的にナノインプリント法を適用する際には、原器となるマスターモールドを温存する目的で、レプリカモールドが作製される。すなわち、マスターモールドの凹凸パターンをスタンパ装置によって他の材料に転写させることにより、一つのマスターモールドから多数のレプリカモールドを作製する。
このレプリカモールドは大量に生産されたものであるから、安価である。したがって、レプリカモールドをナノインプリントに用いれば、モールドが破損しても別のレプリカモールドに交換でき、高価なマスターモールドを温存できる。その結果、微細な凹凸パターンを備えた製品をナノインプリント法により低コストで製造することが可能となる。
このような方法で製造するレプリカモールドとして樹脂製のモールドを用いることが検討され、例えば、光硬化反応を利用して微細パターンを転写する方法(例えば、非特許文献1参照。)、その光硬化時の収縮を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−122047号公報
【非特許文献1】ステファン・ワイ・チョウ(Stephen Y.Chou)ら、「アプライド・フィジックス・レター」,米国物理学会、67巻,21号,1995年11月20日、p.3314−3116
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体製造等における微細加工の要求からナノインプリント用モールドには、ますます微細なパターン形成が求められている。微細なパターン形成を行うと、モールドの摩耗の進行が速くなり、また破損の頻度が高くなる傾向にある。さらに、樹脂製のレプリカモールドは金属製のモールドに比べ寿命が短いため、樹脂製のモールドを用いる場合には、レプリカモールドを大量に確保しておく必要がある。そのため、レプリカモールドを大量に高い生産性で製造することが求められる。
【0005】
ところで、マスターモールドの凹凸パターンを転写させる材料においては、硬化性を有し、柔軟性、充填性が高く、厚さが均一であることが要求される。その要求を満足させる方法として、例えば、ゲル状の硬化性樹脂をベースフィルムの上に印刷し、その印刷膜を転写材料としてマスターモールドを押圧する方法が考えられる。
印刷膜を均一な膜厚でフィルム状に保持するためには印刷する樹脂にある程度の粘性が必要であるが、硬化性樹脂の粘性を高めると、マスターモールドによる転写の際に凹凸パターンへの充填性が低下して、転写の精度が低下する傾向にある。
また、ベースフィルムの表面にあらかじめ堰を設け、その堰の中に液体状の硬化性樹脂を流し、それにより得た硬化性樹脂の層にマスターモールドをスタンプする方法が考えられる。しかしながら、この方法は製造設備が大がかりになる上に生産性が低く、しかも薄い層を得ることは困難である。
また、ベースフィルムの上にスピンコートにより硬化性樹脂の薄膜を形成し、その薄膜を転写材料としてマスターモールドを押圧する方法も考えられるが、さらに製造設備が大がかりになる上に生産性が低下する傾向にある。
【0006】
本願発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、微細な凹凸パターンが形成された樹脂製のレプリカモールドを高精度にかつ大量に高い生産性で製造できる樹脂製モールド作製用積層体およびその製造方法、並びに樹脂製モールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は上記課題を解決すべく検討した結果、互いに対向する一対の基体間に粘性の低い硬化性樹脂材料を挟み、その硬化性樹脂材料の周囲を該硬化性樹脂材料の硬化物で囲うことで、前記課題を解決できることを見出し、本願発明を完成させた。
すなわち、本願発明は以下の通りである。
[1] マスターモールドを用いた圧縮成形により樹脂製モールドを作製する際に圧縮成形に供される積層体であって、
互いに対向する一対の基体と、該一対の基体間に挟まれた液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の層と、該硬化性樹脂材料の硬化物からなり、前記一対の基体間に挟まれた流動抑止体とを有し、
前記硬化性樹脂材料の層が、一対の基体および流動抑止体によって封入されていることを特徴とする樹脂製モールド作製用積層体。
[2] 液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする[1]に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
[3] 硬化性樹脂材料が、(メタ)アクリル基、オキセタニル基、シクロヘキセンオキサイド基およびビニルエーテル基からなる群より選ばれる1種以上の反応基を有する樹脂材料であることを特徴とする[1]または[2]に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
[4] 硬化性樹脂材料が放射線硬化性樹脂材料であり、硬化性樹脂材料の硬化物が前記硬化性樹脂材料を放射線照射により硬化させた硬化物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
[5] 放射線硬化性樹脂材料が、300nm〜400nmの範囲内の波長に対して硬化性を有する樹脂を含有し、硬化後の硬化物の300nm〜400nmの範囲内の波長の透過率が20%以上、温度25℃における引張弾性率が1.3GPa以上であることを特徴とする[4]に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
