説明

機能性樹脂製品製造用樹脂組成物

【課題】多収穫性、抗菌性、脱臭性等の機能性を有する機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】この樹脂組成物は、樹脂と、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末のうちの一つ以上を含む。本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物は多収穫性、抗菌性、脱臭性等の機能性を有しているので、農業用フィルム、包装用フィルム、保管用容器等の製造に有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多収穫性、抗菌性、脱臭性等の機能性を有する樹脂製品製造用樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製品は、フィルム、繊維、成形品、パイプ、機械部品等を含むもので、その用途は限定し難い程、非常に多様である。
樹脂製品に機能性を与えるための努力はずっと試みられてきた。最近の技術としては二つ以上のアルコール性ヒドロキシル基を有する酸化防止剤を含む酸化防止機能性樹脂組成物を開示している特許文献1と、カテキン類等の植物由来の成分、微粉板状鉱物及びセラミック成分を含むことによって、脱臭性、抗微生物性等の機能性を有する機能性樹脂組成物を開示している特許文献2と、うるし(lacquer)成分を含有することによって、耐塩性、耐熱性、防水性、防腐性、防虫性及び絶縁性等の機能性を有する樹脂組成物を開示している特許文献3等を挙げることができる。
本発明も、樹脂製品に多収穫性、抗菌性、脱臭性等の機能性を与えるための観点から完成したものである。
【特許文献1】大韓民国特許公開第2004−0077880号(公開日:2004.09.07)
【特許文献2】大韓民国特許公開第2001−0078131号(公開日:2001.08.20)
【特許文献3】大韓民国特許公開第2000−0024493号(公開日:2000.05.06)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は多収穫性、抗菌性、脱臭性等を有する樹脂製品を製造するにあたって有用に使用することができる機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的やその他の側面を以下に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一側面においては、機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に関する。
本発明者は下記実施例及び実験例から確認することができるように、樹脂に添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末及び/またはゼオライト粉末を、防曇剤等のその他の添加剤と共に入れてフィルムを製造し、そのフィルムを利用して収穫量の増加効果、坑菌効果、脱臭効果、食品の鮮度維持効果を調べた結果、その効果が非常に優れていることが確認できた。
本発明はこのような実験結果に基づいてなされたものである。
【0005】
したがって、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物は樹脂と添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末のうちの一つ以上を含むことを特徴とする。
【0006】
特許請求の範囲を含む本明細書において、「樹脂製品」とは、食品保管容器、農業用フィルム、包装用フィルム等を含むことを意味する。すなわち、後述する機能性を応用/発揮できる全ての樹脂製品(樹脂を主成分として製造する製品)を含むことを意味する。
それにも拘わらず、前述した「樹脂製品」は、本発明の実施例及び実験例を通じてフィルムの製造と、それについての実験結果を開示しているという点から、フィルムであることが好ましい。ここで「フィルム」とは、扁平な製品を意味するもので、シート、ストリップ、テープ形態を全て含む。
【0007】
一方、特許請求の範囲を含む本明細書において、前述した「機能性」とは、収穫量の増加性、抗菌性、脱臭性及び/または鮮度維持性を含む意味として定義する。
このように「機能性」を定義する点に基づいて、ある樹脂組成物が樹脂と、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末のうちの一つ以上を含み、またそれが前述した収穫量の増加性、抗菌性、脱臭性及び/または鮮度維持性を有する、または要する樹脂製品の製造に使用できるなら、そのような樹脂組成物は全て本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれるものと理解しなければならない。
【0008】
一方、特許請求の範囲を含む本明細書において、「添加剤として含む」という意味は、樹脂より実質的に少ない量を含む意味であり、また前述した機能性を示すことが可能な量を含む意味として定義することができる。ここで、「樹脂より実質的に少ない量」とは、樹脂製品を製造するために必要とする樹脂と添加剤の通常的な比率を越えない量と定義することができる。
【0009】
