説明

機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法および燃料電池用電解質膜

【課題】 高分子イオン交換膜における欠点であるイオン交換容量や電気伝導性が小さく、かつ、膜の耐酸化性が悪いことなどを解決課題とする。
【解決手段】 重合性モノマーのグラフト重合を促進する機能、水分を吸着する機能、及び、水素イオンを伝達する機能を有する機能性無機物を有機高分子樹脂に均一に混合した機能性無機/高分子膜に放射線を照射して、官能基を有する重合性モノマーをグラフト重合、又は共グラフト重合させた後、グラフト鎖へのスルホン酸基を導入することによって、 優れた電気伝導性、保水性、及び、耐酸化性を有する高分子イオン交換膜の製造法を確立した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池への使用に適した固体高分子電解質膜である高分子イオン交換膜の製造方法に関する。
また、本発明は、燃料電池に適した固体高分子電解質膜で、優れた電気伝導性や耐酸化性の高分子イオン交換膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質型イオン交換膜を用いた燃料電池は、エネルギー密度が高いことから、電気自動車の電源や簡易補助電源として期待されている。この燃料電池において、優れた特性を有する高分子イオン交換膜の開発は最も重要な技術の一つである。
【0003】
高分子イオン交換膜型燃料電池において、イオン交換膜は、水素イオンを伝導するための電解質として作用し、また、燃料である水素やメタノールと酸化剤である空気(酸素)とを直接混合させないための隔膜としての役割も有する。このようなイオン交換膜としては、電解質としてイオン交換容量が大きいこと、長期間電流を通すので膜の化学的な安定性、特に、膜の劣化の主因となる水酸化ラジカル等に対する耐性(耐酸化性)が優れていること、電池の動作温度である80℃以上での耐熱性があること、また、電気抵抗を低く保持するために膜の保水性が電池の動作温度に依らず一定で高いことが要求される。一方、隔膜としての役割から、膜の力学的な強度や寸法安定性が優れていること、燃料である水素ガス、メタノール、又は、酸素ガスについて過剰な透過性を有しないことなどが要求される。
【0004】
また、燃料電池において、燃料ガスとして改質ガスを使用する場合、改質ガス中に含まれる微量の一酸化炭素ガスなどによる白金触媒の被毒の観点から、120℃以上の高温で燃料電池膜を作動させることが望まれている。現在のフッ素系高分子の燃料電池膜は、電池として動作中に膜がドライアップする、いわゆる膜の含水率が減少する欠点がある。膜が乾くと膜の内部抵抗が大きくなり膜の電気伝導性が低下するので、燃料ガスを加湿する、動作温度を60〜80℃と低い温度とするなど膜中の水分管理を行っている(非特許文献1)。このため、従来のフッ素系の高分子燃料電池膜では燃料電池システムが複雑になることが指摘されている。120℃以上の高温動作においても含水率の減少しない膜では、触媒被毒の低減、燃料ガスの加湿システムの不要、電極反応速度の増大、さらに、熱交換システムのコンパクト化などきわめて大きな利点があるとされている。
【0005】
初期の高分子イオン交換膜型燃料電池では、スチレンとジビニルベンゼンの共重合で製造した炭化水素系高分子イオン交換膜が使用された。しかし、このイオン交換膜は耐酸化性に起因する耐久性が非常に劣っていたため実用性に乏しく、その後はデュポン社により開発されたパーフルオロスルホン酸膜「ナフィオン(デュポン社登録商標)」等が一般に用いられてきた。
【0006】
しかしながら、「ナフィオン(登録商標)」等の従来の含フッ素系高分子イオン交換膜は化学的な耐久性や安定性には優れているが、イオン交換容量が1meq/g前後と小さく、また、高い温度で保水性が不十分(含水率が低い)でイオン交換膜の乾燥が生じて水素イオン伝導性が低下したり、メタノールを燃料とする場合に膜の膨潤やメタノールのクロスオーバーが起きたりする欠点が指摘されている。即ち、イオン交換容量を大きくするため、スルホン酸基を多く導入すると、膜自体の特性や高分子鎖中に架橋構造がないなどのため、膜が膨潤して強度が著しく低下し、さらに、メタノール燃料による膜の膨潤が起きる。
【0007】
したがって、従来の含フッ素系高分子のイオン交換膜ではスルホン酸基の量を膜強度が保持される程度に抑える必要があり、このためイオン交換容量が1meq/g程度ものしかできなかった。また、フッ素系高分子ではフッ素分子と水分子の親和性が小さく、電池の動作温度が高くなるドライアップしやすくなるため、燃料ガスを加湿する、動作温度を60〜80℃とするなど膜中の水分管理がきわめて重要な問題となっている。
【0008】
更に、ナフィオン(登録商標)などの含フッ素系高分子イオン交換膜はモノマーの合成が困難かつ複雑であり、また、これを重合してポリマー膜を製造する工程も複雑であるため、製品は非常に高価であり、プロトン交換膜型燃料電池を自動車などへ搭載して実用化する場合の大きな障害となっている。そのため、前記ナフィオン(登録商標)等に替わる低コストで高性能な電解質膜を開発する努力がおこなわれてきた。
【0009】
一方、本発明と密接に関連する放射線グラフト重合法では、高分子膜にスルホン酸基を導入することができるモノマーをグラフトして、固体高分子電解質膜を作製する試みがなされている。本発明者らはこれらの新しい固体高分子電解質膜を開発すべく検討を重ね、架橋構造を有するポリテトラフルオロエチレンフィルムにスチレンモノマーを放射線グラフト重合反応により導入し、次いでグラフト鎖にスルホン酸基を導入することにより、イオン交換容量を広い範囲に制御できることを特徴とする固体高分子電解質膜及びその製造方法を出願した(特許文献1)。しかし、このイオン交換膜はグラフト重合鎖がスチレン単位で構成されているため、燃料電池としては高い温度である80℃の温度で、膜に長時間電流を通すとグラフト鎖部の一部に酸化が起こり、膜のイオン交換能が徐々に低下する。
【0010】
架橋ポリテトラフルオロエチレン以外のフッ素系高分子膜では、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体にスチレンモノマーを放射線グラフト重合反応により導入し、次いでスルホン酸基を導入することにより作製したイオン交換膜は燃料電池用イオン交換膜として機能する(特許文献2)。しかし、上述と同様な欠点としてグラフトエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体膜に大きな電流を長時間流すとポリスチレングラフト鎖部の酸化劣化が起こり、膜のイオン交換能が徐々に低下する問題がある。
【非特許文献1】J.J.Sumner et.al., J. Electrochem. Soc., 145,p107(1998)
【特許文献1】特開2001-348439号公報