[6] 一対の基体が一対の樹脂フィルムから構成され、該樹脂フィルムの少なくとも一方が放射線を透過させることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
[7] 一対の基体の少なくとも一方が、前記硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料で構成されていることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
[8] 一対の基体が、圧縮成形する際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする[1]または[2]に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
[9] 互いに対向する一対の基体間に、液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を挟み、該硬化性樹脂材料の周縁部分のみを硬化させることを特徴とする樹脂製モールド作製用積層体の製造方法。
[10] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体から一方の基体を剥離して硬化性樹脂材料の層を露出させる工程、
露出した硬化性樹脂材料の層に、凹凸パターンを有するマスターモールドを押圧する工程、
マスターモールドを押圧したまま前記硬化性樹脂材料の層を硬化させて樹脂製モールドを得る工程、
マスターモールドから樹脂製モールドを剥離する工程を有することを特徴とする樹脂製モールドの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の樹脂製モールド作製用積層体は、微細な凹凸パターンが形成された樹脂製のレプリカモールドを高精度にかつ大量に高い生産性で製造できるものである。
本願発明の樹脂製モールド作製用積層体の製造方法によれば、上記の積層体を簡便に製造することができる。
本願発明の樹脂製モールドの製造方法によれば、微細な凹凸パターンが形成された樹脂製のレプリカモールドを高精度にかつ大量に高い生産性で製造できる。よって、ナノインプリント法を適用した半導体製造等において、製品の量産性を高め、また製品のコストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(樹脂製モールド作製用積層体)
以下、本願発明に関し詳細に説明する。
本願発明の樹脂製モールド作製用積層体(以下、積層体と略す。)の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の積層体を示す。この積層体10は、マスターモールドを用いた圧縮成形により樹脂製のレプリカモールドを作製する際に圧縮成形に供される積層体である。具体的には、互いに対向する一対の長尺な基体11,12と、一対の基体11,12間に挟まれた硬化性樹脂材料の層13と、一対の基体11,12間に挟まれ、長さ方向に沿った第1の流動抑止体14,14とを有する。また、硬化性樹脂材料の層13は、一対の基体11,12および第1の流動抑止体14,14によって封入されている。
【0010】
本実施形態例における基体11,12は長尺状であるため、マスターモールドを連続的にスタンプできるようになっている。
長尺状の基体11,12の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mである。
【0011】
基体11,12が長尺状である本実施形態例では、その間に挟まれる硬化性樹脂材料の層13の厚さが、フィルムの長さ方向に不均一になる可能性がある。そのため、本実施形態例では、図2に示すように、幅方向に沿った直線状の第2の流動抑止体15が一定間隔で設けられている。このように幅方向に第2の流動抑止体15が設けられていれば、硬化性樹脂材料が長さ方向に移動しにくくなるため、硬化性樹脂材料の層13の厚さが長さ方向に不均一になることを防止できる。
第2の流動抑止体15が設けられている場合には、硬化性樹脂材料の層13は矩形状になっている。
【0012】
基体11,12の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化性樹脂材料として光硬化性樹脂を用いる場合には、硬化させるための放射線を透過させるものが好ましい。さらに、硬化性樹脂材料の層13の厚さを一定にするために、表面の平滑性が良好になるものがより好ましい。
具体的な基体11,12の材料としては、透明な合成樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。これら材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
また、基体11,12の少なくとも一方は、硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料であることが好ましい。
積層体10を用いてレプリカモールドを製造する際には、後述するように、基体11,12の少なくとも一方を剥離する必要があるため、基体11,12の少なくとも一方が、硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料であれば、基体11,12を剥離する際の作業性が良好になる。