当業者ならは、本出願の出願時を基準として当該技術分野に公知の技術常識と本発明の下記実施例及び実験例に基づいて、その通常の能力範囲内で前述した機能性を示すことが可能な(その機能性の程度においては微差があっても)樹脂製品の製造に適合した樹脂と添加剤の比率を決定することができる。
【0010】
例えば、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を農業用フィルムの製造に使用する場合、前述した添加剤である竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末及び/またはゼオライト粉末は、樹脂100重量部に対して1ないし70重量部で添加することが好ましい。1重量部未満では充分に前述した機能性を示すことができないし、70重量部を超過する範囲では農業用フィルムとして要求される投光性や機械的強度を低下させる恐れがあるため好ましくない。
【0011】
したがって、ある樹脂組成物が、樹脂と、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末のうちの一つ以上を含み、それが前述した機能性を有する樹脂製品に製造できるかぎり、樹脂とそれに含まれる添加剤の比率は特に限定されず、任意のものでも良い。
【0012】
一方、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれる竹炭粉末は、それを得るために使用した竹の種類に関係なく、またその製造方法に関係なく竹に直・間接的に高温の熱を加えて得られる炭化された全ての固体粉末と定義する。
したがって、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれる竹炭粉末は、それがマダケ属(phyllostachys)に属する竹から得られるか、メダケ属(arundinaria)に属する竹から得られるか、ササ属(sasa)に属する竹から得られるか、またはヤダケ属(pseudosasa)に属する竹から得られるかを問わず、またそれを製造するために特別に開発した炭化炉を使用するか、熱伝達媒体として特別に考案した容器を使用するか、または冷却時間を異なるようにするかを問わず、分類学上イネ目イネ科(Order Braminales,Family Gramineae)に分類される竹から得た炭化された全ての固体粉末を含むものと理解しなければならない。
【0013】
一方、竹酢液は一般的に竹の炭化過程で発生する煙を冷却させた後、静置熟成や濾過精製するか、または蒸留させて製造する赤褐色の透明な液体である。
竹の炭化時に発生する煙を冷却させて室温で放置すると、三つの層に分離される。この時、上層はのテレビン油等の軽質油層であり、中層は竹酢液層であり、下層はタール層である。このような中層の竹酢液は、厳密に言えば粗竹酢液というもので、現在市場に流通している竹酢液は、このような粗竹酢液を静置熟成や濾過精製するか、または蒸留させたものである。
竹酢液は強酸性(pH2.8〜3.1)で、その主成分は酢酸とギ酸等の有機酸であり、その他フェノール等が含まれている。
【0014】
本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれる「竹酢液」とは、前述した竹酢液、すなわち粗竹酢液を静置熟成や濾過精製するか、または蒸留することが好ましいが、粗竹酢液でも良い。また、前述した方法以外の方法で粗竹酢液を精製して作った竹酢液でも良い。
竹酢液が、粗竹酢液から精製して作られ、前述したような機能性を示す以上、その機能性の程度においては微差があっても、当業者ならばその通常の能力範囲内で本発明の下記実施例及び実験例に基づいて、粗竹酢液も前述した機能性を有することを予想でき、彼の通常の能力を活用して前述した機能性を容易に確認することができるはずである。
また、粗竹酢液を精製する方式によって、竹酢液が前述したような機能性の程度において微差があっても、当業者ならば本発明の開示内容に基づいて、粗竹酢液からいずれの方式で精製しても全ての竹酢液が前述したような機能性を示す可能性を持っていることを予測できるだろう。また当業者ならば本発明の下記実施例及び実験例に基づいて、彼の通常の能力範囲内で前述した機能性を有する竹酢液を確認・選別することができるはずである。
したがって、特許請求の範囲を含む本明細書において、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれる「竹酢液」とは、粗竹酢液から静置熟成や濾過精製するか、または蒸留したものだけでなく、その前段階の粗竹酢液を含む意味と理解すべきであり、さらに粗竹酢液を精製したある竹酢液が前述した機能性を有するなら、そのような竹酢液も含む意味と理解しなければならない。
【0015】
一方、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれる竹酢液をシリカに含有させて作った粉末は竹酢液を含有したシリカを粉末化して得られるものを意味する。ここで、シリカとしては天然シリカ(硅藻土)と合成シリカ(二酸化硅素)の両者を使用することができる。その中でも、天然シリカが好ましい。
【0016】
また、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれるゼオライト粉末の場合も天然ゼオライト粉末と合成ゼオライト(アルミナシリケート)粉末の両者を使用することができる。同様に、天然ゼオライト粉末が好ましい。
【0017】