【特許文献2】特開平9-102322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を克服するためになされたものであり、現在、主流となっているフッ素系高分子イオン交換膜における欠点である電気伝導性が低く、膜の含水率が低いこと、また、従来のグラフト重合高分子イオン交換膜における欠点である耐酸化性が低いことなどが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、重合性モノマーのグラフト重合を促進する機能、水分を吸着する機能、及び、水素イオンを伝達する機能を有する機能性無機物を有機高分子樹脂に均一に混合した機能性無機/高分子膜に放射線を照射して、官能基を有する重合性モノマーをグラフト重合、又は共グラフト重合させた後、グラフト鎖へのスルホン酸基を導入することによって高分子イオン交換膜を製造方法する方法である。
【0013】
機能性無機物とグラフト鎖のスルホン酸基の相乗効果について、鋭意研究を進めた結果、高分子膜へのグラフト率の向上や膜の優れた電気伝導性、保水性を有する高分子イオン交換膜を発明するに至った。
【0014】
本発明は、イオン交換膜の電気伝導性や保水性を高くて広い範囲内に制御することができ、また、高い耐酸化性を有する高分子イオン交換膜を提供するものであり、特に燃料電池に適したイオン交換膜を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって製造された高分子イオン交換膜は、優れた電気伝導性、及び、膜の保水性や高い耐酸化性を有する優れた特性を示す。
本発明のイオン交換膜は、特に燃料電池膜への使用に適している。また、安価で耐久性のある電解膜やイオン交換膜として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一態様においては、有機高分子樹脂として熱可塑性高分子であるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFE と略)を使用する。
(機能性無機物について)
放射線照射によってグラフト重合の開始点となり易く、また、結晶水や吸着水を保ちやすい無機物である微粒子状無定形シリカ(SiO2)、H+型モルデナイト((Ca,Na2,K2)Al2Si10O24・7H2O)、アルミナ(Al2O3)、及び、酸化ジルコニウム(ZrO2)、または、無機の水素イオン伝導体であるジルコニウムホスフェイト(Zr(HPO4)2・nH2O)、りんタングステン酸水和物(H3PW12O40・nH2O)、けいタングステン酸水和物(H4SiW12O40・nH2O)、及び、モリブドりん酸水和物(MoO3H3PO4・nH2O)、並びに、これらの複合体であるりんタングステン酸水和物、ジルコニウムホスフェイト、又は、けいタングステン酸水和物を吸着させたアモルファスシリカ、及び、りんタングステン酸水和物、ジルコニウムホスフェイト、又は、けいタングステン酸水和物を吸着させたモルデナイトやアルミナからなる群から選択される1種類以上の無機微粉末を、ETFE樹脂に対して1重量%から20重量%の範囲で加え、これらを均一に混合した後、膜状に成形して成る機能性無機/高分子膜を作製する。
【0017】
微粒子状無定形シリカ(アエロジル、Aerosil a)は、比表面積、凝集性、疎水性の異なった種類のものがあるが、粒子径は細かいものの方がよい。他の無機物は水溶液などとしてこれに貧溶媒を加えて微粉末の沈殿を得た後、濾過して減圧乾燥したものを用いるのがよい。また、無定形シリカ微粉末にりんタングステン酸水和物を吸着させたものは、りんタングステン酸水和物の水溶液に、テトラエチルオルソシリケート(Si(OC2H5)4)とプロパノールを少量加えた溶液、及び無定形シリカ粉末を加え、室温でかき混ぜて放置後、濾過し減圧乾燥して得られる。高分子樹脂とこれらの無機微粉末の混合は、ETFE 樹脂の融点270℃の10℃〜80℃上の温度で、攪拌翼付樹脂混合機やミキシングロールを用いて、樹脂を混練しながら徐々に所定量の無機微粉末を加えていくとよい。樹脂と無機微粉末が十分混合し、均一になったところでこれを取出し、加熱プレス機で厚さ50mm程度の膜状に成形して機能性無機/ETFE膜を作製する。
【0018】
(熱可塑性高分子について)
熱可塑性高分子としては、本発明の一態様で使用するエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE )のほかに、フッ素系の高分子であるテトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、及び、ポリフッ化ビニリデンについても同様な方法で機能性無機/高分子膜を作製することができる。
【0019】
さらに、熱可塑性高分子として、炭化水素系高分子である高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリアミド、又は、芳香環を有する炭化水素系高分子であるポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、及び、ポリベンゾイミダゾールを用いることができる。これらの高分子樹脂と無機微粉末との混合もETFEと同様の方法で機能性無機/高分子膜を作製することができる。
【0020】
例えば、ポリエーテルイミド樹脂では、この樹脂の融点以上(例えば、ポリエーテルイミド樹脂ウルテムa(ジェネラル エレクトリック社製)では約380℃)で攪拌翼付樹脂混合機やミキシングロールを用いて、樹脂と無機微粉末を混練しながら混合すると良い。また、これら炭化水素系高分子樹脂と無機微粉末の混合方法として、これら高分子樹脂を室温で有機溶媒に膨潤させたものに無機微粉末を徐々に加えながら室温で混練し、その後、温度を上昇させて混合して無機微粉末を高分子樹脂中に均一に混合させる方法もある。このような溶媒として、例えば、ポリエーテルイミドでは極性溶媒であるメチレンクロライドやトリクロルエチレンなどがある。
【0021】
さらに、上述の方法によって作製された機能性無機/高分子膜に電離放射線を照射して、下記の重合性モノマーをグラフト重合させて機能性無機/グラフト高分子膜を作製する。
(重合性モノマー又は共重合性モノマーについて)
本発明において、機能性無機/高分子膜にグラフト重合させる重合性モノマーは、以下の(1)〜(5)に示す重合性モノマー、又は、重合性モノマー/共重合性モノマー系を用いるとよい。本特許において、重合性モノマーとはグラフト重合後にこのモノマー単位にスルホン酸基を導入できるものをいい、共重合性モノマーとは共グラフト重合後このモノマー単位にスルホン酸基を容易には導入できないものとする。
(1)重合性モノマーとして、スチレン、及び、スチレン誘導体モノマーであるα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、4−tert−ブチルスチレン、並びに、芳香環を有する重合性モノマーであるアセナフチレン、インデン、ベンゾフラン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ビニルケトンCH=CH(CO(−C))、及び、フッ化ビニルエーテルCF=CF(O(−C))、CH=CF(O(−C))からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマー。