ただし、基体11,12の剥離性が高すぎると、基体11,12に挟まれた硬化性樹脂材料が漏れ出すおそれがある。そのため、基体11,12の剥離性は、硬化性樹脂材料が漏れ出ない程度であることが好ましい。
また、基体11,12は、圧縮成形する際の加熱による変形を防止するために、圧縮成形する際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましい。
【0014】
基体11,12の硬化性樹脂材料の層13側には、剥離性のフィルムであるセパレートフィルムが設けられていてもよい。上述したように、基体11,12は、硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料であることが好ましいが、その一方で、ベースフィルムになる基体11には、硬化性樹脂材料の層13を平坦に保つために高い剛性が求められ、カバーフィルムになる基体12には、剥離しやすさの点から高い可撓性が求められる。この要求に対し、基体11,12の硬化性樹脂材料の層13側にセパレートフィルムを設けて硬化性樹脂材料の硬化物に対する剥離性を確保すれば、基体11,12として剛性または可撓性が高いものを選択できる。したがって、前記要求を容易に満足させることができる。
セパレートフィルムとしては、基体11,12との接合性によっても選択されるが、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
【0015】
セパレートフィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、8μm〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
セパレートフィルムを用いる場合には、硬化性樹脂材料の硬化物とセパレートフィルムとが、硬化性樹脂材料の硬化物と基体11,12とよりも剥離しやすいことが好ましく、セパレートフィルムと硬化性樹脂材料の硬化物との層間の接着力は、他の各層間の層間接着力よりも小さいことがより好ましい。
【0016】
基体11,12とセパレートフィルムとの組合せ(以下、基体/セパレートフィルムの組み合わせで示す。)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0017】
また、基体11,12及びセパレートフィルムの少なくとも一方に、接着力を調整するための表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などが挙げられる。
これらのうち、下塗層を塗設する方法としては、ポリオルガノシロキサン、フッ素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーを含む塗布液を、基体11,12またはセパレートフィルムの表面に塗布した後、30℃〜150℃(特に50℃〜120℃)で1分〜30分間乾燥させる方法などが挙げられる。
【0018】
基体11,12とセパレートフィルムとの静摩擦係数は0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。静摩擦係数が0.3未満であると、滑り過ぎるため、積層体をロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、ロール状に巻くことが困難となることがある。
【0019】
基体11,12の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜300μmが好ましく、5μm〜200μmがより好ましく、8μm〜100μmが特に好ましい。
【0020】
硬化性樹脂材料は、液状あるいはゲル状の流動性のある材料とする。中でも、より高精度に樹脂製モールドを製造できることから、その粘度が10Pa・s以下のものが好ましい。ここで、粘度は、25℃の環境下において、例えばビスコメーター(ブルックフィールド社製、商品名「DV−EVISCOMETER」)を用いて測定した値である。
硬化性樹脂材料としては、硬化性に優れることから、(メタ)アクリル基、オキセタニル基、シクロヘキセンオキサイド基およびビニルエーテル基からなる群より選ばれる1種以上の反応基を有する樹脂材料が好ましい。
また、硬化性樹脂材料としては、積層体10を光ナノインプリント法に用いる場合には放射線硬化性樹脂が用いられ、熱ナノインプリント法を用いる場合には熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。
とりわけ、硬化性樹脂材料としては、放射線硬化性樹脂材料がより好ましい。放射線硬化性樹脂材料によれば、光照射によって短時間にかつ容易に硬化させることができるため、マスターモールドからレプリカモールドを製造する工程を簡便かつ短時間に行うことができる。
【0021】
放射線硬化性樹脂材料は、300nm〜400nmの範囲内の波長に対して硬化性を有する樹脂を含有し、硬化後の硬化物の300nm〜400nmの範囲内の波長の透過率が20%以上、温度25℃における引張弾性率が1.3GPa以上であることが好ましい。このような放射線硬化性樹脂を用いれば、硬化性樹脂材料の硬化性が充分に光を透過させるため、ナノインプリントプロセスに光ナノインプリント法を適用することが可能になる。また、硬化性樹脂材料の硬化物の引張弾性率が1.3GPa以上であれば、ナノインプリント法に適した物性の樹脂製モールドが得られる。