一方、前述した機能性の観点からみた時、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物は、竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末の中で二つを含むことが好ましく、三つを含むことがより好ましく、四つを全て含む場合がより一層好ましい。
最も好ましくは、竹炭粉末、竹酢液を天然シリカに含有させて作ったシリカ粉末及び天然ゼオライト粉末を含む場合である。
ここで、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物が、竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末及び/またはゼオライト粉末を含む場合、それらのうちの一つを含むか、二つを含むか、三つを含むか、または四つを全て含むかを問わず、それらの樹脂との配合量は下記実施例及び実験例に示すように、樹脂100重量部を基準とした時、5ないし65重量部であることが好ましく、8.9ないし59重量部であることがより好ましい。
【0018】
また、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物が、竹炭粉末、竹酢液を天然シリカに含有させて作ったシリカ粉末及び天然ゼオライト粉末を含む場合、それらの樹脂との配合量は前述した範囲が有効であるが、それら間の比率はそれ自体の全体重量(100重量%)を基準とした時、竹炭粉末は20ないし70重量%範囲であり、竹酢液を天然シリカに含有させて作った粉末は6ないし50重量%範囲であり、天然ゼオライト粉末は40ないし80重量%範囲であることが好ましい。その理由は、下記実施例(特に実施例6)及び実験例から確認することができる。
【0019】
一方、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物に含まれる樹脂としては、それが添加剤として含まれる竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作った粉末及び/またはゼオライト粉末が前述したような機能性を示すことを阻害しない限り、望む用途によって当該技術分野に公知された任意の樹脂を使用することが可能である。
【0020】
例えば、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を農業用フィルムに製造する場合はそのような樹脂としてポリエチレン、エチレン/酢酸ビニール共重合体等を例示でき、また本発明が機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を包装容器に製造する場合はそのような樹脂としてポリエチレン(LLPE、LDPE等)、ポリプロピレン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/ビニルアセテート共重合体等を例示でき、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を保管容器に製造する場合はエチレングリコール/テレフタル酸塩の共重合体(PET)等を例示できる。
【0021】
前述したような樹脂以外にも、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ポリエチレン、ハロゲン化ポリプロピレン等の単一重合体と、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/エチレン共重合体、塩化ビニル/プロピレン共重合体、塩化ビニル/スチレン共重合体、塩化ビニル/イソブチレン共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル/スチレン/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/ブタジエン共重合体、塩化ビニル/塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル/メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ペンテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/ヘプテン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体等の共重合体等を本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物で使用することができる。
【0022】
本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物はそれで製造される樹脂製品の用途等によって、通常の各種樹脂用添加剤を含むことができる。
そのような添加剤としては、可塑剤、潤滑剤、UV安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、防霧剤、熱安定剤等を挙げることができる。
【0023】
可塑剤としては、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ソルビトール等の低分子量の多価アルコール系可塑剤、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジメチル等のフタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、パラフィン系可塑剤、ワックス系可塑剤等を挙げることができる。