(2)重合性モノマーとして、スルホニルハライド基を有するCF=CF(SO)(式中のXはハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)、及び、CH=CF(SO)からなる群から選択される1種類又は2種類のモノマー。
(3)重合性モノマーとして、スルホニルハライド基を有するCF=CF(O(CF1〜2SO)、及び、CF=CF(OCH(CF1〜2SO)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマー。
(4)重合性モノマーとして、活性なハロゲン基を有するCF=CF(O(CF1〜2)(式中、Xはハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ。)、CF=CF(OCH(CF1〜2)、及び、CF=CFBrからなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマー。
(5)上記の(2)〜(4)の重合性モノマーに対し、共重合性モノマーとしてアクリル系モノマーであるCF=CR(COOR)(式中のRは−CH又は−Fであり、Rは−H、−CH、−C又は−C(CH)である。以下同じ。)、及びCH=CR(COOR)、或いは、エチレン系モノマーであるCH=CF、CH=C(CH2からなる群から選択される1種類以上の共重合性モノマーを、重合性モノマー量に対し100モル%以下の量を加えた重合性モノマー/共重合性モノマー系。
【0022】
ここで、上記の(5)におけるアクリル系共重合性モノマーとしては、例えば、CF=CF(COOCH)、CF=C(CH)(COOCH)、CH=C(CH)(COOH)、CH=CF(COOCH)、CH=CF(COOC(CH)などがある。これらの共重合性モノマーは共グラフト重合後、これらのモノマー単位にスルホン酸基を容易には導入できないので、重合性モノマー量に対し100モル%以下の量に抑えてグラフトするのがよい。
【0023】
(2)〜(4)の重合性モノマーを使用して単独グラフト重合する場合に比べ、(5)の共重合性モノマーを使用する共グラフト重合では、グラフト重合速度が増大するので、グラフト率を高めたいときに共グラフト重合は有効である。
【0024】
(1)〜(5)の重合性モノマー、及び重合性モノマー/共重合性モノマー系は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホオキシド、n−ヘキサン、及び、t−ブタノール、並びに、フレオン112(CClFCClF)、フレオン113(CClFCClF)、ジクロロエタン、及び、クロロメタンの各溶媒で希釈したものを用いてもよい。
【0025】
また、上記の重合性モノマー及び重合性モノマー/共重合性モノマー系に、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,5−ビス(トリフルオロビニル)フェノール、及び3,5−ビス(トリフルオロビニロキシ)フェノール、並びに、ビス(ビニルフェニル)基を有する(CH=CH(C))(CH1〜4(CH=CH(C))、及び、(CH=CH(C))(C(C)(CH=CH(C))からなる群から選択される1種類又は2種類以上の架橋剤を、全モノマー(重合性モノマーと共重合性モノマーの合計)量に対し30モル%以下の量を加えた全モノマー/架橋剤系を用いてグラフト重合してもよい。
【0026】
重合性モノマー(1)の場合は、高分子樹脂として、フッ素系高分子であるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE )、テトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、及び、ポリフッ化ビニリデン、並びに、炭化水素系高分子である高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、及び、芳香環を有する炭化水素系高分子であるポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾールを用いるとよい。
【0027】
重合性モノマー(2)〜(4)の場合は、高分子樹脂として、炭化水素系高分子である高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、及び、芳香環を有する炭化水素系高分子であるポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾールを用いるとよい。
(グラフト重合について)
機能性無機/高分子膜への上記モノマーのグラフト重合は、ステンレス又はガラス製の耐圧容器に、この膜を入れて十分に減圧脱気した後、容器内に不活性ガスであるアルゴンガスを入れて常圧とする。これに、電離放射線を照射して、機能性無機/高分子膜にグラフト重合のための活性点を生成させる。
【0028】
電離放射線は、物質の透過率が高い60Co−γ線やX線、または、照射容器、高分子膜や重合性モノマー溶液を透過するに十分な高エネルギー電子線を用いるのがよい。60Co−γ線などの電離放射線の照射量は、吸収線量で10kGy〜1MGyの範囲であるが、グラフト重合のための活性種ができ易く、また、放射線照射で劣化しやすい高分子であるフッ素系樹脂や高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンなどでは線量は好ましくは10kGy〜500kGy、また、放射線に対する感受性の低い芳香環を有する高分子では、線量は好ましくは100kGy〜1MGyとするのがよい。
【0029】
この後、この照射された機能性無機/高分子膜の入った耐圧容器内に、不活性ガスのバブリングや凍結脱気により予め酸素を除いた重合性モノマー、重合性モノマー/共重合性モノマー、又は、重合性モノマー/共重合性モノマー/架橋剤の混合溶液を、この膜が十分に浸る程度加えてグラフト重合、又は、共グラフト重合させる。常温でガス状の重合性モノマーは加圧して液体状にして加える。酸素の存在はグラフト重合反応を阻害するため、これら一連の操作はアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス中で行うことが必要である。
【0030】
グラフト重合は機能性無機/高分子膜に先に電離放射線を照射し、その後重合性モノマーと接触させてグラフト重合反応させる後グラフト重合法、又は、機能性無機/高分子膜と重合性モノマー等に同時に電離放射線を照射してグラフト重合反応させる同時照射法のいずれかの方法によって行うことができる。グラフト重合温度は後グラフト重合法では、重合性モノマーや溶媒の沸点以下の温度で、通常0℃〜100℃で行ない、同時照射法では室温で行うとよい。グラフト率(実施例の式(1)参照)は、後グラフト重合法では線量が多いほど、グラフト温度が高いほど、若しくは、グラフト時間が長いほどグラフト率は高くなり、同時照射法では線量が多いほど、若しくは、放射線の線量率が低く照射時間が長いほどグラフト率が高くなる。これらの方法によって、機能性無機/グラフト高分子膜を得ることができる。
(スルホン酸基の導入について)
上述のようにして得られた機能性無機/グラフト高分子膜にスルホン酸基を導入して機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜を製造する。