また、このような放射線硬化性樹脂材料は、光硬化時の収縮率が低く、マスターモールドに対する離型性が高いため、この樹脂材料を用いてレプリカモールドを製造すると、微細な凹凸パターンを有する樹脂製モールドを低い不良率で製造できる。
なお、波長の透過率は、例えば分光光度計(日本分光社製、商品名「V−650」)を用いて測定する。測定の際の、試料の硬化膜の厚みは20μmとし、測定温度は室温とする。また、引張弾性率はJIS K7120に準拠して導出する。すなわち、チャック幅50mmでレオメーター(例えば、FUDOH社製、商品名「RT−3010D−CW」)に評価用硬化膜を取り付け、25℃で延伸して、破断点までの変位を求めることにより導出する。
【0022】
300nm〜400nmの範囲内の紫外線に対して硬化性を有する放射線硬化性樹脂材料としては、アクリル単量体(A)、光重合開始剤(B)および離型剤(C)を含有するものが好ましい。
【0023】
アクリル単量体(A)としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択できるものであり、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類が用いられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート。
1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタアエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート。
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のその他の(メタ)アクリレート。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。具体的な商品名としては、ビームセット371(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
これらアクリル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
放射線硬化性樹脂材料中のアクリル単量体の含有量は85〜98質量%が好ましく、87.5〜96質量%がより好ましく、90〜94質量%が特に好ましい。アクリル単量体の含有量が85質量%以上であれば、硬化後の材料を成形して用いる場合に充分に良好な物性が得られ、98質量%以下であれば、重合開始剤や離型剤等との混合により、硬化後の材料の物性調整が容易になる。
【0025】
光重合開始剤(B)としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤:アセトフェノン、p−(tert−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
ベンゾイン系光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
チオキサントン系光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。
【0026】
放射線硬化性樹脂材料中の重合開始剤の含有量は、アクリル単量体の100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。重合開始剤の含有量が0.001質量部以上であれば、アクリル単量体を短時間に重合でき、10質量部以下であれば、重合開始剤の残渣が硬化物中に残存しにくい。
【0027】
離型剤(C)としては、より離型性に優れる硬化物が得られることから、含フッ素界面活性剤を含むことが好ましい。さらには、フッ素含有量が10〜70質量%の含フッ素界面活性剤がより好ましく、フッ素含有量が10〜40質量%の含フッ素界面活性剤が特に好ましい。含フッ素界面活性剤は、水溶性であっても油溶性であってもよい。
含フッ素界面活性剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤、カチオン性含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン性含フッ素界面活性剤のいずれであってもよい。これらの中でも、硬化性樹脂材料における相溶性と、その硬化物における分散性が良好であることから、ノニオン性含フッ素界面活性剤が特に好ましい。
【0028】
アニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸塩、ポリフルオロアルキル燐酸エステル、またはポリフルオロアルキルスルホン酸塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−111(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−143(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120、メガファックR−30(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
カチオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸のトリメチルアンモニウム塩、またはポリフルオロアルキルスルホン酸アミドのトリメチルアンモニウム塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−121(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−134(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−150(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
両性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルベタインが好ましい。両性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−132(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFX−172(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
ノニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルアミンオキサイド、またはポリフルオロアルキル・アルキレンオキサイド付加物が好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−145(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンS−393(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−20(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−170(商品名、スリーエム社製)、フロラードFC−430(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−141(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
【0029】
放射線硬化性樹脂材料中の含フッ素界面活性剤の含有量は、放射線硬化性樹脂材料の全体を100質量%とした際の0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。含フッ素界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であれば、離型性に優れた硬化物を確実に形成でき、10質量%以下であれば、放射線硬化性樹脂材料を容易に調製できる。
【0030】
硬化性樹脂材料として、熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱硬化性樹脂としては、熱ナノインプリント法に対する適合性の点から、圧縮成形の際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
【0031】
硬化性樹脂材料の層13の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましく、3μm〜25μmがより好ましく、5μm〜15μmが特に好ましい。
【0032】
第1の流動抑止体14および第2の流動抑止体15は、前記硬化性樹脂材料を硬化させた硬化物からなる。第1の流動抑止体14自体および第2の流動抑止体15自体の幅は1mm〜20mmであることが好ましい。第1の流動抑止体14自体および第2の流動抑止体15自体の幅が1mm以上であれば、確実に硬化性樹脂材料を封入でき、20mm以下であれば、未硬化の硬化性樹脂材料の面積を充分に確保できる。
【0033】
上述した積層体10では、硬化性樹脂材料の層13が基体11,12および第1の流動抑止体14および第2の流動抑止体15によって封入されているため、硬化性樹脂材料が流れ出ることを防止して、硬化性樹脂材料の層13を薄くかつ均一な厚さにすることができる。とりわけ、流動抑止体14は、硬化性樹脂材料自体を硬化させたものであるため、硬化性樹脂材料の層13の全体にわたって厚さが均一化されている。そのため、マスターモールドを押圧した際に、高精度に凹凸パターンを転写させて、樹脂製のレプリカモールドを得ることができる。
また、このような積層体10を用いることにより、レプリカモールドの製造の原料となる硬化性樹脂材料の層13を、大がかりな設備を用いずにスタンパ装置に容易に連続的に供給できる。そのため、微細な凹凸パターンが形成された樹脂製レプリカモールドを大量に高い生産性で製造できる。
【0034】
(積層体の製造方法)
本願発明の積層体の製造方法の一実施形態例について説明する。
本実施形態例の積層体の製造方法は、まず、一方の基体11に、溶剤で希釈した硬化性樹脂材料を塗布し、乾燥させて溶剤を除去させた後、他方の基体12を載せる。
次いで、基体11,12で挟んだ硬化性樹脂材料の周縁部分のみを硬化させて、第1の流動抑止体14を形成する。第1の流動抑止体14の形成方法については特に制限されるものではなく、硬化性樹脂材料の性質に応じ、適宜選択できるが、例えば、他方の基体12を載せた後、ロールで巻き取る前に紫外線照射機により幅方向の両端部のみを硬化させる方法が挙げられる。この方法によれば、連続生産が効率的であり、生産性をより高くすることができる。
なお、硬化性樹脂材料の層13の粘度が低く、両端部のみを硬化させただけでは、その硬化度や基体11,12に対する接合性が不充分である場合には、複数の紫外線照射機を用いて硬化性樹脂材料に紫外線を照射することが好ましい。