【0024】
潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸類、これらの金属塩、脂肪酸由来の脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス等のワックス類、流動パラフィン、グリセリン脂肪酸エステル等のエステル類、高級アルコール等を挙げることができる。
【0025】
UV安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物(例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート等)、クレゾール類、メラミン類、安息香酸等を挙げることができる。
【0026】
酸化防止剤としては、フェノール系(例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール等)、リン系(例えば、トリスノニルフェノールホスフィット、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット等)、硫黄系(例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ペンタエリスリトールテトラ(例えば、β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等の酸化防止剤を挙げることができる。
【0027】
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリグリコールエーテル、非イオン系活性剤、陽イオン系活性剤等を挙げることができる。
【0028】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール系(例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等)、サリチル酸エステル系(例えば、フェニルサリチル酸塩、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3’、5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等)、置換オキサルアニリド類(例えば、2−エチル−2’−エトキシオキサルアニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキサルアニリド等)、シアノアクリレート類(例えば、エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリルレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリルレート等)等を挙げることができる。
【0029】
防曇剤としては、非イオン系、陰イオン系、陽イオン系の界面活性剤を使用することができる。具体的にはソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、ジグリセリンジラウレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンモノステアレート等を挙げることができる。
【0030】
防雲剤としては、弗素系防雲剤またはシリコン系防雲剤等を挙げることができる。
【0031】
熱安定剤としては、錫系、鉛系、カルシウム亜鉛系、バリウム亜鉛系、脂肪酸系安定剤等を挙げることができる。
【0032】
本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物は、前述した各種添加剤をその最終製品の用途によって一つ以上を含むことができる。
この時、添加される各種添加剤は、樹脂製品の用途によって要求される性質(例えば、農業用フィルムである場合フィルムの機械的強度や投光性等)を阻害しないと共に、その添加剤としての効果を示すことができるなら、その樹脂との配合量は特定の範囲に限定されない。
例えば、UV安定剤を農業用フィルムの製造のための樹脂に配合する場合、UV安定剤は樹脂100重量部に対して0.01ないし7重量部で配合することが好ましい。なぜならば、0.01重量部より少ない量のUV安定剤を配合すると光安定剤として効果を示すことができないし、7重量部より多い量のUV安定剤を配合するとフィルムの透明性を損傷させるためである。
同一な観点から、例えば酸化防止剤や防雲剤の配合量は、それらを農業用フィルムの製造のための樹脂に配合する場合に、それぞれ0.01ないし3重量部と0.1ないし5重量部で配合することが好ましい。
【0033】
一方、具体的な様態において、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物は、機能性農業用フィルム製造用樹脂組成物、機能性包装用フィルム製造用樹脂組成物及び機能性保管容器製造用樹脂組成物として具現できる。
本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を機能性農業用フィルム製造用樹脂組成物として具現する場合、そのような樹脂組成物で製造した農業用フィルムは農作物の多収穫のために有用に使用することができる。