【0031】
上記(1)の重合性モノマーを用いた機能性無機/グラフト高分子膜にスルホン酸基を導入するには、グラフトした分子鎖中のフェニル基は、0.5モル濃度のクロルスルホン酸のジクロルエタン溶液やクロロホルム溶液を室温〜60℃の温度で反応させることによって、グラフト鎖中にスルホン酸基を導入することができる。フェニル基ではフェニル基の特定の置換位置に対する脱塩酸反応によって、グラフト鎖中にスルホン酸基が導入される。
【0032】
同様に、上記の(2)又は(3)の重合性モノマーを用いた機能性無機/グラフト高分子膜の場合は、グラフト分子鎖中の[−SO]基は、0.1N〜10N濃度の苛性カリ(KOH)又は苛性ソーダ(NaOH)の水溶液、水/アルコール溶液、又は、水/ジメチルスルホオキシド溶液中などで、室温〜100℃以下の温度で反応させて、スルホン酸塩[−SOM](式中のMはアルカリ金属で、Na又はKである)とし、次いでスルホン酸塩基を1N〜2N硫酸溶液中、60℃でスルホン酸基[−SOH]とするとよい。
【0033】
更に、上記の(4)の重合性モノマーを用いた機能性無機/グラフト高分子膜の場合は、グラフト分子鎖中の活性なハロゲン基[−X、Br]は、亜硫酸塩若しくは亜硫酸水素塩の水溶液、又は、水/アルコールの溶液中などで反応させてスルホン酸塩基[−SOM](式中のMはアルカリ金属で、Na又はKである)とし、次いで上記と同様にスルホン酸塩基をスルホン酸基[−SOH]とするとよい。
【0034】
共重合性モノマーを使用した(5)の機能性無機/グラフト高分子膜により得られる共グラフト鎖中のエステル基(COOR)も、苛性ソーダ(NaOH)や苛性カリ(KOH)溶液との反応によってカルボキシル基とすることができる。カルボキシル基は、本発明により得られるイオン交換膜を燃料電池膜として用いた場合に、膜中の水分の保持にきわめて有用であるため、これらの膜の電気伝導性の向上に有効である。
(架橋構造の導入について)
機能性無機/高分子膜は、架橋構造を有さない膜を使用することができるが、膜への架橋構造の導入は、本特許によって製造された機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の耐熱性が向上する、膜の膨潤が少ない、特に、燃料にメタノールを用いた場合にメタノール燃料のクロスオーバーを抑制するなどの利点がある。また、芳香環を有する炭化水素系の樹脂ではクロルスルホン酸によるスルホン基の導入を行うと樹脂自身も一部スルホン化されるので膜が膨潤する。このような場合にも、架橋構造を有する膜が有効である。本発明によるイオン膜への架橋構造の導入は、無機微粉末を高分子樹脂に混合した後の機能性無機/高分子膜に電離放射線を線量10kGy〜10MGyの範囲で照射して架橋させた膜を用いてグラフト重合反応を行なってもよい。また、架橋構造はグラフト重合した後の機能性無機/グラフト高分子膜に線量10kGy〜10MGyの電離放射線照射によって導入してもよい。
(保水性について)
本発明の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜においては、熱可塑性高分子樹脂の選択、及び、加えた機能性無機粉末の量や導入するスルホン酸基の量によって膜の電気伝導性や保水性(含水率)を向上させることができる。一般に、有機高分子膜を使用した燃料電池用イオン交換膜では、含水率が低すぎると運転条件のわずかな変化によって膜の導電率やガス透過係数が変わり好ましくない。従来のナフィオン膜は分子鎖のほとんどが−(CF)−単位で構成されているために、80℃以上の高い温度で電池を作動させると膜中に水分子が不足し、膜の電気伝導性が急速に低下する。これに対し、本発明のハイブリットイオン交換膜は、膜中に水分子の吸着性の高い無機物である微粒子状無定形シリカ(SiO2)、H+型モルデナイト(Ca,Na2,K2)Al2Si10O24・7H2O)、アルミナ(Al2O3)、及び、酸化ジルコニウム(ZrO2)が存在するので、膜中の水分が保たれるため膜の水素イオン伝導性が保持される。また、多くの結晶水を持ち、無機の水素イオン伝導体であるジルコニウムホスフェイト(Zr(HPO4)2・nH2O)、りんタングステン酸水和物(H3PW12O40・nH2O) 、けいタングステン酸水和物(H4SiW12O40・nH2O) 、及び、モリブドりん酸水和物(MoO3H3PO4・nH2O)が混合された膜においても同様の効果がある。さらに、これらの無機物の複合体である、りんタングステン酸水和物、ジルコニウムホスフェイト、又は、けいタングステン酸水和物を吸着させたアモルファスシリカ、及び、りんタングステン酸水和物、ジルコニウムホスフェイト、又は、けいタングステン酸水和物を吸着させたモルデナイトやアルミナでは水分子の保持や水素イオンの伝導に効果がある。このような機能性無機物とグラフト鎖中のスルホン酸基の相乗効果によって膜中の含水率が低下せずに保たれる、また、イオン交換膜中に無機物が吸着水や結晶水という形で水を保持している場合には、水素イオンの透過には有効であるが燃料であるメタノールの透過は抑えられる。
(膜強度について)
しかし、機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜では、機能性無機微粉末を高分子樹脂に多く加えると、膜の強度が低下する。このため、加える量は高分子樹脂に対して、機能性無機微粉末が1重量%から20重量%の範囲で加えるのがよい。機能性無機物の他に、グラフト鎖のスルホン酸基やカルボキシル基などの親水基が存在するので、膜の含水率は10〜100重量(wt)%の範囲で制御することができる。本発明のイオン交換膜の含水率は10〜100wt%、好ましくは20〜80wt%がよい。
(グラフト率について)
本発明による機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜は、導入されるグラフト鎖量、即ち、導入されるスルホン酸基の量によって、得られる膜の電気伝導度やイオン交換容量を変化させることができる。スルホン酸基を多く導入するには膜へのグラフト率を向上させる必要があるが、機能性無機物は放射線グラフト反応の面からも重合性モノマーのグラフト率を上げるために有効である。即ち、機能性無機物は放射線と物質の相互作用において、密度の低い有機物よりもより多くの二次電子を放出し、グラフト重合の活性点をより多く生ぜしめることができる。特に、シリカ粉末においては放射線照射によってラジカルやカチオン性の活性種を生じ、放射線グラフト反応が非常に良く進行すため、少ない線量の放射線照射によって高いグラフト率を得ることができる。また、比較的重合性の低いフッ素系モノマーのグラフト率を高くするのにも有効である。
【0035】
グラフト重合反応は、グラフト率40〜80%で徐々に飽和してくる傾向を示す。本発明において、グラフト率は膜重量(高分子と無機粉末の合計)に対し10〜100wt%、より好ましくは10〜80wt%である。
(イオン交換容量について)