【0035】
次いで、幅方向に沿って紫外線を照射して、第2の流動抑止体15を形成する。第2の流動抑止体15を形成すれば、封入された硬化性樹脂材料の厚さをより均一化できる。
第2の流動抑止体15の形成方法としては、例えば、紫外線照射装置のオン−オフをタイマーで制御して一定間隔で紫外線を照射する方法、シャッターを用いて、一定間隔に幅方向に沿って紫外線を照射する方法などが挙げられる。
上記のように、第1の流動抑止体14および第2の流動抑止体15を形成することにより、硬化性樹脂材料の層13を封入させる。その後、ロールで巻き取って、積層体10のロールを得る。
【0036】
上述した積層体10の製造方法では、基体11,12で挟んだ硬化性樹脂材料の周縁部分を硬化させて第1の流動抑止体14および第2の流動抑止体15とするから、上記積層体10を簡便に製造できる
【0037】
なお、本発明の積層体およびその製造方法は、上記実施形態例に限定されない。例えば、上記実施形態例では、流動抑止体が長さ方向に沿った第1の流動抑止体14と幅方向に沿った第2の流動抑止体15であったが、図3に示すように、硬化性樹脂材料の層13を円形状とし、それ以外の部分16を硬化させて流動抑止体としてもよい。
【0038】
(樹脂製モールド)
本願発明の樹脂製モールドの製造方法の一実施形態例について説明する。
本実施形態例の樹脂製モールドの製造方法では、まず、図4に示すように、上記積層体10から一方の基体12を剥離して、硬化性樹脂材料の層を露出させる。
次いで、図5に示すように、露出した硬化性樹脂材料の層13に、凹凸パターンを有するマスターモールド20を押圧する。このときの圧力は0.1〜100MPaが好ましい。圧力が0.1MPa以上であれば、より高精度にマスターモールド20の凹凸パターンを転写させることができ、100MPa以下であれば、スタンパ装置として汎用的なものを使用できる。
【0039】
次いで、マスターモールド20を押圧したまま硬化性樹脂材料の層13を硬化させて樹脂製モールド30を得る。
硬化性樹脂材料が放射線硬化性樹脂材料である場合には、紫外線や電子線等の放射線を硬化性樹脂材料の層13に照射させて硬化させる。その際、放射線の照度を20〜10,000mW/cmにすることが好ましい。放射線の照度を20mW/cm以上にすれば、迅速に硬化させることができる。ただし、放射線の照度を10,000mW/cmより高くしても、それ以上の硬化速度の向上は図れないため、無益である。
硬化性樹脂材料が熱硬化性樹脂である場合には、その熱硬化性樹脂の硬化温度より高い温度に加熱する。
【0040】
その後、図6に示すように、マスターモールド20から樹脂製モールド30を剥離させて、樹脂製モールド30を回収する。これにより得た樹脂製モールド30はレプリカモールドとして利用される。
【0041】
本願発明の樹脂製モールドの製造方法では、上記積層体10を用いるため、微細な凹凸パターンが形成された樹脂製のレプリカモールドを高精度にかつ大量に高い生産性で製造できる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(硬化性樹脂材料の調製)
ビームセット371(荒川化学工業社製)を77.4質量部、イルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の25質量%アセトン溶液を6.0質量部、メガファックR−30(DIC株式会社製)を2.5質量部、酢酸エチル(希釈溶剤)を16.4質量部配合して、紫外線硬化性の硬化性樹脂材料の溶液を調製した。
この硬化性樹脂材料の粘度は59.1mPa・sであり、硬化後の硬化物は、波長365nmの透過率が65%、温度25℃における引張弾性率が0.03GPaである。
【0043】
(積層フィルムの製造)
得られた硬化性樹脂材料の溶液を、易接着処理を施したベースフィルム(基体12)であるポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、厚さ50μm、幅100mm、長さ1000m)上に塗布した。
次いで、希釈溶剤を揮発させて、厚さ30μmの紫外線硬化性樹脂材料の層13(粘度:2Pa・s)を形成させた。
次いで、その硬化性樹脂層13の上に、カバーフィルム(基体11)としてシリコーン処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ16μm)を貼り合せて、硬化性樹脂材料の層をベースフィルムとカバーフィルムで挟んだ積層フィルムを得た。
【0044】
(硬化性樹脂材料の封入)
得られた積層フィルムの幅方向の両端部に90mm×10mmの幅で紫外線(365nm、36mW/m)を照射して流動抑止体を形成しながら、ABS樹脂製円筒状巻き芯を用いて1080mm/分の巻取り速度で巻き取った。これにより、長さ150m、幅100mmで、幅方向の両端部10mmが硬化されて流動抑止体になった積層体のロールを得た。
【0045】
(レプリカモールドの製造)
得られた積層体のロールとマスターモールドを用いて、レプリカモールドを製造した。
マスターモールドとしては、厚さ0.3mm、内径16mm、外径63.5mmのニッケル電鋳製のドーナツ盤の表面に凹凸高さ80nm、凸部幅120nm、凹部幅80nmの同心円パターンを多数形成したスタンパを用いた。
このマスターモールドのパターン面を下にしてスタンパ装置に取り付けた。次いで、前記積層体を、カバーフィルムの表面を上にしてカバーフィルムの表面がマスターモールドのパターン面と対向するように供給した。