本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を農業用フィルムに製造する場合、その農業用フィルムは多収穫が人類に有用な全ての農作物に適用できるものと理解しなければならない。
具体的に、そのような農作物は、収穫物を食品として利用するために裁培する食用作物、収穫物を飼料として利用するために裁培する飼料作物、収穫物を肥料として利用するために裁培する肥料作物等を例示できる。
ここで、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物で製造した機能性農業用フィルムの使用様態は、ビニールハウスとして利用する場合等を含む。
【0034】
一方、本発明の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を機能性包装用フィルム製造用樹脂組成物または機能性保管容器製造用樹脂組成物に具現する場合、そのような樹脂組成物で製造した包装用フィルムまたは保管容器は鮮度の維持を必要とする農産物、花卉、食品の包装、貯蔵または保管用に使用することができるが、抗菌性や脱臭性等が要求される物品ならそのような物品の包装、貯蔵または保管用としても使用することができる。
好ましくは、農産物、花卉、食品の包装、貯蔵または保管用に使用する場合である。
【0035】
他の側面において、本発明は前述した機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を利用した機能性樹脂製品の製造方法に関するものである。
本発明の機能性樹脂製品の製造方法は、前述した機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を成形加工する段階を含むことを特徴とする。
ここで、「樹脂製品」の意味や「機能性」の意味、そして「機能性樹脂製品製造用樹脂組成物」の意味は、全ての好ましい様態を含んで既に前述したものがそのまま有効である。
一方、前述した樹脂組成物を成形加工する段階は、製造する樹脂製品の用途によって当該技術分野に公知された方法を使用することができる。
【0036】
例えば樹脂製品が農業用フィルムである場合は、インフレーション法、カレンダー法、Tダイ法等を使用することができ、樹脂製品が包装用フィルムである場合は、ブローフィルム押出法、フラットダイ圧出法等を使用することができ、樹脂製品が保管用容器である場合は、中空成形法等を使用することができる。
また、本発明の機能性樹脂製品製造用組成物を使用して農業用フィルムや包装用フィルムを製造する場合は、多層フィルムを製造することができる。このような多層フィルムの製造は、当該技術分野に公知された通常の方法によって製造できる。そのような通常の方法としては、乾燥積層法、熱積層法、Tダイ共押出法、インフレーション共押出法等を例示できる。
また、本発明の機能性樹脂製品製造用組成物を使用して農業用フィルムや包装用フィルムを製造する場合、フィルムの厚さはフィルムの望む用途によって、適切な任意の厚さに製造できる。経済的及び/または生態学的な理由で、フィルムの厚さを最小化することが好ましい。この時、本発明に係る断層フィルムの場合は、通常10μmないし120mm範囲の厚さを有することが好ましく、多層フィルムの場合は、通常25μmないし250μm範囲の全体厚さを有することが好ましい。
【0037】
一方、本発明の樹脂製品の製造方法において、機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を成形加工して樹脂製品を製造する以前に、その樹脂組成物を溶融混練する段階を含むことができる。
このような溶融混練方法は当該技術分野に公知された方法を使用して行うことができ、そのような方法としてはバンバリー混合器、押圧混練機等を使用する方法等を例示できる。
【0038】
もう一つの側面において、本発明は前述した機能性樹脂製品の製造方法で得られた樹脂製品に関するものである。
本発明の樹脂製品においては、前記本発明の機能性樹脂製品製造用組成物と機能性樹脂製品の製造方法で説明した全ての内容がそのまま有効なものと見なす。
したがって、本発明の樹脂製品は前述した本発明の機能性樹脂製品製造用組成物で説明した全ての好ましい様態の樹脂組成物で製造する全ての樹脂製品を含む意味として理解すべきであり、さらに前記の本発明の機能性樹脂製品の製造方法で説明した全ての好ましい様態の製造方法で得られる全ての樹脂製品を含む意味として理解しなければならない。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば機能性樹脂製品製造用樹脂組成物が提供される。また、本発明によれば機能性樹脂製品の製造方法、およびそのような製造方法で得られた機能性樹脂製品が提供される。本発明の機能性樹脂製品は多収穫性、抗菌性、脱臭性、鮮度維持性を有しているので、農業用フィルムや包装用フィルム、または保管容器等に応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施例を参照して説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
機能性樹脂製品の製造例
【実施例1】
【0041】
[機能性樹脂製品の製造例1]
竹炭粉末10重量%、防曇剤(ソルビタンモノステアレート)2重量%、UV安定剤(HALS(ヒンダードアミン光安定剤)系統)1重量%を完全に混合してマスターバッチを製造し、そのマスターバッチをポリエチレンビニルアセテート87重量%と溶融混練してインフレーション法で60μmの厚さのフィルムを製造した。