イオン交換膜のイオン交換容量とは、乾燥イオン交換膜の重量1g当たりのイオン交換基量(meq/g)である。機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜では重合性モノマーの種類によるが、グラフト率が10%以下の場合はイオン交換容量が0.3meq/g以下であり、グラフト率が100%以上の場合は膜のアルコールや水による膜の膨潤が大きくなる。すなわち、グラフト率を高くしてイオン交換基を多く導入すれば、イオン交換容量は高くなる。しかし、イオン交換基量を多くしすぎると、含水時に膜が膨潤して膜の強度が低下する。これらのことから、本発明の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜においては、イオン交換容量は0.3meq/g〜2.5meq/g、好ましくは0.5meq/g〜2.0meq/gである。
(電気伝導度について)
機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜は、イオン交換容量や含水率と関係する電気伝導度が高いものほど電気抵抗が小さく、電解質膜としての性能はすぐれている。しかし、25℃におけるイオン交換膜の電気伝導度が0.05(Ω・cm)−1以下である場合は、燃料電池としての出力性能が著しく低下する場合が多いため、イオン交換膜の電気伝導度は0.05(Ω・cm)−1以上、より高性能のイオン交換膜では0.10(Ω・cm)−1以上に設計されていることが多い。本発明によるイオン交換膜では25℃におけるイオン交換膜の電気伝導度がナフィオン(登録商標)膜と同等かそれよりも高い値が得られた。これはイオンの伝達が加えた機能性無機物やグラフト鎖のスルホン酸基の共存による効果によって、水素イオンの伝達性が高くなったためである。
【0036】
イオン交換膜の電気伝導度を高めるため、イオン交換膜の厚みを薄くすることも考えられる。しかし現状では、過度に薄いイオン交換膜では破損しやすく、機能性無機/高分子膜の製作が困難である。本発明の場合、膜厚は30〜200μm、好ましくは30〜150μmの範囲のものが有効である。
(膨潤について)
燃料電池膜においては、現在、燃料の候補の一つとして考えられているメタノールがあるが、パーフルオロスルホン酸膜であるナフィオン(登録商標)膜は分子間の架橋構造がないためにメタノールによって大きく膨潤し、燃料であるメタノールが電池膜を通してアノード(燃料極)からカソード(空気極)へと透過する燃料のクロスオーバーが、発電効率を低下させるとして大きな問題となっている。しかし、本発明による高分子イオン交換膜では、高分子として炭化水素系樹脂を選ぶ、機能性無機物の存在、及び、架橋構造の導入などによって、メタノールを含めたアルコール類による膜の膨潤は低く抑えられる。このため、改質器を用いずにメタノールを直接燃料とするダイレクト・メタノール型燃料電池(Direct methanol Fuel cell)の膜として有用である。
(耐久性について)
燃料電池膜においては、膜の耐酸化性は膜の耐久性(寿命)に関係する極めて重要な特性である。これは電池稼働中に発生するOHラジカル等がイオン交換膜を攻撃して、膜を劣化させるものである。高分子フィルムにスチレンモノマーをグラフトした後、ポリスチレングラフト鎖をスルホン化して得た高分子イオン交換膜の耐酸化性は通常は低い。 これに対し、本発明による機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜は、グラフト鎖が炭化水素系モノマーの架橋体、又は、フッ素系モノマーの重合体や共重合体であり、更に、これらと機能性無機物との反応体であるため耐酸化性が高い。同じスチレンモノマーと架橋剤を用いた場合でも、機能性無機物がある膜にグラフトした方がグラフト鎖を基準にした耐酸化性は高くなる。例えば、実施例3と比較例3を比較すると膜全体の耐酸化性は77%と83%で実施例の方が低いが、グラフト率が62%と24%で実施例の方が高く、従って、グラフト鎖部分だけが過酸化水素水で劣化したとするとグラフト鎖部分の耐酸化性は約40%と約10%で実施例の方が高くなる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各測定値は以下の測定によって求めた。
(1)グラフト率
機能性無機/高分子膜に対し、重合性モノマー、共重合性モノマー、及び、架橋剤がグラフト重合した部分をグラフト鎖部分とすると、膜に対するグラフト鎖部分の重量比は、次式のグラフト率(Xdg(重量%))として表される。
【0038】
【数1】

【0039】
(2)イオン交換容量
膜のイオン交換容量(Iex(meq/g))は次式で表される。
【0040】
【数2】

【0041】
n(酸基)obsの測定は、正確を期すため、膜を再度1M(1モル)硫酸溶液中に50℃で4時間浸漬し、完全に酸型(H型)とした。その後、3MのNaCl水溶液中50℃、4時間浸漬して−SONa型とし、置換された水素イオン(H)を0.2NのNaOHで中和滴定し酸基濃度を求めた。
【0042】
(3)含水率
室温で水中に保存しておいたH型のイオン交換膜を水中から取り出し軽くふき取った後(約1分後)の膜の重量をWs(g)とし、その後、この膜を60℃にて16時間、真空乾燥した時の膜の重量Wd(g)を乾燥重量とすると、Ws、Wdから次式により含水率が求められる。
【0043】
【数3】

【0044】
(4)電気伝導度
イオン交換膜の電気伝導性は、交流法による測定(新実験化学講座19、高分子化学〈II〉、p. 992,丸善)で、通常の膜抵抗測定セルとヒュ−レットパッカード製のLCRメータ、E-4925Aを使用して膜抵抗(R)の測定を行った。1M硫酸水溶液をセルに満たして膜の有無による白金電極間(距離5mm)の抵抗を測定し、膜の電気伝導度(比伝導度)は次式を用いて算出した。
【0045】
【数4】

【0046】
電気伝導度測定値の比較のために、直流法でMark W. Verbrugge, Robert F. Hill等(J. Electrochem. Soc., 137, 3770-3777(1990))と類似のセル及びポテンショスタット、関数発生器を用いて測定した。交流法と直流法の測定値には良い相関性が見られた。下記の表1の値は交流法による測定値である。
【0047】
(5)耐酸化性(重量残存率%)
60℃で16時間真空乾燥後のイオン交換膜の重量をWとし、乾燥膜を一昼夜、精製水中で保存した後、80℃で3%過酸化水素溶液に24時間処理したイオン交換膜の乾燥後重量をWとする。
【0048】
【数5】

【0049】
(実施例1)
低融点のエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂(以下、ETFEと略す)のペレット(旭硝子製)50gを、300℃に昇温した攪拌翼付樹脂混合機であるラボプラストミル(東洋精機製、SOC150型)に入れて軟化させ、混練した。これにアモルファスシリカ(SiO:アエロゾル(Aerosol)、A380)2.5gを少しずつ加えて均一な樹脂混合物とした。樹脂混合機を冷却して樹脂混合物を取りだし、260℃のホットプレスで5cmx5cmx厚さ50mmの機能性無機/ETFE膜に成型した。
【0050】