次いで、積層体からカバーフィルムを剥離させ、露出した硬化性樹脂材料の層にマスターモールドを圧力30MPaで10秒間押し付けた。その状態のまま、照度が30mW/cmに設定された紫外線照射装置(波長365nmのLEDランプ)により紫外線を20秒間照射して、硬化性樹脂材料を硬化させた。そして、紫外線の照射を停止し、マスターモールドを上昇させ、硬化性樹脂材料の層にパターンを転写させたレプリカモールドを得た。この工程を連続的に行い、積層体のロールから1500個のレプリカモールドを得た。
【0046】
(レプリカモールドの評価)
得られた1500個のレプリカモールドについて、転写パターンの不良率を調べた。不良率は、全同心円パターンの3%以上にパターン転写不良があるものを不良品として計算した。その結果、不良率は2%以下であり、高い生産性で高精度にレプリカモールドを製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の積層体の一実施形態例を示す断面図である。
【図2】硬化性樹脂材料の層および流動抑止体の一例を説明する図である。
【図3】硬化性樹脂材料の層および流動抑止体の他の例を説明する図である。
【図4】本発明の樹脂製モールドの製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。
【図5】本発明の樹脂製モールドの製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。
【図6】本発明の樹脂製モールドの製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 積層体
11,12 基体
13 硬化性樹脂材料の層
14 第1の流動抑止体
15 第2の流動抑止体
20 マスターモールド
30 樹脂製モールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターモールドを用いた圧縮成形により樹脂製モールドを作製する際に圧縮成形に供される積層体であって、
互いに対向する一対の基体と、該一対の基体間に挟まれた液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の層と、該硬化性樹脂材料の硬化物からなり、前記一対の基体間に挟まれた流動抑止体とを有し、
前記硬化性樹脂材料の層が、一対の基体および流動抑止体によって封入されていることを特徴とする樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項2】
液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項3】
硬化性樹脂材料が、(メタ)アクリル基、オキセタニル基、シクロヘキセンオキサイド基およびビニルエーテル基からなる群より選ばれる1種以上の反応基を有する樹脂材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項4】
硬化性樹脂材料が放射線硬化性樹脂材料であり、硬化性樹脂材料の硬化物が前記硬化性樹脂材料を放射線照射により硬化させた硬化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項5】
放射線硬化性樹脂材料が、300nm〜400nmの範囲内の波長に対して硬化性を有する樹脂を含有し、硬化後の硬化物の300nm〜400nmの範囲内の波長の透過率が20%以上、温度25℃における引張弾性率が1.3GPa以上であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項6】
一対の基体が一対の樹脂フィルムから構成され、該樹脂フィルムの少なくとも一方が放射線を透過させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項7】
一対の基体の少なくとも一方が、前記硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項8】
一対の基体が、圧縮成形する際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製モールド作製用積層体。
【請求項9】
互いに対向する一対の基体間に、液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を挟み、該硬化性樹脂材料の周縁部分のみを硬化させることを特徴とする樹脂製モールド作製用積層体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂製モールド作製用積層体から一方の基体を剥離して硬化性樹脂材料の層を露出させる工程、
露出した硬化性樹脂材料の層に、凹凸パターンを有するマスターモールドを押圧する工程、
マスターモールドを押圧したまま前記硬化性樹脂材料の層を硬化させて樹脂製モールドを得る工程、
マスターモールドから樹脂製モールドを剥離する工程を有することを特徴とする樹脂製モールドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−279879(P2009−279879A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135989(P2008−135989)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】