【実施例2】
【0042】
[機能性樹脂製品の製造例2]
竹酢液8重量%、防曇剤(ソルビタンモノステアレート)2重量%、UV安定剤(HALS系統)1重量%を完全に混合してマスターバッチを製造し、そのマスターバッチをポリエチレンビニルアセテート89重量%と溶融混練してインフレーション法で60μmの厚さのフィルムを製造した。
【実施例3】
【0043】
[機能性樹脂製品の製造例3]
竹酢液を天然シリカに含有させて作った粉末8重量%に防曇剤(ソルビタンモノステアレート)2重量%、UV安定剤(HALS系統)1重量%を完全に混合してマスターバッチを製造し、そのマスターバッチをポリエチレンビニルアセテート89重量%と溶融混練してインフレーション法で60μmの厚さのフィルムを製造した。
【実施例4】
【0044】
[機能性樹脂製品の製造例4]
竹炭粉末10重量%、竹酢液8重量%、防曇剤(ソルビタンモノステアレート)2重量%、UV安定剤(HALS系統)1重量%を完全に混合してマスターバッチを製造し、そのマスターバッチをポリエチレンビニルアセテート79重量%と溶融混練してインフレーション法で60μmの厚さのフィルムを製造した。
【実施例5】
【0045】
[機能性樹脂製品の製造例5]
竹炭粉末10重量%、竹酢液を天然シリカに含有させて作った粉末8重量%、防曇剤(ソルビタンモノステアレート)2重量%、UV安定剤(HALS系統)1重量%を完全に混合してマスターバッチを製造し、そのマスターバッチをポリエチレンビニルアセテート79重量%と溶融混練してインフレーション法で60μmの厚さのフィルムを製造した。
【実施例6】
【0046】
[機能性樹脂製品の製造例6]
竹炭粉末10重量%、竹酢液を天然シリカに含有させて作った粉末8重量%、天然ゼオライト粉末18重量%、防曇剤(ソルビタンモノステアレート)2重量%、UV安定剤(HALS系統)1重量%を完全に混合してマスターバッチを製造し、そのマスターバッチをポリエチレンビニルアセテート61重量%と溶融混練してインフレーション法で60μmのフィルムを製造した。
機能性樹脂製品の収穫量増大効果、坑菌、脱臭、食品の鮮度維持の実験例
【実施例7】
【0047】
[機能性フィルムの収穫量増大効果実験]
大韓民国全羅南道潭陽にある農家を選定して前記の各実施例で製造したフィルムでビニールハウスを作るようにし、そのビニールハウスでイチゴ、トマト、キュウリ、すいか、レタス、メロン、ブドウを気候条件等を考慮した通常の裁培方法によって裁培するようにした。
また、比較実験例として、前記の実施例で竹炭粉末、竹酢液、竹酢液を天然シリカに含有させて作った粉末、または天然ゼオライト粉末を添加しない状態で、当該成分の重量を樹脂であるポリエチレンビニルアセテートに取り替えて得られたフィルムを使用した(すなわち、防曇剤(ソルビタンモノステアレート)2重量%、UV安定剤(HALS系統)1重量%、ポリエチレンビニルアセテート97重量%で製造したフィルムである)。
一方、比較実験例は結果の正確な比較のために前記の実験例と可能なかぎり同一な条件下で行うようにした。
収穫後に得られた収穫量(Kg)を比較実験例で得られた収穫量(Kg)と比較してその増加程度を百分率で下記の表1に示した。
【表1】

【実施例8】
【0048】
[機能性フィルムの坑菌実験]
抗菌性は大腸菌と緑膿菌を使用して評価した。抗菌性はバクテリア減少率として評価した。実施例1ないし6で得られた各フィルムと前記実験例1での比較実験例のフィルムを60mm×60mmの大きさに切断して実験用滅菌皿に置いた。
各培養液0.5ml(各培養液は大腸菌10/mlと緑膿菌10/mlを含む)を各実験用皿に含浸し、24時間35℃で放置した後、生菌数を計数し、バクテリア減少率を算出して下記の表2に示した。減少率の符号がマイナスであることはバクテリアの増加を意味する。
【表2】

【実施例9】
【0049】
[機能性フィルムの脱臭実験]
8個のフラスコを準備し、そのうち6個のフラスコにはそれぞれ前記の実施例1ないし6で得られたフィルムを切断して入れ、1個のフラスコには前記の実験例1で得られた比較実験例のフィルムを入れ、残りの1個のフラスコには何も入れなかった。一方、フィルムはフラスコの内部表面積を約70%覆うようにした前記の7個のフラスコそれぞれにアンモニア溶液4mlを入れて気化させた。一定の時間(30分)が経過した後にガス検知観測法(deodorization activity test method)で7個のフラスコ内における気体の濃度を計算して脱臭率(%)を算出した。
脱臭率は次の式によって計算した。
【数1】

上式で、Cs:実施例1ないし6のフィルムまたは比較例のフィルムで内部を覆ったフラスコにおける最終気体の濃度(ppm)
*Cb:何も入れないフラスコにおける最終気体の濃度(ppm)
トリメチルアミンの脱臭率の測定も前述したような同一な方法を使用した。
下記の表3はアンモニアトリメチルアミンの脱臭率を示したものである。
【表3】

【実施例10】
【0050】
[機能性フィルムの鮮度維持効果実験]
豆腐7個を準備して前記の実施例1ないし6のフィルムと比較実験例のフィルムでそれぞれ包装して常温(約25℃)で放置した。
変質の可否を官能評価して変質(臭いで判断する)する時までの日数を下記の表4に示した。
【表4】