この機能性無機/ETFE膜を2cmx2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφx15cm高さ)に入れて10−3Torr以下に脱気し、この後、容器内をアルゴンガスで置換した。この状態で機能性無機/ETFE膜に、γ線(線量率15kGy/h)を45kGy室温で照射した。アルゴンガスのバブリングによって酸素を除いたスチレンモノマー/トルエン溶液(スチレン/トルエンの容量比は1:1、スチレンに対し架橋剤として、ジビニルベンゼン4モル%を含む)を照射した機能性無機/ETFE膜の入ったガラス容器に膜が浸漬されるまで導入した。容器内をマグネチックスターラーで攪拌し、60℃で48時間反応させて、機能性無機/グラフトETFE膜を得た。このグラフトETFE膜をトルエン、続いてアセトンで洗浄し、乾燥した。式(1)によって求めたグラフト率は57%であった。この機能性無機/グラフトETFE膜を0.5Mクロルスルホン酸溶液(1,2−ジクロロエタン溶媒)に浸漬し50℃で6時間、スルホン化反応を行った。その後、この膜を水洗いした。本実施例で得られた膜のグラフト率、イオン交換容量(式(2))、含水率(式(3))、電気伝導度(式(4))、及び、耐酸化性(式(5))を下記の表1に示す。
(実施例2)
フッ化ビニリデン樹脂(以下、PVdFと略す)のペレット(クレハ化学製)50gを、230℃に昇温した攪拌翼付樹脂混合機であるラボプラストミル(東洋精機製、SOC150型)に入れて軟化させ、混練した。これにりんタングステン酸水和物(HPW1240・36HO)の微粉末2.5gを少しずつ加えて均一な樹脂混合物とした。樹脂混合機を冷却して樹脂混合物を取りだし、200℃のホットプレスで5cmx5cmx厚さ50mmの機能性無機/PVdF膜に成型した。さらに、この膜をSUS製オートクレーブ照射容器(内径7cmφx高さ30cm)に入れ、容器内を10−3Torrに脱気してアルゴンガスに置換した。その後、
60Co−γ線を室温にて線量率5kGy/hで線量300kGy照射し、その後、容器を120℃に加熱して架橋させた。架橋状態はジメチルホルムアミド溶媒でゲル化率を測定したところ76%であった。
【0051】
この機能性無機/架橋PVdF膜を2cmx2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφx15cm高さ)に入れて10−3Torr以下に脱気し、この後、容器内をアルゴンガスで置換した。この状態で機能性無機/架橋PVdF膜に、γ線(線量率15kGy/h)を45kGy室温で照射した。アルゴンガスのバブリングによって酸素を除いたスチレンモノマー/トルエン溶液(スチレン/トルエンの容量比は1:1、スチレンに対し架橋剤として、ジビニルベンゼン4モル%を含む)を照射した機能性無機/架橋PVdF膜の入ったガラス容器に膜が浸漬されるまで導入した。容器内をマグネチックスターラーで攪拌し、60℃で48時間反応させて機能性無機/グラフト架橋PVdF膜を得た。このグラフトPVdF膜をトルエン、ついでアセトンで洗浄後、乾燥した。式(1)によって求めたグラフト率は46%であった。
【0052】
この機能性無機/グラフト架橋PVdFを0.5Mクロルスルホン酸溶液(1,2−ジクロロエタン溶媒)に浸漬し50℃で6時間、スルホン化反応を行った。その後、この膜を水洗いした。本実施例で得られた膜のグラフト率、イオン交換容量(式(2))、含水率(式(3))、電気伝導度(式(4))、及び、耐酸化性(式(5))を下記の表1に示す。
(実施例3)
ポリエーテルイミド樹脂(以下、PEIと略す)のペレット(ジェネラル エレクトリック社製)50gを、380−400℃に昇温した攪拌翼付樹脂混合機であるラボプラストミル(東洋精機製、SOC150型)に入れて軟化させ、混練した。これにアモルファスシリカ(SiO:アエロゾル(Aerosol)、A380)2.5gを少しずつ加えて均一な樹脂混合物とした。樹脂混合機を冷却して樹脂混合物を取りだし、260℃のホットプレスで5cmx5cmx厚さ50mmの機能性無機/PEI膜に成型した。
【0053】
この機能性無機/PEI膜を2cmx2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφx15cm高さ)に入れて10−3Torr以下に脱気し、この後、容器内をアルゴンガスで置換した。この状態で機能性無機/PEI膜に、γ線(線量率15kGy/h)を105kGy室温で照射した。アルゴンガスのバブリングによって酸素を除いたスチレンモノマー/トルエン溶液(スチレン/トルエンの容量比は1:1、スチレンに対し架橋剤として、ジビニルベンゼン4モル%を含む)を照射した機能性無機/PEI膜の入ったガラス容器に膜が浸漬されるまで導入した。容器内をマグネチックスターラーで攪拌し、60℃で72時間反応させて、機能性無機/グラフトPEI膜を得た。このグラフトPEI膜をアセトンで洗浄し、乾燥した。式(1)によって求めたグラフト率は62%であった。この機能性無機/グラフトPEI膜を0.5Mクロルスルホン酸溶液(1,2−ジクロロエタン溶媒)に浸漬し50℃で6時間、スルホン化反応を行った。その後、この膜を水洗いした。本実施例で得られた膜のグラフト率、イオン交換容量(式(2))、含水率(式(3))、電気伝導度(式(4))、及び、耐酸化性(式(5))を下記の表1に示す。
(実施例4)
ポリエーテルイミド樹脂(以下、PEIと略す)のペレット(ジェネラル エレクトリック社製)50gを、380−400℃に昇温した攪拌翼付樹脂混合機であるラボプラストミル(東洋精機製、SOC150型)に入れて軟化させ、混練した。これにアモルファスシリカ(SiO:アエロゾル(Aerosol)、A380)2.5gを少しずつ加えて均一な樹脂混合物とした。樹脂混合機を冷却して樹脂混合物を取りだし、360℃のホットプレスで5cmx5cmx厚さ50mmの機能性無機/PEI膜に成型した。
【0054】
この機能性無機/PEI膜を2cmx2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφx15cm高さ)に入れ、さらに、重合性モノマーである1,2,2-トリフルオロエチレンスルホニルフルオライド(CF=CF(SOF))溶液を膜が浸漬されるまで導入した。この状態で、凍結脱気を3回行い、モノマー溶液や容器内から酸素を除いた。この後、容器内にアルゴンガスを導入した。モノマー溶液に機能性無機/PEI膜が浸された状態でγ線(線量率15kGy/h)を300kGy(20時間)室温で同時照射した。照射後、容器内をマグネチックスターラーで攪拌し、50℃で24時間反応させて、機能性無機/グラフトPEI膜を得た。この機能性無機/グラフトPEI膜をアセトンで洗浄し、乾燥した。式(1)によって求めたグラフト率は23%であった。このグラフトPEI膜を20重量%KOHのジメチルスルホオキシド/水(1:2)溶液中にて、80℃で24時間反応させた。反応後、膜を水洗し、2Nの硫酸溶液中、60℃で4時間処理した。本実施例で得られた膜のグラフト率、イオン交換容量(式(2))、含水率(式(3))、電気伝導度(式(4))、及び、耐酸化性(式(5))を下記の表1に示す。
(実施例5)
ポリエーテルイミド樹脂(以下、PEIと略す)のペレット(ジェネラル エレクトリック社製)50gを、380−400℃に昇温した攪拌翼付樹脂混合機であるラボプラストミル(東洋精機製、SOC150型)に入れて軟化させ、混練した。これにりんタングステン酸水和物(HPW1240・36HO)の微粉末2.5gを少しずつ加えて均一な樹脂混合物とした。樹脂混合機を冷却して樹脂混合物を取りだし、360℃のホットプレスで5cmx5cmx厚さ50mmの機能性無機/PEI膜に成型した。
【0055】
この機能性無機/PEI膜を2cmx2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφx15cm高さ)に入れ、さらに、1,2,2-トリフルオロエチレンスルホニルフルオライド(CF=CFSOF)とメチル-1,2,2-トリフルオロアクリレート(CF=CFCOOCH)を容量比3:2に混合したモノマー/コモノマー溶液を膜が浸漬されるまで導入した。この状態で、凍結脱気を3回行い、モノマー/コモノマー溶液から酸素を除いた。この後、容器内にアルゴンガスを導入した。このモノマー/コモノマー溶液に機能性無機/PEI膜が浸された状態で、γ線(線量率15kGy/h)を240kGy(16時間)室温で同時照射した。照射後、容器内をマグネチックスターラーで攪拌し、50℃で48時間反応させ、機能性無機/グラフトPEI膜を得た。このグラフト高分子膜をアセトンで洗浄した後、フィルムを乾燥した。式(1)によって求めたグラフト率は37%であった。
【0056】
この機能性無機/グラフトPEI膜を20重量%、KOHのジメチルスルホオキシド/水(1:2)溶液、80℃で24時間反応させた。反応後、膜を取り出し、水洗し、2Nの硫酸溶液中、60℃で4時間処理した。本実施例で得られた膜のグラフト率、イオン交換容量(式(2))、含水率(式(3))、電気伝導度(式(4))、及び、耐酸化性(式(5))を下記の表1に示す。
【0057】
(比較例1,2)
下記の表1に示したナフィオン115、ナフィオン117(デュポン社製)について測定されたイオン交換容量、含水率、及び電気伝導度の結果を表1の比較例1、2に示す。
【0058】
(比較例3)
ポリエーテルイミド樹脂(以下、PEIと略す)のペレット(ジェネラル エレクトリック社製)50gを、380−400℃に昇温した攪拌翼付樹脂混合機であるラボプラストミル(東洋精機製、SOC150型)に入れて軟化させ、混練した。これを取りだし、360℃のホットプレスで5cmx5cmx厚さ50mmのPEI膜に成型した。このPEI膜をコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れて脱気後アルゴンガスで置換した。この状態でPEI膜に、γ線(線量率15kGy/h)を105kGy室温で照射した。アルゴンガスのバブリングによって酸素を除いたスチレンモノマー/トルエン溶液(スチレン/トルエンの容量比は1:1、スチレンに対し架橋剤として、ジビニルベンゼン4モル%を含む)をPEI膜の入ったガラス容器に、膜が浸漬されるまで導入した。容器内を攪拌し、60℃で72時間反応させた。その後、グラフト共重合膜をトルエン、続いてアセトンで洗浄し、乾燥した。式(1)によって求めたグラフト率は24%であった。このグラフト重合膜を0.5Mクロルスルホン酸(1,2−ジクロロエタン溶媒)に浸漬し50℃、6時間スルホン化反応を行った。その後、この膜を水洗いしてスルホン酸基とした。本比較例で得られた膜のグラフト率、イオン交換容量(式(2))、含水率(式(3))、電気伝導度(式(4))、及び、耐酸化性(式(5))を下記の表1に同時に示す。
【0059】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性高分子であるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体に微粒子状無定形シリカ(SiO2)、H+型モルデナイト((Ca,Na2,K2)Al2Si10O24・7H2O)、アルミナ(Al2O3)、及び、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる群から選択される1種類以上の無機微粉末を該高分子に対して1重量%から20重量%の範囲で加え、これらを均一に混合した後、膜状に成形して成る機能性無機/高分子膜を作製し、該機能性無機/高分子膜に電離性放射線を10kGyから1MGyの範囲で照射した後、酸素を除去した重合性モノマーであるスチレンと接触させて、該機能性無機/高分子膜にスチレンがグラフト重合した機能性無機/グラフト高分子膜を作製し、該機能性無機/グラフト高分子膜にクロルスルホン酸を反応させてグラフト鎖中のフェニル基にスルホン酸基を導入したことを特徴とする機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項2】
熱可塑性高分子であるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体にジルコニウムホスフェイト(Zr(HPO4)2・nH2O)、りんタングステン酸水和物(H3PW12O40・nH2O) 、けいタングステン酸水和物(H4SiW12O40・nH2O)、及び、モリブドりん酸水和物(MoO3H3PO4・nH2O) からなる群から選択される1種類以上の無機微粉末を該高分子に対して1重量%から20重量%の範囲で加え、これらを均一に混合した後、膜状に成形して成る機能性無機/高分子膜を作製し、該機能性無機/高分子膜に電離性放射線を10kGyから1MGyの範囲で照射した後、酸素を除去した重合性モノマーであるスチレンと接触させて、該機能性無機/高分子膜にスチレンがグラフト重合した機能性無機/グラフト高分子膜を作製し、該機能性無機/グラフト高分子膜にクロルスルホン酸を反応させてグラフト鎖中のフェニル基にスルホン酸基を導入したことを特徴とする機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項3】
熱可塑性高分子であるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体にりんタングステン酸水和物、ジルコニウムホスフェイト、及び、けいタングステン酸水和物を吸着させた無定形シリカ、又は、りんタングステン酸水和物、ジルコニウムホスフェイト、及び、けいタングステン酸水和物を吸着させたモルデナイトやアルミナからなる群から選択される1種類以上の無機微粉末を該高分子に対して1重量%から20重量%の範囲で加え、これらを均一に混合した後、膜状に成形して成る機能性無機/高分子膜を作製し、該機能性無機/高分子膜に電離性放射線を10kGyから1MGyの範囲で照射した後、酸素を除去した重合性モノマーであるスチレンと接触させて、該機能性無機/高分子膜にスチレンがグラフト重合した機能性無機/グラフト高分子膜を作製し、該機能性無機/グラフト高分子膜にクロルスルホン酸を反応させてグラフト鎖中のフェニル基にスルホン酸基を導入したことを特徴とする機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項4】
熱可塑性高分子として、テトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、及び、ポリフッ化ビニリデンを用いた、請求項1〜3のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項5】