以上のように、本発明によれば機能性樹脂製品製造用樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば機能性樹脂製品の製造方法、およびそのような製造方法で得られた機能性樹脂製品が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の機能性樹脂製品は多収穫性、抗菌性、脱臭性、鮮度維持性を有しているので、農業用フィルムや包装用フィルム、または保管容器等に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末からなる群から選択された一つ以上を含むことを特徴とする機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂製品は、フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項3】
前記機能性は、多収穫性、抗菌性、脱臭性及び鮮度維持性からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項4】
前記シリカ及び前記ゼオライトは、それぞれ天然シリカ及び天然ゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂組成物は、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末からなる群から選択された二つを含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項6】
前記樹脂組成物は、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末からなる群から選択された三つを含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物は、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、及びゼオライト粉末の全てを含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂組成物は、添加剤として竹炭粉末、竹酢液を天然シリカに含有させて作ったシリカ粉末及び天然ゼオライト粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項9】
前記樹脂組成物は、添加剤として竹炭粉末、竹酢液、竹酢液をシリカに含有させて作ったシリカ粉末、ゼオライト粉末からなる群から選択された一つ以上を100重量部の樹脂に対して5ないし65重量部で含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂組成物は、添加剤として竹炭粉末、竹酢液を天然シリカに含有させて作ったシリカ粉末及び天然ゼオライト粉末を含み、それらの比率はそれ自体の全体重量(100重量%)を基準とした時、竹炭粉末は20ないし70重量%範囲であり、竹酢液を天然シリカに含有させて作った粉末は6ないし50重量%範囲であり、天然ゼオライト粉末は40ないし80重量%範囲であることを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項11】
前記樹脂組成物は、可塑剤、潤滑剤、UV安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、防雲剤、熱安定剤からなる群から選択された一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項12】
前記樹脂製品は、農業用フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項13】
前記樹脂製品は、抗菌性、脱臭性または鮮度維持性が要求される物品の包装用フィルムまたは保管容器であることを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項14】
前記樹脂製品は、抗菌性、脱臭性または鮮度維持性が要求される物品の包装用フィルムまたは保管容器であり、その物品は、農産物、花卉及び食品からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の機能性樹脂製品製造用樹脂組成物を成形加工する段階を含むことを特徴とする機能性樹脂製品の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の機能性樹脂製品の製造方法で得られることを特徴とする機能性樹脂製品。

【公表番号】特表2007−516336(P2007−516336A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546812(P2006−546812)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003279
【国際公開番号】WO2005/061613
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504471827)
【氏名又は名称原語表記】Damyanggun
【住所又は居所原語表記】99 Gaiksa−ri,Damyang−up,Damyang−gun,Chullanam−do,517−802,KOREA
【出願人】(505085269)
【Fターム(参考)】