熱可塑性高分子として、高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリアミドを用いた請求項1〜3ののいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項6】
熱可塑性高分子として、芳香環を有するポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、及び、ポリベンゾイミダゾールを用いた請求項1〜3のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項7】
重合性モノマーとして、スチレン誘導体モノマーであるα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、及び4−tert−ブチルスチレン、並びに、芳香環を有する重合性モノマーであるアセナフチレン、インデン、ベンゾフラン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ビニルケトンCH=CH(CO(C))、フッ化ビニルエーテルCF=CF(O(C))、及びCH=CF(O(C))からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーを用いた、請求項1〜6のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項8】
重合性モノマーとして、スルホニルハライド基を有するCF=CF(SO)(式中のXはハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)、及び、CH=CF(SO)から選択される1種類又は2種類のモノマーを用いて、機能性無機/グラフト高分子膜を作製し、クロルスルホン酸の代わりに、該グラフト高分子膜にアルカリ溶液を反応させてグラフト分子鎖中の[−SO]基をスルホン酸塩基[−SOM](式中のMはアルカリ金属でNa又はKである)とし、次いでスルホン酸基[−SOH]とすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項9】
重合性モノマーとして、スルホニルハライド基を有するCF=CF(O(CF1〜2SO)(式中のXはハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)及び、CF=CF(OCH(CF1〜2SO)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーを用いて、機能性無機/グラフト高分子膜を作製し、クロルスルホン酸の代わりに、該グラフト高分子膜にアルカリ溶液を反応させてグラフト分子鎖中の[−SO]基をスルホン酸塩基[−SOM](式中のMはアルカリ金属でNa又はKである)とし、次いでスルホン酸基[−SOH]とすることを特徴とする、請求項5及び6のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項10】
重合性モノマーとして、活性なハロゲン基を有するCF=CF(O(CF1〜2)(式中のXはハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ)、CF=CF(OCH(CF1〜2)、及び、CF=CFBrからなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーを用いて、機能性無機/グラフト高分子膜を作製し、クロルスルホン酸の代わりに、該グラフト高分子膜のグラフト分子鎖中の活性なハロゲン基[−X、Br]に亜硫酸塩若しくは亜硫酸水素塩の水溶液又は水とアルコールの混合溶液中で反応させてスルホン酸塩基[−SOM](式中のMはアルカリ金属でNa又はKである。)とし、次いでスルホン酸基[−SOH]とすることを特徴とする、請求項5及び6のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項11】
重合性モノマー単独の代わりに、共重合性モノマーとして、アクリルモノマーであるCF=CR(COOR)(式中のRは−CH又は−Fであり、Rは−H、−CH、−C又は−C(CH)である。以下同じ)、及び、CH=CR(COOR)、或いは、エチレン系モノマーであるCH=CF、CH=C(CH2からなる群から選択される1種類又は2種類以上の共重合性モノマーを、重合性モノマー量に対して100モル%以下の量を加えた重合性モノマー/共重合性モノマー系を用いて機能性無機/グラフト高分子膜を作製する、請求項8〜10のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項12】
更に、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,5−ビス(トリフルオロビニル)フェノール、及び3,5−ビス(トリフルオロビニロキシ)フェノール、並びに、ビス(ビニルフェニル)基を有する(CH=CH(C))(CH(n=1〜4)(CH=CH(C))、及び(CH=CH(C))(C(C)(CH=CH(C))からなる群から選択される1種類又は2種類以上の架橋剤を、全モノマー(重合性モノマーと共重合性モノマーの合計)量に対し30モル%以下の量を加えた全モノマー/架橋剤系を用いて機能性無機/グラフト高分子膜を作製する、請求項1〜11のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項13】
上記の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法において、熱可塑性高分子に無機物である微粉末を加えて膜状に成形して成る機能性無機/高分子膜、及び、これに重合性モノマーを接触させて機能性無機/グラフト高分子膜としたいずれか一方の膜に架橋構造を導入した、請求項1〜12のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項14】
グラフト重合が機能性無機/高分子膜と重合性モノマー、共重合性モノマー及び、架橋剤を同時に照射して成る同時グラフト重合法により行われる、請求項1〜13のいずれかに記載の機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜の製造方法。
【請求項15】
上記の請求項1〜14のいずれかにおいて、得られた該機能性無機/グラフト高分子ハイブリッドイオン交換膜のグラフト率が10〜100%、イオン交換容量が0.3〜2.5meq/gであることを特徴とするイオン交換膜からなる燃料電池用電解質膜。














【公開番号】特開2006−282969(P2006−282969A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108561(P2005−108561)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】